説明

建物用換気口

【課題】 建物の外壁を貫通する換気口にあっては、換気フード体を外壁面に密着して間隙をシールする際に使用するコーキング材を全周囲に確実に施すことが困難であったり、外壁面にコーキング施工されている状態が外部から見えてしまうことから壁面の美観上に問題があったことに鑑み、これらの欠点を一掃し、コーキング施工によって建物上の美観に障害を与えない換気口部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 任意形状に成るフード体1の垂直周縁部2の内側方に水平周縁部4を設け、この水平周縁部と垂直周縁部とで形成する間隔部5にコーキング材10を装着して成るものである。また、任意形状に成るフード体の垂直周縁部に内方に曲折した外側周縁部3を設け、この外側周縁部の内側方に間隔部をおいて前記外側周縁部より長く成る水平周縁部を設け、この水平周縁部と前記垂直周縁部とにより形成した前記間隔部にコーキング材を装着して成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物用換気口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁を貫通する換気口にあっては、フード体のみで構成される場合、ベース材とその外部のフード体との組み合わせで構成される場合、換気口に取付ける円筒体とその外部の換気フード体との組み合わせで構成される場合などがあるが、換気フード体を外壁面に密着して間隙をシールする際に使用するコーキング材を全周囲に確実に施すことが困難であったり、外壁面にコーキング施工されている状態が外部から見えてしまう欠点があることから壁面の美観上に問題があった。
【0003】
なお、本発明に関係すると思われる公知文献としては特許第3135208号,特許第3401527号,特許第3401528号などがある。
【0004】
【特許文献1】特許第3135208号公報
【特許文献2】特許第3401527号公報
【特許文献3】特許第3401528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明はこれらの欠点を一掃し、コーキング施工をすることによって建物上の美観に障害を与えない換気口部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、任意形状に成るフード体の垂直周縁部の内側方に水平周縁部を設け、この水平周縁部と垂直周縁部とで形成する間隔部にコーキング材を装着して成るものである。
【0007】
また本発明は、任意形状に成るフード体の垂直周縁部に内方に曲折した外側周縁部を設け、この外側周縁部の内側方に間隔部をおいて前記外側周縁部より長く成る水平周縁部を設け、この水平周縁部と前記垂直周縁部とにより形成した前記間隔部にコーキング材を装着して成るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、フード体の垂直周縁部とその内側方の水平周縁部との間に形成した間隔部にコーキング材を装着するものであるから、本器具と外壁面との間のシール施工を確実に行うことができる。
【0009】
前記間隔部への所定量のコーキング材の充填が確実に行われるから、充填不足によるコーキング切れが起こらず、止水防止の効果は極めて大きい。
【0010】
本発明における前記間隔部の構成は、換気口の取付作業者が手抜きをしてコーキング施工を行わないことを確実に防止することに役立つことになる。
【0011】
本発明はまた、外壁面への換気口の取付けに必要なコーキング材の装着状態を、フードの外側周縁部の外部からは視認することができないように構成するものであるから、換気口の取付けにより建物の外壁面の美観が汚損されるようなことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
建物の必要箇所に換気口を設置するために、外壁面の所定箇所に設けた開口部にフード体を設置する際には、フード体側の周縁部にコーキング材を施して外壁面に装着しなければならないところ、コーキング材はフード体の外側周縁部の内側部に配置するようにしているから、装着後にそのコーキング材部分が隠れて見えない状態にすることができるし、この状態を長期間維持することができるようになる。
【0013】
このコーキング材部分の構成は、外壁開口部に取付く円筒体がフード体と一体型に構成されていようと、別体型の着脱式に構成されていようと、あるいは円筒体ではなく基板に取付く別体型であろうと、同じ構成となる。
【実施例】
【0014】
1は任意形状に成るフード体で、このフード体が有する垂直周縁部2には内側方に曲折した外側周縁部3を形成する。
【0015】
4は前記外側周縁部3の内側方に平行に間隔部5をおいて突設した水平周縁部で、この水平周縁部の長さは前記外側周縁部3より長く成る。
【0016】
6は前記フード体1の内側部に設けた取付板7の開口部15にフランジ部17を接合しかつその上端部分を取付板上の掛止片16に係合する円筒体で、この円筒体6の下端部分はフード体の内部から螺子8によりフード体1の取付板7の通孔16及び円筒体のフランジ部17の通孔18とを連結する。
【0017】
この構成は、工事現場において、円筒体及びフード体を取付けて設置する場合のもので、図1,3,4,5,6に示している。
【0018】
9は前記フード体1の取付板7の下方部に設けた流水板で、フード体の周面部に流れる雨水のガイドとなる。
【0019】
10は前記フード体1の外側周縁部3と水平周縁部4との間隔部5に充填装着するコーキング材で、このコーキング材はフード体の内側部に位置することから、内部に隠れ外部からは見えないようになる(図6参照)。
【0020】
11,11,11は前記フード体1の垂直周縁部2の適所に設けた半閉口に成る取付通孔で、この取付通孔は通常の建物の場合にあっては、前記垂直周縁部の外側周縁部と水平周縁部との間に形成した間隔部5にコーキング材10を装着するから、不使用状態のままにある。
【0021】
しかし、地方によっては風や雨雪に対して不安を有する建物があるから、そのような場合には前記半閉口の取付通孔11に螺子を外壁aに向けて挿着し、しかる後に前記間隔部5にコーキング材10を装着することになる。
【0022】
12,12,12,12は他の実施例(図2・図7参照)において前記フード体1の左右上下端部に形成した凹部で、この凹部には取付通孔13,13,13,13を設け、この取付通孔を介して外部から外壁aに向けて螺子14・・・を挿着する。
【0023】
即ち、図2例の場合にあっては、取付通孔13は、フード体1内側の間隔部5より外れたフード体一部に形成した凹部12に設けているから、取付通孔13を通る螺子14は、前記間隔部5におけるコーキング材の装着部分から外れることになる。したがって、前記間隔部5に所定量のコーキング材の充填が確実に行われる(図7参照)。
【0024】
図8乃至図10は、外壁開口部に円筒体を装着しない場合の実施例を示し、外壁開口部に基板19を接して螺子20,20,20,20を介して外壁面に固着するものである。
【0025】
前記基板19には開口部21を設け、この開口部の周囲には凸出部22を上側中央部に被掛止部23を設けて形成する。
【0026】
24は前記フード体1を一体に設けた取付板で、この取付板の中央部には開口部25を設け、この開口部の上側中央部には掛止部材26を設ける。
【0027】
前記フード体の取付板24は、前記掛止部材26を前記基板19の被掛止部23に係合することによって基板19に取付くように成る。
【0028】
前記フード体1は、その内部から螺子27を、取付板24の通孔28及び前記基板19の凸出部22の通孔29に挿入して連結し、これによってフード体1は垂直周縁部2及び水平周縁部4を介して基板24の開口部21面に接して固着するように成る。
【0029】
前記フード体1の垂直周縁部2と水平周縁部4との間の間隔部5にはコーキング材10を充填装着するように成る(図10参照)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】フード体の正斜視図
【図2】他例のフード体の正斜視図
【図3】図1例の分離状態を示す背斜視図
【図4】図1例の背面図
【図5】図4A−A線の断面図
【図6】図4B−B線の取付状態時の断面図
【図7】図2例の取付状態時の要部の断面図
【図8】他々例の分離関係を示す正斜視図
【図9】図8例の一部材の中央部縦断面図
【図10】図8例の取付状態時の中央部断面図
【符号の説明】
【0031】
1 フード体
2 垂直周縁部
3 外側周縁部
4 水平周縁部
5 間隔部
10 コーキング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意形状に成るフード体の垂直周縁部の内側方に水平周縁部を設け、この水平周縁部と前記垂直周縁部により形成する間隔部にコーキング材を装着して成ることを特徴とする建物用換気口。
【請求項2】
任意形状に成るフード体の垂直周縁部に内側方に曲折した外側周縁部を設け、この外側周縁部の内側方に間隔部をおいて前記外側周縁部より長く成る水平周縁部を設け、この水平周縁部と前記垂直周縁部により形成した前記間隔部にコーキング材を装着して成ることを特徴とする建物用換気口。
【請求項3】
フード体の左右両側部の上下端部に凹部及び取付通孔を設けて成る請求項1又は請求項2に記載した建物用換気口。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−104876(P2006−104876A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296106(P2004−296106)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(593110144)宇佐美工業株式会社 (6)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】