広帯域アンテナ
【課題】 放射導体素子と無給電導体素子との間隔とは別個に帯域を広げることができる広帯域アンテナを提供する。
【解決手段】 多層基板2の内部には、絶縁層4,5間に位置して接地導体板6を設けると共に、絶縁層3,4間に位置して放射導体素子7を設ける。この放射導体素子7には、ストリップ線路8を接続する。多層基板2の表面2Aには、放射導体素子7と対向した矩形導体板からなる無給電導体素子11を設ける。この無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aを形成する。
【解決手段】 多層基板2の内部には、絶縁層4,5間に位置して接地導体板6を設けると共に、絶縁層3,4間に位置して放射導体素子7を設ける。この放射導体素子7には、ストリップ線路8を接続する。多層基板2の表面2Aには、放射導体素子7と対向した矩形導体板からなる無給電導体素子11を設ける。この無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマイクロ波やミリ波等の高周波信号に用いて好適な広帯域アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による広帯域アンテナとして、例えば波長に比べて薄い誘電体を挟んで互いに対向する放射導体素子と接地導体板を設けると共に、放射導体素子の放射面側に無給電導体素子を設けたマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−93305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1による広帯域アンテナでは、放射導体素子と無給電導体素子との電磁界結合を利用して広帯域化を実現している。しかし、電磁界結合の大きさは放射導体素子と無給電導体素子との間の厚さ方向の間隔寸法が大きく寄与するため、帯域を広げるには限界がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、放射導体素子と無給電導体素子との間隔とは別個に帯域を広げることができる広帯域アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明による広帯域アンテナは、グランドに接続された接地導体板と、該接地導体板と間隔をもって対向し給電線路に接続された放射導体素子と、該放射導体素子からみて前記接地導体板と反対側に配置され前記接地導体板および放射導体素子と絶縁された無給電導体素子とを備えた広帯域アンテナにおいて、前記無給電導体素子は、略四角形状をなす矩形導体板によって形成し、該矩形導体板の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部を設ける構成としたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明では、前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられた他の接地導体板と、該他の接地導体板と前記接地導体板との間に設けられたストリップ導体とからなるストリップ線路によって構成し、該ストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられたストリップ導体からなるマイクロストリップ線路によって構成し、該マイクロストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としている。
【0009】
請求項4の発明では、前記接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子は、複数の絶縁層が積層された多層基板に設けると共に、該多層基板の厚さ方向に対して互いに異なる位置に配置する構成としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、無給電導体素子の矩形導体板には、その4隅に位置して角隅部分を切り取った切取り部を設けたから、該切取り部によって無給電導体素子に流れる電流の経路を調整することができる。これにより、無給電導体素子と放射導体素子との間隔とは別個な切取り部によって、無給電導体素子と放射導体素子との間の結合量を調整することができる。この結果、無給電導体素子と放射導体素子との間隔を広げることなく、給電線路と放射導体素子とが整合する帯域を広くすることができ、アンテナ全体を低背化、小型化することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、給電線路は、接地導体板からみて放射導体素子と反対側に配置されたストリップ線路によって構成したから、例えば接地導体板および放射導体素子を絶縁材料からなる基板に設けた場合には、該基板にストリップ線路を一緒に形成することができ、生産性の向上や特性ばらつきの軽減を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、給電線路は、接地導体板からみて放射導体素子と反対側に配置されたマイクロストリップ線路によって構成したから、例えば接地導体板および放射導体素子を絶縁材料からなる基板に設けた場合には、該基板にマイクロストリップ線路を一緒に形成することができ、生産性の向上や特性ばらつきの軽減を図ることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子は、複数の絶縁層が積層された多層基板に設ける構成とした。このため、例えば互いに異なる絶縁層の表面に接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子を設けることによって、これらを多層基板の厚さ方向に対して互いに異なる位置に容易に配置することができる。この結果、生産性を高めることができると共に、アンテナ毎の特性ばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図2】広帯域パッチアンテナを図1中の矢示II−II方向からみた断面図である。
【図3】広帯域パッチアンテナを図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】図1中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図5】広帯域パッチアンテナの第1の共振モードを図2と同じ位置で示す説明図である。
【図6】広帯域パッチアンテナの第2の共振モードを図2と同じ位置で示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態および第1の比較例において、リターンロスの周波数特性を示す特性線図である。
【図8】第2の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図9】広帯域パッチアンテナを図8中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】広帯域パッチアンテナを図9中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【図11】図8中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図12】第3の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図13】広帯域パッチアンテナを図12中の矢示XIII−XIII方向からみた断面図である。
【図14】広帯域パッチアンテナを図13中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。
【図15】図12中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図16】第4の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図17】図16中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図18】第5の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図19】広帯域パッチアンテナを図18中の矢示XIX−XIX方向からみた断面図である。
【図20】広帯域パッチアンテナを図19中の矢示XX−XX方向からみた断面図である。
【図21】広帯域パッチアンテナを図19中の矢示XXI−XXI方向からみた断面図である。
【図22】第5の実施の形態および第2,第3の比較例において、リターンロスの周波数特性を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による広帯域アンテナとして例えば60GHz帯用の広帯域パッチアンテナを例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1ないし図4は第1の実施の形態による広帯域パッチアンテナ1を示している。この広帯域パッチアンテナ1は、後述する多層基板2、接地導体板6、放射導体素子7、無給電導体素子11等によって構成されている。
【0017】
多層基板2は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうち例えばX軸方向およびY軸方向に対して平行に広がる平板状に形成されている。この多層基板2は、幅方向となるY軸方向に対して例えば数mm程度の幅寸法を有し、長さ方向となるX軸方向に対して例えば数mm程度の長さ寸法を有すると共に、厚さ方向となるZ軸方向に対して例えば数百μm程度の厚さ寸法を有している。
【0018】
また、多層基板2は、表面2A側から裏面2B側に向けてZ軸方向に積層した3層の絶縁層3〜5を有している。各絶縁層3〜5は、例えば絶縁性の樹脂材料からなり、薄い層状に形成されている。
【0019】
接地導体板6は、例えば銅、銀等の導電性金属材料を用いて形成され、グランドに接続されている。この接地導体板6は、絶縁層4と絶縁層5との間に位置して多層基板2の略全面を覆っている。接地導体板6の表面側には放射導体素子7が設けられると共に、接地導体板6の裏面側にはマイクロストリップ線路8が設けられている。このため、放射導体素子7とマイクロストリップ線路8との間を接続するために、接地導体板6の中央部分には、例えば略円形の接続用開口6Aが設けられている。
【0020】
放射導体素子7は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料を用いて略四角形状の矩形導体板によって形成され、接地導体板6と間隔をもって対向している。具体的には、放射導体素子7は、絶縁層3と絶縁層4との間に配置されている。この放射導体素子7と接地導体板6との間には、絶縁層4が配置されている。このため、放射導体素子7は、接地導体板6と絶縁された状態で、接地導体板6と対面している。
【0021】
また、放射導体素子7は、図4に示すように、Y軸方向に延びる2辺と、X軸方向に延びる2辺とを有している。この放射導体素子7は、Y軸方向に例えば数百μm程度の幅寸法L1を有すると共に、X軸方向に例えば数百μm程度の長さ寸法L2を有している。この放射導体素子7のX軸方向の長さ寸法L2は、電気長で例えば使用する高周波信号の半波長となる値に設定されている。
【0022】
さらに、放射導体素子7には、X軸方向の途中位置に後述のビア10が接続されると共に、該ビア10を介して後述のマイクロストリップ線路8が接続されている。そして、放射導体素子7には、マイクロストリップ線路8からの給電によって、X軸方向に向けて電流Iが流れる構成となっている。
【0023】
マイクロストリップ線路8は、図1ないし図4に示すように、接地導体板6からみて放射導体素子7と反対側に設けられ、放射導体素子7に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、マイクロストリップ線路8は、接地導体板6からみて放射導体素子7と反対側に設けられたストリップ導体9によって構成されている。このストリップ導体9は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、多層基板2の裏面2B(絶縁層5の裏面)に設けられている。このストリップ導体9の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア10を介して放射導体素子7に接続されている。
【0024】
このビア10は、絶縁層4,5を貫通して内径が数十〜数百μm程度(例えば100μm)の貫通孔に例えば銅、銀等の導電性金属材料を設けることによって柱状の導体として形成されている。また、ビア10は、接続用開口6Aの中心部分を通ってZ軸方向に延び、その両端が放射導体素子7とストリップ導体9にそれぞれ接続されている。そして、マイクロストリップ線路8は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0025】
無給電導体素子11は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料を用いて略四角形状の矩形導体板によって形成されている。この無給電導体素子11は、Y軸方向に延びる2辺と、X軸方向に延びる2辺とを有している。そして、無給電導体素子11の2辺は、放射導体素子7のY軸方向に延びる2辺と平行な状態で配置されている。一方、無給電導体素子11の他の2辺は、放射導体素子7のX軸方向に延びる2辺と平行な状態で配置されている。
【0026】
また、無給電導体素子11は、放射導体素子7からみて接地導体板6と反対側に位置して、多層基板2の表面2A(絶縁層3の表面)に配置されている。この無給電導体素子11と放射導体素子7との間には、絶縁層3が配置されている。このため、無給電導体素子11は、放射導体素子7および接地導体板6と絶縁された状態で、放射導体素子7と間隔をもって対面している。
【0027】
さらに、無給電導体素子11は、図4に示すように、Y軸方向に例えば数百μm程度の幅寸法L3を有すると共に、X軸方向に例えば数百μm程度の長さ寸法L4を有している。この無給電導体素子11の幅寸法L3は、例えば放射導体素子7の幅寸法L1よりも小さくなっている。一方、無給電導体素子11の長さ寸法L4は、例えば放射導体素子7の長さ寸法L2よりも小さくなっている。なお、無給電導体素子11および放射導体素子7の大小関係やこれらの具体的な形状は、上述のものに限らず、広帯域パッチアンテナ1の放射パターン等を考慮して適宜設定されるものである。そして、無給電導体素子11は、放射導体素子7と電磁界係合を生じる。
【0028】
また、無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aが形成されている。各切取り部11Aは、例えば無給電導体素子11の矩形導体板の角隅部分を、X軸とY軸に対して斜めに傾斜した方向に向けて直線状に切り取った形状となっている。即ち、無給電導体素子11の角隅部分には、各切取り部11Aによって略三角形状の切欠きが形成されている。
【0029】
そして、切取り部11Aは、その形状や大きさに応じて、無給電導体素子11に流れる電流経路が変化する。このため、切取り部11Aは、その形状等を適宜設定することによって、放射導体素子7と無給電導体素子11との結合量を調整するものである。
【0030】
本実施の形態による広帯域パッチアンテナ1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0031】
まず、マイクロストリップ線路8から放射導体素子7に向けて給電を行うと、放射導体素子7には、X軸方向に向けて電流Iが流れる。これにより、広帯域パッチアンテナ1は、放射導体素子7の長さ寸法L2に応じた高周波信号を送信または受信する。
【0032】
このとき、放射導体素子7と無給電導体素子11とは、互いに電磁界結合し、無給電導体素子11にもX軸方向に向けて電流Iが流れる。また、放射導体素子7の4辺と無給電導体素子11と4辺とはそれぞれ平行に延びているから、放射導体素子7および無給電導体素子11は、例えばX軸方向に沿った直線偏波の電磁波を放射する。
【0033】
ここで、放射導体素子7および無給電導体素子11は、図5および図6に示すように、互いに共振周波数が異なる2つの共振モードを有する。これら2つの共振周波数では高周波信号のリターンロスが低下するのに加え、これら2つの共振周波数の間の周波数帯域でも高周波信号のリターンロスが低下する。このため、無給電導体素子11を省いた場合に比べて、使用可能な高周波信号の帯域が広がる。
【0034】
また、無給電導体素子11は放射導体素子7との間隔寸法が大きくなるに従って、マイクロストリップ線路8と放射導体素子7とが整合する帯域は広がる傾向がある。しかし、無給電導体素子11は放射導体素子7との間隔寸法が大きくなると、アンテナ全体が大型化してしまい、小型の電子機器等には適用が難しいという問題がある。
【0035】
これに対し、本実施の形態では、矩形導体板からなる無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aを形成した。このとき、切取り部11Aの形状や大きさに応じて、無給電導体素子11に流れる電流経路が変化する。このため、切取り部11Aの形状等を適宜設定することによって、放射導体素子7と無給電導体素子11との結合量を調整することができる。
【0036】
この切取り部11Aによる効果を確認するために、切取り部11Aを設けた場合(第1の実施の形態)と、設けなかった場合(第1の比較例)について、リターンロスの周波数特性を測定した。その結果を図7に示す。なお、多層基板2の厚さ寸法は0.6mmとした。放射導体素子7の幅寸法L1は0.95mm、長さ寸法L2は1mmとした。無給電導体素子11の幅寸法L3および長さ寸法L4は、いずれも0.8mmとした。切取り部11Aの幅寸法および長さ寸法は、いずれも0.2mmとした。
【0037】
図7の結果より、切取り部11Aを設けない場合には、リターンロスが−10dBよりも低下する帯域が14GHz程度となる。これに対し、切取り部11Aを設けた場合には、リターンロスが−10dBよりも低下する帯域が14.5GHz程度となり、帯域が広がることが分かる。
【0038】
また、切取り部11Aを設けない場合には、2つの共振周波数の間でリターンロスが−11dB程度まで上昇する。一方、切取り部11Aを設けた場合には、2つの共振周波数の間ではリターンロスが−15dBよりも低下し、切取り部11Aを設けない場合に比べて、リターンロスが低下する。
【0039】
かくして、本実施の形態では、無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aを設けたから、切取り部11Aによって無給電導体素子11に流れる電流の経路を調整して、マイクロストリップ線路8に整合するように、広帯域チップアンテナ1の放射Qを調整することができる。これにより、無給電導体素子11と放射導体素子7との間隔とは別個な切取り部11Aによって、無給電導体素子11と放射導体素子7との間の結合量を調整することができる。この結果、無給電導体素子11と放射導体素子7との間隔を広げることなく、マイクロストリップ線路8と放射導体素子7とが整合する帯域を広くすることができ、広帯域チップアンテナ1を低背化、小型化することができる。
【0040】
また、無給電導体素子11に切取り部11Aを設けることによって、無給電導体素子11とマイクロストリップ線路8とが整合する帯域全体でリターンロスを低下させることができる。このため、使用帯域でリターンロスに余裕を持たせることができ、製造誤差を許容できると共に、設計自由度を高めることができる。
【0041】
また、接地導体板6、放射導体素子7および無給電導体素子11は、複数の絶縁層3〜5が積層された多層基板2に設ける構成とした。このため、互いに異なる絶縁層3〜5の表面に無給電導体素子11、放射導体素子7および接地導体板6を順次設けることによって、これらを多層基板2の厚さ方向に対して互いに異なる位置に容易に配置することができる。
【0042】
さらに、接地導体板6からみて放射導体素子7と反対側に位置してマイクロストリップ線路8を設けた。このため、接地導体板6、放射導体素子7および無給電導体素子11を設けた多層基板2にマイクロストリップ線路8を一緒に形成することができ、生産性の向上や特性ばらつきの軽減を図ることができる。
【0043】
次に、図8ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、放射導体素子にストリップ線を接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0044】
第2の実施の形態による広帯域パッチアンテナ21は、多層基板22、接地導体板6、放射導体素子32、無給電導体素子33等によって構成されている。ここで、多層基板22は、第1の実施の形態による多層基板2とほぼ同様に、例えば絶縁性の樹脂材料を用いて形成され、表面22A側から裏面22B側に向けてZ軸方向に積層した4層の絶縁層23〜26を有している。この場合、接地導体板6は、絶縁層24と絶縁層25との間に設けられ、多層基板22を略全面に亘って覆っている。
【0045】
ストリップ線路27は、図8ないし図10に示すように、接地導体板6からみて放射導体素子32と反対側に設けられ、放射導体素子32に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、ストリップ線路27は、接地導体板6からみて放射導体素子32と反対側に設けられた他の接地導体板28と、接地導体板6と接地導体板28との間に設けられたストリップ導体29とによって構成されている。ここで、接地導体板28は、多層基板22の裏面22B(絶縁層26の裏面)に設けられ、裏面22Bを略全面に亘って覆っている。この接地導体板28は、複数のビア30によって接地導体板6に電気的に接続されている。
【0046】
このビア30は、第1の実施の形態によるビア10とほぼ同様に、柱状の導体として形成されている。また、ビア30は、Z軸方向に延びて、その両端が接地導体板6,28にそれぞれ接続されている。そして、複数のビア30は、ストリップ導体29を取囲んで配置されている。これにより、ビア30は、接地導体板6,28の電位を安定させると共に、ストリップ導体29を伝搬する高周波信号が漏洩するのを抑制している。
【0047】
一方、ストリップ導体29は、例えば接地導体板6,28と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、絶縁層25と絶縁層26との間に配置されている。このストリップ導体29の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア31を介して放射導体素子32に接続されている。
【0048】
このビア31も、ビア30とほぼ同様に柱状の導体として形成されている。また、ビア31は、絶縁層24,25を貫通して形成され、接続用開口6Aの中心部分を通ってZ軸方向に延び、その両端が放射導体素子32とストリップ導体29にそれぞれ接続されている。そして、ストリップ線路27は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0049】
放射導体素子32は、第1の実施の形態による放射導体素子7とほぼ同様に形成され、絶縁層23と絶縁層24との間に配置されている。そして、放射導体板32は接地導体板6と間隔をもって対向すると共に、放射導体素子32と接地導体板6との間は絶縁層24によって絶縁されている。
【0050】
無給電導体素子33は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に形成され、多層基板22の表面22A(絶縁層23の表面)に設けられている。この無給電導体素子33は、略四角形状の矩形導体板によって形成され、放射導体素子32からみて接地導体板6と反対側に位置して、放射導体素子32および接地導体板6と絶縁されている。また、無給電導体素子33の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部33Aがそれぞれ設けられている。
【0051】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、放射導体素子32にストリップ線路27を接続する構成としたから、第1の実施の形態によるマイクロストリップ線路8に比べて、ストリップ導体29の周囲に高周波信号の電磁界を閉じ込めることができ、高周波信号の漏洩を防止することができる。
【0052】
次に、図12ないし図15は本発明の第3の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、多層基板を比誘電率の大きなセラミックス材料を用いて形成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0053】
第3の実施の形態による広帯域パッチアンテナ41は、多層基板42、接地導体板6、放射導体素子52、無給電導体素子53等によって構成されている。
【0054】
ここで、多層基板42は、例えば低温同時焼成セラミックス多層基板(LTCC多層基板)によって形成され、表面42A側から裏面42B側に向けてZ軸方向に積層した4層の絶縁層43〜46を有している。各絶縁層43〜46は、1000℃以下の低温で焼成可能な絶縁性のセラミックス材料からなり、薄い層状に形成されている。これらの各絶縁層43〜46は、その比誘電率が例えば第1の実施の形態による多層基板2の樹脂材料に比べて大きな値となっている。この場合、接地導体板6は、絶縁層44と絶縁層45との間に設けられ、多層基板42を略全面に亘って覆っている。
【0055】
ストリップ線路47は、図12ないし図14に示すように、接地導体板6からみて放射導体素子52と反対側に設けられ、放射導体素子52に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、ストリップ線路47は、第2の実施の形態によるストリップ線路27とほぼ同様に形成され、接地導体板48およびストリップ導体49を備えている。ここで、接地導体板48は、多層基板42の裏面42B(絶縁層46の裏面)に設けられ、裏面42Bを略全面に亘って覆っている。この接地導体板48は、複数のビア50によって接地導体板6に電気的に接続されている。
【0056】
一方、ストリップ導体49は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、絶縁層45と絶縁層46との間に配置されている。このストリップ導体49の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア51を介して放射導体素子52に接続されている。そして、ストリップ線路47は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0057】
放射導体素子52は、第1の実施の形態による放射導体素子7とほぼ同様に形成され、絶縁層43と絶縁層44との間に配置されている。そして、放射導体素子52は接地導体板6と間隔をもって対向すると共に、放射導体板52と接地導体板6との間は絶縁層44によって絶縁されている。
【0058】
無給電導体素子53は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に形成され、多層基板42の表面42A(絶縁層43の表面)に設けられている。この無給電導体素子53は、略四角形状の矩形導体板によって形成され、放射導体素子52からみて接地導体板6と反対側に位置して、放射導体素子52および接地導体板6と絶縁されている。また、無給電導体素子53の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部53Aがそれぞれ設けられている。
【0059】
かくして、本実施の形態でも第1,第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、多層基板42を比誘電率の大きなセラミックス材料を用いて形成したから、放射導体素子52や無給電導体素子53を小さくすることができ、広帯域パッチアンテナ41を小型化することができる。
【0060】
なお、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様にストリップ線路47を備えた広帯域パッチアンテナ41に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1の実施の形態と同様にマイクロストリップ線路を備えた広帯域パッチアンテナに適用してもよい。
【0061】
次に、図16および図17は本発明の第4の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、無給電導体素子の切取り部は角隅部分を円弧状に切り取った形状に形成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
第4の実施の形態による広帯域パッチアンテナ61は、多層基板2、接地導体板6、放射導体素子7、無給電導体素子62等によって構成されている。
【0063】
無給電導体素子62は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に、略四角形状の矩形導体板によって形成されている。また、無給電導体素子62の4隅には、角隅部分を円弧状に切り取った切取り部62Aが形成されている。これにより、無給電導体素子62の角隅部分は、第1の実施の形態による無給電導体素子11に比べて、無給電導体素子62の中央側から外側に向けて円弧状に突出した形状となっている。
【0064】
そして、切取り部62Aの形状や大きさに応じて、無給電導体素子62に流れる電流経路が変化する。このため、切取り部62Aの形状等を適宜設定することによって、放射導体素子7と無給電導体素子62との結合量を調整することができる。
【0065】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
なお、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の広帯域パッチアンテナ61に適用した場合を例に挙げて説明したが、第2,第3の実施の形態による広帯域パッチアンテナ21,41に適用してもよい。
【0067】
次に、図18ないし図21は本発明の第5の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、放射導体素子と無給電導体素子との間にはこれらの結合量を調整するための結合量調整導体板を設けたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0068】
第5の実施の形態による広帯域パッチアンテナ71は、多層基板72、接地導体板6、放射導体素子83、無給電導体素子84、結合量調整導体板85等によって構成されている。
【0069】
ここで、多層基板72は、例えば第3の実施の形態による多層基板42とほぼ同様にLTCC多層基板によって形成され、表面72A側から裏面72B側に向けてZ軸方向に積層した5層の絶縁層73〜77を有している。この場合、接地導体板6は、絶縁層75と絶縁層76との間に設けられ、多層基板72を略全面に亘って覆っている。
【0070】
ストリップ線路78は、接地導体板6からみて放射導体素子83と反対側に設けられ、放射導体素子83に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、ストリップ線路78は、第3の実施の形態によるストリップ線路47とほぼ同様に形成され、接地導体板79およびストリップ導体80を備えている。ここで、接地導体板79は、多層基板72の裏面72B(絶縁層77の裏面)に設けられ、裏面72Bを略全面に亘って覆っている。この接地導体板79は、複数のビア81によって接地導体板6に電気的に接続されている。
【0071】
一方、ストリップ導体80は、例えば接地導体板79と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、絶縁層76と絶縁層77との間に配置されている。このストリップ導体80の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア82を介して放射導体素子83に接続されている。そして、ストリップ線路78は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0072】
放射導体素子83は、第1の実施の形態による放射導体素子7とほぼ同様に形成され、絶縁層74と絶縁層75との間に配置されている。そして、放射導体素子83は接地導体板6と間隔をもって対向すると共に、放射導体板83と接地導体板6との間は絶縁層75によって絶縁されている。
【0073】
無給電導体素子84は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に形成され、多層基板72の表面72A(絶縁層73の表面)に設けられている。この無給電導体素子84は、略四角形状の矩形導体板によって形成され、放射導体素子83からみて接地導体板6と反対側に位置して、放射導体素子83および接地導体板6と絶縁されている。また、無給電導体素子84の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部84Aがそれぞれ設けられている。
【0074】
結合量調整導体板85は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料を用いて略四角形状に形成され、放射導体素子83と無給電導体素子84との間に配置されている。具体的には、結合量調整導体板85は、図19および図20に示すように、絶縁層73と絶縁層74との間に配置され、放射導体素子83および無給電導体素子84に対して絶縁されている。
【0075】
また、結合量調整導体板85は、図21に示すように、Y軸方向に例えば数百μm程度の幅寸法L5を有すると共に、X軸方向に例えば数百μm程度の長さ寸法L6を有している。この結合量調整導体板85の幅寸法L5は、例えば放射導体素子83の幅寸法L1および無給電導体素子84の幅寸法L3よりも大きくなっている。一方、結合量調整導体板85の長さ寸法L6は、例えば放射導体素子83の長さ寸法L2および無給電導体素子84の長さ寸法L4よりも小さくなっている。これにより、結合量調整導体板85は、放射導体素子83と無給電導体素子84とが互いに重なり合う部位のうちその一部となる中心部分(例えばX軸方向の中心部分)をY軸方向に横切って覆っている。このため、結合量調整導体板85は、放射導体素子83に流れる電流Iの向きに対して直交方向に放射導体素子83を跨いでいる。
【0076】
また、結合量調整導体板85の両端側には一対のビア86が設けられている。これらのビア86は、ビア81,82とほぼ同様に柱状の導体として形成され、絶縁層74,75を貫通して形成され、結合量調整導体板85と接地導体板6とを電気的に接続している。
【0077】
そして、放射導体素子83、無給電導体素子84および結合量調整導体板85は、例えば互いの中心位置がXY平面上の同じ位置に配置されている。また、放射導体素子83、無給電導体素子84および結合量調整導体板85は、これらの中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されると共に、これらの中心位置を通るY軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0078】
この結合量調整導体板85は、その幅寸法L5に応じて電流の共振周波数を調整することができ、その長さ寸法L6に応じて放射導体素子83と無給電導体素子84との電界結合の強さを調整することができる。これにより、結合量調整導体板85は、放射導体素子83と無給電導体素子84との間の結合量を調整するものである。
【0079】
この結合量調整導体板85および無給電導体素子84の切取り部84Aによる効果を確認するために、結合量調整導体板85および切取り部84Aを省いた場合(第2の比較例)、結合量調整導体板85だけを設けた場合(第3の比較例)、結合量調整導体板85および切取り部84Aの両方を設けた場合(第5の実施の形態)について、リターンロスの周波数特性を測定した。その結果を図22に示す。
【0080】
なお、多層基板72の厚さ寸法は0.7mmとした。放射導体素子83の幅寸法L1は0.55mm、長さ寸法L2は0.7mmとした。無給電導体素子84の幅寸法L3は1.15mm、長さ寸法L4は0.6mmとした。結合量調整導体板85の幅寸法L5は1.5mm、長さ寸法L6は0.3mmとした。ビア81,82,86の直径は0.1mmとした。
【0081】
図22の結果より、結合量調整導体板85および切取り部84Aを設けない場合(第2の比較例)では、リターンロスが−8dBよりも低下する帯域が14GHz程度となる。これに対し、結合量調整導体板85だけを設けた場合(第3の比較例)では、リターンロスが−8dBよりも低下する帯域が19GHz程度となる。但し、第3の比較例の場合でも、2つの共振周波数間の帯域では、第2の比較例と同様に、リターンロスは−8dB程度まで上昇する。
【0082】
次に、結合量調整導体板85および切取り部84Aの両方を設けた場合(第5の実施の形態)について検討する。この場合には、切取り部84Aを設けない場合(第3の比較例)に比べて、低周波側の共振周波数が高周波側にシフトするものの、2つの共振周波数の間の帯域では、リターンロスが−10dBよりも低下すると共に、リターンロスが−10dBよりも低下する帯域が16GHz程度となる。これにより、本実施の形態では、2つの共振周波数間の帯域でリターンロスを全体的に低下させることができると共に、リターンロスが低下した帯域を拡大できることが分かる。
【0083】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、放射導体素子83と無給電導体素子84との間には結合量調整導体板85を設けたから、放射導体素子83と無給電導体素子84とが電界結合するときに、結合量調整導体板85を用いてこの電界結合の強さを調整することができる。これにより、無給電導体素子84の切取り部84Aに加えて、結合量調整導体板85によっても、放射導体素子83と無給電導体素子84との結合量を調整することができ、ストリップ線路78と放射導体素子83とが整合する帯域のリターンロスを全体的に低下させることができると共に、この帯域を広げることができる。
【0084】
なお、第5の実施の形態では、第3の実施の形態と同様の広帯域パッチアンテナ71に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1,第2,第4の実施の形態による広帯域パッチアンテナ1,21,61に適用してもよい。
【0085】
また、前記各実施の形態では、広帯域パッチアンテナ1,21,41,61,71を多層基板2,22,42,62,72に形成した場合を例に挙げて説明したが、単層の基板に導体板等を設けることによって、広帯域パッチアンテナを形成してもよい。
【0086】
また、前記各実施の形態では、給電線路としてマイクロストリップ線路8やストリップ線路27,47,78を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えば同軸ケーブル等の他の給電線路を用いる構成としてもよい。
【0087】
また、前記各実施の形態では、60GHz帯のミリ波に用いる広帯域パッチアンテナを例に挙げて説明したが、他の周波数帯のミリ波やマイクロ波等に用いる広帯域パッチアンテナに適用してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1,21,41,61,71 広帯域パッチアンテナ(広帯域アンテナ)
2,22,42,72 多層基板
6 接地導体板
6A 接続用開口
7,32,52,83 放射導体素子
8 マイクロストリップ線路
9,29,49,80 ストリップ導体
11,33,53,62,84 無給電導体素子
11A,33A,53A,62A,84A 切取り部
27,47,78 ストリップ線路
28,48,79 接地導体板(他の接地導体板)
85 結合量調整導体板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマイクロ波やミリ波等の高周波信号に用いて好適な広帯域アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による広帯域アンテナとして、例えば波長に比べて薄い誘電体を挟んで互いに対向する放射導体素子と接地導体板を設けると共に、放射導体素子の放射面側に無給電導体素子を設けたマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−93305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1による広帯域アンテナでは、放射導体素子と無給電導体素子との電磁界結合を利用して広帯域化を実現している。しかし、電磁界結合の大きさは放射導体素子と無給電導体素子との間の厚さ方向の間隔寸法が大きく寄与するため、帯域を広げるには限界がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、放射導体素子と無給電導体素子との間隔とは別個に帯域を広げることができる広帯域アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明による広帯域アンテナは、グランドに接続された接地導体板と、該接地導体板と間隔をもって対向し給電線路に接続された放射導体素子と、該放射導体素子からみて前記接地導体板と反対側に配置され前記接地導体板および放射導体素子と絶縁された無給電導体素子とを備えた広帯域アンテナにおいて、前記無給電導体素子は、略四角形状をなす矩形導体板によって形成し、該矩形導体板の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部を設ける構成としたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明では、前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられた他の接地導体板と、該他の接地導体板と前記接地導体板との間に設けられたストリップ導体とからなるストリップ線路によって構成し、該ストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられたストリップ導体からなるマイクロストリップ線路によって構成し、該マイクロストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としている。
【0009】
請求項4の発明では、前記接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子は、複数の絶縁層が積層された多層基板に設けると共に、該多層基板の厚さ方向に対して互いに異なる位置に配置する構成としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、無給電導体素子の矩形導体板には、その4隅に位置して角隅部分を切り取った切取り部を設けたから、該切取り部によって無給電導体素子に流れる電流の経路を調整することができる。これにより、無給電導体素子と放射導体素子との間隔とは別個な切取り部によって、無給電導体素子と放射導体素子との間の結合量を調整することができる。この結果、無給電導体素子と放射導体素子との間隔を広げることなく、給電線路と放射導体素子とが整合する帯域を広くすることができ、アンテナ全体を低背化、小型化することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、給電線路は、接地導体板からみて放射導体素子と反対側に配置されたストリップ線路によって構成したから、例えば接地導体板および放射導体素子を絶縁材料からなる基板に設けた場合には、該基板にストリップ線路を一緒に形成することができ、生産性の向上や特性ばらつきの軽減を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、給電線路は、接地導体板からみて放射導体素子と反対側に配置されたマイクロストリップ線路によって構成したから、例えば接地導体板および放射導体素子を絶縁材料からなる基板に設けた場合には、該基板にマイクロストリップ線路を一緒に形成することができ、生産性の向上や特性ばらつきの軽減を図ることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子は、複数の絶縁層が積層された多層基板に設ける構成とした。このため、例えば互いに異なる絶縁層の表面に接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子を設けることによって、これらを多層基板の厚さ方向に対して互いに異なる位置に容易に配置することができる。この結果、生産性を高めることができると共に、アンテナ毎の特性ばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図2】広帯域パッチアンテナを図1中の矢示II−II方向からみた断面図である。
【図3】広帯域パッチアンテナを図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】図1中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図5】広帯域パッチアンテナの第1の共振モードを図2と同じ位置で示す説明図である。
【図6】広帯域パッチアンテナの第2の共振モードを図2と同じ位置で示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態および第1の比較例において、リターンロスの周波数特性を示す特性線図である。
【図8】第2の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図9】広帯域パッチアンテナを図8中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】広帯域パッチアンテナを図9中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【図11】図8中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図12】第3の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図13】広帯域パッチアンテナを図12中の矢示XIII−XIII方向からみた断面図である。
【図14】広帯域パッチアンテナを図13中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。
【図15】図12中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図16】第4の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図17】図16中の広帯域パッチアンテナを示す平面図である。
【図18】第5の実施の形態による広帯域パッチアンテナを示す斜視図である。
【図19】広帯域パッチアンテナを図18中の矢示XIX−XIX方向からみた断面図である。
【図20】広帯域パッチアンテナを図19中の矢示XX−XX方向からみた断面図である。
【図21】広帯域パッチアンテナを図19中の矢示XXI−XXI方向からみた断面図である。
【図22】第5の実施の形態および第2,第3の比較例において、リターンロスの周波数特性を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による広帯域アンテナとして例えば60GHz帯用の広帯域パッチアンテナを例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1ないし図4は第1の実施の形態による広帯域パッチアンテナ1を示している。この広帯域パッチアンテナ1は、後述する多層基板2、接地導体板6、放射導体素子7、無給電導体素子11等によって構成されている。
【0017】
多層基板2は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうち例えばX軸方向およびY軸方向に対して平行に広がる平板状に形成されている。この多層基板2は、幅方向となるY軸方向に対して例えば数mm程度の幅寸法を有し、長さ方向となるX軸方向に対して例えば数mm程度の長さ寸法を有すると共に、厚さ方向となるZ軸方向に対して例えば数百μm程度の厚さ寸法を有している。
【0018】
また、多層基板2は、表面2A側から裏面2B側に向けてZ軸方向に積層した3層の絶縁層3〜5を有している。各絶縁層3〜5は、例えば絶縁性の樹脂材料からなり、薄い層状に形成されている。
【0019】
接地導体板6は、例えば銅、銀等の導電性金属材料を用いて形成され、グランドに接続されている。この接地導体板6は、絶縁層4と絶縁層5との間に位置して多層基板2の略全面を覆っている。接地導体板6の表面側には放射導体素子7が設けられると共に、接地導体板6の裏面側にはマイクロストリップ線路8が設けられている。このため、放射導体素子7とマイクロストリップ線路8との間を接続するために、接地導体板6の中央部分には、例えば略円形の接続用開口6Aが設けられている。
【0020】
放射導体素子7は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料を用いて略四角形状の矩形導体板によって形成され、接地導体板6と間隔をもって対向している。具体的には、放射導体素子7は、絶縁層3と絶縁層4との間に配置されている。この放射導体素子7と接地導体板6との間には、絶縁層4が配置されている。このため、放射導体素子7は、接地導体板6と絶縁された状態で、接地導体板6と対面している。
【0021】
また、放射導体素子7は、図4に示すように、Y軸方向に延びる2辺と、X軸方向に延びる2辺とを有している。この放射導体素子7は、Y軸方向に例えば数百μm程度の幅寸法L1を有すると共に、X軸方向に例えば数百μm程度の長さ寸法L2を有している。この放射導体素子7のX軸方向の長さ寸法L2は、電気長で例えば使用する高周波信号の半波長となる値に設定されている。
【0022】
さらに、放射導体素子7には、X軸方向の途中位置に後述のビア10が接続されると共に、該ビア10を介して後述のマイクロストリップ線路8が接続されている。そして、放射導体素子7には、マイクロストリップ線路8からの給電によって、X軸方向に向けて電流Iが流れる構成となっている。
【0023】
マイクロストリップ線路8は、図1ないし図4に示すように、接地導体板6からみて放射導体素子7と反対側に設けられ、放射導体素子7に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、マイクロストリップ線路8は、接地導体板6からみて放射導体素子7と反対側に設けられたストリップ導体9によって構成されている。このストリップ導体9は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、多層基板2の裏面2B(絶縁層5の裏面)に設けられている。このストリップ導体9の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア10を介して放射導体素子7に接続されている。
【0024】
このビア10は、絶縁層4,5を貫通して内径が数十〜数百μm程度(例えば100μm)の貫通孔に例えば銅、銀等の導電性金属材料を設けることによって柱状の導体として形成されている。また、ビア10は、接続用開口6Aの中心部分を通ってZ軸方向に延び、その両端が放射導体素子7とストリップ導体9にそれぞれ接続されている。そして、マイクロストリップ線路8は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0025】
無給電導体素子11は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料を用いて略四角形状の矩形導体板によって形成されている。この無給電導体素子11は、Y軸方向に延びる2辺と、X軸方向に延びる2辺とを有している。そして、無給電導体素子11の2辺は、放射導体素子7のY軸方向に延びる2辺と平行な状態で配置されている。一方、無給電導体素子11の他の2辺は、放射導体素子7のX軸方向に延びる2辺と平行な状態で配置されている。
【0026】
また、無給電導体素子11は、放射導体素子7からみて接地導体板6と反対側に位置して、多層基板2の表面2A(絶縁層3の表面)に配置されている。この無給電導体素子11と放射導体素子7との間には、絶縁層3が配置されている。このため、無給電導体素子11は、放射導体素子7および接地導体板6と絶縁された状態で、放射導体素子7と間隔をもって対面している。
【0027】
さらに、無給電導体素子11は、図4に示すように、Y軸方向に例えば数百μm程度の幅寸法L3を有すると共に、X軸方向に例えば数百μm程度の長さ寸法L4を有している。この無給電導体素子11の幅寸法L3は、例えば放射導体素子7の幅寸法L1よりも小さくなっている。一方、無給電導体素子11の長さ寸法L4は、例えば放射導体素子7の長さ寸法L2よりも小さくなっている。なお、無給電導体素子11および放射導体素子7の大小関係やこれらの具体的な形状は、上述のものに限らず、広帯域パッチアンテナ1の放射パターン等を考慮して適宜設定されるものである。そして、無給電導体素子11は、放射導体素子7と電磁界係合を生じる。
【0028】
また、無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aが形成されている。各切取り部11Aは、例えば無給電導体素子11の矩形導体板の角隅部分を、X軸とY軸に対して斜めに傾斜した方向に向けて直線状に切り取った形状となっている。即ち、無給電導体素子11の角隅部分には、各切取り部11Aによって略三角形状の切欠きが形成されている。
【0029】
そして、切取り部11Aは、その形状や大きさに応じて、無給電導体素子11に流れる電流経路が変化する。このため、切取り部11Aは、その形状等を適宜設定することによって、放射導体素子7と無給電導体素子11との結合量を調整するものである。
【0030】
本実施の形態による広帯域パッチアンテナ1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0031】
まず、マイクロストリップ線路8から放射導体素子7に向けて給電を行うと、放射導体素子7には、X軸方向に向けて電流Iが流れる。これにより、広帯域パッチアンテナ1は、放射導体素子7の長さ寸法L2に応じた高周波信号を送信または受信する。
【0032】
このとき、放射導体素子7と無給電導体素子11とは、互いに電磁界結合し、無給電導体素子11にもX軸方向に向けて電流Iが流れる。また、放射導体素子7の4辺と無給電導体素子11と4辺とはそれぞれ平行に延びているから、放射導体素子7および無給電導体素子11は、例えばX軸方向に沿った直線偏波の電磁波を放射する。
【0033】
ここで、放射導体素子7および無給電導体素子11は、図5および図6に示すように、互いに共振周波数が異なる2つの共振モードを有する。これら2つの共振周波数では高周波信号のリターンロスが低下するのに加え、これら2つの共振周波数の間の周波数帯域でも高周波信号のリターンロスが低下する。このため、無給電導体素子11を省いた場合に比べて、使用可能な高周波信号の帯域が広がる。
【0034】
また、無給電導体素子11は放射導体素子7との間隔寸法が大きくなるに従って、マイクロストリップ線路8と放射導体素子7とが整合する帯域は広がる傾向がある。しかし、無給電導体素子11は放射導体素子7との間隔寸法が大きくなると、アンテナ全体が大型化してしまい、小型の電子機器等には適用が難しいという問題がある。
【0035】
これに対し、本実施の形態では、矩形導体板からなる無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aを形成した。このとき、切取り部11Aの形状や大きさに応じて、無給電導体素子11に流れる電流経路が変化する。このため、切取り部11Aの形状等を適宜設定することによって、放射導体素子7と無給電導体素子11との結合量を調整することができる。
【0036】
この切取り部11Aによる効果を確認するために、切取り部11Aを設けた場合(第1の実施の形態)と、設けなかった場合(第1の比較例)について、リターンロスの周波数特性を測定した。その結果を図7に示す。なお、多層基板2の厚さ寸法は0.6mmとした。放射導体素子7の幅寸法L1は0.95mm、長さ寸法L2は1mmとした。無給電導体素子11の幅寸法L3および長さ寸法L4は、いずれも0.8mmとした。切取り部11Aの幅寸法および長さ寸法は、いずれも0.2mmとした。
【0037】
図7の結果より、切取り部11Aを設けない場合には、リターンロスが−10dBよりも低下する帯域が14GHz程度となる。これに対し、切取り部11Aを設けた場合には、リターンロスが−10dBよりも低下する帯域が14.5GHz程度となり、帯域が広がることが分かる。
【0038】
また、切取り部11Aを設けない場合には、2つの共振周波数の間でリターンロスが−11dB程度まで上昇する。一方、切取り部11Aを設けた場合には、2つの共振周波数の間ではリターンロスが−15dBよりも低下し、切取り部11Aを設けない場合に比べて、リターンロスが低下する。
【0039】
かくして、本実施の形態では、無給電導体素子11の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部11Aを設けたから、切取り部11Aによって無給電導体素子11に流れる電流の経路を調整して、マイクロストリップ線路8に整合するように、広帯域チップアンテナ1の放射Qを調整することができる。これにより、無給電導体素子11と放射導体素子7との間隔とは別個な切取り部11Aによって、無給電導体素子11と放射導体素子7との間の結合量を調整することができる。この結果、無給電導体素子11と放射導体素子7との間隔を広げることなく、マイクロストリップ線路8と放射導体素子7とが整合する帯域を広くすることができ、広帯域チップアンテナ1を低背化、小型化することができる。
【0040】
また、無給電導体素子11に切取り部11Aを設けることによって、無給電導体素子11とマイクロストリップ線路8とが整合する帯域全体でリターンロスを低下させることができる。このため、使用帯域でリターンロスに余裕を持たせることができ、製造誤差を許容できると共に、設計自由度を高めることができる。
【0041】
また、接地導体板6、放射導体素子7および無給電導体素子11は、複数の絶縁層3〜5が積層された多層基板2に設ける構成とした。このため、互いに異なる絶縁層3〜5の表面に無給電導体素子11、放射導体素子7および接地導体板6を順次設けることによって、これらを多層基板2の厚さ方向に対して互いに異なる位置に容易に配置することができる。
【0042】
さらに、接地導体板6からみて放射導体素子7と反対側に位置してマイクロストリップ線路8を設けた。このため、接地導体板6、放射導体素子7および無給電導体素子11を設けた多層基板2にマイクロストリップ線路8を一緒に形成することができ、生産性の向上や特性ばらつきの軽減を図ることができる。
【0043】
次に、図8ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、放射導体素子にストリップ線を接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0044】
第2の実施の形態による広帯域パッチアンテナ21は、多層基板22、接地導体板6、放射導体素子32、無給電導体素子33等によって構成されている。ここで、多層基板22は、第1の実施の形態による多層基板2とほぼ同様に、例えば絶縁性の樹脂材料を用いて形成され、表面22A側から裏面22B側に向けてZ軸方向に積層した4層の絶縁層23〜26を有している。この場合、接地導体板6は、絶縁層24と絶縁層25との間に設けられ、多層基板22を略全面に亘って覆っている。
【0045】
ストリップ線路27は、図8ないし図10に示すように、接地導体板6からみて放射導体素子32と反対側に設けられ、放射導体素子32に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、ストリップ線路27は、接地導体板6からみて放射導体素子32と反対側に設けられた他の接地導体板28と、接地導体板6と接地導体板28との間に設けられたストリップ導体29とによって構成されている。ここで、接地導体板28は、多層基板22の裏面22B(絶縁層26の裏面)に設けられ、裏面22Bを略全面に亘って覆っている。この接地導体板28は、複数のビア30によって接地導体板6に電気的に接続されている。
【0046】
このビア30は、第1の実施の形態によるビア10とほぼ同様に、柱状の導体として形成されている。また、ビア30は、Z軸方向に延びて、その両端が接地導体板6,28にそれぞれ接続されている。そして、複数のビア30は、ストリップ導体29を取囲んで配置されている。これにより、ビア30は、接地導体板6,28の電位を安定させると共に、ストリップ導体29を伝搬する高周波信号が漏洩するのを抑制している。
【0047】
一方、ストリップ導体29は、例えば接地導体板6,28と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、絶縁層25と絶縁層26との間に配置されている。このストリップ導体29の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア31を介して放射導体素子32に接続されている。
【0048】
このビア31も、ビア30とほぼ同様に柱状の導体として形成されている。また、ビア31は、絶縁層24,25を貫通して形成され、接続用開口6Aの中心部分を通ってZ軸方向に延び、その両端が放射導体素子32とストリップ導体29にそれぞれ接続されている。そして、ストリップ線路27は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0049】
放射導体素子32は、第1の実施の形態による放射導体素子7とほぼ同様に形成され、絶縁層23と絶縁層24との間に配置されている。そして、放射導体板32は接地導体板6と間隔をもって対向すると共に、放射導体素子32と接地導体板6との間は絶縁層24によって絶縁されている。
【0050】
無給電導体素子33は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に形成され、多層基板22の表面22A(絶縁層23の表面)に設けられている。この無給電導体素子33は、略四角形状の矩形導体板によって形成され、放射導体素子32からみて接地導体板6と反対側に位置して、放射導体素子32および接地導体板6と絶縁されている。また、無給電導体素子33の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部33Aがそれぞれ設けられている。
【0051】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、放射導体素子32にストリップ線路27を接続する構成としたから、第1の実施の形態によるマイクロストリップ線路8に比べて、ストリップ導体29の周囲に高周波信号の電磁界を閉じ込めることができ、高周波信号の漏洩を防止することができる。
【0052】
次に、図12ないし図15は本発明の第3の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、多層基板を比誘電率の大きなセラミックス材料を用いて形成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0053】
第3の実施の形態による広帯域パッチアンテナ41は、多層基板42、接地導体板6、放射導体素子52、無給電導体素子53等によって構成されている。
【0054】
ここで、多層基板42は、例えば低温同時焼成セラミックス多層基板(LTCC多層基板)によって形成され、表面42A側から裏面42B側に向けてZ軸方向に積層した4層の絶縁層43〜46を有している。各絶縁層43〜46は、1000℃以下の低温で焼成可能な絶縁性のセラミックス材料からなり、薄い層状に形成されている。これらの各絶縁層43〜46は、その比誘電率が例えば第1の実施の形態による多層基板2の樹脂材料に比べて大きな値となっている。この場合、接地導体板6は、絶縁層44と絶縁層45との間に設けられ、多層基板42を略全面に亘って覆っている。
【0055】
ストリップ線路47は、図12ないし図14に示すように、接地導体板6からみて放射導体素子52と反対側に設けられ、放射導体素子52に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、ストリップ線路47は、第2の実施の形態によるストリップ線路27とほぼ同様に形成され、接地導体板48およびストリップ導体49を備えている。ここで、接地導体板48は、多層基板42の裏面42B(絶縁層46の裏面)に設けられ、裏面42Bを略全面に亘って覆っている。この接地導体板48は、複数のビア50によって接地導体板6に電気的に接続されている。
【0056】
一方、ストリップ導体49は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、絶縁層45と絶縁層46との間に配置されている。このストリップ導体49の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア51を介して放射導体素子52に接続されている。そして、ストリップ線路47は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0057】
放射導体素子52は、第1の実施の形態による放射導体素子7とほぼ同様に形成され、絶縁層43と絶縁層44との間に配置されている。そして、放射導体素子52は接地導体板6と間隔をもって対向すると共に、放射導体板52と接地導体板6との間は絶縁層44によって絶縁されている。
【0058】
無給電導体素子53は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に形成され、多層基板42の表面42A(絶縁層43の表面)に設けられている。この無給電導体素子53は、略四角形状の矩形導体板によって形成され、放射導体素子52からみて接地導体板6と反対側に位置して、放射導体素子52および接地導体板6と絶縁されている。また、無給電導体素子53の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部53Aがそれぞれ設けられている。
【0059】
かくして、本実施の形態でも第1,第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、多層基板42を比誘電率の大きなセラミックス材料を用いて形成したから、放射導体素子52や無給電導体素子53を小さくすることができ、広帯域パッチアンテナ41を小型化することができる。
【0060】
なお、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様にストリップ線路47を備えた広帯域パッチアンテナ41に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1の実施の形態と同様にマイクロストリップ線路を備えた広帯域パッチアンテナに適用してもよい。
【0061】
次に、図16および図17は本発明の第4の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、無給電導体素子の切取り部は角隅部分を円弧状に切り取った形状に形成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
第4の実施の形態による広帯域パッチアンテナ61は、多層基板2、接地導体板6、放射導体素子7、無給電導体素子62等によって構成されている。
【0063】
無給電導体素子62は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に、略四角形状の矩形導体板によって形成されている。また、無給電導体素子62の4隅には、角隅部分を円弧状に切り取った切取り部62Aが形成されている。これにより、無給電導体素子62の角隅部分は、第1の実施の形態による無給電導体素子11に比べて、無給電導体素子62の中央側から外側に向けて円弧状に突出した形状となっている。
【0064】
そして、切取り部62Aの形状や大きさに応じて、無給電導体素子62に流れる電流経路が変化する。このため、切取り部62Aの形状等を適宜設定することによって、放射導体素子7と無給電導体素子62との結合量を調整することができる。
【0065】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
なお、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の広帯域パッチアンテナ61に適用した場合を例に挙げて説明したが、第2,第3の実施の形態による広帯域パッチアンテナ21,41に適用してもよい。
【0067】
次に、図18ないし図21は本発明の第5の実施の形態を示している。そして、本実施の形態の特徴は、放射導体素子と無給電導体素子との間にはこれらの結合量を調整するための結合量調整導体板を設けたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0068】
第5の実施の形態による広帯域パッチアンテナ71は、多層基板72、接地導体板6、放射導体素子83、無給電導体素子84、結合量調整導体板85等によって構成されている。
【0069】
ここで、多層基板72は、例えば第3の実施の形態による多層基板42とほぼ同様にLTCC多層基板によって形成され、表面72A側から裏面72B側に向けてZ軸方向に積層した5層の絶縁層73〜77を有している。この場合、接地導体板6は、絶縁層75と絶縁層76との間に設けられ、多層基板72を略全面に亘って覆っている。
【0070】
ストリップ線路78は、接地導体板6からみて放射導体素子83と反対側に設けられ、放射導体素子83に対する給電を行う給電線路を構成している。具体的には、ストリップ線路78は、第3の実施の形態によるストリップ線路47とほぼ同様に形成され、接地導体板79およびストリップ導体80を備えている。ここで、接地導体板79は、多層基板72の裏面72B(絶縁層77の裏面)に設けられ、裏面72Bを略全面に亘って覆っている。この接地導体板79は、複数のビア81によって接地導体板6に電気的に接続されている。
【0071】
一方、ストリップ導体80は、例えば接地導体板79と同様の導電性金属材料からなり、X軸方向に延びる細長い帯状に形成されると共に、絶縁層76と絶縁層77との間に配置されている。このストリップ導体80の端部は、接続用開口6Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア82を介して放射導体素子83に接続されている。そして、ストリップ線路78は、幅方向の中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0072】
放射導体素子83は、第1の実施の形態による放射導体素子7とほぼ同様に形成され、絶縁層74と絶縁層75との間に配置されている。そして、放射導体素子83は接地導体板6と間隔をもって対向すると共に、放射導体板83と接地導体板6との間は絶縁層75によって絶縁されている。
【0073】
無給電導体素子84は、第1の実施の形態による無給電導体素子11とほぼ同様に形成され、多層基板72の表面72A(絶縁層73の表面)に設けられている。この無給電導体素子84は、略四角形状の矩形導体板によって形成され、放射導体素子83からみて接地導体板6と反対側に位置して、放射導体素子83および接地導体板6と絶縁されている。また、無給電導体素子84の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部84Aがそれぞれ設けられている。
【0074】
結合量調整導体板85は、例えば接地導体板6と同様の導電性金属材料を用いて略四角形状に形成され、放射導体素子83と無給電導体素子84との間に配置されている。具体的には、結合量調整導体板85は、図19および図20に示すように、絶縁層73と絶縁層74との間に配置され、放射導体素子83および無給電導体素子84に対して絶縁されている。
【0075】
また、結合量調整導体板85は、図21に示すように、Y軸方向に例えば数百μm程度の幅寸法L5を有すると共に、X軸方向に例えば数百μm程度の長さ寸法L6を有している。この結合量調整導体板85の幅寸法L5は、例えば放射導体素子83の幅寸法L1および無給電導体素子84の幅寸法L3よりも大きくなっている。一方、結合量調整導体板85の長さ寸法L6は、例えば放射導体素子83の長さ寸法L2および無給電導体素子84の長さ寸法L4よりも小さくなっている。これにより、結合量調整導体板85は、放射導体素子83と無給電導体素子84とが互いに重なり合う部位のうちその一部となる中心部分(例えばX軸方向の中心部分)をY軸方向に横切って覆っている。このため、結合量調整導体板85は、放射導体素子83に流れる電流Iの向きに対して直交方向に放射導体素子83を跨いでいる。
【0076】
また、結合量調整導体板85の両端側には一対のビア86が設けられている。これらのビア86は、ビア81,82とほぼ同様に柱状の導体として形成され、絶縁層74,75を貫通して形成され、結合量調整導体板85と接地導体板6とを電気的に接続している。
【0077】
そして、放射導体素子83、無給電導体素子84および結合量調整導体板85は、例えば互いの中心位置がXY平面上の同じ位置に配置されている。また、放射導体素子83、無給電導体素子84および結合量調整導体板85は、これらの中心位置を通るX軸に平行な線に関して線対称に形成されると共に、これらの中心位置を通るY軸に平行な線に関して線対称に形成されている。
【0078】
この結合量調整導体板85は、その幅寸法L5に応じて電流の共振周波数を調整することができ、その長さ寸法L6に応じて放射導体素子83と無給電導体素子84との電界結合の強さを調整することができる。これにより、結合量調整導体板85は、放射導体素子83と無給電導体素子84との間の結合量を調整するものである。
【0079】
この結合量調整導体板85および無給電導体素子84の切取り部84Aによる効果を確認するために、結合量調整導体板85および切取り部84Aを省いた場合(第2の比較例)、結合量調整導体板85だけを設けた場合(第3の比較例)、結合量調整導体板85および切取り部84Aの両方を設けた場合(第5の実施の形態)について、リターンロスの周波数特性を測定した。その結果を図22に示す。
【0080】
なお、多層基板72の厚さ寸法は0.7mmとした。放射導体素子83の幅寸法L1は0.55mm、長さ寸法L2は0.7mmとした。無給電導体素子84の幅寸法L3は1.15mm、長さ寸法L4は0.6mmとした。結合量調整導体板85の幅寸法L5は1.5mm、長さ寸法L6は0.3mmとした。ビア81,82,86の直径は0.1mmとした。
【0081】
図22の結果より、結合量調整導体板85および切取り部84Aを設けない場合(第2の比較例)では、リターンロスが−8dBよりも低下する帯域が14GHz程度となる。これに対し、結合量調整導体板85だけを設けた場合(第3の比較例)では、リターンロスが−8dBよりも低下する帯域が19GHz程度となる。但し、第3の比較例の場合でも、2つの共振周波数間の帯域では、第2の比較例と同様に、リターンロスは−8dB程度まで上昇する。
【0082】
次に、結合量調整導体板85および切取り部84Aの両方を設けた場合(第5の実施の形態)について検討する。この場合には、切取り部84Aを設けない場合(第3の比較例)に比べて、低周波側の共振周波数が高周波側にシフトするものの、2つの共振周波数の間の帯域では、リターンロスが−10dBよりも低下すると共に、リターンロスが−10dBよりも低下する帯域が16GHz程度となる。これにより、本実施の形態では、2つの共振周波数間の帯域でリターンロスを全体的に低下させることができると共に、リターンロスが低下した帯域を拡大できることが分かる。
【0083】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、放射導体素子83と無給電導体素子84との間には結合量調整導体板85を設けたから、放射導体素子83と無給電導体素子84とが電界結合するときに、結合量調整導体板85を用いてこの電界結合の強さを調整することができる。これにより、無給電導体素子84の切取り部84Aに加えて、結合量調整導体板85によっても、放射導体素子83と無給電導体素子84との結合量を調整することができ、ストリップ線路78と放射導体素子83とが整合する帯域のリターンロスを全体的に低下させることができると共に、この帯域を広げることができる。
【0084】
なお、第5の実施の形態では、第3の実施の形態と同様の広帯域パッチアンテナ71に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1,第2,第4の実施の形態による広帯域パッチアンテナ1,21,61に適用してもよい。
【0085】
また、前記各実施の形態では、広帯域パッチアンテナ1,21,41,61,71を多層基板2,22,42,62,72に形成した場合を例に挙げて説明したが、単層の基板に導体板等を設けることによって、広帯域パッチアンテナを形成してもよい。
【0086】
また、前記各実施の形態では、給電線路としてマイクロストリップ線路8やストリップ線路27,47,78を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えば同軸ケーブル等の他の給電線路を用いる構成としてもよい。
【0087】
また、前記各実施の形態では、60GHz帯のミリ波に用いる広帯域パッチアンテナを例に挙げて説明したが、他の周波数帯のミリ波やマイクロ波等に用いる広帯域パッチアンテナに適用してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1,21,41,61,71 広帯域パッチアンテナ(広帯域アンテナ)
2,22,42,72 多層基板
6 接地導体板
6A 接続用開口
7,32,52,83 放射導体素子
8 マイクロストリップ線路
9,29,49,80 ストリップ導体
11,33,53,62,84 無給電導体素子
11A,33A,53A,62A,84A 切取り部
27,47,78 ストリップ線路
28,48,79 接地導体板(他の接地導体板)
85 結合量調整導体板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドに接続された接地導体板と、該接地導体板と間隔をもって対向し給電線路に接続された放射導体素子と、該放射導体素子からみて前記接地導体板と反対側に配置され前記接地導体板および放射導体素子と絶縁された無給電導体素子とを備えた広帯域アンテナにおいて、
前記無給電導体素子は、略四角形状をなす矩形導体板によって形成し、該矩形導体板の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部を設ける構成としたことを特徴とする広帯域アンテナ。
【請求項2】
前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられた他の接地導体板と、該他の接地導体板と前記接地導体板との間に設けられたストリップ導体とからなるストリップ線路によって構成し、該ストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としてなる請求項1に記載の広帯域アンテナ。
【請求項3】
前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられたストリップ導体からなるマイクロストリップ線路によって構成し、該マイクロストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としてなる請求項1に記載の広帯域アンテナ。
【請求項4】
前記接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子は、複数の絶縁層が積層された多層基板に設けると共に、該多層基板の厚さ方向に対して互いに異なる位置に配置する構成としてなる請求項1,2または3に記載の広帯域アンテナ。
【請求項1】
グランドに接続された接地導体板と、該接地導体板と間隔をもって対向し給電線路に接続された放射導体素子と、該放射導体素子からみて前記接地導体板と反対側に配置され前記接地導体板および放射導体素子と絶縁された無給電導体素子とを備えた広帯域アンテナにおいて、
前記無給電導体素子は、略四角形状をなす矩形導体板によって形成し、該矩形導体板の4隅には、角隅部分を切り取った切取り部を設ける構成としたことを特徴とする広帯域アンテナ。
【請求項2】
前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられた他の接地導体板と、該他の接地導体板と前記接地導体板との間に設けられたストリップ導体とからなるストリップ線路によって構成し、該ストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としてなる請求項1に記載の広帯域アンテナ。
【請求項3】
前記給電線路は、前記接地導体板からみて前記放射導体素子と反対側に設けられたストリップ導体からなるマイクロストリップ線路によって構成し、該マイクロストリップ線路のストリップ導体は、前記接地導体板に設けた接続用開口を通じて前記放射導体素子に接続する構成としてなる請求項1に記載の広帯域アンテナ。
【請求項4】
前記接地導体板、放射導体素子および無給電導体素子は、複数の絶縁層が積層された多層基板に設けると共に、該多層基板の厚さ方向に対して互いに異なる位置に配置する構成としてなる請求項1,2または3に記載の広帯域アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
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【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−155479(P2011−155479A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15563(P2010−15563)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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