説明

弾性メルトブロー積層体構造体およびこれを作製するための方法

多層メルトブロー複合材、これから作製される製品、およびこれを作製するための方法を提供する。メルトブロー複合材は、ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%からおよそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む第2のメルトブロー層とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT/US2010/_______(2010EM070)と同時出願される。本出願は、それぞれが、その全体において、本明細書中に参照により組み込まれている、2010年3月12日に出願した米国出願第12/723,336号(2010EM071)、および2010年3月12日に出願した米国出願第12/723,317号(2010EM070)の優先権および利益を主張する。
本開示は、プロピレン−α−オレフィンコポリマーを含有する弾性メルトブロー繊維(meltblown fabrics)、ならびにこれから作製された弾性メルトブロー織物、これから作製された多層構造体およびこれを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市場は、機械的活性化の形態を必要としない、必須の審美的な質を有する極めて弾性で、通気性のある、不織布を所望している。既存の製品は、弾性フィルムでできた複合積層体であり、通常、ブロッキングを防止するためにフィルム上に共押し出しされたポリオレフィン皮膜を有するスチレン系ブロックコポリマー(「SBC」)またはポリウレタン、および正しい審美性(ソフトで、綿毛状の、クッションのような質感)を与えるための不織布、および特定の構造体では、この弾性フィルムのいずれかの側に不織布を接着するためのホットメルト接着剤層である。これらの種類の構造体は、一度形成されると、非弾性の構成成分、例えばポリオレフィン皮膜層および不織布の対向層などの抑制的影響により、弾性でなくなることが多い。
非弾性成分の抑制的影響を排除するため、多くの複合材は、非弾性の構成成分を延伸または破壊するための機械的延伸工程または活性化工程を必要とする。機械的延伸は、制約を排除し、SBCフィルムにより制御される弾性複合材を生成する。さらに、このような複合材は、これらの積層体を通気性のあるものにするために、フィルムを開口しなければならない。この工程は、制御されたフィルムの穿刺/引裂き処理を含み、これに付随して、フィルムの不良およびスクラップ発生率の増加が懸念される。
最近では、機械的活性化を必要としないフィルム複合材が市場に出回っている。これらの製品は、ホットメルト接着剤の細い線を使用して、フィルムのいずれかの側面に付着させた極めて伸長性のスパンレース層を有するSBCフィルム層を依然として使用している。フィルムには共押し出しされた皮膜がなく、不織布は、伸長性で、非制限的であるため、接着された領域間には拘束がなく、したがって弾性である。しかし、これらの製品は、通気性がなく、接着剤を必要とし、すべてのフィルム積層体製品と同様に、生産するのに費用がかかる。
【0003】
この問題の解決策は、低い溶融流動率のエラストマーをメルトブローすることが可能なメルトブローシステムを用いて、極めて伸長性の(低い張力で、>500%の極限伸び)不織布を作製することによって、接着剤または外部熱または機械的結合工程を必要とせずに、伸長性不織布および極めて弾性の、通気性のある、高分子量メルトブロー織物の積層体(「構造体」)をその場で生産することである。
【0004】
いくつかの関連する開示として、欧州特許第1712351号、および米国特許第4,380,570号、5,476,616号、5,804,286号、5,921,973号、6,342,565号、6,417,121号、6,444,774号、6,506,698号および米国公開第2003/0125696号、2005/0130544号、2006/0172647号およびR. Zhao, "Melt Blowing Polyoxymethylene Copolymer" in Int'l Nonwovens J., pp. 19-24 (Summer 2005)を挙げることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
多層メルトブロー複合材、これから作製される製品、およびこれを作製するための方法を提供する。少なくとも1つの具体的な実施形態において、メルトブロー複合材は、ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%からおよそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む第2のメルトブロー層とを含むことができる。
【0006】
少なくとも1つの具体的な実施形態において、本方法は、第1の材料をメルトブローすることによって、第1のメルトブロー層を形成するステップと、第1のメルトブローされた層の少なくとも一部上の第2の材料をメルトブローするステップであって、この第2のメルトブロー層が、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)、および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含むステップとを含む。
少なくとも1つの具体的な実施形態において、1つまたは複数の成分として、多層メルトブロー複合材を組み込んだ製品が提供される。この多層メルトブロー複合材は、ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%からおよそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、ASTM D412に従い測定した場合、200%以上の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第2のメルトブロー層であって、少なくとも1つの樹脂が、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む第2のメルトブロー層とを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】記載されている1つまたは複数の実施形態による多層メルトブロー複合材を作製するための例示的メルトブローシステムの概略図を描写している。
【図2】記載されている1つまたは複数の実施形態による例示的ダイアセンブリーの拡大された概略図を描写している。
【図3】記載されている1つまたは複数の実施形態による多層メルトブロー積層体または複合材を作製するための例示的メルトブローシステムの概略図を描写している。描写されているように、ダイおよび捕集面は、垂直に配置することができる。
【図4】記載されている1つまたは複数の実施形態による多層メルトブロー積層体または複合材を作製するための別の例示的メルトブローシステムの概略図を描写している。描写されているように、ダイおよび捕集面は、水平に配置することができる。
【図5】全織物坪量当たりのプロピレン−α−オレフィンコポリマー(「PCP」)坪量をx軸に、ピーク力@100%/収縮力@50%をy軸に取り、表1および2に列挙された2つの試料セットを、グラフを使って描写している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
式y=Axb(式中、Aは3であり、bはゼロから無限大であり、xはピーク荷重@100%/収縮力@50%であり、yは、対向層の拘束である)は、本明細書中に提供されている多層形成工程を使用して作製された1つまたは複数のプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含有する多層構造体または積層体の一般的な弾性の性能を示すことが判明したことを発見した。驚くことに、他の樹脂および他の形成工程は、この式に対して異なる値を示す。
理論に束縛されることを切望せずに、異なる対向層は、yの値によって定義される拘束の異なるレベルを導入することが示されている。プロピレン−α−オレフィンコポリマー含有量と、全織坪量の比が、x値で定義されるように減少するにつれて(すなわち、一定の対向層構造体に対して、より少量のプロピレン−α−オレフィンコポリマー)、ピーク力と収縮力の比は増加する。プロピレン−α−オレフィンコポリマー含有量が、一定の対向層構造体に対して減少すると、拘束のレベルは、記載されている一般的な力の法則の関係に従う。換言すれば、対向層の性質の変化が、拘束のレベルを変化させる。しかし、一般的な力の法則が適用され、力のみが変化する。
【0009】
対向層が付与する拘束が少ないほど、「b」値がより低いことも発見されている。逆に、対向層により課される拘束が大きくなるほど、「b」値は大きくなる。この2つの極端なケースがある。対向層がいかなる拘束も積層体に課さなかった場合、b=0であり、y値は、ちょうど対向層を持たない純正のプロピレン−α−オレフィンコポリマーの値と同じように、3と等しくなる。他方の極端なケースは、対向層が、極めて拘束力のある、堅いプラスチック層であり、一度100%延伸されたら、50%以下にしか回復しないような場合である。したがって、50%での収縮力が0の場合、比は無限大であり、bは、無限大に近づく。
【0010】
弾性メルトブロー繊維、織物およびこれから作製された多層構造体または積層体は、弾性メルトブロー織物の少なくとも1つの層を含むことができる。弾性メルトブロー織物およびこれから作製された多層構造体または積層体はまた、伸長性メルトブロー織物の少なくとも1つの層も含むことができる。好ましくは、メルトブロー層は、互いに隣接して配置される。しかし、1つまたは複数のスパンレース、スパンボンド、スパンレード、繊維、エアレイド、パルプ、織物、高吸収ポリマー(複数可)(「SAP」)、またはフィルムは、メルトブロー層の上に、またはこれらの間に配置できることが想定される。
各メルトブロー層は、同一でありまたは異なる1つまたは複数の樹脂を含むことができる。各樹脂は、伸長性樹脂、弾性樹脂、または非弾性樹脂とすることができる。任意の所与の層に適した樹脂はまた、選択された樹脂およびこれらの相対的含量に応じて、生成したブレンドを伸長性、非弾性または弾性とすることができるように、各樹脂が伸長性、非弾性または弾性である、2つ以上の樹脂のブレンドとすることができる。
【0011】
本明細書で使用する場合、「複合材」または「織物」は、空気の通過を防止はしても、停止しないような厚さを有する、好ましくは平坦ではあるが、屈曲可能さもなければ成形可能な構造体であり、この構造体は、これらが構造体を形成するように、化学結合、溶融接着または製織(機械的連結)を介して一緒に結合している繊維から作製される。本明細書で使用する場合、「繊維」とは、その長さがその直径または幅より極めて大きな材料であり、その平均直径は、約5〜250μmであり、天然および/または合成物質を含む。
本明細書で使用する場合、「弾性」であると称される材料、樹脂、繊維、および/または織物は、100%の変形後少なくとも70%再生することができるものである。本明細書で使用する場合、「非弾性」であると称される物質、樹脂、繊維および/または織物は、100%の変形後20%未満再生することができものである。本明細書で使用する場合、「伸長性」であると称される材料、樹脂、繊維および/または織物は、ASTM D412で決定されているように、100%変形後20%〜70%再生することができるものである。伸長性の材料および織物は、当技術分野で周知であり、1つの例として、例えば米国特許第5,523,141号に記載されているように、伸長性である材料から形成されたものまたは力学的に織物(天然または合成)を歪曲しまたはねじることにより形成されたものである。
適切な樹脂は、セルロース系材料、ナイロン、ポリアセタール、ポリアルキレンナフタレート、ポリエステル、コポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド(polyamids)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリオレフィンホモポリマー、ポリオレフィンコポリマー、アクリル、およびこれらのブレンドとすることができ、またはこれらを含むことができる。他に述べられていない限り、「コポリマー」という用語は、2つ以上のモノマーから誘導されるポリマー(ランダム、ブロック、またはグラフトの分布で並べることができるターポリマー、テトラポリマーなどを含む)を意味し、「ポリマー」という用語は、1つまたは複数の異なるモノマーの繰り返し単位を有する任意の炭素含有化合物を指す。
【0012】
好ましいセルロース系材料は、レーヨンおよびビスコースを含む。好ましいポリアセタールは、ポリオキシメチレンコポリマーである。好ましいポリエステルとして、ポリオレフィン−テレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレート、例えばポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、およびポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)などが挙げられる。
好ましいポリオレフィンは、これらだけには限定されないが、2〜8個の炭素原子を有するモノマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、これらの混合物、ならびに(メタ)アクリレートおよび/またはビニルアセテートとのこれらのコポリマーを含めたモノオレフィンモノマーから調製することができる。他の適切なポリオレフィンとして、1つまたは複数のプロピレンホモポリマー(100質量%のプロピレン由来のユニット)、プロピレンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー(ICP)、ランダムなコポリマー(RCP)線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンブロックコポリマー(例えば、Infuse(商標)オレフィンブロックコポリマー)、スチレン系ブロックコポリマー(例えば、Kraton(商標)スチレン系コポリマー)、エチレンビニルアセテート、ウレタン、ポリエステルおよびこれらのブレンドを挙げることができる。特定の具体的な伸長性樹脂として、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアミド、および/またはアクリルを挙げることができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、「ポリプロピレン」は、プロピレンホモポリマー、またはプロピレンのコポリマー、またはプロピレンホモポリマーとコポリマーのいくつかの混合物を指す。特定の実施形態において、本明細書中に記載されているポリプロピレンは、主に結晶であり、よってポリプロピレンは、110℃または115℃または130℃を超える融点(Tm)を有し得る。「結晶」という用語は、本明細書で使用する場合、高い程度の分子間および分子内の整列を有するようなポリマーを特徴づけられる。特定の実施形態においてポリプロピレンは、DSC分析で測定した場合、60J/gまたは70J/gまたは80J/gを超える融解熱(Hf)を有する。融解熱は、ポリプロピレンの組成に依存し、一番高い次元のポリプロピレンに対する熱エネルギーは、189J/gであると推定される。すなわち、100%結晶化度は、189J/gの融解熱と同じである。ポリプロピレンホモポリマーは、コポリマーまたはホモポリマーとコポリマーのブレンドより高い融解熱を有することになる。
【0014】
特定の実施形態において、ポリプロピレン(複数可)は、アイソタクチックとすることができる。ポリプロピレンにおけるプロピレン配列のアイソタクチシティーは、望ましい触媒組成物を選択して重合により達成することができる。13C NMRで測定し、メソダイアッド含有量として表現したポリプロピレンのアイソタクチシティーは、90%(メソダイアッド[m]>0.90)を超え、または米国特許第4,950,720号において、特定の実施形態において、13C NMRで測定されたように95%または97%または98%を超える。別の方式で表現した場合、13C NMRで測定し、ペンタッド含有量として表現したポリプロピレンのアイソタクチシティーは、特定の実施形態において93%または95%または97%を超える。
【0015】
ポリプロピレンは、組成において、広く異なることができる。例えば、他のモノマーの10質量%以下を含有する、すなわち、少なくとも90質量%のプロピレンを含有する、実質的にアイソタクチックのポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーを使用することができる。さらに、ポリプロピレンは、グラフトまたはブロックコポリマーの形態で存在することができ、ポリプロピレンのブロックは、グラフトまたはブロックコポリマーが、立体規則性のプロピレン配列の特徴である、110℃または115℃または130℃より上の鋭い融点を有する限り、プロピレン−α−オレフィンコポリマー(以下に記載されている)と実質的に同じ立体規則性を有する。
ポリプロピレンは、本明細書中に記載されているようにホモポリプロピレン、および/またはランダム、および/またはブロックコポリマーの組合せとすることができる。ポリプロピレンがランダムコポリマーの場合、コポリマー中のα−オレフィン由来のユニットのパーセンテージは、一般的にポリプロピレンの5質量%まで、別の実施形態において0.5質量%〜5質量%、さらに別の実施形態において1質量%〜4質量%である。好ましいコモノマーは、エチレンまたは4〜12個の炭素原子を含有するα−オレフィンから誘導される。1つ、2つ以上のコモノマーをプロピレンと共重合することができる。例示的α−オレフィンは、エチレン;1−ブテン;1−ペンテン−2−メチル−1−ペンテン−3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン−3−メチル−1−ペンテン−4−メチル−1−ペンテン−3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン;1−ヘキセン;1−メチル−1−ヘキセン;ジメチル−1−ペンテン;トリメチル−1−ブテン;エチル−1−ペンテン;1−オクテン;メチル−1−ペンテン;ジメチル−1−ヘキセン;トリメチル−1−ペンテン;エチル−1−ヘキセン;1−メチルエチル−1−ペンテン;1−ジエチル−1−ブテン;プロピル−1−ペンテン;1−デセン;メチル−1−ノネン;1−ノネン;ジメチル−1−オクテン;トリメチル−1−ヘプテン;エチル−1−オクテン;メチルエチル−1−ブテン;ジエチル−1−ヘキセン;1−ドデセン;および1−ヘキサドデセンからなる群から選択することができる。
【0016】
ポリプロピレンの質量平均分子量(Mw)は、50,000g/モル〜3,000,000g/モルの間、または別の実施形態において90,000g/モル〜500,000g/モルとすることができ、分子量分布(MWD、Mw/Mn)は、1.5〜2.5;または3.0〜4.0;または5.0〜20.0の範囲内にある。ポリプロピレンは、10dg/分〜15dg/分;または18dg/分〜30dg/分;または35dg/分〜45dg/分;または40dg/分〜50dg/分の範囲のMFR(2.16kg/230℃)を有することができる。
「ランダムポリプロピレン」(「RCP」)という用語は、本明細書で使用する場合、9質量%まで、好ましくは2質量%〜8質量%のαオレフィンコモノマーを有するプロピレンの単相コポリマーを大まかに意味する。好ましいαオレフィンコモノマーは、2個の炭素原子または4〜12個の炭素原子を有する。好ましくは、αオレフィンコモノマーはエチレンである。
【0017】
プロピレンインパクトコポリマー(「ICP」)は、不均質であり、インパクトコポリマーの総質量に対して、70〜95質量%のホモポリプロピレンの第一相と、5〜30質量%のエチレン−プロピレンゴムの第二相とを含むことができる。プロピレンインパクトコポリマーは、インパクトコポリマーの総質量に対して、78〜95質量%のホモポリプロピレンと、5〜22質量%のエチレン−プロピレンゴムとを含むことができる。特定の実施形態において、プロピレンベースのポリマーは、インパクトコポリマーの総質量に対して、90質量%〜95質量%のホモポリプロピレンと、5質量%〜10質量%のエチレン−プロピレンゴムとを含むことができる。
【0018】
本明細書中に記載されているポリプロピレンを調製するための方法について特に限定はない。しかし、例えばポリマーは、単一段階反応器または多段階反応器内でのプロピレンの単独重合により得たプロピレンホモポリマーである。コポリマーは、4〜20個の炭素原子を有するプロピレンおよびエチレンまたはα−オレフィンを、単一段階反応器または多段階反応器内で共重合することによって得ることができる。重合方法として、任意の適切な触媒、例えば伝統的なZiegler−Natta触媒または単一部位触媒、メタロセン触媒系、またはこれらの組合せ、例えばバイメタル(すなわち、Ziegler−Nattaとメタロセン)担持の触媒系などを使用した、高圧、スラリー、ガス、バルク、または溶液相、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限らない。
例示的な商業用ポリプロピレンとして、Achieve(商標)ポリマー(ExxonMobil Chemical Company、Baytown、TX)のファミリーが挙げられる。Achieveポリマーは、メタロセン触媒系を使用して生成される。特定の実施形態において、メタロセン触媒系は、狭い分子量分布のポリマーを生成する。MWDは通常、1.5〜2.5の範囲である。しかし、より広範なMWDポリマーを、複数の反応器を用いた工程で生成することができる。異なるMWポリマーを、各反応器内で生成することによって、MWDを広げることができる。Achieve 3854などのAchieveポリマー、すなわち、24dg/分のMFRを有するホモポリマーを、本明細書中に記載されているブレンド構成成分として使用することができる。あるいは、Achieveポリマー、例えばAchieve 6936G1など、すなわち1550dg/分のMFRホモポリマーは、本明細書中に記載されているブレンド構成成分として使用することができる。他のポリプロピレンのランダムコポリマーおよびインパクトコポリマーも使用することができる。ポリプロピレンMFRの選択を、ブレンド、特に対向層の組成物の最終MFRを調整する手段として使用することができる。本明細書中に記載されているポリプロピレンのいずれかを、制御されたレオロジーにより改質することによって、当技術分野で知られているように、スピン性能を向上させることができる。
【0019】
「プロピレン−α−オレフィンコポリマー」または「PCP」は、プロピレン由来のユニットおよび1つまたは複数のエチレン由来のユニットまたはC4−C10α−オレフィンおよび任意選択の1つまたは複数のジエン由来のユニットのコポリマーであり、比較的弾性であり、および/または弾性の(極限伸びは、500%超から)不織布繊維および織物を形成する。このコポリマーの全コモノマー含有量は、一実施形態において5〜35質量%の範囲である。ある実施形態において、複数のコモノマーが存在する場合、ある特定のコモノマーの含量は、5質量%未満であってよいが、合わせたコモノマー含有量は、5質量%超からである。プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、任意の数の異なるパラメータにより記載することができ、これらのパラメータは、プロピレン−α−オレフィンコポリマーに対して本明細書中に記載されているような、任意の望ましい下限と共に、任意の望ましい上限で構成される数値的な範囲を含むことができる。
プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、プロピレンのターポリマー、プロピレンのブロックコポリマー(コモノマー由来のユニットが長い配列に沿って生じる)、インパクトコポリマー、ランダムポリプロピレン、ランダムコポリマー(コモノマー由来のユニットがポリマーバックボーンに沿ってランダムに分布)、またはこれらの混合物であってよい。コポリマーにおけるランダム性または「ブロック性」の存在は、当技術分野で公知であり、例えば、18J. Poly. Sci.: Poly. Lett. Ed., pp.389-394 (1980)に記載されているように、13C NMRで測定することができる。
【0020】
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、エチレンまたはC4−C10α−オレフィン由来のユニット(または「コモノマー由来のユニット」)を、5質量%または7質量%または8質量%または10質量%から18質量%または20質量%または25質量%または32質量%または35質量%までのコポリマーの範囲で含むことができる。プロピレン−α−オレフィンコポリマーはまた、2つの異なるコモノマー由来のユニットを含むことができる。また、これらのコポリマーおよびターポリマーは、以下に記載されているようなジエン由来のユニットを含むことができる。ある特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、プロピレン由来のユニットおよびエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンから選択されるコモノマーユニットを含む。より特定の実施形態において、コモノマーはエチレンであり、よってプロピレン−α−オレフィンコポリマーはプロピレン−エチレンコポリマーである。
【0021】
一実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、10質量%未満または8質量%未満または5質量%未満または3質量%未満の、さらに別の実施形態において、0.1質量%、または0.5質量%、または1質量%から5質量%、または8質量%、または10質量%までの範囲内のジエン由来のユニット(または「ジエン」)のコポリマーを含む。適切なジエンとして、例えば1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)およびこれらの組合せが挙げられる。ジエンは、存在する場合ENBが最も好ましい。
【0022】
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、13C NMRで測定した場合、75%または80%または82%または85%または90%超からの3つのプロピレンユニットのトリアッド立体規則性を有する。一実施形態において、トリアッド立体規則性は、50から99%、別の実施形態において60から99%、さらに別の実施形態において75から99%、さらに別の実施形態において80から99%、さらに別の実施形態において60から97%の範囲内である。トリアッド立体規則性は、以下の通り測定される:本明細書中で「m/r」として表現される立体規則性インデックスは、13C NMRにより測定される。立体規則性インデックスm/rは、H. N. Cheng, Vol. 17, MACROMOLECULES, pp. 1950-1955 (1984)で定義された通りに計算する。「m」または「r」の記号表示は、隣接するプロピレン基のペアの立体化学を表現し、「m」はメソを、「r」はラセミを示す。1.0のm/r比は一般的にシンジオタクチックポリマーを表現し、2.0のm/r比はアタクチック材料を表現している。アイソタクチックの材料は、理論的に、無限大に接近する比を有してよく、多くの副生成物のアタクチックポリマーは、十分なアイソタクチックの含有量を有することで、その結果、比は50を超える。プロピレン−α−オレフィンコポリマーの実施形態は、4または6から8または10または12までの範囲の立体規則性インデックスm/rを有する。
【0023】
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、本明細書中に記載されている示差走査熱量測定(DSC)手順に従い測定した0.5または1または5J/gから35または40または50または65または75J/gまでの範囲の融解熱(Hf)を有する。特定の実施形態において、Hf値は、75または65または55J/g未満である。
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、0.5から40%、別の実施形態において1から30%、さらに別の実施形態において5から25%の範囲内のパーセント結晶化度を有し、ここで「パーセント結晶化度」は、本明細書中に記載されているDSC手順に従い測定される。(一番高い次元のポリプロピレンに対する熱エネルギーは、189J/g(すなわち、100%結晶化度は、189J/gと等しい)と推測される。)別の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、40%または25%または22%または20%未満からのパーセント結晶化度を有する。
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、DSCで測定した場合、単一ピークの融解転移を有する。特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、90℃未満からの第1のピーク融解転移を有し、およそ110℃超から広範な溶融転移の終点を有する。最大「融点」(Tm)は、試料の溶融範囲内の最大の熱吸収温度として定義される。しかし、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、主要ピークの近くの第2の溶融ピーク、および/または溶融転移の終点を示すこともあるが、本明細書中の目的のためには、このような第2の溶融ピークは一緒に、単一の融点としてみなされ、これらピークの最高点が、プロピレン−α−オレフィンコポリマーのTmと考えられる。プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、特定の実施形態において70または80または90または100または105℃未満からのピーク融点(Tm)を有し、他の実施形態において、10または15または20または25から65または75または80または95または105℃の範囲内にある。
【0024】
DSC測定の手順は以下の通りである。およそ0.5グラムのポリマーを秤量し、バッキングシートとして「DSC金型」およびMylar(商標)を使用して、およそ140℃〜150℃で、およそ15〜20ミル(およそ381〜508μm)の厚さに圧縮する。圧縮したパッドは、空気中に吊るして周辺温度まで冷却させておく(Mylarは取り外さなかった)。圧縮したパッドは、室温でおよそ8日間アニーリングする(およそ23℃〜25℃)。この期間の終わりに、穿孔機ダイを使用して圧縮したパッドからおよそ15〜20mgのディスクを取り、10マイクロリットルのアルミニウムの試料パンの中に置く。示差走査熱量計(Perkin Elmer Pyris 1 Thermal Analysis System)内に試料を置き、およそ−100℃に冷却する。試料をおよそ10℃/分で加熱して、最終温度がおよそ165℃に達する。試料の溶融ピークの下の領域として記録された熱出力は、融解熱の尺度であり、ポリマー1グラム当たりのジュール(J/g)で表現することができ、Perkin Elmer Systemにより自動的に計算することができる。これらの条件下、溶融プロファイルは、2つの最高点を示すが、最高温度での最高点を、温度の関数として増加するポリマーの熱容量に対するベースライン測定に対して、試料の溶融範囲内での融点として取り入れた。
【0025】
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1505試験法により室温で測定した値である、0.840g/cm3〜0.920g/cm3、別の実施形態において、0.845g/cm3〜0.900g/cm3、さらに別の実施形態において、0.850g/cm3〜0.890g/cm3の範囲の密度を有する。
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、10、または20から80、または90のショアAの範囲のショアA硬さ(ASTM D2240)を有する。さらに別の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、500%、1,000%または2,000%を超える極限伸び(ASTM−D412)を有する。プロピレン−α−オレフィンコポリマーはまた、およそ300%、400%、または500%の低い範囲から、およそ800%、1,200%、1,800%、2,000%、または3,000%までの高い範囲の極限伸び(ASTM−D412)を有することができる。
【0026】
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、20,000〜5,000,000g/モル、別の実施形態において50,000〜1,000,000g/モル、さらに別の実施形態において70,000〜400,000g/モルの範囲内の質量平均分子量(Mw)値を有する。別の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、4,500〜2,500,000g/モル、20,000〜250,000g/モル、さらに別の実施形態において50,000〜200,000g/モルの範囲内の数平均分子量(Mn)値を有する。さらに別の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、20,000〜7,000,000g/モル、別の実施形態において100,000〜700,000g/モル、さらに別の実施形態において140,000〜500,000g/モルの範囲内のz−平均分子量(Mz)値を有する。
【0027】
特定の実施形態において、望ましい分子量(したがって、望ましいMFR)は、プロピレン−α−オレフィンコポリマーをビスブレーキングすることによって達成される。「ビスブレーキングされたプロピレン−α−オレフィンコポリマー」(当技術分野では「制御されたレオロジー」または「CR」としても公知である)とは、ビスブレーキング剤がポリマー鎖をバラバラにするように、ビスブレーキング剤で処理したコポリマーである。ビスブレーキング剤の非限定的な例として、ペルオキシド、ヒドロキシルアミンエステル、および他の酸化剤およびフリーラジカル生成剤が挙げられる。別の言い方をすれば、このビスブレーキングされたコポリマーは、ビスブレーキング剤とコポリマーの反応生成物であってよい。具体的には、ビスブレーキングされたプロピレン−α−オレフィンコポリマーとは、処理前のMFR値に対して、そのMFRが、一実施形態において、少なくとも10%、別の実施形態において少なくとも20%増加するようにビスブレーキング剤で処理されたものである。
【0028】
特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーの分子量分布(MWD)は、特定の実施形態において、1.5、または1.8、または2.0から3.0、または3.5、または4.0、または5.0、または10.0までの範囲内である。分子量(Mn、MzおよびMw)および分子量分布(MWD)を決定するための技法は、以下の通りであり、Vol. 21, MACROMOLECULES, pp.3360-3371(1988)のVerstateらによる通りである。本明細書中に記載されている条件は、公開された試験条件より優先される。分子量および分子量分布は、Chromatix KMX−6オンライン光散乱測光器を備えたWaters 150 ゲルパーミエーションクロマトグラフを使用して測定する。このシステムは、移動相として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて135℃で使用した。Showdex(商標)(Showa−Denko America、Inc.)ポリスチレンゲルカラム802、803、804および805を使用する。この技法は、LIQUID CHROMATOGRAPHY OF POLYMERS AND RELATED MATERIALS III, pp.207-234 (J. Cazes ed., Marcel Dekker, 1981)において論じられている。カラムスプレッディングに対する修正は利用しなかった。しかし、一般的に認められた基準、例えば、National Bureau of Standards、Polyethylene(SRM1484)およびアニオン性として生成された水素化ポリイソプレン(エチレン−プロピレンの交互コポリマー)についてのデータから、Mw/MnまたはMz/Mwについてのこのような修正は、0.05ユニット未満であることが実証されている。Mw/Mnは、溶出時間と分子量の関係から計算し、これに対してMz/Mwは、光散乱測光器を使用して評価した。数値的分析は、LDC/Milton Roy−Riviera Beach、Flaから入手可能な、市販のコンピュータソフトウエアGPC2、MOLWT2を使用して遂行することができる。
【0029】
本明細書中に記載されているプロピレン−α−オレフィンコポリマーは、ポリプロピレンの生成に対して知られている任意の触媒および/または工程を使用して生成することができる。特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、国際公開第02/36651号、米国特許第6,992,158号および/または国際公開第00/01745号における手順に従い調製したコポリマーを含むことができる。プロピレン−α−オレフィンコポリマーを生成するための好ましい方法は、米国特許公開第2004/0236042号および米国特許第6,881,800号において見出される。好ましいプロピレン−α−オレフィンコポリマーは、VISTAMAXX(商標)(ExxonMobil Chemical Company、Houston、TX、USA)およびVERSIFY(商標)(The Dow Chemical Company、Midland、Michigan、USA)、特定のグレードのTAFMER(商標)XMまたはNOTIO(商標)(Mitsui Company、Japan)、特定のグレードのLMPO(商標)、Idemitsu製、または特定のグレードのSOFTELL(商標)(Lyondell Basell Polyolefine GmbH、Germany)の商標名で、商業的に入手可能である。
【0030】
1つまたは複数の実施形態において、メルトブロー樹脂は、以下とすることができ、または以下を含むことができる:天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(イソブチレンとイソプレンのコポリマー、IIR)、ハロゲン化したブチルゴム(クロロ−ブチルゴム(CIIR)、ブロモ−ブチルゴム(BIIR))、ポリブタジエン(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、SEBSブロックコポリマー、SISブロックコポリマー、SBSブロックコポリマー、エチレン−オクテンブロックコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム(CR)、ポリクロロプレン、ネオプレン、EPM(エチレン−プロピレンゴム)、EPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリルゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性加硫ゴム(TPV)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリスルフィドゴム、またはこれらエラストマーのうちのいずれか2つ以上のブレンド。少なくとも1つの具体的な実施形態において、弾性の樹脂は、1つまたは複数のポリオレフィンポリマーであるか、またはこれらを含む。「ポリオレフィンポリマー」という用語は、40%未満の結晶化度、または75J/g未満の融解熱(Hf)を有するα−オレフィンのホモポリマーまたはコポリマーを指す。
【0031】
特定の実施形態において、メルトブロー樹脂は、1つまたは複数のmPEホモポリマーまたはコポリマーを含む、1つまたは複数のメタロセンポリエチレン(「mPE」)とすることができ、またはこれらを含むことができる。mPEホモポリマーまたはコポリマーは、モノ−またはビス−シクロペンタジエニル遷移金属触媒を、アルモキサンのアクチベーターおよび/または非配位アニオンと組み合わせて、溶液、スラリー、高圧または気体相の中で使用して生成することができる。触媒およびアクチベーターは、担持されていても、担持されていなくてもよく、シクロペンタジエニル環は、置換または非置換であってよい。このような触媒/アクチベーターの組合せを用いて生成された、いくつかの商品は、ExxonMobil Chemical Company、Baytown、Texasから、EXACT(商標)という商標名で市販されている。このようなmPEホモポリマーおよびコポリマーを生成するための方法および触媒/アクチベーターについてのさらなる情報については、PCT特許公開第94/26816号、第92/00333号、第91/09882号、第94/03506号、および第94/03506号、欧州特許第0277003号、第0129368号、第0520732号、第0426637号、第0573403号、第0520732号、第0495375号、第0500944号、第0570982号、および第0277004号、米国特許第5,153,157号、第5,198,401号、第5,240,894号、第5,324,800号、第5,264,405号、第5,096,867号、第5,507,475号、第5,055,438号、および第5,017,714号、およびカナダ特許第1,268,753号を参照されたい。
【0032】
特定の実施形態において、メルトブロー樹脂は、1つまたは複数のターモノマーおよびテトラモノマーとすることができ、またはこれらを含むことができ、これらのターモノマーおよびテトラモノマーは、1つまたは複数のC3−C20オレフィンであってよく、任意のC4−C20直鎖、環状または分枝のジエンまたはトリエンであってもよく、任意のスチレン系モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、またはパラ−メチルスチレンなどであってよい。好ましい例として、ブタジエン、ペンタジエン、シクロペンタジエン、ヘキサジエン、シクロヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、イソプレンおよびヘプタジエンが挙げられる。
【0033】
3−C20およびC4−C20オレフィンは、任意の重合可能なオレフィンモノマーとすることができ、好ましくは直鎖、分枝または環状のオレフィン、さらにより好ましくはα−オレフィンである。適切なオレフィンの例として、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、イソペンテン、シクロペンテン、ヘキサン、イソヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、イソヘプテン、シクロヘプテン、オクタン、イソオクタン、シクロオクテン、ノネン、シクロノネン、デセン、イソデセン、ドデセン、イソデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチル−ペンテン−1、および3,5,5−トリメチル−ヘキセン−1が挙げられる。適切なコモノマーとしては、ジエン、トリエン、およびスチレン系モノマーも挙げられる。好ましい例として、スチレン、α−メチルスチレン、パラ−アルキルスチレン(例えばパラ−メチルスチレンなど)、ヘキサジエン、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン、ヘプタジエン、オクタジエン、およびシクロペンタジエンが挙げられる。エチレンのコポリマーに対して好ましいコモノマーは、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよび/またはオクテンである。
【0034】
特定の実施形態において、メルトブロー樹脂は、1つまたは複数のポリα−オレフィン(PAO)を含むことができる。PAOは、完全なパラフィン構造および高度の枝分れを有する、高純度の炭化水素である。適切なPAOは、−10℃以下の流動点および100℃(KV100℃)で3cSt以上の運動粘度を有する液体である。このようなPAOとして、C3−C24(好ましくはC5−C18、好ましくはC6−C14、好ましくはC8−C12)α−オレフィン、好ましくは直鎖α−オレフィン(LAO)のC15−C1500(好ましくはC20−C1000、好ましくはC30−C800、好ましくはC35−C400、最も好ましくはC40−C250)オリゴマー(例えばダイマー、トリマーなど)を挙げることができるが、ただし、C3およびC4α−オレフィンは、30質量%以下(好ましくは20質量%以下、好ましくは10質量%以下、好ましくは5質量%以下)で存在するものとする。適切なLAOとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、およびこれらのブレンドが挙げられる。
【0035】
1つまたは複数の実施形態において、単一のLAOを使用してオリゴマーを調製する。好ましい実施形態は、1−オクテンまたは1−デセン、好ましくは1−デセンのオリゴマー化を含む。1つまたは複数の実施形態において、PAOは、2つ以上のC3−C18LAOのオリゴマーであることによって、またはこれらを含むことによって,「バイポリマー」または「ターポリマー」またはより高い次元のコポリマーの組合せが作製されるが、ただし、C3およびC4のLAOは、30質量%以下(好ましくは20質量%以下、好ましくは10質量%以下、好ましくは5質量%以下)で存在するものとする。好ましい実施形態は、偶数の炭素数を有するC6−C18LAOから選択されるLAOの混合物のオリゴマー化を含む。別の好ましい実施形態は、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンのオリゴマー化を含む。
1つまたは複数の実施形態において、PAOは、5〜24の炭素数(好ましくは6〜18、より好ましくは8〜12、最も好ましくは10)を有する単一のα−オレフィン種のオリゴマーを含む。1つまたは複数の実施形態において、PAOは、混合α−オレフィン(すなわち、2つ以上のα−オレフィン種)のオリゴマーを含み、各α−オレフィンは、5〜24の炭素数(好ましくは6〜18、好ましくは8〜12)を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOは、混合α−オレフィン(すなわち、2つ以上のα−オレフィン種を含む)のオリゴマーを含み、α−オレフィン混合物に対する質量平均炭素数は、6〜14である(好ましくは8〜12、好ましくは9〜11)。
【0036】
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、400〜15,000g/モル(好ましくは400〜12,000g/モル、好ましくは500〜10,000g/モル、好ましくは600〜8,000g/モル、好ましくは800〜6,000g/モル、好ましくは1,000〜5,000g/モル)の数平均分子量(Mn)を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、1,000g/モルを超える(好ましくは1,500g/モルを超える、好ましくは2,000g/モルを超える、好ましくは2,500g/モルを超える)Mnを有する
【0037】
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、3cSt以上(好ましくは4cSt以上、好ましくは5cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは20cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上、好ましくは100以上、好ましくは150cSt以上)のKV100℃を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOは、3〜3,000cSt(好ましくは4〜1,000cSt、好ましくは6〜300cSt、好ましくは8〜150cSt、好ましくは8〜100cSt、好ましくは8〜40cSt)のKV100℃を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、10〜1000cSt(好ましくは10〜300cSt、好ましくは10〜100cSt)のKV100℃を有する。さらに別の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、4〜8cStのKV100℃を有する。さらに別の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、25〜300cSt(好ましくは40〜300cSt、好ましくは40〜150cSt)のKV100℃を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、100〜300cStのKV100℃を有する。
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、120以上(好ましくは130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは170以上、好ましくは190以上、好ましくは200以上、好ましくは250以上、好ましくは300以上)の粘度指数(VI)を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、120〜350(好ましくは130〜250)のVIを有する。
【0038】
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、−10℃以下(好ましくは−20℃以下、好ましくは−25℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくは−35℃以下、好ましくは−40℃以下、好ましくは−50℃以下)の流動点を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、−15〜−70℃(好ましくは−25〜−60℃)の流動点を有する。
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、−40℃以下(好ましくは−50℃以下、好ましくは−60℃以下、好ましくは−70℃以下、好ましくは−80℃以下)のガラス転移温度(Tg)を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、−50〜−120℃(好ましくは−60〜−100℃、好ましくは−70〜−90℃)のTgを有する。
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、200℃以上(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは230℃以上)、好ましくは240℃〜290℃の間の引火点を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.84以下)の比重(15.6℃)を有する。
1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、2以上(好ましくは2.5以上、好ましくは3以上、好ましくは4以上、好ましくは5以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上)の分子量分布(Mw/Mn)を有する。1つまたは複数の実施形態において、PAOまたはPAOのブレンドは、5以下(好ましくは4以下、好ましくは3以下)のMw/Mnおよび10cSt以上(好ましくは20cSt以上、好ましくは40cSt以上、好ましくは60cSt以上)のKV100℃を有する。
【0039】
望ましいPAOは、ExxonMobil Chemical(USA)からSpectraSyn(商標)およびSpectraSyn Ultra(商標)として市販されている。他の有用なPAOとして、ChevronPhillips Chemical(USA)からのSynfluid(商標)として、Innovene(USA)からのDurasyn(商標)として、Neste Oil(Finland)からのNexbase(商標)として、およびChemtura(USA)からのSynton(商標)として入手可能なものが挙げられる。PAOに対して、鎖型のパラフィン構造(CP)内の炭素のパーセンテージは、100%に近い(通常98%を超え、または99%をも超える)。さらなる詳細は、例えば、米国特許第3,149,178号;第4,827,064号;第4,827,073号;第5,171,908号;および第5,783,531号;およびSynthetic Lubricants and High-Performance Functional Fluids (Leslie R.Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed. Marcel Dekker, Inc. 1999), pp. 3-52において記載されている。
【0040】
添加剤
樹脂または層のいずれも、1つまたは複数の添加剤をさらに含むことができる。適切な添加剤は、任意の1つまたは複数の加工油(芳香族、パラフィンおよびナフテン系(napthathenic)鉱油);相溶化剤;か焼粘土;カオリン粘土;ナノクレイ;タルク;シリケート;カーボネート;スルフェート;カーボンブラック;砂;ガラスビーズ;鉱物凝集体;珪灰石;雲母;ガラス繊維;他の増量剤;顔料;着色料;色素;カーボンブラック;増量剤;分散剤;難燃剤;抗酸化剤;伝導性粒子;UV−阻害剤;安定剤;光安定剤;光吸収体;シランおよびチタネートを含めたカップリング剤;可塑剤;滑沢剤;遮断剤;抗遮断剤;帯電防止剤;蝋;発泡剤;核剤;スリップ剤;酸スカベンジャー;滑沢剤;アジュバント;界面活性剤;結晶化助剤;ポリマー添加剤;脱泡剤;保存剤;増粘剤;レオロジー;改質剤;湿潤剤;架橋助剤;加硫剤/クロスリンク剤/硬化剤;加硫促進剤/クロスリンク促進剤/硬化促進剤;硬化遅延剤、およびこれらの組合せを含むことができる。
【0041】
複合材を作製するための工程
多層複合材または織物は、任意のメルトブロー工程を使用して形成することができる。好ましくは、多層複合材は、500psi(3.45MPa)超からの溶融圧力および100℃〜350℃の範囲の溶融温度で作動することができ、平均直径1μmまで微細な繊維を作製することが可能な装置からメルトブローされる。
図1は、1つまたは複数の実施形態による多層メルトブロー複合材を作製するための例示的メルトブローシステムまたは配置100の概略図を描写している。このシステム100は、少なくとも1つの押出し機110を含み、システム100内で溶融圧力を維持するためのモーター120を含み得る。押出し機110は、スピナレット部分またはスピナレット140に結合している少なくとも1つのダイブロックまたはアレイダイ130に結合することができる。ダイブロック130はまた、高圧空気をダイブロック130のスピナレット部分140へ送達するための少なくとも1つの空気マニホールド135に結合している。スピナレット140は、複数のスピンノズル145を含み、溶融物は、これらを介して押し出され、同時に空気圧で細くされることによって、フィラメントまたは繊維150を形成する。スピンノズル145は、円形の、ダイキャピラリーであるのが好ましい。好ましくは、スピナレット140は、20、30、または40穴/2.54cm(40穴/インチ)から200、250、または320穴/2.54cm(200、250、または320穴/インチ)一実施形態において、各ノズル145は、およそ0.05mm、0.10mm、または0.20mmから0.80mm、0.90mm、または1.00mmの範囲の内側直径を有する。
ダイスピナレット140において、溶融した糸またはフィラメントは、ホットな、高速の気体流(例えば、空気または窒素)と収束することによって、溶融した熱可塑性物質のフィラメントを細めて、個々の繊維150を形成する。減衰気体流の温度および流速は、熱交換器160および空気弁170を使用して制御することができる。フィラメントの直径は、気体流により所望の粒度へと減少させることができる。その後、メルトブロー繊維150は、高速気体流により運ばれ、捕集面180上に堆積させることによって、ランダムに分配されたメルトブロー繊維の少なくとも1つのウェブ185を形成する。捕集面180は、例えば真空ドラムの外部表面とすることができる。
【0042】
図2は、1つまたは複数の実施形態による例示的ダイアセンブリー200の拡大された概略図を描写している。このダイアセンブリー200は、ダイブロック130とスピナレット140とを含む。描写されているように、空気(「第1の空気」)は、少なくともダイスピナレット140の側面上に位置する第1の空気ノズル210を介して提供される。ダイブロック130は、溶融したポリマーが抜け出て、冷たくなるにつれ、ダイブロック130が凝固するポリマーで詰まるのを防止するための第1の空気、抵抗性加熱エレメント、または他の公知のデバイスまたは技法(示されていない)を使用して加熱することができる。空気はまた溶融物を引き出し、または細めて繊維にする。周辺温度よりも上の温度の、第2の、またはクエンチする空気を、ダイブロック130を介して提供することもできる。第1の空気の流速は通常、2.54cm(1インチ)のダイ幅当たり、およそ0.028〜0.85標準m3/分(1〜30標準立方フィート/分(SCFM/インチ))の範囲である。特定の実施形態においてメルトブロー工程における第1の空気圧は通常、抜け出る直前のダイブロック130のある点において、およそ2psig(14kPa)、3psig(21kPa)、5psig(34kPa)、または7psig(48kPa)の低い範囲から、およそ10psig(69kPa)、15psig(103kPa)、20psig(138kPa)、または30psig(207kPa)までの範囲である。第1の空気の温度は通常、150℃、200℃、または230℃から300℃、320℃、または350℃の範囲内である。
【0043】
樹脂の融点(Tm)は、50℃〜300℃の範囲とすることができる。さらに他の実施形態において、融点は、少なくとも50℃であり、150℃、200℃、220℃、230℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、または320℃未満である。500psi(3.4MPa)または750psi(5.2MPa)または1,000psi(6.9MPa)または2,000psi(17.3MPa)超から、または500psi(3.5MPa)または750psi(5.2MPa)から1,000psi(6.9MPa)または2,000psi(13.8MPa)または2,500psi(17.3MPa)までの範囲内の溶融圧力で、樹脂を繊維に形成することができる。
【0044】
1ユニット時間当たり、ダイ2.54cm(1インチ)当たりに流れる組成物の量で表現した場合、本明細書中に記載されている組成物を使用したメルトブロー織物の製造に対するスループットは通常、毎分1穴当たり、0.1、0.2、0.3、または0.5から1.0、1.5、2.0、または3.0グラム(ghm)の範囲である。よって、2.54cm(1インチ)当たり30の穴を有するダイに対して、ポリマースループットは通常およそ0.11、0.23または0.45からおよそ2.18、または5.44kg/(2.54cm/時間)(0.25、0.5、または1.0からおよそ4、8、または12lbs/インチ/時間(PIH))である。
このような高温を使用することができるので、ノズルから放出される繊維をクエンチ、または凝固させるために繊維から多量の熱を取り除くことが望ましい。示されていないが、冷たい空気または窒素の気体を使用することによって、メルトブロー繊維の冷却および凝固を促進することができる。具体的には、繊維の伸び方向に対して直交流方向(垂直または角度をつけた方向)に流れる冷却(「第2の」)空気を使用することによって、メルトブロー繊維をクエンチすることができる。また、追加の冷却器加圧したクエンチ空気を使用してもよく、繊維のさらに高速の冷却および凝固を生じることができる。特定の実施形態において、第2の冷たい空気流を使用することによって、繊維を細めることができる。空気およびアレイダイ温度、空気圧およびポリマー供給量の制御を介して、メルトブロー工程中に形成される繊維の直径を調整することができる。
【0045】
図3は、1つまたは複数の実施形態に従い、多層メルトブロー積層体または複合材350を作製するための例示的メルトブローシステム300の概略図を描写している。このメルトブローシステム300は、3つ以上の垂直に配置されたダイ305A、305B、305Cを含むことができる。各ダイ305A、305B、305Cは、図2に関して上で論じられ、記載されたダイ200と同様にすることができる。任意の樹脂または樹脂の組合せを、任意の所与のダイ305A、305B、305Cを介してブローすることができ、第1のダイ305Aは、第1の対向層または第1の外層を提供し、第2のダイ305Bは、中心層または中間体層を提供し、第3のダイ305Cは、第2の対向層または第2の外層を提供する。
メルトブローシステム300は、垂直に整列した、2つ以上の捕集面380A、380Bをさらに含むことができる。各捕集面380A、380Bは、図1に関して上で描写され、記載された捕集ドラム180と同様にすることができる。捕集面380A、380Bは、所望のギャップ(「ニップ」)がこれらの間に定められるように、互いに隣接させることができる。描写されているように、各ダイ305A、305B、305Cからの繊維は、捕集面380Aおよび/または380Bに対して水平に向けられ、これら表面上に捕集されることによって、3層の織物複合材350を形成する。ダイ305A、305B、305Cは、独立して互いに移動可能とすることができる。ダイ305A、305B、305Cはまた、独立して捕集面380A、380Bに対して移動可能とすることによって、ダイから捕集機までの距離(「DCD」)を変動させることができる。
【0046】
図4は、1つまたは複数の実施形態による多層メルトブロー積層体または複合材450を作製するための別の例示的メルトブローシステム400の概略図を描写している。このメルトブローシステム400は、3つ以上の水平に配置されたダイ405A、405B、405Cおよび水平に整列した捕集面480A、480Bを含むことができる。各ダイ405A、405B、405Cは、図2に関して上で論じられ、記載されたダイ200と同様にすることができる。各捕集面480A、480Bは、図1に関して上で描写され、記載されたように捕集ドラム180と同様にすることができる。ダイ405A、405B、405Cは、独立して、互いに移動可能とすることができる。ダイ405A、405B、405Cはまた、独立して捕集面480A、480Bに対して移動可能とすることによって、DCDを変動させることができる。
任意の樹脂または樹脂の組合せを、任意の所与のダイ405A、405B、405Cを介して垂直に押し出すことによって、本明細書中に記載されているように、中心層に対して配置された第1および第2の対向層を有する多層複合材を得ることができる。描写されているように、各ダイ405A、405B、405Cからの繊維は、捕集面480Aおよび/または480Bに対して向けられ、これら表面上に捕集されることによって、3層の織物複合材450を形成する。
【0047】
上に記載された任意のシステムまたは配置100、200、300、400を参照すると、別の伸長性構造体を積層体と接触させて多層構造体を形成する間、軽い圧力をその上に加えながら、積層体を、非加熱または加熱したスムースな捕集面(複数可)、または非加熱または加熱したパターン化した捕集面(複数可)、またはこれら2つ以上の組合せの間のニップを通過させることができる。本明細書中に記載されている多層構造体が形成されたとして、特定の実施形態において、接着剤は、構造体を実質的に存在せず、これは、互いに織物および/またはフィルムの層を固定するために接着剤が使用されていないことを意味する。本明細書で使用する場合、「接着剤」とは、当技術分野で知られているように、2つの層のフィルムまたは織物を互いに固定させるために使用される物質である。接着剤物質の例として、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニルポリアミド、炭化水素樹脂、蝋、天然アスファルト、スチレンゴム、およびこれらのブレンドが挙げられる。
【0048】
メルトブロー繊維は、連続的または不連続であってよく、一般的には、平均直径が0.5〜250μm、好ましくは200μm未満、150μm未満、100μm未満、75μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満、5μm未満、4μm未満、3μm未満、2μm未満、または1μm未満の範囲内である。特定の実施形態において、メルトブロー繊維は、平均直径が、5または6または8または10から20または50または80または100または150または200または250μmまでの範囲の直径を有することができ、他の実施形態において、80または50または40または30または20または10または5μm未満からの直径を有する。
多層複合材の各層の繊維直径は、同一でありまたは異なることができる。したがって、隣接する層の繊維直径の比は、同じでも、または変動してもよい。例えば隣接する層の繊維直径の比は、およそ0.1:1の低い範囲から、およそ1:200までの高い範囲とすることができる。このような比はまた、およそ1:150;1:100;1:75;1:50;1:25;1:10;1:5;または1:2の範囲とすることができる。
多層構造の任意の所与の層の少なくとも1%の繊維は、相互に結合するかまたは結びついていることができる。より好ましくは、多層構造の任意の所与の層の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、または25%の繊維が、相互に結合するか、または結びついていることができる。相互に結合したまたは結びついている繊維の量はまた、およそ1%、5%、または10%の低い範囲から、およそ25%、35%、または45%までの高い範囲とすることができる。
【0049】
多層構造の任意の1つまたは複数の層の繊維は、きっちりと線引きされた層間のインターフェイスなしに、任意の1つまたは複数の隣接層の繊維とある程度の融合、溶融、取込みまたは機械的なかみ合いを示すまたは有することができる。
多層構造の少なくとも1つの層は、100%の伸長後その元の長さの少なくとも80%を再生することができ、200%の伸長後その元の長さの少なくとも70%を再生することができる。1つまたは複数の実施形態において、多層構造は、100%の伸長後その元の長さの少なくとも80%を再生することができ、200%の伸長後その元の長さの少なくとも70%を再生することができる。
【0050】
試料をその元の長さの100%まで引き伸ばし、次いで解放する際に、多層構造の少なくとも1つの層の50%伸長の力は、およそ0.59×10-3kg/(2.54cm)/gsm(およそ1.3×10-3lbf/in/gsm)である。
多層構造は、0.05hPa/gsm(0.05mbar/gsm)以上のハイドロヘッドを有する。好ましくは、ハイドロヘッドは、0.1hPa/gsm(0.1mbar/gsm)、0.2hPa/gsm(0.2mbar/gsm)、0.3hPa/gsm(0.3mbar/gsm)、0.4hPa/gsm(0.4mbar/gsm)、または0.5hPa/gsm(0.5mbar/gsm)を超える。ハイドロヘッドはまた、およそ0.1hPa/gsm(0.1mbar/gsm)、0.2hPa/gsm(0.2mbar/gsm)または0.3hPa/gsm(0.3mbar/gsm)の低い範囲から、およそ0.7hPa/gsm(0.7mbar/gsm)、0.8hPa/gsm(0.8mbar/gsm)、または0.9hPa/gsm(0.9mbar/gsm)までの高い範囲とすることができる。
多層構造の任意の1つまたは複数の層の空気浸透性は、およそ0.02cm3/cm2/s以上である。1つまたは複数の実施形態において、多層構造の空気浸透性は、およそ0.02cm3/cm2/s以上である。空気浸透性はまた、およそ0.02cm3/cm2/s、0.05cm3/cm2/s、または1.0cm3/cm2/sの低い範囲から、およそ2.0cm3/cm2/s、3.0cm3/cm2/sまたは5.0cm3/cm2/sまでの高い範囲とすることができる。
【0051】
織物は、10または20または30から、50または80または100または150g/m2までの範囲内の坪量を有することができる。これらの織物はまた、200%または300%または500%または1,000%を超える極限伸びを有することで特徴づけることができる。この方法で、少なくとも3つのメルトブロー層(「MMM」)を有する多層構造体を形成することができる。他の多層メルトブロー構造は、例えばMxQ、QMxQ、Mx、QMx、QxS、Mxyy、QMxyyQ、QMxQMyS、QMxQMy、MxQMyQ、QQMxQ(式中、xは、少なくとも3であり、yは、0〜100である)などが想定される。例えば、xは、3〜100;3〜50;3〜25;または3〜10であってよく、xはまた、およそ3、4、または5の低い範囲から、およそ6、10、または15までの高い範囲とすることができ、xはまた、およそ1、2、3、4、または5の低い範囲から、およそ6、7、8、10、または15までの高い範囲とすることができる。「M」は、メルトブロー織物の層(ここで、構造体中の各「M」は同じでも異なっていてもよい)を示し、「Q」は、スパンボンド、スパンレース、織物、またはフィルム(ここで、構造体中の各「S」は同じでも異なっていてもよい)を示し、「A」は、1つまたは複数の添加剤を示す。メルトブロー繊維を別の織物にそのように接着することが所望される場合、第2の冷却用空気流を減弱し、および/または加熱することによって、いくらかの溶融性を維持させることができ、したがって形成する弾性メルトブロー繊維の、これらが結合する織物への結合能力を維持することができる。
【0052】
より具体的には、多層構造体を形成する際、ポリオレフィンポリマーは、形成するメルトブロー織物の底面または前面を通過する伸長性織物、例えばスパンレース織物上にメルトブローさせることができる。溶融温度、およびスピナレットと通過する伸長性織物との間の距離は、繊維が、織物(複数可)と接触して2または3層構造体を形成する時点で、依然として溶融状態または部分的に溶融状態にあるように調整する。次いでコーティングされた織物(複数可)は、溶融した、または部分的に溶融した弾性メルトブロー繊維/織物がそれに接着している。
次に、多層構造体は、機械的に延伸することによって、複合材の弾性の性能を調整することができる。理論に制約されることを望むことなく、最初の延伸は、複合材におけるエラストマー成分の構造および潜在的に層間および/または層内での繊維間の界面結合を修正すると考えられている。最初の延伸は、変形中にエラストマーにより吸収されるエネルギーの尺度であるヒステリシスループを減らすことができる。理想的なエラストマーは、ヒステリシスがない。または別の言い方をすれば、エラストマーに加わったまたはエラストマー中に保存されたすべてのエネルギーは、エラストマーがその元のサイズおよび形に戻る際に付与される。理想的な弾性挙動を示すエラストマーはわずかであり、そのような弾性積層体はさらにわずかしか存在しない。全部ではないが、大部分がいくらかのレベルのヒステリシスを示す。最初の負荷および無負荷サイクルは通常ヒステリシスループを減らすことになり、これは、材料または積層体がさらに効果のあるエラストマーであることを意味する。エラストマーおよびエラストマー複合材の機械的延伸は、例えば変形時のピーク荷重を減少させ、永久歪み、収縮性の力を潜在的に改善し、外層/表面の見た目に美しさを調整するという他の有利な効果を得ることができる。
【0053】
縦方向(MD)および横方向(CD)の両方向に複合材を機械的に延伸させるための多くの異なる方法が存在する。かみ合い型ブレードまたはディスクに基づくデバイスは、ユニットを直列に置いた場合、それぞれ、MDまたはCDのいずれかまたは両方に、織物を増加的に延伸させるのに効果的である。増加的延伸という用語は、これらの全体の幅または長さに渡り増加的な方法で織物が延伸されるという事実から生じる。織物が延伸される増分または距離は、隣接するディスクまたはブレードのスペーシングおよび2セットのディスクまたはブレードの間の相互貫入の距離により決まる。この技術および別個のディスクではなく孔型ロールを使用した同様の技術の例は、米国特許第4,223,059号、第4,251,585号、第4,285,100号、および第4,368,565号において見出すことができる。より狭いウェブ/フィルムを効率的に延伸する、または延伸の量を増大させる、またはウェブ全域に渡り延伸量を変動させることを可能とする、この基本的技術に対するさらなる向上は、米国特許第5,143,679号、第5,156,793号、および第5,167,897号において見出すことができる。
MDの延伸にさらに適した延伸ウェブに対して、他の技術が使用可能である。この目的のためにニップロールを使用した例が米国特許第7,320,948号に記載されており、この中で、異なるスピードで作動する2つのニップロールのセットは、織物および積層体のMDへの延伸を可能にする。
【0054】
繊維
繊維は、単一成分繊維とすることができる。この繊維はまた、少なくとも2つのポリマーが、別個の押出し機から押し出され、一緒にメルトブローまたは紡糸されることによって、1つの繊維を形成する工程から形成された多成分繊維であってもよい。1つまたは複数の実施形態において、多成分繊維に使用されるポリマーは、同じまたは実質的に同じである。1つまたは複数の実施形態において、多成分繊維に使用されるポリマーは互いに異なる。多成分繊維の構成は、例えば鞘/芯配置、並行配置、パイ状配置、「海島」配置、またはこれらの変形とすることができる。繊維を引き出すことによって、配向を介して機械的特性を増強させることもでき、続いて高温ではあるが、結晶融点以下の温度でアニーリングすることによって、縮みを減らし、高温での寸法安定性を向上させることもできる。
【0055】
別個の織物または層が工程に巻き込まれていない場合、さらにこれが例えば積層体の対向層として使用される場合、これらの織物は、例えばスパンボンド式織物、短繊維において見られるような連続繊維、または例えばカード織物において見られるような不連続繊維とすることができる。短繊維の長さおよび直径は、繊維強化された組成物の所望の靭性および剛性に応じて変動させることができる。1つまたは複数の実施形態において、繊維は、1/4インチ(0.635cm)の長さ、または1/8インチ(0.3175cm)、または1/6インチ(0.423cm)の下限、および1インチ(2.54cm)、または1.5インチ(3.81cm)または5インチ(12.70cm)の上限を有する範囲内の長さを有する。1つまたは複数の実施形態において、繊維の直径は、0.1μmの下限および100μmの上限を有する範囲内である。直径はまた、0.1μm、0.5μmまたは1.0μmの低い範囲から、およそ5μm、10μmまたは15μmまでの高い範囲とすることができる。適切な範囲として、0.1〜8μm、0.2〜7μm、0.3〜6μm、0.1〜5μm、および0.1〜3μmもまた挙げられる。
本明細書中に記載されているメルトブロー織物(または多層構造体)の機械的特性は、延伸または配向工程により増強させることができる。アニーリングは、CDまたはMDのいずれかまたは両方において機械的配向と組み合わせることができる。所望する場合、機械的配向は、伸長力の非存在下でこれが緩められる前に、一時的な、短時間の強制された織物の伸長により行うことができる。メルトブロー工程において、レイダウンまたはスピン工程だけでも付与される、MDにおける繊維のある程度の配向が存在し得る。しかし特定の実施形態において、追加の機械的配向または延伸は必要ではない。よって、特定の実施形態において、本明細書中に記載されているメルトブロー織物は、低い程度の配向が生じるか、または配向はまったく生じない。他の実施形態では、配向は、CDには生じるが、MDには生じない。よって、特定の実施形態において、メルトブロー織物は、20または50または80または100%未満のMDの伸び、および100または200または300%を超えるCDの伸びを有する。別の言い方をすれば、メルトブロー織物は、0.1または0.5および2または3または5または7または10の間のCD/MD破断点伸び比を有する。
【0056】
弾性繊維および織物の形成は、機械的配向を用いた、または用いないアニーリングステップを含む。アニーリングはまた、弾性繊維からの織物の製造後に行うこともできる。特定の実施形態において、弾性のメルトブロー繊維または織物は、50℃または60℃から130℃または160℃までの範囲内の温度でアニーリングする。織物の熱アニーリングは、織物を、上記範囲内の温度で、1秒間から1分間、好ましくは1〜10秒の間の時間維持することによって行われる。アニーリング時間および温度は、任意の特定のコポリマーまたはコポリマー組成に応じて調整することができる。別の実施形態において、メルトブロー織物は、低い張力でのカレンダー加工(calendaring)中加熱したロールにより単一ステップでアニーリングすることができる。他の実施形態では、メルトブロー織物は、製造後の加工をほとんど、さらにはまったく必要としない。
【0057】
形成する多層構造体を、多層構造体をハイドロエンタングリング装置に通過させることによって、よって高速水流で繊維を互いにかみ合わせ、エンタングリングすることによって、弾性繊維のウェブを、互いにまたは他の隣接する織物層とさらに結合させることでさらに処理する。ハイドロエンタングリングは、当技術分野で公知であり、A. M. Seyamら, “An Examination of the Hydroentangling Process Variables,” INT’L NONWOVENS J., pp. 25-33 (Spring2005)においていくらか詳細に記載されている。
【0058】
上述されているように、繊維は、連続的(長繊維)または不連続(短繊維)とすることができる。長繊維は、60、好ましくは200〜500を超える長さと直径のアスペクト比を有することになり、短繊維は、60、好ましくは20〜60未満の長さと直径のアスペクト比を有することになる。メルトブロー織物の6.45cm2(1平方インチ)当たりの繊維数(繊維密度)は、20繊維/6.45cm2(繊維/in2)、40繊維/6.45cm2(繊維/in2)、または50繊維/6.45cm2(繊維/in2)の低い範囲から、100繊維/6.45cm2(繊維/in2)、250繊維/6.45cm2(繊維/in2)、または500繊維/6.45cm2(繊維/in2)までの高い範囲が好ましい。適切な範囲はまた、25繊維/6.45cm2(繊維/in2)〜400繊維/6.45cm2(繊維/in2)、50繊維/6.45cm2(繊維/in2)〜300繊維/6.45cm2(繊維/in2)、60繊維/6.45cm2(繊維/in2)〜200繊維/6.45cm2(繊維/in2)、20繊維/6.45cm2(繊維/in2)〜80繊維/6.45cm2(繊維/in2)、および30繊維/6.45cm2(繊維/in2)〜70繊維/6.45cm2(繊維/in2)を含む。
【0059】
特定の層ブレンド
1つまたは複数の好ましい実施形態において、多層複合材の少なくとも1つの層または織物は、少なくとも1つのプロピレン−α−オレフィンコポリマー(「PCP」)を含むことができる。この少なくとも1つの層は、1つまたは複数のポリプロピレンを含んでもよい。例えば、少なくとも1つの層は、50質量%の1つまたは複数のプロピレン−α−オレフィンコポリマーおよび50質量%の1つまたは複数のポリプロピレン樹脂を含有することができる。層内のプロピレン−α−オレフィンコポリマー樹脂の量は、少なくとも5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、85質量%、90質量%、95質量%、97質量%、98質量%、99質量%、または100質量%とすることができる。層の範囲は、本質的にプロピレン−α−オレフィンコポリマー樹脂からなることができる。層内のプロピレン−α−オレフィンコポリマー樹脂の量はまた、およそ40質量%、50質量%、または60質量%の低い範囲から、およそ75質量%、85質量%、または100質量%の高い範囲までとすることができる。層内のポリプロピレン樹脂の量は、およそ1質量%、5質量%、または10質量%の低い範囲から、およそ20質量%、40質量%、または60質量%までの高い範囲とすることができる。好ましいPCPは、およそ12質量%からおよそ20質量%、またはおよそ13質量%からおよそ16質量%、またはおよそ14からおよそ15質量%、またはおよそ15質量%までのエチレン含有量を有する。好ましいPCPは、さらにおよそ10dg/分からおよそ30dg/分、およそ12dg/分からおよそ25dg/分、またはおよそ14dg/分からおよそ23dg/分、またはおよそ16dg/分からおよそ21dg/分、またはおよそ18dg/分からおよそ19dg/分、またはおよそ18dg/分のnMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)を有する。好ましいPCPは、75J/g以下、70J/g以下、65J/g以下、60J/g以下、または57J/g以下の融解熱(Hf)を有し、Hfは、およそ30、35または40J/gの低い範囲から、およそ55、65、または75J/gの高い範囲までとすることができる。
【0060】
1つまたは複数の好ましい実施形態において、多層複合材の少なくとも1つの層は、少なくとも1つのプロピレンベースまたはエチレンベースのホモポリマー、または、エチレンおよびC4−C10α−オレフィン(プロピレンベースのポリマー)およびC3−C10α−オレフィン(エチレンベースのポリマー)から選択されるコモノマー由来のユニットのランダム、ブロック、もしくはグラフトコポリマー(0(すなわち、ホモポリマー)、または0.1質量%または1質量%または2質量%または5質量%から10質量%または15質量%または20質量%または45質量%のポリマーを含む)を含む。好ましくは、多層複合材の少なくとも1つの層は、織物層/組成物のおよそ50質量%〜99質量%;または60質量%〜95質量%;または50質量%〜90質量%;または55質量%〜85質量%の範囲内の1つまたは複数のポリプロピレンを含む。1つまたは複数の実施形態において、多層複合材の少なくとも1つの層は、基本的に1つまたは複数のポリプロピレンからなる。
1つまたは複数の好ましい実施形態において、多層複合材の少なくとも1つの層または織物は、ポリプロピレンと50質量%未満の1つまたは複数のブレンド成分のブレンドを含む。このブレンド成分は、1つまたは複数のインパクトコポリマー、1つまたは複数のランダムコポリマー(RCP)、1つまたは複数のポリエチレン、20,000g/モル未満のMwを有する1つまたは複数のポリエチレン、20,000g/モル未満のMwを有する1つまたは複数のポリプロピレン、1つまたは複数のポリα−オレフィンまたは任意のこれらの組合せ(複数可)とすることができる。ブレンド成分(ポリプロピレンではない)の量は、およそ0.5質量%、1質量%、または5質量%の低い範囲から、およそ30質量%、40質量%、または50質量%までの高い範囲の量で存在することができる。例えばブレンド成分の量は、およそ1質量%〜49質量%、またはおよそ5質量%〜45質量%、またはおよそ5質量%〜40質量%、またはおよそ5質量%〜25質量%とすることができる。
【0061】
好ましい多層複合材は少なくとも1つの対向層を有し、対向層の樹脂またはブレンドのMFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg)は、2,000dg/分(g/10分)未満、好ましくは1,500dg/分以下、1,200dg/分以下、900dg/分以下、600dg/分以下、300dg/分以下、200dg/分以下、150dg/分以下、100dg/分以下、または90dg/分以下である。特定の実施形態において、伸長性樹脂またはブレンドのMFRは、およそ50dg/分、75dg/分、または80dg/分の低い範囲から、およそ250dg/分、500dg/分、または1,000dg/分までの高い範囲とすることができる。対向層の樹脂またはブレンドのMFRはまた、およそ20dg/分、30dg/分、または40dg/分の低い範囲から、およそ90dg/分、120dg/分、または150dg/分までの高い範囲とすることができる。対向層の樹脂またはブレンドのMFRはまた、およそ20dg/分、35dg/分、または45dg/分の低い範囲から、およそ65dg/分、80dg/分、または95dg/分までの高い範囲とすることができる。対向層の樹脂またはブレンドのMFRはさらに、およそ0.1dg/分、0.5dg/分、1dg/分、または5dg/分の低い範囲から、およそ30dg/分、40dg/分、70dg/分、または90dg/分までの高い範囲とすることができる。
【0062】
対向層の樹脂またはブレンドの質量平均分子量(Mw)は、500,000;400,000;300,000;または250,000未満が好ましい。例えば、対向層の樹脂またはブレンドのMwは、およそ50,000からおよそ200,000の範囲とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、対向層の樹脂またはブレンドのMwは、およそ50,000;80,000;または100,000の低い範囲から、およそ155,000;170,000;または190,000までの高い範囲とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、対向層の樹脂またはブレンドのMwは、およそ80,000からおよそ200,000;100,000からおよそ175,000;または140,000からおよそ180,000の範囲とすることができる。
【0063】
好ましい多層複合材は少なくとも1つの中心層も有し、中心層の樹脂またはブレンドのMFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg)は、好ましくは2,000dg/分(g/10分)未満、より好ましくは1,500dg/分以下、1,200dg/分以下、900dg/分以下、600dg/分以下、300dg/分以下、200dg/分以下、150dg/分以下、100dg/分以下、または90dg/分以下である。特定の実施形態において、中心層の樹脂またはブレンドのMFRは、およそ50dg/分、75dg/分、または80dg/分の低い範囲から、およそ250dg/分、500dg/分、または1,000dg/分までの高い範囲とすることができる。中心層の樹脂またはブレンドのMFRはまた、およそ20dg/分、30dg/分、または40dg/分の低い範囲から、およそ90dg/分、120dg/分、または150dg/分までの高い範囲とすることができる。中心層の樹脂またはブレンドのMFRはまた、およそ25dg/分、35dg/分、または45dg/分の低い範囲から、およそ75dg/分、85dg/分、または95dg/分までの高い範囲とすることができる。中心層の樹脂またはブレンドのMFRはさらに、およそ0.1dg/分、0.5dg/分、1dg/分、または5dg/分の低い範囲から、およそ30dg/分、40dg/分、70dg/分、または90dg/分までの高い範囲とすることができる。少なくとも1つの具体的な実施形態において、中心層の樹脂またはブレンドのMFRは、およそ2dg/分からおよそ90dg/分、およそ2dg/分からおよそ20dg/分、およそ3dg/分からおよそ90dg/分、またはおよそ3dg/分からおよそ20dg/分の範囲である。
【0064】
中心層の樹脂またはブレンドの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは500,000、400,000、300,000、または250,000未満である。例えば、中心層の樹脂またはブレンドのMwは、およそ50,000からおよそ290,000の範囲とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、中心層の樹脂またはブレンドのMwは、およそ50,000、65,000、または80,000の低い範囲から、およそ130,000、190,000、または290,000までの高い範囲とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、中心層の樹脂またはブレンドのMwは、およそ80,000からおよそ285,000、80,000からおよそ240,000、または80,000からおよそ140,000の範囲とすることができる。
【0065】
多層構造体弾性を特徴づける1つの方法は、以下の繰り返し試験手順でヒステリシス曲線を測定することである。一般的に、不織布の試料を、Instron Corporationから市販のInstron 1130装置を使用して1回または複数回延伸する。別途述べられていない限り、ヒステリシス曲線を作成するために本明細書中で使用される試験パラメータは、試料幅=2.54cm(1インチ)、試料長さ=7.62cm(3インチ)、ゲージ長、すなわちクランプ間の距離は2.54cm(1インチ)、クロスヘッドスピード、すなわち延伸力を加えるクランプ先端部のスピードは25.4cm/分(10in/分)である。本明細書で使用する場合「第1のサイクル」および「第2のサイクル」とは、個々の試料が延伸された回数を指す。
【0066】
試料の試験は、最初に不織布試料を特定された試料サイズに切断することから始まる。試料を最初にクロスヘッド/クランプ先端部に、次いで底面クランプに取り付けることによって、Instron 1130装置に各試験試料を載せる。クランプ間の距離は、特定されたゲージの長さである。試料には、事前に張力を加えない。
次いで、クロスヘッドスピード、すなわち延伸スピードである25.4cm/分(10in/分)を使用して、試料の長さで測定される、例えば、100%、または200%など、所望の歪みまで試料を延伸する。次いで試料を、いかなるホールドタイムもなく、同じクロスヘッドスピードで荷重ゼロに戻す。試料に加わる力を、伸長および収縮の間の歪みの関数として記録する。
さらなる特性決定のために試料を装置から取り除くか、または追加のサイクルデータ、例えば第2のサイクルデータが所望される場合、1回または複数回延伸する。第2のサイクルヒステリシス曲線は、第1のサイクルですでに試験した試料を再び組み込むことによって作成される。他に具体的に報告されていない限り、同じゲージ長を使用して試料を載せる。第1のサイクルに対して上述された手順と同じ手順を第2のサイクルに利用する。
【0067】
本明細書中で他に記載されていない限り、永久歪みとは、特定された歪みのパーセンテージとして表現される、特定された歪みから収縮した後に試料内に残存する歪みの量である。収縮後に、ゼロ荷重において試料内に残存する伸び(収縮曲線がx軸により切断される点で測定)を、そのサイクル中に試料が延伸した最大の伸びで割る。
本明細書中で他に記載されていない限り、50%の収縮力とは、所与の伸びまで延伸された後に試料によって生じ、この伸び分の半分まで試料を縮めることを可能にする力である。
本明細書中で他に記載されていない限り、ピーク荷重(0.45kg/2.54cm(lbs/in))とは、伸長中に試料に対して加えられる最大荷重の力(0.45kg(ポンド))を、試料の幅(2.54cm(インチ))で割ったものである。
本明細書中で他に記載されていない限り、ピーク力MD(N)とは、伸長中に試料に対して縦方向(MD)に加えられる最大の力(ニュートンで表現)である。
本明細書中で他に記載されていない限り、ピーク力CD(N)とは、伸長中に試料に対して横方向(CD)に加えられる最大の力(ニュートンで表現)である。
本明細書中で他に記載されていない限り、破断点での伸びMD(%)とは、縦方向への伸長後、破断点で測定された試料の長さの増加を、元のゲージ長で割ったもの(パーセンテージで表現)である。
本明細書中で他に記載されていない限り、破断点での伸びCD(%)とは、横方向への延伸後、その破断点で測定された試料の長さの増加を、元のゲージ長で割ったもの(パーセンテージで表現)である。
【0068】
製品
多層構造体は、以下の特性または特質のうちのいずれか1つまたは複数を必要とする用途に対して特に有用である:吸収性、撥液性、弾力性、延伸性、柔軟性、強度、難燃性、洗浄性、緩衝性、フィルタリング、細菌バリアおよび滅菌性。例示的用途および使用として、中でも衛生、医療用、フィルターおよびジオテキスタイルなどを挙げることができるが、これらに限らない。
例えば、多層構造体を使用することによって、幼児用おむつ、女性用衛生ナプキン、成人失禁用製品、個人用衛生ふき取り繊維、包帯、外傷用包帯、空気フィルター、液体フィルター、家庭用ふき取り繊維、店舗用タオル、電池セパレーター、真空洗浄剤バッグ、化粧品パッド、食品パッケージ、衣類、衣服、医療用の衣類、および使い捨て下着を作製することができる。特に適切な使用として、幼児用おむつの密封システム、パンツ型紙おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁用ブリーフおよびおむつ、包帯、ならびに他の使い捨てアイテムまたは処分可能なアイテムなどが挙げられる。
【0069】
一般的なフィルタリングの使用として、ガソリン、油および空気フィルター、水、コーヒーならびにティーバッグ、液体カートリッジならびにバッグフィルター、真空バッグ、ならびにアレルゲン膜などが挙げられる。例示的ジオテキスタイルおよびその使用として、土壌安定剤および道路の路盤、基礎安定剤、腐食制御、管状構造体、排水システム、ジオメンブレンの保護、霜よけ、農業根覆い、池および水路の水バリアならびに排水タイルのための砂浸潤バリアが挙げられる。
本明細書中に提供されている多層構造体の追加の製品および使用として、例えば、カーペットの裏当て、航海用帆の積層体、テーブルカバー積層体、細切りにしたストランドマット、機械刺しゅう用の裏当て/スタビライザー、梱包材料、断熱材、枕、クッションおよびクッションの詰め物、キルトまたは布団の詰め物、消費者用および郵送用の包装材料、タープ、ならびにテントおよび輸送(材木、スチール)用の包装材料などを挙げることができる。
全部の製品は、多層(multiplayer)構造体から形成することができるか、または多層構造体は、その個々のセクションまたは部分を形成することができる。例えば、幼児用おむつでは、多層構造体は、バックシート、羽根および/またはタブの少なくとも一部を形成することが想定される。
【実施例】
【0070】
前述の考察は、以下の非限定的な例を参照してさらに記載することができる。提供された例において、メルトブロー織物および多層構造体は、R. Zhao, "Melt Blowing Polyoxymethylene Copolymer," Int'l Nonwovens J., pp. 19-24 (Summer 2005)と同じ機器および条件を使用して形成された。具体的には、スピナレット穴の密度が50〜150穴/2.54cm(穴/インチ)の間のアレイダイを使用して、1200psi(6.89MPa)〜1700psi(10.34MPa)の範囲内の溶融圧力および200℃〜275℃の範囲内の溶融温度で作動する、Biax−Fiberfilm(商標)メルトブローライン(Biax−Fiberfilm Corp.、Greenville、WI)を使用することによって、メルトブロー織物および多層構造体を形成した。ラインは、押出し機、ダイ−ブロック、およびスピナレット、ならびに5psi〜20psi(34kPa〜138kPa)の範囲内の空気気圧および220℃〜260℃の範囲内の気温を供給するスピナレット用空気マニホールドを備えていた。
【0071】
各例において、18dg/分のMFRおよびおよそ15質量%のエチレン含有量を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマー(「PCP−01」)を、これら条件下で、Biax−Fiberfilm(商標)メルトブローラインを使用してメルトブローすることによって、織物および多層構造体を形成した。PCP−01を押出し機内で溶融ブレンドし、Biax−Fiberfilm(商標)アレイダイを介して、メルトブローしたPCP−01の形成する繊維の底面または前面に送られるスパンレース織物の伸長性構造体上へメルトブローした。繊維平均直径は、15μm〜45μmの範囲内であった。スパンレース織物(複数可)と接触させて2または3層の構造体を形成する場合、繊維が依然として溶融または部分的に溶融された状態にあるように、溶融温度およびスピナレットと通過するスパンレース織物の間の距離を調整した。
【0072】
表1は、2つの穴に配置された0.020”ノズルを有する15”ダイを使用して、低いスループット、およそ0.15ghmで、それぞれ生成された試料1から4についてのデータを示す。対向層は、スパンレースされた、PPおよびPET短繊維の30gsmの50/50ブレンドであった。
【0073】
表2は、4つの穴に配置された0.020”ノズルを有する15”ダイを使用して、低いスループット、およそ0.15ghmで、それぞれ生成された試料5〜8についてのデータを示す。対向層は、スパンレースした、30gsmの100%PP短繊維であった。純正の100試料は、15”ダイ、0.020”ノズル、2列、および0.145ghmを使用して、メルトブローしたPCP−01の単一層の織物であった。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
図5は、全織物坪量当たりのPCP−01坪量をx軸に、ピーク力@100%/収縮力@50%をy軸に取り、表1〜3で報告された試料をグラフを使って描写している。x軸1.0でのデータは、表3に記載されている100gsmの純正PCP−01織物を示している。これは、対向層の相対量が低下し、弾性メルトブローPCP−01に対するこれらの拘束がゼロに近くなるにつれて、3層の積層体が接近すべき漸近的値を示している。
図5は、力の法則関係:y=Axb(式中、A=3であり、bは、ソフトな延伸性PP/PETの例(1〜4)に対して−1.67であり、bは、PPの例(5〜8)に対する2つの対向層に対して−2.75であった)に非常によく適合していることを示している。驚くことに、式y=Axb(式中、A=3、b=0→∞、x=ピーク荷重@100%/収縮力@50%、y=対向層の拘束)は、本多層構造体の工程を使用して作製したPCP−01を含有する積層体の一般的な弾性の性能を説明していることが判明している。驚くことに、第2のヒステリシスサイクルの100%歪みでのピーク荷重と、50%歪みでの収縮力の比は一定であり、PCP−01に対する値は3であることが判明した。
【0078】
依然として図5を参照されたい。異なる対向層は、yの値で定義される拘束の異なるレベルを導入することが発見された。PCP含有量と、全織物坪量の比がx値で定義されたように低下するにつれて(すなわち、一定の対向層構造体に対してより少量のPCP)、ピーク力と収縮力の比は増加した。一定の対向層構造体に対するPCP含有量が低下するにつれ、拘束のレベルは、記載されている一般的な力の法則関係に従った。驚くことに、対向層の性質を変化させると拘束のレベルが変化した。しかし、一般的な力の法則が適用され、力のみが変化する。
【0079】
対向層が付与する拘束が少ないほど、「b」値は低い。逆に、対向層によって課される拘束が大きいほど、「b」値が大きくなる。2つの極端なケースがある。対向層がいかなる拘束も積層体に課さなかった場合、b=0であり、「y」値は、ちょうど対向層を持たない純正PCPの値と同じように、3と等しくなる。他方の極端なケースは、対向層が、一度100%に延伸されたら、50%以下にしか回復しないような極めて拘束力のある、堅いプラスチック層であった場合である。したがって、50%での収縮力が0の場合、比は無限大であり、bは無限大に近づく。
【0080】
以下に提供されているのは、さらに番号をつけた実施形態である:
【0081】
1.ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%からおよそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、
およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む第2のメルトブロー層と、
を含むメルトブロー複合材。
2.第2のメルトブロー層が、少なくとも60質量%のプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む、実施形態1に記載のメルトブロー複合材。
3.第2のメルトブロー層が、本質的にプロピレン−α−オレフィンコポリマーからなる、実施形態1または2に記載のメルトブロー複合材。
4.第1のメルトブロー層が、ホモポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらのブレンドを含む、実施形態1から3のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
5.第1のメルトブロー層が、少なくとも5質量%のポリプロピレンを含む、実施形態1から4のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
6.プロピレン−α−オレフィンコポリマーが、およそ15g/10分からおよそ20g/10分のMFR(ASTM D1238、2.16kg、230℃)を有する、実施形態1から5のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
7.プロピレン−α−オレフィンコポリマーのエチレン含有量が、およそ13質量%からおよそ16質量%の範囲である、実施形態1から6のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
8.各メルトブロー層が、10g/m2〜150g/m2の範囲内の坪量を有する、実施形態1から7のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
9.第1のメルトブロー層が、5g/m2〜300g/m2の範囲内の坪量を有し、第2のメルトブロー層が、15g/m2〜150g/m2の範囲内の坪量を有する、実施形態1から8のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【0082】
10.第1の材料をメルトブローすることによって、第1のメルトブロー層を形成するステップと、
第2の材料を、第1のメルトブローされた層の少なくとも一部上にメルトブローするステップであって、第2のメルトブロー層が、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含むステップと
を含む多層メルトブロー複合材を形成するための方法。
11.各材料が移動する表面上にメルトブローされる、実施形態10に記載の方法。
12.第2のメルトブロー層が、少なくとも60質量%のプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む、実施形態10または11に記載の方法。
13.第2のメルトブロー層が、本質的にプロピレン−α−オレフィンコポリマーからなる、実施形態10から12のいずれかに記載の方法。
【0083】
14.第1のメルトブロー層が、ホモポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらのブレンドを含む、実施形態10から13のいずれかに記載の方法。
15.第1のメルトブロー層が、少なくとも5質量%のポリプロピレンを含む、実施形態10から14のいずれかに記載の方法。
16.プロピレン−α−オレフィンコポリマーが、およそ15g/10分からおよそ20g/10分のMFR(ASTM D1238、2.16kg、230℃)を有する、実施形態10から15のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
17.プロピレン−α−オレフィンコポリマーのエチレン含有量が、およそ13質量%からおよそ16質量%の範囲である、実施形態10から16のいずれかに記載の方法。
18.各メルトブロー層が、10g/m2〜150g/m2の範囲内の坪量を有する、実施形態10から17のいずれかに記載の方法。
19.第1のメルトブロー層が、5g/m2〜300g/m2の範囲内の坪量を有し、第2のメルトブロー層が、15g/m2〜150g/m2の範囲内の坪量を有する、実施形態10から18のいずれかに記載の方法。
20.1つまたは複数の成分として、
ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%〜およそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、
ASTM D412に従い測定した場合、200%以上の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第2のメルトブロー層であって、少なくとも1つの樹脂が、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)、および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む第2のメルトブロー層と
を有する多層メルトブロー複合材を組み込んだ製造物品。
【0084】
特定の実施形態および特徴が、一組の数値的上限および一組の数値的下限を使用して記載されている。任意の下限から任意の上限までの範囲が、他に指示されない限り想定されることを理解されたい。特定の下限、上限および範囲が、以下の1つまたは複数の請求項に出現する。すべての数値的な値は、指摘された値の「およそ」または「約」であり、当業者であれば予想される実験誤差および変動を考慮に入れている。
様々な用語が上で定義された。請求項で使用された用語が上で定義されていない範囲では、少なくとも1つの印刷された刊行物または発行された特許において反映されるような、当業者がその用語に付与する最も広範な定義が付与されるべきである。さらに、本出願におけるすべての特許、試験手順、および引用された他の文献は、このような公開が本出願と矛盾しない範囲で、このような組み込みが認可されているすべての権限について、参照により完全に組み込まれている。
【0085】
以上は本発明の実施形態を対象とするものであるが、本発明の他のおよびさらなる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、以下に続く特許請求の範囲により決定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%からおよそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、
およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)、および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む第2のメルトブロー層と
を含むメルトブロー複合材。
【請求項2】
第2のメルトブロー層が、少なくとも60質量%のプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む、請求項1に記載のメルトブロー複合材。
【請求項3】
第2のメルトブロー層が、本質的にプロピレン−α−オレフィンコポリマーからなる、請求項1または2に記載のメルトブロー複合材。
【請求項4】
第1のメルトブロー層が、ホモポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらのブレンドを含む、請求項1から3のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項5】
第1のメルトブロー層が、少なくとも5質量%のポリプロピレンを含む、請求項1から4のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項6】
プロピレン−α−オレフィンコポリマーが、およそ15g/10分からおよそ20g/10分のMFR(ASTM D1238、2.16kg、230℃)を有する、請求項1から5のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項7】
プロピレン−α−オレフィンコポリマーのエチレン含有量が、およそ13質量%からおよそ16質量%の範囲である、請求項1から6のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項8】
各メルトブロー層が、10g/m2〜150g/m2の範囲内の坪量を有する、請求項1から7のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項9】
第1のメルトブロー層が、5g/m2〜300g/m2の範囲内の坪量を有し、第2のメルトブロー層が、15g/m2〜150g/m2の範囲内の坪量を有する、請求項1から8のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項10】
第1の材料をメルトブローすることによって、第1のメルトブロー層を形成するステップと、
第1のメルトブローされた層の少なくとも一部上に第2の材料をメルトブローするステップであって、前記第2のメルトブロー層が、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)ならびに75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含むステップと
を含む多層メルトブロー複合材を形成するための方法。
【請求項11】
各材料が、移動する表面上にメルトブローされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2のメルトブロー層が、少なくとも60質量%のプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
第2のメルトブロー層が、本質的にプロピレン−α−オレフィンコポリマーからなる、請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
第1のメルトブロー層が、ホモポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらのブレンドを含む、請求項10から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第1のメルトブロー層が、少なくとも5質量%のポリプロピレンを含む、請求項10から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
プロピレン−α−オレフィンコポリマーが、およそ15g/10分からおよそ20g/10分のMFR(ASTM D1238、2.16kg、230℃)を有する、請求項10から15のいずれかに記載のメルトブロー複合材。
【請求項17】
プロピレン−α−オレフィンコポリマーのエチレン含有量が、およそ13質量%からおよそ16質量%の範囲である、請求項10から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
各メルトブロー層が、10g/m2〜150g/m2の範囲の坪量を有する、請求項10から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
第1のメルトブロー層が、5g/m2〜300g/m2の範囲の坪量を有し、第2のメルトブロー層が、15g/m2〜150g/m2の範囲の坪量を有する、請求項10から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の成分として、
ASTM D412に従い測定した場合、およそ50%からおよそ250%の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第1のメルトブロー層と、
ASTM D412に従い測定した場合、200%以上の極限伸び(UE)を有する1つまたは複数の樹脂を含む第2のメルトブロー層であって、少なくとも1つの樹脂が、およそ5質量%からおよそ20質量%のエチレン含有量、およそ10g/10分からおよそ30g/10分のMFR(ASTM−1238D、2.16kg、230℃)、および75J/g以下の融解熱を有するプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む、第2のメルトブロー層と
を有する多層メルトブロー複合材を組み込んだ製造物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−521168(P2013−521168A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557055(P2012−557055)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024589
【国際公開番号】WO2011/112311
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】