説明

建設機械のエンジン回転数制御回路

【課題】高負荷作業時において作業速度低下を抑えながら燃料消費を最小限に低減させる建設機械のエンジン回転数制御回路を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は上記目的を達成するために、可変容量油圧ポンプ2の吐出圧を検出する圧力検出手段12と、該圧力検出手段12で検出された吐出圧を入力し該吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を低下させ始めるとともに該エンジン回転数を吐出圧の上昇に伴って任意の回転数まで低下させる回転数制御手段9,13とを有する建設機械のエンジン回転数制御回路を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のエンジン回転数制御回路に関するものであり、特に、駆動系にエンジンを使用している油圧ショベル等の建設機械において、高負荷圧の作業時に作業速度の低下を抑えながら燃費を低減することが可能な建設機械のエンジン回転数制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の油圧ショベル等の建設機械におけるエンジン回転数制御回路では、掘削開始時に操作レバーを急操作した場合及び掘削操作中に掘削対称の硬さが急変した場合にエンジン回転数が低下し、この低下したエンジン回転数を元に戻すために燃焼噴射量を急激に増加させていた。このため、燃費が悪化するという不都合があった。
【0003】
この点について図3〜図6を用いて説明する。図3は油圧ショベルの電気油圧回路の一例を示しており、エンジン1で駆動される可変容量油圧ポンプ2の吐出量が吐出量制御手段としてのレギュレータ3によって制御され、制御された圧油をセンタ油路4に供給している。該センタ油路4の下流には図示しないアクチュエータを制御する一群の方向切換弁5等が接続されている。該方向切換弁5はリモコン弁6の2次側のパイロット圧により切換えられる。
【0004】
前記レギュレータ3には二つの油室3a,3bが設けられており、一方の油室3aは油路7を介してセンタ油路4に接続され、油圧ポンプ2の吐出圧の増加に応じて吐出量を減少させ、ポンプ出力トルクがほぼ一定に維持されるように構成されている。これにより、吐出圧が変化してもポンプ出力トルクがエンジントルクを超えないように馬力一定制御が行われる。他方の油室3bにはトルク制御手段としての電磁弁8の2次圧Pfが作用し、ポンプ出力トルクを増減できるようになっている。
【0005】
前記電磁弁8のソレノイド8aはコントローラ9の出力側に接続され、該コントローラ9の入力側には重掘削、標準掘削及び軽掘削等の作業モードを選択するモード切換スイッチ10が接続されている。ここでは、前記電磁弁8に逆比例電磁弁を使用しているため、該逆比例電磁弁8に入力される制御信号(電流値)と逆比例電磁弁8の2次圧Pfとは反比例し、モード切換スイッチ10を重掘削モード「H」にすると逆比例電磁弁8のソレノイド8aには高い電流値が入力され、該逆比例電磁弁8の2次圧は低圧Pfとなり、レギュレータ3により可変容量油圧ポンプ2の吐出量が大きくなり、ポンプ出力トルクも増大する。これと逆に、モード切換スイッチ10を軽掘削モード「L」にすると逆比例電磁弁8のソレノイド8aには低い電流値が入力され、該逆比例電磁弁8の2次圧は高圧Pfとなり、可変容量油圧ポンプ2の吐出量が小さくなり、ポンプ出力トルクも減少する。
【0006】
前記モード切換スイッチ10によりスピード・パワー重視の重掘削モード「H」、燃費優先の標準掘削モード「S」及び微操作に適した軽掘削モード「L」等の作業モードの選択が可能であるが、以下の説明では、モード切換スイッチ10により重掘削モード「H」を選択した場合の応答について説明する。なお、図4で、高出力トルクを選択した場合の馬力一定曲線をHモード、低出力トルクを選択した場合の馬力一定曲線をLモードとし、その場合のポンプ出力トルクをそれぞれ「Tmax」、「Tmin」とする。
【0007】
図4の左側の図は可変容量油圧ポンプ2の吐出量Qと吐出圧Pの関係を表す油圧ポンプ特性を示し、右側の図はエンジン1のトルク特性を示している。図5、図6は応答の時間変化を示したグラフで、横軸は時間tを示し、縦軸は可変容量油圧ポンプ2の吐出量Q、
吐出圧P、ポンプ出力トルクT、エンジン1の回転数N、燃料噴射量q、逆比例電磁弁8の2次圧Pfを示している。以下、これらの図4〜図6を用いて、掘削作業を開始する場合と途中で掘削対象の硬さが急変した場合とを例にとって説明する。
【0008】
図5において、掘削開始時刻tよりリモコン弁6の操作レバー6aを急操作した場合は、可変容量油圧ポンプ2の吐出圧PがPからPまで一気に上昇する。一方、可変容量油圧ポンプ2の吐出量Qは時間(t〜t)にかけて図4の点C(Qmax)から2点鎖線の曲線Cに沿って点C(Q)になるまで減少する。即ち、吐出圧PがP〜Pの間は吐出量QがQmaxで、P〜Pの間は馬力一定のHモード曲線にのらずに曲線Cに沿って移動する。これはレギュレータ3の吐出量制御が機械的に構成されていることから遅れを生じるためである。その結果、曲線Dに示すようにポンプ出力トルクTがTmaxを超えてしまう。
【0009】
そのため、図6に示すように、エンジン回転数Nはこれと釣り合うようにNからNまで低下する。さらに、エンジン1は出力を確保するために、回転数をNまで戻そうとして燃料噴射量qをqからqを超えてqまで増加させ、その後にqの状態に落ち着く。即ち、図6の斜線で示した(イ)の部分は燃料が無駄に費やされた量を示している。
【0010】
次に、時間t〜tは掘削開始後にゆっくりと操作をした場合を示す。この場合は、可変容量油圧ポンプ2の吐出圧PもPからPまでゆっくりと上昇する。したがって、この場合は、ポンプ吐出量Qも追従が可能であるために、ポンプ吐出量Qは点C(Q)から点C(Q)へゆっくりと減少し、Hモード曲線(実線)上を移動する。
【0011】
さらに、時間tでリモコン弁6の操作レバー6aの操作量が一定でも掘削対象の硬さが急変すると(油圧ショベルが地中の大きな岩にぶつかった場合等)油圧ポンプ2の吐出圧Pも図5に示すように、PからPに急上昇する。この場合も前記急操作の場合と同様にレギュレータ3の制御の応答が遅れてしまうために、ポンプ吐出量Qは図4の2点鎖線の曲線E上を移動し、ポンプ出力トルクTは曲線F上を移動し、一時的にTmaxを超えてしまう。その結果、図6に示すようにエンジン回転数NはNから急減し、燃料噴射量qは急増する。したがって、図6の斜線部(ロ)に示す量だけ燃料が余計に消費される結果になる。
【0012】
また、操作レバーの急操作時や掘削対象の硬さの急変時にポンプ出力トルクを制御してエンジン回転数の変動を少なくして燃費の改善を図ったものとして、例えば、特許文献1に示す建設機械のエンジン制御装置が知られている。この従来技術は、エンジンによって駆動されるメインポンプと、このメインポンプのトルクを制御する電磁比例弁と、リモコン弁により操作されて油圧アクチュエータへ圧油を給配制御するコントロールバルブと、このコントロールバルブのパイロット油路に設けられた圧力スイッチと、この圧力スイッチ、前記電磁比例弁及びエンジンコントロールアクチュエータにそれぞれ接続されるコントローラとを備えている。この特許文献1に記載のエンジン制御装置は、非操作時にメインポンプを所定の低トルクに設定し、圧力スイッチにより油圧アクチュエータの操作開始が検出されたときにメインポンプの設定トルクを所定時間で所定の低トルクから高トルクにすることにより、油圧アクチュエータの操作開始時におけるエンジン回転数の急速な低下を防ぎ、燃費及び排ガスの悪化を防止するものである。
【特許文献1】特開2001−271677号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図3〜図6に示した従来技術においては、操作レバー6aを急操作した場合、図4の曲
線Dに示すように、ポンプ吐出圧PがP〜Pの間でポンプ出力トルクTが一時的に高トルク(Tmax)を大きく超えてしまい、また、掘削対象の硬さが急変した場合、図4の曲線Fに示すようにポンプ吐出圧がP〜Pの間でポンプ出力トルクTが一時的に高トルク(Tmax)を大きく超えることになり、その結果、エンジン回転数Nはこれと釣り合うように低下する。エンジン出力を確保するためには、燃料噴射量を増やして低下したエンジン回転数を元に戻してやる必要があり、必然的に燃料消費量が増加してしまう。
【0014】
特許文献1に記載の従来技術においては、ポンプ出力トルクを制御して操作開始時におけるエンジン回転数の急速な低下を防ぎ、燃費及び排ガスの悪化を防止するものであるでるが、同特許文献仲の図3等に示されていうように、油圧アクチュエータの非操作時は電磁比例弁に所定の小電流iを入力してメインポンプを所定の低トルクtに設定し、圧力スイッチにより油圧アクチュエータの操作開始が検出されたときに、その時点から電磁比例弁を所定時間Tで所定の小電流iから所定の大電流iに上昇させ、それによってメインポンプのトルクを所定時間Tで所定の低トルクtから所定の高トルクtに変化させるので、エンジン回転数が低下することなく、過渡的な燃料の大量供給も必要なく、燃費も悪化することがないというものであるが、電磁比例弁にコントローラから所定時間Tで所定の小電流iから所定の大電流iに変化する信号が入力された場合、その信号が電磁比例弁に入力されてからメインポンプの傾転角を変えて吐出量及びトルクを増減させるまでに応答遅れが生じるために所定時間Tでポンプ出力トルクが高トルクtにならない場合があり、また所定時間Tの間に電流値を所定の小電流iから所定の大電流iに比例的に変化させるだけであるので、最適な制御ができないという問題がある。
【0015】
そこで、高負荷作業時において作業速度低下を抑えながら燃料消費を最小限に低減させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、エンジンで駆動される可変容量油圧ポンプと、該可変容量油圧ポンプにおける吐出圧の増加に応じて吐出量を減少させポンプ出力トルクをほぼ一定に制御する吐出量制御手段とを備えた建設機械のエンジン回転数制御回路において、前記吐出圧を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出された吐出圧を入力し該吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を低下させ始めるとともに該エンジン回転数を前記吐出圧の上昇に伴って任意の回転数まで低下させる回転数制御手段とを有する建設機械のエンジン回転数制御回路を提供する。
【0017】
この構成によれば、可変容量油圧ポンプは吐出量制御手段によりポンプ出力トルクをほぼ一定に制御する馬力一定制御が行われている。この馬力一定制御の運転状態において、エンジン回転数の変更による可変容量油圧ポンプからの吐出量の変化幅は、吐出圧が高くなる領域ほど小さくなる。即ち、建設機械の実作業において吐出圧(負荷圧)が高いほどエンジン回転数を下げても作業速度はあまり下がらない。そこで高負荷圧の作業時に吐出圧の上昇に伴ってエンジン回転数を任意の回転数まで低下させることで、作業速度の低下を抑えながらエンジンの燃料消費を低減することが可能となる。また、エンジン回転数を任意の回転数まで一気に低下させると、一定制御されているポンプ出力トルクが一時的にトルクオーバーしてしまい、エンジン回転数は、これと釣り合うように一時的に前記任意の回転数以下に低下する。エンジンは、この低下したエンジン回転数を前記任意の回転数に戻そうとして燃料噴射量の急増が起こり、燃費を悪化させることになる。これに対し、エンジン回転数を低下させる際は、一気に低下させることなく、吐出圧が任意の高圧力に達した時点から低下させ始めることで、ポンプ出力トルクのトルクオーバーが防止されて、この点においてもエンジンの燃料消費を低減することが可能となる。
【0018】
請求項2記載の発明は、上記回転数制御手段は、上記吐出圧が任意の高圧力に達した時、上記エンジン回転数を任意の回転数まで下げる建設機械のエンジン回転数制御回路を提供する。
【0019】
この構成によれば、可変容量油圧ポンプの吐出圧が高くなるほどエンジン回転数の変更による吐出量の変化幅が小さくなる。このことから、吐出圧が任意の高圧力に達した時、エンジン回転数を任意の回転数まで下げることで、建設機械における作業速度の低下を抑えながらエンジンの燃料消費を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明は、可変容量油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出された吐出圧を入力し該吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を低下させ始めるとともに該エンジン回転数を前記吐出圧の上昇に伴って任意の回転数まで低下させる回転数制御手段とを具備させたので、エンジン回転数の変更による可変容量油圧ポンプからの吐出量の変化幅は、吐出圧が高くなる領域ほど小さくなることから、作業速度の低下を抑えながらエンジンの燃料消費を低減することができる。また、従来技術に対し圧力検出手段と回転数制御手段とを追加配設するのみで大きな改造・改良を伴わないため、低コストで燃料消費の低減を実現することができるという利点がある。
【0021】
請求項2記載の発明は、上記回転数制御手段は、上記吐出圧が任意の高圧力に達した時、上記エンジン回転数を任意の回転数まで下げるようにしたので、建設機械における作業速度の低下を抑えながらエンジンの燃料消費を低減することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
高負荷作業時において作業速度低下を抑えながら燃料消費を最小限に低減させるという目的を、エンジンで駆動される可変容量油圧ポンプと、該可変容量油圧ポンプにおける吐出圧の増加に応じて吐出量を減少させポンプ出力トルクをほぼ一定に制御する吐出量制御手段とを備えた建設機械のエンジン回転数制御回路において、前記吐出圧を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出された吐出圧を入力し該吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を低下させ始めるとともに該エンジン回転数を前記吐出圧の上昇に伴って任意の回転数まで低下させる回転数制御手段とを有することにより実現した。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳述する。図1は建設機械のエンジン回転数制御回路の電気油圧回路図、図2はポンプ特性であるポンプ吐出圧とポンプ吐出量による馬力一定制御を示す特性図である。なお、図1において前記図3における構成要素と同一ないし均等のものは、前記と同一符号を以て示し、重複した説明を省略する。
【0024】
まず、本実施例に係る建設機械のエンジン回転数制御回路の構成を説明する。本実施例では、吐出量制御手段としてのレギュレータ11に、制御信号として可変容量油圧ポンプ2の吐出圧(負荷圧)のみが導入され、該レギュレータ11により吐出圧の増加に応じて吐出量を減少させポンプ出力トルクをほぼ一定に制御する馬力一定制御が行われている。また、可変容量油圧ポンプ2の吐出圧を検出する圧力検出手段としての圧力センサ12が設けられ、該圧力センサ12で検出された吐出圧が主たるコントロ−ラ9に入力されている。
【0025】
この主たるコントロ−ラ9は、可変容量油圧ポンプ2の吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を徐々に低下させ始める制御信号を出力し、この制御信号がエンジン1の回転数を制御するエンジンコントロ−ラ13に入力されている。そして、該エン
ジンコントロ−ラ13と前記主たるコントロ−ラ9とで、可変容量油圧ポンプ2の吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を徐々に低下させ始めるとともに該エンジン回転数を吐出圧の上昇に伴って任意の回転数まで低下させる回転数制御手段が構成されている。
【0026】
次に、図2を用いて、上述のように構成された建設機械のエンジン回転数制御回路の作用を説明する。いま、馬力一定曲線PSで示す馬力一定制御の運転状態において、エンジン回転数を任意の回転数だけ落とすと馬力一定曲線PSは、そのまま下方向にシフトして馬力一定曲線PSとなる。可変容量油圧ポンプ2の油馬力はP×Q/450で表され、例えば吐出圧(負荷圧)PがPの場合の前記エンジン回転数変更による吐出量差ΔQは、
ΔQ=450(PS−PS)/P …(1)
となり、吐出圧Pが前記Pよりも高いPの場合、吐出量差ΔQは、
ΔQ=450(PS−PS)/P …(2)
となる。
【0027】
式(1)、(2)から明らかなように、エンジン回転数の変更による可変容量油圧ポンプ2からの吐出量Qの変化幅ΔQは、吐出圧Pが高くなる領域ほど小さくなる。即ち、建設機械の実作業において吐出圧(負荷圧)Pが高いほどエンジン1の回転数を下げても作業速度はあまり下がらない。
【0028】
そこで圧力センサ2で可変容量油圧ポンプ2の吐出圧Pを検出し、該吐出圧Pが任意の高圧力に達した時点より、主たるコントロ−ラ9からエンジン回転数を徐々に低下させる制御信号をエンジンコントロ−ラ13へ出力し、エンジン1の回転数を吐出圧Pの上昇に伴って任意の回転数まで低下させることで、高負荷作業時において作業速度の低下を抑えながらエンジン1の燃料消費を低減することが可能となる。
【0029】
また、エンジン回転数を任意の回転数まで一気に低下させると、馬力一定曲線PS等で示すように、一定制御されているポンプ出力トルクが一時的にトルクオーバーしてしまい、エンジン回転数は、これと釣り合うように一時的に前記任意の回転数以下に低下する。エンジン1は、この低下したエンジン回転数を前記任意の回転数に戻そうとして燃料噴射量の急増が起こり、燃費を悪化させることになる。
【0030】
これに対し、エンジン回転数を低下させる際は、一気に低下させることなく、吐出圧Pが任意の高圧力に達した時点から、前記したように徐々に低下させ始めることで、ポンプ出力トルクのトルクオーバーが防止されて、この点においてもエンジン1の燃料消費を低減することが可能となる。
【0031】
上述したように、本実施例に係る建設機械のエンジン回転数制御回路においては、エンジン回転数の変更による可変容量油圧ポンプ2からの吐出量Qの変化幅ΔQは、吐出圧Pが高くなる領域ほど小さくなることからエンジン1の回転数を吐出圧Pの上昇に伴って任意の回転数まで低下させることで、作業速度の低下を抑えながらエンジンの燃料消費を低減することができる。
【0032】
エンジン回転数を低下させる際は、一気に低下させることなく、吐出圧Pが任意の高圧力に達した時点から、徐々に低下させ始めることで、ポンプ出力トルクのトルクオーバーが防止されて、この点においてもエンジン1の燃料消費を低減することができる。
【0033】
従来技術に対し圧力センサ12とエンジンコントロ−ラ13とを追加配設するのみで大きな改造・改良を伴わないため、低コストで燃料消費の低減を実現することができる。
【0034】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例に係る建設機械のエンジン回転数制御回路の電気油圧回路図。
【図2】上記実施例におけるポンプ特性であるポンプ吐出圧とポンプ吐出量による馬力一定制御を示す特性図。
【図3】従来の建設機械の油圧ポンプ駆動系制御装置の電気油圧回路図。
【図4】上記従来例におけるポンプ特性及びエンジントルク特性を示す特性図。
【図5】上記従来例における各種の時間経過に対する応答曲線を示す図。
【図6】上記従来例における各種の時間経過に対する応答曲線を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1 エンジン
2 可変容量油圧ポンプ
3 レギュレータ
4 センタ油路
5 方向切換弁
6 リモコン弁
7 油路
8 逆比例電磁弁
9 コントロ−ラ
10 モード切換えスイッチ
11 レギュレータ(吐出量制御手段)
12 圧力センサ(圧力検出手段)
13 コントロ−ラとともに回転数制御手段を構成するエンジンコントロ−ラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンで駆動される可変容量油圧ポンプと、該可変容量油圧ポンプにおける吐出圧の増加に応じて吐出量を減少させポンプ出力トルクをほぼ一定に制御する吐出量制御手段とを備えた建設機械のエンジン回転数制御回路において、
前記吐出圧を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出された吐出圧を入力し該吐出圧が任意の高圧力に達した時点からエンジン回転数を低下させ始めるとともに該エンジン回転数を前記吐出圧の上昇に伴って任意の回転数まで低下させる回転数制御手段とを有することを特徴とする建設機械のエンジン回転数制御回路。
【請求項2】
上記回転数制御手段は、上記吐出圧が任意の高圧力に達した時、上記エンジン回転数を任意の回転数まで下げることを特徴とする請求項1記載の建設機械のエンジン回転数制御回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−243406(P2009−243406A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92924(P2008−92924)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】