説明

引き伸ばし剥離可能な感圧接着剤

感圧接着剤、及び、感圧接着剤を含有する接着テープが、記載される。感圧接着剤は、架橋されたアクリルコポリマーと、架橋されたアクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。感圧接着剤、及び、感圧接着剤を含有する接着テープは、基材に接着した後に引き伸ばすことにより、取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
感圧接着剤、引き伸ばし剥離可能であると共に感圧接着剤を含有する接着テープ、接着テープ又は感圧接着剤の層を含む物品、感圧接着剤及び接着テープの両方の製造方法、並びに、感圧接着剤及び接着テープの使用が、記載される。
【背景技術】
【0002】
引き伸ばし剥離可能な接着テープは、物品を基材に結合するために使用されてきた。物品は、多くの場合、フック、クランプ、ハンガー、又は小物入れであり、基材は、多くの場合、壁の表面である。接着テープの引き伸ばしによって、物品を基材から剥離することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
感圧接着剤、及び、感圧接着剤を含有する接着テープが、記載される。感圧接着剤は、架橋されたアクリルコポリマーと、架橋されたアクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子と、を含む。感圧接着剤及び接着テープは、基材に接着した後に引き伸ばすことにより、取り外すことができる。接着剤残渣は、基材からの取り外し時に、典型的にはほとんど又は全く基材上に残らない。
【0004】
第一の態様では、感圧接着剤が提供される。感圧接着剤は、1)アクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。アクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含む硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、i)一価モノマー混合物と、ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤と、の少なくとも部分的に重合した反応生成物である。一価モノマー混合物は、(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する。
【0005】
第二の態様では、接着テープが提供される。接着テープは、裏材層と、裏材層の主表面に隣接して配置される少なくとも1つの感圧接着剤層と、を含有する。少なくとも1つの感圧接着剤層は、1)アクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。アクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含有する硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、i)一価モノマー混合物と、ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤と、の少なくとも部分的に重合した反応生成物である。一価モノマー混合物は、(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。
【0006】
第三の態様では、物品が提供される。第一の実施形態では、物品は、第一基材と、第一基材に接着させた接着テープと、を含む。接着テープは、A)裏材層と、B)裏材層の第一主表面に隣接する感圧接着剤層と、C)第一基材を超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第一基材から接着テープが剥離される。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。感圧接着剤層は、1)アクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。アクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含有する硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、i)一価モノマー混合物と、ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤と、の少なくとも部分的に重合した反応生成物である。一価モノマー混合物は、(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する。
【0007】
第二の実施形態では、物品は、第一基材と、第二基材と、第一基材と第二基材との間に配置された感圧接着剤層と、を含む。感圧接着剤層は、第二基材に対して第一基材を連結する。感圧接着剤層は、第一基材及び第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメを有する。ツメを引くことによって感圧接着剤層が引き伸ばされ、第一基材から、第二基材から、又は、第一基材及び第二基材の両方から、感圧接着剤が剥離される。感圧接着剤層は、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。感圧接着剤層は、1)アクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。アクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含有する硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、i)一価モノマー混合物と、ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤と、の少なくとも部分的に重合した反応生成物である。一価モノマー混合物は、(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する。
【0008】
第三の実施形態では、物品は、第一基材と、第二基材と、第一基材と第二基材との間に配置された接着テープと、を含む。接着テープは、第一基材を第二基材に連結する。接着テープは、A)裏材層と、B)裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層及び裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層と、C)第一基材及び第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第一基材から、又は第二基材から、又は第一基材及び第二基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。第一感圧接着剤層及び第二感圧接着剤層は、各々、1)アクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。アクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含有する硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、i)一価モノマー混合物と、ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤と、の少なくとも部分的に重合した反応生成物である。一価モノマー混合物は、(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する。
【0009】
第四の態様では、2つの基材を連結及び分離する方法が提供される。方法は、第一基材及び第二基材を提供することを含む。方法は、接着テープが第一基材を第二基材に連結するように第一基材と第二基材との間に接着テープを配置することを更に含む。接着テープは、A)裏材層と、B)裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層及び裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層と、C)第一基材及び第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。第一感圧接着剤層及び第二感圧接着剤層は、各々、1)アクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。アクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含有する硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、i)一価モノマー混合物と、ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤と、の少なくとも部分的に重合した反応生成物である。一価モノマー混合物は、(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する。方法は、接着テープのツメを引いて、第一基材から、又は第二基材から、又は第一基材及び第二基材の両方から、接着テープを剥離することを更に含む。
【0010】
第五の態様では、感圧接着剤層の形成方法が提供される。方法は、1)酸性基を有する極性モノマーと、2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含有する一価モノマー混合物を調製することを含む。方法は、有機溶媒、及び、フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤の存在下で、一価モノマー混合物を少なくとも部分的に重合することにより、アクリル前駆体を形成することを更に含む。1)アクリル前駆体と、2)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、3)無機粒子と、を含有する前駆体組成物が、形成される。無機粒子は、アクリル前駆体の形成前に、アクリル前駆体の形成後に、又は、アクリル前駆体の形成前後に、添加される。方法は、前駆体層を形成するために前駆体組成物を支持体に適用することと、感圧接着剤層を形成するために前駆体層を硬化させることと、を更に含む。得られる感圧接着剤層は、架橋されたアクリルコポリマーと、架橋されたアクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。
【0011】
上記の本発明の概要は、本発明のそれぞれの実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。続く図、「発明を実施するための形態」、及び実施例により、これらの実施形態をより詳しく例示する。
【0012】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発
明はより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1a】1つの裏材層と2つの感圧接着剤層とを有する代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図1b】1つの裏材層と1つの単一の感圧接着剤層とを有する別の代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図2a】図1aに例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを用いて一緒に連結した2つの基材を含む代表的な物品の概略図。
【図2b】1つの単一の基材に接着させた図1bに例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを含む別の代表的な物品の概略図。
【図2c】感圧接着剤層を用いて一緒に連結した2つの基材を含む更に別の代表的な物品の概略図。
【図3a】1つの裏材層と2つの感圧接着剤層とを有する別の代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図3b】1つの裏材層と1つの単一の感圧接着剤層とを有する別の代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図4a】図3aに例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを用いて一緒に連結した2つの基材を含む別の代表的な物品の概略図。
【図4b】1つの単一の基材に接着させた図3bに例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを含む更に別の代表的な物品の概略図。
【図5a】基材からの感圧接着剤又は接着テープの除去についての評価システムを示す概略図。
【図5b】基材からの感圧接着剤又は接着テープの除去についての評価システムを示す概略図。
【図5c】基材からの感圧接着剤又は接着テープの除去についての評価システムを示す概略図。
【図5d】基材からの感圧接着剤又は接着テープの除去についての評価システムを示す概略図。
【図5e】基材からの感圧接着剤又は接着テープの除去についての評価システムを示す概略図。
【図5f】基材からの感圧接着剤又は接着テープの除去についての評価システムを示す概略図。
【0014】
図5aは基材上に接着剤残渣が全く残留していないことを例示し、図5bは基材上に接着剤残渣が実質的に全く残留していないことを例示する。図5c、5d及び5eは、基材上に累進的により多くの接着剤残渣が残留していることを例示する。図5fは、基材からの除去を試みた際に破損した(すなわち、破断した)感圧接着剤層又は接着テープを例示する。
本発明は様々な変更例及び代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すと共に詳細に説明する。しかしながら本発明を、記載される特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されるべきである。逆に、本発明は、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる、全ての修正、等価な形態、及び代替形態を対象とすることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
架橋されたアクリルコポリマーと、架橋されたアクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含む感圧接着剤が、記載される。感圧接着剤は、引き伸ばし剥離可能な接着剤層として使用することができ、又は、引き伸ばし剥離可能な接着テープの中に使用することができる。すなわち、感圧接着剤層又は接着テープは、基材に接着した後に引き伸ばすことにより、取り外すことができる。接着テープ及び感圧接着剤層を含有する物品、接着テープ及び感圧接着剤層の使用方法、並びに接着テープ及び感圧接着剤層の両方の製造方法が、記載される。
【0016】
様々な引き伸ばし剥離接着剤層及び接着剤が既知であるが、アクリル系接着剤層の使用に伴う問題が存在している。多くの場合、アクリル系接着剤層の接着強度は時間の経過と共に確立され、取り外しは困難になり得る。アクリル系接着剤の取り外しは、多くの場合、それが接着していた基材に損傷を生じさせる。接着剤を取り外すことができたとしても、多くの場合、接着剤残渣が基材上に残る。驚くべきことに、本明細書に記載のアクリル系接着剤は、通常、比較的容易に取り外すことができ、取り外し時に基材上に残渣をほとんど又は全く残さない傾向を有する。引き伸ばしによる取り外し前には、接着剤は典型的には、高負荷剪断接着を呈する。
【0017】
第一の態様では、感圧接着剤が提供される。感圧接着剤は、1)架橋されているアクリルコポリマーと、2)アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。多くの実施形態では、アクリルコポリマーは、粘着と剥離接着強度と剪断保持力との所望のバランスを生じるのに必要な粘弾特性を呈するために配合されたランダムコポリマーである。すなわち、得られるアクリルコポリマーがDahlquistの基準を満たす(すなわち、ゴム状プラトー弾性率がDahlquistの数よりも低い)ように、重合性物質が選択される。つまり、多くの場合、アクリルコポリマーそれ自体が、粘着付与剤の添加がなくても感圧接着剤である。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「接着剤」及び「感圧接着剤」は、互換的に用いられる。同様に、用語「接着剤層」及び「感圧接着剤層」は、互換的に用いられる。用語「感圧接着剤層」及び「PSA層」は、互換的に用いられる。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「重合性物質」は、エチレン性不飽和基などの重合性基を少なくとも1個有する任意の分子量の化合物を指す。重合性物質は、モノマー、オリゴマー及びこれらに類するものを含むことができる。重合プロセスの結果、ポリマーが生成され、重合プロセスは、高分子鎖を伸長させる反応、1つ以上の高分子鎖を架橋する反応、又は、これらの両方を含む。用語「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーから調製される高分子材料を指すのに使用される。
【0020】
本明細書で用いられる用語「〜の範囲」は、終点及びそれら終点間の全ての値を含む。
【0021】
より具体的には、感圧接着剤中に含まれるアクリルコポリマーは、a)アクリル前駆体と、b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含有する硬化性組成物の架橋された反応生成物である。アクリル前駆体は、有機溶媒、及び、フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤の存在下で、一価モノマー混合物を少なくとも部分的に重合した反応生成物である。つまり、アクリル前駆体は、一価モノマー混合物の溶液重合により、調製される。アクリル前駆体は続いて架橋されて、アクリルコポリマーを形成する。本明細書で使用するとき、用語「アクリル前駆体」は架橋前のアクリル材料を指し、用語「アクリルコポリマー」は架橋されたアクリル材料を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「一価モノマー」は、フリーラジカル重合反応を経ることが可能である基を1個のみ有する化合物を指す。一価モノマーは典型的には単一のエチレン性不飽和基を有する。一価モノマー混合物は、1)酸性基又はその塩を有する極性モノマーと、2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレートと、を含む。他の任意の一価モノマーも一価モノマー混合物中に存在させることができる。
【0023】
一価モノマー混合物は、酸性基又は酸性基の塩を有する極性モノマーを含む。すなわち、極性モノマーは、エチレン性不飽和基を有する酸性モノマー又は酸性モノマーの塩である。極性モノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、これらの塩又はこれらの組み合わせであることができる。多くの実施形態では、塩のカチオンは、アルカリ金属のイオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン又はストロンチウムイオン)、アンモニウムイオン、1個以上のアルキル基で置換されたアンモニウムイオン、1個以上のアリール基で置換されたアンモニウムイオン、又は、1個以上のアリール基と1個以上のアルキル基とにより置換されたアンモニウムイオンである。代表的な酸性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びこれらの系統が挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態では、極性モノマーはアクリル酸である。
【0024】
一価モノマー混合物中の酸性基又はその塩を有する極性モノマーは、通常、裏材層に対する接着力を増強するために、極性表面を有する基材に対する接着力を増強するために、並びに、感圧接着剤の貼着強度を高めるために、添加される。極性モノマーはまた、少なくとも2個のアジニジル基を有する架橋剤と反応することができる酸性基を提供する。多くの場合、比較的高い温度、高い湿度条件又はこれらの両方に曝露される際には、接着テープの耐久性は、極性ポリマーの添加により改善することができる。しかしながら、過度に多くの極性モノマーが添加される場合には、接着力は時間の経過と共に確立され得る。すなわち、基材に接着した接着剤の取り外しは、時間の経過と共により困難になり得る。
【0025】
酸性基又はその塩を有する極性モノマーは、多くの場合、一価モノマー混合物中の重合性物質の重量に基づいて、最大30重量パーセントの量で存在する。多くの実施形態では、極性モノマーは、一価モノマー混合物中の重合性物質の重量に基づいて、最大25重量パーセント、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント又は最大10重量パーセントの量で存在する。一価モノマー混合物は、多くの場合、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント又は少なくとも5重量パーセントの極性モノマーを含有する。極性モノマーは、例えば、一価モノマー混合物中の重合性物質の重量に基づいて、1〜30重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、1〜10重量パーセントの範囲又は5〜20重量パーセントの範囲の量で存在することができる。
【0026】
他の型の極性モノマーが、酸性基又はその塩を有する極性モノマーに加えて、添加することができる。例えば、一価モノマー混合物は、(a)酸性基又はその塩を有する第一極性モノマーと、(b)ヒドロキシル基、第二級アミド基、第三級アミド基又はエーテル基(すなわち、式−R−O−R−[式中、各Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキレンである]のアルキレン−オキシ−アルキレン基を含有する基)を有する第二極性モノマーと、を含むことができる。
【0027】
ヒドロキシル基を有する代表的な第二極性モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド又は3−ヒドロキシプロピルアクリルアミド)及びエトキシル化ヒドロキシエチルメタクリレート(例えば、Sartomerから商品名CD570、CD571、CD572で市販されているモノマー)が挙げられるが、これらに限定されない。第二級アミド基を有する代表的な第二極性モノマーとしては、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド又はN−tert−オクチルアクリルアミドなどのN−アルキルアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。第三級アミド基を有する代表的な第二極性アミノとしては、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、並びに、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド及びN,N−ジブチルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。エーテル基を有する代表的な第二極性モノマーとしては、エトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート及び2−エトキシエチルアクリレートなどのアルコキシル化アルキルアクリレート、並びに、ポリ(エチレンオキシド)アクリレート及びポリ(プロピレンオキシド)アクリレートなどのポリ(アルキレンオキシド)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(アルキレンオキシド)アクリレートは、多くの場合、ポリ(アルキレングリコール)アクリレートと呼ばれる。これらのモノマーは、ヒドロキシル基又はアルコキシ基などの任意の好適な末端基を有することができる。例えば、末端基がメトキシ基である場合、モノマーは、メトキシポリ(エチレングリコール)アクリレートと呼ぶことができる。
【0028】
酸性基又はその塩を有する極性モノマーに加えて、アクリル前駆体を形成するために使用される一価モノマー混合物は、アルキル(メタ)アクリレートを含有する。一価モノマー混合物中のアルキル(メタ)アクリレートは、通常、アクリルコポリマーのガラス転移温度(Tg)及び貯蔵弾性率を調整するために、添加される。感圧接着剤層を提供するために、アクリルコポリマーのTgは、通常、室温未満(例えば、25℃未満又は20℃未満)である。
【0029】
アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸と一価アルコールとの反応生成物であることができる。アルコールは、通常、第三級アルコールではない。好適なアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、多くの場合、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも6個の炭素原子又は少なくとも8個の炭素原子を有するアルキル基を有する。例えば、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、多くの場合、4〜20個の炭素原子、4〜18個の炭素原子、4〜16個の炭素原子、4〜12個の炭素原子又は4〜10個の炭素原子を有する。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、線状、環状又はこれらの組み合わせであることができ、所望によりフェニルなどのアリール基で置換することができる。アルキル(メタ)アクリレートは、多くの場合、アルキルアクリレートである。
【0030】
代表的なアルキル(メタ)アクリレートとしては、n−ブチルアクリレート、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸イソオクチル、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−メチルブチルアクリレート、アクリル酸イソノニル、n−ノニルアクリレート、アクリル酸イソアミル、n−デシルアクリレート、アクリル酸イソデシル、アクリル酸イソボルニル、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、2−オクチルアクリレート及びドデシルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合、一価モノマー混合物中に含まれる1個を超えるアルキル(メタ)アクリレートモノマーが存在する。例えば、一価モノマー混合物は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーを2個、3個、4個又は更にそれを超えて含有する。アルキル(メタ)アクリレートは、多くの場合、アクリル酸イソオクチルを含む。
【0031】
アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、多くの場合、一価モノマー混合物中の重合性物質の総重量に基づいて、少なくとも40重量パーセントに等しい量で存在する。例えば、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、一価モノマー混合物中の重合性物質の総重量に基づいて、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント又は少なくとも80重量パーセントに等しい量で存在することができる。アルキル(メタ)アクリレートの量は、一価モノマー混合物中の重合性物質の総重量に基づいて、最大99重量パーセント、最大98重量パーセント、最大97重量パーセント、最大95重量パーセント、最大90重量パーセント、最大85重量パーセント、最大80重量パーセント又は最大75重量パーセントであることができる。いくつかの例では、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、一価モノマー混合物中の重合性物質の総重量に基づいて、40〜99重量パーセントの範囲、45〜95重量パーセントの範囲、50〜99重量パーセントの範囲、60〜98重量パーセントの範囲、70〜98重量パーセントの範囲又は75〜95重量パーセントの範囲で存在する。アルキルモノマーの量は、単一のモノマー又は複数のモノマーに依存し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、一価モノマー混合物は、一価モノマー混合物中のモノマー重量に基づいて、最大30重量パーセントの極性モノマーと、少なくとも40重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、を含有する。例えば、モノマー混合物は、1〜30重量パーセントの極性モノマーと、70〜99重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートと、を含むことができる。他の例では、モノマー混合物は、1〜20重量パーセントの極性モノマーと、80〜99重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートと、を含むことができる。更に他の例では、モノマー混合物は、1〜10重量パーセントの極性モノマーと、90〜99重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートと、を含むことができる。
【0033】
他の任意の一価モノマーを一価モノマー混合物中に含むことができる。例えば、4個未満の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(例えば、メチルアクリレート)又はアリール(メタ)アクリレート(例えば、4−ビフェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート及びフェニルアクリレート)を添加することができる。これらのモノマーは、多くの場合、アクリルコポリマーのTgを変更するために、又は、アクリルコポリマーの弾性率を変更するために、添加される。添加される場合には、これらの他の一価モノマーは、一価モノマー混合物中の重合性物質の重量に基づいて、最大50重量パーセントの量で存在することができる。多くの例では、これらの任意の一価モノマーは、最大40重量パーセント、最大30重量パーセント、最大20重量パーセント又は最大10重量パーセントの量で存在する。存在する場合には、任意の一価モノマーは、1〜50重量パーセントの範囲、1〜40重量パーセントの範囲、5〜40重量パーセントの範囲又は10〜40重量パーセントの範囲で存在することができる。
【0034】
他の任意の一価モノマーを含むいくつかの実施形態では、モノマー混合物は、1〜20重量パーセントの極性モノマーと、45〜95重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートと、1〜50重量パーセントの任意の一価モノマーと、を含むことができる。例えば、一価モノマー混合物は、1〜10重量パーセントの極性モノマーと、50〜95重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートと、5〜40重量パーセントの任意の一価モノマーと、を含むことができる。別の例では、一価モノマー混合物は、1〜10重量パーセントの極性モノマーと、50〜90重量パーセントのアルキル(メタ)アクリレートと、10〜40重量パーセントの任意の一価モノマーと、を含むことができる。
【0035】
一価モノマー混合物中の重合性物質は、典型的には、有機溶媒中に溶解している。すなわち、一価モノマー混合物と有機溶媒とを含む重合性組成物が形成される。有機溶媒は、典型的には、重合性物質(すなわち、一価モノマー)及び得られるアクリル前駆体の両方との相溶性に基づいて選択される。代表的な有機溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N−メチルピロリドン、塩素化及びフッ素化炭化水素、フッ素化エーテル又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
任意の好適な量の有機溶媒が、重合性組成物中で使用することができる。有機溶媒の量は、典型的には、一価モノマーが完全に溶解し、かつ良好な混合のために粘度が十分に低くなるよう選択される。しかしながら、重合性物質の濃度があまりにも希薄過ぎる場合には、より長い反応時間が必要とされ得る。多くの場合、有機溶媒の量は、30〜70重量パーセントの範囲、40〜60重量パーセントの範囲又は45〜55重量パーセントの範囲のパーセント固形分含量を提供するように、選択される。
【0037】
一価モノマー混合物及び有機溶媒に加えて、重合性組成物は、典型的には、フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤を更に含む。任意の好適な既知の熱反応開始剤を使用することができる。多くの実施形態では、熱反応開始剤は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド又はアゾ化合物である。代表的なペルオキシドとしては、過酸化ベンゾイル、シクロヘキサンペルオキシド及びラウリルペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロペルオキシドとしては、tert−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアゾ化合物としては、DuPont(Wilmington,DE)から商品名VAZO 67で市販されている2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、DuPontから商品名VAZO 64で市販されている2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及びDuPontから商品名VAZO 52で市販されている2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)が挙げられるが、これらに限定されない。反応開始剤は、典型的には、重合性組成物中の重合性物質の総重量に基づいて、0.01〜5重量パーセントの範囲、0.01〜2重量パーセントの範囲、0.01〜1重量パーセントの範囲又は0.01〜0.5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0038】
アクリル前駆体の調製のための代表的な重合性組成物は、多くの場合、30〜70重量パーセントの範囲の量のモノマー混合物と、70〜30重量パーセントの範囲の量の有機溶媒と、3重量パーセント以下の量の熱反応開始剤と、0〜15重量パーセントの範囲の量の無機粒子と、を含有する。例えば、重合性組成物は、40〜60重量パーセントの範囲の量のモノマー混合物と、60〜40重量パーセントの範囲の量の有機溶媒と、2重量パーセント以下の範囲の量の熱反応開始剤と、0〜10重量パーセントの範囲の量の無機粒子と、を含有することができる。別の例では、重合性組成物は、45〜55重量パーセントの範囲の量のモノマー混合物と、55〜45重量パーセントの範囲の量の有機溶媒と、1重量パーセント以下の範囲の量の熱反応開始剤と、0〜10重量パーセントの範囲の量の無機粒子と、を含有することができる。これらの重量パーセント量は全て、重合性組成物の総重量に基づく。
【0039】
重合性組成物は、多くの場合、脱酸素の目的で窒素などの不活性ガスでパージされ、封止され、良好な混合条件下で約40℃〜約80℃の範囲の温度にて加熱される。重合性組成物は、少なくとも部分的に重合される。約24時間にわたって加熱される場合、反応は、典型的には少なくとも80パーセント完了である。すなわち、一価モノマー混合物中の重合性物質の少なくとも80パーセントがフリーラジカル重合を経て、アクリル前駆体を形成している。いくつかの実施形態では、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセント又は少なくとも99パーセントの重合性物質が、反応している。
【0040】
アクリル前駆体の形成後、感圧接着剤を調製するために使用できる前駆体組成物が、形成される。前駆体組成物は、硬化性組成物と無機粒子とを含む。硬化性組成物は、アクリル前駆体と、少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、を含む。つまり、前駆体組成物は、通常、アクリル前駆体と、少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤と、無機粒子と、を含む。有機溶媒は、典型的には、前駆体組成物の粘度を下げるために、存在する。有機溶媒は、多くの場合、アクリル前駆体の調製中に使用される同じ溶媒であり、アクリル前駆体と並びに架橋剤と相溶性(すなわち、混和性)であるように選択される。架橋剤は、アクリル前駆体の形成後に、添加される。しかしながら、無機粒子は、アクリル前駆体形成前に、アクリル前駆体形成後に、又は、アクリル前駆体形成の前と後の両方に、添加することができる。無機粒子は、アクリル前駆体の形成前に添加された場合に、より容易に分散することもある。
【0041】
架橋剤は、少なくとも2個のアジリジニル基を有する任意の化合物を含むことができる。多くの実施形態では、好適な架橋剤は、2個のアジリジニル基を有し、式(I)を有する。
【化1】


式(I)中、各R1は独立して水素、又は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子若しくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基などのアルキル基である。A基は、6〜10個の炭素原子を有するアリーレン、又は、3〜10個の炭素原子と1〜3個のヘテロ原子とを有するヘテロアリーレンである。様々な式(I)の架橋剤が米国特許公開第2003/0215630(A1)号に更に記載されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。いくつかの代表的な架橋剤では、Aはフェニレンであり、R1は水素又はメチルである。アジリジニル含有架橋剤は、アクリル前駆体中の酸性基(例えば、カルボキシル基)と反応し、三員環の開環及び共有結合の形成をもたらす。異なるアクリル前駆体分子上のカルボキシル基との架橋剤の反応は、2個の分子間の共有結合の形成をもたらす。共有結合は、少なくとも−NH−(CO)−A−(CO)−NH−基を含む。
【0042】
架橋剤は、典型的には、感圧接着剤の貼着強化のために、添加される。良好な貼着強度を有する接着剤は、基材に接着した後に取り外しのために引き伸ばすときに、残渣を残す傾向が低い。しかしながら、過度に多くの架橋剤が添加される場合には、接着剤は適合性を低下させる傾向があり、感圧接着剤として機能しない恐れがある。架橋剤は、通常、アクリル前駆体の重量に基づいて、あるいは、一価モノマー混合物からのアクリル前駆体を形成するために使用される一価モノマーの重量に基づいて、最大10重量パーセントの量で存在させることができる。多くの実施形態では、架橋剤は、最大5重量パーセントの量、最大3重量パーセントの量、最大2重量パーセントの量又は最大1重量パーセントの量で存在する。架橋剤の量は、典型的には、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.02重量パーセント、少なくとも0.03重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント又は少なくとも0.1重量パーセントである。例えば、架橋剤は、アクリル前駆体の重量に基づいて、あるいは、一価モノマー混合物中の一価モノマーの重量に基づいて、0.01〜10重量パーセントの範囲で、0.01〜5重量パーセントの範囲の量で、0.01〜3重量パーセントの範囲で、0.01〜2重量パーセントの範囲で、0.01〜1重量パーセントの範囲で又は0.01〜0.5重量パーセントの範囲で存在することができる。
【0043】
前駆体組成物中に含まれる無機粒子は、得られる感圧接着剤の性能を増強する傾向を有する。より具体的には、無機粒子は、感圧接着剤の貼着強度を高める傾向を有し、ゴム状プラトー弾性率を高める傾向を有する。驚くべきことに、無機粒子の添加は、基材に接着させた後で取り外しのために接着剤が引き伸ばされる際に基材上に残る接着剤残渣を低減する。すなわち、接着剤層の粘着度は、無機粒子の存在下で、引き伸ばしと共に減少する傾向を有する。
【0044】
無機粒子は、前駆体組成物全体に均一又は不均一に分布させることができる。同様に、無機粒子は、架橋されたアクリルコポリマー全体又は感圧接着剤全体に、均一又は不均一に分布させることができる。無機粒子は、任意の好適な金属、金属合金、金属酸化物、セラミック物質又はこれらの混合物であることができる。無機粒子は、多くの場合、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ又はこれらに類するものから選択されるが、これらに限定されない。
【0045】
多くの実施形態では、無機粒子は、ヒュームドシリカ粒子である。好適なヒュームドシリカは、例えば、Evonik Industries(Essen,Germany)から商品名AEROSIL(例えば、AEROSIL R972、R974、R976、R300、R380、R130、R150、R200、R202、R805及びR812)で、あるいは、Cabot(Alpharetta,GA)から商品名CABOSIL(例えば、CABOSIL TS−720、TS−610、TS−530及びTS−500)で市販されている。ヒュームドシリカは、任意の好適な表面積を有することができる。例えば、表面積は、1〜500m/グラムの範囲、10〜400m/グラムの範囲又は100〜400m/グラムの範囲であることができる。ヒュームドシリカは、任意の好適な粒径を有することができる。いくつかの用途では、ヒュームドシリカは100ナノメートル未満、50ナノメートル未満又は20ナノメートル未満の平均初期粒径を有する。疎水性又は親水性ヒュームドシリカのいずれかを使用することができるが、多くの場合疎水性ヒュームドシリカが使用されるのは、かかる粒子が、様々な組成物に典型的に含まれる有機溶媒中でより良好に分散する傾向を有するからである。これらの粒子は、アクリル前駆体の形成の前又は後のいずれかで添加することができるが、多くの場合、アクリル前駆体の調製前に添加される。
【0046】
他の実施形態では、無機粒子は、シリカエアロゲル粒子などのエアロゲルである(例えば、粉砕されたエアロゲル又はエアロゲル粉末)。シリカエアロゲル粒子は、多くの場合、ナノメートル範囲(例えば、100ナノメートル未満又は50ナノメートル未満)の孔を有し、少なくとも500m/グラムに等しい表面積を有する。代表的なエアロゲルシリカ粒子は、20マイクロメートル未満又は10マイクロメートル未満である平均粒径を有することができる。シリカエアロゲル粒子の寸法は光の波長よりも大きいが、粒子は多くの場合半透明であり、光学的に透明であると考えることはできないが比較的透明である接着剤層を形成するのに使用することができる。半透明及び不透明等級の代表的なシリカエアロゲル粒子は、Cabot(Billerica,MA)から商品名NANOGELで市販されている。エアロゲルシリカ粒子は、アクリル前駆体の形成の前又は後のいずれかに添加することができるが、多くの場合、アクリル前駆体が調製された後に添加される。すなわち、これらの粒子は、多くの場合、アクリル前駆体の形成後に、前駆体組成物中に分散させることができる。
【0047】
無機粒子は、アクリルコポリマー中、前駆体組成物中、又は重合性組成物中での分散を促進するために表面改質させることができるが、無機粒子は、多くの場合、表面改質されない。無機粒子は、凝集又は非凝集、並びに、凝結又は非凝結、であり得る。無機粒子は、任意の所望の粒径又は粒子形状を有することができる。しかしながら、光学的に透明な接着テープを提供するために、無機粒子は、多くの場合、1000ナノメートル未満の平均粒径を有するように選択される。例えば、平均粒径は、多くの場合、500ナノメートル未満、200ナノメートル未満、100ナノメートル未満又は50ナノメートル未満である。光学的に透明である必要がない接着テープを提供するために、より大きな無機粒子を使用することができる。例えば、無機粒子は、最大5マイクロメートル、最大10マイクロメートル、最大20マイクロメートル、最大50マイクロメートル又は最大100マイクロメートルの平均粒径を有することができる。
【0048】
感圧接着剤層は、例えば、前駆体組成物中のアクリル前駆体の重量に基づいて、あるいは、感圧接着剤中のアクリルコポリマーの重量に基づいて、最大25重量パーセントの無機粒子を含むことができる。例えば、無機粒子は、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、最大10重量パーセント又は最大5重量パーセントの量で存在することができる。無機粒子は、多くの場合、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント又は少なくとも10重量パーセントの無機粒子と等しい量で存在する。例えば、無機粒子の量は、前駆体組成物中のアクリル前駆体の重量に基づいて、あるいは、一価モノマー混合物中の一価モノマーの重量に基づいて、あるいは、感圧接着剤中のアクリルコポリマーの重量に基づいて、1〜25重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、2〜20重量パーセントの範囲、5〜20重量パーセントの範囲、1〜15重量パーセントの範囲、5〜15重量パーセントの範囲、1〜10重量パーセントの範囲又は2〜10重量パーセントの範囲であることができる。
【0049】
前駆体組成物は、典型的には、有機溶媒を含む。多くの場合、有機溶媒は、重合性組成物中のアクリル前駆体の調製において使用されるものと同じ有機溶媒である。多くの場合、前駆体組成物の粘度がコーティング組成物としての使用に好適であるように、追加的な有機溶媒が添加される。しかしながら、ほとんどの有機溶媒は、典型的には、感圧接着剤層形成プロセスで除去され、有機溶媒が過剰に多くなることは通常避けられる。多くの実施形態では、前駆体組成物の固形分パーセントは、10〜50固形分パーセントの範囲、10〜40固形分パーセントの範囲、15〜40固形分パーセントの範囲、15〜35固形分パーセント又は20〜35固形分パーセントの範囲である。
【0050】
いくつかの代表的な前駆体組成物は、前駆体組成物の総重量に基づいて、10〜50重量パーセントの範囲の量のアクリル前駆体と、0.01〜10重量パーセントの範囲の量の架橋剤と、0.5〜10重量パーセントの範囲の量の無機粒子と、50〜90重量パーセントの範囲の量の有機溶媒と、を含有する。他の代表的な前駆体組成物は、15〜40重量パーセントの範囲の量のアクリル前駆体と、0.1〜10重量パーセントの範囲の量の架橋剤と、1〜10重量パーセントの範囲の量の無機粒子と、50〜80重量パーセントの範囲の量の有機溶媒と、を含有する。更に他の代表的な前駆体組成物は、15〜35重量パーセントの範囲の量のアクリル前駆体と、1〜10重量パーセントの範囲の量の架橋剤と、1〜5重量パーセントの範囲の量の無機粒子と、50〜80重量パーセントの範囲の量の有機溶媒と、を含有する。これらの重量パーセント量は全て、前駆体組成物の総重量に基づく。
【0051】
前駆体組成物は、前駆体層を形成するために、支持体表面に適用することができる。前駆体層を形成する任意の好適な手段を使用することができる。例えば、前駆体組成物は、ブラシコーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、転写ロールコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、ワイヤロッドコーティング及びドクターブレードコーティングなどの方法を使用して、支持体表面に適用することができる。コーティングは、任意の好適な厚さを有することができる。
【0052】
任意の好適な支持体表面を使用することができる。多くの実施形態では、支持体は、接着テープ用の剥離ライナー又は裏材層である。任意の好適な剥離ライナー又は裏材層を使用することができる。好適な剥離ライナーは、典型的に、紙(例えばクラフト紙)又は高分子フィルムである。多くの用途で、高分子フィルムが好ましい。剥離ライナーとして使用される高分子フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、又はポリエチレン若しくはポリプロピレンのようなポリオレフィン、又はこれらの組み合わせから形成することができる。剥離ライナーの表面は、所望により、シリコーン、フルオロシリコーンのようなフッ素性化学物質、又はポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は低密度ポリエチレン)のような他の低表面エネルギー材料のような剥離剤で処理することができる。代表的なフルオロシリコーンは、Dow Corningから、商品名SYL−OFF(例えば、SYL−OFF Q2−7785又はSYL−OFF Q2−7786)で市販されている。ライナーを処理するための好適な剥離ライナー及び方法は、例えば、米国特許第4,472,480号(Olson)、同第4,980,443号(Kendziorski)、及び同第4,736,048号(Brownら)、同第5,578,381号(Hamadaら)、及び同第5,082,706号(Tangney)、並びに米国公開特許出願第2008/0280086号(Sheridanら)に更に記述されている。
【0053】
支持体上の前駆体層は次に加熱され、アクリル前駆体と架橋剤とが反応することで、架橋されたアクリルコポリマーを形成する。硬化反応(例えば、架橋反応)はまた典型的には、蒸発又は乾燥を介する有機溶媒の除去を伴う。前駆体層の固形分パーセントが有機溶媒の除去を通して上昇するにつれて、硬化反応に関与する成分は、より相互作用及び反応しやすくなる。硬化及び溶媒除去プロセスは、典型的には、室温よりも高い温度にて生じる。選択される実際の温度は有機溶媒の沸点に依存するが、前駆体層は、多くの場合、少なくとも40℃、少なくとも50℃又は少なくとも60℃に等しい温度にて加熱される。温度は、通常、120℃未満又は100℃未満である。例えば、温度は、40℃〜120℃の範囲、50℃〜100℃の範囲又は60℃〜90℃の範囲であることができる。任意の好適なオーブンが使用できる。いくつかの実施形態では、空気又は不活性ガスの流体が前駆体層を通過して、有機溶媒の除去を促進する。
【0054】
いくつかの実施形態では、感圧接着剤層に微細構造化表面を付与することが望ましい場合もある。微細構造化表面は、積層中の空気の退出を促進する傾向を有する。感圧接着剤層上に微細構造化表面を有することが所望される場合には、この層は、微細構造化特性を含有する工具又はライナー(例えば、剥離ライナー)に接触させながら形成することができる。前駆体層を硬化させて感圧接着剤層を形成した後、次にライナー又は工具を取り外して、微細構造化表面を有する接着剤層を曝露することができる。光学用途では、光学的性能又は特性への干渉を防止するために、微細構造が時間の経過と共に消失することが一般に望ましい。
【0055】
硬化した前駆体層に相当する感圧接着剤層は、架橋されたアクリルコポリマーと、アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子と、を含有する。この層は、多くの場合、調製されたときには粘着性であるが、所望であれば、粘着性を増強するために粘着付与剤を添加することができる。添加する場合には、粘着付与剤は、典型的には、前駆体層の形成前に、前駆体組成物に添加される。感圧接着剤組成物中に典型的に含まれる任意の粘着付与剤を使用することができる。固体又は液体粘着付与剤のいずれかを添加することができる。固体粘着付与剤は、一般に、約10,000グラム/モル以下の数平均分子量(Mn)と、約70℃よりも高い軟化点と、を有する。液体粘着付与剤は、約0℃〜約70℃の軟化点を有する粘稠な物質である。固体粘着付与樹脂が一般に好ましい。
【0056】
好適な粘着付与樹脂としては、ロジン及びその誘導体(例えば、ロジンエステル);ポリテルペン及び芳香族変性ポリテルペン樹脂;クマロン−インデン樹脂;並びに、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族変性炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素樹脂及びジシクロペンタジエン系樹脂などの炭化水素樹脂が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、添加される場合には、多くの場合、感圧接着剤層へのこれらの色の寄与を低下させるために、水素添加される。
【0057】
添加される場合には、粘着付与剤は、多くの場合、前駆体組成物中のアクリル前駆体に基づいて、あるいは、感圧接着剤中のアクリルコポリマーに基づいて、最大約40重量パーセントの量で存在する。粘着付与剤は、例えば、最大35重量パーセント、最大30重量パーセント、最大25重量パーセント、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント又は最大10重量パーセントの量で存在させることができる。いくつかの第二前駆体組成物は、1〜40重量パーセント、5〜40重量パーセント、10〜40重量パーセント又は5〜30重量パーセントの粘着付与剤を含有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、感圧接着剤層は、アクリルコポリマーの重量に基づいて、最大25重量パーセントの無機粒子を含有する。すなわち、100部のアクリルコポリマーを含有する感圧接着剤は、最大25部の無機粒子を含有する。例えば、感圧接着剤層は、アクリルコポリマーの重量に基づいて1〜25重量パーセント、1〜20重量パーセント、1〜10重量パーセント、2〜20重量パーセント、5〜20重量パーセント又は2〜15重量パーセントの無機粒子を含有することができる。
【0059】
感圧接着剤層は、単一層の引き伸ばし剥離可能な接着剤として使用することができる。裏材層なしで単一層として使用される場合には、感圧接着剤層の厚さは、多くの場合、5ミル〜50ミル(125〜1250マイクロメートル)の範囲、10〜40ミル(250〜1000マイクロメートル)の範囲又は20〜30ミル(500〜750マイクロメートル)の範囲である。単一層として使用される場合には、接着剤層の一部は、典型的には、1つ以上の基材に接着した後に取り外すための接着剤層を引くためのツメとして使用される。すなわち、基材に接着させると、又は、2つの基材の間に配置されると、接着剤層の一部は、基材を超えて、又は、基材のうちの少なくとも1つを超えて、延在する。所望される場合には、ツメを非粘着性にする任意の手段を使用することができる。例えば、ツメ部分は、非粘着性物質の別の層で覆うことができる。
【0060】
図2cは、単一の感圧接着剤層10を用いて第二基材50に連結された第一基材40を含む物品280の代表的な概略図である(例えば、裏材層は全く使用されない)。物品280は、次の順序で、第一基材40、第一接着剤層10及び第二基材50を含む。ツメ25は、感圧接着剤層の部分であり、第一基材40と第二基材50の両方を超えて延在する。接着剤層10を引き伸ばすために、並びに、第一基材40から、第二基材50から、又は、第一基材40及び第二基材50の両方から接着剤層10を取り外すために、ツメを引く。
【0061】
単一層引き伸ばし剥離可能な接着剤として使用されることに加えて、感圧接着剤層は、多層構成体中に含むことができる。裏材層と共に多層構成体中に含む場合、得られる構成体は、「接着テープ」と本明細書では呼ばれる。すなわち、本明細書で使用するとき、用語「接着テープ」は、裏材層と、裏材層に隣接した少なくとも1つの感圧接着剤層と、を含む構成体を指す。任意の好適な厚さを、接着テープに含まれる感圧接着剤層(1つ又は複数)に使用することができる。多くの代表的な接着テープにおいて、各感圧接着剤層は、10ミル(250マイクロメートル)以下、5ミル(125マイクロメートル)以下、4ミル(100マイクロメートル)以下、3ミル(75マイクロメートル)以下又は2ミル(50マイクロメートル)以下の厚さを有する。接着テープ中の感圧接着剤層の厚さは、多くの場合、少なくとも0.1ミル(2.5マイクロメートル)、少なくとも0.2ミル(5マイクロメートル)、少なくとも0.5ミル(12.5マイクロメートル)又は少なくとも1ミル(25マイクロメートル)である。例えば、接着テープ中に含まれる感圧接着剤層の厚さは、0.1ミル(2.5マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、0.2ミル(5マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、0.5ミル(12.5マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜3ミル(75マイクロメートル)の範囲又は1ミル(25マイクロメートル)〜2ミル(50マイクロメートル)の範囲であることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層の第一主表面に隣接して配置された単一の感圧接着剤層を含む。このような引き伸ばし剥離可能な接着テープは、任意の所望の目的のために基材の外側表面に配置することができる。例えば、接着テープは保護機能を提供することができ、保護がもはや必要なくなった又は望まれなくなった場合に、取り外すことができる。他の例では、接着テープは書き込み可能又は印刷可能な表面を提供することができる(例えば、裏材層上に書き込むこと又は印刷することが可能である)。より具体的ないくつかの例では、接着テープは、もはや必要なくなったときに取り外すことが可能なラベル又は価格シールとして機能できる。
【0063】
他の実施形態では、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層の主表面に対向するように隣接して配置される2つの感圧接着剤層を含む。このような引き伸ばし剥離可能な接着テープは、第一基材を第二基材に連結するために使用することができる。後の任意のときに、第一基材を第二基材から分離することが望まれる場合は、接着テープを引き伸ばして取り外すことができる(例えば、接着テープを引き伸ばして、第一基材から、又は第二基材から、又は第一及び第二基材の両方から、剥離する)。接着テープ及び互いから分離された後、所望される場合には、基材は再び使用可能である。これは、基材の少なくとも1つが高価である、又は脆性である、又は製造が困難である時に特に有利である。
【0064】
2つの感圧接着剤層を有する代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの構成体を図1aに概略的に示す。接着テープ100は、2つの感圧接着剤層10と30との間に配置される裏材層20を含む。第一接着剤層10は、裏材層20の第一主表面22に隣接しており、第二接着剤層30は、裏材層20の第二主表面23に隣接している。裏材層20の第一主表面は、裏材層20の第二主表面の反対側である。図1aに示すように、第一接着剤層10及び第二接着剤層30は両方とも裏材層20に接触しており、裏材層20に直接に接着している。図示されていない他の実施形態では、第一接着剤層10及び第二接着剤層30は、プライマー層のような1つ以上の介在層を介して裏材層20に間接的に接着する。裏材層20は、第一接着剤層10及び第二接着剤層30の両方を超えて延在する。接着剤層を超えて延在する裏材層21の領域は、ツメ21として機能できる。図1aでは、ツメ21は裏材層の一部、すなわち裏材層の延長である。
【0065】
図2aは、図1aに概略的に示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して連結された2つの基材を含む物品200の代表的な概略図である。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、第一基材40と第二基材50との間に配置される。すなわち、物品200は、次の順序で、第一基材40、第一接着剤層10、裏材層20、第二接着剤層30、及び第二基材50を含む。第一接着剤層10が第一基材40に接着し、第二接着剤層30が第二基材50に接着する。感圧接着剤層は、典型的には、指圧以下で基材に接着することができ、取り外しのために接着テープが引き伸ばされるまで基材に接着したままとどまることができる。第一基材40は、接着テープを介して第二基材50に連結される。
【0066】
図2aでは、裏材層20は、第一接着剤層10及び第二接着剤層30の両方を超えて延在する。第一接着剤層10及び第二接着剤層30の両方を超えて延在する裏材層の領域は、基材40及び50の両方から接着テープを引き伸ばし剥離するためのツメ21として機能できる。ツメ21を引き、接着テープを引き伸ばすことによって、第一接着剤層10を第一基材40から剥離することができる、又は第二接着剤層30を第二基材50から剥離することができる、又は接着剤層10及び30の両方を基材40及び50の両方から剥離することができる。この組み合わせ剥離は、第二基材からの第一基材の分離及び第一基材と第二基材との間からの接着テープの取り外しを可能にする。
【0067】
裏材層20並びに2つの感圧接着剤層10及び30を含む、別の引き伸ばし剥離可能な接着テープ300が図3aに概略的に示される。この実施形態では、裏材層20は第一接着剤層10からも第二接着剤層30からも延在していない。この接着テープを用いる第一基材40と第二基材50との連結を、図4aに概略的に示す。接着テープの領域(層10、20、及び30)は、基材40及び50の両方を超えて延在している。基材40及び50の両方を超えて延在している接着テープの領域は、ツメ24として機能できる。ツメ24は外側表面が接着剤層10及び30であるので、粘着性である。あるいは、フィルム又は別の、タルク若しくはインク(印刷されたもの)などの非粘着性の層のような追加的な層(図3aに図示せず)を、ツメの領域の接着剤層10及び30の上に配置して、非粘着性の表面を提供することができる。ツメ24を引き、接着テープを引き伸ばすことによって、第一接着剤層10を第一基材40から剥離することができる、又は第二接着剤層30を第二基材50から剥離することができる、又は接着剤層10及び30の両方を基材40及び50の両方から剥離することができる。この組み合わせ剥離は、第二基材からの第一基材の分離及び第一基材40と第二基材50との間の接着テープ(層10、20、及び30)の取り外しを可能にする。
【0068】
単一の感圧接着剤層を有する代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープ構成体を、図1bに概略的に示す。接着テープ150は、第一感圧接着剤層10に隣接して配置される裏材層20を含む。裏材層20は、第一接着剤層10を超えて延在する。接着剤層を超えて延在する裏材層21の領域は、ツメ21として機能できる。図1bでは、ツメ21は裏材層の一部、すなわち裏材層の延長である。
【0069】
図2bは、図1bに概略的に示された引き伸ばし剥離可能な接着テープに接着した1つの基材を含む物品の代表的な概略図である。物品250は、次の順序で、第一基材40、第一接着剤層10及び裏材層20を含む。ツメ21は、第一基材40を超えて延在する。
【0070】
更に別の引き伸ばし剥離可能な接着テープを図3bに概略的に示す。この引き伸ばし剥離可能な接着テープ350は、裏材層20と1つの感圧接着剤層10とを含む。基材40に接着したこのテープの使用を概略的に図4bに示す。ツメ24を引き、接着テープを引き伸ばすことにより、接着剤層10は、基材から剥離することができる。
【0071】
接着テープと共に、又は、単一の感圧接着剤層と共に、一方若しくは両方の基材から接着剤を剥離することは、ツメを引くこと及び引き伸ばすことを含む。ツメは、基材の少なくとも1つを超えて延在している。ツメは、裏材層の一部(すなわち、裏材層の延長)であること、少なくとも1つの接着剤層の一部(すなわち、接着剤層の延長)であること、裏材層に付着されること、少なくとも1つの接着剤層に付着されること、又は裏材層及び少なくとも1つの接着剤層の両方の一部(すなわち、裏材層及び少なくとも1つの接着剤層の両方の延長)であることができる。少なくとも1つの基材は、ツメのこの領域では接着剤層に接触していない。通常、両方の基材は、ツメのこの領域では接着剤層に接触していない。ツメは、通常、基材の表面に平行又は実質的に平行な方向に引かれる。すなわち、ツメは、0度、5度未満、10度未満、15度未満、20度未満、25度未満、30度未満、又は35度未満の方向に引かれる。ツメは、多くの場合、裏材層の一部である。いくつかの実施形態では、ツメは、接着剤層と接触している裏材層の第一領域を超えて延在する、裏材層の第二領域から形成される。ツメは、多くの場合、これらの実施形態において非粘着性である。他の実施形態では、ツメは裏材層及び接着剤層の少なくとも1つを含む。ツメは、多くの場合、これらの実施形態において粘着性である。更に他の実施形態では、ツメは、単一の感圧接着剤層の部分である。ツメは、通常、粘着性である。粘着性のツメは、ツメ領域を非粘着性材料で覆うことによって非粘着性にすることができる。
【0072】
図1a及び図3aで示したような両面接着テープでは、例えば、接着剤層及び裏材層は、典型的には、高度に伸張可能である。ツメを引くことは、接着テープの伸長又は引き伸ばしを引き起こす。引き伸ばすことは、第一基材と第二基材との間の領域における接着テープの体積を減少し、1つ又は両方の基材からの接着テープの剥離を促進する。ツメを引くことは、接着剤層が十分な貼着強度を有する場合、接着剤層が基材に対してよりも裏材層に対して強く接着している場合、及び、基材間の接着テープの体積を減らすために十分に接着テープを伸長できる場合に、接着テープが破損することなく、又は、元の位置にはね戻ることなく、両方の基材から接着剤層を剥離することを可能にする。引き伸ばされた接着テープを2つの基材の間から取り外すことができる、又は2つの基材を分離することができる、又はそれら両方が可能である。接着テープは、典型的に、引き伸ばし剥離条件下で破損すること又は切れることなく、第一方向に(多くの場合、第一方向は長手方向であり、長さを少なくとも50パーセント増加し得る)少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。
【0073】
接着テープのいずれかの中の裏材層は、任意の好適な構成を有することができる。例えば、裏材は、任意の好適な厚さ、組成物及び不透明度若しくは透明度を有する発泡体、フィルム又はこれらの組み合わせの形態であることができる。裏材層は、単層のフィルム、単層の発泡体、多層のフィルム、多層の発泡体又は多層の発泡体及びフィルムであることができる。
【0074】
接着テープの裏材層は、通常、引き伸ばし剥離接着テープに使用するのに好適な機械的特性を有するように選択される。例えば、裏材層は、破損せずに第一方向(例えば、長手方向)に少なくとも50パーセント引き伸ばす(伸長する)ことが可能であるように選択される。すなわち、破損せずに少なくとも50パーセント引き伸ばすことによって、裏材層の長さのような少なくとも1つの次元を増大させることができる。いくつかの実施形態では、裏材層は、破損せずに少なくとも100パーセント、少なくとも150パーセント、少なくとも200パーセント、少なくとも300パーセント、少なくとも400パーセント、又は少なくとも500パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、多くの場合、破損せずに最大1200パーセント、最大1000パーセント、最大800パーセント、最大750パーセント、又は最大700パーセント引き伸ばし可能である。これらの比較的大きい伸長値は、基材に接着させた後の接着テープの引き伸ばし剥離を促進する。
【0075】
裏材層のヤング率は、引き伸ばしに対する裏材層の抵抗性を示す指標となり得る。ヤング率は、多くの場合、少なくとも約1,000psi(約7MPa)、少なくとも約2,500psi(約17MPa)又は更には少なくとも約3,000psi(約21MPa)、約72,500psi(約500MPa)以下又は約50,000psi(約345MPa)以下である。ポリマーフィルムは、好ましくは、フィルムの機械方向及び横断方向の少なくとも一方で破損時の所望の伸びを達成することができる。以下に説明される、ポリ(アルキレン)コポリマーを含有するもののようないくつかのフィルム裏材層では、ヤング率は、約10MPa〜約75MPaの範囲であることが多い。例えば、ヤング率は20〜75MPaの範囲、20〜60MPaの範囲、20〜50MPaの範囲、又は25〜50MPaの範囲であり得る。ヤング率は、例えばASTM D790−07又はASTM D882−02の方法を用いて測定することができる。
【0076】
裏材層の引張り強度は、裏材層が破損せずに支持可能な荷重の指標であり、裏材層が破損せずにどれだけ遠くまで引き伸ばされ得るかの指標である。裏材層を破損させずに少なくとも50パーセント引き伸ばすことができる限り、任意の引張り強度が好適である。引張り強度は、多くの場合、約10MPa〜約60MPa又はそれ以上の範囲である。例えば、引張り強度は10〜60MPaの範囲、10〜50MPaの範囲、20〜60MPaの範囲、20〜55MPaの範囲、又は25〜50MPaの範囲である場合がある。引張り強度は、ASTM D882−02の方法を用いて測定できる。
【0077】
多くの用途において、発泡体又はフィルム裏材層は、例えば、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及び線状超低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、並びにポリブチレン)、ビニルコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニル)、オレフィンコポリマー(例えば、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びエチレン/プロピレンコポリマー)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、並びにこれらの組み合わせ及び配合物のような高分子材料から調製される。代表的な配合物としては、ポリプロピレン/ポリエチレン配合物、ポリウレタン/ポリオレフィン配合物、ポリウレタン/ポリカーボネート配合物、及びポリウレタン/ポリエステル配合物が挙げられる。
【0078】
他の好適な配合物としては、例えば、熱可塑性ポリマー、エラストマーポリマー及びこれらの組み合わせの配合物を挙げることができる。好適な配合物としては、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリクロロプレン(すなわち、ネオプレン)、ニトリルゴム、ブチルゴム、多硫化ゴム、シス−1,4−ポリイソプレン、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDMゴム)、シリコーンゴム、シリコーンポリウレアブロックコポリマー、ポリウレタンゴム、ポリイソブチレン、天然ゴム、アクリレートゴム、熱可塑性ゴム(例えば、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)及び熱可塑性ポリオレフィンゴム材料を挙げることができる。
【0079】
有用な発泡体裏材層は、典型的に、柔軟性があり、上に配置された感圧接着剤層と基材表面との間の面接触の程度を増大させるのを助ける。発泡体層は、約50パーセント〜約600パーセントの伸長を達成できる(すなわち発泡体層は、少なくとも50パーセント〜600パーセント引き伸ばし可能である)のが好ましい。破損点伸びは、接着テープが接着した基材から接着テープを取り外す間に裏材層が損なわれない状態を維持するように、十分に高いことが好ましい。
【0080】
発泡体裏材層は、多くの場合、柔軟性及び弾力性のような特性を最適化するように選択される。柔軟性があり弾力的な高分子発泡体は、表面むらを有する基材に接着物品を接着させる用途に適している。発泡体層は、通常、少なくとも約2ポンド毎立方フィート(pcf)(32.0g/L)、少なくとも約6pcf(96.1g/L)、少なくとも約8pcf(128.1g/L)又は少なくとも約12pcf(192.2g/L)、約30pcf(480.6g/L)未満、約25pcf(400.5g/L)未満又は更には約15pcf(240.3g/L)未満の密度を有する。発泡体層は、目的の用途に好適な任意の厚さを有することができる。好適な発泡体裏材層は、多くの場合、少なくとも5ミル(127マイクロメートル)又は少なくとも30ミル(762マイクロメートル)の厚さを有する。厚さは、最大100ミル(2540マイクロメートル)、最大125ミル(3175マイクロメートル)、最大150ミル(3810マイクロメートル)又は更にはそれらを超える値であることができる。いくつかの実施形態では、発泡体層は多重発泡体層を含み、発泡体の各層は、密度、伸長率、引張り強度、及びこれらの組み合わせのような様々な特性に寄与する。
【0081】
高分子フィルム裏材層は、例えば単層又は多層フィルム、多孔性フィルム、及びこれらの組み合わせを含む、多様な形態であり得る。高分子フィルムは1つ以上の充填材(例えば炭酸カルシウム)を含むことができる。ポリマーフィルムは、連続層又は不連続層であり得る。多層ポリマーフィルムは、好ましくは、複合体フィルム、ラミネートフィルム及びこれらの組み合わせの形態で、一体的に互いに接合されている。多層ポリマーフィルムは、例えば、共成形、共押出成形、押出コーティング、接着剤による結合、加圧結合、加熱結合、及びこれらの組み合わせを含むいずれかの好適な方法を用いて、調製することができる。
【0082】
裏材のフィルム層は、フィルムと発泡体層を共押出成形、共成形、押出コーティング、接着剤組成物による結合、加圧結合、加熱結合及びこれらの組み合わせを含む好適な機構を使用して、発泡体の層に接合することができる。フィルム層を発泡体層に接合するための任意の好適な接着剤組成物を使用することができる。剥離を実現するために、多層裏材のポリマーフィルム又は発泡体層の1つだけを引き伸ばそうとする場合には、その層は、その目的を達成するのに十分な物理的性質を示すべきであるとともに、十分な厚みがなければならない。
【0083】
いくつかの実施形態では、裏材層は、少なくとも2つの異なるアルケンモノマーから誘導されるポリ(アルキレン)コポリマーを含有するフィルムである。ポリ(アルキレン)コポリマーは、典型的に、1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第一アルケンと、2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第二アルケンモノマーと、を含むアルケン混合物の反応生成物である。例えば、第二アルケンモノマーは、多くの場合、4、6、又は8個の炭素原子を有する。すなわち、アルケン混合物は、1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物、及び2)ブテン、ヘキサン、オクタン、又はこれらの混合物を含む。これらのコポリマーは、通常、メタロセン触媒を用いて調製される。
【0084】
いくつかの用途では、裏材層、接着剤層及びその結果もたらされる引き伸ばし剥離可能な接着テープは、光学的に透明である。本明細書で使用されるとき、用語「光学的に透明」は、ASTM D1003−07の方法を用いて測定されたときに、少なくとも90パーセントの視感透過率及び5パーセント以下の曇りを有する裏材層、接着剤層又は接着テープを指す。この方法を用いて、測定は400〜700ナノメートルの波長範囲で行われた。視感透過率は、多くの場合、少なくとも91パーセント、少なくとも92パーセント、少なくとも93パーセント、少なくとも94パーセント、又は少なくとも95パーセントと同等である。曇り価は、多くの場合、4以下、3以下、2以下、又は1以下である。いくつかの代表的な接着テープは、ASTM D1003−7の方法を用いて測定されたときに、3パーセント以下の曇り及び少なくとも90パーセントに等しい視感透過率を有する。他の代表的な接着テープは、ASTM D1003−07の方法を用いて測定されたときに、2パーセント以下の曇り及び少なくとも90パーセントに等しい視感透過率を有する。視覚的に透明な材料全てが光学的に透明であるとは見なされない。すなわち、視覚的な透明性が常に光学的透明性と同義であるとは限らない。視覚的に透明な材料は、5を超える曇り価、90パーセント未満の視感透過率値、又はこれら両方を有する場合がある。
【0085】
いくつかの物品では、第一基材及び光学的に透明な接着テープの両方を通して見たときに第二基材が見えるように、光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープを2つの基材の間に配置することができる。接着テープが光学的に透明である場合、図2a及び図4aの第二基材50は、多くの場合、第一基材40及び接着テープ(示されているように、接着テープは層10、20及び30に相当する)を通して見ることによって目視できる。例えば、光学的に透明な接着テープを用いて、光学的に透明な基材(例えばカバーレンズ)のような第一基材を、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)のような第二基材に連結することができる。連結に欠陥がない場合は、光学的に透明な接着テープは第一基材とディスプレイとの間に配置されたまま維持される。しかし、連結に欠陥がある場合は、接着テープを引き伸ばすことによって、ディスプレイを損傷せずに接着テープを取り外すことができる。接着テープを交換し、第一基材及びディスプレイを、別の光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープで再び連結することができる。
【0086】
光学的に透明な裏材層は、光学的に透明な接着テープを調製するのに使用される。多くの実施形態において、光学的に透明な裏材層は、1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択された第一アルケンと、2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択された第二アルケンモノマーと、を含むアルケン混合物から調製されたポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。しかし、裏材層として使用するのに好適な機械的特性を有するポリ(アルキレン)コポリマーの多くは、光学的に透明な接着テープに使用するための光学的に透明な裏材層を調製するために通常必要な低い曇り曇り価(すなわち、ASTM D1003−07の方法を用いた測定で5パーセント以下)及び高い視感透過率(すなわち、ASTM D1003−07を用いた測定で少なくとも90の視感透過率)を有さない。例えば、多くのポリ(アルキレン)コポリマーの比較的大きい結晶サイズ、多くの市販のポリ(アルキレン)コポリマーにおける多様な添加剤の使用、及びポリ(アルキレン)コポリマーのフィルムの形成に使用される特定の方法によって、光学的に透明な裏材層として使用するのに適さないポリ(アルキレン)コポリマーにする可能性がある。
【0087】
光学的に透明な裏材が望まれる場合は、ポリ(アルキレン)コポリマーが完全な非晶質ではなく、ある程度の結晶性材料を有することが好ましい。結晶性材料は、物理的架橋材として機能することによって裏材層に強度を付加する傾向がある。しかし、結晶性材料のサイズが大きすぎると、裏材層の曇り価が許容範囲を超えて大きくなる場合がある。結晶性材料は、可視光の波長より小さいサイズを有するのが好ましい。好適なポリ(アルキレン)コポリマーの多くの実施形態において、結晶性材料の少なくとも95パーセントは400ナノメートル未満の結晶サイズを有する。例えば、結晶性材料の少なくとも95パーセントは、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、又は100ナノメートル未満の結晶サイズを有することができる。小さい結晶サイズは、光学的に透明な裏材層の形成を促進する。
【0088】
400ナノメートル未満の結晶性材料を有する裏材層は、多様な方法で調製できる。1つの方法では、裏材層の形成に使用されるポリ(アルキレン)コポリマーは、結晶のアライメント及び成長を最低限にするために、融解され、押出成形され、及び急冷される。別の方法では、シード材料(すなわち成核剤)を加え、冷却の際にコポリマー内での多くの結晶の形成を促進して、固化フィルムを形成することができる。より多くの結晶の形成は、より小さい結晶サイズをもたらす傾向がある。更に別の方法では、コポリマー組成物を変化させて、結晶サイズを変更する。4〜8個の炭素原子を有する第二アルケンモノマーの量が多いほど、より小さい結晶サイズをもたらす傾向がある。第二アルケンモノマーの量が増すにつれて、密度又は比重は低減する傾向がある。多くの場合、比重は0.91以下である。例えば、多くの場合、比重は0.90以下又は0.89以下である。多くの場合、比重は0.86〜0.91の範囲内、0.87〜0.90の範囲内、又は0.88〜0.90の範囲内である。
【0089】
光学的透明性が望まれる場合は、裏材層は、曇りに寄与する又は視感透過率を低下させる添加剤を含まないか又は実質的に含まないことが好ましい。例えば、裏材層は、典型的に、抗ブロッキング剤、スリップ剤、又はこれら両方を含まない。すなわち、裏材層は、通常、抗ブロッキング剤、スリップ剤、又はこれら両方を含まない若しくは実質的に含まない。本明細書で使用されるとき、抗ブロッキング剤又はスリップ剤を参照して「実質的に含まない」という用語は、これらの薬剤がそれぞれ、0.5重量パーセント以下、0.3重量パーセント以下、0.2重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、0.05重量パーセント以下、又は0.01重量パーセント以下の量で存在することを意味する。抗ブロッキング剤は、多くの場合、フィルムをポリ(アルキレン)コポリマーから調製する際に、例えばロールを形成するときのようにフィルム自体への付着を防ぐために添加される。代表的な抗ブロッキング剤としては、ケイソウ土及びタルクのような粒子が挙げられるが、これらに限定されない。スリップ剤は、多くの場合、ロールでのフィルム同士の摩擦又はフィルムと生産機器との摩擦のような摩擦を低減するために添加される。また、これらのスリップ剤の存在は、少なくとも1つの感圧接着剤層との良好な接着を妨害する場合がある。一般に使用される多くのスリップ剤は、アミド化によって長鎖脂肪酸から作られるもののような一級アミドである。スリップ剤の例としては、ステアルアミド、オレアミド、及びエルカミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
光学的透明性が望まれる多くの実施形態において、裏材層は、少なくとも99パーセントのポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。例えば、裏材層は、少なくとも99.1重量パーセント、少なくとも99.2重量パーセント、少なくとも99.3重量パーセント、少なくとも99.4重量パーセント、少なくとも99.5重量質量パーセント、少なくとも99.6重量パーセント、少なくとも99.7重量パーセント、少なくとも99.8重量パーセント、少なくとも99.9重量パーセントのポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。
【0091】
光学的に透明な裏材層を調製するために使用可能な代表的なポリ(アルキレン)コポリマーは、ExxonMobile Chemical(Houston,TX)から商品名EXACT(例えばEXACT 3024、3040、4011、4151、5181、及び8210)及び商品名VISTAMAXX(例えばVISTAMAXX 6202及び3000)として市販されている。他の代表的なポリ(アルキレン)コポリマーは、Dow Chemical(Midland,MI)から商品名AFFINITY(例えばAFFINITY PT 1845G、PL 1845G、PF 1140G、PL 1850G、及びPL 1880G)、商品名ENGAGE(例えばENGAGE 8003)及び商品名INFUSE(例えばINFUSE D9530.05)として市販されている。EXACT 8210、EXACT 5181、ENGAGE 8003、及びINFUSE D9530.05はエチレン−オクテンコポリマーである。EXACT 3040及びEXACT 4151はエチレン−ヘキセンコポリマーである。EXACT 3024及びEXACT 4011はエチレン−ブテンコポリマーである。
【0092】
光学的に透明でない代表的なポリ(アルキレン)コポリマーは、Pliant Corporation(Chippewa Falls,Wisconsin)から商品名XMAX及びMAXILENEシリーズ(例えば、MAXILENE 200は、メタロセン触媒で調製されないエチレン−オクテンコポリマーである)として入手可能である。これらの裏材層は、視覚的に透明だが光学的に透明でなく、わずかに曇りがあるか又は不透明な接着テープを生産するために使用することができる。多くの場合、これらのフィルムはスリップ剤、抗ブロッキング剤、又はこれら両方を含有する。
【0093】
低い曇り価及び高い視感透過率を有する裏材層をもたらす好適な材料を選択することに加えて、光学的透明性が望まれる場合は、これらの値を維持するように裏材層を調製する方法を選択しなくてはならない。すなわち、裏材層を作製する方法は、典型的に、平滑な表面及び比較的均一な厚さを提供するように選択される。表面が粗くなると、曇り価が希望に反して大きくなる場合がある。好適な光学的透明性を提供するために、多くの場合、裏材層全体で任意の方向に比較的均一な厚さを提供するようにプロセスが選択される。例えば、厚さは裏材層全体で任意の方向に10パーセント未満、8パーセント未満、6パーセント未満、5パーセント未満、変化する。より具体的には、4ミル(0.1ミリメートル又は100マイクロメートル)の平均厚さを有する裏材層は、任意方向における裏材層全体にわたって10マイクロメートル未満、8マイクロメートル未満、6マイクロメートル未満又は5マイクロメートル未満の厚さ変動を有する。
【0094】
光学的に透明な裏材層が望まれる場合は、ポリ(アルキレン)コポリマーのフィルムの形成に使用される多くの従来の方法は、結果的にもたらされるフィルムが必要とする平滑度を有さないので、適さない。例えば、ブローイング法は、通常、抗ブロッキング剤又はスリップ剤を加えることが多いので、適さない。これらの薬剤の添加は、多くの場合、結果的にもたらされるフィルムの表面を粗くする傾向がある。冷硬ローラーとの接触を最低限にするためにフィルムに粗い表面を与えるキャスト押出成形法は、通常、適さない。しかし、光学的透明性が問題でないときは、これらの方法を用いて裏材層を調製することができる。
【0095】
光学的透明性が望まれるときは、多様な方法を使用して、好適な平滑度及び厚さの均一性を伴う裏材層を調製することができる。第一例では、ポリ(アルキレン)コポリマーを、剥離ライナーのような2つの平滑な支持層間に、又は平滑な支持層と平滑なローラーとの間に、流し込むことができる。ブロッキング剤又はスリップ剤は必要なく、これらの薬剤はないのが好ましい。支持層(例えば剥離ライナー)は、結果的にもたらされるゴム状裏材層を強化する傾向があり、裏材層を歪めずに又は引き伸ばさずに更なる処理に曝すことを可能にする。更に、支持層は、少なくとも1つの感圧接着剤層と組み合わされるまで、裏材層の表面を保護する傾向がある。
【0096】
より具体的には、ポリ(アルキレン)コポリマーは、例えばフラット型キャスト用押出ダイを用いて、溶融フィルムとして押出成形可能である。押出成形温度は、約150℃〜200℃の範囲であることができる。ポリ(アルキレン)コポリマーの押出成形フィルムは、2つの支持体フィルム間で押出成形することができる。次に、結果的にもたらされる支持体フィルム/ポリ(アルキレン)コポリマーフィルム/支持体フィルムの構成体を、冷硬ロールスタックに通して、ポリ(アルキレン)コポリマーフィルムを冷却及び固化することができる。この方法を用いて調製される裏材フィルムは、比較的均一な厚さを有する傾向があり、かつ比較的平滑である傾向がある。この支持体フィルムは、多くの場合、剥離ライナーである。好適な剥離ライナーは、感圧接着剤層の調製時の使用のための上記のものと同じである。剥離ライナーは、典型的には、剥離ライナーを引き伸ばすこと又は損傷することなく、裏材層の調製後に、容易に取り外される。
【0097】
多くの場合、フィルム系裏材層の厚さは、所望の耐荷重力及び引き伸ばし剥離力に対する破壊強度の釣り合いをとって選択される。裏材層の厚さが増大するにつれて、通常、より大きい引き伸ばし剥離力が必要とされる。逆に、裏材層の厚さが減少するにつれて、より小さい引き伸ばし剥離力が必要とされる。フィルム系裏材層の厚さは、例えば、最大40ミル(1.0ミリメートル又は1000マイクロメートル)であることができる。本明細書で用いられるとき、用語「ミル」は、0.001インチであり、1ミルは約0.0025センチメートル又は約0.025ミリメートル又は約25マイクロメートルに等しい。多くの実施形態では、厚さは最大30ミル(750マイクロメートル)、最大20ミル(500マイクロメートル)、最大10ミル(250マイクロメートル)、最大8ミル(200マイクロメートル)、最大6ミル(150マイクロメートル)又は最大5ミル(125マイクロメートル)である。厚さは、多くの場合、少なくとも1ミル(0.025ミリメートル又は25マイクロメートル)、少なくとも2ミル(50マイクロメートル)、少なくとも3ミル(75マイクロメートル)又は少なくとも4ミル(100マイクロメートル)である。いくつかの好適な裏材層は、1ミル(25マイクロメートル)〜20ミル(500マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜8ミル(200マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜7ミル(175マイクロメートル)の範囲、2ミル(50マイクロメートル)〜8ミル(200マイクロメートル)の範囲、3ミル(75マイクロメートル)〜6ミル(150マイクロメートル)の範囲又は4ミル(100マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲の厚さを有する。
【0098】
調製の際、裏材層は、通常、ゴムのような材料であり、わずかに粘着性である。感圧接着剤層は、裏材層の少なくとも1つの主表面に隣接して配置される。多くの実施形態において、第一感圧接着剤層は裏材層の第一主表面に隣接して配置され、第二感圧接着剤層は裏材層の第二主表面に隣接して配置される。裏材層の第二主表面は、第二主表面に対向する面である。本明細書で用いられるとき、感圧接着剤層及び裏材層に対する用語「隣接」とは、感圧接着剤層が裏材層と接触していること又は1つ以上の介在層によって裏材層から分離されていることを意味する。すなわち、それぞれの感圧接着剤層は、裏材層に直接又は間接に接着させる。多くの場合、介在層はプライマー層又はプライミング処置によってもたらされる層である。
【0099】
裏材層は、少なくとも1つの感圧接着剤層に隣接して配置される前にプライミング処理することができる。プライマー処置は、裏材層と感圧接着剤層との間の接着力を増大させる傾向がある。多くの場合、この接着力の増大は引き伸ばし剥離接着テープにとって望ましい。すなわち、通常、裏材層に対する感圧接着テープの接着力は、基材に対する感圧接着剤層の接着力より強い。当該技術分野において既知の任意の好適なプライミング処置を使用することができる。例えば、プライミング処置は、化学的プライマー組成物での処置、コロナ放電又はプラズマ放電による処置、電子ビーム又は紫外線への曝露、酸エッチング、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、プライマー処置は、裏材層の表面にプライマー組成物を適用することを含む。任意の好適なプライマー組成物を使用することができる。プライマー組成物としては、例えば、反応性化学接着促進剤(例えば、その構成要素が裏材層、接着剤層、又はこれら両方と反応することができる)が含まれる。代表的なプライマー組成物としては、米国特許第5,677,376号(Groves)に記述されているものが含まれ、その全文は参照により本明細書に組み込まれる。すなわち、プライマー組成物は、(1)マレイン酸又は無水マレイン酸で修飾したスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーのようなブロックコポリマーと、(2)(a)1〜14個の炭素原子を有する非三級アルコールの少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートエステル及び(b)少なくとも1つの窒素含有モノマーを含む一価モノマー混合物の高分子反応生成物と、の配合物を含むことができる。ブロックコポリマーは、例えば、Shell Chemical Co.から商品名KRATON FG−1901Xで市販されているものあることができる。他の好適なプライマー組成物としては、商品名NEOREX(NEOREX R551)で市販されているもの(Wilmington,MA)が挙げられる。このプライマー組成物は、水媒介性のポリウレタンを含有する。
【0101】
多くの実施形態では、接着テープは、両面接着テープである。裏材層は、多くの場合、第一及び第二感圧接着剤層に直接接触する。あるいは、裏材層は、プライマー層などの別の層を有する感圧接着剤層から分離することができる。調製されるとき、接着テープは、多くの場合、第一感圧接着剤層に隣接する第一剥離ライナーと、第二感圧接着剤層に隣接する第二剥離ライナーと、を有する。接着テープを使用するために、基材などの別の表面に接着させるために感圧接着剤層を曝露すべく、各剥離ライナーを取り外すことができる。剥離ライナーは、多くの場合、一方が他方よりも容易に取り外すことができるように、異なっている。
【0102】
接着テープを調製するために使用される物質は、多くの場合、各感圧接着剤層のヤング率が裏材層のヤング率よりも低いように、選択される。接着剤層のヤング率が裏材層のヤング率より低いと、接着剤層は引き伸ばしの際の裏材層の変形中に降伏し、裏材層が引き裂かれる可能性はより低くなる。更に、接着剤層は、多くの場合、裏材層よりも高い破損点伸びを有するように選択される。この条件が満たされると、基材から剥離される際に感圧接着剤層が残渣を基材上に残す可能性はより低くなる。
【0103】
接着テープは、破損せずに第一方向(例えば、長手方向)に少なくとも50パーセント引き伸ばす(伸長する)ことができる。いくつかの実施形態では、接着剤は、破損せずに少なくとも100パーセント、少なくとも150パーセント、少なくとも200パーセント、少なくとも300パーセント、少なくとも400パーセント又は少なくとも500パーセント引き伸ばすことができる。裏材層は、多くの場合、破損せずに最大1200パーセント、最大100パーセント、最大800パーセント、最大750パーセント又は最大700パーセント引き伸ばすことができる。これらの比較的大きい伸長値は、基材に接着させた後の接着テープの引き伸ばし剥離を促進する。
【0104】
裏材層及び少なくとも1つの感圧接着剤層を含有する接着テープは、任意の好適な方法で形成できる。多くの実施形態において、裏材層は、感圧接着剤層と別に調製される。裏材層の調製後、少なくとも1つの、別に形成された感圧接着剤層を、裏材層の主表面に積層することができる。例えば、剥離ライナーに支持された感圧接着剤層は、剥離ライナーに所望により支持された裏材層に積層することができる。多くの場合、第一感圧接着剤層は裏材層の第一主表面に積層され、第二感圧接着剤層は裏材層の第二主表面(すなわち、第一主表面の反対側)に積層される。例えば、第一剥離ライナーに支持された第一感圧接着剤層は、剥離ライナーに支持されてもいる裏材層に積層することができる。裏材層への第一感圧接着剤層の積層後、裏材層を支持する剥離ライナーは、取り外すことができる。第二剥離ライナーに支持された第二感圧接着剤層は、次に、剥離ライナーに予め接触していた裏材層の表面に積層することができる。このアプローチは、多くの場合、例えば、裏材層がポリ(アルキレン)共重合性フィルムである場合に、使用される。
【0105】
他の実施形態では、裏材層を形成してから、感圧接着剤層を形成するために使用される前駆体組成物を、予め調製された裏材層の少なくとも1つの表面に適用する。すなわち、裏材層は、前駆体組成物の付着のための支持体として機能する。前駆体組成物は重合して、裏材層と接触しながら、第一感圧接着剤層を形成する。2つの感圧接着剤層を接着テープが有する場合は、別に形成された感圧接着剤層の積層によって、第二感圧接着剤層を、裏材層のもう一方の主表面(すなわち、第二主表面)に隣接させて配置することができる。あるいは、別の前駆体組成物を裏材層のもう一方の主表面に適用し、重合して、裏材層と接触しながら第二感圧接着剤層を形成することができる。この代替実施形態では、第一感圧接着剤層は、多くの場合、第一剥離ライナーに隣接して配置される。
【0106】
2つの接着剤層を伴う接着テープを作製する別の例では、剥離ライナーに配置された2つの接着剤層の間に裏材層を鋳造することができる。すなわち、第一感圧接着剤層を第一剥離ライナー上に調製することができ、第二感圧接着剤層を第二剥離ライナー上に調製することができ、裏材層をこれら2つの接着剤層の間に鋳造することができる。まだ温かい間に、裏材層を第一接着剤層に及び第二接着剤層に積層することができる。ブロッキング剤又はスリップ剤は必要ない。その結果得られる構成体は、次の層:第一剥離ライナー−第一接着剤層−裏材層−第二接着剤層−第二剥離ライナー、を有することができる。
【0107】
別の態様では、物品を提供する。物品は、少なくとも1つの感圧接着剤層に接着した少なくとも1つの基材を含む。いくつかの実施形態では、物品は、第一基材と、第一基材に接着した接着テープと、を含む。接着テープは、A)裏材層と、B)裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層と、C)第一基材を超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第一基材から接着テープが剥離される。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層及び第一感圧接着剤層は、上記のものと同じである。
【0108】
他の実施形態では、物品は、第一基材と、第二基材と、第一基材と第二基材との間に配置された感圧接着剤層と、を含む。感圧接着剤層は、第二基材に対して第一基材を連結する。感圧接着剤層は、第一基材及び第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメを含む。ツメを引くことによって感圧接着剤層が引き伸ばされ、第一基材から、第二基材から、又は、第一基材及び第二基材の両方から、感圧接着剤層が剥離される。感圧接着剤層は、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。感圧接着剤層は、上記のものと同じである。
【0109】
更に他の実施形態では、物品は、第一基材と、第二基材と、第一基材と第二基材との間に配置された接着テープと、を含む。接着テープは、第一基材を第二基材に連結する。接着テープは、A)裏材層と、B)裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層及び裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層と、C)第一基材及び第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第一基材から、又は第二基材から、又は第一基材及び第二基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。接着テープは、上述したものと同じである。
【0110】
2つの基材を接着テープで連結する工程は、それぞれの接着剤層に隣接する剥離ライナーを含む形態で接着テープを提供することを含み得る。すなわち、接着テープは、第一剥離ライナー−第一接着剤層−裏材層−第二接着剤層−第二剥離ライナーという順序で配列された層の構成体として提供され得る。第一剥離ライナーを取り外して、第一接着剤層を曝露することができる。次に、曝露された第一接着剤層を第一基材に隣接させて位置づけ、第一基材に直接又は間接に接着することができる。次に、第二剥離ライナーを取り外して、第二接着剤層を曝露することができる。次に、曝露された第二接着剤層を第二基材に隣接させて位置づけ、第二基材に直接又は間接に接着することができる。
【0111】
任意の好適な基材を、本明細書に記載の任意の感圧接着剤層に接着させることができる。基材は、任意の望まれる機能を提供することができ、任意の好適な材料から形成することができ、かつ任意の望まれる可撓性、サイズ、形状、厚さ、又はアスペクト比を有することができる。基材は単層であってもよく、支持層、プライマー層、ハードコート層(例えばアクリル系又はポリウレタン)、装飾デザインなどのような材料の多重層を含んでもよい。一方の基材又は両方の基材が、別の物品の外側表面層であってもよい。一方の基材又は両方の基材のいずれかが、高分子材料、ガラス材料、セラミック材料、金属含有材料(例えば、金属又は金属酸化物又は金属合金)又はこれらの組み合わせのような任意の好適な材料を含有することができる。
【0112】
基材に使用される代表的な金属、金属酸化物、又は金属合金は、インジウムスズ酸化物、チタン、ニッケル、スチール、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、銀、金、プラチナ、鉛などを含有することができる。基材に使用される代表的な高分子材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリプロピレン、又はポリノルボルネンのようなポリ(環式オレフィン)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、セルローストリアセテート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エポキシ、ナイロンなどが挙げられる。
【0113】
いくつかの用途では、基材の1つは、フック、ハンガー、クリップ、ホルダー、オーガナイザー、キャディ、バスケット又は看板のような物品の外側表面であり、第二基材は物品が取り付けられる表面である。第二基材としては、例えば、塗面、ガラス、木材(例えば染料又はワニスを塗られた木材)、磁器、繊維ガラス複合材料、プラスチック、しっくい、コンクリート、レンガ、花崗岩、セラミック、大理石、ステンレススチール又はこれらに類するものを挙げることができる。第二基材は、壁、窓、鏡、キャビネット、ドア、バスルーム備品、車両又はこれらに類するものであることができる。他の例では、第一基材が看板であり、第二基材が窓又は車両である。これらの例のうちの少なくともいくつかでは、所望される場合には、接着テープは、光学的に透明であるか又は視覚的に透明であることができる(例えば、曇りが5パーセント超過である)。
【0114】
接着剤層(すなわち、接着テープ又は単層中のもの)は、浴室でみられるもののような濡れた又は高い湿度の環境下でも使用することができる。例えば、接着剤物品は、便器(例えば便器のタンク)、浴槽、シンク、及び壁に接着可能である。接着剤層は、シャワー、ロッカー室、蒸気室、プール、ホットタブ及びキッチン(例えばキッチンシンク、食器洗い機及び汚れ止め板エリア、冷蔵庫並びに保冷器)で使用することができる。接着剤層は、屋外用途及び冷蔵庫などの低温用途であり得る。屋外用途は、例えば、標識のような物品を屋外表面(窓、ドア及び車両など)に接合することを含む。
【0115】
接着剤層(すなわち、接着テープ又は単層中のもの)は、様々な構成及び用途で使用することができる。例えば、接着剤層は、塗装されたドライウォール、しっくい、コンクリート、ガラス、セラミック、繊維ガラス、金属又はプラスチックなどの表面に様々な物品を取り付ける用途で使用することができる。取り付けることができる物品としては、壁かけ、オーガナイザー、ホルダー、バスケット、容器、装飾品(例えば、祝祭日用装飾品)、カレンダー、ポスター、ディスペンサー、針金クリップ、車両の車体側部の造形物、持ち運び用取っ手、道路標識のような看板製品、車両マーク、輸送マーク及び反射板が挙げられるが、これらに限定されない。接着剤層は、少なくとも2つの容器(例えば箱)を接着して後に分離するような、様々な結合及び組み立て用途に使用することができる。接着剤層は、例えば、物体の下に配置する緩衝材、防音板材料、振動緩和、及びこれらの組み合わせのような様々な緩衝及び遮音用途に使用することができる。接着剤層は、容器閉止(例えば、箱閉止、食品容器閉止、及び飲料容器閉止)、おむつ閉止並びに外科用ドレープ閉止を含む様々な閉止用途に使用することができる。接着剤層は、様々な断熱用途に使用することができる。接着剤層は、液体、蒸気(例えば、水分)及び粉塵用ガスケットのような様々な封止用途に使用することができる。接着剤層は、取り外し可能なラベル(例えば、メモ、値札、及び、容器の識別ラベル)のような様々なラベル及び看板に使用することができる。接着剤層は、様々な医療用途(例えば、包帯、外傷手当て及び病院環境などでの医療装置ラベル)に使用することができる。接着剤層は、1つの物体(例えば、花瓶又は他のワレモノ)を別の物体(例えば、テーブル又は本棚)に締結させるような様々な締結用途に使用することができる。接着剤層は、ロッキング機構の1つ以上の構成要素を基材に締結させる(例えば、小児事故防止ロックをキャビネット又はキッチン棚に接着し得る)ような様々な固定用途に使用することができる。接着剤層は、様々なイタズラ防止標示用途(例えば、イタズラ防止標示物品)に使用することができる。接着剤層は更に、様々な他の構成体に組み込むことも可能であり、限定するものではないが構成体としては、例えば、研磨物品(例えば、サンド処理用)、サンド処理及び艶出し用途のための物品(例えば、バフ磨きパッド、ディスクパッド、手パッド及び艶出しパッド)、舗装マーキング物品並びに敷物(例えば、カーペット用裏材)が挙げられる。
【0116】
接着剤層(すなわち、接着テープ又は単層中のもの)は、例えば、テープ、ストリップ、シート(例えば、穿孔付きシート)、ラベル、ロール、ウェブ、ディスク、及びキット(例えば、取付用の物体、及び、この物体を取り付けるために使用される接着剤テープ)などの任意の有用な形態で提供することができる。同様に、複数の接着剤物品を、例えば、ディスペンサー、袋、箱及び段ボールを含む任意の好適なパッケージで、例えば、テープ、ストリップ、シート(例えば、穿孔付きシート)、ラベル、ロール、ウェブ、ディスク、キット、スタック、タブレット及びこれらの組み合わせなどの、任意の好適な形態で提供することができる。
【0117】
光学的に透明な接着テープを有するいくつかの物品では、第二基材が第一基材及び第二基材の両方を通して見ることができるように、光学的に透明な接着テープを第一基材と第二基材との間に位置付けることができる。第二基材は、好ましくは、第一基材及び所望により透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープの両方を通して、歪みなく見ることができる。第二基材及び第一基材は、例えば、光学的に連結され得る。本明細書で用いられる用語「光学的に連結される」とは、第一基材と第二基材との間のあらゆる空隙が除去されることを意味する。空隙は、基材間の屈折率の不一致をもたらす場合がある。基材の光学的連結は、多くの場合、輝度の強化及びコントラストの強化をもたらす。更に、基材の連結は、構造的支持の増加を提供することができる。
【0118】
光学的に透明な引き伸ばし可能な接着テープと組み合わせて使用される基材のうちの少なくとも1つは、多くの場合、所望により光学的に透明又は透過的であるように選択される。基材は、例えば、可撓性、剛性、強度若しくは支持、反射性、反射防止性、偏光性、又は透過性(例えば、異なる波長に対して選択的に)をもたらすなど、様々な機能を有し得る。すなわち、基材は可撓性又は剛性であり得、反射性又は非反射性であり得、視覚的に透明、着色しているが透過性、又は不透明(例えば、非透過性)であり得、及び偏光性又は非偏光性であり得る。
【0119】
他の例では、結果的に得られる物品は、光学素子であることができ、又は、光学素子を調製するために使用することができる。本明細書で使用される用語「光学素子」とは、光学的効果又は光学的用途を有する物品又は構成要素を指す。光学素子は、例えば、電子ディスプレイ投射装置又はアプリケーション、フォトニクス装置又はアプリケーション、あるいは、グラフィック装置又はアプリケーションに使用することができる。
【0120】
これらの装置又はアプリケーションのいくつかでは、第一基材及び第二基材は、ディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ)、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム又は多層光学フィルムの外側層から選択される。代表的な基材としては、限定はしないが、液晶ディスプレイ、エレクトロウェッティングディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極線管、又はタッチセンサーの外側層が挙げられる。
【0121】
より具体的には、第一基材と、第二基材と、第一基材と第二基材との間に配置された引き伸ばし剥離可能な接着テープと、を含む物品が提供される。第一基材及び第二基材は各々独立してディスプレイ、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム又は多層光学フィルムから選択される。引き伸ばし剥離可能な接着テープは光学的に透明であり、第一基材を第二基材に連結する。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、(A)ポリ(アルキレン)コポリマーを含有する裏材層と、(B)裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層及び裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層であって、各感圧接着剤層がアクリルコポリマーと第二アクリル化合物中に分散した又は懸濁された無機粒子とを含む、第一感圧接着剤層及び第二感圧接着剤層と、(C)第一基材及び第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。接着テープは、破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。例えば、接着テープの長さは、破損せずに少なくとも50パーセント増加することができる。
【0122】
いくつかの用途では、第一基材は、情報ディスプレイ装置の部分である第二基材に連結された保護層である。保護層は、保護フィルム、ガラスの層、ポリカーボネートの層などであってよい。保護層は、例えば、情報ディスプレイ装置のカバーレンズとして機能することができる。情報ディスプレイ装置の例としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロント及びリアプロジェクションディスプレイ、陰極線管及び看板を含む、広範な表示域構成を有する装置が挙げられる。このような表示域構成を、携帯情報端末、携帯電話、タッチスクリーン、腕時計、カーナビゲーションシステム、グローバルポジショニングシステム、測深器、計算機、電子書籍、CD又はDVDプレーヤー、投射型テレビスクリーン、コンピュータモニタ、ノートパソコンのディスプレイ、計器、計器パネルカバー、又はグラフィックディスプレイのような看板等を含む、種々の持ち運び可能な及び持ち運びできない情報ディスプレイ装置で使用することができる。いくつかの用途では、全ての空隙が除去された剛性カバーとディスプレイ画面との間の結合は、表示される画像の質を向上することができる。
【0123】
いくつかの特定の用途では、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、情報ディスプレイ装置と、ガラス又はポリカーボネートで調製されたカバーレンズとを連結することができる。すなわち、物品は、次の構成体を有することができる:カバーレンズ−光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−情報ディスプレイ装置。より具体的には、物品は、カバーレンズ−第一の光学的に透明な接着剤層−裏材層−第二の光学的に透明な接着剤層−情報ディスプレイ装置の順序で配列され得る。情報ディスプレイ装置は、カバーレンズと、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープとの両方を通して見ることによって目視できる。例えば、第一基材がカバーレンズであり、第二基材が液晶ディスプレイである場合がある。液晶ディスプレイの外側表面は、多くの場合、偏光器である。他の例では、第一基材がカバーレンズであり、第二基材が、主にガラスである外側表面を伴うエレクトロウェッティングディスプレイである場合がある。
【0124】
光学的に透明な接着テープを用いて、2つより多くの基材を1つに連結することができる。すなわち、物品は、2つより多くの基材及び2つ以上の光学的に透明な接着テープを含むことができる。例えば、物品は、第一基材−第一の光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第二基材−第二の光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第三基材という順序で配列され得る。より具体的には、物品は、第一基材−第一の光学的に透明な接着剤層−第一裏材層−第二の光学的に透明な接着剤層−第二基材−第三の光学的に透明な接着剤層−第二裏材層−第四の光学的に透明な接着剤層−第三基材という順序で配列されることになる。第三基材は、第一基材、第一の光学的に透明な接着剤層、第二基材、及び第二の光学的に透明な接着剤層を通して見ることによって目視することができる。例えば、第一基材はカバーレンズである場合があり、第二基材はタッチパネルである場合があり、第三基材は液晶ディスプレイのような情報ディスプレイ装置である場合がある。タッチパネルは、多くの場合、ガラス、ポリエステル、又はインジウムスズ酸化物の外側表面を有する。
【0125】
あるいは、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープを用いて2つの基材を1つに連結し、別の光学的に透明な接着剤を用いて追加的な基材を接合することができる。例えば、物品は、第一基材−光学的に透明な接着剤−第二基材−光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第三基材という順序で配列され得る。具体的な例として、第一基材はカバーレンズである場合があり、第二基材はタッチパネルである場合があり、第三基材は液晶ディスプレイのような情報ディスプレイ装置である場合がある。この実施形態は、情報ディスプレイ装置をほかの物品に連結するためだけに、引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用する。より安価な構成要素は、引き伸ばし剥離可能でない接着剤を使用して連結することができる。
【0126】
他の用途では、基材の少なくとも1つは光学フィルムである。任意の好適な光学フィルムを物品に使用することができる。本明細書で使用するとき、用語「光学フィルム」は、光学的効果を生み出すために使用できるフィルムを指す。光学フィルムは通常、単層又は複層であり得る、ポリマー含有フィルムである。いくつかの光学フィルムは、異なる屈折率を有するポリマー材質を交互に重ねた層を有する。他の光学フィルムは、ポリマー層と金属含有層とを交互に重ねた層を有する。光学フィルムは可撓性であり、好適な任意の厚さにすることができる。光学フィルムは、多くの場合、電磁スペクトルの一部の波長(例えば、電磁スペクトルの可視紫外線範囲、赤外線範囲の波長、又は無線周波数範囲)に対して、少なくとも部分的に透過性、反射性、反射防止性、偏光性、光学的に透明、又は拡散性である。代表的な光学フィルムには、可視光鏡面フィルム、カラー鏡面フィルム、太陽光反射フィルム、赤外線反射フィルム、紫外線反射フィルム、反射偏光フィルム(輝度上昇フィルム及びデュアル輝度上昇フィルムを含む)、吸収性偏光フィルム、光学的に透明なフィルム、色つきフィルム、及び反射防止性フィルムが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な光学フィルムについては、米国特許第6,049,419号(Wheatleyら)、同第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,049,419号(Wheatleyら)、米国再発行特許第34,605号(Schrenkら)、同第5,579,162号(Bjornardら)、及び同第5,360,659号(Arendsら)に更に説明されている。
【0127】
引き伸ばし剥離可能な接着テープに又は感圧接着剤層に連結した2つの基材を含む物品は、耐久性であることができる。本明細書で使用するとき、用語「耐久性である」とは、物品を高い温度(例えば、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃又は少なくとも85℃)及び湿度条件(例えば、少なくとも70パーセントの相対湿度、少なくとも75パーセントの相対湿度、少なくとも80パーセントの相対湿度、少なくとも85パーセントの相対湿度又は少なくとも90パーセントの相対湿度)に層間剥離させることなく曝すことができることを意味する。高い温度及び相対湿度の条件を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、又は少なくとも7日間、維持することができる。例えば、物品を、60℃及び90パーセントの相対湿度、又は、85℃及び85パーセントの相対湿度のような条件に1週間、層間剥離させることなく曝すことができる。接着テープが光学的に透明な多くの実施形態では、接着テープは、高い温度及び湿度条件に曝露された後でさえ光学的に透明に維持される。例えば、曇り価は5以下に維持することができ、視感透過率は少なくとも90パーセントであることができる。好ましくは、高い温度及び湿度条件に曝されることにより物品内に気泡は形成されず、光学的歪みも生じない。
【0128】
つまり、アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁されたシリカ粒子などの無機粒子と共に架橋されたアクリルコポリマーを含む感圧接着剤層は、典型的には、ほとんど又は全く残渣を残さずに、取り外す(脱着する)ことができる。すなわち、接着剤層の取り外しの後、基材に接着剤はない又は実質的にない。例えば、接着剤層は、ガラス基材に少なくとも1週間又は少なくとも4週間のような長期間にわたって接着していた後に、ガラス基材に接着剤がない又は実質的にないように取り外すことができる。本明細書で使用するとき、用語「ない」は、接着剤残渣に関する場合、残留等級が、図5Aにおいて示されるように、ゼロであることを意味する。本明細書で使用するとき、用語「実質的にない」は、接着剤残渣に関する場合、残留等級が、図5Bにおいて示されるように、1であることを意味する。対照的に、シリカ粒子などの任意の無機粒子の不在下でアクリルコポリマーから調製される感圧接着剤層は、多くの場合、ガラスなどの基材に接着した後に、きれいには剥離しない。多くの場合、接着テープは、取り外しを試みた際に破損し、接着剤はかなりの残渣(例えば、貼着性片)を残し、あるいは、基材は、時間の経過と共に接着性が構築される(すなわち、接着性が増加する)ことに起因して取り外しプロセスにより損傷を受ける。少なくともいくつかの実施形態では、アクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子を含有する接着剤層は、無機粒子なしの比較可能な接着剤層と比べて、有意に高い静的荷重剪断特性を呈する。
【0129】
加えて、接着テープ又は感圧接着剤層は、好ましくは、高い温度及び湿度条件に曝露されたときに黄変しない。すなわち、接着テープは、長期間にわたって紫外線に対する抵抗性を有することができる。なお更に、接着テープは、湿気に曝露される条件下で使用することができる。接着剤は、多くの場合、屋内及び屋外両方の用途に使用することができる。
【0130】
両面接着テープは、2つの基材に接着した後に(すなわち、接着テープは2つの基材間に位置づけることができる)、接着テープの裏材層及び接着剤層を引き伸ばすことによって、一方又は両方の基材から剥離することができる。剥離された後、接着テープを2つの基材の間から取り外し、基材を互いに分離することができる。接着テープは、第二感圧接着剤を第二基材から完全に剥離する前に、第一感圧接着剤層を第一基材から剥離できるように構成することができる。すなわち、接着テープは、第一基材から、及び第二基材からの制御された順序の剥離を提供するように構成することができる。これは、多くの場合、第一感圧接着剤と第二感圧接着剤の中に含まれるアクリルコポリマーの組成物を変化させることによって達成することができる。あるいは、これは、米国特許第6,001,471号(Briesら)に記載されているように、感圧接着剤層の1つに非接着域を有することによって達成することができる。
【0131】
いくつかの用途では、接着テープは、2つの基材の連結に欠陥がある場合に、引き伸ばしによって剥離することができる。製作中の欠陥は、2つの基材の不整合、2つの基材間への気泡の入り込み、又は模様若しくは皺の形成の結果である場合がある。あるいは、基材は、基材のうち少なくとも1つを再使用できるように分離することができる。典型的に、引き伸ばし剥離接着テープは、基材間から、視認できる接着剤残渣をどちらの基材にも残さず又はほとんど残さずに、きれいに取り外すことができる。加えて、引き伸ばし剥離接着テープは、通常、いずれの基材の外観、機能、又は性能も損なわずに取り外すことができる。接着テープは引き伸ばしによって取り外すことができるが、接着テープは、引き伸ばされるまでは高荷重のせん断粘着力を提供することができる。
【0132】
また、装置の耐用期間にわたって、交換又はリサイクルのために基材のうちの1つを取り外すことが望まれる場合は、基材間の接着テープを引き伸ばし剥離することによって2つの基材を分離することができる。それらの基材は、いずれの基材も損なわずに分離することができる。これは、基材の一方又は両方を損なう場合のある応力レベルを典型的に導入する他の多くの分離方法に勝る利点である。そのような分離は、多くの既知の感圧接着剤では非常に困難である場合がある。
【0133】
いくつかの用途では、引き伸ばし剥離プロセスを助けるために巻き取り用具を使用して、2つの基材間からの接着テープの取り外しを促進することが望ましい場合がある。そのような巻き取り用具は、接着テープのツメを付着させる円筒のような、ごく単純なものである場合がある。巻き取り用具を回転し、接着テープが引き伸ばされるにつれて巻き取られるようにすることができる。そのようなプロセスでは、十分な幅の電動ローラーを用いて機械化することにより、ツメの全幅を同時にかつ滑らかに引いて、ゼロ度剥離によって基材から接着テープを取り外すことができる。機械化された装置により接着テープに付加される応力及びひずみ率を制御することによって、裏材層を引き裂かずに、かつ基材に接着剤残渣を一切残さずに、接着テープを剥離及び取り外しすることができる。機械化のアプローチは、大型の電子ディスプレイ又はグラフィックのような大きい基材を分離する場合に特に有利であろう。真空操作装置を用いて、分離する工程中の基材を持ち上げ、支持することができる。真空操作用具で基材を固定することにより、2つの基材間からの接着テープの剥離及び取り外しを阻止又は妨害し得る追加的な圧縮力を接着テープに与えずに基材を固定することができるまた、真空操作用具を用いて、接着テープの取り外し後に損傷なく基材を回収することができる。
【実施例】
【0134】
これらの実施例は、例示のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。別段の記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、及び比率は全て、重量に基づく。用いた溶媒及びその他の試薬は、別段の記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0135】
【表1】

【0136】
試験手順
180°剥離接着試験方法
試料は、ASTM D3330/D3330M−04、「角度180°での感圧テープの剥離接着のための標準試験方法(Standard Test Method for Peel Adhesion of Pressure-Sensitive Tape at180° Angle)」に従って、ガラス基材上で試験方法Eに従って試験される。
【0137】
静的剪断試験方法
静的剪断力は、ASTM D3654−82、名称「感圧テープの保持力(Holding Power of Pressure-Sensitive Tapes)」の方法(以下の変更を行った)にしたがって決定した。剥離ライナー(単一又は複数)が存在する場合、それを試験用サンプルから取り外す。寸法0.5in(インチ)×0.5in(1.27cm(センチメートル)×1.27cm)を有する試験試料は、72°F(すなわち、22℃)及び相対湿度50%で、15lb(6.8kg)の手持ちローラーを試料の長さにわたって12in/分(30.48cm/分)の速度で2回、通過させることによって、接着剤組成物を介して試験基材に接着させる。0.75in×4in(1.91cm×10.16cm)の寸法を有する金属蒸着ポリエステルフィルムを、負荷物を取り付ける目的のために接着試験用サンプルの片面に接着する。
【0138】
試験試料は、試験基材上で22℃及び相対湿度50%において1時間放置させた後、金属蒸着ポリエステルフィルムに1kgの重りを適用する。破損するまでの時間(分)を記録して、試験用サンプル全てについて、標準検査法の第10.1章の手順A及びCにしたがって算出される平均値を報告する。6個のサンプルを試験して、6個のサンプルが破損するまでの平均時間と各サンプルの(存在する場合は)破損モードを記録する。6個の試料のうち少なくとも1つが、試験終了時に破損しなかった場合、値に、「〜よりも大きい」という記号(すなわち、>)を付けて報告する。
【0139】
剥離力試験方法
標準的可変角度剥離治具を改良して、IMASS接着性試験機(Imass,Inc.,Hingham,MA)と共に使用して、試験用表面に接着した接着テープの低角度剥離力を測定する。ジグは、1枚の2in×12in(5.08cm×30.5cm)基材をしっかりと保持することができる。ジグをIMASSのプラテンに固定する。1枚の5/8in×2.75in(1.59cm×6.99cm)試験試料は、5/8in×2in(1.59cm×5.08cm)の接合面積を提供するために、対象基材に接着させる。試験試料は、IMASS試験機に固定するための、5/8in×3/4in(1.59cm×1.91cm)の非接着ツメを有する。1.59cm×5.08cm×1/16in(0.16cm)高衝撃ポリスチレン平面ピースは、試験用サンプルの、基材と反対側の面に結合している。試験試料を次に、相対湿度50%及び22.2℃の条件下で24時間にわたって調湿し、次に、30in/分(76.2cm/分)の剥離速度及び2°の剥離角度にて剥離する。基材からの取り外しのために裏材を引き伸ばすのに必要とされる平均剥離力を、幅5/8in当たりのオンス(N/メートル)の単位で記録する。各基材について3回の測定を行い、結果を平均する。
【0140】
きれいな除去可能性の試験法
基材の表面を目視検査して、基材表面の試験面積上に残っている接着剤残渣量を観測して記録し、図5に示しているように等級付けする。図5Aは、きれいな取り外し及びゼロ等級を例示する。図5Bは、非常にわずかなPSA残渣及び1等級を例示する。図5Cは、わずかなPSA残渣及び2等級を例示する。図5Dは、中程度のPSA残渣及び3等級を例示する。図5Fは、重度のPSA残渣及び4等級を例示する。図5Gは、裏材層の破断及び5等級を例示する。
【0141】
厚み測定法
サンプルの厚さは、小野測器(Ono Soki)ST−022デジタルゲージを用いて測定する。サンプル全域にわたってランダムな位置で複数回測定を行い、平均厚さをインチ(in)単位で記録する。
【0142】
感圧接着剤組成物(前駆体組成物)の調製
感圧接着剤組成物1(PSA1)
ガラス製反応用ボトルの中に102.38グラムのアクリル酸イソオクチル、47.25グラムのメチルアクリレート、7.88グラムの精製アクリル酸、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.9グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、24.9%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.661dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0143】
感圧接着剤組成物2(PSA2)
ガラス製反応用ボトルの中に102.38グラムのアクリル酸イソオクチル、47.25グラムのメチルアクリレート、7.88グラムの精製アクリル酸、7.88グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.9グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、27.0%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.661dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0144】
感圧接着剤組成物3(PSA3)
ガラス製反応用ボトルの中に198.81グラムのアクリル酸イソオクチル、12.69グラムの精製アクリル酸、238.5グラムのエチルアセテート及び0.423グラムの熱反応開始剤Iを配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素にて2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に255.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、29.1%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.695dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0145】
感圧接着剤組成物4(PSA4)
ガラス製反応用ボトルの中に198.81グラムのアクリル酸イソオクチル、12.69グラムの精製アクリル酸、21.15グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、238.5グラムのエチルアセテート及び0.423グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に255.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、29.1%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.541dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0146】
感圧接着剤組成物5(PSA5)
ガラス製反応用ボトルの中に92.12グラムのアクリル酸イソオクチル、1.88グラムの精製アクリル酸、7.05グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、106.0グラムのエチルアセテート及び0.188グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを57℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に176.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、26.0%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.429dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0147】
感圧接着剤組成物6(PSA6)
ガラス製反応用ボトルの中に92.12グラムのアクリル酸イソオクチル、1.88グラムの精製アクリル酸、11.75グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、106.0グラムのエチルアセテート及び0.188グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素にて2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを57℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に176.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、26.4%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.166dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0148】
感圧接着剤組成物7(PSA7)
ガラス製反応用ボトルの中に84.60グラムのアクリル酸イソオクチル、9.40グラムの精製アクリル酸、7.05グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、106.0グラムのエチルアセテート及び0.188グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素にて2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを57℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に176.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、25.8%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.436dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0149】
感圧接着剤組成物8(PSA8)
ガラス製反応用ボトルの中に84.60グラムのアクリル酸イソオクチル、9.40グラムの精製アクリル酸、11.75グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、106.0グラムのエチルアセテート及び0.188グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分間パージし、密封した。反応用ボトルを57℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に176.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、26.2%に相当する固形分含有量及び固有粘度0.981dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0150】
感圧接着剤組成物9(PSA9A及び9B)
2個のガラス製反応用ボトル各々の中に88.36グラムのアクリル酸イソオクチル、5.64グラムの精製アクリル酸、9.40グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、106.0グラムのエチルアセテート及び0.188グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。ボトル9Aを57℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させ、ボトル9Bを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に176.0グラムのエチルアセテートを各組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物9A及び9Bは、各々、26.1%及び26.3%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.428及び1.049dL/g(グラム当たりデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0151】
感圧接着剤組成物10(PSA10)
ガラス製の反応用ボトルの中に158.21グラムのアクリル酸イソオクチル、13.76グラムの精製アクリル酸、228.0グラムのエチルアセテート及び0.26グラムの熱反応開始剤II(VAZO 64)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に288グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、24.86%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.293dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0152】
感圧接着剤組成物11(PSA11)
ガラス製の反応用ボトルの中に44.54グラムのアクリル酸イソオクチル、20.56グラムのメチルアクリレート、4.90グラムの精製アクリル酸、7.0グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、130.0グラムのエチルアセテート及び0.140グラムの熱反応開始剤1(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に111.1グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、23.15%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.560dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0153】
感圧接着剤組成物12(PSA12)
ガラス製の反応用ボトルの中に44.54グラムのアクリル酸イソオクチル、20.56グラムのメチルアクリレート、4.90グラムの精製アクリル酸(Dow Chemical,Michiganから入手可能)、14.0グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、130.0グラムのエチルアセテート及び0.140グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に111.1グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、25.14%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.570dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0154】
感圧接着剤組成物13(PSA13)
ガラス製の反応用ボトルの中に89.08グラムのアクリル酸イソオクチル、41.12グラムのメチルアクリレート、9.80グラムの精製アクリル酸、21.0グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、260.0グラムのエチルアセテート及び0.280グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に222.2グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、24.29%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.680dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0155】
感圧接着剤組成物14(PSA14)
ガラス製の反応用ボトルの中に155.66グラムのアクリル酸イソオクチル、13.54グラムの精製アクリル酸、190.8グラムのエチルアセテート及び0.338グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に319.0グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、24.36%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.637dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0156】
感圧接着剤組成物15(PSA15)
ガラス製の反応用ボトルの中に104.53グラムのアクリル酸イソオクチル、48.24グラムのメチルアクリレート、4.73グラムの精製アクリル酸、7.9グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.7グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、26.01%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.569dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0157】
感圧接着剤組成物16(PSA16)
ガラス製の反応用ボトルの中に104.53グラムのアクリル酸イソオクチル、48.24グラムのメチルアクリレート、4.73グラムの精製アクリル酸、23.6グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.7グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、27.79%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.569dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0158】
感圧接着剤組成物17(PSA17)
ガラス製の反応用ボトルの中に100.22グラムのアクリル酸イソオクチル、46.26グラムのメチルアクリレート、11.03グラムの精製アクリル酸、7.9グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.7グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、26.21%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.642dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0159】
感圧接着剤組成物18(PSA18)
ガラス製の反応用ボトルの中に100.22グラムのアクリル酸イソオクチル、46.26グラムのメチルアクリレート、11.03グラムの精製アクリル酸、23.6グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.7グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、28.13%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.642dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0160】
感圧接着剤組成物19(PSA19)
ガラス製の反応用ボトルの中に102.38グラムのアクリル酸イソオクチル、47.25グラムのメチルアクリレート、7.88グラムの精製アクリル酸、15.8グラムのヒュームドシリカ(AEROSIL R972)、292.5グラムのエチルアセテート及び0.315グラムの熱反応開始剤I(VAZO 67)を配置した。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素で2分にわたってパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の槽に配置し、そこで24時間にわたって混転させた。更に155.7グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈した。得られた感圧接着剤組成物は、27.08%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.620dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0161】
裏材層の調製
裏材層1
XMAX 161.14は、Pliant Corporation(Chippewa Falls,WI)で製造される1.8ミル(45.7マイクロメートル)の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムの商品名である。フィルム層を190°F(88℃)及び25psi(172kPa)の積層圧にて加熱積層したところ、およそ5ミル(127マイクロメートル)の厚さを生じた。LLDPEは、エテンとオクテンとのコポリマーである。フィルムの両面を、接着剤の積層前に、米国特許第5,677,376号(Groves)の実施例15に従って調製した化学プライマーで処理した。
【0162】
裏材層2
FlexSol Lot ER276037は、FlexSol Packaging Corporation(Statesville,NC)で製造される4.9ミル(124.5マイクロメートル)の線状低密度ポリエチレンフィルムである。フィルムの両面を、接着剤の積層前に、米国特許第5,677,376号(Groves)の実施例15に従って調製した化学プライマーで処理した。
【0163】
裏材層3
36ミル(914マイクロメートル)の多層複合発泡積層体裏材は、0.0046cm(1.80ミル)の厚さの線状低密度ポリエチレンフィルムの2片の間に積層された、6ポンド毎立方フィート(96.1g/L)の密度を有するポリエチレンビニルアセテートコポリマー発泡体を含んだ。複合発泡積層体のフィルム層を、接着剤の積層前に、米国特許第5,677,376号(Groves)の実施例15に従って調製した化学プライマーで処理する。
【0164】
剥離ライナー
SYL−OFF Q2−7786剥離ライナーは、2枚の11.5ポンド(5.2kg)高密度ポリエチレンコロナ処理フィルム層(その1つは、つや消し仕上げを含み、その他のものはつや仕上げを含む)(Loparex,Willowbrook,Illinois)の間に挟み込まれた、35ポンド(15.9kg)の漂白されたクラフト紙である。マット仕上げのポリエチレンフィルム層の曝露面は、Q2−7786フルオロシリコーンポリマー(Dow Corning Corp.,Midland,Michigan)と、Q2−7560架橋剤(Dow Corning Corp.)と、プラチナ系触媒(Dow Corning Corp.)との反応生成物をおよそ2.5グラム毎平方メートル(gsm)含み、つや仕上げポリエチレンフィルム層の曝露面は、Q2−7785フルオロシリコーンポリマー(Dow Corning Corp.)と、Q2−7560架橋剤と、プラチナ触媒との反応生成物をおよそ1.5グラム含む。
【0165】
実施例C1、2、C3及び4
ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物1及び2に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤層を調製した。次に、各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤フィルムを、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層1の各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0166】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例1〜4の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表1に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する、実施例1〜4の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表2に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/メートル)である)を、24時間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/メートル)である)及び残渣Bを、7日間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。
【0167】
実施例C1及びC3は、比較例である。実施例2及び4は、実施例である。
【0168】
【表2】

【0169】
【表3】

【0170】
実施例C5、6、C7及び8
ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物3及び4に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤層を調製した。次に、各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤層を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤フィルムを、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層Iの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0171】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例5〜8の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表3に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する実施例5〜8の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表4に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/メートル)である)を、24時間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/メートル)である)及び残渣Bを、7日間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。
【0172】
実施例C5及びC7は、比較例である。実施例6及び8は、実施例である。
【0173】
【表4】

【0174】
【表5】

【0175】
実施例9〜17
ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物5〜9に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤層を調製した。次に、各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤層を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤フィルムを、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層IIの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0176】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例9〜17の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表5に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する、実施例9〜17の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表6に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)を、24時間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)及び残渣Bを、7日間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。
【0177】
実施例9〜17は、実施例である。
【0178】
【表6】

【0179】
【表7】

【0180】
実施例18、19、C20及びC21
まず、ヒュームドシリカ(AEROSIL R972)を0、8、10及び12重量%の添加濃度で混合しながら添加し、続いて、ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物10に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤層を調製した。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤フィルムを、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層Iの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0181】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例18〜21の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表7に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する、実施例18〜21の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表8に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)を、24時間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)及び残渣Bを、7日間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。
【0182】
実施例18〜20は実施例であり、C21は比較例である。
【0183】
【表8】

【0184】
【表9】

【0185】
実施例22〜26
ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物11、12及び13に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤フィルムを調製した。各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤層を、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層Iの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0186】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例22〜26の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表9に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する、実施例22〜26の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表10に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)を、24時間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)及び残渣Bを、7日間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。
【0187】
実施例22〜26は、実施例である。
【0188】
【表10】

【0189】
【表11】

【0190】
実施例C27、28、29及び30
まず、エアロゲルシリカ粒子を0、8、10及び12重量%の添加濃度で混合しながら添加し、続いて、ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物14に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤層を調製した。各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤フィルムを、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層Iの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0191】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例27〜30の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表11に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する、実施例27〜30の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表12に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)を、4週間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)及び残渣Bを、4週間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。
【0192】
実施例C27は比較例であり、実施例28〜30は実施例である。
【0193】
【表12】

【0194】
【表13】

【0195】
実施例31〜35
ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物15〜19に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤層を調製した。各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤フィルムを、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層IIIの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0196】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例31〜35の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表13に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。
【0197】
【表14】

【0198】
実施例C36、37、38及び39
ビスアミド架橋剤を感圧接着剤組成物9に添加し、30分にわたって混合することにより、感圧接着剤フィルムを調製した。各接着剤を、ラボラトリーナイフコーターを用いて、剥離ライナーのフルオロシリコーン処理表面上にコーティングした。強制対流オーブン内にて70℃でおよそ10分にわたって、各接着剤を乾燥させた。続いて、各感圧接着剤層を、ラボラトリーラミネーターを用いて、12インチ毎分(30.5cm/分)及び25psi(172kPa)ニップ圧で操作して、裏材層Iの各面上に乾燥積層して、剥離ライナーで覆われた接着剤層を有する接着テープを形成した。
【0199】
次いで、試験ストリップを、接着テープからダイカットした。実施例C36、37、38及び39の各引き伸ばし剥離接着剤組成物の感圧接着剤組成、乾燥接着剤フィルム厚さ及び剥離接着強度特性を、表14に記載する。剥離接着強度Aはライナー面で測定され、剥離接着強度Bは接着剤層の曝露面で測定される。ガラスに対する、実施例C36、37、38及び39の各引き伸ばし剥離接着ストリップ構成体の剥離力、残渣がきれいに取り外せるかの等級及び静的剪断特性を、表15に記載する。剥離力A(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)を、7日間の周囲条件での滞留後に測定した。剥離力B(単位は0.625インチ幅当たりのオンス(N/センチメートル)である)及び残渣Bを、7日間の120°F(49℃)での滞留後に測定した。静的剪断試験試料を、試験基材上で22℃及び相対湿度50%において5日にわたって滞留させ、その後、金属蒸着ポリエステルフィルムに1kgの重りを適用した。
【0200】
実施例37〜39は実施例であり、C36は比較例である。
【0201】
【表15】

【0202】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の1)と2)とを含む感圧接着剤であって、
1)以下のa)とb)とを含む硬化性組成物の架橋された反応生成物を含むアクリルコポリマー、
a)以下のi)とii)との少なくとも部分的に重合した反応生成物であるアクリル前駆体、
i)以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物、
(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、
(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤、
b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
2)前記アクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子、を含む感圧接着剤。
【請求項2】
前記無機粒子がシリカを含む、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
前記無機粒子がヒュームドシリカ又はシリカエアロゲル粒子を含む、請求項1又は2に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
前記無機粒子が、前記アクリルコポリマーの重量に基づいて1〜25重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感圧接着剤。
【請求項5】
裏材層と、
前記裏材層の少なくとも1つの主表面に隣接して配置される少なくとも1つの感圧接着剤層と、を含む接着テープであって、前記感圧接着剤層が以下の1)と2)とを含み、
1)以下のa)とb)とを含む硬化性組成物の架橋された反応生成物を含むアクリルコポリマー、
a)以下のi)とii)との少なくとも部分的に重合した反応生成物であるアクリル前駆体、
i)以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物、
(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、
(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤、
b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
2)前記アクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子、
ここで、前記接着テープが破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、接着テープ。
【請求項6】
前記裏材層がポリ(アルキレン)コポリマーを含む、請求項5に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記ポリ(アルキレン)コポリマーが、1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第一アルケンと、2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第二アルケンと、を含むアルケン混合物の重合した反応生成物である、請求項6に記載の接着テープ。
【請求項8】
前記接着テープが、前記裏材層と、前記裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層と、前記裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層と、を含む、請求項5又は6に記載の接着テープ。
【請求項9】
前記無機粒子がシリカを含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項10】
前記無機粒子が、前記アクリルコポリマーの重量に基づいて1〜25重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項5〜9のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項11】
前記裏材層が高分子発泡体を含む、請求項5〜10のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項12】
前記裏材層の反対側の前記第一感圧接着剤層に隣接する第一剥離ライナーと、前記裏材層の反対側の前記第二感圧接着剤層に隣接する第二剥離ライナーと、を更に含む、請求項5〜11のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項13】
前記接着テープが破損せずに前記第一方向に少なくとも300パーセント引き伸ばし可能である、請求項5〜12のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項14】
第一基材と、
第二基材と、
前記第一基材と前記第二基材との間に配置された接着テープと、を含む物品であって、前記接着テープが前記第一基材を前記第二基材に連結し、前記接着テープが、
A)裏材層と、
B)前記裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層、及び、前記裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層であって、前記第一感圧接着剤層及び前記第二感圧接着剤層が各々以下の1)と2)を含む、第一感圧接着剤層及び第二感圧接着剤層と、
1)以下のa)とb)とを含む硬化性組成物の架橋された反応生成物を含むアクリルコポリマー、
a)以下のi)とii)との少なくとも部分的に重合した反応生成物であるアクリル前駆体、
i)以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物、
(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、
(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤、
b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
2)前記アクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子、
C)前記第一基材及び前記第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含み、前記ツメを引くことによって前記接着テープが引き伸ばされ、前記第一基材から、前記第二基材から、又は、前記第一基材及び前記第二基材の両方から、前記接着テープが剥離され、前記ツメを引くと前記接着テープが破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、物品。
【請求項15】
前記裏材層が高分子発泡体又は高分子フィルムを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記裏材層が、1)エテン、プロペン又はこれらの混合物から選択される第一アルケンと、2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第二アルケンと、を含むアルケン混合物の重合した反応生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを含む、請求項14又は15に記載の物品。
【請求項17】
第一基材と、
前記第一基材に接着した接着テープと、を含む物品であって、前記接着テープが、
A)裏材層と、
B)前記裏材層の第一主表面に隣接する感圧接着剤層であって、前記感圧接着剤層が以下の1)と2)とを含む感圧接着剤層と、
1)以下のa)とb)とを含む硬化性組成物の架橋された反応生成物を含むアクリルコポリマー、
a)以下のi)とii)との少なくとも部分的に重合した反応生成物であるアクリル前駆体、
i)以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物、
(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、
(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤、
b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
2)前記アクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子、
C)前記第一基材を超えて延在するツメと、を含み、前記ツメを引くと前記接着テープが破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、物品。
【請求項18】
第一基材と、
第二基材と、
前記第一基材と前記第二基材との間に配置された感圧接着剤層と、を含む物品であって、前記感圧接着剤層は前記第一基材を前記第二基材に連結し、前記感圧接着剤層は以下の1)と2)とを含み、
1)以下のa)とb)とを含む硬化性組成物の架橋された反応生成物を含むアクリルコポリマー、
a)以下のi)とii)との少なくとも部分的に重合した反応生成物であるアクリル前駆体、
i)以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物、
(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、
(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤、
b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
2)前記アクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子、
前記感圧層は、前記第一基材及び前記第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメを有し、前記ツメを引くことによって前記接着テープが引き伸ばされ、前記第一基材から、前記第二基材から、又は、前記第一基材及び前記第二基材の両方から、前記接着テープが剥離され、前記ツメを引くと前記感圧接着剤層が破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、物品。
【請求項19】
2つの基材を連結及び分離する方法であって、前記方法は、
第一及び第二基材を提供することと、
前記第一基材及び前記第二基材の間に接着テープを配置することと、を含み、前記接着テープは前記第一基材を前記第二基材に連結し、前記接着テープは、
A)裏材層と、
B)前記裏材層の第一主表面に隣接する第一感圧接着剤層、及び、前記裏材層の第二主表面に隣接する第二感圧接着剤層であって、前記第一感圧接着剤層及び前記第二感圧接着剤層が各々以下の1)と2)を含む、第一感圧接着剤層及び第二感圧接着剤層と、
1)以下のa)とb)とを含む硬化性組成物の架橋された反応生成物を含むアクリルコポリマー、
a)以下のi)とii)との少なくとも部分的に重合した反応生成物であるアクリル前駆体、
i)以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物、
(1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、
(2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
ii)フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤、
b)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
2)前記アクリルコポリマー中に懸濁された又は分散した無機粒子、
C)前記第一基材及び前記第二基材のうちの少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含み、前記ツメは前記裏材層の一部であるか又は前記裏材層に付着され、
前記接着テープの前記ツメを引くことによって前記接着テープが引き伸ばされ、前記第一基材から、前記第二基材から、又は、前記第一基材及び前記第二基材の両方から、前記接着テープが剥離され、前記接着テープが破損せずに第一方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、方法。
【請求項20】
少なくとも1つの基材がガラスであり、前記接着テープが前記ガラスから剥離され、少なくとも24時間後に、前記ガラス上に接着剤残渣を全く残さない又は実質的に全く残さない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
感圧接着剤層を形成する方法であって、前記方法は、
以下の(1)と(2)とを含む一価モノマー混合物と調製することと、
1)酸性基又はその塩を有する極性モノマー、及び
2)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を有する少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリレート、
有機溶媒、及び、フリーラジカル重合反応のための熱反応開始剤の存在下で、前記一価モノマー混合物を少なくとも部分的に重合することにより、アクリル前駆体を形成することと、
以下の1)と2)と3)とを含む前駆体を形成することと、
1)前記アクリル前駆体、
2)少なくとも2個のアジリジニル基を有する架橋剤、
3)無機粒子(ここで、前記無機粒子は、前記アクリル前駆体形成前に、前記アクリル前駆体形成後に、又は、前記アクリル前駆体形成の前と後の両方に、添加することができる)、
前記前駆体組成物を支持体に適用して、前駆体層を形成することと、
前記前駆体層を硬化させて、前記感圧接着剤層を形成することと、を含み、前記感圧接着剤層は架橋されたアクリルコポリマーと前記架橋されたアクリルコポリマー中に分散した又は懸濁された無機粒子とを含む、方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【公表番号】特表2012−514075(P2012−514075A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543519(P2011−543519)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/063563
【国際公開番号】WO2010/077435
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】