説明

建設機械のステップ構造

【課題】建設機械のステップの根幹が容易かつ迅速に行えるようにするとともに、ステップの近傍に設けたハンドレールの取付部を保護する。
【解決手段】上部旋回体13の下部フレーム21にステップ22をボルト26にて固定する。ステップ22の上部22aには、踏み面24とハンドレール23の切り欠き部25を設け、該ステップ22にてハンドレール23の取付部27を被蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械のステップ構造に関するものであり、特に、上部旋回体に昇降用のステップを設けるとともに該ステップの近傍にハンドレールを取り付けた建設機械のステップ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種建設機械は上部旋回体にエンジンや油圧装置などの機関部が搭載され、これらの機関部はハウスカバーにて被蔽されている。したがって、機関部を点検調整するためにハウスカバーの上面へ昇降することがあり、上部旋回体にステップを設けて昇降の容易化を図っている。また、昇降する作業者に不安を与えないようにステップの近傍にハンドレールを取り付けたものも多い。
【0003】
図4は、一般的な建設機械のステップ構造を示し、上部旋回体の下部フレーム1にステップ2が設けられ、該ステップ2の背面部が溶接にて前記下部フレーム1に固定されている。このステップ2の近傍にハンドレール3が配設され、該ハンドレール3の下側先端部3aがクランプ4により前記下部フレーム1へボルト締めにて取り付けられている。
【0004】
ハンドレールの取付構造としては、ハンドレールの下側先端部を左右何れか一方向に屈曲してボルト締め固定し、該下側先端部から上方へ離間した上側部に上記とは反対方向へブラケットを介してボルト締め固定することにより、ハンドレールの支持を分散させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ハンドレールの下側先端部を下部フレームの下面に沿って後方向へほぼ直角に屈曲させ、この屈曲部の両側をクランプにて固定し、ハンドレールの上側先端部を左右方向へほぼ直角に屈曲させ、この屈曲部の両側をクランプにて固定する構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−44122号公報
【特許文献2】特開2005−194777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建設機械のステップは、作業者の足掛けとなるため、上部旋回体の下部フレームから突出して設けられている。したがって、狭隘な場所で作業している場合に、走行や旋回動作によってステップが周囲の他物に接触することがあり、この結果、ステップが破損して使用できなくなることがある。
【0007】
然るときは、破損したステップを新しいステップに交換するが、図4に示したステップならびに特許文献1および特許文献2のステップは、何れも溶接にて下部フレームに固定されているため取り外しが困難であり、また、新しいステップも再度溶接にて取り付けることになる。
【0008】
したがって、ステップの交換作業が煩雑であり、溶接部周辺が汚損されるので再塗装も必要となる。また、ステップの近傍に取り付けられたハンドレールも同様に、クランプにて固定された取付部が他物に接触しやすい。
【0009】
そこで、建設機械のステップの交換が容易かつ迅速に行えるようにするとともに、ステップの近傍に設けたハンドレールの取付部を保護するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、上部旋回体に昇降用のステップを設けるとともに該ステップの近傍にハンドレールを取り付けた建設機械において、前記ステップは上部旋回体にボルトにて固定し、かつ、前記ハンドレールの取付部を被蔽するカバーを兼ねていることを特徴とする建設機械のステップ構造を提供する。
【0011】
この構成によれば、ステップがボルト締め構造であるので、取り付けおよび取り外しの作業が容易であり、万一、ステップが破損した場合でも交換が容易に行える。また、ステップがハンドレールの取付部のカバーを兼ねているので、該取付部がステップによって被蔽され、該取付部が他物に接触するのを防止できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、上部に踏み面とハンドレール用の切り欠き部を設け、前部および側部に被蔽面を有することを特徴とする請求項1記載の建設機械のステップ構造を提供する。
【0013】
この構成によれば、ステップの上部に設けた踏み面は作業者の足掛けとなり、切り欠き部はハンドレールの逃げとなって立ち上がり部分が上方向へ突出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上述したように、ステップをボルトにて固定するため脱着作業が簡単であり、ステップの交換が容易に行える。また、ハンドレールの取付部を被蔽するので、該取付部が他物に接触するのを防止でき、外観も良好となって商品価値が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る建設機械のステップ構造について、好適な実施例をあげて説明する。建設機械のステップの交換が容易かつ迅速に行えるようにするとともに、ステップの近傍に設けたハンドレールの取付部を保護するという目的を達成するために、本発明は上部旋回体に昇降用のステップを設けるとともに該ステップの近傍にハンドレールを取り付けた建設機械において、前記ステップは上部旋回体にボルトにて固定し、かつ、前記ハンドレールの取付部を被蔽するカバーを兼ねるように形成することにより実現した。
【実施例1】
【0016】
図1は建設機械の一例として油圧ショベル10を示し、下部走行体11の上に旋回機構12を介して上部旋回体13が旋回自在に載置されている。上部旋回体13にはその前方一側部にキャブ14が設けられ、且つ、前方中央部にブーム15が俯仰可能に取り付けられている。更に、ブーム15の先端にアーム16が上下回動自在に取り付けられ、該アーム16の先端にバケット17が取り付けられている。
【0017】
そして、上部旋回体13の後部にエンジン18を搭載し、ハウスカバー19にて被蔽する。また、上部旋回体13の前方他側部にツールボックス20が設けられており、上部旋回体13の下部フレーム21の前端部に、機体から前方へステップ22を突設してある。さらに、前記ステップ22の近傍からツールボックス20およびハウスカバー19の前部にかけて、それらの右側部(図1に於いて紙面の手前側)にハンドレール23が取り付けられている。
【0018】
図2および図3に示すように、該ステップ22は下部が開放された箱形に形成され、上部22aに踏み面24とハンドレール用の切り欠き部25が設けられている。また、該ステップ22の前部22bおよび側部22cに被蔽面を有し、上部旋回体13の下部フレーム21に固設されたブラケット26へ、該ステップ22がボルト27にて着脱可能に固定され、ハンドレール23の取付部28を被蔽するカバーを兼ねている。
【0019】
前記踏み面24は作業者が上部旋回体13に昇降する際の足掛けとなり、凹凸形状あるいは切欠形状など滑り防止対策が施されている。また、前記切り欠き部25はハンドレール23の逃げとなり、ハンドレール23の立ち上がり部分23aが該切り欠き部25から上方向へ突出する。すなわち、図4に示したハンドレールの下側先端部3aがクランプ4にて固定されている部分が、該ステップ22によって被蔽されている。
【0020】
このように、当該ステップ22がボルト締め構造で固定されているため、該ステップ22の取り付けおよび取り外しの作業が容易であり、万一、ステップ22が破損した場合でも交換が容易に行える。また、ステップ22がハンドレール23の取付部27のカバーを兼ねているので、該取付部28がステップ22によって被蔽され、該取付部28が他物に接触するのを防止できる。
【0021】
かくして、本発明は、ステップ22の交換が容易に行えるとともに、ハンドレール23の取付部28を被蔽するので、外観が良好となって商品価値が向上する。
【0022】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用された油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明に係るステップの斜視図。
【図3】本発明のステップを示し(a)平面図(b)A−A断面図(c)B−B断面図。
【図4】一般的な建設機械のステップ構造を示す説明図。
【符号の説明】
【0024】
10 油圧ショベル
13 上部旋回体
21 下部フレーム
22 ステップ
23 ハンドレール
24 踏み面
25 切り欠き部
26 ブラケット
27 ボルト
28 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体に昇降用のステップを設けるとともに該ステップの近傍にハンドレールを取り付けた建設機械において、
前記ステップは上部旋回体にボルトにて固定し、かつ、前記ハンドレールの取付部を被蔽するカバーを兼ねていることを特徴とする建設機械のステップ構造。
【請求項2】
上部に踏み面とハンドレール用の切り欠き部を設け、前部および側部に被蔽面を有することを特徴とする請求項1記載の建設機械のステップ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−169917(P2007−169917A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365380(P2005−365380)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(501132804)住友建機製造株式会社 (271)
【Fターム(参考)】