説明

引抜成形により得られる複合管とその製造方法

発明の対象は次の段階の連続、すなわち、牽引応力を支持する1方向、0度の布あるいは繊維が含まれる駆動層1の引抜成形による設置、第1層1上に+5度と+60度あるいはー5度とー60度の間に含まれる管の長手軸に関する角度で設置されるn本の糸が含まれる層2の引抜成形による設置、層2上に該層2と必ず符合が反対であるー5度とー60度の間あるいは+5度と+60度の間に含まれる管の長手軸に関する角度で設置されるn本の糸が含まれる層2'の引抜成形による設置、そして、該層2'上に1方向の層3の0度の角度での引抜成形による設置ならびに全体のその後の重合化からなることを特徴とする樹脂の事前浸透あるいは樹脂の直接浸透による糸の層の重ね合わせによる引抜成形での複合材料管の製造方法である。
本発明には得られる管もまた含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引抜成形による複合管の製造方法に関する。
【0002】
本発明には本発明による方法を実施して得られる製品も含まれる。
【背景技術】
【0003】
複合材料で製作される管の数多くの利用が知られている。炭素が優先される方法の繊維およびエポキシあるいは熱硬化性樹脂の類で特別に選択されるが非限定的である樹脂に関する一連の記述につき複合材料のことが耳にされる。本特許請求中で利用される用語「管」はその断面が円あるいは楕円、どのようなものであってもあらゆるタイプの管と理解される。
【0004】
極めて高性能な管の全く特殊な用途とは機能性のロールあるいは誘導ロールのものである。
【0005】
追求される性能は、一般的に、製造出荷時そのままの製品に関して10分の1ミリメートルのオーダーの非常に小さな許容誤差の直線度および/または真円度の精度に焦点が当てられる。
【0006】
既に非常に精確であるこれらの管でも、必要ならばさらに一層精密な精度が得られるよう矯正が行われるべきである。
【0007】
このような材料の利用によりもたらされる軽量性の利点が知られているが、非常に強い加速度を受ける可能性のある部品に適用されるとメリットは尚一層増加する。
【0008】
誘導装置の用途では、例えば、繊維材料あるいはプラスチック材料の帯に関する作動機械では、この問題が極めて重要である。
【0009】
同様に、円形断面管に関する剛性すなわち軸変形強度だけでなく曲げ強度も改善されるべき重要なパラメーターである。
【0010】
本発明の目的は、これらの技術上の応力に応える管の製造方法だけでなく、その他の材料では達成が不可能である、ある一定の用途に関してはその他のタイプのロールによる、また、ある一定のその他の用途に関しては高まった性能による置き換えが可能となる原価に通じる方法も提案することにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明による方法による製造により無限の長さの管の製作も可能となる結果、必要に応じて輪切りにされるのが容易になって、製品の管理や顧客やユーザーの要求に大きな柔軟性ももって臨めるようになる。
(技術課題)
【0012】
課せられた応力に部分的に応じ易い管の製造に関しては、先行技術では競争力ある価格がもたらされるよう繊維状コイルと言われる方法が利用されている。
この方法により、従って、コイルが同一の性能項目およびある一定のパラメーター値により制約される大きなコイル角度でのみ作動するよう強いられる。
【0013】
先行技術の方法により生じる問題は、特にコイル角度が大きい場合の、幾何学上の変形が起こる重合化時の樹脂の収縮にあることが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本方法の段階の実施に関しては引抜成形が使われる。引抜成形は樹脂が事前浸透されるかあるいは通過時に浸透されるリール出口の糸の誘導兼設置装置の頭部を横断する通行により管が製作されることからなる。
【0015】
糸の設置は準備される様々な糸の布に応じてかつ予め決定された方向で実行される。管は回転なしの平行移動だけを受け、設置頭部だけが回転すると同時に平行移動状態で固定される。
こうして製作される管は前記の樹脂重合化の確保用加熱器の頭部を横断する通行を受ける。
【0016】
このように形成された管はローラー原動機により管軸の平行移動で出口へと引き出される。
【0017】
製造はこのように使用可能な場所により、また、求められる管の長さにより制約される不定の長さで連続して実施される。このため、管の移動に平行して連結される切断装置により、必要に応じて断面の輪切りが確保される。
管の直径は頭部で与えられ全体に関して一定である。
【0018】
本発明による方法は炭素の糸の場合、糸の層の最小限の連続する重ね合わせによる管の構成が準備されることからなるが、ガラスあるいはこれと等価な自然の繊維あるいは糸でも適切であろう。すなわち、駆動層1には引張り応力を支持する1方向の糸の布あるいは繊維が含まれる。1方向にある糸は管の長手軸と0度の角度をなす方向を有する。該糸はこの管の母線と合流する。この布により製作される管の全体が牽引されることが可能となる。この層は重要なパラメーターとしての厚さが薄くなくてはならない。層2には+5度と+60度あるいはー5度とー60度の間に含まれる管の長手軸に関する角度で置かれる糸が含まれる。符合+あるいはーにより設置が管の横断面に関して両側で実行可能であるという事実が示される。角度は小さいほど表面が覆われるための糸の本数が増えなくてはならない点が注目される。
【0019】
実際、管の横断方向断面に沿って見える糸の断面は糸の幅に近い。実際、設置される糸は幅lおよび厚さeがほぼ長方形の断面を有する。傾斜角をα、管の直径をD、糸の本数をnとすると、糸の本数は公式n=(CosαxπD/l)により与えられ、直径に関してコイル角度に比例することが認められ、いずれにしても非継ぎ合わせ層の0度の角度の1方向の層3場合にはより少ない糸本数が使用され得る。この層には非織物系の帯等その他の補強材が含まれる。
【0020】
全体は使用される樹脂のタイプに応じて既知の方法の温度で重合化される。
この構成によりほどほどの高性能である3層による最低の実施形態が構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
製造される製品の対称性と均衡性が配慮されると同時にこれらの力学特性が最適化されるために、本方法には傾斜角度が層2のそれと対称である追加の層2'が含まれる連続した層の製作が見込まれる。こうして、層2に関して+60度の角度が選択されるとすると、層2'に関する角度は―60度が選択される。
【0022】
このようにして次の連続した層、すなわち1方向0度の層1、±5度と±60度の間に含まれる角度でn本の糸が置かれる層2、±5度と±60度の間に含まれる角度で該層2と必ず符合が反対の角度を伴う、例えば、層2がー5度とー60度であれば、層2'は必ず+5度と+60度であるn本の糸が置かれる層2' ならびに0度の1方向の層3を伴った管が得られる。
【0023】
全体は重合化される。
実施形態例がさらに最適化されるためには、本発明による方法は極端に高性能な管に通ずることになる二重の中間層を伴う複雑な層の連続が見込まれる。
【0024】
この精巧な実施形態において、本方法には、次の連続した層、すなわち、1方向、角度0度の層1、±5度と±60度の間に含まれる角度でn本の糸が置かれる層2、±5度と±60度の間に含まれる角度で該層2と必ず符合が反対の角度が伴うn本の糸が置かれる層2'、1方向、0度の層3、±5度と±60度の間に含まれる角度のn本の糸が置かれる層4、±5度と±60度の間に含まれる角度で該層4と必ず符合が反対の角度であるn本の糸が設置される層4'とが見込まれる。
【0025】
その後全体が重合化される。これが中央の層1と外側までの層4'の複数の層が正確な順番で図式的に表示されている実施形態の例である。
【0026】
特別な方法では、炭素の糸をベースにしたコイルの場合、高性能に対応する剛性の確保のため、少なくとも50%の炭素が含まれる炭素の糸による各実施形態の層3の構成が目論まれる。
【0027】
同様にまたこの場合、既知の方法で該方法の実施により仕上げられて得られる管に特に最終的な矯正が受け入れられる余地のあるよう適合された表面状態が与えられるように、外側表面に繊維の薄布の設置が可能である。すべてのその他の最終被覆は0度の1方向の糸の最終層を含めて用途に応じて考えられ得る。
こうして製造出荷時に得られる管は0.05ミリ/メーター未満の直線度を有する。
【0028】
炭素の豊富な第3実施形態例の中間の1方向の1層を伴うサンドイッチ構造の製作といった層の均衡により得られる管には特に高度な特性が与えられる。
【0029】
実施形態例には極高弾性係数の炭素繊維が使われる方法が実施される場合に特別なある用途が見いだされ、これは引抜成形の方法により可能である。
【0030】
この場合、ピッチといわれる糸、すなわち三菱化学会社の「DIALEAD」という市販商品名の参考のものとに知られる石油ピッチが大きなベースにされた糸が引合いに出され得る。
【0031】
本方法の実施により製作された管により弾性係数値が繊維状コイルにより得られる値よりも20から40%高くなる。
【0032】
層2、2'および4、4'による高性能な解決策が利用されると先行技術のものよりも非常にはっきりした結果が得られる。このように繊維状コイルにより一般的に得られる200から250GPaに比べて少なくとも300GPaの曲げ弾性係数Eの値が達成される。
【0033】
例えば印刷業における用途は、この産業ではフレクソ印刷で600m/分の速度が達成されるように作業速度が増やされる極めて高性能の管あるいはフェルトロールが求められるので、数が多い。
【0034】
最適化された角度が満たされかつ決められるためには、次の点が考慮されるべきである。すなわち、管が短い場合には曲げの問題よりも多くは圧損の問題に陥りやすい。この場合に、糸の傾斜角が増やされるべきであり、管が長い場合には曲げがより際だつ。この場合には硬度が増すよう角度は減らされるべきである。
【0035】
割合においては、特別な実施形態では、糸全量の20%が含まれる牽引層、糸全量の30%の中間層の層2および2'、層4および4'ならびに50%の1方向の層3が必要とされる。
【0036】
こうして構成された層は重ね合わせにより繰り返されても良いが、重大な障害になる恐れのある費用が考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明による方法は、次に、その最も好ましい実施例における本方法により得られる管の単独図面が含まれる様々な層が現れる部分的な相貫線を伴う図に関して説明される。
(図)単独図


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階の連続、すなわち、引張応力を支持する1方向0度の糸布あるいは織物が含まれる駆動層の引抜成形による設置、管の長手方向軸に関して+5度と+60度の間あるいはー5度とー60度の間に含まれる角度で設置されるn本の糸が含まれる層2の該第1層上への引抜成形による設置、管の長手軸に関してー5度とー60度あるいは+5度と+60度の間に含まれる角度でかつ該層2と必ず符合の反対の角度で設置されるn本の糸が含まれる層2'の該層2上への引抜成形による設置、ならびに0度の角度の1方向の層3の該2'層上への引抜成形による設置、ならびにこれら全体のその後の重合化からなることを特徴とする事前樹脂浸透あるいは直接樹脂浸透の糸の層の重ね合わせによる引抜成形による複合材料管の製造方法
【請求項2】
次の連続した層の設置、すなわち、0度の1方向層の引抜成形による層1、±5度と±60度の間に含まれる角度でn本の糸が引抜成形による層2、±5度と±60度の間に含まれる角度でかつ該層2と必ず符合が反対である角度であるn本の糸の引抜成形による層2'、0度の1方向層の引抜成形による層3、±5度と±60度の間に含まれる角度のn本の糸の引抜成形による層4、±5度と±60度の間に含まれる角度でかつ該層4と必ず符合が反対であるn本の糸の引抜成形による層4' という中間層の重なりを伴うと同時に、その後これら全体の重合化を伴う複合的な層の連続が含まれることを特徴とする請求項1による複合材料管の製造方法
【請求項3】
仕上げの最終層が最後の層に設置される追加の段階が含まれることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかの請求項による複合材料管の製造方法
【請求項4】
仕上げの最終層として1方向の糸の層が設置されることを特徴とする請求項3による複合材料管の加工方法
【請求項5】
仕上げの最終層として薄布が設置されることを特徴とする請求項3による複合材料管の製造方法
【請求項6】
請求項1から請求項5までの任意の請求項による方法で実施されて得られる複合材料管
【請求項7】
曲げ弾性係数Eが少なくとも300GPaを示すことを特徴とする請求項6による複合材料管
【請求項8】
1方向糸の層3に少なくとも50%の炭素が含まれることを特徴とする請求項6あるいは請求項7による複合材料管
【請求項9】
層の配分が、牽引層1に全糸量の20%が含まれ、層2、2'層4,4'と名付けられる中間層に全糸量の30%が含まれるとともに、1方向の層3に全糸量の50%が含まれるという割合で実施されることを特徴とする請求項6、請求項7あるいは請求項8による複合材料管

【公表番号】特表2008−506551(P2008−506551A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520870(P2007−520870)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050578
【国際公開番号】WO2006/016089
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506427783)
【Fターム(参考)】