説明

強化ポリエステル組成物

その中にセピオライトがポリエステルを形成するための重合前にまたは重合中に加えられる、指定量のある種の補強フィラー、ポリマー強化材、およびセピオライト型粘土を含有する強化ポリエステル組成物は、外観表面を有するおよび/または塗装される部品に特に有用である。かかる組成物は電気器具部品、自動車車体パネル、動力工具ハウジング、およびエレクトロニクスハウジングなどのアイテムに有用である。かかる組成物のコート方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
指定量のある種の補強材、セピオライト(sepiolite)型粘土、および強化材を含むポリエステル組成物は、例えば、自動車車体パネルならびに取っ手およびハウジングなどの電気器具部品用の、滑らかな表面を必要とする部品を製造するために有用である。セピオライト型粘土は、重合前または重合中にポリエステル形成原料に加えられる。
【背景技術】
【0002】
金属部品をプラスチックで置き換える課題の1つは、良く見える(滑らかな)表面の、および/またはその表面を光沢のある滑らかな外観を有するようにコートする(塗装する)ことができるプラスチック部品を製造することである。これは、ある種の最低レベルの靱性および/または耐熱性の必要性としばしば相まって、比較的安価であるポリマーおよび他の原料を使用する際に特に、難問を提示してきた。様々なタイプの熱可塑性樹脂がかかる用途に試されてきたし、幾つかの場合に成功裡に使用されてきたし、再使用可能であるという利点を有し(例えばスクラップ)、熱硬化性ポリマーよりしばしば強靱である。しかしながら、2つ以上の環境ストレスへの高い耐性が必要とされる用途では、改良された組成物がいまだに必要とされる。
【0003】
例えば、特に課題となるタイプの部品は、フェンダー、フード、ドア、リフトアップ式後部ドア、トランク・リッド、タンク・キャップ、バンパー、保護成形品、サイドパネル、ボディ・シル、ミラー・ハウジング、ハンドル、スポイラー、ガスタンク・フラップカバー、およびハブ・キャップなどの自動車車体パネルである。これらの部品は、それらが自動車できっちりと合うように近い寸法公差に正確に成形されなければならず、それらは機械的/衝撃損傷に抵抗するほど十分に強靱でなければならず、そしてそれらは、それらが塗装されたときにそれらが良好な外観(時々「クラスA(Class A)」表面と呼ばれる)を有するように(通常)非常に滑らかな表面を持たなければならない。加えて、それらが、過度にたるむ、ゆがむ、または別のやり方で変形することなく自動車ペイント・ベークオーブンでの温度(時々200℃ほどに高い、そして30分ほどに長い間)に耐えることができるように十分な耐熱性を有することが好ましい。これらの部品はより低い温度で別々に塗装し、次に塗装(だからオフライン塗装と呼ばれる)後に車体に後で取り付けることができるが、かかるプロセスは車両アセンブリプロセスにかなりのコストを追加し、正規の塗装ラインでこれらの部品を塗装することが経済的観点から好ましい。2つの異なるプロセスで塗装された部品のカラーマッチングは困難であるかもしれない。これらの部品はまた、通常の使用で繰り返し遭遇するストレスに対する最低レベルの剛性および耐疲労性を有する必要もある。
【0004】
他の外観部品は、この極端な耐温度性を必要としないかもしれないが、上述の他の特性をしばしば必要とする。
【0005】
自動車車両[乗用車、トラック、スノーモービル、建設車両、農機具車両(トラクターまたはコンバインなどの)など]外部外観について、例えば色調、光沢および/または短波長および長波長構造に関してより具体的には、観察者にとってのコーテッドプラスチック部品の表面は車体のコーテッド金属表面と異なるべきではなく、またはそれと少しだけ異なるべきである。これは、目に見える相違がそこでは特に目立つので、フェンダー、ボンネット、トランク蓋、ドアまたはできるだけ小さいジョイント幅で構築されているおよび特にまた隣接する金属部品と同じ平面にあるボディシルなどの、プラスチック部品に特に当てはまる。
【0006】
混合構造で金属およびプラスチック部品から組み立てられた塗装車体の製造への3つの異なるアプローチがある。
【0007】
1.金属車体およびプラスチック部品が別々にコートされ、次に組み立てられるオフラインプロセスとして知られる方法。
【0008】
オフラインプロセスの欠点は、構造の理由で、例えば、コーテッド部品の実質的に継ぎ目のない近接および/または一平面でのコーテッド部品の配置のおかげで、少なくともプラスチック部品およびコーテッド金属部品が直接目視比較を受ける場合、コートされた金属およびプラスチック表面の視覚調和の欠如に対するその感受性である。
【0009】
さらなる欠点は2つのコーティングラインを操作する必要性である。
【0010】
2.電着コーティングをプライマーとして既に提供された金属車体および非コーテッドプラスチック部品または任意選択的にプラスチックプライマーが提供されているにすぎないプラスチック部品が組み立てられ、そしてその後の共通のコーティングプロセスで1つまたは複数のさらなるコーティング層を提供されるインラインプロセスとして知られる方法。
【0011】
インラインプロセスの欠点は、さらなるコーティングプロセスへよごれを導入するリスクをまた含む中断中間工程としてコーティングプロセス中へ挿入された組み立て工程である。
【0012】
3.金属製の未塗装車体部品および非コーテッドプラスチック部品または任意選択的にプラスチックプライマーが提供されているにすぎないプラスチック部品が混合構造に構築された車体へ組み立てられ、そして次に、必然的に導電性金属部品だけが電着コーティングを提供され、そして一方その後塗布されるべきコーティング層がすべて電着コーテッド金属部品およびプラスチック部品の両方ともに塗布される、電着コーティングをはじめとする一般的なコーティングプロセスに通される、オンラインプロセスとして知られる方法。
【0013】
オンラインプロセスは、それが車体ベースシェル構築およびコーティングプロセスを明らかに分離し、そして邪魔されないコーティング順序を可能にするので特に好ましい。
【0014】
高温が電着コーティングの乾燥に用いられるので、基本的には、十分に耐熱性のおよび同時に耐熱変形性のプラスチック材料のみが、特に好ましいオンラインプロセスに好適である。
【0015】
これまでに入手可能な繊維補強熱可塑性樹脂でできたプラスチック部品は、例えば、コーテッド表面がコーテッド金属表面との十分な高い視覚調和を持たないので、せいぜい条件付きで好適であり、特に、自動車製造業者によって必要とされる高い基準に及ばない。
【0016】
ポリマー層状シリケート・ナノ複合材料は、ポリマーマトリックス中に層状粘土鉱物フィラーを組み入れている。言い換えれば、これらは、ナノサイズの粒子がポリマーマトリックス中に分散されている組成物である。層状シリケートは、紡錘体として知られる規則正しいパケットへ積み重ねられた数百の薄い小板状体層で構成されている。これらの小板状体のそれぞれは、大きいアスペクト比(約100〜1000の直径/厚さ)によって特徴付けられる。従って、粘土がポリマーマトリックスの全体にわたって個々の小板状体として均一に分散され、広げられるとき、ポリマーとフィラーとの間の大きい表面積接触のために、強度、曲げ弾性率およびヤング率、ならびに熱変形温度の劇的な増加が非常に低いフィラー使用量(10重量%未満)で観察される。
【0017】
ナノ複合材料は、1980年代末期および1990年代早期のトヨタ自動車株式会社(Toyota Motor Corporation)でのナイロン−ベース材料の最初の開発以来、関心の高まりを享受してきた;例えば、(非特許文献1)および(非特許文献2)を参照されたい。しかしながら、熱可塑性ポリエステルマトリックス中のナノ複合材料を生み出すという試みはわずかに成功したにすぎなかった。
【0018】
米国特許公報(特許文献1)は、ポリアルキレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂と「クラスA」表面を有することができる特定の粒度範囲を有するウォラストナイトなどのフィラーとを含有する組成物を記載している。薄片状セピオライト型粘土および/または強化材をまた含有する具体的な組成物は開示されていない。
【0019】
米国特許公報(特許文献2)は、ある種の強化材を含有するポリエステル組成物を記載している。薄片状セピオライト型粘土の使用は該特許には述べられていない。
【0020】
米国特許公報(特許文献3)は、外観部品に好適なある種のポリエステル組成物および該組成物の製造方法を記載している。セピオライトは述べられていない。
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,965,655号明細書
【特許文献2】米国特許第4,753,980号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0260361号明細書
【特許文献4】米国特許出願第 号明細書(CL2810)
【特許文献5】欧州特許出願第221,225号明細書
【特許文献6】米国特許第5,039,783号明細書
【特許文献7】米国特許第5,231,161号明細書
【特許文献8】米国特許第5,407,984号明細書
【特許文献9】米国特許第5,668,186号明細書
【特許文献10】米国仮特許出願第60/626187号明細書
【特許文献11】国際公開第2003/093491号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2002/068496号パンフレット
【特許文献13】米国特許第3,749,697号明細書
【特許文献14】特公昭58−62626号公報
【特許文献15】RO88−135207
【特許文献16】特開2001−105902号公報
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0186438号明細書
【非特許文献1】ウスキ、A.(Usuki,A.)ら、「Journal of Materials Research」,8(5)(1993年)、1179−1184ページ
【非特許文献2】M.カワスミ(M.Kawasumi)、「Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry」,42(2004)、819−824ページ
【非特許文献3】A.J.イースト(A.J.East)、M.ゴールデン(M.Golden)、S.マクヒジャ(S.Makhija)、「カーク−オスマー化学技術事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)」、J.I.クロシュウィッツ(J.I.Kroschwitz)エグゼクティブ編、M.ホウェ−グラント(M.Howe−Grant)編、第4版、ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1996年、第19巻、609−653ページ
【非特許文献4】A.ラバレッテ(A.Lavalette)ら、「生体高分子(Biomacromolecules)」、第3巻(2002)、225−228ページ
【非特許文献5】D.R.ポール(D.R.Paul)、C.B.バックナル(C.B.Bucknall)編、「ポリマーブレンド(Polymer Blends)」−第2巻:性能(Performance)、John Wiley & Sons、2000年
【非特許文献6】C.K.リュー(C.K.Riew)編、「ゴム強化プラスチック(Rubber−toughened Plastics)」(化学シリーズの進歩(Advances in Chemistry Series)No.222)、米国化学会(American Chemical Society)、1989年
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、
(a)約100℃以上の融点の少なくとも1種の熱可塑性ポリエステルを、組成物中の全原料の合計を基準にして少なくとも約40重量パーセント、
(b)セピオライト型粘土を、ポリエステル及びセピオライト型粘土の重量を基準にして約0.1〜約20重量パーセント、
(c)約2.0以上の平均アスペクト比で平均最長寸法が20μm以下である補強材(セピオライト型粘土を除く)を、組成物中の全原料の合計を基準にして約0〜約35重量パーセント、ならびに
(d)前記ポリエステルと反応する官能基を含有するポリマー強化材を、組成物中の全原料の合計を基準にして約1〜約30重量パーセント含む組成物であって、
前記ポリエステルと前記セピオライト型粘土との混合物が、
セピオライト型粘土を少なくとも1種のポリエステル前駆体と混合する工程と、
その後、前記少なくとも1種のポリエステル前駆体を溶媒の存在または不存在下に重合させる工程とを含む方法によって製造され、
前記少なくとも1種のポリエステル前駆体が、
(i)少なくとも1種の二酸またはジエステルおよび少なくとも1種のジオール、
(ii)少なくとも1種の重合性ポリエステルモノマー、
(iii)少なくとも1種の線状ポリエステルオリゴマー、ならびに
(iv)少なくとも1種の大環状ポリエステルオリゴマー
からなる群から選択されたものであることを特徴とする組成物に関する。
【0023】
本発明はまた、少なくとも1種または複数種の活性原料と任意選択的に1種または複数種の不活性原料とをさらに含む組成物の製造方法であって、
(a)セピオライト型粘土を、
(i)少なくとも1種の二酸またはジエステルおよび少なくとも1種のジオール、
(ii)少なくとも1種の重合性ポリエステルモノマー、
(iii)少なくとも1種の線状ポリエステルオリゴマー、ならびに
(iv)少なくとも1種の大環状ポリエステルオリゴマー
からなる群から選択された少なくとも1種のポリエステル前駆体と混合する工程と、
その後、前記少なくとも1種のポリエステル前駆体を溶媒の存在または不存在下に重合させる工程とを含む方法によって第2の組成物を製造する工程と、
(b)第1混合工程で、前記第2組成物と前記ポリマー強化材とを含む材料を混合して中間組成物を形成する工程と、次いで
(c)1工程または複数工程のその後の混合工程で、前記中間組成物と、前記1種または複数種の活性原料とを含む材料を混合する工程とを含み、
前記1種または複数種の不活性原料のそれぞれが最初に、前記第1混合工程、または前記その後の混合工程のうちの1工程または複数工程で混合される方法に関する。
【0024】
上記の本発明の組成物はまた、
(1)基材を電着コートし、非沈着電着コーティング剤を基材から除去し、そして沈着電着コーティングを熱架橋させ、そしてそれによって電着コーティングプライマーを金属表面上に形成する工程と、
(2)少なくとも金属製およびプラスチック製の可視的表面の一部またはすべての上に、好ましくはすべての上に少なくとも1つの追加のコーティングを塗布し、そして硬化させる工程との逐次工程とを含む、金属およびプラスチック製の可視的組成物(上記)表面を有する、金属部品および少なくとも1つのプラスチック部品から組み立てられた基材のコート方法でコートされてもよい。
【0025】
これらの2工程はまた、互いに独立して実施されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本開示との関連で、多数の用語が用いられるものとする。
【0027】
本明細書で用いるところでは、用語「ナノ複合材料」または「ポリマーナノ複合材料」または「ナノ複合材料組成物」は、ポリマー材料の全体にわたって分散された、0.1〜100nm範囲の少なくとも1つの寸法を有する粒子(ナノ粒子)を含有するポリマー材料を意味する。ナノ粒子がその中に分散されているポリマー材料はしばしば「ポリマーマトリックス」と言われる。
【0028】
用語「ポリエステル複合材料」は、ポリマー材料が少なくとも1種の熱可塑性ポリエステルを含むナノ複合材料を意味する。上述のように、これらのタイプの組成物はそれ故、セピオライト型粘土が(ほとんど)非常に小さい粒子としてポリエステル中に分散されている熱可塑性ポリエステルである。
【0029】
本明細書で用いるところでは、用語「セピオライト型粘土」は、セピオライトおよびアタパルジャイト(パリゴルスカイト)(attapulgite(palygorskite))粘土の両方を意味する。
【0030】
本明細書で用いるところでは、事実上繊維状であるセピオライト型粘土について、「剥離」または「剥離された」は、ポリマーマトリックスの全体にわたって次に分散されるナノメートル直径繊維への繊維束または凝集体の分離を意味する。
【0031】
本明細書で用いるところでは、「アルキレン基」は−Cn2n−(ここで、n≧1である)を意味する。
【0032】
本明細書で用いるところでは、「シクロアルキレン基」は、環式アルキレン基、−Cn2n-x−(ここで、xは環化によって置換されたHの数を表す)を意味する。
【0033】
本明細書で用いるところでは、「モノまたはポリオキシアルキレン基」は、[−(CH2y−O−]n−(CH2y−(式中、yは2以上の整数であり、nは1以上の整数である)を意味する。
【0034】
本明細書で用いるところでは、「脂環式基」は、その中に環式構造を含有する非芳香族炭化水素基を意味する。
【0035】
本明細書で用いるところでは、「二価芳香族基」は、大環状分子の他の部分に結合した芳香族基を意味する。例えば、二価芳香族基には、メタ−またはパラ−結合の単環式芳香族基が含まれてもよい。好ましくは、フリー原子価は芳香族環の炭素原子へである。
【0036】
本明細書で用いるところでは、「目に見える基材表面」は、例えば、特別な技術的または視覚補助の援助なしに、特に観察者の目に見える、直接視覚的に利用しやすい外側基材表面を意味する。
【0037】
本明細書で用いるところでは、「ポリエステル」は、その中で繰り返し単位を連結する基の50パーセントより多くがエステル基である縮合ポリマーを意味する。従って「ポリエステル」には、連結基の半分より多くがエステル基である限り、ポリエステル、ポリ(エステル−アミド)およびポリ(エステル−イミド)が含まれてもよい。好ましくは連結基の少なくとも70%がエステルであり、より好ましくは連結基の少なくとも90%がエステルであり、特に好ましくは連結基の本質的にすべてがエステルである。エステル連結基の割合は、ポリエステルを製造するために使用されるモノマーのモル量による第一次近似と推定することができる。
【0038】
本明細書で用いるところでは、「PET」は、ジオール繰り返し単位の少なくとも80、より好ましくは少なくとも90モルパーセントがエチレングリコールからであり、そしてジカルボン酸繰り返し単位の少なくとも80、より好ましくは少なくとも90モルパーセントがテレフタル酸からであるポリエステルを意味する。
【0039】
本明細書で用いるところでは、「ポリエステル前駆体」は、二酸(またはジエステル)/ジオール混合物、重合性ポリエステルモノマー、およびポリエステルオリゴマーなどの、ポリエステルに重合させることができる材料を意味する。
【0040】
本明細書で用いるところでは、「重合性ポリエステルモノマー」は、それだけでか、他のモノマー(同様に存在する)と一緒にかのどちらかでポリマーへ重合するモノマー化合物を意味する。かかる化合物の幾つかの例は、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、および乳酸などのヒドロキシ酸;ビス(2−ヒドロキシ)テレフタレート;ならびにラクチドである。
【0041】
本明細書で用いるところでは、「オリゴマー」は、同じまたは異なる式の2つ以上の識別可能な構造繰り返し単位を含有する分子を意味する。
【0042】
本明細書で用いるところでは、「線状ポリエステルオリゴマー」は、それだけでかまたはモノマーの存在下により高い分子量ポリエステルへ重合することができる、大環状ポリエステルオリゴマー(下を参照されたい)を除く、オリゴマー材料を意味する。線状ポリエステルオリゴマーには、例えば、線状ポリエステルのオリゴマーおよび重合性ポリエステルモノマーのオリゴマーが含まれる。例えば、ジメチルテレフタレートまたはテレフタル酸とエチレングリコールとの反応は、メチルエステルまたはカルボン酸基を取り除くために実施されるとき、通常ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートと様々なオリゴマー:ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー(それはカルボキシル基を含有する)、およびさらに延長することができるポリエステルオリゴマーとの混合物をもたらす。好ましくは、本明細書の実施に際して、かかるオリゴマーは約20以下(好ましくは2〜20)、より好ましくは約10以下(好ましくは2〜10)の平均重合度(モノマー単位の平均数)を有するであろう。
【0043】
本明細書で用いるところでは、「大環状」分子は、共有結合して環を形成した8個以上の原子を含有する少なくとも1つの環をその分子構造内に有する環状分子を意味する。
【0044】
本明細書で用いるところでは、「大環状ポリエステルオリゴマー」は、同じまたは異なる式の2つ以上の識別可能なエステル官能性繰り返し単位を含有する大環状オリゴマーを意味する。大環状ポリエステルオリゴマーは典型的には、異なる環サイズを有する1つの具体的な式の多数の分子を意味する。しかしながら、大環状ポリエステルオリゴマーはまた、様々な数の同じまたは異なる構造繰り返し単位を有する、異なる式の多数の分子を含んでもよい。大環状ポリエステルオリゴマーは、コ−オリゴエステルまたはマルチ−オリゴエステル、すなわち、一環式分子内にエステル官能性を有する2つ以上の異なる構造繰り返し単位を有するポリエステルオリゴマーであってもよい。
【0045】
「すべての重量パーセントが組成物中の全原料の合計を基準にしている」とは、これらのパーセントが組成物中に存在する(a)、(b)、および(c)パーセントプラス存在する任意の他の原料の総量を基準にしていることを意味する。
【0046】
本明細書で重合プロセスとの関連で「ジカルボン酸」または、同等に、「二酸」とは、かかる重合プロセスに使用されてもよいジカルボン酸(二酸)そのものまたはジエステルなどの任意の簡単な誘導体を意味する。同様に「ジオール」とは、重合プロセスに使用してポリエステルを形成することができるジオールまたはその任意の簡単な誘導体を意味する。
【0047】
本明細書で用いるところでは、「セピオライト型粘土を除いた固体微粒子フィラー」は、溶融混合条件(下を参照されたい)下に組成物中へ分散させられるのに十分なほど細分されている任意の固体(組成物が一般にさらされる温度で不溶融性の)を意味する。
【0048】
本明細書で用いるところでは、「(メタ)アクリレート」は、化合物がアクリレート、メタクリレート、または該2つの混合物のどれであってもよいことを意味する。
【0049】
数値の範囲が本明細書で列挙される場合、特に明記しない限り、該範囲はその終点、および該範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図される。本発明の範囲は、範囲を明確にするときに列挙される具体的な値に限定されることを意図されない。
【0050】
(ポリエステル組成物)
本発明に使用されるポリエステル/セピオライト型粘土組成物(時々上記の「第2組成物」)(ナノ複合材料)の製造方法は、セピオライト型粘土を少なくとも1種のポリエステル前駆体と混合する工程と、
その後、前記少なくとも1種のポリエステル前駆体を溶媒の存在または不存在下に重合させる工程とを含み、
前記少なくとも1種のポリエステル前駆体が、
(i)少なくとも1種の二酸またはジエステルおよび少なくとも1種のジオール、
(ii)少なくとも1種の重合性ポリエステルモノマー、
(iii)少なくとも1種の線状ポリエステルオリゴマー、ならびに
(iv)少なくとも1種の大環状ポリエステルオリゴマー
からなる群から選択されたものであることを特徴とする。ポリエステル−セピオライト型粘土組成物(ナノ複合材料)をどのように製造するかの詳細は、下におよび参照により本明細書によって包含される、本明細書と同日付け出願の米国特許公報(特許文献4)に見いだされる。
【0051】
(セピオライトおよびアタパルジャイト)
セピオライト[Mg4Si615(OH)2・6(H2O)]は、その繊維状構造のために高いアスペクト比を示す水和ケイ酸マグネシウムフィラーである。該材料は、2つの形、αおよびβ形からなることが示されてきた。α形は、繊維の長い束であることが知られ、β形は非晶質凝集体として存在する。
【0052】
アタパルジャイト(パリゴルスカイトとしても知られる)は、アタパルジャイトがわずかにより小さい単位格子を有することを除いてはセピオライトと構造的におよび化学的にほとんど同一である。本明細書で用いるところでは、用語「セピオライト型粘土」には、セピオライトそのものだけでなくアタパルジャイトも含まれる。
【0053】
本発明に使用されるセピオライト型粘土の量は、ポリエステル及びセピオライト型粘土の重量を基準にして約0.1〜約20重量%の範囲である。選ばれる具体的な量は、当該技術でより理解されているように、ナノ複合材料組成物の意図される用途に依存するであろう。
【0054】
セピオライト型粘土は、高純度(「レオロジーグレード」)の、非コーテッド形態(例えば、トルサ・グループ、スペイン国マドリッド(Tolsa Group,Madrid,Spain)製のパンゲル(Pangel)(登録商標)S9セピオライト粘土)で、またはより一般的には、粘土をより「親有機性」にする、すなわち、低−中程度極性のシステムとより相溶性にするために有機材料で処理された形態(例えば、トルサ・グループ製のパンゲル(登録商標)B20セピオライト粘土)で入手可能である。セピオライト型粘土用のかかるコーティングの例は、(特許文献5)に開示されているような、塩化ジメチルベンジルアルキルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩である。
【0055】
(ポリエステル)
使用されるポリエステルは要求される融点の任意のポリエステルであってもよい。好ましくは、ポリエステルの融点は約150℃以上、より好ましくは約200℃以上である。ポリエステル(ほとんどまたはすべてのエステル連結基を有する)は一般に1つまたは複数のジカルボン酸と1つまたは複数のジオールとから誘導される。それらはまた、重合性ポリエステルモノマーからまたは大環状ポリエステルオリゴマーから製造することもできる。
【0056】
本発明の実施での使用に最も好適なポリエステルは、等方性の熱可塑性ポリエステルホモポリマーおよび共重合体(ブロックおよびランダムの両方)を含む。
【0057】
ジオールとヒドロカルビル二酸またはかかる二酸のエステルとからのポリエステルの製造は、(非特許文献3)に記載されているように、当該技術でよく知られている。第1段階で、二酸またはそのジアルキル(典型的にはジメチル)エステルとジオールとの間のエステル化またはエステル交換が起こって水またはアルコール(典型的にはメタノール)の発生および除去と共にビス(ヒドロキシアルキル)エステルおよび幾らかのオリゴマーを与える。エステル化またはエステル交換は本質的に遅い反応であるので、触媒が一般に使用される。有用なエステル化またはエステル交換触媒の例は、酢酸カルシウム、亜鉛、およびマンガン;スズ化合物;およびチタンアルコキシドである。第2段階、重縮合で、ビス(ヒドロキシアルキル)エステルおよびオリゴマーはエステル交換反応を受け、高真空下に除去されるジオールを排除し、そして分子量を築き続ける。有用な重縮合触媒の例には、スズ、チタン、アンチモン、およびゲルマニウム化合物、特にポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のケースでは酸化アンチモン(Sb23)が挙げられる。
【0058】
好適な二酸(およびそれらの相当するエステル)のうちには、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、および例えば、ジメチル、ジエチル、またはジプロピルエステルなどのそれらの誘導体からなる群から選択されたものがある。
【0059】
ジオール成分として利用することができるグリコールの幾つかの代表的な例には、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、イソソルビド、ナフタレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ならびにジオールまたはポリオールとアルキレンオキシドとの反応生成物である、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどの長鎖ジオールおよびポリオールが挙げられる。
【0060】
ポリエステルの好ましい一タイプでは、ジカルボン酸はテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸の1つまたは複数を含み、ジオール成分はHO(CH2nOH(I)、1,4−シクロヘキサンジメタノール、HO(CH2CH2O)mCH2CH2OH(II)、およびHO(CH2CH2CH2CH2O)zCH2CH2CH2CH2OH(III)(式中、nは2〜10の整数であり、mは平均して1〜4であり、zは平均約7〜約40である)の1つまたは複数を含む。(II)および(III)は、mおよびzが、それぞれ、変わってもよく、そしてmおよびzは平均であるので、それらは整数である必要がない化合物の混合物であってもよいことに留意されたい。好ましいポリエステルでは、nは2、3または4であり、および/またはmは1である。
【0061】
ポリエステルはまた、重合性ポリエステルモノマーから直接製造することもできる。本発明での使用に好適な重合性ポリエステルモノマーの幾つかの代表的な例には、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸および乳酸などのヒドロキシ酸;ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(4−ヒドロキシブチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレンジオアート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレート、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]イソフタレート、ビス[(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル]テレフタレート、およびビス[(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル]イソフタレート、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート、ならびにラクチドが挙げられる。
【0062】
ポリエステルはまた、大環状ポリエステルオリゴマーから直接製造することもできる。本発明に用いられてもよい大環状ポリエステルオリゴマーには、式
【0063】
【化1】

【0064】
(式中、Aは少なくとも2個の炭素原子を含有するアルキレン基、シクロアルキレン、またはモノもしくはポリオキシアルキレン基であり、Bは二価芳香族または脂環式基である)の構造繰り返し単位を有する大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーが含まれるが、それらに限定されない。それらは、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)、米国特許公報(特許文献9)、米国特許公報(特許文献10)、PCT特許出願である(特許文献11)および(特許文献12)、ならびに(非特許文献4)に記載されているものなどの、様々な方法で製造されてもよい。大環状ポリエステルオリゴマーはまた、低分子量線状ポリエステルから抽出によって得ることもできる。
【0065】
好ましい大環状ポリエステルオリゴマーは、1,4−ブチレンテレフタレート(CBT)、1,3−プロピレンテレフタレート(CPT)、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(CCT)、エチレンテレフタレート(CET)、1,2−エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(CEN)、テレフタル酸とジエチレングリコールとの環状エステルダイマー(CPEOT)の大環状ポリエステルオリゴマー、および上記構造繰り返し単位の2つ以上を含む大環状コオリゴマーである。
【0066】
ポリエステルは分岐または非分岐であってもよく、ホモポリマーまたは共重合体であってもよい。
【0067】
10重量%以下のコモノマーで変性されていると定義される「変性ポリエステル」は特に注目に値する。特に明記しない限り、用語ポリエステルポリマー(またはオリゴマー)とは、変性および非変性ポリエステルポリマー(またはオリゴマー)を意味する。同様に、ある特定のポリエステル、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)という記述によって、非変性または変性PETを意味する。コモノマーには、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、イソフタル酸(IPA)、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびそれらの混合物が含まれ得る。PET用に典型的に好ましいコモノマーには、0〜5重量%イソフタル酸(IPA)および0〜3重量%DEGが含まれる。
【0068】
具体的な好ましいポリエステルには、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)ブロックとポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールブロックとを有する熱可塑性エラストマーポリエステル(本願特許出願人、米国デラウェア州19898、ウィルミントン(Wilmington,DE 19898 USA)からハイトレル(Hytrel)(登録商標)として入手可能な)、およびポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)が含まれる。PETが特に好ましい。
【0069】
好ましくは本組成物は、全組成物を基準にして少なくとも約40重量パーセント、より好ましくは少なくとも50重量パーセントのポリエステル(成分(a))を含有する。2つ以上のポリエステルのブレンドが使用される場合、組成物のポリエステル成分は150℃以上である少なくとも1つの融点を有することが好ましい(混合条件に依存して、2つ以上のポリエステルが使用される場合、エステル交換が起こるかもしれない)。
【0070】
(プロセス条件)
ナノ複合材料(組成物)を製造するためのプロセス条件は、溶融または溶液プロセスでポリエステルを製造するために当該技術で公知のものと同じものであり、溶融プロセスが好ましい。セピオライト型粘土は、ポリエステル重合度が約20である前から製造の任意の好都合な段階で、当該技術で公知の任意の手段によって加えることができる。例えば、それは、モノマーと一緒に初めに、モノマーエステル化もしくはエステル交換中に、モノマーエステル化もしくはエステル交換の終わりに、または重縮合工程の早期に加えることができる。
【0071】
重合プロセスは、当該技術で公知の任意のやり方で行われてもよい。例えば、それはバッチ、セミバッチまたは連続プロセスであってもよい。これらのタイプのプロセスは両方とも当該技術でよく知られており、上に引用された(非特許文献3)を参照されたい。商業的利用のためには連続プロセスが好ましい。別のプロセス変型は、その分子量がいわゆる固相重合に好適であるポリエステルへのポリエステル前駆体の溶融重合であり、次にこのポリエステルに固相重合を受けさせて所望の分子量を達成する。
【0072】
他の好ましいプロセス実施形態、特に連続プロセスでは、セピオライトは、モノマー反応器(そこで、二酸およびジオールが反応してポリエステルモノマーを形成する)から始まって「仕上げ器」(最終分子量が達成される容器)まで(しかしそれを含まない)の任意のポイントでポリエステル製造プロセスに加えることができる。一実施形態では、セピオライトは、乾燥粉末としてプロセスへ溶融モノマー、オリゴマーまたはプレポリマー中へ直接加えることができる。これには、単独材料としてのまたはテレフタル酸もしくはイソフタル酸などの別の乾燥粉末と組み合わせてのプロセスへの直接導入が含まれる。別の実施形態では、セピオライトは、溶融プロセスモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの副流に加えることができ、そこで、それはこの副流と混合され、組み合わせられた流れはプロセスへ再注入される。別の実施形態では、セピオライトは、ポリエステル製造プロセスの周囲温度液体原料の1つを使用してスラリー化するまたはペーストにすることができ、生じたスラリーまたはペーストはプロセスへ注入することができる。周囲温度液体原料には、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールが含まれる。別の実施形態では、セピオライトは、ジメチルテレフタレートなどの溶融原料と混合し、プロセスへ加えることができる。
【0073】
周囲温度液体原料またはより高い融点の原料の1つでのスラリーとしてセピオライトを加えることが望ましい場合、スラリーは、重量で0.1%〜20%セピオライトを80%〜99.9%液体原料と混合することによって調製することができる。一実施形態では、4%〜7%セピオライトと93%〜95%液体原料とが混合される。別の実施形態では、重量で7%〜9量%セピオライトと91%〜93重量%液体原料とが混合される。別の実施形態では、重量で9%〜12%セピオライトと88%〜91%液体原料とが混合される。別の実施形態では、重量で12%〜16%セピオライトと84%〜88%液体原料とが混合される。
【0074】
本方法を実施する好ましい一方法では、セピオライト型粘土はポリエステル前駆体の1つまたは複数に、ジオールが重合に使用される場合には、特に液体ジオールに加えられる。粘土粒子がジオールで濡らされるように液体ジオールと粘土とを混合することが好ましい。任意選択的に、粘土が加えられるおよび/または混合されるとき、ジカルボン酸またはそれらのエステル、およびヒドロキシカルボン酸などの他のモノマーもまたジオール中に存在してもよい。ジオールが使用されない場合、粘土は任意の他の液体モノマーまたはポリエステル前駆体と混合されてもよい。再び、粘土はポリエステル前駆体で濡らされることが好ましい。粘土の湿潤化は、液体ポリエステル前駆体および粘土、ならびに任意選択的に他の固体ポリエステル前駆体のスラリーを単に混合することによって実施されてもよい。「ホモジナイザー」またはペイント練り機を用いるなど、他のもっと強烈な混合方法が用いられてもよい。また、任意の他の追加フィラーがこの時点で存在してもよい。
【0075】
安定剤、酸化防止剤、およびかかるプロセスに時々加えられる他の物質などの、他の物質もまた任意選択的に重合プロセス中に存在してもよい。他のフィラーおよび/または補強材もまた、それらが重合そのものを邪魔しない限りプロセスの初めからかプロセス中に加えられるかのどちらかで、重合に存在してもよい。組成物が外観部品での最終的な使用を意図される場合、これらの固形分は、本明細書で概説される粒度規格を好ましくは満たすべきである。しかしながら、それらは、組成物が外観部品用に使用されることが意図されない場合にはこれらの規格を満たす必要はない。
【0076】
エチレングリコールがモノマーである反応中でDEGの生成が制御される必要があるケースでは、様々な触媒を使用することができる。これらには、米国特許公報(特許文献13)に記載されているような酢酸リチウムバッファーの使用、ならびに(特許文献14)、(特許文献15)、および(特許文献16)に記載されているような様々な酢酸ナトリウムおよびカリウムバッファーの使用が含まれる。典型的には、100〜600ppmの酢酸ナトリウムまたはカリウムがDEG形成およびポリマーへの組み入れの程度を最小にするために重合中に使用される。
【0077】
(補強材(セピオライト型粘土を除いた))
成分(c)、セピオライト型粘土を除いた補強材は、約2.0以上、好ましくは約2.5以上、より好ましくは約3.0以上、特に好ましくは約4.0以上の平均アスペクト比を有する。しばしば、粒子のアスペクト比が増加するにつれて、熱たるみ(下記を参照されたい)は減少し、剛性は増加する。平均最大寸法は約20μm以下、より好ましくは約15μm以下、非常に好ましくは約10μm以下である。好ましい最小平均最長寸法は約0.10μm以上、より好ましくは約0.5μm以上である。好ましくは粒子の10%未満、より好ましくは5%未満が約100μm以上の最長寸法を有する。これらの比または寸法のどれもが、必要に応じて、任意の他の比または寸法の補強材と組み合わせられてもよい。表面滑らかさはしばしば、補強材の粒度が範囲の小端の方へ向かうにつれて改善される。
【0078】
成分(c)に有用な具体的な補強材には、ウォラストナイト、雲母、タルク、アラミド繊維、フィブリルまたはフィブリド、カーボン繊維、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカーおよび炭酸カルシウムウィスカーが含まれる。好ましい補強材はウォラストナイト、雲母、タルク、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素ウィスカーおよびホウ酸アルミニウムウィスカーであり、特に好ましい補強材はウォラストナイト、タルクおよびチタン酸カリウムウィスカーである。これらの具体的な補強材のすべてが上に概説されたような適切な寸法を有するべきである。これらの補強材は、接着促進剤または熱可塑性樹脂に使用される補強材をコートするために一般に使用される他の材料でコートされてもよい。
【0079】
好ましくは、補強材(c)の量は組成物の約0〜約35重量パーセント、より好ましくは約5〜約20重量パーセントである。一般的に言えば、組成物中の補強材(c)が多ければ多いほど、組成物はより堅くなるであろうし、多くのケースで熱たるみ(下を参照されたい)は減少し、時々表面はより粗くなるであろう。
【0080】
(ポリマー強化材)
ポリマーを強靱にするために使用される材料はよく知られている。この分野での多くの参考文献のうち2つの例は(非特許文献5)および(非特許文献6)である。
【0081】
ポリマー強化材(成分(d))は、典型的にはエラストマーであるまたは比較的低い融点、一般に<200℃、好ましくは<150℃の融点を有する、ポリエステルと反応することができる官能基がそれに結合したポリマーである。ポリエステルは通常、存在するカルボキシルおよびヒドロキシル基を有するので、これらの官能基は通常カルボキシルおよび/またはヒドロキシル基と反応することができる。かかる官能基の例には、エポキシ、カルボン酸無水物、ヒドロキシル(アルコール)、カルボキシル、イソシアナト、および第一級または第二級アミノが挙げられる。好ましい官能基はエポキシおよびカルボン酸無水物であり、エポキシが特に好ましい。かかる官能基は通常、小さな分子を既存のポリマーへグラフトすることによって、またはより強靱なポリマー分子が共重合により製造されるとき所望の官能基を含有するモノマーを共重合させることによってポリマー強化材に「結合させ」られる。グラフトの例として、無水マレイン酸がフリーラジカルグラフト化技術を用いて炭化水素ゴム上へグラフトされてもよい。生じたグラフトポリマーは、カルボン酸無水物および/またはカルボキシル基がそれに結合している。官能基がポリマーへ共重合させられるポリマー強化材の例は、エチレンと適切な官能基を含有する(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体である。本明細書で(メタ)アクリレートとは、化合物がアクリレート、メタクリレート、または該2つの混合物のどれであってもよいことを意味する。有用な(メタ)アクリレート官能性化合物には、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、および2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが含まれる。エチレンおよび二官能性(メタ)アクリレートモノマーに加えて、酢酸ビニル、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、およびシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの一官能性(メタ)アクリレートエステルのような他のモノマーがかかるポリマーへ共重合させられてもよい。好ましい強化材には、参照により本明細書によって援用される、米国特許公報(特許文献2)にリストされているものが含まれる。特に好ましい強化材はエチレン、エチルアクリレートまたはn−ブチルアクリレート、およびグリシジルメタクリレートの共重合体である。
【0082】
ポリマー強化材は約0.5〜約20重量パーセントの、官能基を含有するモノマー、好ましくは約1.0〜約15重量パーセント、より好ましくは約7〜約13重量パーセントの、官能基を含有するモノマーを含有することが好ましい。ポリマー強化材に2つ以上のタイプの官能性モノマーが存在してもよい。組成物の靱性はポリマー強化材の量および/または官能基の量を増やすことによって増加することが分かった。しかしながら、これらの量は好ましくは、特に最終部品形状が達成される前に、組成物が架橋するかもしれないポイントまで増やされるべきではない。好ましくは、約3〜約25重量パーセント、より好ましくは約10〜約20重量パーセントのポリマー強化材が組成物中に存在する。2つ以上のポリマー強化材の混合物が同じ組成物に使用されてもよい。少なくとも1つは反応性官能基を含有しなければならないが、他はかかる官能基を含有してもしなくてもよい。例えば、官能基を含有しない強化材には、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、エチレン/n−ブチルアクリレート/一酸化炭素共重合体およびデュポン−ダウ・エラストマーズ、米国デラウェア州ウィルミントン(DuPont−Dow Elastomers,Wilmington,Delaware USA)から入手可能な、エンゲージ(Engage)(登録商標)8180(エチレン/1−オクテン共重合体)もしくはエンゲージ(登録商標)7447(エチレン/1−ブチレン共重合体)などのプラストマーポリエチレンが含まれる。
【0083】
(他の原料)
他の原料、特に熱可塑性組成物に一般に加えられるものもまた、組成物中に存在してもよい。かかる原料には、酸化防止剤、顔料、フィラー、滑剤、離型剤、難燃剤、(ペイント)接着促進剤、エポキシ化合物、結晶化核剤、可塑剤などが含まれる。ポリオレフィン、ポリアミドなどの他のポリマー、およびポリカーボネート、スチレン(コ)ポリマーおよびポリ(フェニレンオキシド)などの非晶質ポリマーもまた存在してもよい。好ましくは、すべてのこれらの原料の合計は、全組成物の約60重量パーセント未満、非常に好ましくは約40重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満である。これらの材料の任意のものが固体粒子状物質である場合、粒子の平均最長寸法は約20μm以下、より好ましくは約15μm以下であることが好ましい。好ましい他の原料は、特にPETがポリエステルとして存在するときに、好ましくは全組成物の約0.5〜約8重量パーセントの量で存在する、ポリエステル用の可塑剤である。
【0084】
好ましいタイプの他の原料はエポキシ化合物または樹脂である。好ましくは、かかる化合物または樹脂は約1000未満の平均分子量を有する(上に記載されたようなポリマー強化材は、たとえそれがエポキシ基を含有する場合でも、本明細書ではこのエポキシ化合物または樹脂の一部とは考えられない)。このエポキシ材料は全体組成物の0.1〜約1.0重量パーセントのレベルで好ましくは存在する。有用なエポキシ化合物または樹脂には、エポン(Epon)(登録商標)1009F、1002Fもしくは1031(リゾリュ−ション・パーフォーマンス・プロダクツ、テキサス州ヒューストン(Resolution Performance Products,Houston,Texas)、またはアラルダイト(Araldite)(登録商標)GT7099もしくはGT6099(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ・アメリカ社、カリフォルニア州ロサンゼルス(Huntsman Advanced Materials Americas Inc.,Los Angeles,California)が含まれる。幾つかの場合にはエポキシ化合物または樹脂は溶融粘度を安定化させるおよび/または組成物の色安定性を向上させると考えられる。後者は、外観部品がペイントまたは他のコーティングでコートされないときに特に重要である。
【0085】
「他の原料」を分類する別の方法は、これらの原料がポリマー強化材、成分(d)の官能基と容易に反応する(特に混合条件下に)官能基を含有するかどうかである。原料、特に補完的な反応性官能基を含有する「他の原料」は、本明細書では「活性原料」(または、それらがかかる反応性基を含有しない場合は「不活性原料」)と称される。下の表は、活性原料の一部であってもよい補完的な反応性基と一緒に、成分(d)の一部であってもよい「反応性基」の部分リストを与える。
【0086】
【表1】

【0087】
約5,000以上、好ましくは約10,000以上の数平均分子量を有するポリマーは「活性原料」に含められず、その補完的な末端基の幾らかまたはすべては(ポリマー強化材の官能基と)反応性であってもよい。末端基ではない反応性基を有する、そして反応性末端基を有しても有さなくてもよいポリマーは活性原料である。
【0088】
別の好ましい原料は、時々離型剤または剥離剤と呼ばれる滑剤である。典型的には、(全組成物の)約0.05〜約1.0重量パーセントの滑剤が使用される。多くのタイプの材料が滑剤として販売されており、本組成物では、他の物理的特性だけでなく、離型およびペイント接着(部品が塗装されるべきであると仮定して)へのそれらの影響に十分な配慮が特に払われるべきである。滑剤は活性または不活性原料であってもよい。例えば、一タイプの好ましい滑剤はポリエチレンワックス、約1.000〜約10,000の数平均分子量を通常有するポリエチレンである。これらのワックスの末端基は、非極性(例えば、メチル末端)であってもよいし、または極性基、例えばカルボキシル基を含んでもよい。カルボキシル末端ワックスは、ポリマー強化材が適切な反応性基を有して、反応性原料と考えられるであろう(それらの分子量が約5000より下であるとき)。かかるワックスは商業的に入手可能であり、例えば、クラリアント社、米国ノースカロライナ州28205、シャルロット(Clariant Corp.,Charlotte,NC 28205,USA)から入手可能な、リコワックス(Licowax)(登録商標)ブランド製品ラインを参照されたい。幾つかの組成物では、リコワックス(登録商標)PE 520またはPE 190などの不活性滑剤が好ましい。しかしながら、同様に活性原料であるリコワックス(登録商標)PED 521またはPED 191などの滑剤もまた使用することができる。別の有用な(タイプの)滑剤は、ロキシオール(Loxiol)(登録商標)HOB7119ペンタエリスリトールテトラステアレートである。
【0089】
別の好ましいタイプの原料は、カーボンブラック、カーボン繊維、および(刻んだ)金属ワイヤなどの導電性フィラーである。十分な量で存在するとき、それらは組成物をより導電性にし、それは組成物を静電的にアシストされたコーティングにより好適なものにするかもしれない。例えば、参照により本明細書によって包含される、米国特許公報(特許文献17)を参照されたい。
【0090】
(溶融混合)
本明細書に記載される組成物は、典型的な溶融配合技術を用いて製造することができる。例えば、ポリエステル成分は他の原料と共に単軸もしくは二軸スクリュー押出機または混練機に加えられ、通常の方法で混合されてもよい。本組成物用の少なくとも40重量パーセントのポリエステルは、セピオライト型粘土を含有する全ポリエステルとしてまたはポリエステル及びセピオライト型粘土含有ポリエステルのペレットブレンドとして加えられてもよい。好ましくは、混合装置の少なくとも一部における原料の温度は、存在するポリエステルの融点以上である(混合装置の任意のゾーンでの測定されたまたはセットされた温度は、機械的加熱のために実際の材料温度より下であってもよい)。フィラー、可塑剤、結晶化核剤、および滑剤(離型剤)などの、原料の幾つかは、フィラーなどの固形分の磨滅を減らす、および/または分散を向上させる、および/または比較的熱的に不安定な原料の熱履歴を低減する、および/または蒸発による揮発性原料のロスを減らすために、押出機での1つまたは複数の下流ポイントで加えられてもよい。
【0091】
1つまたは複数の「活性原料」が組成物中に存在するとき、上記の配合手順のある独特の変型が好ましい。この変型では、ポリエステル、セピオライト様粘土、任意のニートポリエステル、ポリマー強化材、および任意選択的に追加の不活性原料は第1混合工程で混合されて中間組成物を形成する。上記のような、任意の反応性原料および任意選択的に不活性原料は、1つまたは複数のその後の混合工程で中間組成物中へ混合される。これは、多くの異なる方法で成し遂げることができる。例えば、第1混合工程は、単軸もしくは二軸スクリュー押出機または他のタイプの混合装置によってワンパスで実施することができ、次に他の原料が単軸もしくは二軸スクリュー押出機または他のタイプの混合装置によって第2パス中に加えられる。あるいはまた、第1混合工程は、単軸もしくは二軸スクリュー押出機または類似の装置の「後端」(フィード末端)で実施され、次に第2混合工程のために加えられるべき材料は、下流のどこかで押出機のバレルに加えられ、それによって第2混合工程のための材料へ混ぜ入れる。第2混合工程に加えられる材料は、いわゆる「サイドフィーダー」または「垂直フィーダー」によっておよび/または液体の場合には溶融ポンプによって加えられてもよい。2つ以上のサイドフィーダーが異なる原料を導入するために用いられてもよい。上に述べられたように、他の理由のためにサイドおよび/または垂直フィーダーに不活性原料を加えることが好ましいかもしれない。1つまたは複数のサイドおよび/または垂直フィーダー付き押出機の使用は、第1および第2混合工程を実施する好ましい方法である。不活性滑剤が使用される場合、それが第2混合工程に加えられることがまた好ましい。2つ以上の混合パスが行われる場合、これらのパス用の機械は同じまたは異なる(タイプ)であってもよい。
【0092】
混合強度[例えば、押出機速度(分当たりの回転数、rpm)によって測定されるような]が組成物の特性、特に靱性に影響を及ぼすかもしれないこともまた分かった。比較的より高いrpmが好ましいが、靱性は、高すぎるミキサー回転子速度で低下するかもしれない。最適混合強度は、ミキサーの形状、温度、混合中の組成物などに依存し、簡単な実験によって容易に決定される。
【0093】
材料が混合された後、それらは、溶融成形機にフィードするのに好適なペレットまたは他の粒子に成形され(カットされ)てもよい。溶融成形は、射出成形、熱成形、押出、ブロー成形、またはこれらの方法の任意の組み合わせなどの、熱可塑性樹脂用の通常の方法によって実施することができる。
【0094】
(外観部品)
本明細書に記載される組成物は、「外観部品」、すなわち、外観が重要である部品として特に有用である。これは、組成物の表面が直接見られるかどうか、またはそれがペイントもしくは金属などの別の材料でコートされるかどうかにかかわらず当てはまる。かかる部品には、フェンダー、フェーシア、フード、タンク・フラップおよび他の外装部品などの自動車車体パネル;内部自動車パネル;取っ手、コントロールパネル、シャーシ(ケース)、洗濯機タブおよび外装部品、内部もしくは外部冷蔵庫パネル、および食器洗い機フロントもしくは内部パネルなどの電気器具部品;ドリルおよびのこぎりなどの動力工具ハウジング;パソコンハウジング、プリンターハウジング、周囲ハウジング、サーバーハウジングなどの電子キャビネットおよびハウジング;列車、トラクター、芝刈り機デッキ、トラック、スノーモービル(特にスノーモービルフード)、航空機、および船などの車両用の外部または内部パネル;建物用の装飾内部パネル;オフィスおよび/または家庭椅子およびテーブルなどの家具;ならびに電話機もしくは他の電話装置が含まれる。上述のように、これらの部品は塗装されてもよいし、またはそれらは塗装されずに組成物の色のままにされてもよい。
【0095】
組成物は顔料および/または染料で着色されてもよく、だから多くの色の変化が可能である。組成物から製造された部品のこのタイプの着色は、かかる部品が1つまたは複数の追加工程でその後コートされる(塗装される)必要がないので、経済的に特に魅力的である。極めて高い光沢および/または画像の明瞭さが必要とされない場合、これはしばしばコーティングへのより良好な総合的代替手段である。
【0096】
表面へのコーティング(それは着色されていてもよい)の別の塗布方法は、染料昇華(印刷)方法である。
【0097】
(自動車要件)
自動車(輸送機関)車体パネルは特に挑戦的な用途である。上述のように、これらの材料は、滑らかな、再現性のある外観表面を好ましくは有する、温度が各工程につき30分間以下約200℃ほどの高くに達するかもしれない自動車E−コートおよび塗装オーブンをそれらが有意の歪みなしに通過することができるように耐熱性である、マイナー衝撃からのへこみまたは他の機械的損傷に抵抗するのに十分に強靱であるべきである。一般的に言えば特性の一つが改善されるとき、別の特性が悪化するので、良好な靱性を有し、さらに良好な耐熱性および優れた外観を保持する組成物を得ることは特に困難であった。本組成物で、良好な耐熱性および良好な靱性は、本明細書の実施例の幾つかに例示されるように達成されるかもしれない。
【0098】
耐熱性は一般に、熱たるみ試験によってこの使用について測定される。この試験ではカンチレバー方式で吊されているサンプルが、試験温度に所与量の時間加熱され、部品がたるんだ量が室温への冷却後に測定される。その値が低ければ低いほど、熱たるみは良好である。本組成物で、改善された(低下した)熱たるみは、ポリエステルのより高い融点、より低い強化材含有率、より高い薄片状セピオライト型粘土含有率、およびより高い補強材含有率によって与えられる。一方、靱性は、より高い強化材含有率、より低い補強材含有率、より低いセピオライト型粘土含有率、および強化材中のより高い官能基含有率(限度内の)によって改善される(増大させられる)。上述のように、本組成物はしばしば、自動車車体パネルまたは他の部品にとって必須の特性を有する材料の取得を広く許容する。
【0099】
(コーティングプロセス)
本発明によるコーティングプロセスでは、好ましくは、混合構造、特に自動車車体での本明細書に定義されるような金属部品と少なくとも1つのプラスチック部品とから組み立てられた基材は、少なくとも部分的に、好ましくは完全にコートされる。
【0100】
金属部品は、例えば、亜鉛めっきされたまたは亜鉛めっきされていないスチール、アルミニウムおよびアルミニウム合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金の様々な金属から製造された部品であることができる。金属部品は、前処理されていてもされていなくてもよく、例えば、従来法でリン酸塩処理されていてもおよび/または不動態化されていてもよい。
【0101】
プラスチック部品は、それらが金属部品と組み立てられる前に、従来の方式で、例えば、UV照射、火炎処理もしくはプラズマ処理によって前処理されても、または当業者に公知の通常のプラスチックプライマー、特に、静電的にアシストされた被覆性のために十分な導電性をプラスチック部品に提供する導電性プライマーでコートされてもよい。
【0102】
金属部品と任意選択的にプラスチックプライマーを提供された少なくとも1つのプラスチック部品とは、当業者に公知の従来の方式で、例えばネジ留め、クリップ留めおよび/または接着によって組み立てられて本発明による方法によってコートされるべき基材を形成する。
【0103】
最小の可能な接合幅の、特にまた隣接する金属部品と同じ平面にある基材の少なくともその(それらの)プラスチック部品が金属部品と組み立てられる。
【0104】
任意選択的に、もしあれば、少なくとも1つのプラスチック部品と組成が一般に異なるであろう、そして熱変形に対する耐性が一般に少ない、さらに依然として欠落したプラスチック部品は、本発明による方法の工程(1)の完了後に取り付けることができ、そしてまた工程(2)のさらなるコーティングプロセスにかけることもでき(上記のインラインプロセスと比較されたい)および/または最終コーテッド形態で本発明による方法の完了後に取り付けることができる(上記のオフラインプロセスと比較されたい)。
【0105】
本発明による方法の工程(2)で、好ましくは静電的にアシストされた吹き付けコーティングによって行われる、少なくとも1つのさらなるコーティング層の塗布を考えれば、それらが互いに電気的に絶縁されないように金属およびプラスチック部品が組み立てられる場合、例えば、導電性プライマーと金属との間の直接電気接触が直接接触によってまたは導電性の接続要素、例えば金属スクリューによって確実にされ得ることが目的にかなっている。
【0106】
錆止めプライマー層を金属部品上に生み出すために、本発明による方法の工程(1)で金属部品と少なくとも1つのプラスチック部品とから組み立てられた基材は、当業者に公知の従来の方式で、電着コーティング浴中でコートされる。
【0107】
好適な電着コーティング剤には、例えば、10〜30重量パーセント固形分含有率の通常の水性コーティング組成物が含まれる。
【0108】
電着コーティング組成物は、当業者に公知の通常の陽極電着コーティング剤であってもよい。陽極電着コーティング組成物のバインダー基礎原料は随意に選択されてもよい。陽極電着バインダーの例は、例えば、300〜10,000の重量平均分子量(Mw)および、例えば、35〜300mgKOH/gの酸価に相当する、カルボキシル含有率のポリエステル、エポキシ樹脂エステル、(メタ)アクリル共重合体樹脂、マレイネート(maleinate)オイルまたはポリブタジエンオイルである。カルボキシル基の少なくとも一部は、塩基での中和によってカルボキシレート基に変換される。これらのバインダーは自己架橋性であっても別個の架橋剤で架橋されてもよい。
【0109】
好ましくは、当業者に公知の通常の陰極電着コーティング剤が電着コーティング層の塗布のために本発明による方法に使用される。陰極電着コーティング組成物は、陽イオン基または陽イオン基に変換することができる基、例えば、塩基性基ありのバインダーを含有する。例には、アミノ、アンモニウム、例えば、第四級アンモニウム、ホスホニウム、および/またはスルホニウム基が挙げられる。窒素含有塩基性基が好ましく、前記基は第四級化形態で存在してもよいし、またはそれらは通常の中和剤、例えば、ギ酸、乳酸、メタンスルホン酸または酢酸などの例えば有機モノカルボン酸で陽イオン基に変換される。塩基性樹脂の例は、例えば、20〜200mg KOH/gのアミン価に相当する第一級、第二級および/または第三級アミノ基を持ったものである。バインダーの重量平均分子質量(Mw)は好ましくは300〜10,000である。かかるバインダーの例は、アミノ(メタ)アクリル樹脂、アミノエポキシ樹脂、末端二重結合ありのアミノエポキシ樹脂、第一級OH基ありのアミノエポキシ樹脂、アミノポリウレタン樹脂、アミノ基含有ポリブタジエン樹脂または変性エポキシ樹脂−二酸化炭素−アミン反応生成物である。これらのバインダーは、自己架橋性であってもよいし、またはそれらは混合物で公知の架橋剤と共に使用されてもよい。かかる架橋剤の例には、アミノプラスチック樹脂、ブロックトポリイソシアネート、末端二重結合ありの架橋剤、ポリエポキシ化合物またはエステル交換可能な基を含有する架橋剤が挙げられる。
【0110】
バインダーおよび任意の別個の架橋剤はさておき、電着コーティング組成物は顔料、フィラーおよび/または通常のコーティング添加剤を含有してもよい。好適な顔料の例には、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、カオリン、タルクまたは二酸化ケイ素などの、通常の無機および/または有機着色顔料および/またはフィラーが挙げられる。添加剤の例には、特に、湿潤剤、中和剤、均染剤、触媒、腐食防止剤、クレーター防止剤、消泡剤、溶媒が挙げられる。
【0111】
電着コーティングは、当業者に公知の従来の方式で、例えば、200〜500Vの電着電圧で行われる。電着コーティングの沈着後に、基材は、当業者に公知の従来の方式で、例えば、水でリンスすることによって過剰のおよび付着するが非沈着の電着コーティングからきれいにされる。その後基材は、電着コーティングを架橋させるために例えば、200℃以下の目的温度により例えば220℃以下のオーブン温度でベーキングされる。
【0112】
本発明による方法のその後の工程(2)で、少なくとも1つのさらなるコーティング層が、少なくとも基材上の目に見える金属およびプラスチック表面すべてに、好ましくは吹き付け塗布、特に静電的にアシストされた吹き付け塗布によって塗布され、こうして金属表面上にベーキングされた電着コーティング層が得られて、提供される。
【0113】
たった1つのさらなるコーティング層が塗布される場合、これは一般に着色トップコートである。しかしながら、2つ以上のさらなるコーティング層を塗布することが好ましい。複数のコーティング層から形成された通常のマルチコート構造物の例は、
プライマーサーフェイサー/トップコート、
プライマーサーフェイサー/ベースコート/クリアコート、
ベースコート/クリアコート、
プライマーサーフェイサー代替層/ベースコート/クリアコート
である。
【0114】
プライマーサーフェイサーまたはプライマーサーフェイサー代替コーティングは主として石小片保護および表面平滑化のために使用され、その後の装飾トップコートのための表面を準備し、トップコートは環境影響からの保護を提供し、着色トップコートでまたは色−および/または効果−生成ベースコートおよび保護クリアコートできている。
【0115】
一例として述べられたマルチコート構造物はまた、全体表面または表面の一部の一面に透明なシーリングコートを提供され、特に高い耐引っ掻き性を提供する。
【0116】
電着コーティング層に続くすべてのこれらのコーティング層は、関連コーティング層の塗布について当業者に周知の通常のコーティング剤から塗布されてもよい。これは、例えば、希釈剤として水および/または有機溶媒を含有するそれぞれの液体コーティング剤または粉末コーティング剤であることができる。コーティング剤は、単一成分または多成分コーティング剤であってもよく、それらは物理的にもしくは酸化により乾燥性であってもまたは化学的に架橋性であってもよい。特に、これらのプライマーサーフェイサー、トップコート、クリアコートおよびシーリングコートは、熱的に(対流によっておよび/または赤外線照射によって)および/またはエネルギーに富んだ放射線、特に紫外放射線の作用によって硬化させることができる一般に化学架橋性のシステムである。
【0117】
2つ以上のコーティング層が本発明による方法の工程(2)で塗布された場合、コーティング層は基本的には、それぞれのその後のコーティング層の塗布前に別個に硬化させなければならないわけでない。むしろ、コーティング層は、少なくとも2つのコーティング層が一緒に硬化させられる、当業者に公知のウェット−オン−ウェット方式に従って塗布することができる。特に、例えば、ベースコートおよびクリアコートのケースでは、ベースコートの塗布、任意選択的にそれに短いフラッシュ−オフ相が続いた後に、クリアコートが塗布され、ベースコートと一緒に硬化させられる。
【0118】
本発明によるオンラインプロセスは、金属部品と熱可塑性樹脂をベースにし、そして熱変形に十分に抵抗するプラスチック部品とから混合構造に組み立てられた基材が、コートされたプラスチックおよび金属表面の視覚的印象の優れた調和と共にコートされるのを可能にする。
【0119】
表面品質は様々な方法によって判断することができる。1つは簡単に目視によるものであり、表面の滑らかさおよび反射能、ならびにそれがその環境をどれだけ正確に反映するかを観察する。別のより系統的な方法はDOI(画像の明瞭さ)である。外観表面(滑らかである必要があるもの、など)は、オートスペクト(AutoSpect)(登録商標)ペイント外観品質測定(Paint Appearance Quality Measurement)システムを用いて測定されたときに、約65以上、より好ましくは約70以上のDOIを有することが好ましい。組成物そのもの以外の因子が製造部品の表面品質に影響を及ぼし得ることは当業者によって理解される。例えば、金型表面の状態(気孔率、平坦度)、充填時間および充填圧力などの成形条件、ゲート位置および部品の厚さなどの金型デザイン、金型および溶融温度、ならびに他の因子が表面品質に影響を及ぼし得る。塗装された場合、表面品質はまた、用いられる塗装技術および塗布されるペイントの品質にも依存する。
【0120】
(非外観部品)
非外観部品もまたこれらの組成物で製造されてもよい。これらは、その外観が決定的には重要でない部品である。かかる部品には、いわゆるエンジニアリング熱可塑性樹脂で現在製造されているもの、特に、剛性、靱性および引張強度などの、組成物の物理的特性を高めるようにデザインされる材料で充填されているものが含まれる。
【実施例】
【0121】
本発明は次の実施例でさらに明確にされる。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すが、実例として与えられるにすぎないことが理解されるべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を解明することができ、そしてその精神および範囲から逸脱することなく、それを様々な使用および条件に合わせるための本発明の様々な変更および修正を行うことができる。
【0122】
省略形の意味は次の通りである:「s」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「m」はメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「kg」はキログラムを意味し、「oz」はオンスを意味し、「g」がグラムを意味し、「lb」はポンドを意味し、「M」はモル濃度を意味し、「wt%」は重量パーセント(百分率)を意味し、「DMT」はジメチルテレフタレートを意味し、「NMR」は核磁気共鳴を意味し、「SEC」はサイズ排除クロマトグラフィーを意味し、「Mn」は数平均分子量を意味し、「MV」は溶融粘度を意味し、「rpm」は分当たりの回転数を意味し、「Pa−s」はパスカル−秒を意味し、「psi」は平方インチ当たりのポンドを意味し、「HUT」はホールドアップ時間を意味する。
【0123】
(原材料)
実施例ではある種の原料が使用され、それらは下記の通り定義される:
酸化アンチモン(99%)−アルドリッチ・ケミカル・カンパニー、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI,USA)から入手可能な触媒。
【0124】
ジメチルテレフタレート−インビスタ、米国カンザス州ウィチタ(INVISTA,Wichita,KS,USA)から入手可能なモノマー。
【0125】
エチレングリコール−ユニバール米国、米国ワシントン州カークランド(Univar USA,Kirkland,WA,USA)から入手可能なモノマー。
【0126】
クリスター(Crystar)(登録商標)3905−本願特許出願人、米国デラウェア州19898、ウィルミントン(Wilmington,DE 19898,USA)から入手可能な、PETホモポリマー、IV=0.616。
【0127】
イルガノックス(Irganox)(登録商標)1010−チバ・スペシャルティ・ケミカルズ、米国ニューヨーク州タリータウン(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY,USA)から入手可能な酸化防止剤。
【0128】
酢酸マンガン(99%)−アルドリッチ・ケミカル・カンパニー、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーから入手可能な触媒。
【0129】
ロキシオール(Loxiol)(登録商標)HOB 7119−コグニス・コーポレーション、米国オハイオ州45232、シンシナチ(Cognis Corporation,Cinncinati,OH 45232,USA)から入手可能な、滑剤として使用されるペンタエリスリトールテトラステアレート。
【0130】
パンゲル(登録商標)B20セピオライト−EMサリバン・アソシエーツ社、米国ペンシルバニア州19301、パオリ(EM Sullivan Associates,Inc.,Paoli,PA 19301,USA)から入手可能な、そしてトルサS.A.社(スペイン国、マドリッド28001)(Tolsa S.A.(Madrid 28001,Spain))によって製造された、低〜中極性の有機システムとの相溶性を増やすために有機的に変性された非常に純粋なセピオライト。
【0131】
パンゲル(登録商標)S9セピオライト−EMサリバン・アソシエーツ社、米国ペンシルバニア州19301、パオリから入手可能な、そしてトルサS.A.社(スペイン国、マドリッド28001)によって製造された、非常に純粋なセピオライト。
【0132】
プラスタール(Plasthall)(登録商標)809−エステル・ソリューションズ、米国イリノイ州60499、ベッドフォード・パーク(Ester Solutions,Bedford Park,IL 60499,USA)から入手可能な、ポリエチレングリコール400ジ−2−エチルヘキサノエート。
【0133】
ポリマーD−エチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(66/22/12重量%)共重合体、メルトインデックス 8g/10分。
【0134】
ウルトラノックス(Ultranox)(登録商標)626−GEスペシャルティ・ケミカルズ社、米国ウェストバージニア州26501、モーガンタウン(GE Specialty Chemicals,Inc.,Morgantown,WV 26501,USA)から入手可能な、酸化防止剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト。
【0135】
バンシル(Vansil)(登録商標)HR325ウォラストナイト繊維−R.T.バンダービルト・カンパニー社、米国コネチカット州06855、ノーウォーク(R.T.Vanderbilt Company,Inc.,Norwalk,CT 06855,USA)から入手可能な、平均おおよそ12:1アスペクト比、12μm最大寸法、メジアン等価球径2.3μm。
【0136】
実施例において、示されるすべての組成量は重量による。
【0137】
(試験方法)
SEC ウォーターズ(Waters)410TM屈折率検出器(DRI)ならびに固定直角光散乱および示差キャピラリー粘度計検出器を組み入れたビスコテック・コーポレーション(米国テキサス州ヒューストン)(Viscotek Corporation(Houston,TX,USA))モデルT−60ATMデュアル検出器モジュール付きの、ウォーターズ・コーポレーション(米国マサチューセッツ州ミルフォード)(Waters Corporation(Milford,MA USA))製のモデル・アリアンス(Model Alliance)2690TMからなるサイズ排除クロマトグラフィーシステムを分子量キャラクタリゼーションに用いた。移動相は、0.01Mトリフルオロ酢酸ナトリウム入り1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)であった。dn/dcをポリマーについて測定し、サンプルのすべてが測定中に完全に溶出されると仮定した。
【0138】
DEG ジエチレングリコール(DEG)の百分率は、1H NMR分光法を用いて測定した。
【0139】
たるみ試験 標準ASTM(米国材料試験協会)20.3cm(8インチ)長さ、0.32cm(1/8インチ)厚さの引張試験片を、試験片がクランプから15.2cm(6インチ)オーバーハングを有するように金属ホルダー中にカンチレバー方式で一端にて水平にクランプにより固定する。ホルダー中の試験片を200℃に30分間加熱し、試験片の端が下方へたるんだ距離(mm単位)を室温への冷却後に測定する。
【0140】
機器衝撃試験 この試験は、11.3kg(25ポンド)の重さがある重くされた1.27cm(1/2インチ)直径半球形先端のタップを0.32cm(1/8インチ)厚さの成形プラーク(ここでは、10cm(4インチ)直径ディスク)を通して1.09mから落下させながら力対時間を測定した。これは、プラークを打つときに4.5m/秒の名目タップ速度を与えた。ディスクを最上面および底面にクランプにより固定し、クランプの両側は共直線の3.81cm(1.5インチ)直径穴を有し、タップはこれらの穴の中心でディスクを打った。加速度計をタップに取り付け、衝撃中の力をデジタル記録した。破断への最大力および全エネルギーをデータから計算した。報告するデータは3測定値の平均値である。
【0141】
引張弾性率、強度および伸び ASTM方法D256を用いて5.08cm(2インチ)毎分の伸長速度で測定した。
【0142】
曲げ弾性率(3点) ASTM方法D790を用いて測定した。
【0143】
(配合および成形方法)
配合方法 ポリマー組成物を、30mmワーナー・アンド・プフライデラー(Werner and Pfleiderer)二軸スクリュー押出機で、12〜15ポンド(5.5〜6.8kg)バッチで配合することによって調製した。実施例1で調製したPETおよびポリエステル組成物をそれぞれ、脱湿空気乾燥オーブン中100〜110℃で一晩乾燥させた。すべての原料を一緒にブレンドし、ウォラストナイトを(後方フィードバレルをバレル1と称して、実施例2〜28および比較例A〜Dについては9バレルの、そして実施例29〜31および比較例Eについては10バレルの)バレル5中へサイドフィードすることを除いて、押出機の後方バレルに加え、可塑剤(プラスタール(登録商標)809)を、液体注入ポンプを用いてバレル9へフィードした。この方法のいかなる例外も実施例において注記する。バレル温度を組成物ならびに押出機速度およびスクリューのrpmに依存して280〜310℃にセットし、溶融温度290〜350℃をもたらした。
【0144】
溶融粘度 カイネス・モデル(Kayness Model)8052粘度計、カイネス・コープ、米国ペンシルバニア州モーガンタウン(Kayness Corp.,Morgantown PA,U.S.A.)を用いて、1.52cm(0.600インチ)長さおよび直径が0.0762cm(0.030インチ)であるオリフィスで、280℃および1000/秒の剪断速度で測定した。ホールドアップ時間は単に、サンプルが粘度計に加えられた後そして測定が始まる前に経過する時間の量であり、6分であった。
【0145】
成形方法 樹脂を真空オーブン中110℃で一晩乾燥させ、次に3または6オンス射出成形機でASTM試験検体へ成形した。溶融温度は280〜300℃であり、金型温度は110〜130℃であった。
【0146】
熱安定性試験 樹脂安定性は、295℃の粘度計に保持されたサンプルの溶融粘度ロスを測定することによって、および6オンス射出成形機を用いるホールドアップ時間(HUT)実験によって試験した。15分HUT試験は、標準サイクルHUT(約4分)を測定し、次に成形サイクルの冷却部分を延ばしてサイクルHUT時間を15分に延ばすことによって成し遂げた。HUTはバレルでの時間をベースにしており、冷却部分を延ばすことによってスクリューが標準サイクルでより長く回転しているわけではない。
【0147】
(実施例1)
(ポリマー−セピオライト組成物調製)
ステンレススチール・オートクレーブに、(111.1ポンド、50.5kg)、エチレングリコール(73.7ポンド、33.0kg)、三酸化アンチモン(30.8g)、酢酸マンガン(39.6g)、酢酸ナトリウム(14.3g)、およびパンゲル(登録商標)B20セピオライト(1540g)を装入した。反応容器を60psiの窒素で3回パージした。容器を、容器の低流窒素掃引と共に240℃に加熱した。容器を240℃に加熱しながら、反応物を25rpmでかき混ぜた。容器が240℃に達した後、反応温度を10分間維持した。反応物を次に270℃に加熱し、90分真空低下サイクルを開始した。真空低下サイクルの完了時に、フル真空(0.1トル)を反応物にかけ、反応物を275℃で120分間維持した。反応物を窒素で加圧し、ポリマーをストランドとして押し出し、水中で急冷し、ペレット形態へ切り刻んだ。ポリマー分子量を、SECを用いて測定した。Mn=24600、%DEG=2.89%であった。
【0148】
(実施例2〜28および比較例A〜D)
原料重量部によって表2に記載されるポリマー組成物を調製し、上記のように試験した。
【0149】
【表2】

【0150】
【表3】

【0151】
(実施例29〜31)
下の表3の樹脂組成物(重量部での原料)を、30cmワーナー・アンド・プフライデラー二軸スクリュー押出機を用いて上記のように配合した。試験片および10cm(4インチ)直径ディスク(衝撃)、すべて0.32cm(1/8インチ)厚さを成形し、上記のように試験した。結果を表3に提示する。
【0152】
【表4】

【0153】
(比較例)
96重量%PET、1重量%パンゲル(登録商標)B20セピオライト、および3重量%プラスタール(登録商標)809を含有する樹脂を、セピオライトをサイドフィードして上記のように押し出し、引張試験片へ成形した。200℃での引張試験片たるみは成形したままで72.73mmであった。
【0154】
(実施例32)
ポリエチレンテレフタレートを、直列のモノマー反応器および3つの重合反応器からなる、4容器連続重合プロセス・システムで製造した。溶融したジメチルテレフタレート(DMT)とポリマーグレード・エチレングリコール(EG)とを化学反応させてポリエステルモノマーを作り出すモノマー反応器(エステル交換器)は、220℃〜230℃および大気圧で運転される円筒形垂直容器であった。エステル交換器は、反応器のトレイ付きセクションからモノマーを集める円筒形ベースセクションの上方にある7.0m高さおよび直径が2.1mの円筒形トレイ付き蒸留塔からなる。DMTおよびEGを反応器のトレイ付きセクションへフィードした。トレイ上で反応が進行するにつれて、形成されたモノマーは反応器の下方へ移動し、副生物メタノールは塔の上方へ移動した。反応は、EG中の溶液での酢酸マンガン[II]四水和物の添加によって触媒された。最終3容器の目的は、反応塊からEGを除去して重縮合反応を推進し、ポリマー分子量を増加させることであった。この重合反応は、完成モノマー流れ中へ加えられるEG中の溶液での酸化アンチモン(Sb23)の添加によって触媒された。この重合シリーズでの第1容器(フラッシャー(Flasher))は撹拌せず、1.73m3容器を255℃および8.5kPa絶対圧で作動させた。第2容器は、288℃および1.2kPa絶対圧で作動する4.56m3撹拌容器(プレ重合器(Prepolymerizer))であった。第3容器(仕上げ器(Finisher))は、292℃および350Pa絶対圧で運転される水平の円筒形8.38m3反応器であった。その最終状態のポリマーを「仕上げ器」からポンプ送液し、ストランドへ押し出し、それが凝固するまで冷却し、次に95〜100ペレットが2.5gの重さがあるサイズのペレットへカットした。
【0155】
ポリマー分子量は主として、重合反応器の圧力を調節することによって制御した。ポリマー溶融粘度は仕上げ器の出口で測定した。この測定値をポリマー分子量と相互に関連付け、仕上げ器真空を調節するためのリアルタイム制御ポイントとして用いた。より高い圧力は分子量増成の速度を上げる。より低い圧力は当該速度を下げる。
【0156】
本実施例では、907kg/hのDMTおよび454kg/hのEGをエステル交換器のトレイ付きセクションへフィードした。さらにEG流れは、酢酸マンガン四水和物の0.018重量%溶液を含有した。モノマー、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を分離し、塔底で取り去った。どの時間にもおおよそ2180kgのポリエステル中間体またはポリエステルがエステル交換器の底部セクションに含有され、1630kgがフラッシャーに含有され、1620kgがプレ重合器に含有され、そして1610kgが仕上げ器に含有された。
【0157】
別個の工程で227kgのパンゲル(登録商標)S9セピオライトを3790Lタンク中の2270kgのEGに加え、20.3cm直径プロペラ・スタイルかき混ぜ機を用いてむらのないスラリーにブレンドした。生じた9重量%固形分スラリーを、遠心ポンプを用いて貯蔵タンクにポンプ送液した。貯蔵タンクからのスラリーを、エステル交換器の底部、オープンセクションへギアポンプを用いて303kg/hの制御した速度で連続重合プロセスにフィードした。これは、ポリエステル中の3.0重量%セピオライトである最終生成物をもたらした。
【0158】
別個の工程で、エチレングリコール中の酢酸カリウムの2.5重量%溶液をエステル交換器と仕上げ器との間の移送ラインでモノマーへ加えた。重合触媒、酸化アンチモンなどの他の添加剤もまた、この同じ位置でモノマーへ注入した。
【0159】
(実施例33および比較例F〜J)
サンプルを、実施例11で製造した組成物から、およびその重合がセピオライトを含まない類似のポリエチレンテレフタレートから調製した。組成物は、30mmワーナー・アンド・プフライデラー二軸スクリュー押出機で溶融混合することによって製造した。原料のすべてを後方フィードし、用いたスクリュー形状がかなり厳しいので良好な混合(高剪断)が得られた。押出条件は360rpm、27kg/hの押出速度であり、バレル2を180℃、バレル3を250℃、バレル4〜13を300℃にセットし、次に材料を、押出機を出て冷却した後にペレット化した。組成物および特性を表4に与える。試験片を射出成形し、様々な試験を行った。これらの結果もまた表4に示す。
【0160】
【表5】

【0161】
溶融粘度は、比較例GおよびIが溶融ブレンディングで幾らかの加水分解を被ったが、組成物が類似の分子量のポリエステルを含有することを示す。実施例34の組成物の特性は、優れた靱性を依然として持ちながら、良好な剛性(曲げ弾性率)および引張強度を示す。高い剛性および靱性の組み合わせは、組成物が強化されていようと(ポリマーD)いまいと、達成するのはしばしば困難である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約100℃以上の融点の少なくとも1種のポリエステルを、組成物中の全原料の合計を基準にして少なくとも約40重量パーセント、
(b)セピオライト型粘土を、ポリエステル及びセピオライト型粘土の重量を基準にして約0.1〜約20重量パーセント、
(c)約2.0以上の平均アスペクト比で平均最長寸法が20μm以下である補強材(セピオライト型粘土を除く)を、組成物中の全原料の合計を基準にして約0〜約35重量パーセント、ならびに
(d)前記ポリエステルと反応する官能基を含有するポリマー強化材を、組成物中の全原料の合計を基準にして約1〜約30重量パーセント含む組成物であって、
前記ポリエステルと前記セピオライト型粘土との混合物が、
セピオライト型粘土を少なくとも1種のポリエステル前駆体と混合する工程と、
その後、前記少なくとも1種のポリエステル前駆体を溶媒の存在または不存在下に重合させる工程とを含む方法によって製造され、
前記少なくとも1種のポリエステル前駆体が、
(i)少なくとも1種の二酸またはジエステルおよび少なくとも1種のジオール、
(ii)少なくとも1種の重合性ポリエステルモノマー、
(iii)少なくとも1種の線状ポリエステルオリゴマー、ならびに
(iv)少なくとも1種の大環状ポリエステルオリゴマー
からなる群から選択されたものであることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルが約200℃以上の融点を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルがテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸の1種または複数種と、HO(CH2nOH、1,4−シクロヘキサンジメタノール、HO(CH2CH2O)mCH2CH2OH、およびHO(CH2CH2CH2CH2O)zCH2CH2CH2CH2OH(III)(式中、nは2〜10の整数であり、mは平均して1〜4であり、そしてzは平均約7〜約40である)の1種または複数種とから誘導された繰り返し単位から本質的になることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフトエート、またはポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記補強材が約3.0以上の平均アスペクト比、および約10μm以下の平均最大寸法を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記補強材がウォラストナイト、雲母、タルク、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素ウィスカーまたはホウ酸アルミニウムウィスカーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記補強材が前記組成物の約5〜約20重量パーセントであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマー強化材がエポキシまたはカルボン酸無水物官能基を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマー強化材が(メタ)アクリレートおよびエチレンを含有するエポキシから誘導された繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマー強化材が約1.0〜約15重量パーセントの、官能基を含有する1種または複数種のモノマーを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
約5〜約25重量パーセントの前記ポリマー強化材を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)であり;前記補強材が約3.0以上のアスペクト比、10μm以下の平均最大寸法を有し、そして前記組成物の約5〜約20重量パーセントであり;前記ポリマー強化材がエポキシ官能基を含有し、約7〜約13重量パーセントの1種または複数種のエポキシ基含有モノマーを含有し、そして前記組成物の約10〜約20重量パーセントであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記補強材がウォラストナイト、タルクまたはチタン酸カリウムウィスカーであることを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする製造物品。
【請求項15】
外観部品であることを特徴とする請求項14に記載の物品。
【請求項16】
自動車車体パネル、内部自動車パネル、電気器具部品、動力工具ハウジング、電子キャビネットもしくはハウジング、車両用の外部または内部パネル、建物用の装飾内部パネル、一組の家具、または電話機もしくは他の電話装置であることを特徴とする請求項15に記載の外観部品。
【請求項17】
着色されていることを特徴とする請求項16に記載の外観部品。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする、自動車、トラック、スノーモービル、建設車両、または農機具車両。
【請求項19】
前記組成物がコートされていることを特徴とする、請求項18に記載の自動車、トラック、スノーモービル、建設車両、または農機具車両。
【請求項20】
(a)約100℃以上の融点の少なくとも1種のポリエステルを、組成物中の全原料の合計を基準にして少なくとも約40重量パーセント、
(b)セピオライト型粘土を、ポリエステル及びセピオライト型粘土の重量を基準にして約0.1〜約20重量パーセント、
(c)約2.0以上の平均アスペクト比で平均最長寸法が20μm以下である補強材(セピオライト型粘土を除く)を、組成物中の全原料の合計を基準にして約0〜約35重量パーセント、および
(d)前記ポリエステルと反応する官能基を含有するポリマー強化材を、組成物中の全原料の合計を基準にして約1〜約30重量パーセント含む組成物の製造方法であって、
前記組成物が少なくとも1種または複数種の活性原料を追加的に含み、かつ1種または複数種の不活性原料を任意選択的に含み、
前記方法が
(A)第1混合工程で、前記薄片状セピオライト型粘土を含有するポリエステル、前記ポリマー強化材、および任意選択的に前記ポリエステルを含む材料を混合して中間組成物を形成する工程と、次いで
(B)1工程または複数工程のその後の混合工程で、前記中間組成物と、前記1種または複数種の活性原料とを含む材料を混合する工程とを含み、
前記1種または複数種の不活性原料のそれぞれが最初に、前記第1混合工程、または前記その後の混合工程のうちの1工程または複数工程で混合され、
前記ポリエステルと前記セピオライト型粘土との混合物が、セピオライト型粘土を少なくとも1種のポリエステル前駆体と混合する工程と、
その後、前記少なくとも1種のポリエステル前駆体を溶媒の存在または不存在下に重合させる工程とを含む方法によって製造され、
前記少なくとも1種のポリエステル前駆体が、
(i)少なくとも1種の二酸またはジエステルおよび少なくとも1種のジオール、
(ii)少なくとも1種の重合性ポリエステルモノマー、
(iii)少なくとも1種の線状ポリエステルオリゴマー、ならびに
(iv)少なくとも1種の大環状ポリエステルオリゴマー
からなる群から選択されたものであることを特徴とする製造方法。
【請求項21】
前記ポリエステルがテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸の1種または複数種と、HO(CH2nOH(I)、1,4−シクロヘキサンジメタノール、HO(CH2CH2O)mCH2CH2OH、およびHO(CH2CH2CH2CH2O)zCH2CH2CH2CH2OH(式中、nは2〜10の整数であり、mは平均して1〜4であり、そしてzは平均約7〜約40である)の1種または複数種とから誘導された繰り返し単位から本質的になることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフトエート、またはポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記補強材がウォラストナイト、タルクまたはチタン酸カリウムウィスカーであり、そして前記組成物の約5〜約20重量パーセントであることを特徴とする請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー強化材がエポキシ官能基を含有することを特徴とする請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)であり;前記補強材が約3.0以上のアスペクト比、10μm以下の平均最大寸法を有し、そして前記組成物の約5〜約20重量パーセントであり;前記ポリマー強化材がエポキシ官能基を含有し、約7〜約13重量パーセントの1種または複数種のエポキシ基含有モノマーを含有し、そして前記組成物の約10〜約20重量パーセントであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
(1)基材を電着コートし、非沈着電着コーティング剤を基材から除去し、そして沈着電着コーティングを熱架橋させ、そしてそれによって電着コーティングプライマーを金属表面上に形成する工程と、
(2)少なくとも金属製およびプラスチック製の可視的表面すべての上に少なくとも1つの追加のコーティングを塗布し、そして硬化させる工程との逐次工程とを含む、プラスチック製の可視的表面を有する、金属部品および少なくとも1つのプラスチック部品から組み立てられた基材のコート方法であって、
プラスチック部品の少なくとも一部がプラスチック製の可視的基材表面を構成し、そしてプラスチック部品の少なくとも一部が
(a)約100℃以上の融点の少なくとも1種のポリエステルを、組成物中の全原料の合計を基準にして少なくとも約40重量パーセント、
(b)セピオライト型粘土を、ポリエステル及びセピオライト型粘土の重量を基準にして約0.1〜約20重量パーセント、
(c)約2.0以上の平均アスペクト比で平均最長寸法が20μm以下である補強材(セピオライト型粘土を除く)を、組成物中の全原料の合計を基準にして約0〜約35重量パーセント、ならびに
(d)前記ポリエステルと反応する官能基を含有するポリマー強化材を、組成物中の全原料の合計を基準にして約1〜約30重量パーセント含む組成物を有し、
前記組成物が少なくとも1種または複数種の活性原料を追加的に含み、かつ1種または複数種の不活性原料を任意選択的に含み、
そして、前記ポリエステルと前記セピオライト型粘土との混合物が、セピオライト型粘土を少なくとも1種のポリエステル前駆体と混合する工程と、
その後、前記少なくとも1種のポリエステル前駆体を溶媒の存在または不存在下に重合させる工程とを含む方法によって製造され、
前記少なくとも1種のポリエステル前駆体が、
(i)少なくとも1種の二酸またはジエステルおよび少なくとも1種のジオール、
(ii)少なくとも1種の重合性ポリエステルモノマー、
(iii)少なくとも1種の線状ポリエステルオリゴマー、ならびに
(iv)少なくとも1種の大環状ポリエステルオリゴマー
からなる群から選択されたものであることを特徴とするコート方法。
【請求項27】
前記ポリエステルがテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸の1種または複数種と、HO(CH2nOH(I)、1,4−シクロヘキサンジメタノール、HO(CH2CH2O)mCH2CH2OH、およびHO(CH2CH2CH2CH2O)zCH2CH2CH2CH2OH(式中、nは2〜10の整数であり、mは平均して1〜4であり、そしてzは平均約7〜約40である)の1種または複数種とから誘導された繰り返し単位から本質的になることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフトエート、またはポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)であり;前記補強材が約3.0以上のアスペクト比、10μm以下の平均最大寸法を有し、そして前記組成物の約5〜約20重量パーセントであり;前記ポリマー強化材がエポキシ官能基を含有し、約7〜約13重量パーセントの1種または複数種のエポキシ基含有モノマーを含有し、そして前記組成物の約10〜約20重量パーセントであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
基材が車体であることを特徴とする請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
プラスチック部品がフェンダー、フード、ドア、リフトアップ式後部ドア、トランク・リッド、タンク・キャップ、バンパー、保護成形品、サイドパネル、ボディ・シル、ミラー・ハウジング、ハンドル、スポイラーおよびハブ・キャップからなる群から選択されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法に従ってコートされることを特徴とする被コーティング基材。
【請求項33】
請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法を含む方法に従って製造されることを特徴とする車両。
【請求項34】
自動車、トラック、スノーモービル、建設車両、または農機具車両であることを特徴とする請求項33に記載の車両。

【公表番号】特表2008−525594(P2008−525594A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548421(P2007−548421)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046304
【国際公開番号】WO2006/086080
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】