説明

建設機械の冷却構造

【課題】ダクト内の下部空間を大きく広げ、機器類をダクト内に余裕をもって設置できるようにする。
【解決手段】エンジンルーム22内に、エンジン23と熱交換器25と冷却ファン24を、熱交換器25が空気の流れの最も上流側に位置する状態で設け、冷却ファン24の回転により外部空気をエンジンルーム22内に吸い込んで熱交換器25に通すように構成する。また、エンジンルーム22の吸気側に吸気室26、熱交換器25の前面側にダクト28をそれぞれ設けるとともに、吸気室26の上面に吸気口27を設ける。この構成を前提として、ダクト正面部33を、熱交換器25と反対側に向かって先下がりに傾斜させ、かつ、この傾斜面を階段状に形成し、空気流と対向する各段の面に吸気用の開口部34,34と防塵用のフィルタ35,35とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の建設機械において、外部からエンジンルームに取り込んだ冷却空気を熱交換器に導く冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルを例にとって説明する。
【0003】
油圧ショベルにおいて、吸気側の防音性能を高める冷却構造として特許文献1に示されたもの(公知技術の1)が公知である。
【0004】
この公知技術の1を図5,6に示す。
【0005】
上部旋回体の後端部に、エンジンガードやカウンタウェイトの一部、燃料タンクの上面等のカバー材1で覆われたエンジンルーム2が設けられている。
【0006】
このエンジンルーム2内にはエンジン3と、図示しない油圧ポンプと、エンジン3で駆動されて外部空気を吸入する冷却ファン4と、エンジン冷却用のラジエータをはじめ、オイルクーラ、インタークーラー等の複数の熱交換器(ここでは一つのものとして示す)5とが設けられている。
【0007】
エンジンルーム2内における熱交換器5の吸気側に吸気室6が形成され、この吸気室6の上部(通常は上面、詳しくはカバー材1の吸気側端部の上面部)に、外部空気を導入する吸気口7が設けられている。
【0008】
吸気室6は、エンジンルーム2におけるエンジン3等が収容された空間に対して、熱交換器5、及び図示しない仕切り材やシール材により独立して(空気の流通を遮断した状態で)形成され、この吸気室6にダクト8が設けられている。
【0009】
ダクト8は、カバー材1とは別のダクト材によって箱状に形成され、熱交換器5のコア面5aを周囲から気密に囲う状態で取付けられている。
【0010】
このダクト8は、熱交換器コア面5aに対向する正面部9を有し、このダクト正面部9に吸気用の開口部10と、この開口部10を覆う防塵用のフィルタ11とが設けられている。
【0011】
また、ダクト正面部9と、これに対向するカバー材1の側面部との間に吸気通路12が形成され、吸気口7から吸い込まれた外部空気がこの吸気通路12を下向きに通り、ダクト8の開口部10で水平方向に方向転換してダクト8内に入り、熱交換器コア面5aに向かうように構成されている。すなわち、空気流はL字形の流路によって熱交換器5に導入される。
【0012】
さらに、ダクト正面部9は、図5に示すように吸気通路12が上広がりとなるように上下方向に傾斜して形成されている。
【0013】
なお、吸気室6内の壁面、すなわち吸気室6を形成するカバー材1の内面、及びダクト8の内外面にそれぞれ吸音材(図示省略)が設けられている。
【0014】
この構成によると、ダクト8によって吸気室6内をダクト内外の二つに仕切った二重構造であるため、熱交換器コア面5aから外部に直接抜ける音(直接音)をダクト8で規制し、その拡散を抑えること、及び吸気室6の室壁による減音効果に加えて、ダクト8での音の反射・減衰による減音効果が得られること等により、ダクト8を設けない場合と比較して吸気側の防音性能を格段に高めることができる。
【0015】
また、ダクト正面部9を傾斜させることで、吸気通路12の入口側(上部)の水平断面積を広げて通風抵抗を小さくできるため、ダクト8内への吸い込み空気量を増加させることができる。
【0016】
しかも、ダクト8内の下部空間が広がって、ダクト8内に吸い込まれた空気が熱交換器コア面5a全体に均等に行き渡り易くなる。
【0017】
つまり、熱交換器コア面5a全体に対する空気の均等供給作用を確保しながら風量を増加させることができる。
【0018】
一方、特許文献2には、ダクト付きの吸気側防音構造をとる建設機械において、ダクト内にエアクリーナを設置した技術(公知技術の2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−174004号
【特許文献2】特開2008−81953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
油圧ショベル等の建設機械においては、機械全体の小型化の要請に基づいてエンジンルームのコンパクト化が求められ、これに伴ってエンジンルーム内での機器類の設置スペースが縮小される傾向にある。
【0021】
このため、上記のようなダクト付きの吸気側防音構造をとる場合、公知技術の2に示されているようにダクト内にエアクリーナ等の機器類を設置したいという要望がある。
【0022】
しかし、ダクト正面部9の傾斜によってダクト内の下部空間を広げる公知技術の1をもってしてもなお、ダクト内スペースが機器類を設置するには不十分であった。
【0023】
いいかえれば、ダクト8内に機器類を設置することが困難で、かつ、公知技術の2のように無理に設置すると、ダクト8内の下部空間が、設置した機器類で塞がれて通風性が極端に悪化したり、設置した機器類のメンテナンスが困難となったりするという弊害が生じる。
【0024】
そこで本発明は、ダクト内の下部空間を大きく広げ、機器類をダクト内に余裕をもって設置することができる建設機械の冷却構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
請求項1の発明は、カバー材で覆われたエンジンルーム内に、エンジンと熱交換器と冷却ファンを、上記熱交換器が空気の流れの最も上流側に位置する状態で設け、上記冷却ファンの回転により外部空気をエンジンルーム内に吸い込んで上記熱交換器に通すように構成された建設機械の冷却構造において、次の要件を具備するものである。
【0026】
(A) 上記エンジンルーム内の吸気側に、吸気室をエンジンルーム内の他の空間に対し独立して形成したこと。
【0027】
(B) 上記吸気室の室壁に、外部空気を吸気室に導入する吸気口を設けたこと。
【0028】
(C) 上記吸気室内における上記熱交換器の前面側に、上記吸気室内に導入された空気を熱交換器コア面に導くダクトを設けたこと。
【0029】
(D) このダクトは、上記熱交換器コア面に対向する正面部を有し、このダクト正面部を、熱交換器と反対側に向かって先下がりの階段状に形成したこと。
【0030】
(E) この階段状のダクト正面部における空気流と対向する各段の面に、吸気用の開口部と、この開口部を覆う防塵用のフィルタとを設けたこと。
【0031】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、上記吸気口を吸気室の上部に設けるとともに、上記ダクト正面部の各開口部及びフィルタが斜め上向きとなるようにダクト正面部を先下がりの傾斜面に形成したものである。
【0032】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、上記エンジンルームを機械の後端部に設け、上記吸気室をこのエンジンルームの左右一端側に設けるとともに、この吸気室における上記熱交換器コア面に対向する面を、機械の後方に向かって先すぼまりとなる傾斜面に形成し、上記ダクト正面部を、この傾斜面に沿って傾斜させたものである。
【0033】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの構成において、上記ダクト正面部の各段の開口部及びフィルタを、上記熱交換器コア面を正面から見た場合の同コア面の左右方向の幅寸法よりも狭い幅寸法もって、かつ、上段側と下段側とで左右に位置ずれして設けたものである。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、上記ダクト内の下部にエアクリーナを設置したものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、エンジンルームの吸気側に吸気室、熱交換器の前面側にダクトをそれぞれ設けた構成を前提として、ダクト正面部を、熱交換器と反対側に向かって先下がりの階段状に形成し、空気流と対向する各段の面に吸気用の開口部とフィルタとを設けたから、ダクト内の下部空間を広げることができる。
【0036】
しかも、ダクト正面部の上部は熱交換器寄りに位置するため、吸気口側(空気導入側)であるダクト内の上部空間を狭めるという弊害が生じない。
【0037】
つまり、風量性能を確保しながらダクト内下部空間を広げることができる。
【0038】
このため、ダクト内にエアクリーナ(請求項5)等の機器類を、通風を阻害しないでかつ周囲に十分なメンテナンス空間を確保した状態で設置することが可能となる。
【0039】
とくに請求項2の発明によると、ダクト正面部そのものを先下がりの傾斜面としているため、ダクト内の下部空間を広げる点の効果が顕著となる。
【0040】
また、
(I) ダクト正面部が傾斜していること、
(II) ダクト正面部の、空気流と対向する中、下段の面の傾斜を、図示のように最上段の傾斜にとらわれない大きな任意の角度に設定できること
の二点により、両開口部及びフィルタを空気流に対してより直角に近い角度で対向させることができる。
【0041】
このため、フィルタでの通風抵抗を小さくし、空気の流れをスムーズにして風量性能を向上させることが可能となる。
【0042】
ところで、後方小旋回型のショベル等では、後端部が後すぼまりに形成され、この機械の後端部にエンジンルームが形成される。
【0043】
このような機械において、エンジンルームの左右一端側に吸気室を形成し、ダクト正面部を熱交換器コア面に対して正対させる(上から見てコア面と平行に設ける)と、吸気通路が、機械の方向性でいう後端側で狭くなって空気の流れが悪くなる。
【0044】
この点、請求項3の発明によると、ダクト正面部を機械後端部の傾斜に沿って傾斜させたから、吸気通路を全域に亘ってほぼ均等の広さとし、空気の流れを良くして必要風量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概略断面図である。
【図2】同実施形態におけるダクトの斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す概略水平断面図である。
【図4】同実施形態のダクトの正面図である。
【図5】公知技術を示す概略断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態を図1〜図4によって説明する。
【0047】
第1実施形態(図1,2参照)
第1実施形態において、次の基本的構成は図5,6に示す公知技術と同じである。
【0048】
(1) 上部旋回体の後端部に、エンジンガードやカウンタウェイトの一部、燃料タンクの上面等のカバー材21で覆われたエンジンルーム22が設けられている。
【0049】
(2) このエンジンルーム22に、エンジン23、図示しない油圧ポンプ、冷却ファン24、ラジエータ等の熱交換器(一つのものとして示す)25が設けられている。
【0050】
(3) エンジンルーム22内における熱交換器25の吸気側に吸気室26が形成され、この吸気室26の上面(カバー材21の上面部)に、外部から冷却空気を導入する吸気口27が設けられている。
【0051】
(4) 吸気室26は、エンジンルーム22におけるエンジン23等が収容された空間に対して、熱交換器25、適宜の仕切り材及びシール材により独立して(空気の流通を遮断した状態で)形成され、この吸気室26にダクト28が設けられている。
【0052】
(5) ダクト28は、カバー材21とは別のダクト材により、上面部29、底面部30、左右両側面部31,32(これらの符号は図2のみに示す)、それに熱交換器コア面25aに対向する正面部33を備えた独立した箱状に形成され、熱交換器コア面25aを周囲から気密に囲う状態(たとえば熱交換器側の開口縁部が熱交換器コア面25aの縁枠部分に気密に接する状態)で取付けられている。
【0053】
なお、側面部31,32についての「左右」とは、熱交換器コア面25aを正面から見たときの左右をいい、機械全体の方向性でいうと前後となる。
【0054】
(6) このダクト28の正面部33に、水平方向に開口する吸気用の開口部34と、この開口部34を覆う防塵用のフィルタ35とが設けられている。
【0055】
(7) このダクトの正面部33と、これに対向するカバー材21の側面部との間に吸気通路36が形成され、図1中に矢印で示すように吸気口27から下向きに取り込まれた外気が開口部34で横向きに方向転換して熱交換器コア面25aに至る略L字形の屈折した空気流路が形成される。
【0056】
(8) ダクト正面部33は、図示のように吸気通路36が上広がりとなるように上下方向に傾斜して形成されている。
【0057】
(9) 吸気室26を形成するカバー材21の内面、及びダクト28の内外面にそれぞれ吸音材(図示省略)が設けられている。
【0058】
上記基本的構成によって、吸気側の防音性能を高めながら風量を増加させ、冷却効率を高めるという、図5,6に示す公知技術と同じ基本的効果を得ることができる。
【0059】
この冷却構造においては、上記基本構成に加えて、ダクト正面部33が、単なる傾斜面ではなく、傾斜面に沿った階段状に形成されている。
【0060】
実施形態では、図示のように三段の階段状に形成され、この階段状のダクト正面部33における空気流と対向する中段、下段の面に、それぞれ吸気用の開口部34,34と防塵用のフィルタ35,35とが設けられている。
【0061】
この構成によると、ダクト正面部33を単なる傾斜面とした(最上段の傾斜面をそのまま下方に延長させた)場合と比較して、開口部34及びフィルタ35が熱交換器25から見てより前方に張り出されるため、ダクト28内の下部空間を広げることができる。
【0062】
しかも、ダクト正面部33の上部は熱交換器25寄りに位置するため、吸気口27側(空気導入側)となるダクト28内の上部空間を狭めるという弊害が生じない。
【0063】
つまり、風量性能を確保しながらダクト内下部空間を広げることができる。
【0064】
このため、このダクト内下部空間にエアクリーナ37を、通風を大きく阻害しないでかつ周囲に十分なメンテナンス空間を確保した状態で設置することが可能となる。
【0065】
また、
(I) ダクト正面部33そのものが傾斜していること、
(II) ダクト正面部33の、空気流と対向する中、下段の面の傾斜を、図示のように最上段の傾斜にとらわれない大きな任意の角度に設定できること
の二点により、両開口部34,34及びフィルタ35,35を空気流に対してより直角に近い角度で対向させることができる。
【0066】
このため、フィルタ35,35での通風抵抗を小さくし、空気の流れをスムーズにして風量性能を向上させることが可能となる。
【0067】
ところで、図1中の直線Aは、吸気口27の最も外側の端と熱交換器コア面25aの下端とを結ぶ直線、直線Bは吸気口27の最外端とダクト上側開口部34の上端とを結ぶ直線であり、熱交換器コア面25aにおけるこの二つの直線A,B間の部分が吸気口27から直視できる範囲となり、この範囲でのみ、熱交換器コア面25aから外部に直接抜ける直接音の漏れが生じる。
【0068】
つまり、直接音の漏れが基本的に少なくなる。
【0069】
ここで、ダクト28内の下部空間にエアクリーナ37を設置すると、このエアクリーナ37が直接音の障壁となるため、直接音の漏れをさらに減少させることができる。
【0070】
第2実施形態(図3,4参照)
第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0071】
後方小旋回型のショベル等では、後端部が後すぼまり(通常は図3,6に示すように上から見て円弧状)に形成され、この機械の後端部にエンジンルームが形成される。
【0072】
このような機械において、図6に示すように開口部10及びフィルタ11を熱交換器コア面5aに対して正対させる(上から見て平行に設ける)と、吸気通路12が、機械の方向性でいう後端側で狭くなって空気の流れが悪くなる。
【0073】
この点は、第1実施形態においても同じである。
【0074】
そこで第2実施形態においては、図3に示すように、ダクト開口部34及びフィルタ35が機械後端部の傾斜に沿って傾斜して設けられている。
【0075】
このような傾斜は、熱交換器コア面25aaを正面から見た場合のダクト左側面部31の長さ寸法(熱交換器コア面25aaからの突出寸法)を右側面部32のそれよりも大きく設定することによって得ることができる。
【0076】
こうすれば、図示のように吸気通路36の後端側エリア36aを広げて、吸気通路36を全域に亘ってほぼ均等の広さにできるため、空気の流れを良くして必要風量を確保することができる。
【0077】
また、第2実施形態においては、図4に示すように、上下両側フィルタ35,35(開口部34,34)の幅寸法L2が熱交換器コア面25aの幅寸法L1よりも小さい場合の構成として、両フィルタ35,35が、熱交換器コア面25aを正面から見たときの左右に位置ずれして設けられている。
【0078】
こうすれば、両フィルタ35,35を左右片側に偏って、または中央部のみに設けた場合と比較して、冷却空気を熱交換器コア面25aの広い範囲に行き渡らせることができるため、冷却性能を上げることができる。
【0079】
他の実施形態
(1) 上記実施形態では、ダクト正面部33を三段の階段状に形成して中、下段部分に開口部34とフィルタ35とを設けたが、四段以上または二段の階段状に形成し、前者ではニ〜四段部分、後者では下段部分に開口部34とフィルタ35を設けてもよい。
【0080】
あるいは、最上段部分にも開口部34とフィルタ35を設けてもよい。
【0081】
(2) ダクト正面部33は、熱交換器25と反対側に向かって先下がりに傾斜する傾斜面に沿った階段状に形成するのが望ましいが、傾斜面とせず、垂直面と水平面が連続する単なる階段状に形成してもよい。
【0082】
この場合でも、階段状に形成することによるダクト内下部空間の拡張効果は得ることができる。
【0083】
(3) 上記実施形態では、広げたダクト内下部空間にエアクリーナ37を設置したが、他の機器類を設置してもよい。
【0084】
(4) 吸気口27は、上記実施形態のように吸気室26の上面に設けるのが望ましいが、上面と側面とに跨る上部に設けてもよい。あるいは、側面部に設けてもよい。
【0085】
(5) 本発明は油圧ショベルに限らず、油圧ショベルを母体として構成される破砕機や解体機等を含めて建設機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
21 カバー材
22 エンジンルーム
23 エンジン
24 冷却ファン
25 熱交換器
25a 熱交換器コア面
26 吸気室
27 吸気口
28 ダクト
29 ダクトの上面部
31 同左側面部
32 同右側面部
33 同正面部
34,34 ダクトの開口部
35,35 同フィルタ
36 吸気通路
37 エアクリーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー材で覆われたエンジンルーム内に、エンジンと熱交換器と冷却ファンを、上記熱交換器が空気の流れの最も上流側に位置する状態で設け、上記冷却ファンの回転により外部空気をエンジンルーム内に吸い込んで上記熱交換器に通すように構成された建設機械の冷却構造において、次の要件を具備することを特徴とする建設機械の冷却構造。
(A) 上記エンジンルーム内の吸気側に、吸気室をエンジンルーム内の他の空間に対し独立して形成したこと。
(B) 上記吸気室の室壁に、外部空気を吸気室に導入する吸気口を設けたこと。
(C) 上記吸気室内における上記熱交換器の前面側に、上記吸気室内に導入された空気を熱交換器コア面に導くダクトを設けたこと。
(D) このダクトは、上記熱交換器コア面に対向する正面部を有し、このダクト正面部を、熱交換器と反対側に向かって先下がりの階段状に形成したこと。
(E) この階段状のダクト正面部における空気流と対向する各段の面に、吸気用の開口部と、この開口部を覆う防塵用のフィルタとを設けたこと。
【請求項2】
上記吸気口を吸気室の上部に設けるとともに、上記ダクト正面部の各開口部及びフィルタが斜め上向きとなるようにダクト正面部を先下がりの傾斜面に形成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の冷却構造。
【請求項3】
上記エンジンルームを機械の後端部に設け、上記吸気室をこのエンジンルームの左右一端側に設けるとともに、この吸気室における上記熱交換器コア面に対向する面を、機械の後方に向かって先すぼまりとなる傾斜面に形成し、上記ダクト正面部を、この傾斜面に沿って傾斜させたことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の冷却構造。
【請求項4】
上記ダクト正面部の各段の開口部及びフィルタを、上記熱交換器コア面を正面から見た場合の同コア面の左右方向の幅寸法よりも狭い幅寸法もって、かつ、上段側と下段側とで左右に位置ずれして設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機械の冷却構造。
【請求項5】
上記ダクト内の下部にエアクリーナを設置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−46217(P2011−46217A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194041(P2009−194041)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】