説明

建設機械のフィルタ目詰まり検出装置

【課題】寒冷時でも必要な検出頻度を確保しながら、通常温度下での適正な検出精度を維持する。
【解決手段】エンジンキースイッチ15のON操作時に、油圧ポンプ1から規定流量を吐出させた状態でフィルタ6の前後の差圧を差圧スイッチ11で検出し、この差圧スイッチ11のON作動時にフィルタ6が目詰まり状態と判定する。これを前提として、エンジン始動前の作動油温度である初期油温を温度センサ11で検出し、この初期油温が設定値以上の場合は、作動油温度が第1規定温度以上になったときに目詰まり検出を行い、初期油温が設定値未満の場合は、作動油温度が第1規定温度よりも低い第2規定温度以上になったときに目詰まり検出を行うように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の建設機械において作動油を濾過するフィルタの目詰まりを検出するフィルタ目詰まり検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、特許文献1に示されているように、フィルタの前後の差圧を検出し、この差圧が設定値以上となったときに目詰まり状態であると判定するものが公知である。
【0003】
この場合、作動油の温度により動粘度が変化し、差圧に影響するため、検出精度を上げるためには、目詰まり検出に当たって作動油温度を管理するのが望ましい。
【0004】
この作動油温度に関して、特許文献1に記載された公知技術では、油温センサによって検出された作動油温度に応じて、油温が規定温度(目詰まり検出に適した温度。たとえば50℃以上)よりも低い場合には電磁リリーフ弁等の昇温手段を作動させて作動油を加熱し、規定温度まで上げる昇温処理を行うこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−337668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記公知技術によると、寒冷時(とくに寒冷地の冬季)には昇温処理を行っても油温が規定温度まで上がらない場合があるため、目詰まり検出の頻度が下がり、目詰まりの検出漏れが生じがちとなる。
【0007】
ここで、検出頻度の確保を優先して、規定温度を、寒冷時を基準として低く設定することが考えられる。しかし、こうすると寒冷時以外の通常温度下で検出精度が悪くなる。
【0008】
そこで本発明は、寒冷時でも必要な検出頻度を確保しながら、通常温度下での高い検出精度を維持することができる建設機械のフィルタ目詰まり検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、エンジンと、このエンジンによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、上記油圧ポンプから吐出された作動油をタンクへの戻りラインで濾過するフィルタと、このフィルタに作用する圧力を検出する圧力検出手段と、この圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて目詰まり検出を行う制御手段とを備えた建設機械のフィルタ目詰まり検出装置において、上記作動油の温度を検出する油温検出手段が設けられ、上記制御手段は、
(i) 作動油温度が、フィルタ目詰まり検出を行うべき温度としての規定温度以上になったときに目詰まり状態か否かを判定する目詰まり検出を行い、
(ii) 上記規定温度を、エンジン始動前の作動油温度である初期油温に応じて、低温時に高温時よりも規定温度を下げる方向に変更する
ように構成されたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、上記制御手段は、上記初期油温が設定値以上の場合は、作動油温度が第1規定温度以上になったときに目詰まり検出を行い、初期油温が設定値未満のときは作動油温度が上記第1規定温度よりも低い第2規定温度以上になったときに目詰まり検出を行うように構成されたものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、上記油圧アクチュエータを操作する操作手段と、この操作手段の操作の有無を検出する操作検出手段とを備え、上記制御手段は、上記操作手段の非操作時に目詰まり検出を行うように構成されたものである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、上記制御手段は、目詰まり検出中に上記操作手段の操作があったときに目詰まり検出を中断するように構成されたものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、上記油圧ポンプとして、ポンプレギュレータによって吐出流量が制御される可変容量型の油圧ポンプが用いられ、上記制御手段は、上記油圧ポンプに規定流量を吐出させた状態で目詰まり検出を行うように構成されたものである。
【0014】
請求項6の発明は、請求項5の構成において、上記制御手段は、上記油圧ポンプに規定流量を吐出させた状態を一定時間継続させるように構成されたものである。
【0015】
請求項7の発明は、請求項5または6の構成において、上記油圧アクチュエータを操作する操作手段と、この操作手段の操作の有無を検出する操作検出手段とを備え、上記制御手段は、上記操作手段の非操作時に目詰まり検出を行い、操作手段の操作があったときに目詰まり検出を中断するとともに、上記ポンプレギュレータに操作に応じたポンプ吐出量を指令するように構成されたものである。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの構成において、上記圧力検出手段として、上記フィルタの前後の差圧が目詰まり状態を表す目詰まり基準値以上であるときに作動する差圧スイッチが用いられ、上記制御手段は、この差圧スイッチの作動時にフィルタが目詰まり状態であると判定するように構成されたものである。
【0017】
請求項9の発明は、請求項8の構成において、上記制御手段は、上記差圧スイッチの作動状態が一定時間継続したときに目詰まり状態であると判定するように構成されたものである。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの構成において、上記制御手段は、上記エンジンを始動させるキースイッチの1回のオン操作につき1回だけ目詰まり検出を行うように構成されたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、目詰まり検出を行うべき作動油温度として設定される規定温度を、エンジン始動前の初期油温に応じて、低温時に高温時よりも下げる方向で変更するため、寒冷時にも必要なフィルタ目詰まり検出頻度を確保することができる。
【0020】
しかも、初期油温が高い場合(通常温度)には規定温度を上げるため、通常温度下での適正な検出精度を維持することができる。
【0021】
この場合、初期油温と規定温度の関係を予めテーブル化しておき、初期油温に応じて規定温度を連続的に変化させるようにしてもよいし、請求項2の発明のように、制御の簡素化のために初期油温が設定値(たとえば−5℃)以上か未満かで規定温度を第1、第2両規定温度の二通りで変更するようにしてもよい。
【0022】
請求項3,4の発明によると、油圧アクチュエータを操作する操作手段の非操作時、つまり作業休止時に目詰まり検出が行われるため、作業に支障を与えない範囲でフィルタの目詰まり検出を行うことができる。
【0023】
この場合、請求項4の発明によると、目詰まり検出中に操作手段の操作があったときは目詰まり検出を中断するため、操作の影響によりフィルタ前後の圧力が変化して誤検出を招くおそれがない。
【0024】
請求項5〜7の発明によると、油圧ポンプに規定流量を吐出させた状態で目詰まり検出を行うため、検出に適した流量を規定流量として設定することにより、検出精度を上げることができる。
【0025】
この場合、請求項6の発明によると、規定流量を一定時間継続して流すため、検出精度がより向上する。
【0026】
また、請求項7の発明によると、操作手段の非操作時に規定流量を流して目詰まり検出を行い、操作があったときに目詰まり検出を中断する構成をとる場合に、中断とともにポンプ吐出量を操作に応じた値、つまり通常の流量制御に戻すため、流量が多いまま操作が行われることで微操作性が損なわれるというおそれがない。
【0027】
請求項8,9の発明によると、圧力検出手段としてオン/オフ式の差圧スイッチを用いるため、圧力検出手段のコストが安くてすむ。
【0028】
また、請求項9の発明によると、差圧スイッチの作動状態が一定時間継続したときに目詰まり状態であると判定するため、目詰まり以外の原因によって一時的に差圧スイッチが作動した場合を目詰まり判定から除外し、検出精度を上げることができる。
【0029】
請求項10の発明によると、エンジンキースイッチの1回のオン操作につき1回だけ目詰まり検出を行うため、とくに操作手段の非操作時に規定流量を流して目詰まり検出を行う構成をとる場合に、必要以上に目詰まり検出が実行されることによるエネルギーロスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るフィルタ目詰まり検出装置の回路構成及びブロック構成を示す図である。
【図2】同装置による目詰まり検出作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は実施形態に係るフィルタ目詰まり検出装置の回路構成及びブロック構成を示す。
【0032】
1はエンジン2によって駆動される可変容量型の油圧ポンプで、この油圧ポンプ1から吐出された圧油(作動油)が、操作手段としてのリモコン弁3によって操作されるコントロールバルブ4を介して油圧アクチュエータ(図例では油圧シリンダ)5に供給され、この油圧アクチュエータ5からの戻り油がコントロールバルブ4経由でフィルタ6を通ってタンクTに戻される。
【0033】
フィルタ6には、完全に目詰まりしたときに油をタンクTに逃がすためのバイパスチェック弁7が並列に接続されている。
【0034】
油圧ポンプ1はポンプレギュレータ8によって吐出流量が調整され、ポンプレギュレータ8は制御手段としてのコントローラ9によって制御される。
【0035】
この装置においては、フィルタ6を通過する作動油の温度を検出する油温センサ(油温検出手段)10と、フィルタ6の前後の差圧に応じてON/OFF作動する圧力検出手段としての差圧スイッチ11とが設けられ、油温センサ10からの油温信号及び差圧スイッチ11のON/OFF信号がコントローラ9に入力される。
【0036】
差圧スイッチ11は、目詰まり検出時にフィルタ6に流される規定流量でのフィルタ前後の差圧が、フィルタ6の目詰まり状態を表す目詰まり基準値以上であるときにON作動する。
【0037】
一方、コントローラ9からの信号に基づいて「正常」「異常」の判定結果を表示(モニタ表示とブザー作動またはその一方)する表示手段12が設けられるとともに、センサとして、リモコン弁3の操作時にコントロールバルブ4に送られるパイロット圧を検出する操作検出手段としての圧力センサ13,14が設けられ、この圧力センサ13,14からの信号がコントローラ9に入力される。
【0038】
なお、リモコン弁3がレバー操作されることから、以下、リモコン弁3の操作をレバー操作、レバー操作による信号をレバー信号という。
【0039】
また、エンジン2を始動/停止させるエンジンキースイッチ15のオン/オフ信号もコントローラ9に入力される。
【0040】
コントローラ9は、このエンジンキースイッチ15のオン/オフ信号、圧力センサ13,14からの信号、及び差圧スイッチ11からのオン/OFF信号に基づき、ポンプレギュレータ8を制御してフィルタ6の目詰まり検出を行う。
【0041】
この点の作用を図2,3のフローチャートを併用して説明する。
【0042】
図2に示すように、エンジンキースイッチ15がオン操作(エンジン始動操作)されると、ステップS1でこの時点、つまりエンジン始動前の作動油温度である初期油温Tiが検出・記憶される。
【0043】
ステップS2でこの初期油温Tiが設定値(たとえば−5℃)以上か未満かが判別され、設定値以上の場合は、フィルタ目詰まり検出を行うべき作動油の温度としての規定温度Trが第1規定温度(たとえば50℃)に、設定値未満の場合は規定温度Trが第2規定温度(たとえば30℃)にそれぞれ設定される。
【0044】
ステップS3では、現在の作動油温度が規定温度Trに達したか否かが判別され、NOの場合はまだ目詰まり判定を行うべきでないため、ステップS4で目詰まり判定を可能とする判定可能フラグがOFFとされる。
【0045】
一方、YESの場合は、ステップS5でレバー操作無しか否かが判別され、ここでNO(レバー操作有り)の場合は作業中につき目詰まり判定を行うべきでないとしてステップS4(判定可能フラグOFF)に移る。
【0046】
これに対しYES(レバー操作無し)の場合は、作業中でないから目詰まり判定を行ってもよいとして判定可能フラグをONとする。
【0047】
ステップS4,S6の続きとして、図3に示すように、ステップS7で判定可能フラグがONか否かが判別され、ステップS8で判定タイマ(目詰まり検出を継続して行う時間)のカウントを開始するとともに、ポンプ吐出量を目詰まり検出に適した規定流量(たとえばポンプ最大吐出量)に設定し、ポンプレギュレータ8に指令する。
【0048】
ステップS9では、差圧スイッチ11がONか否かが判別され、YESの場合にステップS10で差圧スイッチ11のON状態が継続する時間のカウントを開始する。
【0049】
続いて、ステップS11,S12で判定タイマ及び差圧スイッチON時間がそれぞれの設定時間を経過したか否かが判別され、いずれもYESの場合にフィルタ目詰まり状態である(異常)と判定される。
【0050】
一方、ステップS12でNO(差圧スイッチON時間が設定時間に達していない)となると、ステップS14で目詰まり状態でない(正常)と判定される。
【0051】
そして、ステップS15で「判定済み」のフラグが立てられるとともに、判定タイマ、差圧スイッチON時間がそれぞれリセットされる。
【0052】
次いで、ステップS16で「正常」または「異常」の判定結果が表示手段12によって表示されてフィルタ目詰まり検出が終了する。
【0053】
なお、ステップS7,S11でNOの場合はステップS3に戻り、ステップS9でNO(差圧スイッチOFF)の場合はステップS11に移行する。
【0054】
このように、目詰まり検出を行うべき作動油温度としての規定温度Trを、エンジン始動前の初期油温Tiに応じて低温時に高温時よりも下げる方向で変更するため、寒冷時にも必要なフィルタ目詰まり検出頻度を確保することができる。
【0055】
しかも、初期油温Tiが高い場合(通常温度の場合)には規定温度を上げるため、通常温度下では検出精度を高めることができる。
【0056】
すなわち、寒冷時でも必要な検出頻度を確保しながら、通常温度下での高い検出精度を維持することができる。
【0057】
なお、初期油温Tiが設定値未満の場合、規定温度Trが第1規定温度よりも低い第2規定温度となるため、規定温度Trが第1規定温度の場合よりも検出精度が低くなるが、上記説明で例示した2規定温度=30℃の設定によれば、必要な検出頻度を確保しつつ、検出誤差を現実に差し支えない程度に抑えることができる。
【0058】
また、この装置によると次の効果が得られる。
【0059】
(I) リモコン弁3の非操作時、つまり作業休止時に目詰まり検出が行われるため、作業に支障を与えない範囲でフィルタの目詰まり検出を行うことができる。
【0060】
(II) この場合、目詰まり検出中(図3のステップS11でNOとなる間)にリモコン弁3の操作があったときは、図2のステップS5でNOとなり、ステップS4で判定可能フラグがOFFとなって目詰まり検出を中断するため、操作の影響によりフィルタ前後の圧力が変化して誤検出を招くおそれがない。
【0061】
(III) 上記目詰まり検出の中断時に、ポンプ吐出量が操作に応じた値、つまり通常の流量制御に戻るため、流量が多いまま操作が行われることで微操作性が損なわれるというおそれがない。
【0062】
(IV) 油圧ポンプ1に規定流量を吐出させた状態(図3のステップS8)で目詰まり検出を行うため、検出に適した流量を規定流量として設定することにより、検出精度を上げることができる。
【0063】
(V) この場合、規定流量を一定時間継続して流す(ステップS11)ため、検出精度がより向上する。
【0064】
(VI) 圧力検出手段としてオン/オフ式の差圧スイッチ11を用いるため、圧力検出手段のコストが安くてすむ。
【0065】
(VII) 差圧スイッチ11の作動状態が一定時間継続したときに目詰まり状態であると判定する(ステップS13)ため、目詰まり以外の原因によって一時的に差圧スイッチ11が作動した場合を目詰まり判定から除外し、検出精度を上げることができる。
【0066】
(VIII) 図3のステップS15で判定済みフラグを立てるため、すなわち、エンジンキースイッチ15の1回のオン操作につき1回だけ目詰まり検出を行うため、とくに実施形態のようにリモコン弁3の非操作時に規定流量を流して目詰まり検出を行う構成をとる場合に、非操作時ごとに目詰まり検出が実行されることによるエネルギーロスを防止することができる。
【0067】
他の実施形態
(1) 目詰まり検出頻度が過剰とならないように、前回の目詰まり検出からの経過時間を計測し、一定時間以上経過したことを条件として目詰まり検出を行うようにしてもよい。
【0068】
(2) 上記実施形態では、1回のエンジンキースイッチON操作で1回だけ目詰まり検出を行い、この1回の検出作用で「異常」の判定が出されると目詰まり状態であると結論付ける構成をとったが、複数回(たとえば3回)のエンジンキースイッチON操作による複数回の検出作用によって連続して「異常」の判定が出されたときにはじめて目詰まり状態であると結論付ける構成をとってもよい。
【0069】
(3) 上記実施形態では、初期油温が設定値以上か未満かの二通りで規定温度を第1及び第2両規定温度のうちで変更する構成をとったが、初期油温を三通り以上の温度域に分け、規定温度をこの温度域に対応する三つ以上のうちで変更する構成をとってもよい。
【0070】
あるいは、前記のように初期油温と規定温度の関係を予めテーブル化しておき、初期油温に応じて規定温度を連続的に変化させるようにしてもよい。
【0071】
(4) 上記実施形態では、目詰まり状態か否かのみを判定し表示するようにしたが、圧力検出手段として圧力センサを用いて差圧を検出し、この差圧に基づいて「目詰まり状態」を含めた目詰まり度合いを割り出し、逐次、あるいは適時、この目詰まり度合いを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 油圧ポンプ
2 エンジン
3 リモコン弁(操作手段)
4 コントロールバルブ
5 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
6 フィルタ
8 ポンプレギュレータ
9 コントローラ(制御手段)
10 油温センサ(油温検出手段)
11 差圧スイッチ(圧力検出手段)
12 表示手段
13,14 圧力センサ(操作検出手段)
15 エンジンキースイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、このエンジンによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、上記油圧ポンプから吐出された作動油をタンクへの戻りラインで濾過するフィルタと、このフィルタに作用する圧力を検出する圧力検出手段と、この圧力検出手段によって検出される圧力に基づいて目詰まり検出を行う制御手段とを備えた建設機械のフィルタ目詰まり検出装置において、上記作動油の温度を検出する油温検出手段が設けられ、上記制御手段は、
(i) 作動油温度が、フィルタ目詰まり検出を行うべき温度としての規定温度以上になったときに目詰まり状態か否かを判定する目詰まり検出を行い、
(ii) 上記規定温度を、エンジン始動前の作動油温度である初期油温に応じて、低温時に高温時よりも規定温度を下げる方向に変更する
ように構成されたことを特徴とする建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記初期油温が設定値以上の場合は、作動油温度が第1規定温度以上になったときに目詰まり検出を行い、初期油温が設定値未満のときは作動油温度が上記第1規定温度よりも低い第2規定温度以上になったときに目詰まり検出を行うように構成されたことを特徴とする請求項1記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項3】
上記油圧アクチュエータを操作する操作手段と、この操作手段の操作の有無を検出する操作検出手段とを備え、上記制御手段は、上記操作手段の非操作時に目詰まり検出を行うように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項4】
上記制御手段は、目詰まり検出中に上記操作手段の操作があったときに目詰まり検出を中断するように構成されたことを特徴とする請求項3記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項5】
上記油圧ポンプとして、ポンプレギュレータによって吐出流量が制御される可変容量型の油圧ポンプが用いられ、上記制御手段は、上記油圧ポンプに規定流量を吐出させた状態で目詰まり検出を行うように構成されたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項6】
上記制御手段は、上記油圧ポンプに規定流量を吐出させた状態を一定時間継続させるように構成されたことを特徴とする請求項5記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項7】
上記油圧アクチュエータを操作する操作手段と、この操作手段の操作の有無を検出する操作検出手段とを備え、上記制御手段は、上記操作手段の非操作時に目詰まり検出を行い、操作手段の操作があったときに目詰まり検出を中断するとともに、上記ポンプレギュレータに操作に応じたポンプ吐出量を指令するように構成されたことを特徴とする請求項5または6記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項8】
上記圧力検出手段として、上記フィルタの前後の差圧が目詰まり状態を表す目詰まり基準値以上であるときに作動する差圧スイッチが用いられ、上記制御手段は、この差圧スイッチの作動時にフィルタが目詰まり状態であると判定するように構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項9】
上記制御手段は、上記差圧スイッチの作動状態が一定時間継続したときに目詰まり状態であると判定するように構成されたことを特徴とする請求項8記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項10】
上記制御手段は、上記エンジンを始動させるキースイッチの1回のオン操作につき1回だけ目詰まり検出を行うように構成されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の建設機械のフィルタ目詰まり検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−41767(P2012−41767A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185158(P2010−185158)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】