説明

建設機械のウェザーストリップの構造

【課題】ウェザーストリップのサブリップを建設機械のボディの表面に沿って突出成形し、ドア側と該ウェザーストリップの基底部の密着性を高めるという技術を提供する。
【解決手段】建設機械用ウェザーストリップ13は、その本体部13A内に第1中空部C1及び第2中空部C2を備え、この第1、第2中空部C1、C2間に隔壁13aを有し、この両者、つまり第1、第2中空部C1、C2を画成している。そして、本体13Aの一方側は略円筒状外周面13aを形成し、該建設機械14の本体(ボディ)15側に圧接状態に配置され、本体13Aの他方側は例えば鋭角状脚部13cを形成し、該建設機械14のドア16側に配置されている。そして、該建設機械用ウェザーストリップ13は所定間隔を有してクリップ17で建設機械14の前記ドア16又は本体15に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊車両等の建設機械のドアの開口周りに取付けられ、ドア閉止時にドアの外周を密封する建設機械のウェザーストリップの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、従来の技術の一つの例としては図4に示すウェザーストリップの構成例がある。
これについて説明すれば、ルーフサイド1に沿う車体のドア開口縁2にはウェザーストリップ3が取付けられる。ウェザーストリップ3は、基底部3aと外側および内側の側壁3b、3cよりなる基部3Aと、側壁3b、3cの先端間をつなぐシール壁3Bを備えた中空状の押出成形体で、基底部3aおよび外側の側壁3bを有している。ウェザーストリップ3の中空内には、シール壁3Bと基部3Aとをつなぐブリッジ4が形成されている。ブリッジ4は基部3A側が分岐する断面Y字形で一端はシール壁3Bに、ドアガラス(図示せず)による押付け位置よりも車内側位置で接続している。分岐した他端側の一方は、外側の側壁3bの根元に近接する基底部3aに、他方は内側の側壁3cの根元に接続している。ウェザーストリップ3の基底部3aには、分岐したブリッジ4の両接続端間に所定の間隔でクリップ孔3dが設けてある。一方、ウェザーストリップ3を取付けるルーフサイド1沿いのドア開口縁2には同じく所定の間隔でクリップ孔3dが設けてある。ウェザーストリップ3を取付けるには、予め基底部3aにはクリップ孔3dの両側に長手方向に両面接着テープ5a、5bを貼着するとともに、各クリップ孔3dにクリップ6をクリップ頭部6aを基部3Aの中空側内面に突出させて挿通する。そして、各クリップ6をドア開口縁2のクリップ孔3dに圧入してウェザーストリップ3を位置決めし、両面接着テープ5a、5bを介して基底部3aをドア開口縁2に貼着することによりウェザーストリップ3を取付ける。1aはルーフサイド1の端縁に形成したドリップチャンネル、7はドリップチャンネルに取付けたモール、8はドア開口縁2の内奥部から突出するフランジ9に取付けたオープニングトリムである。Aは中空部である。
【0003】
また、従来の技術の他の例としては図5に示すウェザーストリップ10の構成例がある。
これについて説明すれば、図5は当該ウェザーストリップ10を垂直断面した図であって、該ウェザーストリップ10は例えば全体をスポンジ材で成型したものである。第1中空部A1と第2中空部A2を備え、この両者の中間位置にリップ部10aを突出成形している。そして、このウェザーストリップ10は建設機械のドア11側とボディ12側に介装して室外から室内への水の浸入を阻止している。
【特許文献1】特許第3551518号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、叙上の構成であるので次の課題が存在した。
すなわち、図4に示す従来の技術の一つの例によれば、ドアガラス(図示せず)が常に矢印P方向に加圧するので該ウェザーストリップ3を変形し又は毀損し、室外からドアガラスを通じて室内へ流入する惧れがあり流水防止の信頼性に欠けるものであった。また、当該従来の技術は自動車の車体に限定した技術であって、建設機械に於ける技術には適用できないという問題点も存在した。
また、図5に示す従来の他の例によれば、従来の形状では、第1及び第2中空部A1、A2のみで圧設されていたので、ドア11側やボディ12側から水漏れが誘起され易いものであった。リップ部10aが該ウェザーストリップ10の中間位置に突出形成したので機能的にも水密性の効果がなかった。ボディ12のパネルとの間に降った雨水が矢印P1、P2に示すように室外から室内に流れ込み水漏れの発生があった。ドア11側のパネルに当該ウェザーストリップ10をクリップで固定するが、ドアシールとドア11の間の隙間から水漏れが生じ易いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る建設機械のウェザーストリップの構造は、該ウェザーストリップのサブリップを建設機械のボディの表面に沿って突出成形したので該ボディ側に密着させて圧接することが可能となり、水密性が向上し、加えて、該ウェザーストリップの第1中空部C1(基底部)に適宜の60〜80度の硬度を有するソリッド材を加硫せしめ、ドア側と該ウェザーストリップの基底部の密着性を高めるという技術を提供することを目的としたものであって、次の構成、手段から成立する。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、建設機械のドア開口周りに取付けられかつドアの外周をシールする中空状のウェザーストリップに於いて、該ウェザーストリップの本体が第1中空部及び第2中空部を成形し、一方で前記建設機械のボディ側の表面に沿ってこの第2中空部の外周面とサブリップを突出成形し、他方で前記建設機械のドア側に接着する該ウェザーストリップの第1中空部(基底部)にソリッド材を加硫したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明に於いて、前記ウェザーストリップの基底部の下面に装着したソリッド材とドア側間に少なくとも1つの両面接着テープを貼付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る建設機械のウェザーストリップの構造は、叙上の構成を有するので次の効果がある。
【0009】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、建設機械のドア開口周りに取付けられかつドアの外周をシールする中空状のウェザーストリップに於いて、該ウェザーストリップの本体が第1中空部及び第2中空部を成形し、一方で前記建設機械のボディ側の表面に沿ってこの第2中空部の外周面とサブリップを突出成形し、他方で前記建設機械のドア側に接着する該ウェザーストリップの第1中空部(基底部)にソリッド材を加硫したことを特徴とする建設機械のウェザーストリップの構造を提供する。
このような構成にしたので、当該建設機械のウェザーストリップの中空部のうち第2中空部C2にサブリップを建設機械のボディの表面に沿って突出成形したので該ボディ側に密着させて圧接することが可能となり、水密性が向上し、加えて、該ウェザーストリップの第1中空部C1(基底部)に適宜の60〜80度の硬度を有するソリッド材を加硫せしめ、ドア側と該ウェザーストリップの基底部の密着性を高めるという効果がある。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、前記ウェザーストリップの基底部の下面に装着したソリッド材とドア側間に少なくとも1つの両面接着テープを貼付けたことを特徴とする請求項1記載の建設機械のウェザーストリップの構造を提供する。
このような構成にしたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、該ウェザーストリップの基底部の下面に装着したソリッド材とドア側間に少なくとも1つの接着テープ、即ち、両面接着テープを貼付け該ウェザーストリップを止着するクリップ(図示せず)による水漏れ現象を防止するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る建設機械のウェザーストリップの構造の実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2は本発明に係る建設機械のウェザーストリップの構成例を示すものであり、図1はその全体形状を示す平面図、図2は当該ウェザーストリップが油圧ショベルの作業車両、中大形油圧掘削機械等の建設機械に於ける運転室のドア開口周りに取付けられた状態を示す側面図である。図3は、図1の矢視B−B線方向の拡大断面図である。
【0013】
13は油圧ショベルや中大形油圧掘削機械、特殊車両等建設機械のドア開口周りに装着する建設機械用ウェザーストリップである。該建設機械用ウェザーストリップ13は全体形状が図1に示すように無端環状であって、その素材はEPDMゴム材料やエチレンプロピレンジエンモノマー3元重合体等の材料で成形される。該建設機械用ウェザーストリップ13の本体はその内部構造が例えば図3に示すように第1中空部C1及び第2中空部C2を成形している。
【0014】
当該建設機械用ウェザーストリップ13は図2に示すように上記建設機械14のドア15の開口部分のルーフサイド14Aの上縁、フロントピラーサイド14Bの左縁、リアピラーサイド14C等に取付けられる。また、該建設機械用ウェザーストリップ13はドア15自体の周縁に取付けてもよい。
【0015】
該建設機械用ウェザーストリップ13は図3に示すように、その本体部13A内に第1中空部C1及び第2中空部C2を備え、この第1、第2中空部C1、C2間に隔壁13aを有し、この両者、つまり第1、第2中空部C1、C2を画成している。該建設機械用ウェザーストリップ13は全体が容易に変形可能な例えばEPDMゴムで成形される。そして、本体13Aの一方側は略円筒状外周面13aを形成し、該建設機械14の本体(ボディ)15側に圧接状態に配置され、本体13Aの他方側は例えば鋭角状脚部13cを形成し、該建設機械14のドア16側に配置されている。そして、図1に示すように該建設機械用ウェザーストリップ13は所定間隔を有してクリップ17で建設機械14の前記ドア16又は本体15に固定されている。
【0016】
該建設機械用ウェザーストリップ13の本体13Aの略円筒状外周面13aは前記第2中空部C2の外周面13bであって建設機械14の本体(ボディ)15に圧接しており、その際、該略円筒状外周面13aは所定幅を有しかつ柔軟性を備えたサブリップ13dを前記建設機械14の本体(ボディ)15側の表面に沿って突出成形している。
【0017】
18はソリッド材であって、前記建設機械用ウェザーストリップ13の第1中空部C1を閉塞するように基底部としての鋭角状脚13c、13c間を加硫している。すなわちソリッド材は例えば、生ゴムに硫黄その他の加硫剤を加えて加熱し、前記建設機械用ウェザーストリップ13の鋭角状脚13c、13cに強固な結合を作成し、広い温度範囲に渉って
塑性の流れを減少し、該建設機械用ウェザーストリップ13の弾性や引張強さ及び耐油性、耐薬品性、耐候性を増大させることができる。このように構成したので、該建設機械用ウェザーストリップ13を固定する建設機械14のドア16に対しての圧着力が向上する。特に、図1に示すように該建設機械用ウェザーストリップ13を止着する各クリップ17の相互間に於いても建設機械用ウェザーストリップ13の圧着力が格段に向上するので別異の防水処理を施す必要がない。
【0018】
而して、一方では室外からの雨水は図3の矢印P3から矢印P4へ流れ、室内に流入することがなく、防水機能を発揮する。また、他方では前記建設機械用ウェザーストリップ13の本体部13Aに於ける外周面13b及びサブリップ13dの外周面が建設機械14の本体(ボディ)15側に密着状態に接合するので室外からの雨水は図3の矢印P5へ流れ室内に流入することがなく防水機能を発揮する。
【実施例】
【0019】
次に、本発明に係る建設機械のウェザーストリップの構造の実施例について説明する。
【0020】
図3に示す建建設機械用ウェザーストリップ13はその基底部としての鋭角状脚13c、13cの下面にソリッド材18を加硫し、このソリッド材18と建設機械14のドア16面間に第1接着テープ、具体的には第1両面接着テープ19を貼付ける。さらに、これとは別異の実施例として同様に第2接着テープ、具体的には第2両面接着テープ20を貼付ける。このような構成すれば上述したソリッド材18のみである場合の建建設機械用ウェザーストリップ13に比較し、さらにより完全に防水効果を具現できた。尚、本発明を実施し、所期の目的を達成するためには上述した第1、第2両面テープ19、20のうち少なくとも1つであっても差支えない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る建建設機械のウェザーストリップの全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る建建設機械のウェザーストリップを建設機械の運転台付近に装着した例を示す側面図である。
【図3】図1の矢視B−B線方向の拡大断面図であって、該建設機械のウェザーストリップの本体の内部構造を示す図である。
【図4】従来の技術に於けるウェザーストリップの一つの例を示す断面図である。
【図5】従来の技術に於けるウェザーストリップの他の例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0022】
13 建設機械のウェザーストリップ
13A 建設機械のウェザーストリップの本体
13a 建設機械のウェザーストリップの本体の略円筒状外周面
13b 建設機械のウェザーストリップの本体の第2中空部の外周面
13c 建設機械のウェザーストリップの本体の鋭角状脚部
13d 建設機械のウェザーストリップの本体のサブリップ
14 建設機械
14A 建設機械のルーフサイド
14B 建設機械のフロントピラーサイド
14C 建設機械のリアピラーサイド
15 建設機械の本体(ボディ)
16 建設機械のドア
17 建設機械のウェザーストリップのクリップ
18 ソリッド材
19 第1両面接着テープ
20 第2両面接着テープ
C1 建設機械のウェザーストリップの本体第1中空部
C2 建設機械のウェザーストリップの本体の第2中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のドア開口周りに取付けられかつドアの外周をシールする中空状のウェザーストリップに於いて、該ウェザーストリップの本体が第1中空部及び第2中空部を成形し、一方で前記建設機械のボディ側の表面に沿ってこの第2中空部の外周面とサブリップを突出成形し、他方で前記建設機械のドア側に接着する該ウェザーストリップの第1中空部(基底部)にソリッド材を加硫したことを特徴とする建設機械のウェザーストリップの構造。
【請求項2】
前記ウェザーストリップの基底部の下面に装着したソリッド材とドア側間に少なくとも1つの両面接着テープを貼付けたことを特徴とする請求項1記載の建設機械のウェザーストリップの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−290479(P2008−290479A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135288(P2007−135288)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000123549)化成工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】