説明

建築構造

【課題】 住宅、オフィスの建物やテント構造物など、屋内空間を備えた建築構造において、屋内空間の天井や内壁の表面に付着した汚れを浄化して屋内空間を清潔に維持することができるとともに、屋内空間の空気を浄化して快適な環境を実現することができる建築構造を提供する。
【解決手段】 建築構造10の屋内に臨むように設けられ、付着した汚れや空気を浄化可能な光触媒を表面に担持した屋内側光触媒担持部3と、屋外の外光R1を反射可能な適所に設けられ、外光R1を反射してこの外光R1の反射光R2を、屋内側光触媒担持部3の光触媒に照射する反射部材4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅、オフィスの建物やテント構造物など、屋内空間を備えた建築構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅、オフィスの建物やテント構造物など、屋内空間を備えた建築構造において、屋根や外壁などの部分の表面に光触媒を担持することにより、これら屋根や外壁の表面に付着した汚れを浄化したり、周囲の空気を浄化したりすることができる建築構造が一般に知られている。
【0003】
このような建築構造では、一般に、太陽や蛍光灯からの光に含まれる紫外線に応答する光触媒を担持した光触媒担持部が屋外に臨むように設けられており、光触媒が太陽光などの強い外光を受けることにより、大気中の酸素と水分とから活性酸素などの非常に酸化反応性の高い物質を発生させるようになっている。その結果、この発生した活性酸素などの酸化反応性の高い物質が、光触媒担持部の表面に付着した有機物質などの汚れを分解して降雨の際に流れ易くすることにより、光触媒担持部の表面に付着した汚れを浄化して、建築構造の屋外部分を清潔に維持することができるようになっている。
【0004】
また、同様に、光触媒が発生させた活性酸素などの反応性の高い物質が、空気中の有害物質である窒素酸化物(NOx)を無害な硝酸イオンに分解するように働き、その結果、光触媒担持部の周囲の空気を浄化して建築構造の周辺において快適な環境を実現することができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の建築構造では、屋内空間については、屋外の外光、特に紫外線が十分に届かないので、屋内の天井や内壁に光触媒担持部を設けても表面に付着した汚れや屋内空間の空気を効果的に浄化したりすることができないという問題があった。
【0006】
屋内側で屋外側と同様に光触媒の十分な浄化効果を得るためには、別途水銀灯や蛍光灯等の紫外光源を、屋内に設けた光触媒担持部に積極的に照射しなければならないが、このように、水銀灯や蛍光灯等により屋内に設けた光触媒担持部に紫外線を照射する方法は、非常にコストがかかるため、現実的ではない。そのため、従来の建築構造では、屋内側では、光触媒効果を得ることを断念し、屋外側表面のみに光触媒を固定した屋根材等を用いることが一般的であった。
【0007】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、住宅、オフィスの建物やテント構造物など、屋内空間を備えた建築構造において、天井や内壁の表面に付着した汚れを浄化して、建築構造の屋内空間を清潔に維持することができるとともに、屋内空間の空気を浄化して快適な環境を実現することができる建築構造を提供することを課題としている。
【0008】
なお、本願に記載する建築構造は、出願人の知る限りでは本願出願に類する公知例が無いため、本出願の時点では開示すべき先行技術文献情報は保有していない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、屋内空間を備えた建築構造であって、上記建築構造の屋内に臨むように設けられ、付着した汚れや空気を浄化可能な光触媒を表面に担持した屋内側光触媒担持部と、屋外の外光を反射可能な適所に設けられ、紫外線および/または可視光を含む外光を反射してこの外光の反射光を、上記屋内側光触媒担持部の光触媒に照射する反射部材とを備えたことを特徴とする建築構造である。
【0010】
この構成によれば、反射部材が、外光の反射光を、屋内側光触媒担持部の表面に担持された光触媒に照射して、屋内側光触媒担持部の表面に付着した汚れを浄化するので、外光が届き難い屋内空間を清潔に維持することができるようになる。また、屋内側光触媒担持部に担持された光触媒が屋内空間の空気を浄化するので、屋内空間において快適な環境を実現することができる。
【0011】
ここで、上記反射部材は、地表に設置されることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、反射部材が地表に設置されるので、比較的広い面積の反射部材を設置することができる結果、屋内を照射する反射光の量を多くすることができる。また、広い面積の反射部材を設置することにより、長い時間、照射することができるようになる。
【0013】
また、上記反射部材は、建築構造の外壁部または建築構造自体に設置されていることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、反射部材が建築構造の外壁部または建築構造自体に設置されるので、建築構造の周囲の地表を広く他の用途に用いることができるようになる。また、反射部材を外壁部または建築構造自体の上方に設置すれば、反射部材からの反射光が人の目を眩惑させることなく屋内側光触媒担持部を照射することができるようになる。
【0015】
また、上記反射部材は、外側に傾倒して外壁部に開口部を形成するとともに外光を反射してこの外光の反射光を、開口部を通して上記屋内側光触媒担持部の光触媒に照射する外光導入姿勢と、開口部を閉めた閉止姿勢との間で開閉可能に構成されていることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、反射部材が、外光導入姿勢と、閉止姿勢との間で開閉可能に構成されているので、晴天時には、反射部材を外側に傾倒させて外壁部に開口部を形成し、この開口部を通して外光を導入することにより屋内側光触媒担持部の光触媒に外光を照射することができるようになる。また、雨天時には、開口部を閉めて風雨の屋内への侵入を防止することができるようになる。
【0017】
さらに、反射部材の角度を自由に調整できるようにすれば、外光の入射角に応じて最適な反射光が得られるようになる。
【0018】
また、上記建築構造は、建築構造の屋外に臨むように設けられ、付着した汚れや空気を浄化可能な光触媒を表面に担持した屋外側光触媒担持部をさらに備えたことが好ましい。
【0019】
このようにすれば、屋外側光触媒担持部が、建築構造の屋外に臨むように設けられており、この屋外側光触媒担持部に担持される光触媒が、表面に付着した汚れを浄化するので、建築構造の屋外部分を清潔に維持することができるようになる。また、光触媒が周囲の空気を浄化するので、建築構造の周辺において快適な屋外環境を実現することができるようになる。
【0020】
また、上記屋内側光触媒担持部に担持された光触媒は、可視光に応答して、付着した汚れや空気を浄化可能な可視光応答型光触媒であり、上記屋外側光触媒担持部に担持された光触媒は、紫外線に応答して、付着した汚れや空気を浄化可能な紫外線応答型光触媒であることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、屋内側光触媒担持部に担持された光触媒が、可視光に効果的に応答するので、紫外線の比較的少ない屋内空間においても効果的に汚れを浄化したり空気を浄化したりすることができるようになり、反射部材も紫外線応答型光触媒を用いる時に比べて小さくてすむようになる。また、屋外側光触媒担持部に担持された光触媒が、より効果的に紫外線に応答するので、紫外線の比較的多い屋外において、より良く汚れを浄化したり空気を浄化したりすることができるようになる。
【0022】
また、上記建築構造は、天井部および/または内壁部を有し、その少なくとも天井面および/または内壁面は、屋内側光触媒担持部を備えたことが好ましい。
【0023】
このようにすれば、建築構造の天井部や内壁部の表面に付着した汚れを浄化して、外光が届き難いこれら天井部や内壁部を清潔に維持することができるようになる。また、天井部や内壁部の屋内側光触媒担持部の表面に担持された光触媒が屋内空間の空気を浄化するので、快適な屋内環境を実現することができるようになる。
【0024】
また、上記建築構造は、屋根部および/または外壁部を有し、その少なくとも屋根面および/または外壁面は、屋外側光触媒担持部を備えたことが好ましい。
【0025】
このようにすれば、建築構造の屋根部や外壁部の表面に付着した汚れを浄化して、これら屋根部や外壁部を清潔に維持することができるようになる。また、光触媒が屋外空間の空気を浄化するので、建築構造の周辺において快適な屋外環境を実現することができるようになる。
【0026】
また、上記建築構造は、屋根面と天井面、および/または内壁面と外壁面が、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたテント構造で構成されていることが好ましい。
【0027】
このようにすれば、屋根面と天井面とが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたり、内壁面と外壁面とが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたりするテント構造において、屋内部分と屋外部分とを同時に清潔に維持することができるようになる。また、テント構造の屋内空間と屋外周辺とにおいて快適な環境を実現することができるようになる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、反射部材が、外光の反射光を、屋内側光触媒担持部の表面に担持された光触媒に照射して表面に付着した汚れを浄化するので、外光が届き難い屋内空間を清潔に維持することができるようになる。また、屋内側光触媒担持部の表面に担持された光触媒が屋内空間の空気を浄化するので、屋内空間において快適な環境を実現することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る建築構造10の概略の構成を示す斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係る建築構造10の概略の構成を示す側面図である。
【0030】
図1と図2とに示すように、本発明の第1の実施形態に係る建築構造10は、外壁部1が、建築構造本体2と距離を置いて設置され、その内側に屋内空間6が備えられた建築構造である。
【0031】
ここで、外壁部1は、内壁面1aと外壁面1cとが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたものが、鉄骨部材1bに取り付けられたテント構造で構成されている。
【0032】
また、建築構造本体2も、屋根面2aと天井面2bとが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたものが、鉄骨部材2cに取り付けられたテント構造で構成されている。
【0033】
ここで、シート状の膜部材としては、ケナフ繊維やジュート繊維である天然繊維、ガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維である合成繊維の織物または編物に塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等をコーティングしたものが利用できる。
【0034】
そして、この建築構造10の天井部2dは、建築構造10の屋内に臨むように設けられた屋内側光触媒担持部3を全面に備え、建築構造10の屋根部2eと外壁部1とは、建築構造10の屋外に臨むように設けられた屋外側光触媒担持部5をそれぞれ全面に備えている。
【0035】
そして、この建築構造10は、外光R1を反射してこの外光R1の反射光R2を、屋内側光触媒担持部3に照射する反射部材4を備えている。
【0036】
上記屋内側光触媒担持部3は、付着した汚れと空気とを浄化可能な光触媒を表面に担持しており、この光触媒には、可視光に応答して、付着した汚れと空気とを浄化可能な可視光応答型光触媒が採用されている。
【0037】
上記反射部材4は、屋外の外光R1を反射可能な適所に設けられ、外光R1を反射してこの外光R1の反射光R2を、屋内側光触媒担持部3の光触媒に照射するものであるが、第1の実施形態に係る建築構造10では、反射部材4は、外壁部1の上方に概ね水平になるように設置されている。
【0038】
この反射部材4は、最外表面に設けられる反射材料4aと、この反射材料4aを最外表面に固定する反射部材4の基材4bとを備えた平板状の鏡で構成されている。
【0039】
ここで反射材料4aには、材料として酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、フッ素樹脂、雲母から選ばれる少なくとも1種の白色顔料もしくは、ガラスビーズ等が採用可能であり、このうちフッ素樹脂としては、特に限定されないが、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等が利用できる。
【0040】
また、反射部材4の基材4bには、材料としてコンクリート、セメントモルタル、アスファルト、タイル、石、金属系素地、木質系素地、ゴム系素地、プラスチック系素地、繊維系素地等が採用可能である。あるいは、これらの2つ以上の組み合わせで形成された基材4bも採用可能である。
【0041】
そして、上記の反射材料4aを基材4b表面の最外表面に固定する手段としては、粉末の反射材料と樹脂や水分等とを含有させた塗料を基材4b表面に塗布する等の既存技術を用いて固定するのが望ましい。
【0042】
なお、反射材料4a、反射部材4の基材4b、反射材料4aの固定手段などは、特に上述のものに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。
【0043】
上記屋外側光触媒担持部5は、汚れと空気を浄化可能な光触媒を表面に担持したものであるが、ここで用いられる光触媒は、屋内側光触媒担持部3に用いられる可視光応答型光触媒と異なり、紫外線に応答して付着した汚れと空気とを浄化可能な紫外線応答型光触媒が採用されている。
【0044】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る建築構造10の作用について説明する。
【0045】
本発明の第1の実施形態に係る建築構造10においては、まず、反射部材4が、太陽光などの、紫外線および/または可視光を含む外光R1を反射してこの外光R1の反射光R2を、外光R1が届き難い屋内空間6に設置された屋内側光触媒担持部3の光触媒に照射する。そして、屋内側光触媒担持部3の表面に担持された可視光応答型光触媒が、反射光R2の可視光に応答して付着した汚れを浄化し、空気を浄化する。
【0046】
一方、屋外側光触媒担持部5の表面に担持された紫外線応答型光触媒が、太陽光など、空からもたらされる紫外線に応答して、付着した汚れを浄化し、空気を浄化する。
【0047】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る建築構造10によれば、反射部材4が、外光R1の反射光R2を、屋内側光触媒担持部3の表面に担持された光触媒に照射することにより、屋内側光触媒担持部3の表面に付着した汚れを浄化するので、外光R1が届き難い屋内空間6を清潔に維持することができるようになる。また、屋内側光触媒担持部3に担持された光触媒が屋内空間6の空気を浄化するので、屋内空間6において快適な環境を実現することができる。
【0048】
また、反射部材4が建築構造10の外壁部1に設置されるので、建築構造10の周囲の地表G(図2)を広く他の用途に用いることができるようになる。また、反射部材4を外壁部1の上方に設置すれば、反射部材4からの反射光R2が人の目を眩惑させることなく屋内側光触媒担持部3を照射することができるようになる。
【0049】
また、屋外側光触媒担持部5が、建築構造10の屋外に臨むように設けられており、この屋外側光触媒担持部5に担持される光触媒が、表面に付着した汚れを浄化するので、建築構造10の屋外部分を清潔に維持することができるようになる。また、光触媒が周囲の空気を浄化するので、建築構造10の周辺において快適な屋外環境を実現することができるようになる。
【0050】
また、屋内側光触媒担持部3に担持された光触媒が、可視光に効果的に応答するので、紫外線の比較的少ない屋内空間6においても効果的に汚れを浄化したり空気を浄化したりすることができるようになり、反射部材も紫外線応答型光触媒を用いる時に比べて小さくてすむようになる。また、屋外側光触媒担持部5に担持された光触媒が、より効果的に紫外線に応答するので、紫外線の比較的多い屋外において、より良く汚れを浄化したり空気を浄化したりすることができるようになる。
【0051】
また、建築構造10の天井部2dや内壁部1dの表面に付着した汚れを浄化して、外光R1が届き難いこれら天井部2dや内壁部1dを清潔に維持することができるようになる。また、天井部2dや内壁部1dの屋内側光触媒担持部3の表面に担持された光触媒が屋内空間6の空気を浄化するので、快適な屋内環境を実現することができるようになる。
【0052】
また、建築構造10の屋根部2eや外壁部1の表面に付着した汚れを浄化して、これら屋根部2eや外壁部1を清潔に維持することができるようになる。また、光触媒が屋外空間の空気を浄化するので、建築構造10の周辺において快適な屋外環境を実現することができるようになる。
【0053】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る建築構造10によれば、屋根面2aと天井面2bとが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられ、内壁面1aと外壁面1cとが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたテント構造において、屋内部分と屋外部分とを同時に清潔に維持することができるようになる。また、テント構造の屋内空間6と屋外周辺とにおいて快適な環境を実現することができるようになる。
【0054】
次に、図3と図4とを参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお以下の説明では、本発明の第1の実施の形態に係る建築構造10と同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
【0055】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る建築構造20の概略の構成を示す斜視図であり、図4は、本発明の第2の実施形態に係る建築構造20の概略の構成を示す側面図である。
【0056】
図3と図4とに示すように、本発明の第2の実施形態に係る建築構造20においては、建築構造20の外壁部21は、建築構造本体22と一体になっており、ヒンジ部23と、ヒンジ部23に一端が取り付けられた反射部材24とを有している。そして、この反射部材24は、外側に傾倒して外壁部21に開口部25を形成するとともに外光R1を反射して、この外光R1の反射光R2を、開口部25を通して屋内側光触媒担持部3の光触媒に照射する外光導入姿勢24aと、開口部25を閉めた閉止姿勢24bとの間で開閉可能に構成されている。
【0057】
このように、本発明の第2の実施形態に係る建築構造20によれば、反射部材24が、外光導入姿勢24aと、閉止姿勢24bとの間で開閉可能に構成されているので、晴天時には、反射部材24を外側に傾倒させて外壁部21に開口部25を形成し、この開口部25を通して外光R1の反射光R2を導入することにより屋内側光触媒担持部3の光触媒に外光R1を照射することができるようになる。また、雨天時には、開口部25を閉めて風雨の屋内への侵入を防止することができるようになる。
【0058】
また、この場合、さらに反射部材の角度を自由に調整できるようにすれば、外光の入射角に応じて最適な反射光が得られるようになる。
【0059】
また、図5を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係る建築構造30の概略の構成を示す斜視図である。
【0060】
図5に示すように、本発明の第3の実施形態に係る建築構造30においては、外壁部1は無く、側面全体に開口部33を備えており、反射部材34は、全体が地表Gに設置されている。
【0061】
そして、反射部材34による外光R1の反射光R2を開口部33を通して屋内に導入することにより屋内側光触媒担持部3の光触媒に外光R1を照射することができるようになっている。
【0062】
このように、本発明の第3の実施形態に係る建築構造30によれば、反射部材34が地表Gに設置されるので、比較的広い面積の反射部材34を設置することができる結果、屋内を照射する反射光R2の量を多くすることができる。また、広い面積の反射部材34を設置することにより、長い時間、屋内側光触媒担持部3を照射することができるようになる。
【0063】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0064】
まず、外壁部1、21は、内壁面1aと外壁面1cもしくは21とが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたものが、鉄骨部材1cに取り付けられたテント構造で構成されている構成に必ずしも限定されない。また、建築構造本体2、22も、屋根面2aと天井面2bとが、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたものが、鉄骨部材2cに取り付けられたテント構造で構成されている構成に必ずしも限定されない。屋内空間を備えた建築構造であれば、どのような建築構造に対しても適用可能である。
【0065】
また、建築構造10、20、30の材料は、特に限定されるものではなく、コンクリート、セメントモルタル、アスファルト、タイル、ガラス、石、金属系素地、木質系素地、ゴム系素地、プラスチック系素地、繊維系素地等が採用可能である。あるいは、これらの2つ以上の組み合わせで形成された材料も採用可能である。
【0066】
また、屋内側光触媒担持部3は、建築構造10、20、30の天井部2dに限らず、内壁部1dの表面など、建築構造10、20、30の屋内に臨むように設けられた部分に設けることが可能である。
【0067】
反射部材4、24、34は、必ずしも図示のように最外表面に設けられる反射材料4aと、この反射材料4aを最外表面に固定する反射部材4の基材4bとを備えた平板状の鏡に限定されない。単なる表面を研磨した金属板でも採用可能であるなど、種々の設計変更が可能である。
【0068】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る建築構造の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る建築構造の概略の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る建築構造の概略の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る建築構造の概略の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る建築構造の概略の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1、21 外壁部
1a 内壁面
1c 外壁面
1d 内壁部
2a 屋根面
2b 天井面
2d 天井部
2e 屋根部
3 屋内側光触媒担持部
4、24、34 反射部材
5 屋外側光触媒担持部
6 屋内空間
10、20、30 建築構造
G 地表
R1 外光
R2 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内空間を備えた建築構造であって、
上記建築構造の屋内に臨むように設けられ、付着した汚れや空気を浄化可能な光触媒を表面に担持した屋内側光触媒担持部と、
屋外の外光を反射可能な適所に設けられ、紫外線および/または可視光を含む外光を反射してこの外光の反射光を、上記屋内側光触媒担持部の光触媒に照射する反射部材とを備えた
ことを特徴とする建築構造。
【請求項2】
上記反射部材は、地表に設置されることを特徴とする請求項1に記載の建築構造。
【請求項3】
上記反射部材は、建築構造の外壁部または建築構造自体に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の建築構造。
【請求項4】
上記反射部材は、外側に傾倒して外壁部に開口部を形成するとともに外光を反射してこの外光の反射光を、開口部を通して上記屋内側光触媒担持部の光触媒に照射する外光導入姿勢と、開口部を閉めた閉止姿勢との間で開閉可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の建築構造。
【請求項5】
上記建築構造の屋外に臨むように設けられ、付着した汚れや空気を浄化可能な光触媒を表面に担持した屋外側光触媒担持部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の建築構造。
【請求項6】
上記屋内側光触媒担持部に担持された光触媒は、可視光に応答して、付着した汚れや空気を浄化可能な可視光応答型光触媒であり、
上記屋外側光触媒担持部に担持された光触媒は、紫外線に応答して、付着した汚れや空気を浄化可能な紫外線応答型光触媒であることを特徴とする請求項5に記載の建築構造。
【請求項7】
上記建築構造は、天井部および/または内壁部を有し、その少なくとも天井面および/または内壁面は、屋内側光触媒担持部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の建築構造。
【請求項8】
上記建築構造は、屋根部および/または外壁部を有し、その少なくとも屋根面および/または外壁面は、屋外側光触媒担持部を備えたことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の建築構造。
【請求項9】
上記建築構造は、屋根面と天井面、および/または内壁面と外壁面が、シート状の膜部材の表裏にそれぞれ設けられたテント構造で構成されていることを特徴とする請求項7または請求項8のいずれかに記載の建築構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−177005(P2006−177005A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370390(P2004−370390)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】