説明

形状変更が可能な基地局アンテナ

本発明は、放射素子を各々有する少なくとも2個の反射板と、内部空洞を形成して前記少なくとも2個の反射板を収納するレドームと、レドームの上部及び下部に形成された開口部を各々カバーするように結合される第1及び第2のキャップと、少なくとも2個の反射板各々と第1及び第2のキャップとに連結されて少なくとも2個の反射板の回転を可能にする反射板接続部材と、回転力を付与する少なくとも一つの動力発生部と動力発生部で付与される回転力を少なくとも一つの反射板に付与し、回転力が付与される前記反射板の回転角を制御する少なくとも一つの動力伝送機構部とを含む反射板回転駆動部であって、動力発生部及び動力伝送機構部のうち一方が反射板と結合され、他方が第1のキャップと結合される、反射板回転駆動部と、反射板及び第2のキャップに結合されて反射板の回転及び固定をガイドする反射板固定部と、反射板の回転及び停止を制御するための制御信号を反射板回転駆動部及び反射板固定部に入力する反射板制御部と、を含む基地局アンテナを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基地局アンテナに関するもので、特に多重アンテナ方式をサポートする基地局アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信技術の発展に従って、第3世代(3rd Generation:3G)ネットワークが飽和される前に第4世代(4th Generation:4G)ネットワークの構築が活発になされると予想されている。4Gネットワークを代表する国際標準であるモバイルWiMAX又はLTE(Long Term Evolution)通信方式は、周波数帯域と伝送速度との比である容量(capacity,bps/Hz)を増大させるために多様な技術が適用されており、この中で最も効果的に容量を改善させるためにMIMO(Multi-Input Multi-Output)と呼ばれる多重アンテナ技術(Multiple Antenna Technology)を適用する。
【0003】
基地局アンテナにおける多重アンテナ技術の基本は、基底帯域信号処理技術に基づいているが、アンテナの設置形状によって多重アンテナを使用した容量改善効果は顕著に変化される。その理由は、多重アンテナ技術は、複数の多重経路フェージング(multi-path fading)を積極的に利用しつつ、他の加入者からの干渉(interference)信号は除去する技術なので、同一のアンテナ設置形状でも基地局が提供する地域の電波(wave propagation)環境及び加入者分布によって容量改善効果が変わるためである。したがって、国際標準では、アンテナ設置形状に対して標準化せず、フィールド状況に合わせて自由にアンテナを設置して容量を極大化可能にする。
【0004】
しかしながら、従来の多重アンテナ技術では、アンテナビームが固定されているので、電波環境及び加入者の分布に適応するように対応させずに、一度設置されると、基底帯域信号処理技術のみに依存して容量の増大を期待できないという制約がある。必要に応じて、タワーに登り、アンテナ自体又はアンテナ設置形状を変更できる。しかしながら、変更及び最適化のために、多くの時間及びコストが消費され、その上電波環境及び加入者分布が時間的に変わる状況には対処することが容易でない。すなわち、従来のアンテナ技術では、通信環境の状態をリアルタイムで反映してロードバランシング(load balancing)を遂行できず、遠隔地でホットスポット(hotspot)地域へアンテナビームのステアリング(steering)を遂行する方法が存在しないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、電波環境及び加入者分布に対応してアンテナビームの放射方向を遠隔地で多様に可変する基地局アンテナを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、電波環境及び加入者分布に対応してアンテナ形状を変更することによって、セル容量を増大させる基地局アンテナを提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、通信環境の状態をリアルタイムで反映してロードバランシング機能を遂行し、ホットスポット地域にアンテナビームをステアリングする基地局アンテナを提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の目的は、アンテナ角度変更の際に上部又は下部の歪みを防止するための基地局アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明の一態様によれば、基地局アンテナは、少なくとも一つの放射素子を各々有する少なくとも2個の反射板と、内部空洞を形成して前記少なくとも2個の反射板を収納するレドームと、レドームの上部及び下部に形成された開口部を各々カバーするように結合される第1及び第2のキャップと、少なくとも2個の反射板各々と第1及び第2のキャップとに連結されて少なくとも2個の反射板の回転を可能にする反射板接続部材と、回転力を付与する少なくとも一つの動力発生部と動力発生部で付与される回転力を少なくとも一つの反射板に付与し、回転力が付与される前記反射板の回転角を制御する少なくとも一つの動力伝送機構部とを含む反射板回転駆動部であって、動力発生部及び動力伝送機構部のうち一方が、少なくとも2個の反射板と結合され、他方が、第1のキャップと結合される、反射板回転駆動部と、少なくとも2個の反射板及び第2のキャップに結合されて反射板の回転及び固定をガイドする反射板固定部と、少なくとも2個の反射板の回転及び停止を制御するための制御信号を反射板回転駆動部及び反射板固定部に入力する反射板制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、第一に、一つのレドーム内部に備えられる複数の反射板のステアリング角度を遠隔地で制御することによって、通信環境の状態をリアルタイムで反映してロードバランシング機能を遂行し、時空間的制約なしにホットスポット地域にアンテナビームをステアリングすることができる。
【0011】
第二に、一つのレドームの内部に備えられた反射板を相互に異なるサービスネットワークのためのアンテナとして運用することによって、相互に異なるサービスを同時に提供する共用基地局を運用することができる。
【0012】
第三に、電波環境及び加入者分布に対応してアンテナ形状を変更することによってセル容量を増大させることができる。
【0013】
第四に、アンテナステアリング角度を変更する場合、アンテナの上部又は下部の歪みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の第1の実施形態による基地局アンテナの斜視図である。
【図1B】図1Aのレドームが除去された状態の基地局アンテナの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による基地局アンテナの反射板ガイド部の第1の例を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による基地局アンテナの反射板ガイド部の第2の例を示す断面図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態による基地局アンテナの反射板ガイド部の第3の例を示す断面図である。
【図4B】図4Aの第1及び第2の固定部が結合される上部キャップを示す部分平面図である。
【図5A】図1Aの基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図5B】図1Aの基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図5C】図1Aの基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図5D】図1Aの基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図5E】図1Aの基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による基地局アンテナの斜視図である。
【図7A】図6の基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図7B】図6の基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図7C】図6の基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図7D】図6の基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【図7E】図6の基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
次の説明において、具体的な構成及び構成要素のような細部は、ただ本発明の実施形態の全般的な理解を助けるために提供されるだけである。したがって、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、以下に説明される本発明の様々な変形及び変更が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【0017】
従来の通信サービスネットワーク(例えば、2G又は3Gネットワーク)を用いて移動通信サービスを提供しつつ新規通信サービスネットワーク(例えば、4Gネットワーク)を構築する場合、新規基地局サイトを設置するのに多くのコストが必要となる。したがって、従来の通信サービスネットワーク(例えば、2G又は3Gネットワーク)のために設置されたサイトを用いて新規通信サービスネットワーク(例えば、4Gネットワーク)を構築すると、新規基地局サイト設置に必要とするコストを低減することができる。これによって、新規通信サービスネットワークの構築時に共用基地局(Co-siting)の設置が要求される。すなわち、次世代通信サービスネットワークに必要なアンテナは、既に構築された基地局タワーのアンテナとともに設置されることが要求される。
【0018】
本発明では、遠隔制御可能なアンテナビームを形成して電波環境及び加入者分布に合わせて適応するようにアンテナビームを可変させることで、多重アンテナ技術を用いる容量増大の効果を極大化することができる。そして、加入者分布に合わせてアンテナビームの方向を調整してセクタ間ロードバランシング機能をサポートでき、サービス地域内のホットスポット地域にアンテナビームをステアリングでき、アンテナビームステアリングのためのアンテナ角度を変更する場合、アンテナの上部又は下部の歪みを防止できる基地局アンテナを提案する。
【0019】
図1Aは本発明の第1の実施形態による基地局アンテナの斜視図であり、図1Bは図1Aのレドームが除去された基地局アンテナの斜視図である。
【0020】
まず、図1Aを参照すると、本発明の第1の実施形態による基地局アンテナは、上部キャップ411及び下部キャップ413が上部及び下部に各々覆われるレドーム412によって外形が形成される。
【0021】
次に、図1Bを参照すると、レドーム412の内部には、複数の放射素子43,47、第1の反射板42、第2の反射板46、及び複数の放射素子43,47と第1及び第2の反射板42,46とを固定する各種装備が設置される。特に、本発明の一実施形態による基地局アンテナは、複数の放射素子43,47と第1及び第2の反射板42,46とが回転可能なように固定する反射板接続部材44,45を備え、複数の放射素子43,47、第1の反射板42、及び第2の反射板46の回転を遠隔地で制御するための反射板回転駆動部48,493,495を備える。反射板回転駆動部48,493,495は、少なくとも一つの動力発生部48と動力伝送機構部493,495とを含んでなる。
【0022】
反射板接続部材44,45は、上部キャップ411及び/又は下部キャップ413に固定した第1のヒンジ44と、第1及び第2の反射板42,46の間に装着される第2のヒンジ45と、を備える。
【0023】
反射板回転駆動部の動力発生部48は、遠隔地から制御信号を受信し、制御信号に対応して第1及び第2の反射板42,46の回転のための動力を発生させるものであって、例えば電動機であり得る。
【0024】
反射板回転駆動部の動力伝送機構部493,495は、動力発生部48の回転軸に固定される外接(external)ギア493を備え、第1及び第2の反射板42,46の回転によって形成される外接ギア493の移動経路に対応し、下部キャップ413に備えられる内接(internal)ギア495を備える。このような動力伝送機構部493,495の構造に従って、本発明の基地局アンテナは、遠隔地からの第1及び第2の反射板42,46の回転を制御するのに必要な制御信号によって動力発生部48が駆動し、それによって第1及び第2の反射板42,46の回転角を制御することができる。また、動力発生部48を収納する補助キャップ49をさらに具備することができる。
【0025】
本発明の実施形態では、第1及び第2の反射板42,46の回転のための装置として動力伝送機構部493,495の構成要素を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、動力伝送機構部493,495は、動力発生部48から付与される回転力によって第1及び第2の反射板42,46の回転を制御できる構造であればよい。
【0026】
また、本発明の実施形態では、動力伝送機構部493,495は、外接ギア493及び内接ギア495を備えることを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、動力伝送機構部493,495は、遠隔地で送信される制御信号を用いて反射板42,46の回転を制御できる構造であればよい。
【0027】
また、本発明の他の実施形態では、反射板回転駆動部48,493,495が第1及び第2の反射板42,46の上端部に設置されることも可能である。
【0028】
一方、本発明の第1の実施形態による基地局アンテナは、第1及び第2の反射板42,46の振動に対する補強をサポートし、反射板の回転及び固定をガイドする反射板ガイド部をさらに備える。このような反射板ガイド部の詳細な構成は、図2、図3、図4A、及び図4Bのように示される。
【0029】
図2は反射板ガイド部の第1の例を示す断面図であり、図3は反射板ガイド部の第2の例を示す断面図であり、図4A及び図4Bは反射板ガイド部の第3の例を示す断面図である。
【0030】
図2を参照すると、第1の例による反射板ガイド部501a,502a,503a,504a,501b,502b,503b,504bは、反射板固定駆動部501a,501bを備えており、反射板回転駆動部48,493,495の構造と同様に構成され得る。具体的に、反射板ガイド部501a,502a,503a,504a,501b,502b,503b,504bは、固定部材502a,502bを介して第1及び第2の反射板42,46に各々結合される反射板固定駆動部501a,501bを含む。また、反射板ガイド部501a,502a,503a,504a,501b,502b,503b,504bは、小型外接ギア503a,503bと内接ギア504a,504bとを含んで構成される。この小型外接ギア503a,503bは、反射板固定駆動部501a,501bの回転軸に結合され、内接ギア504a,504bは、小型外接ギア503a,503bの移動経路に対応して上部キャップ411に形成されるように構成される。図2に示した反射板ガイド部の反射板固定駆動部501a,501bは、動力発生部48の制御のための制御信号と連動して制御されることがある。すなわち、反射板回転駆動部の動力発生部48が駆動するに従って反射板ガイド部の反射板固定駆動部501a,501bが駆動され、第1及び第2の反射板42,46の上部及び下部で同一の速度及び角度で第1及び第2の反射板42,46が回転する。その反面、反射板回転駆動部の動力発生部48が回転せずに動力伝送機構部493,495により第1及び第2の反射板42,46の下部位置を固定すると、反射板ガイド部の反射板固定駆動部501a,501bも回転せずに小型外接ギア503a,503b及び内接ギア504a,504bを用いて第1及び第2の反射板42,46の上部位置を固定する。
【0031】
また、第1の例で備えられた反射板固定駆動部501a,501bに対する他の実施形態であって、反射板ガイド部の第2の例は、図3に示すように反射板固定駆動部として無励磁(non-excited)ブレーキ511a,511bを具備できる。これによって、第2の例による反射板ガイド部511a,512a,513a,514a,511b,512b,513b,514bは、第1及び第2の反射板42,46の移動をガイドするために、第1及び第2の反射板42,46に各々結合される固定部材512a,512bを介して固定される無励磁ブレーキ511a,511bと、これら無励磁ブレーキ511a,511bの回転軸に結合される小型外接ギア513a,513bと、小型外接ギア513a,513bの移動経路に対応して上部キャップ411に形成される内接ギア514a,514bと、を含んで構成することができる。
【0032】
図3に示す反射板ガイド部の無励磁ブレーキ511a,511bは、動力発生部48の制御のための制御信号と連動して制御され得る。すなわち、反射板回転駆動部の動力発生部48に回転駆動のための動作信号が入力されると、反射板ガイド部の無励磁ブレーキ511a,511bにも動作信号が入力され、無励磁ブレーキ511a,511bに結合された小型外接ギア513a,513bが第1及び第2の反射板42,46の回転を可能にする。無励磁ブレーキ511a,511bの回転軸に結合された小型外接ギア513a,513bの回転が可能になり、動力発生部48が駆動する。それによって、第1及び第2の反射板42,46は、小型外接ギア513a,513bと内接ギア514a,514bとによって形成される経路に沿ってガイドされる。反対に、反射板回転駆動部の動力発生部48の停止信号が入力されると、反射板ガイド部の無励磁ブレーキ511a,511bにも停止信号が入力され、無励磁ブレーキ511a,511bは第1及び第2の反射板42,46の回転を防止する。それによって、無励磁ブレーキ511a,511bに結合された小型外接ギア513a,513bは、内接ギア514a,514bに噛み合って第1及び第2の反射板42,46の上部を固定する。
【0033】
また、第1の例に示した反射板固定駆動部501a,501bに対する他の実施形態で、図4Aに示す反射板ガイド部の第3の例は、反射板固定駆動部としてコイルボディ521a,521b及び固定ピン523a,523bを含むソレノイドユニット521a,521b,523a,523bを備えて構成することができる。
【0034】
第3の例による反射板ガイド部521a,522a,523a,524a,521b,522b,523b,524bは、第1及び第2の反射板42,46の移動をガイドするためのソレノイドユニット521a,521b,523a,523bと第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bとを備える。ソレノイドユニット521a,521b,523a,523bは、第1及び第2の反射板42,46に各々結合され、第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bは、第1及び第2の反射板42,46が回転された状態を固定するために上部キャップ411に形成される。第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bは、同一の構造で備えられるので、以下、図4Bを参照して第1の固定ピン収容アレイ521aに対する詳細な構成を示し、第2の固定ピン収容アレイ521bに対する説明は省略する。第1の固定ピン収容アレイ521aは、上部キャップ411に結合され、ソレノイドユニット521a,521b,523a,523bの固定ピン523aを収容できる複数の固定孔525aを備える。複数の固定孔525aは、回転移動する第1の反射板42の移動経路に対応する位置に備えられる。
【0035】
上述した反射板ガイド部521a,522a,523a,524a,521b,522b,523b,524bは、動力発生部48に入力される制御信号と連動して動作する。すなわち、反射板回転駆動部の動力発生部48に回転駆動のための動作信号が入力されると、ソレノイドユニットのコイルボディ521a,521bに動作信号が入力されて電流が流れるようになり、固定ピン523a,523bがコイルボディ521a,521bの方に引かれて第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bの固定孔525a,525bから引き出される。その一方、反射板回転駆動部の動力発生部48の停止信号が入力されると、ソレノイドユニット521a,521b,523a,523bのコイルボディ521a,521bに停止信号が入力されてこれ以上の電流が流れず、固定ピン523a,523bが第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bの固定孔525a,525bに引き込まれる。言い換えれば、図4A及び図4Bに示す反射板ガイド部521a,522a,523a,524a,521b,522b,523b,524bの構造によって、反射板回転駆動部の動力発生部48が回転すると、固定ピン523a,523bがコイルボディ521a,521bの方に引かれて第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bの固定孔525a,525bから引き出されることによって、第1及び第2の反射板42,46は、自由に回転可能な状態となる。反対に、反射板回転駆動部の動力発生部48が回転しないと、固定ピン523a,523bが第1及び第2の固定ピン収容アレイ521a,521bの固定孔525a,525bの方に引き込まれることによって、第1及び第2の反射板42,46は、固定ピン523a,523bにより固定される。
【0036】
一方、更に図1Bを参照すると、本発明の第1の実施形態による基地局アンテナは、第1の反射板42及び第2の反射板46の回転角度を制御するための少なくとも一つの回転リミット461,462をさらに具備できる。
【0037】
回転リミット461,462は、第1及び第2の反射板42,46の前面部(例えば、複数の放射素子43,47が装着される面)及び後面部に相互に交差して結合することができる。すなわち、図1Bに示すように、回転リミット461,462は、第2の反射板46の前面部(例えば、複数の放射素子43,47が装着される面)に少なくとも一つが結合され、第1の反射板42の後面部に少なくとも一つが結合され得る。
【0038】
これに対する他の実施形態では、回転リミット461,462は、第1の反射板42及び第2の反射板46の前面部(例えば、複数の放射素子43,47が装着される面)に各々一つずつ結合され、第1及び第2の反射板42,46の後面部にも各々結合され得る(例えば図5A〜図5Eに示す回転リミット463参照)。
【0039】
そして、回転リミット461,462は、第1及び第2の反射板42,46の回転を制御するための角度、例えば、120゜の内角を有する扇形又は三角形の形状で具備され得る。
【0040】
上述したような構成の回転リミット461,462の一端部が第1及び第2の反射板42,46に結合されることによって、第1及び第2の反射板42,46が第1の角度範囲内で回転し、あるいは第2の角度範囲以上に回転する場合、回転リミット461,462の他端部は、第1及び第2の反射板42,46に接触して回転がこれ以上進行されないようにする。
【0041】
本発明の第1の実施形態において、回転リミット461,462は、第1及び第2の反射板42,46の前面部及び後面部にそれぞれ別々に結合したり、第1及び第2の反射板42,46の前面部及び後面部の一方に両方を結合したりすることを示す。そして、回転リミット461,462が扇形又は三角形の形状であることを例示した。しかしながら、本発明がこのような回転リミットの構造を限定するものではなく、この回転リミットは、第1の反射板42及び第2の反射板46の回転角度を制限できれば十分である。したがって、回転リミットの結合位置又は回転リミットの形状は、多様に変更できることはもちろんである。
【0042】
なお、図5A乃至図5Eは、図1Bの基地局アンテナにより放射されるビームパターン及び方向を示す。上述した本発明の第1の実施形態による基地局アンテナに備えられる反射板42,46は、図5A乃至図5Eに示すように回転でき、本発明の基地局アンテナは、セクタ間ロードバランシング機能をサポートでき、サービス地域内のホットスポット地域にアンテナビームをステアリングでき、基地局のセクタ運用を多様に変更できる。
【0043】
図6は、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナの斜視図である。また、図7A〜図7Eは、図6の基地局アンテナにより放射されるビームのパターン及び方向を示す。
【0044】
本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは第1の実施形態による基地局アンテナと同一の構造で構成される。但し、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは、第1の実施形態に比べてレドーム612の内部に設置された反射板の数を異なるように備え、反射板の回転のための装備を異なるように備える。
【0045】
具体的に、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは、3個の反射板、すなわち第1の反射板62、第2の反射板64、及び第3の反射板66をレドーム612の内部に備える。第1の反射板62を中心に両側面に第2の反射板64及び第3の反射板66が配置され、第2の反射板64及び第3の反射板66は、反射板接続部材68,69を介して各々第1の反射板62に連結される。反射板接続部材68,69は、第1の反射板62の位置を固定し、反射板接続部材68,69の中心軸回りに第2の反射板64及び第3の反射板66が回転可能に具備される。
【0046】
また、第2の反射板64及び第3の反射板66の回転を遠隔地で制御するための、動力発生部705と動力伝送機構部713,715とを備える。第1の実施形態と同様に、動力伝送機構部713,715は、外接ギア713及び内接ギア715を具備できる。
【0047】
なお、動力伝送機構部713,715は、動力発生部705が収納される補助キャップ70をさらに具備でき、補助キャップ70は、第2の反射板64及び第3の反射板66に各々装着できる。
【0048】
このような動力発生部705と動力伝送機構部713,715との構造によって、基地局アンテナは、遠隔地から第2の反射板64及び第3の反射板66の回転を制御するのに必要な動力発生部705の制御信号を受信し、動力発生部705の駆動によって第2の反射板64及び第3の反射板66の回転角を制御することができる。これによって、動力発生部705によって第2の反射板64及び第3の反射板66は、図7A〜図7Eに示すように回転することができる。
【0049】
そして、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは、反射板62,64,66の振動に対する補強をサポートし、反射板62,64,66の回転及び固定をガイドする反射板ガイド部をさらに備える。反射板ガイド部の構成及び構造は、第1の実施形態の基地局アンテナに備えられた反射板ガイド部と同様になされることができる。これによって、第2の実施形態の反射板ガイド部に対する構造は別途に開示せず、第1の実施形態の基地局アンテナに備えられた反射板ガイド部を参照する。
【0050】
また、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは、第1、第2、及び第3の反射板62,64,66の回転角度を決定するための少なくとも一つの回転リミット661,662,663,664をさらに具備できる。また、回転リミット661,662,6663,664は、第2の反射板64及び第3の反射板66の回転角度を制御できれば十分であり、その結合位置又は形状は多様に変更できることはもちろんである。
【0051】
このような本発明の第2の実施形態による基地局アンテナの構造によって、相互に異なる通信サービスを提供するための信号を第1、第2、及び第3の反射板62,64,66を通じて同時に放射することができる。例えば、2G(又は3G)通信サービス及び4G通信サービスを共用化して提供する場合、2G(又は3G)通信サービスを提供するための信号は、第1の反射板62を通じて放射し、4G通信サービスを提供するための信号は第2の反射板64及び第3の反射板66を通じて放射することができる。したがって、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは、2G(又は3G)通信サービスを提供しつつ、新たに4Gネットワークを共用基地局として構築する場合に相当な効果を有する。すなわち、既存の2G(又は3G)通信用アンテナを中央部に固定し、新たに設けられる4G通信用アンテナを両側に構成するために適正な水準で信号干渉性を低くすることができ、適正水準の空間ダイバシティ効果を奏する。また、アンテナビームの放射方向が動力発生部705と動力伝送機構部713,715とにより機構的に調整されるため、パターンダイバシティ効果が得られる。さらに、本発明の第2の実施形態による基地局アンテナは、新たに設計される通信ネットワーク(例えば、4G通信サービスのネットワーク)が以前の通信ネットワーク(例えば、3G通信サービスネットワーク)と違っても、ビーム放射方向の制御を通じて、柔軟に共用基地局を運用できる。
【0052】
加えて、本発明による基地局アンテナを基底帯域信号処理技術に有機的に連係して運用することにより、移動通信ネットワークを最適化して運用できる変形多重アンテナ技術(Hybrid Multiple Antenna Technology:HMAT)に発展させることができる。すなわち、個別加入者に対する信号処理は、基底帯域で遂行し、加入者分布によるアンテナビームの形成は、本発明による基地局アンテナで遂行することによって移動通信ネットワークを最適化して運用できる。
【0053】
以上、本発明を具体的な実施形態に関して図示及び説明したが、添付した特許請求の範囲により規定されるような本発明の精神及び範囲を外れることなく、形式や細部の様々な変更が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0054】
42 第1の反射板、43,47 放射素子、44,45 反射板接続部材、46 第2の反射板、48 動力発生部、49 補助キャップ、411 上部キャップ、412 レドーム、413 下部キャップ、461,462,463 回転リミット、493,495 動力伝送機構部、501a,501b 反射板固定駆動部、502a,502b 固定部材、503a,503b 小型外接ギア、504a,504b 内接ギア、511a,511b 無励磁ブレーキ、512a,512b 固定部材、513a,513b 小型外接ギア、514a,514b 内接ギア、521a 第1の固定ピン収容アレイ、521b 第2の固定ピン収容アレイ、523a,523b 固定ピン、525a,525b 固定孔、62 第1の反射板、64 第2の反射板、66 第3の反射板、68,69 反射板接続部材、612 レドーム、661,662,663,664 回転リミット、705 動力発生部、713,715 動力伝送機構部
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの放射素子を各々有する少なくとも2個の反射板と、
内部空洞を形成して前記少なくとも2個の反射板を収納するレドームと、
前記レドームの上部及び下部に形成された開口部を各々カバーするように結合される第1及び第2のキャップと、
前記少なくとも2個の反射板各々と前記第1及び前記第2のキャップとに連結されて前記少なくとも2個の反射板の回転を可能にする反射板接続部材と、
回転力を付与する少なくとも一つの動力発生部と前記動力発生部で付与される回転力を少なくとも一つの反射板に付与し、回転力が付与される前記反射板の回転角を制御する少なくとも一つの動力伝送機構部とを含む反射板回転駆動部であって、前記動力発生部及び前記動力伝送機構部のうち一方が、前記少なくとも2個の反射板と結合され、他方が、前記第1のキャップと結合される、反射板回転駆動部と、
前記少なくとも2個の反射板及び前記第2のキャップに結合されて反射板の回転及び固定をガイドする反射板固定部と、
前記少なくとも2個の反射板の回転及び停止を制御するための制御信号を前記反射板回転駆動部及び前記反射板固定部に入力する反射板制御部と、
を含むことを特徴とする基地局アンテナ。
【請求項2】
前記反射板固定部は、
前記制御信号に対応して、回転力を付与する少なくとも一つの補助動力発生部と、
前記補助動力発生部からの回転力を少なくとも一つの反射板に付与し、回転力が付与された前記反射板の回転角を制御する少なくとも一つの補助動力伝送機構部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の基地局アンテナ。
【請求項3】
前記補助動力伝送機構部は、前記補助動力発生部の一側に装着された少なくとも一つの外接ギアと、前記少なくとも一つの外接ギアの移動半径に従って前記第1のキャップに備えられる内接ギアと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の基地局アンテナ。
【請求項4】
前記反射板固定部は、
前記制御信号に対応して、前記動力発生部に回転力が付与されないと、反射板を前記第2のキャップに固定するように制御される反射板固定駆動部と、
前記反射板と前記第2のキャップとの固定状態を維持する少なくとも一つの反射板固定機構部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の基地局アンテナ。
【請求項5】
前記反射板固定駆動部は、
前記動力発生部に回転力が付与されないと、前記反射板を固定させる無励磁ブレーキを含み、
前記反射板固定機構部は、
前記無励磁ブレーキに結合される少なくとも一つの外接ギアと、前記少なくとも一つの外接ギアの移動半径に沿って前記第2のキャップに具備される内接ギアと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の基地局アンテナ。
【請求項6】
前記反射板固定駆動部は、
前記動力発生部に回転力が付与されないと、突出される固定ピンを備えるソレノイドユニットを含み、
前記反射板固定機構部は、
前記固定ピンを収容して前記反射板の位置を固定する少なくとも一つの孔が具備される固定ピン収容アレイを含むことを特徴とする請求項4に記載の基地局アンテナ。
【請求項7】
前記動力伝送機構部は、前記動力発生部の一側に装着された少なくとも一つの外接ギアと、前記少なくとも一つの外接ギアの移動半径に沿って前記第1のキャップに具備される内接ギアと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の基地局アンテナ。
【請求項8】
前記少なくとも2個の反射板のうち少なくとも一つに結合され、前記少なくとも2個の反射板の回転角を制御する回転リミットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基地局アンテナ。
【請求項9】
前記少なくとも2個の反射板に各々結合され、前記少なくとも2個の反射板の回転角を制御する少なくとも2個の回転リミットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基地局アンテナ。
【請求項10】
前記回転リミットは、
前記反射板の前面部に結合されて反射板の前面回転角を制御する第1のリミットと、
前記反射板の後面部に結合されて反射板の後面回転角を制御する第2のリミットと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の基地局アンテナ。
【請求項11】
前記第1及び前記第2のリミットの一端部は、前記少なくとも一つの反射板に固定され、前記反射板の回転時に前記第1及び前記第2のリミットの他端部が前記少なくとも一つの反射板に隣接した他の反射板と接触することによって、前記反射板の回転を制御することを特徴とする請求項10に記載の基地局アンテナ。
【請求項12】
前記基地局アンテナが3個の反射板を含む場合、中央に具備される第1の反射板と、前記第1の反射板を中心に両側に各々具備される第2及び第3の反射板と、を含み、
前記第1の反射板はビーム放射方向が固定され、
前記第2及び前記第3の反射板は、前記動力発生部及び動力伝送機構部によって放射角度が調整されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の基地局アンテナ。
【請求項13】
回転力を付与する少なくとも一つの動力発生部と、
前記動力発生部からの回転力を少なくとも一つの反射板に付与し、回転力が付与された前記少なくとも一つの反射板の回転角を制御する少なくとも一つの動力伝送機構部と、
前記少なくとも一つの反射板及びアンテナレドームの上部及び下部に装着されるキャップのうち少なくとも一つに結合され、前記少なくとも一つの反射板を固定させる反射板固定部と、を含み、
前記動力発生部及び前記動力伝送機構部のうちの一方は前記少なくとも一つの反射板と結合され、他方は前記キャップと結合されることを特徴とする基地局アンテナ。
【請求項14】
前記反射板固定部は、回転力が付与されない間に前記少なくとも一つの反射板を固定させる電動機、無励磁ブレーキ、及びソレノイドユニットのうちいずれか一つに決定されることを特徴とする請求項13に記載の基地局アンテナ。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図5d】
image rotate

【図5e】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図7d】
image rotate

【図7e】
image rotate


【公表番号】特表2013−514033(P2013−514033A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544403(P2012−544403)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009175
【国際公開番号】WO2011/078565
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(508112782)ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】