説明

強化プラスチックライニング二重殻タンク

【課題】強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、間隙中に封入された空気中の水分が凝集して結露が発生するのを確実に防止することができ、当該間隙が存在することの検査作業における測定器の誤動作を確実に防止することが可能な強化プラスチックライニング二重殻タンクを提供する。
【解決手段】本発明の強化プラスチックライニング二重殻タンクは、タンクの表面に間隙を介して強化プラスチック層を被覆形成した強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、前記タンクの表面に微粒子を混合した塗料を塗布し、当該塗料の表面から前記微粒子の少なくとも一部を突出させた塗料層を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、強化プラスチックライニング二重殻タンクに関するものであり、更に詳しくは、例えば、鋼製タンク等からなるタンクと、当該タンクの表面に被覆される強化プラスチック層との間隙における結露の発生を確実に防止し、前記間隙の存在確認時における測定器の誤動作を防止することを可能とした強化プラスチックライニング二重殻タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
危険物の規制に関する制令の一部を改正する法律、及び、危険物の規制に関する規則の一部を改正する規則が改正、施行され、地下に埋設した強化プラスチックライニング二重殻タンクによる危険物の貯蔵が可能となっている。
【0003】
上記強化プラスチックライニング二重殻タンクとは、例えば図1及び図2に示すように、鋼製のタンク1の外側に、上部及びフランジ部(気相部G)以外の部分(液相部L)において間隙2を形成しつつ強化プラスチック層3を設けてタンク本体4とし、該タンク本体4の上部から底面へ前記間隙2に連通する検知管5を挿入すると共に、図示はしていないが、前記検知管5の底部に、タンク1から漏洩する危険物及び強化プラスチック層3から流入する地下水の双方を検知することができるセンサーを配設し、更に適宜の箇所に該センサーからの出力を処理する検知装置を配してなるものである。
【0004】
上記強化プラスチックライニング二重殻タンクにおける強化プラスチック層3の形成は、様々な方法により行われているが、その一例としていわゆるスプレーアップ法やハンドレイアップ法を挙げることができる。即ち、このスプレーアップ法とは、間隙2を設ける必要のない気相部Gに対し、強化プラスチック層3との密着性を増すためにサンドブラストを施した後にプライマーを塗布し、一方、液相部Lには間隙2を確保するための薄い樹脂フィルムを巻き付け、前記タンク1の側面に相当する鏡部DHも同様に処理した後、ガラス繊維と樹脂とを吹き付け、必要に応じこの吹き付け行程を繰り返し、所望の厚みの強化プラスチック層3を有する強化プラスチックライニング二重殻タンクとするものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記強化プラスチックライニング二重殻タンクの場合には、高湿環境下において、間隙2を介して強化プラスチック層3を形成する作業を行い製造すると、在庫中に環境温度が低下した際に、間隙2中に封入された空気中の水分が凝集して結露してしまう。そして、強化プラスチック層3を被覆形成する際に当該強化プラスチック層3が硬化反応により収縮する結果、外圧が発生し、強化プラスチック層3がタンク1の表面に密着するため、タンク1の表面と強化プラスチック層3との間に形成される間隙2が極微小であることと相俟って、図5に示すように、タンク1の外周に凝集して結露した水分が所々に現れるようになる。すると、上記の如く製造される強化プラスチックライニング二重殻タンクでは、強化プラスチック層3が半透明であることから、凝集して結露した水分の輪郭が、タンク本体4の外周面の所々に等高線のようなパターンSとなって現れ、外観が低下すると共に商品価値も低下するという問題点を有している。
【0006】
又、上記強化プラスチックライニング二重殻タンクについては、消防法による必須の検査項目として、少なくとも液相部Lにおいて、タンク1と、その外周に被覆されている強化プラスチック層3との間に、所定の間隙2が存在し、タンク1と強化プラスチック層3とが密着していないことを確認、証明する必要がある。上記間隙2が存在することの確認、証明作業は、超音波厚さ測定器に空間検出ができる機能を付加した測定器を使用することによって行われ、具体的には、この測定器のプローブの検知面をグリセリン等のペーストを介してタンクの表面に接触させ、当該プローブから出射される超音波の反射波を検出することによって、間隙が確認されたことを示す音や表示に従って確認、証明されることになる。因みに、間隙が確認されない場合は、強化プラスチックライニング二重殻タンクではなく、一重殻タンクとみなされてしまう。
【0007】
しかし、上記強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、間隙2中に封入された空気中の水分が凝集して結露すると、間隙2の存在を確認、証明しようとしても、凝集した水分が障害となって、前記測定器に誤検知が発生してしまい、結果的に該測定器が反応しなくなって消防法上必須である検査に不合格となってしまうという問題点を有している。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、間隙中に封入された空気中の水分が凝集して結露が発生しても上記のようなパターンSが発生するのを確実に防止することができ、当該間隙が存在することの検査作業における測定器の誤動作を確実に防止することが可能な強化プラスチックライニング二重殻タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、タンクの表面に間隙を介して強化プラスチック層を被覆形成した強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、前記タンクの表面に微粒子を混合した塗料を塗布し、当該塗料の表面から前記微粒子の少なくとも一部を突出させた塗料層を形成したことを特徴とする強化プラスチックライニング二重殻タンクである。
【0010】
又、請求項2に記載された発明は、微粒子の少なくとも一部が、直接又は間接に強化プラスチック層に当接している請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンクである。
【0011】
又、請求項3に記載された発明は、前記微粒子の平均粒径が75〜500μmである請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンクである。
【0012】
更に又、請求項4に記載された発明は、前記微粒子の平均粒径が100〜250μmである請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンクである。
【0013】
更に又、請求項5に記載された発明は、前記微粒子の添加量が塗料に対し5乃至15重量部である請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンクである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、間隙中に封入された空気中の水分が凝集して結露が発生するのを確実に防止することができ、当該間隙が存在することの検査作業において、測定器が誤動作し、間隙が存在するにもかかわらず消防法上必須の前記検査に不合格になってしまう不都合を確実に防止することが可能な強化プラスチックライニング二重殻タンクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
実施の形態1
図1及び図2はこの発明の実施の形態1に係る強化プラスチックライニング二重殻タンクを示す構成図である。
【0017】
この強化プラスチックライニング二重殻タンクは、図1及び図2に示すように、鋼製のタンク1の外側に、間隙2を形成しつつ強化プラスチック層3を設けてタンク本体4とし、該タンク本体4の上部から底面へ前記間隙2に連通する検知管5を挿入すると共に、図1に示すように、前記検知管5の底部に、タンク1から漏洩する危険物及び強化プラスチック層3から流入する地下水の双方を検知することができるセンサー6を配設し、更に適宜の箇所に該センサー6からの出力を処理する検知装置7を配してなるものである。上記鋼製タンク1としては、例えば、直径2100〜2400mmのものが用いられる。
【0018】
上記強化プラスチックライニング二重殻タンクが第4類危険物用のタンク1の場合には、上部及びフランジ部(気相部G)以外の部分(タンク液相部L:タンク底面より貯蔵液体が入る最高位置まで)において、間隙2を形成しつつ強化プラスチック層3を設け、LPG用のタンク1の場合には、基本的に360度全周に間隙2を形成しつつ強化プラスチック層3を設けて二重殻タンクを形成する必要がある。
【0019】
そして、強化プラスチック層3を設ける際には、反応に伴う硬化収縮により、強化プラスチック層3がタンク1の表面に圧着され、その際の圧力はタンク1の直径にもよるが0.1から0.35Kg/cm程度と考えられる。尚、強化プラスチック層3がタンク1の表面に圧着された後においても、強化プラスチック層3とタンク1の表面との間には間隙2が形成され、実測は不可能であるが、間隙2は1μm程度と推定される。
【0020】
ところで、この実施の形態1では、鋼製タンクの表面に間隙を介して強化プラスチック層を被覆形成した強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、前記タンクの表面に微粒子を混合した塗料を塗布し、当該塗料の表面から前記微粒子の少なくとも一部を突出させた塗料層を形成するように構成されている。
【0021】
すなわち、この実施の形態では、図3に示すように、タンク1の表面に錆び止め塗料8が所定の厚さに塗布されるが、この錆び止め塗料8には、微粒子9が混合されている。上記錆び止め塗料8が塗布された鋼製タンク1の表面には、薄い樹脂フィルムが巻き付けられた後、ガラス繊維と樹脂とが吹き付けられ、必要に応じこの吹き付け行程が繰り返され、所望の厚み(例えば、2.5mm厚)の強化プラスチック層3を有する強化プラスチックライニング二重殻タンクが製造される。
【0022】
尚、上記強化プラスチックライニング二重殻タンクの場合には、鋼製タンク1の外周に強化プラスチック層3を被覆形成する際に、当該強化プラスチック層3が収縮する結果、外圧が発生し、強化プラスチック層3がタンク1の表面に密着しようとするが、間隙2は存在することになる。
【0023】
加えて、上記強化プラスチックライニング二重殻タンクでは、タンク1の表面の少なくとも一部において、錆び止め塗料8の表面から少なくともその一部が突出する微粒子9によって、タンク1の表面と強化プラスチック層3との間に間隙2が確保されるようになっている。
【0024】
上記微粒子9の大きさとしては、錆び止め塗料8の表面から少なくともその一部が突出することを可能とする限りにおいて、特に限定はないが、実際の錆び止め塗料8の塗布厚みである50〜100μmを考慮すると、75〜500μmの範囲内であることが好ましく、100〜250μmの範囲内であることが更に好ましい。又、微粒子9は完全に球形のものである必要もない。
【0025】
例えば、大きさが150〜180μmの微粒子を使用すると、錆び止め塗料8の層厚を50μmとした場合は、100〜130μm程度、錆び止め塗料の層厚を100μmとした場合は、50〜80μm程度、当該錆び止め塗料8の表面より凸状に微粒子9の先端が突出することになる。尚、上記微粒子9の粒径は、当該微粒子をふるい分けるふるい目の幅の大きさで表される。
【0026】
その際、上記微粒子9は、粒子径が大きい程、タンク1の表面と強化プラスチック層3との間に間隙2を形成する目的に合致するが、危険物を収容するタンクの構造上、支障が生じる場合があるので、これを考慮しなければならない。即ち、上記強化プラスチックライニング二重殻タンクの内部にLPGを収容する場合には、間隙2が大きすぎると、強化プラスチック層3を介したタンク1への熱伝達効率が中間の空気層により悪くなり、LPGへの蒸発潜熱の供給が不足することになるので、上記間隙2の理想的な値である50〜200μm程度が確保できるように上記微粒子9の大きさを決定する。尚、LPGを収容する場合でも、400μm程度以下の間隙が形成されていれば、熱伝達効率の悪化を心配する必要はない。
【0027】
逆に、上記微粒子9の大きさがあまりに小さいと、錆び止め塗料8の表面から少なくともその一部が突出することがなくなってしまう。
【0028】
微粒子9の錆び止め塗料8への添加量は、あまりに少ないと、たとえ大きな微粒子を使用したとしても効果が発揮されにくくなるので、例えば錆び止め塗料100重量部に対して5乃至15重量部、基本的には10重量部程度とする。
【0029】
上記微粒子9の素材としては、例えば、ナイロン樹脂や、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の有機材料、好ましくは耐油性、耐水性有機材料を、常温機械粉砕法、特殊常温機械粉砕法、冷凍粉砕法、化学粉砕法等により粉砕したものなどが用いられる。又、上記微粒子9としては、砂やガラス等の無機材料からなるものを用いても良い。
【0030】
上記微粒子9としては、具体的には例えば、東京インキ株式会社製のナイロン樹脂を粉体化したパウダーレジンSKシリーズ、製品名「SK−52」、東京インキ株式会社製のポリエチレン樹脂を粉体化したパウダーレジンPEシリーズ、製品名「1030」、東京インキ株式会社製のエチレン酢酸ビニル樹脂を粉体化したパウダーレジンDシリーズ、製品名「D60−SZ」、東京インキ株式会社製のポリエステル樹脂を粉体化したパウダーレジンGシリーズ、製品名「G125−SZ」を用いることができる。
【0031】
ところで、本発明は、タンク1の表面と強化プラスチック層3との間隙が存在することの検査作業において、水分の結露により測定器が誤動作し、間隙が存在するにもかかわらず消防法上必須の前記検査に不合格になってしまう不都合を確実に防止しようとするものである。そこで本発明者は、タンク1と同様の素材による鉄板に対して強化プラスチック層3と同様の素材による板を積層し、それらの間に水を存在させた場合と存在させない場合について、超音波測定器(パナメト モデル25DC)の作動を検証したところ、鉄板と強化プラスチックとの間に水が存在しない場合は5回の測定中5回で間隙が検知されたが、鉄板と強化プラスチックとの間に水が存在する場合は5回の測定中5回で間隙が検知されなかった。尚、この結果は、強化プラスチックの厚みを増して行っても同様であった。
【0032】
次に、本発明者は、(1)直径600mm(以下、同様である。)の鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8のみを塗布したもの、(2)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子20μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、(3)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子50μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、(4)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子75μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、(5)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子100μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、(6)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子150μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、(7)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子200μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、及び(8)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子500μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布した強化プラスチックライニング二重殻タンクを製作した。微粒子9の添加量は、錆び止め塗料100重量部に対して10重量部に設定し、又、錆び止め塗料8の厚みは約50μm程度となった。
【0033】
当該強化プラスチックライニング二重殻タンクの間隙2に、側面に設けた穴及び当該穴に連通するようにタンク1の内側に固着したパイプを通じて、図4に示すように水Wを10ml注入して、このタンクの任意個所を超音波厚味計によって30回測定した測定結果と、タンクの外観を目視により確認する実験を行った。
【0034】
以下の表1は、上記実験の結果を示すものである。
【表1】

【0035】
この表1から明らかなように、錆び止め塗料8に最大粒子75μm、100μm、150μm、200μm及び500μmの微粒子9を混合したものを塗布した強化プラスチックライニング二重殻タンクの場合には、超音波厚味計の誤動作の発生が0回であり、タンクの外観上も注入された水による等高線状パターンの発生はなかった。
【0036】
これに対して、錆び止め塗料8のみを塗布した場合、及び、錆び止め塗料8に最大粒子20μm、50μmの微粒子9を混合したものを塗布した強化プラスチックライニング二重殻タンクの場合には、超音波厚味計の誤動作の発生がそれぞれ29回及び18回、8回であり、タンクの外観上も注入された水による等高線状パターンの発生が確認されたか、又はパターンが一部発生した。
【0037】
更に本発明者は、等高線状パターンの発生とその消滅を詳細に観察するために、更に実験を重ねた。即ち、(9)上記実験で使用したものと同様の鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8のみを塗布したもの、(10)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子50μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、(11)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子150μmのポリエチレン製微粒子9を混合したものを塗布したもの、及び、(12)鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子500μmのナイロン製微粒子9を混合したものを塗布したものを用意し、錆び止め塗料層にPETフィルムを被覆してから強化プラスチック層を設け、強化プラスチックライニング二重殻タンクを製作した。微粒子9の添加量は、錆び止め塗料100重量部に対して10重量部に設定し、又、強化プラスチック層の厚みは約2.5mm程度となった。
【0038】
当該強化プラスチックライニング二重殻タンクの間隙2に、側面に設けた穴及び当該穴に連通するようにタンク1の内側に固着したパイプを通じて、水を注入した。水は約300mmの水圧がかかるような高さから注入し、20gの水が注入されるまでの時間と、注入開始からの等高線状パターンの発生とその消滅を詳細に観察した。
【0039】
20gの水が注入されるまでの時間は以下の通りであった。
(9)のタンク 2分
(10)のタンク 1分
(11)のタンク 5.0秒
(12)のタンク 0.5秒
【0040】
注入開始からの等高線状パターンの発生とその消滅については以下の通りであった。
(9)のタンク 穴を中心に水が均一に毛細管現象により水膜となって拡がり、消滅することはなかった。
(10)のタンク 一旦は、穴を中心に水が均一に毛細管現象により拡がったが、時間の経過と共に水膜が点状になり、5分程度で消滅した。
(11)のタンク 水膜は形成されず、当初から点状になり、やがて消滅した。
(12)のタンク 水膜は形成されず、当初から大きな点状になると共に急速に下方へ流れた。
【0041】
上記実験を微粒子9の粒径を変えて繰り返したところ、粒径が小さくなればなるほど、水膜が大きく生じて消滅しにくくなり、粒径が大きくなればなるほど、点状となると共にその大きさが増し、下方へ流れていく速度も増した。
【0042】
更に、上記(11)の鋼製タンク1の表面に錆び止め塗料8に最大粒子150μmのポリエチレン製微粒子9を混合したものを塗布したもの使用し、上記実験を微粒子9の添加量を変えて繰り返したところ、以下のような結果を示した。
3% 一部パターン発生
6% パターン発生なし
15% 微粉末の添加により塗料の粘度が上昇
20% 粘度が高く、塗装作業が困難
【0043】
このように、鋼製タンク1の表面に、微粒子9を混合した錆び止め塗料8を塗布することにより、当該鋼製タンク1と強化プラスチック層3との間に、所定の間隙2を確保することができ、超音波厚味計による誤動作の発生を防止することができると共に、間隙2中に封入された水分が凝集した場合でも、等高線状パターンが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る強化プラスチックライニング二重殻タンクを示す縦断面図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る強化プラスチックライニング二重殻タンクを示す横断面図である。
【図3】図3は鋼製タンクの表面を示す断面図である。
【図4】図4は実験条件を示す模式図である。
【図5】図5は従来のタンクを示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1:タンク、2:間隙、3:強化プラスチック層、8:錆び止め塗料、9:微粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの表面に間隙を介して強化プラスチック層を被覆形成した強化プラスチックライニング二重殻タンクにおいて、
前記タンクの表面に微粒子を混合した塗料を塗布し、当該塗料の表面から前記微粒子の少なくとも一部を突出させた塗料層を形成したことを特徴とする強化プラスチックライニング二重殻タンク。
【請求項2】
微粒子の少なくとも一部が、直接又は間接に強化プラスチック層に当接している請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンク。
【請求項3】
前記微粒子の平均粒径が75〜500μmである請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンク。
【請求項4】
前記微粒子の平均粒径が100〜250μmである請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンク。
【請求項5】
前記微粒子の添加量が塗料に対し5乃至15重量部である請求項1に記載の強化プラスチックライニング二重殻タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−1607(P2006−1607A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181231(P2004−181231)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(593140956)玉田工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】