説明

廃トナー回収容器および画像形成装置

【課題】廃トナー回収容器の廃トナー充填率をさらに高めつつ、廃トナー回収容器における廃トナーの満杯を正確に検知する。
【解決手段】画像形成装置における像担持体または転写搬送部材から排出される廃トナーを回収する廃トナー回収容器において、廃トナーを受容するための廃トナー回収口と、回収された廃トナー量を検知するトナー量検知手段と、回収された廃トナーを回収容器内部で搬送する廃トナー搬送部材とを有し、トナー量検知手段は、回収容器の一方の側面に配置され、廃トナー搬送部材は、回収容器の一方の側面とこれに対向する他方の側面にわたって延在し、廃トナー搬送部材は、廃トナー回収口の下方の位置からトナー量検知手段に近づく部分において、廃トナー回収口の下方の位置からトナー量検知手段から離れる部分よりも、廃トナー搬送部材の軸方向における廃トナー搬送力の小さい攪拌部材を有することによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において発生する廃トナーを収容するための廃トナー回収容器およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー等を用いた電子写真方式の複写機等の画像形成装置においては、トナー等の記録媒体への転写率が100%でないため、廃棄トナー(以下、廃トナーという)が発生する。こうした多くの画像形成装置においては、発生した廃トナーは、機械内部の一箇所に設けられた廃トナー回収容器に集められ、その後廃棄される。
【0003】
廃トナー回収容器の近傍にはフォトインタラプタ等の検知センサが設置され、検知センサにより廃トナーの満杯を検知しているが、廃トナー回収容器からの廃トナーの溢れを防止するため、回収容器の大きさに余裕を持たせる場合が多い。また、電子写真方式の複写機等の小型化により、廃トナー回収容器の小型化と廃トナー回収容器の廃トナー充填率の向上も求められている。
【0004】
廃トナー回収容器の充填率を向上させる方法として、廃トナー回収容器の形状を十分な高さを有するものにし、垂直方向に廃トナーを堆積させていく方法が最も効率的であるが、機械内部のスペース上の制約により、廃トナー回収容器は扁平形状等のものにする必要も生じる。
【0005】
特許文献1は、トナー入口を通して廃トナー容器内に送り込まれた廃トナーをトナー搬送スクリューによって搬送し、廃トナー容器内がトナーで満杯になったとき、トナー量検知装置によってこれを検知する廃トナー収容装置を備えた画像形成装置において、廃トナー容器を画像形成装置本体から外して、これを傾けたときも、トナー量検知装置が誤検知しないようにするために、廃トナー容器のトナー入口とトナー量検知装置との間に遮蔽体を設けることを開示している。
【0006】
また、廃トナー容器内のトナー搬送スクリューの廃トナー搬送方向を切り替えることを開示しているが、切り替え位置がトナー入口の真下にあるため廃トナーは廃トナー落下口の位置に対称に堆積し、従ってトナー量検知装置が配置された一定の高さで廃トナーが検知されることになり、トナー量検知装置の上方の空間は未使用のままである。また、容器内部に隔壁を有しているために廃トナー容器の構造が複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、廃トナー回収容器の廃トナー充填率をさらに高めつつ、廃トナー回収容器における廃トナーの満杯を正確に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明により、画像形成装置における像担持体または転写搬送部材から排出される廃トナーを回収する廃トナー回収容器において、前記廃トナーを受容するための廃トナー回収口と、回収された廃トナー量を検知するトナー量検知手段と、回収された廃トナーを廃トナー回収容器内部で搬送する廃トナー搬送部材とを有し、前記トナー量検知手段は、廃トナー回収容器の一方の側面に配置され、前記廃トナー搬送部材は、廃トナー回収容器の前記一方の側面とこれに対向する他方の側面にわたって延在し、前記廃トナー搬送部材は、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段に近づく部分において、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分よりも、前記廃トナー搬送部材の軸方向における廃トナー搬送力の小さい攪拌部材を有することによって解決される。
【0009】
また、前記廃トナー搬送部材は、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分において、軸と螺旋状体を有するスクリューを有し、前記攪拌部材は、軸と羽根部を有するパドルとして構成されると好ましい。
また、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分における前記スクリューは、回転駆動により前記トナー量検知手段から離れる方向に廃トナーを搬送すると好ましい。
また、前記攪拌部材は、回転駆動により主に前記攪拌部材の軸と垂直方向に廃トナーを攪拌搬送すると好ましい。
【0010】
また、前記廃トナー搬送部材は、前記攪拌部材から前記トナー量検知手段に近づく部分において、軸と螺旋状体を有するスクリューを有すると好ましい。
また、前記攪拌部材から前記トナー量検知手段に近づく部分における前記スクリューは、回転駆動により前記トナー量検知手段に近づく方向に廃トナーを搬送すると好ましい。
【0011】
また、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分における前記スクリューは、廃トナーの搬送方向を切り替える搬送方向切り替え位置を有し、当該搬送方向切り替え位置から前記トナー量検知手段から離れる部分において、前記スクリューの回転駆動により、廃トナーは前記トナー量検知手段に向かって搬送されると好ましい。
また、前記廃トナー回収口の位置と、前記廃トナー搬送部材における前記廃トナー回収口の下方の位置であって前記トナー量検知手段から離れる部分と前記トナー量検知手段に近づく部分の部材境界位置とが、廃トナー回収容器の中央部よりも前記トナー量検知手段に近づく側に配置されていると好ましい。
【0012】
また、前記部材境界位置から前記搬送方向切り替え位置までの軸と螺旋状体を有する前記スクリューは、軸から半径方向外側に延在する羽根部をさらに有すると好ましい。
また、軸と螺旋状体と羽根部を有する前記スクリューの羽根部は、前記部材境界位置において、前記攪拌部材の羽根部と継ぎ目なく一体形成されていると好ましい。
【0013】
また、前記廃トナー搬送部材は軸と螺旋状体を有するスクリューとして構成され、当該スクリューによって、廃トナーは、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分において、前記トナー量検知手段から離れる方向に搬送され、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段に近づく部分において、前記トナー量検知手段に近づく方向に搬送され、前記攪拌部材は、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分よりも小さいスクリュー直径を有すると好ましい。
また、本発明に従う画像形成装置は前述の廃トナー回収容器を備えると好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、廃トナー回収容器内の廃トナー搬送部材の軸方向の廃トナー搬送力が、廃トナー回収口の下方の位置で変えられており、廃トナー回収口から検知センサに近づく側では小さく、廃トナー回収口から検知センサから離れる側では大きくなっている。よって、先ず、検知センサの反対側により多くの廃トナーを搬送して、廃トナー回収容器の廃トナー充填率を増大させる一方、その後検知センサの反対側よりも遅れて搬送されてきた検知センサ近傍のより少ない廃トナーが検知センサで検知されて満杯・ニア満杯が確実に検知され、廃トナー回収容器からの廃トナーの溢れも防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置全体の概略構成図である。
【図2】従来の廃トナー搬送経路と回収容器を示す図であり、回収口から落下した廃トナーが容器に山状に収容される様子を示す。
【図3】従来の廃トナー搬送経路と回収容器を示す図であり、容器内搬送部材に到達した廃トナーが、回収容器の端部に向かって搬送され、均される様子を示す。
【図4】従来の廃トナー搬送経路と回収容器を示す図であり、さらに堆積した廃トナーが満杯検知センサまたはニア満杯検知センサに到達する様子を示す。
【図5】本発明に従う廃トナー回収容器の第1の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明に従う廃トナー回収容器の第2の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明に従う廃トナー回収容器の第3の実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明に従う廃トナー回収容器の第4の実施形態を示す概略断面図である。
【図9】本発明に従う廃トナー回収容器の第5の実施形態を示す概略断面図である。
【図10】本発明に従う廃トナー回収容器の第6の実施形態を示す概略断面図である。
【図11】本発明に従う具体的な廃トナー回収容器の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に従う画像形成装置全体の概略構成図を示す。図示の装置は、帯電器としての帯電ローラ4で一様に帯電されたK(黒)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各作像ステーションの像担持体としての感光体3上に、スキャナー1で読み取られた画像を書き込み装置2により色分解して色毎に書き込み、静電潜像を形成する。例えばK(黒)のステーションで説明する。感光体3上に形成された潜像は、現像装置5によりKトナーを潜像にあわせて現像され、トナー像が形成される。現像されたKトナー像は、感光体3と1次転写ローラ8との間に挟み込まれる形で転写搬送部材としての中間転写ベルト7が感光体3に接している部分において、該中間転写ベルト7上に転写される。このようにしてY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各作像ステーションでも同様にして感光体3上でトナー像を形成し、中間転写ベルト7上に転写されたトナー像が2次転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラから転写紙が給紙され、2次転写ローラ10により転写紙上に一括転写される。転写された転写紙は、搬送ベルト9で定着装置11に搬送され、定着されてコピー画像として排紙される。
【0017】
一方、中間転写ベルト7上にトナー像を転写した後の感光体3は、クリーニング装置6で残留トナーを除去され、図示しない除電ランプで除電された後、再度、帯電ローラ4で一様に帯電される動作を繰り返す。
また、転写紙にトナー像を転写した後の中間転写ベルト7は、図示しない中間転写ベルトのクリーニング装置により、残留トナーを除去された後、再度、感光体3から中間転写ベルト7上にトナー像を転写し、これを転写紙に一括転写するという作像工程を繰り返すようになっている。
【0018】
感光体3または中間転写ベルト7から除去された残留トナー、すなわち廃トナーは、画像形成装置1内部に延在する図示しない廃トナー搬送経路を介して、画像形成装置1の下部に配置された廃トナー回収容器22に搬送される。廃トナー搬送経路は、各クリーニング装置から下方の回収容器22まで延在している。回収容器22は、排紙トレーの上方に設置されているが、他のスペースに配置されてもよい。本発明に従う画像形成装置1では、廃トナー搬送経路20または一時貯留部に廃トナー19を一定量貯留することができ、従って、回収容器22の交換中でもクリーニング装置からの廃トナー19を搬送しつつ、印刷動作を続行することが出来る。
【0019】
図2は、拡大された廃トナー回収容器22と廃トナー搬送経路20の従来の構成を示す。印刷動作中、クリーニング装置から回収容器22の上まで延びる廃トナー搬送経路20を通って搬送されてきた廃トナー19は、廃トナー搬送経路20の先端部および容器中央部の廃トナー回収口27を介して回収容器22に収容される。ここで、回収容器22の手前の廃トナー搬送経路20には、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された経路内搬送部材21が具備されている。経路内搬送部材21は、廃トナー搬送経路20の外側に配置された図示しない駆動部によって回転駆動し、廃トナー19を図2中左側から右側に搬送する。一方、回収容器22内部にも、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された1または複数の容器内搬送部材23が、容器内の上部に容器の幅全体にわたって具備されており、回収容器22の外側に配置された図示しない駆動部によって回転駆動するようになっている。容器内搬送部材23は、その中央部の搬送方向切り替え位置26から左右の端部に向かって逆向きに螺旋状体が設けられており、回転駆動すると容器中央部の廃トナー19を中央部から端部に向かって軸方向に搬送するとともに、螺旋状体表面は軸に対してある角度を持っているため螺旋状体の周方向分力により廃トナー19を拡散させるようになっている。
【0020】
また、回収容器22内の満杯を検知するトナー量検知手段としての満杯検知センサ24が、回収容器22の一方の側面の外側に設けられている。これは、容器内の上限ではなく上部のレベルを検知するように配置されており、廃トナー19が検知センサの配置位置まで堆積すると検知信号を出力するものであり、公知のセンサを広く利用することができる。満杯検知センサ24により、回収容器22が実際に満杯になる前に満杯が検知される。満杯検知センサ24と同様に構成された、満杯に近いニア満杯を検知するトナー量検知手段としてのニア満杯検知センサ25が、満杯検知センサ24よりも下部に配置されており、満杯よりも低いレベルのニア満杯を検知する。
【0021】
図2に示すように、回収容器22内に蓄積された廃トナー19は容器内搬送部材23に到達するまでは山状(円錐状)に堆積し、図3に示すように、容器内搬送部材23に到達した後は搬送部材23の回転駆動によって回収容器22の端部に向かって対称的に搬送され、均される。
【0022】
図4に示すように、廃トナー19がニア満杯検知センサ25に到達して検知されると、画像形成装置1の上部のオペレーションパネルでの表示やアラーム音を発することで、ユーザーに回収容器の交換を促し、廃トナー19が満杯検知センサ24に到達して検知されると、印刷を強制的に停止する。前記のように、容器内搬送部材23は、容器内の上部に容器の幅全体にわたって延在し、山状に堆積する廃トナー19を均一のレベルに均すため、容器内搬送部材23よりもやや下方に配置された満杯検知センサ24によって容器の満杯が正確に検知される。従って、図4に示すように、満杯検知時でも容器内搬送部材23の上部にはスペースに余裕があるため、容器交換のためにこれを取り外した時や更なる廃トナー19の蓄積時に、容器から廃トナー19が溢れたり、廃トナー搬送経路20に詰まったりせず、よって、室内への飛散や経路内搬送部材21等の破損が回避される。しかしながら、この上部のスペースは未使用のままであるため、この分廃トナー充填率も減少している。
【0023】
図1〜4に示すように、従来は廃トナー回収容器22の中央近傍に廃トナー回収口27があり、そこを介して装置本体からの廃トナー19を廃トナー回収容器22に落下させ回収していた。また、廃トナー回収容器22内部の容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の真下の搬送方向切り替え位置26において廃トナー19の送り方向が切り替わり、廃トナー回収容器22の両端部に向かって廃トナー19を送っていた。その結果、廃トナー19は回収容器内の落下口付近を基準に対称に、すなわち円錐状に堆積し、廃トナー回収容器には充填可能な容積が残っているにも関わらず満杯が検知されていた。さらに、廃トナー回収容器の容積は装置本体のレイアウトとの兼ね合いから十分に大きく取れないことが多いが、それでもさらに充填率を高めることが望まれている。
また、検知センサの位置を容器内搬送部材23より上方に配置した場合、検知センサ近傍では容器内搬送部材23の廃トナー搬送力が小さいため、満杯を確実に検知することができなかった。
【0024】
そこで、本発明では、廃トナー充填率をさらに高め、廃トナーの満杯を正確に検知するように廃トナー回収容器を改良した。
図5は、本発明に従う廃トナー回収容器22の第1の実施形態を示している。図示のように、廃トナー回収容器22内に、回収容器の一方の側面とこれに対向する他方の側面にわたって延在する廃トナー搬送部材としての容器内搬送部材23を取り付けている。また、その取り付け箇所の近傍であって容器内搬送部材23よりも下側にトナー量検知手段としての満杯検知センサ24を、さらにその下側にトナー量検知手段としてのニア満杯検知センサ25を設置している。検知センサ24,25は廃トナー回収容器22の一方の側面に設けられている。
【0025】
そして、本実施形態では、容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の下方の部材境界位置28から検知センサ24,25から離れる側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された遠方側搬送部材30と、部材境界位置28から検知センサ24,25に近づく側において、軸と軸から半径方向外側に延在する羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32とから構成されている。ここで、攪拌部材32は軸から上下に延在する2つの羽根部を有して構成されているが、3以上の羽根部を有して構成されてもよい。スクリューとして構成された遠方側搬送部材30が、回転により廃トナー19を廃トナー回収口27の下方の部材境界位置28から検知センサ24,25から離れる側に搬送するのに対して、パドルとして構成された攪拌部材32は、主に軸と垂直方向(紙面に垂直な方向)に廃トナーを攪拌搬送し、廃トナーを均す機能を有する。よって、遠方側搬送部材30の軸方向の廃トナー搬送力は、攪拌部材32の軸方向の廃トナー搬送力よりも高い。言い換えれば、廃トナー回収口27から検知センサ24,25に近づく側には、廃トナー回収口27から検知センサ24,25から離れる側よりも、軸方向の廃トナー搬送力のより小さい攪拌部材32が配置されている。
【0026】
これにより、回収容器22内に回収された廃トナー19は、遠方側搬送部材30によって検知センサ24,25から離れる側に搬送されていく。一方、検知センサ近傍側では攪拌部材32は廃トナー19の山を崩して均すため、崩された廃トナー19は堆積した廃トナーの安息角に従って検知センサ側に堆積していく。この時、軸方向の廃トナー搬送力のより大きい遠方側搬送部材30によって検知センサ24,25から離れる側に搬送される廃トナー量は、攪拌部材32によって検知センサ近傍側に搬送される廃トナー量よりも多くなる。また、廃トナー19は先ず検知センサ24,25から離れる側に多く搬送されるため、検知センサ近傍側への廃トナーの送り速度が遅くなり、満杯・ニア満杯を検知するのが遅くなる。結局、図示のように、検知センサ24,25から離れる側に遠方側搬送部材30の高さを超えるほど十分な量の廃トナーを充填し、その後検知センサ24,25の近傍側に廃トナーを充填し、満杯・ニア満杯を検知することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、回収容器22が画像形成装置1にセットされると、検知センサ24,25が設置されている側が画像形成装置1の奥側となり、検知センサ24,25が設置されていない側が画像形成装置1の手前側となる。
【0028】
図6は、本発明に従う廃トナー回収容器22の第2の実施形態を示している。本実施形態では、容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の下方の部材境界位置28から検知センサ24,25から離れる側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された遠方側搬送部材30と、部材境界位置28から検知センサ24,25に近づく側において、軸と羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32と、さらに部材境界位置29から検知センサ24,25に近づく側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された近傍側搬送部材31とから構成されている。従って、廃トナー回収口27から検知センサ24,25に近づく側には、廃トナー回収口27から検知センサ24,25から離れる側よりも、軸方向の廃トナー搬送力のより小さい攪拌部材32が配置されている。
【0029】
これにより、第1の実施形態(図5)と同様に、遠方側搬送部材30および攪拌部材32の回転駆動により廃トナー19は搬送および崩される。さらに、近傍側搬送部材31の回転駆動により廃トナー19は検知センサ24,25に向かって軸方向に搬送されるため、検知センサ24,25の配置位置まで廃トナー19を搬送させることができる。これにより、検知センサ24,25が廃トナー19の重量や圧力によって満杯・ニア満杯を検知する場合でも、検知センサ24,25に廃トナー19を確実に押圧させることができ、より確実に回収容器の満杯・ニア満杯を検知することができる。
【0030】
図7は、本発明に従う廃トナー回収容器22の第3の実施形態を示している。本実施形態では、容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の下方の部材境界位置28から検知センサ24,25から離れる側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された遠方側搬送部材30と、部材境界位置28から検知センサ24,25に近づく側において、軸と羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32と、部材境界位置29から検知センサ24,25に近づく側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された近傍側搬送部材31とから構成されている。さらに、遠方側搬送部材30に搬送方向切り替え位置26が設けられており、搬送方向切り替え位置26から検知センサ24,25から離れる側では、遠方側搬送部材30の回転駆動によって、廃トナー19は検知センサ24,25に向かって搬送されるようになっている。前述のように、廃トナー回収口27から検知センサ24,25に近づく側には、廃トナー回収口27から検知センサ24,25から離れる側よりも、軸方向の廃トナー搬送力のより小さい攪拌部材32が配置されている。
【0031】
搬送方向切り替え位置26による廃トナー19の搬送方向の切り替えにより、第2の実施形態(図6)に比べて、検知センサ24,25から離れる側での廃トナー19の堆積量は減少している。これにより、廃トナー19の量が増大しても、回収容器22に設けられた搬送部材の軸受(図示せず)にかかる搬送部材の回転に伴う負荷を軽減し、搬送部材の回転トルクを軽減することができる。従って、搬送部材の回転トルクの増大に起因するスクリューやパドルの破損が回避される。
【0032】
図8は、本発明に従う廃トナー回収容器22の第4の実施形態を示している。本実施形態では、第3の実施形態(図7)と同様に、容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の下方の部材境界位置28から検知センサ24,25から離れる側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された遠方側搬送部材30と、部材境界位置28から検知センサ24,25に近づく側において、軸と羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32と、部材境界位置29から検知センサ24,25に近づく側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された近傍側搬送部材31とから構成され、さらに、遠方側搬送部材30に搬送方向切り替え位置26が設けられている。前述のように、廃トナー回収口27から検知センサ24,25に近づく側には、廃トナー回収口27から検知センサ24,25から離れる側よりも、軸方向の廃トナー搬送力のより小さい攪拌部材32が配置されている。
【0033】
しかし、廃トナー回収口27の位置および部材境界位置28が回収容器の中央部ではなく検知センサ24,25に近づく側に配置されている。よって、軸と羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32は、第3の実施形態(図7)の場合よりも短くなっている。これにより、廃トナー回収口27および部材境界位置28の位置から見て、検知センサ24,25と反対側のスペースが増大するので、図示のように遠方側搬送部材30の高さを超えて、より多くの廃トナー19をこのスペースに送ることが可能になり、回収容器22の廃トナー充填率をさらに高めることができる。そして、廃トナー19の山がある水準まで成長した後に検知センサ方向に廃トナー19を搬送し始めるため、満杯検知を確実に行うことができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、回収口27を回収容器22の中央部に固定することなく、回収容器22の形状に応じて回収口を任意の箇所に設定し、スクリュー形状とパドル形状の搬送部材を組み合わせることができるので、回収容器22の形状に応じた装置本体側のレイアウト自由度の向上(例えば、装置本体側の廃トナー搬送部材20の長さを短くすることができる)や、廃トナー詰まりのリスクの低減等が実現される。
なお、部材境界位置28の左右の廃トナー19の堆積量を調整するために、図示のように、部材境界位置28を廃トナー回収口27の真下の位置ではなく、図中右側にずらして配置してもよい。
【0035】
図9は、本発明に従う廃トナー回収容器22の第5の実施形態を示している。本実施形態では、容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の下方の部材境界位置28から検知センサ24,25から離れる側において、基本的に軸と螺旋状体を有するスクリューとして構成された遠方側搬送部材30と、部材境界位置28から検知センサ24,25に近づく側において、軸と羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32と、部材境界位置29から検知センサ24,25に近づく側において、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成された近傍側搬送部材31とから構成されている。さらに、遠方側搬送部材30に搬送方向切り替え位置26が設けられ、廃トナー回収口27の位置および部材境界位置28が回収容器22の中央部ではなく検知センサ24,25に近づく側に配置されている。
【0036】
しかし、部材境界位置28から搬送方向切り替え位置26まで、軸と螺旋状体を有するスクリューとして構成された遠方側搬送部材30は、軸から半径方向外側に延在する羽根部をさらに有している。従って、この部分は、軸と螺旋状体と羽根部とからなるスクリュー・パドル部分34として形成されており、スクリュー・パドル部分34の羽根部は、部材境界位置28において、攪拌部材32の羽根部と継ぎ目なく一体形成されている。前述の実施形態と同様に、部材境界位置28から搬送方向切り替え位置26までの遠方側搬送部材30(スクリュー・パドル部分34)は、検知センサ24,25から離れる側に廃トナー19を搬送するのに対して、搬送方向切り替え位置26から検知センサ24,25から離れる側の遠方側搬送部材30および近傍側搬送部材31は、検知センサ24,25に近づく側に廃トナー19を搬送する。
【0037】
軸と羽根部からなるパドルとして構成された攪拌部材32と、軸と螺旋状体と羽根部とからなるスクリュー・パドル部分34は、廃トナー回収口27の下部の部材境界位置28で分かれているため、廃トナー回収口27から検知センサ24,25に近づく側には、廃トナー回収口27から検知センサ24,25から離れる側よりも、軸方向の廃トナー搬送力のより小さい攪拌部材32が配置されている。スクリュー・パドル部分34によって、スクリューを形成する螺旋状体で軸方向に検知センサ24,25から離れる側に廃トナー19を搬送するとともに、パドルを形成する羽根部で主に軸と垂直方向(紙面に垂直な方向)に廃トナーを攪拌搬送することができるので、回収容器22の容積を効率的に利用することができる。
【0038】
また、第4の実施形態(図8)のように、スクリュー・パドル部分34がスクリューのみで構成されている場合よりも、検知センサ24,25から離れる側への搬送部材の軸方向の廃トナー搬送力は低下する。従って、第4の実施形態(図8)の構成に比べて、回収容器22内の廃トナー19が少ない時点で回収容器22の満杯・ニア満杯を検知することができる。すなわち、このように搬送部材の形状を選択することにより、回収容器に集める廃トナー量を調整することができ、満杯時の回収容器22の重量や搬送部材23の回転トルク等の過剰な増加を抑制することができる。
【0039】
図10は、本発明に従う廃トナー回収容器22の第6の実施形態を示している。図示のように、廃トナー回収容器22内に回収容器の一方の側面とこれに対向する他方の側面にわたって延在する廃トナー搬送部材としての容器内搬送部材23を取り付け、その取り付け箇所の近傍であって容器内搬送部材23よりも下側にトナー量検知手段としての満杯検知センサ24を、さらにその下側にトナー量検知手段としてのニア満杯検知センサ25を設置している。検知センサ24,25は廃トナー回収容器22の一方の側面に設けられている。本実施形態では、容器内搬送部材23は、廃トナー回収口27の真下の搬送方向切り替え位置26から検知センサ24,25から離れる側の遠方側搬送部材30と、搬送方向切り替え位置26から検知センサ24,25に近づく側の近傍側搬送部材31で構成されており、遠方側搬送部材30は廃トナー19を検知センサ24,25から離れる側に搬送し、近傍側搬送部材31は廃トナー19を検知センサ24,25に近づく側に搬送する。遠方側搬送部材30と近傍側搬送部材31は、軸と螺旋状体からなるスクリューとして構成され、遠方側搬送部材30は近傍側搬送部材31よりも大きく構成されており、具体的には、遠方側搬送部材30のスクリュー直径が近傍側搬送部材31のスクリュー直径よりも大きく構成されている。このようにして、遠方側搬送部材30の軸方向の廃トナー搬送力が近傍側搬送部材31の軸方向の廃トナー搬送力よりも高く設定されている。すなわち、廃トナー回収口27から検知センサ24,25に近づく側には、廃トナー回収口27から検知センサ24,25から離れる側よりも、軸方向の廃トナー搬送力のより小さい近傍側搬送部材31が配置されている。
【0040】
スクリュー直径を大きくすることに代えてまたは加えて、スクリューピッチを大きくすることで、スクリューが1回転したとき進む距離も大きくなり、廃トナー搬送力を増大させることができる。また、スクリュー条数やスクリュー角度などを変更することも考えられる。前述のように、容器内搬送部材23の回転駆動により、遠方側搬送部材30によって廃トナー19は、中央部から検知センサ24,25から離れる側に向かって軸方向に搬送され、近傍側搬送部材31によって廃トナー19は、中央部から検知センサ24,25に向かって軸方向に搬送される。これにより、図示のように、先ず検知センサ24,25から離れる側に遠方側搬送部材30の高さを超えるほど十分な量の廃トナーを充填し、その後検知センサ24,25の近傍側に廃トナーを充填することになるので、回収容器22の空きスペースを極力低減させ、廃トナー充填率を上昇させることができるとともに、回収容器22の満杯を確実に検知することができる。
【0041】
図11は、本発明に係る具体的な廃トナー回収容器22の構成を示す概略斜視図である。この廃トナー回収容器22は、第5の実施形態(図9)と同様の容器内搬送部材23を備えている。このような、比較的平坦かつ縦長形状の廃トナー回収容器22を使用する場合は、廃トナー回収容器22の容量を効率的に利用することが求められる。そして、廃トナー回収容器22が前述した実施形態における容器内搬送部材23を備えることで、廃トナーは、容器内搬送部材23の回転駆動により初めに検知センサ24,25から離れる側に搬送されていき、その後検知センサ24,25に近づく側に搬送されて、満杯・ニア満杯が確実に検知される。
【0042】
なお、検知センサ24,25としては、ゴム膜および鉛直方向に延在する細長いフィラー部をそれぞれ有し、フォトインタラプタなどのセンサを利用するものが考えられる。具体的には、回収容器22の側壁に回収容器内部に突出するように柔らかいゴム膜を張り、フィラー部の突起部がこのゴム膜の突出に重なるように回収容器外側に回動可能なフィラー部をゴム膜の外側から設ける。また、画像形成装置1側にはフォトインタラプタ(図示せず)が設けられており、回収容器22が装置本体に設置され、フィラー部が回動すると、フォトインタラプタの発光部と受光部がフィラー部によって遮られるようになっている。よって、ゴム膜が廃トナー19の重量や圧力を受けて凹み、それに伴い回収容器22の外側にフィラー部が回動すると、回動したフィラー部がフォトインタラプタの発光部からの光を遮り、光が受光部に届かなくなることで、満杯・ニア満杯が検知される。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置
19 廃トナー
20 廃トナー搬送経路
21 経路内搬送部材
22 廃トナー回収容器
23 容器内搬送部材(廃トナー搬送部材)
24 満杯検知センサ(トナー量検知手段)
25 ニア満杯検知センサ(トナー量検知手段)
26 搬送方向切り替え位置
27 廃トナー回収口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平11−305623号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置における像担持体または転写搬送部材から排出される廃トナーを回収する廃トナー回収容器において、
前記廃トナーを受容するための廃トナー回収口と、回収された廃トナー量を検知するトナー量検知手段と、回収された廃トナーを廃トナー回収容器内部で搬送する廃トナー搬送部材とを有し、
前記トナー量検知手段は、廃トナー回収容器の一方の側面に配置され、
前記廃トナー搬送部材は、廃トナー回収容器の前記一方の側面とこれに対向する他方の側面にわたって延在し、
前記廃トナー搬送部材は、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段に近づく部分において、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分よりも、前記廃トナー搬送部材の軸方向における廃トナー搬送力の小さい攪拌部材を有することを特徴とする廃トナー回収容器。
【請求項2】
前記廃トナー搬送部材は、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分において、軸と螺旋状体を有するスクリューを有し、前記攪拌部材は、軸と羽根部を有するパドルとして構成されることを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収容器。
【請求項3】
前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分における前記スクリューは、回転駆動により前記トナー量検知手段から離れる方向に廃トナーを搬送することを特徴とする請求項2に記載の廃トナー回収容器。
【請求項4】
前記攪拌部材は、回転駆動により主に前記攪拌部材の軸と垂直方向に廃トナーを攪拌搬送することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の廃トナー回収容器。
【請求項5】
前記廃トナー搬送部材は、前記攪拌部材から前記トナー量検知手段に近づく部分において、軸と螺旋状体を有するスクリューを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の廃トナー回収容器。
【請求項6】
前記攪拌部材から前記トナー量検知手段に近づく部分における前記スクリューは、回転駆動により前記トナー量検知手段に近づく方向に廃トナーを搬送することを特徴とする請求項5に記載の廃トナー回収容器。
【請求項7】
前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分における前記スクリューは、廃トナーの搬送方向を切り替える搬送方向切り替え位置を有し、当該搬送方向切り替え位置から前記トナー量検知手段から離れる部分において、前記スクリューの回転駆動により、廃トナーは前記トナー量検知手段に向かって搬送されることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項の廃トナー回収容器。
【請求項8】
前記廃トナー回収口の位置と、前記廃トナー搬送部材における前記廃トナー回収口の下方の位置であって前記トナー量検知手段から離れる部分と前記トナー量検知手段に近づく部分の部材境界位置とが、廃トナー回収容器の中央部よりも前記トナー量検知手段に近づく側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の廃トナー回収容器。
【請求項9】
前記部材境界位置から前記搬送方向切り替え位置までの軸と螺旋状体を有する前記スクリューは、軸から半径方向外側に延在する羽根部をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の廃トナー回収容器。
【請求項10】
軸と螺旋状体と羽根部を有する前記スクリューの羽根部は、前記部材境界位置において、前記攪拌部材の羽根部と継ぎ目なく一体形成されていることを特徴とする請求項9に記載の廃トナー回収容器。
【請求項11】
前記廃トナー搬送部材は軸と螺旋状体を有するスクリューとして構成され、
当該スクリューによって、廃トナーは、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分において、前記トナー量検知手段から離れる方向に搬送され、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段に近づく部分において、前記トナー量検知手段に近づく方向に搬送され、
前記攪拌部材は、前記廃トナー回収口の下方の位置から前記トナー量検知手段から離れる部分よりも小さいスクリュー直径を有することを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収容器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の廃トナー回収容器を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−42789(P2012−42789A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184912(P2010−184912)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】