説明

弁コッタ及びリテーナの組付け装置

【課題】弁コッタ及びリテーナの組付け効率及び信頼性を向上させることができ、弁コッタ及びリテーナを組み付けた部品を大量に供給させることができる弁コッタ及びリテーナの組付け装置を提供する。
【解決手段】弁コッタを整列させつつ小径の半円面を下面及び大径の半円面を上面とした状態で且つ外周面を外側に向けて搬送可能とされた弁コッタ搬送手段1と、リテーナを整列させつつ搬送可能なリテーナ搬送手段2と、弁コッタを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタを係止可能な係止爪10と、その弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送する弁コッタ移送手段12と、リテーナを弁コッタ移送手段12における組付位置の下方の位置まで移送するインデックス5と、組付位置の弁コッタをインデックス5で移送されたリテーナの穴部に嵌合させて組付ける組付手段3とを具備した組付け装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の弁コッタをリテーナの穴部に嵌合させて組み付け可能な弁コッタ及びリテーナの組付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のエンジン等の4サイクル内燃機関における弁駆動機構は、バルブスプリングによってリテーナを押し上げ、当該リテーナ内の弁コッタによってバルブ軸を中央に締め付けて固定するようになっている。然るに、このような弁コッタ及びリテーナは、弁駆動機構の組付け作業における取り扱いを良好にさせるべく、予め組付け(仮組付け)して1部品として扱うようにすることが多く、このような仮組付けを自動的に行わせる弁コッタ及びリテーナの組付け装置として、例えば特許文献1にて開示されるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−188239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の弁コッタ及びリテーナの組付け装置においては、以下の如き問題があった。近時においては、例えば自動車のエンジンにおいて、1気筒あたりのバルブ数を4つ以上の多数とする多バルブ化が顕著になってきており、それに対応すべく、弁コッタ及びリテーナを組み付けたものを大量に自動車組立工場等に供給する必要が生じている。しかしながら、上記従来の組付け装置においては、弁コッタ及びリテーナの組付け効率及び信頼性において不十分であり、弁コッタ及びリテーナを組み付けた部品を大量に供給するのに不具合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、弁コッタ及びリテーナの組付け効率及び信頼性を向上させることができ、弁コッタ及びリテーナを組み付けた部品を大量に供給させることができる弁コッタ及びリテーナの組付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、左右一対の弁コッタをリテーナの穴部に嵌合させて組み付け可能な弁コッタ及びリテーナの組付け装置において、弁コッタを整列させつつ小径の半円面を下面及び大径の半円面を上面とした状態で且つ外周面を外側に向けて搬送可能とされるとともに、当該左右一対の弁コッタを略直線状且つ略水平面内で搬送可能な弁コッタ搬送手段と、リテーナを整列させつつ搬送可能なリテーナ搬送手段と、前記弁コッタ搬送手段で搬送された弁コッタを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタを係止可能な係止手段と、該係止手段で係止されて待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送する弁コッタ移送手段と、前記リテーナ搬送手段で搬送されたリテーナを前記弁コッタ移送手段における組付位置の下方の位置まで移送するリテーナ移送手段と、組付位置の弁コッタを前記リテーナ移送手段で移送されたリテーナの穴部に嵌合させて組付ける組付手段とを具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の弁コッタ及びリテーナの組付け装置において、前記係止手段及び前記弁コッタ移送手段は、上下方向に交互に噛み合って配設され、それぞれが弁コッタの外周面に当接可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の弁コッタ及びリテーナの組付け装置において、前記係止手段は、左右それぞれの弁コッタの外周面に当接して当該弁コッタを係止可能な係止爪と、該係止爪を係止方向に付勢する付勢手段とを有し、前記弁コッタ移送手段による弁コッタの切り出しの際、前記付勢手段による付勢力に抗して前記係止爪を移動させることにより当該係止爪による係止を解くことが可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の弁コッタ及びリテーナの組付け装置において、
前記弁コッタ移送手段は、前記係止爪における離間部に位置する挟持位置と前記組付位置との間で移動可能とされ、当該挟持位置にて左右それぞれの弁コッタの外周面に合致しつつ当接可能な移送爪を有するとともに、弁コッタに当接させた当該移送爪を挟持位置から組付位置まで移動させることにより待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、弁コッタを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタを係止可能な係止手段と、待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送する弁コッタ移送手段とを具備したので、弁コッタ及びリテーナの組付け効率及び信頼性を向上させることができ、弁コッタ及びリテーナを組み付けた部品を大量に供給させることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、係止手段及び弁コッタ移送手段は、上下方向に交互に噛み合って配設され、それぞれが弁コッタの外周面に当接可能とされたので、装置全体をより小型化することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、係止手段は、左右それぞれの弁コッタの外周面に当接して当該弁コッタを係止可能な係止爪と、該係止爪を係止方向に付勢する付勢手段とを有したので、より正確且つ安定して弁コッタを待機位置にて係止させることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、弁コッタ移送手段は、係止爪における離間部に位置する挟持位置と組付位置との間で移動可能とされ、当該挟持位置にて左右それぞれの弁コッタの外周面に合致しつつ当接可能な移送爪を有するとともに、弁コッタに当接させた当該移送爪を挟持位置から組付位置まで移動させることにより待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送可能とされたので、より確実且つ精度よく弁コッタを順次切り出しつつ移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における弁コッタ及びリテーナの組付け装置を示す平面図
【図2】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置を示す正面図であって、図1におけるII−II線矢視図
【図3】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段を示す平面図
【図4】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段を示す正面図
【図5】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置におけるブロック部材を示す側面図(取付ベースを取り外した状態)
【図6】図5の底面図
【図7】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における仕切板の形状及びその近傍を示す一部断面図
【図8】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置におけるシュート内部を示す断面図
【図9】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における挿入ブロック及びその近傍を示す平面図
【図10】図9におけるX−X線断面図
【図11】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における弁コッタ移送手段の動作を説明するための模式図
【図12】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における挿入ブロックの断面図
【図13】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段を示す模式図
【図14】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段の動作を説明するための模式図
【図15】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置で組付けられる弁コッタ及びリテーナを示す斜視図
【図16】本発明の他の実施形態に係る弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段を示す模式図
【図17】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置におけるリテナ押上部材を示す模式図
【図18】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段の動作を説明するための模式図
【図19】本発明の更に他の実施形態に係る弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段を示す模式図
【図20】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における組付手段の動作を説明するための模式図
【図21】本発明の更に他の実施形態に係る弁コッタ及びリテーナの組付け装置における弁コッタ移送手段を示す模式図
【図22】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における弁コッタ移送手段を示す断面模式図
【図23】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における弁コッタ移送手段の動作を説明するための模式図
【図24】同弁コッタ及びリテーナの組付け装置における弁コッタ移送手段の動作を説明するための断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る弁コッタ及びリテーナの組付け装置は、弁コッタWaをリテーナWb(図15参照)に嵌合させて組み付け可能なものであり、図1〜7に示すように、弁コッタ搬送手段1と、リテーナ搬送手段2と、係止手段としての係止爪10及び付勢手段11と、弁コッタ移送手段12と、組付手段3とを具備したものである。
【0016】
尚、組付け対象としての弁コッタWa及びリテーナWbは、例えば自動車のエンジン等の4サイクル内燃機関における弁駆動機構を構成するものである。具体的には、弁コッタWaは、図15に示すように、左右一対の中空部材から成り、その左右の弁コッタWaを合致させた状態で上面が大径の円環形状、下面が小径の円環形状とされるものであり、リテーナWbは、その中央に左右一対の弁コッタWaを合致させた状態にて挿入させて嵌合し得る円錐状の穴部Wbaが形成されたものである。然るに、リテーナWbの穴部Wba内に弁コッタWaを嵌入した状態にて仮組付け状態とされ、1部品として取り扱い可能となっている。
【0017】
弁コッタ搬送手段1は、弁コッタWaを左右一対を一組として整列させつつ搬送可能な搬送手段(往復動式直進フィーダ等)から成り、多数の弁コッタWaを無造作(ランダム)に収容可能な収容部1aと、該収容部1a内の弁コッタWaを整列させつつ組付位置まで搬送するシュート1bとを有している。本実施形態に係る弁コッタ搬送手段1は、図2に示すように、その収容部1aが前後の板バネIa、Ibにて支持されつつ収容部1aの振動により弁コッタWaを順次、第2収容部1aaに送るよう構成されており、当該第2収容部1aaが図示しない前後の板バネにて支持されつつ第2収容部1aaの振動により弁コッタWaをシュート1b側に整列して順次送り出し可能とされている。
【0018】
シュート1bは、略直線状の搬送部材から成り、図8に示すように、幅方向中央において長手方向に延びて左右を仕切る仕切板1baと、上部を塞ぐ押え板7とを有して構成されている。かかるシュート1bにより、弁コッタWaを左右一対を一組としてそれぞれ整列させつつ略水平面内において略直線的に連続して搬送し得るようになっており、弁コッタWaの搬送をよりスムーズ且つ正確に行わせることができる。
【0019】
リテーナ搬送手段2は、リテーナWbを整列させつつ搬送可能な搬送手段から成り、多数のリテーナWbを無造作(ランダム)に収容可能な収容部2aと、該収容部2a内のリテーナWbを整列させつつ組付位置まで搬送するシュート2bとを有している。尚、本実施形態に係るリテーナ搬送手段2は、弁コッタ搬送手段1と同様、図示しない板バネにて支持された往復動式直進フィーダ等で構成されており、振動により連続的にリテーナWbを搬送し得るものとされている。
【0020】
尚、弁コッタWaは、小径の半円面を下面及び大径の半円面を上面とした状態で且つ外周面を外側に向け、仕切板1baにて仕切られつつ搬送されるとともに、リテーナWbは、円錐状の穴部Wbaの大径側を上方に臨ませつつ一列で搬送されるようになっている。特に、左右一対の弁コッタWaは、弁コッタ搬送手段1のシュート1bにて、略直線状且つ略水平面内で搬送可能とされている。これにより、組付位置において、弁コッタWaの直下にリテーナWbが位置決めした状態とすれば、当該弁コッタWaを穴部Wbaに押し込んで容易且つ確実に嵌合させ得るようになっている。
【0021】
弁コッタ搬送手段1におけるシュート1bの先端側には、左右一対の挿入ブロック6が配設されている。この挿入ブロック6は、図7に示すように、シュート1bと同じ断面形状の送路底8が形成されて弁コッタWaを摺動させ得るよう構成されているとともに、当該送路底8の上部まで押え板7を延設させている。かかる送路底8と押え板7との間の寸法は、弁コッタWaの高さ寸法より僅かに大きく設定されており、当該送路底8上の弁コッタWaが摺動過程で転回してしまうのを防止している。
【0022】
更に、挿入ブロック6には、その送路底8を左右に区画して仕切るための仕切板9が配設されている。当該仕切板9における組付用孔6aが形成された位置には、当該組付用孔6aに向かって下方に突出した突起部9aが形成されており、図14(a)で示すように、リテナ押上部材17にて押し上げられたリテーナWbの穴部Wbaを当該突起部9aが左右に仕切り得るようになっている。
【0023】
係止手段は、弁コッタ搬送手段1で搬送された弁コッタWaを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタWaを係止可能なもので、図9、10に示すように、左右それぞれの弁コッタWaの上部外周面及び下部外周面に当接して当該弁コッタWaを係止可能な左右一対の係止爪10と、該係止爪10を係止方向に付勢する付勢手段11とを有している。具体的には、係止爪10は、それぞれ揺動軸10aを中心に揺動可能とされるとともに、図5、6に示すように、互いの係止爪10がコイルスプリングから成る付勢手段11にて連結されており、当該係止爪10の先端側が互いに近接する方向に付勢されている。
【0024】
然るに、係止爪10の先端側が弁コッタ搬送手段1にて連続的に搬送される左右一対のそれぞれの弁コッタWaと当接し、これらを係止して、それより前進するのを規制しているのである。尚、各係止爪10の先端側は、互いに内側に向かって屈曲形成されており、弁コッタ搬送手段1にて連続的に順次搬送される弁コッタWaの最前列のものが当該屈曲部に当接して係止されることにより、更なる前進が規制されるようになっている。
【0025】
弁コッタ移送手段12は、係止爪10(係止手段)で係止されて待機位置にある弁コッタWaを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送するためのもので、上下の係止爪10における離間部Aに位置する挟持位置(図10、図11(a)参照)と組付位置(図11(c)参照)との間で移動可能とされ、当該挟持位置にて左右それぞれの弁コッタWa(係止手段で係止された最前列のもの)の外周面の高さ方向略中央部に合致しつつ当接可能な左右一対の移送爪15を有するものである。この移送爪15は、駆動機構13にて駆動可能とされている。
【0026】
即ち、各移送爪15は、挟持位置において係止爪10の離間部Aに位置して係止爪10の間に挟持された状態とされており、その状態から組付位置まで前進し得るよう構成されているのである。尚、移送爪15は、その先端が弁コッタWaの外周面形状に倣ったR形状とされており、当該先端が弁コッタWaの外周面に合致しつつ当接可能とされており、弁コッタWaを確実に切り出すことができるようになっている。
【0027】
更に具体的には、移送爪15は、図3で示すように、駆動機構13を構成するシリンダ13bにて前進及び後退(一対の移送爪15が互いに近接又は離間する方向の移動)が可能とされているとともに、当該シリンダ13bは、連結板14に連結されており、当該連結板14と共に動作可能とされている。この連結板14は、駆動機構13を構成するシリンダ13aにより同図中左右方向に移動可能とされており、これにより、移送爪15は、左右方向(図3中上下方向)及び前後方向(同図中左右方向)に移動自在となっている。尚、図3、9においては、便宜上、一対の移送爪15のそれぞれが同期していない状態となっているが、実際は、同一方向に同一タイミングで動作するようになっている。
【0028】
そして、左右一対の弁コッタWaを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送するには、図11に示すように、シリンダ13bを駆動することにより、係止手段で係止された最前列の弁コッタWaの外周面に移送爪15の先端を当接させ(同図(a)参照)、その状態でシリンダ13aを駆動して移送爪15を組付位置に向かって前進させる(同図(b)参照)。これにより、弁コッタWaの切り出しがなされるのであるが、この過程において、付勢手段11による付勢力に抗して係止爪10を外側へ揺動(移動)させることにより当該係止爪10による係止を解くことが可能とされている。
【0029】
即ち、移送爪15による切り出し時の力を利用して、係止爪10による係止を解くことが可能とされているのである。このように、係止爪10は、質量(慣性モーメント)が小さく旋回角度も僅かな弁コッタWaの外周面をなぞる滑らかな動作によって、移送爪15にて移送される弁コッタWaの通過後、速やかに閉止して次の弁コッタWaを係止するので、弁コッタWaが複数同時に切り出されることが抑制されている。
【0030】
その後、シリンダ13aを駆動し続けて移送爪15を更に前進させ、弁コッタWaを組付位置まで移送する(同図(c)参照)。尚、移送される過程において、弁コッタWaは、挿入ブロック6の上面に形成された摺動溝6bに沿って摺動することとなる。組付位置に至った左右それぞれの弁コッタWaは、挿入ブロック6の組付用孔6aの上方において、移送爪15と仕切板9との間で挟持された状態となっている。
【0031】
尚、本実施形態においては、挿入ブロック6上に形成された摺動溝6bは、組付用孔6aを越えてゴミ穴6cまで達するよう延設されている。これにより、弁コッタWbと共に移送されたゴミ等は、ゴミ穴6c側に押し出されて排出されるので、組付用孔6a近傍にてゴミ等が堆積してしまうのを防止することができる。
【0032】
更に、シリンダ13bを駆動して移送爪15を互いに離間する方向に後退させると、左右それぞれの弁コッタWaが挿入ブロック6の組付用孔6a内に至るようになっている(図12参照)。そして、シリンダ13aを駆動して移送爪15を初期位置(図9の下半分で示す位置)まで後退させれば、弁コッタ移送手段12による弁コッタWaの1回の切り出し動作が終了することとなる。
【0033】
一方、シュート2bの先端側には、モータM1にて回転可能な円板状部材から成るインデックス5(リテーナ移送手段)が配設されており、当該インデックス5には円周方向に略等間隔で複数の切欠き5aが形成されている。かかる切欠き5aは、リテーナWbを嵌入し得る大きさとされており、シュート2bの先端に達したリテーナWbが切欠き5aに嵌入され、その状態でモータM1を間欠的に駆動させれば、当該リテーナWbを1個毎に切り出して組付位置の下方の位置(後述する挿入ブロック6における組付用孔6aの直下)まで移送可能とされている。
【0034】
即ち、インデックス5は、所謂ターンテーブルから成るもので、間欠的に回転駆動されることにより、リテーナ搬送手段2のシュート2bで連続的に搬送されるリテーナWbの最前列のものを切り出して、組付位置の下方(組付用孔6aの直下)まで搬送し得るよう構成されているのである。尚、図4中符号4は、搬出手段を示しており、インデックス5が間欠的に回転駆動される過程において、リテーナWbに弁コッタWaを嵌合させた状態のものを当該搬出手段4によって取り出し可能となっている。
【0035】
組付手段3は、組付位置の弁コッタWaをインデックス5(リテーナ移送手段)で移送されたリテーナWbの穴部Wbaに嵌合させて組付けるものであり、図12及び図13で示すように、シリンダS1(図2参照)にて上下動可能な棒状の弁コッタ押込部材16と、シリンダS2(図2参照)にて上下動可能な棒状のリテナ押上部材17とを有している。弁コッタ押込部材16の先端側(下端側)には、仕切板9の厚さより若干大きな幅のスリット16aが長手方向に形成されているとともに、リテナ押上部材17の先端(上端)には、リテーナWbの穴部Wbaに挿通可能な凸状部17aが形成されている。
【0036】
弁コッタ押込部材16とリテナ押上部材17とは、挿入ブロック6の組付用孔6aに向かって上下動可能とされている。また、挿入ブロック6における組付用孔6aの下側は、図13で示すように、リテーナWbが嵌入可能な凹部6dが形成されている。即ち、組付用孔6aは、凹部6dと連通した状態となっており、上方開口から弁コッタWaが挿入される一方、下方開口からリテーナWbが挿入可能となっている。
【0037】
そして、弁コッタWaとリテーナWbとを組付けるには、シリンダS2を駆動してリテナ押上部材17を上昇させ、リテーナWbの下面にリテナ押上部材17の肩部17bを当接させつつリテーナWbの穴部Wbaに凸状部17aを挿通させる。その状態にて更にリテナ押上部材17を上昇させることにより、リテーナWbをインデックス5の切欠き5aから上昇させ、凹部6dの天面6daに押し付けた状態とする(図14(a)参照)。
【0038】
その後、シリンダS1を駆動して弁コッタ押込部材16を下降させ、当該弁コッタ押込部材16の先端16bにて左右一対の弁コッタWaを同時に下方へ押し込む(同図(b)参照)。これにより、リテーナWbの穴部Wba内に左右一対の弁コッタWaを挿入して嵌合させることができる。このとき、リテーナWbの穴部Wba内においては、仕切板9とこれに続く突起部9aにより、左の弁コッタWaが嵌合される部位と右の弁コッタWaが嵌合される部位とが仕切られているため、両弁コッタWaが異なるタイミングで落下した場合などでずれてしまう嵌合不良を防止することができる。
【0039】
そして、更にシリンダS1を駆動して弁コッタ押込部材16を下降させつつシリンダS2を駆動してリテナ押上部材17を下降させることにより(同図(c)参照)、弁コッタWaが組み付けられたリテーナWbが下降して、インデックス5の切欠き5aにて支持されることとなる。このとき、リテナ押上部材17は、初期位置まで下降させる。然るに、シリンダS2を駆動して弁コッタ押込部材16を初期位置まで上昇させることにより、リテーナWbに対する左右一対の弁コッタWaの組付けが終了することとなる。
【0040】
本実施形態においては、上記の如く、弁コッタWaの切り出し及び移送、リテーナWbの切り出し及び移送が同時に行われるとともに、リテーナWbに対する弁コッタWaの組付けが連続的に順次行われることとなる。本実施形態によれば、弁コッタWaを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタWaを係止可能な係止手段(係止爪10等)と、待機位置にある弁コッタWaを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送する弁コッタ移送手段12とを具備したので、弁コッタWa及びリテーナWbの組付け効率及び信頼性を向上させることができ、弁コッタWa及びリテーナWbを組み付けた部品を大量に供給させることができる。
【0041】
特に、本実施形態によれば、移送爪15にて最前列の弁コッタWaが切り出された後、係止手段にて待機位置にて係止される弁コッタWaの補充は、当該最前列の弁コッタWaの移送中に行われるので、連続的に速やか、且つ、高速な弁コッタWaの送り出しが可能とされる。その結果、本実施形態においては、例えば組付能力1秒/個以上の高速組付が可能となり、従来のものの2.5秒/個前後の能力を大幅に上回るものとすることができた。
【0042】
また、係止手段は、左右それぞれの弁コッタの上部外周面及び下部外周面に当接して当該弁コッタを係止可能な係止爪10と、該係止爪10を係止方向に付勢する付勢手段11とを有したので、より正確且つ安定して弁コッタWaを待機位置にて係止させることができる。尚、本実施形態においては、付勢手段11はコイルスプリングで構成しているが、係止爪10を係止方向に付勢する他の汎用的な付勢手段(例えば、板バネや弾性部材等)としてもよい。
【0043】
更に、弁コッタ移送手段12は、上下の係止爪10における離間部Aに位置する挟持位置と組付位置との間で移動可能とされ、当該挟持位置にて左右それぞれの弁コッタWaの外周面に合致しつつ当接可能な移送爪15を有するとともに、弁コッタWaに当接させた当該移送爪15を挟持位置から組付位置まで移動させることにより待機位置にある弁コッタWaを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送可能とされたので、より確実且つ精度よく弁コッタを順次切り出しつつ移送することができる。
【0044】
然るに、本実施形態においては、係止手段としての係止爪10を上下に離間させ、その離間部Aに弁コッタ移送手段12としての移送爪15を配設しているが、係止手段(係止爪10)及び弁コッタ移送手段12(移送爪15)は、上下方向に交互に噛み合って配設され、それぞれが弁コッタWaの外周面に当接可能とされていれば足り、例えば移送爪15を上下に離間させ、その離間部に係止爪を配設するようにしてもよい。更には、係止爪及び移送爪は、上記の如き枚数に限定されず、係止手段(係止爪)及び弁コッタ移送手段(移送爪)が上下方向に交互に噛み合って配設され、それぞれが弁コッタWaの外周面に当接可能とされていれば、他の枚数であってもよい。このように、係止手段及び弁コッタ移送手段を上下方向に交互に噛み合って配設し、それぞれが弁コッタの外周面に当接可能とすれば、装置全体をより小型化することができる。
【0045】
また更に、弁コッタWaは、小径の半円面を下面及び大径の半円面を上面としつつ外周面を外側に向けつつ整列されて搬送及び移送されるので、姿勢転換機構が少なく構成が単純且つコンパクトとすることができる。特に、本実施形態においては、往復動式直進フィーダを用いるため、弁コッタWaの整列機能を有しつつ搬送を可能とした小型の弁コッタ及びリテーナの組付け装置を提供することができる。尚、搬送方向断面が台形状の姿勢で搬送しているので、当該台形状に倣ったゲートを搬送途中に形成しておけば、姿勢不良(上下反対や横転したもの)の弁コッタWaの通過を確実に阻止することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、断面が矩形状空間とされ、始端から終端まで直線状とされたシュート1bにより弁コッタWaを搬送するので、当該シュート1bの加工が簡単で、高精度且つ互換性が高く、低コストなものとすることができる。また、上部の押え板7を脱着可能なものとして、搬送過程の弁コッタWaが詰まっても容易に対応可能とするよう構成してもよい。
【0047】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図16及び図17に示すように、挿入ブロック6に凹部6dを形成せず、且つ、凸状部17’aの側面に仕切板17’cを形成したリテナ押上部材17’を具備した組付手段としてもよい。而して、リテーナWbに対して弁コッタWaを組み付けるには、図18に示すように、リテナ押上部材17’を上昇させ、リテーナWbを切欠き5a内において僅かに押し上げる(同図(a)、(b)参照)。このとき、仕切板17’cが仕切板9の延長線上に位置することとなる。
【0048】
その後、弁コッタ押込部材16を下降させ、当該弁コッタ押込部材16の先端16bにて左右一対の弁コッタWaを同時に下方へ押し込む(同図(b)参照)。これにより、リテーナWbの穴部Wba内に左右一対の弁コッタWaを挿入して嵌合させることができる。このとき、リテーナWbの穴部Wba内においては、仕切板17’cにより、左の弁コッタWaが嵌合される部位と右の弁コッタWaが嵌合される部位とが仕切られているため、両弁コッタWaが異なるタイミングで落下した場合などでずれてしまう嵌合不良を防止することができる。
【0049】
そして、リテナ押上部材17’を初期位置まで下降させ(同図(c)参照)、更に弁コッタ押込部材16を初期位置まで上昇させれば、リテーナWbに対する左右一対の弁コッタWaの組付けが終了することとなる。かかる組付手段によれば、組付用孔6aの形状を簡素化させてその加工を容易とすることができるとともに、リテーナWbに対する弁コッタWaの組付け時にリテーナWbを僅かに上昇させれば足り、組付け効率及び組付け速度を更に向上させることができる。
【0050】
また、図19に示すように、図示しない空気源と連結されて空気を噴出し得るノズルから成る弁コッタ押込部材18と、先端から側面に亘って連通した通路17”aが形成されたリテナ押上部材17”とを具備した組付手段としてもよい。而して、リテーナWbに対して弁コッタWaを組み付けるには、図20に示すように、リテナ押上部材17”を上昇させ、リテーナWbをインデックス5の切欠き5aから上昇させ、凹部6dの天面6daに押し付けた状態とする(同図(a)参照)。
【0051】
その後、弁コッタ押込部材18から空気を下方に向かって噴出させ、その圧力により左右一対の弁コッタWaを同時に下方へ押し込む(同図(b)参照)。これにより、リテーナWbの穴部Wba内に左右一対の弁コッタWaを挿入して嵌合させることができる。そして、リテナ押上部材17”を初期位置まで下降させ(同図(c)参照)、更に弁コッタ押込部材18からの空気の噴出を停止すれば、リテーナWbに対する左右一対の弁コッタWaの組付けが終了することとなる。尚、図20(a)で示す如く、より確実な組付けのため、通路17”aの側面開口において、真空圧形成手段19が位置するよう構成し、真空圧を生じさせるようにしてもよい。
【0052】
かかる組付手段によれば、弁コッタ押込部材18から空気を下方に向かって噴出させ、その圧力により左右一対の弁コッタWaを同時に下方へ押し込むことにより、リテーナWbに対する左右一対の弁コッタWaの組付けが行われるので、瞬時に弁コッタWaの組付けを行わせることができ、組付け効率及び組付け速度を更に向上させることができる。尚、本実施形態においても、リテナ押上部材17”の先端に図16及び図17で示す如き仕切板を形成し、凹部6dを不要とするようにしてもよい。
【0053】
更に、図21及び図22に示すように、平面視でL字状とされて一部にピン21bが突出形成された移送爪21を具備するとともに、当該移送爪21を駆動するための駆動機構として、シリンダ20、ブロック22、カム板23を有した弁コッタ移送手段としてもよい。シリンダ20は、その作動ロッドが移送爪21の基端部21aと連結されている。移送爪21は、基端部21aを中心に揺動自在とされるとともに、図示しない付勢手段によって仕切板9に当接する方向に付勢されている。ブロック22は、挿入ブロック6の左右側面にそれぞれ固定されたブロック状の部品であり、図示の如く屈曲形成されたカム板23が形成されている。このカム板23は、基端部23aを中心に揺動自在とされるとともに、先端がブロック22の一部と当接する方向に付勢されている。
【0054】
そして、左右一対の弁コッタWaを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送するには、図23、24に示すように、シリンダ20を駆動することにより、係止手段で係止された最前列の弁コッタWaの外周面に移送爪21の先端を当接させた状態から当該移送爪21を組付位置(組付用孔6a)側に前進させる(図23(a)、図24(a)参照)。これにより、弁コッタWaの切り出しがなされるのであるが、この過程において、付勢手段11(図6、7参照)による付勢力に抗して係止爪10を外側へ揺動(移動)させることにより当該係止爪10による係止を解くことが可能とされている。即ち、移送爪21による切り出し時の力を利用して、係止爪10による係止を解くことが可能とされているのである。
【0055】
その後、シリンダ20を駆動し続けて移送爪21を更に前進させ、弁コッタWaを組付位置まで移送する(図23(b)、図24(b)参照)。尚、組付位置に至った左右それぞれの弁コッタWaは、挿入ブロック6の組付用孔6aの上方において、移送爪15と仕切板9との間で挟持された状態となっている。而して、移送爪21が前進する過程において、ピン21bは、カム板23の内側の面を摺動することとなり、当該カム板23をその付勢力に抗して揺動させ得るようになっている。
【0056】
そして、シリンダ20を反対側に駆動して移送爪21を後退させようとすると、ピン21bは、カム板23の外側の面(背面)を摺動することとなるので、移送爪21が基端部21aを中心に互いに外側に向かって揺動し、それらの先端が左右それぞれの弁コッタWaから離間することとなる(図23(c)、図24(c)参照)。然る後、更に移送爪21を後退させて初期位置まで戻せば(図23(d)、図24(d)参照)、本実施形態に係る弁コッタ移送手段による弁コッタWaの1回の切り出し動作が終了することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
弁コッタを左右一対を一組として整列させつつ搬送可能な弁コッタ搬送手段と、リテーナを整列させつつ搬送可能なリテーナ搬送手段と、弁コッタ搬送手段で搬送された弁コッタを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタを係止可能な係止手段と、係止手段で係止されて待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送する弁コッタ移送手段と、リテーナ搬送手段で搬送されたリテーナを移送手段における組付位置の下方の位置まで移送するリテーナ移送手段と、組付位置の弁コッタをリテーナ移送手段で移送されたリテーナの穴部に嵌合させて組付ける組付手段とを具備した弁コッタ及びリテーナの組付け装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 弁コッタ搬送手段
2 リテーナ搬送手段
3 組付手段
4 搬出手段
5 インデックス(リテーナ移送手段)
6 挿入ブロック
7 押え板
8 送路底
9 仕切板
10 係止爪(係止手段)
11 付勢手段(係止手段)
12 弁コッタ移送手段
13 駆動機構
14 連結板
15 移送爪
16 弁コッタ押込部材
17 リテナ押上部材
18 弁コッタ押込部材
19 真空圧形成手段
20 シリンダ
21 移送爪
22 ブロック
23 カム板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の弁コッタをリテーナの穴部に嵌合させて組み付け可能な弁コッタ及びリテーナの組付け装置において、
弁コッタを整列させつつ小径の半円面を下面及び大径の半円面を上面とした状態で且つ外周面を外側に向けて搬送可能とされるとともに、当該左右一対の弁コッタを略直線状且つ略水平面内で搬送可能な弁コッタ搬送手段と、
リテーナを整列させつつ搬送可能なリテーナ搬送手段と、
前記弁コッタ搬送手段で搬送された弁コッタを待機位置にて待機させるべく当該弁コッタを係止可能な係止手段と、
該係止手段で係止されて待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送する弁コッタ移送手段と、
前記リテーナ搬送手段で搬送されたリテーナを前記弁コッタ移送手段における組付位置の下方の位置まで移送するリテーナ移送手段と、
組付位置の弁コッタを前記リテーナ移送手段で移送されたリテーナの穴部に嵌合させて組付ける組付手段と、
を具備したことを特徴とする弁コッタ及びリテーナの組付け装置。
【請求項2】
前記係止手段及び前記弁コッタ移送手段は、上下方向に交互に噛み合って配設され、それぞれが弁コッタの外周面に当接可能とされたことを特徴とする請求項1記載の弁コッタ及びリテーナの組付け装置。
【請求項3】
前記係止手段は、
左右それぞれの弁コッタの外周面に当接して当該弁コッタを係止可能な係止爪と、
該係止爪を係止方向に付勢する付勢手段と、
を有し、前記弁コッタ移送手段による弁コッタの切り出しの際、前記付勢手段による付勢力に抗して前記係止爪を移動させることにより当該係止爪による係止を解くことが可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の弁コッタ及びリテーナの組付け装置。
【請求項4】
前記弁コッタ移送手段は、前記係止爪における離間部に位置する挟持位置と前記組付位置との間で移動可能とされ、当該挟持位置にて左右それぞれの弁コッタの外周面に合致しつつ当接可能な移送爪を有するとともに、弁コッタに当接させた当該移送爪を挟持位置から組付位置まで移動させることにより待機位置にある弁コッタを一組毎に順次切り出して組付位置まで移送可能とされたことを特徴とする請求項3記載の弁コッタ及びリテーナの組付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−58421(P2011−58421A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208917(P2009−208917)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(501393586)ナックフィーディング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】