説明

弁置換のためのステント−弁ならびに手術のための付随する方法およびシステム

【課題】弁置換のための改良されたステント−弁を提供する。
【解決手段】ステント−弁(例えば、単一−ステント−弁および二重−ステント−弁400)、ならびに最小侵襲的手術を介するそれらの送達のための付随する方法およびシステムが開示される。ヒト身体内での使用のための置換弁であって:弁構成要素100;第1の部分、該弁構成要素を収容する第2の部分200、および第3の部分300を備えるステント構成要素、を備え、ここで、該第3の部分が、送達デバイスへの離脱可能な取付けのための形態である少なくとも1つの取付け要素を備える、置換弁。好ましくは、前記少なくとも1つの取付け要素が、前記送達デバイスの相補的要素への離脱可能な取付けのための形態である幾何学的開口部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2006年9月7日に出願された米国仮特許出願番号第60/843,181号、および2006年12月21日に出願された米国特許出願番号第11/700,922号の利益を主張しており、これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、ステント−弁、ならびに最小侵襲的手術を介するそれらの送達のための付随する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
心臓弁置換の従来のアプローチは、外科医が患者の心臓にアクセスすることを可能にするために、患者の胸骨(胸骨切開術)または胸腔(開胸術)における比較的大きな開口部の切断を必要とする。さらに、これらアプローチは、患者の心臓の停止および心肺バイパスを必要とする(すなわち、患者の血液を酸素化し、そして循環するための心臓−肺バイパス機械の使用)。それらの侵襲性にもかかわらず、これらの外科的アプローチは、最初の介入として合理的に安全であり得る。しかし、この最初の手術から生じる組織接着は、引き続く弁置換手術に付随するリスク(例えば死亡)を増加し得る。非特許文献1;および非特許文献2を参照のこと;これら各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0004】
合成弁および生物学的弁は、様々な結果とともに心臓弁置換のために用いられている。合成弁は不全になることは希であるが、置換弁中およびその周りで血液が凝固する(血栓症)ことを防ぐために一生抗凝固薬処置を必要とする。このような抗凝固薬処置は、患者の活動を顕著に制限し、そして種々のその他の合併症を引き起こし得る。生物学的弁はこのような抗凝固薬処置は必要としないが、一般的には10〜15年以内に不全になる。従って、不全になった生物学的弁に対する再手術の必要性およびそれに付随するリスクを抑制するために、従来的には、生存することが約10〜15年未満である患者のみが、生物学的弁置換を受けた。より長い平均余命をもつ患者は、合成弁と抗凝固薬処置とを受けている。
【0005】
心臓弁置換のための侵襲性のより少ない外科的方法を開発するための試みがなされている。これらの外科的方法は、経皮心臓弁置換治療(PHVT)と称され、置換弁を、患者の血管系を用いて移植部位に送達するためにカテーテルを用いる。これらのPHVTの試みは種々の欠点を有し、それらは、患者の身体内での置換弁の適正な位置決めおよび安定性を確実にする能力のないことを含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Akinsら、Risk of Reoperative Valve Replacement for Failed Mitral and Aortic Bioprosttheses、Ann Thorac Surg 1998;65:1545〜52
【非特許文献2】Weerasingheら、First Redo Heart Valve Replacement−10−Year Analysis、Circulation 1999;99:655−658
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述を考慮して、心臓弁置換のための改良された方法、システム、およびデバイスを提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明のいくつかの実施形態は、心臓弁置換のためのシステム、方法、およびデバイスに関する。例えば、これらの方法、システム、およびデバイスは、不全の大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁の置換を含む、心臓弁治療の全範囲に適用可能であり得る。いくつかの実施形態では、本発明は、外科的アプローチを容易にし得、それによって、手術が、開放−胸部腔および心臓−肺バイパスの必要なくして拍動する心臓に対して実施される。この最小侵襲的外科的アプローチは、まず第1に不全の生来の弁を置換することに付随するリスク、および不全の人工(例えば、生物学的または合成)弁を置換するための第2または引き続く手術に付随するリスクを減少し得る。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態に従うステント−弁は、弁構成要素および少なくとも1つのステント構成要素を含み得る。この弁構成要素は、生物学的または合成(例えば機械的)弁および/または任意のその他の適切な材料(単数または複数)を含み得る。上記ステント構成要素は、第1の部分(例えば近位部分)、上記弁構成要素を収容する形態である第2の部分、および第3の部分(例えば遠位部分)を含み得る。これらステント構成要素および弁構成要素は、少なくとも2つの形態:折り畳まれた形態(例えば送達の間における)および拡大された形態(例えば移植後における)であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記ステント弁の第1の部分は、固定要素を含み得る。このような固定要素は、例えば、移植部位において上記ステント−弁を適所に固定するための環状溝を含み得る。このステント−弁が単一のステントを含むとき(「単一−ステント−弁」)、この環状溝は、置換の必要のある弁の輪(annulus)を受容する形態であり得る。このステント−弁が2つのステントを含むとき(「二重−ステント−弁」)、第1のステント構成要素の環状溝は、第2のステント構成要素(すなわち、位置決めステント)の相補的環状突出部への嵌合可能な取付けのための形態であり得る。順に、第2ステント構成要素は、移植部位で、例えば、置換の必要のある弁、そして/または隣接している構造体に係留され得る。
【0011】
あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、上記ステント構成要素の第3の部分は、少なくとも1つの取付け要素を含み得る。上記ステント−弁の各々の取付け要素は、送達デバイスの相補的構造体への離脱可能な取付けのための形態である、例えば、幾何学的開口部(例えば、円形または卵形)、フック、またはストラップを含み得る。さらに、各取付け要素は、2つの弁小葉の間の交連が取り付けられ得る交連ポストのすべてまたは一部分に対応し得る。この取付け要素(単数または複数)は、上記ステント−弁が患者の身体内で部分的に拡大され、その一方で、このステント−弁が送達デバイスに取り付けられたままであることを可能にし得る。これは、上記ステント−弁を完全に拡大することが、このステント−弁が不適正に設置され得ると判断されるとき、上記ステント−弁が折り畳まれた形態に戻り、そして患者の身体内で再位置決めされることを可能にする。あるいは、またはさらに、これは、上記ステント−弁が適正に機能していないこと(例えば、十分な流れを可能にしない)が判断されるとき、このステント−弁が折り畳まれた形態に戻り、そして患者身体から取り外されることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、上記ステント−弁は、1つの取付け要素を含み得る。その他の実施形態では、上記ステント−弁は、少なくとも2、3、6、または任意のその他の適正な数の取付け要素を含み得る。いくつかの実施形態では、取付け要素(単数または複数)の領域における完全に拡大されたステント直径は、付随する弁を収容する領域の直径より小さくあり得る。これは、これら取付け要素からの患者身体に対する損傷(例えば、大動脈の穿孔)のリスクを減少し得、そして/またはこれら取付け要素を送達デバイスの相補的構造体に固定することをより容易にし得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記ステント−弁のステント構成要素は、複数のセルを備える格子構造を含み得る。この格子構造は、例えば、ニチノールまたは任意のその他の適切な材料(単数または複数)のような形状記憶合金から形成され得る。この格子構造中のセルは、固定要素を含むステント構成要素の部分において最も密に配置され得る。これは、固定要素への付加された支持を提供し得、そしてステント−弁の安定性を増加する。いくつかの実施形態では、上記格子構造は、少なくとも1つの取付け要素に向かい、ステント構成要素に沿って遠位方向に延びる、少なくとも1つの細長い幹(stem)(例えば交連ポスト)を形成し得る。この少なくとも1つの幹は、少なくとも1つの取付け要素に直接接続し得る。あるいは、上記格子構造は、少なくとも1つの幹を少なくとも1つの取付け要素に接続するための少なくとも1つの支持要素を形成し得る。いくつかの実施形態では、この格子構造中のすべてのセルは閉鎖されたセルであり得、これは、部分的に拡大された形態から折り畳まれた形態まで、上記ステント−弁の回復を容易にし得る。
【0013】
本発明のなおその他の実施形態は、弁を置換するための方法に関する。ステント−弁は、環状溝を備えたステント構成要素を含んで提供され、そしてこのステント−弁は、置換の必要のある弁の輪に軸方向に固定される。いくつかの実施形態では、ステント−弁を提供することは、弁構成要素をステント構成要素に縫合することを含み得る。あるいは、またさらに、ステント−弁を提供することは、摩擦嵌合を形成するためにステント構成要素内で弁構成要素を拡大することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステント−弁を提供することは、弁構成要素をステント構成要素に、フック−および−ループ(例えば、VELCRO(登録商標))固定システムで固定することを含み得る。
【0014】
本発明のその他の実施形態では、弁を置換する方法が提供され、それによって、環状要素を含む第1のステント構成要素は、この第1のステント構成要素の少なくとも一部分が置換の必要のある弁内に収容されるように移植される。第2のステント構成要素を含むステント−弁は、第1のステント構成要素内に、この第2のステント構成要素の相補的環状要素を第1のステント構成要素の環状要素に嵌合可能に取り付けることによって位置決めされる。
【0015】
本発明のなおその他の実施形態では、ステント−弁送達システムが提供される。第1のアセンブリが提供され、これは、外側シースおよびガイドワイヤ管材を含む。この送達システムはまた、ステント−弁の少なくとも1つの取付け要素への離脱可能な取付けのための形態であるステントホルダーを含む第2のアセンブリを含む。ステント−弁は、第1のアセンブリのガイドワイヤ上に位置決めされ得る。この第1のアセンブリと第2のアセンブリとは、閉鎖位置から開放位置まで移行するような互いに対する相対的移動のための形態であり得る。閉鎖位置では、上記外側シースは、ステントホルダーになお取り付けられているステント−弁を取り囲み得、そしてそれ故に、このステント−弁の拡大を拘束する。開放位置では、外側シースはステント−弁の拡大を拘束しなくても良く、そしてそれ故に、このステント−弁はステントホルダーから離脱し得、そして完全に拡大された形態に拡大する。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記第1および第2のアセンブリは、閉鎖位置から、部分的開放位置まで、さらに開放位置まで移行するような形態であり得る。この部分的開放位置では、ステント−弁は部分的に開放し得るが、ステントホルダーからは離脱しない。なぜなら、外側シースはステント−弁の少なくとも1つの取付け要素およびステントホルダーをなお取り囲み得るからである。ステント−弁がこの部分的に拡大された形態にあるとき、このステント−弁が完全に拡大された形態まで拡大される場合、このステント−弁が正確に位置決めされているか否か決定され得る。あるいは、またはさらに、このステント−弁が部分的に拡大された形態にあるとき、このステント−弁の機能が試験され得る(例えば、このステント−弁が十分な血液流れを許容するか否かを決定する)。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記ステント−弁送達システムは、少なくとも1つのバルーンの膨張に基づくステント−弁の拡大またはステントの位置決めを引き起こす形態の(例えば、ステント−弁または送達されるその他のステントの近位方向に)少なくとも1つのバルーンを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記ステント−弁送達システムは、第1のアセンブリと第2のアセンブリとの相対的移動を引き起こすプッシュハンドルを含み得る。あるいは、上記ステント−弁送達システムは、ハンドルの回転運動を、上記第1のアセンブリと上記第2のアセンブリとの相対的移動に変えるためのねじ機構をさらに備え得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記ステント−弁送達システムは、上記ステント−弁の移植部位への送達の間に、上記第1のアセンブリおよび上記第2のアセンブリがその中に位置決めされる一体型導入具をさらに含み得る。この一体型導入具は、上記第1のアセンブリおよび上記第2のアセンブリが取り外された後でさえ、患者身体内に残るような形態であり得、閉塞具の導入を可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記ステント−弁の上記完全に拡大された形態への拡大の後に、上記送達システムは、上記第2のアセンブリを上記ステント−弁を通って、上記第1のアセンブリの遠位端に向かって通過することによって上記閉鎖位置まで戻るような形態であり得る。
【0021】
本発明のなおその他の実施形態は、心臓ステント−弁を移植部位に送達する方法に関し、それによってこのステント−弁を送達デバイスに離脱可能に取り付け、そしてこのステント−弁は上記移植部位に折り畳まれた形態で送達される。このステント−弁は、送達デバイスに取り付けて維持されながら、このステント−弁は部分的に近位方向に拡大され得る。このステント−弁に対する決定が、このステント−弁が上記部分的に拡大された形態にあるときなされ得る。この決定が肯定応答を生じるとき、上記ステント−弁は、このステント−弁を上記送達デバイスからこのステント−弁を離脱させることにより、その完全に拡大された形態に拡大され得る。
【0022】
1つの特定の実施形態では、上記ステント−弁が移植部位で正確に位置決めされているか否か決定され得る。このステント−弁は、このステント−弁が移植部位で正確に位置決めされていないとき、折り畳まれた形態に戻り得、そして再位置決めされる。
【0023】
あるいは、またはさらに、上記ステント−弁のバルブ構成要素が適正に機能しているか否か、例えば、上記バルブ構成要素が十分な血流を許容するか否かを試験することにより決定され得る。このステント−弁は、このステント−弁が適正に機能していないとき、上記折り畳まれた形態に戻され得、そして患者の身体から取り外される。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記ステント−弁を移植部位に送達することは、上記ステント−弁を心臓弁の置換のために心臓に送達することを含む。この送達は、患者の身体に、肋間腔(例えば第5肋間腔)を通ってアクセスすること、および心尖で左心室を貫通することを包含し得る。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)ヒト身体内での使用のための置換弁であって:
弁構成要素;
第1の部分、該弁構成要素を収容する第2の部分、および第3の部分を備えるステント構成要素を備え、
ここで、該第3の部分が、送達デバイスへの離脱可能な取付けのための形態である少なくとも1つの取付け要素を備える、置換弁。
(項目2)前記少なくとも1つの取付け要素が、前記送達デバイスの相補的要素への離脱可能な取付けのための形態である幾何学的開口部を備える、項目1に記載の置換弁。
(項目3)前記少なくとも1つの取付け要素が、前記送達デバイスの相補的要素への離脱可能な取付けのための形態であるワイヤ、フックまたはストラップを備える、項目1に記載の置換弁。
(項目4)前記少なくとも1つの取付け要素が、少なくとも2つの取付け要素を備える、項目1に記載の置換弁。
(項目5)前記少なくとも1つの取付け要素が、少なくとも3つの取付け要素を備える、項目1に記載の置換弁。
(項目6)前記少なくとも1つの取付け要素が、少なくとも6つの取付け要素を備える、項目1に記載の置換弁。
(項目7)前記ステント構成要素が:
少なくとも1つの交連ポスト;および
前記少なくとも1つの取付け要素を備える格子構造体を備える、項目1に記載の置換弁。
(項目8)前記格子構造体がさらに、前記少なくとも1つの交連ポストを前記少なくとも1つの取付け要素に連結するための少なくとも1つの支持要素を備える、項目7に記載の置換弁。
(項目9)前記少なくとも1つの取付け要素が、前記ステント構成要素の中心軸に向かって少なくとも部分的に内方に突出する、項目1に記載の置換弁。
(項目10)前記第3の部分が、前記第2の部分の直径より小さい直径を有する、項目1に記載の置換弁。
(項目11)ヒト身体内での使用のための置換弁であって:
弁構成要素;および
固定要素を備える第1の部分;
該弁構成要素を収容するような形態である第2の部分;および
少なくとも1つの取付け要素を備える第3の部分を備えるステント構成要素を備える、置換弁。
(項目12)前記固定要素が、環状溝を備える、項目11に記載の置換弁。
(項目13)前記環状溝が複数の独立に屈曲可能な要素から形成され、ここで、各々の屈曲可能な要素が、その位置が取付られた対の支柱の長さによって決定される屈曲変形を備える、項目12に記載の置換弁。
(項目14)前記取付け要素が、開口部、フック、またはストラップを形成するワイヤを備える、項目11に記載の置換弁。
(項目15)前記第2の領域が、該第2の領域の外面から外方に突出する少なくとも1つのロック要素を備える、項目11に記載の置換弁。
(項目16)心臓ステント−弁送達システムであって:
外側シースおよびガイドワイヤ管材を備える第1のアセンブリ;および
ステント−弁の少なくとも1つの取付け要素への離脱可能な取付けのための形態であるステントホルダーを備える第2のアセンブリを備え、該ステント−弁が該第1のアセンブリのガイドワイヤ管材上に位置決めされ、
ここで、該第1のアセンブリと該第2のアセンブリとが、閉鎖位置から開放位置まで移行するような互いに対する相対的移動のための形態であり、該閉鎖位置では、該外側シースが、該ステントホルダーになお取り付られている該ステント−弁を取り囲み、そしてそれ故に該ステント−弁の拡大を拘束し、そして該開放位置では、該外側シースが、該ステント−弁の拡大を拘束せず、そしてそれ故に該ステント−弁が該ステントホルダーから離脱し、そして完全に拡大された形態まで拡大する、心臓ステント−弁送達システム。
(項目17)前記第1のアセンブリおよび前記第2のアセンブリが、前記閉鎖位置から、部分的開放位置まで、さらに前記開放位置まで移行するような形態であり、ここで、該部分的開放位置では、前記ステント−弁が部分的に近位方向に拡大するが、前記外側シースが該ステント−弁の少なくとも1つの取付け要素および該ステントホルダーをなお取り囲むので該ステントホルダーから離脱しない、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目18)フラッシュ機構をさらに備える、項目17に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目19)少なくとも1つのバルーンをさらに備え、該少なくとも1つのバルーンが、前記ステント−弁の移植および拡大の前、または該少なくとも1つのバルーンの膨張に基づく該ステント−弁の拡張の後に、少なくとも1つの弁形成術を引き起こすような形態である、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目20)前記少なくとも1つのバルーンが、前記ステント−弁の近位方向に収容される、項目19に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目21)前記少なくとも1つのバルーンが、前記ステント−弁の遠位方向に収容される、項目19に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目22)前記少なくとも1つのバルーンが、前記ステント−弁の内に少なくとも部分的に収容される、項目19に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目23)前記第1のアセンブリと前記第2のアセンブリとの相対的移動を引き起こすためのプッシュハンドルをさらに備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目24)ハンドルの回転運動を、前記第1のアセンブリと前記第2のアセンブリとの相対的移動に変えるためのねじ機構をさらに備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目25)前記ステント−弁の移植部位への送達の間に、前記第1のアセンブリおよび前記第2のアセンブリがその中に位置決めされる一体型導入具をさらに備え、ここで、該一体型導入具が、該第1のアセンブリおよび該第2のアセンブリが除去された後でさえ、患者身体内に残るような形態である、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。(項目26)前記ステント−弁の前記完全に拡大された形態への拡大の後に、前記送達システムが、前記第2のアセンブリを該ステント−弁を通って、前記第1のアセンブリの遠位端に向かって通過することによって前記閉鎖位置まで戻るような形態である、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目27)前記ステント−弁の前記少なくとも1つの取付け要素が、前記ステントホルダーの相補的構造体への離脱可能な取付けのための形態である幾何学的開口部を備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目28)前記幾何学的開口部が、円形または卵形の開口部を含む、項目27に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目29)前記ステント−弁の前記少なくとも1つの取付け要素が、前記ステントホルダーの相補的構造体への離脱可能な取付けのための形態である、ワイヤ、フック、またはストラップを備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目30)前記ステント−弁の前記少なくとも取付け要素が、前記ステントホルダーの対応する数の相補的構造体への離脱可能な取付けのための形態である少なくとも2つの取付け要素を備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目31)前記ステント−弁の前記少なくとも取付け要素が、前記ステントホルダーの対応する数の相補的構造体への離脱可能な取付けのための形態である少なくとも3つの取付け要素を備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目32)前記ステント−弁の前記少なくとも取付け要素が、前記ステントホルダーの対応する数の相補的構造体への離脱可能な取付けのための形態である少なくとも6つの取付け要素を備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目33)前記ステント−弁が:
少なくとも1つの交連ポスト;および
前記少なくとも1つの取付け要素を備える格子構造体を備える、項目16に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目34)前記ステント−弁の前記格子構造体が、前記少なくとも1つの交連ポストを前記少なくとも1つの取付け要素に接続するための少なくとも1つの支持要素をさらに備える、項目33に記載の心臓ステント−弁送達システム。
(項目35)心臓ステント−弁を移植部位に送達する方法であって:
該ステント−弁を送達デバイスに離脱可能に取り付ける工程;
該ステント−弁を該移植部位に折り畳まれた形態で送達する工程;
該ステント−弁を送達デバイスに取り付けた状態に維持しながら、該ステント−弁を部分的に近位方向に拡大する工程;および
該ステント−弁が該部分的に拡大された形態にあるとき、該ステント−弁に対する決定をなす工程、を包含する、方法。
(項目36)前記決定をなす工程が、前記ステント−弁が前記移植部位に正確に位置決めされているか否かを決定することを包含する、項目35に記載の方法。
(項目37)前記ステント−弁を前記折り畳まれた形態に戻す工程、および該ステント−弁が前記移植位置に正確に位置決めされていないとき、該ステント−弁を再位置決めする工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目38)前記決定をなす工程が、前記ステント−弁の弁構成要素が適正に機能しているか否か決定することを包含する、項目35に記載の方法。
(項目39)前記弁構成要素が適正に機能しているか否か決定することが、該弁構成要素が十分な血液−流れを許容するか否かを試験することを包含する、項目38に記載の方法。
(項目40)前記ステント−弁が適正に機能していないときに、該ステント−弁を前記折り畳まれた形態に戻す工程、および該ステント−弁を患者の身体から取り外す工程をさらに包含する、項目38に記載の方法。
(項目41)前記決定をなす工程が肯定応答を生じるときに、前記送達デバイスから前記ステント−弁を離脱させることにより、該ステント−弁を完全に拡大させる工程をさらに包含する、項目35に記載の方法。
(項目42)前記ステント−弁を移植部位に送達する工程が、該ステント−弁を心臓弁の置換のために心臓に送達することを包含する項目35に記載の方法であって、該送達することがさらに:
患者の身体に、肋間腔を通ってアクセスすること;および
心尖で左心室を貫通することを包含する、項目35に記載の方法。
(項目43)前記アクセスすることが、患者の身体に、第5肋間腔を通ってアクセスすることを包含する、項目42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明のより良好な理解のために、添付の図面を組み合わせて考慮し、以下の説明への参照がなされ、図面では、同様の参照文字は、全体を通じて同様の部分を指す。
【図1A】図1Aは、本発明のいくつかの実施形態による拡大された形態にある弁構成要素を示す。
【図1B】図1Bは、本発明のいくつかの実施形態による折り畳まれた形態にある弁構成要素を示す。
【図2A】図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による拡大された形態にあるステント構成要素を示す。
【図2B】図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による拡大された形態にある、ステント構成要素および弁構成要素を含む、単一−ステント−弁を示す。
【図2C】図2Cは、本発明のいくつかの実施形態による、単一−ステント−弁折り畳み形態を示す。
【図3A】図3Aは、本発明のいくつかの実施形態による、拡大された形態にあるステント構成要素を示す。
【図3B】図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、折り畳まれた形態にあるステント構成要素を示す。
【図4】図4は、本発明のいくつかの実施形態による、拡大された形態にある、2つのステント構成要素および弁構成要素を含む二重−ステント−弁を示す。
【図5A】図5Aは、本発明のいくつかの実施形態による不全の生物学的(人工)弁を置換する単一−ステント−弁の使用を示す。
【図5B】図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による不全の生物学的(人工)弁を置換する単一−ステント−弁の使用を示す。
【図6A】図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による不全の生物学的(人工)弁を置換する単一−ステント−弁の使用を示す。
【図6B】図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による不全の生物学的(人工)弁を置換する単一−ステント−弁の使用を示す。
【図7A】図7Aは、本発明のいくつかの実施形態による不全の生物学的(人工)弁を置換する単一−ステント−弁の使用を示す。
【図7B】図7Bは、本発明のいくつかの実施形態による不全の生物学的(人工)弁を置換する単一−ステント−弁の使用を示す。
【図8A】図8Aは、本発明のいくつかの実施形態による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素、およびステントを移植部位で固定するための固定要素を含むステント構成要素を示す。
【図8B】図8Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素、およびステントを移植部位で固定するための固定要素を含むステント構成要素を示す。
【図8C】図8Cは、本発明のいくつかの実施形態による、付随する弁を収容するステント領域の直径より小さい、取付け要素(単数または複数)の領域における直径を有するステント構成要素を示す。
【図8D】図8Dは、本発明のいくつかの実施形態による、移植部位における幾何学的形状/位相幾何学的形状にステントを位置決め/固定することにおける使用のための独立に屈曲可能な要素(単数または複数)を含むステント構成要素を示す。
【図8E】図8Eは、本発明のいくつかの実施形態による、王冠形態のロック要素、およびステントを移植部位で固定するための固定要素を含むステント構成要素を示す。
【図8F】図8Fは、弁構成要素を、ステント構成要素を送達デバイスに取り付けるための取付け要素(単数または複数)を含むステント構成要素の領域により接近して運ぶための複数の支柱を含むステント構成要素を示す。
【図9A】図9Aは、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図9B】図9Bは、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図9C】図9Cは、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図10A】図10Aは、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図10B】図10Bは、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図11】図11は、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図12】図12は、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図13】図13は、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図14】図14は、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図15】図15は、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図16】図16は、本発明による、ステントを送達デバイスに固定するための取付け要素および/または移植部位でステントを固定するための固定要素を含むステント構成要素のさらなる実施形態を示す。
【図17】図17は、本発明のいくつかの実施形態による、二重−ステント−弁のさらなる実施例を示す。
【図18】図18は、本発明のいくつかの実施形態による、二重−ステント−弁のさらなる実施例を示す。
【図19】図19は、本発明のいくつかの実施形態による、二重−ステント−弁のさらなる実施例を示す。
【図20】図20は、本発明のいくつかの実施形態による、二重−ステント−弁のさらなる実施例を示す。
【図21A】図21Aは、本発明のいくつかの実施形態による、対向する二重王冠の形状にあるステント−弁を示す。
【図21B】図21Bは、本発明のいくつかの実施形態による、二重−円錐形ステントの図を示す。
【図21C】図21Cは、本発明のいくつかの実施形態による、二重−円錐形ステントの図を示す。
【図21D】図21Dは、本発明のいくつかの実施形態による、二重−円錐形ステントの図を示す。
【図21E】図21Eは、本発明のいくつかの実施形態による、二重−円錐形ステントの図を示す。
【図22A】図22Aは、本発明のいくつかの実施形態による、自己拡大ステント−弁を移植部位まで送達するための送達システムを示す。
【図22B】図22Bは、本発明のいくつかの実施形態による、自己拡大ステント−弁を移植部位まで送達するための送達システムを示す。
【図22C】図22Cは、本発明のいくつかの実施形態による、自己拡大ステント−弁を移植部位まで送達するための送達システムを示す。
【図22D】図22Dは、本発明のいくつかの実施形態による、自己拡大ステント−弁を移植部位まで送達するための送達システムを示す。
【図23A】図23Aは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図23B】図23Bは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図23C】図23Cは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図23D】図23Dは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図24A】図24Aは、本発明のいくつかの実施形態による増加した直径を備えた近位外側シャフトを有する送達システムを示す。
【図24B】図24Bは、本発明のいくつかの実施形態による増加した直径を備えた近位外側シャフトを有する送達システムを示す。
【図24C】図24Cは、本発明のいくつかの実施形態による増加した直径を備えた近位外側シャフトを有する送達システムを示す。
【図24D】図24Dは、本発明のいくつかの実施形態による増加した直径を備えた近位外側シャフトを有する送達システムを示す。
【図25A】図25Aは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図25B】図25Bは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図25C】図25Cは、本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能なバルーン(単数または複数)を備えた送達システムを示す。
【図26A】図26Aは、本発明のいくつかの実施形態による、一体型導入具を備えた送達システムを示す。
【図26B】図26Bは、本発明のいくつかの実施形態による、一体型導入具を備えた送達システムを示す。
【図26C】図26Cは、本発明のいくつかの実施形態による、一体型導入具を備えた送達システムを示す。
【図27】図27は、本発明のいくつかの実施形態による、不全の生来または人工弁を置換することに含まれる例示のステージのフローチャートである。
【図28A】図28Aは、本発明のいくつかの実施形態による、送達システムの使用を通じて不全の弁の置換を示す。
【図28B】図28Bは、本発明のいくつかの実施形態による、送達システムの使用を通じて不全の弁の置換を示す。
【図28C】図28Cは、本発明のいくつかの実施形態による、送達システムの使用を通じて不全の弁の置換を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
図1A〜3Bは、例えば、不全の(例えば、変性した)大動脈弁、僧帽弁、または肺動脈心臓弁(例えば、小児患者における)の置換における使用のための、本発明のいくつかの実施形態による、構成要素100、200、および300を示す。より詳細には、図1Aおよび1Bは、弁構成要素100を示す。図2A〜2Cは、弁構成要素100を収容するためのステント構成要素200を示す。図3Aおよび3Bは、ステント構成要素200およ弁構成要素100を収容するためのステント構成要素300を示す。構成要素100および200を含むデバイスは、単一−ステント−弁と称され得る。構成要素300をさらに含むデバイスは、二重−ステント−弁と称され得る。
【0027】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、弁構成要素100、ステント構成要素200、およびステント構成要素300を含む二重−ステント−弁400を示す。二重−ステント−弁400は、不全の生来の弁または人工弁を置換し得る。不全の生来の弁は、例えば、狭窄弁であり得る。「人工弁」は、手術を介して患者の身体中に導入される生物学的または合成(例えば、機械的)弁をいう。デバイス400(またはその他の置換弁)のための移植部位は、代表的には、不全の弁内および/または隣接構造(単数または複数)の少なくとも一部分に沿った領域の少なくとも一部分を含む。例えば、不全の大動脈弁を置換するために、デバイス400は、患者の身体内に、このデバイスの部分402が不全の大動脈弁内に実質的に完全に位置決めされるように移植され得る。デバイス400の部分404は、大動脈の少なくとも一部分に沿って拡大し得る。デバイス400の部分406は、患者の心臓の左心室の少なくとも一部分に拡大し得る。
【0028】
二重−ステント−弁400は、任意の適切な送達アプローチを用いて移植部位に送達され得る。本発明のいくつかの実施形態では、デバイス400は、デバイス400が移植部位に送達される前に、患者の身体の外側で構成要素100、200、および300から実質的に完全にアセンブルされ得る。本発明のその他の実施形態では、デバイス400の構成要素100、200および300は、複数ステップで別個に移植部位に送達され得る。例えば、ステント構成要素300は送達され、そして移植部位に設置され、1つ以上の別個のステップでステント構成要素200および弁構成要素100の送達および設置が続く。1つの実施形態では、構成要素100および200は、患者の身体の外側でアセンブルされ得、そして次に構成要素300内で同時に送達および設置される。別の実施形態では、ステント構成要素200がステント構成要素300内に送達および設置され得、別個のステップで弁構成要素100の送達および設置が続く。二重−ステント−弁のさらなる実施形態は、図17〜20と組み合わせて説明される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、弁構成要素100およびステント構成要素200を含む(しかし、ステント構成要素300は含まない)単一−ステント−弁(図2B)が、不全の生来弁または人工弁を置換するために用いられ得る。例えば、1つの特定の実施形態では、この単一−ステント−弁は、先の弁置換手術の間に患者の身体に導入された不全の生物学的弁を置換し得る。それ故、図2Bに示される単一−ステント−弁を含む手術は、第2または引き続く弁置換手術であり得る。この実施形態では、新たなステント構成要素300が患者の身体に導入されなくても良いが、この構成要素100および200を含む単一−ステント−弁は、先の弁置換手術から移植部位に残るステントおよび/または弁によって収容され得る。いくつかの実施形態では、先の手術からのステントおよび/または弁の少なくとも一部分は、この単一−ステント−弁が移植部位に設置される前に除去され得る。単一−ステント−弁での不全の生物学的弁の置換に関するさらなる詳細は図5A〜7Bに説明される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、弁構成要素100は、それが、例えば、カテーテルを経由する移植部位への送達の間に折り畳まれ得るように、可撓性かつ折り畳み可能であり得る。最小侵襲的手術のための送達システムおよび外科的アプローチの種々の実施形態は、図22A〜26Cと組み合わせて以下に説明される。送達に際し、弁構成要素は、少なくとも部分的に拡大され得る。図1Aは、拡大された形態にある弁構成要素100の斜視図である。図1Bは、折り畳まれた形態にある弁構成要素100の斜視図である。本明細書で用いられるとき、「折り畳まれた形態」および「拡大された形態」は、構成要素の直径および/または任意のその他の物理的特徴(単数または複数)(例えば、長さ、幅)における相対的差異をいう。例えば、図1Bに示される折り畳まれた弁構成要素は、減少した直径を有し、そして図1Aに示される拡大された弁構成要素より長い長さを有しても良いし、有さなくても良い。
【0031】
弁構成要素100は、生物学的材料(例えば、なめした、なめされていない、異種または自己由来)、非生物学的材料、合成材料(例えば、ポリウレタンおよび/またはシリコーンのようなポリマー)、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、弁構成要素100は、例えば、ヒト組織(例えば、弁組織の同種移植片、自己移植片)または動物組織(異種移植片(hetrograft)または異種移植片(xenograft))のような、保存された生物学的組織を含み得る。いくつかの実施形態では、弁構成要素100は、機械的弁であり得る。例えば、弁構成要素100が生物学的弁であるとき、折り畳まれた形態から拡大までの弁構成要素100の拡大は、固定されたステント構成要素200の自己拡大を必要とし得る。対照的に、合成弁構成要素100は、自己拡大し得る。弁構成要素100は、意図される弁適用対象(例えば、三尖、肺動脈、僧帽または大動脈)の形状/形態に対応する形状/形態(例えば、長さ、幅、直径など)を有し得る。図1Aおよび1Bでは、弁構成要素100は、3つの皮弁(flap)を有する三尖弁である。この特定の形態は、例えば、不全の大動脈弁を置換するために特に適切であり得る。その他の実施形態では、弁構成要素100は、任意のその他の適切な数の弁および/またはその他の物理的特徴(例えば、直径、長さ、幅など)を有し得る。
【0032】
図2Aは、本発明の実施形態による、ステント構成要素200の斜視図である。図2Bに示されるように、ステント構成要素200は、弁構成要素100を収容する。いくつかかの実施形態では、ステント構成要素200の少なくとも一部分は、形状が実質的に円筒形であり得る。あるいは、またはさらに、ステント構成要素200は、例えば、ステントを移植部位でその場に固定するために、インデント(例えば、環状の溝)またはその他の固定要素202を有し得る。例えば、ステント構成要素200が、二重−ステント−弁400(図4)の一部であるとき、固定要素202は、ステント構成要素300の相補的固定要素302(例えば、内方環状突出部、図3A)に嵌合して付着し得る。ステント構成要素200が単一−ステント−弁(図2B)の一部であるとき、固定要素202は、不全の弁の少なくとも一部分に添えられ得る。固定要素を含み得るステント構成要素のさらなる実施形態は、図6Aおよび8A〜16と組み合わせて説明される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、ステント構成要素200は、バルブ構成要素100のように、少なくとも2つの形態:第1の折り畳まれた形態(例えば、送達の間)および第2の拡大された形態(例えば、設置後)を有し得る。図2Aは、例示の拡大された形態にあるステント構成要素200を示す。図2Cは、例示の折り畳まれた形態にあるステント構成要素200を示し、折り畳まれた弁構成要素100が、例えば、同時に移植部位への両方の構成要素の送達のために、その中に収容される。いくつかの実施形態では、ステント構成要素200はワイヤから作製され得るか、またはチューブ、シースなどからレーザー切断され得る。ステント構成要素200は、例えば、ニチノールのような形状記憶合金を含み得る。この形状記憶合金は、ステント構成要素200(および/または弁構成要素100)の、例えば、患者の身体中の小さな開口部を通る送達のための第1の形態への圧縮、および設置の間の第2の形態へのステント構成要素200の拡大を可能にし得る。構成要素100および/または200は、シースまたはラップを用いて、折り畳まれた形態に保持され得る。シース/ラッピイングは、構成要素100および/または200が第2の形態に回復することを可能にするために除去され得る。
【0034】
弁構成要素100は、ステント構成要素200に、任意の適切な固定機構または固定機構の組合せを介して固定され得る。例えば、1つの実施形態では、弁構成要素100は、1つ以上の縫い目でステント構成要素200に固定され得る。別の実施形態では、弁構成要素100は、摩擦嵌合によりステント構成要素200に固定され得る。例えば、バルブ構成要素100は、ステント構成要素200の拡大直径よりもわずかに大きい完全に拡大された直径を有することにより、構成要素100および200は、構成要素100が構成要素200内での拡大時に一緒にしっかりと嵌合し得る。なお別の実施形態では、フック−および−ループ型(例えば、VELCRO(登録商標))固定システムが弁構成要素100をステント構成要素200に固定するために用いられ得る。例えば、ステント構成要素200は顕微鏡的フックを含み得、そして弁構成要素100は対応する顕微鏡的ループを含み得る(逆もまたあり得る)。このフック−および−ループ固定システムは、微小ベロア(micro−velour)材料を含み得、これは、組織内成長を改善するための外科的適用として以前から用いられているものである。このようなフック−および−ループ固定システムは、例えば、構成要素100および200が患者の身体内に移植された後に、弁構成要素100の位置がステント構成要素200の位置に対して微調整されることを可能にし得る。このフック/ループはまた、弁構成要素100とステント構成要素200との間の界面において、血液凝血およびシールの形成を容易にし得る。早すぎる血餅形成(例えば、設置が終了する前の過剰な血餅形成)を避けるために、抗凝固モニタリングおよび/または処置が患者に提供され得る。信頼性のあるフック−および−ループ接続は、(以下に記載されるように)比較的高い活性化圧力が必要であり得るが、早すぎる血餅形成の存在下でもなお達成され得る。事前評価は、信頼性のあるフック−および−ループ連結が水、ゼリー、液体石鹸、および/または凝固性タンパク質の存在下で形成され得ることを示す。いくつかの実施形態では、このようなフック−および−ループ固定システムが、代替的にまたは追加的に用いられ得、ステント構成要素200をステント構成要素300に固定する(例えば、ステント構成要素200の外表面に取り付けられた顕微鏡的フックとステント構成要素300の内表面に取り付けられた対応する顕微鏡的ループとを用いるものであり、または逆もあり得る)。
【0035】
任意の適切な機構または機構の組合せ(例えば、機械的圧力の直接的または間接的な行使)が、微小−フックを微小−ループに付着させるために必要な活性化圧力を供給するために用いられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のバルーンが、弁構成要素100および/またはステント構成要素200(例えば、弁構成要素100内にある)に隣接して位置決めされ得、そして一時的に膨張させられて、微小−フックを微小−ループと接触させる。このようなバルーン(単数または複数)は、ステントおよび/または弁の移植部位への送達に続き、弁構成要素100および/またはステント構成要素200内に配置され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、上記バルーン(単数または複数)は、ステントおよび/または弁の移植部位への送達の前(例えば、ステントおよび/または弁の送達デバイス中への装填の前)に、弁構成要素100および/またはステント構成要素200内に取付けられ得る(例えば、離脱可能に取付けられる)。このようなバルーン(単数または複数)の使用は、弁およびステントがフック/ループによって互いに固定される実施形態に限定されない。むしろ、このようなバルーン(単数または複数)は、ステントおよび/または弁の移植部位での拡大および/または係合を支援するためにバルーン(単数または複数)を用いることが必要、または所望されるときはいつでも(例えば、弁がステントに縫合されるとき)用いられ得る。いくつかの実施形態では、微小−フックを微小−ループに接触させるために、ステント構成要素200内で自己拡大する自己拡大型の弁構成要素100が提供され得る。
【0036】
図3Aは、本発明の実施形態によるステント構成要素300の斜視図である。上記に記載したように、ステント構成要素300は、ステント構成要素200(図2A)の相補的固定要素202に嵌合して付着する固定要素302(例えば、内方環状突出部)を有し得る。図4は、このような嵌合可能な付属物の実施形態を示し、ここでは、構成要素300が、両方の構成要素100および200を収容し、二重−ステント−弁400を形成する。ステント構成要素300のこの幾何形状(例えば、長さ、幅、直径など)は、例えば、大動脈弁置換のために特に好適であり得る。その他の実施形態では、ステント構成要素300のその他の幾何形状および形態が提供され得る。
【0037】
ステント構成要素300は、任意の適切な固定機構または固定機構の組合せを用いて、移植部位においてその場に固定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、固定要素302は、不全の弁の少なくとも一部分を受容するための窪み(例えば、外部環状溝)を形成し得る。いくつかの実施形態では、ステント構成要素300は、移植部位におけるステント構成要素300の送達および拡大が、ステント構成要素300を摩擦嵌合によってその場に固定するように、移植部位の直径よりわずかに大きい直径を有し得る。いくつかの実施形態では、ステント構成要素300は、ステント構成要素300を移植部位において不全の弁および/または隣接する構造体(単数または複数)に係留するための1つ以上の突出部(例えば、スパイク)またはクラスプを含み得る。
【0038】
図5A〜7Bは、先の手術の間に患者の身体に導入された不全の人工(例えば、生物学的)弁(例えば、ステント−弁)を置換するための本発明の実施形態を示す。図5Aは、不全の生物学的弁500の斜視図であり、ここでは、弁の小葉502は閉鎖できない。図5Bは、図2Bに示されるステント−弁の移植後の不全の生物学的弁500の斜視図である。示されるように、不全の生物学的弁500(例えば、および/またはその付随するステント)は、新たなステント−弁を移植部位でその場に固定する。より詳細には、ステント−弁の最も狭い部分を形成する環状溝であり得るステント−弁の固定要素202(図2Aおよび2B)は、不全の生物学的弁500の輪を受容し得、それによって、ステント−弁をその場に固定する。本発明のその他の実施形態では、不全の生物学的弁500の少なくとも一部分は、患者の身体から除去され得(例えば、不全の弁自体)、その一方で、不全の弁のその他の部分(単数または複数)は、移植部位において後に残され得る(例えば、支持ステント)。なおその他の実施形態では、その付随する構成要素(単数または複数)のすべてを含む不全の生物学的弁500が、新たなステント−弁の設置の前に移植部位から実質的に完全に除去され得る。
【0039】
図6Aは、本発明の実施形態によるステント−弁600の別の実施例の斜視図である。図6Bは、不全の人工(例えば、生物学的)弁を置換するためのステント−弁600の使用を示す斜視図である。ステント−弁600は、ステント構成要素の外表面に沿って1つ以上(例えば、3つ)のロックまたは保持要素602を含む。各々のロック要素602は、ロック要素の別の表面(例えば、カテーテルの内側)との係合に際し、それが折り畳まれる(例えば、ステント構成要素の外表面と同一平面上になる)ような指向性を含み得る。ロック要素602がステント構成要素の外表面から突出するとき、ロック要素の第1の端部604はステント構成要素の外表面に隣接し得、その一方で、ロック要素の第2の端部606は、ステント構成要素の外表面から間隔を置いて離れ得る。複数のロック要素602が提供されるとき、すべてのロック要素の第1の端部604は、(ステント構成要素の周りで均一に分散されているにもかかわらず)ステント構成要素の中心軸に沿って実質的に同じ垂直高さ/位置に位置決めされ得、そして第2の端部606は、第1の端部604とは異なる垂直高さ/位置に位置決めされ得る。第1の端部604は、第2の端部のステント構成要素の外表面に対する移動がロック機構を損なわないように、可撓性であり得る(例えば、二次元のヒンジ様の移動を可能にする)。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、ステント−弁600は、図6Bで矢印608の方向に不全の弁の内部に挿入され得る。各ロック要素602の第1の端部604が、不全の弁の内直径/輪に遭遇するとき、ロック要素の第2の端部606は、ステント構成要素の外表面に向かって折り畳まれ得る。ロック要素の第2の端部606が不全の弁の開放領域に到達する際に、第2の端部が外方に突出し得、ステント−弁600をその場にロックする。それ故、ロック要素602は、(例えば)不全の弁の輪にステント−弁600を固定するためのステント構成要素の固定要素610(例えば、環状溝)の代替として、またはそれに加えて、新たなステント−弁をその場に固定するための機構を提供する。
【0041】
図7Aおよび7Bは、本発明による、ロック要素を備えたステント構成要素700の別の実施形態を示す。図7Aは、このようなステント構成要素が、例えば、適切な材料(例えば、ニチノール)のシートから作製され得ることを示す。図7Bを参照して、ステント構成要素700は、各ロック要素について、そのロック要素の第1の端部704および第2の端部706がステント構成要素の中心軸に沿って実質的に同じ垂直位置/高さを有するように、ステント構成要素の外表面から半径方向に延びる1つ以上のロック要素702を含む。その他の実施形態では、このようなロック要素は、同じロック要素の端部704および706がステント構成要素の中心軸に沿って異なる相対的な垂直位置/高さを有するようにわずかに角度をなし得る。いくつかの実施形態では、端部704および706を有する各ロック要素が異なる角度または配向を備える複数のロック要素を含むステント構成要素が提供され得る。異なるロック要素702は、ステント構成要素の中心軸に沿って同じか、または異なる垂直位置/高さを有し得る。
【0042】
図8A〜16は、本発明のいくつかの実施形態による、弁置換における使用のための適切なステント構成要素のさらなる実施例を示す。これらのステント構成要素は、例えば、単一−ステント−弁および二重−ステント−弁の一部として用いられ得る。これらステント構成要素の各々は、ステント構成要素を(例えば、一体化弁構成要素とともに)送達デバイス(図22〜26)に離脱可能に取付けるために1つ以上の取付け要素を含む。いくつかの実施形態では、これらステント構成要素はまた、ステント構成要素を移植部位においてその場に固定するために、(例えば、固定要素202(図2A)に類似の)固定要素を含み得る。
【0043】
図8Aは、折り畳まれた形態にあるステント構成要素800の斜視図、およびその構造に関する詳細を示す、ステント構成要素800の切断図を示す。図8Bは、拡大された形態にあるステント構成要素800を示す。ステント構成要素800は、固定要素を含む第1の(例えば、近位)部分802、その中に収容されるべき弁構成要素の輪郭に従い得る第2の部分804、および1つ以上(例えば、3つ)の取付け要素808を含む第3の(例えば、遠位)部分806を含む。いくつかの実施形態では、ステント構成要素800は、例えば、部分804および/または部分806より格子セルのより密な集団を有する部分802を伴う(例えば)格子構造(例えば、ニチノールワイヤが形成される)を含み得る。これは、部分802において固定要素に付加的な支持を提供し得、そしてそれ故、移植部位においてデバイス800の安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、ステント構成要素800は、ステント構成要素800が部分的に拡大された形態(以下に説明される)にあるとき、送達デバイスによるステント構成要素800の回復を容易にするために閉鎖格子セルのみを含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、取付け要素808の各々は、ステント構成要素800を送達デバイスの相補的要素(例えば、ワイヤ、ストラップまたはフック)に離脱可能に取付けるための開口部(例えば、円形または卵形)を含み得る。取付け要素808は、ステント構成要素を送達システムに取付けたままにして患者の身体内で(例えば、一体化弁構成要素および/または別のステント構成要素と一緒に)このステント構成要素の部分的拡大を可能にし得る。例えば、ステント構成要素800の部分802および804(例えば、そして部分806の一部分)は、ステント構成要素800が送達の間にシャフトから部分的に解放されるときに拡大し得、その一方で、シャフトによってなお拘束されている取付け要素808の相対的位置には変化が観察されなくても良い(例えば、図28「部分的解放」を参照のこと)。これは、外科医が、移植部位においてステント−弁の展開を完了する前に、患者の身体内でステント−弁(または二重−ステント−弁)を再位置決めし、そして/または試験することを可能にし得る。弁の機能性に関するこのような試験は、末梢脈拍モニタリングを含み得、それによって脈波は、弁が適正に機能している場合に測定可能である。ステント弁機能のより信頼性ある評価は、経食道超音波心エコー検査(TEE)、脈管内超音波(IVUS)および/または心臓内超音波心臓検査(ICE)でなされ得る。試験の間にステント−弁が不調である場合(例えば、弁が十分な血液流を可能にしない場合)、ステント−弁は、送達デバイスによって完全に再捕捉され得、そして患者の身体から回収される。その他の実施形態では、ステント構成要素800は、異なる格子構造を有し得、取付け要素808は長さおよび/またはその他の寸法(単数または複数)が減少または拡大され得、そして/または取付け要素808は、ステント構成要素800に対して別の位置(単数または複数)(例えば、部分804内)に含められ得る。
【0045】
図8Cは、取付け要素(単数または複数)の領域における完全に拡大された直径が付随する弁を収容する領域の直径より小さいような形態である一体化取付け要素814を備えるステント構成要素の別の実施形態を示す。この実施例で示されるように、これら取付け要素は、ステント構成要素の中心軸に向かって内方に部分的に突出する。これは、これら取付け要素からの患者の身体への損傷(例えば、大動脈の穿孔)のリスクを減少し得る。あるいは、またはさらに、これは、取付け要素を送達デバイスの相補的構造体に固定することをより容易にし得る。例えば、デバイスが、送達デバイスへの取付けのために折り畳まれるとき、これら取付け要素の領域内の減少した直径は、これら取付け要素がステントホルダーをより容易に係合するようにし得る。
【0046】
図8Dは、本発明によるステント構成要素のなお別の実施形態を示す。この実施形態では、ステントの第1の(近位)部分は、27個の独立の屈曲可能要素816を含み、それらの各々は、開放および/または閉鎖の状態であり得る接続および/または非接続セルを含み得る。この実施形態では、各々の屈曲可能な要素は、単一の閉鎖したセルを含む。その他の実施形態では、その他の数および/または形態の屈曲可能要素が提供され得る。屈曲可能要素816は、近位ステント部分の、(例えば)石灰化した輪/不全の生物学的弁の幾何/位相幾何形状への正確な位置決め/取付けを可能にする。各々の要素816は、石灰化した輪/不全の生物学的弁の部分のすぐ隣の位相幾何形状に独立に屈曲/適合し得る。屈曲可能要素816は、集合的に輪の溝を形成し、その中で、各々の屈曲可能要素についても屈曲変形(溝の部分)の位置は、接続部として作用するステント支柱(818、820)の付着した対の長さを低減すること、または延長することによって制御される。単一ステント支柱の長さは、数字822によって示される。主として、各々の屈曲可能要素816の半径方向の力/抵抗性は、ステント製造の間における角度824の選択によって影響される。支柱の厚み/幅のようなその他の設計パラメーターもまた、半径方向の力に影響する。この設計の利点は、ステント近位部分が、ステント中央部分とは独立に、ステントを移植部位においてその場により適切に係留し得ることである。従って、ステント中央部分は、何らのオーバーサイジングなくして(例えば)大動脈弁を収容するように設計され得、それ故、長期間の機械的応力に起因する弁不全のリスクを減少する。図8Dのステントはまた、製造すること、および/または折り畳む(クリンプ)ことの間において、ステント内での伸長不一致(もしあれば)を収容するための補償要素826(例えば、三角形の波部分および2つの細長いアームを含む)を含む。図8Cに示される実施形態と図8Dを対比すると、専用の支柱の対の不在が、ステント近位部分が(例えば、移植の間に)独立に曲がる要素を有することを妨げる。
【0047】
図8Eは、本発明によるステント構成要素の別の実施形態を示す。図8Eでは、その特徴をより明瞭に示すためにステント構成要素の約1/3の切断図のみが示される。図6Aおよび6Bに示されるロック/保持要素602と同様に、図8Eに示されるステント構成要素は、図8Bに領域804として参照されるステント構成要素の領域内にほぼ配置される複数の独立に屈曲可能なロック要素828を含む。ロック要素828は、例えば、流出側から、不全の生物学的弁または石灰化した生来の輪を係合し得る王冠を形成する。図8E中のステント構成要素はまた、固定要素830(例えば、環状の輪)を含む。図8Eでは、ロック要素828は、ステント構成要素の中心軸に沿って実質的に同じ位置/高さに位置決めされて示される。その他の実施形態では、異なるロック要素828は、例えば、図7Bに示されるステントと同様に、ステント構成要素の中心軸に沿って同じか、または異なる垂直位置/高さを有し得る。ロック要素828の少なくともいくつかが異なる位置/高さを有することは、例えば、異なるサイズの生来の弁(例えば、短距離だけ分離されるロック要素によって係合され得る薄い生来の弁、またはより遠く間隔を置いたロック要素によってのみ係合され得る厚い生来の弁)との係合を容易にし得る。
【0048】
図8Fは、本発明によるステント構成要素の別の実施形態を示す。図8Fでは、その特徴をより明瞭に示すためにステント構成要素の約1/3の切断した図のみが示される。図8Fは、バルブ構成要素を収容するためにDacronのポケット832を含み、ここでこのDacronのポケット832は、弁の自由エッジ834に沿って縫合される。示されるように、ポケット832内の弁構成要素は、取付け要素836により緊密に収容され、これは、図9Cに示される実施形態におけるより、図8Fの実施形態における、図8Bにおける取付け要素808に類似している。中央の逆U形状の支柱838は、Dacronのポケット832中に滑り込んでいる。この弁/ポケットは、外側の逆U形状支柱840に縫合される。内側U形状支柱842は、Dacronのポケット832の外側に位置決めされ、そしてDacronのポケット832と外側シースとの間の摩擦力を低減することにより、送達デバイスとのインプラントの装填/離脱/再捕捉の間における滑り材(スキッド)として供される。内側U形状支柱842もまた、Dacronのポケット832に縫合され得る。いくつかの実施形態では、Dacronのポケット832は、さらなる縫い目844で閉鎖され得る。ステントの底部分は、図8Fには示されないが、いくつかの実施形態では、それは、例えば、図8Bにおける固定要素802に類似の固定要素(例えば、環状溝)を含み得る。
【0049】
図9A〜9Cは、本発明の実施形態による一体型取付け要素902を備えたステント構成要素900の別の実施例を示す。図9Aは、折り畳まれた形態にあるステント構成要素900の斜視図、およびその構造に関する詳細を示すステント構成要素900の切断図を示す。図9Bは、拡大された形態のステント構成要素900の斜視図である。図9Cは、そのサイズ(例えば、約4センチメートル)を示すためのルーラーのそばに位置決めされる(一体型弁構成要素を備えた)ステント構成要素900を示す。示されるように、取付け要素902の各々は、2つの支持要素904(例えば、ワイヤ)によってステント構成要素900に取付けられた円形または卵形の開口部を含む。順に、支持要素904の各対は、格子構造内の幹906に付着する。対照的に、図8B中の取付け要素808の各々は、単一の支持要素810によってステント構成要素800に付着し、そして各支持要素810は、幹812に取付けられる。図8A〜16に示されるステント構成要素のすべては3つの幹を含むが、本発明のいくつかの実施形態によれば、その他の適切な数の幹が提供され得るか、または幹がまったくなくても良い(例えば、図2A)ことが理解される。ステント構成要素900はまた、固定要素202(図2A)に実質的に類似していても良い、固定要素908を含む。図9Cの実施形態では、弁構成要素は、その輪の周縁の周りで縫合される。この弁構成要素の3つの小葉の各々はまた、ステントにスポット縫合され、弁機能性を可能にする。縫合の位置は、弁または縫合糸を損傷することなく折り畳み(クリンプ)の間にステントの伸長を許容するために選択され得る。例えば、ステントの流入側(例えば、図8Bに示される領域802内)は、その内側上に布(例えば、メッシュ)で被覆され得る。この布および弁構成要素は、環状溝に隣接する領域で(例えば、図8B中の部分802および804の境界に沿って)ステントに(例えば、稼働および/または中断技法を用いて)縫合され得る。流入側上のいくらかの過剰な布は、ステントの外側上で折り畳まれ得、そして先の縫合位置の近傍で(例えば、さらに部分804に向かって)弁構成要素と一緒に縫合される。弁構成要素の継ぎ目もまた、布(例えば、Dacron)で先に覆われても良い、対応するステントポストに取付けられ得る。あるいは、心膜またはその他の適切な材料が、ステント構成要素を覆うために用いられ得る。いくつかの実施形態では、弁構成要素は、3つの心臓弁膜尖間の最適適合を有するために種々のドナーから、そのように収穫されるか、またはアセンブルされ得る、ブタの弁構成要素であり得る。ウシおよびウマの弁がまた用いられ得、これらは心膜からなる。種々の弁構成要素のその他の適切な供給源がまた、用いられ得る。
【0050】
図10A〜10Bは、本発明の実施形態による、一体型取付け要素1002を備えるステント構成要素1000のなお別の例を示す。図10Aは、折り畳まれた形態にあるステント構成要素1000の斜視図、およびその構造に関する詳細を示すステント構成要素1000の切断図を示す。図10Bは、拡大された形態にあるステント構成要素1000の斜視図である。示されるように、少なくとも1つの対(例えば、すべての対)の取付け要素1002が、ブレーシング要素1004で互いに接続される。各ブレーシング要素1004は、1つの端部上で第1の取付け要素1002に、そして他方の端部上で第2の取付け要素1002に付着し得る。いくつかの実施形態では、これらブレーシング要素1004は、三角形の波のような形状のワイヤを含み得る。すべての取付け要素1002がブレーシング要素1004を含むとき、集合的にブレーシング要素1004は、ステント構成要素1000の周りで円を形成し得る。ステント構成要素1000は、すべてのその他の点で、ステント構成要素800(図8B)と実質的に同じであり得る。
【0051】
図11〜16は、本発明のいくつかの実施形態による、一体型取付け要素を備えるステント構成要素のさらなる例を示す。図11〜16の各々は、折り畳まれた形態にあるステント構成要素の斜視図、およびその構造に関する詳細を示すステント構成要素の切断図として示す。以下の説明は、図11〜16に示されるステント構成要素の種々の特徴を要約する。図8A〜16に示される実施形態のさらなる構造的特徴は、図面から当業者に明らかである。
【0052】
図11は、対応する数の卵形/円形取付け要素に取付けるためのより短い支持要素を含むステント構成要素を示す(すなわち、図8Bの支持要素810に比較してより短い)。図11中の支持要素に取付けるための幹は、図9B中の幹906と実質的に同じであり得る。
【0053】
図12は、各卵形/円形取付け要素に取付けるための2つの支持要素を含むステント構成要素を示す。支持要素の各対は、幹に、支持要素および幹が集合的に、例えば、さらなる支持および/またはさらなるまたはそれに代わる取付け要素としての使用のための、第2の卵形/円形開口部を形成するように幹に付着する。図12中の幹は、図9B中の幹906と実質的に同じであり得る。
【0054】
図13は、送達デバイスの相補的要素(例えば、円形または卵形開口部)に嵌合可能に取付けられる、例えば、ワイヤ、フック、ストラップ、またはその組み合わせのような非円形/非卵形取付け構成要素を含むステント構成要素を示す。図13中のステント構成要素はまた、ステント構成要素900(図9Aおよび9B)の取付け要素の数(例えば、3)と比較したとき、増加した数の取付け要素(例えば、6)を含む。図13では、これら取付け要素は、幹あたり2つの取付け要素で、ステント構成要素の幹に直接取付けられる。図13中の幹は、図9B中の幹906と実質的に同じであり得る。
【0055】
図14は、長く狭い開口部(例えば、図9Aの取付け要素902と比較して長くかつ狭い)を備えた図13中のワイヤ/フック取付け要素を置換したステント構成要素を示す。図14中の幹は、図9B中の幹906と実質的に同じであり得る。
【0056】
図15は、改変された幹構造を含む、改変された格子構造を備えたステント構成要素を示す。図15中のステント構成要素もまた、円形/卵形取付け要素を含み、ここで、各取付け要素は、2つの支持要素によって幹に取付けられる。支持要素および対応する幹の各々の対は、図12に示される支持要素/幹形態に類似の様式で、第2の円形/卵形開口部を形成し得る。
【0057】
図16は、図15に示される取付け要素に対して改変された取付け要素を備えたステント構成要素を示す。図16の各取付け要素は、ワイヤ(例えば、「U」形状ワイヤ)を含み、このワイヤの両端部は、取付け要素/幹形態が実質的に卵形/円形の開口部を形成するように同じ幹に直接取付けられている。図16中の幹は、図15中に示される幹と実質的に同じであり得る。
【0058】
図17/18、19および20は、本発明のいくつかの実施形態による二重−ステント−弁のさらなる実施例を示す。図17の単一−ステント−弁1700は、ステント1702および弁構成要素1704を含む。図18は、ステント−弁1700および位置決めステント1802を含む二重−ステント弁を示し、これらは、(例えば)環状溝および対応する環状窪みによって一緒に取付けられ得る。ステント構成要素1802は、例えば、弁周辺の漏れを防ぐために心膜で覆われ得る。
【0059】
図18の二重−ステント−弁は、例えば、肺および/または大動脈適用に適切であるほぼ円筒形の形状を有し得る。
【0060】
ここで、図19および20を参照して、図19は、第1ステント1902、第2ステント1904、および弁構成要素1906をもつ二重−ステント−弁を示す。図20は、第1ステント2002、第2ステント2004、および弁構成要素2006をもつ二重−ステント−弁を示す。ここで再び、図19および20における位置決めステントは、弁周辺の漏れを防ぐために(例えば、心膜で)覆われ得る。図19および20のステントは、例えば、肺動脈弁置換(例えば、変形を生成する動脈瘤の存在下、および溝のあるステント−弁の置換のために適切なリムのない場合)に適切であり得る。より詳細には、肺動脈弁適用に関し、肺動脈弁置換のための多くの候補者は、そこに動脈瘤、または流入または流出において漏斗型形態を有している。それ故、第1のステント1902または2002は、この漏斗型の肺動脈形態に適用され得、そしてステント−弁(1904、1906)または(2004、2006)を固定するための丸いオリフィスを提供する。いくつかの実施形態では、僧帽弁および/または三尖弁適用に対して適している図20の二重−ステント−弁に類似の二重−ステント−弁が提供され得、そこでは、位置決めするステントは、ステント−弁の溝への取付けのための丸いリムを提供する減少した高さおよび卵形形態を有する(あるいは、フック−ループ固定化システムが用いられ得る)。あるいは、またはさらに、この位置決めするステントは、移植部位において確実な嵌合を提供する独立に屈曲可能な要素を有し得る。図17〜20に示される実施形態のさらなる構造の特徴および弁置換のためのそれらの使用に関する詳細は、図面から当業者に明らかである。
【0061】
図21Aは、本発明のいくつかの実施形態によるステント−弁2100の別の例を示す。図21Aに示される実施形態は、例えば、僧帽弁置換のために適切であり得る。ステント−弁2100は、ステント−弁2100の移植部位への送達の前に患者の身体の外側でステント構成要素と弁構成要素からアセンブルされ得る。ステント−弁2100は、僧帽弁の置換のために適合された自己拡大するステント−弁であり得る。示されるように、ステント−弁2100は、対抗する二重の王冠に類似の形状を有し得る。ステント−弁2100は、Dacronの導管(補綴具チューブ)中に縫合されるブタの肺動脈弁2102を含み得、2つの自己拡大する王冠を生成するような様式で補綴具の外表面上に縫合される2つの自己拡大するニチノールのZ−ステント2104および2106を備える。この自己拡大するステント−弁は、Teflonシース、またはその他の適切な送達システム中に、送達のために装填され得る。この実施形態では、Dacronはステントを覆うために用いられるが、その他の実施形態では、Teflon、シリコン、心膜などのようなその他の材料が用いられ得る。1つの外科的アプローチでは、1センチメートルの切開が左心房上に、巾着紐縫合糸により制御されて作製され得る。装填されたステントを有するTeflonシースは、ステント−弁が僧帽弁の輪に到達するまでガイドワイヤに沿って押され得る(心房は、ニードルで穿孔されおよびガイドワイヤが挿入されている)。次いで、このシースは、引き戻され得、最初、心室側を展開し、次いで、シースを全部除去し、心房側を剥き出す。ステント−弁2100およびそれを移植部位に送達するための外科的アプローチに関するさらなる詳細は、Liang Maら、「Double−crowned valved stents for off−pump mitral valve replacement」、European Journal of Cardio−Thoracic Surgery 28:194〜199、2005年6月13日に記載され、この文献は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0062】
図21B〜Eは、本発明のいくつかの実施形態による二重−円錐型ステントの図を示す。図21Bおよび21Cを参照して、この二重−円錐型ステントは、弁2110を運ぶ実質的に円筒型のステント2108、および(例えば、VELCRO(登録商標)、摩擦嵌合、その他の適切な固定機構、またはそれらの組み合わせで)ステント2108に固定/取付けられる2つの実質的に円錐型のステント(2112、2114)を含み得る。図21Dは、図21Bおよび21Cに示される二重−円錐型ステントの断面を示す。その他の実施形態では、ステント2112および2114の少なくとも1つは、開放もしくは閉鎖セルから形成される突出するスパイクをもつ王冠形状またはZステントを有し得る。第1および第2のさらなるステント(2112、2114)は、集合的に、図2Aに示される固定要素202に類似の固定要素2116(図21C;例えば、環状溝)を形成する。固定要素2116は、例えば、弁構成要素2110を保持するステント2108と類似のサイズである不全の弁のオリフィス中、または相補的環状突出部を備えた係留ステントへの固定を可能にし得る。いくつかの実施形態では、ステント2112および2114(そして必要に応じてステント2108)は、二重−円錐型形態にある単一のステント(例えば、固定要素2116の領域中の連続領域によって連結される2つの錐体)で置換され得る。錐体/固定要素のために別個のステントを用いる利点は、錐体/固定要素(例えば、第1および第2ステント2112および2114)の機械的応力が、弁を含むステント2108から少なくとも部分的に分離され得ることである。いくつかの実施形態では、送達システム(例えば、ステント2112)の先端部により近く位置決めされる、少なくともさらなるステントまたはその一部分が、送達システムによって再捕捉され得る。このような再捕捉を容易にするために、さらなるステントは、ピラミッドまたはウイングの断面形態2118(図21E)に形成され得る。いくつかの実施形態では、ステント2112(および/または2114)のウイングまたはスパイクは、例えば、図7Bに示されるステントに類似のステント2108の中心軸に沿って種々の位置/高さで形成され得る。少なくともいくつかのウイングまたはスパイクが異なる位置/高さを有することは、例えば、異なるサイズの生来の弁との係合を容易にし得る。いくつかの実施形態では、図21B〜21Eに示されるステント(例えば、ステント2108)は、図8Bに示される取付け要素808に類似の、送達デバイスに離脱可能に取付けるための少なくとも1つの取付け要素を含み得る。
【0063】
図22A〜26Cは、本発明のいくつかの実施形態による、移植部位にステント−弁(例えば、単一−ステント−弁または二重−ステント−弁)を送達するための送達システムの実施例を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、最小侵襲的外科的アプローチを提供し、それによって手術は、開放−胸腔および心臓−肺バイパスの必要性なくして拍動する心臓に対して実施される。心臓は、例えば、患者の身体中の比較的小さな開口部を通って心臓の尖端を経て貫通され得る。例えば、不全の大動脈弁を置換するために、患者の身体は、2つの肋骨の間の領域である、肋間腔(例えば、第5肋間腔)を通って貫通され得る。このアクセス点から、左心室が心臓の頂部で貫通され得る。1つのアプローチでは、適切なステント−弁送達システムが、最初、身体/心臓を貫通し得る(例えば、送達システム2600(図26A〜26C)は、一体型導入具を含む)。別のアプローチでは、別個の導入具シースが用いられ得る。ガイドワイヤ(中空ニードル、カテーテル、剛性ガイドワイヤなど)が、この導入具を通って挿入され得、例えば、ステント構成要素、弁構成要素、および/またはその他のデバイス(例えば、閉塞具デバイス)の送達を案内する。いくつかの実施形態では、経管腔、経心房、または経心室アクセスアプローチが、例えば、三尖弁および/または僧帽弁置換のために用いられ得る。心臓の右心室はまた、肺動脈置換のためにアクセスされ得る。これは、開放胸腔を経由して置換弁を送達するその他の外科的アプローチとは対照的である。さらに、図22A〜28Cと組み合わせて以下により詳細に記載されるように、本発明のいくつかの実施形態による送達システムは、最初、ステント−弁の近位部分を解放し、これは、身体が、例えば、体壁を経由してアクセスされるとき、弁の試験を可能にし得る。試験が成功すると、ステント−弁の遠位部分が解放され得る。これは、それらに付随するステントの遠位部分を、最初に解放するステント送達システムと対照的である。
【0064】
図22A〜22Dは、2つの同心に配列された部分、第1のアセンブリ(要素2202〜2210を含む)および第2のアセンブリ(要素2216〜2230を含む)を含む送達システム2200を示す。より詳細には、第1のアセンブリは、送達システムの遠位端に先端部2202(ガイドワイヤが送達システムの長さを通って、そしてこの先端部から通過している)、内側シャフト2204、外側シース2206、金属シャフト2208、およびプッシュハンドル2210を含み得る。第2のアセンブリは、外側シャフト(遠位2216)、テーパー状の外側シャフトコネクター2218、外側シャフト(近位)2220、ステントホルダー2222、捻れプロテクター2224、保持ハンドルコネクター2226、保持ハンドルキャップ2228、およびO−リング2230を含み得る。示されるように、プッシュハンドル2210は、送達システムの近位端に配置され得る。図22Aおよび22Bでは、外側シャフト2220は、その長さに沿って分割され、送達システム2200の構成要素がより詳細に示されるようにしている。弁2212およびステント2214は、例えば、第1のアセンブリと第2のアセンブリとの間に装填およびクリンプ留めされ得る第3のアセンブリを形成する。
【0065】
第1のアセンブリについて、内側シャフト2204は、ガイドワイヤのための管腔として機能する。先端部2202は、その遠位端において結合される。本明細書で用いられるとき、結合は、例えば、シアノアクリレートもしくはUV硬化接着剤を用いる接着剤結合、またはアセンブルされるべき構成要素を溶融するために熱エネルギーを用いる熱結合/溶接のような任意の適切な固定/固着機構をいう。外側シース2206は、先端部2202の近位部分に結合され得、そしてステント−弁(2212、2214)を拘束し得る。外側シース2206は、保持ハンドル2210を経由してデバイスを洗い流すことを可能にするように穿孔され得る。第1のアセンブリの近位部分は、金属シャフト2208で補強され得、そしてガイドワイヤ管腔洗い流しのためのルアコネクターとともにプッシュハンドル中で終わり得る。
【0066】
第2のアセンブリに関し、ステントホルダー2222は、遠位外側シャフト2216に遠位方向に結合され得る。図22Dは、ステント−弁(2212、2214)とステントホルダー2222との間の配列をより良く示す斜視図を示す。遠位外側シャフト2216は、テーパー状のコネクター2218を経由して近位外側シャフト2220に近位方向に結合され得る。近位外側シャフト2220は、捻れプロテクター2224を経由して、保持ハンドルコネクター2226および保持ハンドルキャップ2228を含み得る保持ハンドルアセンブリに結合され得る。この保持ハンドルアセンブリは、送達システム2200をシールするためにO−リング2230を圧縮し得る。ルアコネクターは、デバイス洗い流しを可能にし得る。この洗い流し機構は、送達システムから、その身体中への挿入の前に捕捉された空気を除去するために用いられ得る。あるいは、またはさらに、この洗い流し機構は、冷生理食塩水溶液でステントを洗い流すことによりその解放および/または再捕捉の前にステント(例えば、ニチノールステント)を冷却するために用いられ得る。ステントを冷却することは、その構造の可逆的改変を引き起こし得、それ故、そのヤング率を、そしてそれ故、ステント半径方向力およびその送達および再捕捉のために必要な力を減少する。
【0067】
送達システム2200は、(例えば)プッシュハンドル2210が保持ハンドルキャップ2228に接触しているとき開放位置(図22C)にあるといわれる。この開放位置において、ステント−弁(2212、2214)は、ステントホルダー2222から離脱し得、そして移植部位において完全に拡大する。送達システム2200が開放位置に到達する前は、ステント−弁は、(例えば)クリンプ留め機械によって送達システム2200上にクリンプ留めされ得、そしてステントホルダー2222によってあるべき場所に保持される。ステントホルダー2222は、図8A〜16に示されるステントの取付け要素に固定され得る。クリンプ留めされたステント−弁は、第1のアセンブリを後方に引くことにより折り畳み形態に維持され得、その結果、外側シース2206によって取付け要素/ステントホルダー2222を覆う。一旦、外側シース2206が、それが取付け要素をもはや拘束しないように除去されると、ステント−弁は、このステント−弁の自己拡大の性質に起因してステントホルダー2222から自動的に離脱し得る。送達システム2200は、外側シース2206がステント−弁(2212、2214)を、ステント−弁の拡大が起こらないように完全に取り囲んでいるとき、閉鎖位置(図22Aおよび22B)にあるといわれる。
【0068】
送達システム2200は、(例えば)プッシュハンドル2210が保持ハンドルキャップ2228に向かって部分的に押されるとき、部分的開放位置にあるといわれる。この部分的開放位置では、ステント−弁(2212、2214)は近位方向に展開され、そしてなお取付け要素を介してステントホルダー2222に遠位に取付けられている。これは、ステント−弁の正確な移植/位置決めを可能にする。例えば、ステント−弁は、意図された移植部位まで近位方向に部分的に解放され得、そして抵抗が感じられるまで遠位方向にわずかに押される。ステント−弁(2212、2214)の最終放出は、送達システム2200から開放位置に到達するように、プッシュハンドルを保持ハンドルキャップ2228に向かって完全に押すことによって生じ得る。このような部分的開放位置は、図28中に示される。いくつかの実施形態では、造影機構が、ステント−弁が移植部位で正確に位置決めされているか否かを決定するために用いられ得る。例えば、蛍光透視下でロードマッピングすることは、血管造影法、血管内超音波法(IVUS)、心臓内心エコー検査法(ICE)、経食道心エコー検査法(TEE)もしくはその他の機構またはそれらの組合せで実現され得、この造影機構は、送達システムに少なくとも一体化され得るか、またはそれから分離され得る。
【0069】
ステント−弁(2212、2214)の移植に際し、送達システム2200は、患者の身体からの回収の前に、閉鎖位置まで、例えば、第1のアセンブリを保持すること、そして第2のアセンブリを先端部2202/外側シース2206に向かって遠位方向に押すことにより戻り得る。その他の実施形態では、ステント−弁を解放するためのハンドルは、ハンドルの回転運動を外側シースの並進運動に変換するためのねじ機構を備え得る。このタイプの解放システムは、段階的でより正確なステント解放および再捕捉、ならびに外科医が感じる解放力の減少を可能にする。
【0070】
図23A〜23Dは、本発明の実施形態による送達システム2300の別の実施例を示す。送達システム2300は、送達システム2300が(例えば、ステント−弁の近位方向に)1つ以上の折り畳まれたバルーン2302をさらに含み得ることを除いて、送達システム2200(図22)に実質的に類似し得る(例えば、閉鎖位置、図23Aおよび23B;開放位置、図23C)。図23A〜23D中の同様の特徴は、そうでないことが示されなければ、図22A〜22D中の同じ参照数字に対応するが、図面を過剰に複雑にすることを避けるために、図23A〜23D中では再現されていない。同じことが、図24A〜D、図25A〜C、および図26A〜Cに示されるステント送達システムに適用される。バルーン2302は、例えば、移植部位においてステント−弁(例えば、非自己拡大性ステント−弁)をあるべき場所に係留するために、近位外側シャフト2304中のさらなる管腔を介して膨張/収縮させられ得る。図23Dは、図23Cに示される管腔構造の断面「A−A」を示す。この管腔構造は、5−管腔管材2306および内側シャフト2308を含む。その他の実施形態では、管腔管材2306のためのその他の構造が用いられ得る(例えば、第2の管腔がバルーン膨張および収縮のために用いられる2−管腔管材)。送達システム2300はまた、バルーン膨張/収縮のためのアクセス機構2310を含み得、これは、バルーンを膨張/収縮するためのシリンジまたは膨張デバイスの連結を可能にし得る。あるいは、またはさらに、取付けられたストップ−コックを備えた管材がアクセス機構2310に連結され得る。
【0071】
図24A〜24Dは、本発明の実施形態による送達システム2400の別の実施例を示す。送達システム2400では、近位外側シャフト2402は、近位外側シャフト2220(図22)の直径と比較して増加した直径を有し得る。この増加した直径は、この送達システムが導入具なくして用いられるとき出血を減少し得る。あるいは、導入具が用いられるとき、この増加した直径は、次には外側シースの外径に依存し得る導入具の内径に一致し得る。導入具と送達システムとの間にギャップがないことは、閉じ込められた血液に起因する導入具を通る送達システムの可能性のある回収問題のリスクを減少し得る。従って、送達システム2400は、内側アセンブリと外側アセンブリとの間のギャップを満たす浮動チューブ2404を含み得、その結果、ステント再捕捉の間での送達システム内のより高い摩擦力を生じ得る圧縮下において、内側アセンブリ捻れのリスクを減少させる。送達システム2400は、その他の点では送達システム2200に実質的に類似し得る(例えば、閉鎖位置、図24Aおよび24B;開放位置、図24C)。
【0072】
図25A〜Cは、本発明の実施形態による送達システム2500の別の実施例を示す。送達システム2500は、ステント−弁の遠位方向に1つ以上のバルーン2536を含み得る。ステント−弁の遠位方向にバルーンを有することは、拡張を実行するために身体中に(例えば、上行大動脈中に)より深くに送達システムを導入しなければならないことを回避し、それによって、身体への損傷のリスクを減少し、そしてデバイスの取り扱いを改善する(例えば、大動脈弓上での剛性デバイスの曲がりがない)。バルーン(単数または複数)2536は、例えば、ステント−弁移植の前、および/またはステントの係留を改善するために移植されたステント−弁の膨張後の弁形成術のために用いられ得る。図25Bおよび25Cは、それぞれ閉鎖位置および開放位置にあるバルーン(単数または複数)2536を示す。
【0073】
送達システム2500の第1のアセンブリは、先端部2502、内側バルーンシャフト2504、外側シース2506、および浮動チューブ2508を含み得る。第2のアセンブリは、内側シャフト(遠位)2510、ステントホルダー遷移部2512、ステントホルダー2514、スリーブ2516、テーパー状の遷移部シャフトコネクター2518、および外側シャフト(近位)2520を含み得る。ハンドルアセンブリは、保持ハンドルコネクター2522、保持ハンドルカップ2524、O−リング2526、金属シャフト2528、およびプッシュハンドル2530を含み得る。バルーンアセンブリは、外側シャフト2532、内側シャフト2534、バルーン2536、およびYコネクター2538を含み得る。
【0074】
図26A〜Cは、本発明の実施形態による送達システム2600の別の実施例を示す。送達システム2600は、第2のアセンブリを収容するさらなるアセンブリであり得る一体型導入具2602を含み得る。その送達システムの外側シースは、2604として示される。導入具2602は、接続ライン2606、ストップコック2608およびシール部材2612のためのハウジング2610を含み得る。ストップコック2608は、例えば、流体(例えば、生理食塩水)含有シリンジのためのアクセス点として供され得る。接続ライン2606は、シリンジから導入具の内側管腔への流体を輸送するために供され得、そしてシール部材2612は、導入具を外側環境からシールし得る。ステント−弁移植に際し、導入具2602以外の送達システム2600の構成要素(例えば、第1のアセンブリおよび第2のアセンブリ)は、導入具を介して回収され得る。次いで、例えば、閉鎖デバイスのような別の医療用デバイスが導入具2602を介して導入され得る。別の実施例として、血管内超音波(IVUS)装備(例えば、ミニプローブ)が、導入具2602を介して導入され得る。送達システム2600は、その他のすべての点で送達システム2200に実質的に類似し得る。
【0075】
図27は、本発明のいくつかの実施形態に従う、不全の(例えば、生来または人工)弁を置換することに含まれる例示のステージのフローチャート2700である。図28A〜28Cは、図27のフローチャートで参照される種々のステージを(限定を伴わずに)示す。ステージ2702において、ステント−弁(例えば、単一−ステント−弁または二重−ステント−弁)は、送達システムに離脱可能に取り付けられ得る。例えば、ステント構成要素の1つ以上の取付け要素(例えば、取付け要素808、図8B)が、送達デバイスのステントホルダー(例えば、ステントホルダー2222、図22)に取り付られ得る。折り畳み要素(例えば、外側シース2206、図22)は、取付け要素/ステントホルダー上に配置され得、ステント−弁を折り畳まれた形態に維持し、そして送達システムに取付けられる。
【0076】
ステージ2704において、ステント−弁は、折り畳まれた形態で移植部位に送達され得る。例えば、図28A(「導入」または「位置決め」)は、ステント−弁2802が、ステントホルダー2804を介して送達システムに依然として取付けられており、そして外側シース2806内に完全に含まれながら、送達システムの先端部2810が不全の弁2812を通過するようにガイドワイヤ2808に沿って患者の身体に導入され得ることを示す。この送達システムは、例えば、ステント−弁が正確に位置決めされていると考えられるまで、前方および/または後方に操作され得る。
【0077】
ステージ2706において、ステント−弁は、例えば、ステント−弁が実際に正確に位置決めされているか否かを決定するため(ステージ2708)、および/またはステント−弁が適正に機能しているか否かを試験するため(ステージ2710)に、部分的に拡大され得る。例えば、図28A(「部分的解放」)は、外側シース2806がステント−弁の近位部分2814から部分的に除去され得、その一方で、ステント−弁の取付け要素2816が、外側シース2806によってステントホルダー2804上になお拘束されていることを示す。
【0078】
ステージ2712において、ステント−弁が、移植部位に正確に位置決めされ、そして/またはステント−弁が適正に機能しているとき、ステント−弁は、このステント−弁を完全に拡大された形態に拡大させるために送達システムから離脱させられ得る。例えば、図28C(「最終解放」)は、取付け要素2816およびステントホルダー2804の外側シース2806内からの取り外しに際して、ステント−弁2802の取付け要素2816がステントホルダー2804から自動的に(またはその他の実施形態ではバルーン膨張に応答して)離脱し得、それによって、このステント−弁をその完全に拡大された形態に拡大させることを示す。送達デバイスの第2のアセンブリは、次いで、第1のアセンブリ/外側シースと再び一体化され得、そして患者の身体から取り外される。例えば、図28C(「送達デバイス回収」)は、第2のアセンブリ2818が、置換ステント−弁2802を通って、このステント−弁の遠位端に向かって通過させられ得ることを示す。次いで、再一体化された第2のアセンブリ2818および第1のアセンブリ/外側シース2806は、患者の身体を出る前に、ステント−弁2802を再び近位方向に通過させられ得る。
【0079】
このステント−弁が正確に位置決めされないとき(ステージ2708)、ステージ2714で、このステント−弁は、折り畳まれた形態に戻され得、そして患者の身体内に再位置決めされ得る。このシナリオの例示は、図28Bに示され(「ステント再捕捉/再位置決め」)、そこでは、外側シース2806は、ステント−弁を再捕捉するためにステント−弁の近位部分2814上を近位方向を滑らせられる。ステント−弁は、次いで、再位置決めされ、そしてステント−弁の固定要素2820が不全の弁の輪2822を受容するように解放される。同様に、ステント−弁が、試験に応答して機能不全であるとき(ステージ2710)、ステージ2716で、ステント−弁は、折り畳まれた形態に戻され得、そして患者の身体から取り外される。
【0080】
このように、ステント−弁(例えば、単一−ステント−弁および二重−ステント−弁)および手術のための付随する方法およびシステムが提供されることが理解される。特定の実施形態が、本明細書中に詳細に開示されているけれども、これは、例示目的のためだけに例示され、そして以下に添付の請求項に対して限定することは意図されていない。特に、出願人によって、種々の置換、変更および改変が、請求項によって規定される本発明の思想および範囲から逸脱することなくなされ得ることが企図される。その他の局面、利点、および改変は、以下の請求項の範囲内にあると考えられる。呈示される請求項は、本明細書中に開示される本発明の代表である。その他の請求項に記載されていない発明もまた企図される。本出願人は、後の請求項でそのような発明を追求する権利を保留する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【公開番号】特開2012−152563(P2012−152563A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−56144(P2012−56144)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2009−527033(P2009−527033)の分割
【原出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508186901)
【出願人】(509220585)ジェネバルブ テクノロジー, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】