説明

強化ケーブル

本発明は、ケーブルの製造に関するものであって、単一ブロック構造およびコンクリート製のその他の物の強化のために用いられ得る。本発明の目的は、自己矯正する強化部材を製造することである。強化ケーブルは、中央ワイヤと、該中央ワイヤの周囲に巻き付けられ、周期的輪郭を有するレイヤー形成ワイヤとを備える。周期的輪郭は、レイヤー形成ワイヤの表面の外側部分において、クリンプされたケーブル表面の母線の上方に、傾斜した突部の形態で形成される。他のワイヤと接触するレイヤー形成ワイヤの表面領域は、螺旋状に配置された平面の形状に形成される。ケーブルは、建築物のベース部に固定され、且つ、ケース形成サイクル毎に、建築物における先に形成された部分と、分配マトリクスとの間に固定される。ケーブルは、バイパスローラおよびベースに配置されたリールからのガイドを介して供給される。各ケース形成サイクルの前に、マトリックスは、形成されるべき領域に対応して移動される。各強化部材は、建築物の全長に沿って一体的に設けられる。直交部材の連結は、インサートまたはタイワイヤを用いて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの製造に関するものであって、モノリシック構造およびコンクリートからなる他の製品の強化のために使用される挿入強化材の製造に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
クラスA500およびA600の鉄筋は、円形に近い断面と、その表面に設けられた傾斜したリブ状突部(GOST K 52544−2006を参照のこと。周期的な輪郭を有する、強化鉄筋構造用の溶接強化圧延ストック、クラスA500CおよびB500C、設計仕様)とを有する熱間圧延棒鋼を含む。
【0003】
公知の鉄筋の欠点は、モノリシック構造の製造における技術効果が低いことであり、これは、標準長さの複数の部品の形態での製造に起因する。このような製造では、複数の部品を、突合せ溶接によって連結することによって、各強化要素を得ることが必要となり、このことは、溶接ポイントにおける各部品の弱体化に繋がる。従来の鉄筋の他の欠点は、該鉄筋からなる強化構造の耐腐食性が低いことであり、これは、溶接位置における腐食の集中や、亜鉛防食コーティングを用いることが、事実上不可能(このようなコーティング付着物は、極端に溶接性が低い)であることによる。特許請求されたものに最も近い類似物は、中央ワイヤと、該中央ワイヤの周りに螺旋状に巻き付けられ、凹凸形状の周期的な輪郭を有する複数のワイヤとを有する強化ケーブルである。同時に、周期的輪郭は、巻きワイヤの全表面に亘って形成される(独国特許DE1659265号(Int.Cl:E04C5/03)を参照のこと)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ケーブルは、任意の長さの単一製品の形態として製造され得るものであって、自己強化可能であり、且つネジ回しの方向に機械的な係合部を有する。しかしながら、このケーブルは、ケーブルの断面の外周と、外側ワイヤの表面との間に形成される隙間が狭くなるので、コンクリートに対する強力な接着性をもたらすことがない。ケーブルの母線の下方に、強力なコンクリートのリッジを形成するために残された空間がない。さらには、このケーブルの欠点は、埋設された強化材の要求に見合った物理的および機械的特性を具備しないことにある。このことは、高強度のワイヤによって提供される強度が、その包囲線の輪郭が比較的に小さいため、同じ圧縮強度を持つ熱間圧延鉄筋の断面の横方向寸法に比べてはるかに小さな断面寸法では実現されないために生じる。
【0005】
鉄筋コンクリート構造を強化する方法は、先行技術に開示されている。上記方法は、張力が掛かっていない強化材を、建築物の長手方向および横方向に設置する工程と、ケースを反復的に設ける工程と、ケースの内部空間をコンクリートで満たす工程とを備える。その一方、鉄筋コンクリート要素の建設のサイクルを完了した後、標準長さの熱間圧延棒鋼は、突合せ溶接、またはネジ加工されたブッシュを介して互いに連結された強化棒として用いられる(規則コード SP52−103−2007 「モノリシック鉄筋コンクリート建設」)。
【0006】
この強化方法の欠点は、強化要素の強度が低いこと、特に、長さ方向における各強化棒の多くの連結箇所により、比強度が低くなり、且つ強化棒のクリープ性が高くなることにある。これにより、棒は、単一構造として負荷を受けることができない。また、この強化方法の欠点は、強化棒の低比強度による強化材の高コストや、強化要素の接合を数多く繰り返すことによる高い労働費用にもある。
【0007】
特許請求された製造方法に最も近い類似の方法は、円形断面のワイヤを製造する工程と、外側ワイヤに周期的輪郭を形成する工程と、ワイヤをケーブル化する工程と、その後の加圧工程とを備える、強化ケーブルを製造する方法である。周期的輪郭は、ケーブリングの前に、ワイヤの全面に亘って形成される。そして、ケーブリングの後に、圧着ダイを介してケーブルを引っ張ることによって、弾性圧縮が実行される(独国特許DE1659265号(Int.Cl:E04C5/03)を参照のこと)。
【0008】
この方法の欠点は、以下の理由により、挿入強化材に要求される物理的および機械的特性を有する強化ケーブルを製造することが不可能な点にある。すなわち、これは、製造されたケーブルが円形に近い断面を有しており、包囲線の輪郭が不十分であることによってその強度特性を実現することができないことによる。さらに、コンクリートに対するケーブルの接着性は、熱間圧延の強化材よりも小さい。
【0009】
本発明によって解決される技術的課題は、任意の長尺な長さを有し、強度特性およびグレードがA500およびA600の熱間圧延鉄筋のレベルでの包囲線の輪郭領域、コンクリートに対する接着性、グレードがA500およびA600の熱間圧延鉄筋を下回ることのないその他の特徴、ならびに、防食コーティングを塗布することの非限定的な可能性による改善された耐腐食性を備えた、自身で真直ぐに延在可能な強化要素を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下のように解決される。先行技術においては、強化ケーブルは、中央ワイヤと、該中央ワイヤの周囲に螺旋状に巻き付けられ、周期的な輪郭を有する複数のワイヤとを備えている。本発明によれば、ワイヤの引張強度は、同じ径の熱間圧延強化棒より、二倍以上高い強度となる。また、周期的な輪郭は、ケーブル圧着面の母線の上方の傾斜した突部として形成される。他のワイヤと接触するワイヤ表面部分は、螺旋状に配置された平坦領域として形成される。周期的な輪郭は、巻きワイヤの外面領域に形成され、ケーブル領域の周縁部と、外側ワイヤの表面との間の隙間は、円形ワイヤを有するケーブルにおける隙間と比較して、外側ワイヤ領域の形状およびワイヤの配置のために、より大きな寸法を有する。これにより、巻きワイヤの外側部分を繋ぐ接線輪郭は、丸みのある角を有する三角形に近くなる。しかしながら、例えば、1+6+3の配置、3/3、または3+3+6+3の配置によれば、二以上の不完全なレイヤーを形成することがない。
【0011】
また、ワイヤは、例えば1+6+2の配置によれば、外側部分を繋ぐ接線輪郭が丸みのある角部を有する多角形に近い形状となるように配置され得る。
【0012】
また、ワイヤは、例えば1+6+3または1+6+2の配置によれば、外側部分を繋ぐ接線輪郭が凹状側部および丸みのある角を有する、三角形または多角形に近い形状となるように配置され得る。
【0013】
周期的輪郭を、全ての外側ワイヤ上、または全ての表面上に形成しないことも可能である。例えば、1+6+3の配置においては、周期的輪郭は、第一のレイヤーの6本のワイヤの外面上にある一方、第二のレイヤーの3本のワイヤは、滑らかな圧縮表面を有する。
【0014】
特許請求されているケーブルは、以下の方法で用いられ得る。鉄筋コンクリート構造を強化する公知の方法は、張力が負荷されていない強化材を、建築物の長手方向および横方向に設置する工程と、ケースを反復的に設ける工程と、ケースをコンクリートで満たす工程とを備える。この公知の方法において、本発明によれば、成形によって設けられた周期的輪郭を有する強化ケーブルが、強化材として用いられる。上記ケーブルは、建築物のベース部に固定され、且つ、建築物における先に形成された部分と、分配テンプレートとの間に充填するサイクル毎に固定される。分配テンプレートは、建築物のベース部に配置されたリールから、ガイドおよびランニングローラを介して供給される。分配テンプレートは、各々の充填サイクルの前に、形成された部分のサイズと等しい距離だけ、該サイズの二倍の長さの強化ケーブルが結果として巻かれない状態で、先に形成された部分から側方へ移動される。ここで、各強化要素は、建築物の全長に沿って、一つの部材として構成されている。強化材の共通の直交要素は、ブッシュまたはタイワイヤによって連結される。
【0015】
強化ケーブルは、ケーブル領域の長さ超過が生じるのを避けるために、建築物全長の半分が形成された後に、リールから取り外されてもよい。
【0016】
さらには、成形された周期的輪郭を有するケーブルは、短尺の建築物において強化材として用いられてもよい。
【0017】
このような技術的手段の複合によって、ケーブルを強化材として用いることが可能となる。すなわち、ネジ回し効果を排除する周期的輪郭によって、高い比強度および高い絶対強度、高い応力緩和抵抗および疲労抵抗を有するケーブルを用いることが可能となる。長手方向の連結がないことによって、歪み硬化性の強化材を使用し、負荷を他の強化要素に均一に分配および伝達させ、例えば鉛のような耐腐食コーティングの使用を提供することが可能となる。
【0018】
ケーブル強化材の高い応力緩和抵抗および疲労抵抗は、強化構造のより高い耐久性をもたらす。高比強度によって、建築物の重量と特定のコスト(強度に関する)を低減することができる。強化要素を連結する作業が減少するために、結果としてコストをさらに低減することができる。
【0019】
特許請求された強化ケーブルの構造は、特許請求された製造方法が用いられた場合においてのみ、製造され得る。上記方法は、円形断面のワイヤを製造する工程と、巻きワイヤの周期的輪郭を形成する工程と、ワイヤをケーブルとなるように巻き付ける工程と、ケーブルを圧縮する工程とを備える。上記方法によれば、周期的輪郭は、巻きワイヤの外面に沿った捩りポイントにおける変形によって、ケーブルとなるようにこれらワイヤを巻き付ける工程において、巻きワイヤ表面における外側部分上に形成される。ここで、ワイヤを巻き付ける工程は、傾斜スリットを含む円筒状またはバレル状の作業面を有する成形ローラ器具にて行われる。上記ローラは、圧縮されたケーブルの軸に対して、ケーブル軸に対するケーブルワイヤ外面の角度と等しい角度で、配置される。ここで、周期的輪郭を形成するときに、ローラは、ケーブルを塑性圧縮し、ワイヤが互いに接触する部分上に螺旋状の平坦な領域を形成する。
【0020】
螺旋状の三角領域を有するケーブルの形状に関する明確な特徴は、先行技術(I.Ts.Berinsky、張力が負荷された鉄筋コンクリート建築のための鉄製三角ストランド、鉄ケーブル、リソース本、第4版、キエフ、テクニカ出版,1967,page232−235)に開示されている。特許請求されているものと同様に、上記手段においては、螺旋状の三角領域は、コンクリートに対する要素の如何なる直線的な移動も妨げる多くのコンクリート突部を、強化要素の母線の下に形成するために用いられる。しかしながら、特許請求された発明においては、引用文献とは逆に、螺旋状の三角領域は、コンクリートの接着性を増大させ、且つ、外側ワイヤ表面の周期的輪郭によってねじ回しを排除することを目的とした、複合的な手段の一部である。
【0021】
さらには、特許請求された発明においては、三角領域の機能のうちの一つは、生成面の直径を増加させ、さらにこれに伴って、同じ強度の棒片に対応させて包囲輪郭のパラメータを増加させることである。先行技術の手段の図は、少なくとも二つの不完全なワイヤのレイヤーを含む、螺旋状のマルチレイヤーケーブル領域の概略図を示している。ここでは、ワイヤが同じ半径上にて一方向のみに向けて配置され、これに対応して、反対方向にはサポートを有していない状態で、ワイヤの一部が、接線方向に接触している。
【0022】
このような構成のために、上記手段におけるケーブルは、ワイヤを安定して固定することを確保することができない。通常または接線方向の負荷が掛けられた状態の外側レイヤーのワイヤは、必然的に、内側の不完全レイヤーの位置に向けて内方に移動すると同時に、(三以上の不完全レイヤーがある場合)同じまたはより小さな半径における自由空間において、このレイヤーのワイヤの一つをシフトさせる。その結果、より小さな半径の位置へシフトされたワイヤは、過剰な長さを有することとなり、且つ、負荷が掛けられた部位の近傍部分において、固定位置から逸脱することとなる。いずれのケーブルも、製造過程において、巻き上げ機にて実質的負荷が掛けられるので、先行技術の手段が、現行のケーブル駆動機械において実現され得ず、且つ、このような発明の特徴に産業適用性として合致していないことは、確実に言えることである。
【0023】
そのような手段とは逆に、特許請求された発明においては、一つのみの不完全レイヤーが形成される。このレイヤーは、巻き工程における直接的な塑性圧縮という追加的な安定要素によって安定する。すなわちこれは、ワイヤが、内側レイヤーのより短いワイヤによって完全に埋められている、より小さな半径の位置にシフトすることが不可能であり、他の角度位置における同じ半径の位置にシフトすることも同様に不可能であることによる。何故ならば、塑性圧縮の後には、外側レイヤーのワイヤに、内側レイヤーのワイヤ間の隙間において刻み目が設けられ、内側レイヤーのワイヤ間の自由隙間の幅および深さが、互いに向けて入り込む刻み目(indent)のために減少し、これにより、捩りポイントを通過した後の外側レイヤーの各ワイヤが、安定した位置で、可能である最小半径上に位置することとなるからである。
【0024】
このように、特許請求された発明は、先行技術とは対照的に、産業に適用することができる。
【0025】
張力の掛からない強化材のための強化ケーブルの使用を特徴付ける、明確な特徴は、先行技術の手段には見られない。
【0026】
高粘着係数を有する、張力の掛からない強化材の自己強化性および可撓性により、溶接接合を排除することによって、耐腐食コーティングを適用する可能性を特徴付ける、明確な特徴は、先行技術の手段には見られない。
【0027】
成形領域としての周期的輪郭の外面、および巻きワイヤの内面上の接触部分を有する強化ケーブルの形状を特徴付ける、明確な特徴は、先行技術の手段には見られない。
【0028】
先行技術に係る情報源についての上記考察を考慮して、特許請求された強化ケーブルおよびその製造方法は、当業者にとって自明の事項ではなく、これらが「進歩性」の特許性基準を満たすものであると結論され得る。
【0029】
特許請求された発明は以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】強化ケーブルの概観図である。
【図2】1+6+3の構造を有し、巻きワイヤの全ての外面に周期的輪郭が設けられた強化ケーブルの概略断面図である。
【図3】図2と同様の図であって、巻きワイヤの内側のレイヤーの外面のみに周期的輪郭が設けられている状態を示す。
【図4】モノリシック鉄筋コンクリート構造のケーブルによって強化するための装置とケースに関する位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
強化ケーブルは、以下の構造を備える。直線的な中央ワイヤ1(図1、2、および3)は、ケーブルの軸に沿って延びている。内側レイヤーの六本の螺旋状巻きワイヤ2は、中央ワイヤの周囲に配置されている。これら巻きワイヤは、互いに、および中央ワイヤに、密着している。内側レイヤーの巻きワイヤ2の間の隙間において、外側レイヤーの三本の巻きワイヤ3が配置されている。これらの巻きワイヤ3は、内側レイヤーの巻きワイヤ2に密着し、120°の間隔で互いに離隔している。中央ワイヤ1の表面、および近接する巻きワイヤ2および3と接触する、巻きワイヤ2および3の表面部分、ならびに、巻きワイヤ2と接触する中央ワイヤ1の表面部分は、螺旋状の平坦部分4(図2および3)の形状となっている。周期的輪郭は、巻きワイヤ2(図1および2)の外側部分、または巻きワイヤ2および3(図3)の外側部分の上の、ケーブル圧縮面の母線6上の傾斜突部5の形態として、形成されている。
【0032】
特許請求された強化ケーブル構造は、ケーブルにおける低レベルの接触圧力および均等な分配によって、その物理的および機械的な特性を改善する。同時に、ケーブルのコンクリートに対する接着性は、ケーブルの断面の周縁部と外側ワイヤの表面との間の隙間の本質的に増加によって、高められる。これらの隙間は、コンクリートの強力なリッジを形成し、増加した包囲線の輪郭のための空間を確保する。
【0033】
粘着係数Frの計算のために、捩りステップにおける3つのケーブル面の各々の横方向への突出は、外接半径に等しい外半径を有する閉鎖リングであり、その内半径は、ケーブル軸から、内側レイヤーの2本の隣接するワイヤ2間の接触領域4の外側端までの距離に等しいことが、考慮される。
【0034】
リング領域と、巻きピッチに等しい高さの外接円筒部の領域に対する該リング領域の比率を計算すると、ワイヤ径が3.0mm、終端ケーブル外接径が13.6mm、ケーブル軸から接触領域4の外側端までの距離が2.6mm、巻きステップが80mmである場合、その比率は、0.105となる。これは、A500強化材の値である0.0075を実質的に上回る。さらには、面の間の隙間がより長くなるために、強力なコンクリートリッジを形成するための本質的空間が設けられ、クランプルされたケーブルの領域が拡大することとなる。その一方、A500の強化材の場合、クランプルされた強化材の領域を上記値まで増加させると、十分な強度のコンクリートリッジを形成するための輪郭突部の間の空間が不足するために、接着性の低下に繋がる。
【0035】
モノリシック鉄筋コンクリート構造のケーブルを有する強化材のための装置は、例えば、以下のものであり得る。
【0036】
装置のベースは、予め形成された建築領域8上に固定されるフレーム7(図4)である。上記フレームは、ユニットの取り付けおよび固定のための、例えば伸縮自在(図示せず)である垂直部9から構成される。このユニットは、建設中の建物の高さよりも高い位置に強化材を供給するためのものであって、分配テンプレート10と、一組のランニングローラ11と、該ランニングローラ11とリール13との間に配置されたガイド12とを有し、リール13は、周期的形状のケーブルの標準ピース14を含む。
【0037】
鉄筋コンクリート構造を強化するための特許請求された方法は、例えば以下のように実行される。リール13に巻き付けられた周期的形状のケーブルの標準エレメント14の端部が、強化建築物のベースに固定される。強化材供給用のユニットは、外部または埋設メカニズム、および一般に用いられるタイプのいずれかの固定要素によって、供給され固定される。強化材は、周期的に形成されたコンクリート部分のサイズに対応して供給される。これにより、分配テンプレート10と、前に形成された建築部分8との間に配置された、周期的形状を有するケーブルの標準要素14の一部は、所望の方向に配置される。強化材は、横方向に設置され、ケース15は、強化材の周囲に組み立てられる。そして、ケース15はコンクリートで満たされる。
【0038】
特許請求された方法による強化材の方向において、建築物の全長の半分が建てられた後に、ランニングローラ11とリール13との間で、ガイド12において、建築物の残りの部分を強化するのに十分な長さの、成形された周期的輪郭を有するケーブルの標準要素14の部分が存在する。したがって、標準要素14は、リール13から開放され、公知技術のいずれかのブレーキ装置を用いて、ガイド12に固定され得る。
【0039】
強化ケーブルは、以下のように製造される。まず、円形断面の中央ワイヤ1、ならびに巻きワイヤ2および3が製造され、例えば弓型の機械であるケーブル駆動機械を用いて、ケーブルに巻き付けられる。巻き付け後に、周期的輪郭が、巻きワイヤ2、または2および3の外側部において、表面の母線6の上方に、傾斜突部5の形状で設けられる。ここで、該周期的輪郭は、周期輪郭の閉じられた形状を有するローラ器具において、冷間変形によって、巻きケーブルの外側ワイヤの外面に沿って設けられる。
【0040】
周期輪郭が上記器具においてケーブル表面に設けられるのと同時に、ケーブルは塑性圧縮に供され、そのときに接触部分4が形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央ワイヤと、
前記中央ワイヤの周囲に巻き付けられ、周期的輪郭を有する螺旋状の巻きワイヤと、を備える強化ケーブルであって、
前記ケーブルのワイヤは、同じ直径を有する熱間圧延強化棒よりも二倍以上に高い引張強度を有し、
周期的輪郭は、前記ケーブルの圧縮された面の母線の上方に位置する傾斜した突部として構成され、
他のワイヤと接触する前記ワイヤの表面領域は、螺旋状に配置された平坦な領域の形状に形成され、周期的輪郭は、前記巻きワイヤの外面領域に形成され、
前記ケーブルの断面周縁部と、外側ワイヤの表面との間の隙間の寸法は、外側ワイヤ領域の形状と前記ワイヤの配置とによって、円形ワイヤを有するケーブルにおける隙間より大きく、
例えば1+6+3、3/3、または3+3+6+3の配置によれば、前記ワイヤの配置により、前記巻きワイヤの外側部分を繋ぐ接線輪郭が、丸みのある角部を有する三角形に近い形状となるとともに、二以上の不完全なレイヤーを有さないことを特徴とする、強化ケーブル。
【請求項2】
前記ワイヤは、例えば1+6+2の配置により、前記巻きワイヤの外側部分を繋ぐ前記接線輪郭が丸みのある角部を有する多角形に近い形状となるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の強化ケーブル。
【請求項3】
前記ワイヤは、例えば1+6+3または1+6+2の配置により、前記巻きワイヤの外側部分を繋ぐ前記接線輪郭が、丸みのある角部を有する三角形または多角形に近い形状となるように配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の強化ケーブル。
【請求項4】
張力が掛かっていない強化材を、建築物の最大延在方向および横方向に設置する工程と、
ケースを反復的に設け、前記ケースの内部をコンクリートで満たす工程と、を備える鉄筋コンクリート構造を強化する方法であって、
成形された周期輪郭を有し、建築物のベース部に固定され、且つ、建築物における先に形成された部分と分配テンプレートとの間に充填するサイクル毎に固定される前記強化ケーブルを、建築物の最大延在方向に向けて用いる工程と、
前記建築物のベース部に配置されたリールから、ガイドおよびランニングローラを介して、前記分配テンプレートを供給する工程と、
各々の充填サイクルの前に、形成された部分のサイズと等しい距離だけ、該サイズの二倍の長さの前記強化ケーブルが結果として巻かれない状態で、前記分配テンプレートを、先に形成された部分から側方へ移動させる工程と、
前記強化材の互いに直交する要素を、ブッシュまたはタイワイヤによって連結する工程と、をさらに備え、
各強化要素は、全長に沿って一体的に構成されている、方法。
【請求項5】
前記強化ケーブルは、該強化ケーブルの長さの半分が形成された後に、前記リールから取り外されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
成形された周期的輪郭を有する前記ケーブルは、他の方向に向けても用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
円形断面領域のワイヤを製造する工程と、
巻きワイヤの周期的輪郭を形成する工程と、
ケーブルとなるように前記ワイヤを巻きつける工程と
前記ケーブルを圧縮する工程と、を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の強化ケーブルを製造するための方法であって、
前記周期的輪郭は、ケーブルとなるように前記ワイヤを巻き付ける工程において、傾斜スリット付の円筒状またはバレル状の作業面を含むローラを有する成形ローラ器具を用いて、前記巻きワイヤの外面に沿う捩りポイントにおける直接的な変形によって、前記巻きワイヤの表面における外側部分の上に形成され、
前記ローラは、前記圧縮されたケーブルの軸に対して、ケーブル軸に対するケーブルワイヤの外面の角度と等しい角度で配置され、
周期的輪郭を形成するときに、前記ローラは、ケーブルを塑性圧縮し、前記ワイヤが互いに接触する部分の上に、螺旋状の平坦な領域を形成することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−513038(P2013−513038A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543041(P2012−543041)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000573
【国際公開番号】WO2011/071410
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512148768)アルモン リミティド (1)
【Fターム(参考)】