説明

建具枠組込壁体の製造方法

【課題】建具枠組込壁体を変形なく容易に製造できる建具枠組込壁体の製造方法を提供する。
【解決手段】壁パネル3を一対の柱部2,2の上端部に接合して門型壁体6を形成する門型壁体形成工程と、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部に取り外し可能に取り付ける治具パネル取付け工程と、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部でかつ治具パネル12の下側に半土台4を接合する半土台接合工程と、治具パネル12を取り外す治具パネル取外し工程と、門型壁体6の開口部10に建具枠11を取り付ける建具枠取付け工程とを含むので、建具枠組込壁体1を変形なく容易に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の柱部と、これら柱部の上端部間に配置されて該柱部の上端部に接合された壁パネルと、前記柱部の下端部間に配置されて該柱部の下端部に接合された半土台と、前記壁パネル、前記左右一対の柱部、前記半土台によって囲まれた開口部に取り付けられた建具枠とを備えた建具枠組込壁体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サッシ枠組込壁パネルの一例として、特許文献1に記載のものが知られている。このサッシ枠組込壁パネルは、矩形状の袖パネルとこれらの上端側側端面間に配設された矩形状の小壁パネルとからなるコ字状の連結パネルと、この連結パネルの前面側でかつ両袖パネルと小壁パネルとの内側に取付けられた掃き出し窓用サッシ枠と、前記両袖パネルの下端面に取付けられた半土台とからなり、前記掃き出し窓用サッシ枠の下枠が袖パネルの下端面より下側に突出し、かつ前記半土台あるいは胴差しの上端面に凹部が形成され、前記下枠が半土台あるいは胴差しの凹部に嵌入されてなることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−189367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記サッシ枠組込壁パネルにおいて、袖パネルに代えて柱状部材を使用する場合もある。
つまり、左右一対の柱部と、これら柱部の上端部間に配置されて該柱部の上端部に接合された壁パネルと、前記柱部の下端部間に配置されて該柱部の下端部に接合された半土台と、前記壁パネル、前記左右一対の柱部、前記半土台によって囲まれた開口部に取り付けられた建具枠とを備えた建具枠組込壁体を使用する場合もある。
このような建具枠組込壁体では、左右一対の柱部の上端部間に壁パネルを配置して、該壁パネルを前記一対の柱部の上端部に接合して門型壁体を形成する際に、柱部の下端部間が拡がったり、狭まったりするおそれがある。特に、門型壁体を形成する場合、左右の柱部に、壁パネルを挟み付けるようにしてプレスをかけるので、柱部の下端部間が狭まるおそれがある。柱部の下端部間が狭まったり拡がったりして、門型壁体が変形すると、柱部の下端部に半土台を接合し難くなるとともに、壁パネル、左右一対の柱部、半土台によって囲まれた開口部に建具枠を取り付け難くなるばかりか、最終的に製造された建具枠組込壁体が変形するおそれがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、建具枠組込壁体を変形なく容易に製造できる建具枠組込壁体の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、左右一対の柱部2,2と、これら柱部2,2の上端部間に配置されて該柱部2,2の上端部に接合された壁パネル3と、前記柱部2,2の下端部間に配置されて該柱部2,2の下端部に接合された半土台4と、前記壁パネル3、前記左右一対の柱部2,2、前記半土台4によって囲まれた開口部10に取り付けられた建具枠11とを備えた建具枠組込壁体1を製造する方法において、
左右一対の柱部2,2の上端部間に壁パネル3を配置して、該壁パネル3を前記一対の柱部2,2の上端部に接合して門型壁体6を形成する門型壁体形成工程と、
この門型壁体形成工程後、前記門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部間に治具パネル12を配置して、該柱部2,2の下端部に取り外し可能に取り付ける治具パネル取付け工程と、
この治具パネル取付け工程後、前記門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部でかつ前記治具パネル12の下側に半土台4を接合する半土台接合工程と、
この半土台接合工程後、前記治具パネル12を取り外す治具パネル取外し工程と、
この治具パネル取外し工程後、前記壁パネル3、前記左右一対の柱部2,2、前記半土台4によって囲まれた開口部10に建具枠11を取り付ける建具枠取付け工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、門型壁体形成工程後、治具パネル取付け工程で、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部間に治具パネル12を配置して、該柱部2,2の下端部に取り外し可能に取り付けるので、左右の柱部2,2に、壁パネル3を挟み付けるようにしてプレスをかけても、柱部2,2の下端部間が狭まることがなく、よって、門型壁体6が変形することがない。そして、治具パネル12を取り付けた状態で、半土台接合工程で、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部でかつ治具パネル12の下側に半土台4を接合するので、半土台4を容易かつ正確に接合することができる。
その後、治具パネル取外し工程で治具パネル12を取り外した後、建具枠取付け工程で、壁パネル3、左右一対の柱部2,2、半土台4によって囲まれた開口部10に建具枠11を取り付けるので、建具枠組込壁体1を変形なく容易に製造できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記半土台接合工程では、前記半土台4の両端部前面に、位置合せ板17,17をその上部が半土台4の上面から突出するようにして取り付けるとともに、前記位置合せ板17,17の上部裏面に、前記柱部2,2の下端部前面を当接することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、半土台4の両端部前面に、位置合せ板17,17をその上部が半土台4の上面から突出するようにしてに取り付け、前記位置合せ板17,17の上部裏面に、前記柱部2,2の下端部前面を当接するので、柱部2,2の下端部前面と半土台4の前面とを面一にして、半土台4を柱部2,2に容易に接合できる。
また、位置合せ板17,17を、半土台4の両端部前面から取り外すことによって、柱部2,2の下端部前面に位置合せ板17,17がない状態となるので、柱部2,2の前面に、他の壁を建具枠組込壁体1と直角に接合することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記治具パネル取付け工程後でかつ前記半土台接合工程前に、前記壁パネル3と前記柱部2とが交差するコーナ部に、該コーナ部を直角に保持するためのコーナ補強材15を取り付けるコーナ補強材取付け工程を行い、
前記建具枠取付け工程後、前記コーナ補強材15を取り外すコーナ補強材取外し工程を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、治具パネル取付け工程後でかつ半土台接合工程前に、コーナ補強材取付け工程で、壁パネル3と柱部2とが交差するコーナ部に、コーナ補強材15を取り付けるので、壁パネル3と柱部2とを直角に保持できる。したがって、柱部2,2の下端部に半土台4を正確に接合できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記コーナ補強材取付け工程では、前記開口部10に取り付けるべき建具枠11の取付け箇所以外に、前記コーナ補強材15を取り付けることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、門型壁体6の開口部10に取り付けるべき建具枠11の取付け箇所以外に、コーナ補強材15を取り付けるので、建具枠取付け工程で、壁パネル3、左右一対の柱部2,2、半土台4によって囲まれた開口部10に、コーナ補強材15に干渉することなく、建具枠11を取り付けることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記門型壁体形成工程から前記建具枠取付け工程までを工場で行って、コーナ補強材付きの建具枠組込壁体1を製造し、
次に、前記コーナ補強材付きの建具枠組込壁体1を建築現場まで搬送し、
次に、前記コーナ補強材取外し工程を建築現場で行うことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、コーナ補強材付きの建具枠組込壁体1を現場まで搬送するので、搬送中に建具枠組込壁体1が変形するのを防止できる。
そして、建築現場でコーナ補強材取外し工程を行うので、変形のない建具枠組込壁体1を躯体に接合できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、門型壁体形成工程、治具パネル取付け工程、半土台接合工程、治具パネル取外し工程、建具枠取付け工程を順次行うが、門型壁体形成工程後、治具パネル取付け工程で、門型壁体の一対の柱部の下端部間に治具パネルを取り外し可能に取り付けるので、左右の柱部に、壁パネルを挟み付けるようにしてプレスをかけても、柱部の下端部間が狭まることがなく、よって、門型壁体が変形することがない。そして、治具パネルを取り付けた状態で、半土台接合工程で、門型壁体の一対の柱部の下端部でかつ治具パネルの下側に半土台を接合するので、半土台を容易かつ正確に接合することができる。その後、治具パネル取外し工程で治具パネルを取り外した後、建具枠取付け工程で、壁パネル、左右一対の柱部、半土台によって囲まれた開口部に建具枠を取り付けるので、建具枠組込壁体を変形なく容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の建具枠組込壁体の製造方法によって製造された建具枠組込壁体の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の建具枠組込壁体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図3】本発明の建具枠組込壁体の製造方法で使用される治具パネルを示すもので、(a)は背面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明の建具枠組込壁体の製造方法の一例を説明するもので、コーナ補強材を取り付けた状態を示す要部の斜視図である。
【図5】同、治具パネルを取り付けた門型壁体の正面図である。
【図6】本発明の建具枠組込壁体の製造方法で使用される半土台を示す斜視図である。
【図7】本発明の建具枠組込壁体の製造方法の一例を説明するもので、コーナ補強材付きの建具枠組込壁体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明に係る建具枠組込壁体の製造方法を説明する前に、該製造方法によって製造された建具枠組込壁体のついて、図1を参照して説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明に係る建具枠組込壁体1の正面図、図1(b)は同側面図である。この図に示すように、建具枠組込壁体1は、左右一対の柱部2,2と、これら柱部2,2の上端部間に配置されて該柱部2,2の上端部に接合された壁パネル3と、左右一対の柱部2,2の下端部間に配置されて、両端部が一対の柱部2,2の下端面に接合された半土台4とを備えている。
【0020】
柱部2は、柱部本体2aと、この柱部本体2aの側面に固定された方立2bとを備えている。柱部本体2aおよび方立2bは、それぞれ木質の角材で形成されており、柱部本体2aは方立2bより長くなっている。柱部本体2aの下端面と方立2bとの下端面は面一となっており、柱部本体2aの上端部は方立2bより上方に突出している。そして、この突出した柱部本体2a,2aの上端部間に、壁パネル3が配置されて該柱部本体2a,2aの側面に接合されている。なお、壁パネル3は複数枚の壁パネルを接合することによって構成してもよい。
【0021】
前記壁パネル3は、框材を矩形枠状に組み立てるとともに、その矩形枠内に必要に応じて補強桟材を組み付け、さらに、矩形枠の両面に合板等からなる面材を貼り付けてなるものである。このような壁パネル3の側端面が柱部本体2aの側面に接合されている。
この接合は、壁パネル3の側端面と柱部本体2aの側面とを接着剤によって接着するとともに、釘を壁パネル3の面材から框材を通して柱部本体2aまで斜め打ちするとともに、釘を柱部本体2aの正面から壁パネル3の框材に斜め打ちすることによって行われている。
また、壁パネル3の上端面と柱部本体2aの上端面とは面一になっている。また、壁パネル3の上縁部には、建具枠組込壁体1をクレーン等によって吊り下げる際の吊穴5,5が形成されている。
【0022】
前記半土台4は、基礎の上面の外側半分に設置されるものであり、木質の角材によって形成されている。半土台4は、その上面が所定の深さだけ切り欠かれて、切欠部4aとなっており、両端部上面が接合面4b,4bとされている。
そして、半土台4の両端部の接合面4b,4bが柱部2,2の下端面に接合されている。すなわち、柱部2を構成する方立2bの下端面全体に接合面4bの一部が接合されており、柱部2を構成する柱部本体2aの下端面の内側半分に接合面4bの他部が接合されている。この接合は、2本釘を半土台4の端部下面から方立2bおよび柱部本体2aに打ち込むとともに、接合面を接着剤によって接合することによって行われている。
【0023】
前記壁パネル3、柱部2,2の方立2b,2b、半土台4によって囲まれた開口部10には、建具枠11が組み込まれている。この建具枠11は矩形枠状のサッシ枠であり、この建具枠(サッシ枠)11の下枠は、半土台4の上面とほぼ等しい高さか若干低く配置されている。
また、前記開口部10に建具枠11を組み込む際には、建具枠組込壁体1の表面に、開口部10を除いて、図示しない透湿防水シートを貼着するとともに、建具枠11の周囲の防水施工も行う。
【0024】
次に、本発明にかかる建具枠組込壁体1の製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、左右一対の柱部2,2の上端部間に壁パネル3を配置して、該壁パネル3を一対の柱部2,2の上端部に接合して門型壁体6を形成する(門型壁体形成工程)。なお、この門型形成工程は、左右一対の柱部2,2および壁パネル3を寝かせて水平な組立台上に載せて行う。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部間に治具パネル12を配置して、該柱部2,2の下端部に取り外し可能に取り付ける(治具パネル取付け工程)。
治具パネル12は、図3に示すように、二枚の片面壁パネル13,14を接合することによって構成されたものである。
片面壁パネル13は、框材13a,13a、13b,13bを矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補強桟材13cを組み付け、さらに、矩形枠の一方の表面に合板等からなる面材13dを貼り付けてなるものである。片面壁パネル14は、片面壁パネル13と同様に、框材14a,14a、14b,14bを矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補強桟材14cを組み付け、さらに、矩形枠の一方の表面に合板等からなる面材14dを貼り付けてなるものである。
なお、治具パネル12は、一枚の片面壁パネルによって構成してもよい。
【0026】
片面壁パネル13,14はその短辺の長さが等しく、長辺の長さが異なるものである。そして、これら片面壁パネル13,14は、その短辺を構成する框材13b,14bどうしを当接して、接着剤や釘打ちによって接合されている。
このような構成の治具パネル12はその長辺の長さが、前記門型壁体6の柱部2,2の内側面間の距離と等しくなっている。
そして、この治具パネル12を柱部2,2の下端部間に配置して、該柱部2,2の下端部に取り付ける場合、治具パネル12の裏側(面材13d,14dがない側)から釘を框材13b,14bを通して、柱部2,2の方立2b,2bに打ち込むことによって、仮留めする。したがって、この釘を引き抜くことによって、治具パネル12は柱部2,2の下端部から容易に取り外すことができる。
【0027】
このようにして、門型壁体6に治具パネル12を取り付けた後、左右の柱部2,2に、壁パネルを挟み付けるようにしてプレスをかける。これによって、門型壁体6の壁パネル3と柱部2,2は隙間なく接合されるとともに直角に配置され、さらに、柱部2,2の下端部は治具パネル12に隙間なく当接し、これによって、柱部2,2はその下端部どうしが拡がったり狭まったりすることなく、平行に配置される。
【0028】
次に、図2(c)に示すように、壁パネル3と柱部2,2とが直角に交差するコーナ部に、該コーナ部を直角に保持するためのコーナ補強材15,15を取り付ける(コーナ補強材取付け工程)。コーナ補強材取付け工程では、開口部10に取り付けるべき建具枠11の取付け箇所以外に、コーナ補強材15,15を取り付ける。
コーナ補強材15は、図4に示すように、直角三角形板状の補強材本体15aと、この補強材本体15aの直交する2つの辺部にそれぞれ、補強材本体15aと直角に形成された矩形板状の取付板15b,15bとを備えている。取付板15b,15bは直角に交わっている。なお、補強板本体15aには、軽量化のために三角形状の開口が形成されている。
【0029】
そして、このようなコーナ補強材15は、一方の取付板15bを壁パネル3の下端面にビス16,16によって固定するとともに、他方の取付板15bを柱部2の方立2bの側面にビス16,16によって固定することによって、壁パネル3と柱部2,2とが直角に交差するコーナ部に取り付ける。また、一方の取付板15bは、壁パネル3の下端面のうち、門型壁体6の裏面側よりに固定され、他方の取付板15bは、方立2bの側面のうち、門型壁体6の裏面側よりに固定される。つまり、開口部10の内周面10aのうち、門型壁体6の表面側よりの略半分に、建具枠11が取り付けられるので、開口部10の内周面10aの角部のうち、門型壁体6の裏面側よりの略半分、つまり建具枠11の取付け箇所以外にコーナ補強材15が取り付けられる。
【0030】
次に、図2(d)および図5に示すように、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部でかつ治具パネル12の下側に半土台4を接合する(半土台接合工程)。
半土台4は、図6に示すように、木質の角材によって形成された長尺なものであり、その上面が所定の深さだけ切り欠かれて、切欠部4aとなっており、両端部上面が接合面4b,4bとされている。なお、図6は、半土台4を後面側から見た斜視図となっている。
半土台4の両端部前面にはそれぞれ矩形板状の位置合せ板17が、その上部を半土台4の接合面4bから突出するようにして取り外し可能に取り付けられている。また、位置合せ板17の側部は半土台4の端部から横方向に突出している。
位置合せ板17は、釘をその下部表面から半土台4の端部に打ち込んで仮留めすることによって、取り付けられており、接着剤等によっては接合されていない。したがって、位置合せ板17は、半土台4の端部から横方向に突出している側部の裏面を金槌等で叩いて釘を引き抜くことによって、半土台4から容易に取り外せるようになっている。
【0031】
このような半土台4を柱部2,2の下端面に接合する。つまり、柱部2を構成する方立2bの下端面全体に接合面4bの一部を接合し、柱部2を構成する柱部本体2aの下端面の内側半分に接合面4bの他部を接合する。この接合は、2本釘を半土台4の端部下面から方立2bおよび柱部本体2aに打ち込むとともに、接合面を接着剤によって接合することによって行なう。
また、半土台4を柱部2,2の下端面に接合する際に、前記位置合せ板17,17の上部裏面に柱部2を構成する柱部本体2aの下端部前面を当接する。これによって、半土台4の前面と柱部2の下端部前面とが面一になるように位置合せされる。
【0032】
次に、図2(e)に示すように、治具パネル12を門型壁体6の柱部2,2から取り外す(治具パネル取外し工程)。
つまり、治具パネル12の裏側から、框材13b,14bを通して柱部2,2の方立2b,2bに打ち込まれている釘を引き抜くことによって、治具パネル12を柱部2,2の下端部から取り外す。
ここまでの工程は、門型壁体6を寝かせて水平な組立台上で行う。なお、図2(d)〜図2(g)では、位置合せ板17の記載を省略してあるが、実際は位置合せ板17は取り付けられている。
【0033】
次に、図2(f)および図7に示すように、治具パネル12を取り外した門型壁体6を立て起こして、この門型壁体6の壁パネル3、左右一対の柱部2,2、半土台4によって囲まれた開口部10に建具枠(サッシ枠)11を取り付ける(建具枠取付け工程)。この場合、図4に示すように、開口部10の内周面10aのうち、門型壁体6の表面側よりの略半分に、建具枠11を取り付ける。
また、開口部10に建具枠11を取り付ける(組み込む)際には、建具枠組込壁体1の表面に、開口部10を除いて、図示しない透湿防水シートを貼着するとともに、建具枠11の周囲の防水施工も行う。
【0034】
このように、門型壁体形成工程から建具枠取付け工程までを工場で行って、図7に示すような、コーナ補強材付きの建具枠組込壁体1を製造した後、このコーナ補強材付きの建具枠組込壁体1を建築現場まで搬送する。
そして、建築現場において、建具枠組込壁体1を吊穴5,5によってクレーン等で吊り下げ、基礎の上面に建具枠組込壁体1の半土台4を台輪を介して設置した後、図2(g)に示すように、コーナ補強材15を取り外す(コーナ補強材取外し工程)。
【0035】
また、建具枠組込壁体1に、直角に他の壁パネルを接合する場合には、建築現場で、建具枠組込壁体1から位置合せ板17を取り外した後、建具枠組込壁体1の柱部2の前面に、他の壁パネルを接合する。位置合せ板17を取り外す場合、半土台4の端部から横方向に突出している側部の裏面を金槌等で叩いて釘を引き抜くことによって容易に取り外せる。このように、建具枠組込壁体1から位置合せ板17を取り外すことによって、他の壁パネルを建具枠組込壁体1に隙間なく確実に接合できる。
なお、建具枠組込壁体1に他の壁パネルを平面視において一直線上に配置する場合、建具枠組込壁体1の柱部2の側面と他の壁パネルの側端面とを接合する。この場合、前記位置合せ板17,17は他の壁パネルと干渉しないので、建具枠組込壁体1に取り付けたままでもよいし、取り外してもよい。
【0036】
本実施の形態によれば、門型壁体形成工程後、治具パネル取付け工程で、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部間に治具パネル12を配置して、該柱部2,2の下端部に取り外し可能に取り付けるので、左右の柱部2,2に、壁パネル3を挟み付けるようにしてプレスをかけても、柱部2,2の下端部間が狭まることがなく、よって、門型壁体6が変形することがない。そして、治具パネル12を取り付けた状態で、半土台接合工程で、門型壁体6の一対の柱部2,2の下端部でかつ治具パネル12の下側に半土台4を接合するので、半土台4を容易かつ正確に接合することができる。
その後、治具パネル取外し工程で治具パネル12を取り外した後、建具枠取付け工程で、壁パネル3、左右一対の柱部2,2、半土台4によって囲まれた開口部10に建具枠11を取り付けるので、建具枠組込壁体1を変形なく容易に製造できる。
【0037】
また、半土台4の両端部前面に、位置合せ板17,17をその上部が半土台4の上面から突出するようにして取り外し可能に取り付け、前記位置合せ板17,17の上部裏面に、柱部2,2の下端部前面を当接するので、柱部2,2の下端部前面と半土台4の前面とを面一にして、半土台4を柱部2,2に容易に接合できる。
また、位置合せ板17,17を、半土台4の両端部前面から取り外すことによって、柱部2,2の下端部前面に位置合せ板17,17がない状態となるので、柱部2,2の前面に、他の壁を建具枠組込壁体1と直角に接合することができる。
【0038】
さらに、治具パネル取付け工程後でかつ半土台接合工程前に、コーナ補強材取付け工程で、壁パネル3と柱部2,2とが交差するコーナ部に、コーナ補強材15,15を取り付けるので、壁パネル3と柱部2,2とを直角に保持できる。したがって、柱部2,2の下端部に半土台4を正確に接合できる。
また、門型壁体6の開口部10に取り付けるべき建具枠11の取付け箇所以外に、コーナ補強材15を取り付けるので、建具枠取付け工程で、壁パネル3、左右一対の柱部2,2、半土台4によって囲まれた開口部10に、コーナ補強材15に干渉することなく、建具枠11を取り付けることができる。
また、コーナ補強材付きの建具枠組込壁体1を現場まで搬送するので、搬送中に建具枠組込壁体1が変形するのを防止できる。
そして、建築現場でコーナ補強材取外し工程を行うので、変形のない建具枠組込壁体1を躯体(壁パネル)に接合できる
【符号の説明】
【0039】
1 建具枠組込壁体
2 柱部
3 壁パネル
4 半土台
6 門型壁体
10 開口部
11 建具枠
12 治具パネル
15 コーナ補強材
17 位置合せ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の柱部と、これら柱部の上端部間に配置されて該柱部の上端部に接合された壁パネルと、前記柱部の下端部間に配置されて該柱部の下端部に接合された半土台と、前記壁パネル、前記左右一対の柱部、前記半土台によって囲まれた開口部に取り付けられた建具枠とを備えた建具枠組込壁体を製造する方法において、
左右一対の柱部の上端部間に壁パネルを配置して、該壁パネルを前記一対の柱部の上端部に接合して門型壁体を形成する門型壁体形成工程と、
この門型壁体形成工程後、前記門型壁体の一対の柱部の下端部間に治具パネルを配置して、該柱部の下端部に取り外し可能に取り付ける治具パネル取付け工程と、
この治具パネル取付け工程後、前記門型壁体の一対の柱部の下端部でかつ前記治具パネルの下側に半土台を接合する半土台接合工程と、
この半土台接合工程後、前記治具パネルを取り外す治具パネル取外し工程と、
この治具パネル取外し工程後、前記壁パネル、前記左右一対の柱部、前記半土台によって囲まれた開口部に建具枠を取り付ける建具枠取付け工程とを含むことを特徴とする建具枠組込壁体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記半土台接合工程では、前記半土台の両端部前面に、位置合せ板をその上部が半土台の上面から突出するようにして取り付けるとともに、前記位置合せ板の上部裏面に、前記柱部の下端部前面を当接することを特徴とする建具枠組込壁体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記治具パネル取付け工程後でかつ前記半土台接合工程前に、前記壁パネルと前記柱部とが交差するコーナ部に、該コーナ部を直角に保持するためのコーナ補強材を取り付けるコーナ補強材取付け工程を行い、
前記建具枠取付け工程後、前記コーナ補強材を取り外すコーナ補強材取外し工程を行うことを特徴とする建具枠組込壁体の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記コーナ補強材取付け工程では、前記開口部に取り付けるべき建具枠の取付け箇所以外に、前記コーナ補強材を取り付けることを特徴とする建具枠組込壁体の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の建具枠組込壁体の製造方法において、
前記門型壁体形成工程から前記建具枠取付け工程までを工場で行って、コーナ補強材付きの建具枠組込壁体を製造し、
次に、前記コーナ補強材付きの建具枠組込壁体を建築現場まで搬送し、
次に、前記コーナ補強材取外し工程を建築現場で行うことを特徴とする建具枠組込壁体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−248814(P2010−248814A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100439(P2009−100439)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】