説明

広域落射ビーム機

【課題】ビーム動作軸と同軸にカメラを置くことで、画像処理による精密な位置制御と照射状況の認識から、適切なビーム制御、画像記録による品質管理など精度の高い加工と確認が出来る。
【解決手段】任意の照射範囲に対して平面鏡を弧上に取り付け、弧の中心からビームを配り、ワークに対する照射幅より少ない焦点距離で、ワーク面に水平分割落射を行う。各々の平面鏡の位置は各焦点距離が等しくなる位置で、中心からのビームをワークに対して垂直に反射する角度である。制御は、ビームと同軸にカメラの画像撮影軸を置き、その画像から対象の位置や種別情報を得てビームを照射し、その状況の画像から判断してビームの位置と出力操作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の任意箇所に精密に光路焦点を移動させる装置で、鏡面を使いワーク面の位置を高速に動いて加工と検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在レーザービーム加工機の発達で、レーザーマーカーやレーザー切断機、レーザー溶接機などの加工機がある。また鉛フリー半田で必要とさせるレーザー半田溶接機や太陽電池などのガラス封し機が開発されている。特にガルバノミラーを使用したレーザーマーカーは、世界中で量産使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2000−334594の要約にある課題の内容
【特許文献2】特許公開平10−296434のレーザー半田付けに関する方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーザーマーカーやレーザー加工機では、大別して次の2種類の方法が取られている。ビームを広範囲に焦点を絞って照射する場合、Fθレンズにより焦点距離を調整するか、ミラーで振る前に焦点調節機構を設けガルバノミラー等を用いてビームを振る方法(以下、振り法とする)と照射ヘッドかワークをロボットやステージで動かす方法(以下、移動法とする)がある。
【0005】
振り法では、ビームが扇形に広がる為に、端に広がるほど対象平面に対して垂直に照射できない。照射範囲は、Fθレンズの大きさと性能で制限を受けて通常100mm〜300mmであり生産ライン幅やワークの大きさに合わせて大きく出来ない。移動法は、加工点の移動速度が振り法に比べて遅く、加工点毎に移動が必要でレーザーの焦点距離や向きを制御する為に複雑な機構とエネルギーが必要である
【0006】
振り法で広い範囲の加工を垂直に近い角度で行うには、長焦点で微細な角度制御を行い、大きな対物レンズで集光するので現実的には困難である。例えば、加工範囲を300mmとすると±4度にビームを振った場合、照射範囲の約15倍の距離で4500mmの距離からビームを振り、焦点を1mm動かす角度は、約0.0127度である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の装置は、上記の問題を解決する手段として、任意の照射範囲に対して平面鏡を弧上に取り付け、弧の中心からビームを配り、ワークに対する照射幅より少ない焦点距離で、ワーク面に水平分割落射を行う事を特徴とする。各々の平面鏡の位置は各焦点距離が等しくなる位置で、中心からのビームをワークに対して垂直に反射する角度である。制御は、ビームと同軸にカメラの画像撮影軸を置き、その画像から対象の位置や種別情報を得てビームを照射し、その状況の画像から判断してビームの位置と出力操作を行う。またカメラを使わずに予め位置情報をプログラムする方法と上記の画像による制御とプログラム制御の組合せがある。
【0008】
ワーク上の落射範囲に対物レンズやマスクを翳すことで多彩な加工手段を得る。ここで述べるマスクは、ワークに対して光路の遮断、屈曲、集光、散乱、バンドパスフィルターの機能を選んで有するものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、従来ある振り法のビーム照射範囲の制限を取り除き、移動法の移動点毎に動作するステージやロボットを無くし、降り法の速度で広範囲にビームの移動を行う。このシステムはビーム動作軸と同軸にカメラを置くことで画像処理による精密な位置制御と照射状況の認識から適切なビーム制御、画像記録による品質管理など精度の高い加工と確認が出来る効果を奏する。
【0010】
本発明によるビーム落射は、ワークに翳すマスク操作が容易になる。マスクの種類により焦点の形状と強弱や集光を操作する事で半田付けや穿孔や切断や過熱など応用範囲が広い。装置に付随する画像処理は、ラインからの信号と画像認識によるプログラム判断で工程の段取り替えを改善し、自由な位置決めにより混載ラインの設定が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ビームを例とする光路の経路を示した図である。
【図2】元光路器と光路の移動と配分を示した正面図である。
【図3】元光路器にビームと照明とカメラの同軸の構成を示した上面図である。
【図4】ミラーヘッドのミラーの位置関係と外周鏡位置を示した側面図である。
【図5】弧状に置く外周鏡面の位置とその個々の光路範囲を示した正面の左半図(1)とY方向の鏡面の大きさを示した図(2)と外周鏡面のX方向の大きさと角度と光路を示した図(3)である。
【図6】装置上面に元光路器としてレーザーマーカーを置き中央に分配固定鏡を置いた正面の左半分図面(1)と側面図(2)と描画配分位置図(3)である。
【図7】レーザーマーカーヘッドや回転ミラーでビームを振り中央に分配固定鏡を置いた正面半分図面(1)と側面図(2)と描画配分位置図(3)である。
【図8】平面のワーク以外に曲面や凹凸のある場合の外周鏡面の位置と照射例である。
【図9】対物レンズの配置種類を示した断面図と上面図の組合せ(1)(2)(3)である。
【図10】ビーム焦点マスク板の配置とマスク形状を示した図(1)とマスク上面図(2)である。
【図11】同軸照明から得られる半田ボールの画像と画像処理により輝点の変形や喪失を捉えて半田ボールの融解を判断しビームを制御する図である。
【図12】同軸照明から得られる画像と画像処理によりビーム照射による融解で輝面の変形や喪失を表す。
【図13】ビーム制御と部材による吸熱と放熱の差を利用した半田付けを説明するのグラフ図である。
【図14】本装置の制御処理と検査処理と加工処理のフロー図である。
【図15】本装置の焦点位置修正処理とビーム制御のフロー図である。
【図16】本装置で対物レンズを防護ガラスの上で動かす装置の上面図である。
【図17】本装置で対物レンズを複数集合させて動かす移動幅を示した上面図である。
【図18】収束しない並行ビームを用いて外周鏡を弧状に置かない装置の正面の左半分図面(1)と側面図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するシステムと装置形態を述べる。本システムは、図1以降で示すワークに達した焦点と光路(以下、照射点とする)FPの位置を細かく移動制御する為に図2以降で表す形態で等しい光路長でワーク面に分配照射を行う。但し図18の光路長は等しくない。図2と図5で示す通りワークの上に弧状に平面鏡を並べ(以下、外周鏡とする)その外周鏡は、焦点を決める機構からワーク照射点までの光路距離(以下、光路長とする)を同じとする位置に配置し、外周鏡の各々の角度はワークに対してビームが落射になる角度にする。照射点の位置変更は、外周鏡の下に光路角度を変える機器(以下ミラーヘッドとする)を置き制御して行う形態と図6と図7で示す様にミラーヘッドで変更された光路を外周鏡の下の分配鏡面に当てて外周鏡に反射させる形態がある。この発明は、照射点で必要な効果を得る為にワークと外周鏡の間に対物レンズやマスクを置く形態を含む。
【0013】
本装置は、説明の為に各機能や各種図が単純化されているが、マスク板、対レンズ、ポイントミラー、分配鏡面、画像処理、制御方法で説明する機能と機器を選んで有するものとする。ここで述べる分配落射とは、ワークの帯域をその上の平面鏡毎に分配してその鏡から分割域に落射することをさす。
本発明は、実施例として鉛直方向の装置で説明されるが、対象物に対する放射向きとし上向きや横向きなど鉛直以外を含む。外周鏡の下とは、外周鏡からワーク方向を指す。
【0014】
ここで「光路長を同じとする」は、照射点で必要とされるに焦点径に収まる光路長を指す。焦点径の許容範囲の比率を一定とすると、焦点径が小さい場合の光路長の誤差は、その径に比例した小ささになる。但し、対物レンズを置く場合の光路長は、対物レンズに対する必要焦点径範囲内とする。カメラの光路長は、撮影画角サイズを焦点径とする。ここで対物レンズに対する光路長の誤差が必要焦点径範囲内ということは、収束しない並行ビームを用いた場合に外周鏡は、弧状に配置する必要はなく自由な位置に置く事が出来る。
【0015】
本発明で、ミラーヘッドの光路変更前の光路位置に置く機器を元光路器とする。元光路器は、放射器としてレーザービーム、放射光、照明、電子ビーム、電波、受光器としてカメラ、検波器、感光器、受信機を選んで複数の設置が出来る。但し、図6と図7で示す様に分配鏡面に当てる場合の元光路器の置く光路範囲は、分配鏡面までとする。また、元光路器に液晶マスクやデジタルミラーデバイス(以下、DLP)を加えることが出来る。
【0016】
元光路器に受光器がある場合は、照射点の位置と状況を把握し制御と操作を容易にしている。受光器からのデータを画像化して画像処理を行い、ワークに対しての精度の高い位置決めと位置確認から照射点の位置修正を行う事ができ、対象の認識を行いビームの出力制御を行うことが出来る。照射点の位置修正の他に周囲画像に合わせて液晶マスクやDLPのマスク画像を変えて照射できる。
【0017】
水平分割落射の光路を利用して、図1と図4に示す位置に図10に例示するマスクをワークの上に翳して、照射点位置毎にビーム形状の変更とビーム照度の部分的な強弱をマスクパターンで設定できる。焦点は、図1と図4で示すところに図9で例示する対物レンズを照射点上に翳すことで、集光で長焦点による収束不足を補う方法と光路の分割で多数焦点の同時処理に変えることが出来る。
【0018】
本発明の装置は垂直落射が基本だが、図8で示す様に弧鏡面の角度と位置を変えて任意の角度でビームを照射出来る。ワークに応じてボトルや鋼管などの湾曲面や実装に応じて対象に斜めにビームを照射できる。
【0019】
本発明の装置は、予め決めた焦点座標位置での照射の他にカメラ画像によるインテリジェントな操作として画像から位置合わせ情報や種別情報を得て、ビームを照射しその状況の画像から判断してビームの位置と出力操作を行う為に、図3で示す通りビームと同軸にカメラの画像撮影軸を置く。さらに、図11や図12で示す画像の効果を得る為に照明をカメラ同軸に置く。上記の制御は、図14と図15を例とする。

【実施例】
【0020】
本装置は、図1に示すビーム光路の経路を有し、図2に示す通り想定する加工領域に合わせて、ワークの上に弧状に平面鏡を並べ、元光路器として図3を含むことが出来る。但し、HF、FL、SQの順は自由である。また対物レンズは、ビーム焦点の大きさによって必要ならば入れる。ビーム径拡大機の直後に付く長焦点レンズは、反射経路の前に置かれるので対物レンズと呼称しない。YMとXMは、ミラーヘッドにあり光路をYMでY方向を制御しXMでX方向を制御する。この装置でX方向は、長手照射方向をさしY方向は、短い照射方向をさす。
実施例で外周鏡面を12枚で説明しているのは、光路長が300mm〜400mmでビーム径が外周鏡上で10mm以上ある場合で光路長誤差を1mm以内とした最適値である。よって違う条件になれば外周鏡面は12枚でなく4枚や1000枚、或いは、図8の(1)の2枚など色々考えられる。
【0021】
弧上に配置する各々の平面鏡は、図5に示す通りワークまでの焦点距離が等しくなる様に配置し、角度はワークに対して平面鏡の中心から垂直にビームが照射される角度にする。それぞれの鏡面の長さは、回転鏡面中心CXPから各外周鏡面の角度Laでビームが振られ鏡面にビーム径φLBを加算したの長さになる。各外周鏡面の幅は、Mw、長さLwは、数1で示される。外周鏡の各々の位置は、光路長の関係と各々の落射の幅を示す数2を満たす位置である。取り付け角度は、数3に示す。光路長と半射座標の計算は、CXPの位置が図4と図5から照射点を遮らない様に奥に置いているのでミラーXMから反射して各外周鏡面LMからワークの照射点までの距離と3次元的な計算で光路長を示す座標をコンピューターシュミレーションで計算するか図学上から幾何演算しても良い。
図18を除き、図1〜図8まで特に光路長の表示は無いが、あると仮定して下記の数1と数2と数3が成り立つものとする。
【0022】
【数1】



【0023】
【数2】



【0024】
【数3】

【0025】
本装置でワーク面に光路を振る方法は、図2と図3で示す通り弧中央下で縦軸鏡面YMを回すモーターYSと横軸鏡面XMを回すモーターXSを制御して光路の反射角度を変えて行う。本装置は、モーターに運動性のよいガルバノモーターを例とする電磁気モーター使用と停止精度の高い超音波モーターを使用する2種類がある。焦点位置の調整を回転ミラーの制御をより細かく行う場合は、落射位置に対物レンズを置き倍率に応じて精度を高める方法がある。
【0026】
本装置は、図3に示すビームLBは、ビームのみ反射する透過ミラーHFとカメラCAMに反射画像を送るミラーEMと照明LEDによりカメラとビームと照明が同軸に置かれる。
この軸線は、モーターYS で動くミラーYM に反射し縦方向に動き、次にモーターXSで動くミラーXMに反射し横方向動く。画像によりビーム位置と照射点状況を把握し制御と操作を容易にしている。従来のティーチング制御に加えてこの画像処理により、精度の高い位置決めと位置確認と位置修正が出来る。
【0027】
また、照射状況の変化を観察しながらビームの出力制御を行うことが出来る。図3の右のEMは、カメラ用同軸ミラーで照明を点光源とする為に、同軸上に透過出来るように鏡面コーティングを楕円状に剥離させる。剥離形状は、45度傾けたときの透過光が円になる楕円とし面積は、受光画像を防げない様にカメラ光路面積の1/25以内とする。また、EMに穴を開けて光ファイバーを貫通させても良い。
【0028】
本装置は、対物レンズをワーク上に翳して焦点の大きさを変更する事が出来る。ワークに翳す対物レンズを位置毎に設定しワーク上に翳して収束が足りない場合を補える。また、対物レンズを動かすことで装置照射範囲内を隙間無く照射できる。図9は、ビームの落射位置に合わせて対物レンズ範囲内でビーム位置を動かす場合と対物レンズによりビーム焦点位置を規定する場合を示している。対物レンズ内で落射位置を調整する場合、対物レンズの拡大率に比例してワークに対する焦点位置が細かく調整できる。例えば10倍拡大率がある場合、対物レンズ上面の落射位置を100μ単位で行うとワーク上で10μ単位になる。本装置は、対物レンズで拡大操作する場合、ミラーの制御と画像処理カメラ画像も同様に拡大されるので、モーターとカメラのスペックを変えずにそのまま制御できる。
【0029】
対物レンズは、図9に示すように本装置下部の防護ガラスの上に置かれる。対物レンズは、半球状で防護ガラスに平らな面を接して置く。防護ガラスは、ミラーヘッドにビームが戻らない範囲に傾ける。実施例の装置では、ミラーヘッド方向か反対側に2度以上傾け、対物レンズの平面と防護ガラスの反射から元光路機器を守る。防護ガラスと対物レンズを無半射コーティングして傾けない場合もある。対物レンズを光路焦点に合わせて移動させる場合は、ミラーヘッドのモーターで動かすことが出来る。焦点位置の移動量は、図5の通り位置に寄らず角度変化に比例するので、焦点移動方向に合わせて焦点移動分移動する。対物レンズの焦点と照射点の位置は、ずれると図9の(1)に示すように焦点方向に照射点がずれるのでティーチングした座標とずれてしまうので焦点位置修正処理を行う。
【0030】
図15を例に説明すると、対物レンズに支持アームをつけてミラーヘッドモーターから、ギアとベルトでX方向に対物レンズを動かし、Y方向は、伸縮しないチューブにワイヤーを通して対物レンズを動かす。対物レンズの焦点位置は、焦点位置修正処理により照射点の位置と正確に一致の必要はなくベルトやワイヤーなど誤差が生じやすい物を使用しても良い。例えば10μ単位で照射点を制御する場合であっても対物レンズの位置精度は1mm単位でよい。図15の説明では、対物レンズの移動をミラーヘッドのモーターで行うが、別のモーターと2次元ステージを使用しても良い。
【0031】
図15で、照射点が照射範囲の左右の端から端に動く場合などに合わせて対物レンズを高速に動かすのは難しいので、そのような制御がある場合は、多数の対物レンズを使用する。図16は、6角形の対物レンズを敷き詰めて移動幅をその個々のレンズの大きさに縮めた場合と等間隔に並べて移動量をレンズ間隔幅に縮めた例である。この場合は、ミラーヘッドのモーターとは別に動かす。また照射点位置が予め決まっているならば、その範囲に対物レンズを置いて必要な範囲を動かすか固定したまま使用する。図15と図16を組み合わせても良い。
【0032】
本装置は垂直落射が基本だが、図8で示す様に弧鏡面の角度と位置を変えて任意の角度でビームを照射出来る。図8の(1)は、ワークに応じてガラス瓶やボトルや鋼管などの湾曲面に対して光路長を同じとする位置にワーク面に落射する角度で外周鏡を取り付けた図である。図8の(2)は、実装に応じて対象に斜めにビームを照射位置で光路長を同じとする位置に外周鏡の一部分としてPMを設置した図である。
【0033】
本装置は、図10で示すようにマスク板をワークの上に翳して、照射点位置毎にビームのマスク照射ができる。マスク照射とは、マスク板のマスクパターンの射影で照射点のビーム面形状の変更と透過の強弱でビーム照度の部分的な明暗を制御する事である。マスク板は、クリーム半田マスク板を写すと、基盤の半田が乗っている箇所でその形状に照射する事になる。マスクによるビーム照度の部分的な明暗とは、図10にあるマスクパターンのドットの表現は、ビームの透過率を表す。ドットの濃さに比例してビームが透過する場合、ビームエネルギーは、ビームの照度が一定の場合その濃さに比例して直下に当る。マスクパターンには、用途に応じてドーナツ型や矩形、十字型など色々ある。例えばピンホールでリードを避けて照射する場合は、ドーナツ型がよく、矩形パッドの照射は、矩形パッドを用いてはみ出ずに出来る。
【0034】
またマスクは、レンズやガラス器による屈折でもよい。図9の(3)を例にプリズム型のガラスを乗せて、照射点を2分割している。マスク板はステンレス板のほかに次の材質が良い。ビームの波長と照明の波長が通るガラス板の上面をすりガラス状にして散乱屈折させてワークに焦点を結ばせない。照明光は通すがビームのみ反射する膜をコーティングしてマスクパターンを作る。
【0035】
本発明の装置は、図3で示す通り元光路器にビームと同軸にカメラの画像撮影軸を同軸に置く事で画像によるインテリジェントな操作が出来る。その操作は、画像から位置合わせ情報や種別情報を得て、ビームを照射しその状況の画像から判断してビームの位置と出力操作を行う。図11や図12で示す画像は、撮影と同軸に照明を置いた場合、光軸に垂直な面が反射して明るく見える性質を利用している。電気回路のパッドとリード、半田ボールは、鏡面であるので特にこの性質が顕著に出て垂直面が輝いて見える。
【0036】
半田ボールとリードの溶解による変形は、上記の性質を利用して変形による僅かな傾きで輝点が大きく変化して見えるので画像処理による認識と判断がしやすい。図11のビーム制御フローと輝点の上絵から下絵の遷移はそれを示している。上記の制御は、図14と図15を例とする
【0037】
図6で示す様にレーザーマーカーなどのミラーヘッドで変更された光路を外周鏡の下の分配鏡面に当てて外周鏡に反射させる形態を説明する。この考えは、図6の(3)に図示するようにレーザーマーカーの描画エリアを5枚の鏡で分配して対とする外周鏡に反射させて同じ光路長で落射させる方法である。図4と図5と計算の違いは、CPXの位置に分配鏡面が入る事と実際の光路長はFθレンズから光路長を計算することである。Fθレンズの使用でビームの振り角度に応じて光路長が伸びても同じ焦点径になるのでその伸び分を加算する。
図6の(1)と(2)で鏡面の傾きは、対応する分配鏡面と外周鏡面は同じ傾きになる。つまりLMaとmaは、同じ傾きであり同様にLMbとmb、LMcとmcが同じ傾きである。図6は、左片面で説明しているが、本装置は、5枚の分配鏡面と5枚の外周鏡で構成される。実施例の図6の(1)と(2)と(3)の通りの位置構成で、最小光路長で出来る。さらにこの位置構成を分割できるが、ビーム径が太いと分配鏡面で分割された領域に沿ってビームの無効エリアが増えるので非効率になる。
【0038】
図7で示す様にレーザーマーカーなどのミラーヘッドで変更された光路を外周鏡の下の分配鏡面に当てて外周鏡に反射させる形態を説明する。図7の構成は、上記図6の説明で分配鏡面による分割が少ないと効率がよいとしているのでこの考えを発展させてFθレンズを取り分配鏡面に対する描画領域を広く取り、光路長調整を外周鏡面の多数分割で調整する例である。実施例の図7の(1)と(2)と(3)の通りの位置構成で、最小光路長で出来る。
【0039】
図18で示される収束しないビームを用いた場合の外周鏡は、弧状に配置する必要はなく自由な位置に置く事が出来る。収束しないビームで加工は出来ないので、対物レンズやマスクを置いて収束させる。外周鏡を弧状に置かないので前述した数2の条件が崩れ、角度と照射点位置の比例関係が成り立たたず外周鏡個々の位置で光路距離が変わる。図15の対物レンズの動作は成り立たないので、ミラーヘッドのモーターとは別に動かす。装置の制御を適切に行う為に、各々の外周鏡に対応する照射点位置とミラーヘッドの制御ミラー角度と光路距離の相関テーブル(以下、座標角度距離相関テーブルとする)を作成する。これに基づいて制御コマンドから座標を算出しマイコン等で対物レンズの位置と画像の縮小拡大と焦点位置修正処理を行う。
【0040】
座標角度距離相関テーブルの作成は、外周鏡とカメラとミラーヘッドの取り付け誤差があるので、元光路器に測長機器を加えて必要とする照射点位置毎にカメラ画像を元にミラーヘッドの角度と光路距離を記録して相関テーブルを作成する。この相関テーブルの作成は、図18以外の装置でも上記の制御精度を求める場合に作成し使用する。
【0041】
本発明の装置とシステムは、図1のSQの手前からHFの間に、液晶マスクやデジタルミラーデバイス(通称DLP)を置いて照射点に画像や文字、パターンを露光したり焼いたりすることが出来る。これによりレーザーマーカーで描画するのに比べて一度に文字列やパターン、マーク、暗号模様のマーキングが広範囲に高速に出来る。また焦点径に応じて高精細に微小回路の露光がパネル上に出来る。これも、照射点とその周りが画像に取れるので描画模様を確認しながら焦点位置に応じて変更しつなげる事が出来る。これにより連続した照射点位置で組み合わせた照射点位置毎に異なる回路や画像パターンの露光ができ、例えば1000×1000画素で描画される回路や画像が100つながって10000×10000画素の大画面が露光できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本装置の特徴は、多数位置の高速処理にあるので以下に利用可能性を述べる。本装置は、電機メーカーの実装ラインでのレーザー半田付けを高効率によりクリーム半田システムに置き換えることが出来る。手作業の半田付けや半田ロボットによる飛び出しピンの多いLED電極の多数点の量産加工が出来る。
【0043】
本装置は、従来の様に個々の狭い範囲で処理をせず広い幅で処理が行えるので、太陽電基盤や300mm幅以上のシート、パネルの穿孔や溶接、封し、検査に向く。
【0044】
ステージ移動を減らす或いは無くす事で、面積の大きな液体を載せた容器やフイルム、培養プレートや液浸物の検査や加工処理とに向く。固定して任意位置に細かく動かすことが難しい人体や動物、植物にある多数位置の高速処理に向く。
【0045】
本装置は、フレキシブルシート回路加工で、露光からエッチング後のままのロールシートをカットせずに多数の穿孔、溶接、切断、半田付けが高速にできる。
【0046】
本装置は、気体や液体の流れの上や中に設置し幅広く通過する物体の計測や加工に向く。例えば河川の漂流物の計測、魚の計測を行い、それについて選択消去を行う。
【0047】
本装置は、元光路器にマスクを使い大きな面積に必要に応じてビーム露光できるので、液晶パネルや太陽電池パネルやシート、パネル、洋服生地、食品、包装容器にパターンや文字の露光が出来る。

【符号の説明】
【0048】
CAM カメラ
CXP 横軸鏡面回転中心
CYP 縦軸鏡面回転中心
DG 防護ガラス板
EL ビームエキスパンダ
EM カメラ用同軸ミラー
FP ビーム焦点位置かワーク上の光路焦点位置
FL ビーム焦点レンズ
H 高さ
HF ビームのみ反射鏡
LA 弧状に鏡面を支えるアーム
LB ビームと出力機
LM 外周鏡
LED ワークを照らす照明
MB マスク板
MP マスクパターン
OL 対物レンズ
PM ポイントミラー
R 回転ミラーからLMまでの距離
SQ ビーム絞り
SW 照射領域
W ワーク
XM 横軸可動鏡
XS 横軸モーター
XW X方向移動幅(長手方向)
YM 縦軸可動鏡
YW Y方向移動幅(短手方向)
YS 縦軸モーター
Ma 弧状に配置する鏡の傾き角度
La ビームの傾き角度
Lw ビームの振り幅
Ra ビームの振り角度
bp ワークに対する弧の鏡面が持つ分割幅
ΦLB そこに当るビーム径
mc 分配鏡中央鏡
mb 分配鏡左右中鏡
ma 分配鏡左右端鏡
LMc 分配鏡mcに対応した中央外周鏡
LMb 分配鏡mbに対応した左右中外周鏡
LMa 分配鏡maに対応した左右端外周鏡



【特許請求の範囲】
【請求項1】
収束するビームを幅広く任意の位置に落射する為に、可動鏡面で光路の向きを変えて各々の光路長が等しくなる位置に配置した複数の平面鏡面を用い、光路の同軸に元光路器を置き対象の加工と計測を行う方法を有する装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置で各々の光路長は、光路焦点径の2倍以内の誤差で等しく、配分された各々の落射の広がりを10度以内で使用する装置。
【請求項3】
カメラと同軸の照明により対象物の曲面の頂点と垂直面の直反射とそれ以外が散乱し暗くなりコントラストが明瞭になる性質を利用して、広い範囲で対象の位置を計測し対象の変化を捉えて、ビームの位置と出力を制御する方法を有する装置。
【請求項4】
複数個所に光路の遮断、屈曲、集光、散乱、バンドパスフィルターの機能を選んで有するマスクを対象に翳す方法を有する装置。
【請求項5】
各々配置した複数の平面鏡面を用いビームを落射させる装置に配分前の光路の同軸に元光路器を置き対象の加工と計測を行う方法を有し対物レンズで照射点を制御する方法を加えた装置。
【請求項6】
本装置でいう元光路器に、各種機器を選んでつける機能を有する装置。
【請求項7】
収束するビームを幅広く帯状領域内の任意の位置に落射させ制御する為に、5枚の分配鏡面でレーザーマーカーの光路範囲を分割し配分された各々の光路長が等しくなる位置に配置した複数の平面鏡面を用い対象の加工を行う方法を有する装置。
【請求項8】
収束するビームを幅広く任意の位置に落射させ制御する為に、分配鏡面で光路を配分し各々の光路長が等しくなる位置に配置した複数の平面鏡面を用い、配分前の光路の同軸に元光路器を置き対象の加工と計測を行う方法を有する装置。
【請求項9】
分配された収束しない並行ビームを落射させるように各々配置した複数の平面鏡面を用い、配分前の光路の同軸に元光路器を置き対物レンズで照射点を制御し加工と計測を行う方法を有する装置。
【請求項10】
請求項5と請求項9で対物レンズを動かしワーク上の任意範囲を加工と計測を行う方法を有する装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−625(P2011−625A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147099(P2009−147099)
【出願日】平成21年6月20日(2009.6.20)
【出願人】(597085442)
【Fターム(参考)】