形態操作による半導体光路の修正
【課題】形態操作による半導体光路の修正を提供する。
【解決手段】光デバイスは、基板と、基板の上に位置付けされた半導体層とを含む。光路は、導波路コア領域をさらに含む半導体層を含む。コア領域は、第1の型の形態および第1の屈折率を有する第1の半導体領域を含む。第1の半導体領域は、第2の型の形態と、第1の屈折率とは異なった第2の屈折率とを有する第2の半導体領域に隣接して位置付けされている。
【解決手段】光デバイスは、基板と、基板の上に位置付けされた半導体層とを含む。光路は、導波路コア領域をさらに含む半導体層を含む。コア領域は、第1の型の形態および第1の屈折率を有する第1の半導体領域を含む。第1の半導体領域は、第2の型の形態と、第1の屈折率とは異なった第2の屈折率とを有する第2の半導体領域に隣接して位置付けされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、参照して本明細書に組み込まれこの出願と共に本願の譲受人に譲渡された「Allotropic Change in Silicon Induced by Electromagnetic Radiation for Resistance Tuning of Integrated Circuit」という名称の、2008年9月19日にFrank A.Baiocchi等によって出願された国際出願PCT/US08/76976号と、参照して本明細書に組み込まれこの出願と共に本願の譲受人に譲渡された「Modification of Logic by Morphological Manipulation of a Semiconductor Resistive Element」という名称の、John Delucca等によって出願された米国特許出願第12/852,378号に関係している。
【0002】
この出願は、一般的に、光デバイスに向けられ、より詳細には、光路の構成に向けられている。
【背景技術】
【0003】
オプトエレクトロニクス・デバイスおよびフォトニック・デバイスは、光信号が伝わる光路を含む。屈折率(n)および消衰係数(k)などのこの光路の光学特性は、信号が伝播する速度と、伝播に起因する損失を決定する。デバイスの動作性能特性は、今度は、伝播速度および損失に依存している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、基板と、基板の上に位置付けされた光路とを含む光デバイスを実現する。光路は、導波路コア領域を含んだ半導体層を含む。コア領域は、第1の型の形態および第1の屈折率を有する第1の半導体領域を備える。第1の半導体領域は、第2の型の形態と、第1の屈折率とは異なった第2の屈折率とを有する、半導体層の第2の半導体領域に隣接して位置付けされている。
【0005】
他の実施形態は、光デバイスを形成する方法を実現する。この方法は、入射光信号を受け取るように構成することができる半導体材料層が上に位置付けされた基板を実現することを含む。半導体材料層は、第1の型の形態を有する半導体材料の1つ領域を含む。この領域は、第1の型とは異なった第2の型の形態に転化される。この転化は、その領域を含む光路の伝播特性を変化させる。
【0006】
ここで、添付の図面に関連して解釈される下記の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】第1および第2の形態の半導体材料を含む光路の実施形態を示す図である。
【図1B】第1および第2の形態の半導体材料を含む光路の実施形態を示す図である。
【図1C】第1および第2の形態の半導体材料を含む光路の実施形態を示す図である。
【図2A】導波路コア領域が第1の形態および第1の屈折率を有し、かつ導波路クラッド領域が第2の異なる形態およびより小さな屈折率を有する半導体層の実施形態を示す図である。
【図2B】導波路コア領域が第1の形態および第1の屈折率を有し、かつ導波路クラッド領域が第2の異なる形態およびより小さな屈折率を有する半導体層の実施形態を示す図である。
【図2C】導波路コア領域が第1の形態および第1の屈折率を有し、かつ導波路クラッド領域が第2の異なる形態およびより小さな屈折率を有する半導体層の実施形態を示す図である。
【図3】光照射後の半導体層を示す顕微鏡写真図である。
【図4】電気的ストレスにさらされた後のイーヒューズを示す顕微鏡写真図である。
【図5A】図4のイーヒューズが受けたのと同様な電気的ストレスにさらされた後のイーヒューズの断面を示す顕微鏡写真図である。
【図5B】図4のイーヒューズが受けたのと同様な電気的ストレスにさらされた後のイーヒューズの断面を示す顕微鏡写真図である。
【図6】c−Si、a−Si、およびp−Siの屈折率を波長の関数として示す図である。
【図7】光加熱によってそれの一部が修正される光共振器を示す図である。
【図8】電気加熱によって光共振器の一部を修正するように構成されたイーヒューズを備える光共振器を示す図である。
【図9】イーヒューズと、光路と、加熱されるように構成された交差部分とを示す図である。
【図10】光加熱によってそれの一部が修正される干渉計を示す図である。
【図11】電気加熱によって干渉計の一部を修正するように構成されたイーヒューズを備える干渉計を示す図である。
【図12A】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12B】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12C】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12D】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12E】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図13A】半導体層の一部の形態を制御して導波路クラッド領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図13B】半導体層の一部の形態を制御して導波路クラッド領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図13C】半導体層の一部の形態を制御して導波路クラッド領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図14】光デバイス、例えば図1A〜1Cの光デバイス100または図2A〜2Cの光デバイス200を形成するための本開示の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この開示は、半導体導波路構造の光学特性を修正してこの導波路構造を含む光デバイスの動作を部分的に変えることができるという認識から利益を得る。いくつかの型の導波路は、ブラッグ回折格子のような光素子を形成するように、例えばレーザ照射を使用して修正された。しかし、そのような修正は、一般に、光ファイバ、LiNbO3、およびガラスのような非半導体光導波路に限定されていた。本明細書の様々な実施形態で説明されるように半導体導波路構造を修正できることで、例えば、半導体導波路を含む光デバイスの動作特性を手直しする手段、修復する手段、または同調させる手段を実現する。
【0009】
本開示は、光導波路に半導体材料を使用する光デバイスの様々な実施形態を提供する。実施形態は、様々な半導体形態、すなわち、バルク結晶半導体、例えば結晶半導体格子の一部または延長部分、またはエピタキシャル層と、例えば数半導体結合距離より短い周期性を有する非晶質半導体と、例えば互いに任意の向きを持った数十(例えば、約50)を超える半導体結合距離に及ぶ複数の結晶ドメインを有する多結晶半導体とに言及する可能性がある。
【0010】
本開示は、限定でなくSi、Ge、GaAs、InP、SiC、InGaP、InGaAsおよびInAlGaPなどの任意の元素または化合物半導体の各形態型を用いて実施される実施形態を考えている。半導体は、ドープされていることがあり、または真性であることがある。様々な実施形態は、例の半導体材料としてSiを使用して説明される。例の材料としてのSiのそのような使用は、説明された実施形態をSiに限定しない。様々な実施形態は、非晶質Siをa−Si、結晶Siをc−Si、および多結晶Siをp−Siと呼ぶことがある。当業者は、Siのこれらの状態を参照して説明される原理を、本開示の範囲内で他の半導体に拡張できることを理解するであろう。
【0011】
本明細書で使用されるときに、同素体は、一般的な結合特性によって特徴付けられる半導体材料の状態を意味する。したがって、バルク結晶形態と多結晶形態は、半導体原子が結晶配列をなして結合されているので、両方とも同じ同素体である。非晶質形態は、半導体結合が一般に結晶のように十分に秩序よく配列されていないので、違った同素体である。様々な実施形態および特許請求の範囲は、第1の型の同素体および第2の型の同素体に言及することがある。第1および第2の型の同素体は、互いに相容れない。したがって、第1の型の同素体は、結晶形態(バルク結晶または多結晶)または非晶質形態のどちらかのことを言うことがあるが、一方で、そのとき第2の型の同素体は、第1の型の同素体でない同素体のことを言う。
【0012】
本明細書で説明される様々な実施形態は、非晶質、多結晶およびバルク結晶から選ばれた形態を持つことができる半導体層の1つまたは複数の領域を含む。例えば、限定でなく、シリコン層の領域は、非晶質シリコン(a−Si)、多結晶シリコン(p−Si)、またはバルク結晶シリコン(c−Si)であることがある。説明および特許請求の範囲は、第1の型の形態、第2の型の形態、および第3の型の形態に言及することがある。第1、第2および第3の形態型の各々は、非晶質、多結晶またはバルク結晶のどれか1つである可能性がある。しかし、単一の実施形態または請求項の中で、前述の形態のただ1つだけが、例えば非晶質、多結晶またはバルク結晶が、第1、第2および第3の型の各々に一意的に割り当てられることがある。したがって、例えば、第1の型の形態は、非晶質、多結晶またはバルク結晶のどれかであることがある。第2の型の形態は、残り2つの形態型のいずれかであることがある。第3の型の形態は、残りの割り当てられていない形態型である。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるときに、半導体層は、基板の上の任意の均質な半導体層、およびこの均質な層から得られた半導体特徴を含む。半導体層は、追加の層が半導体材料であろうと他の材料であろうとも半導体層の上に形成された任意の追加の材料層を明確に除外する。したがって、例えば、処理ウェーハの上のエピタキシャル層は、エピタキシャル層から半導体特徴が形成されるのでたとえその特徴が異なる形態を有してもまたは不連続であっても、半導体層である。しかし、この均質層の上にある半導体領域または均質層から得られた特徴は、半導体層に含まれない。そのような除外された領域は、一般に、その除外された領域と下にある均質層または特徴との間の不連続な界面によって識別することができる。また、孤立した半導体特徴が半導体層から形成された後で追加された任意の半導体または他の特徴も半導体層から除外される。したがって、例えば、導波路コアのような孤立した特徴が半導体層から形成される場合には、導波路コアの上に、または導波路コアに隣接して堆積された材料は、たとえ導波路コアと同じレベルにあっても、半導体層の一部でない。
【0014】
例示の半導体材料としてシリコンに焦点を合わせると、シリコン・フォトニック・ネットワークの動作中、電磁放射は、そのネットワークの様々な素子を通って伝播する。シリコンは、約1.3μmから約6μmの波長範囲のEM放射に対して開かれた透過率特性(例えば、透過率≧50%)を有する。したがって、この波長が、シリコン・フォトニクスで一般に使用される。しかし、1.3μmよりも短い波長は、減衰器または短い伝播距離の場合などのいくつかの環境で有用であることがある。
【0015】
前述の各形態は、一般に、複素屈折率特性(波長に依存する屈折率nおよび消衰係数k)を有することがある。さらに、抵抗率のような電気特性は、形態ごとに異なることがある。例えば、1.12μmの波長で、c−Siおよびa−Siの屈折率は、公開された文献でそれぞれ3.54および4.09と報告されている。媒体中の光速は媒体の屈折率に依存するので、光信号は、c−Siよりもa−Siをより低速で伝わると考えられる。さらに以下で説明されるように、屈折率の差は、材料の形態を操作して導波路を形成するために、導波路の光路長を調整するために、または両方のために使用されることがある。
【0016】
図1A〜1Cは、全体的に100で表わされた光デバイスの平面図(図1A)および断面図(図1Bおよび1C)を示す。デバイス100は、フォトニクス・デバイス、例えば、光信号130の光学的処理を行うデバイスであることがある。デバイス100は、限定でなく、光マルチプレクサ、デマルチプレクサ、光フィルタ、光共振器、光プロセッサ、光導波路、ミラー・アレイのような光MEM(微小電気機械システム)デバイス、または他の同様な光学部品であることがあり、またはこれらを含むことがある。例示の実施形態は、様々な実施形態に出てくることがある光デバイスの素子の非限定の例として提供される。
【0017】
基板110の上にコア領域120が位置付けされている。コア領域120は、光信号130を受け取るように構成することができる。基板110は、任意の適切な基板、例えばウェーハであることがある。基板110の材料は、シリコンまたはゲルマニウムのような半導体であることがあるが、必ずしも半導体である必要はない。例えば、ガラス、石英、またはサファイア基板が使用されることがある。
【0018】
コア領域120は、均質な半導体層で形成されることがある。例えば、最初は一様な特性を持った連続した層である1つの層(図示されない)が、最初に、基板110の上に位置付けされることがある。いくつかの実施形態では、均質な層は、それの一部を選択的に除去することによって、コア領域120を形成するようにパターニングされることがある。他の実施形態では、コア領域120は、均質層の一部の形態特性および/または光学特性を本開示の範囲内の方法で部分的に変えることによって、形成されることがある。コア領域120は、光路の構成要素として、例えば平面導波路コアとして動作するように構成されることがある。クラッド領域125は、コア領域120に隣接して位置付けされる。
【0019】
本明細書では、光路は、光信号130などの光信号を強制的に基板110の平面内で伝播させるように構成された固体媒体である。光路は、コア、例えばコア領域130およびクラッド、例えばクラッド領域125を含む。光信号は、一般に、コアとクラッドの界面で内部全反射してコアの方向に導かれる。しかし、本開示は、クラッドの屈折率がコアの屈折率よりも大きい実施形態を意図している。そのような実施形態には、例えば、光路が光信号を減衰させるように構成されている場合がある可能性がある。
【0020】
クラッド領域125は、どんな特定の材料にも限定されない。クラッド領域125は、例えば、空気、シリコン酸化物、または半導体材料であることがあり、またはこれらを含むことがある。クラッド領域125が半導体材料であるとき、クラッド領域125は、コア領域120が形成された同じ材料層の一部であることがある。
【0021】
いくつかの場合に、コア領域120の全ての側でコア領域120に隣接する媒体の屈折率は、コア領域120からの光エネルギーの喪失を最小限にするようにコア領域120の屈折率よりも小さいことが望ましいことがある。したがって、コア領域120よりも小さな屈折率を有する誘電体層140が、基板110とコア領域120の間に位置付けされて、したがってコア領域120に対して下のクラッドとして作用することがある。誘電体層140は、存在する場合には、セミコンダクタ・オン・インシュレータ(SOI)基板に関連した酸化物層、熱酸化物、またはCVD酸化物であることがあり、または基板110、例えばサファイア・ウェーハであることがある。
【0022】
コア領域120は、第1の型の形態および第1の屈折率naを有する領域120aと、第2の型の形態および第2の屈折率nbを有する領域120bとを含む。限定でなく、nbがnaよりも大きい実施形態を意図する。光信号130は、領域120aを領域120bよりも高速で伝播する。コア領域120を通過する光信号130の伝播時間は、信号伝播方向などのコア領域120の光路に沿った領域120aと120bの相対的な長さに依存する。長さの任意の望ましい組合せの1つまたは複数の各領域120a、120bを、コア領域120を通って光信号130がとる経路に沿って位置付け可能である。
【0023】
コア領域120が形成された半導体材料層の形態は、様々な実施形態で制御可能に修正することができる。この修正は、コア領域120の光学特性を変えるために行われることがある。以下でさらに説明されるように、様々な実施形態で、伝播特性を変えることは、伝播方向または伝播速度を変えること、またはコア領域120で生じる光信号130の減衰を変えることを含むことがある。コア領域120の伝播特性を変えることは、コア領域120に隣接する材料の形態を変えることを含むことがある。例えば、コア領域120に隣接する半導体層の一部の屈折率、例えばクラッド領域125の屈折率は、コア領域120から隣接するクラッド領域125に失われる光信号130の量を増加させるように、または減少させるように変えることができる。
【0024】
図2A〜2Cは、全体的に200で表わされた光デバイスの実施形態の平面図(図2A)および断面図(図2B〜2C)を示す。デバイス200は、導波路210を含み、導波路210は、コア領域215およびクラッド領域220a、220bを含む。媒体225は、例えば、空気、酸化物、または半導体材料であることがある。いくつかの実施形態では、媒体225は、基板110の上に形成された連続した半導体材料層の一部であり、この半導体材料層から、コア領域215およびクラッド領域220aおよび220bが形成されている。例示のデバイス200では、コア領域215および媒体225は、屈折率n1を有する。クラッド領域220a、220bは、屈折率n2<n1を有し、したがって、光信号130の一部を導波路210に閉じ込める。
【0025】
前に参照して組み込まれたBaiocchi等のPCT出願第PCT/US08/76976号(以後、「‘976出願」と呼ばれる)は、半導体層の同素体および/または形態の型を変える方法を開示している。その出願で説明された様々な実施形態では、可干渉性(レーザ)エネルギーが、半導体層の一部に集束されて、照射部分の部分的な溶融を引き起こすことがある。例えば、エネルギー照射線量および継続時間、焦点、および複数の照射が行われる時間によって、照射された半導体の非晶質または多結晶同素体の形成を引き起こす時間−温度プロファイルが決定されることがある。したがって、‘976出願で説明されているように、半導体、例えばシリコンのバルク結晶または多結晶部分の状態は、非晶質同素体に制御可能に変えられ、さらに次に多結晶同素体に制御可能に変えられることがある。この転化は、周囲の誘電体層または下にある基板を損傷することなしに行われることがある。
【0026】
図3は、単結晶シリコン基板310を示し、その単結晶シリコン基板310の一部は、第1のパルス・パターンおよび/または照射条件を使用して基板310にレーザ光を照射することによって、非晶質領域320に転化された。非晶質領域320の一部は、今度は、第2のパルス・パターンおよび/または照射条件を使用して基板310にレーザ光を照射することによって、多結晶領域330に転化された。一般に、変化していない基板310、非晶質領域320および多結晶領域330各々は、光学特性が異なり、特に屈折率が異なっている。
【0027】
1つの形態型から別の形態型への半導体材料の転化は、また、転化される半導体材料の一部を、適切な特性を有する電気的刺激を使用して加熱することによっても達成可能であることを、本開示は認める。この刺激は、例えば、転化が望ましい目標領域に所望のエネルギー量を所望の時間にわたって投入するように構成された時間プロファイルの電流であることがある。したがって、例えば図2Aに戻って、クラッド領域220a、220bは、半導体材料の屈折率を第1のより高い値から第2のより低い値に制御可能に修正することによって、連続した半導体材料層から形成されることがある。‘976出願で説明された照射加熱の他に、いくつかの実施形態で、半導体材料の光学特性は、電気的刺激、例えば材料の一部を加熱するように構成された電流によって修正されることがある。
【0028】
図4は、イーヒューズ410を図示する。イーヒューズ410は、荷電デバイス・モデル(CDM)の静電放電(ESD)事象の典型的な電気パルスをかけられた。例えば、そのような事象は、おおよそ106A/cm2の電流密度で約1nsの時間にわたって加えられる500Vの電圧を特徴とすることがある。イーヒューズ410は、プログラミングの目に見える証拠を表わさないが、電気的特性は、プログラミング、例えば抵抗の増加と一致している。このように、イーヒューズ410は、イーヒューズ410または周囲の構造の目に見える損傷なしに、物理的電気的に修正可能である。
【0029】
図5Aおよび5Bは、上で説明されたような電気的ストレスを加えた後の、イーヒューズ410の構造と似ているイーヒューズ510の構造のTEM顕微鏡写真図500A(低倍率)および500B(高倍率)を示す。酸化物層520が、イーヒューズ510の上にある。最初p−Siから形成されたイーヒューズ510は、今では、p−Si部分530とa−Si部分540を含んでいる。a−Si部分540の形態を結晶から非晶質に変えたにもかかわらず、イーヒューズ510の寸法変化はほとんどまたは全く目に見えない。とりわけ、酸化物層520の損傷を示す証拠はない。
【0030】
イーヒューズ410または周囲材料層の観察できる損傷がほとんどまたは全くない状態で、特性の観察された変化、例えば電気抵抗の変化が、様々な実施形態において広い範囲のプログラミング・パルス特性から得られることがある。例えば、パルス電圧の値は、数十ボルトと数千ボルトの間の範囲に入ることがある。同様に、パルスの継続時間は、ナノ秒以下とマイクロ秒の間の範囲にあることがある。電圧とパルス継続時間の効果的な組合せは、当業者が決定することができる、パルスが加えられる構造の特定のレイアウトに依存すると思われる。様々な実施形態では、プログラムされた構造の抵抗、キャパシタンス、およびインダクタンスを考えることが有利であることがある。プログラムされたイーヒューズの最終特性は、イーヒューズに投入された全エネルギーと互いに関係があると考えられる。したがって、一般に、プログラミング・パルスの電圧が増加するにつれて、パルスの継続時間は減少し、また逆に電圧が減少するにつれて継続時間が増加すると考えられる。
【0031】
様々な実施形態において、図6Aおよび6Bで立証された、形態の電気的に誘起される変化は、半導体フォトニック・デバイスおよびネットワークで利用される可能性がある。適切に調整された電気パルスを加えて光素子の全てまたは一部を結晶または多結晶形態から非晶質形態に転化させ、または非晶質形態から多結晶形態に転化させるために、電極が光素子に配置されることがある。この転化は、半導体フォトニック素子の光学的および電気的特性を所望のやり方で変える手段を提供し、回路設計、手直し、またはトリミングの手段を提供すると考えられる。
【0032】
例えば、図6は、フォトニクス用途向けの半導体材料の形態の非限定の例として、c−Si、a−Si、およびp−Siの屈折率の関係を図示する全体的に600と表わされたグラフを示す。屈折率は、材料を通って伝播する光の波長の関数として表わされている。これらのデータは、公開された文献中の屈折率データから推定され、シリコンのこれらの形態の光学的挙動の例として限定でなく示されている。
【0033】
図6では、c−Siは、示された波長範囲の全ての波長で屈折率がa−Siおよびp−Siよりも大きいことが分かる。さらに、a−Siは、約1.58μmより下で屈折率がp−Siよりも大きく、1.58μmより上では順序が逆になることが分かる。
【0034】
図6に図示された関係は、いくつかのやり方で利用可能である。例えば、
・最初にc−Siセグメントを含む光路は、c−Siセグメントの一部をa−Siおよび/またはp−Siに転化させることによってより短い光路長を持つように変えることができる。
・最初にa−Siセグメントを含む光路は、a−Siセグメントの一部をp−Siに転化させることによって、約1.58μm未満の波長に対してより短い光路長を持つように変えることができる。約1.58μmより上では、a−Siセグメントは、より長い光路長を持つと考えられる。
・最初にp−Siセグメントを含む光路は、p−Siセグメントの一部をa−Siに転化させることによって、約1.58μm未満の波長に対してより長い光路長を持つように変えることができる。約1.58μmより上では、p−Siセグメントは、より短い光路長を持つと考えられる。
・最初にバルク結晶(例えば、埋込み酸化物層の上のエピタキシャル層)であるシリコン層は、意図されたコア領域に隣接する結晶層の一部をa−Siおよび/またはp−Siに転化させることによって画定された光路をそのシリコン層中に備えることができる。
【0035】
下の表1は、図6から得られた値を使用して、c−Siに対するa−Si、c−Siに対するp−Si、およびp−Siに対するa−Siの屈折率の基準化された差を比較している。a−Siとp−Siの両方に関して、c−Siと比較した屈折率の差は、示された全ての波長で1%を超え、1.55μm以上の波長では10%を超えている。屈折率のこの相対的な差が、これらの材料を使用して組み立てられた導波路中への光信号の強い閉じ込めを引き起こすと考えられる。
【0036】
表1
波長(μm) (α−c)/c (p−c)/c (α−p)/p
1.3 −1.7% −5.2% 3.7%
1.4 −5.0% −7.3% 2.5%
1.5 −8.5% −9.5% 1.1%
1.55 −10.2% −10.6% 0.4%
1.6 −12.0% −11.7% −0.3%
1.65 −13.8% −12.9% −1.0%
【0037】
下記の実施形態は、半導体層の形態を第1の形態から第2の形態に転化させる本明細書で開示された実施形態を使用して光学特性を修正することができる様々なやり方を例示する。当業者は、他の光デバイスが同様に半導体形態の転化から利益を得ること、およびそのような他の光デバイスがこの開示の範囲内にあることを認めるであろう。さらに、下記の実施形態はシリコンの様々な形態に関して説明される可能性があるが、代替え半導体材料を使用する他の実施形態もまた本開示の範囲内にある。
【0038】
図7は、全体的に700で表わされた共振器を示し、この共振器700は共振器リング710および隣接した導波路720を含み、これらの各々は、最初に従来の方法でp−Siから形成することができる。導波路720は、光エネルギーが導波路720からリング710に、またリング710から導波路720に結合されるように位置付けされている。様々な実施形態で、共振器700は、論理ANDゲートおよび論理NANDゲートのような論理回路素子の一部として使用されることがある。当業者は、光共振器を使用するこれらおよび同様なデバイスの従来の実現をよく知っている。
【0039】
リング710は共振周波数を有し、共振器700を含む回路の動作周波数は部分的にこの共振周波数に依存する。共振周波数は、リング710の寸法、リング710の媒体例えばp−Siの屈折率、媒体中のキャリア濃度、および入射光信号730の強さまたはパワーなどのいくつかの要素によって決定されると考えられる。
【0040】
本明細書の様々な実施形態は、リング710の共振波長を調節する手段を提供する。いくつかの実施形態では、この調節は、‘976出願に説明されているように、可干渉性光源または強い非可干渉性光源を使用して行われる。最初、リング710の光路長(OPL)は、円周C(この例では、π*直径)と屈折率の積、すなわち
OPL=nC
にほぼ等しい。OPLは、セグメント740をp−Siからa−Siに転化させることによって調節可能である。この場合、リング710のOPLは、大きくなると考えられ、リング710の共振波長はλ1からλ2により長くなる。他の例では、共振器700は、最初、エピタキシャル層などのc−Si層から形成される。セグメント740は、c−Siからp−Siに転化されてリング710のOPLを減少させ、したがって、共振器700の共振波長を最初の値λ3から第2の値λ4に減少させることができる。次に、セグメント740の一部は、a−Siに転化され、それによって、OPLを大きくし、さらに共振波長をλ4から他の中間値λ5に長くすることができる。
【0041】
このようにして、リング710の共振波長は、特定の所望値にトリミングする(同調させる)ことができる。そのようなトリミングは、共振器を一部に備えている光回路が動作している間に行われることがある。いくつかの場合に、半導体材料のキャリア濃度および移動度は、1つの形態から他の形態へのその材料の転化の影響を受けると考えられる。実際問題として、材料特性のそのような相互作用から結果として生じる正確な共振周波数を予想することは困難である可能性がある。共振器700の同調をとることができることは、材料特性のそのような変化を補償して共振波長の正確な所望値を生じさせる手段を提供する。
【0042】
図8は、加熱素子として電気のヒューズ構造を使用して同調をとるように構成された共振器800の実施形態を示す。共振器リング810は、いくつかのイーヒューズ構造820を含む。イーヒューズ構造820は、リング810の一部を加熱するように構成され、それによって、加熱部分の形態変化を誘起する。
【0043】
図8の実施形態では、リング810は、8個の未修正イーヒューズ構造820aと、3個の修正済みイーヒューズ構造820bとを含む。形成されたままのリング810の第1の形態から、異なる屈折率の第2の形態に既に修正された、リング810の光路の関連部分830を、各修正済みイーヒューズ構造820bは備えている。共振器リング710に関して説明されたように、リング810の形態および部分830は、リング810の共振波長同調性を実現するように様々な組合せで構成することができる。
【0044】
図9は、イーヒューズ910が交差領域930で共振構造920と交差する実施形態を示す。共振構造920は、例えば共振器リングであることがある。例示の実施形態では、イーヒューズ910および共振構造920は、同じ半導体層、例えばポリシリコン中に形成されている。領域930以外のイーヒューズ910の部分は、領域930を含めて共振構造920よりも高いドーパント濃度にドープされている。より高濃度のドーピングは、共振器構造920よりも高い導電率を領域930以外のイーヒューズ910に与えている。イーヒューズ910のプログラミング中、例えば交差部分930の形態を変えている間、この構成は、イーヒューズ910の加熱を領域930に部分的に局部化し、それによって、領域930を、1つの形態から他の形態に転化させる目標にすると考えられる。加熱の局部化は、有利なことに、意図された目標層が1つの形態から他の形態に転化される見込みを高め、またデバイス100に投入される全パワーを減少させる可能性があり、それによって、デバイス100の損傷の可能性を減少させる。
【0045】
代替え実施形態では、領域930などの加熱素子は、1つまたは複数のランナ、例えば、加熱素子に電流を送るように構成された導電線を含むことがある。そのような実施形態では、ランナは、領域930以外でイーヒューズ910に取って代わる。ランナの厚さおよび/または幅および/または組成は、ランナの抵抗を、ランナの顕著な加熱が起こるかもしれない値より低く制限するように選ばれることがある。ランナは、シリコンなどの非金属化または金属化半導体、例えばシリサイド化ポリシリコンから成ることがあり、または、W、Ti、TiN、Ta、またはTaNのような適度の耐熱金属材料から成ることがある。ランナの加熱を制限することで、ランナの任意の化学反応またはランナからの外方拡散は、取るに足りないレベルに制限されると考えられる。ここで、取るに足らない反応または拡散は、デバイス特性に対して許容できないほど有害な影響がプログラミング・プロセスから結果として生じないこと意味する。ランナは、加熱されるべき領域(例えば、領域930)に側面から例えば目標領域と同じレベルで接続することがあり、または、目標領域より上および下に位置付けされて、1つまたは複数のコンタクトまたはビアのような低抵抗接続で接続されることがある。
【0046】
図10は、限定でなくマッハ・ツェンダ構成で表わされた干渉計1010を示す。干渉計1010は入力光信号1020を受け取り、この光信号1020は、第1の経路1030と第2の経路1040とに分割される。経路1030、1040を通過する信号部分は、再び結合されて出力信号1050を生成する。一般に、出力信号1050の強度および位相特性は、経路1030、1040を通って伝播する信号部分の相対的な位相遅れに依存する。各経路1030、1040での位相遅れは、今度は、経路1030、1040が形成される媒体の屈折率に部分的に依存する。
【0047】
本明細書で説明される様々な実施形態に従って、第1の経路1030のセグメント1060は、最初の第1の屈折率から第2の屈折率に修正されることがある。この修正は、例えば、可干渉性光または高強度光にさらすことから結果として起こることがある。一実施形態では、セグメント1060は、p−Siからa−Siに転化され、それによって、セグメント1060の屈折率を減少させる。第1の経路1030のOPLは、それによって減少されて、今度は、第1の経路1030を通って伝播する入力光信号1020の部分に与えられる位相遅れを減少させる。結果として、出力信号1050の位相および強度特性は変化すると考えられる。
【0048】
図11は、電気イーヒューズ構造1120で同調をとるように構成された干渉計1110の実施形態を示す。この干渉計は、2個の未修正イーヒューズ1120aを含む。3個の修正済みイーヒューズ1120bは、既に動作して、第1の経路1030のセグメント1130の形態を修正した。例えば、形態は、結晶から非晶質に変えられることがある。前のように、この修正は、出力信号1050の位相および強度特性を変えると考えられる。
【0049】
本明細書で、異なる屈折率を有する2つの領域を含んだ様々な実施形態が説明されるが、本開示の実施形態は、これらに限定されない。考えられる実施形態には、異なる屈折率の3つ以上の領域を備えるものがある。結晶領域、非晶質領域、または多結晶領域は、各領域の所望の平均屈折率を与えるように決定された厚さで形成されることがある。したがって、例えば、c−Siおよびa−Siの屈折率の加重平均である屈折率を有する1つまたは複数の領域が形成されることがある。そのような領域の屈折率の重み付けは、その領域でのc−Siおよびa−Siの相対比率によって決定されることがある。
【0050】
図12A〜12Eに注意を向けると、示されているのは、半導体層1220の一部の形態を制御することによって基板1210の上に光路を画定する方法1200の実施形態である。追加のプロセス情報は、‘976出願で説明されている。層1220は、半導体の第1の形態、例えばp−Siであり、基板1210は、例えば、二酸化珪素であることがある。図12Aは、最初に形成されたままの層1220を示し、そこに導波路は画定されていない。
【0051】
図12Bは、層1220へのコア領域1230の形成を示す。光源1240、例えばレーザが、層1220を横切って走査する。強度、焦点、デューティ・サイクル、および照射周期は、層1220の照射部分を、層1220が形成された半導体の第2の異なる同素体に転化させるように制御することができる。したがって、例えば、照射部分は、a−Siに転化されることがある。そのとき、照射部分は、未照射層1220よりも屈折率が大きい。それによって、照射部分は、導波路のコア領域1230として動作することができ、隣接した未修正層1220はクラッド領域として動作する。
【0052】
図12Dは、光源1240で引き続き照射してコア領域1230を修正することを示す。光源1240は、コア領域1230の照射部分をp−Siに転化させるように決定された強度、焦点、デューティ・サイクル、および照射周期で動作することができる。層1220もp−Siであるので、コア領域1230の照射部分は、層1220とほぼ同じ屈折率を有し、光信号1250を閉じ込めるように動作しなくなる。言い換えると、コア領域1230の照射部分は基本的に消去される。
【0053】
図12Eは、層1220をさらに照射し、それによってコア領域1230の新しい部分を形成した後のコア領域1230を示す。したがって、コア領域1230は、異なる経路を持つように修正または手直しされている。フォトニック・デバイス中の光路の方向を修正するそのような能力は、例えば、デバイスの機能をカスタマイズするために、レイアウトの誤りを訂正するために、または損傷部分を修復するためにフォトニック・デバイスを手直しする独特の革新的な能力となる。
【0054】
図13A〜13Cは、基板1310の上に形成された光路を含む光デバイス1300の実施形態を示す。先ず図13Aを考えると、例示の実施形態では、半導体層1320は基板1310の上に位置付けされ、誘電体層1330が随意に半導体層1320と基板1310の間に位置付けされている。半導体層1320は、初期屈折率を有する。なおその上、誘電体層1340が、半導体層1320の上に位置付けされる。いくつかの実施形態では、半導体層1320の上に酸化物層を位置付けして、形態の変化を誘起するように加熱されたとき半導体層1320を酸化しないように守ることが好ましいことがある。例えば、半導体層1320は、エピタキシャル層のようなc−Siであり、誘電体層1330は埋込み酸化物層であることがある。誘電体層1340は、相互接続用誘電体スタックの1つまたは複数の層であることがあり、または、特に半導体層1320を保護するために半導体層1320の上に形成された酸化物層であることがある。
【0055】
図13Bは、半導体層1320の一部を、初期屈折率よりも小さな修正屈折率を有する形態に転化させることによって光路を形成することを示す。光源1350は、半導体層1320の一部を加熱し、それによって、加熱された部分をより小さな屈折率を有する形態に転化させる。図示のように1つのクラッド領域1360aは既に形成され、もう1つのクラッド領域1360bが形成されている。クラッド領域1360aおよび1360bは、光信号をその間のコア領域に閉じ込めるように作用することができる。
【0056】
図13Cは、部分1360bが形成された後の光デバイス1300を示す。部分1360aおよび1360bは、コア領域1370の境界を定め、クラッド領域として作用する部分1360a、1360bの屈折率がより小さいために、光信号1380はコア領域1370内で導かれることができる。
【0057】
上の様々な実施形態は、一般に複素数である屈折率の実部nに関して説明されたが、複素屈折率の虚部、すなわち消衰係数kは、一般に、特定の半導体の異なる形態によって異なることにも留意されたい。消衰係数は、光信号の一部の喪失を表わす。したがって、光路中の光信号の喪失すなわち減衰の程度は、光路の一部を1つの形態から他の形態に転化させることによって修正することができる。
【0058】
光路で生じる減衰の修正は、少なくとも2つのやり方で実現することができる。第1の方法では、コア領域120(図1)のような光路の一部が、第1の消衰係数k1の1つの形態から第2の異なる消衰係数k2の他の形態に転化される。第2の方法では、半導体の一部、例えば、光路例えば導波路210に隣接するクラッド領域220b(図2)が修正される。この修正は、光信号が導波路内に閉じ込められる程度を変える。例えば、導波路210がc−Siでクラッド領域220a、220bがp−Siである場合、光信号130は、導波路210の中に十分によく閉じ込められると考えられる。クラッド領域220bの小部分がa−Siに転化されると、この小部分と導波路210の屈折率はほんの約2%だけ異なる(表1を参照されたい)。したがって、光信号130は、十分にはよく閉じ込められないと考えられ、信号の一部は、クラッド領域220bに失われると考えられる。この第2の方法は、導波路210の波長依存伝播特性の乱れがコア領域120の場合よりも少ないと考えられるという点で、いくつかの場合に第1の方法に優る有利点を実現する。
【0059】
本明細書で説明された実施形態は、本開示の範囲内での光素子およびデバイスの実施形態を除外しない。当業者は、説明された実施形態によって証明された原理が他の半導体フォトニック・デバイスに応用可能であることを理解するであろう。減衰器、導波路、および電気光学変調器のような光ネットワーク構築用ブロックは、半導体をより高屈折率またはより低屈折率の同素体または形態に転化させることによって、形成することができる。特に、限定でなく電気光学変調器は、同素体または形態の転化を使用してその変調器の一部の同調をとるかまたはその変調器の一部を部分的に変える能力から相当な利益を得ると考えられる。というのは、そのようなデバイスは、ファブリ・ペロ微小空洞共振器と同様な精密同調構造を使用して製作されることが多いからである。ファブリ・ペロ微小空洞共振器の共振波長、したがってファブリ・ペロ微小空洞共振器の透過率は、空洞共振器媒体の屈折率に強く依存することを、当業者は理解するであろう。空洞共振器の共振周波数は、空洞共振器の一部を1つのSi同素体から他のSi同素体に転化させることによって、入射放射の特定の波長を整合させるように調整されるかもしれない。
【0060】
図14に注意を向けると、図示されているのは、全体的に1400で表わされた、光デバイスを形成する方法である。ステップ1410で、その上に半導体材料層が位置付けされた基板が実現される。本明細書および特許請求の範囲において、「実現される」は、デバイス、基板、構造素子などが、本開示方法を実施する個人または事業実体によって製造されるか、または他の個人または事業実体を含めて当該個人または事業実体以外のソースから当該個人または事業実体によって得られることを意味する。材料層は、入力光信号を受け取るように構成することができ、第1の型の形態を有する半導体材料の領域を含む。
【0061】
ステップ1420で、半導体材料のその領域は、第1の型とは異なった第2の型の形態に転化される。この転化は、例えば、電磁放射の照射または電気的加熱によることがある。転化は、その領域を含む光路の伝播特性を変える。本明細書の様々な実施形態において説明されたように、形態の転化は、導波路コア領域またはこのコア領域に隣接する導波路クラッド領域の半導体材料の一部に対してである。
【0062】
この出願が関係する当業者は、他のおよびさらなる追加、削除、取り替えおよび修正が、説明された実施形態に対して行われる可能性があることを理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
この出願は、参照して本明細書に組み込まれこの出願と共に本願の譲受人に譲渡された「Allotropic Change in Silicon Induced by Electromagnetic Radiation for Resistance Tuning of Integrated Circuit」という名称の、2008年9月19日にFrank A.Baiocchi等によって出願された国際出願PCT/US08/76976号と、参照して本明細書に組み込まれこの出願と共に本願の譲受人に譲渡された「Modification of Logic by Morphological Manipulation of a Semiconductor Resistive Element」という名称の、John Delucca等によって出願された米国特許出願第12/852,378号に関係している。
【0002】
この出願は、一般的に、光デバイスに向けられ、より詳細には、光路の構成に向けられている。
【背景技術】
【0003】
オプトエレクトロニクス・デバイスおよびフォトニック・デバイスは、光信号が伝わる光路を含む。屈折率(n)および消衰係数(k)などのこの光路の光学特性は、信号が伝播する速度と、伝播に起因する損失を決定する。デバイスの動作性能特性は、今度は、伝播速度および損失に依存している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、基板と、基板の上に位置付けされた光路とを含む光デバイスを実現する。光路は、導波路コア領域を含んだ半導体層を含む。コア領域は、第1の型の形態および第1の屈折率を有する第1の半導体領域を備える。第1の半導体領域は、第2の型の形態と、第1の屈折率とは異なった第2の屈折率とを有する、半導体層の第2の半導体領域に隣接して位置付けされている。
【0005】
他の実施形態は、光デバイスを形成する方法を実現する。この方法は、入射光信号を受け取るように構成することができる半導体材料層が上に位置付けされた基板を実現することを含む。半導体材料層は、第1の型の形態を有する半導体材料の1つ領域を含む。この領域は、第1の型とは異なった第2の型の形態に転化される。この転化は、その領域を含む光路の伝播特性を変化させる。
【0006】
ここで、添付の図面に関連して解釈される下記の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】第1および第2の形態の半導体材料を含む光路の実施形態を示す図である。
【図1B】第1および第2の形態の半導体材料を含む光路の実施形態を示す図である。
【図1C】第1および第2の形態の半導体材料を含む光路の実施形態を示す図である。
【図2A】導波路コア領域が第1の形態および第1の屈折率を有し、かつ導波路クラッド領域が第2の異なる形態およびより小さな屈折率を有する半導体層の実施形態を示す図である。
【図2B】導波路コア領域が第1の形態および第1の屈折率を有し、かつ導波路クラッド領域が第2の異なる形態およびより小さな屈折率を有する半導体層の実施形態を示す図である。
【図2C】導波路コア領域が第1の形態および第1の屈折率を有し、かつ導波路クラッド領域が第2の異なる形態およびより小さな屈折率を有する半導体層の実施形態を示す図である。
【図3】光照射後の半導体層を示す顕微鏡写真図である。
【図4】電気的ストレスにさらされた後のイーヒューズを示す顕微鏡写真図である。
【図5A】図4のイーヒューズが受けたのと同様な電気的ストレスにさらされた後のイーヒューズの断面を示す顕微鏡写真図である。
【図5B】図4のイーヒューズが受けたのと同様な電気的ストレスにさらされた後のイーヒューズの断面を示す顕微鏡写真図である。
【図6】c−Si、a−Si、およびp−Siの屈折率を波長の関数として示す図である。
【図7】光加熱によってそれの一部が修正される光共振器を示す図である。
【図8】電気加熱によって光共振器の一部を修正するように構成されたイーヒューズを備える光共振器を示す図である。
【図9】イーヒューズと、光路と、加熱されるように構成された交差部分とを示す図である。
【図10】光加熱によってそれの一部が修正される干渉計を示す図である。
【図11】電気加熱によって干渉計の一部を修正するように構成されたイーヒューズを備える干渉計を示す図である。
【図12A】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12B】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12C】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12D】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図12E】半導体層の一部の形態を制御して導波路コア領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図13A】半導体層の一部の形態を制御して導波路クラッド領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図13B】半導体層の一部の形態を制御して導波路クラッド領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図13C】半導体層の一部の形態を制御して導波路クラッド領域を形成することによって、基板の上に光路を画定することを示す図である。
【図14】光デバイス、例えば図1A〜1Cの光デバイス100または図2A〜2Cの光デバイス200を形成するための本開示の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この開示は、半導体導波路構造の光学特性を修正してこの導波路構造を含む光デバイスの動作を部分的に変えることができるという認識から利益を得る。いくつかの型の導波路は、ブラッグ回折格子のような光素子を形成するように、例えばレーザ照射を使用して修正された。しかし、そのような修正は、一般に、光ファイバ、LiNbO3、およびガラスのような非半導体光導波路に限定されていた。本明細書の様々な実施形態で説明されるように半導体導波路構造を修正できることで、例えば、半導体導波路を含む光デバイスの動作特性を手直しする手段、修復する手段、または同調させる手段を実現する。
【0009】
本開示は、光導波路に半導体材料を使用する光デバイスの様々な実施形態を提供する。実施形態は、様々な半導体形態、すなわち、バルク結晶半導体、例えば結晶半導体格子の一部または延長部分、またはエピタキシャル層と、例えば数半導体結合距離より短い周期性を有する非晶質半導体と、例えば互いに任意の向きを持った数十(例えば、約50)を超える半導体結合距離に及ぶ複数の結晶ドメインを有する多結晶半導体とに言及する可能性がある。
【0010】
本開示は、限定でなくSi、Ge、GaAs、InP、SiC、InGaP、InGaAsおよびInAlGaPなどの任意の元素または化合物半導体の各形態型を用いて実施される実施形態を考えている。半導体は、ドープされていることがあり、または真性であることがある。様々な実施形態は、例の半導体材料としてSiを使用して説明される。例の材料としてのSiのそのような使用は、説明された実施形態をSiに限定しない。様々な実施形態は、非晶質Siをa−Si、結晶Siをc−Si、および多結晶Siをp−Siと呼ぶことがある。当業者は、Siのこれらの状態を参照して説明される原理を、本開示の範囲内で他の半導体に拡張できることを理解するであろう。
【0011】
本明細書で使用されるときに、同素体は、一般的な結合特性によって特徴付けられる半導体材料の状態を意味する。したがって、バルク結晶形態と多結晶形態は、半導体原子が結晶配列をなして結合されているので、両方とも同じ同素体である。非晶質形態は、半導体結合が一般に結晶のように十分に秩序よく配列されていないので、違った同素体である。様々な実施形態および特許請求の範囲は、第1の型の同素体および第2の型の同素体に言及することがある。第1および第2の型の同素体は、互いに相容れない。したがって、第1の型の同素体は、結晶形態(バルク結晶または多結晶)または非晶質形態のどちらかのことを言うことがあるが、一方で、そのとき第2の型の同素体は、第1の型の同素体でない同素体のことを言う。
【0012】
本明細書で説明される様々な実施形態は、非晶質、多結晶およびバルク結晶から選ばれた形態を持つことができる半導体層の1つまたは複数の領域を含む。例えば、限定でなく、シリコン層の領域は、非晶質シリコン(a−Si)、多結晶シリコン(p−Si)、またはバルク結晶シリコン(c−Si)であることがある。説明および特許請求の範囲は、第1の型の形態、第2の型の形態、および第3の型の形態に言及することがある。第1、第2および第3の形態型の各々は、非晶質、多結晶またはバルク結晶のどれか1つである可能性がある。しかし、単一の実施形態または請求項の中で、前述の形態のただ1つだけが、例えば非晶質、多結晶またはバルク結晶が、第1、第2および第3の型の各々に一意的に割り当てられることがある。したがって、例えば、第1の型の形態は、非晶質、多結晶またはバルク結晶のどれかであることがある。第2の型の形態は、残り2つの形態型のいずれかであることがある。第3の型の形態は、残りの割り当てられていない形態型である。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるときに、半導体層は、基板の上の任意の均質な半導体層、およびこの均質な層から得られた半導体特徴を含む。半導体層は、追加の層が半導体材料であろうと他の材料であろうとも半導体層の上に形成された任意の追加の材料層を明確に除外する。したがって、例えば、処理ウェーハの上のエピタキシャル層は、エピタキシャル層から半導体特徴が形成されるのでたとえその特徴が異なる形態を有してもまたは不連続であっても、半導体層である。しかし、この均質層の上にある半導体領域または均質層から得られた特徴は、半導体層に含まれない。そのような除外された領域は、一般に、その除外された領域と下にある均質層または特徴との間の不連続な界面によって識別することができる。また、孤立した半導体特徴が半導体層から形成された後で追加された任意の半導体または他の特徴も半導体層から除外される。したがって、例えば、導波路コアのような孤立した特徴が半導体層から形成される場合には、導波路コアの上に、または導波路コアに隣接して堆積された材料は、たとえ導波路コアと同じレベルにあっても、半導体層の一部でない。
【0014】
例示の半導体材料としてシリコンに焦点を合わせると、シリコン・フォトニック・ネットワークの動作中、電磁放射は、そのネットワークの様々な素子を通って伝播する。シリコンは、約1.3μmから約6μmの波長範囲のEM放射に対して開かれた透過率特性(例えば、透過率≧50%)を有する。したがって、この波長が、シリコン・フォトニクスで一般に使用される。しかし、1.3μmよりも短い波長は、減衰器または短い伝播距離の場合などのいくつかの環境で有用であることがある。
【0015】
前述の各形態は、一般に、複素屈折率特性(波長に依存する屈折率nおよび消衰係数k)を有することがある。さらに、抵抗率のような電気特性は、形態ごとに異なることがある。例えば、1.12μmの波長で、c−Siおよびa−Siの屈折率は、公開された文献でそれぞれ3.54および4.09と報告されている。媒体中の光速は媒体の屈折率に依存するので、光信号は、c−Siよりもa−Siをより低速で伝わると考えられる。さらに以下で説明されるように、屈折率の差は、材料の形態を操作して導波路を形成するために、導波路の光路長を調整するために、または両方のために使用されることがある。
【0016】
図1A〜1Cは、全体的に100で表わされた光デバイスの平面図(図1A)および断面図(図1Bおよび1C)を示す。デバイス100は、フォトニクス・デバイス、例えば、光信号130の光学的処理を行うデバイスであることがある。デバイス100は、限定でなく、光マルチプレクサ、デマルチプレクサ、光フィルタ、光共振器、光プロセッサ、光導波路、ミラー・アレイのような光MEM(微小電気機械システム)デバイス、または他の同様な光学部品であることがあり、またはこれらを含むことがある。例示の実施形態は、様々な実施形態に出てくることがある光デバイスの素子の非限定の例として提供される。
【0017】
基板110の上にコア領域120が位置付けされている。コア領域120は、光信号130を受け取るように構成することができる。基板110は、任意の適切な基板、例えばウェーハであることがある。基板110の材料は、シリコンまたはゲルマニウムのような半導体であることがあるが、必ずしも半導体である必要はない。例えば、ガラス、石英、またはサファイア基板が使用されることがある。
【0018】
コア領域120は、均質な半導体層で形成されることがある。例えば、最初は一様な特性を持った連続した層である1つの層(図示されない)が、最初に、基板110の上に位置付けされることがある。いくつかの実施形態では、均質な層は、それの一部を選択的に除去することによって、コア領域120を形成するようにパターニングされることがある。他の実施形態では、コア領域120は、均質層の一部の形態特性および/または光学特性を本開示の範囲内の方法で部分的に変えることによって、形成されることがある。コア領域120は、光路の構成要素として、例えば平面導波路コアとして動作するように構成されることがある。クラッド領域125は、コア領域120に隣接して位置付けされる。
【0019】
本明細書では、光路は、光信号130などの光信号を強制的に基板110の平面内で伝播させるように構成された固体媒体である。光路は、コア、例えばコア領域130およびクラッド、例えばクラッド領域125を含む。光信号は、一般に、コアとクラッドの界面で内部全反射してコアの方向に導かれる。しかし、本開示は、クラッドの屈折率がコアの屈折率よりも大きい実施形態を意図している。そのような実施形態には、例えば、光路が光信号を減衰させるように構成されている場合がある可能性がある。
【0020】
クラッド領域125は、どんな特定の材料にも限定されない。クラッド領域125は、例えば、空気、シリコン酸化物、または半導体材料であることがあり、またはこれらを含むことがある。クラッド領域125が半導体材料であるとき、クラッド領域125は、コア領域120が形成された同じ材料層の一部であることがある。
【0021】
いくつかの場合に、コア領域120の全ての側でコア領域120に隣接する媒体の屈折率は、コア領域120からの光エネルギーの喪失を最小限にするようにコア領域120の屈折率よりも小さいことが望ましいことがある。したがって、コア領域120よりも小さな屈折率を有する誘電体層140が、基板110とコア領域120の間に位置付けされて、したがってコア領域120に対して下のクラッドとして作用することがある。誘電体層140は、存在する場合には、セミコンダクタ・オン・インシュレータ(SOI)基板に関連した酸化物層、熱酸化物、またはCVD酸化物であることがあり、または基板110、例えばサファイア・ウェーハであることがある。
【0022】
コア領域120は、第1の型の形態および第1の屈折率naを有する領域120aと、第2の型の形態および第2の屈折率nbを有する領域120bとを含む。限定でなく、nbがnaよりも大きい実施形態を意図する。光信号130は、領域120aを領域120bよりも高速で伝播する。コア領域120を通過する光信号130の伝播時間は、信号伝播方向などのコア領域120の光路に沿った領域120aと120bの相対的な長さに依存する。長さの任意の望ましい組合せの1つまたは複数の各領域120a、120bを、コア領域120を通って光信号130がとる経路に沿って位置付け可能である。
【0023】
コア領域120が形成された半導体材料層の形態は、様々な実施形態で制御可能に修正することができる。この修正は、コア領域120の光学特性を変えるために行われることがある。以下でさらに説明されるように、様々な実施形態で、伝播特性を変えることは、伝播方向または伝播速度を変えること、またはコア領域120で生じる光信号130の減衰を変えることを含むことがある。コア領域120の伝播特性を変えることは、コア領域120に隣接する材料の形態を変えることを含むことがある。例えば、コア領域120に隣接する半導体層の一部の屈折率、例えばクラッド領域125の屈折率は、コア領域120から隣接するクラッド領域125に失われる光信号130の量を増加させるように、または減少させるように変えることができる。
【0024】
図2A〜2Cは、全体的に200で表わされた光デバイスの実施形態の平面図(図2A)および断面図(図2B〜2C)を示す。デバイス200は、導波路210を含み、導波路210は、コア領域215およびクラッド領域220a、220bを含む。媒体225は、例えば、空気、酸化物、または半導体材料であることがある。いくつかの実施形態では、媒体225は、基板110の上に形成された連続した半導体材料層の一部であり、この半導体材料層から、コア領域215およびクラッド領域220aおよび220bが形成されている。例示のデバイス200では、コア領域215および媒体225は、屈折率n1を有する。クラッド領域220a、220bは、屈折率n2<n1を有し、したがって、光信号130の一部を導波路210に閉じ込める。
【0025】
前に参照して組み込まれたBaiocchi等のPCT出願第PCT/US08/76976号(以後、「‘976出願」と呼ばれる)は、半導体層の同素体および/または形態の型を変える方法を開示している。その出願で説明された様々な実施形態では、可干渉性(レーザ)エネルギーが、半導体層の一部に集束されて、照射部分の部分的な溶融を引き起こすことがある。例えば、エネルギー照射線量および継続時間、焦点、および複数の照射が行われる時間によって、照射された半導体の非晶質または多結晶同素体の形成を引き起こす時間−温度プロファイルが決定されることがある。したがって、‘976出願で説明されているように、半導体、例えばシリコンのバルク結晶または多結晶部分の状態は、非晶質同素体に制御可能に変えられ、さらに次に多結晶同素体に制御可能に変えられることがある。この転化は、周囲の誘電体層または下にある基板を損傷することなしに行われることがある。
【0026】
図3は、単結晶シリコン基板310を示し、その単結晶シリコン基板310の一部は、第1のパルス・パターンおよび/または照射条件を使用して基板310にレーザ光を照射することによって、非晶質領域320に転化された。非晶質領域320の一部は、今度は、第2のパルス・パターンおよび/または照射条件を使用して基板310にレーザ光を照射することによって、多結晶領域330に転化された。一般に、変化していない基板310、非晶質領域320および多結晶領域330各々は、光学特性が異なり、特に屈折率が異なっている。
【0027】
1つの形態型から別の形態型への半導体材料の転化は、また、転化される半導体材料の一部を、適切な特性を有する電気的刺激を使用して加熱することによっても達成可能であることを、本開示は認める。この刺激は、例えば、転化が望ましい目標領域に所望のエネルギー量を所望の時間にわたって投入するように構成された時間プロファイルの電流であることがある。したがって、例えば図2Aに戻って、クラッド領域220a、220bは、半導体材料の屈折率を第1のより高い値から第2のより低い値に制御可能に修正することによって、連続した半導体材料層から形成されることがある。‘976出願で説明された照射加熱の他に、いくつかの実施形態で、半導体材料の光学特性は、電気的刺激、例えば材料の一部を加熱するように構成された電流によって修正されることがある。
【0028】
図4は、イーヒューズ410を図示する。イーヒューズ410は、荷電デバイス・モデル(CDM)の静電放電(ESD)事象の典型的な電気パルスをかけられた。例えば、そのような事象は、おおよそ106A/cm2の電流密度で約1nsの時間にわたって加えられる500Vの電圧を特徴とすることがある。イーヒューズ410は、プログラミングの目に見える証拠を表わさないが、電気的特性は、プログラミング、例えば抵抗の増加と一致している。このように、イーヒューズ410は、イーヒューズ410または周囲の構造の目に見える損傷なしに、物理的電気的に修正可能である。
【0029】
図5Aおよび5Bは、上で説明されたような電気的ストレスを加えた後の、イーヒューズ410の構造と似ているイーヒューズ510の構造のTEM顕微鏡写真図500A(低倍率)および500B(高倍率)を示す。酸化物層520が、イーヒューズ510の上にある。最初p−Siから形成されたイーヒューズ510は、今では、p−Si部分530とa−Si部分540を含んでいる。a−Si部分540の形態を結晶から非晶質に変えたにもかかわらず、イーヒューズ510の寸法変化はほとんどまたは全く目に見えない。とりわけ、酸化物層520の損傷を示す証拠はない。
【0030】
イーヒューズ410または周囲材料層の観察できる損傷がほとんどまたは全くない状態で、特性の観察された変化、例えば電気抵抗の変化が、様々な実施形態において広い範囲のプログラミング・パルス特性から得られることがある。例えば、パルス電圧の値は、数十ボルトと数千ボルトの間の範囲に入ることがある。同様に、パルスの継続時間は、ナノ秒以下とマイクロ秒の間の範囲にあることがある。電圧とパルス継続時間の効果的な組合せは、当業者が決定することができる、パルスが加えられる構造の特定のレイアウトに依存すると思われる。様々な実施形態では、プログラムされた構造の抵抗、キャパシタンス、およびインダクタンスを考えることが有利であることがある。プログラムされたイーヒューズの最終特性は、イーヒューズに投入された全エネルギーと互いに関係があると考えられる。したがって、一般に、プログラミング・パルスの電圧が増加するにつれて、パルスの継続時間は減少し、また逆に電圧が減少するにつれて継続時間が増加すると考えられる。
【0031】
様々な実施形態において、図6Aおよび6Bで立証された、形態の電気的に誘起される変化は、半導体フォトニック・デバイスおよびネットワークで利用される可能性がある。適切に調整された電気パルスを加えて光素子の全てまたは一部を結晶または多結晶形態から非晶質形態に転化させ、または非晶質形態から多結晶形態に転化させるために、電極が光素子に配置されることがある。この転化は、半導体フォトニック素子の光学的および電気的特性を所望のやり方で変える手段を提供し、回路設計、手直し、またはトリミングの手段を提供すると考えられる。
【0032】
例えば、図6は、フォトニクス用途向けの半導体材料の形態の非限定の例として、c−Si、a−Si、およびp−Siの屈折率の関係を図示する全体的に600と表わされたグラフを示す。屈折率は、材料を通って伝播する光の波長の関数として表わされている。これらのデータは、公開された文献中の屈折率データから推定され、シリコンのこれらの形態の光学的挙動の例として限定でなく示されている。
【0033】
図6では、c−Siは、示された波長範囲の全ての波長で屈折率がa−Siおよびp−Siよりも大きいことが分かる。さらに、a−Siは、約1.58μmより下で屈折率がp−Siよりも大きく、1.58μmより上では順序が逆になることが分かる。
【0034】
図6に図示された関係は、いくつかのやり方で利用可能である。例えば、
・最初にc−Siセグメントを含む光路は、c−Siセグメントの一部をa−Siおよび/またはp−Siに転化させることによってより短い光路長を持つように変えることができる。
・最初にa−Siセグメントを含む光路は、a−Siセグメントの一部をp−Siに転化させることによって、約1.58μm未満の波長に対してより短い光路長を持つように変えることができる。約1.58μmより上では、a−Siセグメントは、より長い光路長を持つと考えられる。
・最初にp−Siセグメントを含む光路は、p−Siセグメントの一部をa−Siに転化させることによって、約1.58μm未満の波長に対してより長い光路長を持つように変えることができる。約1.58μmより上では、p−Siセグメントは、より短い光路長を持つと考えられる。
・最初にバルク結晶(例えば、埋込み酸化物層の上のエピタキシャル層)であるシリコン層は、意図されたコア領域に隣接する結晶層の一部をa−Siおよび/またはp−Siに転化させることによって画定された光路をそのシリコン層中に備えることができる。
【0035】
下の表1は、図6から得られた値を使用して、c−Siに対するa−Si、c−Siに対するp−Si、およびp−Siに対するa−Siの屈折率の基準化された差を比較している。a−Siとp−Siの両方に関して、c−Siと比較した屈折率の差は、示された全ての波長で1%を超え、1.55μm以上の波長では10%を超えている。屈折率のこの相対的な差が、これらの材料を使用して組み立てられた導波路中への光信号の強い閉じ込めを引き起こすと考えられる。
【0036】
表1
波長(μm) (α−c)/c (p−c)/c (α−p)/p
1.3 −1.7% −5.2% 3.7%
1.4 −5.0% −7.3% 2.5%
1.5 −8.5% −9.5% 1.1%
1.55 −10.2% −10.6% 0.4%
1.6 −12.0% −11.7% −0.3%
1.65 −13.8% −12.9% −1.0%
【0037】
下記の実施形態は、半導体層の形態を第1の形態から第2の形態に転化させる本明細書で開示された実施形態を使用して光学特性を修正することができる様々なやり方を例示する。当業者は、他の光デバイスが同様に半導体形態の転化から利益を得ること、およびそのような他の光デバイスがこの開示の範囲内にあることを認めるであろう。さらに、下記の実施形態はシリコンの様々な形態に関して説明される可能性があるが、代替え半導体材料を使用する他の実施形態もまた本開示の範囲内にある。
【0038】
図7は、全体的に700で表わされた共振器を示し、この共振器700は共振器リング710および隣接した導波路720を含み、これらの各々は、最初に従来の方法でp−Siから形成することができる。導波路720は、光エネルギーが導波路720からリング710に、またリング710から導波路720に結合されるように位置付けされている。様々な実施形態で、共振器700は、論理ANDゲートおよび論理NANDゲートのような論理回路素子の一部として使用されることがある。当業者は、光共振器を使用するこれらおよび同様なデバイスの従来の実現をよく知っている。
【0039】
リング710は共振周波数を有し、共振器700を含む回路の動作周波数は部分的にこの共振周波数に依存する。共振周波数は、リング710の寸法、リング710の媒体例えばp−Siの屈折率、媒体中のキャリア濃度、および入射光信号730の強さまたはパワーなどのいくつかの要素によって決定されると考えられる。
【0040】
本明細書の様々な実施形態は、リング710の共振波長を調節する手段を提供する。いくつかの実施形態では、この調節は、‘976出願に説明されているように、可干渉性光源または強い非可干渉性光源を使用して行われる。最初、リング710の光路長(OPL)は、円周C(この例では、π*直径)と屈折率の積、すなわち
OPL=nC
にほぼ等しい。OPLは、セグメント740をp−Siからa−Siに転化させることによって調節可能である。この場合、リング710のOPLは、大きくなると考えられ、リング710の共振波長はλ1からλ2により長くなる。他の例では、共振器700は、最初、エピタキシャル層などのc−Si層から形成される。セグメント740は、c−Siからp−Siに転化されてリング710のOPLを減少させ、したがって、共振器700の共振波長を最初の値λ3から第2の値λ4に減少させることができる。次に、セグメント740の一部は、a−Siに転化され、それによって、OPLを大きくし、さらに共振波長をλ4から他の中間値λ5に長くすることができる。
【0041】
このようにして、リング710の共振波長は、特定の所望値にトリミングする(同調させる)ことができる。そのようなトリミングは、共振器を一部に備えている光回路が動作している間に行われることがある。いくつかの場合に、半導体材料のキャリア濃度および移動度は、1つの形態から他の形態へのその材料の転化の影響を受けると考えられる。実際問題として、材料特性のそのような相互作用から結果として生じる正確な共振周波数を予想することは困難である可能性がある。共振器700の同調をとることができることは、材料特性のそのような変化を補償して共振波長の正確な所望値を生じさせる手段を提供する。
【0042】
図8は、加熱素子として電気のヒューズ構造を使用して同調をとるように構成された共振器800の実施形態を示す。共振器リング810は、いくつかのイーヒューズ構造820を含む。イーヒューズ構造820は、リング810の一部を加熱するように構成され、それによって、加熱部分の形態変化を誘起する。
【0043】
図8の実施形態では、リング810は、8個の未修正イーヒューズ構造820aと、3個の修正済みイーヒューズ構造820bとを含む。形成されたままのリング810の第1の形態から、異なる屈折率の第2の形態に既に修正された、リング810の光路の関連部分830を、各修正済みイーヒューズ構造820bは備えている。共振器リング710に関して説明されたように、リング810の形態および部分830は、リング810の共振波長同調性を実現するように様々な組合せで構成することができる。
【0044】
図9は、イーヒューズ910が交差領域930で共振構造920と交差する実施形態を示す。共振構造920は、例えば共振器リングであることがある。例示の実施形態では、イーヒューズ910および共振構造920は、同じ半導体層、例えばポリシリコン中に形成されている。領域930以外のイーヒューズ910の部分は、領域930を含めて共振構造920よりも高いドーパント濃度にドープされている。より高濃度のドーピングは、共振器構造920よりも高い導電率を領域930以外のイーヒューズ910に与えている。イーヒューズ910のプログラミング中、例えば交差部分930の形態を変えている間、この構成は、イーヒューズ910の加熱を領域930に部分的に局部化し、それによって、領域930を、1つの形態から他の形態に転化させる目標にすると考えられる。加熱の局部化は、有利なことに、意図された目標層が1つの形態から他の形態に転化される見込みを高め、またデバイス100に投入される全パワーを減少させる可能性があり、それによって、デバイス100の損傷の可能性を減少させる。
【0045】
代替え実施形態では、領域930などの加熱素子は、1つまたは複数のランナ、例えば、加熱素子に電流を送るように構成された導電線を含むことがある。そのような実施形態では、ランナは、領域930以外でイーヒューズ910に取って代わる。ランナの厚さおよび/または幅および/または組成は、ランナの抵抗を、ランナの顕著な加熱が起こるかもしれない値より低く制限するように選ばれることがある。ランナは、シリコンなどの非金属化または金属化半導体、例えばシリサイド化ポリシリコンから成ることがあり、または、W、Ti、TiN、Ta、またはTaNのような適度の耐熱金属材料から成ることがある。ランナの加熱を制限することで、ランナの任意の化学反応またはランナからの外方拡散は、取るに足りないレベルに制限されると考えられる。ここで、取るに足らない反応または拡散は、デバイス特性に対して許容できないほど有害な影響がプログラミング・プロセスから結果として生じないこと意味する。ランナは、加熱されるべき領域(例えば、領域930)に側面から例えば目標領域と同じレベルで接続することがあり、または、目標領域より上および下に位置付けされて、1つまたは複数のコンタクトまたはビアのような低抵抗接続で接続されることがある。
【0046】
図10は、限定でなくマッハ・ツェンダ構成で表わされた干渉計1010を示す。干渉計1010は入力光信号1020を受け取り、この光信号1020は、第1の経路1030と第2の経路1040とに分割される。経路1030、1040を通過する信号部分は、再び結合されて出力信号1050を生成する。一般に、出力信号1050の強度および位相特性は、経路1030、1040を通って伝播する信号部分の相対的な位相遅れに依存する。各経路1030、1040での位相遅れは、今度は、経路1030、1040が形成される媒体の屈折率に部分的に依存する。
【0047】
本明細書で説明される様々な実施形態に従って、第1の経路1030のセグメント1060は、最初の第1の屈折率から第2の屈折率に修正されることがある。この修正は、例えば、可干渉性光または高強度光にさらすことから結果として起こることがある。一実施形態では、セグメント1060は、p−Siからa−Siに転化され、それによって、セグメント1060の屈折率を減少させる。第1の経路1030のOPLは、それによって減少されて、今度は、第1の経路1030を通って伝播する入力光信号1020の部分に与えられる位相遅れを減少させる。結果として、出力信号1050の位相および強度特性は変化すると考えられる。
【0048】
図11は、電気イーヒューズ構造1120で同調をとるように構成された干渉計1110の実施形態を示す。この干渉計は、2個の未修正イーヒューズ1120aを含む。3個の修正済みイーヒューズ1120bは、既に動作して、第1の経路1030のセグメント1130の形態を修正した。例えば、形態は、結晶から非晶質に変えられることがある。前のように、この修正は、出力信号1050の位相および強度特性を変えると考えられる。
【0049】
本明細書で、異なる屈折率を有する2つの領域を含んだ様々な実施形態が説明されるが、本開示の実施形態は、これらに限定されない。考えられる実施形態には、異なる屈折率の3つ以上の領域を備えるものがある。結晶領域、非晶質領域、または多結晶領域は、各領域の所望の平均屈折率を与えるように決定された厚さで形成されることがある。したがって、例えば、c−Siおよびa−Siの屈折率の加重平均である屈折率を有する1つまたは複数の領域が形成されることがある。そのような領域の屈折率の重み付けは、その領域でのc−Siおよびa−Siの相対比率によって決定されることがある。
【0050】
図12A〜12Eに注意を向けると、示されているのは、半導体層1220の一部の形態を制御することによって基板1210の上に光路を画定する方法1200の実施形態である。追加のプロセス情報は、‘976出願で説明されている。層1220は、半導体の第1の形態、例えばp−Siであり、基板1210は、例えば、二酸化珪素であることがある。図12Aは、最初に形成されたままの層1220を示し、そこに導波路は画定されていない。
【0051】
図12Bは、層1220へのコア領域1230の形成を示す。光源1240、例えばレーザが、層1220を横切って走査する。強度、焦点、デューティ・サイクル、および照射周期は、層1220の照射部分を、層1220が形成された半導体の第2の異なる同素体に転化させるように制御することができる。したがって、例えば、照射部分は、a−Siに転化されることがある。そのとき、照射部分は、未照射層1220よりも屈折率が大きい。それによって、照射部分は、導波路のコア領域1230として動作することができ、隣接した未修正層1220はクラッド領域として動作する。
【0052】
図12Dは、光源1240で引き続き照射してコア領域1230を修正することを示す。光源1240は、コア領域1230の照射部分をp−Siに転化させるように決定された強度、焦点、デューティ・サイクル、および照射周期で動作することができる。層1220もp−Siであるので、コア領域1230の照射部分は、層1220とほぼ同じ屈折率を有し、光信号1250を閉じ込めるように動作しなくなる。言い換えると、コア領域1230の照射部分は基本的に消去される。
【0053】
図12Eは、層1220をさらに照射し、それによってコア領域1230の新しい部分を形成した後のコア領域1230を示す。したがって、コア領域1230は、異なる経路を持つように修正または手直しされている。フォトニック・デバイス中の光路の方向を修正するそのような能力は、例えば、デバイスの機能をカスタマイズするために、レイアウトの誤りを訂正するために、または損傷部分を修復するためにフォトニック・デバイスを手直しする独特の革新的な能力となる。
【0054】
図13A〜13Cは、基板1310の上に形成された光路を含む光デバイス1300の実施形態を示す。先ず図13Aを考えると、例示の実施形態では、半導体層1320は基板1310の上に位置付けされ、誘電体層1330が随意に半導体層1320と基板1310の間に位置付けされている。半導体層1320は、初期屈折率を有する。なおその上、誘電体層1340が、半導体層1320の上に位置付けされる。いくつかの実施形態では、半導体層1320の上に酸化物層を位置付けして、形態の変化を誘起するように加熱されたとき半導体層1320を酸化しないように守ることが好ましいことがある。例えば、半導体層1320は、エピタキシャル層のようなc−Siであり、誘電体層1330は埋込み酸化物層であることがある。誘電体層1340は、相互接続用誘電体スタックの1つまたは複数の層であることがあり、または、特に半導体層1320を保護するために半導体層1320の上に形成された酸化物層であることがある。
【0055】
図13Bは、半導体層1320の一部を、初期屈折率よりも小さな修正屈折率を有する形態に転化させることによって光路を形成することを示す。光源1350は、半導体層1320の一部を加熱し、それによって、加熱された部分をより小さな屈折率を有する形態に転化させる。図示のように1つのクラッド領域1360aは既に形成され、もう1つのクラッド領域1360bが形成されている。クラッド領域1360aおよび1360bは、光信号をその間のコア領域に閉じ込めるように作用することができる。
【0056】
図13Cは、部分1360bが形成された後の光デバイス1300を示す。部分1360aおよび1360bは、コア領域1370の境界を定め、クラッド領域として作用する部分1360a、1360bの屈折率がより小さいために、光信号1380はコア領域1370内で導かれることができる。
【0057】
上の様々な実施形態は、一般に複素数である屈折率の実部nに関して説明されたが、複素屈折率の虚部、すなわち消衰係数kは、一般に、特定の半導体の異なる形態によって異なることにも留意されたい。消衰係数は、光信号の一部の喪失を表わす。したがって、光路中の光信号の喪失すなわち減衰の程度は、光路の一部を1つの形態から他の形態に転化させることによって修正することができる。
【0058】
光路で生じる減衰の修正は、少なくとも2つのやり方で実現することができる。第1の方法では、コア領域120(図1)のような光路の一部が、第1の消衰係数k1の1つの形態から第2の異なる消衰係数k2の他の形態に転化される。第2の方法では、半導体の一部、例えば、光路例えば導波路210に隣接するクラッド領域220b(図2)が修正される。この修正は、光信号が導波路内に閉じ込められる程度を変える。例えば、導波路210がc−Siでクラッド領域220a、220bがp−Siである場合、光信号130は、導波路210の中に十分によく閉じ込められると考えられる。クラッド領域220bの小部分がa−Siに転化されると、この小部分と導波路210の屈折率はほんの約2%だけ異なる(表1を参照されたい)。したがって、光信号130は、十分にはよく閉じ込められないと考えられ、信号の一部は、クラッド領域220bに失われると考えられる。この第2の方法は、導波路210の波長依存伝播特性の乱れがコア領域120の場合よりも少ないと考えられるという点で、いくつかの場合に第1の方法に優る有利点を実現する。
【0059】
本明細書で説明された実施形態は、本開示の範囲内での光素子およびデバイスの実施形態を除外しない。当業者は、説明された実施形態によって証明された原理が他の半導体フォトニック・デバイスに応用可能であることを理解するであろう。減衰器、導波路、および電気光学変調器のような光ネットワーク構築用ブロックは、半導体をより高屈折率またはより低屈折率の同素体または形態に転化させることによって、形成することができる。特に、限定でなく電気光学変調器は、同素体または形態の転化を使用してその変調器の一部の同調をとるかまたはその変調器の一部を部分的に変える能力から相当な利益を得ると考えられる。というのは、そのようなデバイスは、ファブリ・ペロ微小空洞共振器と同様な精密同調構造を使用して製作されることが多いからである。ファブリ・ペロ微小空洞共振器の共振波長、したがってファブリ・ペロ微小空洞共振器の透過率は、空洞共振器媒体の屈折率に強く依存することを、当業者は理解するであろう。空洞共振器の共振周波数は、空洞共振器の一部を1つのSi同素体から他のSi同素体に転化させることによって、入射放射の特定の波長を整合させるように調整されるかもしれない。
【0060】
図14に注意を向けると、図示されているのは、全体的に1400で表わされた、光デバイスを形成する方法である。ステップ1410で、その上に半導体材料層が位置付けされた基板が実現される。本明細書および特許請求の範囲において、「実現される」は、デバイス、基板、構造素子などが、本開示方法を実施する個人または事業実体によって製造されるか、または他の個人または事業実体を含めて当該個人または事業実体以外のソースから当該個人または事業実体によって得られることを意味する。材料層は、入力光信号を受け取るように構成することができ、第1の型の形態を有する半導体材料の領域を含む。
【0061】
ステップ1420で、半導体材料のその領域は、第1の型とは異なった第2の型の形態に転化される。この転化は、例えば、電磁放射の照射または電気的加熱によることがある。転化は、その領域を含む光路の伝播特性を変える。本明細書の様々な実施形態において説明されたように、形態の転化は、導波路コア領域またはこのコア領域に隣接する導波路クラッド領域の半導体材料の一部に対してである。
【0062】
この出願が関係する当業者は、他のおよびさらなる追加、削除、取り替えおよび修正が、説明された実施形態に対して行われる可能性があることを理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に位置付けされた光路とを備え、前記光路が、導波路コア領域を含んだ半導体層を含み、前記コア領域が、第1の型の形態および第1の屈折率を有する第1の半導体領域を有し、前記第1の半導体領域が、第2の型の形態と前記第1の屈折率とは異なる第2の異なる屈折率とを有する、前記半導体層の第2の半導体領域に隣接して位置付けされる、光デバイス。
【請求項2】
前記第1の半導体領域は第1の同素体状態を有し、前記第2の半導体領域は前記第1の同素体状態とは異なった第2の同素体状態を有する、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第1の型の形態が非晶質であり、前記第2の型の形態は多結晶である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記導波路コア領域は共振光路の一部である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記導波路コア領域を加熱するように構成された加熱素子をさらに備える、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項6】
光デバイスを形成する方法であって、
入射光信号を受け取るように構成可能な半導体材料の層を上に有する基板を提供する事を含み、前記半導体材料の層は第1の型の形態を有する前記半導体材料の領域を含み、さらに、
前記領域を、前記第1の型とは異なった第2の型の形態に転化させ、それにより、前記領域を含む光路の伝播特性を変化させる、ことを含む方法。
【請求項7】
前記第1の型の形態は前記半導体材料の第1の同素体であり、前記第2の型の形態は、前記第1の同素体とは異なる、前記半導体材料の第2の同素体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の型の形態は非晶質であり、前記第2の型の形態は多結晶である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記領域が導波路リングの光路中に位置付けされる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記転化が前記領域の光照射に起因する、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に位置付けされた光路とを備え、前記光路が、導波路コア領域を含んだ半導体層を含み、前記コア領域が、第1の型の形態および第1の屈折率を有する第1の半導体領域を有し、前記第1の半導体領域が、第2の型の形態と前記第1の屈折率とは異なる第2の異なる屈折率とを有する、前記半導体層の第2の半導体領域に隣接して位置付けされる、光デバイス。
【請求項2】
前記第1の半導体領域は第1の同素体状態を有し、前記第2の半導体領域は前記第1の同素体状態とは異なった第2の同素体状態を有する、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第1の型の形態が非晶質であり、前記第2の型の形態は多結晶である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記導波路コア領域は共振光路の一部である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記導波路コア領域を加熱するように構成された加熱素子をさらに備える、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項6】
光デバイスを形成する方法であって、
入射光信号を受け取るように構成可能な半導体材料の層を上に有する基板を提供する事を含み、前記半導体材料の層は第1の型の形態を有する前記半導体材料の領域を含み、さらに、
前記領域を、前記第1の型とは異なった第2の型の形態に転化させ、それにより、前記領域を含む光路の伝播特性を変化させる、ことを含む方法。
【請求項7】
前記第1の型の形態は前記半導体材料の第1の同素体であり、前記第2の型の形態は、前記第1の同素体とは異なる、前記半導体材料の第2の同素体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の型の形態は非晶質であり、前記第2の型の形態は多結晶である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記領域が導波路リングの光路中に位置付けされる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記転化が前記領域の光照射に起因する、請求項6に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【公開番号】特開2012−37887(P2012−37887A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171439(P2011−171439)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(508243639)エルエスアイ コーポレーション (124)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(508243639)エルエスアイ コーポレーション (124)
【Fターム(参考)】
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