建設機械
【課題】排気ガス処理装置の重量が嵩む場合でも、この排気ガス処理装置をがたつきなく支持する。
【解決手段】排気ガス処理装置15をエンジン8に支持するための支持部材16に、油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接するブロック体20を固設する。そして、このブロック体20の下端面とフランジ部12の外周面12Bとの当接により、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承する。これにより、排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、この排気ガス処理装置15をがたつきなく支持できる。
【解決手段】排気ガス処理装置15をエンジン8に支持するための支持部材16に、油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接するブロック体20を固設する。そして、このブロック体20の下端面とフランジ部12の外周面12Bとの当接により、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承する。これにより、排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、この排気ガス処理装置15をがたつきなく支持できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前側に設けられ、オペレータが搭乗するキャブと、前記旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、該エンジンの長さ方向の一方側に設けられた油圧ポンプと、前記エンジンのエキゾーストマニホールドに排気管を介して接続された排気ガス処理装置とにより大略構成されている。
【0004】
この排気ガス処理装置としては、排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置等が知られている。また、排気ガス浄化装置としては、パティキュレートマター(PM)と呼ばれる粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去装置、窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化装置等があり、これらは組合せて使用することもできる。
【0005】
ここで、エンジンには、油圧ポンプの上側に迫り出すように支持部材が取付けられ、該支持部材上に排気ガス処理装置を取付ける構成となっている(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−340114号公報
【特許文献2】特開2004−293495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、排気ガス処理装置を支持するための支持部材をエンジンにボルトにより取付ける構成となっている。即ち、支持部材の取付け部では、支持部材を介して加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を、ボルトの締結力に基づく摩擦力により支承している。一方、排気ガスの排出基準を満たすために必要とされる排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置は、単なる消音装置(排気マフラ)のみを備えた排気ガス処理装置に比べて重量が嵩む。
【0008】
このため、上述した従来技術では(ボルトのみの取付けでは)、排気ガス処理装置の重量が嵩んだ場合に、支持部材に加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を十分に支承できない虞がある。即ち、エンジンに対する支持部材の取付け強度(支持強度、保持強度)を十分に確保できず、例えば長期の使用に伴って排気ガス処理装置ががたつく虞がある。
【0009】
なお、支持部材の取付け強度を確保すべく、ボルトの寸法を大きく(サイズアップ)したり、この取付けボルトの数を多くすることが考えられる。しかし、例えば、エンジンに油圧ポンプを取付けるためのボルトを用いて、この油圧ポンプと共にエンジンに支持部材を取付ける(共締めする)構成を採用している場合には、これらエンジンと油圧ポンプとの取付け部の大幅な設計変更が必要になるという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、大幅な設計変更を必要とすることなく、排気ガス処理装置を支持するための支持部材の取付け強度を確保できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付け部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付け部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、該排気ガス処理装置と前記エンジンとの間に設けられ前記排気ガス処理装置を前記油圧ポンプの上側に支持する支持部材とを備えてなる建設機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記支持部材には、前記油圧ポンプのフランジ部に当接して前記支持部材に加わる前記排気ガス処理装置の荷重を支承する荷重ストッパを設ける構成としたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明は、前記支持部材は前記締結部材を用いて前記油圧ポンプのフランジ部に共締めする構成としたことにある。
【0014】
また、請求項3の発明は、前記荷重ストッパは前記支持部材に固定されるブロック体からなり、該ブロック体を前記油圧ポンプのフランジ部の外周面に当接させることにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としたことにある。
【0015】
また、請求項4の発明は、前記支持部材には前記締結部材の位置よりも上側に位置して長溝孔を設け、前記ブロック体には前記長溝孔に対向する位置にボルト穴を設け、前記ブロック体は長溝孔を通じて前記ボルト穴に螺合する結合ボルトにより前記支持部材に固定されており、前記結合ボルトが前記長溝孔内で変位する範囲で前記ブロック体の前記支持部材に対する位置調節を行う構成としたことにある。
【0016】
さらに、請求項5の発明は、前記荷重ストッパは前記油圧ポンプのフランジ部と前記支持部材とにそれぞれ設けたピン孔に嵌合するノックピンからなり、該ノックピンを各ピン孔に嵌着することにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、支持部材に荷重ストッパを設ける構成としているので、該荷重ストッパにより支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を支承することができる。このため、排気ガス処理装置の重量が嵩む場合でも、支持部材の取付け強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置ががたつくことを防止して、排気ガス処理装置によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って確実に除去することができるので、建設機械の信頼性を高めることができる。しかも、荷重ストッパは油圧ポンプのフランジ部に当接して支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としているので、少なくともエンジンのポンプ取付け部の設計変更を必要とすることなく支持部材の取付け強度を確保できる。これにより、設計変更の手間を低減して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立できる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、支持部材を油圧ポンプのフランジ部に、この油圧ポンプをエンジンに取付けるための締結部材を用いて共締めする構成としているので、支持部材を取付けるための別の締結部材を必要としなくて済む。しかも、上述のように荷重ストッパにより排気ガス処理装置の荷重を支承することができるため、共締めする締結部材の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結部材の数を多くしなくて済む。このため、共締めの構成を採用しても、エンジンのポンプ取付け部の設計変更をせずに、支持部材の取付け強度を確保できる。従って、共締めにより部品点数を低減できると共に、設計変更の手間を低減して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立することができる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、荷重ストッパを油圧ポンプのフランジ部の外周面に当接するブロック体により構成しているので、支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重をこのブロック体により確実に支承できる。しかも、支持部材にブロック体を設けるだけで取付け強度を確保できるため、エンジンのポンプ取付け部だけでなく、油圧ポンプのフランジ部に関しても設計変更をしなくて済む。この結果、設計変更の手間を更に低減でき、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを高次元で両立することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、ブロック体を支持部材に結合ボルトを用いて位置調節可能に設ける構成としているので、結合ボルトを緩めてブロック体の位置を適宜に調節することにより、このブロック体を油圧ポンプのフランジ部の外周面に確実に当接させることができる。このため、支持部材にブロック体を設けることによるコストの増大を抑えつつ、このブロック体により支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を確実に支承することができる。この結果、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化との更なる両立を図れる。
【0021】
さらに、請求項5の発明によれば、荷重ストッパを油圧ポンプのフランジ部と支持部材とにそれぞれ設けたピン孔に嵌着するノックピンにより構成しているので、エンジンのハウジングの形状に係わらず荷重ストッパを設けることができる。即ち、例えばエンジンのハウジングのうちで支持部材と対向する部分が油圧ポンプ側に張り出すことにより、支持部材に設けたブロック体を油圧ポンプのフランジ部に当接させることができない場合でも、油圧ポンプのフランジ部のピン孔と支持部材のピン孔とに架け渡された状態で嵌着されたノックピンにより、支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を支承できる。このため、上述のようにブロック体を設けられない場合でも、エンジンの設計変更を伴うことなくノックピンにより支持部材の取付け強度を確保して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の上部旋回体をキャブ等を省略して示す拡大平面図である。
【図3】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ブロック体等を図2中の矢示III−III方向からみた要部拡大図である。
【図4】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ブロック体等を図3中の矢示IV−IV方向からみた要部拡大図である。
【図5】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ブロック体等を示す一部破断の外観斜視図である。
【図6】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、ブロック体等を図4中の矢示VI−VI方向からみた要部拡大の断面図である。
【図7】支持部材を単体で示す外観斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による支持部材を、荷重ストッパを分解して示す外観斜視図である。
【図9】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、ブロック体等を示す図6と同様な断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による支持部材を、荷重ストッパを分解して示す外観斜視図である。
【図11】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ノックピン等を示す図4と同様な要部拡大図である。
【図12】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、ノックピン等を示す図6と同様な断面図である。
【図13】本発明の第1の変形例による支持部材、ブロック体等を示す図4と同様な要部拡大図である。
【図14】本発明の第2の変形例による支持部材、ノックピン等を示す図4と同様な要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0025】
ここで、油圧ショベル1を構成する上部旋回体3について詳述する。5は上部旋回体3の旋回フレームで、該旋回フレーム5は、強固な支持構造体として構成されている。そして、旋回フレーム5は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとにより大略構成されている。そして、各縦板5B,5Cの前側には左,右方向の中央に位置して作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム5の後側には後述のエンジン8等が設けられている。
【0026】
6は旋回フレーム5の左前側(作業装置4のフート部左側)に搭載されたキャブ(図1参照)を示している。このキャブ6は、オペレータが搭乗するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0027】
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトを示している。このカウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものであり、後面側が湾曲するように突出している。
【0028】
8は旋回フレーム5の後側に設けられたエンジンで、該エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して左,右方向に延在する横置き状態に搭載されている。また、エンジン8の左側には、熱交換器8Aに冷却風を供給するための冷却ファン8Bが設けられている。一方、エンジン8の右側は、後述の油圧ポンプ11を取付けるためのポンプ取付け部9となっている。また、エンジン8の右側の上部には、排気ガスを排出するための排気管8Cが設けられ、該排気管8Cの途中部位には後述の排気ガス処理装置15が取付けられている。
【0029】
9はエンジン8のハウジング8Dの右端部に設けられたポンプ取付け部を示している。このポンプ取付け部9は、エンジン8の出力軸8E(図5参照)の周囲にこの出力軸8Eを囲む状態で環状に設けられており、後述する油圧ポンプ11のフランジ部12が突き合わされて取付けられる。このために、このポンプ取付け部9には、その全周にわたり出力軸8Eの軸方向と直交する平坦面部9Aを設けると共に、この平坦面部9Aに環状に複数の有底なボルト穴9Bを設けている。そして、これら各ボルト穴9Bに締結ボルト10を螺合させることにより、ポンプ取付け部9に油圧ポンプ11のフランジ部12を取付けている。
【0030】
11はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ11は、エンジン8によって回転駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、図3に示すように、油圧ポンプ11の外殻をなすハウジング11Aのうちエンジン8に対向する左側の端部にはフランジ部12が設けられている。このフランジ部12は、上述のようにポンプ取付け部9に突き合わせた状態で複数の締結ボルト10を用いてポンプ取付け部9に取付けられる。このために、フランジ部12には、エンジン8のポンプ取付け部9の各ボルト穴9Bに対応して、複数のボルト挿通孔12Aが環状に設けられている。そして、ポンプ取付け部9の平坦面部9Aにフランジ部12を突き合わせた状態で、各締結ボルト10を各ボルト挿通孔12Aに挿通して各ボルト穴9Bに螺合することにより、油圧ポンプ11をエンジン8に取付けている。
【0031】
13は油圧ポンプ11の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられた作動油タンク(図2参照)で、該作動油タンク13は、下部走行体2、作業装置4等を駆動する各種油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。また、14は作動油タンク13の前側に設けられた燃料タンクを示し、該燃料タンク14は、エンジン8に供給される燃料を貯えるものである。
【0032】
15は油圧ポンプ11の上側に配置された排気ガス処理装置で、該排気ガス処理装置15は後述の支持部材16上に設けられ、エンジン8から排出される排気ガスを処理するものである。この排気ガス処理装置15は、図4および図5に示すように、前,後方向に延びる1個の円管状容器として形成された筒状ケース15Aと、該筒状ケース15Aの前側(上流側)からエンジン8側に突出した流入側の接続管15Bと、前記筒状ケース15Aの後側(下流側)から上向きに延びた排気口となる尾管15Cと、前記筒状ケース15A内に収容された処理装置本体(図示せず)とにより大略構成されている。
【0033】
ここで、筒状ケース15Aに収容される処理装置本体について説明すると、この処理装置本体としては、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去するために酸化触媒やフィルタから構成された粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置(排気マフラ)等が知られている。これらの処理装置本体は、消音装置単体で使用することもあるが、近年は排気ガスの排出基準を満たすために粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置と組合せて使用することが多い。
【0034】
16は排気ガス処理装置15とエンジン8との間に設けられた支持部材で、該支持部材16は排気ガス処理装置15を油圧ポンプ11の上側に支持するためのものである。ここで、支持部材16は、図4ないし図7に示すように、横断面がコ字型となす枠状に形成された縦板16Aと、該縦板16Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる四角形状の平板からなる載置板16Bとにより大略構成されている。ここで、縦板16Aは、排気ガス処理装置15の長さ方向(前,後方向)に延びる取付け部16A1と、該取付け部16A1の両端側からコ字型に折り曲げられた前,後の補強部16A2とからなる。そして、取付け部16A1の下端側には、油圧ポンプ11のフランジ部12に設けられたボルト挿通孔12Aに対応して複数の縦板側ボルト挿通孔16Cが形成されている。
【0035】
そして、縦板16Aを構成する取付け部16A1の下端側を油圧ポンプ11のフランジ部12の端面に当接させると共に、締結ボルト10を縦板側ボルト挿通孔16Cからフランジ部12のボルト挿通孔12Aを介してポンプ取付け部9のボルト穴9Bに螺合することにより、支持部材16が油圧ポンプ11のフランジ部12に共締めされている。
【0036】
一方、支持部材16を構成する載置板16Bは、その中央部に支持部材16を軽量化するための矩形孔16Eが形成され、載置板16Bの四隅には、載置板側ボルト挿通孔16Dが形成されている。
【0037】
17は排気ガス処理装置15の筒状ケース15Aに設けられた1対の取付けブラケットで、該取付けブラケット17は、排気ガス処理装置15を支持部材16の載置板16B上に取付けるものである。ここで、取付けブラケット17は、図3に示すように、中央に筒状ケース15Aの外周面と同じ曲率を有する円弧状の凹湾曲部17Aを有する板体からなり、凹湾曲部17Aは筒状ケース15Aの下面に溶接されている。また、載置板16Bに当接する取付けブラケット17の両端部には、長孔状のボルト挿通孔17Bが穿設されている。そして、支持部材16を構成する載置板16Bの四隅に設けられた載置板側ボルト挿通孔16Dと取付けブラケット17のボルト挿通孔17Bとに挿通した支持ボルト18にナット19を螺合することにより、取付けブラケット17を介して排気ガス処理装置15が支持部材16の載置板16B上に取付けられている。
【0038】
次に、20は支持部材16に設けた荷重ストッパとしてのブロック体で、該ブロック体20は、油圧ポンプ11のフランジ部12に当接することにより、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承するものである。ここで、ブロック体20は、略直方体状に形成されたブロックにより構成されている。そして、ブロック体20は、支持部材16の縦板16Aを構成する取付け部16A1のうち油圧ポンプ11のフランジ部12と当接する側の端面(当接端面)に溶接により固定されている。
【0039】
この場合、支持部材16に対するブロック体20の取付け位置は、支持部材16を締結ボルト10を用いて油圧ポンプ11と共にエンジン8に共締めした状態で、ブロック体20の下端面が油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接するように設定されている(図6参照)。そして、ブロック体20の下端面とフランジ部12の外周面12Bとの当接により、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重(垂直荷重)を支承している。従って、例えば粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置15を取付ける場合等、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、ブロック体20によりその荷重を支承することができ、支持部材16の取付け強度を十分に確保できる。
【0040】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
【0041】
まず、オペレータは、キャブ6に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0042】
この油圧ショベル1の運転時には、エンジン8から排出される排気ガスが排気ガス処理装置15を通じて大気中に排出される。この排気ガス処理装置15としては、環境問題に配慮するための様々な装置、例えば排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去するために酸化触媒やフィルタから構成された粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置が内蔵されている。このような場合、排気ガス処理装置15の重量が嵩むことが避けられないが、この排気ガス処理装置15を支持する支持部材16にブロック体20を設け、このブロック体20を油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接させることにより、支持部材16に加わる荷重を支承することができる。
【0043】
このように、第1の実施の形態によれば、ブロック体20により支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承することができるため、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、支持部材16の取付け強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置15ががたつくことを防止することができるので、排気ガス処理装置15によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って除去することができ、建設機械の信頼性を高めることができる。
【0044】
また、油圧ポンプ11をエンジン8に取付けるための締結ボルト10を用いて、支持部材16を油圧ポンプ11のフランジ部12に共締めしているので、支持部材16を取付けるための別の締結部材を不要にできる。しかも、ブロック体20により排気ガス処理装置15の荷重を支承することができるため、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、共締めする締結ボルト10の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結ボルト10の数を多くする必要がない。このため、共締めの構成を採用しても、エンジン8のポンプ取付け部9の設計変更を行うことなく、支持部材16の取付け強度を確保できる。従って、共締めにより部品点数を低減できると共に、設計変更の手間を低減して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立させることができる。
【0045】
また、油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接するブロック体20により荷重ストッパを構成しているので、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を確実に支承できる。しかも、支持部材16にブロック体20を設けるだけで支持部材16の取付け強度を確保できるため、エンジン8のポンプ取付け部9だけでなく、油圧ポンプ11のフランジ部12に関しても設計変更を不要にできる。
【0046】
次に、図8ないし図9は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、荷重ストッパを構成するブロック体を結合ボルトを用いて支持部材に固定したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0047】
図中、31は排気ガス処理装置15を油圧ポンプ11の上側に支持するための支持部材で、該支持部材31は、第1の実施の形態による支持部材16と同様に、取付け部31A1と前,後の補強部31A2とによりコ字型の枠状に形成された縦板31Aと、縦板31Aの上端部に溶接された四角形状の平板からなる載置板31Bとにより大略構成されている。そして、縦板31Aの取付け部31A1の下端側には複数の縦板側ボルト挿通孔31Cが円弧状に並んで形成されている。また、載置板31Bの四隅には、載置板側ボルト挿通孔31Dが形成され、載置板31Bの中央部には矩形孔31Eが形成されている。しかし、本実施の形態による支持部材31は、後述の長溝孔32が設けられる点で、第1の実施の形態による支持部材16とは異なるものである。
【0048】
32は支持部材31の縦板31Aを構成する取付け部31A1に設けられた1対の長溝孔で、該長溝孔32は、図9に示すように、締結ボルト10を挿通する縦板側ボルト挿通孔31Cの上側、即ち、油圧ポンプ11のフランジ部12よりも径方向の外側に配置されている。また、各長溝孔32は、左右方向の内径に比べて上下方向の内径が大きい略小判形の内周面を有する。
【0049】
33は油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接して排気ガス処理装置15の荷重を支承するブロック体で、該ブロック体33は、後述の結合ボルト35と共に荷重ストッパを構成するものである。ここで、ブロック体33は、直方体のブロックからなり、支持部材31の各長溝孔32に対向する位置には、2個のボルト穴(雌ねじ穴)34が貫通して設けられている。
【0050】
35は支持部材31の縦板31Aにブロック体33を固定するための結合ボルトで、該結合ボルト35は、支持部材31の長溝孔32を通じてブロック体33のボルト穴34に螺合している。ここで、結合ボルト35は、ブロック体33のボルト穴34に完全に締め付ける以前の状態で、ブロック体33を取付けたまま長溝孔32内で上下方向に変位させることができる。これにより、結合ボルト35が長溝孔32内で変位する範囲で、ブロック体33の支持部材31に対する位置調節を行える様にしている。
【0051】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如く支持部材31にブロック体33を結合ボルト35により固定したもので、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
しかも、第2の実施の形態では、結合ボルト35が長溝孔32内で上下方向に変位する範囲でブロック体33の支持部材31に対する位置調節を行うことができるので、この支持部材31に対するブロック体33の固定位置を厳密に設定する必要がない。即ち、結合ボルト35の緩締に基づいてブロック体33の位置を上,下方向に調節することにより、このブロック体33を油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに確実に当接させることができる。このため、支持部材31にブロック体33を設けることによるコストの増大を抑えつつ、このブロック体33により支持部材31に加わる排気ガス処理装置15の荷重を確実に支承することができる。
【0053】
次に、図10ないし図12は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、荷重ストッパがノックピンからなることにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0054】
図中、41は排気ガス処理装置15を油圧ポンプ11の上側に支持するための支持部材で、該支持部材41は、第1の実施の形態による支持部材16と同様に、取付け部41A1と前,後の補強部41A2とによりコ字型の枠状に形成された縦板41Aと、縦板41Aの上端部に溶接された四角形状の平板からなる載置板41Bとにより大略構成されている。そして、縦板41Aの取付け部41A1の下端側には複数の縦板側ボルト挿通孔41Cが円弧状に並んで形成されている。また、載置板41Bの四隅には、載置板側ボルト挿通孔41Dが形成され、載置板41Bの中央部には矩形孔41Eが形成されている。
【0055】
42は支持部材41の縦板41Aを構成する取付け部41A1を貫通する状態で設けられた支持部材側ピン孔で、該支持部材側ピン孔42は、図12に示すように、支持部材41を締結ボルト10を用いて油圧ポンプ11のフランジ部12に取付けた状態で、後述のフランジ部側ピン孔43と同心上に配置されるものである。
【0056】
43は油圧ポンプ11のフランジ部12に貫通する状態で設けられたフランジ部側ピン孔で、該フランジ部側ピン孔43は、油圧ポンプ11のフランジ部12をエンジン8に取付けた状態で、このフランジ部12の最も上方となる位置(頂部に対応する位置)に設けられている。そして、支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とは同心上に配置され、これら各ピン孔42,43内には後述のノックピン44が嵌着する構成となっている。
【0057】
44は排気ガス処理装置15の荷重を支承するための荷重ストッパとしてのノックピンで、該ノックピン44は、支持部材側ピン孔42側から嵌め込まれ、この支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに架け渡された状態で、これら支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに、例えば締り嵌め等により嵌着されている。そして、このノックピン44は、各締結ボルト10と共に支持部材41に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承している。
【0058】
従って、例えば粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置15を取付ける場合等、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、ノックピン44によりその荷重を支承することができ、支持部材41の取付け強度を十分に確保できる。
【0059】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如くノックピン44により支持部材41に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承するもので、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
しかも、第3の実施の形態では、支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに嵌着するノックピン44により荷重ストッパを構成しているので、エンジン8のハウジング8Dの形状に係わらずノックピン44を設けることができる。即ち、例えばエンジン8のハウジング8Dのうちで支持部材41と対向する部分が、油圧ポンプ11側に張り出して支持部材41に近接することにより、上述した第1の実施の形態ないし第2の実施の形態のようなブロック体20、33を設けるのが困難な場合でも、支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに架け渡された状態でノックピン44を嵌着することにより、支持部材41に加わる排気ガス処理装置15の荷重をノックピン44によって確実に支承できる。このため、上述のようにブロック体20、33を設けられない場合でも、エンジン8の設計変更を伴うことなくノックピン44により支持部材41の取付け強度を確保することができ、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立できる。
【0061】
なお、上述した第1の実施の形態では、荷重ストッパを構成するブロック体20を1個設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図13に示すように複数個(例えば2個)のブロック体20′を設ける構成としてもよい。この場合に、各ブロック体20′は、油圧ポンプ11の中心軸を通過する鉛直方向の仮想線Y−Yに対し左右対象となる位置に設けることがより好ましい。このことは、第2の実施の形態によるブロック体33についても同様である。
【0062】
又、上述した第3の実施の形態では、荷重ストッパを構成するノックピン44を1本設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図14に示すように複数本(例えば2本)のノックピン44′を設ける構成としてもよい。この場合に、各ノックピン44′は、油圧ポンプの中心軸を通過する鉛直方向の仮想線Y−Yに対し左右対象となるように設けることがより好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 エンジン
8E 出力軸
9 ポンプ取付け部
10 締結ボルト(締結部材)
11 油圧ポンプ
12 フランジ部
12B 外周面
15 排気ガス処理装置
16、31、41 支持部材
20、33、20′ ブロック体(荷重ストッパ)
32 長溝孔
34 ボルト穴
35 結合ボルト
42 支持部材側ピン孔(ピン孔)
43 フランジ部側ピン孔(ピン孔)
44、44′ ノックピン(荷重ストッパ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前側に設けられ、オペレータが搭乗するキャブと、前記旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、該エンジンの長さ方向の一方側に設けられた油圧ポンプと、前記エンジンのエキゾーストマニホールドに排気管を介して接続された排気ガス処理装置とにより大略構成されている。
【0004】
この排気ガス処理装置としては、排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置等が知られている。また、排気ガス浄化装置としては、パティキュレートマター(PM)と呼ばれる粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去装置、窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化装置等があり、これらは組合せて使用することもできる。
【0005】
ここで、エンジンには、油圧ポンプの上側に迫り出すように支持部材が取付けられ、該支持部材上に排気ガス処理装置を取付ける構成となっている(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−340114号公報
【特許文献2】特開2004−293495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、排気ガス処理装置を支持するための支持部材をエンジンにボルトにより取付ける構成となっている。即ち、支持部材の取付け部では、支持部材を介して加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を、ボルトの締結力に基づく摩擦力により支承している。一方、排気ガスの排出基準を満たすために必要とされる排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置は、単なる消音装置(排気マフラ)のみを備えた排気ガス処理装置に比べて重量が嵩む。
【0008】
このため、上述した従来技術では(ボルトのみの取付けでは)、排気ガス処理装置の重量が嵩んだ場合に、支持部材に加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を十分に支承できない虞がある。即ち、エンジンに対する支持部材の取付け強度(支持強度、保持強度)を十分に確保できず、例えば長期の使用に伴って排気ガス処理装置ががたつく虞がある。
【0009】
なお、支持部材の取付け強度を確保すべく、ボルトの寸法を大きく(サイズアップ)したり、この取付けボルトの数を多くすることが考えられる。しかし、例えば、エンジンに油圧ポンプを取付けるためのボルトを用いて、この油圧ポンプと共にエンジンに支持部材を取付ける(共締めする)構成を採用している場合には、これらエンジンと油圧ポンプとの取付け部の大幅な設計変更が必要になるという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、大幅な設計変更を必要とすることなく、排気ガス処理装置を支持するための支持部材の取付け強度を確保できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付け部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付け部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、該排気ガス処理装置と前記エンジンとの間に設けられ前記排気ガス処理装置を前記油圧ポンプの上側に支持する支持部材とを備えてなる建設機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記支持部材には、前記油圧ポンプのフランジ部に当接して前記支持部材に加わる前記排気ガス処理装置の荷重を支承する荷重ストッパを設ける構成としたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明は、前記支持部材は前記締結部材を用いて前記油圧ポンプのフランジ部に共締めする構成としたことにある。
【0014】
また、請求項3の発明は、前記荷重ストッパは前記支持部材に固定されるブロック体からなり、該ブロック体を前記油圧ポンプのフランジ部の外周面に当接させることにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としたことにある。
【0015】
また、請求項4の発明は、前記支持部材には前記締結部材の位置よりも上側に位置して長溝孔を設け、前記ブロック体には前記長溝孔に対向する位置にボルト穴を設け、前記ブロック体は長溝孔を通じて前記ボルト穴に螺合する結合ボルトにより前記支持部材に固定されており、前記結合ボルトが前記長溝孔内で変位する範囲で前記ブロック体の前記支持部材に対する位置調節を行う構成としたことにある。
【0016】
さらに、請求項5の発明は、前記荷重ストッパは前記油圧ポンプのフランジ部と前記支持部材とにそれぞれ設けたピン孔に嵌合するノックピンからなり、該ノックピンを各ピン孔に嵌着することにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、支持部材に荷重ストッパを設ける構成としているので、該荷重ストッパにより支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を支承することができる。このため、排気ガス処理装置の重量が嵩む場合でも、支持部材の取付け強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置ががたつくことを防止して、排気ガス処理装置によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って確実に除去することができるので、建設機械の信頼性を高めることができる。しかも、荷重ストッパは油圧ポンプのフランジ部に当接して支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としているので、少なくともエンジンのポンプ取付け部の設計変更を必要とすることなく支持部材の取付け強度を確保できる。これにより、設計変更の手間を低減して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立できる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、支持部材を油圧ポンプのフランジ部に、この油圧ポンプをエンジンに取付けるための締結部材を用いて共締めする構成としているので、支持部材を取付けるための別の締結部材を必要としなくて済む。しかも、上述のように荷重ストッパにより排気ガス処理装置の荷重を支承することができるため、共締めする締結部材の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結部材の数を多くしなくて済む。このため、共締めの構成を採用しても、エンジンのポンプ取付け部の設計変更をせずに、支持部材の取付け強度を確保できる。従って、共締めにより部品点数を低減できると共に、設計変更の手間を低減して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立することができる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、荷重ストッパを油圧ポンプのフランジ部の外周面に当接するブロック体により構成しているので、支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重をこのブロック体により確実に支承できる。しかも、支持部材にブロック体を設けるだけで取付け強度を確保できるため、エンジンのポンプ取付け部だけでなく、油圧ポンプのフランジ部に関しても設計変更をしなくて済む。この結果、設計変更の手間を更に低減でき、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを高次元で両立することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、ブロック体を支持部材に結合ボルトを用いて位置調節可能に設ける構成としているので、結合ボルトを緩めてブロック体の位置を適宜に調節することにより、このブロック体を油圧ポンプのフランジ部の外周面に確実に当接させることができる。このため、支持部材にブロック体を設けることによるコストの増大を抑えつつ、このブロック体により支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を確実に支承することができる。この結果、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化との更なる両立を図れる。
【0021】
さらに、請求項5の発明によれば、荷重ストッパを油圧ポンプのフランジ部と支持部材とにそれぞれ設けたピン孔に嵌着するノックピンにより構成しているので、エンジンのハウジングの形状に係わらず荷重ストッパを設けることができる。即ち、例えばエンジンのハウジングのうちで支持部材と対向する部分が油圧ポンプ側に張り出すことにより、支持部材に設けたブロック体を油圧ポンプのフランジ部に当接させることができない場合でも、油圧ポンプのフランジ部のピン孔と支持部材のピン孔とに架け渡された状態で嵌着されたノックピンにより、支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を支承できる。このため、上述のようにブロック体を設けられない場合でも、エンジンの設計変更を伴うことなくノックピンにより支持部材の取付け強度を確保して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の上部旋回体をキャブ等を省略して示す拡大平面図である。
【図3】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ブロック体等を図2中の矢示III−III方向からみた要部拡大図である。
【図4】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ブロック体等を図3中の矢示IV−IV方向からみた要部拡大図である。
【図5】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ブロック体等を示す一部破断の外観斜視図である。
【図6】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、ブロック体等を図4中の矢示VI−VI方向からみた要部拡大の断面図である。
【図7】支持部材を単体で示す外観斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による支持部材を、荷重ストッパを分解して示す外観斜視図である。
【図9】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、ブロック体等を示す図6と同様な断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による支持部材を、荷重ストッパを分解して示す外観斜視図である。
【図11】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置、ノックピン等を示す図4と同様な要部拡大図である。
【図12】エンジン、油圧ポンプ、支持部材、ノックピン等を示す図6と同様な断面図である。
【図13】本発明の第1の変形例による支持部材、ブロック体等を示す図4と同様な要部拡大図である。
【図14】本発明の第2の変形例による支持部材、ノックピン等を示す図4と同様な要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0025】
ここで、油圧ショベル1を構成する上部旋回体3について詳述する。5は上部旋回体3の旋回フレームで、該旋回フレーム5は、強固な支持構造体として構成されている。そして、旋回フレーム5は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとにより大略構成されている。そして、各縦板5B,5Cの前側には左,右方向の中央に位置して作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム5の後側には後述のエンジン8等が設けられている。
【0026】
6は旋回フレーム5の左前側(作業装置4のフート部左側)に搭載されたキャブ(図1参照)を示している。このキャブ6は、オペレータが搭乗するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0027】
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトを示している。このカウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものであり、後面側が湾曲するように突出している。
【0028】
8は旋回フレーム5の後側に設けられたエンジンで、該エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して左,右方向に延在する横置き状態に搭載されている。また、エンジン8の左側には、熱交換器8Aに冷却風を供給するための冷却ファン8Bが設けられている。一方、エンジン8の右側は、後述の油圧ポンプ11を取付けるためのポンプ取付け部9となっている。また、エンジン8の右側の上部には、排気ガスを排出するための排気管8Cが設けられ、該排気管8Cの途中部位には後述の排気ガス処理装置15が取付けられている。
【0029】
9はエンジン8のハウジング8Dの右端部に設けられたポンプ取付け部を示している。このポンプ取付け部9は、エンジン8の出力軸8E(図5参照)の周囲にこの出力軸8Eを囲む状態で環状に設けられており、後述する油圧ポンプ11のフランジ部12が突き合わされて取付けられる。このために、このポンプ取付け部9には、その全周にわたり出力軸8Eの軸方向と直交する平坦面部9Aを設けると共に、この平坦面部9Aに環状に複数の有底なボルト穴9Bを設けている。そして、これら各ボルト穴9Bに締結ボルト10を螺合させることにより、ポンプ取付け部9に油圧ポンプ11のフランジ部12を取付けている。
【0030】
11はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ11は、エンジン8によって回転駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、図3に示すように、油圧ポンプ11の外殻をなすハウジング11Aのうちエンジン8に対向する左側の端部にはフランジ部12が設けられている。このフランジ部12は、上述のようにポンプ取付け部9に突き合わせた状態で複数の締結ボルト10を用いてポンプ取付け部9に取付けられる。このために、フランジ部12には、エンジン8のポンプ取付け部9の各ボルト穴9Bに対応して、複数のボルト挿通孔12Aが環状に設けられている。そして、ポンプ取付け部9の平坦面部9Aにフランジ部12を突き合わせた状態で、各締結ボルト10を各ボルト挿通孔12Aに挿通して各ボルト穴9Bに螺合することにより、油圧ポンプ11をエンジン8に取付けている。
【0031】
13は油圧ポンプ11の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられた作動油タンク(図2参照)で、該作動油タンク13は、下部走行体2、作業装置4等を駆動する各種油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。また、14は作動油タンク13の前側に設けられた燃料タンクを示し、該燃料タンク14は、エンジン8に供給される燃料を貯えるものである。
【0032】
15は油圧ポンプ11の上側に配置された排気ガス処理装置で、該排気ガス処理装置15は後述の支持部材16上に設けられ、エンジン8から排出される排気ガスを処理するものである。この排気ガス処理装置15は、図4および図5に示すように、前,後方向に延びる1個の円管状容器として形成された筒状ケース15Aと、該筒状ケース15Aの前側(上流側)からエンジン8側に突出した流入側の接続管15Bと、前記筒状ケース15Aの後側(下流側)から上向きに延びた排気口となる尾管15Cと、前記筒状ケース15A内に収容された処理装置本体(図示せず)とにより大略構成されている。
【0033】
ここで、筒状ケース15Aに収容される処理装置本体について説明すると、この処理装置本体としては、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去するために酸化触媒やフィルタから構成された粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置(排気マフラ)等が知られている。これらの処理装置本体は、消音装置単体で使用することもあるが、近年は排気ガスの排出基準を満たすために粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置と組合せて使用することが多い。
【0034】
16は排気ガス処理装置15とエンジン8との間に設けられた支持部材で、該支持部材16は排気ガス処理装置15を油圧ポンプ11の上側に支持するためのものである。ここで、支持部材16は、図4ないし図7に示すように、横断面がコ字型となす枠状に形成された縦板16Aと、該縦板16Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる四角形状の平板からなる載置板16Bとにより大略構成されている。ここで、縦板16Aは、排気ガス処理装置15の長さ方向(前,後方向)に延びる取付け部16A1と、該取付け部16A1の両端側からコ字型に折り曲げられた前,後の補強部16A2とからなる。そして、取付け部16A1の下端側には、油圧ポンプ11のフランジ部12に設けられたボルト挿通孔12Aに対応して複数の縦板側ボルト挿通孔16Cが形成されている。
【0035】
そして、縦板16Aを構成する取付け部16A1の下端側を油圧ポンプ11のフランジ部12の端面に当接させると共に、締結ボルト10を縦板側ボルト挿通孔16Cからフランジ部12のボルト挿通孔12Aを介してポンプ取付け部9のボルト穴9Bに螺合することにより、支持部材16が油圧ポンプ11のフランジ部12に共締めされている。
【0036】
一方、支持部材16を構成する載置板16Bは、その中央部に支持部材16を軽量化するための矩形孔16Eが形成され、載置板16Bの四隅には、載置板側ボルト挿通孔16Dが形成されている。
【0037】
17は排気ガス処理装置15の筒状ケース15Aに設けられた1対の取付けブラケットで、該取付けブラケット17は、排気ガス処理装置15を支持部材16の載置板16B上に取付けるものである。ここで、取付けブラケット17は、図3に示すように、中央に筒状ケース15Aの外周面と同じ曲率を有する円弧状の凹湾曲部17Aを有する板体からなり、凹湾曲部17Aは筒状ケース15Aの下面に溶接されている。また、載置板16Bに当接する取付けブラケット17の両端部には、長孔状のボルト挿通孔17Bが穿設されている。そして、支持部材16を構成する載置板16Bの四隅に設けられた載置板側ボルト挿通孔16Dと取付けブラケット17のボルト挿通孔17Bとに挿通した支持ボルト18にナット19を螺合することにより、取付けブラケット17を介して排気ガス処理装置15が支持部材16の載置板16B上に取付けられている。
【0038】
次に、20は支持部材16に設けた荷重ストッパとしてのブロック体で、該ブロック体20は、油圧ポンプ11のフランジ部12に当接することにより、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承するものである。ここで、ブロック体20は、略直方体状に形成されたブロックにより構成されている。そして、ブロック体20は、支持部材16の縦板16Aを構成する取付け部16A1のうち油圧ポンプ11のフランジ部12と当接する側の端面(当接端面)に溶接により固定されている。
【0039】
この場合、支持部材16に対するブロック体20の取付け位置は、支持部材16を締結ボルト10を用いて油圧ポンプ11と共にエンジン8に共締めした状態で、ブロック体20の下端面が油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接するように設定されている(図6参照)。そして、ブロック体20の下端面とフランジ部12の外周面12Bとの当接により、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重(垂直荷重)を支承している。従って、例えば粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置15を取付ける場合等、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、ブロック体20によりその荷重を支承することができ、支持部材16の取付け強度を十分に確保できる。
【0040】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
【0041】
まず、オペレータは、キャブ6に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0042】
この油圧ショベル1の運転時には、エンジン8から排出される排気ガスが排気ガス処理装置15を通じて大気中に排出される。この排気ガス処理装置15としては、環境問題に配慮するための様々な装置、例えば排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去するために酸化触媒やフィルタから構成された粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置が内蔵されている。このような場合、排気ガス処理装置15の重量が嵩むことが避けられないが、この排気ガス処理装置15を支持する支持部材16にブロック体20を設け、このブロック体20を油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接させることにより、支持部材16に加わる荷重を支承することができる。
【0043】
このように、第1の実施の形態によれば、ブロック体20により支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承することができるため、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、支持部材16の取付け強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置15ががたつくことを防止することができるので、排気ガス処理装置15によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って除去することができ、建設機械の信頼性を高めることができる。
【0044】
また、油圧ポンプ11をエンジン8に取付けるための締結ボルト10を用いて、支持部材16を油圧ポンプ11のフランジ部12に共締めしているので、支持部材16を取付けるための別の締結部材を不要にできる。しかも、ブロック体20により排気ガス処理装置15の荷重を支承することができるため、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、共締めする締結ボルト10の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結ボルト10の数を多くする必要がない。このため、共締めの構成を採用しても、エンジン8のポンプ取付け部9の設計変更を行うことなく、支持部材16の取付け強度を確保できる。従って、共締めにより部品点数を低減できると共に、設計変更の手間を低減して、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立させることができる。
【0045】
また、油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接するブロック体20により荷重ストッパを構成しているので、支持部材16に加わる排気ガス処理装置15の荷重を確実に支承できる。しかも、支持部材16にブロック体20を設けるだけで支持部材16の取付け強度を確保できるため、エンジン8のポンプ取付け部9だけでなく、油圧ポンプ11のフランジ部12に関しても設計変更を不要にできる。
【0046】
次に、図8ないし図9は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、荷重ストッパを構成するブロック体を結合ボルトを用いて支持部材に固定したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0047】
図中、31は排気ガス処理装置15を油圧ポンプ11の上側に支持するための支持部材で、該支持部材31は、第1の実施の形態による支持部材16と同様に、取付け部31A1と前,後の補強部31A2とによりコ字型の枠状に形成された縦板31Aと、縦板31Aの上端部に溶接された四角形状の平板からなる載置板31Bとにより大略構成されている。そして、縦板31Aの取付け部31A1の下端側には複数の縦板側ボルト挿通孔31Cが円弧状に並んで形成されている。また、載置板31Bの四隅には、載置板側ボルト挿通孔31Dが形成され、載置板31Bの中央部には矩形孔31Eが形成されている。しかし、本実施の形態による支持部材31は、後述の長溝孔32が設けられる点で、第1の実施の形態による支持部材16とは異なるものである。
【0048】
32は支持部材31の縦板31Aを構成する取付け部31A1に設けられた1対の長溝孔で、該長溝孔32は、図9に示すように、締結ボルト10を挿通する縦板側ボルト挿通孔31Cの上側、即ち、油圧ポンプ11のフランジ部12よりも径方向の外側に配置されている。また、各長溝孔32は、左右方向の内径に比べて上下方向の内径が大きい略小判形の内周面を有する。
【0049】
33は油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに当接して排気ガス処理装置15の荷重を支承するブロック体で、該ブロック体33は、後述の結合ボルト35と共に荷重ストッパを構成するものである。ここで、ブロック体33は、直方体のブロックからなり、支持部材31の各長溝孔32に対向する位置には、2個のボルト穴(雌ねじ穴)34が貫通して設けられている。
【0050】
35は支持部材31の縦板31Aにブロック体33を固定するための結合ボルトで、該結合ボルト35は、支持部材31の長溝孔32を通じてブロック体33のボルト穴34に螺合している。ここで、結合ボルト35は、ブロック体33のボルト穴34に完全に締め付ける以前の状態で、ブロック体33を取付けたまま長溝孔32内で上下方向に変位させることができる。これにより、結合ボルト35が長溝孔32内で変位する範囲で、ブロック体33の支持部材31に対する位置調節を行える様にしている。
【0051】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如く支持部材31にブロック体33を結合ボルト35により固定したもので、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
しかも、第2の実施の形態では、結合ボルト35が長溝孔32内で上下方向に変位する範囲でブロック体33の支持部材31に対する位置調節を行うことができるので、この支持部材31に対するブロック体33の固定位置を厳密に設定する必要がない。即ち、結合ボルト35の緩締に基づいてブロック体33の位置を上,下方向に調節することにより、このブロック体33を油圧ポンプ11のフランジ部12の外周面12Bに確実に当接させることができる。このため、支持部材31にブロック体33を設けることによるコストの増大を抑えつつ、このブロック体33により支持部材31に加わる排気ガス処理装置15の荷重を確実に支承することができる。
【0053】
次に、図10ないし図12は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、荷重ストッパがノックピンからなることにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0054】
図中、41は排気ガス処理装置15を油圧ポンプ11の上側に支持するための支持部材で、該支持部材41は、第1の実施の形態による支持部材16と同様に、取付け部41A1と前,後の補強部41A2とによりコ字型の枠状に形成された縦板41Aと、縦板41Aの上端部に溶接された四角形状の平板からなる載置板41Bとにより大略構成されている。そして、縦板41Aの取付け部41A1の下端側には複数の縦板側ボルト挿通孔41Cが円弧状に並んで形成されている。また、載置板41Bの四隅には、載置板側ボルト挿通孔41Dが形成され、載置板41Bの中央部には矩形孔41Eが形成されている。
【0055】
42は支持部材41の縦板41Aを構成する取付け部41A1を貫通する状態で設けられた支持部材側ピン孔で、該支持部材側ピン孔42は、図12に示すように、支持部材41を締結ボルト10を用いて油圧ポンプ11のフランジ部12に取付けた状態で、後述のフランジ部側ピン孔43と同心上に配置されるものである。
【0056】
43は油圧ポンプ11のフランジ部12に貫通する状態で設けられたフランジ部側ピン孔で、該フランジ部側ピン孔43は、油圧ポンプ11のフランジ部12をエンジン8に取付けた状態で、このフランジ部12の最も上方となる位置(頂部に対応する位置)に設けられている。そして、支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とは同心上に配置され、これら各ピン孔42,43内には後述のノックピン44が嵌着する構成となっている。
【0057】
44は排気ガス処理装置15の荷重を支承するための荷重ストッパとしてのノックピンで、該ノックピン44は、支持部材側ピン孔42側から嵌め込まれ、この支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに架け渡された状態で、これら支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに、例えば締り嵌め等により嵌着されている。そして、このノックピン44は、各締結ボルト10と共に支持部材41に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承している。
【0058】
従って、例えば粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置15を取付ける場合等、この排気ガス処理装置15の重量が嵩む場合でも、ノックピン44によりその荷重を支承することができ、支持部材41の取付け強度を十分に確保できる。
【0059】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如くノックピン44により支持部材41に加わる排気ガス処理装置15の荷重を支承するもので、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
しかも、第3の実施の形態では、支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに嵌着するノックピン44により荷重ストッパを構成しているので、エンジン8のハウジング8Dの形状に係わらずノックピン44を設けることができる。即ち、例えばエンジン8のハウジング8Dのうちで支持部材41と対向する部分が、油圧ポンプ11側に張り出して支持部材41に近接することにより、上述した第1の実施の形態ないし第2の実施の形態のようなブロック体20、33を設けるのが困難な場合でも、支持部材側ピン孔42とフランジ部側ピン孔43とに架け渡された状態でノックピン44を嵌着することにより、支持部材41に加わる排気ガス処理装置15の荷重をノックピン44によって確実に支承できる。このため、上述のようにブロック体20、33を設けられない場合でも、エンジン8の設計変更を伴うことなくノックピン44により支持部材41の取付け強度を確保することができ、建設機械の信頼性を高めることと低コスト化とを両立できる。
【0061】
なお、上述した第1の実施の形態では、荷重ストッパを構成するブロック体20を1個設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図13に示すように複数個(例えば2個)のブロック体20′を設ける構成としてもよい。この場合に、各ブロック体20′は、油圧ポンプ11の中心軸を通過する鉛直方向の仮想線Y−Yに対し左右対象となる位置に設けることがより好ましい。このことは、第2の実施の形態によるブロック体33についても同様である。
【0062】
又、上述した第3の実施の形態では、荷重ストッパを構成するノックピン44を1本設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図14に示すように複数本(例えば2本)のノックピン44′を設ける構成としてもよい。この場合に、各ノックピン44′は、油圧ポンプの中心軸を通過する鉛直方向の仮想線Y−Yに対し左右対象となるように設けることがより好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 エンジン
8E 出力軸
9 ポンプ取付け部
10 締結ボルト(締結部材)
11 油圧ポンプ
12 フランジ部
12B 外周面
15 排気ガス処理装置
16、31、41 支持部材
20、33、20′ ブロック体(荷重ストッパ)
32 長溝孔
34 ボルト穴
35 結合ボルト
42 支持部材側ピン孔(ピン孔)
43 フランジ部側ピン孔(ピン孔)
44、44′ ノックピン(荷重ストッパ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付け部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付け部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、該排気ガス処理装置と前記エンジンとの間に設けられ前記排気ガス処理装置を前記油圧ポンプの上側に支持する支持部材とを備えてなる建設機械において、
前記支持部材には、前記油圧ポンプのフランジ部に当接して前記支持部材に加わる前記排気ガス処理装置の荷重を支承する荷重ストッパを設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記支持部材は前記締結部材を用いて前記油圧ポンプのフランジ部に共締めする構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記荷重ストッパは前記支持部材に固定されるブロック体からなり、該ブロック体を前記油圧ポンプのフランジ部の外周面に当接させることにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記支持部材には前記締結部材の位置よりも上側に位置して長溝孔を設け、前記ブロック体には前記長溝孔に対向する位置にボルト穴を設け、前記ブロック体は長溝孔を通じて前記ボルト穴に螺合する結合ボルトにより前記支持部材に固定されており、前記結合ボルトが前記長溝孔内で変位する範囲で前記ブロック体の前記支持部材に対する位置調節を行う構成としてなる請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記荷重ストッパは前記油圧ポンプのフランジ部と前記支持部材とにそれぞれ設けたピン孔に嵌合するノックピンからなり、該ノックピンを各ピン孔に嵌着することにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付け部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付け部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、該排気ガス処理装置と前記エンジンとの間に設けられ前記排気ガス処理装置を前記油圧ポンプの上側に支持する支持部材とを備えてなる建設機械において、
前記支持部材には、前記油圧ポンプのフランジ部に当接して前記支持部材に加わる前記排気ガス処理装置の荷重を支承する荷重ストッパを設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記支持部材は前記締結部材を用いて前記油圧ポンプのフランジ部に共締めする構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記荷重ストッパは前記支持部材に固定されるブロック体からなり、該ブロック体を前記油圧ポンプのフランジ部の外周面に当接させることにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記支持部材には前記締結部材の位置よりも上側に位置して長溝孔を設け、前記ブロック体には前記長溝孔に対向する位置にボルト穴を設け、前記ブロック体は長溝孔を通じて前記ボルト穴に螺合する結合ボルトにより前記支持部材に固定されており、前記結合ボルトが前記長溝孔内で変位する範囲で前記ブロック体の前記支持部材に対する位置調節を行う構成としてなる請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記荷重ストッパは前記油圧ポンプのフランジ部と前記支持部材とにそれぞれ設けたピン孔に嵌合するノックピンからなり、該ノックピンを各ピン孔に嵌着することにより前記排気ガス処理装置の荷重を支承する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−105065(P2011−105065A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259948(P2009−259948)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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