説明

強い吸引力のポリマー発泡体材料

【課題】尿、経血などの様な体液を吸収し、貯蔵するのに適切なポリマー発泡体構造を提供する。
【解決手段】ポリマー発泡体の液体貯蔵構造は、強い吸引のつぶれることができるポリマー発泡体材料である。顕著な静水圧に対抗しているときでさえ、そのつぶれた発泡体は、水性流体との接触の際にその流体を吸収し、膨張し得る。それらの吸収性ポリマー発泡体は、相互連絡する連続気泡を含む。1つの側面において、発泡体は、50cmの静水頭圧に対して少なくとも約25g/gを吸収し得る。もう1つの側面において、本発明の発泡体は、少なくとも約60cmの90%の垂直懸垂収着高さを有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本出願は、強い圧力が掛けられたとき、例えば尿および経血のような水性流体を吸収することが可能である強い吸引力のポリマー発泡体材料に関する。その様な発泡体は、吸収製品における貯蔵材料として特に有用である。
【0002】
発明の背景
強い吸収性の製品の開発は、実質的な商業的関心の課題である。その様な製品にとって強く所望される特性は乾燥性である。このことは、着用者の皮膚の近位から流体を除去することにより達成され得る。例えば、乾いたおむつは、着用する上でより快適であり、発疹(おむつ皮膚炎)のような皮膚の傷害を引き起こす傾向がより少ないであろう。同じ利益はまた、一般的にヒトまたは動物により着用される吸収製品のクラスを含む、女性用衛生パッドおよびタンポン、成人失禁ブリーフ、汗取り用パッド、傷のための包帯などについても生じる。他の吸収製品には、手術の際の血液管理のための、および植物への制御された水の投与のための園芸および農業における漏れ防止のための構造の中で用いられる物品が含まれる。
【0003】
おむつのようなより乾いた吸収製品を提供する能力は、尿のような排出された体液を獲得し、分配し、そして貯蔵し得る吸収性コアまたは吸収構造を有することを条件とする。その様なコアは、特定の機能について最適化された2以上の部材を具備し得る。例えば、コアは、噴出または急な排出を管理するように急速に流体を獲得し、元の排出のポイントから遠くの領域に流体を分配し、その遠くのポイントで不可逆的に閉じ込めることにより流体を貯蔵する様に設計されている層の複合体であり得る。
【0004】
この技術は、ヒドロゲル形成吸収性ポリマー(本明細書で以後「HFAP」と称される)を含む貯蔵材料の例で充実している。それらの材料はまた、当該技術において、「ヒドロコロイド」、「超吸収剤」または超吸収性ポリマーとも称される。その様な材料の使用は、ポー(Po),R.、J.M.S.−Rev.Macromol.Chem.Phys.、1994年、C34(4)、607〜662ページの「水分吸収性ポリマー:特許の概観(Water−Absorbent Polymers:A Patent Survey)」において要約されている。その様な貯蔵材料は、通常、吸収性コアにおける使用のためにいろいろな割合で繊維性ウエブと混合される。そのようなHFAPの代表例は、僅かに架橋したポリアクリレートである。他の吸収性ポリマーの多くの様に、それらの僅かに架橋したポリアクリレートは、ポリマーの主軸鎖に結合した多数のアニオン性の(荷電した)カルボキシ基を含む。それらの荷電したカルボキシ基が、浸透圧の力の結果としてポリマーが水性体液を吸収することを可能とする。
【0005】
流体の貯蔵はまた、毛管力にも基づいているであろう。毛管力は、ペーパータオルが零れた液体を吸い取ることにより例示されるようにさまざまな毎日の現象において顕著である。この技術は、繊維性アセンブリから形成される毛管吸収剤の例で充実している。別のタイプの毛管吸収剤は、1997年6月18日に公開されたEP779,066(ショーベット(Chauvette)ら)において記載されているようなミズゴケである。毛管吸収剤は、流体獲得および輸送の速度の点で優れた性能を提供し得る、すなわち、最初の接触のポイントから遠くに水性流体を動かす能力を提供し得る。実際、上記2重層コア吸収構造は、コアの層またはゾーンにおいて配置されているHFAPにより吸収され、保持されるように吸収性コア全体に最初に獲得された水性体液を動かすように1次毛管輸送担体として繊維性マトリックスを用いる。しかしながら、その様な構造は、貯蔵要素として用いられるとき、圧力の下で吐き出されるかまたは遊離の流体に導いて損ない得る。
【0006】
おむつの様な吸収製品における吸収性発泡体の使用は、極めて望ましいことが見出されてきた。もし適切に作られていれば、連続気泡形親水性ポリマー発泡体は、高性能吸収性コアにおける使用のために必要とされる有用な毛管流体獲得、輸送、および/または貯蔵を提供し得る。その様な発泡体を含む吸収製品は、望ましい湿潤一体性、維持される身体との適合感、使用のあいだの形態の変化(例えば、膨潤、ひだ寄せ)の最小化、および皮膚の乾きを提供し得る。乾きは、流体のほとんどが着用者の皮膚から最も遠い層の中に達するような示差毛管圧力を有する発泡体の層の使用により達成される。それらの設計の例は、米国特許第5,563,129号(下記)において記載されている。
【0007】
おむつの様な吸収製品のために最も有用な吸収性発泡体は、高内相エマルジョン(本明細書で以後「HIPE」と称される)から作られてきた。例えば、1993年11月9日に発行された米国特許第5,260,345号(デズマレーズ(DesMarais)ら)、1993年12月7日に発行された米国特許第5,268,224号(デズマレーズら)、1995年2月7日に発行された米国特許第5,387,207号(ダイヤー(Dyer)ら)、1997年7月29日に発行された米国特許第5,652,194号(ダイヤーら)、1996年10月8日に発行された米国特許第5,563,179号(ストーン(Stone)ら)、および米国特許第5,563,129号(上記)および1997年7月22日に発行された米国特許第5,560,222号(デズマレーズら)を参照されたい。それぞれの開示は参照により本明細書に含まれる。それらの吸収性HIPE発泡体は、(a)流体の続く噴出に適合することを可能とするために最初の衝突ゾーンから発泡体構造の使用していない残りの部分に吸収された尿または他の体液を遠く輸送する比較的良好な輸送作用および流体分配特性、および(b)負荷の下で、すなわち圧縮力の下で、比較的大きな流体容量を有する比較的大きな貯蔵能力を含む一般的に望ましい流体操縦特性を提供する。それらのHIPE由来の吸収性発泡体はまた、吸収製品の着用者に対して高度の快適さを提供するように十分に可撓性で柔軟でもあり、吸収された体液により続いて濡れるまで比較的薄く作られ得る。
【0008】
それらのHIPE由来の発泡体は、適切に設計された吸収製品において極めて良好に機能するけれども、吸収製品の設計についての更なる進歩に結びつく更なる改良についての機会が提起されている。1つの例としての設計において、貯蔵要素全体は、(起立している着用者を基準として)クロッチ領域から離れ、それより相対的に高い位置に配置されるべきである。おむつにおいては、その様な設計は、着用者の感受性の高いクロッチ領域の中に貯蔵されている流体の量を最小化する。このことは、おむつの元の快適な形態を維持するのみならず、別に要求されるであろうよりもクロッチ領域をより薄くすることもまた可能にする。多分最も重要なことには、この設計は、より優れた皮膚の健康のためにクロッチ領域をより乾いた状態で維持し得る。と言うのは、尿は貯蔵性コアによりその配置から実質的に除去されるからである。この設計は、獲得層を排水することを可能とし、次いで、失禁ゾーンより上の有意な高さに毛管作用により吸収された流体を輸送する貯蔵コアの中の部材を必要とする。典型的な分配材料は、「水性液体を分配するための吸収性材料(ABSORBENT MATERIALS FOR DISTRIBUTING AQUEOUS LIQUIDS)」と言う表題のデズマレーズらにより1998年3月13日に出願されたともに係属する米国特許出願シリアル番号第−号(P&Gケース7051)においてより詳細に記載されている。そのとき、貯蔵要素は、クロッチ領域よりも着用者の腰部に相対的に近くに集中しているべきである。従って、製品設計は、流体噴出を受容することが可能な比較的開いた獲得部材、獲得部材から実質的に流体を除去し、次いで、次の流体排出が起こりやすくなる前に必要とされる高さに流体を輸送するのに十分な毛管圧を有する分配層、および分配層から流体を除去することが可能な貯蔵層を具備する。(部材は、一般的に「層」であると理解されるがしかし、原則として、製品の機能と合致するいずれの形態も含み得る。)
この例において必要とされる絶対的な高さは、製品およびそのコアの大きさおよび地面に対する着用者の配向の両方に依存して可変的である。一般的に、その高さは、(ほとんど起立する者のない)小児についての約12cmからより年齢の高い小児についての約15から20cmに、そして成人についての約25cmまでの範囲を有し得る。貯蔵要素は、それらの高さにより作り出される静水頭圧に対して流体を少なくとも引くことが可能でなければならない。しかしながら加えて、貯蔵要素は、それに対してそれが配置される獲得層または分配層の脱着圧力を克服しなければならない。よりすぐれた流体分配材料に関する、「水性液体を分配するための吸収材料」と言う表題のデズマレーズらにより1998年3月13日に出願されたともに係属する米国特許シリアル番号第−号(P&Gケース7051)を参照されたい。流体を20cm輸送することが可能ないずれの材料についてもこの脱着圧力は、20cmを超えるであろう。脱着圧力は、吸収圧力の2倍以上であり得る。
【0009】
具体例はいろいろあるけれども、経験は、貯蔵要素は一般的に、少なくとも約40cm、好ましくは少なくとも約50cm、より好ましくは少なくとも約60cm、最も好ましくは少なくとも約70cmの総圧力(脱着に重力的な圧力を加えたもの)に抗する見かけの表面張力の水性流体を獲得することが可能でなければならないことを示してきた。クロッチ領域が流体獲得および/または分配材料のみを具備する(すなわち真の貯蔵材料はない)吸収製品においては、最終的に達成されるクロッチ領域の乾燥の程度は、獲得および/または分配部材の脱着圧力、獲得部材に対する貯蔵要素の高さ、および貯蔵要素の吸収圧力および吸収能力の関数である。高いレベルの乾燥度を発生させるのに必要な毛管圧力を与えることが可能な貯蔵要素は、一般的に、「強い吸引の」要素と記述されうる。
【0010】
貯蔵要素の能力全体もまた全く重要である。繊維性ウエブのような多くの材料は、約40から70cmの圧力全体に抗して流体を獲得するように高密度化され得るけれども、その様な部材の容量すなわちボイド体積は貧弱であり、典型的には40cmで約2〜3g/g未満である。高密度化もまた0cmでの容量を減少させる。更に、その様なウエブは貧弱な機械的強度のために圧力(静水的および機械的)の下でつぶれる傾向があり、さらにその有効容量を減少させる。貯蔵部材としての使用のための当該技術において記載される吸収性発泡体でさえ、約30〜40cmを超える静水圧に等しい圧力に供されたときつぶれる傾向がある。(静水圧は、1psi(7kPa)の機械的圧力が約70cmの静水圧と等価である場合に機械的圧力と等価である。)このつぶれは、再び、(通常約5ないし8の比率により)発泡体の有用な容量を実質的に減少させる。この減少した容量は、原則として、より吸収性の材料の使用により克服され得るけれども、これは一般的に、コストと薄さの考慮のために実際的ではない。
【0011】
貯蔵材料についての第3の重要なパラメーターは、水性流体を吸収する前に薄いままであり、流体に対する暴露の際に急速に膨張する能力である。この特徴は、上記米国特許第5,387,207号においてより詳細に記載されている。このことは、その着用サイクルの終わりに流体で飽和するようになるまで比較的薄い製品をもたらす。この「濡れるまで薄い」特性は、上記米国特許第5,387,207号において記載される様に、発泡体の中で展開する毛管圧と発泡体の強度との均衡を条件とする。
【0012】
貯蔵要素のもう1つの重要な特性は、それ自体の中で流体を輸送する能力である。獲得または分配部材と貯蔵要素とのあいだの重なりが単に部分的である場合、貯蔵部材はそれ自体、十分にそれ自体全体に流体を輸送し得なければならない。
【0013】
最終的に、貯蔵要素は、使用および製造のあいだに持ちこたえるように十分に頑丈であり、快適であるために十分に可撓性であり、大規模製造のために商業的に有用な手順を用いて製造するために扱いやすいことが望ましい。
【0014】
従って、(1)比較的高い高さで水性流体について相対的に大きな容量を示し、(2)体液で濡れるまで通常の貯蔵および使用のあいだに比較的薄く軽量でありえ、(3)それ自体の中で流体を輸送でき、(4)体液を吸収し、保持するために圧縮負荷の下で十分な弾力性、靭性および強度を有し、そして、(5)許容不可能な程度まで所望の吸収性および機械的特性を犠牲にすることなく経済的に製造し得る、連続気泡形吸収性ポリマー発泡体材料を作ることが可能であることが望ましいであろう。
【0015】
発明の概要
本発明は、強い吸引力の貯蔵材料、特に、強い吸引力のつぶれることができるポリマー発泡体材料に関する。それらの材料は、顕著な静水圧に向かい合っているときでさえ、水性流体(特に尿のような水性体液)との接触の際に、膨張し、それらの流体を吸収し得る。その吸収性ポリマー発泡体材料は、相互連通する連続気泡型のポリマー発泡体構造を具備する。1つの側面において、発泡体は、50cmの静水頭圧に抗して少なくとも約25g/g吸収する。すなわち、発泡体は、少なくとも約25g/gの50cmにおける垂直輸送吸収能力を有する。垂直輸送吸収能力は、試験流体の容器の上に垂直につられた発泡体のストリップの中の特定の高さでの区画の能力である。これは、下記試験方法の項目において記載される手順により測定される。
【0016】
もう1つの側面において、本発明の発泡体は、少なくとも約60cmの90%での垂直懸垂収着高さ(vertical hang sorption height;「VHSH」)を有する。(90%における発泡体のVHSHは、発泡体が0cmの高さで測定されたその能力の90%を含む上記発泡体の垂直につられたストリップの中の高さである。これは、以下の試験方法の項目において記載される手順により定量される。)発泡体は更に、その体積全体を有効に使用するためにそれ自体の中で流体を輸送し得る。この発泡体構造は更に濡れるまで薄く、可撓性であり、強靭であり、商業的に製造され得る。
【0017】
本発明は更に、油相および水相を有する特定のタイプの油中水型エマルジョン、すなわちHIPEを重合することにより強い吸引の吸収性発泡体を得るための方法に関する。この方法は、
A)
1)油相であって、
a)約35℃以下のTgを有するコポリマーを形成することが可能な約85から約98重量%のモノマー成分であって、そのモノマー成分は、
i)約25℃以下のTgを有するアタクチックなアモルファスポリマーを形成することが可能な約45から約70重量%のすくなくとも1種の実質的に水に不溶性の単官能基モノマー、
ii)スチレンにより与えられるのとほぼ等価の靭性を与えることが可能な約10から約30重量%のすくなくとも1種の実質的に水に不溶性の単官能基コモノマー、
iii)ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン、ジビニルフェナントレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド、ジビニルフラン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、テトラキス[2−エトキシアクリロキシ]シランおよびそれらの混合物から選択される約5から約25重量%の第1の実質的に水に不溶性の多官能基架橋剤、および
iv)多官能基アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびその混合物から選択される0から約15重量%の第2の実質的に水に不溶性の多官能基架橋剤
を含むモノマー成分、および
b)油相中に可溶性であり、安定な油中水型エマルジョンを形成することが可能である約2から約15重量%の乳化剤成分であって、乳化剤成分は、分岐鎖C16〜C24脂肪酸、直鎖不飽和C16〜C22脂肪酸、および直鎖飽和C12〜C14脂肪酸のジグリセロールモノエステル、分岐鎖C16〜C24脂肪酸、直鎖不飽和C16〜C22脂肪酸、直鎖飽和C12〜C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、分岐鎖C16〜C24アルコール、直鎖不飽和C16〜C22アルコール、および直鎖飽和C12〜C14アルコールのジグリセロールモノアリファティックエーテルおよびその混合物から選択される少なくとも約40重量%乳化成分を有する1次乳化剤を含む乳化剤成分
を含む油相、および
2)(a)約0.2から約20重量%の水溶性電解質、および(b)有効量の重合開始剤を含む水溶液を含む水相
3)約30:1から約100:1の範囲の水相対油相の体積対重量比
から、約6000sec-1未満の剪断速度で油中水型エマルジョンを形成する工程、および
B)ポリマー発泡体材料を形成するように油中水型エマルジョンの油相の中のモノマー成分を重合する工程
を具備する。
【0018】
ポリマー発泡体材料は、続いて、水性流体との接触に際に再膨張するつぶれたポリマー発泡体材料が形成される程度に脱水され得る。
【0019】
本発明の方法は、HIPEからより強力でより均質の発泡体の形成を可能とする。この新たな方法は、以下に詳細に記載される、エマルジョン混合手順における変更を伴う。
【0020】
発明の詳細な説明
1.強い吸引のポリマー発泡体
A.垂直輸送吸収能力および垂直懸垂収着高さ
1つの側面において、本発明の強い吸引材料は、50cmの静水頭圧で少なくとも約25g/gの垂直輸送吸収能力を有するポリマー発泡体構造を具備する。好ましい発泡体は、50cmの静水頭圧で少なくとも約27g/g、より好ましくは少なくとも約30g/gの垂直輸送吸収能力を有する。典型的には、ポリマー発泡体は、50cmの静水頭圧で、約25から約90g/g、より典型的には約27から約70g/g、さらにより典型的には約30から約60g/gの垂直輸送吸収能力を有する。
【0021】
もう1つの側面において、本発明の強い吸引の発泡体は、少なくとも約60cm、好ましくは少なくとも約70cmおよびより好ましくは少なくとも約80cmの平衡90%VHSHを有する。好ましくは、発泡体は、約60から約80cm、より好ましくは約70から約90cm、さらにより好ましくは約80から約90cmの90%VHSHを有する。必要ではないけれども、ある種の発泡体は、記載される垂直輸送吸収能力および90%VHSH特性の両方を有するであろう。
【0022】
強い吸引の大きな容量の貯蔵発泡体の開発は5つの主要特徴を必要とする。第1に、吸収性発泡体は、(g/g基準で)実質的な量の水性流体を吸収する様に、(その膨張した状態で)十分な開放ボイド体積を有さなければならない。第2に、吸収性発泡体は、そこから強い吸引が誘導される、単位体積当り大きな表面積を有さなければならない。第3に、吸収性発泡体は、(下記の大きな粘着張力を有して)実質的に親水性でなければならない。第4に、吸収性発泡体は、乾燥しているとき薄くなくてはならず、尿のような水性流体と接触するとき急速に膨張する。第5に、吸収性発泡体は、持ちこたえるべき静水圧と機械圧の組み合わせの下でつぶれに抵抗するために十分な強度を有さなければならない。
【0023】
それらの能力を有する発泡体を達成するには、発泡体についての特性の新たなセットと発泡体を得るための方法の開発を必要とした。それらの特性には、気泡の大きさの均一性の制御と大きな圧縮強度が含まれる。前者については、本発明は、気泡の大きさについて比較的高度の均一性を有する吸収性発泡体を提供する。気泡は、発泡体の中の主要な反復要素であり、その最長寸法においてエッジからエッジへのユニットの直径により特徴決定され得る。理論により拘束されないが、この高度の均一性は、その機能のために要求される特性を達成するために必要とされると思われる。気泡の大きさの均一性が比較的貧弱な発泡体は、流体について競合し得ない発泡体の部分をもたらし得る毛管圧力の範囲を示す。よりすぐれた気泡の大きさの均一性は、本明細書で以後詳細に記載される修正された加工処理技術により当該技術において記載される発泡体に対して達成されてきた。
【0024】
本発明はまた、強い圧縮強度を有する発泡体も提供する。圧縮時の強度は、吸収製品の中で全力の機能を発揮するために重要である。吸収性発泡体に加えられる負荷は2つの起源から到来する。第1に、着用者は、発泡体から流体を圧搾し得る動きまたは表面との接触を通して負荷を加え得る。第2に、(起立している着用者について)排出ゾーンの比較的上の高さの貯蔵要素の配置により加えられる毛管圧力もまた同様の負荷を与える。これらの負荷は、通常約4から8倍の顕著な量でその有用な能力を固有に減少させる吸収性発泡体の中途半端なつぶれをもたらし得る。
【0025】
B.一般的な発泡体の特徴
吸収製品および吸収構造において有用な本発明によるポリマー発泡体は、比較的連続気泡型であるものである。このことは、発泡体の個々の気泡は、一般的に、隣接する気泡と遮られずに連通することを意味する。その様な実質的に連続気泡型の発泡体構造の中の気泡は、発泡体構造の中の1つの気泡から他への容易な流体移行を可能とするように十分に大きい気泡間開口すなわち「ウインドウ」を有する。
【0026】
それらの実質的に連続気泡型の発泡体構造は、複数の十分につながった、3次元的に分岐したウエブにより規定される個々の気泡を有する網状構造特性を一般的に有するであろう。それらの分岐したウエブを作るポリマー性材料のストランドは、「ストラット」と称され得る。典型的なストラットタイプの構造を有する連続気泡型発泡体は、図4および5の顕微鏡写真において例として示される。本発明の目的のためには、大きさが少なくとも1μmである発泡体構造の中の気泡のすくなくとも80%が少なくとも1つの隣接する気泡と流体連通するならば、発泡体材料は「連続気泡型」である。
【0027】
連続気泡型であることに加えて、それらのポリマー発泡体は、発泡体が本明細書で以後特定される量で水性流体を吸収することを可能とするように十分に親水性である。発泡体構造の内表面は、重合後発泡体構造の中に残される残留親水化界面活性剤により、または本明細書で以後記載されるように、選択された重合後の発泡体処理手順により親水性にされる。
【0028】
それらのポリマー発泡体が「親水性」である程度は、吸収性試験液体と接触するとき示される「粘着張力」値により定量され得る。それらの発泡体により示される粘着張力は、例えば合成尿のような試験液体の取り込み重量が既知の寸法および毛管吸引比表面積の試料について測定される手順を用いて実験的に定量され得る。その様な手順は、上記米国特許第5,387,207号の試験方法の項目において極めて詳細に記載されている。本発明における吸収剤として有用である発泡体は、一般的に、65±5ダイン/cmの表面張力を有する合成尿の毛管吸収により定量して、約15から約65ダイン/cm、より好ましくは約20から約65ダイン/cmの粘着張力値を示すものである。
【0029】
本発明のポリマー発泡体は、水性流体との接触の際に、膨張し、その様な流体を吸収するつぶれた(すなわち膨張していない)ポリマー発泡体の形態で調製され得る。それらのつぶれたポリマー発泡体は通常、圧縮力および/または熱的乾燥および/または減圧脱水による重合したHIPE発泡体からの水相の吐き出しにより得られる。圧縮および/または熱的乾燥/減圧脱水の後、ポリマー発泡体は、つぶれた、すなわち、膨張していない状態で存在する。それらの「濡れるまで薄い」吸収性発泡体を製造するための方法は、(上記)米国特許第5,652,194号において記載されている。
【0030】
圧縮および/または熱的乾燥/減圧脱水に続いて、つぶれたポリマー発泡体は、水性流体で濡れたとき、再膨張し得る。驚くべきことに、それらのポリマー発泡体は、貯蔵、航海運送、展示のあいだおよび使用の前のその様な製品にとって典型的な状態の下で貯蔵されたとき無期限にそのつぶれた、すなわち膨張していない状態にとどまる。実施可能な程度の圧縮および/または熱的乾燥/減圧脱水の後、それらのポリマー発泡体は、その中に含まれる吸湿性の水和性塩と結びつく水和の水並びに発泡体の中に吸収された遊離水の両方を含む残留水を有する。(水和した塩により補助される)この残留水は、得られるつぶれた発泡体構造に対して毛管圧力を及ぼすと思われる。
【0031】
それらの発泡体の重要なパラメーターは、そのガラス転移温度(Tg)である。Tgは、ポリマーのガラス状状態とゴム状状態のあいだの転移の中間点を表す。使用の温度より高いTgを有する発泡体は、極めて強力であり得るがしかし、極めて硬質であるかもしれず、潜在的に破損する傾向がありうる。その様な発泡体はまた典型的に、長期間つぶれた状態で貯蔵された後ポリマーのTgより温度の低い水性流体で濡れたとき膨張した状態に回復するのに時間がかかる。機械的特性の所望の組み合わせ、特に強度と弾力性は、典型的に、それらの所望の特性を達成するために極めて選択的な範囲のモノマーのタイプとレベルを必要とする。
【0032】
本発明の発泡体については、ポリマーのTgは、使用時の温度より少なくとも約10℃低いことが好ましい。従って、より低いTgを有する対応するホモポリマーを提供するモノマーが可能な限り多く選択される。Tgは、参照により本明細書に組み込まれる1997年5月27日に発行された米国特許第5,633,291号(ダイヤーら)の試験方法の項目において記載される動的機械的分析(DMA)測定からの損失正接(tan[δ])対温度曲線から誘導される。
【0033】
C.強い吸引の発泡体構造の特性
1.毛管吸引比表面積および毛管吸収圧力
大きな表面積および粘着張力はともに強い吸引を達成する上で重要である。「毛管吸引比表面積」(CSSSA)は、一般的に、バルクの発泡体材料(ポリマー構造材料に固体残留材料を合せたもの)の単位質量当たりの特定の発泡体を形成するポリマー網状構造の試験液体が接触可能な表面積の尺度である。CSSSAは、発泡体の中の気泡性単位の寸法およびポリマーの密度の両方により決定され、従って、表面が吸収性に関与する程度まで発泡体網状構造により提供される固体表面の総量を定量する方法である。本発明の目的のためには、CSSSAは、既知の質量と寸法の発泡体試料の中で起こる低表面張力液体(例えばエタノール)の毛管吸収の量を測定することにより定量される。CSSSAおよび粘着張力は、上記米国特許第5,387,207号において詳細に記載されている技術を用いて測定される。CSSSAまたは粘着張力を定量するためのいずれか合理的な別の方法もまた利用され得る。
【0034】
吸収剤として有用な本発明の膨張したポリマー発泡体は、少なくとも約0.1m2 /mLのCSSSAを有するものである。典型的には、毛管吸引比表面積は、約0.1から約0.6m2 /mL、好ましくは約0.15から約0.55m2 /mL、最も好ましくは約0.18から約0.50m2 /mLの範囲内に存在する。その様なCSSSA値を有する発泡体は、水性流体で濡れるまでつぶれた膨張していない状態に発泡体を維持するのに十分な毛管圧力を発生させ得るし、また、相対的に強い毛管圧力も発生させる。
【0035】
毛管吸収圧力は、密度(ボイド体積または容量)、CSSSA、および粘着張力の組み合わせられた影響の1つの有用な尺度である。[テキスタイル・サイエンス・アンド・テクノロジー、第7巻、P.K.チャタジー(Chatterjee)編集、エルゼビエ発行、アムステルダム、1985年、第2章、「吸収性」におけるP.K.チャタジーおよびH.V.ニュイエン(Nguyen)を参照されたい。]本発明の目的のためには、問題の毛管吸収圧力は、垂直輸送流体負荷が31℃で平衡条件のもとで自由吸収能力の50%である静水頭である。静水頭は、高さhの流体(例えば、合成尿)の円柱により表される。水性流体を吸収するための吸収製品において特に有用であるために、本発明の好ましい吸収性発泡体は、一般的に、少なくとも約45cm、より好ましくは少なくとも約55cm、さらにより好ましくは少なくとも約65cmの毛管吸収圧力を有する。本発明の発泡体は、典型的には、約45cmから約150cm、より典型的には、約55cmから約120cm、さらにより典型的には、約65cmから約90cmの吸収圧力を有する。文献にすでに記載されている発泡体は、それらの圧力でつぶれるであろうし、その有効な能力のほとんどを失うであろう。発泡体の毛管吸収圧力を測定する目的のために、本出願人は、バージェニ(Burgeni),A.A.、ケーパー(Kapur),C.、テキスタイル・リサーチ・ジャーナル、1967年、356〜366ページから得られる修正された手順を用いる。その方法は、以下の試験方法の項目において詳細に記載されている。
【0036】
2.自由吸収能力
本発明の吸収性発泡体のもう1つの重要な特性は、その自由吸収能力である。「自由吸収能力」は、(負荷がない条件かまたは0cmの高さで)試料中の固体材料の単位質量当たりの所定の発泡体試料がその気泡構造に吸収する試験流体(合成尿)の総量である。水性流体を吸収するための吸収製品において特に有用であるために、本発明の吸収性発泡体は、乾燥発泡体材料のグラム当たり約30から約100mL、好ましくは約30から約75mL、最も好ましくは約30から約65mLの合成尿の自由吸収能力を有するべきである。発泡体の自由吸収能力を定量するための手順は、(上記)米国特許第5,563,179号において詳細に記載されている。
【0037】
3.膨張率
水性流体への暴露の際に、本発明のつぶれた発泡体は膨張し、流体を吸収する。本発明の目的のためには、圧縮により脱水された発泡体についての膨張した厚さおよびつぶれた厚さの間の関係は、以下の式、
Thexpanded=Thcollapsed ×((0.133×W:O比)±2)
(式中、Thexpandedはその膨張した状態の発泡体の厚さであり、Thcollapsed はそのつぶれた状態における発泡体の厚さであり、W:O比は、発泡体が作られるHIPEの水対油の比である)から経験的に予測され得る。
【0038】
従って、60:1の水対油の比を有するエマルジョンから作られた典型的な発泡体は、(6〜10の範囲を有する)8.0の予測された膨張率を有するであろう、すなわち、膨張した厚さは、発泡体のつぶれた厚さの8倍である。膨張率を測定するための手順は、本明細書で以後、以下の試験方法の項目において記載されている。それらの発泡体についての「膨張率」は、少なくとも約4×である、すなわち、その膨張した状態における発泡体の厚さは、そのつぶれた状態における発泡体の厚さの少なくとも約4倍である。つぶれた発泡体は、好ましくは、約4×から約15×、より好ましくは約5×から約10×の範囲の膨張率を有する。
【0039】
4.圧縮歪みに対する抵抗
本発明の吸収性ポリマー発泡体の関連する特徴は、その圧縮歪みに対する抵抗(RTCD)により定量されるその膨張状態におけるその強度である。本明細書で発泡体により示されるRTCDは、ポリマーの弾性率並びに発泡体網状構造の密度および構造の関数である。ポリマーの弾力性は、今度は、a)ポリマーの組成、b)発泡体が重合する条件(例えば、特に架橋について得られる重合の完了度)、およびc)例えば、加工処理の後に発泡体構造に残される乳化剤のような残留材料によりポリマーが可塑化される程度により決定される。
【0040】
強い吸引の貯蔵要素として有用であるために、本発明の発泡体は、吸収材料が流体の吸収および保持について関り合うとき使用時に遭遇する圧力による変形または圧縮に対して適切に抵抗性でなければならない。RTCDの点で十分な発泡体強度を所有しない発泡体は、排出ゾーンの上の高さに位置するとき分配材料から許容可能な量の体液を獲得し、貯蔵し得ないであろう。その様な弱い発泡体はまた、発泡体を含む吸収製品の使用者の動きおよび活動により引き起こされる圧縮応力の下でその様な流体をあまりに容易に吐き出してしまうであろう。
【0041】
本発明のポリマー発泡体により示されるRTCDは、特定の温度および時間についてある程度の閉じ込め圧力の下で保持される飽和した発泡体の試料において作り出される歪の量を定量することにより定量され得る。この特定のタイプの試験を実施するための方法は、(上記)米国特許第5,563,179号において詳細に記載されている。吸収剤として有用な発泡体は、65±5ダイン/cmの表面張力を有する合成尿でその自由吸収能力まで飽和したとき、5.1kPaの閉じ込め圧力が発泡体構造の典型的には約20%以下の圧縮の歪を作り出すようなRTCDを示すものである。好ましくは、その様な条件の下で作り出される歪は、約1から約10%、より好ましくは約2から約8%、最も好ましくは約2から5%の範囲で存在する。
【0042】
5.気泡大きさの均一性
発泡体の気泡は、相対的にモノマーの存在しない水相の液滴を取り囲むモノマーを含む油相を重合することにより形成される。それらの気泡は、しばしば、形態として実質的に球状である。その様な球状の気泡の大きさすなわち「直径」は、一般的に発泡体を特徴決定するための通常用いられるパラメーターである。ポリマー発泡体の所定の試料の中の気泡はほぼ同じ大きさのものである必要はないので、平均気泡サイズ、すなわち平均気泡直径がしばしば特定される。
【0043】
多数の技術が発泡体の平均気泡サイズを決定するために有用である。発泡体の気泡の大きさを定量するための1つの有用な技術には、発泡体試料の走査電子顕微鏡写真(SEM)に基づく単純な測定が含まれる。例えば、図4は、その膨張した状態における本発明による典型的なHIPE発泡体構造を示す。顕微鏡写真上に重ねられているのは、50μmの寸法を表すスケールである。その様なスケールは、画像解析手順により平均気泡サイズを定量するために用いられ得る。
【0044】
本明細書で与えられる気泡サイズの測定は、例えば、図4において示されるその膨張した状態における発泡体の数平均気泡サイズに基づく。本発明による水性流体のための吸収剤として有用な発泡体は、好ましくは、約50μm以下、典型的には約5から約25μmの数平均気泡サイズを有する。
【0045】
6.発泡体の他の特性
「発泡体密度」(すなわち、空気中における立方センチメートルの発泡体体積当たりの発泡体のグラムにおける)は、ここでは、乾燥基準で特定される。例えば、HIPE重合、洗浄および/または親水化後の、例えば発泡体に残された残留塩および液体のような吸収された水溶性残留物体の量は、発泡体密度の計算および表現において無視される。しかしながら、発泡体密度は、重合した発泡体中に存在する乳化剤のような他の非水溶性残留物体を含む。実際、その様な残留物体は、発泡体材料に有意な質量を与え得る。
【0046】
発泡体構造の単位体積当たりの固体発泡体材料の質量の定量を提供するいずれか適切な重量測定手順は、発泡体密度を測定するために用いられ得る。例えば、上記米国特許第5,387,207号の試験方法の項目において詳細に記載されているASTM重量測定手順は、密度測定のために用いられ得る1つの方法である。そのつぶれた状態において、吸収剤として有用な本発明のポリマー発泡体は、約0.1から約0.2g/cc、好ましくは約0.11から約0.19g/cc、および最も好ましくは約0.12から約0.17g/ccの範囲の乾燥基準密度値を有する。その膨張した状態において、吸収剤として有用な本発明のポリマー発泡体は、約0.010から約0.032g/cc、好ましくは約0.013から約0.032g/cc、および最も好ましくは約0.015g/ccから約0.032g/ccの範囲の乾燥基準密度値を有する。
【0047】
II.HIPEからのポリマー発泡体の調製
A.一般論
本発明によるポリマー発泡体は、「HIPE」として当該技術において一般的に公知の水相対油相の比較的大きな比を有するある種の油中水型エマルジョンの重合により調製され得る。その様なエマルジョンの重合によりもたらされるポリマー発泡体材料は、本明細書で以後「HIPE発泡体」と称される。このプロセスについての一般的な手順は、(下記)米国特許第5,563,179号、1996年11月5日にデズマレーズに発行された米国特許第5,571,849号、および1997年7月22日にデズマレーズらに発行された米国特許第5,560,222号において詳細に記載されており、それらのそれぞれの開示は本明細書に参照により組み込まれる。この手順におけるある種の重要な変形は、本明細書の例の項目において特定されている。
【0048】
HIPEを形成するために用いられる水相対油相の相対量は、多くの他のパラメーターの中で、得られるポリマー発泡体の構造特性、機械的特性、および性能特性を決定する上で重要である。特に、エマルジョンの中の水対油の比は、発泡体の密度、気泡の大きさ、および毛管吸引比表面積および発泡体を形成するストラットの寸法に影響を与え得る。本発明のHIPE発泡体を調製するために用いられるエマルジョンは、一般的に、約30:1から約100:1、より好ましくは約30:1から約75:1、最も好ましくは約30:1から約65:1の範囲の水相対油相の体積対重量比を有する。
【0049】
1.油相成分
HIPEの連続油相は、固体発泡体構造を形成するために重合するモノマーを含む。他の油相助剤には、(下記)米国特許第5,563,179号において詳細に記載されているような乳化剤、抗酸化剤、顔料などが含まれる。
【0050】
2.水相成分
HIPEの不連続内水相は一般的に、1以上の溶解成分を含む水溶液である。典型的な塩、開始剤、および他の添加剤の例は、(上記)米国特許第5,563,179号において詳細に記載されている。
【0051】
3.親水化界面活性剤および水和性の塩
HIPE発泡体構造を形成するポリマーは、好ましくは、極性官能基が実質的に存在しない。このことは、ポリマー発泡体は性質上比較的疎水性であることを意味する。それらの発泡体が尿、血液、経血、粘液、および他の身体滲出物並びにジュースの零れ、飲料、ミルクなどの様な水性流体のための吸収剤として用いられるべきときに、それらは一般的に、発泡体を相対的により親水性にするための処理を必要とする。このことは、(上記)米国特許第5,563,179号、1993年10月5日に発行された米国特許第5,250,576号(デズマレーズら)、1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,777号(デズマレーズら)において詳細に記載されている様式で親水化界面活性剤でHIPE発泡体を処理することにより達成され得るものであり、それらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。他の処理には、1985年8月20日に発行された米国特許第4,536,521号(ハック(Haq))およびプライス(Price),G.J.、クリフトン(Clifton),A.A.、キーン(Keen),F.のPolymer誌、1996年、37(26)、5825ページおよびその中で引用されている参照文献および1997年4月3日に公開されたW/O97/11989において要約されている表面の化学的な修飾も含まれ、それらのそれぞれの開示は参照により組み込まれる。
【0052】
B.HIPE発泡体を得るための加工処理条件
発泡体製造は、典型的には、1)安定な高内相エマルジョン(HIPE)を生成させる工程、2)固体ポリマー発泡体構造を形成するために適切な条件の下でこの安定なエマルジョンを重合/硬化する工程、3)任意に、ポリマー発泡体構造からもとの残留水相を除去するために固体ポリマー発泡体構造を洗浄し、もし必要であれば、いずれか必要とされる親水化界面活性剤/水和性塩を蓄積するために親水化界面活性剤および/または水和性塩でポリマー発泡体構造を処理する工程、および4)その後、このポリマー発泡体構造を脱水する工程、を含む。それらの手順は、米国特許第5,563,179号(下記)、および1992年9月22日に発行された米国特許第5,149,720号(デズマレーズら)において詳細に記載され、それらは参照により組み込まれる。また、(参照により本明細書に組み込まれる)ともに係属する1996年9月17日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/716,510号(T.A.デズマレーズ)も参照されたい。それは、HIPEのための再循環ループを有する改善された連続プロセスを記載する。
【0053】
更なる修正が、本発明の発泡体の気泡のサイズの高い均一度を達成するようにピンインペラになされた。気泡の高い均一度を有するHIPEを生成させる1つの好ましい方法には、必要な油相と水相を組み合わせ、乳化する連続プロセスが含まれる。混合チャンバーまたはゾーン(好ましくはシリンダー)において、組み合わせられた流れは、一般的に、例えば、適切な形状および寸法のピンインペラにより与えられる弱い剪断攪拌に供される。弱い剪断攪拌の使用は、HIPEについて高い均一度の気泡の大きさを与え、このことは、より優れた吸引能力を有する発泡体に導く。本発明の方法において用いられるタイプのピンインペラについては、インペラのピンチップ速度(本明細書で以後「チップ速度」と称される)とピンチップと混合チャンバー壁とのあいだの間隔(本明細書では「ピンから壁への間隔」または「間隔」と称される)の両方は剪断速度に対して重要である。ピンインペラについての剪断速度は、本明細書では、ピンから壁への間隔により除算されたチップ速度として定義される。本発明の目的のためには、この組み合わせの可変的な剪断速度は、約6000sec-1未満であるべきである。好ましくは、剪断は、典型的には、約5400sec-1、より好ましくは、5100sec-1未満の速度で組み合わせられた油/水相流に与えられる。典型的には、用いられる剪断速度は、約3000から約6000sec-1、より典型的には、約3000から約5400sec-1、さらにより典型的には、約3300から約5100sec-1であろう。チップ速度は、約150in/sec(381cm/sec)から600in/sec(1524cm/sec)、好ましくは約150in/sec(381cm/sec)から約500in/sec(1270cm/sec)、より好ましくは約200in/sec(508cm/sec)から約400in/sec(1016cm/sec)であるべきである。ピンから壁への間隔は、シリンダー直径の1%ないし6%、好ましくは、シリンダー直径の1%ないし4%、より好ましくはシリンダー直径の1.5%ないし4%であるべきである。
【0054】
III.強い吸引のポリマー発泡体の使用
本発明の強い吸引のポリマー発泡体は、さまざまの吸収製品のための吸収構造(例えば、吸収性コアまたはコア要素)の貯蔵部分として特に有用である。「吸収製品」により、本明細書では、製品の失禁着用者または使用者により排出される多量の尿または水性の糞便(流動性の排便)のような他の流体(すなわち液体)を吸収することが可能である消費者製品を意味する。その様な吸収製品の例には、使い捨ておむつ、失禁着衣、タンポンおよび生理用ナプキンのような生理用品、使い捨てトレーニングパンツ、ベッドパッドなどが含まれる。ここでの吸収性発泡体構造は、おむつ、失禁パッドまたは着衣、ベッドパッド、被服のシールドなどの様な製品における使用にとって特に適切である。
【0055】
その最も単純な形態において、本発明の吸収製品は、典型的に相対的に液体不透過性の裏打ちシート、獲得材料、および強い吸引のポリマー発泡体のみを含む必要がある。部材は、獲得材料が吸収製品の着用者の流体排出領域すなわち失禁ゾーンに最近接するように組み合わされる。次にあるのは裏打ちシートにより裏打ちされる強い吸引のポリマー発泡体である。液体不透過性裏打ちシートは、約1.5ミル(0.038mm)の厚さを有する例えばポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかの材料を具備し得るものであり、それは、吸収製品の中に流体を保持する役割をする。
【0056】
より慣行的には、それらの吸収製品はまた、着用者の皮膚に接触する吸収製品の側面を覆う液体透過性トップシート要素も含む。この形状において、製品は、裏打ちシートとトップシートとの間に位置する本発明の1以上の吸収性発泡体構造を具備する吸収性コアを含む。液体透過性トップシートは、実質的に多孔性であり、体液が容易に通過し、下にある吸収性コアにいくことを許容する、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨンなどの様ないずれの材料も含み得る。トップシート材料は、好ましくは、トップシートと着用者の皮膚とのあいだの接触の領域において水性流体を保持することについての傾向を有さない。
【0057】
本発明の吸収製品の態様の吸収性コアは、1以上のそれらの発泡体構造だけから構成され得る。例えば、吸収性コアは、それが用いられるべきである吸収製品のタイプに最も良く適合することが所望されるかまたは必要とされるように形成された発泡体の単独の一体的断片を含み得る。代わりに、吸収性コアは、互いに粘着的に結合され得るか、またはエンベロープティッシュの重なりにより、または吸収製品のトップシートと裏打ちシートにより、互いに保持された結合しない凝集物に単純に拘束され得る複数の発泡体断片または粒子を含み得る。
【0058】
ここでの吸収製品の吸収性コアは、本発明の1以上の吸収性発泡体構造に加えて、他の、例えば、通常の要素または材料もまた含み得る。例えば、ここでの吸収製品は、ここでの吸収性発泡体構造の粒子または断片とa)木材パルプまたは他のセルロース性繊維および/またはb)HFAPの粒子または繊維のような従来の吸収性材料との組み合わせ、例えば、空気載置混合物を含む吸収性コアを利用し得る。
【0059】
ここでの吸収性発泡体と他の吸収性材料との組み合わせを含む1つの態様において、吸収製品は、本発明の1以上の発泡体構造を含むコア層が他の吸収構造または材料を含む1以上の付加的な別のコア層と組み合わせで用いられ得る多層吸収性コア形状を採用し得る。例えば、それらの他の吸収構造または材料は、木材パルプまたは他のセルロース性繊維の空気載置または湿式載置ウエブを含み得る。それらの他の吸収構造は、上記米国特許第5,563,179号において開示されるものの様な流体獲得/分配部材として有用な他のタイプの発泡体、例えば、吸収性発泡体またはさらにスポンジもまた含み得る。それらの他の吸収構造は、例えば、80重量%までの、水性流体を獲得し、保持すべきである吸収製品において通常用いられるタイプのポリマーゲル化剤の粒子または繊維もまた含み得る。吸収製品におけるこのタイプのHFAPおよびその使用は、参照により組み込まれる1988年4月19日に再発行された米国再発行特許第32,649号(ブラント(Brandtら))においてより完全に記載されている。
【0060】
それらの吸収製品の態様は、製品の着用者の流体排出領域に位置する流体操縦層を有する多層吸収性コアを利用する。この流体操縦層は、高ロフト不織布、吸収性発泡体、または繊維性アセンブリの形態で存在し得る。流体獲得/分配層の1つの好ましい形態は、修飾されたセルロース性繊維、例えば硬化され巻かれたセルロース性繊維の層および任意に、約10重量%までのHFAPのこの流体獲得/分配層を具備する。その様な好ましい吸収製品の流体獲得/分配層において用いられる修飾されたセルロース性繊維は、好ましくは、化学的および/または熱的処理により硬化され巻かれた木材パルプ繊維である。その様な修飾されたセルロース性繊維は、参照により組み込まれる1990年6月19日に発行された米国特許第4,935,622号(ラッシュ(Lash)ら)において記載されている吸収製品において用いられているのと同じタイプのものである。
【0061】
好ましい態様は、上方獲得層、「水性液体を分配するための吸収材料」と言う表題のデズマレーズらにより1998年3月13日に出願されたともに係属する米国特許出願シリアル番号第−号(P&Gケース7051)において記載されているタイプまたは1996年4月17日に出願されたともに係属する米国特許出願シリアル番号第08/633,630号(G.シーガー(Seger)ら)において記載されているタイプ(それらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる)のような中間流体分配層、および本発明の強い吸引のポリマー発泡体を提供する。本発明の目的のためには、多層吸収性コアの「上方」層は、着用者の身体に比較的近接している層、例えば製品のトップシートに最近接する層である。「下方」層と言う術語は、逆に、着用者の身体からさらに比較的離れている多層吸収性コアの層、例えば、製品のバックシートに最近接する層を意味する。この流体分配層は、典型的には、(上方)流体操縦層および(下方)強吸引貯蔵層との間に位置し、それと流体連通する。硬化され巻いたセルロース性繊維を含む上方流体獲得/分配層の下にある下方流体貯蔵層において本発明の吸収性発泡体構造を利用しうる吸収製品は、参照により本明細書に組み込まれる1992年9月15日に発行された米国特許第5,147,345号(ヤングら)において極めて詳細に記載されている。流体貯蔵/分配層が本発明による吸収性発泡体を含む場合、多層吸収性コアはまた、(参照により本明細書に組み込まれる)1995年8月30日に出願されたともに係属する米国出願シリアル番号第08/521,556号(G.D.ラボン(Lavon)ら)にしたがっても作られ得る。
【0062】
もう1つの好ましい態様は、さまざまの吸収性コア要素の更なる分離を伴う。この好ましい吸収性コアは、最初の急速な流体噴出を管理するために着用者のクロッチ領域のまわりにのみ獲得層を具備する。分配層は、ちょうど前方から後方にではなく、クロッチ領域から流体を輸送するように獲得層の前方および後方に垂直に位置する。貯蔵層は、(着用者の仮定された起立位置について)獲得層の上の位置に位置し、分配材料とのみ接触する。そのとき貯蔵層は、重力による力と分配材料の脱着圧力による力の両方を克服して、分配層から流体を吸収しえなければならない。その様に描写された製品は、排出のあいだに与えられる時間内にクロッチ領域から流体を除去し、獲得領域を比較的乾燥したままにし、流体の更なる取り込みのための準備ができているようにする。このことは更に、着衣の形態を維持し、クロッチ領域をよりすぐれた皮膚の健康のために比較的乾燥したままにする。
【0063】
図1は、トップシート61とバックシート62が同じ広がりを持ち、吸収性コア28の寸法より一般的に大きな長さおよび幅寸法を有するおむつ60の好ましい態様を示す。トップシート61はバックシート62と結合し、バックシート62上に重ねられ、それによりおむつ60の周辺を形成する。周辺は、おむつ60の外側の周囲またはエッジを規定する。
【0064】
トップシート61は柔順であり、柔軟な感触があり、着用者の皮膚に刺激がない。さらに、トップシート61は、液体がその厚さを容易に貫通することを可能として液体透過性である。適切なトップシート61は、多孔性発泡体、網状発泡体、開孔されたプラスチックフィルム、天然繊維(例えば、木材または綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステルまたはポリプロピレン繊維)または天然および合成繊維の組み合わせのような広範な材料から製造され得る。1つの態様において、トップシート61は、吸収性コア10の中の液体から着用者の皮膚を隔離するために疎水性材料で作られる。特に好ましいトップシート61は、デラウエア州ウィルミントン(Wilmington)のハーキュレス,Inc.により販売されるハーキュレスタイプ151ポリプロピレンのような約1.5のデニールを有するステープル長のポリプロピレン繊維を含む。ここで用いられるものとして、「ステープル長の繊維」と言う術語は、少なくとも約15.9mm(0.62インチ)の長さを有する繊維を称する。
【0065】
トップシート61を製造するために用いられ得る多数の製造技術が存在する。例えば、トップシート61は、製織布、不織布、紡糸結合布、梳綿布等であり得る。好ましいトップシートは、布帛技術の当業者にとって周知の手段により梳綿され、熱的に結合される。好ましくは、トップシート61は、平方メートル当たり約18から25グラムの重量、マシン(縦)方向にセンチメートル当たり少なくとも約400グラムの最小乾燥引張り強度、クロスマシン(横)方向にセンチメートル当たり少なくとも約55グラムの湿潤引張り強度を有する。
【0066】
着用者の皮膚に最も近い材料としてトップシートを有することは好ましいけれども必要ではない。適切な吸収性コア形状は、トップシートなしで用いられ得るであろうし、さらに、快適さおよび吸収性並びに製造上の単純さおよび材料コストの節約のような望ましい結果をもたらすことが考えられる。例えば、吸収性コアそれ自体の身体側表面は、別のトップシートの代わりになる液体透過性の、柔軟な、柔順な、刺激のない材料で作られ得るであろう。その様な吸収性コアは、吸収製品における快適さと吸収性を提供するために、バックシートと組み合わせで用いられる必要があるのみであろう。
【0067】
バックシート62は、液体に対して不透過性であり、他の可撓性液体不透過性材料もまた用いられ得るけれども、薄いプラスチックフィルムから好ましくは製造される。バックシート62は、吸収性コア10において吸収され、含まれている滲出物が、ベッドシーツおよび下着のようなおむつ60に接触する製品を濡らすことを防止する。好ましくは、バックシート62は、他の可撓性液体不透過性材料が用いられ得るけれども、約0.012mm(0.5ミル)から約0.051センチメートル(2.0ミル)の厚さを有するポリエチレンフィルムである。ここで用いられるものとして、「可撓性」と言う術語は、柔順であり、着用者の身体の一般的形態および輪郭に容易に合致する材料を称する。
【0068】
適切なポリエチレンフィルムは、モンサント・ケミカル・コーポレーションにより製造され、フィルム番号8020の名称で販売される。バックシート62は、好ましくは、より布らしい外観を与えるようにエンボス加工および/またはつや消し仕上げされる。さらに、バックシート62は、滲出物がバックシート62を通過することをいまだ防止しながら、蒸気が吸収性コア28から出て行くことを許容して、「呼吸性」であり得る。極めて呼吸性であるが液体に対して実質的に不透過性であるバックシートはある種の呼吸製品について望ましいであろうと思われる。
【0069】
バックシート62の大きさは、吸収性コア28のサイズおよび選択された正確なおむつの設計により規定される。好ましい態様において、バックシート62は、おむつ全体の周囲に少なくとも約1.3センチメートルから少なくとも約2.5センチメートル(約0.5から約1.0インチ)の最小距離で吸収性コア28を越えて伸びる変形砂時計形を有する。
【0070】
トップシート61およびバックシート62はいずれか適切な方式で互いに結合する。ここで用いられるものとして、「結合する(joined)」と言う術語は、トップシート61を直接バックシート62に固着することによりトップシート61が直接バックシート62に結合する形状およびトップシート61を中間部材に固着させ、それが次いでバックシート62に固着することによりトップシート61が間接的にバックシート62に結合する形状を包含する。好ましい態様において、トップシート61およびバックシート62は、接着剤または当該技術において公知のいずれか他の付着手段のような付着手段(図示せず)によりおむつの周囲に互いに直接固着する。例えば、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線または点の配列がトップシート61をバックシート62に固着するために用いられ得る。
【0071】
テープタブファスナー65は、典型的には、着用者におむつを保持するための固定手段を与えるためにおむつ60のウエストバンド領域63に付与される。描写されたテープタブファスナー65は単に例示である。テープタブファスナーは、参照により組み込まれる1974年11月19日に発行された米国特許第3,848,594号(ビュエル)において開示されるファスナーテープのような当該技術において周知のもののいずれかであり得る。それらのテープタブファスナーまたは他のおむつファスナー手段は、典型的には、おむつ60のコーナー近くに付与される。
【0072】
弾性部材69は、弾性部材が着用者の脚部に当接しておむつ60を引張り、保持する傾向がある様に、おむつ60の周囲に隣接して、好ましくはそれぞれの縦エッジ64に沿って配置される。加えて、弾性部材67は、脚部カフスと同様にまたはそれよりもむしろウエストバンドを提供するようにおむつ60のウエストバンド領域63の一方または両方に近接して配置され得る。例えば、適切なウエストバンドは、参照により組みこまれる1985年5月7日に発行された米国特許第4,515,595号(キエビット(Kievit)ら)において開示されている。加えて、弾性的に収縮性の弾性部材を有する使い捨ておむつを製造するために適切な方法および装置は、参照により組み込まれる1978年3月28日に発行された米国特許第4,081,301号(ビュエル)において記載されている。
【0073】
弾性部材は、通常の抑制されていない形状で、弾性部材がおむつ60を有効に収縮させ、またはギャザリングするように弾性的に収縮性の状態でおむつ60に固定される。弾性部材は、少なくとも2つの方式で弾性的に収縮性の状態で固定され得る。例えば、弾性部材は、おむつ60が収縮されていない状態で存在する間に伸長し、固定され得る。代わりに、おむつ60は、例えば、ひだ付けにより収縮し得るし、弾性部材は、弾性部材がその弛緩していないかまたは伸長していない状態で存在する間におむつ60に固定され接続され得る。弾性部材は、おむつ60の長さの一部に沿って伸長し得る。代わりに、弾性部材は、おむつ60の全長に、または弾性的に収縮性の線を与えるのに適切ないずれか他の長さに伸び得る。弾性部材の長さはおむつの設計により規定される。
【0074】
使用時に、おむつ60は、着用者の背中の下に一方のウエストバンド領域を配置し、他方のウエストバンド領域が着用者の前方にわたって配置されるように着用者の脚部のあいだにおむつ60の残りを引くことにより着用者に当てられる。次いで、テープタブ65または他のファスナーが、好ましくは、おむつ60の外側に面する領域に固定される。使用時に、本発明の液体吸収部材を含む使い捨ておむつまたは他の吸収製品は、より急速に且つ効率的に分配し、液体を貯蔵し、液体吸収部材の高い吸収能力により乾燥したままである傾向がある。本発明の液体吸収部材を含む使い捨ておむつは、また、より薄く、より可撓性でもあり得る。
【0075】
使い捨ておむつ60において吸収性コアとして用いられるとき、本発明によるコア28の好ましい態様は、獲得ストリップ52がトップシート61と液体連通し、急速に獲得し、着用者の身体から身体滲出物を吸収性分配ストリップ51に分配する役割をするように位置する。トップシート61への獲得ストリップ52の接着剤結合は、界面結合を提供し、トップシートの分離が液体流を妨げることを防止することにより液体連通を高め得る。本発明の分配材料51は、コア28のxおよびy次元に液体を動かし、続いて、一般的に10として示される本発明の強い吸引の発泡体を含む液体貯蔵部材により脱着される。部材52および51は一般的に、直線で囲まれ、等しいサイズのものとして示されているけれども、他の形態および大きさの関係も利用され得る。示されるように、一般的に直線で囲まれた部材は、使い捨ておむつのクロッチ領域66のために適切な幅に対応する幅53を有する。同様に、それぞれのコア部材の長さも、さまざまの着用者のサイズのための適切な適合感を提供するように変化し得る。図1において示されるように、貯蔵部材10は、おむつの液体排出領域に位置する吸収性貯蔵部材要素が存在しないように本発明の発泡体を含む2つの別々の貯蔵部材20および30を具備し得る。その様な吸収性コア10は、(コアのクロッチまたは液体排出領域に対応する)コアの中心において液体貯蔵材料をほとんどまたは全く有さない(分配材料51は、顕著な貯蔵能力を有し得るし、すくなくとも本発明のより強い吸引貯蔵材料により脱着されるまで液体を含むことが認識されるべきである)ので、その様なコアを含む製品は、製品が乾燥しているとき及び体液のいくらかの負荷を受容した後の両方でよりすぐれた適合感および着用者の快適さを提供し得る。例えば、ともに係属するG.ヤングらによる1997年3月27日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/825,072号、ともに係属するG.ラボン(LaVon)らによる1997年3月27日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/825,071号、およびともに係属するG.ヤングらにより1997年3月27日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/826,208号を参照されたい。
【0076】
図2は2つの分離した要素20および30を有する吸収性コア28の分解図を描写し、それら要素のそれぞれは、貯蔵要素が分配材料51を脱着する本発明の強い吸引の発泡体を具備する貯蔵吸収性部材からなる。フロントパネル20は、一般的に、着用者の前方に着用される使い捨ておむつの部分に対応する。同様に、バックパネル30は、着用者の後方に着用される使い捨ておむつの部分に対応する。吸収性コアが(図1および図2において要素20および30と同様の)本発明の分離した液体貯蔵要素を具備する別の設計において、分配層は、獲得層と貯蔵要素の両方の下に配置され得る。すなわち、図1を参照すると、分配材料51は獲得材料52および貯蔵要素20および30の下に配置されるであろう。
【0077】
代わりに、貯蔵要素10は、本発明の吸収性貯蔵材料の一体的な層であり得る(すなわち、貯蔵部材10を示す図1における点線70が製品の液体排出領域に含まれる場合)。吸収性コア28のその様な態様は図3において描かれている。
【0078】
1つの態様において、獲得ストリップ52は、高ロフト不織布の形態で製品の着用者の液体排出領域に位置する液体操縦層であるが、好ましくは、例えば硬化された巻いたセルロース性繊維のような修飾セルロース繊維の層を含み、任意にポリマー性ゲル化剤のこの液体獲得/分配層の約10重量%までを含む液体獲得の形態で存在する。その様な好ましい吸収製品の液体獲得層52において用いられる修飾セルロース性繊維は、好ましくは、化学的および/または熱的処理により硬化され巻いた木材パルプ繊維である。その様な修飾セルロース性繊維は、参照により組み込まれる1990年6月19日に発行された米国特許第4,935,622号(ラッシュ(Lash)ら)において記載される吸収製品において用いられるものと同じタイプのものである。好ましい態様は、液体分配層51が「水性液体を分配するための吸収性材料」と言う表題のデズマレーズらにより1998年3月13日に出願されたともに係属する米国特許出願シリアル番号第−号(P&Gケース7051)または1996年4月17日に出願されたともに係属する米国特許出願シリアル番号第08/633,630号(G.シーガー(Seger)ら)において記載されているものであり、それらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。この液体分配層は、典型的には、(上方)液体操縦層および(下方の)強い吸引の貯蔵層の間に位置し、それらと液体連通する。
【0079】
ここで称されるものとして、「使い捨て」吸収製品は、1回の使用の後に廃棄されることが意図されるものである(すなわち、その全体としての元の吸収製品は、洗濯されるかまたは吸収製品として修復されるかまたは再使用されることが意図されず、しかしながら、ある種の材料または吸収製品の全ては、リサイクル、再使用または堆肥化され得る)。ここで用いられるものとして、「おむつ」と言う術語は、着用者の胴体下部のまわりに着用される小児および失禁者により一般的に着用される着衣を称する。しかしながら、本発明は、失禁ブリーフ、失禁パッド、トレーニングパンツ、おむつ挿入物、生理用パッド、生理用ナプキン、タンポン、包帯、フェーシャルティッシュ、ペーパータオルなどの様な他の吸収製品にも適用可能であることが理解されるべきである。
【0080】
本発明の吸収性発泡体構造を利用し得る別のタイプの吸収製品には、トレーニングパンツのような形態適合製品が含まれる。その様な形態適合製品は、一般的に、ブリーフまたはショーツの形態のシャーシに成形された不織布の可撓性基材を含む。本発明による吸収性発泡体構造は、そのとき、吸収性「コア」として役に立つためにその様なシャーシのクロッチ領域に固着され得る。この吸収性コアは、しばしば、エンベロープティッシュまたは他の液体透過性不織材料で上をラップされる。その様なコアの上のラップは、従って、形態適合吸収製品のための「トップシート」として役割を果たす。
【0081】
形態適合製品のシャーシを形成する可撓性基材は、布または紙または他の種類の不織基材または形成されたフィルムを含み得るものであり、弾性化され得るかまたはさもなければ伸長性であり得る。その様なトレーニングパンツ製品のレッグバンドまたはウエストバンドは、製品の適合感を改善するために従来の様式で弾性化され得る。その様な基材は、その1表面を処理またはコートすることにより、または別の相対的に液体不透過性の基材とその可撓性基材を積層することにより比較的液体不透過性にされるかまたは少なくとも容易には液体透過性でなくされ、それによりシャーシ全体を比較的液体不透過性にする。この例においては、シャーシそれ自体は、形態適合製品のための「バックシート」としての役割をする。この種の典型的なトレーニングパンツ製品は、参照により組み込まれる1986年10月28日に発行された米国特許第4,619,649号(ロバーツ(Roberts))において記載される。
【0082】
IV.試験方法
A.毛管吸収圧力
毛管吸収等温曲線は、試験が37℃ではなく31℃で実施されることを除いて、参照により組み込まれる1995年2月7日に発行された米国特許第5,387,207号(ダイヤー(Dyer)ら)の「試験方法」の項目において記載されている「垂直輸送吸収能力」試験を用いて作成される。曲線は、高さhについてのそれぞれの区画の中間点に対する水の容器の頂部からの距離を用いる輸送された高さの関数としてのそれぞれの区画の吸収能力のプロットである。毛管吸収圧力は、材料の自由吸収能力(すなわち、0cmの高さでの能力)の2分の1の(50%)吸収能力を有する材料の高さとして理解される。
【0083】
B.垂直懸垂収着高さ(VHSH)および垂直輸送能力
垂直懸垂収着高さ(「VHSH」)試験は、典型的には約1cmの幅を有する適切な長さ(典型的には少なくとも60cm)の発泡体のストリップを選択することによりなされる。ストリップは、ストリップをつるすためのクリップを用いて、31℃に温度設定されたチャンバーの中で掛けられる。ストリップの底部は、やはり31℃の試験流体の中に浸される。試験流体は、好ましくは、1997年2月4日に発行された米国特許第5,599,335号(ゴールドマンら)において記載されている合成尿であり、その開示は本明細書に参照により組み込まれる。時間を掛けると、試験流体はストリップを上っていき、更なる輸送が起こらなくなる平衡点に達する。試験流体は、平衡点の決定を容易にするために染色され得る。例えば、ガラスが試料に触れないガラス管の中にしまっておき、試料管を適切に蓋し続けることにより、試料からの蒸発を防止するように注意が払われなければならない。平衡に達するのに必要とされる時間は本発明の材料について変化し得るし、約24から96時間以上の範囲を取り得る。輸送流体の高さの知覚可能な変化が1時間にわたって観察されないとき、平衡が達成されたとみなされる。
【0084】
試験ストリップは、その中に保持される流体を吐き出すことを回避するために注意しながら試験チャンバーから取出される。ストリップは、長さ2.5cmの区画に切断され、それぞれの区画は計量される。便宜のために、完全に拡張された高さの約50%下の初期区画は、長さ2インチ(5.1cm)である区画に切断され得る。それらの重量は、発泡体のさまざまの高さでの能力(g/g)を計算するために発泡体のオーブン乾燥重量により除算される。図6において書かれているようなグラフは、能力対区画が取られた高さを作図することにより展開され得る。X%におけるVHSH高さは、0cm能力(すなわちFAC)のX%が発泡体中に保持されているcmにおける高さである。重要な典型的な値は、90%におけるVHSHである。原理としては、Xはいずれの値でもあり得る。VHSHについてのもっとも再現性の高い測定は、発明者の経験の範囲では、X=90%で達成される。この1つの点の値が、能力対高さのプロットにおいて得られる曲線の形態を完全に表現していないことは当業者にとって明らかであろう。しかしながら、その1つの点は、本発明の発泡体についての比較の実際的な点としての役割をする。
【0085】
さまざまの吸引高さでの垂直輸送吸収能力は、VHSH試験から定量され得る。米国特許第5,387,207号の「試験方法」の項目の中で記載される「垂直輸送吸収能力試験」の記載を参照されたい。(上記について唯一の修正は、試験が37℃の代わりに31℃で実施されることである。)
V.具体例
以下の例は、本発明によるつぶれた強い吸引のHIPE発泡体の具体的な調製を例示する。それらの調製された発泡体の物理的特性は、以下の表1において要約されている。加えて、それらの発泡体についての垂直輸送能力は、図4においてグラフにより示される。表1においておよび図4のグラフ上でもまた示されているのは、「比較例」と表1において称されている先行技術の発泡体についての対応するデータである。観察され得る様に、本発明の発泡体は、先行技術のHIPE由来の発泡体が有するより比較的高い高さ(例えば、50cm)で有意により大きな吸収能力を有する。本発明の発泡体はまた、先行技術の発泡体が有するよりも有意により大きい90%VHSH値も有する。
【0086】
例1:HIPEからの発泡体の調製
A)HIPE調製
無水塩化カルシウム(36.32kg)および過硫酸カリウム(189g)が378リットルの水の中に溶解される。これは、HIPEエマルジョンを形成するための連続プロセスにおいて用いられる水相流を提供する。
【0087】
蒸留されたジビニルベンゼン(42.4%ジビニルベンゼンおよび57.6%エチルスチレン)(2640g)、2−エチルヘキシルアクリレート(4400g)およびヘキサンジオールジアクリレート(960g)を含むモノマーの組み合わせに、ジグリセロールモノオレエート乳化剤(480g)、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート(80g)およびチヌビン(Tinuvin)765(20g)が加えられる。ジグリセロールモノオレエート乳化剤(デンマーク、ブラブランド(Brabrand)のグリンドステッド(Grindsted)プロダクツ)は、ほぼ81%ジグルセロールモノオレエート、1%の他のジグリセロールモノエステル、3%のポリオール、および15%の他のポリグリセロールエステルを含み、ほぼ2.7ダイン/cmの最小油/水界面張力値を与え、ほぼ2.8重量%の油/水臨界凝集濃度を有する。混合の後、この材料の組み合わせはオーバーナイトで静置させられる。可視的な残渣は生成せず、混合物の全ては取出され、HIPEエマルジョンを形成するために連続プロセスの中で油相として用いられる。
【0088】
油相(25℃)および水相(53℃〜55℃)の分離した流れは動的な混合装置に供給される。動的な混合装置の中の組み合わせられた流れの徹底的な混合は、ピンインペラにより達成される。ピンインペラは、約2.9cmの直径を有して約36.5cmの長さのシリンダー状のシャフトを具備する。シャフトは6列のピンを保持し、3列は33ピンを有し、3列は34ピンを有し、それぞれのレベルの3つのピンのそれぞれは互いに120°の角度で配置され、次のレベルがそのとなりのレベルに対して60°で下に配置され、それぞれのレベルは0.03mm間隔で分離され、0.5cmの直径を有するそれぞれは、2.3cmの長さまでシャフトの中央軸から外側に伸びる。ピンインペラは動的な混合装置を形成するシリンダー状スリーブの中に載置され、ピンはシリンダー状スリーブの壁から1.5mmのクリアランスを有する。
【0089】
その開示が本明細書に参照により組み込まれる、デズマレーズにより1996年9月17日に出願されたともに係属する米国特許出願シリアル番号第08/716,510号の図において示されるように、動的混合装置を出て行く流出物のわずかな部分が引き取られ、再循環ゾーンに入る。再循環ゾーンの中のワウケシャ(Waukesha)ポンプは、動的混合ゾーンへの油相および水相の流れの入口にそのわずかな部分を回復させる。
【0090】
スターティックミキサー(TAHインダストリーズ、モデル100−812)は、1インチ(2.5cm)外径を有する12エレメントを有する。ホースは、硬化のために用いられる装置へのエマルジョンの配送を促進するためにスターティックミキサーから下流に設置される。任意に、付加的なスターティックミキサーが、ホースが満たされたままに維持するように付加的な背圧を提供するために用いられる。任意のスターティックミキサーは、1インチ(2.5cm)パイプの12エレメントミキサー(マックマスター・カー(McMaster−Carr)モデル3529K53)であり得る。
【0091】
混合と再循環の組み合わせられた装置の設定は、4部の水対1部の油の比で油相と水相で充填される。動的混合装置は、装置を完全に充填しながらも空気が出て行くことを可能とするように通気される。充填のあいだの流量は、7.57g/secの油相と30.3cc/secの水層である。
【0092】
一旦装置の設定が完了すると、攪拌は動的ミキサーの中で始まり、インペラは1750RPMで回転し、再循環は約30cc/secの速度で始まる。次いで、水相の流量は、約1分の時間にわたって151.3cc/secの速度まで定常的に増加し、油相の流量は、約3分の時間にわたって3.03g/secまで減少する。再循環速度は、後者の時間の間に約150cc/secまで定常的に増加する。動的ゾーンおよびスターティックミキサーによりこの時点で作り出される背圧は、約19.9PSI(137kPa)であり、それは系の圧力降下全体を表す。次いで、ワウケシャポンプ(モデル30)の速度は、約75cc/secの再循環速度を作り出すまで定常的に小さくされる。
【0093】
B)HIPEの重合
この時点で、スターティックミキサーから流れるHIPEは、ケーキを焼くときに用いられるスプリングフォームパンに極めて良く似た取出し可能な側面を有する直径40in.(102cm)かつ高さ12.5in.(31.8cm)の丸いポリエチレンタブに集められる。その基部の直径が12.5in(31.8cm)のパイプ状のポリエチレン挿入物が基部の中央にしっかりと固着されており、12.5in(31.8cm)の高さである。HIPEを含むタブは、重合をもたらし、発泡体を形成するために18時間65℃で維持された部屋の中に保たれる。
【0094】
C)発泡体の洗浄および脱水
硬化されたHIPE発泡体は、硬化タブから取出される。この時点で発泡体は、重合されたモノマーの重量の約48〜52倍(48〜52×)の(溶解した乳化剤、電解質、開始剤残渣および開始剤を含む)残留水層を有する。発泡体は、鋭い往復運動する鋸の歯により厚さ0.185インチ(4.7mm)であるシートにスライスされる。次いで、それらのシートは、重合された材料の重量の約6倍(6×)まで発泡体の残留水相含有量を徐々に減少させる、減圧を備えた一連の2つの多孔性ニップロールで圧縮に供される。この時点で、シートは次いで、60℃で1.5%CaCl2 溶液により再度飽和し、約4×の水相含有量まで減圧を備えた一連の3つの多孔性ニップロールで圧搾される。発泡体のCaCl2 含有量は8ないし10%である。
【0095】
発泡体は、約0.021in.(0.053cm)の厚さで最後のニップの後も圧縮されたままである。次いで、発泡体は約16時間空気中で乾燥される。その様な乾燥は、重合された材料の約9〜17重量%まで水分含有量を減少させる。この時点で、発泡体シートは極めてドレープ性に富み、「乾燥後に薄い」。
【0096】
例2:HIPEからの発泡体の調製
A)HIPE調製
HIPEエマルジョンを生成させるための連続プロセスにおいて用いられる水相と油相は、例1にしたがって調製される。油相(25℃)および水相(53℃〜55℃)の分離した流れは、例1において詳細に記載されているように動的混合装置に供給される。
【0097】
一旦装置の設定がなされると、動的ミキサーの中で攪拌が始まり、インペラが1700RPMで回転し、再循環が約30cc/secの速度で始まる。次いで、水相の流量は、約1分の時間にわたって151.3cc/secの速度に定常的に増加し、油相の流量は、約3分の時間にわたって3.36g/secに減少する。再循環速度は、後者の時間の間に約150cc/secに定常的に増加する。この時点で動的ゾーンおよびスターティックミキサーにより作り出される背圧は約19.7PSI(136kPa)であり、それは系の圧力降下全体を表す。その後、ワウケシャポンプの速度は、約75cc/secの再循環速度を生み出すように定常的に減少する。
【0098】
B)HIPEの重合
この時点でスターティックミキサーから流出するHIPEは集められ、例1において詳細に記載されているようにポリマー発泡体に硬化される。
【0099】
C)発泡体の洗浄および脱水
硬化されたHIPE発泡体は、硬化用タブから取り出される。この時点で発泡体は、重合されたモノマーの重量の約43〜47倍(43〜47×)の(溶解した乳化剤、電解質、開始剤残渣および開始剤を含む)残留水相を有する。発泡体は、鋭い往復運動する鋸の歯により厚さ0.185インチ(4.7mm)であるシートにスライスされる。それらのシートは次いで、重合された材料の重量の約6倍(6×)まで発泡体の残留水相含有量を徐々に減少させる、減圧を備えた一連の2つの多孔性ニップロールの中で圧縮に供される。この時点で、シートは次いで、60℃で1.5%CaCl2 溶液で再度飽和し、約4×の水相含有量まで減圧を備える一連の3つの多孔性ニップロールの中で圧搾される。発泡体のCaCl2 含有量は、8%ないし10%である。
【0100】
発泡体は、約0.028in.(0.071cm)の厚さで最後のニップの後にも圧縮されたままである。次いで、発泡体は、約16時間空気中で乾燥される。その様な乾燥は、重合された材料の約9〜17重量%まで水分含有量を減少させる。この時点で、発泡体シートは極めてドレープ性に優れ、「乾燥後薄い」。
【0101】
例3:HIPEからの発泡体の調製
A)HIPE調製
HIPEエマルジョンを生成させるための連続プロセスにおいて用いられる水相と油相は、例1にしたがって調製される。油相(25℃)と水相(53℃〜55℃)の分離した流れは、例1において詳細に記載されているように動的混合装置に供給される。
【0102】
一旦装置の設定がなされると、動的ミキサーの中で攪拌が始まり、インペラは1750RPMで回転し、再循環は約30cc/secの速度で始まる。その後水相の流量は、約1分の時間にわたって151.3cc/secの速度に定常的に増加し、油相の流量は約3分の時間にわたって3.78g/secに減少する。再循環速度は、後者の時間の間に約150cc/secに定常的に増加する。この時点で動的ゾーンおよびスターティックミキサーにより作り出される背圧は、約18.7PSI(129kPa)であり、それは系の圧力降下全体を表す。その後、ワウケシャポンプの速度は、約75cc/secの再循環速度を生み出すように定常的に減少する。
【0103】
B)HIPEの重合
この時点でスターティックミキサーから流出するHIPEは集められ、例1において詳細に記載されているようにポリマー発泡体に硬化される。
【0104】
C)発泡体の洗浄および脱水
硬化されたHIPE発泡体は硬化タブから取出される。この時点で発泡体は、重合されたモノマーの重量の約38〜42倍(38〜42×)の(溶解した乳化剤、電解質、開始剤残渣および開始剤を含む)残留水相を有する。発泡体は、鋭い反復運動する鋸の歯により厚さ0.185インチ(4.7mm)であるシートにスライスされる。それらのシートは次いで、重合された材料の重量の約6倍(6×)まで発泡体の残留水相含有量を徐々に減少させる、減圧を備えた一連の2つの多孔性ニップロールの中で圧縮に供される。この時点で、次いで、シートは60℃の1.5%CaCl2 溶液で再度飽和し、約4×の水相含有量まで減圧を備えた一連の3つの多孔性ニップロールの中で圧搾される。発泡体のCaCl2 含有量は8ないし10%である。発泡体は、約0.028in.(0.071cm)の厚さで最後のニップの後も圧縮されたままである。次いで、発泡体は、約16時間空気中で乾燥される。その様な乾燥は、重合された材料の約9〜17重量%まで水分含有量を減少させる。この時点で、発泡体シートは極めてドレープ性に富み、「乾燥後薄い」。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1の図面は、本発明の強い毛管吸引能力貯蔵要素を具備する吸収性コアを有するおむつの分解図である。
【図2】図2の図面は、図1において示されるもののようなおむつの中の包含のための代表的な多層コアの分解図である。
【図3】図3の図面は、図1において示されるもののようなおむつの中の包含のための別の代表的な多層コアの分解図である。
【図4】図4の図面は、本発明の強い吸引のポリマー発泡体の顕微鏡写真(倍率500×)である。発泡体は下記例2にしたがって調製されている。
【図5】図5の図面は、図4の発泡体の顕微鏡写真(倍率1000×)である。
【図6】図6の図面は、本発明の3つの発泡体および1つの先行技術のHIPE由来の発泡体についての垂直懸垂収着高さ曲線である。
【符号の説明】
【0106】
10,28…吸収性コア、51…分配ストリップ、52…獲得ストリップ、60…おむつ、61…トップシート、62…バックシート、65…テープタブファスナー、67,69…弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮によりつぶれることができ、水性流体との接触の際に膨張し、流体を吸収し得る相互連絡する連続気泡型のポリマー発泡体構造であって、そのポリマー発泡体構造は、少なくとも60cmの平衡90%垂直懸垂吸着高さ(VHSH)を有し、かつ、少なくとも45cmの毛管吸収圧力を有する、ポリマー発泡体構造。
【請求項2】
少なくとも70cmの平衡90%垂直懸垂吸着高さ(VHSH)を有する、請求項1に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項3】
少なくとも80cmの平衡90%垂直懸垂吸着高さ(VHSH)を有する、請求項1に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項4】
少なくとも55cmの毛管吸収圧力を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項5】
5.1kPaの閉じ込め圧力の下で測定したとき20%以下の圧縮歪みに対する抵抗を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項6】
少なくとも4:1の膨張した厚さ対つぶれた厚さの比を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項7】
圧縮によりつぶれることができ、水性流体との接触の際に膨張し、流体を吸収し得る相互連絡する連続気泡型のポリマー発泡体構造であって、そのポリマー発泡体構造は、
(a)50cmの静水頭圧で少なくとも25g/g〜90g/gの垂直輸送吸収能力、
(b)少なくとも60cmの平衡90%垂直懸垂吸着高さ(VHSH)
(c)少なくとも45cmの毛管吸収圧力、
(d)5.1kPaの閉じ込め圧力の下で測定したとき20%以下の圧縮歪みに対する抵抗を有する、ポリマー発泡体構造。
【請求項8】
少なくとも70cmの平衡90%垂直懸垂吸着高さ(VHSH)を有する、請求項7に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項9】
少なくとも80cmの平衡90%垂直懸垂吸着高さ(VHSH)を有する、請求項7に記載のポリマー発泡体構造。
【請求項10】
水性体液を吸収し、保持するために特に適切な吸収製品であって、
その製品は、
I)裏打ちシート、および
II)吸収性コアが前記裏打ちシートと製品の着用者の流体排出領域との間に位置するように前記裏打ちシートと結びつく吸収性コアであって、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡体構造を有する吸収性コアを具備する吸収製品。
【請求項11】
前記裏打ちシートが液体不透過性であり、該製品は、さらに、該裏打ちシートと結合した液体透過性トップシートを備え、前記吸収性コアが、前記トップシートと裏打ちシートとの間に位置する、請求項10に記載の吸収製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−90388(P2010−90388A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280342(P2009−280342)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【分割の表示】特願2000−536422(P2000−536422)の分割
【原出願日】平成11年3月12日(1999.3.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】