説明

廃水処理槽及び湿式塗装ブース

【課題】
水面積が大きく、水深が浅い循環水処理槽における塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することができる湿式塗装ブースを提供する。
【解決手段】
廃水に、好気性微生物等を添加し、処理槽の底面に設置された、回転軸が水槽床面に対して垂直方向に設置したモーター1と、回転軸に取り付けたインペラ3と、インペラ取付け部分の下方に設置された空気噴出ノズル4と、外部から取込んだ空気を空気噴出ノズルに送る通気ホース5とを有し、回転軸に対し直角方向の四方八方に廃水を噴出すると同時に、流動された部分に生じる真空部分に吸引流入された空気を、空気噴出ノズルより微細気泡として噴き出すことにより、曝気と撹拌を同時に行う撹拌式曝気装置を設置した廃水処理槽、並びに、塗装部と廃水系と前記廃水処理槽とを備える湿式塗装ブース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵した廃水に、好気性微生物、好気性微生物の培養物、及び/又は有機物分解酵素を含む酵素剤を添加し、処理槽の底面に設置された攪拌式曝気装置により、該廃水の曝気及び撹拌を行う廃水処理槽、及びこの廃水処理槽を備える湿式塗装ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車工業等の分野において、スプレーノズルから液状塗料を噴霧して被塗装物の塗装を行なう方法が知られている(このような塗装方法を「湿式塗装」という。)。この塗装方法では、一般に被塗装物に噴霧された塗料の歩留りは20〜40%であり、使用塗料の60〜80%は次工程で除去すべき過剰分の塗料(以下、「余剰塗料」という。)である。
【0003】
この余剰塗料を効果的に捕集することは、作業環境の保全と大気汚染防止の観点から重要であり、従来から、このような余剰塗料を捕集する装置を備える湿式塗装ブースと称される装置が多用されている。
【0004】
湿式塗装ブースとしては、換気ファン等により塗装室(湿式塗装を行なう場所)から余剰塗料のミストを吸引するとともに、塗装室上部から循環水を水膜状又はシャワー状にして循環水処理槽内へ流下させ、この水膜状又はシャワー状の循環水によって余剰塗料を捕集する水膜式(シャワー式あるいは水流板式)塗装ブース(例えば、特許文献1)や、循環水処理槽内の循環水を換気ファンの吸引力で吸引空気とともに循環水と余剰塗料のミストとを、渦巻室と称されるベンチュリー部を高速で通過させて、このときの気液接触と遠心力による慣性力で余剰塗料を循環水の水滴中に捕集するベンチュリー式塗装ブース(例えば、特許文献2)等が知られている。
【0005】
これらの湿式塗装ブースにおいては、余剰塗料を捕集した循環水は循環水処理槽に戻される。そして、捕集された余剰塗料を循環水処理槽内で凝集、沈降させた後、沈降した塗料のスラッジを遠心分離機等の固液分離装置により分離し、廃棄している。また、固液分離装置で塗料のスラッジを除去した循環水は、再度循環水処理槽に戻され、余剰塗料の捕集にリサイクル使用される。
【0006】
しかし、これらの湿式塗装ブースにおいては、塗装ブースの運転中あるいは運転停止中に、循環水処理槽内において塗料スラッジが大量に生成して、固液分離装置にかかる負担が大きくなり、循環水の処理コストを低減する上で問題となっていた。また、循環水に含まれる塗料成分の臭気(循環水処理槽から発生する臭気)によって、作業環境が悪化するという問題もあった。
【0007】
このような問題を改善する方策として、特許文献3においては、被塗装物の湿式塗装を行なう塗装部と、循環水を貯蔵する循環水処理槽と、及び該循環水を塗装時に発生する余剰塗料とを接触させることにより余剰塗料を捕集し、余剰塗料を捕集した循環水を前記循環水処理槽に戻す循環水系とを備える湿式塗装ブースであって、前記循環水処理槽が、循環水処理槽内において循環水を流動させる循環水流動機構を有するものであることを特徴とする湿式塗装ブースが提案されている。
【0008】
この文献に記載された湿式塗装ブースによれば、循環水処理槽内において循環水を流動させる循環水流動機構を備えているので、循環水処理槽における塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載された湿式塗装ブースでは、相対的に水面積が大きく、かつ水深が25〜80cmと浅いタイプの循環水処理槽を有する場合や、粘性が高い塗料スラッジが多く混在する循環水の処理が必要である場合等において、水槽内の水の循環が不十分となり、循環水処理槽における塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することが困難となる場合があった。
【0010】
また、特許文献3に記載された湿式塗装ブースは、長期にわたって使用すると機械装置に塗料が付着し処理能力が低下したり、ノズルが閉塞するなどのトラブルが発生する場合があった。このような場合には、機械装置を撤去して、循環水処理槽内部を清掃する必要があるが、機械装置が大掛かりであるため、その撤去や再設置の作業に多大な労力を要していた。
【0011】
【特許文献1】特開平9−152136号公報
【特許文献2】特開2000−325842号公報
【特許文献3】特開2004−136266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、廃水処理槽、特に、相対的に水面積が大きく、かつ水深が浅いタイプの循環水処理槽における塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することができ、しかも、処理槽内の清掃を行う場合に、機械装置の撤去及び再設置が容易である廃水処理槽、及びこの廃水処理槽を備える湿式塗装ブースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、被塗装物の湿式塗装を行なう塗装部と、塗装時に発生する余剰塗料と循環水とを接触させることにより余剰塗料を捕集し、余剰塗料を捕集した廃水を前記循環水処理槽に戻す循環水系と、及び循環水処理槽とを備える湿式塗装ブースについて鋭意研究した。
【0014】
その結果、前記循環水処理槽の底面に、回転軸が処理槽床面に対して垂直方向となるように設置されたモーターと、前記回転軸に取り付けられたインペラと、前記回転軸のインペラ取り付け部分の下方近傍に設置された空気噴出ノズルと、外部から取り込んだ空気を前記空気噴出ノズルに送る通気ホースとを有し、前記インペラの回転に伴って、回転軸に対し直角方向の四方八方に循環水を噴出すると同時に、前記インペラの回転により流動された部分に生じる真空部分に吸引流入された空気を、前記空気噴出ノズルより微細気泡として噴き出すことにより、曝気と循環水の撹拌を同時に行う攪拌式曝気装置を設置し、前記循環水に、好気性微生物、好気性微生物の培養物、及び/又は有機物分解酵素を含む酵素剤を添加し、前記撹拌式曝気装置により槽内の循環水の撹拌及び曝気を行うことにより、循環水処理槽、特に、相対的に水面積が大きく、かつ水深が浅いタイプの循環水処理槽における塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することができることを見出した。そして、この知見を一般化することで本発明を完成するに至った。
【0015】
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(7)の廃水処理槽が提供される。
(1)処理槽内に貯蔵した廃水に、好気性微生物、好気性微生物の培養物、及び/又は有機物分解酵素を含む酵素剤を添加し、前記処理槽の底面に設置された攪拌式曝気装置により廃水の曝気及び撹拌を行う廃水処理槽であって、前記攪拌式曝気装置が、回転軸が処理槽床面に対して垂直方向となるように設置されたモーターと、前記回転軸に取り付けられたインペラと、前記回転軸のインペラ取り付け部分の下方近傍に設置された空気噴出ノズルと、及び、外部から取り込んだ空気を前記空気噴出ノズルに送る通気ホースとを有し、前記インペラの回転に伴って、回転軸に対し直角方向の四方八方に廃水を噴出すると同時に、前記インペラの回転により流動された部分に生じる真空部分に吸引流入された空気を、前記空気噴出ノズルより微細気泡として噴き出すことにより、曝気と廃水の撹拌を同時に行うものであることを特徴とする廃水処理槽。
【0016】
(2)湿式塗装ブースの循環水処理槽である(1)に記載の廃水処理槽。
(3)前記撹拌式曝気装置が、湿式塗装ブース本体の運転とは独立して、廃水処理槽内の廃水の曝気及び撹拌を行うことができるものである(2)に記載の廃水処理槽。
【0017】
(4)前記撹拌式曝気装置が、吸引する空気量の調整を行うことができる流量調整バルブをさらに有するものである(1)〜(3)のいずれかに記載の廃水処理槽。
(5)前記撹拌式曝気装置が、空気の吸引量が不足する場合には、前記通気ホースを介して空気を空気噴出孔に強制的に送り込むことができる空気供給機構をさらに有するものである(1)〜(4)のいずれかに記載の廃水処理槽。
(6)前記撹拌式曝気装置が、防爆エリア内で使用する場合には、防爆仕様とすることができるものである(1)〜(5)のいずれかに記載の廃水処理槽。
(7)廃水処理槽内の水の深さをD(cm)、該廃水処理槽の水面積をS(cm)としたときのD/Sの値が1×10−4〜1×10−3で、かつ、Dが25〜80cmである(1)〜(6)のいずれかに記載の廃水処理槽。
【0018】
本発明の第2によれば、下記(8)に記載の湿式塗装ブースが提供される。
(8)被塗装物の湿式塗装を行なう塗装部と、廃水を塗装時に発生する余剰塗料と接触させることにより余剰塗料を捕集し、余剰塗料を捕集した廃水を廃水処理槽に戻す廃水系と、及び、前記(2)〜(7)のいずれかに記載の廃水処理槽とを備えることを特徴とする湿式塗装ブース。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、相対的に水面積が大きく、かつ水深が25〜80cmと浅いタイプの処理槽を有するものであっても、塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することができる廃水処理槽、及びこの廃水処理槽を有する湿式塗装ブースが提供される。
【0020】
本発明の廃水処理槽及び湿式塗装ブースによれば、用いる撹拌式曝気装置の撤去及び再設置が容易であるので、処理槽内の清掃作業に要する労力を大幅に削減することができる。また、本発明の廃水処理槽及び湿式塗装ブースは、装置内に廃水(循環水)を吸引するものではないので、装置のメンテナンスが容易で、長期間に亘り安定した性能を維持することができる。
【0021】
本発明の廃水処理槽及び湿式塗装ブースにおいて、用いる撹拌式曝気装置に、吸引する空気量の調整を行うことができる流量調整バルブ、及び/又は、通気ホースを介して空気を空気噴出孔に強制的に送り込むことができる空気供給機構を付加することにより、廃水の粘性や発泡の状態に合わせて、曝気する空気量を容易に調整することができるため、廃水の種類によらず酸素を均一に供給できる。
【0022】
本発明の廃水処理槽及び湿式塗装ブースにおいては、前記撹拌式曝気装置が、湿式塗装ブース本体の運転とは独立して、廃水処理槽内の廃水の曝気及び撹拌を行うことができるものである場合には、湿式塗装ブース本体の運転停止中であっても、廃水処理槽中の廃水に十分な酸素が供給され、塗料スラッジの生成量及び塗料成分の臭気の発生量を効率よく低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を、1)廃水処理槽、及び、2)湿式塗装ブースに項分けして詳細に説明する。
1)廃水処理槽
本発明の廃水処理槽は、貯蔵した廃水に、好気性微生物、好気性微生物の培養物、及び/又は有機物分解酵素を含む酵素剤を添加し、処理槽の底面に設置された攪拌式曝気装置により、廃水の曝気及び撹拌を行う廃水処理槽である。
【0024】
本発明の廃水処理槽が処理の対象とする廃水は、特に制限されず、湿式塗装ブースの循環水、切削油廃液、飲食店や工業生産設備からの日常的に排出される産業用厨房廃水、工場廃水などが挙げられる。なかでも、本発明においては、湿式塗装ブースの循環水、切削油廃液が好ましく、湿式塗装ブースの循環水が特に好ましい。
【0025】
本発明の廃水処理槽は、処理槽の底面に攪拌式曝気装置を設置してなる。そして、該攪拌式曝気装置が、回転軸が処理槽床面に対して垂直方向となるように設置されたモーターと、前記回転軸に取り付けられたインペラと、前記回転軸のインペラ取り付け部分の下方近傍に設置された空気噴出ノズルと、外部から取り込んだ空気を前記空気噴出ノズルに送る通気ホースとを有し、前記インペラの回転に伴って、回転軸に対し直角方向の四方八方に廃水を噴出すると同時に、前記インペラの回転により流動された部分に生じる真空部分に吸引流入された空気を、前記空気噴出ノズルより微細気泡として噴き出すことにより、曝気と循環水の撹拌を同時に行うものである。
【0026】
図1に、本発明の廃水処理槽の一例を模式的に示す。図1に示す廃水処理槽では、処理槽10の中央部底面に攪拌式曝気装置20が設置されている。撹拌式曝気装置の設定位置は、処理槽の底面であれば、特に制限されず、処理槽内において、撹拌・曝気が必要とされる場所の底面に設置すればよい。なかでも、処理槽全体を効率よく撹拌・曝気を行う上では、図1に示すごとく、処理槽中央部の底面に設置するのが好ましい。
【0027】
攪拌式曝気装置20は、回転軸2が処理槽10の床面に対して垂直方向となるように設置された円筒形状のモータ1と、回転軸2に取り付けられたインペラ3と、回転軸2のインペラ3取り付け部分の下方近傍に設置された空気噴出ノズル4と、外部から取り込んだ空気を前記空気噴出ノズル4に送る通気ホース5とを有する。
【0028】
撹拌式曝気装置20において、モーター1は、処理槽底面に4本の固定脚8aにより固定された正方形の固定板9上に4本の固定脚8bにより固定されている。そして、固定板9の中央部に上部に向かって開口部を有する空気噴出ノズル4が穿設され、空気噴出ノズル4の下部に通気ホース5が連結されている。
【0029】
この構造によると、モーター1を駆動させると、インペラ3の回転に伴って、回転軸2に対し直角方向の四方八方に廃水6が噴出すると同時に、インペラ3の回転により流動された部分に生じる真空部分に空気が吸引流入され、この空気が空気噴出ノズル4より微細気泡7として噴き出すことにより、曝気と循環水の撹拌を同時に行うことができる。
【0030】
本発明の廃水処理槽は、このような構造を有する攪拌式曝気装置を処理槽の底面に設置しているので、前記装置のインペラの回転により、水平方向の全方向に廃水が撹拌されて噴出される。それと同時に、該装置の底面部から取りこまれた空気が、インペラの回転力で破砕されて微細気泡となり、処理槽の隅々まで十分な撹拌と曝気が行われる。従って、相対的に水面積が大きく、かつ水深が25〜80cmと浅いタイプの循環水処理槽を有する湿式塗装ブースの場合や、粘性が高い塗料スラッジが多く混在する循環水の水処理を行う場合であっても、処理槽内の水を十分に循環させ、曝気することができる。
【0031】
なかでも、本発明の廃水処理槽としては、処理槽内の水の深さをD(cm)、該処理槽の水面積をS(cm)としたときのD/Sの値が1×10−4〜1×10−3で、かつDが25〜80cmである廃水処理槽が好ましく、前記D/Sの値が1×10−4〜1×10−3であり、Dが25〜80cmである、湿式塗装ブースの循環水処理槽が特に好ましい。
【0032】
本発明の廃水処理槽において、前記撹拌式曝気装置を用いて槽内の廃水の撹拌と曝気を行う場合に、廃水に発泡性の物質が含まれている場合などのように吸引する空気量が多すぎる場合には、例えば、通気ホースの空気取り入れ口13から空気噴出ノズル4の間に、前記撹拌式曝気装置が吸引する空気量を調整できる流量調整バルブをさらに設置して、吸引する空気量を調整できるようにするのが好ましい。
【0033】
また、前記撹拌式曝気装置において、前記撹拌式曝気装置を用いて槽内の廃水の撹拌と曝気を行う場合に、曝気する空気量が不足している場合には、空気を前記通気ホースを介して空気噴出孔に強制的に送り込むことができる空気供給機構をさらに設置するのが好ましい。例えば、通気ホースの空気取り入れ口13から空気噴出ノズル4の間に、エアーコンプレッサーを設置する方法等が挙げられる。
【0034】
さらに、本発明の廃水処理槽において、防爆エリア内に設置された湿式塗装ブースの場合等のように、前記撹拌式曝気装置を防爆エリア内で使用する場合には、防爆仕様とすることができるものであるのが好ましい。防爆仕様とする方法としては、特に制限されず、従来公知の方法が採用できる。
【0035】
本発明の廃水処理槽においては、前記撹拌式曝気装置を用いて廃水の曝気及び撹拌を行うに際し、廃水に、好気性微生物、好気性微生物の培養物、及び/又は有機物分解酵素を含む酵素剤(以下、これらをまとめて「好気性微生物等」ということがある)を添加する。
【0036】
用いる好気性微生物としては、通気培養により増殖し得るものであれば、バクテリア、カビ、酵母等、どのような微生物でも使用することができる。また、これらの微生物は混合菌として用いることもできる。
【0037】
これらの微生物の中でも、増殖速度が速く、菌体外酵素、特に有機物の分解酵素を多量に生産する微生物が好ましい。かかる微生物としては、例えば、枯草菌(Bacilus subtilis)、ズーグレア等の活性汚泥菌、水洗水に油分が多い場合は油分解菌、水洗水に難分解性物質が多い場合は種々の難分解性物質分解菌等を例示することができる。これらの中でも、枯草菌が特に好ましい。
【0038】
好気性微生物の培養物は、天然植物を好気性微生物で醗酵させて得られるものである。天然植物としては、例えば、もろこし粉、小麦粉、ふすま、大豆かす、米ぬか等の穀類又は穀類から得られるものを用いることができる。また、醗酵させる場合においては、リン酸二水素アンモニウム等のリン酸塩や炭酸カルシウム等の無機塩を添加することができる。
【0039】
好気性微生物の培養物に含まれる菌体数は、本発明の優れた効果を得る上では多いほど好ましいが、通常1×10〜2×1011個/g、好ましくは1×10〜2×1011個/g、より好ましくは1×10〜2×1011個/gである。好気性微生物として枯草菌を使用する場合には培養することによって10個/g以上の培養物を得ることができる。
【0040】
酵素剤は、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ等の有機物分解酵素の1種又は2種以上を含むものである。酵素剤としては、上記好気性微生物の培養物をそのまま用いてもよいし、他の微生物の培養物や、植物等から抽出したものであってもよい。また、単離・精製したものであっても、単離・精製することなく、混合物としてそのまま使用することもできる。
【0041】
これらの中でも、特に優れた廃水の処理効果を得ることができるものとしては、穀類等の天然植物を枯草菌で醗酵させた乾燥粉粒を主体とした活性汚泥等の種植剤が挙げられる。例えば、商品名「ミタゲンクリアー」(東和酵素(株)製)で市販されているものが挙げられる。
【0042】
好気性微生物等の添加量は、本発明の効果が得られる量であれば特に制限されない。例えば、好気性微生物の培養物を使用する場合には、添加する単位重量あたりの菌体数にも依存するが、一般的には、10〜1010個/gの菌体数の好気性微生物又は好気性微生物の培養物を使用する場合には、廃水1m当たり、300〜500g程度である。また、菌体数が10個/ml以上であることが好ましい。
【0043】
本発明の廃水処理槽においては、廃水に好気性微生物等を添加する方法は特に制限されない。例えば、廃水処理槽内に一定量の好気性微生物等を定期的に直接添加する方法や、後述する本発明の湿式塗装ブースにおいて、循環水が循環する経路(循環水系)に薬剤添加部を設け、そこから好気性微生物等の一定量を添加する方法等が挙げられる。
【0044】
廃水に好気性微生物等を添加した後、一定時間が経過して、好気性微生物等の菌体数が減少した場合や、廃水を新しい水と交換した場合には、本発明の所望の効果が得られなくなる。その場合には、好気性微生物等を更に添加する必要がある。
【0045】
追加の添加量は、本発明の効果を得ることができる量以上であれば特に制限されないが、循環水10m当たり、通常1×10個/g〜2×1010個/g、好ましくは1×10個/g〜2×1010個/gの菌体を含む100〜500gを、1〜6月に少なくとも1回添加すればよい。
【0046】
このように、貯蔵した廃水に、好気性微生物等を連続的又は一定期間毎に一定量ずつ添加することにより、廃水処理槽の長期にわたる連続運転が可能となる。
【0047】
本発明の廃水処理槽によれば、31日間連続的に運転した後であっても、廃水処理槽内の廃水のCOD値(化学的酸素要求量:JIS K 0102に準拠した重クロム酸カリウム(KCr)を酸化剤として用いる方法により測定した値)を、1000mg/リットル以下、好ましくは500mg/リットル以下に維持することができる。
【0048】
また、BOD値(生物学的酸素要求量:JIS K 0102 21及び32.3に記載された方法によって測定した値)を、1000mg/リットル以下、好ましくは600mg/リットル以下に維持することができる。
【0049】
本発明の廃水処理槽においては、廃水処理の処理効率を向上させる目的、特に湿式塗装ブースの循環水に余剰塗料の分散性を向上させる目的で、廃水に、公知の分散薬剤を好気性微生物等の添加と同時に添加することができる。
【0050】
また、特開平7−3240号公報に記載されるイミダゾール系化合物、特開平8−984号公報に記載される高級脂肪酸モノアルコールエステルの水系乳化分散液、特開平8−259896号公報や特開平9−70561号公報に記載されるコロイドシリカとカチオン性(有機)ポリマーの混合物、特開平9−152136号公報に記載されるセピオライト、カチオン性ポリマー又は両性金属化合物、特開2001−225068号公報に記載される水溶性アニオンポリマー等を併用することもできる。
【0051】
2)湿式塗装ブース
本発明の湿式塗装ブースは、被塗装物の湿式塗装を行なう塗装部と、廃水を塗装時に発生する余剰塗料と接触させることにより余剰塗料を捕集し、余剰塗料を捕集した廃水を前記廃水処理槽に戻す廃水系と、及び本発明の廃水処理槽とを備えることを特徴とする。
【0052】
本発明の湿式塗装ブースとしては、例えば、
(i)循環水処理槽に貯蔵された循環水を塗装部の上部に送液し、そこから塗装部の側壁部に設置された水膜板上を水膜状に循環水処理槽内に流下させ、該水膜状の循環水により余剰塗料を捕集する、いわゆる水流板式(水膜式)の湿式塗装ブースの循環水処理槽;
(ii)塗装部に隣接して、シャワー洗浄器を設置したシャワー洗浄室を設け、シャワー洗浄室の上部に設置した換気ファンにより塗装部内に滞留する余剰塗料のミストをシャワー洗浄室内に吸引し、シャワー洗浄器から循環水をシャワー状に循環水処理槽内に流下させ、シャワー状の循環水により余剰塗料を捕集するシャワー式の湿式塗装ブースの循環水処理槽;(iii)前記(i)と(ii)を組み合わせた塗装ブースであって、シャワー洗浄室の上部に設置した換気ファンにより塗装部内に滞留する余剰塗料のミストをシャワー洗浄室内に吸引するときに、吸引される余剰塗料が、塗装部の側壁部に設けられた水膜板上を流下する水膜状の循環水中を通過するようにすることで、余剰塗料の大部分を水膜状の循環水により捕集し、さらに通過した余剰塗料のミストをシャワー洗浄することにより、シャワー状の循環水により捕集する水膜・シャワー式の湿式塗装ブースの循環水処理槽;(iv)余剰塗料のミストを含む吸引気流によって、前記循環水処理槽内の循環水を渦巻室に吸引し、該渦巻室に吸引される循環水の液膜と液滴により余剰塗料を捕集する、いわゆるベンチュリー式塗装ブースの循環水処理槽;等が挙げられる。
【0053】
前記(i)〜(iii)のタイプの湿式塗装ブースの具体例としては、特開昭57−10367号公報、特開平7−3240号公報等に記載されたものが挙げられる。また、(iv)のベンチュリー式塗装ブースの具体例としては、特開昭56−70872号公報、特開平10−113587号公報、特開2000−325842号公報等に記載されるベンチュリー式塗装ブース;等が挙げられる。
【0054】
本発明の湿式塗装ブースの一実施形態を図2に示す。図2に示す湿式塗装ブースは、塗装部(湿式塗装ブース本体)30と循環水を貯蔵する循環水処理槽10aとを備える。塗装部30内には、液状塗料31を被塗装物に噴霧塗装するスプレーノズル32が設置されており、スプレーノズル32から液状塗料31が噴霧され、液状塗料が被塗装物(図示を省略)に塗布される。
【0055】
また、本発明の湿式塗装ブースは、循環水を塗装部30の上部に送液し、その循環水で塗装部30内の余剰塗料を洗浄し、その循環水を前記循環水処理槽10aに戻す循環水系を備える。すなわち、循環水処理槽10a内の循環水は、配管33aの所定位置に配置された循環ポンプ34aによって塗装ブースの上部に設置された貯蔵槽(図示を省略)に送給され、塗装部30内の両側に設置された水膜板35を伝って循環水処理槽10aに戻される。一方、このようにして、水膜板35の面上には水膜が形成されるので、スプレーノズル32から噴霧された余剰塗料は循環水とともに、循環水処理槽10aに洗い流される。
【0056】
図2に示す湿式塗装ブースにおいて、循環水処理槽10aの循環水の一部は、配管33bを介して、配管33bの所定位置に設置された循環ポンプ34bにより固液分離装置36に送液され、ここで、塗料スラッジ等の固形分が除去される(図中、37)。また、固体分が除去された循環水は、配管33cにより循環水処理槽10aに戻される。このようにして、循環水処理槽10aで生成した塗料スラッジ等を除去する循環水の浄化処理が行なわれる。
【0057】
図2に示す湿式塗装ブースにおいて、循環水処理槽10a内の中央部底面には、撹拌式曝気装置20が設置されている。撹拌式曝気装置20を運転することで、図示しないインペラの回転に伴って、回転軸に対し直角方向の四方八方に循環水を噴出すると同時に、前記インペラの回転により流動された部分に生じる真空部分に吸引流入された空気を、前記空気噴出ノズルより微細気泡として噴き出すことにより、循環水の十分な撹拌と曝気とを同時に行うことができる。
【0058】
本発明の湿式塗装ブースにおいては、循環水処理槽10a内の中央部底面に、このような構造的特徴をもつ撹拌式曝気装置20が設置され、運転が行われるので、相対的に水面積が大きく、かつ水深が25〜80cmと浅いタイプの循環水処理槽を有する湿式塗装ブースの場合や、粘性が高い塗料スラッジが多く混在する循環水の水処理を行う場合であっても、処理槽内の循環水を十分に循環させ、曝気することができる。
【0059】
循環水処理槽に、好気性微生物等を添加する方法は特に制限されない。例えば、循環水が循環する経路(循環水系)に薬剤添加部を設け、そこから好気性微生物等の一定量を添加すればよい。薬剤添加部の設置位置は、循環水が循環する経路内(循環水処理槽を含む。)であれば特に制約されない。例えば、図3に示すように、前記図2に示す湿式塗装ブース循環水の処理装置に、薬剤添加部38がさらに配設された湿式塗装ブース循環水処理装置を使用することができる。
【0060】
この処理装置では、薬剤添加部38から、配管33dを介して、循環ポンプ34cにより循環水処理槽10aに好気性微生物等を連続的又は一定時間毎に一定量ずつ添加することができる。
【0061】
用いる好気性微生物等の具体例としては、前記本発明の廃水処理槽の説明で列記したものと同様のものが挙げられる。
【0062】
また、本発明の湿式塗装ブースにおいては、前記循環水系とは別個に好気性微生物の培養タンクを設置し、そこで好気性微生物を培養し、該培養タンクで増殖させた好気性微生物又は好気性微生物の培養物を循環水系に添加することもできる。この培養タンクは、好気性微生物を培養し得るものであれば、通気回分式、通気半連続式等、どのようなものでもよい。このような培養タンクとしては、例えば、特開平11−57762号公報に記載された培養タンクが挙げられる。このような装置によれば、培養タンクにて好気性微生物を培養して菌体数を増加させ、単位重量あたりの菌体数が極めて多い好気性微生物の培養物を循環水系に連続的又は一定間隔毎に送り込むことができる。
【0063】
循環水に好気性微生物等を添加した後、一定時間が経過すると、好気性微生物等の菌体数が減少したり、循環水を新しい水と交換した場合には、本発明の所望の効果が得られなくなる。その場合には、好気性微生物等を更に添加する必要がある。
【0064】
追加の添加量は本発明の効果を得ることができる量以上であれば特に制限されないが、循環水10m当たり、通常30〜2×1010個/g、好ましくは10個/g〜2×1010個/gの菌体を含む100〜500gを、1〜6月に少なくとも1回添加すればよい。
【0065】
このように、循環水に好気性微生物等を連続的又は一定期間毎に一定量ずつ添加することにより、湿式塗装ブースの循環水系の運転停止期間を含めた長期にわたる連続運転が可能である。
【0066】
本発明の湿式塗装ブースによれば、31日間連続的に運転(湿式塗装ブース本体が運転停止中も含む)した後であっても、循環水処理槽内の循環水のCOD値(化学的酸素要求量:JIS K 0102に準拠した重クロム酸カリウム(KCr)を酸化剤として用いる方法により測定した値)を、1000mg/リットル以下、好ましくは500mg/リットル以下に維持することができる。
【0067】
COD値が高くなることは、循環水に塗料が多く残存していることを意味し、循環水の粘度が上昇し、発泡等のトラブルの原因となる。本発明によれば、水槽内を均一で良好なDO(溶存酸素)に保つことにより、好気性微生物等が塗料成分を効率よく分解することができ、COD値を一定値以上に維持することができる。すなわち、循環水の延命ができる。
【0068】
また、BOD値(生物学的酸素要求量:JIS K 0102 21及び32.3に記載された方法によって測定した値)を、1000mg/リットル以下、好ましくは600mg/リットル以下に維持することができる。
【0069】
また本発明においては、湿式塗装ブースの循環水に余剰塗料の分散性を向上させる目的で公知の分散薬剤を同時に添加することができる。これらの具体例としては、前記廃水処理槽の項で列記したものと同様のものが挙げられる。
【0070】
本発明の湿式塗装ブースにおいて、前記撹拌式曝気装置の運転時間は、湿式塗装ブース本体(本発明の湿式塗装ブースを構成する部分のうち、循環水処理槽部分以外の部分)の運転中、湿式塗装ブース本体の運転停止中、湿式塗装ブース本体の運転中及び運転停止中のいずれであってもよいが、湿式塗装ブース本体の運転中及び運転停止中が好ましい。
【0071】
前記撹拌式曝気装置の運転方法としては、例えば、ポンプの運転開始スイッチを循環水系の運転スイッチと連動させて、循環水系の運転開始と同時にポンプの運転を開始するようにセットすることもできるし、循環水系の運転終了と同時にポンプの運転開始スイッチが入る(ON)ようにセットすることもできる。また、一定時間毎にポンプのスイッチがONとOFFを繰り返すように設定し、一定時間毎に循環水処理槽内で、循環水を強制的に流動させるようにすることもできる。
【実施例】
【0072】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例の実験は、全て図3に示す湿式塗装ブース循環水の処理装置(塗装ブースのピット容積:2m、循環水処理槽の水面積:6m、循環水処理槽の循環水の深さ:33cm)を使用して行なった。
【0073】
(装置の使用及び運転条件)
処理装置の使用及び運転条件は次のとおりである。
保有水量:2m
循環水量:200リットル/分
【0074】
(好気性微生物の培養物)
好気性微生物の培養物として以下のものを用いた。
好気性微生物の培養物:モロコシ粉、小麦粉、ふすま、大豆かす、米ぬか等からなる天然植物を枯草菌で醗酵させた乾燥粉粒を主体とした活性汚泥等の種植剤(商品名:ミタゲンクリアー、東和酵素(株)製、菌体数:1.2×1010個/g以上)
【0075】
(循環水ろ過液のpH値、COD値、BOD値の測定)
循環水ろ過液のpH値、COD値及びBOD値の測定は、以下のようにして行なった。
pH値:pH値は、JIS K 0102 12.1に準拠した方法によって測定した。
COD値(化学的酸素要求量):COD値は、JIS K 0102 17に準拠した、KCrを酸化剤として用いる方法によって測定した。
BOD値(生物学的酸素要求量):BOD値は、JIS K 0102 21及び32.3に記載された方法によって測定した。
【0076】
(実施例及び比較例)
(実施例1)
図3に示す湿式塗装ブースの循環水処理槽10a内に設置した撹拌式曝気装置20を運転して、循環水処理槽10a内の循環水を強制的に撹拌及び曝気させながら、31日間連続運転を行なった。試験開始時、6日経過後、17日経過後及び31日経過後における循環水処理槽内のpH値、COD値及びBOD値を測定した。測定結果を第1表に示す。
【0077】
(比較例1)
実施例1において、図3に示す湿式塗装ブースの循環水処理槽10a内に、特開2004−136266号公報の図1に記載したごとくの撹拌装置を設置した以外は実施例1と同様にして、湿式塗装ブースの連続運転を31日間行なった。試験開始時、6日経過後、17日経過後及び31日経過後における循環水処理槽内のpH値、COD値及びBOD値を測定した。測定結果を第1表に示す。
【0078】
(比較例2)
実施例1において、図3に示す湿式塗装ブースの循環水処理槽10a内に、市販のブースクリーナーを所定量添加した以外は実施例1と同様にして、湿式塗装ブースの連続運転を31日間行なった。試験開始時、6日経過後、17日経過後及び31日経過後における循環水処理槽内のpH値、COD値及びBOD値を測定した。測定結果を第1表に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
第1表から、実施例1では、6日経過後以降のCOD値及びBOD値が比較例1に比して格段に低くなっており、循環水処理槽10aの有機溶剤の臭気は明らかに少なくなっており、pH値もほぼ中性に維持されていた。
また、実施例1においては、比較例1、2に比して循環水を一定、かつ低粘度に維持することができ、比較例1、2に比してイルミネータ(有機溶剤のミストの飛散防止のために排気内に設けられた仕切り板)等に塗料スラッジの付着が少なくなっていた。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の廃水処理槽の一例の概念図である。
【図2】本発明の湿式塗装ブースの一例の概念図である。
【図3】本発明の湿式塗装ブースの一例の概念図である。
【符号の説明】
【0082】
1…モーター、2…回転軸、3…インペラ、4…空気噴出ノズル、5…通気ホース、6…撹拌された廃水、7…空気の微細気泡、8a、8b…固定脚、9…固定板、10…廃水処理槽、10a…循環水処理層、11…電気コード、12…廃水の水面、13…空気取り入れ口、20…撹拌式曝気装置、30…塗装部、31…液状塗料、32…スプレーノズル、33a、33b、33c、33d…配管、34a、34b、34c…ポンプ、35…水膜板、36…固液分離装置、37…塗料スラッジ等の固形分、38…薬剤添加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽内に貯蔵した廃水に、好気性微生物、好気性微生物の培養物、及び/又は有機物分解酵素を含む酵素剤を添加し、前記処理槽の底面に設置された攪拌式曝気装置により廃水の曝気及び撹拌を行う廃水処理槽であって、
前記攪拌式曝気装置が、回転軸が処理槽床面に対して垂直方向となるように設置されたモーターと、前記回転軸に取り付けられたインペラと、前記回転軸のインペラ取り付け部分の下方近傍に設置された空気噴出ノズルと、および、外部から取り込んだ空気を前記空気噴出ノズルに送る通気ホースとを有し、前記インペラの回転に伴って、回転軸に対し直角方向の四方八方に廃水を噴出すると同時に、前記インペラの回転により流動された部分に生じる真空部分に吸引流入された空気を、前記空気噴出ノズルより微細気泡として噴き出すことにより、曝気と廃水の撹拌を同時に行うものであることを特徴とする廃水処理槽。
【請求項2】
湿式塗装ブースの循環水処理槽である請求項1に記載の廃水処理槽。
【請求項3】
前記撹拌式曝気装置が、湿式塗装ブース本体の運転とは独立して、廃水処理槽内の廃水の曝気及び撹拌を行うことができるものである請求項2に記載の廃水処理槽。
【請求項4】
前記撹拌式曝気装置が、吸引する空気量の調整を行うことができる流量調整バルブをさらに有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の廃水処理槽。
【請求項5】
前記撹拌式曝気装置が、空気の吸引量が不足する場合には、前記通気ホースを介して空気を空気噴出孔に強制的に送り込むことができる空気供給機構をさらに有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の廃水処理槽。
【請求項6】
前記撹拌式曝気装置が、防爆エリア内で使用する場合には、防爆仕様とすることができるものである請求項1〜5のいずれかに記載の廃水処理槽。
【請求項7】
廃水処理槽内の水の深さをD(cm)、該廃水処理槽の床面積をS(cm)としたときのD/Sの値が1×10−4〜1×10−3で、かつ、Dが25〜80cmである請求項1〜6のいずれかに記載の廃水処理槽。
【請求項8】
被塗装物の湿式塗装を行なう塗装部と、廃水を塗装時に発生する余剰塗料と接触させることにより余剰塗料を捕集し、余剰塗料を捕集した廃水を廃水処理槽に戻す廃水系と、および、請求項2〜7のいずれかに記載の廃水処理槽とを備えることを特徴とする湿式塗装ブース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−229692(P2007−229692A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58252(P2006−58252)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(397016770)東和酵素株式会社 (6)
【Fターム(参考)】