説明

平滑筋鎮痙剤

本発明は平滑筋鎮痙剤、それらを含む薬剤組成物並びに前記化合物及び尿失禁や他の平滑筋収縮状態を治療するための組成物を使用する方法に関する。より詳しくは、本発明は、哺乳動物に投与したときに、顕著な抗ムスカリン性催不整脈作用や心筋抑制作用のような不都合な副作用を回避しつつ平滑筋を弛緩させる特性を有する、ある種の、代謝的に安定化された第二級アミンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2003年5月23日出願の米国特許仮出願第60/473,173号の優先権を主張するものであり、その開示を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、トルテロジンと命名された次式の化合物に、構造上部分的に関連する一連の新規化学物質に関する。
【化1】

【0003】
一般名トルテロジン(CAS−124937−51−1;INN)は、この薬品のR−鏡像異性体を指す。本明細書では、この化合物のラセミ体及びS−異性体は、それぞれRS−トルテロジン(又はRS−TOL)及びS−トルテロジン(又はS−TOL)と記す。R−異性体(トルテロジン)は、化学名が、R−N,N−ジイソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミンであり、本明細書ではTOLと記す。デス−イソプロピル−トルテロジンは、TOLの代謝物であり、本明細書ではDES−TOLと記し、またそのラセミ体及びS−異性体は、それぞれ、RSDES−TOL及びSDES−TOLと記す。RSDES−TOLの化学名は、(R,S)−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミンである。TOLの代謝物、5−ヒドロキシメチル−トルテロジンは、本明細書では、5−HMと記し、そのラセミ体及びS−異性体は、それぞれ、RS5−HM及びS5−HMと記す。RS5−HMの化学名は、RS−N,N−ジイソプロピル−3−[2−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−フェニルプロピルアミンである。
【0004】
具体的には、本発明は、新規な鎮痙化合物、並びに、例えば尿路平滑筋、消化管平滑筋及び呼吸管平滑筋のような平滑筋の痙攣を治療するために、前記化合物を使用する方法に関する。平滑筋の機能亢進には、例えば、様々な動脈及び静脈平滑筋の収縮、尿路結石及び尿失禁や頻尿に関連する平滑筋の痙攣を含む尿路の痙攣、下痢、過敏性腸症候群などの食道及び他の腸管の痙攣を含む消化管の痙攣、並びに胆嚢閉塞(胆石症)及び胆管閉塞(総胆管結石症)に関連した痙攣が含まれる。呼吸管の痙攣には、例えば喘息、気管支炎及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に関連する平滑筋の収縮が含まれる。本明細書で使用する用語「痙攣」は、機能亢進性又は過敏性によって生じる平滑筋の収縮性を含む。
【0005】
もう1つの実施形態では、本発明の化合物は、例えば、心不全や心不整脈、狭心症(安定狭心症及び冠状動脈の痙攣に起因する狭心症)、心房性又は心室性頻脈及び心室性期外収縮拍動のような心臓病の治療に有用である。
【0006】
本発明はまた、例えば、腎臓結石又は胆石によって誘導される痛みを含む、平滑筋の痙攣が原因の痛みのような痛みの軽減方法をも対象とし、この方法は、本発明の化合物又はその光学活性異性体或いは本発明の化合物を含む薬剤組成物の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む。
【0007】
本発明はさらに、それだけには限らないが、切迫、失禁、頻尿及び夜尿症のような膀胱膨満症状に加えて弱い尿流、排尿開始の遅延、間歇排尿、不完全膀胱排出及び腹部緊張を含む、下部尿路症状(LUTS)の治療方法をも対象とする。この方法は、本発明の化合物又はその光学活性異性体或いは本発明の化合物を含む薬剤組成物の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含み、場合によってはさらに、トルテロジン、オキシブチニン、ダリフェナシン、フェソテロジン、アルバメリン、トロスピウム及びテミベリン又はその光学活性異性体からなる群から選択しうる1種又は複数の抗コリン作用性化合物を含めることを含む。
【0008】
本発明はまた、それだけには限らないが、切迫、失禁、頻尿及び夜尿症のような膀胱膨満症状に加えて弱い尿流、排尿開始の遅延、間歇排尿、不完全膀胱排出及び腹部緊張を含む、女性の下部尿路症状LUTSの治療方法をも対象とする。この方法は、ラセミ体又は異性体の本発明の化合物或いは本発明の化合物を含む薬剤組成物の有効量を、そのような治療を必要とする女性に投与することを含み、場合によってはさらに、トルテロジン、オキシブチニン、ダリフェナシン、フェソテロジン、アルバメリン、トロスピウム及びテミベリン又はその光学活性異性体からなる群から選択しうる1種又は複数の抗コリン作用性化合物を含めることを含む。
【背景技術】
【0009】
TOLは、尿失禁に悩む患者の膀胱の機能亢進を軽減させることが示されており、平滑筋に対するアセチルコリンの作用を抑制することによって、膀胱平滑筋に鎮痙作用を及ぼす。TOLは、ニコチン性アセチルコリン受容体よりもムスカリン様受容体に対して選択性を有し、その結果、骨格の神経筋接合部において遮断作用は観察されない。TOLと同様に、5HMと呼ばれるTOLの活性な代謝物もムスカリン様受容体の強力且つ非選択的な抑制を行う(Gillberg、P−G & Sundquist S.:「DD01及びデスエチルオキシブチニン(DEOB)−トルテロジン及びオキシブチニンの主たる代謝産物−の薬理学的側面(Pharmacological profile of DD01 and desethyloxybutynin(DEOB)−the major metabolite of tolterodine and oxybutynin)」、J.Urol.1997、157:Abstract 312)。
【0010】
化合物DES−TOL及び5−HMは、複数の研究者によってTOLの主たる代謝物であると記載されており、例えば、Nilvebrant et al.1997(「トルテロジンの主たる代謝物PNU−200577の抗ムスカリン効能及び膀胱選択性(Antimuscarinic potency and bladder selectivity of PNU−200577,a major metabolite of tolterodine)」、Pharmacol Toxicol 81:169−172)、Brynne et al.1997(「膀胱の機能亢進治療用新薬トルテロジンのヒトにおける薬物動態学及び薬力学(Pharmacokinetics and pharmacodynamics of tolterodine in man:a new drug for the treatment of urinary bladder overactivity)」、Int J Clin Pharmacol Ther 35:287−295)、Andersson et al.1998(「新規ムスカリン拮抗剤であるトルテロジンのマウス、ラット、及び犬における生体内転換(Biotransformation of tolterodine,a new muscarinic antagonist,in mice,rats,and dogs)」、Drug Metab Dispos.26:528−535)、及びPostlind et al.1998(「新規ムスカリン受容体拮抗剤トルテロジンはヒト肝ミクロソーム中のサイトクロームP450 2D6 及び3Aによって代謝される(Tolterodine,a new muscarinic receptor antagonist,is metabolized by cytochromes P450 2D6 and 3A in human liver microsomes)」、Drug Metab Dispos 26:289−293)などがある。
【0011】
TOLの活性な代謝物の様々な種類のプロドラッグ又は前駆体で、例えば、Sparfら(EP0957073A1)が記載したようなものを、本発明の化合物のために調製することは、合成化学の分野の技術者には可能であり、そのようなプロドラッグ又は前駆体は、本発明に含まれる。
【0012】
尿失禁用の非コリン性薬物の研究は、薬理学的な投与量レベルでは抗コリン活性をわずかにしか示さないが、非コリン性の鎮痙活性を示すことが見出された化合物S−TOLに帰着した(米国特許第6,310,103号)。トルテロジンの第二級アミン代謝物(デス−イソプロピル−トルテロジン即ちDES−TOL、特に対応するS−異性体)は、さらに抗コリン活性が低減されていながら、非コリン性の鎮痙活性を示すことが見出された(米国特許第09/775060号)。本発明は、もう1つの重要な一歩である。というのは、本発明の化合物が、意外にも薬理的な投与量レベルにおいてはまったく抗コリン作用のない、強力な鎮痙化合物であることが見出されたからである。加えて、本発明の化合物には、意外にも心臓血管への副作用がない。
【0013】
本明細書では、光学的に純粋な化合物又は実質的にそのジストマーを含まない化合物とは、光学純度が少なくとも96%、好ましくは98%よりも高いことを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の化合物が選択的に平滑筋を弛緩させることが見出され、この場合それはこれらの化合物が、尿路、消化管(胆嚢及びそれに接続する導管を含む)、肺管、及び子宮の平滑筋の収縮を抑制し、同時に低血圧又は心臓への副作用を引き起こさないことを意味する。さらにまた、これら新規化合物は、梗塞のような心臓事象の発生を防止し、また心不全を患って本発明の化合物を使用している患者のさらなる心臓の悪化を防ぎ、また心房性及び心室性の頻脈も不整脈も防ぐであろう。重要なことには、これらの新規化合物は、付随する心臓への変時性、変力性、又は変伝導性副作用を伴う或いは伴わない低血圧を引き起こすことなく、心臓保護作用を及ぼすであろう。
【0015】
今では、本発明の化合物が、意外にも強力な平滑筋鎮痙活性を有することが見出されている。意外にも、これらの化合物の(S)−異性体が、ムスカリン性の副作用をまったく有せずに、対応するジストマーの鎮痙活性は保持していることが見出されている。R−異性体は、鎮痙性のカルシウム拮抗活性と比較的弱い抗ムスカリン活性を併せて発現する。
【0016】
これもまた意外なことに、本発明の化合物が、強力で選択的な鎮痙剤でありながら抗ムスカリン性副作用がないことに加えて、意外にもヒト肝臓による分解に対して高い代謝安定性を示すことが見出されており、このことは言い換えればヒトである患者の体内では薬剤の半減期が長いことを意味し、患者は1日に1回か2回だけ薬を飲めばよい。
【0017】
本発明の化合物は、膀胱の平滑筋を強力に弛緩させることが見出されており、それ故に、尿失禁、特に切迫性尿失禁に悩む患者に有効である。
【0018】
本発明の化合物は、腸管の平滑筋を強力に弛緩させることが見出されており、それ故に、例えば下痢や過敏性腸症候群(IBS)のような腸管平滑筋機能亢進による障害で苦しむ患者に有効である。
【0019】
本発明の化合物は、呼吸気道の平滑筋を強力に弛緩させることが見出されており、それ故に、喘息、気管支炎又は、例えばCOPDのような、閉塞性肺疾患に苦しむ患者に有効である。
【0020】
本発明の化合物は、腎臓及び尿道の平滑筋を強力に弛緩させることが見出されており、それ故に、尿路結石に苦しむ患者に有効である。
【0021】
本発明の化合物は、子宮の平滑筋を強力に弛緩させることが見出されており、それ故に、子宮収縮及び月経困難症に苦しむ患者に有効である。
【0022】
本発明の化合物は、胆嚢及びその接続導管の平滑筋を強力に弛緩させることが見出されており、それ故に、胆石症又は総胆管結石症に苦しむ患者に有効である。
【0023】
意外にも、また第二級アミンであるテロジリンとは反対に、本発明の化合物は、第二級アミンではあるが、心臓の再分極の遅れをもたらさない。再分極の遅れは、QTc間隔又は心電図(ECG)の延長として見られ、Torsades de Pointeと呼ばれるタイプの致命的な心室性不整脈の主要な原因として知られている。トルテロジンは、QTc間隔を強く延長し、また失禁薬テロジリン(Micturine(登録商標))は、抗ヒスタミン剤テルフェナジン(セルダン(登録商標))及びアステミゾール(ヒスマナル(登録商標))と同様に、QTcの延長及び高いTorsades de Pointes不整脈のリスクを理由として市場から引き揚げられた。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の化合物は、次の式(I)を有し、
【化2】


その立体化学的異性体及びその薬剤として許容される塩を含み、上式で、
Arは、フェニル基であり、そのそれぞれが、場合によっては、独立にA及び/又はBで置換されていてもよく、
Aは、エチル又はn−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル又はヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルであり、
Bは、H、ヒドロキシ又は低級(1〜3)アルコキシであり、
は、水素又は低級アルキルであり、
は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はt−ブチルであり、
nは、2〜4である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
好ましい式Iの化合物は、次の例を含むが、それだけには限らない。これらの化合物は、その遊離の塩基でも、それだけには限らないが、塩酸塩のような塩の形でもよい。
実施例1。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例2。R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例3。S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例4。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例5。R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例6。S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例7。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例8。R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例9。S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例10。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例11。R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例12。S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例13。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例14。R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例15。S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例16。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例17。R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
実施例18。S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン
【0026】
合成化学
本発明の化合物は、下記のように作成し、又はこれと類似の方法で作成した。すべての出発原料、試薬及び溶媒は市販されている。すべての場合について、実施例の化合物は単離し、塩酸塩について特徴づけた。ラセミ体(RS)の化合物を合成する一般的な方法は、実施例1及び13に関して詳細に記載し、鏡像異性体(R及びS)化合物の合成に関しては、実施例2及び3、並びに15に関して詳細に記載する。
【実施例】
【0027】
ラセミ体化合物合成の一般的方法
実施例1の化合物
RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩
ステップ1。(±)−6−エチル−4−フェニル−3,4−ジヒドロクマリン。trans−桂皮酸(15.1g、102mmol)、p−エチルフェノール(8.3g、68mmol)、及び硫酸(4.15mL)の混合物を、130〜135℃に加熱した。1.5時間後、混合物を冷却、ジエチルエーテル(400ml)と水(150ml)の間で分配し、水(1×80ml)及び10%KCO水溶液(3×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させてオイルを得て、それをカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル15:1〜13:1〜12:1〜10:1)で精製した。生成物を含む画分を集めて蒸発させ、生成物13g(62%)を得た。

【0028】
ステップ2。(±)−メチル3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピオナート。ヨウ化メチル(8ml、113mmol)及びKCO(9.25g、67mmol)を含む、(±)−6−エチル−4−フェニル−3,4−ジヒドロクマリン(13g、51mmol)のメタノール(25ml)及びアセトン(25ml)溶液を、29時間還流させた。溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(400ml)と水(50ml)の間で分配し、20%NaSO(2×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて13.4gのオイルを得て、それをカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル15:1−14:1)で精製した。適当な画分を集めて蒸発させ、生成物12.8g(83%)を得た。

【0029】
ステップ3。(±)−3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノール。(±)−メチル3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピオナート(12.8g、42.9mmol)のジエチルエーテル(25ml)溶液を、LiAlH溶液(1Mジエチルエーテル溶液、34.5ml、34.5mmol)で、20分間かけて滴下して処理した。混合物を一晩攪拌し、次に水(1.5g)及び15%NaOHを白色の顆粒状沈殿が形成されるまで注意深く加える(パスツールピペットから3滴)ことによって分解した。混合物を、ジエチルエーテル(200ml)で希釈し、ろ過した。ろ液を水(3×100ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させてオイルを得た。白色の顆粒状の塩を2N HCl(100ml)で酸性化し、ジエチルエーテル((100ml)で抽出した。エーテル層を水(3×100ml)及び10%KCO(2×50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させてオイルを得た。オイルを合わせて粗生成物12.5g(100%)を得た。

【0030】
ステップ4。(±)−3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート。ピリジン(14.4ml、178mmol)を含む、(±)−3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノール(12.5g、44.4mmol)のクロロホルム(45ml)溶液を−10℃まで冷却し、p−トルエンスルホニルクロライド(10.6g、55.5mmol)で処理した。3.5時間攪拌した後、混合物を氷水(200ml)中に注ぎ、30分間攪拌した。有機相をCHCl(100ml)で希釈し、分離し、10%KCO(5ml)、水(50ml)、冷2N HCl(3×150ml)、水(150ml)で洗浄し、NaSOで乾燥後、真空下に置き50℃以下の温度で溶媒を除去した。得られた粗製品は、高真空下で乾燥後の重量が20.7g(100%)であった。

【0031】
ステップ5。(±)−N−イソプロピル−3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。(±)−3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート(6.64g、15.2mmol)、イソプロピルアミン(13ml、152mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60ml)、活性化モレキュラーシーブ4Å(微粉砕により活性化後、真空下180℃に1時間加熱、3.6g)、及び水酸化セシウム一水和物(2.55g、15.2mmol)を合わせ、密封フラスコ中で3日間攪拌した。溶液をセライトのパッドでろ過し、大量のCHClでリンスした。ろ液は乾燥するまで蒸発させ、残渣はジエチルエーテル(200ml)に溶解し、水(3×20ml)、10%KCO(50ml)、食塩水(30ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて粗製品4.48g(91%)を得た。

【0032】
ステップ6。(±)−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。(±)−N−イソプロピル−3−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(4.47g、13.9mmol)のCHCL(35ml)溶液を、0℃まで冷却し、滴下してBBrの1M CHCl溶液(14ml、14mmol)で処理した。溶液を、1時間0℃に保った後、室温で1時間攪拌し、次に冷凍庫に入れて一晩置いた。茶色の溶液を10%KCO(100ml)でアルカリ性にし、CHClで希釈し、液層を分離した。有機相を2N HCl(40ml)で処理し、勢いよく振盪し、次に10%KCO(300ml)でアルカリ性にし、水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて粗製品4.67g(100%)を得た。

【0033】
ステップ7。RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。(±)−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(4.67g、15.1mmol)のCHCl(100ml)溶液を、4N塩酸−ジオキサン溶液(7.6ml)で処理した。真空下で溶媒を除去し、生じた沈殿をCHClと混合し、生成物を吸引ろ過によって回収して3.84g(73%)の生成物を得た。融点189〜190℃。

【0034】
実施例13の化合物
RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩
ステップ1。(±)−6−t−ブチル−4−フェニル−3,4−ジヒドロクマリン。trans−桂皮酸(8.88g、60mmol)、4−t−ブチルフェノール(6.0g、40mmol)、及び硫酸(2.8ml)からなる混合物を、130〜135℃まで加熱した。1.5時間後、混合物を冷却し、エーテル(200ml)と水(75ml)の間で分配し、水(1×80ml)及び10%KCO(3×50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させてオイルを得て、それをアセトンからの再結晶によって精製した。冷凍庫に一晩貯蔵した後、生成した固体を吸引ろ過によって回収し、石油エーテルで洗浄し、高真空下で乾燥して表題化合物3.50g(31%)を得た。

【0035】
ステップ2。(±)−メチル3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピオナート。実施例1、ステップ2の手順に従い、(±)−6−t−ブチル−4−フェニル−3,4−ジヒドロクマリン(3.42g、12.2mmol)、ヨウドメタン(3.8mL、61mmol)、アセトン(9ml)、メタノール(9ml)、及びKCO(2.20g、15.8mmol)から出発して表題化合物3.78g(100%を超える)を得た。これは精製しないで、そのまま次のステップで使用した。

【0036】
ステップ3。(±)−3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパノール。実施例1、ステップ3の一般的手順に従い、(±)−メチル3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピオナート(3.93g、12.0mmol)、水素化リチウムアルミニウム(1M THF溶液、12ml、12mmol)、及びTHF(24ml)から出発して表題化合物3.78g(100%)を得た。

【0037】
ステップ4。(±)−3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート。実施例1、ステップ4の一般的手順に従い、(±)−3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパノール(3.43g、11.5mmol)、p−トシルクロライド(2.63g、13.8mmol)、ジクロロメタン(12ml)、及びピリジン(3.7ml、46mmol)から出発して、(メチレンクロライドから得られた)粗製オイルを石油エーテルでトリチュレーションした後表題化合物4.29g(85%)を得た。

【0038】
ステップ5。(±)−N−イソプロピル−3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。実施例1、ステップ5の一般的手順に従い、(±)−3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート(4.17g、9.51mmol)、CsOH・HO(1.68g、9.99mmol)、活性化モレキュラーシーブ3Å(2.3g)、乾燥DMF(38ml)及びイソプロピルアミン(12ml、143mmol)から出発して表題化合物3.05g(91%)を得た。

【0039】
ステップ6。(±)−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。実施例1、ステップ6の一般的手順に従い、(±)−N−イソプロピル−3−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(1.71g、4.87mmol)、BBr(1M CHCl溶液、5.8ml、5.8mmol)、及びCHCl(11ml)から出発して表題化合物1.78g(100%超)を得た。

【0040】
ステップ7。(±)−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。(±)−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(1.59g、4.87mmol)のCHCl(25ml)溶液に、塩酸(2Mジエチルエーテル溶液、9.0ml、18mmol)を加えた。得られた溶液の容積を減少させてCHCl中に完全には溶解しないオイルを得た。それゆえメタノール(5ml)を加え、ストリッピングしてオイルを得て、次にこれをCHCl(30ml)中に溶解した。15分後に結晶化しない場合は、石油エーテルを滴下(約3ml)すると、間もなく徐々に結晶化した。3日後に固体を回収し、1:1の石油エーテル:CHClで洗浄し、乾燥して表題化合物1.27g(2ステップにつき72%)を得た。融点207〜208℃。

【0041】
実施例1及び13の一般的方法を使用して以下の追加の実施例化合物を調製した。
【0042】
実施例4の化合物
RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。融点175〜177℃。

【0043】
実施例7の化合物
RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。融点176〜179℃。

【0044】
実施例10の化合物
RS−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。融点149〜150℃。

【0045】
鏡像異性体化合物のための一般的方法
本発明の鏡像異性体化合物は、例えば、Anderssonら(J.Org.Chem.、1998、63、8067)に記載されているように、特定のキラルシントン又はキラル補助触媒を使用することによって調製できる。或いは、本発明の鏡像異性体化合物は、これらだけには限定されないが、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ−p−トルイル酒石酸、マンデル酸のようなキラル酸を使用するラセミ化合物の分別晶析によって得ることもできる。
【0046】
キラル補助剤の使用による本発明の鏡像異性体化合物の合成例を、いくつかの好ましい化合物について詳細に提示する。
【0047】
実施例2の化合物
R−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩
ステップ1。(4R)−フェニル−(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノイル−2−オキサゾリジノン。1−メトキシ−2−ブロモ−4−エチルベンゼン(6.2g、29mmol)の無水テトラヒドロフラン(48ml)溶液に、室温、N下で、活性化マグネシウム(808mg、33.2mmol、高真空下80℃で20分間攪拌により活性化)を加えた。Mgが消費された(約1時間)後、得られた溶液を、あらかじめ冷却(−40℃)したCuBr−ジメチルスルフィド錯体(2.97g、14.4mmol)、テトラヒドロフラン(46ml)及びジメチルスルフィド(21ml)の溶液に5分間かけて滴下した。冷却浴の温度が−25℃に達したら、温度を−20〜−25℃の間に維持しながら、(4R)−フェニル−N−シンナモイル−2−オキサゾリジノン(Nicolas et al.、J.Org.Chem.1993、58、766)(2.83g、9.63mmol)のテトラヒドロフラン(48ml)溶液を30分間かけて滴下した。添加が完了したら、得られた2相からなる反応混合物を2時間攪拌し、その間に反応混合物は徐々に−10℃まで暖まり、最終的に溶液が形成された。10%NHCl水溶液(20ml)を加えて反応をクエンチさせ、真空で有機溶媒を除去した。得られた物質を、酢酸エチル(2×80ml)及びジエチルエーテル(2×40ml)に溶解させた。有機抽出液を合わせて28%NHOH(2×50ml)、17%NHOH(2×50ml)、水(50ml)、食塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させてオイルを得て、これをクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル、勾配8:1〜4:1)で精製した。適当な画分を集めて蒸発させ、生成物3.437g(83%)を得た。

【0048】
ステップ2。(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノール。(4R)−フェニル−(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノイル−2−オキサゾリジノン(3.33g、7.75mmol)のジエチルエーテル(155ml)溶液に、1当量の水(144μL)を加え、続いて2M LiBH−テトラヒドロフラン溶液(4.07mL、8.14mmol)を、N下、0℃で15分間かけて滴下した。反応が完結(tlc、1〜2時間)したら、NaOH水溶液(2N、75ml)を注意深く加え、揮発成分を真空で除去した。得られた物質をジエチルエーテル:酢酸エチル1:1(150ml)に溶解し、食塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させてオイルを得て、これをカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル3:1)で精製した。適当な画分を集めて濃縮し、生成物1.61g(76.6%)を得た。

【0049】
ステップ3。(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート。ピリジン(1.81mL、22.2mmol)を含む(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノール(1.5g、5.56mmol)のクロロホルム(6ml)溶液を−10℃まで冷却し、p−トルエンスルホニルクロライド(1.32g、6.95mmol)で処理した。3.5時間攪拌後、混合物を氷水(200ml)中に注ぎ、30分間攪拌した。有機相をCHCl(100ml)で希釈、分離し、10%KCO(5ml)、水(50ml)、冷2N HCl(3×150ml)、水(150ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を除去するために50℃以下の温度で真空下に置いた。得られた粗製オイルをカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル8:1〜5:1)で精製した。適当な画分を集めて蒸発させ、高真空下で乾燥後、生成物2.248g(95%)を得た。

【0050】
ステップ4。N−イソプロピル−(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート(2.248g、4.23mmol)、イソプロピルアミン(8.4ml、99mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(21ml)、活性化モレキュラーシーブ4Å(微粉砕後真空下180℃で1時間加熱により活性化、1.26g)及び水酸化セシウム一水和物(1.11g、6.62mmol)を合わせて密封フラスコ中で3日間攪拌した。溶液をセライトのパッドでろ過し、大量のCHClでリンスした。ろ液は乾燥するまで蒸発させ、残渣はジエチルエーテル(100ml)に溶解させ、水(25ml)、10%KCO(2×50ml)、食塩水(30ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて粗製品1.637g(96%)を得た。

【0051】
ステップ5。R−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。N−イソプロピル−(3R)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(1.462g、4.53mmol)のCHCl(10ml)溶液を0℃まで冷却し、滴下により1M BBr−CHCl溶液(5.7ml、5.7mmol)で処理した。1時間0℃に保った後、溶液を室温で1時間攪拌し、次に冷凍庫に一晩置いた。茶色の溶液を10%KCO(100ml)でアルカリ性にし、CHClで希釈し、液層を分離した。有機相は2N HCl(30ml)で処理し、勢いよく振盪、次いで10%KCO(300ml)でアルカリ性にし、水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて粗製品1.399g(100%)を得た。

【0052】
ステップ6。R−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。N−イソプロピル−(3R)−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(1.40g、4.539mmol)のCHCl(100ml)溶液を、2N塩酸ジエチルエーテル溶液(20ml)で処理した。真空下で溶媒を除去し、得られた物質をメタノールに溶解した。メタノールを蒸発させると、茶色のオイルが得られ、これをCHClに溶解して置いておくと結晶化した。吸引ろ過により白色の固体を回収し、CHClで洗浄すると生成物1.16g(74%)が得られた。融点145〜148℃。


鏡像体過剰率99.4%([塩酸塩から生成した]遊離塩基3mg/mlのヘキサン:EtOH 3:1溶液20μlを、Chiralcel OD 250×4.6mm HPLCカラムに注入した、移動相ヘキサン:エタノール:ジエチルアミン95:5:0.1、λ285nm、流量1ml/min、r=7.83min)。
【0053】
実施例3の化合物
S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩
ステップ1。(4S)−フェニル−(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノイル−2−オキサゾリジノン。N下に室温で攪拌されている1−メトキシ−2−ブロモ−4−エチルベンゼン(7.70g、35.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(60ml)溶液中に活性化マグネシウム(1.00g、41.2mmol、高真空下、80℃において20分間攪拌することにより活性化)を加えた。Mgが消費された(約1時間)後、得られた溶液をあらかじめ冷却(−40℃)されたCuBr−ジメチルスルフィド錯体(3.68g、17.9mmol)、テトラヒドロフラン(55ml)及びジメチルスルフィド(25ml)の溶液に5分間かけて滴下した。冷却浴の温度が−25℃に達したら、温度を−20〜−25℃に維持しながら(4S)−フェニル−N−シンナモイル−2−オキサゾリジノン(3.50g、11.9mmol)のテトラヒドロフラン(65ml)溶液を、30分間かけて滴下した。添加が完了したら、得られた2相からなる反応混合物を2時間攪拌すると、その間に反応物は徐々に−10℃まで温まり、最終的に溶液が形成された。10%NHCl水溶液(30ml)を加えて反応をクエンチし、真空で有機溶媒を除去した。得られた物質を、酢酸エチル(2×80ml)及びジエチルエーテル(2×40ml)で抽出した。有機抽出液を合わせて28%NHOH(2×50ml)、17%NHOH(2×75ml)、水(2×50ml)、食塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させてオイルを得て、これをクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル、勾配8:1〜4:1)で精製した。適当な画分を集めて蒸発させ、生成物4.97g(97%)を得た。

【0054】
ステップ2。(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノール。(4S)−フェニル−(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノイル−2−オキサゾリジノン(4.40g、10.2mmol)のジエチルエーテル(255ml)溶液に、1当量の水(180μl)を加え、続いて2M LiBH−テトラヒドロフラン溶液(5.36ml、10.7mmol)を、N下、0℃で15分間かけて滴下した。反応が完結(tlc、1〜2時間)したら、NaOH水溶液(2N、75ml)を注意深く加え、揮発成分を真空で除去した。得られた物質をジエチルエーテル:酢酸エチル1:1(150ml)に溶解し、食塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させてオイルを得て、これをカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル3:1)で精製した。適当な画分を集めて濃縮し生成物2.16g(78.0%)を得た。

【0055】
ステップ3。(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート。ピリジン(2.32mL、28.7mmol)を含む(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロパノール(1.94g、7.18mmol)のクロロホルム(7ml)溶液を−10℃まで冷却し、p−トルエンスルホニルクロリド(1.71g、8.98mmol)で処理した。3.5時間攪拌後、混合物を氷水(200ml)中に注ぎ、30分間攪拌した。有機相をCHCl(100ml)で希釈、分離、10%KCO(5ml)、水(50ml)、冷たい2N HCl(3×150ml)、水(150ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を除去するために50℃以下の温度で真空下に置いた。得られた粗製オイルをカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル8:1〜5:1)で精製した。適当な画分を集めて蒸発させ、高真空下で乾燥後、生成物2.76g(91%)を得た。

【0056】
ステップ4。N−イソプロピル−(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート(2.76g、6.50mmol)、イソプロピルアミン(6.13ml、72mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(29ml)、活性化モレキュラーシーブ4Å(微粉砕後真空下180℃で1時間加熱により活性化、1.74g)及び水酸化セシウム一水和物(1.20g、7.18mmol)を合わせて密封フラスコ中で3日間攪拌した。溶液をセライトのパッドでろ過し、大量のCHClでリンスした。ろ液は乾燥するまで蒸発させ、残渣はジエチルエーテル(100ml)に溶解させ、水(25ml)、10%KCO(2×50ml)、食塩水(30ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて生成物2.138g(98%)を得た。

【0057】
ステップ5。S−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。N−イソプロピル−(3S)−(2−メトキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(2.138g、6.632mmol)のCHCl(15ml)溶液を0℃まで冷却し、滴下により1M BBr−CHCl溶液(7.0ml、7.0mmol)で処理した。1時間0℃に保った後、溶液を室温で1時間攪拌し、次に冷凍庫に一晩置いた。茶色の溶液を10%KCO(110ml)でアルカリ性にし、CHClで希釈し、分離した。有機相は2N HCl(30ml)で処理し、勢いよく振盪、10%KCO(300ml)でアルカリ性にし、水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて生成物2.031g(99%)を得た。

【0058】
ステップ6。S−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。N−イソプロピル−(3S)−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(2.031g、6.584mmol)のCHCl(32ml)溶液を、2N塩酸ジエチルエーテル溶液(10ml)で処理した。真空下で溶媒を除去し、得られた物質をメタノールに溶解した。メタノールを蒸発させると、茶色のオイルが得られ、これをCHCl(50ml)に溶解して置いておくと結晶化した。吸引ろ過により白色の固体を回収し、CHClで洗浄すると生成物1.365g(60%)が得られた。融点145〜148℃。


鏡像体過剰率99.5%([塩酸塩から生成した]遊離塩基3mg/mlのヘキサン:エタノール3:1溶液20μlを、Chiralcel OD 250×4.6mm HPLCカラムに注入した、移動相ヘキサン:エタノール:ジエチルアミン95:5:0.1、λ285nm、流量1ml/min、r=6.15min)。
【0059】
実施例15の化合物
S−N−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩
ステップ1。1−メトキシ−2−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン。4−t−ブチルフェノール(50g、333mmol)のクロロホルム(400ml)溶液を、NaHCO(36g、428mmol)と合わせてN下で0℃まで冷却した。攪拌しながら、臭素(54.6g、342mmol)のクロロホルム(90ml)溶液を75分間で滴下した。3時間後に0℃で、反応混合物を、20%NaSO水溶液(200ml)で処理し、15分間攪拌し、液層を分離した。有機層を、水(20ml)で洗浄し、次いで食塩水(200mL)で洗浄して、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて粗製の中間体2−ブロモ−4−t−ブチルフェノール79gをオイルとして得た。
【0060】
粗製の2−ブロモ−4−t−ブチルフェノールのアセトン(160ml)及びメタノール(160ml)混合物中溶液を、炭酸カリウム(60g、433mmol)及びヨウ化メチル(468g、3.3mol)で処理した。混合物を室温で3日間、N下で攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(350ml)と水(275ml)の間で分配した。分離後、有機層を20%NaSO(2×100ml)、水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発し、高真空下で乾燥して表題化合物80.8gをオイルとして得た。
【0061】
ステップ2。(4S)−フェニル−N−(trans−シナミル)−2−オキサゾリジノン。trans−桂皮酸(20g、135mmol)の無水テトラヒドロフラン(THF)(490ml)溶液を、0℃において、トリエチルアミン(23.0ml、164mmol)で、2分間攪拌して処理した。温度を−78℃まで下げ、リチウム化(4S)−フェニル−2−オキサゾリジノン溶液[−78℃において、(4S)−フェニル−2−オキサゾリジノン(20g、123mmol)及びトリフェニルメタン(74mg)の無水THF(490ml)溶液を、ヘキサン中の2.5M n−BuLi(56ml)で処理し、40分間攪拌することによって調製]を、カニューレを通して1時間で加えた。添加の間に、THF(20ml)を加えて沈殿を再溶解させた。溶液を−78℃で30分間攪拌し、次いで0℃で2時間攪拌した。飽和NHCl水溶液(400ml)をゆっくり加え、15分後、揮発性の溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(375ml)と混合し、水層を分離した。有機層を飽和NaCO(2×400ml)及び食塩水(200ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発し、高真空下で乾燥して粗製品40.0gを得た。これを酢酸エチル(250ml)からの結晶化によって精製した。3日間置いた後、結晶を集めて石油エーテル−酢酸エチル1:1(150ml)で洗浄して、表題化合物25.1g(70%)を白色固体として得た。ろ液から、第2の収量5.36g(15%)が得られた。
【0062】
ステップ3。(4S)−フェニル−(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパノイル−2−オキサゾリジノン。1−メトキシ−2−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン(75.4g、311mmol)の無水THF(450ml)溶液を、攪拌した活性化マグネシウム(9.08g、374mmol、高真空下80℃で20分間の攪拌により活性化)溶液に室温、N下で2時間かけて滴下した。色は黒に変わり、混合物は一晩攪拌した。有機マグネシウム化合物を含む上澄み液を、CuBr−ジメチルスルフィド錯体(32g、156mmol)のTHF(490ml)及びジメチルスルフィド(235ml)溶液に、−40℃でカニューレを通して70分間で加えた。冷却浴内の温度が−25℃に達したら(約20分間)、温度を−30℃に緩和し、(4S)−フェニル−N−(trans−シナミル)−2−オキサゾリジノン(30.5g、104mmol)のTHF(520ml)溶液を、温度を−25〜−35℃に維持して75分間で滴下した。添加が完了したら、反応混合物を1時間攪拌した。その間に反応物は徐々に−10℃まで温まった。2時間後には、温度は5℃まで上昇していた。飽和NHCl水溶液(800ml)を加えることによって反応をクエンチし、有機溶媒を真空下で除去した。得られた物質を酢酸エチル(250ml)で処理し、液層を分離した。有機層を17%NHOH(4×200ml)、水(100ml)、次いで食塩水(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させた。得られた赤い物質(87g)を、熱酢酸エチル(150ml)に溶解し、次いで石油エーテル−酢酸エチル6:1(175ml)を攪拌しながらゆっくり加えることにより精製した。2時間後、石油エーテル(150ml)を加え、混合物を一晩攪拌した。生成した結晶を吸引ろ過によって集めて、石油エーテル(100ml)で洗浄し、高真空下で乾燥して標題化合物37.0g(78%)を得た。融点159〜160℃。ろ液を濃縮してオイルにし、石油エーテル(150mL)で処理することにより第2の収量(4.2g、8.8%)を得た。

【0063】
ステップ4。(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパン酸。(4S)−フェニル−(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパノイル−2−オキサゾリジノン(37g、81mmol)のTHF(325ml)及び水(80ml)混合物溶液を、0℃まで冷却し、30%H(33.0ml、323mmol)水溶液を10分間かけて滴下して処理し、続いてLiOH(水202ml中に3.87g、162mmol)水溶液を20分間かけて滴下した。0℃で4時間攪拌した後、溶液を1.3M NaSO(水250ml中に41g、323mmol)で処理した。真空下でTHFを除去すると、水溶液は生成物(4S)−フェニル−2−オキサゾリジノンの懸濁物を含んでいた。それを吸引ろ過によりろ過し、水(150ml)で洗浄し、次に真空下で乾燥してリサイクル可能なキラル補助剤(4S)−フェニル−2−オキサゾリジノン5.5g(42%)を得た。水性のろ液はジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、次にジエチルエーテル(150ml)で抽出し、有機抽出液を合わせて水(3×40ml)で洗浄した。合わせた有機抽出液を、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発し、残渣を酢酸エチルから結晶化させて追加のキラル補助剤2.71g(20%)を得た。水層は、6N HCl(60ml)でpH1.0まで酸性化し、ジクロロメタン(3×200ml)で抽出した。ジクロロメタン抽出液を合わせて、水(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて表題化合物24.6gを得た。

【0064】
ステップ5。(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパノール。LiAlH(22.3g、587mmol、8当量)の無水THF(270ml)懸濁液を0℃まで冷却し、(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパン酸(23.5g)の無水THF(214ml)溶液を、カニューレを通して20分間で加えた。冷却浴を取り外して、混合物を室温で3日間攪拌した。0℃で、酢酸(25ml)に続いて水(10ml)及び2N HCl(60ml)、次に6N HCl(30ml)を、注意深く滴下して反応をクエンチした。沈殿を吸引ろ過し、ジエチルエーテル(500ml)で洗浄した。2相からなるろ液を分離し、有機層は6N HCl(200ml)で洗浄した。有機層をジエチルエーテル(100ml)で希釈し、水(100ml)及び飽和炭酸ソーダ(2×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて標題化合物20.8g(97%)をオイルとして得た。

【0065】
ステップ6。(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート。(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロパノール(20g、68mmol)のジクロロメタン(78ml)及びピリジン(39ml、476mmol)溶液を0℃まで冷却し、p−トルエンスルホニルクロライド(16g、85mmol)で処理した。5時間攪拌後、さらに0.2当量のp−トルエンスルホニルクロライドを加えて、混合物を0℃で一晩攪拌した。混合物は氷水(250ml)と共に、室温で90分間勢いよく攪拌しながら処理した。有機相をジクロロメタン(100ml)で希釈し、分離した。次にそれを水(2×50ml)、冷2N HCl(3×170ml)、水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下<50℃に置いて溶媒を除去した。得られた粗製オイルを石油エーテル(200ml)で処理し、30〜35℃で溶媒を除去して標題化合物(30g、98%)を白色固体として得た。融点75〜76℃。

【0066】
ステップ7。N−イソプロピル−(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルp−トルエンスルホナート(29g、65mmol)及びイソプロピルアミン(110ml、1.29mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(258ml)溶液を、室温、N下で24時間攪拌した。溶液を高真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(100ml)及び水(50ml)の間で分配し、混合物をジエチルエーテル(160ml)で希釈した。有機層を分離し、水(2×50ml)、10%KCO(2×50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて標題化合物22g(100%)を得た。

【0067】
ステップ8。S−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン。N−イソプロピル−(3S)−(2−メトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(21.1g、62.1mmol)のジクロロメタン(138ml)溶液を、0℃まで冷却し、滴下により1M BBrジクロロメタン溶液(68.4ml)で処理した。0℃で一晩攪拌後、茶色の反応混合物を2N NaOH(130ml)を滴下して注意深くクエンチした。真空下でジクロロメタンを除去し、残った懸濁物をジエチルエーテル(150ml)で洗浄した。エーテルを含む層を、2N NaOH(20ml)で洗浄し、次に飽和NaCO水溶液(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させて標題化合物18.9g(93%)を得た。

【0068】
ステップ9。S−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン塩酸塩。S−N−イソプロピル−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニルプロピルアミン(18.9g、58.1mmol)のメチレンクロライド(250ml)溶液を、2N塩酸−ジエチルエーテル溶液(58ml、116mmol)で処理した。真空下で溶媒を濃縮し、得られた懸濁液を吸引ろ過し、固体をジクロロメタンで洗浄した。この物質を、室温で最小限のメタノール(70ml)に溶解し、加熱により約半分の容積まで濃縮し、次にジクロロメタンで希釈した。約半分の容積まで濃縮した後、溶液を数部の部分に分けてジエチルエーテル:ジクロロメタンの4:1混合物(合計100ml)で処理した。沈殿した生成物はろ過によって集め、ジエチルエーテル(200ml)で洗浄して標題化合物13.5g(64%)を得た。融点165〜167℃。第2収量は4.0g(19%)、第3収量は1.0g(5%)であった。


鏡像異性体過剰率(ee)は>99.5%([塩酸塩から生成した]遊離塩基5.0mg/mlのヘキサン:EtOH 3:1溶液12μlを、Chiralcel OD 250×4.6mmカラムに注入した、移動相ヘキサン:EtOH:ジエチルアミン95:5:0.1、λ285nm、流量1ml/min、r=5.30min)。
【0069】
生物学的試験
本発明の化合物は、下記の作用について、以下に述べる当技術分野で認められた方法を使用して試験する。
【0070】
A.マウスにおける急性毒性
実験は、意識のあるアルビノマウスについて、試験化合物の投与量を増加しながら静脈内投与又は経口投与して行う。
【0071】
B.リガンド結合研究:ムスカリン受容体
検査は下記の方法を使用して行う。
【表1】

【0072】
実験条件:
【表2】

【0073】
C.カルシウムチャンネルへの結合
検査は下記の方法を使用して行う。
【表3】

【0074】
被験物質及び適当な放射性リガンドと共に培養し、洗浄した後、市販のシンチレーションカクテルを使用した液体シンチレーションによって結合放射能を決定する。各受容体に対する放射性リガンドの特異性の結合は、全結合と過剰の非標識リガンド存在下の非特異性結合との差として定義される。IC50の値(特異性結合の59%を抑制するのに必要な濃度)は、競合曲線の非線形回帰分析によって求める。これらのパラメータは、Sigmaplot(商標)ソフトウェアを使用した曲線の当てはめによって得られる。
【0075】
本発明の化合物は、抗ヒスタミン活性を有するので、種々の型のヒスタミン受容体への結合に関する詳細な情報を得るために、上記のものと類似の受容体結合試験を行う(Chang et al.J.Neurochem.1979、32:1653−1663)。
【0076】
D.抗ムスカリン活性/鎮痙活性の機能的特徴−インビトロ研究
膀胱平滑筋切片。実験は、Smithらによって、1998年に(Arzneim−Forsch/Drug Res 48:1012−1018)記載されたものと類似の方法を使用して行う。モルモット(オス、400〜600g)から膀胱の切片(長さ約10mm、幅1.5mm)を摘出する。組織を、次の組成の酸素添加緩衝液に浮遊させる、濃度mM:NaCl、133;KCl、4.7;CaCl、2.5;MgSO、0.6;NaHPO、1.3;NaHCO、16.3;及びグルコース、7.7。それらを、37.5℃に維持した。収縮は、カルバコ−ル又は以下に記載するように浴液中の高いカリウム濃度によって誘導する。平滑筋の収縮は等尺変換器で測定し、収縮を電子的に記録し保存する。
【0077】
各実験では、6切片までを個別の組織チャンバー中で浮遊させ、実験を進める前に少なくとも30分間浴溶液と平衡させる。抑制は、IC50又はパーセントで表す。
【0078】
腎臓平滑筋組織及び胆嚢平滑筋切片。実験は、先に膀胱平滑筋組織について記載した方法を使用して行う。
【0079】
各実験では、6切片までを個別の組織チャンバー中で浮遊させ、実験を進める前に少なくとも30分間浴溶液と平衡させる。平滑筋の収縮は等尺変換器で測定し、収縮を電子的に記録し保存する。抑制は、IC50又はパーセントで表す。
【0080】
消化管平滑筋切片。実験は、Abergらによって、1965年に(Acta Physiol Scand 64:15−27)記載されたものと類似の方法を使用して行う。モルモット(オス、400〜600g)から盲腸、回腸又は結腸の切片(長さ約6mm、幅1mm)を摘出する。組織は、次の組成の酸素添加緩衝液に浮遊させる、濃度mM:NaCl、133;KCl、4.7;CaCl、2.5;MgSO、0.6;NaHPO、1.3;NaHCO、16.3;及びグルコース、7.7。それらを、37°〜38℃に維持する。平滑筋の収縮は等尺変換器で測定し、収縮を電子的に記録し保存する。抑制は、IC50又はパーセントで表す。
【0081】
気管支平滑筋切片。実験は、Johanssonらによって、1996年に(Clin.Rev.Allerg & Asthma、14:57−64)記載されたものと類似の方法を使用して行う。モルモット(オス、400〜600g)から気管支平滑筋の切片を摘出する。組織は、次の組成の酸素添加緩衝液に浮遊させる、濃度mM:NaCl、133;KCl、4.7;CaCl、2.5;MgSO、0.6;NaHPO、1.3;NaHCO、16.3;及びグルコース、7.7。それらを、37°〜38℃に維持する。収縮は、Johanssonらが記載したように誘導する(上記を参照されたい)。平滑筋の収縮は等尺変換器で測定し、収縮を電子的に記録し保存する。抑制は、IC50又はパーセントで表す。
【0082】
各実験では、6個までの標本を個別の組織チャンバー中で浮遊させ、実験を進める前に少なくとも30分間浴溶液と平衡させる。抑制は、IC50又はパーセントで表す。
【0083】
子宮平滑筋切片。ラットから摘出した子宮標本(長さ約6mm、幅1mm)を0.003μMのオキシトシンで収縮させてから、試験物質で収縮を軽減して、比較例のニフェジピンのようなカルシウム拮抗剤の作用と比較する。収縮はまた、カルバコール又は浴液中の高いカリウム濃度によっても誘導することができる。
【0084】
各実験では、6個までの切片を個別の組織チャンバー中で浮遊させ、実験を進める前に少なくとも30分間浴溶液と平衡させる。抑制は、IC50又はパーセントで表す。
【0085】
カルバコール又はカリウムに誘導される収縮。各組織の生存可能性を判断するため及び基準枠として役立つように、最初は、NaClをKClで置き換えて、媒質中のKCl濃度を137.7mMとした組織媒質への暴露に応答した組織の各切片の収縮を記録する。続いて標準の媒質に戻し、さらに次には漸進的に濃度を増したカルバコールへの露出を、各濃度への露出は個別に行いながら、応答のピークが記録されるまでだけ行う。別の実験で、試験物質の濃度を増しながら、137.7mMのKClによって誘導される収縮に及ぼす作用を記録する。IC50値又はpA2値或いはパーセントで表した抑制は、通常の統計的方法を使用して計算する。
【0086】
E.鎮痙活性の機能的特徴−生体内試験
本発明の生体内評価で使用する試験方法は、ラット膀胱の誘導された機能亢進に対する試験物質の作用を測定する。生体内の周期的な膀胱の収縮は、ウレタン麻酔(1.2g/kg、皮下注射)されたオスのウィスター京都ラット(300〜500g)体内で試験する。体温は加熱された毛布で維持する。膀胱を、腹部の正中切開によって露出させ、気球を膀胱内に挿入する。37℃の温水を気球に注入し、膀胱の容積は膀胱の寸法に応じて1.0〜1.5mlに維持した。自発的な収縮は、気球に接続された圧力変換器を使用して記録する。膀胱収縮の頻度と振幅が一定のレベルに達したら、試験物質を静脈内投与する。心臓血管のパラメータは、膀胱の運動性への作用と同時に測定するか又は別の実験で調べる。すべてのパラメータは電子的に記録し保存する。
【0087】
F.心電図のQT−間隔への作用
麻酔したオスのモルモット(450〜600g)を使用する。気管にカニューレを挿入する。第II誘導心電図を50mm/secで記録する。手術後、心電図30分間の安定化時間があり、その間に10分間隔で3回心電図のベースラインを記録する。試験物質又はビヒクルは、30分かけて静脈内注入により投与する。心電図の記録を用いてQT間隔と心拍数を求める。心拍数の変動を補償するために、QT−間隔及びRR−間隔からQTc間隔を、当業者には知られているように計算する。QTcの延長は、潜在的な活動能力の延長を示す。QTcの延長は、テロジリン、テルフェナジン、アステミゾール(これらはすべて不整脈を惹起する副作用を理由として引き揚げられている)のような薬物によるTorsades de Pointes心室細動の一原因として知られている。
【0088】
G.生体内心臓血管への作用
麻酔したラットに試験物質を静脈内投与して試験した。動脈の血圧に対する作用を、動脈カテーテル及び圧力記録計によって記録し、心拍数への作用は心電図から計算した。
【0089】
本発明の化合物の臨床用量
急性期又は慢性期の病気の治療における本発明の化合物の予防上又は治療上の投与量は、治療する病気の種類と重さ及び投与の経路によって変わる。投与量及び投与の頻度はまた、個々の患者の年齢、体重及び応答性によっても変わる。一般的には、本明細書に記載した諸条件の場合、本発明の化合物についての1日の合計投与量は、1回、分割又は多数回投与として、約0.5mg〜約200mgの範囲である。生物学的な半減期が長い化合物は、1日1回又は2回で投与できる。患者の管理については、治療を0.5mg〜約50mgといった低めの投与量で始めて、患者の全体的な応答によっては200mgまで増すことが可能である。さらに、65歳を超える患者及び腎臓又は肝臓の機能に障害のある患者は、当初は低投与量を受け、個々の応答及び血漿の薬物濃度に基づいて徐々に増量してもらうということも推奨される。当業者には明白であるように、これらの範囲外の投与量の使用が必要なこともある。さらに、留意するべきことは、臨床医又は治療医師は、個々の患者の応答に関連して、いつ、どのように治療を中断、加減、或いは終了するべきかが分かるはずだということである。「治療上有効な量」及び「失禁を治療するのに十分であるが、悪影響を及ぼすには不十分な量」という表現は、上記の投与量及び投与頻度のスケジュールに包含されている。
【0090】
本発明の投与経路
本発明の化合物の有効量を患者に与えるためには、どの適当な投与経路を使用してもよい。例えば、経口、舌下、直腸、膣内、非経口(皮下、筋内、動脈内、静脈内)、経皮、吸入及び同様の投与形態が使用できる。加えて、本薬物を含む溶液を、尿道を通して直接膀胱内へ投与することもできる。剤形には、錠剤、トローチ、懸濁液、溶液、カプセル、マイクロカプセル化システム、エアロゾル、種々の経皮デリバリーシステムなどがある。
【0091】
本発明の薬剤組成物
本発明の薬剤組成物は、有効成分として少なくとも1つの本発明の化合物、又はその薬剤として許容される塩を含み、また製薬上許容される担体、及び場合によっては、他の治療成分をも含むことができる。
【0092】
「薬剤として許容される塩」又は「その薬剤として許容される塩」という表現は、薬剤として許容される毒性のない酸又は塩基から調製される塩を指す。適当な薬剤として許容される本発明の化合物の酸付加塩の例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸(ベシレート)塩、安息香酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化水素塩、塩酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、粘液酸塩、硝酸塩、パモン酸塩、パトテン酸塩、リン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩などがある。そのような塩基の例には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から作られる金属塩が含まれ、また適当な有機塩基も例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N−メチルグルカミン)、リジン及びプロカインから選択することができる。
【0093】
本発明の組成物には、懸濁液、溶液、エリキシル剤、クリーム、ゲル、軟膏、エアロゾル又は固形の剤形などがある。澱粉、砂糖、及び微結晶セルロースなどの担体、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが経口固形製剤(粉剤、カプセル、及び錠剤)の場合には適しており、成人への投与には経口固形製剤が経口液体製剤より好ましく、子供への投与には経口液体製剤が好ましいことがある。
【0094】
投与しやすいという理由で、錠剤とカプセルの2つがより都合の良い経口単位剤形であり、これらの場合は固体の薬剤担体が使用される。所望とあれば、錠剤は、標準的な水性又は非水性の技法で被覆することができる。経口剤形は、制御された方法で有効成分を放出するように、例えば徐放性の錠剤或いは遅延放出性の錠剤又はカプセルとして設計することができる。そのような放出が制御される剤形は、本発明の化合物のいくつかがそうかもしれないように、治療上活性な化合物の生物学的半減期が短い場合に特に有用である。
【0095】
上記の一般的剤形に加えて、本発明の化合物はまた、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、及び第4,008,719号、及びPCT出願の国際公開第92/20377号に記載されている制御放出手段及びデリバリーデバイスによって投与することもでき、これらの開示を参照により本明細書に組み込む。
【0096】
経口投与に適当な本発明の薬剤組成物は、即時放出或いは制御放出又は遅延放出用の個別単位剤形としてカプセル、カシェ、又は錠剤などで提供することができ、それぞれ所定量の有効成分を、粉体又は顆粒として或いは溶液又は水性液中、非水性液中、油/水エマルジョン中、若しくは水/油エマルジョン中の懸濁物として含んでいる。そのような組成物は、どの製薬法によっても調製できるが、すべての方法が、有効成分を担体と一緒にするステップを含んでおり、この合わせたものが1つ又は複数の必要成分を構成する。一般には、組成物は、有効成分を液体担体又は微細に分割した固体担体或いは両方と均一且つ緊密に混合し、次に、必要であれば、混合したものを所望の提供物に成型する。
【0097】
例えば、錠剤は、場合によっては下記のような1つ又は複数の副成分と共に、圧縮又は型成形によって調製する。
【表4】


圧縮錠剤は、粉末又は顆粒のように自由流動形の有効成分を、場合によっては結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤、界面活性剤又は分散剤と共に混合して、適当な機械で圧縮して調製される。型成形錠剤は、粉末にした調合物と不活性な液体希釈剤の混合物を、適当な機械で型成形して作成することができる。前記の技法はすべて、製薬分野の技術者には周知である。各錠剤は約0.1mg〜約200mgの有効成分を含むことができる。徐放性又は制御放出錠剤は、500mgまでの有効成分を含むことができる。
【0098】
有効成分は、適当なふるいでふるってから、乳糖と均一なブレンドが形成されるまでブレンドする。適当量の水を加えて、粉末を顆粒化する。乾燥後、顆粒をスクリーンにかけ、ステアリン酸マグネシウムとブレンドする。得られた顆粒を、次に所望の形の錠剤に圧縮する。強度の異なる錠剤は、充填重量を変更したり、必要とあれば錠剤の重量を都合に合わせて変えたりして調製することができる。
【0099】
【表5】

【0100】
有効成分は、ふるいにかけ、賦形剤とブレンドする。混合物を、適当なサイズのハードゼラチン。ツーピースカプセルに、適当な機械を使用して充填する。投与量の異なるものは充填重量を変更したり、必要とあればカプセルの重量を都合に合わせて変えたりして調製することができる。
【0101】
等価物
当分野の技術者なら、本明細書に記載の発明の特定の実施形態の多くの等価物を理解し、又は常用の実験法を使用して確かめることができるであろう。そのような等価物には、多数の、薬剤として許容される塩の形態、例えば硫酸塩、フマル酸塩、臭化水素塩、塩酸塩、ジヒドロクロライド、メタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、クロロテオフィリン塩、又は適切な場合は、これらの水和物の形態のいずれかが含まれる。Merck Index 11版(1989)項目9089、209、3927、4628、8223、5053、5836、8142、2347、7765、1840、9720、7461、1317、4159、及び963並びにこれらの中で引用されている文献、さらにAm.Rev.Resp.Dis.1988、137:(4;2/2)32を参照されたい。そのような等価物にはまた、本発明の化合物を、哺乳類の疾病治療に使用される他の任意の薬剤と、同時に投与することも含まれる。そのような等価物にはまた、尿失禁又は腸管の機能亢進、気管閉塞性疾病、尿路結石症、胆石症、総胆管結石症、或いは他の形態の平滑筋の機能亢進又は過反応性のための薬剤と組み合わせて使用できる、他の任意の化合物又は薬剤と、本発明の化合物を共投与することも含まれる。薬剤分野の技術者なら、本明細書に示した投与量より多いか又は少ない投与量が好ましい可能性があること、及び投与は本明細書で示唆した頻度より多く又は少なくしてもよいことが分かるであろう。
【0102】
薬剤分野の技術者なら、腸管機能亢進及び腸管運動過剰の障害には、下痢及び過敏性腸症候群(IBS)が含まれることが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物であって、
【化1】


その立体化学的異性体及びその薬剤として許容される塩を含み、上式で、
Arは、それぞれフェニル基を表し、場合によっては独立にA及び/又はBで置換されており、
Aは、エチル、又はn−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル又はヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルであり、Bは、H、ヒドロキシ又は低級(1〜3)アルコキシであり、
は、水素又は低級アルキルであり、
は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はt−ブチルであり、
nは、2〜4である化合物。
【請求項2】
それぞれのAが、フェニル基を表し、そのうち1個は、2位がヒドロキシ基で、5位がt−ブチル基で置換されており、Rは水素、Rはイソプロピル、nは2である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
それぞれのAが、フェニル基を表し、そのうち1個は、2位がヒドロキシ基で、5位がt−ブチル基で置換されており、Rは水素、Rはイソプロピルであり、nは2である請求項1に記載の化合物のS−異性体。
【請求項4】
それぞれのAが、フェニル基を表し、そのうち1個は、2位がヒドロキシ基で、5位がt−ブチル基で置換されており、Rは水素、Rはイソプロピルであり、nは2である請求項1に記載の化合物のR−異性体。
【請求項5】
次式の化合物であって、
【化2】


その立体化学的異性体及びその薬剤として許容される塩を含み、上式で、
は、それぞれフェニル基を表し、場合によっては独立にA及び/又はBで置換されており、
Aは、エチル、又はn−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル又はヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルであり、Bは、H、ヒドロキシ又は低級(1〜3)アルコキシであり、
は、水素又は低級アルキルであり、
は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はt−ブチルであり、
nは、2〜4である
化合物の薬理学的に有効な量を、哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物の平滑筋機能亢進を治療又は予防する方法。
【請求項6】
前記平滑筋機能亢進が、尿失禁の原因である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平滑筋機能亢進が、切迫性尿失禁の原因である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記平滑筋過反応性が、腸管平滑筋の機能亢進である請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記平滑筋過反応性が、呼吸器官平滑筋の機能亢進である請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記平滑筋過反応性が、尿路結石症の原因である請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記平滑筋過反応性が、胆石症又は総胆管結石症の原因である請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物又はその薬剤として許容される塩が、0.5mg〜約200mgの量で、1日に1〜4回投与される請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物又はその薬剤として許容される塩が、経口、非経口、経皮、経眼、直腸内、膣内又は吸入により投与される請求項5に記載の方法。
【請求項14】
次式の化合物であって、
【化3】


その立体化学的異性体及びその薬剤として許容される塩を含み、上式で、
は、それぞれフェニル基を表し、場合によっては独立にA及び/又はBで置換されており、
Aは、エチル、又はn−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル又はヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルであり、Bは、H、ヒドロキシ又は低級(1〜3)アルコキシであり、
は、水素又は低級アルキルであり、
は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はt−ブチルであり、
nは、2〜4である
化合物を、製薬上許容される担体と共に含む、薬剤組成物。
【請求項15】
前記組成物がまた、抗コリン薬、カルシウム拮抗薬、カリウムチャンネル活性化薬、アドレナリンβ作動薬、アドレナリンα作動薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、及び局所麻酔薬からなる群から選択される1種又は複数の有効成分をも含む請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
前記化合物の光学的に純粋な(S)−異性体又はその薬剤として許容される塩を、治療効果のある量含む請求項14に記載の薬剤組成物を、哺乳動物に投与することを含む、ラセミ混合物及び(R)−異性体に関連する副作用に付随する障害を軽減しつつ、前記哺乳動物の平滑筋機能亢進を治療する方法。
【請求項17】
前記化合物のラセミ体又は前記化合物の光学的に純粋な(R)−異性体或いはその薬剤として許容される塩を、治療効果のある量含む請求項14に記載の薬剤組成物を、哺乳動物に投与することを含む、コリン作動的に媒介されるものと非コリン作動的に媒介されるものとが混在する、哺乳動物の平滑筋機能亢進を治療する方法。

【公表番号】特表2007−502865(P2007−502865A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533333(P2006−533333)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/016199
【国際公開番号】WO2004/105692
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(501474553)ブリッジ ファーマ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】