説明

建築構造体

【課題】 ボルトやナットが外観に露出しない建築構造体の提供。
【解決手段】 略四角形断面の中空材である柱1と、柱と略同じ断面であり左右方向に配置した梁3と、柱と梁の端部を連結するアングル状の連結金具19とを備え、柱は、前後いずれか一方の見付け面にボルト頭の収納部23を有する柱本体29と柱カバー材39,40とで構成してあり、梁は、一方の見付け面にボルト頭の収納部23を有する梁本体10と梁カバー材11,13とで構成してあり、連結金具は、前後方向に貫通して設けたボルト挿通孔30と他方側面に固着したナット31を有し、一方側面を柱本体の一方の見付け面内側と梁本体の一方の見付け面内側とに当接して柱本体と梁本体の中空部17内に挿入し、柱本体と梁本体に一方側から挿入したボルト21をナットに螺合して固定してあり、柱本体のボルト頭の収納部23を柱カバー材39,40で隠してあり、梁本体のボルト頭の収納部23を梁カバー材11,13で隠してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観にボルトやナットを露出させずに柱と梁を接合する建築構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーポートやシェルターなどの建築構造体の柱と梁の接合部には、一般的にボルトの頭やナットが外観から見えるので(例えば、特許文献1,2参照。)、高意匠のものに対応しようとすると問題があった。
【特許文献1】特開2006−312836号公報
【特許文献2】特開2005−180093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、ボルトやナットが外観に露出しない建築構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建築構造体は、略四角形断面の中空材である柱と、柱と略同じ断面であり左右方向に配置した梁と、柱と梁の端部を連結するアングル状の連結金具とを備え、柱は、前後いずれか一方の見付け面にボルト頭の収納部を有する柱本体と柱カバー材とで構成してあり、梁は、一方の見付け面にボルト頭の収納部を有する梁本体と梁カバー材とで構成してあり、連結金具は、前後方向に貫通して設けたボルト挿通孔と他方側面に固着したナットを有し、一方側面を柱本体の一方の見付け面内側と梁本体の一方の見付け面内側とに当接して柱本体と梁本体の中空部内に挿入し、柱本体と梁本体に一方側から挿入したボルトをナットに螺合して固定してあり、柱本体のボルト頭の収納部を柱カバー材で隠してあり、梁本体のボルト頭の収納部を梁カバー材で隠してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建築構造体は、アングル状の連結金具を柱本体と梁本体の中空部内に一方側面を柱本体と梁本体の一方の見付け面内側に当接して挿入し、柱本体と梁本体に一方側から挿入したボルトを連結金具の他方側面に固着したナットに螺合して固定するので、一方側からのボルト締めで柱本体と梁本体の端部を簡便に連結でき、連結金具とナットは柱本体と梁本体の中空部内に挿入しているため外部に露出せず、さらにボルト頭は柱本体と梁本体の一方の見付け面に設けたボルト頭の収納部に収納し、柱カバー材と梁カバー材によりボルト頭の収納部を隠してあるので、ボルト頭も外部に露出せず、外観良好な建築構造体となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の建築構造体の一実施形態である簡易建物の斜視図であり、図2は同簡易建物の正面図であり、図3は同簡易建物の左側面図であり、図4は同簡易建物の平面図である。この簡易建物は、バスや電車の停留所の待合室として屋外に設置するものである。本簡易建物は、左右の側面側に、図3に示すように、前後方向に間隔をおいて立設した端柱1,1と、前後の端柱1,1の間に前後方向に間隔をおいて立設した複数の中間柱2,2を備えており、上面側には、図4に示すように、前後方向に間隔をおいて配置した端梁3,3と、端梁3,3の間に前後方向に間隔をおいて配置した複数の中間梁4,4を備えており、各端柱1の上端部と各端梁3の端部、各中間柱2の上端部と各中間梁4の端部とが接合してある。端柱1と中間柱2の間、中間柱2同士の間には、竪パネル5aが柱の見込み面と平行に竪に取付けてあり、端梁3と中間梁4の間、中間梁4同士の間には、横パネル5bが梁の見込み面と平行に横に取付けてある。端柱1と中間柱2には、図4に示すように、連結棒6を渡して固定してあり、地震等により柱1,2間が広がるのを防いでいる。図2と図4に示すように、正面側の中央よりやや左側の位置には端柱7と中間柱8とが前後方向に間隔をおいて立設してあり、端柱7と中間柱8の上端部を端梁3と中間梁4の中間部にそれぞれ接合してある。当該端柱7と中間柱8の間にも、竪パネル5aが取付けてある。この左右方向中間の端柱7と右側の端柱1の間には、竪パネル5cが柱梁の見込み面と垂直に取付けてあり、中間の端柱7と左側の端柱1の間が出入り口9aとして開口させてある。背面側の中央よりやや右側の位置には、端柱7と中間柱8が前後方向に間隔をおいて設けてあり、端柱7と中間柱8の上端部を端梁3と端梁4の中間部にそれぞれ接合してあり、当該端柱7と中間柱8の間に竪パネル5aが柱の見込み面と平行に取付けてあり、この左右方向中間の端柱7と左側の端柱1との間に竪パネル5dが柱梁の見込み面と垂直に取付けてあり、中間の端柱7と右側の端柱1の間が出入り口9bとして開口させてある。正面側の中間柱8と背面側の中間柱8の間は、人が通れる通路になっている。竪パネル5a,5c,5d、横パネル5bは、合わせガラスを使用している。
以下、各柱梁の構造、柱梁の接合部の構造について詳細に説明する。
【0007】
端梁3は、図5に示すように、扁平な長方形断面の中空材となっており、長方形の短辺側が見付け面側になるように配置してある。端梁3の見付け寸法は60mm、見込み寸法は250mmとなっている。端梁3は、梁本体10と、梁本体10の前側の見付け面に取付けられる見付け面カバー材11と、パネル受け材12と、梁本体10の下面と後側の見付け面をカバーする見込み面カバー材とで構成してある。見込み面カバー材は、図16に示すように、左右方向の中間に立設した端柱7の左側と右側とで分割されており、端柱7の左側にはパネル非取付時用見込み面カバー材13が取付けてあり、端柱7の右側にはパネル取付時用見込み面カバー材48が取付けてある。梁本体10、見付け面カバー材11、見込み面カバー材13,48、パネル受け材12は、何れもアルミニウム合金の押出形材で形成したものである。
【0008】
梁本体10は、図5に示すように、対向する上下壁14,15と、上下壁14,15を連結する連結壁16,16とで中空部17を形成してあり、前後の見付け面に溝状の凹部18a,18bを設けてある。前側の凹部18aは、後述する連結金具19,20固定用の高力ボルト21のボルト頭21aの収納部23を構成しており、後側の凹部18bは横パネル5bの呑み込み部となっており、該凹部18bのさらに前後方向奥側にボルト頭21aの収納部23が中空状に形成してある。上壁14の後側端部には、横パネル5bの外側面を受ける外側パネル受け部26aを有している。下壁15の前側の先端部は、凹部18a内に直角に折り曲げてパネル受け部15aを形成してあるが、端柱7よりも左側ではこのパネル受け部15aは使用していない。パネル受け部15aは、見付け面カバー材11と見込み面カバー材13,48で隠れて外部から見えないようにしてある。
見付け面カバー材11は、略アングル状断面となっており、前後方向にのびる取付片11aを梁本体10の前側の凹部18a内に呑み込ませ、上壁14の下面に鉤状の係合部11bを係合させてビス24で固定してある。
パネル受け材12は、略コ字形断面に形成され、梁本体10の後側の凹部18b内に先端部を係合して収納し、下壁15にビス25で固定してある。合わせガラスで形成した横パネル5bは、外側のガラス5bの端部から内側のガラス5bの端部をはみ出させて前後の横辺部を一段薄く形成してあり、この横辺部を梁本体10の外側パネル受け部26aとパネル受け材12とで挟持している。外側のガラス5bは、端梁3の建物外側の見込み面50と同一面となっており、外側のガラス5bの端面と上壁14との間の隙間をシール材27でシールしてある。
パネル非取付時用見込み面カバー材13は、梁本体10の下面をカバーする横壁部13aと、梁本体10の後側の見付け面をカバーする竪壁部13bとを有し、横壁部13aを梁本体10の下壁15と鉤状の係合部13cで係合し、竪壁部13bをパネル受け材12にビス28で固定している。横壁部13aの前側の端部は、見付け面カバー材11に形成した溝11c内に係合している。パネル取付時用見込み面カバー材48は、上記パネル非取付時用見込み面カバー材13の横壁部13aの前側端部を切除して、図7に示すように、横壁部13aの先端と見付け面カバー材11との間に竪パネル5cを挿通する隙間が形成されるようにしたものであり、竪パネル5cの内側のガラスの横辺部を梁本体10のパネル受け部15aと見付け面カバー材11とで挟持している。すなわち見付け面カバー材11は、正面の竪パネル5cを取付けるための押縁を兼ねるものとなっている。
【0009】
中間梁4は、図5に示すように、端梁3と同じような扁平な長方形断面の中空材となっており、梁本体37と、梁本体37の下面側に取付けられる梁カバー材38と、パネル受け材12とで構成してある。梁本体37は、端梁3の梁本体10の後側半分を前後対称に設けた断面形状となっており、前後の見付け面側に凹部18a,18bとボルト頭の収納部23とをそれぞれ有し、上壁14の前後の端部に横パネル5bの外側面を受ける外側パネル受け部26aを有しており、両方の凹部18a,18b内にパネル受け材12をそれぞれ収納して取付け、梁本体37の外側パネル受け部26aとパネル受け材12とで横パネル5bの横辺部を挟持している。梁カバー材38は、梁本体37の下面をカバーする横壁38aの前後両側に、梁本体37の前後の見付け面をそれぞれカバーする竪壁38bを設けてあり、竪壁38bによりパネル受け材12とボルト頭の収納部23を隠している。
【0010】
左右の端柱1は、図6と図8に示すように、先に説明した端梁3の梁本体10、見付け面カバー材11、パネル受け材12、見込み面カバー材13,48と同一断面の柱本体29、見付け面カバー材39、パネル受け材12、見込み面カバー材40,49を、端梁3と同じように組合わせて構成してある。柱本体29の後ろ側の凹部18b内には、竪パネル5aの竪辺部を呑み込ませ、柱本体に形成した外側パネル受け部26bとパネル受け材12とで挟持している。柱本体の見込み面51と竪パネル5aの外側面は、同一面となっている。左側の端柱1は、図6に示すように、見込み面カバー材としてパネル非取付時用見込み面カバー材40を取付けてあり、当該見込み面カバー材40の前側端部を見付け面カバー材39と係合している。右側の端柱1には、図8に示すように、見込み面カバー材としてパネル取付時用見込み面カバー材49を取付けてあり、パネル受け部15aと見付け面カバー材39とで竪パネル5cの竪辺部を挟持している。左右方向の中間部に設けた端柱7は、図13に示すように、右側の端柱1と同一断面の柱本体29、見付け面カバー材39、パネル受け材12、パネル取付時用見込み面カバー材49を同じように組合わせて構成してあり、見付け面カバー材39とパネル受け部15aとで竪パネル5cの竪辺部を挟持し、パネル受け材12と柱本体の外側パネル受け部26bとで竪パネル5aの竪辺部を挟持している。
【0011】
左右の中間柱2は、図6と図8に示すように、中間梁4の梁本体37、パネル受け材12、梁カバー材38と同一断面の柱本体41、パネル受け材12、柱カバー材42を、中間梁4と同じように組合わせて構成してあり、柱本体41の前後の凹部18a,18b内に竪パネル5aの竪辺部を呑み込ませ、柱本体の外側パネル受け部26bとパネル受け材12とで挟持している。建物内部に設けた中間柱8は、図13に示すように、端柱1,7と同一断面の柱本体29を前後逆向きに配置し、前側の凹部内にパネル受け材12を取付け、パネル受け材12と柱本体の外側パネル受け部26bとで竪パネル5aの竪辺部を挟持し、右側の見込み面にパネル非取付け時用見込み面カバー材40を取付け、後側の見付け面に見付け面カバー材39を取付けている。
【0012】
端柱1の上端部と端梁3の端部とは、図11に示すように、アングル状の連結金具19を前後に二組使用して連結している。連結金具19は、厚い鉄板をL形に切断し、その横向き片19aと竪向き片19bに各片の長手方向に間隔をあけてボルト挿通孔30を2つずつ開け、図5に示すように、各連結金具19の対向する内側面に、ナット31を回り止めして保持するレール状のナットホルダー43をビス止めし、各ボルト挿通孔30に対応した位置にナット31を固定してある。梁本体10の下壁15と柱本体29の内側壁32には、図11に示すように、連結金具19挿入用の切り欠き33が連結金具19の厚みと同じ幅で形成してある。また、柱本体29と梁本体10の連結壁16にはボルト挿通孔34が形成してあり、連結壁16の外側に位置する壁には、ボルトを回す工具を差し入れるための孔や切り欠きを適宜形成してある。
連結金具19は、図5〜8に示すように、それぞれの外側面を梁本体10と柱本体29の前後の連結壁16の内側面にそれぞれ当接させて、竪横の各片19a,19bを梁本体10と柱本体29の中空部17内に小口から挿入し、梁本体10と柱本体29の見付面に前側と後側から挿入した高力ボルト21を、前後の各連結金具19の内側面に固着したナット31に螺合することで固定され、梁本体10と柱本体29の端部が連結金具19により剛接合される。その後、梁本体10と柱本体29に見付け面カバー材11,39、見込み面カバー材13,40,48,49をそれぞれ取付けると、図5〜10に示すように、ボルト頭の収納部23、パネル受け部15a、柱梁の切り欠き33、連結金具19、パネル受け材12が、これらのカバー材11,13,39,40,48,49によって隠れ、外部から見えなくなる。
中間柱2と中間梁4の端部も、これと同じようにアングル状の連結金具19を使用して連結している。
【0013】
左右方向の中間部に立設した端柱7の上端部と端梁3の中間部とは、図16に示すようなT字状の連結金具20を前後に二組使用して連結している。連結金具20は、厚い鉄板をT字形に切断し、横向き片20aと竪向き片20bの長手方向に複数のボルト挿通孔30を開け、内側面の各ボルト挿通孔30に対応した位置にナット31を固着したものとなっている。柱本体29の内側壁32には連結金具挿入用の切り欠き33が形成してあり、梁本体10の下壁15には、連結壁16間を四角い孔状に開口させて連結金具挿入孔35を形成してある。連結金具20は、図12と図13に示すように、それぞれの外側面を梁本体10と柱本体29の前後の連結壁16の内側面にそれぞれ当接させて、柱本体29と梁本体10の中空部17内に上下方向から挿入し、梁本体10と柱本体29の見付け面に前側と後側から挿入した高力ボルト21を、前後の各連結金具20の内側面に固着したナット31に螺合することで固定され、柱本体29の上端部と梁本体10の中間部とが剛接合される。その後、梁本体10と柱本体29に見付け面カバー材11,39、見込み面カバー材13,48,49をそれぞれ取付けると、図12〜15に示すように、ボルト頭の収納部23、パネル受け部15a、柱本体29の切り欠き33と梁本体10の連結金具挿入孔35、連結金具20、及びパネル受け材12が、これらのカバー材11,13,39,48,49によって隠れ、外部から見えなくなる。
中間柱8の上端部と中間梁4の中間部も、これと同じようにT字状の連結金具20を使用して連結している。
【0014】
本簡易建物の施工手順を簡単に説明すると、まず全ての柱1,2,7,8の柱本体29,41を立設し、柱本体29,41の上端部に連結金具19,20を使用して各梁の梁本体10,37を左右方向に架設する。次に、各柱1,2,7,8間と梁3,4間に竪パネル5a,5c,5d、横パネル5bを、見付け面カバー材11,39とパネル受け材12を取付けながら順次取付ける。その後、柱本体29,41と梁本体10,37に、カバー材13,38,40,42,48,49を取付ける。
【0015】
以上に述べたように本簡易建物は、柱本体29,41と梁本体10,37とが、連結金具19,20を中空部17の見付け面内側に当接して中空部17内に挿入し、柱本体29,41と梁本体10,37の見付け面外側から高力ボルト21を挿入して連結金具19,20内側面に固着したナット31にねじ込むことで簡便に剛接合でき、尚且つ十分な連結強度を確保できる。しかも、柱本体29,41と梁本体10,37は、各見付け面にボルト頭の収納部23を有しており、柱本体29,41と梁本体10,37の長手方向に取付けたカバー材11,13,38,39,40,48,49により、ボルト頭の収納部23、パネル受け材12、パネル受け部15a、柱と梁に形成した連結金具挿入孔35や切り欠き33を隠してあるため、ボルトや金具等が外観に露出しない美しいデザインとなっている。
また本簡易建物は、端柱1と端梁3の見込み面カバー材として、パネル取付時用見込み面カバー材48,49とパネル非取付け時用見込み面カバー材13,40をそれぞれ準備してあり、そのいずれかの見込み面カバー材を選択することで、交差する柱と梁に跨って竪パネル5c,5dを取付ける場合と、取付けない場合のどちらにも対応できるものとなっている。例えば、竪パネル5cを取付けない場合には、柱本体10にパネル取付時用見込み面カバー材49の代わりにパネル非取付時用見込み面カバー材40を取付け、梁本体10にパネル取付時用見込み面カバー材48の代わりにパネル非取付時用見込み面カバー材13を取付ければよく、柱本体29と梁本体10と見付け面カバー材11,39は、パネル5cを取付ける場合と取付けない場合で共用できる。
さらに本簡易建物は、略同一の扁平な長方形断面の柱1,2,7,8と梁3,4を、短辺側が見付け面側となるように配置したことで、柱1,2,7,8と梁3,4が非常にスリムで統一感のあるものとなっており、柱1,2,7,8と梁3,4を前後方向に間隔をあけて配置し、柱1,2,7,8間と梁3,4間にパネル5a,5b,5c,5dを取付けたことで、天井や壁から光をふんだんに取り入れることができ、しかも各パネルを合わせガラスとし、竪横のパネル5a,5bの外側面を柱と梁の見込み面50,51と同一面となるように配置してあるので、左右の側面と天井面で柱1,2,7,8及び梁3,4とパネル5a,5bとの間で段差の無いすっきりした意匠になっている。
【0016】
図17は、柱36と梁47の端部同士をアングル状の連結金具19で連結する他の実施形態を示している。連結金具19は、横向き片19aと竪向き片19bの幅を柱本体29と梁本体10の中空部17の内寸と略同一にしてあり、柱本体29と梁本体10に図11に示すような切り欠き33を形成することなく連結金具19を中空部17内に挿入できるようにしている。柱36と梁47は、前後両方の見付け面側に形成した凹部18a,18b内にボルト頭21aを収納し、且つ凹部18a,18b内に呑み込ませて柱36と梁47の見付け面に見付け面カバー材11,39を取付けている。柱本体29と梁本体10の見込み面側には、カバー材は取付けていない。なお、本実施形態は、請求項1記載の発明の実施形態に相当する。
【0017】
図18は、柱36上端部と梁47の中間部をT字状の連結金具20で連結する他の実施形態を示している。連結金具20は、上記の実施形態と同じように柱本体29と梁本体10の中空部17内に収まるものとなっており、柱36の見込み面にはカバー材を取付けておらず、梁47の見込み面には連結金具挿入孔35を隠すために梁カバー材46を取付けている。柱36と梁47は、前後両方の見付け面側に形成した凹部18a,18b内にボルト頭21aを収納し、且つ凹部18a,18b内に呑み込ませて柱36と梁47の見付け面に見付け面カバー材11,39を取付け、ボルト頭の収納部23を隠している。見付け面カバー材11と梁カバー材46とは、一体で形成することもできる。
【0018】
本発明は、以上に述べた実施形態に限定されない。柱本体と梁本体は、前後何れか一方の見付け面だけにボルト頭の収納部が設けてあり、一つの連結金具で柱本体と梁本体を連結し、柱本体と梁本体の一方の見付け面だけに柱カバー材と梁カバー材を取り付けたものであってもよい。また、柱本体と梁本体の前後何れか一方の見付け面だけにパネル受け部を有し、当該パネル受け部を利用して、パネルを柱梁の見込み面と平行または垂直にパネルを取付けたものであってもよい。パネルは、合わせガラスに限らず、例えば透明な樹脂製のパネルや、ガラスや樹脂以外の材質の不透明なものを用いることもできる。柱と梁の見込み面と平行に取付ける竪横のパネルは、一枚のパネルを折り曲げて一体に形成することもできる。連結金具は、横向き片を竪向き片に対して直角ではなく斜め傾けて設けることで、柱に対して梁を任意の角度で斜めに連結することもできる。柱と梁は、略正方形断面であってもよく、また長方形断面として長辺側を見付け面側にして配置したものであってもよい。本発明は、柱と梁を連結するあらゆる建築構造体に利用することができ、柱と梁に直接パネルを取付けないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の建築構造体の一実施形態である簡易建物の斜視図である。
【図2】同簡易建物の正面図である。
【図3】同簡易建物の左側面図である。
【図4】同簡易建物の平面図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】図2のB−B断面図である。
【図7】図2のC−C断面図である。
【図8】図2のD−D断面図である。
【図9】図2のX部を拡大して示す正面図である。
【図10】図5のG−G断面図である。
【図11】図2のX部の分解斜視図である。
【図12】図2のE−E断面図である。
【図13】図2のF−F断面図である。
【図14】図2のY部を拡大して示す正面図である。
【図15】図12のH−H断面図である。
【図16】図2のY部の分解斜視図である。
【図17】柱の上端部と梁の端部との連結部分の他の実施形態を示す竪断面図である。
【図18】柱の上端部と梁の中間部との連結部分の他の実施形態を示す竪断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1,7 端柱(柱)
2,8 中間柱(柱)
3 端梁(梁)
4 中間梁(梁)
5a,5c,5d 竪パネル
5b 横パネル
10 梁本体
11 見付け面カバー材(梁カバー材)
12 パネル受け材(内側パネル受け部)
13 パネル非取付時用見込み面カバー材(梁カバー材)
15a パネル受け部
17 中空部
19 連結金具(アングル状)
20 連結金具(T字状)
21 高力ボルト(ボルト)
21a ボルト頭
23 ボルト頭の収納部
26a,26b 外側パネル受け部
29 柱本体
30 ボルト挿通孔
31 ナット
35 連結金具挿入孔
36 柱
37 梁本体
38,46 梁カバー材
39 見付け面カバー材(柱カバー材)
40 パネル非取付時用見込み面カバー材(柱カバー材)
41 柱本体
42 柱カバー材
47 梁
48 パネル取付時用見込み面カバー材(梁カバー材)
49 パネル取付時用見込み面カバー材(柱カバー材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形断面の中空材である柱と、柱と略同じ断面であり左右方向に配置した梁と、柱と梁の端部を連結するアングル状の連結金具とを備え、柱は、前後いずれか一方の見付け面にボルト頭の収納部を有する柱本体と柱カバー材とで構成してあり、梁は、一方の見付け面にボルト頭の収納部を有する梁本体と梁カバー材とで構成してあり、連結金具は、前後方向に貫通して設けたボルト挿通孔と他方側面に固着したナットを有し、一方側面を柱本体の一方の見付け面内側と梁本体の一方の見付け面内側とに当接して柱本体と梁本体の中空部内に挿入し、柱本体と梁本体に一方側から挿入したボルトをナットに螺合して固定してあり、柱本体のボルト頭の収納部を柱カバー材で隠してあり、梁本体のボルト頭の収納部を梁カバー材で隠してあることを特徴とする建築構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−7259(P2013−7259A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224691(P2012−224691)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2007−147778(P2007−147778)の分割
【原出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】