説明

建物用層間変位測定装置、及び該装置を備えた構造物

【課題】スペースを狭くしたり、通行や居住の邪魔になったりすることを回避する。
【解決手段】床側Aに第1マークM1とイメージセンサFとを固定し、天井側Bに鏡部材C1と第2マークM2とを固定し、該鏡部材C1に映し出される第1マークM1と、前記天井側に固定された第2マークM2とをイメージセンサFにて検知するようにする。今、地震等が起こり、天井と床とが相対的に略水平方向に変位した場合、前記イメージセンサFの検知結果に基づきその変位(層間変位)を知ることができる。このイメージセンサFは、各マークの位置を非接触の状態で光学的に検知するものなので、各マークM1,M2や鏡部材C1やイメージセンサFは床側又は天井側にそれぞれ配置していれば足り、天井から床に掛けて何らかの部材を配置する必要も無く、スペースを狭くしたり、通行や居住の邪魔になったりすることを回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床と天井との間で生じる層間変位を測定する建物用層間変位測定装置、及び該装置を備えた構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生した際には、床と天井とが略水平方向に相対的にずれて層間変位を生ずることがある。そのような層間変位を定量的に把握することは、建物の危険度を評価するためには必要である。そのため、層間変位を測定する装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2及び3参照)。
【0003】
図14は、従来の建物用層間変位測定装置の構造の一例を示す模式図であり、符号100は、建物の床101に立設された剛性支持柱を示し、符号102は、該剛性支持柱100の上端面に取り付けられた筆記具(ペン、鉛筆、又は電磁的な記録具)を示し、符号103は、天井104に取り付けられたスケールを示す。今、地震が起って床101と天井104とが略水平方向に相対的に変位したとすると(矢印105参照)、筆記具102はスケール103の表面にその変位の軌跡を記録することとなり、その軌跡により、層間変位を測定することが可能となる。
【0004】
また、図15は、従来の建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図であり、符号110は、建物の天井側111の固定部材(例えば、梁部材)を示し、符号112は、該固定部材110から垂下された柱状部材を示し、符号113は、床側114に固定されたセンサー(例えば、接触式のセンサー)を示す。今、地震が起って床114と天井111とが略水平方向に相対的に変位したとすると(矢印115参照)、柱状部材112の下端のプレート112aはセンサー113に対して相対的に変位をするので、層間変位を測定することが可能となる。
【特許文献1】特開平11−201703号公報
【特許文献2】特開2006−38804号公報
【特許文献3】特開2000−337803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような従来装置では天井から床に掛けて 必ず何らかの柱状の部材(符号100及び112参照)を配置しなければならないため、スペースが狭くなり、通行や居住が邪魔されることもあった。
【0006】
本発明は、上述の問題を解決する建物用層間変位測定装置及び構造物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、図1乃至10、及び図12に例示するものであって、建物の床と天井との間に生じる層間変位(図2、図4及び図5の符号Δ参照)を測定する建物用層間変位測定装置(D1〜D9)において、
床側及び天井側のいずれか一方の側である第1の側(A)に固定された第1マーク(M1)と、
該第1マーク(M1)を映し出すように、床側又は天井側に固定された鏡部材(C1,C2,C3,C5,C7,C8)と、
少なくとも、該鏡部材(C1,…)に映し出された前記第1マーク(M1)の位置を非接触の状態で光学的に測定するマーク位置測定手段(F)と、
床側又は天井側であって前記第1の側(A)とは反対の第2の側(B)の基準位置を規定する基準位置規定手段(図1,2,7,8,12ではM2;図3〜図5ではE1,E2;図9ではM2,C6;図10ではM2,C8参照)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、図1及び図2に例示するものであって、請求項1に係る発明において、前記マーク位置測定手段(F)は前記第1の側(A)に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記マーク位置測定手段(F)により測定されるように前記第2の側(B)に固定された第2マーク(M2)であって、
前記マーク位置測定手段(F)は、前記鏡部材(C1)に映し出された前記第1マーク(M1)、及び前記第2の側(B)に固定された第2マーク(M2)の相対的位置を測定することにより、床と天井との間の層間変位(Δ)を測定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、図8に例示するものであって、請求項1に係る発明において、前記マーク位置測定手段(F)は前記第2の側(B)に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記マーク位置測定手段(F)により測定されるように前記第2の側(B)に固定された第2マーク(M2)であって、
前記マーク位置測定手段(F)は、前記鏡部材(C1)に映し出された前記第1マーク(M1)、及び前記第2の側(B)に固定された第2マーク(M2)の相対的位置を測定することにより、床と天井との間の層間変位を測定することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、図3乃至図5に例示するものであって、請求項1に係る発明において、前記マーク位置測定手段(F)は前記第2の側(B)に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記マーク位置測定手段(F)を前記第2の側(B)に固定する部材(E1,E2)であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、図9及び図10に例示するものであって、請求項1に係る発明において、前記マーク位置測定手段(F)は前記第2の側(B)に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記第2の側(B)に固定された第2マーク(M2)、及び該第2マーク(M2)を映し出す鏡部材(C6,C8)であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発明において、前記鏡部材(C1,…)に凹面鏡を用いたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、図12に例示するものであって、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発明において、前記鏡部材(C1,C2,C3,…)に映し出されるマークの変位を拡大するよう、前記鏡部材(C1,…)と前記マーク位置測定手段(F)との間に配置されたレンズ群(R)を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建物用層間変位測定装置(D1,…)を備えたことを特徴とする構造物に関する。
【0015】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜5及び8に係る発明によれば、前記第1マークの位置と前記基準位置とから、床と天井との間の層間変位を測定できる。また、本発明によれば、層間変位は、光学的に非接触の状態で測定するようになっているため、上記従来装置のように床と天井との間に柱状の部材を配置する必要はなく、スペースが狭くなったり、通行や居住の邪魔になったりすることも無い。
【0017】
請求項6及び7に係る発明によれば、マークの変位を拡大することにより層間変位を正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1乃至図13に沿って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ここで、図1は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の一例を示す模式図であり、図2(a) は、層間変位発生前の状態を示す模式図であり、同図(b) は、層間変位発生後の状態を示す模式図である。また、図3は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図であり、図4(a)
は、層間変位発生前の状態を示す模式図であり、同図(b) は、層間変位発生後の状態を示す模式図であり、図5(a) は、層間変位発生前の状態を示す模式図であり、同図(b)
は、層間変位発生後の状態を示す模式図である。さらに、図6乃至図9は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。また、図10(a) は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造のさらに他の例を示す模式図であり、同図(b)
は、その斜視図であり、図11は、層間変位の測定結果の一例を示す模式図である。また、図12は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造のさらに他の例を示す模式図であり、図13は、複数の建物用層間変位測定装置を構造物に適用した一例を示す模式図である。
【0019】
本発明に係る建物用層間変位測定装置は、建物の床と天井との間に生じる略水平方向の相対変位(つまり、層間変位)を測定するためのものである。このような変位が生ずる原因としては地震が挙げられるが、本発明に係る装置は、地震以外の原因(例えば、建物の傾斜等)で生じた層間変位の測定に使用しても良い。
【0020】
本発明に係る建物用層間変位測定装置は、例えば図1に符号D1で例示するものであって、
・ 床側及び天井側のいずれか一方の側(本明細書において“第1の側”とする)Aに固定された第1マークM1と、
・ 該第1マークM1を映し出すように、床側又は天井側に固定された鏡部材C1と、
・ 少なくとも、該鏡部材C1に映し出された前記第1マークM1の位置を非接触の状態で光学的に測定するマーク位置測定手段Fと、
・ 床側又は天井側であって前記第1の側Aとは反対の側(本明細書において“第2の側”とする)Bの基準位置を規定する基準位置規定手段M2と、
によって構成されている。
【0021】
ところで、図1のように、第1マークM1が固定された側Aにマーク位置測定手段Fを固定した場合には、地震等が起っても該測定手段Fは該第1マークM1と一緒に変位するだけなので該マークM1の変位自体は検知できない(つまり、該測定手段Fからは該マークM1が静止しているように見える)。しかし、前記基準位置規定手段M2によって前記第2の側Bの基準位置を知ることができるので、該基準位置と前記第1マークM1の位置とから層間変位を測定することができる。このようにマーク位置測定手段Fを第1の側Aに固定する場合の基準位置規定手段としては、前記第2の側B(しかも、前記マーク位置測定手段Fにより測定される領域)に固定された第2マークを挙げることができる。かかる場合、前記マーク位置測定手段Fは、
・ 前記鏡部材C1に映し出された前記第1マーク(虚像)M1
・ 前記第2の側Bに固定された第2マーク(実像)M2
の両方のマークの相対的位置を測定することとなり、それにより層間変位を測定することができる。いま、第1マークM1と第2マークM2の位置関係が、層間変位発生前には図2(a) に示す通りで(つまり、第1マークM1と第2マークM2の水平離間距離がL1)、層間変位発生後には同図(b) に示すようになったとする(つまり、第1マークM1と第2マークM2の水平離間距離がL2)。かかる場合の層間変位Δは「L2−L1」となる。
【0022】
本発明によれば、前記第1マークM1の位置と前記基準位置とから、床と天井との間の層間変位を測定できる。また、本発明によれば、層間変位は、光学的に非接触の状態で測定するようになっているため、上記従来装置のように床と天井との間に柱状の部材を配置する必要はなく、スペースが狭くなったり、通行や居住の邪魔になったりすることも無い。
【0023】
なお、図1では、前記マーク位置測定手段Fは第1の側Aに固定しているが、図3に示すように、該マーク位置測定手段Fを第2の側Bに固定しても良い。ここで、該マーク位置測定手段Fが第2の側Bに堅固に取り付けられている場合(例えば、該測定手段Fを支持するブラケットE1が、振動しないように ある程度の剛性を有しているような場合)には、該マーク位置測定手段Fの測定領域自体が基準領域(基準位置)を示すこととなるので、上述のような第2マークM2は不要となる。この場合は、前記マーク位置測定手段Fを前記第2の側Bに固定する部材(つまり、符号E1に例示するようなブラケット)が、該第2の側Bの基準位置を規定する基準位置規定手段として機能することとなる。今、床と天井との間に層間変位が発生すると、前記マーク位置測定手段Fは、図4(a) に示す層間変位発生前の状態から同図(b) に示す層間変位発生後の状態へ、前記第2の側Bに固定された鏡部材C1と一緒に変位することとなるが、前記第1マークM1はそれらのマーク位置測定手段Fや鏡部材C1に対して相対変位することとなり、該第1マークM1の位置を測定することによって床と天井との間に生じる層間変位を測定することが可能となる。なお、図5(a)
(b) に示すように、鏡部材C2やマーク位置測定手段Fを適当に傾斜させても良い
【0024】
ところで、図1では鏡部材C1を前記第2の側Bに固定しているが、図6に符号C3で示すように、前記第2の側Bではなくて前記第1の側Aに鏡部材を固定しても良い。
【0025】
また、図1に示す例では、鏡部材は1つだけ(第1マークM1を映し出すもののみ)配置して第2マークM2は鏡部材を介さずに直接検知するようにしたが、もちろんこれに限られるものではなく、図7に例示するように、第1マークM1を映し出す鏡部材C1だけでなく、第2マークM2を映し出す鏡部材C4を配置して、両マークM1,M2の虚像を検知するようにしても良い。
【0026】
ところで、図3乃至図5に示すブラケットE1,E2は、地震等の際に振動しない程度の剛性を有していて、第2の側Bの基準位置を規定する基準位置規定手段として機能させたが、ブラケットにそのような剛性を期待できない場合もあり得る。例えば、既設の建物に本装置(建物用層間変位測定装置)を後付けするような場合には、構造上或いはその他の理由によりブラケットE1,E2を天井や床に堅固に固定できず多少振動してしまう場合もあり得る。そのような場合には、図8に例示するように、前記第2の側Bに第2マーク(基準位置規定手段)M2を固定すると共にマーク位置測定手段Fにて検知するようにしておいて、該第2の側Bの基準位置を規定できるようにしておくと良い。さらに、図9や図10に示す建物用層間変位測定装置D7,D8を用いると良い。以下、これらの装置について説明する。
【0027】
図9に示す建物用層間変位測定装置D7は、
・ 第1の側Aに固定した第1マークM1と、
・ 第2の側Bに固定した第2マークM2と、
・ 前記第1マークM1を映し出すように第2の側Bに固定した鏡部材C5と、
・ 前記第2マークM2を映し出すように第2の側Bに固定した鏡部材C6と、
・ これらの鏡部材C5,C6と一体的に変位するように取り付けられた第3マークM3と、
・ 該第2の側Bに固定されて、前記鏡部材C5に映し出された第1マークM1の位置と、前記鏡部材C6に映し出された第2マークM2の位置と、前記第3マークM3の位置とを、非接触の状態で光学的に測定するマーク位置測定手段Fと、
により構成されている。なお、符号E3は、鏡部材C5,C6や第3マークM3を支持するためのブラケットを示し、符号E4は、前記マーク位置測定手段Fを支持するためのブラケットを示す。今、地震等の際に、ブラケットE4に支持されているマーク位置測定手段Fが振動すると、鏡部材C5,C6に映し出されている2つのマークM1,M2の虚像の位置も振動するが、両マークM1,M2は同じ方向に同じように振動するだけであるので、マーク位置測定手段Fの振動が測定結果に及ぼす影響は無い。一方、ブラケットE3に支持されている鏡部材C5,C6が振動すると、鏡部材C5,C6に映し出されている2つのマークM1,M2の虚像が振動する方向や振動する量は異なる。しかし、該鏡部材C5,C6の振動は前記第3マークM3により測定することができるので、該鏡部材C5,C6の振動の影響を除去することができる。この図の装置においては、
・ 前記第2の側Bに固定された第2マークM2と、
・ 該マークM2を映し出すための鏡部材C6と、
によって第2の側Bの基準位置を規定することができ、これらが上述の基準位置規定手段として機能することとなる。
【0028】
図10に示す建物用層間変位測定装置D8は、
・ 第1の側Aに固定した第1マークM1と、
・ 前記第1マークM1を映し出すように、対向する状態で第2の側に固定した鏡部材C7,C8と、
・ 該鏡部材C8に映し出されるように、前記第2の側Bに固定した第2マークM2と、
・ 前記鏡部材C8と一体的に変位するように取り付けられた第4マークM4と、
・ 該第2の側Bに固定されて、前記鏡部材C8に映し出された第1マークM1の位置と、該鏡部材C8に映し出された第2マークM2の位置と、該鏡部材C8に取り付けられた第4マークM4の位置とを、非接触の状態で光学的に測定するマーク位置測定手段Fと、
により構成されている。今、地震等の際に、鏡部材C8が振動したとしてもその振動は第4マークM4により測定できるので、層間変位測定への影響を回避することができる。この図の装置においては、第2マークと、該マークM2を映し出すための鏡部材C8とによって第2の側Bの基準位置を規定することができ、これらが上述の基準位置規定手段として機能することとなる。
【0029】
ところで、本装置に使用するマークM1,M2,M3,M4としては、前記マーク位置測定手段Fにて該マークの位置を識別できるものであればどのようなものを用いても良い。具体的には、
・ 赤外光や可視光を発するLEDや、
・ ターゲットマークが描かれたシールであって床や天井等に貼付するタイプのものや、
・ 貼付するものではなく、床や天井等に直接描くターゲットマーク
や、その他の公知のマークを用いると良い。また、本装置に使用するマーク位置測定手段Fは、マークM1,M2,M3,M4の位置を非接触の状態で光学的に測定できるものであれば良く、具体的には、
・ CCDを使ったイメージセンサや、
・ 静止画像や動画像を取得できるカメラ(デジタルカメラやビデオカメラ)、
などを挙げることができる。
【0030】
図11は、マーク位置測定手段Fが測定したマーク(図8に示すマーク位置測定手段Fが測定した第1マークM1及び第2マークM2)の軌跡の一例を示す模式図であって、符号G1は、鏡部材C1に映し出された第1マークM1の軌跡を示し、符号G2は、第2の側Bに固定された第2マークM2の軌跡を示すものであるが、上述の装置により、このようなマークの軌跡の全体を測定するようにしても良く、或いは、最終の残留変位のみを測定するようにしても良い。いずれの場合も本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
ところで、上述のマーク位置測定手段Fは、鏡に映ったマーク(例えば、第1マークM1)の微小変位を識別できなければならないが、解像度の高いイメージセンサやカメラを用いるとコストが上がってしまうという問題がある。特に、図13に例示するように、1つの建物に多数の装置を常設するような場合は、無視できないコスト上昇になる場合がある。そのような問題を解決するには、上述の鏡部材C1〜C8に平面鏡ではなく凹面鏡を使用して、鏡部材に映し出されるマークの変位が拡大されるようにすると良い。また、鏡部材とマーク位置測定手段Fとの間であってマーク位置測定手段Fに近接する側に、鏡部材に映し出されるマークの虚像を拡大できるレンズ群(望遠鏡を構成するようなレンズ群)を図12に符号Rで示すように配置して、鏡部材に映し出されるマークの変位が拡大されるようにしても良い。なお、その場合の鏡部材は、凹面鏡であっても、平面鏡であって、凸面鏡であっても良い。
【0032】
また、図13に例示するように、1つの建物に上述したいずれかの建物用層間変位測定装置(図示のものは図1に示した装置D1)を複数配置すると共に、その測定データを無線又は有線でパソコンPCに転送し、集中管理を行うようにしても良い。これらの建物用層間変位測定装置D1,…は、エレベータシャフトやパイプシャフトや階段室に設け、各階の層間変位を測定できるようにすると良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の一例を示す模式図である。
【図2】図2(a) は、層間変位発生前の状態を示す模式図であり、同図(b)は、層間変位発生後の状態を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。
【図4】図4(a) は、層間変位発生前の状態を示す模式図であり、同図(b)は、層間変位発生後の状態を示す模式図である。
【図5】図5(a) は、層間変位発生前の状態を示す模式図であり、同図(b)は、層間変位発生後の状態を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。
【図10】図10(a) は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造のさらに他の例を示す模式図であり、同図(b)は、その斜視図である。
【図11】図11は、層間変位の測定結果の一例を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明に係る建物用層間変位測定装置の構造のさらに他の例を示す模式図である。
【図13】図13は、複数の建物用層間変位測定装置を構造物に適用した一例を示す模式図である。
【図14】図14は、従来の建物用層間変位測定装置の構造の一例を示す模式図である。
【図15】図15は、従来の建物用層間変位測定装置の構造の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
A 第1の側
B 第2の側
C1 鏡部材
C2 鏡部材
C3 鏡部材
C4 鏡部材(基準位置規定手段)
C5 鏡部材
C6 鏡部材(基準位置規定手段)
C7 鏡部材
C8 鏡部材
D1 建物用層間変位測定装置
D2 建物用層間変位測定装置
D3 建物用層間変位測定装置
D4 建物用層間変位測定装置
D5 建物用層間変位測定装置
D6 建物用層間変位測定装置
D7 建物用層間変位測定装置
D8 建物用層間変位測定装置
D9 建物用層間変位測定装置
E1 ブラケット(基準位置規定手段)
E2 ブラケット(基準位置規定手段)
F マーク位置測定手段
M1 第1マーク
M2 第2マーク(基準位置規定手段)
R レンズ群
Δ 層間変位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床と天井との間に生じる層間変位を測定する建物用層間変位測定装置において、
床側及び天井側のいずれか一方の側である第1の側に固定された第1マークと、
該第1マークを映し出すように、床側又は天井側に固定された鏡部材と、
少なくとも、該鏡部材に映し出された前記第1マークの位置を非接触の状態で光学的に測定するマーク位置測定手段と、
床側又は天井側であって前記第1の側とは反対の第2の側の基準位置を規定する基準位置規定手段と、
を備えたことを特徴とする建物用層間変位測定装置。
【請求項2】
前記マーク位置測定手段は前記第1の側に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記マーク位置測定手段により測定されるように前記第2の側に固定された第2マークであって、
前記マーク位置測定手段は、前記鏡部材に映し出された前記第1マーク、及び前記第2の側に固定された第2マークの相対的位置を測定することにより、床と天井との間の層間変位を測定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物用層間変位測定装置。
【請求項3】
前記マーク位置測定手段は前記第2の側に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記マーク位置測定手段により測定されるように前記第2の側に固定された第2マークであって、
前記マーク位置測定手段は、前記鏡部材に映し出された前記第1マーク、及び前記第2の側に固定された第2マークの相対的位置を測定することにより、床と天井との間の層間変位を測定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物用層間変位測定装置。
【請求項4】
前記マーク位置測定手段は前記第2の側に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記マーク位置測定手段を前記第2の側に固定する部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物用層間変位測定装置。
【請求項5】
前記マーク位置測定手段は前記第2の側に固定され、
前記基準位置規定手段は、前記第2の側に固定された第2マーク、及び該第2マークを映し出す鏡部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物用層間変位測定装置。
【請求項6】
前記鏡部材に凹面鏡を用いた、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建物用層間変位測定装置。
【請求項7】
前記鏡部材に映し出されるマークの変位を拡大するよう、前記鏡部材と前記マーク位置測定手段との間に配置されたレンズ群、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建物用層間変位測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建物用層間変位測定装置、
を備えたことを特徴とする構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−258036(P2009−258036A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109827(P2008−109827)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】