説明

弾性スクレーパー

【課題】食品残渣物の乾燥に於いて、乾燥機槽内隔壁に附着して成長した処理物の積層による伝熱の阻害を防止し、乾燥時間の縮小による省エネルギーの向上を可能にする。
【解決手段】ボルトを用いずに弾性耐磨耗材スクレーパーを保持し、スクレーパーの角を利用して槽体内壁と絶えず接触させ、角が磨耗すると上下を反転させて再使用を可能とする。またスクレーパーが壁面の熱膨張に追従し、壁面の積層附着物を抑制し除去することにより伝熱向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品残渣物の乾燥途上に、乾燥機槽内隔壁に処理物の附着積層による伝熱阻害を防止させるため撹拌羽根外周にスクレーパーを設け、附着物を剥離させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機を横置きさせた槽本体のケーシング外部より伝熱ヒーターにより加熱させ、ケーシング内部に撹拌羽根を持つ軸と鏡側隔壁外部に軸受と駆動部を設けたタイプは小型の乾燥機に多く、撹拌羽根を扇状として耐熱ゴム又は耐摩耗材等を装着させるか、槽体内部の掻き羽根の有効幅の部分が掻かれて残りは轍となる欠点が生じる。
撹拌軸に丸鋼を接合させてアームとし、アームの外周に扇状掻き羽根を軸通り芯より傾けさせた構造で槽全面を掻き取るのは困難である。
【0003】
大型の乾燥機に於いても乾燥機槽内に熱風を入れると共に槽外を加熱させるシステムに於いては、乾燥進行と共に処理物の粘性のため槽内隔壁に処理物の附着積層が始まる。
附着を進行させないためにも壁面を掻き取る必要がある。
アーム先端の扇状掻き取り板に樹脂又は弾性体等をボルトで結合させているが、樹脂硬度が高いと破損する。
弾力性に富むゴム類を扇状板に挟み込んでボルトで締め付けた構造は、熱による膨張収縮の繰り返しでボルトが脱落する事故が多い。
【0004】
槽内壁の掻き取りを完全に近い所までにするため掻き板を槽内壁に接近させると、装置の変形により接触して破損が起きる。金属で掻き板を構成させているので接近させることが出来ない。
アームとアーム間を弓状に金属で継いだスクレーパーも使われているが、製作が難しいにもかかわらず熱膨張を解決出来ない欠点がある。
金属以外の異質材をボルト止めしているためボルトが脱落してアーム間に挟まり、破損の事故等が起きている。
アーム掻き板と槽内壁とはあまり接近出来ず、隙間は8ミリから10ミリ取っているのが現状である。
【0005】
上記の通り隙間を設けると掻き羽根と内壁間に処理物が強く張り付き、張り付いた面が焦げて積層により塊状が大きくなると剥離する。これらの作用を数時間繰り返してすべてが一度は剥離すればよいが、金属での掻き落しが必要となっている。
【特許文献1】特開2004−74000 有機廃棄物の処理装置 株式会社二十一世紀環境問題研究所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、乾燥機本体内壁に処理物の粘性によって薄膜が処理物と共に積層し、塊状と焼付けを起こして伝熱を阻害する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は金属芯体の外周を適当な硬度を持つ弾性耐摩耗耐熱ゴムで覆って角状にしたスクレーパーでその両端両側面に底をアール状に加工したみぞを設け、撹拌軸に違い芯状に設けたアーム先端のホルダーにスクレーパーを捩じり状にひねってみぞの部分を挿入させる。
【発明の効果】
【0008】
ボルトを用いずに弾性耐摩耗材スクレーパーを保持し、スクレーパーの角を利用して左右の切り返し回転にもスクレーパーの角を槽体内壁と絶えず接触させ、角が摩耗すると上下を反転させて再度使用が可能である。
スクレーパーが壁面の熱膨張に追従し、みぞと相対させた金具とで合致させて脱落させない作用で壁面の附着物を掻き取る利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
加熱冷却の繰り返しによる乾燥機装置の金属の膨張収縮に追従させるスクレーパーは、緩みの発生するボルト接合ではなく差し込みによる方法で、スクレーパーの保持を解決した。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の1実施例の乾燥機槽本体を破断させた撹拌軸の側面図である。
7.乾燥機槽体を破断して内部を表現した。1.は中空撹拌軸、2.はへの字状に折り曲げた2枚の板を合わせて変形の菱形になし、内部は挿蒸させるため空洞である。
【0011】
3.はパイプアームで中空撹拌軸と接合させる位置は軸芯に対して回転角を与えた芯ずれ位置とし、菱形アームもパイプアームも先端をふさいで異形アングル状の4.スクレーパーホルダーを向かいあわせに接合させる。
【0012】
異形アングル状のホルダーは一辺の長い方をアーム先端に固定し、短い方の端面をアール加工させてアール面を互いに相対させる。
相対させたホルダーの方向は撹拌軸と平行とする。
菱形アームの先端のホルダーもパイプアームのホルダーも共に軸に対して平行位置に固着する。
【0013】
固着ホルダー間に5.スクレーパーを挿入させる。スクレーパーを挿入させると、ホルダー位置が菱形アームを基準位置0°としたときパイプアーム位置は遅れ角で固着されている関係により変形のねじれ状となる。ゆるいS字状にスクレーパーがセットされる。
【0014】
5.スクレーパーは耐摩耗ゴムでゴム硬度を80前後として、断面は四角形で長手方向両端にスクレーパーホルダーを挿入するスクレーパー保持みぞ6.を四角形断面中央両面に加工し、端部より見たときにH字状と似たみぞの底は曲面みぞとして応力の集中を防止する。
【0015】
前記のようにスクレーパーを少しひねられた芯ずれに装着することで、弾性体自体が硬くなり張りが生じる。槽体及び撹拌軸とアームとスクレーパーホルダーは金属装のため温度影響を受けて伸縮するが、張りの発生した弾性体は槽内壁に衝突が生じても問題はない。
【0016】
槽体とスクレーパーとの隙間は限りなく接近させることが可能となり、スクレーパーが槽内壁を接触しながら回転し、処理物の積層と焼付けを剥離させる作用で伝熱の向上に役に立つ。
【0017】
スクレーパーの強度の補強は6.スクレーパー保持みぞの中間に金属鋼を設けてその線径の大小によって強度を上下させることが可能であり、スクレーパーの断面を四角状としてスクレーパー保持みぞを断面中央に施工することで、ホルダー上面の角の摩耗による取替えを上下反転することで解決可能にした。
【0018】
内壁の附着物を掻き落す機能は乾燥機槽両側鏡板隔壁についても同様で、積層しようとする附着物を初期の段階で除去させるには鏡板側に位置する撹拌軸アームの上下に前記スクレーパーホルダーを設け、脱落防止のためゆるいS字状に装着させる。
【0019】
スクレーパーをS字状に装置させるとスクレーパーに左右より応力が与えられて弾性体に張りが生じ、ホルダーよりの抜け落ち防止と壁面を強く押す効力がある。
又、撹拌軸を左右回転させるとS字スクレーパー作用により乾燥物を希望方向に寄せる効果が生じて乾燥槽よりの処理物の引き出しが迅速となる。
【実施例2】
【0020】
金属スクレーパーを乾燥機槽内壁の曲面のアールに沿うように変形菱形アームと撹拌軸に対して芯ずれにずらしたアームとの間にS字状に装着させる。
S字状スクレーパーのアームとの接合は一端を菱形アーム頭頂に溶接により接合させ、もう一端は芯ずれアームの頭頂に2枚の金属を隙間を設けて接合させてその隙間に挿入させ、固着させず自由に保持させる。
【0021】
金属スクレーパーの一端は固着させ他端は自由にしておくが、乾燥機の回転により槽内壁に沿って動く。又、加熱作用でアーム、スクレーパーの伸びが生じるが、一端を固定しもう一端を自由にさせることにより熱膨張による破損が防止される。
【0022】
乾燥物の内訳に於いて植物性残渣物と動物性残渣物の比率が接近した場合は、金属スクレーパーでは弾性スクレーパー即ちゴム類の材質のものよりも内壁の積層物の掻き取りが良好になり、油性物が多いためスクレーパーと乾燥機内壁の接触抵抗も緩和され、スクレーパーの摩耗も減少する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】乾燥機槽本体を破断させて撹拌軸の実施方法を示した説明図である。
【図2】軸とアームとスクレーパーの関係の実施方法を示した説明図である。
【図3】アームとスクレーパー保持の実施方法を示した説明図である。
【図4】スクレーパーの実施の姿図である。
【図5】鏡壁面用スクレーパー保持の実施方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 中空撹拌軸
2 菱形断面アーム
3 パイプアーム
4 スクレーパーホルダー
5 スクレーパー
6 スクレーパー保持みぞ
7 乾燥機槽体
8 金属芯体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミ乾燥機を横置きさせ、乾燥機槽内に設けた撹拌軸のアーム断面は変形菱形状とし、隣接位置で軸芯を違えて設けた別置アームの先端に2コ一対のL字金具の短い部分を相対させ、長い部分をアームに固着させて相対させた金具の隙間に角状弾性体の長手方向両端両側面にみぞを設け、みぞを相対させた金具との間に挿入させて合致させたスクレーパー。
【請求項2】
前記弾性角状スクレーパーの内部に金属芯体と金属芯体の外部を弾性物質で包んだ前記請求項1の弾性体スクレーパー。
【請求項3】
前記請求項1の変形菱状アーム頭頂にスクレーパーの片方を固定させ、別置アーム頭頂にスクレーパーの一端をS字状になる位置で自由保持にスクレーパーを挟む前記請求項1のスクレーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−175451(P2008−175451A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8884(P2007−8884)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(501386924)有限会社 ラムサ・ABE (26)
【Fターム(参考)】