説明

平板載荷試験装置および平板載荷試験方法

【課題】平板載荷試験を効率よく行い、かつ、ばらつきのない正確な試験結果を得る上で有利な平板載荷試験装置および平板載荷試験方法を提供する。
【解決手段】平板載荷試験装置10は、遠隔操作が可能に構成された重機2に取り付けられて用いられる。重機2は、左右一対のキャタピラ2Aと、各キャタピラ2Aを支持する第1フレーム2Bと、幅方向に延在し各第1フレーム2Bを連結する第2フレーム2Cと、第2フレーム2C上に設けられた車体2Dとを含んで構成されている。平板載荷試験装置10は重機2の横フレームメンバー2Eに着脱可能に連結され、言い換えると、平板載荷試験装置10は走行面に臨む重機2のフレームの底部箇所に着脱可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平板載荷試験装置および平板載荷試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤の強度(耐力)を測定する試験方法の一つに平板載荷試験がある。
平板載荷試験は、地盤に剛な載荷板を介して荷重を載荷し、荷重と載荷板の沈下量とを測定し、それら荷重と載荷板の沈下量との関係からの地盤の変形や強さなどの支持力に関する性状や特性を測定するものである。
平板載荷試験は、具体的には、土質工学基準JSF規格(JGS1521-1995:地盤の平板載荷試験方法))や日本工業規格(JIS A 1215-1995:道路の平板載荷試験方法)などに規定された条件で行われるものである。
このような平板載荷試験を、重機のアームに装着した平板載荷試験装置で行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−84331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
平板載荷試験では、ばらつきのない正確な試験結果を得るために載荷板を設置する地盤が平坦な状態に整地されていることが必要である。
しかしながら上記従来技術では、重機のアームに平板載荷試験装置を装着することから、アームにはバケットなどの地盤を整地するための部材を装着することができない。
したがって、平板載荷試験に先立って地盤を整地するためには、別の重機を使用しなくてはならず、平板載荷試験を効率よく行い、かつ、ばらつきのない正確な試験結果を得る上で不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、平板載荷試験を効率よく行い、かつ、ばらつきのない正確な試験結果を得る上で有利な平板載荷試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明の平板載荷試験装置は、走行面に臨む重機のフレームの底部箇所に着脱可能に連結される試験装置側フレームと、前記試験装置側フレームに連結され上下に延在するジャッキと、前記ジャッキを駆動するジャッキ駆動部と、前記ジャッキの下端に結合され地盤に当接される載荷板と、前記試験装置側フレームと前記載荷板との間の相対的な変位量である第1変位量を測定する第1変位量測定部と、前記試験装置側フレームと前記載荷板が当接する地盤との間の相対的な変位量である第2変位量を測定する第2変位量測定部と、前記載荷板に掛かる荷重を測定する荷重測定部とを備えることを特徴とする。
また本発明の平板載荷試験方法は、走行面に臨む重機のフレームの底部箇所に試験装置側フレームを連結し、前記試験装置側フレームに下方に延在するジャッキを設け、前記ジャッキを駆動するジャッキ駆動部を設け、前記ジャッキの下端に地盤に当接される載荷板を連結し、前記試験装置側フレームと前記載荷板との間の相対的な変位量である第1変位量を測定し、前記試験装置側フレームと前記載荷板が当接する地盤との間の相対的な変位量である第2変位量を測定し、前記載荷板に掛かる荷重を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、平板載荷試験装置が走行面に臨む重機のフレームの底部箇所に連結されているため、平板載荷試験に先立って重機のアームやバケットを用いて地盤を整地したのち、引き続いて平板載荷試験を行うことができる。
したがって、平板載荷試験を効率よく行い、かつ、ばらつきのない正確な試験結果を得る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の平板載荷試験装置10が重機2に取り付けられた概略説明図である。
【0007】
図1に示すように、平板載荷試験装置10は、遠隔操作が可能に構成された重機2に取り付けられて用いられる。なお、重機2を遠隔操作する構成は従来公知のさまざまな遠隔操作システムが採用可能である。
本実施の形態では、重機2は建設機械であるバックホウで構成されている。
具体的には、重機2は、左右一対のキャタピラ2Aを備える。
各キャタピラ2Aは前後に並べられた複数の輪体に掛装され、複数の輪体はそれぞれ輪体用フレームで支持されている。
輪体用フレームは車体2Dによりそれぞれ第1フレーム2Bを介して支持され、第2フレーム2Bの内端間は第2フレーム2Cで連結されている。
また、左右の輪体用フレームは、前後に間隔をおいて複数配設された左右に延在する横フレームメンバー2Eにより連結されている。
本実施の形態では、平板載荷試験装置10は重機2の横フレームメンバー2Eに着脱可能に連結され、言い換えると、平板載荷試験装置10は走行面に臨む重機2のフレームの底部箇所に着脱可能に連結されている。
また、車体2Dには、何れも図示しないアームと、このアームの先端に設けられ地面を掘り下げたり地盤を整地するバケットとが設けられている。
【0008】
図2は平板載荷試験装置10の構成を示す説明図、図3は平板載荷試験装置10の重機2への取り付け構造を示す説明図、図4は図3のA矢視図である。
図2に示すように、平板載荷試験装置10は、試験装置側フレーム12と、ユニバーサルジョイント14と、ジャッキ16と、載荷板18と、圧力計20と、2つの第1変位計22、24と、2つの第2変位計26、28と、傾斜計30と、カメラ32と、測定器34(図5参照)などを含んで構成されている。
図3、図4に示すように、試験装置側フレーム12は上下方向に延在する縦板部1202と、縦板部1202の上端に連結され水平面上を延在する上板部1204とを有している。
縦板部1202には、その延在方向の中間2箇所に連結片1206がそれぞれ設けられ、各連結片1206が、複数のボルト1208を介して第2フレーム2Cの延在方向の中間にそれぞれ締結され、これにより、試験装置側フレーム12は横フレームメンバー2Eを介して重機2に着脱可能に取り付けられている。
ユニバーサルジョイント14は、ボルト1210を介して上板部1204に締結されている。
【0009】
図3、図4に示すように、ジャッキ16は、シリンダチューブ1602と、シリンダチューブ1602に収容されたピストンロッド1604と、シリンダチューブ1602に設けられた2つの油圧ニップル1606とを備えている。
シリンダチューブ1602はその一端がユニバーサルジョイント14に連結されている。したがって、シリンダチューブ1602は、重機2の傾斜に拘わらず、その延在方向が鉛直方向に沿って吊り下げられることになり、シリンダチューブ1602の他端は鉛直下方を向くことになる。
ピストンロッド1604は、ジャッキ制御用油圧回路40(図5参照)から油圧ニップル1606の一方を介して給排される油圧によりシリンダチューブ1602の他端から突出しあるいは没入するものである。
載荷板18は、剛性を有する材料で円板状に形成され、その上面の中心がピストンロッド1604の先端に結合され、したがって、載荷板18はピストンロッド1604と一体的に出没する。また、シリンダチューブ1602の他端が鉛直下方を向いていることから、載荷板18の下面は常時地盤Gに対面する。
シリンダチューブ1602には後述する第1変位計22、24、第2変位計26、28の取り付け部材1610が取着されている。
【0010】
圧力計20(図2参照)は、ジャッキ16の他方の油圧ニップル1606に設けられピストンロッド1604に加わる圧力を測定しその測定値を測定器34(図5参照)に供給するものである。
すなわち、圧力計20は、ジャッキ16のピストンロッド1604が突出し載置板18が地盤Gに設置された状態でピストンロッド1604に加わる突出方向の圧力を測定するものである。この圧力は、ジャッキ16から地盤G上に設置された載荷板18に対して加わる荷重に相当するものである。
【0011】
図2に示すように、第1変位計22、24は、取り付け部材1610にブラケットを介して連結されている。
第1変位計22、24は、試験装置側フレーム12に対する載荷板18の相対的な変位量を検出しその検出信号を測定器34(図5参照)に供給するものである。言い換えると、第1変位計22、24は試験装置側フレーム12に設けられ載荷板18との距離を検出することで載荷板18との相対的な変位量を検出するものである。
また、第2変位計26、28は、取り付け部材1610にブラケットを介して連結されている。
第2変位計26、28は、試験装置側フレーム12にロッド1220を介して連結され、地盤Gに対する試験装置側フレーム12の相対的な変位量を検出しその検出信号を測定器34(図5参照)に供給するものである。言い換えると、第2変位計26、28は試験装置側フレーム12に設けられ地盤Gとの距離を検出することで載荷板18との相対的な変位量を検出するものである。
なお、地盤Gに対する試験装置側フレーム12の相対的な変位量とは、ジャッキ16により地盤Gに載置された載荷板18に荷重が掛かった際にジャッキ16に加わる反力によって生じる試験装置側フレーム12の弾性変形量あるいは試験装置側フレーム12(重機12)の地盤Gに対する浮き上がり量に相当するものである。
このような第1変位計22、24、第2変位計26、28としては従来公知のさまざまな変位計が採用可能であり、例えば、レーザ光からなる照射光を対象物に照射し該対象物で反射された反射光を受光しその受光位置の変化に基づいて対象物の変位量を高精度に測定するいわゆるレーザ変位計を用いることができ、このようなレーザ変位計として市販品を用いることができる。
なお、図2、図3では、第1変位計が2つ設けられているものとして図示したが、第1変位計の数は、土質工学基準JSF規格(JGS1521-1995:地盤の平板載荷試験方法))や日本工業規格(JIS A 1215-1995:道路の平板載荷試験方法)で規定されている載荷板の沈下量を測定する変位計の数に準じた数設ければよい。
本実施の形態では、後述するように各第1変位計で測定される変位量の平均値を求め、その平均値を試験装置側フレーム12に対する載荷板18の相対的な変位量とする。
また、図2、図3では、第2変位計も2つ設けられているものとして図示したが、第2変位計の数は試験装置側フレーム12の弾性変形量あるいは試験装置側フレーム12(重機12)の浮き上がり量を正確に測定するに足りる数であればよい。
本実施の形態では、後述するように各第2変位計で測定される変位量の平均値を求め、その平均値を地盤Gに対する試験装置側フレーム12の相対的な変位量とする。
【0012】
図2に示すように、傾斜計30は、第2フレーム2Cに取り付けられ、試験装置側フレーム12の傾斜、すなわち、重機2の傾斜を検出しその検出信号を測定器34(図5参照)に供給するものである。
なお、傾斜計30取り付け箇所は第2フレーム2Cに限定されるものではなく、例えば、第1フレーム2Bであってもよい。
カメラ32は、第2フレーム2Cに取り付けられ、載荷板18およびその周辺を撮像しその撮像した画像信号を測定器34(図5参照)に供給するものである。
なお、カメラ32の取り付け箇所は第2フレーム2Cに限定されるものではなく、例えば、第1フレーム2Bであってもよい。
【0013】
図5は平板載荷試験装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、平板載荷試験装置10は、上述した試験装置側フレーム12、ユニバーサルジョイント14、ジャッキ16、載荷板18、圧力計20、第1変位計22、24、第2変位計26、28、傾斜計30、カメラ32に加えて、測定器34、発電機36、油圧ポンプ38、ジャッキ制御用油圧回路40、第1無線機42、第2無線機44、第1無線画像伝送装置46を含んで構成されている。
【0014】
測定器34は重機2に搭載され、圧力計20、第1変位計22、24、第2変位計26、28から供給される各検出信号に基づいて、地盤Gに設置された載荷板18に加わる荷重と、試験装置側フレーム12と載荷板18との間の相対的な変位量である第1変位量と、前記試験装置側フレームと前記載荷板が当接する地盤との間の相対的な変位量である第2変位量とを第1無線機42に供給するものである。
また、測定器34は、傾斜計30から供給される検出信号に基づいて重機2の傾斜量を測定し傾斜データを第1無線機42に供給するものである。
本実施の形態では、圧力計20と測定器34によって特許請求の範囲の荷重測定部が構成され、第1変位計22、24と測定器34によって特許請求の範囲の第1変位量測定部が構成され、第2変位計26、28と測定器34によって特許請求の範囲の第2変位量測定部が構成され、傾斜計30および測定器34によって特許請求の範囲の傾斜測定部が構成されている。
なお、本実施の形態では、圧力計20と測定器34によって前記荷重測定部を構成した場合について説明したが、次のように構成してもよい。
すなわち、圧力計20を設ける代わりに、載荷板18とピストンロッド1604との間、あるいは、ユニバーサルジョイント14とシリンダチューブ1602との間、あるいは、ユニバーサルジョイント14と試験装置側フレーム12との間に荷重計を設けることで載荷板18に加わる荷重を測定し、前記荷重計と測定器34によって前記荷重測定部を構成してもよい。
しかしながら、前記荷重計を用いる場合には、荷重計を組み込むためのスペースを確保するとともに、荷重計近傍の部材との配置関係を考慮しなくてはならず、また、組み立て作業が複雑化する不利がある。これに対して、本実施の形態のように圧力計20を用いた場合には、圧力計20をジャッキ16の油圧ニップル1602に接続するという簡単な構成で済み、設計の自由度を確保するとともに、組み立ての簡素化を図る上で有利となる。
【0015】
発電機36は重機2に搭載され発電を行うものである。
本実施の形態では、発電機36は防振ゴムを介して重機2に搭載されており、発電機36から発生する振動が第1変位計22、24、第2変位計26、28の検出動作に影響を与えることが防止されている。したがって、試験時に重機2のエンジンを停止させることにより、第1変位計22、24、第2変位計26、28に加わる振動の影響を効果的に防止することができる。
油圧ポンプ38は発電機36から供給される電源によって作動し油圧源を構成するものである。
ジャッキ制御用油圧回路40は、第2無線機44を介して供給される制御指令に基づいて、油圧ポンプ38からジャッキ16への供給を制御するものである。
本実施の形態では、発電機36、油圧ポンプ38、ジャッキ制御用油圧回路40によって、特許請求の範囲のジャッキ駆動部が構成されている。
【0016】
第1無線機42は、測定器34から供給される荷重データ、第1変位量データ、第2変位量データ、傾斜データを後述する操作室50に設置された第3無線機52に無線回線を介して送信するものである。
第2無線機44は、操作室50に設置された第4無線機54から無線回線を介して送信される制御指令を受信するものである。
第1無線画像伝送装置46は、カメラ32から供給される画像データを無線回線を介して操作室50に設置された第2無線画像伝送装置56に送信するものである。
【0017】
重機2から離れた箇所には、操作室50が設けられている。
操作室50には、第3、第4無線機52、54、第2無線画像伝送装置56、コンピュータ58、モニタ60、ジャッキ操作盤62などが設けられている。
第3無線機52は、第1無線機42から無線回線を介して送信された荷重データ、第1変位量データ、第2変位量データ、傾斜データを受信し、それらデータをコンピュータ58に供給するものである。
コンピュータ58は平板載荷試験プログラムを実行することにより次の機能を有するものである。
コンピュータ58は、試験装置側フレーム12に対する載荷板18の相対的な変位量である第1変位量データを、地盤Gに対する試験装置側フレーム12の相対的な変位量である第2変位量データによって補正することで載荷板18の沈下量データを生成する。
この際、コンピュータ58は、各第1変位計22、24から得られた変位量の平均を算出することにより前記第1変位量データを生成し、各第2変位計26、28から得られた変位量の平均を算出することにより前記第2変位量データを生成する。
さらに、コンピュータ58は、第3無線機52から供給された荷重データと、前記生成した沈下量データの関係に基づいて地盤の強度の関わる特性データを算出する。
このような特性データの算出は、土質工学基準JSF規格(JGS 1521-1995:地盤の平板載荷試験方法) や日本工業規格(JIS A 1215-1995:道路の平板載荷試験方法)の規格に基づいてなされる。
また、コンピュータ58は、上述のようにして得られた荷重データ、沈下量データ、特性データをコンピュータ58のディスプレイに表示し、あるいは、プリンタを用いて印刷出力し、あるいは、ハードディスク装置やディスク状記録媒体などの従来公知のさまざまな記憶媒体に記録するものである。
また、コンピュータ58は、上述のようにして得られた荷重データ、沈下量データ、特性データを解析し、その解析結果もディスプレイに表示し、あるいは、プリンタを用いて印刷出力し、あるいは、ハードディスク装置やディスク状記録媒体などの従来公知のさまざまな記憶媒体に記録する。
また、コンピュータ58は、第3無線機52から供給された傾斜データをコンピュータ58のディスプレイなどを用いて視認可能に表示する。
【0018】
ジャッキ操作盤62は、ジャッキ16の動作を遠隔操作するためのものであり、従来公知の操作スイッチなどを含んで構成され、操作スイッチが操作されることにより、ジャッキ16の動作を指令する制御指令を第4無線機54に供給するものである。
第4無線機54は、ジャッキ操作盤62から供給される制御指令を第2無線機44に無線回線を介して送信するものである。
第2無線画像伝送装置56は、第1無線画像伝送装置46から無線回線を介して送信された画像データを受信してモニタ60に供給するものである。
モニタ60は、第2無線画像伝送装置56から供給された前記画像データに基づいて、平板載荷試験装置10のジャッキ16、載荷板18、あるいは、地盤Gの状況を画像(動画)で表示するものである。
【0019】
次に、平板載荷試験装置10の動作について説明する。
予め、重機2を遠隔操作により試験すべき地盤の場所に移動させ、重機2のアームおよびバケットを用いて試験箇所を整地する。
試験箇所の整地が完了したならば、平板載荷試験装置10が整地された試験箇所の直上に位置するように重機2を移動させる。
この際、コンピュータ58のディプレイなどに表示される傾斜データに基づいて重機2の姿勢を監視し、姿勢が大幅に傾いている場合には、重機2を据え直す。
モニタ60に表示される画像、コンピュータ58のディスプレイに表示される荷重の値を見ながらジャッキ操作盤62を操作し、ジャッキ16が突出するように動作させる。
前記画像および荷重の値に基づいて、載荷板18が地盤Gに地面に設置したことを確認したならば、ジャッキ16の出没動作を繰り返して載荷板18を上下させ、載荷板18下面の地盤Gの整地を行う。
載荷板18下面の地盤Gの整地が完了したならば、ジャッキ操作盤62を操作し、ジャッキ16を下方に突出させ、地盤G上に載置された載荷板18に荷重を掛けて押圧する。
これにより、コンピュータ58は、第3無線機52から供給された第1変位量データ、第2変位量データに基づいて沈下量データを算出するとともに、その沈下量データと第3無線機52から供給された荷重データとに基づいて特性データを算出し、あるいは、沈下量データおよび荷重データの解析を行い、これにより、前記の規格に基づいた平板載荷試験がなされる。
【0020】
以上説明したように、本実施の形態によれば、平板載荷試験装置10が走行面に臨む重機2のフレームの底部箇所に連結されているため、平板載荷試験に先立ってアームおよびバケットを用いて地盤を整地したのち、直ちに平板載荷試験を行うことができる。
したがって、平板載荷試験を効率よく行い、かつ、ばらつきのない正確な試験結果を得る上で有利となる。
また、本実施の形態によれば、地盤Gに設置した載荷板18にジャッキ16により荷重を掛けた際、第1変位量測定部によって試験装置側フレーム12と載荷板18との間の相対的な変位量である第1変位量を測定するとともに、試験装置側フレーム12と載荷板18が当接する地盤Gとの間の相対的な変位量である第2変位量を測定することができる。
したがって、地盤Gに設置した載荷板18にジャッキ16により荷重を掛けた際に試験装置側フレーム12の弾性変形や浮き上がりが発生したとしても、第1変位量を第2変位量で補正することにより、載荷板18の沈下量データを正確に得ることができ、したがって、荷重データおよび沈下量データの関係に基づいて算出する地盤の強度に関わる特性データの精度を確保する上で有利となる。
【0021】
また、本実施の形態では、載荷板18が取り付けられたジャッキ16をユニバーサルジョイント14を介して重機2に取り付けているため、重機2が多少傾いたとしても、載荷板18を、鉛直方向と直交する方向に延在した状態で保持でき、したがって、載荷板18に対して鉛直方向の荷重を正しく加えることができ、平板載荷試験を正確に行う上で有利となる。
また、本実施の形態では、傾斜計30により重機2の傾斜量を測定できるため、平板載荷試験を適切に行える状態であるか否かの判断を迅速、かつ、確実に行うことができ有利となる。
また、本実施の形態では、平板載荷試験装置10を遠隔操作可能な重機2に取り付けて使用することで、自然災害における2次災害の恐れのある場所や危険場所での測定を安全に行う上で有利となる。
また、本実施の形態では、ジャッキ16を用いて載荷板18に荷重をかけるため、人手によって載荷板18に荷重を加える場合に比較して、作業者の作業の軽減化、効率化を図る上で有利となる。
【0022】
なお、本実施の形態では、載荷板18の沈下量データを生成するために、コンピュータ58を用いて第2変位量データによる第1変位量データの補正を行った場合について説明したが、測定器34を用いて第2変位量データによる第1変位量データの補正を行って載荷板18の沈下量データを生成し、その沈下量データを測定器34からコンピュータ58に供給するようにしてもよいことは無論である。
また、試験装置側フレーム12が連結される、走行面に臨む重機2のフレームの底部箇所は実施の形態の箇所に限定されず、例えば、図6に示すように、重機2の第2フレーム2Cが走行面に臨む底面2Fであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態の平板載荷試験装置10が重機2に取り付けられた概略説明図である。
【図2】平板載荷試験装置10の構成を示す説明図である。
【図3】平板載荷試験装置10の重機2への取り付け構造を示す説明図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】平板載荷試験装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】変形例における平板載荷試験装置10が重機2に取り付けられた概略説明図である。
【符号の説明】
【0024】
2……重機、10……平板載荷試験装置、12……試験装置側フレーム、16……ジャッキ、18……載荷板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行面に臨む重機のフレームの底部箇所に着脱可能に連結される試験装置側フレームと、
前記試験装置側フレームに連結され上下に延在するジャッキと、
前記ジャッキを駆動するジャッキ駆動部と、
前記ジャッキの下端に結合され地盤に当接される載荷板と、
前記試験装置側フレームと前記載荷板との間の相対的な変位量である第1変位量を測定する第1変位量測定部と、
前記試験装置側フレームと前記載荷板が当接する地盤との間の相対的な変位量である第2変位量を測定する第2変位量測定部と、
前記載荷板に掛かる荷重を測定する荷重測定部と、
を備えることを特徴とする平板載荷試験装置。
【請求項2】
前記第1変位量測定部は、前記試験装置側フレームに設けられ前記載荷板との距離を検出することで前記第1変位量を測定する第1変位計を有し、
前記第2変位量測定部は、前記試験装置側フレームに設けられ前記地盤との距離を検出することで前記第2変位量を測定する第2変位計を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の平板載荷試験装置。
【請求項3】
前記重機は左右一対のキャタピラにより走行する建設機械であり、
前記試験装置側フレームは、前記一対のキャタピラの各輪体支持用のフレーム間に掛け渡された横フレームメンバーに着脱可能に連結される、
ことを特徴とする請求項1記載の平板載荷試験装置。
【請求項4】
前記ジャッキの前記試験装置側フレームへの連結は、前記ジャッキの上端と前記試験装置側フレームとの間に設けられたユニバーサルジョイントを介してなされている、
ことを特徴とする請求項1記載の平板載荷試験装置。
【請求項5】
前記荷重測定部で測定された前記荷重と、前記沈下量測定部で測定された前記沈下量と、前記重機変位量測定部で測定された前記試験装置側フレームと前記地盤との間の相対的な変位量とを無線回線を介して送信する無線機を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の平板載荷試験装置。
【請求項6】
前記重機の傾斜量を測定する傾斜測定部と、
前記傾斜測定部によって測定された傾斜量を無線回線を介して送信する無線機とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の平板載荷試験装置。
【請求項7】
走行面に臨む重機のフレームの底部箇所に試験装置側フレームを連結し、
前記試験装置側フレームに下方に延在するジャッキを設け、
前記ジャッキを駆動するジャッキ駆動部を設け、
前記ジャッキの下端に地盤に当接される載荷板を連結し、
前記試験装置側フレームと前記載荷板との間の相対的な変位量である第1変位量を測定し、
前記試験装置側フレームと前記載荷板が当接する地盤との間の相対的な変位量である第2変位量を測定し、
前記載荷板に掛かる荷重を測定する、
ことを特徴とする平板載荷試験方法。
【請求項8】
前記第1変位量を前記第2変位量を用いて補正することにより前記載荷板の沈下量を求め、
前記測定された荷重と前記沈下量とに基づいて前記地盤の特性を測定する、
ことを特徴とする請求項7記載の平板載荷試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−174958(P2008−174958A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8952(P2007−8952)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【出願人】(595067442)システム計測株式会社 (27)
【Fターム(参考)】