説明

建設機械の干渉防止装置

【課題】2台の建設機械を並設して作業を行う場合、能率良く作業を行うことができ、かつ作業用アタッチメントどうしの干渉を確実に防止しうる建設機械の干渉装置を提供する。
【解決手段】各建設機械の作業用アタッチメントの旋回位置をそれぞれセンサ素子38a〜38d等の旋回位置検出手段により検出する。旋回範囲設定手段により、相手側建設機械の反対側において、左右両方向の旋回動作を許容し、旋回許容範囲から旋回終点を超えると旋回許容範囲側へ復帰する旋回動作のみ許容する。減速範囲設定手段は各旋回許容範囲の両端の2つの旋回終点の手前にそれぞれ減速範囲を設定する。旋回方向検出手段により出力される旋回方向について、旋回位置検出手段により検出される旋回位置が減速範囲に至ると旋回モータを減速させる。減速旋回中に旋回位置検出手段により旋回終点が検出されると、旋回停止手段により旋回モータを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業能率を上げるため、2台の建設機械を並設して作業を行う場合に、作業用アタッチメントが旋回動作中に干渉することを防止する建設機械の干渉防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば船舶に積載されたスクラップ等の荷物を陸上に荷上げしたり、陸上の荷物を船上に積み込む場合、2台の建設機械を並べて作業を行えば、作業能率を向上させることができる。このような作業を行う場合、建設機械の旋回動作に伴う作業用アタッチメントどうしの干渉を防止する装置として、特許文献1に記載のものがある。この特許文献1に記載のものは、上部旋回体に取付けられた作業用アタッチメントを、2台の建設機械の間のスペースで旋回させることを前提にしている。そして、一方の建設機械の作業用アタッチメントが干渉領域にある場合には、他方の建設機械は旋回動作を禁止する制御を行っている。
【0003】
【特許文献1】特許第3455425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の建設機械においては、建設機械の間のスペースを作業用アタッチメントの旋回範囲に設定しているため、各作業用アタッチメントが相手側作業用アタッチメントと干渉する領域に入る頻度が高く、作業用アタッチメントを待避させておく頻度が高くなるため、作業能率を低下させるという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、2台の建設機械を並設して作業を行う場合、能率良く作業を行うことができ、かつ作業用アタッチメントどうしの干渉を確実に防止しうる建設機械の干渉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の建設機械の干渉防止装置は、旋回モータにより旋回される上部旋回体を有する建設機械が2台並設された作業システムに使用され、各上部旋回体に取付けられた作業用アタッチメントの旋回動作での相互の干渉を防止する建設機械の干渉防止装置において、
各建設機械の作業用アタッチメントの旋回位置をそれぞれ検出する旋回位置検出手段と、
各建設機械の作業用アタッチメントの旋回方向を検出する旋回方向検出手段と、
互いに相手側建設機械の反対側において、左右両方向の旋回動作を許容し、旋回許容範囲から旋回終点を超えると旋回許容範囲側へ復帰する旋回動作のみ許容する旋回範囲設定手段と、
前記各旋回許容範囲の両端の2つの旋回終点の手前にそれぞれ減速範囲を設定する減速範囲設定手段と、
前記旋回方向検出手段により出力される旋回方向について、前記旋回位置検出手段により検出される旋回位置が前記減速範囲に至ると前記旋回モータを減速させる旋回速度信号を発する減速手段と、
減速旋回中に前記旋回位置検出手段により旋回終点が検出された際に前記旋回モータに停止信号を発する旋回停止手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の建設機械の干渉防止装置は、請求項1に記載の建設機械の干渉防止装置において、
前記旋回位置検出手段は、前記上部旋回体に取付けられたセンサ装置と、前記上部旋回体を支持する非旋回体に取付けられた検知体装置とからなり、
前記センサ装置は、前記上部旋回体の旋回円の半径方向に配列された複数のセンサ素子を有し、
前記減速範囲設定手段は前記検知体装置と前記旋回方向検出手段とにより構成され、
前記検知体装置は、前記複数のセンサ素子の旋回軌跡上に設けられる検知体を有し、旋回軌跡上の検知体の存否パターンは、旋回方向および各減速範囲についてすべて異ならせたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の建設機械の干渉防止装置は、請求項1または2に記載の建設機械の干渉防止装置において、
前記減速範囲設定手段が、各旋回方向について、減速度合を次第に高めた複数段階の減速範囲を設定するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4の建設機械の干渉防止装置は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の建設機械の干渉防止装置において、
各旋回方向について、それぞれ、減速制御を行うか否かを選択する減速制御選択手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、2台の建設機械の互いに反対側となるスペースを旋回許容範囲とするため、一方の建設機械の作業用アタッチメントが2台の建設機械の間のスペースに存在する際に、他方の建設機械の旋回を禁止する必要がなく、その結果、2台の建設機械を休止することなく作動させることができる。このため、作業能率を向上させることができる。また、各建設機械の旋回範囲が各建設機械の反対側に設定され、旋回終点に至る前に、減速手段により自動的に減速させた後、旋回を停止させるため、旋回終点近傍で旋回動作を確実に停止させることができる。したがって、オペレータが不注意により旋回終点以上にまで旋回させようとして操作しても、旋回動作が自動的に確実に停止させられるため、作業用アタッチメントどうしの干渉や障害物との衝突が確実に防止され、安全性が向上する。
【0011】
請求項2の発明によれば、減速範囲設定手段を検知体装置により構成し、左右の旋回方向について、それぞれ複数の減速範囲を設定し、旋回軌跡上の検知体の存否パターンを旋回方向および各減速範囲についてすべて異ならせたので、角度計やその出力からコンピュータを用いて旋回位置を検出する場合のように、コンピュータを必要とすることなく実現できる。また、コンピュータを用いる必要がないため、既存の建設機械への後付けにより、既存の建設機械に容易に適用することができる。また、コンピュータを用いないリレーを用いた電気回路によって実現できるため、故障の際にも容易に修理することが可能となる。
【0012】
請求項3の発明によれば、減速範囲を複数段階に設定したので、通常の旋回速度から停止状態に至るまで、滑らかで自動的な減速、停止動作が可能となる。
【0013】
請求項4の発明によれば、減速制御を行うか否かを選択する減速制御選択手段を設けたので、作業の状況に応じて片側のみの自動減速制御を行ったり、双方の自動減速制御を行ったり、減速制御が不要な場合には、この制御を回避することができ、現場の作業状況に応じた好適な操作が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の建設機械の一実施の形態を示す側面図、図2はその作業状況を示す平面図である。これらの図において、1A,1Bは建設機械であり、これらの建設機械1A,1Bは2台並設して作業を行う。2はスクラップを積載する船舶、3はスクラップを搬送するトラックである。この実施の形態においては、2台の建設機械1A,1Bにより、船舶2からトラック3に積み込む作業、あるいはトラック3から船舶2にスクラップを積み込む作業について示している。
【0015】
この実施の形態の建設機械1A,1Bは、走行モータを有する下部走行体5と、下部走行体5に設置されたタワー6と、このタワー6上に旋回装置7を介して設置した上部旋回体8と、この上部旋回体8に搭載した油圧パワーユニット9および運転室10と、上部旋回体8に取付けた作業用アタッチメント11とを備える。
【0016】
この実施の形態の作業用アタッチメント11は、上部旋回体8に起伏可能に取付けられたブーム12と、上部旋回体8とブーム12との間に設けられたブーム起伏用の油圧シリンダ13と、ブーム12の先端に回動可能に取付けられたアーム14と、ブーム12とアーム14との間に取付けられたアーム回動用の油圧シリンダ15と、アーム14の先端に回動可能に取付けられた作業具としてのリフティングマグネット16と、このリフティングマグネット16とアーム14との間に取付けられ、リフティングマグネット16を回動させる油圧シリンダ17およびリンク機構18とを備える。
【0017】
なお、この実施の形態の作業用アタッチメント11は、作業具としてリフティングマグネット16を取付けたものであるが、作業具としてはリフティングマグネット以外にバックホウバケット、グラップルバケット、ホーク等、作業目的に応じた各種のものが取付け可能である。
【0018】
図2において、W1は建設機械1A,1Bの上部旋回体8どうしが最も近接する間隔であり、例えば1.6m程度に設定される。W2は建設機械1A,1Bの旋回中心22a,22bどうしの間隔であり、例えば12m程度に設定される。下部走行体5は船舶2の長手方向に平行である。線20は下部走行体5の向きに直角をなす方向でかつ旋回中心22aを通る線である。各建設機械1A,1Bの旋回許容範囲21A,21Bは互いに他方の反対側に設定される。以下の説明では線20の一方の端部20aが右旋回の際の0度、他方の端部20bを180度として説明する。また、左旋回の際には、前記他方の端部20bを0度、前記一方の端部20aを180度として説明する。
【0019】
図2は一方の建設機械1Aについて、減速旋回制御を行う場合の分割された旋回範囲を示す。23A〜23Dは右旋回の場合の分割された旋回範囲である。このうち、23Aは通常旋回速度(後述のパイロット弁37の操作レバー37aの操作量に見合う旋回速度を意味する。)が許容される範囲である。23B,23C,23Dはそれぞれ減速度合を段階的に大きくした第1、第2、第3の減速範囲である。25Aは右旋回において旋回停止指令信号が発生される旋回終点である。26Aは旋回停止信号が発せられた後に慣性により惰行する範囲である。
【0020】
図2において、24A〜24Dは左旋回の場合の分割された旋回範囲である。このうち、24Aは通常旋回速度が許容される範囲である。24B,24C,24Dはそれぞれ減速度合を段階的に大きくした第1、第2、第3の減速範囲である。25Bは左旋回において旋回停止指令信号が発生される旋回終点である。26Bは旋回停止信号が発せられた後に慣性により惰行する範囲である。
【0021】
図3に前記旋回範囲の具体例を示す。通常旋回速度が許容される範囲23A,24Aは、作業用アタッチメント11が下部走行体5に垂直をなす線20に対して例えば右旋回角度125度、左旋回角度125度となる角度までの範囲に設定される。第1減速範囲23B、24Bは、例えば125度〜160度、第2減速範囲23C,24Cは例えば160度〜180度、第3減速範囲23D,24Dは例えば180度〜190度に設定される。すなわち旋回方向について減速範囲が後段になるに従い、減速角度範囲が小さくなる。26A,26Bは例えば5度以内である。
【0022】
図2においては、一方の建設機械1Aのみについて通常旋回速度範囲23A,24A,減速範囲23B,23C,23Dおよび24B,24C,24Dの説明を行ったが、他方の建設機械1Bについても同様に建設機械1Aの通常旋回速度範囲、減速範囲に対して対称形をなすように通常旋回速度範囲、減速範囲が設定される。
【0023】
図4は本発明の建設機械の干渉防止装置の一実施の形態を示す電気油圧回路図である。7aは旋回装置7を構成する油圧モータでなる旋回モータである。30は上部旋回体8上の油圧パワーユニット9に含まれる主油圧ポンプ、36は同じくパイロット油圧ポンプである。31は主油圧ポンプ30の吐出圧の最高圧を設定するリリーフ弁である。32は旋回モータ7aの起動、停止、旋回方向、旋回速度を制御するコントロール弁である。このコントロール弁32は、操作室32a,32bに加わるパイロット圧の高低によって流量が制御され、旋回モータ7aの速度が制御される。33A,33Bは旋回モータ7aのオーバーロードリリーフ弁、34A,34Bはメイクアップ用の逆止弁である。37はコントロール弁32のパイロット弁、37aはその操作レバーである。
【0024】
38は作業用アタッチメント11の旋回位置のために設けたセンサ装置であり、上部旋回体8側に設けられるものである。この実施の形態のセンサ装置38は4個のセンサ素子38a〜38dからなる。39はこのセンサ装置38に対応して非旋回体であるタワー6に取付けられた検知体装置である。この実施の形態においては、センサ装置38と検知体装置39とにより旋回位置検出手段を構成する。
【0025】
図5はセンサ装置38と検知体装置39との配置関係を示す平面図、図6はその側面図である。センサ装置38の複数のセンサ素子38a〜38dは、上部旋回体8に取付けたブラケット40に、上部旋回体8の内周側から、旋回円の半径方向に配列して設けられる。検知体装置40は、タワー6の側面に取付けたブラケット41上に検知体43を配置してなる。検知体43は、複数のセンサ素子38a〜38dの旋回軌跡42a〜42d上に設けられる。なお、以下において、旋回軌跡42a,42b,42c,42dをそれぞれ第1ライン、第2ライン、第3ライン、第4ラインと称することがある。
【0026】
センサ素子38a〜38dの旋回軌跡42a〜42d上の検知体43の存否パターンは、旋回方向および各減速範囲23B〜23D,24B〜24D、惰行範囲26A,26Bについてすべて異ならせる。惰行範囲26A,26Bについては、この惰行距離のバラツキを考慮し、安全を見越して、実際の惰行距離よりもさらに長い惰行付加範囲27A,27Bについても、惰行範囲26A,26Bと同じパターンで検知体43を設けている。表1は通常旋回速度許容範囲23A,24A,第1〜第3減速範囲23B〜23D,24B〜24D(減速旋回(1)〜(3))、惰行範囲(旋回停止)26A,26Bにおける検知体43の旋回軌跡42a〜42d上における存否パターンを示す。表1において、右は右旋回、左は左旋回を示し、丸印は検知体43があることを示す。
【0027】
【表1】

【0028】
図7はセンサ素子38a〜38dとして発光素子44a〜44dからの光45を受光する受光素子を用いた例である。この例では、検知体43として、センサ素子38a〜38dと発光素子44a〜44dとの間に介在させて遮光する遮光体を用いている。センサ素子38a〜38dを設けたブラケット40は、上部旋回体8の下面に取付金具40aやボルト40b,40cにより既存の建設機械に後付け可能である。また、検知体43を取付けるブラケット41は、タワー6に対し、溶接あるいはボルト(図示せず)により既存の建設機械に後付け可能である。
【0029】
また、この実施の形態においては、ブラケット41上に取付けフレーム41aを設け、この取付けフレーム41aの検知体43の取付け板41bを設けている。検知体43は取付け板41bにボルト41cによって固定する。ここで、取付け板41bに旋回方向に長い取付け孔や旋回方向に配置した複数組の取付け孔を設け、検知体43を旋回方向に位置調整可能に設けることにより、減速範囲23B〜23D,24B〜24D、惰行範囲26A,26Bの位置を調整することが可能である。上部旋回体8側のブラケット40も旋回方向に位置調整可能としてもよい。
【0030】
なお、この実施の形態においてはセンサ素子38a〜38dとして受光素子を用いたが、この代わりに例えばリミットスイッチを用い、検知体43としてそのリミットスイッチを作動させるストライカを用いることができる。また、センサ素子38a〜38dとして近接スイッチを用い、検知体43として磁性体や磁石を用いることもできる。
【0031】
図4において、47は制御装置であり、この実施の形態においてはこの制御装置47はリレー回路により構成される。48,49はそれぞれ上部旋回体8の旋回方向の検出手段として設けた右旋回圧力スイッチ、左旋回圧力スイッチである。右旋回圧力スイッチ48はパイロット弁37の二次側回路である右旋回側パイロット回路50に設けられる。この圧力スイッチ48は、操作レバー37aを右旋回方向に操作することによってパイロット油圧ポンプ36からのパイロット圧油がパイロット回路50に供給された時にオンとなる。
【0032】
同様に、左旋回圧力スイッチ49はパイロット弁37の二次側回路である左旋回側パイロット回路51に設けられ、左旋回時にオンとなる。これらの圧力スイッチ48,49は制御装置47に接続される。制御装置47は、後述のように、圧力スイッチ48,49の接点と、センサ素子38a〜38dの出力により駆動されるリレーの接点との組み合わせにより、作業用アタッチメント11がどの旋回範囲23A〜23D,24A〜24D,惰行範囲26A,26Bにあるかを判別する回路を有する。
【0033】
53は、右旋回において、通常旋回速度で旋回する際、および減速旋回制御を行わない場合にオンとする電磁弁である。54は右旋回について減速旋回制御を行う際にオンとする減速制御用電磁弁である。55は段階的に旋回速度を下げるために設けた減圧弁装置である。56は電磁弁53の二次側回路57と減圧弁装置55の二次側回路58のうちの高圧側を選択するシャトル弁である。このシャトル弁56の二次側回路59はコントロール弁32の操作室32aに接続される。
【0034】
61は左旋回において、通常旋回速度で旋回する際、減速旋回制御を行わない場合にオンとする左旋回用の電磁弁である。62は左旋回について減速旋回制御を行う際にオンとする減速制御用電磁弁である。63は段階的に旋回速度を下げるために設けた減圧弁装置である。64は電磁弁61の二次側回路65と減圧弁装置63の二次側回路66のうちの高圧側を選択するシャトル弁である。このシャトル弁64の二次側回路67はコントロール弁32の操作室32bに接続される。この実施の形態においては、電磁弁54,62と減圧弁装置55,63により減速手段を構成する。
【0035】
70は減速制御を行うか否かを選択する旋回制御スイッチ、71は左旋回あるいは右旋回もしくは双方の減速制御のいずれの制御を行うかを選択する左右旋回選択スイッチである。72は旋回停止時、すなわちセンサ装置38が惰行範囲26A,26Bを検出した際に停止音を発生させるブザーである。73,74はそれぞれ右旋回、左旋回の第1〜第3の減速段階23B〜23D,24B〜24Dであることを表示する表示灯である。
【0036】
図8は右旋回側減圧弁装置55の構成を示す電気油圧回路図である。減圧弁装置55は縦続に接続された減圧度合の異なる3つの減圧弁55a〜55cを備える。75a〜75cは減圧弁55a〜55cをそれぞれ操作する電磁弁である。これらの電磁弁75a〜75cは、それぞれ信号線76a〜76c(図4において信号線76で示す)を介して制御装置47から加えられる電気信号を油圧信号に変換するものである。減圧弁55a〜55cは、後段のものほど減圧度合が高くなる(二次油圧が低くなる)ように配置される。77,78はそれぞれ電磁弁53,54のソレノイドに駆動信号を加える信号線である。
【0037】
図9は左旋回側減圧弁装置63の構成を示す電気油圧回路図である。減圧弁装置63は縦続に接続された減圧度合の異なる3つの減圧弁63a〜63cを備える。79a〜79cは減圧弁63a〜63cをそれぞれ操作する電磁弁である。これらの電磁弁79a〜79cは、それぞれ信号線80a〜80c(図4において信号線80で示す)を介して制御装置47から加えられる電気信号を油圧信号に変換するものである。減圧弁63a〜63cは後段のものほど減圧度合が高くなるように配置される。81,82はそれぞれ電磁弁61,62のソレノイドに駆動信号を加える信号線である。
【0038】
図10は右旋回の減速制御を行う電気回路図である。図10において、70,71はそれぞれ図4で示した旋回制御スイッチ、左右旋回選択スイッチである。左右旋回選択スイッチ71は、右旋回選択スイッチ84と左旋回選択スイッチ85を含む。86は旋回制御スイッチ70を閉じ、かつ右旋回選択スイッチ84を閉じることにより励磁される右旋回制御用リレーである。87は旋回制御スイッチ70を閉じ、かつ左旋回選択スイッチ85を閉じることにより励磁される左旋回制御用リレーである。86a1,86a2は右旋回制御用リレー86のa接点、86bは右旋回制御用リレー86のb接点である。前記電磁弁53のソレノイドはb接点86bを介して電源に接続される。
【0039】
90は前記リレー接点86a1が閉じ、かつ右旋回操作により右旋回圧力スイッチ48が作動し閉じることによって作動する減速制御用リレーである。90aはリレー90のa接点である。S1a1は第1ライン(最内周)のセンサ素子38aが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。S2a1,S2a2は、第2ラインのセンサ素子38bが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。S3a1,S3a2は、第3ラインのセンサ素子38cが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。S4a1,S4a2は、第4ライン(最外周)のセンサ素子38dが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。75a〜75cは図8に示した減圧弁55a〜55c制御用の電磁弁である。91は接点86a2,S2a2,S3a2,S4a2がすべて閉じることにより励磁される旋回停止用リレーである。91bはこの旋回停止用リレー91のb接点、54は図4に示した減速制御用電磁弁である。
【0040】
図11は左旋回の減速制御を行う電気回路図である。図11において、87a1,87a2は左旋回制御用リレー87のa接点、87bは左旋回制御用リレー87のb接点である。前記電磁弁61のソレノイドはこのb接点87bを介して電源に接続される。
【0041】
93は前記リレー接点87a1が閉じ、かつ右旋回操作により左旋回圧力スイッチ49が作動し閉じることによって作動する減速制御用リレーである。93aはリレー93のa接点である。S1a2は第1ラインのセンサ素子38aが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。S2a3,S2a4は、第2ラインのセンサ素子38bが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。S3a3,S3a4は、第3ラインのセンサ素子38cが検知体43を検知した際の作動により閉じるa接点である。S4b1,S4b2は、第4ラインのセンサ素子38dが検知体43を検知しない状態で閉じるb接点である。79a〜79cは図9に示した減圧弁63a〜63c制御用の電磁弁である。94は接点87a2,S2a4,S3a4,S4b2がすべて閉じることにより励磁される旋回停止用リレー、94bはそのb接点、62は図4に示した減速制御用電磁弁である。この実施の形態においては、センサ装置38、検知体装置39、圧力スイッチ48,49および図10、図11の回路により減速範囲設定手段を構成する。また、惰行範囲26A,26Bの始点(旋回終点25A,25B)で励磁される旋回停止リレー91,94と、これらのリレー91,94の作動により遮断される電磁弁54,62により旋回停止手段を構成する。
【0042】
次に図4、図8〜図11に示した回路の操作、動作の説明を行う。旋回制御スイッチ70をオフとした状態あるいは左右旋回選択スイッチ71(84,85)をオフとした状態では、制御装置47は減速制御は行わない。この場合には、図10、図11に示したリレー86,87はいずれも励磁されず、接点86b,87bは閉じたままであり、電磁弁53,61の各ソレノイドに信号線78,81をそれぞれ介して通電されるので、これらの電磁弁53,61はいずれも上位置、すなわち連通位置にある。この状態において、操作レバー37aが右旋回方向に操作されると、パイロットポンプ36からのパイロット油は、パイロット回路50、電磁弁53、パイロット回路57、シャトル弁56、パイロット回路59を介してコントロール弁32の操作室32aに供給され、コントロール弁32を右位置に切換える。これにより旋回モータ7aが作業用アタッチメント11を右旋回させる方向に駆動される。この場合、旋回モータ7aの回転速度、すなわち作業用アタッチメント11の旋回速度は操作レバー37aの操作量に依存する。なお、操作レバー37aの操作量によって油圧ポンプ30の吐出流量を変更する構成とする場合もある。
【0043】
反対に、パイロット弁37の操作レバー37aが左旋回方向に操作されれば、パイロット油圧ポンプ36からのパイロット油がパイロット回路51、電磁弁61、パイロット回路65、シャトル弁64、パイロット回路67を介してコントロール弁32の操作室32bに供給され、コントロール弁32を左位置に切換える。これにより旋回モータ7aが左旋回方向に駆動される。この場合も、旋回モータ7aの回転速度、すなわち作業用アタッチメント11の旋回速度は操作レバー37aの操作量に依存する。
【0044】
一方、右旋回について減速旋回制御を行う場合には、図10において、旋回制御スイッチ70と右旋回選択スイッチ84をオンとする。これにより、右旋回制御用リレー86が励磁され、接点86bが開き、電磁弁53のソレノイドへの通電が停止する。これにより、電磁弁53が下位置(遮断位置)に切換わる。一方、リレー86の励磁により接点86a1が閉じる。この状態でオペレータが操作レバー37aを右旋回方向に操作すると圧力スイッチ48がオン(閉)となり、リレー90が励磁されるので、その接点90aが閉じ、減速制御が可能な状態となる。
【0045】
また、接点90aが閉じると、旋回停止リレー91の接点91bを介して減速制御用電磁弁54のソレノイドに通電され、減速制御用電磁弁54が上位置(連通位置)に切換わる。ここで、作業用アタッチメント11の旋回位置が図5に示す減速制御しない旋回範囲23Aにある場合には、第4ラインのセンサ素子38dの出力がオフであり、接点S4a1が開いた状態にある。このため、電磁弁75a〜75cのソレノイドには通電されず、減圧弁55a〜55cは切換わらない。このため、減圧弁55a〜55cによるパイロット油の減圧は行われず、減速制御は行われない。この場合、パイロット油圧ポンプ36からのパイロット油は、パイロット回路50、電磁弁54、減圧弁55a〜55c、パイロット回路58、シャトル弁56、パイロット回路59を介して操作室32aに供給され、コントロール弁32が右位置に切換わり、作業用アタッチメント11は操作レバー37aの操作量に見合う通常の速度で右旋回する。
【0046】
続いて、右旋回により作業用アタッチメント11の旋回位置が第1減速範囲23Bに達すると、センサ素子38dが最も外周の旋回軌跡42dにある検知体43を検知するので、接点S4a1が閉じる。同時に、センサ素子38aが検知体43を検知するので、接点S1a1が閉じる。これにより、電磁弁75aのソレノイドに通電される。その結果、減圧弁55aが減圧位置に切換わり、この減圧弁55aに設定される減圧度合でパイロット油が減圧される。他の減圧弁55b,55cは切換わらず、減圧作用を発揮しない。この減圧弁55aの減圧作用により、図3に示すように、通常の相対速度6に対してこの例では相対速度を4とする速度指令(減圧したパイロット圧)をコントロール弁32の操作室32aに加える。このため、旋回モータ7aは操作レバー37aの操作量に見合う速度より減速された速度に転じる。
【0047】
続いて第2減速範囲23Cに至ると、今度は第4ラインのセンサ素子38dが検知体43を検知したままで、第1ラインのセンサ素子38aの代わりに第2ラインのセンサ素子38bが作動し、接点S2a1が閉じる。これにより、電磁弁75bが励磁され、減圧弁55aの代わりに減圧弁55bが減圧位置に切換わる。そしてパイロット圧はこの減圧弁55bに設定される減圧度合で減圧される。この減圧弁55bの減圧作用により、図3に示すように、通常の相対速度6に対してこの例では相対速度を2とする速度指令(減圧したパイロット圧)をコントロール弁32の操作室32aに加える。このため、減圧弁55aによる場合よりもさらに減速された速度に転じる。
【0048】
続いて第3減速範囲23Dに至ると、今度は第4ラインのセンサ素子38dが検知体43を検知したままで、第2ラインのセンサ素子38bの代わりに第3ラインのセンサ素子38cが作動し、接点S3a1が閉じる。これにより、電磁弁75cが励磁され、減圧弁55bの代わりに減圧弁55cが減圧位置に切換わる。そしてパイロット圧はこの減圧弁55cに設定される減圧度合で減圧される。この減圧弁55cの減圧作用により、図3に示すように、通常の相対速度6に対してこの例では相対速度を1とする速度指令(減圧したパイロット圧)をコントロール弁32の操作室32aに加える。このため、減圧弁55bによる場合よりもさらに減速された速度に転じる。
【0049】
次に旋回終点25A、すなわち惰行範囲26Aの始点に至ると、第2ラインのセンサ素子32bも作動し、接点86a2,S2a2,S3a2,S4a2がすべて閉じ状態となので、旋回停止リレー91が励磁され、その接点91bが開く。このため、電磁弁54が元の遮断位置に戻り、コントロール弁32の操作室32aへのパイロット圧油の供給が停止する。これにより、コントロール弁32が中立位置に戻り、旋回モータ7aが作業用アタッチメント11等の慣性や弁作動の遅れ等による惰行分だけ旋回した後に停止する。
【0050】
右旋回の停止後、左旋回は可能である。すなわち、仮に左旋回について減速旋回制御を行っていない場合には、図11に示すリレー87が励磁されておらず、接点87bが閉じているので、電磁弁61は連通位置にあり、パイロットポンプ36からコントロール弁32の操作室32bにパイロット油を供給でき、コントロール弁32を左位置に切換えることができる。
【0051】
反対に、左旋回について減速旋回制御を行っている場合は、リレー87が励磁され、接点87a1が閉じている。この状態で、操作レバー37aを左旋回側に操作すれば、圧力スイッチ49が閉じることによりリレー93が励磁され、接点93aが閉じる。しかし、右旋回における減速範囲23B〜23Dおよび惰行範囲26A、惰行付加範囲27Aに相当する旋回位置に作業用アタッチメント11があるときは、接点S4b2が開いているため、リレー94は励磁されておらず、接点94bが閉じているので、電磁弁62のソレノイドに通電されており、電磁弁62は連通位置にある。また、接点S4b1も開いている。このため、左旋回は減速制御を受けることなく行われる。
【0052】
次に左旋回における減速旋回制御について説明する。左旋回における減速旋回制御を行う場合には、図11において、旋回制御スイッチ70と左旋回選択スイッチ85をオンとする。これにより、左旋回制御用リレー87が励磁され、接点87bが開き、電磁弁61のソレノイドへの通電が停止する。これにより、電磁弁61が下位置(遮断位置)に切換わる。一方、リレー87の励磁により接点87a1が閉じる。この状態でオペレータが操作レバー37aを左旋回方向に操作すると圧力スイッチ49がオン(閉)となり、リレー93が励磁されるので、その接点93aが閉じ、減速制御が可能な状態となる。
【0053】
ここで、作業用アタッチメント11の旋回位置が図5に示す右旋回における減速制御する範囲23A〜23Dや惰行範囲26Aあるいは惰行付加範囲27Aに相当する旋回位置にある場合には、第4ラインのセンサ素子38dが作動状態であり、図11に示す接点接点S4b2が開いているため、旋回停止リレー94は励磁されず、接点94bは閉じた状態にある。ここで、圧力スイッチ49がオンとなり、前述のようにリレー93が励磁され、接点93aが閉じると、旋回停止リレー94の接点94bを介して減速制御用電磁弁62のソレノイドに通電され、減速制御用電磁弁62が上位置(連通位置)に切換わる。しかし接点S4b1は開いているため、電磁弁79a〜79cのソレノイドには通電されず、減圧弁63a〜63cは切換わらない。このため、減圧弁63a〜63cによるパイロット油の減圧は行われず、減速制御は行われない。この場合、パイロット油圧ポンプ36からのパイロット油は、パイロット回路51、電磁弁62、減圧弁63a〜63c、パイロット回路66、シャトル弁64、パイロット回路67を介して操作室32bに供給され、コントロール弁32が左位置に切換わり、作業用アタッチメント11は操作レバー37aの操作量に見合う通常の速度で左旋回する。
【0054】
続いて、左旋回により作業用アタッチメント11の旋回位置が右旋回時の第1減速範囲23Bに相当する範囲を脱すると、第4ラインの検知体43のセンサ素子38dの作動により開いていた接点S4b1が閉じる。しかし、第1減速範囲23Bに相当する範囲を脱しても、左旋回における第1減速範囲24Bに至る前は、検知体43がいずれも第1〜第4ラインに無いため、接点S1a2,S2a3,S3a3はいずれも開いている。このため、左旋回における第1減速範囲24Bに至る前は、減速旋回制御は行われない。
【0055】
続いて左旋回により作業用アタッチメント11が第1減速範囲24Bに至ると、第1ラインのセンサ素子38aが検知体43を検知するので、接点S1a2が閉じる。これにより、電磁弁79aのソレノイドに通電される。その結果、減圧弁63aが減圧位置に切換わり、この減圧弁63aに設定される減圧度合でパイロット油が減圧される。他の減圧弁63b,63cは切換わらず、減圧作用を発揮しない。この減圧弁63aの減圧作用により、図3に示すように、通常の相対速度6に対してこの例では相対速度を4とする速度指令(減圧したパイロット圧)をコントロール弁32の操作室32bに加える。このため、旋回モータ7aは操作レバー37aの操作量に見合う速度より減速された速度に転じる。
【0056】
続いて第2減速範囲24Cに至ると、今度は第4ラインのセンサ素子38dの作動により閉じる接点S4b1が閉じたままで、第1ラインのセンサ素子38aの代わりに第2ラインのセンサ素子38bが作動し、接点S2a3が閉じる。これにより、電磁弁79bが励磁され、減圧弁63aの代わりに減圧弁63bが減圧位置に切換わる。そしてパイロット圧はこの減圧弁63bに設定される減圧度合で減圧される。この減圧弁63bの減圧作用により、図3に示すように、通常の相対速度6に対してこの例では相対速度を2とする速度指令(減圧したパイロット圧)をコントロール弁32の操作室32bに加える。このため、減圧弁63aによる場合よりもさらに減速された速度に転じる。
【0057】
続いて第3減速範囲24Dに至ると、今度は接点S4b1が閉じたままで、第2ラインのセンサ素子38bの代わりに第3ラインのセンサ素子38cが作動し、接点S3a3が閉じる。これにより、電磁弁79cが励磁され、減圧弁63bの代わりに減圧弁63cが減圧位置に切換わる。そしてパイロット圧はこの減圧弁63cに設定される減圧度合で減圧される。この減圧弁63cの減圧作用により、図3に示すように、通常の相対速度6に対してこの例では相対速度を1とする速度指令(減圧したパイロット圧)をコントロール弁32の操作室32bに加える。このため、減圧弁63bによる場合よりもさらに減速された速度に転じる。
【0058】
次に旋回終点25B、すなわち惰行範囲26Bの始点に至ると、さらに第4ラインのセンサ素子38dも作動するので、接点87a2,S2a4,S3a4,S4b2がすべて閉じ状態となる。これにより、旋回停止リレー94が励磁され、その接点94bが開く。このため、電磁弁62が元の遮断位置に戻り、コントロール弁32の操作室32bへのパイロット圧油の供給が停止し、コントロール弁32が中立位置に戻り、旋回モータ7aが作業用アタッチメント11等の慣性や弁の作動の遅れ等による惰行分だけ旋回した後に停止する。
【0059】
左旋回の停止後、操作レバー37aを右旋回側に操作すると右旋回は可能である。すなわち、仮に右旋回について減速旋回制御を行っていない場合には、図10に示すリレー86が励磁されておらず、接点86bが閉じているので、電磁弁53は連通位置にあり、パイロットポンプ36からコントロール弁32の操作室32aにパイロット油を供給でき、コントロール弁32を右位置に切換えることができる。
【0060】
反対に、右旋回について減速旋回制御を行っている場合は、リレー86が励磁され、接点86a1が閉じている。この状態で、操作レバー37aを右旋回側に操作すれば、圧力スイッチ48が閉じることによりリレー90が励磁され、接点90aが閉じる。しかし、左旋回における減速範囲24B〜24Dおよび惰行範囲26B,惰行付加範囲27Bに相当する旋回位置に作業用アタッチメント11があるときは、接点S4a2が開いているため、リレー91は励磁されておらず、接点91bが閉じているので、電磁弁54のソレノイドに通電されており、電磁弁54は連通位置にある。また、接点S4a1も開いている。このため、左旋回は減速制御を受けることなく行われる。
【0061】
以上に述べたように、この実施の形態においては、2台の建設機械1A,1Bの互いに反対側となるスペースを旋回許容範囲21A,21Bとするため、一方の建設機械1A(1B)の作業用アタッチメント11が2台の建設機械の間のスペースに存在する際に、他方の建設機械1B(1A)の旋回を禁止する必要がなく、その結果、2台の建設機械1A,1Bを休止することなく作動させることができる。このため、作業能率を向上させることができる。また、各建設機械1A,1Bの旋回範囲21A,21Bが各建設機械の反対側に設定され、旋回終点に至る前に、減速手段により自動的に減速させた後、旋回を停止させるため、旋回終点近傍で旋回動作を確実に停止させることができる。したがって、オペレータが不注意により旋回終点以上にまで旋回させようとして操作しても、旋回動作が自動的に確実に停止させられるため、作業用アタッチメント11どうしの干渉や障害物との衝突が確実に防止され、安全性が向上する。
【0062】
また、この実施の形態においては、センサ素子38a〜38の各旋回軌跡42a〜42d上の検知体43の存否パターンを旋回方向および各減速範囲23A〜23D,24B〜24Dについてすべて異ならせたので、角度計やその出力からコンピュータを用いて旋回位置を検出する場合のように、コンピュータを必要とすることなく実現できる。また、コンピュータを用いる必要がないため、既存の建設機械への後付けにより、既存の建設機械に容易に適用することができる。ただし本発明は、旋回位置検出手段として旋回角度を検出する角度計を用い、その角度計の出力信号からコンピュータにより旋回位置を求め、減圧弁を制御する構成も採用可能である。
【0063】
また、本発明を実施する場合、減速範囲は必ずしも複数段階にする必要はないが、この実施の形態のように、減速範囲を複数段階23A〜23D,24B〜24Dに設定すれば、通常の旋回速度から停止状態に至るまで、滑らかで自動的な減速、停止動作が可能となる。
【0064】
また、減速制御を行うか否かを選択するスイッチ84,85等の減速制御選択手段を設けたので、作業の状況に応じて片側のみの自動減速制御を行ったり、双方の自動減速制御を行ったり、減速制御が不要な場合には、この制御を回避することができ、現場の作業状況に応じた好適な操作が行える。
【0065】
本発明は、商用電源を用いて駆動される建設機械あるいはバッテリー駆動の建設機械にも採用することができる。また、本発明は、建設機械が船舶上に設置されるものや、固定の据付台に設置される場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明を適用する建設機械の一例を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態における建設機械の作業状況を説明する平面図である。
【図3】この実施の形態の旋回減速制御の速度変化の一例を示す説明図である。
【図4】この実施の形態の電気油圧回路図である。
【図5】この実施の形態のセンサ装置と検知体装置との配置関係を示す平面図である。
【図6】この実施の形態の旋回位置検出装置を示す側面図である。
【図7】この旋回位置検出装置の具体例を示す側面図である。
【図8】この実施の形態の右旋回における減速制御のための減圧弁装置の回路構成を示す電気油圧回路図である。
【図9】この実施の形態の左旋回における減速制御のための減圧弁装置の回路構成を示す電気油圧回路図である。
【図10】この実施の形態の右旋回における減速制御のための回路構成を示す電気回路図である。
【図11】この実施の形態の左旋回における減速制御のための回路構成を示す電気回路図である。
【符号の説明】
【0067】
1A,1B:建設機械、2:船舶、3:トラック、5:下部走行体、6:タワー、7:旋回装置、7a:旋回モータ、8:上部旋回体、9:油圧パワーユニット、10:運転室、11:作業用アタッチメント、12:ブーム、13:油圧シリンダ、14:アーム、15:油圧シリンダ、16:リフティングマグネット、17:油圧シリンダ、18:リンク機構、21A,21B:旋回許容範囲、23A,24A:通常旋回速度許容範囲、23B,23C,23D,24B,24C,24D:減速範囲、25A,25B:旋回終点、26A,26B:惰行範囲、27A,27B:惰行付加範囲、30:主油圧ポンプ、31:リリーフ弁、32:コントロール弁、33A,33B:オーバーロードリリーフ弁、34A,34B:メイクアップ用逆止弁、36:パイロット油圧ポンプ、37:パイロット弁、37a:操作レバー、38:センサ装置、38a〜38d:センサ素子、39:検知体装置、40,41:ブラケット、42a〜42d:旋回軌跡、43:検知体、44a〜44d:発光素子、47:制御装置、48:右旋回圧力スイッチ、49:左旋回圧力スイッチ、53,54:電磁弁、55:減圧弁装置,55a〜55c:減圧弁、56:シャトル弁、61,62:電磁弁、63:減圧弁装置、63a〜63c:減圧弁、64:シャトル弁、70:旋回制御スイッチ、71:左右旋回選択スイッチ、73,74:表示灯、75a〜75c:電磁弁、79a〜79c:電磁弁、84:右旋回選択スイッチ、85:左旋回選択スイッチ、86,87:リレー、86a1,86a2,86b:リレー86の接点、87a1,87a2,87b:リレー87の接点、90:リレー、90a:リレー90の接点、91:リレー、91b:リレー91の接点、93:リレー、93a:リレー93の接点、94:リレー、94b:リレー94の接点、S1a1,S1a2:センサ素子38a作動接点、S2a1〜S2a4:センサ素子38b作動接点、S3a1〜S3a4:センサ素子38c作動接点、S4a1,S4a2、S4b1,S4b2:センサ素子38d作動接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回モータにより旋回される上部旋回体を有する建設機械が2台並設された作業システムに使用され、各上部旋回体に取付けられた作業用アタッチメントの旋回動作での相互の干渉を防止する建設機械の干渉防止装置において、
各建設機械の作業用アタッチメントの旋回位置をそれぞれ検出する旋回位置検出手段と、
各建設機械の作業用アタッチメントの旋回方向を検出する旋回方向検出手段と、
互いに相手側建設機械の反対側において、左右両方向の旋回動作を許容し、旋回許容範囲から旋回終点を超えると旋回許容範囲側へ復帰する旋回動作のみ許容する旋回範囲設定手段と、
前記各旋回許容範囲の両端の2つの旋回終点の手前にそれぞれ減速範囲を設定する減速範囲設定手段と、
前記旋回方向検出手段により出力される旋回方向について、前記旋回位置検出手段により検出される旋回位置が前記減速範囲に至ると前記旋回モータを減速させる旋回速度信号を発する減速手段と、
減速旋回中に前記旋回位置検出手段により旋回終点が検出された際に前記旋回モータに停止信号を発する旋回停止手段とを備えたことを特徴とする建設機械の干渉防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の干渉防止装置において、
前記旋回位置検出手段は、前記上部旋回体に取付けられたセンサ装置と、前記上部旋回体を支持する非旋回体に取付けられた検知体装置とからなり、
前記センサ装置は、前記上部旋回体の旋回円の半径方向に配列された複数のセンサ素子を有し、
前記減速範囲設定手段は前記検知体装置と前記旋回方向検出手段とにより構成され、
前記検知体装置は、前記複数のセンサ素子の旋回軌跡上に設けられる検知体を有し、旋回軌跡上の検知体の存否パターンは、旋回方向および各減速範囲についてすべて異ならせたことを特徴とする建設機械の干渉防止装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建設機械の干渉防止装置において、
前記減速範囲設定手段が、各旋回方向について、減速度合を次第に高めた複数段階の減速範囲を設定するものであることを特徴とする建設機械の干渉防止装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の建設機械の干渉防止装置において、
各旋回方向について、それぞれ、減速制御を行うか否かを選択する減速制御選択手段を備えたことを特徴とする建設機械の干渉防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−143727(P2010−143727A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323752(P2008−323752)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】