説明

床構造

【解決手段】床基礎Fに配設される床構造において、冷暖房用パイプHpが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルP1’、P1”の上に、電力線・通信線が配設される主通路形成用パネルP3を布設し、更に、該主通路形成用パネルP3の上に、電力線・通信線が配設される副通路形成用パネルP4を布設したものである。
【効果】電力線・通信線の配線替えの際に、冷暖房用パイプが配設された冷暖房用パイプ施工用パネルを取り外す必要がなく、従って、電力線・通信線の配線替え作業の作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、コンクリート等で形成された床基礎に配設される床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、種々の形状の床暖房用パイプ溝が形成された略方形状の床モジュールを、隣接する床モジュール間に所定の間隙(この間隙には、電線コードや光ファイバ等の電力線・通信線が収容され配線されることになる。)を置いて、床基礎上に敷き詰め、次いで、床モジュールに形成された床暖房用パイプ溝に、床暖房用パイプを挿入し、その後、床暖房用パイプが配設された床モジュール上に、アルミニウム板及びフローリング材を敷き詰めることにより構成された床構造を提案した。
【0003】
【特許文献1】特開2005−36640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した床構造においては、略方形状の床モジュールを、隣接する床モジュール間に所定の間隙を置いて、多数、敷き詰めなくてはならず、床構造の施工作業に、相当の時間と労力を要するという問題があった。
【0005】
また、種々の床暖房用パイプ溝の形状を有する床モジュールを選択して、床基礎上に多数の敷き詰めなければならないので、種々の床暖房用パイプ溝の形状を有する床モジュールの中から、適当な床モジュールを探すのに更に時間と労力を要するという問題があった。
【0006】
上述した床構造においては、床基礎上に布設された、隣接する床モジュール間に形成された間隙に、電力線・通信線を収容し、床モジュールの上面に形成された床暖房用パイプ溝に、床暖房用パイプが挿入されるように構成されている。ところで、近年の床暖房装置の技術発展により、床暖房用パイプを含め床暖房装置のトラブルの発生は、非常に少ないが、電力線・通信線の配線替えは、頻繁に行われている。上述した床構造においては、電力線・通信線の配線替えを行う際には、床モジュールの上面に形成された床暖房用パイプ溝に挿入されている床暖房用パイプを、床暖房用パイプ溝から排出しなければならず、従って、電力線・通信線の配線替え作業の作業性が悪いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した床構造が有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した目的を達成するために、床基礎に配設される床構造において、第1には、冷暖房用パイプが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルの上に、電力線・通信線が配設される主通路形成用パネルを布設し、更に、該主通路形成用パネルの上に、副通路形成用パネルを布設したものであり、第2には、冷暖房用パイプが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルと主通路形成用パネルとの間に、冷暖房用パイプ保護用パネルを配設したものであり、第3には、冷暖房用パイプ施工用パネルを、直線状溝、半円環状湾曲溝及び四分環状湾曲溝とが形成されている冷暖房用パイプ施工用第1パネルと、直線状溝のみが形成されている冷暖房用パイプ施工用第2パネルとの2種類のパネルにより構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
床基礎に配設される床構造において、冷暖房用パイプが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルの上に、電力線・通信線が配設される主通路形成用パネルを布設し、更に、該主通路形成用パネルの上に、副通路形成用パネルを布設したので、電力線・通信線の配線替えの際に、冷暖房用パイプが配設された冷暖房用パイプ施工用パネルを取り外す必要がなく、従って、電力線・通信線の配線替え作業の作業性が向上する。
【0010】
また、冷暖房用パイプが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルと主通路形成用パネルとの間に、冷暖房用パイプ保護用パネルを配設したので、上からの負荷により、冷暖房用パイプが損傷するようなことを防止することができるとともに、暖房熱や冷却熱を、効果的に蓄熱することができ、従って、冷暖房の熱維持効果を高めることができる。
【0011】
更に、冷暖房用パイプ施工用パネルを、直線状溝、半円環状湾曲溝及び四分環状湾曲溝とが形成されている冷暖房用パイプ施工用第1パネルと、直線状溝のみが形成されている冷暖房用パイプ施工用第2パネルとの2種類のパネルにより構成したので、この2種類のパネルのみにより、どのような大きさの床基礎上に冷暖房用パイプを配設することができるので、冷暖房用パイプの布設時間を短縮することができるとともに、冷暖房用パイプの布設に特殊能力を必要とせず、従って、冷暖房用パイプの布設作業の作業性が向上する。
【実施例】
【0012】
以下に、本発明の床構造の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0013】
先ず最初に、図1及び図2を用いて、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’について説明する。
【0014】
冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の上面には、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の相対する長辺p1’に沿って、等間隔に直線状長溝1aが形成されており、また、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の相対する短辺p1”に沿って、上記の直線状長溝1aの間隔と略同じ間隔で等間隔に直線状短溝1bが形成されている。
【0015】
冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の上面には、隣接する相対する直線状長溝1aと同じく互いに隣接する相対する直線状短溝1bとにより囲繞された、略正方形状の碁盤目領域(以下、この碁盤目を、正方形状碁盤目領域と称する。)2aが形成されている。
【0016】
また、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の周縁部には、長辺p1’及び短辺p1”に沿って、長辺p1’及び短辺p1”と平行な幅が、正方形状碁盤目領域2aと同じ幅を有し、且つ、長辺p1’及び短辺p1”に対して垂直方向の幅が、正方形状碁盤目領域2aの幅の半分の幅を有する領域(以下、この領域を、半碁盤目領域と称する。)2bが形成されている。
【0017】
冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の正方形状碁盤目領域2aには、相対する短辺p1”の一方の短辺p1”(図1において、右側に位置する短辺p1”)側に向かって湾曲した略半環状の湾曲溝(以下、この湾曲溝を、半環状湾曲溝という。)1cが形成されており、半環状湾曲溝1cの湾極端1c’は、直線状短溝1bに接線状に連結されているとともに、半環状湾曲溝1cの2箇所の端部1c”は、それぞれ、隣接する相対する直線状長溝1aに接線状に連結されている。このような半環状湾曲溝1cは、全ての正方形状碁盤目領域2aに形成することもできるが、図1に示されているように、所定の正方形状碁盤目領域2aに形成することもできる。
【0018】
また、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の半碁盤目領域2bには、相対する短辺p1”の一方の短辺p1”(図1において、右側に位置する短辺p1”)側に向かって湾曲した、環状溝の略四分の一の湾曲溝(以下、この湾曲溝を、四分環状湾曲溝という。)1dが形成されており、四分環状湾曲溝1dの湾極端1d’は、直線状短溝1bに接線状に連結されているとともに、四分環状湾曲溝1dの端部1d”は、直線状長溝1aに接線状に連結されている。このような四分環状湾曲溝1dは、全ての半碁盤目領域2bに形成することも、図1に示されているように、所定の半碁盤目領域2bに形成することもできる。
【0019】
次に、図3を用いて、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”について説明する。
【0020】
冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の大きさは、上述した冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’と略同じ大きさを有しており、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の上面には、相対する長辺p1’に沿って、且つ、相対する短辺p1”まで達する直線状長溝1eが、等間隔に形成されており、隣接する相対する直線状長溝1e間の間隔は、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の相対する長辺p1’に沿って、等間隔に形成された直線状長溝1aの間隔と同じに形成されている。
【0021】
冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の上面には、隣接する相対する直線状長溝1e間に位置する帯状の領域(以下、この領域を、帯状領域と称する。)2cが形成されている。また、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”には、長辺p1’に隣接する、帯状領域2cの幅(短辺p1”に沿った長さ)の半分の幅を有する帯状の領域(以下、この領域を、長辺側領域と称する。)2dが形成されている。
【0022】
なお、便宜的に、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の長辺と冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の長辺とには、同じ符号p1’が使用されており、また、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の短辺と冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の短辺とにも、同じ符号p1”が使用されている。
【0023】
図4に示されているパネルP2は、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’及び冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”と略同じ大きさを有する冷暖房用パイプ保護用パネルP2であり、溝や切欠き等が形成されていない無垢の平板状に形成されている。なお、冷暖房用パイプ保護用パネルP2の長辺には、符号p2’が付されており、短辺には、符号p2”が付されている。
【0024】
略同じ大きさに形成されている冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’及び冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の大きさは、一例として、長辺p1’が、略1800mmであり、短辺p1”が、略900mmに形成されている。
【0025】
図5に示されているパネルP3は、主通路形成用パネルであり、主通路形成用パネルP3には、少なくとも、相対する短辺p3”の一方の短辺3”の両端部に位置する角部に、方形状の切欠部3が形成されており、主通路形成用パネルP3を、複数、布設することにより、後述する電力線・通信線が通線される主通路が形成されることになる。主通路形成用パネルP3の大きさは、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”より、若干、小さく形成されている。例えば、上述したように、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’及び冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の長辺p1’の長さが、略1800mmである場合には、主通路形成用パネルP3の長辺p3’の長さは、それより、20mm程度、短く形成されており、また、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’及び冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の短辺p1”の長さが、略900mmである場合には、主通路形成用パネルP3の短辺p3”の長さは、それより、同じく、20mm程度、短く形成されている。これは、主通路形成用パネルP3を施工する際に、隣接する主通路形成用パネルP3間に、電力線・通信線が通線される主通路を形成するためである。
【0026】
なお、主通路形成用パネルP3の4つの角部に、方形状の切欠部3を形成することもできる。また、切欠部3を構成する、互いに直交する辺部3a、3bの一方の辺部3aは、短辺p3”に対して平行で、また、互いに直交する辺部3a、3bのもう一方の辺部3bは、長辺p3’に対して平行になるように構成されている。
【0027】
図6に示されているパネルP4は、副通路形成用パネルであり、副通路形成用パネルP4にも、上述した主通路形成用パネルP3と同様に、少なくとも、パネルP4の相対する短辺p4”の一方の短辺p4”の両端部に位置する角部に、方形状の切欠部4が形成されている。副通路形成用パネルP4の上面には、切欠部4が形成されていない短辺p4”の両端部に位置する相対するの角部p4a、p4bの一方の角部p4aから、長辺p4’及び短辺p4”に対して45度の角度で、対向する長辺p4’に向けて、直線状に延在する直線状傾斜溝4aが形成されているとともに、直線状傾斜溝4aに対して平行に、且つ、所定の間隔を置いて、直線状傾斜溝4a’が形成されている。同様に、短辺p4”の両端部に位置する相対するの角部p4a、p4bのもう一方の角部p4bからも、長辺p4’及び短辺p4”に対して45度の角度で、対向する長辺p4’に向けて、直線状に延在する直線状傾斜溝4bが形成されているとともに、直線状傾斜溝4bに対して平行に、且つ、所定の間隔を置いて、直線状傾斜溝4b’が形成されている。
【0028】
なお、副通路形成用パネルP4の4つの角部に、方形状の切欠部4を形成することもできる。また、切欠部4を構成する、互いに直交する辺部4a、4bの一方の辺部4aは、短辺p4”に対して平行で、また、互いに直交する辺部4a、4bのもう一方の辺部4bは、長辺p4’に対して平行になるように構成されている。副通路形成用パネルP4に形成された切欠部4は、上述した主通路形成用パネルP3に形成された切欠部3と、略同じ大きさに形成されている。
【0029】
上述したように、直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’を形成することにより、副通路形成用パネルP4には、隣接する相対する直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’により囲繞された、上述した正方形状碁盤目領域2aと同様の正方形状碁盤目領域5aが形成されている。
【0030】
また、副通路形成用パネルP4の長辺p4’及び短辺p4”の周縁部に沿って、正方形状碁盤目領域5aの対角線により二分された形状を有する、略正三角形状の領域(以下、この領域を、三角形状領域と称する。)5bが形成されている。
【0031】
副通路形成用パネルP4の長辺p4’には、直線状傾斜溝4a’と直線状傾斜溝4bの交点6aが位置し、また、副通路形成用パネルP4の短辺p4”には、同様に、直線状傾斜溝4a’と直線状傾斜溝4bの交点6bが位置するように構成されているとともに、互いに直交する辺部4a、4bにより形成される切欠部4の隅部4cには、直線状傾斜溝4a’或いは直線状傾斜溝4b’のうちの1本が到達するように構成されている。
【0032】
次に、図7〜図10を用いて、上述した冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”、冷暖房用パイプ保護用パネルP2、主通路形成用パネルP3及び副通路形成用パネルP4の床基礎F上への施工について説明する。
【0033】
先ず最初に、床基礎Fの上面に、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を敷き詰めることになるが、一例として、図9に示されているように、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”は、その長辺p1’方向、或いは、短辺p1”方向が、揃うように布設される。換言すれば、隣接する冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の長辺p1’同士、或いは、短辺p1”同士が、互いに、当接、或いは、接近して位置するように、床基礎Fの上面に布設される。
【0034】
床基礎Fに、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を布設する際には、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’のみを使用することもできるが、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’は、直線状長溝1eのみが形成されている冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”に較べて高価であるので、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’と冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を組み合わせて使用することが好ましい。
【0035】
冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’と冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を組み合わせて使用する場合には、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”は、壁部側や階段や取り付け家具等側に布設され、また、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”は、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’を連結するために使用されることになる。
【0036】
図9には、一例として、壁部で囲まれた方形状の床基礎Fに、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’と冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を布設した例が示されており、一方の相対する壁部側には、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’が布設されており、また、一方の相対する壁部側に配設された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’間には、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”が布設されている。なお、図9においては、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’を、短辺p1”に沿って、所定の長さに切断したものが使用されている。
【0037】
また、図8や図9に示されているように、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の長辺p1’同士が互いに当接するように布設された場合には、当接された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の四分環状湾曲溝1dにより、半環状湾曲溝1cと同様の半環状湾曲溝が形成されることになる。
【0038】
上述したように、床基礎Fの大きさや形状に応じて、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を、適宜、切断して使用することができる。また、布設された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”と壁部との間に間隙が生じた場合には、適宜、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”と同じ厚さを有する適当な板材からなる調整パネルを、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”と壁部との間に生じた間隙に布設することもできる。
【0039】
上述したように、床基礎Fに、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を敷き詰める際には、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’に形成された直線状長溝1aと直線状短溝1bが、互いに連通するように構成されており、また、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’に形成された直線状長溝1aと冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”に形成された直線状長溝1eとが、互いに連通するように構成されており、更に、隣接する冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の四分環状湾曲溝1d同士が、互いに連通し、半環状湾曲溝が形成されるように構成されている。
【0040】
なお、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’及び冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を、床基礎Fの上面に敷き詰める際には、必要に応じて、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を、ビスや釘等の適当な固着具を用いて、床基礎Fに固着することができる。
【0041】
次いで、公知のように、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の直線状長溝1aや半環状湾曲溝1cや四分環状湾曲溝1d、及び/又は、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の直線状長溝1eに、適宜、冷暖房用パイプHpを挿入し配設する。
【0042】
例えば、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の直線状長溝1eに挿入された冷暖房用パイプHpは、この冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”に隣接して布設された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の直線状長溝1aに挿入され、次いで、直線状長溝1aから半環状湾曲溝1cに挿入されて折り返され、その後、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の既に冷暖房用パイプHpが挿入された直線状長溝1aの隣に位置する直線状長溝1aに挿入された後、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の直線状長溝1aから、再度、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の直線状長溝1eに挿入されることになる。その後、冷暖房用パイプHpは、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の直線状長溝1eから、上記の冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’に対して、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”を挟んで、反対側に位置する冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の直線状長溝1aに挿入され、次いで、直線状長溝1aから半環状湾曲溝1cに挿入されて折り返され、その後、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’の既に冷暖房用パイプHpが挿入された直線状長溝1aの隣に位置する直線状長溝1aに挿入されるとともに、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の直線状長溝1eに挿入されることになる。このような作業を繰り返して行うことにより、冷暖房用パイプHpが、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’、及び/又は、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”に配設されることになる。
【0043】
その後、冷暖房用パイプHpが配設された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の上に、溝や切欠き等が形成されていない無垢の平板状として形成された冷暖房用パイプ保護用パネルP2を、冷暖房用パイプ保護用パネルP2間に、実質的に間隙が形成さないように敷き詰める。このように、冷暖房用パイプHpが配設された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の上に、溝や切欠き等が形成されていない無垢の平板状として形成された冷暖房用パイプ保護用パネルP2を敷き詰めることにより、上からの負荷により、冷暖房用パイプHpが損傷するようなことを防止することができるとともに、冷暖房用パイプ保護用パネルP2により、暖房熱や冷却熱を、効果的に蓄熱することができ、従って、冷暖房の熱維持効果を高めることができる。
【0044】
なお、冷暖房用パイプHpが配設された冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’や冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”の上に、冷暖房用パイプ保護用パネルP2を敷き詰める際には、必要に応じて、冷暖房用パイプ保護用パネルP2を、ビスや釘等の適当な固着具を用いて、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’、及び/又は、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”に固着することもできる。
【0045】
次いで、冷暖房用パイプ保護用パネルP2の上面に、主通路形成用パネルP3を布設することになるが、隣接する主通路形成用パネルP3の長辺p3’同士の間及び隣接する主通路形成用パネルP3の短辺p3”同士の間に、所定の間隙D1を形成することにより、隣接する主通路形成用パネルP3間には、電力線・通信線が通線され主通路w1が形成されることになる。
【0046】
また、図8及び図10に示されているように、主通路形成用パネルP3の短辺p3”同士を、所定の間隔D1を置いて布設するとともに、主通路形成用パネルP3の長辺p3’同士を、所定の間隔D1を置いて布設することにより、4枚の主通路形成用パネルP3の4つの切欠部3により、平面形状が略方形状の分岐空間部w2が形成されることになる。なお、電力線・通信線が通線され主通路w1は、分岐空間部w2に連通されることになる。このように、主通路w1と分岐空間部w2とにより、電力線・通信線が収容される主収容部W1が形成されることになる。
【0047】
なお、冷暖房用パイプ保護用パネルP2の上に、主通路形成用パネルP3を布設する際に、必要に応じて、主通路形成用パネルP3を、ビスや釘等の適当な固着具を用いて、冷暖房用パイプ保護用パネルP2に固着することもできる。
【0048】
次いで、主通路形成用パネルP3の上面に、副通路形成用パネルP4を、隣接する副通路形成用パネルP4の長辺p1’同士の間、及び、短辺p1”同士の間に、副通路形成用パネルP4に形成された直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’の溝幅D2と略同じ間隔D3が形成されるように、且つ、この間隙D3が、上述した主通路形成用パネルP3間に形成された間隔D1の上方に位置するように布設する。また、4枚の副通路形成用パネルP4の4つの切欠部4により、平面形状が略方形状の分岐空間部w3が形成され、この分岐空間部w3は、上述した、4枚の主通路形成用パネルP3の4つの切欠部3により形成された分岐空間部w2の上方に位置するように構成されている。
【0049】
上述したように、主通路形成用パネルP3の上面に、副通路形成用パネルP4を布設することにより、隣接する副通路形成用パネルP4に形成された直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’が、隣接する副通路形成用パネルP4に間に形成された間隔D3を介して、連通されるように構成されており、直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’に、主通路形成用パネルP3の主収容部W1を構成する主通路w1や分岐空間部w2に収容された電力線・通信線群L1から分岐された所定の電力線・通信線L2が挿入されるように構成されている。
【0050】
上述したようにして、主通路形成用パネルP3同士を、所定の間隔D1を置いて布設することにより、主通路w1と分岐空間部w2とからなる主収容部W1を形成するとともに、主収容部W1に、複数本の電力線・通信線群L1を収容し、主通路形成用パネルP3の上面に布設された副通路形成用パネルP4の直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’に、主通路形成用パネルP3の主収容部W1に収容された複数本の電力線・通信線群L1から分岐された電力線・通信線L2を配線することができるように構成されている。
【0051】
なお、冷暖房用パイプ保護用パネルP2の上に、主通路形成用パネルP3を布設する際に、必要に応じて、主通路形成用パネルP3を、ビスや釘等の適当な固着具を用いて、冷暖房用パイプ保護用パネルP2に固着することもできる。
【0052】
その後、副通路形成用パネルP4の上面に、適当なフローリング材Mを敷き詰めることにより、床構造が構成されることになる。
【0053】
上述したような、冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’、冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”、冷暖房用パイプ保護用パネルP2、主通路形成用パネルP3及び副通路形成用パネルP4は、木毛や木片や木材チップ等の木質材料とセメントとからなる木質系セメント板(木毛セメント板や木片セメント板)を使用することが好ましい。特に、幅が、1mm〜10mmで、厚さが、0.1mm〜2mmの木毛を使用した木毛セメント板で、且つ、嵩比重が、0.8〜1.5を有する木毛セメント板を使用することが好ましい。このような、嵩比重が、0.8〜1.5を有する木毛セメント板を使用することにより、上述したパネルP1’、P1”、P2、P3、P4同士を、上述したように、ビスや釘等の適当な固着具を用いて固着する際に、固着具が、十分な保釘力を有することになる。
【0054】
なお、上述した実施例には、冷暖房用パイプHpが配設された冷暖房用パイプ施工用パネルP1’、P1”と主通路形成用パネルP3との間に、冷暖房用パイプ施工用パネルP1’、P1”に配設された冷暖房用パイプHpを保護するとともに、蓄熱機能を有する冷暖房用パイプ保護用パネルP2を配設させた例が示されているが、必要に応じて、冷暖房用パイプ保護用パネルP2を省略することができる。
【0055】
上述したように、冷暖房用パイプHpが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルP1’、P1”を、従来のパネルに較べて、多種用意する必要がないので、床構造の施工作業の作業性が向上する。
【0056】
また、上述したように、冷暖房用パイプHpが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルP1’、P1”の上に、電力線・通信線が配設される主通路形成用パネルP3及び副通路形成用パネルP4を布設するように構成したので、電力線・通信線の配線替えの際に、冷暖房用パイプHpが配設された冷暖房用パイプ施工用パネルP1’、P1”を取り外す必要がなく、従って、電力線・通信線の配線替え作業の作業性が向上する。
【0057】
更に、電力線・通信線が配設される主通路としての間隙D1を置いて布設された主通路形成用パネルP3の上に、電力線・通信線が通線される副通路としての直線状傾斜溝4a、4a’、4b、4b’が形成された副通路形成用パネルP4を布設するようにしたので、主通路に配設される電力線・通信線と副通路に配設される電力線・通信線とを整然と交絡することなく配線することができる。
【0058】
更にまた、冷暖房用パイプ施工用パネルを、直線状溝1a、1b、半円環状湾曲溝1c及び四分環状湾曲溝1dとが形成されている冷暖房用パイプ施工用第1パネルP1’と、直線状溝1eのみが形成されている冷暖房用パイプ施工用第2パネルP1”との2種類のパネルにより構成したので、この2種類のパネルのみにより、どのような大きさの床基礎上に冷暖房用パイプHpを配設することができるので、冷暖房用パイプHpの布設時間を短縮することができるとともに、冷暖房用パイプHpの布設に特殊能力を必要とせず、従って、冷暖房用パイプHpの布設作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第1パネルの平面図である。
【図2】図2は、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第1パネルの部分拡大平面図である。
【図3】図3は、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第2パネルの平面図である。
【図4】図4は、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ保護用パネルの平面図である。
【図5】図5は、本発明の床構造を構成する主通路形成用パネルの平面図である。
【図6】図6は、本発明の床構造を構成する副通路形成用パネルの平面図である。
【図7】図7は、本発明の床構造の垂直断面図である。
【図8】図8は、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第1パネル、冷暖房用パイプ施工用第2パネル、冷暖房用パイプ保護用パネル、主通路形成用パネル及び副通路形成用パネルの分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の床構造を構成する冷暖房用パイプ施工用第1パネル及び冷暖房用パイプ施工用第2パネルが布設された状態の平面図である。
【図10】図10は、本発明の床構造を構成する主通路形成用パネルの上に、副通路形成用パネルが布設された状態の部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
P1’・・・・・・・・・冷暖房用パイプ施工用第1パネル
P1”・・・・・・・・・冷暖房用パイプ施工用第2パネル
P2・・・・・・・・・・冷暖房用パイプ保護用パネル
P3・・・・・・・・・・主通路形成用パネル
P4・・・・・・・・・・副通路形成用パネル
1a・・・・・・・・・・直線状長溝
1b・・・・・・・・・・直線状短溝
1c・・・・・・・・・・半環状彎曲溝
1d・・・・・・・・・・四分環状彎曲溝
1e・・・・・・・・・・直線状長溝



【特許請求の範囲】
【請求項1】
床基礎に配設される床構造において、冷暖房用パイプが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルの上に、電力線・通信線が配設される主通路形成用パネルを布設し、更に、前記主通路形成用パネルの上に、電力線・通信線が配設される副通路形成用パネルを布設したことを特徴とする床構造。
【請求項2】
冷暖房用パイプが配設される冷暖房用パイプ施工用パネルと主通路形成用パネルとの間に、冷暖房用パイプ保護用パネルを配設したことを特徴とする請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
冷暖房用パイプ施工用パネルが、直線状溝、半円環状湾曲溝及び四分環状湾曲溝とが形成されている冷暖房用パイプ施工用第1パネルと、直線状溝のみが形成されている冷暖房用パイプ施工用第2パネルの2種類のパネルから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−155993(P2009−155993A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338514(P2007−338514)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(508003974)オーガニックテーブル株式会社 (1)
【出願人】(594209072)竹村工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】