説明

床暖房パネル

【課題】床材の表面に窪み等の不具合を起こし得ない床暖房パネルを提供すること。
【解決手段】床暖房パネル1は、板状の床材本体2とパイプ状発熱体とを有する床暖房装置である。床材本体2の裏面21側に、パイプ収納凹溝10と端部収納凹部11とが設けられている。パイプ収納凹溝10は、断面視で凹状を成しており、幅W2と深さD2を備えている。端部収納凹部11は、断面視で凹状を成しており、幅W1と深さD1を備えている。端部収納凹部11には、金属板からなる補強板5が設けられている。床材本体2の裏面21から補強板5の底面5bまでの深さD3は、パイプ収納凹溝10の深さD2と同じであり、補強板5の底面5bとパイプ収納凹溝10の天面10aとは、同一の高さである。補強板5は、端部収納凹部11において、床材本体2の設置姿勢を基準として、パイプ収納凹溝10の天面の高さよりも高い位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房パネルに関し、さらに詳細には、発熱部材を内蔵した床暖房パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房パネルは、床下に電気で発熱する発熱体を配置したものや、熱媒体を循環させるパイプを配置したものなど、様々なものが利用されている。特許文献1には、温水パイプを備えた床暖房パネルが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された床暖房パネルでは、床材の裏面側にパイプ収納溝が形成されている。また、パイプ収納溝に連通する床材の端部には、ヘッダー収納凹所が設けられている。ヘッダー収納凹所は、ヘッダーと呼ばれる熱源接続器具を収容する溝である。ヘッダーは、外部の熱源と温水パイプとをつなぐ接続器具であり、温水パイプよりも広い空間を必要とするものである。ヘッダー収納凹所は、構造上、床材として強度が弱くなっており、移動式ワゴンのキャスター等によってピンポイントで荷重が加わると窪んでしまう恐れがある。そのため、特許文献1に記載された床暖房パネルでは、ヘッダー収納凹所に収容されたヘッダーと床材との間に断熱材を挟み、隙間をなくすことで、床材に窪みが生じることが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−304170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の床暖房パネルでは、ヘッダー収納凹所の体積がヘッダーの体積よりも大きいため、ヘッダー収納凹所内に隙間が生じている。ヘッダー収納凹所内に生じた隙間は、何ら補強がなされていない単なる空洞であり、ピンポイントで荷重が加わると、床材の表面が窪んでしまう恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、床材の表面に窪み等の不具合を起こし得ない床暖房パネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、パイプ状電熱体又は熱媒体流通パイプからなるパイプ状発熱体と、板状の床材本体とを有し、設置姿勢を基準として前記床材本体の裏面側にパイプ収納凹溝と、パイプ収納凹溝に連続しパイプ収納凹溝よりも幅が広い端部収納凹部が形成され、端部収納凹部の一部又は全部の深さは前記パイプ収納凹溝の深さよりも深く、前記パイプ収納凹溝にはパイプ状発熱体の本体部分が収容され、前記端部収納凹部には前記パイプ状発熱体を外部及び/又は隣接する床材本体が有するパイプ状発熱体と接続するための器具が収容され、前記端部収納凹部の天面であってパイプ収納凹溝よりも深さが深い部位に金属板からなる補強板が取り付けられていることを特徴とする床暖房パネルである。
【0008】
本発明で採用する床暖房パネルは、パイプ収納凹溝にパイプ状発熱体を収容した床暖房パネルの構成に加えて、パイプ収納凹溝の深さよりも深い端部収納凹部を備えている。ここで「深さ」とは、床材本体の設置姿勢を基準とした床面からの高さを指すものである。端部収納凹部は、パイプ状発熱体を外部及び/又は隣接する床材本体が有するパイプ状発熱体と接続するための器具が収容される溝である。
【0009】
端部収納凹部の天面には、金属板からなる補強板が取り付けられており、パイプ収納凹溝よりも深さが深い部位に位置している。床材本体の設置姿勢を基準とすると、補強板は、パイプ収納凹溝の天面の高さよりも高い位置に配置されている。そのため、端部収納凹部が金属板からなる補強板で補強されているため、床材の表面に窪み等の不具合が生じることが防止されている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、設置姿勢を基準として補強板の下側表面と、パイプ収納凹溝の天井面とが同一の高さであることを特徴とする請求項1に記載の床暖房パネルである。
【0011】
本発明で採用する床暖房パネルでは、例えば、パイプ収納凹溝と同等の高さを有する前記器具を端部収納凹部に設置した場合に、端部収納凹部に設置された補強板の下側表面と前記器具とを当接させることが可能である。そのため、前記器具を補強部材として利用できるため、端部収納凹部の強度を増すことが可能である。
【0012】
また、前記器具に接続するパイプ状発熱体を変形させる必要がほとんどないため、パイプ状発熱体の強度及び暖房効果を低下させることがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明の床暖房パネルによれば、端部収納凹部が金属板からなる補強板で補強されているため、床材の表面に窪み等の不具合を起こし得ない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る床暖房パネルを示す斜視図である。
【図2】図1の床暖房パネルの分解斜視図である。
【図3】図2の床材本体のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の床暖房パネルの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0016】
本発明の実施形態に係る床暖房パネル1は、床暖房装置の一部を形成する床暖房単体パネルであり、図1に示すように、板状の床材本体2とパイプ状発熱体3とを有している。なお、図1〜3は、便宜上、床暖房パネル1の設置姿勢を基準として、床材本体2の裏面21側が上面となるように描写している。
【0017】
床材本体2には接続器具4が配置されており、パイプ状発熱体3の両端部3a,3bは接続器具4に接続されている。
【0018】
図2に示すように、床暖房パネル1の設置姿勢を基準として、床材本体2の裏面21側に、パイプ収納凹溝10と端部収納凹部11とが設けられている。なお、床材本体2の表面20側は、床暖房パネル1の化粧面を成すものである。
【0019】
パイプ収納凹溝10は、パイプ状発熱体3を収容可能な溝であり、床材本体2の平面内でC字状を成している。図3に示すように、パイプ収納凹溝10は、断面視で凹状を成しており、幅W2と深さD2を備えている。
【0020】
端部収納凹部11は、接続器具4を収容可能な溝であり、図2に示すように、床材本体2の平面内で四角状を成している。図3に示すように、端部収納凹部11は、断面視で凹状を成しており、幅W1と深さD1を備えている。
【0021】
また、図2,3に示すように、床暖房パネル1の設置姿勢を基準として、端部収納凹部11には、金属板からなる補強板5が設けられている。補強板5は、平面視で四角状であり、幅W1と厚みH1を備えている。なお、補強板5の天面5aは、端部収納凹部11の天面11aに当接している。
【0022】
パイプ状発熱体3は、図1,2に示すように、2管構造であり、温水等の熱媒体が当該2管を平行に流れる熱媒体流通パイプ15により形成されている。パイプ状発熱体3は、幅W3と高さH2を備えた管部材である(1管当たりの幅は、幅W3の約2分の1)。パイプ状発熱体3は、合成樹脂で形成されており、屈曲性を有している。なお、パイプ状発熱体3として、熱媒体流通パイプ15の代わりに、パイプ状の電熱体を用いても構わない。
【0023】
接続器具4は、図1,2に示すように、外部又は隣接する床暖房パネルから供給される温水等の熱媒体を、熱媒体流通パイプ15に流すための接続部材である。すなわち、接続器具4は、内部に熱媒体用の流路を有した箱型部材であり、端部に複数の接続口4a〜4dを有している。接続口4a,4bには、それぞれパイプ状発熱体3の端部3a,3bが接続される。一方、接続口4c,4dには、外部の熱媒体供給装置や、隣接する他の床材本体が有するパイプ状発熱体が接続される。また、接続器具4は、幅W4と高さH3を備えている。
【0024】
つぎに、床材本体2におけるパイプ収納凹溝10と端部収納凹部11、補強板5との関係について説明する。
【0025】
図3に示すように、端部収納凹部11の幅W1は、パイプ収納凹溝10の幅W2よりも広く、端部収納凹部11の深さD1は、パイプ収納凹溝10の深さD2よりも深い。
【0026】
また、床材本体2の裏面21から補強板5の底面5bまでの深さD3は、パイプ収納凹溝10の深さD2と同じであり、補強板5の底面5bとパイプ収納凹溝10の天面10aとは、同一の高さである。
【0027】
つまり、補強板5は、端部収納凹部11において、床材本体2の設置姿勢を基準として、パイプ収納凹溝10の天面の高さ(深さD2)よりも高い位置に配置されている。
【0028】
また、端部収納凹部11に収容される接続器具4の幅W4と高さH3は、それぞれ端部収納凹部11の幅W1と前述の深さD3と同等である。そのため、接続器具4は、図1に示したように、端部収納凹部11に丁度収容されており、接続器具4の裏面4eと床材本体2の裏面21とは、同一平面上に位置している。
【0029】
以上のように、本発明の実施形態に係る床暖房パネル1によれば、補強板5は、端部収納凹部11において、床材本体2の設置姿勢を基準として、パイプ収納凹溝10の高さ(深さD2)よりも高い位置に配置されている。また、端部収納凹部11に収容された接続器具4の裏面4eと床材本体2の裏面21とは、同一平面上に位置している。その結果、端部収納凹部11が補強板5で補強されているため、床材本体2の表面に窪み等の不具合が生じることが防止されている。また、接続器具4の裏面4eと床材本体2の裏面21とが同一平面であるため、端部収納凹部11は収容された接続器具4で補強されており、強度が増されている。
【符号の説明】
【0030】
1 床暖房パネル
2 床材本体
3 パイプ状発熱体
4 接続器具
5 補強板
10 パイプ収納凹溝
10a 天面
11 端部収納凹部
11a 天面
15 熱媒体流通パイプ
D1 深さ
D2,D3 深さ(高さ)
W1,W2 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状電熱体又は熱媒体流通パイプからなるパイプ状発熱体と、板状の床材本体とを有し、設置姿勢を基準として前記床材本体の裏面側にパイプ収納凹溝と、パイプ収納凹溝に連続しパイプ収納凹溝よりも幅が広い端部収納凹部が形成され、端部収納凹部の一部又は全部の深さは前記パイプ収納凹溝の深さよりも深く、前記パイプ収納凹溝にはパイプ状発熱体の本体部分が収容され、前記端部収納凹部には前記パイプ状発熱体を外部及び/又は隣接する床材本体が有するパイプ状発熱体と接続するための器具が収容され、前記端部収納凹部の天面であってパイプ収納凹溝よりも深さが深い部位に金属板からなる補強板が取り付けられていることを特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
設置姿勢を基準として補強板の下側表面と、パイプ収納凹溝の天井面とが同一の高さであることを特徴とする請求項1に記載の床暖房パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−108689(P2013−108689A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254676(P2011−254676)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】