説明

弾性積層体のレーザー活性化

少なくとも一面で繊維性表層に結合される弾性層を提供することにより、実質的に非弾性の積層体を弾性状態に活性化する方法が提供される。積層体は、穿孔レーンの方向とほぼ横断方向に、延伸性及び弾性である積層体を形成する少なくとも1領域の穿孔レーンに沿って、少なくとも1つの繊維性表層の繊維を切断するために、レーザー光の下に向けられる。この積層体は、特に、パーソナルケア物品での使用のために適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布材料に一方、又は両方の面で結合される、押出成形された熱可塑性弾性フィルムを含む、延伸可能な弾性フィルム積層体、このような弾性不織布積層体、及びこれらが使用される使い捨て衣類(おむつ、トレーニングパンツ、並びに成人失禁用ブリーフを含む)などの製品の作製のための、方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性不織布積層体は、おむつ、成人失禁用製品、女性衛生などの使い捨て吸収性物品の分野での使用のために、非常に望ましい。弾性フィルムはそれのみでは、扱い難く、望ましくない触感及び強度特性を有する。これら、又は他の理由のために、当該技術分野は、不織布を弾性フィルム及びウェブに積層することを提案してきた。不織布は弾性材料を強化し、柔軟かつ非粘着性の感触を提供する。問題は、取り付けられた不織布はまた、積層されると、弾性特性をほとんど、又は全く有さない積層製品を生じる傾向にあることである。米国特許第2003/0087059号などの多くの特許が、この問題に取り組んできた。多くの提案される解決法が、弾性不織布積層体を「活性化する」方法を対象としてきたが、これは一般的に、不織布、及び/又は不織布と弾性部間の望ましい弾性の方向の結合を、一般的には延伸によって、弱化することを伴う。即ち、弾性不織布積層体は、様々な技術によって、形成され、次に張力下に置かれ、そして延伸される(米国特許第5,156,793号、又は同第7,039,990号参照)。この延伸は、取り付けられた不織布、及び/又は不織布と弾性部の間の結合を弱化し、下部の弾性部を、より自由に延伸及び回復させる。この延伸活性化アプローチの1つの問題は、低い延伸において、積層体全体の均一な延伸を得ることが難しいことであり、これは、積層体を弾性フィルムの自然延伸比まで延伸することによって対処することができる。しかしながら、積層体が、積層体の均一な延伸を得るために、弾性フィルムの自然延伸比まで延伸された場合、弾性特性は望ましいものではない場合があり、及び/又は積層体が破断することがある。
【0003】
米国特許第5,789,065号に記載される、横断方向の弾性特性を得るための、別の提案される方法は、弾性シートに適用する前に、ネックを付けられた、不織布タイプの布地を使用することである。これは、弾性フィルムなどに積層する前に、延伸された際に「ネック」インする、ある種の不織布、又は他の布地を延伸することである。ネッキングは、不織布などの幅を、不織布を長さ方向に延伸することによって、減少させるプロセスである。全ての不織布がネック可能であるわけではなく、ネック可能なものは、異なる度合いで、及び異なる度合いの均一性でネックインするため、所望の最終製品特性に応じ、不織布の選択に注意を払う必要がある。結果的に生じるネックを付けられた不織布は、引き続いて、幅、又は横断方向で、少なくともその元の幅、又は横断方向寸法まで、比較的容易に延伸する。ネッキングプロセスは、典型的に、供給ロールからシートを巻き出し、所定の線速度で駆動する、ブレーキニップロールアセンブリを通過させることを含む。米国特許第4,965,122号及び同第5,789,065号の実施例で開示されるように、ブレーキニップロールよりも高い線速度で動作する、巻き取りロールは、布地を引っ張り、延伸及びネックする必要のある布地に、張力を生じる。第5,789,065号特許は、不織布材料の縁部がより高い度合いでネックし、中央領域でより低い度合いでネックする、ネックされる材料の不均一な特性として、ネッキングの問題を記載している。これは、縁部における、弾性不織布積層体の中央に対する、得られる弾性不織布積層体の特性の違いを生じる。
【0004】
米国特許第5,804,021号は、機械方向、又は横断方向に延びるスリットを提供することによって、不織布を弱化する、別の方法を開示している。機械方向スリットは、弾性不織布積層体の横断方向弾性を可能にし、横断方向スリットは、弾性不織布積層体の機械方向の弾性を可能にし、即ち、弾性特性は、下部の弾性部がいずれかの方向に弾性であることを前提として、スリットの方向と垂直である。スリットを入れることによって弱化された不織布は、積層の前に行われる場合に不織布材料の取り扱いを困難にし、積層後にスリットを入れることについては言及されているものの、積層後に不織布層に良好にスリットを入れる方法については、具体的な方法は開示されていない。
【0005】
PCT国際公開第04/060666号、米国公開特許第2005/0158513号、及び同第2004/0241389号に開示されるように、弾性不織布積層体を穿孔することもまた提案されてきた。これらの全ての文献において、このプロセスは、積層体の弾性回復特性を大幅に低減し得ることが注意されており、この望ましくない弱化を軽減するとされている、この穿孔を行うための、具体的な方法が提案されている。穿孔方法及びネッキング方法は双方とも、積層体の延伸及び回復、即ち、延伸及び収縮の度合い及び方向、延伸の均一性、並びに/又は弾性積層体の製造の経済性、という点において、弾性積層体の作製に関する制限を有し、これによってこのような積層体の用途を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パーソナルケア製品などの用途のための、望ましい延伸及び回復能力を有する、経済的な弾性積層体を製造するために、下部の弾性フィルムを弱化、又は損傷することなく、予測可能な弾性回復特性を備える積層体を生じる、延伸、積層前の不織布の切断、又は得られる積層体の穿孔以外の方法により、不織布弾性フィルム積層体を弱化させる実用的な方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の方法は、実質的に非弾性又は低弾性の積層体を、弾性状態又はより弾性的な状態に活性化する。弾性層は少なくとも1つの面で、繊維性の表層に結合され、これは、積層体を実質的に非弾性又は弾性層より低弾性にする。この積層は、次に、少なくとも1領域において、穿孔レーンに沿って、少なくとも1つの繊維性表層の繊維を切断するために、一連のレーザー光の下に向けられる。穿孔レーンは、穿孔レーンの方向に対してほぼ横断方向に、延伸性及び弾性である、積層体を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は本発明の様々な態様の説明及び理解の補助としてのみ提示され、本発明を制限するものとして理解されない。
【図1a】図1bに図示される、レーザースリット弾性積層体の端面図。
【図1b】弾性部が、横断方向のストリップとして提供される、レーザースリット弾性積層体の平面図。
【図2】実施例2の、本発明による積層体の、レーザー出力に関する弾性延伸特性のグラフ。
【図3a】図3bに図示される弾性積層体の端面図。
【図3b】別個に形成される弾性パッチを有する、レーザースリット弾性積層体の平面図。
【図4】実施例3の異なるレーン間隔における、延伸性能のグラフ。
【図5】実施例7の材料に関する、力対延伸のグラフ。
【図6】実施例8の、別の活性化レーンパターン。
【図7】活性化レーンの顕微鏡写真。
【図8】活性化レーンの顕微鏡写真。
【図9】一実施形態による、本発明の活性化プロセスの概略図。
【図10】実施例1の本発明による異なるパターンの弾性部を有する、弾性積層体の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、典型的には、フィルム、繊維、又はウェブなどの弾性材料層を含み、それらの表面の間に厚さを有する第1及び第2主面、並びに、弾性層の主面の少なくとも一方に結合される、少なくとも1つの不織布又は繊維性表層を有する弾性積層体を対象とする。「結合」とは、本明細書で使用するとき、少なくとも点、又は領域において、2つ以上の層を恒久的に取り付けることを意図した、接着剤、熱接着、超音波接着、押出結合などを含むあらゆる種類の接着を含む。しかしながら結合は、弾性部が、少なくとも1つの不織布、又は繊維性表層中に、著しく、又は実質的に貫通する押出結合を含まない。少なくとも1つの不織布表層が、積層後に、集束したレーザー光放射によって、切り込みを入れられるか、又は切断され、下部の弾性材料を、切り込むことなく、不織布又は繊維性表層を形成する繊維を、部分的に、又は完全に切断し、積層体を活性化して望ましい所定の弾性性能を提供する。一般的に、不織布、又は繊維性表層材料は、熱可塑性フィラメント又は繊維のウェブを含み、繊維は、単一成分及び/又は多成分の種類の繊維であり得る。
【0010】
用語「多成分」又は「2成分」とは、少なくとも2つの別個の押出成形機から押し出されるが、合わせて紡糸されて、1つの繊維を形成する、少なくとも2つのポリマーから形成されるフィラメント、又は繊維を指し、また、本明細書において「複合」繊維とも称されることがある。「2成分」は、2つのみの構成成分ポリマーに限定することを意味しない。複数個のポリマーは、2成分繊維の横断面にわたって実質的に連続的に位置する別個ゾーンに配置され、2成分繊維の長さに沿って連続して延びる。このような多成分、又は2成分繊維の構成は、例えば、1つのポリマーが、別のポリマーに囲われるシース・コア構成であってもよく、又はサイド・バイ・サイド、A/B構成、若しくはA/B/A、サイド・バイ・サイド(バイ・サイド)構成であってもよい。2成分繊維において、ポリマーは、75/25、50/50、25/75の割合、又は他の任意の望ましい割合で存在してもよい。色素及び界面活性剤などの、従来の添加物が、一方、又は両方のポリマー流れに組み込まれるか、又はフィラメント表面に適用されてよい。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「弾性の」「エラストマーの」及びその諸形態は、バイアス力を適用した際に、伸縮可能、即ち、伸長可能、又は延伸可能であり、延伸、伸長力を取り除いた際に、その元の形状に向かう力によって戻る、任意の材料を意味する。弾性部は、一般的には50%、又は40%未満である、一定の永続的固定を含み得る。この用語は、前駆体構造体に適用された後に、熱活性化される、又は別の方法でその後処理されて、弾性を誘発する、前駆体エラストマーを含み得る。用語「延伸性」及び「延伸可能」は、少なくとも一方向に延伸可能であるが、弾性とみなされるために十分な回復を必ずしも有さない材料を、互換的に指す。
【0012】
本明細書で使用するとき用語「弾性材料」又は「弾性フィルム」は、フィルム、繊維、スクリム、フォーム、又は弾性の材料の他の層などの、材料を含む。
【0013】
「層」は、単数で用いられる場合、単一の要素、又は複数の要素の、二重の意味を有し得る。層は、例えば、平行であるか、若しくは交差している場合がある、多数の延びるフィラメント、又は一連の別個に配置される弾性要素であり得る。本明細書で使用するとき、用語「機械方向」又はMDとは、これが製造される方向の、布地の長さを意味する。用語「横断方向」若しくは「機械横断方向」又はCDとは、布地の幅、即ち、機械方向とほぼ垂直な方向を意味する。
【0014】
「パーソナルケア製品」又は「パーソナルケア吸収性物品」とは、おむつ、拭き取り用品、トレーニングパンツ、吸収性アンダーパンツ、成人失禁用製品、女性衛生製品、包帯などの創傷保護品、及び他の同様の物品を意味する。
【0015】
用語「ポリマー」は一般的に、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーを含む)、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び変性を、非制限的に含む。更に、特に限定されない限り、用語「ポリマー」は、材料の全ての可能な幾何学的構造を含むものとする。これらの構造としては、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が挙げられるがこれらに限定されない。
【0016】
「不織布」とは、交互に置かれるが、編生地におけるような特定可能な様式ではない、個々の繊維又はフィラメントの構造を有する材料の、ウェブ又は層を指す。不織布、又は不織ウェブは、例えば、押出成形プロセス、プロセス、メルトブローイングプロセス、スパンボンドプロセス、エアレイイングプロセス、及び接着されたカードウェブプロセスなどの多くのプロセスにより、又はフォーム材料から、形成される。不織布の坪量は通常、平方ヤード当たりの材料のオンス(osy)、又は平方m当たりのg(g平方m2)で表現され、繊維径は通常マイクロメートル、又はデニールで表現される。不織布を形成する繊維は、単一層、又は多成分繊維若しくはフィラメントであり得る。繊維又はフィラメントは、弾性及び/又は非弾性の熱可塑性ポリマー、又はブレンドで形成され得る。非弾性の種類のポリマーは、これらがレーザー穿孔の前に寸法が安定的であり、レーザー穿孔の後も依然として、少なくとも一方向、又は一範囲において、寸法が安定的である、積層体を製造することができるために、好ましい。
【0017】
「活性化」若しくは「活性化する」又はこれらの諸態は、2つ以上の、穿孔レーンとも称されるレーザー活性化レーンの使用によって、不織布又は繊維性表層を所定の方向に切断、又は弱化することにより、他の方向では容易に延伸しない一方向で、少なくとも1つの不織布又は繊維性表層を弱化させることを指す。穿孔レーンは、所定の方向に延び、これは真っ直ぐであっても、曲がっていてもよく、この方向は弾性積層体の意図される活性化の方向と、ほぼ垂直である。不織布又は繊維性表層が、弾性層の両面で使用され、一方の不織布、又は繊維性表層のみが、本明細書に記載されるように、活性化される場合、反対側の不織布又は繊維性表層は、積層体の意図される弾性の方向に延伸性であるべきである。一般的に、積層体の両側を、本発明による穿孔レーンを用いて同じ方向に活性化することは、これが、積層体が延伸された場合に破断する可能性を実質的に増すために、好ましくない。積層体の両面を活性化する場合は、積層体の対向する面上の穿孔レーンは、ずらして配置されるべきである。積層体の対向する面上の、重なり合うレーンは、弾性層の破断の可能性を増す。
【0018】
不織布又は繊維性表層を形成する繊維又はフィラメント、若しくは別の様式で表層を形成するポリマーは、レーザー放射を本質的に吸収するか、又は、その繊維の少なくとも層中に、又はその上にコーティングされて、追加のレーザー放射吸収化合物を含み、この化合物が入射レーザー光線を吸収することができる。吸収染料が組み込まれる場合、その機能は、入射光を吸収してこれを熱に変換し、照射される部位における、より効率的な加熱をもたらすことである。染料が赤外領域を吸収することが好ましい。典型的な吸収剤としては、粘土、雲母、TiO2、炭酸塩、酸化物、タルク、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩、並びにカーボンブラックを挙げることができる。赤外線吸収剤としては、無機赤外線吸収剤及び有機吸収剤が挙げられる。無機赤外線吸収剤としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、及び酸化ビスマスを挙げることができる。有機赤外線吸収剤としては、例えば、フタロシアニン、ナフタロシアニン、及びアントラキノンが挙げられる。単独、又は組み合わせて使用することができる、好適なNIR(近赤外線吸収)染料の例としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物、シアニン染料、スクアリリウム染料、カルコゲノピリオアクリリデン染料、クロコニウム染料、金属チオレート染料、ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料、オキシインドリジン染料、ビス(アミノアリール)ポリメチン染料、メロシアニン染料、並びにキノイド染料が挙げられる。赤外線吸収材料が、米国特許第4,778,128号、同第4,942,141号、同第4,948,778号、同第4,950,639号、同第5,019,549号、同第4,948,776号、同第4,948,777号、及び同第4,952,552号に開示され、その内容が全体を通じ、参考として本明細書に組み込まれる。
【0019】
用語「穿孔する」、「穿孔」、又は「穿孔された」などは、積層体の活性化を行うために使用される、不織布又は繊維性表層のレーザー切断部又は孔を指す。レーザー穿孔は、一般的に、幅10マイクロメートル〜1000マイクロメートル、又は50〜500マイクロメートルであり、これらの幅寸法から、本明細書に記載されるようにレーザー穿孔される積層体の全幅、又は全長にまで及び得る。穿孔の「長さ」寸法は、穿孔レーンの方向であり、これは、活性化の後の、積層体の望ましい弾性特性と、ほぼ垂直の寸法である。積層体の全長又は全幅に、連続的な様式で及ぶ穿孔は、一般的に、処理されるウェブ上のあらゆる所定の位置において、一定の弾性特性を有するウェブを生成する。これは、単一の連続的な穿孔、又は分離した穿孔の、規則的な反復パターンであり得る。長さ方向の寸法における、穿孔の非連続的な領域が、分離した弾性領域をつくるために使用され得る。個々のレーザー穿孔は、一般的に、少なくとも1mm、又は1cmの長さであり、真っ直ぐなレーンで、又は、ある好ましい実施形態では、曲がったレーンとしての、点であるか、レーンセグメントとして延びてもよく、これは、個別に、又は一連の点又はレーンセグメントとして、穿孔レーンを形成する。得られる積層体は、穿孔レーンの長さ寸法に対してほぼ横断方向に弱化され、下部の弾性材料を、この方向に延伸及び回復させる。例えば、穿孔レーンが、全て実質的に平行である場合、得られる製品は、一般的に、これらの平行の穿孔レーンに対して横断方向に弾性となり、平行の穿孔レーンの長さ方向の範囲に沿って、ほぼ非弾性、又はより低弾性となる。穿孔が分離した孔などである場合、得られる積層体は、分離した穿孔によりつくられる、得られる穿孔レーンに対して横断方向である積層体方向に、より延伸性となり、結果的に弾性となる。分離した穿孔によってつくられる、穿孔レーンは、また単に、いかなる特定可能なレーンにも延びていない分離した穿孔の配置であることもでき、レーン方向は、穿孔がより集中する方向であり、このような配置は、一般的に、複数の穿孔レーンの形成としてみなされる。
【0020】
例えば曲線状に、2つ以上の方向で延びる穿孔レーンを使用することにより、より複雑な弾性特性を得ることができる。曲がった穿孔レーンは、積層体の異なる点、又は領域において、異なる方向に延びる、弾性積層体をつくることができる。異なる点で異なる方向に延びる弾性材料は、係合する身体の部分が、異なる点において異なる方向に曲がる又は動く、一定の衣類の用途において、非常に望ましい。
【0021】
弾性層として、本発明の実施において有用な、エラストマー熱可塑性ポリマーは、ブロックコポリマー、例えばポリウレタン、コポリマーエステル、ポリアミドポリエーテルブロックコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、一般式A−−B−−A’又はA−−Bを有するビニルアレーン(例えば、スチレン)含有ブロックコポリマー、例えばコポリ(スチレン/エチレン−ブチレン)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン、(ポリスチレン/ポリ(エチレン−ブチレン)/ポリスチレン、ポリ(スチレン/エチレン−ブチレン/ポリスチレン)、メタロセン−触媒エチレン−(ブタン、又はヘキサン、又はオクタン)コポリマーの、約0.866〜0.910g/cm3の密度のもの)、及び高度に立体規則性の分子構造のものなどから作製されるものであり得るが、これらに限定されない。
【0022】
有用なエラストマー樹脂としては、一般式A−−B−−A’、又はA−−Bを有するブロックコポリマーが挙げられるがこれらに限定されず、式中、A及びA’は、それぞれ、ポリ(ビニルアレーン)などの、ビニルアレーン部分を含む熱可塑性ポリマー末端ブロックであり、これは典型的にはスチレンであり、式中Bは、エラストマーポリマー中央ブロック、例えば、共益ジエン、又は低級アルケンポリマーである。A−−B−−A’の種類のブロックコポリマーは、A及びA’ブロックについて、異なる、又は同じ熱可塑性ブロックポリマーを有することができ、存在するブロックコポリマーは、直鎖、分岐、及び放射状ブロックコポリマーを包含することを意図される。これに関し、放射状ブロックコポリマーは、(A−−B)m−Xと指定されてもよく、式中、Xは、他官能性原子、又は分子であり、ここで、各(A−−B)m−は、Aが末端ブロックである様式で、Xから放射する。この放射状ブロックコポリマーでは、Xは、有機又は無機官能性原子又は分子であってよく、mは、Xに元々存在する官能基と同じ値を有する整数である。これは通常、少なくとも3であり、多くの場合4、又は5であるが、これに限定されない。したがって、本発明において、「ブロックコポリマー」という表現、並びに、特にA−−B−−A’及びA−−Bブロックコポリマーは、このような、上記のゴム状ブロック及び熱可塑性ブロックを有する全てのブロックコポリマーを包含することを意図され、これは、非制限的にブロックの数に応じて押出成形され得る。A−−B−−A−−Bテトラブロックコポリマーもまた、上記のブロックコポリマーとしてみなされ、やはり弾性層として、本発明の実施に使用され得る。
【0023】
エラストマーポリマーとしてはまた、エチレンのコポリマー、及び少なくとも1つのビニルモノマー、例えば、ビニルアセテート、不飽和脂肪族モノカルボン酸、並びにこのようなカルボン酸のエステルが挙げられる。エラストマーコポリマー及びこれらのエラストマーコポリマーからのエラストマー不織ウェブの形成は、例えば米国特許第4,803,117号に開示される。
【0024】
エラストマー材料はまた、多層フィルム材料であってもよい。加えて、エラストマーフィルムは、1つ以上の層が、非弾性フィルム層である、多相フィルム材料であり得る。後者の種類の弾性ウェブの例は、米国特許第5,885,908号、同第5,344,691号、同第5,501,679号、及び同第5,462,708号を参照とし、その内容が全体を通じ、参考として組み込まれる。
【0025】
弾性層はまた、線状、若しくは台形などの規則的な幾何学的形状、又は、その内容が全体を通じ、参考として組み込まれる、米国特許公報第2003/0087059号に記載されるような、ロール転写プロセスによって形成される不規則な形状として、別個に適用されてもよい。この特許文献は、熱可塑性エラストマー材料を、分離した形状で、ロールの外側表面へ転写してから少なくとも部分的にまだ融解状態の熱可塑性エラストマーを、分離した形状で、ウェブ、一般的には不織ウェブに転写することを記載している。熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、少なくとも部分的に不織ウェブ材料に浸透するが、これが接着することを確実にするために十分な程度しか浸透しない。エラストマー組成物は、不織布に完全に浸透するべきではなく、完全な浸透は、エラストマーの弾性を低減し、本発明の方法による、不織ウェブの弱化による活性化を阻害する。あるいは、不織ウェブは、接着剤によって予備コーティングされてもよく、それによって、ロール上の熱可塑性エラストマーポリマーは、少なくとも部分的には接着によって不織布に転写され、これは、熱可塑性エラストマー組成物によって不織布の繊維を被包することを、ほとんど、又は全く必要としない。この積層プロセスは、積層体の異なる領域において、異なる弾性部の厚さを有する弾性層をつくることを可能にする。分離した弾性部の形状及び厚さを有する、この種類の弾性層は、弾性部が通気性でなく、連続的なフィルムである場合に、通気性を生じるために使用され得る。特に、レーザー出力及び/又は収束は、より厚い弾性領域、又は領域における弾性性能に影響を及ぼすことなく、不織ウェブ及び弾性層のより薄い領域の弾性部の両方を弱化するために、調節され得る。積層体がその後延伸されると、弾性部は、これらの薄い弱化領域で破断して通気性を生じることができ、一方で、より厚い弾性領域によって積層体の一体性及び弾性性能を維持することができる。図1a及び1bにおいて、この実施例が図示され、ここで、弾性層3は、一連の厚い横断方向(幅寸法に延びる)レーン、又はより薄い弾性部3”を間挿するストランド3’である。レーザー穿孔レーン5は、長手方向6に走る上部不織布層2を切断する。レーザー穿孔レーン5が弾性部3”のより薄いレーンと交差する場所において、これらは、弾性積層体がその後、横断方向7に延伸されたときに容易に破断する、点又は領域8をつくる。これは、弾性部の長手方向ストランドが長手方向と横断方向の弾性ストランドの間に所定の穿孔を備える必要なく、まだ無傷の弾性層3及び付着する不織布層4によって、長手方向に一体性を有する、網状の弾性積層体を生じる。
【0026】
レーザー処理アセンブリにおいて、図9に図示されるように、積層体10の一方の面上の、外側不織布層が、好ましくは少なくとも一方向で、連続的に、又は非連続的に延びる、真っ直ぐな、又は曲がった穿孔レーンに沿って穿孔される。非連続的な穿孔レーンでは、外側不織布表層は、真っ直ぐな、又は曲がった穿孔レーンとして、やはり所定の方向に延びる一連の分離したスポットによって穿孔され得る。スポット、とは、円形から、真っ直ぐ又は曲がった様式で延びるレーンセグメントまで、任意の形状であり得る、穿孔を意味する。レーザー穿孔レーンは、弾性積層体がその後容易に延びて弾性特性を呈し得るが、破断はしないように、一般的に離間している。レーザー穿孔レーンの間隔が狭すぎると、積層体は、弾性層の弱化のために延伸した際に、破断する傾向を有する。レーザー穿孔レーンの間隔が広すぎると、積層体は、積層体がその後延伸した際に、あまりに少ない場所に圧力が集中するために、やはり破断する傾向を有する。多数の離間したレーザー穿孔レーン又は線は、間隔が異なっていてもよいが、一般的には、平均で1〜5mm、又は2〜4mm離間している。その後のレーザー処理される製品の延伸は、手、又は機械的方法によって行われてもよく、この機械的方法は、「背景技術」の項で記載された、既知の活性化方法を含み得る。既知の活性化方法を使用する場合、不織布層は、レーザー処理によって既に行われているため、弱化する必要はなく、そのため、遥かに均一で予測可能な弾性製品が得られる。
【0027】
本発明の積層体では、弾性層は、厚さが多様である場合には、一般的に50〜500マイクロメートル厚さ(最も厚い部分において)、又は100〜200マイクロメートル厚さである。不織布坪量は、レーザーにより処理される面では、一般的に、1m2当たり、15〜100g、又は一般的に、1m2当たり、20〜50gである。提供される場合、不織布の反対側の面は、活性化を必要とせずに延伸性となるように、一般的により低い坪量の不織布であり、一般的には1m2当たり10〜50g、又は1m2当たり15〜40gである。上記のように、最も厚い部分の弾性層は、構造的な一体性を提供し、一方では、より薄い弾性領域が提供されて、穿孔の形成を可能にし得る。穿孔レーンがつくられる、不織布又は繊維性表層は、下部の弾性層に焦げた部位をつくらずに、実質的に連続的な切断を可能にするために、十分に厚くあるべきである。例えば、ネット様の不織布は、レーザーを、下部の弾性層に焼きつかせる。しかしながら、不織布層が厚すぎると、高い生産速度において、不織布層を、所定の深さまで均一に切断することはより困難である。弾性的に活性化されることが望まれる領域では、幅30mm当たり、好ましくは少なくとも2つのレーザー穿孔レーン、及び好ましくは少なくとも10のレーンが存在する。レーザー穿孔レーンが、狭い間隔のスポットとして提供される場合、これらの分離したスポットは、一般的に、1000マイクロメートル未満、又は500マイクロメートル未満の間隔を有する。例えば図3bに図示されるように、レーン15は、差別的な特性を生じるように、異なる間隔を有しうる。
【0028】
図9を参照すると、レーザー11及び12は、単一で、若しくは組み合わせて、又は所望により更なるレーザーと共に使用され得る。光線16及び17は、ミラーアセンブリ13及び14にそれぞれ向けられ、積層体10の外側不織布又は繊維性表層上に所望のレーン構成及び設計をつくり得る。所望により、光線16及び17はまた、ビームスプリッターにより、複数の光線に分割され、次に、ミラーアセンブリ13及び14によって方向付けられてよい。
【0029】
好ましい実施形態では、1つ以上のミラーの使用により、レーザー光を集束させて、1つ、又は複数のパターンで、曲がった穿孔レーンをつくることができる。レーザーは、そのため、異なる範囲及び方向の弾性伸展性を有する、多様な異なるゾーンを有する積層体を提供することができる。これは、一度に通過する複数の集束したレーザー、又は図9で概略的に図示されるように、複数のレーザー処理工程による段階的な処理によって、行われ得る。この1つの用途は、おむつなどの衣類をつくるためのものであり、これは、腰部領域における一方向の弾性延伸、並びに、脚部領域、又は、更に弾性延伸性の方向及び弾性延伸性の度合いの両方において連続的に変化する弾性ゾーンにおける、異なる方向の弾性延伸を可能にする。これは、1つの所定の積層体の、後のプロセス操作により必要とされる、場所及び方法で、弾性を生じるために、非常に有効なツールである。同一の所定の積層体を使用して、無制限に多様な、活性化された弾性製品を形成することができる。
【0030】
既述のように、レーザーは、下部の弾性材料を除去するか、又はこれに顕著に影響することなく、不織布表層を穿孔するための、エネルギー源である。好ましい不織布層では、レーザー穿孔レーンのいずれかの側部において、穿孔レーンの側部に隣接した、収縮した融解領域を有する分離した繊維端が存在するように繊維が切断される。これらの収縮した融解領域に隣接する繊維領域(例えば、200又は100マイクロメートル)は、レーザー熱処理によって実質的に変化しない(即ち、レーザー穿孔レーン側縁部から離れた繊維の領域(例えば、200マイクロメートル以上)と実質的に同一の配向及び結晶化度を有する)。好ましい実施形態では、レーザーはまた、穿孔レーンにおける、弾性材料層に隣接する繊維の少なくともいくつかを、弾性材料に溶融させ、不織布の弾性層へのより確実な結合をつくり得る。レーザーのエネルギーは、レーザー穿孔レーンにおける繊維の少なくともいくつかを、溶解又は除去するために十分であるべきであり、それによって穿孔レーンにおける不織布ウェブを実質的に弱化するが、上記のように、ある所定の領域において所望されない限り、一般的に、下部の弾性層をいかなる有意な程度にも弱化させない。これは、積層速度、不織布の坪量、及びレーザー幅、並びに、とりわけレーザーの平均ピークエネルギーを調節することによって達成される。
【0031】
全ての「レーザー」(即ち、励起誘導放射による光増幅を表す)は光源であり、特に、毎秒3×1010センチメートルの速度で伝播する電磁放射線の形態であり、振動電場によって特徴付けられる。特に、レーザーは多くの利点を有する。第1に、レーザー光線は、プロセス位置にこれを送達させる距離にわたって、エネルギー、又はプロファイルを一定で分配しながら伝播するように生成され得る。このエネルギーの経路は、望ましい経路に沿って向けられるか、又は誘導され得る。更に、単位時間当たりのエネルギーの量、又はプロファイル中の、供給される出力もまた、制御することができる。更になお、レーザー光線プロファイルが集中、又は集束されて、プロセス位置の望ましい領域を暴露することができる。本明細書において記載されるように、不織布層の穿孔、又は切断のために、多くのレーザーの種類が好適であり得るが、赤外線レーザーが好ましい。好ましい赤外線レーザーは、CO2レーザーである。CO2レーザーは、連続的、又はパルス状レーザー放射のいずれかを提供し得る。このレーザーの種類は、溶接、掘削、加熱、及び熱処理における、工業的な用途を有してきた。CO2レーザーは、分子エネルギーレベルで作用する分子レーザーであり、二酸化炭素と窒素の混合物を使用する。二酸化炭素(CO2)レーザーの操作は、放電中の電子との衝突による、窒素分子の振動レベルの励起、続いて二酸化炭素分子の励起振動レベルへのエネルギー転移、及び続いて、この励起状態からの放射性崩壊を伴う。
【0032】
特に、10.6マイクロメートルの波長のCO2レーザーは、CO2レーザー光が集束されて、繊維性表層の、少なくとも最上部の繊維を、蒸発させるか、又は融解させ得るため、本発明の積層体の好ましい不織布繊維性表層の穿孔にとって非常に有用である。繊維を形成するポリマーは、レーザーエネルギーを吸収し、これを熱に転換し、これによって、繊維を除去、分裂、又は切断させる。上述の、レーザー穿孔の深さ及び量は、主に、レーザー出力、レーザー集束、及び並進速度に関係する。並進速度とは、レーザーエネルギーに暴露される積層体の表面が、レーザー光に対して移動する速度である。レーザー出力及び集束は、レーザーが、下部の弾性材料を除去するか又はこれに著しく影響することがないように、並進速度、繊維性表層厚さ、及び繊維性表層のエネルギー吸収特性に合わせられるべきである。レーザー暴露は、通常の張力下で、積層体の破断又は破裂を伴うことなく、弾性材料の延伸を可能にするために、十分なだけの繊維が切断又は弱化される限り、穿孔領域内の全ての繊維を、分断又は弱化する必要はない。CO2レーザー光はそのようなものとして、繊維性表層の繊維を、一定の既定深さまで切断又は弱化するためだけに、繊維性表層上に集束される。
【0033】
レーザーは、繊維性表層に切断部を作製するために、連続的、又は断続的のいずれかである操作で、固定されたビームを使用することができる。あるいは、誘導レーザー光(連続的、又は断続的)を使用して、任意の組み合わせの、又は数のパターンを提供することができる。また、多数のビームも使用され得る。
【0034】
材料特性及びレーザー波長は、レーザーエネルギーの吸収を向上して、穿孔又は切断を促進するために調節されるか、レーザーエネルギーの吸収を低減させて、材料をレーザーエネルギーに対して「透過性」にするように調節され得る。多層構造では、レーザーを、これに影響させることなく材料の上部の層を通過させ、次に第1材料の下部の材料を切断(又は修正)することが、実現可能である。
【0035】
本明細書において使用され得る、別の種類のレーザーは、可視光レーザーである。アルゴンイオンレーザーは、光スペクトルの可視部分におけるレーザー技術を代表するものであり、連続的、又は断続的な出力の能力を提供する。
【0036】
本明細書において使用され得る別の種類のレーザーは、紫外線レーザーである。エキシマレーザーは、光スペクトルの紫外線部分におけるレーザー技術を代表するものであり、高いピーク出力を有するパルス状の短波長レーザーの能力を提供する。エキシマレーザーの主な例はクリプトンフロライドレーザーである。
【0037】
更に別の種類のレーザーは、固体レーザー、又は染料系レーザーである。これらのレーザーは、光スペクトルの赤外線部分から紫外線部分までにわたり、また高いピーク出力と高い連続出力とを提供することができるレーザー技術を代表する。この種類のレーザーの、一実施例は、Nd:YVO4又は、ネオジムドープイットリウムバナジウム赤外線レーザー、及びその、より短い波長の調波である。
【0038】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
弾性不織布積層体は、同時係属米国公開特許第11/531,825号(その内容が全体を通じ、参考として本明細書に組み込まれる)に概要を説明される方法によって調製された。図3aに図示されるように、積層体は、コア弾性層13を含み、これは、70重量%のスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマー(クラトン(KRATON)G1657)、30重量%のメタロセン触媒ポリエチレン(エンゲージ(ENGAGE)8452)、及び100部当たり2部(PPH)のTiO2 MBのブレンドからなり、不織ウェブの外側層12と14(BBAノンウブンズ(BBA Nonwovens)から入手可能な、製品3320)の間に挟持された。不織布は、平方m当たり27gの坪量を有する、高延伸カード不織布であった。コア弾性層13は、図10に図示されるように、パターンを有するデザイン70として存在し、厚い領域において、約200マイクロメートルの平均厚さであった。パターンを有する弾性ウェブに結合される、各不織布層の面は、平方メートル当たりおよそ4.5gのコーティング重量で適用される接着剤(ボスチック(Bostick)HX9453−01−PAO)で、スプレーコーティングされた。3層積層体の製造では、弾性コア層を、接着剤コーティングされた不織布の第1層と(その上に押し出すことにより)接触させた(以下では、押出積層面、ELSと称される)。弾性層の反対側の面を、次に接着剤コーティングされた不織布の第2層と(ニップでの積層により)接触させた(以下では、接着剤積層面、又はALSと称される)。これに関連して、「ダウンウェブ」又は「機械」方向は、したがって、上記のプロセスによって形成される、不織布/弾性積層体の長軸に沿った方向を指す。「クロスウェブ」は、上記のプロセスによって作製された積層体の幅を横断する方向を指す。
【0040】
積層体は、レーザーによって次のように処理された。CO2レーザー(シンラッド(Synrad)から入手可能な、モデルエボリューション(Evolution)100)が提供された。レーザーは以下の動作条件下で操作された:波長10.6マイクロメートル、モード準連続波、走査速度毎秒1000mm。放射されたレーザー光(4.0mm直径)は、コリメーティング及び集束光学部品の組み合わせの手段により、100マイクロメートルの最終ビーム直径まで低減された。積層体は、平坦な水平のテーブル上に固定的に保持され、レーザー光は、XYプロッターの手段により、望ましいパターンで、積層体を横断した。
【0041】
およそ300mm×300mmの大きさの積層体サンプルが、3mmのレーン間隔で積層体を横断する一連の平行のレーンで、積層体のダウンウェブ方向で、レーザー光に暴露された。いくつかの積層体サンプルは、押出積層面(ELS)で処理され、他のサンプルは、接着剤積層面(ALS)で処理された。レーザー出力は、0〜62ワットで調節された。レーザー処理は、図7及び8で観察することができるように、穿孔レーンのいずれかの側部に不織布繊維の融解した末端部を有する、機械方向の穿孔レーンを有する、積層体を生じた。融解した末端部は、結節の形状であった。この実施例では、中心と中心のレーン間隔は、3mmを目標とされた。試験サンプルが、積層体から切断された。図3bに図示される、レーン間隔は、可能な代替であるが、穿孔レーンは、実際には等間隔であった。
【0042】
積層体サンプルの物理的特性は、インストロン(Instron)5500Rモデル1122引張試験機で、2回の延伸サイクルによって試験された。第1サイクルは、第1ヒステリシスと称され、第2サイクルは、第2ヒステリシスと称される。50mm幅×60mm長さの積層体の断片が、機械に載せられ、上部掴み具と下部掴み具は、25mm離れていた。掴み具は次に、約15ニュートンの負荷に達するか、又はサンプルが破断、若しくは層剥離するまで、毎分51cmの速度で分離された。次いで掴み具を1秒間にわたって固定的に保持し、後に掴み具はゼロ延伸の位置へ戻った。掴み具は、1秒間、再び固定的に保持され、次に約15ニュートンの負荷に達するか、又はサンプルが破断、若しくは層剥離するまで、同じ速度で分離された。
【0043】
レーザー処理されていない(対照サンプル)、ELSでのみ処理された、及びALSでのみレーザー処理された、サンプルが試験された。全ての延伸は、サンプルのクロスウェブ方向、即ち、レーザー処理によって付与される、穿孔レーンに対して垂直、又は横断方向で行われた。
【0044】
表1は、レーザー出力の変化及び第2ヒステリシス延伸性能に対する効果(15ニュートンでの%延伸、0%は、材料の破断を意味する)を実証する。表1で、ALS、又はELSは、レーザー処理を有する面を指す。図2は、表1のデータの、ALS 20及びELS 21のレーザー出力に対する第2ヒステリシス延伸を例示する。レーザー出力が増加すると、弾性延伸性能が増加し、その後レーザーが破断を生じて、低下した。
【0045】
【表1】

【0046】
(実施例2)
積層体は、図3bに図示される、弾性層13を形成するパターン化ロールを例外として、実施例1と同じ条件を使用して作製された。実施例1におけるように、積層体は、等間隔のレーザー穿孔レーン15によって切断された。表2は、レーザー出力(ワット)の変化及び第2ヒステリシス延伸性能への効果を実証する(15ニュートンでの%延伸、0%は、材料の破断を意味する)。
【0047】
【表2】

【0048】
(実施例3)
積層体が、実施例1におけるように調製されたが、ただし、
a)接着剤は、ナショナル・スターチ(National Starch)から入手可能な、キャビダッド(Cavidad)34−862bであった。
【0049】
b)接着剤コーティング重量は、1m2当たり4.5gであった。
【0050】
c)弾性部は、連続的なフィルムの形態で押出成形された。
【0051】
d)弾性部の厚さは約125マイクロメートルであった。
【0052】
積層体は、実施例1のように、レーザーで処理された。レーン間隔の積層体性能への影響を決定するために、中心と中心のレーン間隔は変化した。レーザー出力は、33.3ワットに維持された。結果が、表3及びALS曲線30とELS曲線31を有するグラフによって図4に図示される。
【0053】
【表3】

【0054】
(実施例4)
弾性積層体が、実施例2のものと同じ方法で調製された。
【0055】
積層体は以下のようにレーザーで処理された。パルス状のCO2レーザー(コヒーレントモデルダイヤモンド(oherent Model Diamond)84)が提供された。レーザーは、以下の動作条件で操作された:反復速度−1kHz、パルス幅−37μ秒、平均出力−15.7W、単一パルスエネルギー−15.7mJ。放射されるレーザー光(7.0mm直径)は、集束光学部品及び場補正光学部品の手段により、0.25mmの最終ビーム直径に低減された。積層体は、平坦な水平のテーブル上に固定的に保持され、レーザー光は、集束モジュールE10−095071を使用する、ジェネラル・スキャニング・システム(General Scanning System)、及び、スキャンウェア・エディター3.1を使用し、ナットフィールド・スパイス(Nutfield SPICE)カードにより駆動する、ガルバノメーター(galvanometer)ベースの、光学走査ミラー656188の手段により、望ましいパターンで、積層体を横断した。
【0056】
300mm×300mmの積層体サンプルは、積層体を横断する一連の平行な穿孔レーンで、ダウンウェブ方向で、レーザー光に暴露された(「走査された」)。全サンプルは、ELSで処理された。サンプルは、様々な走査速度及び、表4及び5に示されるレーン間隔で処理された。表4のデータは、穿孔レーンが、毎秒250mmの走査速度で切断された実施例のものであり、表5では、毎秒150mmの走査速度であった。物理的特性が次に、実施例2と同じ方法で試験されたが、ただし、サンプルは、幅40mmであった。延伸は、サンプルのクロスウェブ方向であった(走査されたレーザーレーンと垂直)。表4及び5のデータは、15ニュートンの力における、%延伸を示す。
【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【0059】
(実施例5)
積層体は、パターン化ロール及び接着剤の種類、ナショナル・スターチ(National Starch)接着剤34−862Bを例外として、実施例1と同じ条件を使用して作製された。得られる積層体は、図1bに図示されるものと同様である。試験見本は、図1aに図示される積層体から切断された。積層体は、中心と中心のレーン間隔2.5mmで、レーザー出力が、0〜62ワットで変化する、実施例1のレーザーで処理された。物理的特性が表6に示され、これは、押出成形された弾性積層体への、メッシュパターンでのレーザー処理の効果を示しており、準連続レーザーで、3mmのレーン間隔、150umのレーン幅で、かつ毎秒1000mmの走査速度で処理された。このパターンのレーザー処理は、積層体が延伸された後に、メッシュ中に空間を生じ、したがって、弾性特性を損傷することなく、通気性を提供した。
【0060】
【表6】

【0061】
(実施例6)
積層体は、ピローボンド(Pillowbond)(商標)スパンボンドポリプロピレン不織布(ペンシルベニア州、ヘイゼルトン(Hazelton)の、ファースト・クオリティ・ノンウブンズ(First Quality Nonwovens)、1m2当たり34g)を使用して作製されたが、これは、張力下で波形ロールの溝の中へ、そして他方のニップロールとしてのラバーロールとのニップ部に引っ張られた。高延伸性カードウェブ(ノースカロライナ州、シャーロット(Charlotte)の、BBAノンウブンズ(BBA Non-wovens)、1m2当たり27g)が、他の方向から、低い張力下でニップ部に送達され、2つのウェブが、ニップ部で、弾性フィルムへと、押出結合された。クラトン(Kraton)(商標)G1657(70%、1m2当たり29g)及びハンツマン(Huntsman)L8101 LLDPE(30%、1m2当たり12g)のブレンドからなる弾性フィルム。ニップ部の一方の側のみが波形ロールであったため、ピローボンド(Pillowbond)(商標)ウェブの高い点のみが、フィルムに押出結合された。積層体は次にレーザー処理され(サンプルは、一方の面、又は他方を処理された)、実施例3のように試験され、いずれの面で処理された場合も弾性であった。この実施例は、レーザー活性化が、押出結合された材料及び様々な種類の不織布材料で機能することを示している。
【0062】
40mm×40mmの積層体サンプルが、積層体を横断する、一連の平行なレーンで、レーザー光に暴露された(「走査された」)。(クロスウェブ方向に延伸された)これらのサンプルでは、レーザーは、ダウンウェブ方向に走査された。物理的特性が次に、実施例3と同じ方法で試験された。延伸は、サンプルのクロスウェブ方向(走査されるレーザーレーンと垂直)であった。典型的なサンプル52、53及びサンプル54、55の典型的なセットにおける、生じる圧力対ひずみ(負荷対延伸)曲線が、レーザー処理されない対照サンプル50、51のものとの比較において、図5に図示される。
【0063】
2セットの垂直のレーンで積層体の両側をレーザー処理することにより、追加のサンプルが調製された(一方の面の処理が、反対側の面の処理と垂直であった)。生じる圧力歪み曲線が、54及び55として、図5に図示される。
【0064】
各サンプルに関して、第1延伸が左側のサイクルであり、第2延伸が右側のサイクルである。
【0065】
(実施例7)
弾性積層体は、実施例3のように調製され、33.3ワット、3mmのレーン間隔で、実施例3のようにレーザー処理された。
【0066】
物理的特性が次に、実施例3と同じ方法で試験された。レーザー処理されないサンプルの圧力対歪み2サイクルヒステリシス曲線が、50、51として図5に図示される。
【0067】
50mm×60mmの積層体サンプルが、ELSで積層体を横断する、一連の平行なレーンで、レーザー光に暴露された(「走査された」)得られる圧力対歪み曲線は図5の52、53である。
【0068】
2セットの垂直のレーンで積層体の両側をレーザー処理することにより、追加のサンプルが調製された(一方の面の処理が、反対側の面の処理と垂直であった)。得られる圧力歪み曲線は、54、及び55として、図5に図示される。
【0069】
各サンプルに関して、第1延伸が左側のサイクルであり、第2延伸が右側のサイクルである。
【0070】
(実施例8)
弾性積層体が、実施例2のものと同様の方法で調製された。この場合、比較的厚い弾性部と、残りの領域の比較的薄い弾性部と、を有するパターンで弾性材料が存在するように、(実施例2のものと同じ組成物の)弾性材料が、パターン化形成ロール上に押し出された。積層体は、次に、実施例2のものと同じ不織布及びスプレー接着剤を使用して、実施例2と同様の方法で形成された。
【0071】
使用されたレーザーシステムは、実施例4のものであったが、ただし、パルス幅は37μ秒であった。毎秒235mm、及び毎秒1000mmの走査速度が使用された。レーン切断のパターンは、図6に例示されるものと同様であった。実施例は延伸されたときに弾性であった。走査速度は、毎秒230〜1000mmで変化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に非弾性又は低レベルの弾性積層体を、弾性状態又はより弾性的な状態に活性化する方法であって、
少なくとも1つの面で繊維性表層に結合される弾性層を提供することと、
穿孔レーンの方向に対してほぼ横断する方向に、延伸性かつ弾性の積層体を形成する少なくとも1つの領域において、少なくとも1つの繊維性表層の繊維を前記穿孔レーンに沿って切断するように、前記積層体をレーザービームの下に向かわせることと、を含む方法。
【請求項2】
前記弾性層がフィルム層であり、前記繊維性表層が実質的に非弾性不織布層であり、前記活性化が平均1〜5mm間隔の一連の狭い間隔の穿孔レーンを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルム層が、薄い弾性領域によって相互に接続された厚い弾性領域によってつくられる分離形状の弾性領域を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記薄い弾性領域の前記フィルム層が弱化され、前記狭い間隔の穿孔レーンの向きに対して横断方向に延伸されるとき、前記積層体は、前記薄い弾性領域で破断し、通気性積層体をつくる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記狭い間隔の穿孔レーンが平均2〜4mm離れている、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記積層体の活性化領域において、30mm幅当たり少なくとも10の狭い間隔の穿孔レーンが存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記弾性層が50〜500マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有する前記繊維性表層が、1m当たり15〜100gである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記弾性層が100〜200マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有する前記繊維性表層が、1m当たり20〜50gである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記弾性層が50〜500マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有さない対向する繊維性表層が、1m当たり10〜50gである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記弾性層が100〜200マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有さない対向する繊維性表層が、1m当たり15〜40gである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記積層体が、引き続いて、前記穿孔レーンの方向に対して、ほぼ横断方向に延伸される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
引き続いて、前記積層体が機械方向に延伸される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
穿孔レーンの方向に対して横断方向に延伸性かつ弾性を有する積層体を形成する少なくとも1つの領域において、分離した穿孔レーンを有する繊維性表層と少なくとも1つの面で結合された弾性層を備え、前記穿孔レーンの前記繊維は少なくとも部分的に除去されている、活性化された弾性積層体。
【請求項14】
前記穿孔レーンの側部と隣接する繊維は収縮した融解領域を有し、これらの収縮した融解領域に隣接する繊維領域は、前記収縮した融解領域から離れた前記繊維の領域と実質的に同一の配向又は結晶化度を有する、請求項13に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項15】
前記弾性層はフィルム層であり、前記繊維性表層は不織布層であり、前記活性化は、平均1〜5mm間隔の一連の狭い間隔の穿孔レーンを使用する、請求項13に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項16】
前記フィルム層が、薄い弾性領域によって相互に接続された厚い弾性領域によってつくられる分離形状の弾性領域を有する、請求項13に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項17】
前記薄い領域の前記フィルム層が弱化され、前記狭い間隔の穿孔レーンの方向に対して横断方向に延伸されるとき、前記積層体は、前記薄い弾性領域で破断して、通気性積層体をつくる、請求項16に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項18】
前記狭い間隔の穿孔レーンが平均2〜4mm離れている、請求項15に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項19】
前記弾性層は50〜500マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有する前記繊維性表層は1m当たり15〜100gである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記弾性層は100〜200マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有する前記繊維性表層は、1m当たり20〜50gである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記弾性層は50〜500マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有さない対向する繊維性表層は、1m当たり10〜50gである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記弾性層は100〜200マイクロメートルの厚さを有し、前記穿孔レーンを有さない対向する繊維性表層は1m当たり15〜40gである、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記穿孔レーンが連続的である、請求項15に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項24】
前記穿孔レーンが一連の狭い間隔の分離した穿孔である、請求項15に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項25】
前記穿孔レーンが少なくとも一部において曲がっている、請求項15に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項26】
別個の穿孔レーンで形成された多数の活性化領域が存在する、請求項15に記載の活性化された弾性積層体。
【請求項27】
穿孔レーンの方向に対して横断方向に延伸性かつ弾性を有する積層体を形成する少なくとも1つの領域において、分離した穿孔レーンを有する繊維性表層と少なくとも1つの面で結合された弾性層を備え、前記穿孔レーンの前記繊維は少なくとも部分的に除去されている、活性化された弾性積層体を使用して形成される、パーソナルケア衣類。
【請求項28】
別個の穿孔レーンで形成された多数の活性化領域が存在する、請求項27に記載のパーソナルケア衣類。
【請求項29】
前記穿孔レーンの少なくともいくつかが、少なくとも部分的に曲がって身体に適合する弾性領域を形成する、請求項27に記載のパーソナルケア衣類。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−530817(P2010−530817A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512230(P2010−512230)
【出願日】平成20年5月6日(2008.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/062743
【国際公開番号】WO2008/154093
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】