説明

建物のコーナー部構造

【課題】止水性を向上できるとともに、コーナー側端面同士の位置決めを行うことができ、コストを低減させることが可能な建物のコーナー部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】平板状を呈する一方の外装材10のコーナー側端面13と、平板状を呈する他方の外装材20のコーナー側端面23とを接合してなり、一方の外装材10のコーナー側端面13は傾斜部14と凸部16とを備え、他方の外装材20のコーナー側端面23は傾斜部24と凹部26とを備えており、少なくとも一方のコーナー側端面13に弾力性を有する止水手段30が設けられていることを特徴とする建物のコーナ部1構造。これにより、止水性を向上できるとともに、コーナー側端面同士の位置決めを行うことができ、コストを低減させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物のコーナー部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物の外壁を施工する場合、工場または建築現場で壁の表面に外装材を取り付けることによって外壁の施工を行う方法がある。このような方法で外壁を施工する場合において、建物のコーナー部に外装材を取り付ける際は、例えば平面視略L字型のコーナー用外装材が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−072068号公報
【特許文献2】特許第2789013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、建物のコーナー部を施工するに際し、平面視略L字型のコーナー用外装材を用いる場合のコストは、例えば平板状を呈する一方および他方の外装材同士を接合して建物のコーナー部を施工する場合に比して、平面視略L字型のコーナー用外装材を製作する分、コストが高くなる場合がある。
そこで、このような平面視略L字型のコーナー用外装材を用いずに、平板状を呈する一方の外装材のコーナー側端面と、平板状を呈する他方の外装材のコーナー側端面とを接合して建物のコーナー部を形成したいという要望がある。
また、一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面とを接合した際のコーナー部における止水性を向上させたいという要望もある。
さらに、平板状を呈する一方および他方の外装材によってコーナー部を形成する際に、一方のコーナー側端面と他方のコーナー側端面とを当接させたとしても、単に平らな面を当接させるだけでは、コーナー側端面同士の位置ずれ等が生じてしまう場合がある。
【0005】
本発明の課題は、止水性を向上できるとともに、コーナー側端面同士の位置決めを行うことができ、コストを低減させることが可能な建物のコーナー部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、平板状を呈する一方の外装材10のコーナー側端面13と、平板状を呈する他方の外装材20のコーナー側端面23とを接合してなる建物のコーナー部構造において、
前記一方の外装材10のコーナー側端面13は、この一方の外装材10の正面11および背面12に対して所定の角度に傾斜する傾斜部14(15)と、この一方の外装材10のコーナー側端面13の長さ方向に延在するとともに前記他方の外装材20のコーナー側端面23に向かって突出する凸部16(16a)とを備えており、
前記他方の外装材20のコーナー側端面23は、この他方の外装材20の正面21および背面22に対して所定の角度に傾斜する傾斜部24(25)と、この他方の外装材20のコーナー側端面23の長さ方向に延在するとともに前記一方の外装材10のコーナー側端面13の凸部16(16a)と合致する凹部26(26a)とを備えており、
前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端面13,23のうち、少なくとも一方のコーナー側端面13(23)に、該コーナー側端面13(23)の長さ方向に沿って、弾力性を有する止水手段30が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、平板状を呈する一方の外装材10のコーナー側端面13と、平板状を呈する他方の外装材20のコーナー側端面23とを接合することで、例えば平面視略L字型のコーナー用外装材を用いずとも、コーナー部1を確実に形成できるので、平面視略L字型のコーナー用外装材を製作しない分、コストを低減できる。
さらに、前記一方の外装材10のコーナー側端面13は、前記傾斜部14(15)と凸部16(16a)とを備えており、前記他方の外装材20のコーナー側端面23は、前記傾斜部24(25)と凸部16(16a)と合致する凹部26(26a)とを備えているので、これら凸部16(16a)と凹部26(26a)とを合致させることで、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23とを位置決めでき、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23とを位置ずれなく接合できる。
また、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との隙間は、前記凸部16(16a)および凹部26(26a)が設けられた部分で角度が変わることになるので、コーナー部1の出隅側から入隅側に向かうつれて陰となる。これによって、前記一方および他方の外装材10,20の裏面側の空間を隠すことができるので、外観性を向上できるとともに、単に真っ直ぐに形成される隙間に比して入り組んでいる分、止水性を向上させることができる。
また、前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端面13,23のうち、少なくとも一方のコーナー側端面13(23)に、該コーナー側端面13(23)の長さ方向に沿って、弾力性を有する止水手段30が設けられているので、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間で押圧して弾性変形させることができる。したがって、前記止水手段30を、この止水手段30の取付位置から前記コーナー部1の出隅側および入隅側方向に向かって広げるようにして弾性変形できるので、この止水手段30による止水範囲を前記コーナー部1の出隅側から入隅側に向かって広く確保できる。これによって、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との隙間からの雨水等の浸入を確実に防ぐことができるので、前記コーナー部1の止水性をより向上させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、請求項1に記載の建物のコーナー部構造において、
前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端面13,23のうち、少なくとも一方のコーナー側端面13(23)に、該コーナー側端面13(23)の長さ方向に沿って溝部17(27)が形成されており、
この溝部17(27)に、前記止水手段30が、該溝部17(27)が形成されるコーナー側端面13(23)よりも隆起するようにして設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記溝部17(27)に、前記止水手段30が、該溝部17(27)が形成されるコーナー側端面13(23)よりも隆起するようにして設けられているので、前記止水手段30を弾性変形させて、この止水手段30による止水範囲を前記コーナー部1の出隅側から入隅側に向かって広く確保できるだけでなく、単に、前記コーナー側端面13(23)の平らな部分に前記止水手段30を設ける場合に比して、この止水手段30が取り外れにくくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図3(c),(d)に示すように、請求項2に記載の建物のコーナー部構造において、
前記一方の外装材10のコーナー側端面13に形成される溝部17と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23に形成される溝部27とは互い違いになるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記一方の外装材10のコーナー側端面13に形成される溝部17と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23に形成される溝部27とは互い違いになるように配置されているので、前記一方のコーナー側端面13の溝部17に設けられる止水手段30と、前記他方のコーナー側端面23の溝部27に設けられる止水手段30とによって、前記コーナー部1の出隅側から入隅側に向かって二重に止水することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物のコーナー部構造において、
前記凸部16(16a)および凹部26(26a)は、前記コーナー側端面13,23の中央付近、または前記外装材10,20の背面12,22側に位置していることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記凸部16(16a)および凹部26(26a)は、前記コーナー側端面13,23の中央付近、または前記外装材10,20の背面12,22側に位置しているので、前記凸部16(16a)および凹部26(26a)を、外部に露出するようにして前記外装材10,20の正面11,21側に設ける場合とは異なり、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を、コーナー部1の出隅部分に形成でき、外観性に優れる。
また、前記他方の外装材20のコーナー側端面23において、前記凹部26(26a)を、コーナー側端面23の中央付近よりも前記外装材20の正面21側に近接した位置に設けると、前記凹部26(26a)を、コーナー側端面23の中央付近よりも前記外装材20の正面21側に近接した位置に設ける場合に比して、この他方の外装材20のコーナー側端部が薄く形成されてしまうことになる。これに対し、前記凹部26(26a)は、前記コーナー側端面23の中央付近、または前記外装材20の背面22側に位置しているので、前記他方の外装材20のコーナー側端部が薄くなることを確実に防ぐことができるので、この他方の外装材20のコーナー側端部の強度を向上させることができ、破損しにくくすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物のコーナー部構造において、
前記一方の外装材10のコーナー側端部には、この一方の外装材10の正面11およびコーナー側端面13に対して所定の角度に傾斜するようにして第1面取り部18が形成されており、
前記他方の外装材20のコーナー側端部には、この他方の外装材20の正面21およびコーナー側端面23に対して所定の角度に傾斜するようにして第2面取り部28が形成されており、
これら第1および第2面取り部18,28は、平面視において一直線上に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記一方の外装材10のコーナー側端部には前記第1面取り部18が形成されており、前記他方の外装材20のコーナー側端部には前記第2面取り部28が形成されており、これら第1および第2面取り部18,28は、平面視において一直線上に配置されているので、コーナー部1付近において、前記一方の外装材10と他方の外装材20とに一体感を与えることができ、より外観性に優れる。
さらに、コーナー部1の出隅部分を平坦に形成できるので、前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端部に前記第1および第2面取り部18,28を形成しない場合に比して、前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端部の損壊を確実に防ぐことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項5に記載の建物のコーナー部構造において、
前記第1および第2面取り部18,28には、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を塞ぐためのシーリング材31が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記第1および第2面取り部18,28には、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を塞ぐためのシーリング材31が設けられているので、このシーリング材31によって、前記止水手段30よりも先に、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を確実に塞ぐことができる。
これによって、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との隙間からの雨水等の浸入をより確実に防ぐことができるので、前記コーナー部1の止水性をより一層向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、平板状を呈する一方の外装材のコーナー側端面と、平板状を呈する他方の外装材のコーナー側端面とを接合することで、例えば平面視略L字型のコーナー用外装材を用いずとも、コーナー部を確実に形成できるので、平面視略L字型のコーナー用外装材を製作しない分、コストを低減できる。
さらに、一方の外装材のコーナー側端面は、傾斜部と凸部とを備えており、他方の外装材のコーナー側端面は、傾斜部と凸部と合致する凹部とを備えているので、これら凸部と凹部とを合致させることで、一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面とを位置決めでき、一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面とを位置ずれなく接合できる。
また、一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面との隙間は、傾斜部と傾斜部との間の部分から、凸部と凹部との間の部分に向かうにつれて角度が変わることになるので、コーナー部の出隅側から入隅側に向かうつれて陰となる。これによって、一方および他方の外装材の裏面側の空間を隠すことができるので、外観性を向上できるとともに、単に真っ直ぐに形成される隙間に比して入り組んでいる分、止水性を向上させることができる。
また、一方および他方の外装材のコーナー側端面のうち、少なくとも一方のコーナー側端面に、該コーナー側端面の長さ方向に沿って、弾力性を有する止水手段が設けられているので、一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面との間で押圧して弾性変形させることができる。したがって、止水手段を、この止水手段の取付位置からコーナー部の出隅側および入隅側方向に向かって広げるようにして弾性変形できるので、この止水手段による止水範囲をコーナー部の出隅側から入隅側に向かって広く確保できる。これによって、一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面との隙間からの雨水等の浸入を確実に防ぐことができるので、コーナー部の止水性をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の建物のコーナー部構造を示す平断面図である。
【図2】図1に示す建物のコーナー部構造の一部を示す拡大平断面図である。
【図3】止水手段を設ける位置のパターンを示す拡大平断面図である。
【図4】凹部および凸部の形状・形成位置のパターンを示す拡大平断面図である
【図5】上下方向に隣り合う外装材の端部同士の連結状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る建物のコーナー部構造の一例を示す平断面図である。
図1において符号1は、コーナー部を示す。このコーナー部1は、一方の壁パネル2と他方の壁パネル3とを直交させて、外装材10,20を取り付ける下地を形成するとともに、これら一方のおよび他方の壁パネル2,3の表面に外装材10,20を取り付けることによって構成されている。
なお、前記壁パネル2,3は、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面に面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
また、外装材10,20を取り付ける下地は、例えば、コーナー部1に立設される断面四角形状の柱等でもよいものとする。
【0021】
また、前記一方および他方の外装材10,20としては、例えば軽量気泡コンクリートやケイ酸カルシウム板等の無機材料系のものが用いられており、所定の厚さ寸法に設定された矩形平板状のものである。このような一方および他方の外装材10,20を、コーナー部1の下地に固定する際は、例えば釘等の止着材によって固定してもよいし、専用の金具を用いて固定してもよい。
本実施の形態において前記外装材10,20は、図1および図5に示すように、複数の連結金具5を用いて、前記コーナー部1の下地に取り付けられている。
【0022】
また、前記一方の外装材10のコーナー側端面13は、この一方の外装材10の正面11および背面12に対して所定の角度に傾斜する傾斜部14と、この一方の外装材10のコーナー側端面13の長さ方向に延在するとともに前記他方の外装材20のコーナー側端面23に向かって突出する凸部16とを備えている。
前記傾斜部14は、前記コーナー側端面13のうち、コーナー部1の出隅側に位置しており、前記凸部16は、前記コーナー側端面13のうち、コーナー部1の入隅側に位置している。
なお、前記凸部16は、底辺が、前記傾斜部14の延長線上に配置され、頂角が、前記他方の外装材20のコーナー側端面23に向かって突出する直角二等辺三角形状に形成されている。
【0023】
前記他方の外装材20のコーナー側端面23は、この他方の外装材20の正面21および背面22に対して所定の角度に傾斜する傾斜部24と、この他方の外装材20のコーナー側端面23の長さ方向に延在するとともに前記一方の外装材10のコーナー側端面13の凸部16と合致する凹部26とを備えている。
前記傾斜部24は、前記コーナー側端面23のうち、コーナー部1の出隅側に位置しており、前記凹部26は、前記コーナー側端面23のうち、コーナー部1の入隅側に位置している。
なお、前記凹部26は、直角二等辺三角形状に形成された前記凸部16を合致させるための直角二等辺三角形状の凹みを成している。
【0024】
なお、前記凸部16および凹部26は、それぞれコーナー側端面13,23の入隅側に位置しているものとしたが、これに限られるものではなく、図4(a)に示すように、前記凸部16および凹部26を、コーナー側端面13,23の中央付近に設けるようにしてもよい。
【0025】
さらに、前記凸部16は直角二等辺三角形状としたが、これに限られるものではなく、図4(b),(c)に示すように、例えば半円状に形成したもの(凸部16a)や、図示しない三角形状、四角形状のもの等でもよく、適宜変更可能である。
これに応じて、前記凹部26も、半円状のもの(凹部26a)や、図示しない三角形状、四角形状の凹部としてもよく、凸部16(16a)と合致させることが可能な形状であれば、適宜変更可能である。
【0026】
また、図1および図2に示すように、前記一方の外装材10のコーナー側端部には、この一方の外装材10の正面11およびコーナー側端面13に対して所定の角度に傾斜するようにして第1面取り部18が形成されている。
また、前記他方の外装材20のコーナー側端部には、この他方の外装材20の正面21およびコーナー側端面23に対して所定の角度に傾斜するようにして第2面取り部28が形成されている。
さらに、これら第1および第2面取り部18,28は、平面視において一直線上に配置されている。
【0027】
また、これら一方および他方の外装材10,20の正面11,21には、複数のタイル11a…,21a…がそれぞれ貼り付けられている。
これら複数のタイル11a…,21a…のうち、コーナー部1の出隅部分に臨むタイル11a…,21a…は、前記コーナー側端面13,23の出隅側端部から所定間隔離間して貼り付けられており、これらコーナー部1の出隅部分に臨むタイル11a…,21a…が所定間隔離間する分のスペースに、前記第1および第2面取り部18,28が形成されている。
【0028】
また、前記外装材10は、図1および図5に示すように、下端部に上サネ10aと被係合部10bとを備え、上端部に下サネ10cを備えている。
また、前記連結金具5は、前記被係合部10bに係合する係合部5aと、前記下サネ10cに係合する係合部5bとを備えている。
そして、前記外装材10は、前記連結金具5を、前記他方の壁パネル3のコーナー側端部に取り付けられた縦胴縁4,4の高さ方向に沿って点在するように固定するとともに、これら連結金具5,5間に、該外装材10を挟み込むようにして、前記コーナー部1の下地に取り付けられている。
この時、前記縦胴縁4,4の高さ方向に沿って隣り合う連結金具5,5のうち、下方に位置する連結金具5の係合部5aは、前記外装材10の下端部の被係合部10bに係合しており、上方に位置する連結金具5の係合部5bは、前記外装材の10の上端部の被係合部10cに係合している。
なお、前記外装材20も同様に、前記複数の連結金具5,5を用いて前記コーナー部1の下地に取り付けられることになる。
【0029】
また、前記一方のコーナー側端面13には、図1および図2に示すように、該コーナー側端面13の長さ方向に沿って溝部17が形成されている。
この溝部17は、平断面視において円弧状に欠き込まれており、この溝部17には、コーナー側端面13の長さ方向に沿って、弾力性を有する止水手段30が、該溝部17が形成されるコーナー側端面13よりも隆起するようにして設けられている。
【0030】
前記止水手段30は、例えばホットメルトが用いられており、前記溝部17に対して、前記コーナー側端面13よりも隆起するようにして充填されることになる。
また、このホットメルト30は加熱状態で粘着性があるため、加熱状態で前記溝部17に設けられることによって該溝部17に密着することになる。また、常温では粘着性がない。本実施の形態において、このホットメルト30は、コーナー部1の施工前に常温状態にして用いられている。
したがって、このホットメルト30の代わりに、例えばブチルゴムや乾質の止水材等を用いてもよいものとする。乾質の止水材としては、前記コーナー側端面13の長さ方向に沿って貼り付けられるテープ状のものが好ましい。
【0031】
また、本実施の形態において、前記溝部17は、前記凸部16の出隅側の辺に形成されており、前記止水手段であるホットメルト30も、この溝部17に充填されるようにして、かつ前記コーナー側端面13よりも隆起するようにして、前記凸部16の出隅側の辺に設けられている。
【0032】
そして、コーナー部1を施工する際は、この止水手段であるホットメルト30は、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間で押圧して弾性変形させることができる。
したがって、前記ホットメルト30を、図2に示すように、このホットメルト30の取付位置から前記コーナー部1の出隅側および入隅側方向に向かって広げるようにして弾性変形できるので、このホットメルト30による止水範囲を前記コーナー部1の出隅側から入隅側に向かって広く確保できるようになっている。
【0033】
なお、前記溝部17は、前記凸部16の出隅側の辺に形成されるものとしたが、これに限られるものではなく、図3(a)に示すように、前記凸部16の入隅側の辺に形成されていてもよいし、図3(b)に示すように、前記傾斜部14に形成されていてもよい。
【0034】
また、前記溝部17は、前記一方の外装材10のコーナー側端面13に形成されるものとしたが、これに限られるものではなく、前記他方の外装材20のコーナー側端面23に形成されていてもよいし、図3(c),(d)に示すように、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との双方に形成されるものとしてもよい。
その際、前記一方の外装材10のコーナー側端面13に形成される溝部17と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23に形成される溝部27とは互い違いになるように配置されているものとする。
すなわち、前記一方のコーナー側端面13の溝部17に設けられる止水手段30と、前記他方のコーナー側端面23の溝部27に設けられる止水手段30とによって、前記コーナー部1の出隅側から入隅側に向かって二重に止水することができる。
【0035】
また、このように止水手段30を設ける構成は、前記外装材10,20のコーナー側端部だけに限られるものではなく、上下に隣り合う外装材10,10(20,20)間に適用されてもよいものとする。
すなわち、上方に位置する外装材10の下端部の上サネ10aと、下方に位置する外装材10の上端部の下サネ10cとのうち、少なくとも一方に溝部10dを形成し、この溝部10dに止水手段30を設けるようにしてもよい。
【0036】
なお、本実施の形態においては、前記外装材10について説明すると、図5に示すように、下方に位置する外装材10の上端部の下サネ10cに溝部10dを形成し、この溝部10dに止水手段であるホットメルト30が、前記下サネ10cの表面よりも隆起するようにして充填されている。これによって、上下に隣り合う外装材10,10間の止水性を向上できるようになっている。
そして、図示はしないが、これら上下に隣り合う外装材10,10の場合と同じく、上下に隣り合う外装材20,20も、止水手段であるホットメルト30が設けられる構成となっている。
【0037】
また、前記第1および第2面取り部18,28には、図1および図2に示すように、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を塞ぐためのシーリング材31が設けられている。
このようにシーリング材31を設けることによって、前記止水手段30よりも先に、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を確実に塞ぐことができる。
なお、このシーリング材31は、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を塞ぐことができれば、湿式でも乾式でもよく、適宜変更可能である。
【0038】
なお、本実施の形態においては、前記外装材10,20を、前記コーナー部1の下地に取り付ける際は、まず、前記外装材10,20を取り付けるための下地を、前記一方および他方の壁パネル2,3と、縦胴縁4,4とで形成しておき、この下地に対して、前記複数の連結金具5,5を使用して、前記外装材10,20を前記下地に取り付けるようにする。
また、前記溝部17(27)は、前記コーナー側端面13(23)に予め形成しておくとともに、この溝部17(27)には、予め前記止水手段であるホットメルト30を充填しておき、このホットメルト30を常温状態にしておく。
さらに、上下に隣り合う外装材10,10間に止水手段であるホットメルト30を設ける際も、予め溝部10dを形成しておくとともに、ホットメルト30を充填しておき、このホットメルト30を常温状態にしておく。
【0039】
また、予め工場等において、前記一方の外装材10を、前記一方の壁パネル2に取り付けるとともに、前記他方の外装材20を、前記他方の壁パネル3に取り付けておいてもよい。そして、現場にて、外装材10,20が取り付けられた状態の壁パネル2,3同士を接合し、コーナー部1を形成するなどして、工期の短縮を図るようにしてもよい。
【0040】
本実施の形態によれば、平板状を呈する一方の外装材10のコーナー側端面13と、平板状を呈する他方の外装材20のコーナー側端面23とを接合することで、例えば平面視略L字型のコーナー用外装材を用いずとも、コーナー部1を確実に形成できるので、平面視略L字型のコーナー用外装材を製作しない分、コストを低減できる。
【0041】
さらに、前記一方の外装材10のコーナー側端面13は、前記傾斜部14(15)と凸部16(16a)とを備えており、前記他方の外装材20のコーナー側端面23は、前記傾斜部24(25)と凸部16(16a)と合致する凹部26(26a)とを備えているので、これら凸部16(16a)と凹部26(26a)とを合致させることで、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23とを位置決めでき、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23とを位置ずれなく接合できる。
【0042】
また、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との隙間は、前記凸部16(16a)および凹部26(26a)が設けられた部分で角度が変わることになるので、コーナー部1の出隅側から入隅側に向かうつれて陰となる。これによって、前記一方および他方の外装材10,20の裏面側の空間を隠すことができるので、外観性を向上できるとともに、単に真っ直ぐに形成される隙間に比して入り組んでいる分、止水性を向上させることができる。
【0043】
また、前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端面13,23のうち、少なくとも一方のコーナー側端面13(23)に、該コーナー側端面13(23)の長さ方向に沿って溝部17(27)が形成されており、この溝部17(27)に、前記止水手段30が、該溝部17(27)が形成されるコーナー側端面13(23)よりも隆起するようにして設けられていることから、前記止水手段30を、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間で押圧し、この止水手段30の取付位置から前記コーナー部1の出隅側および入隅側方向に向かって広げるようにして弾性変形できるので、この止水手段30による止水範囲を前記コーナー部1の出隅側から入隅側に向かって広く確保できる。
これによって、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との隙間からの雨水等の浸入を確実に防ぐことができるので、前記コーナー部1の止水性をより向上させることが可能となる。
また、単に、前記コーナー側端面13(23)の平らな部分に前記止水手段30を設ける場合に比して、この止水手段30が取り外れにくくなる。
【0044】
また、前記凸部16(16a)および凹部26(26a)は、前記コーナー側端面13,23の中央付近、または前記外装材10,20の背面12,22側に位置しているので、前記凸部16(16a)および凹部26(26a)を、外部に露出するようにして前記外装材10,20の正面11,21側に設ける場合とは異なり、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を、コーナー部1の出隅部分に形成でき、外観性に優れる。
【0045】
また、前記他方の外装材20のコーナー側端面23において、前記凹部26(26a)を、コーナー側端面23の中央付近よりも前記外装材20の正面21側に近接した位置に設けると、前記凹部26(26a)を、コーナー側端面23の中央付近よりも前記外装材20の正面21側に近接した位置に設ける場合に比して、この他方の外装材20のコーナー側端部が薄く形成されてしまうことになる。これに対し、前記凹部26(26a)は、前記コーナー側端面23の中央付近、または前記外装材20の背面22側に位置しているので、前記他方の外装材20のコーナー側端部が薄くなることを確実に防ぐことができるので、この他方の外装材20のコーナー側端部の強度を向上させることができ、破損しにくくすることができる。
【0046】
また、前記一方の外装材10のコーナー側端部には前記第1面取り部18が形成されており、前記他方の外装材20のコーナー側端部には前記第2面取り部28が形成されており、これら第1および第2面取り部18,28は、平面視において一直線上に配置されているので、コーナー部1付近において、前記一方の外装材10と他方の外装材20とに一体感を与えることができ、より外観性に優れる。
さらに、コーナー部1の出隅部分を平坦に形成できるので、前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端部に前記第1および第2面取り部18,28を形成しない場合に比して、前記一方および他方の外装材10,20のコーナー側端部の損壊を確実に防ぐことができる。
【0047】
また、前記第1および第2面取り部18,28には、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を塞ぐためのシーリング材31が設けられているので、このシーリング材31によって、前記止水手段30よりも先に、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、他方の外装材20のコーナー側端面23との間の隙間を確実に塞ぐことができる。
これによって、前記一方の外装材10のコーナー側端面13と、前記他方の外装材20のコーナー側端面23との隙間からの雨水等の浸入をより確実に防ぐことができるので、前記コーナー部1の止水性をより一層向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 コーナー部
10 外装材
13 コーナー側端面
14 傾斜部
16 凸部
20 外装材
23 コーナー側端面
24 傾斜部
26 凹部
30 止水手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状を呈する一方の外装材のコーナー側端面と、平板状を呈する他方の外装材のコーナー側端面とを接合してなる建物のコーナー部構造において、
前記一方の外装材のコーナー側端面は、この一方の外装材の正面および背面に対して所定の角度に傾斜する傾斜部と、この一方の外装材のコーナー側端面の長さ方向に延在するとともに前記他方の外装材のコーナー側端面に向かって突出する凸部とを備えており、
前記他方の外装材のコーナー側端面は、この他方の外装材の正面および背面に対して所定の角度に傾斜する傾斜部と、この他方の外装材のコーナー側端面の長さ方向に延在するとともに前記一方の外装材のコーナー側端面の凸部と合致する凹部とを備えており、
前記一方および他方の外装材のコーナー側端面のうち、少なくとも一方のコーナー側端面に、該コーナー側端面の長さ方向に沿って、弾力性を有する止水手段が設けられていることを特徴とする建物のコーナー部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物のコーナー部構造において、
前記一方および他方の外装材のコーナー側端面のうち、少なくとも一方のコーナー側端面に、該コーナー側端面の長さ方向に沿って溝部が形成されており、
この溝部に、前記止水手段が、該溝部が形成されるコーナー側端面よりも隆起するようにして設けられていることを特徴とする建物のコーナー部構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建物のコーナー部構造において、
前記一方の外装材のコーナー側端面に形成される溝部と、前記他方の外装材のコーナー側端面に形成される溝部とは互い違いになるように配置されていることを特徴とする建物のコーナー部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物のコーナー部構造において、
前記凸部および凹部は、前記コーナー側端面の中央付近、または前記外装材の背面側に位置していることを特徴とする建物のコーナー部構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物のコーナー部構造において、
前記一方の外装材のコーナー側端部には、この一方の外装材の正面およびコーナー側端面に対して所定の角度に傾斜するようにして第1面取り部が形成されており、
前記他方の外装材のコーナー側端部には、この他方の外装材の正面およびコーナー側端面に対して所定の角度に傾斜するようにして第2面取り部が形成されており、
これら第1および第2面取り部は、平面視において一直線上に配置されていることを特徴とする建物のコーナー部構造。
【請求項6】
請求項5に記載の建物のコーナー部構造において、
前記第1および第2面取り部には、前記一方の外装材のコーナー側端面と、他方の外装材のコーナー側端面との間の隙間を塞ぐためのシーリング材が設けられていることを特徴とする建物のコーナー部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−38333(P2011−38333A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187097(P2009−187097)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】