説明

循環式遊技機

【課題】ガラス枠開放時に、封入した遊技球が遊技機外にこぼれること、及び封入球を機外に取り出すことを防止することによって、封入球数の減少を回避可能とするとともに、ガラス枠開放時の不正な遊技球の混入を検出することが可能な循環式遊技機を提供する。
【解決手段】発射球数を加算し回収球数を減算する管理カウンタの値が0になると、開放阻止部材の位置を制御する規制フラグに0を設定することによって、開放阻止部材の位置をツメ部が下方にスライドする軌道上から退出させ、管理カウンタの値が0ではない場合には、規制フラグに1を設定して開放阻止部材の位置をツメ部が下方にスライドする軌道上に停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射した遊技球を回収して再度発射位置へ誘導する循環式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、営業中において遊技盤面上のトラブルを解消するためにホールスタッフがガラス枠を開放することが間々あるが、ガラス枠の開放中に誤って遊技球を発射して機外に遊技球を散乱させてしまうというトラブルが発生していた。
【0003】
このような問題を解消するために、ガラス枠の開放を検知すると発射装置による遊技球の発射を規制する発明がなされている<特許文献1>。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−289476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、ガラス枠の開放が検知された時点で遊技球の発射が規制されるため、開放後新たに発射した遊技球が機外に飛び出す虞は無いが、開放前に既に発射されていた遊技球が遊技領域を流下している状況も想定される。この様な状況でガラス枠を開放すると、発射が禁止されていても流下途中の遊技球が機外に飛び出してしまう可能性が非常に高い。
【0006】
特に、所定数の遊技球が封入された循環式遊技機においては、遊技球が機外に飛び出すことによって封入球数が減少することになり、減少した数によっては正常な遊技を行うことができなくなる危惧がある。
【0007】
また、遊技球が遊技領域を流下している最中にガラス枠を開放することで、封入球を故意に機外に取り出すことも可能となり、取り出した封入球の代わりに、用意した不正球を封入球に混入させることで、正規な封入球数のままで不正な遊技を行うことが可能となってしまう。
【0008】
本願発明は上記した問題に鑑み、ガラス枠開放時に、封入した遊技球が遊技機外にこぼれること、及び封入球を機外に取り出すことを防止することによって、封入球数の減少を回避可能とするとともに、ガラス枠開放時の不正な遊技球の混入を検出することが可能な循環式遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の循環式遊技機は、
発射装置により発射位置にある遊技球を遊技領域に向けて発射し、該発射された遊技球を回収して発射位置へと誘導し、所定数の遊技球を内部に封入した循環式遊技機において、
前記発射装置が発射した遊技球をカウントする発射球カウント手段と、
前記回収した遊技球をカウントする回収球カウント手段と
前記発射球カウント手段がカウントした発射球数及び前記回収球カウント手段がカウントした回収球数に基づいて遊技球を管理する管理手段と、
ガラス枠を内枠に対して施錠状態と解錠状態とに変位可能な錠前手段と、
該錠前手段の前記施錠状態から前記解錠状態への変位を阻止する阻止状態と阻止しない解除状態とに変位する阻止手段と、
ガラス枠が内枠に対して閉鎖されていることを検出する閉鎖検出手段と、
該閉鎖検出手段の検出状態が未検出から検出に変化することを条件に、封入球数を検出する閉鎖時封入球数検出手段と、を備え、
前記阻止手段は、
前記閉鎖検出手段の検出状態が閉鎖であり、且つ、前記管理手段によって前記発射球数と前記回収球数とが一致していると判断することを条件に、解除状態へと変位し、前記閉鎖時封入球数検出手段によって前記所定数の封入球数が検出されることを条件に、阻止状態へと変位する
ことを特徴とする循環式遊技機である。
【0010】
回収球カウント手段は、回収した遊技球を回収経路で一括してカウントしてもよいし、アウト球(アウト口に入球した遊技球)、セーフ球(入賞口に入球した遊技球)、ファール球(発射後に遊技領域まで達しなかった遊技球)として個々に検出した遊技球数を加算してもよい。
【0011】
遊技機内部に封入された遊技球の所定数は、遊技可能となる遊技球数の範囲が設定された構成でもよいし、範囲ではなく1種類の遊技球数として特定された数としてもよい。但し、所定数に範囲がある構成であっても、閉鎖時封入球数検出手段は、該範囲内の遊技球数を個々に検出可能とし封入された遊技球数を特定可能とする構成が望ましい。
【0012】
阻止手段の変位は、該変位を検出するセンサを設け、阻止状態と解除状態とを判断してもよいし、阻止手段の変位の制御にステッピングモータを用いる場合は、ステッピングモータの回転角度を制御することによって阻止状態と解除状態とを判断してもよい。
【0013】
請求項2記載の循環式遊技機は、
請求項1記載の循環式遊技機において、
前記閉鎖検出手段の検出状態が検出から未検出に変化することを条件に、封入球数を検出する開放時封入球数検出手段と、
該開放時封入球数検出手段が検出した封入球数を記憶する記憶手段と、
前記閉鎖時封入球数検出手段によって検出された封入球数と前記記憶手段に記憶された封入球数とが、一致しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に応じて異常状態を報知する異常報知手段と、を備える
ことを特徴とする循環式遊技機である。
【0014】
遊技機内部に封入された遊技球の所定数が、遊技可能となる遊技球数の範囲として設定された構成の場合、開放時封入球数検出手段は、該範囲内の遊技球数を個々に検出可能とし、封入された遊技球数を特定可能とする構成が望ましい。
【0015】
判定手段の判定結果に応じて異常状態を報知する異常報知手段は、判定手段の判定結果が、記憶手段の記憶する遊技球数と、閉鎖時封入球数検出手段が検出した遊技球数とが異なる数であった場合、表示装置、ランプ・LED、効果音を用いて異常状態を報知する構成が好適であり、同時に機外の管理装置に異常状態を示す信号を送信する構成が望ましい。また、封入球数が増えている場合(遊技球が混入された場合)と減っている場合(遊技球が取り出された場合)とで異なる報知態様を実施する構成が望ましい。
【0016】
請求項3記載の循環式遊技機は、
請求項1又は2記載の循環式遊技機において、
前記閉鎖検出手段が閉鎖を未検出であること、前記閉鎖時封入球数検出手段が前記所定数の封入球数を検出していないこと、又は、前記閉鎖時封入球数検出手段が前記記憶手段に記憶した封入球数を検出していないこと、のいずれかの条件を満たしているときに、前記発射装置による遊技球の発射を禁止する発射禁止手段を備える
ことを特徴とする循環式遊技機である。
【0017】
発射禁止手段は、閉鎖時封入球数検出手段が所定数の遊技球を検出していない場合に発射装置の遊技球発射を禁止するが、該所定数は、閉鎖検出手段の検出状態が未検出から検出に変化した時点で閉鎖時封入球数検出手段の検出数に応じて記憶手段が記憶した遊技球数としてもよいし、予め定められた遊技球数としてもよい。
【0018】
請求項4記載の循環式遊技機は、
請求項1乃至請求項3記載の循環式遊技機において、
前記錠前手段に鍵が挿入されたことを検出する鍵検出手段を備え、
前記阻止手段は、前記閉鎖検出手段の検出状態が閉鎖であり、且つ、前記管理手段によって前記発射球数と前記回収球数とが一致していると判断することに加え、前記鍵検出手段が鍵を検出することを条件として解除状態へと変位する
ことを特徴とする循環式遊技機である。
【0019】
鍵検出手段は、正規に錠前の解錠と施錠とをすることが可能な鍵が錠前手段に挿入されたか判定可能な構成が望ましく、鍵が電子キーであってもよい。
【0020】
請求項5記載の循環式遊技機は、
請求項1乃至請求項4記載の循環式遊技機において、
前記阻止手段が阻止状態にあること、又は解除状態にあることを報知する阻止報知手段を備える
ことを特徴とする循環式遊技機である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の循環式遊技機によれば、発射した遊技球と回収した遊技球とが一致しないと、阻止手段が解除状態に変位せずガラス枠の錠前が解錠できない構成としたため、遊技領域に遊技球がない状態、即ち、開放しても遊技球が機外に飛び散らない状態にならないとガラス枠が開放できないため、封入している遊技球の数が減少することを回避できるとともに、ガラス枠閉鎖時は封入球数に異常がないことを条件に阻止手段が阻止状態に変位するため、不正球を混入した遊技を防止することができる。
【0022】
請求項2に記載の循環式遊技機によれば、遊技機内部に封入された遊技球の所定数が、遊技可能となる遊技球数の範囲として設定された構成であり、ガラス枠閉鎖時の封入球数が該範囲内の数であっても、ガラス枠開放時の封入球数とガラス枠閉鎖時の封入球数とが一致しなければ異常状態として報知が実施されるため、ガラス枠開放時の遊技球の機内からの取り出し、及び遊技球の混入を防ぐことができる。
【0023】
請求項3に記載の循環式遊技機によれば、ガラス枠を開放している場合は遊技球の発射が禁止されているため、封入された遊技球が機外に飛び散ることを防ぐとともに、遊技球を機外に取り出すことを防ぐため、取り出した遊技球の数だけ遊技機内に不正球を混入させ、ガラス枠開放前と開放後の封入球数の数合わせをしたうえで不正な遊技を行うことを防ぐことができる。また、ガラス枠閉鎖時に封入球数が所定数であることが確認できてから発射可能となるため、ガラス枠解放時の封入球数との整合性が確保できる。
【0024】
請求項4に記載の循環式遊技機によれば、阻止手段が解除状態になる条件に鍵の挿入を加えたことにより、阻止手段の無駄な状態変化を解消することができる。
【0025】
請求項5に記載の循環式遊技機によれば、阻止手段の状態報知はガラス枠の開放が可能か不可能かを報知するため、錠前手段の無理な開放操作を無くし、錠前手段と阻止手段の破壊を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】封入式パチンコ機50の正面図。
【図2】封入式パチンコ機50の遊技領域や遊技球の経路等の背面図を模式的に示す説明図。
【図3】実施例1における電気的構成を示すブロック図。
【図4】錠前手段の解錠と規制手段の関係を示す構造図。
【図5】主制御装置80が実行するIN/OUT管理処理を示すフローチャート。
【図6】実施例1において主制御装置80が実行する規制手段動作処理1を示すフローチャート。
【図7】主制御装置80が実行する発射制御処理を示すフローチャート。
【図8】主制御装置80が実行する阻止部材退出処理を示すフローチャート。
【図9】実施例2における電気的構成を示すブロック図。
【図10】実施例2において主制御装置80が実行する規制手段動作処理2を示すフローチャート1。
【図11】実施例2において主制御装置80が実行する規制手段動作処理2を示すフローチャート2。
【図12】実施例2において主制御装置80が実行する規制手段動作処理2を示すフローチャート3。
【図13】実施例3における電気的構成を示すブロック図。
【図14】実施例3において主制御装置80が実行する規制手段動作処理3を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【実施例1】
【0028】
まずは、封入式パチンコ機(以下、単にパチンコ機とも記載)について基本的な構成を説明する。封入式パチンコ機は、発射制御装置により遊技盤に向けて発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を発射制御装置により再度発射することで、内部に封入された所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行うパチンコ機である。この封入式パチンコ機で遊技を行う遊技者は、遊技球を直接手にすることはなく、パチンコ機に表示される持球(遊技に用いることができる遊技球)の数に基づいて遊技を進行する。
【0029】
封入式パチンコ機には、ICカード処理装置が設けられ、遊技者所有の遊技カード(ICカード)をこれに挿入して所定の球貸処理を行うことにより、遊技者に持球が付与され、パチンコ機での遊技が可能となる。この遊技カードにはユニークIDが付与されており、そのユニークIDに対応させて、球貸しを行うための残高(金額)、遊技で得た持球や貯玉などの各種情報を機外に設けられたサーバーに記憶されている。
【0030】
遊技者が遊技カードをICカード処理装置へ挿入して球貸操作を行えば、遊技カードの照合処理が行われた後、持球や貯玉があれば、その数がパチンコ機に表示される。また、遊技カードの残高から所定額が減算されるのと引換えに遊技者に所定数の持球が付与され、その付与された持球が持球数に反映される。
【0031】
これにより可能となった遊技が開始されると、遊技球の発射に応じて持球が減算されると共に、入賞口への入球により賞球が付与された際にはこれに応じて持球が加算され、パチンコ機には最新の持球数が表示される。また、発射制御装置から発射され、遊技盤上の遊技領域に到達した遊技球の数(イン(IN)とも記載)や、遊技領域を通過した遊技球の数(アウト(OUT)とも記載)や、賞球の数や、大当りの発生等といった遊技情報が、パチンコ機からホールコンピュータに送信される。
【0032】
また、持球を有した状態で遊技を終了した遊技者が精算操作を行えば、持球の数は遊技カードのユニークIDに対応させてサーバーに記憶され、遊技者は、持球の数に応じて各種景品を得ることができる。
【0033】
次に、封入式パチンコ機50の全体の構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、パチンコ機50は、上述のICカード処理装置100と隣り合わせで配置されている。ICカード処理装置100には、カード挿入口110が設けられており、カード挿入口110に遊技カードを挿入することで、球貸操作等が可能となり、パチンコ機50での遊技が可能となる。
【0034】
また、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられていると共に、該ヒンジ53には内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
【0035】
また、内枠70には、ヒンジ53等により前枠52が開閉可能に取り付けられていると共に、この前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には、内枠70に取り付けられた遊技盤1が配されている。なお、前枠52は本発明のガラス枠に該当し、内枠70は本発明の内枠に該当する。
【0036】
前枠52の上部左右には、スピーカ(図示無し)が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(図示無し)も複数設けられている。
【0037】
前枠52の下方右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射制御装置が可動して、遊技球が遊技盤1に形成された遊技領域3に向けて発射される。
【0038】
発射ハンドル64の右上(パチンコ機50の右端)には、内枠70と前枠52の両方の枠の開放が規制できるスライド錠39を操作するシリンダ錠36が配置され、鍵が挿入可能となっている。このシリンダ錠36は、解錠するための鍵の種類を変更自在に行い得る可変式錠になっており、このような可変式錠をパチンコ機50に使用することで、パチンコ遊技店は、店に配置される全てのパチンコ機を店独自の鍵(1種類)に設定することが出来る。なお、シリンダ錠36及びスライド錠39は、本発明における錠前手段に該当する。
【0039】
前枠52の下方には、遊技者とのインターフェースとなるコントロール部8が設けられている。このコントロール部8には、球貸しを行う(遊技カードの残高と引き換えに持球を得る)引落ボタン8aと、精算を行う(持球の数をサーバーに記憶する)精算ボタン8bと、遊技を終了して持球の数を遊技カードに記憶し、遊技カードをICカード処理装置100から取り出す返却ボタン8cと、遊技カードの残高や持球の数を表示する表示器8dが設けられている。また、コントロール部8を備える前板部も、ヒンジ53等によって内枠70から開閉可能となっているが、前枠52が前板部に被さる様に設置されているため、前枠52の開放時のみ前板部の開放が可能となる。
【0040】
また、図1は、板ガラス61の奥に位置する遊技盤1の遊技領域3の様子を概略的に示している。遊技領域3は、ガイドレール16等によって囲まれた略円形の領域であると共に、多数の遊技釘が植設されており、発射制御装置から発射された遊技球は、ガイドレール16によって遊技領域3に誘導される。
【0041】
そして、遊技領域3のほぼ中央部には、ワープ通路やステージ等が形成されたセンターケースや窓が設けられており、この窓の奥には、演出図柄表示装置6の液晶画面が配される。また、これら以外にも、遊技領域3には、常時入賞可能な第1始動口11や、普通電動役物として構成された第2始動口12や、一般入賞口13や、アタッカー式の大入賞口14等の役物(入賞口)や、アウト口15、特図表示装置、特図保留数表示装置等が設けられている。
【0042】
次に、図2を用いて封入式パチンコ機50における遊技球を循環させる仕組みについて説明する。図2には、封入式パチンコ機50の遊技領域3や、遊技球の発射制御装置84や、遊技球を誘導する経路や、スライド錠及び前枠52の開放を規制する規制手段等の背面図を模式的に示す説明図が記載されている。
【0043】
パチンコ機50では、発射制御装置84と遊技領域3とが、発射経路61により繋がっており、発射制御装置84から発射された遊技球は、発射経路61を通って遊技領域3に到達する。なお、発射経路61の一部は、遊技盤1上に設けられたガイドレール16により形成されている。
【0044】
遊技領域3に到達した遊技球は、第1始動口11、第2始動口12等の入賞口に入球するか、或いは、アウト口15に入球するが、それぞれの入賞口、アウト口15は、入球した遊技球を誘導する誘導経路に繋がっており、これらの誘導経路を流下する遊技球は、回収経路60に導かれる。
【0045】
また、発射制御装置84から発射されても遊技領域に達しなかった遊技球は、発射経路61に形成されたファール球取込口63からファール球として回収され回収経路60に導かれる。
【0046】
回収経路60を流下した遊技球は、遊技球の汚れを落とす図示しない研磨装置を経て、発射待機経路62に導かれ発射制御装置35に至る。
【0047】
遊技球は、上記した流れでパチンコ機50内を循環するが、発射経路61の始点付近(発射制御装置84の配置位置の付近)には、発射した遊技球の通過を検出する発射球センサ91が設けられ、発射経路61に形成されたファール球取込口63には、ファール球の通過を検出するファール球センサ93が設けられている。また、回収経路60のファール球以外の回収球が通過する位置には、遊技球の流下を検出するアウト球センサ92が設けられている。
【0048】
加えて、封入された遊技球が発射待機経路62に整流され発射する順番に並んだ場合、発射する順番が50番目の位置にある遊技球を検出する封入球数確認スイッチ1(94)と、51番目の位置にある遊技球を検出する封入球数確認スイッチ2(95)とを設けている。
【0049】
パチンコ機50の主制御装置80は、上記した各種センサを用いて、それぞれの地点で遊技球の数をカウントする。そして、主制御装置80は、発射球センサ91がカウントした遊技球の数から、ファール球センサ93がカウントした遊技球の数を減じた数をインとして算出し、アウト球センサ92がカウントした遊技球の数をアウトとして算出し、イン及びアウトを、外部に設けられたホールコンピュータ87に一定間隔で送信する。
【0050】
なお、イン、アウトをカウントするためのセンサの配置は、これに限定されることは無く、例えば、発射球センサ91を、発射経路61におけるファール球取込口63よりも終点側に設け、該発射球センサ91を用いてカウントした遊技球の数を、インとしても良い。また、アウト球センサ92を、回収経路60における、入賞口及びアウト口15に入球した遊技球の合流地点の下流側であって、ファール球の合流地点の下流側の位置に設け、アウト球センサ92がカウンタした遊技球の数からファール球センサがカウントした遊技球数を減算した数をアウトとしても良い。
【0051】
更に、第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口13、大入賞口14に入球した遊技球は、アウト球センサ92よりも下流で回収経路60と合流する構成としたうえで、各入賞口に配置された検出スイッチがカウントした遊技球数と、アウト球センサ92がカウントしたアウト口15に入球した遊技球数を加算してアウトとしても良い。
【0052】
またパチンコ機50を背面から見て左端には、スライド錠39が配置され、その上部には、前枠開放規制部として前枠52に固定された前枠止め部材38と、スライド錠39に取り付けられた前枠52の開放を規制するツメ部41と、ツメ部41が下側にスライドすることを規制する開放阻止部材42と、該開放阻止部材42の停止状態を変位させる枠開放規制モータ96とが設けられている。具体的な前枠開放規制部の構成は図4を用いて後述する。
【0053】
次に、封入式パチンコ機50の実施例1における電気的構成を図3に示したブロック図を用いて説明する。この、主制御装置80を中心に構成されたブロック図には、単に信号を中継するだけのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0054】
主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、一般入賞口13に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ13a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠閉鎖スイッチ18、内枠閉鎖スイッチ19からの検出信号が入力される。なお、前枠閉鎖スイッチ18が、本発明における閉鎖検出手段に該当する。
【0055】
また、主制御装置80には、上述した発射球センサ91、アウト球センサ92、ファール球センサ93、封入球数確認スイッチ1(94)、封入球数確認スイッチ2(95)からの検出信号が入力され、パチンコ機50内で循環する遊技球の管理が行われる。なお、本実施例では、封入式パチンコ機50に封入されている遊技球の数は、50個となる。
【0056】
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作し、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成してサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0057】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御し、枠開放規制モータ96を制御することでスライド錠39の解錠を規制する開放阻止部材42の停止位置を制御する。なお、この開放阻止部材42は、本発明の阻止手段に該当する。
【0058】
主制御装置80は、裏配線中継端子板75および外部接続端子板78を介して、パチンコ機外の管理装置であるホールコンピュータ87と電気的に接続される。また、主制御装置80は、ICカード中継基板23を介してICカード処理装置100と通信可能に構成されている。また、主制御装置80は、ICカード中継基板23を介して表示器8dに持球数を表示させると共に、引落ボタン8a、精算ボタン8b、返却ボタン8cの操作を検知する。
【0059】
また、主制御装置80は、持球が存在し発射禁止設定が為されていない場合、発射制御装置35による遊技球の発射を許可する。発射制御装置84は、発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。
【0060】
なお、発射制御装置84には発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射されない。
【0061】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
【0062】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
【0063】
次に、図4を用いてスライド錠39の上部となる前枠開放規制部の構成を説明する。図4は、スライド錠39の上側拡大図であり、左の図(A)は、前枠52の開放を規制するツメ部41の下方へのスライドが、開放阻止部材42によって規制されている状態が示され、中の図(B)は、前枠52の開放を規制するツメ部41の下方へのスライドが、開放阻止部材42によって規制されていない状態が示され、右の図(C)は、前枠52の開放を規制するツメ部41の下方へのスライドが開放阻止部材42によって規制されていないことによって、ツメ部41が下方にスライドした状態が示されている。
【0064】
開放阻止部材42は、スライド錠39のモータ保持部96aに固定された枠開放規制モータ96の回転軸に取り付けられ、主制御装置80がステッピングモータである枠開放規制モータ96の回転角度を制御することによって、ツメ部41の下方へのスライドを規制する図(A)の位置(本発明における、阻止状態)と、ツメ部41の下方へのスライドを規制しない図(B)(C)の位置(本発明における、解錠状態)とに変位する。
【0065】
従って、具体的な開錠の仕組みは、上述したようにシリンダ錠36に設定された鍵を挿入し、該鍵を反時計回りに回すことを試みた場合、開放阻止部材42が図(A)の位置(ツメ部41が下方にスライドする軌道上に進出した位置)にある場合は、スライド錠の解錠が規制され前枠52の開放が不可能となる。開放阻止部材42が図(B)(C)の位置(ツメ部42が下方にスライドする軌道上から退出した位置)にある場合は、ツメ部41が下方にスライドすることで前枠52に設けられている前枠止め部材38から外れ、前枠52の開放が可能になる。
【0066】
本実施例では、ステッピングモータの回転角度を制御することで開放阻止部材41の停止位置を制御したが、この制御方法に限らず、開放阻止部材41の停止位置を検出するセンサを設けたうえでモータ又は他のアクチュエータを用いて開放阻止部材41を作動させる構成も考えられる。
【0067】
次に、パチンコ機50内に封入された遊技球の発射球数と回収球数を管理するために主制御装置80が実行するIN/OUT管理処理を、図5に示したフローチャートを用いて説明する。このIN/OUT管理処理は、本発明の管理手段に該当し、発射球カウント手段と回収球カウント手段とを含む処理となる。
【0068】
IN/OUT管理処理を開始すると、発射球センサ91が遊技球を検出したか否か判定する(S10)。肯定判定なら(S10:yes)、管理カウンタに+1し(S15)、否定判定(S10:no)、又はS15に続いては、アウト球センサ92が遊技球を検出したか否か判定する(S20)。肯定判定なら(S20:yes)、管理カウンタから−1し(S25)、否定判定(S20:no)、又はS25に続いては、ファール球センサ93が遊技球を検出したか否か判定する(S30)。肯定判定なら(S30:yes)、管理カウンタから−1する(S35)。
【0069】
S30の否定判定(S30:no)、又はS35に続いては、管理カウンタの値が0か否か判定する(S40)。肯定判定なら(S40:yes)、管理フラグに1をセットして(S45)リターンし、否定判定なら(S40:no)、管理フラグに0をセットして(S45)リターンする。
【0070】
管理フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が1であれば、発射した遊技球が全て回収された状態であると判断し、値が0であれば、発射した遊技球が全て回収されていない状態であると判断する。従って、管理フラグが1であれば、遊技球の発射が停止されてから、少なくとも最後に発射した遊技球が遊技領域3の流下を終了するまでの時間が経過し、遊技領域3上には遊技球が存在しない状態であることが判断できる。
【0071】
次に、実施例1において主制御装置80が実行する規制手段動作処理1を、図6に示したフローチャートを用いて説明する。規制手段動作処理1は、開放阻止部材42の変位動作(解錠状態と阻止状態の切換動作)を制御する処理であり、それに加え、前枠52の閉鎖時にパチンコ機50内に封入された遊技球数が正規な数(本実施例では50個)か否かを判定し、異常があればエラー状態報知を行う。
【0072】
規制手段動作処理1を開始すると、前枠閉鎖スイッチ18からの信号がHIか否か、即ち前枠52が閉鎖された状態か否か判定する(S100)。否定判定なら(S100:no)、S115に進み、肯定判定なら(S100:yes)、当該処理において前枠閉鎖スイッチ18からの信号がLOWからHIに変化したのか否か、即ち前枠52が閉鎖された直後か否か判定する(S105:yes)。否定判定なら(S105:no)、管理フラグが1か否か判定し(S110)、肯定判定なら(S110:yes)、規制フラグに0を設定して(S115)リターンし、否定判定なら(S110:no)、規制フラグに1を設定して(S120)リターンする。
【0073】
規制フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が1であれば、枠開放規制モータ96を開放阻止部材42がツメ部41の軌道上に停止するように制御し、値が0であれば、枠開放規制モータ96を開放阻止部材42がツメ部41の軌道から外れる位置に停止するように制御する。また、規制フラグの切換わりに応じて、前枠52に配置されたLEDの発光態様が変化する構成となっている。詳しくは、規制フラグの値が0の場合、即ち開放阻止部材42がツメ部材41の軌道上からハズレ、前枠52が解錠可能な場合は、前枠52の右端上部に配置された開放確認LEDが青色で点灯し、規制フラグの値が1の場合、即ち開放阻止部材42がツメ部材41の軌道上にあり、前枠52が解錠不可能な場合は、LEDが赤色で点灯する。尚、この開放確認LEDの発光態様は、本発明における阻止手段が進出位置にあること、又は退出位置にあることを報知する阻止報知手段に該当する。
【0074】
S105が肯定判定、即ち前枠52が閉鎖された直後であれば(S105:yes)、封入球数確認スイッチ1(94)が遊技球を検出しているか否か、即ち、全ての遊技球が回収された状態(発射制御装置84は発射禁止設定中であり、発射制御処理については後述する)で、発射する順番が50番目の位置に遊技球があるか否か判定する(S125)。肯定判定なら(S125:yes)、封入球数確認スイッチ2(95)が遊技球を検出しているか否か、即ち、同様に51番目の位置に遊技球があるか否か判定する(S130)。実施例1においては、このS125とS130の判定が本発明における閉鎖時封入球数検出手段に該当する。
【0075】
S130が否定判定なら(S130:no)、前枠52閉鎖時において封入球数に異常がないと判断し、規制フラグに1をセットして(S135)リターンする。S125が否定判定(S125:no)、又はS130が肯定判定なら(S130:no)、封入球数エラー報知処理を実施し(S140)、パチンコ機50が備える表示装置、ランプLED及びスピーカでエラー状態を報知するとともに、外部接続端子板78を介して封入球数エラーを示す信号をホールコンピュータ87に出力する。なお、S125が否定判定の場合(封入球数が規定数よりも少ない場合)に実施されるエラー報知態様と、S130が肯定判定の場合(封入球数が規定数よりも多い場合)に実施されるエラー報知態様は異なる内容となっている。
【0076】
以上が本実施例で主制御装置80が実行する規制手段動作処理1となる。前枠52閉鎖時は、発射した遊技球が全て回収された状態、言い換えれば、遊技領域3上の遊技球が全て流下し、前枠52を開放しても機外に遊技球がこぼれる虞がない状態になると、規制フラグに0が設定されることによって開放阻止部材42がツメ部41の軌道上からはずれ、スライド錠36に挿入した鍵を反時計回りに回転させることが可能となり、前枠52の開放が行える。
【0077】
それに反して、発射した遊技球が全て回収されていない状態、言い換えれば、遊技領域3上で遊技球が流下している最中の可能性があり、前枠52を開放すると機外に遊技球がこぼれる虞がある状態では、規制フラグに1が設定され続けることによって開放阻止部材42がツメ部41の軌道上に停止し、スライド錠36に鍵を挿入して反時計回りに回転させようとしても鍵が回転しない構成となる。
【0078】
また、前枠52を閉鎖した直後では、封入球数に以上がないか否かの判定が行われ、異常がない場合に規制フラグに1が設定される。具体的には、本実施例のパチンコ機50における封入球数は50個であり、発射待機経路62の遊技球を発射する順番が50番目の位置まで遊技球があれば遊技球が減少していないことが確認でき、51番目に遊技球がないことで遊技球が増加していないことを確認し、これによりパチンコ機50内に50個の遊技球が封入されていると判定し、異常がない場合に規制フラグに1が設定され遊技可能な状態となり、異常がある場合はエラー報知が実施される。
【0079】
次に、主制御装置80が実行する発射制御処理を、図7に示したフローチャートを用いて説明する。この発射制御処理は、本発明の発射禁止手段を含む処理となる。
【0080】
発射制御処理を開始すると、前枠閉鎖スイッチ18から送信される信号がLOWか否か、即ち前枠52が開放中か否か判定する(S150)。肯定判定なら(S150:yes)、発射制御装置84に対して発射禁止設定を行い(S160)リターンする。S150が否定判定、即ち前枠52が閉鎖されていれば(S150:no)、封入球数エラーの報知中か否か判定し(S155)、肯定判定なら(S155:yes)、S160に進んで発射禁止設定を行い、否定判定なら判定(S155:no)、発射制御装置84に対して発射許可設定を行い(S165)リターンする。この処理により、前枠52が開放した状態では遊技球の発射が不可能になるため、パチンコ機50外に発射球がこぼれる事は無く、また容易に遊技球が取り出せない構成となっている。また、前枠52閉鎖時に封入球数が異常と判断された場合(S125:no、S130:yes)は、規制フラグに1が設定されないが、この発射制御処理によって柚木球の発射が禁止されるため、遊技不可能な状態となる。
【0081】
次に、主制御装置80が実行する阻止部材退出処理を、図8に示したフローチャートを用いて説明する。この処理は、規制フラグに1が設定され開放阻止部材42がツメ部41の軌道上に停まり前枠52の解錠が行えない遊技中に、発射した遊技球が球詰まり等の何らかの原因で回収できない状況となった場合に限り、開放阻止部材42をツメ部41の軌道上から退出させ、トラブル解消のために前枠52の解錠を可能とする処理となる。
【0082】
阻止部材退出処理を開始すると、管理カウンタの値が変化したか否か判定する(S200)。否定判定、即ち値が変化してないなら(S200:no)、トラブル発生を判断するタイマが作動中か否か判定する(S205)。本実施例では、管理カウンタが変化しない状態で20秒経過した場合に封入球の循環トラブルが発生した可能性有りと判断するが、この時間に限るわけではなく、循環機構の違いにより様々な値を取りうる。
【0083】
S205が否定判定なら(S205:no)、タイマ作動開始処理(S210)を行い、S210の処理後、又はS205が肯定判定なら(S205:yes)、当該タイマを構成するカウンタに+1するインクリメント処理を行う(S215)。続いてタイマカウンタの値が所定値か否か判定し(S220)、否定判定なら(S220:no)リターンし、肯定判定、即ちタイマの作動開始から20秒が経過していたらなら(S220:yes)、封入球数確認スイッチ1(94)が遊技球を検出しているか否か判定する(S225)。
【0084】
S225が肯定判定、即ち発射球待機経路62に全て(50個)の封入球が待機している状態なら(S225:yes)、封入球の循環に異常なしとしてリターンし、否定判定なら(S225:no)、規制フラグに0を設定することによって開放阻止部材42をツメ部41の軌道上から退出させ、前枠52を解錠可能にして(S230)リターンする。S200が肯定判定なら(S200:yes)、タイマの作動を停止し(S235)、タイマカウンタをクリアして(S240)リターンする。
【0085】
以上が阻止部材退出処理となる。正常な遊技を進行中であれば、管理カウンタの値は必ず所定期間内に変化する(遊技球は約0.6秒ごとに1発ずつ発射される)が、封入球の循環にトラブルが発生した場合、遊技球が不足して発射が不可能になるか、若しくは遊技者がトラブルに気づき意図して発射を止め、封入球の循環を検出する発射球センサ91、アウト球センサ92、ファール球センサ93のいずれもが遊技球を検出しない状態が20秒継続し、且つ、発射球待機経路62に全ての封入球が待機していないことを条件に、封入球の循環にトラブルが発生したと判断し、管理カウンタの値が発射球数と回収球数の整合性が取れていない状態でも、トラブルを解消するために開放阻止部材42をツメ部41の軌道上からはずし、前枠52の解錠を可能としている。
【0086】
以上が実施例1の説明となる。上述したように、発射した遊技球球数の加算と回収した遊技球数の減算とで封入球の循環を管理する管理カウンタの値が0にならないと、前枠52と内枠70の施錠が解錠できない構成となっている。これにより、封入球が正常に循環している場合は、全ての遊技球が遊技領域3の流下を終了し終えた状態でないかぎり前枠52の解錠が行えず、解錠可能時には必ず遊技領域3には遊技球が存在しない状況となり、前枠52の開放によって遊技球がパチンコ機50外に飛び出すことがなく、パチンコ機50が封入する遊技球の数が減少することを回避することが可能な構成となっている。
【0087】
また、前枠52閉鎖時には、確実に50個の遊技球が封入されているかどうかを確認する構成となっているため、前枠52開放時に不正球を混入させるとエラー状態となり、不正球を混入させて遊技を行うことを防止している。更に、前枠52開放時には、図7の発射制御処理により発射禁止設定が行われるため、前枠52解錠時には遊技領域3に遊技球がない構成と合わせると、機外に遊技球を取り出すことが不可能な構成になっている。これにより、機外に取り出した遊技球数に応じて不正な遊技球を機内に戻すといった不正行為を防止している。
【実施例2】
【0088】
次に実施例2について説明する。本実施例に於いて封入式遊技機の基本構成は実施例1と共通である。従って、重複する部分は実施例1を援用して説明を進める。
【0089】
実施例1は、パチンコ機50内に封入する遊技球の数を、特定された規定数である50個とし、それ以下であってもそれ以上であっても封入球数異常エラーとなる構成とした。それに対して本実施例では、封入球の規定数に幅を持たせる構成となっている。具体的な封入球の規定数は、最小45個から最大55個までの11種類となり、この範囲の遊技球数であれば正常な遊技として遊技球の循環を行う。
【0090】
実施例1との具体的な相違点は3点となり、1点目は発射待機経路62に配置される封入球数確認スイッチの数。2点目は電気的構成を示すブロック図。3点目は規制手段動作処理(2)の内容となる。
【0091】
本実施例では、パチンコ機50内に封入される遊技球の数は、45個から55個の範囲にあればよいが、封入球数の規定範囲に応じた11個と、+1個の計12個の封入球数確認スイッチを所定の位置に配置することにより、前枠52開放時及び前枠52閉鎖時には、規定範囲の遊技球があるか否か、及び規定範囲内ならば封入球数を特定する構成となっている。
【0092】
具体的な封入球数確認スイッチの配置は、発射制御装置84が遊技球の発射を停止し、封入された遊技球が発射待機経路62に整流され発射する順番に並んだ場合、45番目に発射する遊技球を検出する位置に封入球数確認スイッチ1(94)を配置し、46番目に発射する遊技球を検出する位置に封入球数確認スイッチ2(95)を配置し、以下順番に55番目に発射する遊技球を検出する位置まで封入球数検出スイッチ11(104)を配置したうえで、更に、55個より多い遊技球が封入された場合を検出する封入球数確認スイッチ12(105)を56番目に発射する遊技球を検出する位置に配置し、図9の実施例2の電気ブロック図に示すように各スイッチを主制御装置80に接続する。
【0093】
次に、図10、11、12を用いて、本実施例において主制御装置80が実行する規制手段動作処理2を説明する。図10のフローチャートに示す構成は、その基本構成を実施例1の規制手段動作処理1のS100からS120までと同一とするため、同一構成部の説明は援用とし、S100に該当するS250の否定判定以降から説明する。
【0094】
S250が否定判定、即ち前枠52が開放された状態なら(S250:no)、図11のS300に進み、当該処理において前枠閉鎖スイッチ18からの信号がHIからLOWに変化したのか否か、即ち前枠52が開放された直後か否か判定する(S300)。否定判定なら(S300:no)、S340に進み、肯定判定なら(S300:yes)、封入球数確認スイッチ12(105)が遊技球を検出しているか否か、即ち、全ての遊技球が回収された状態で、発射する順番が56番目の位置に遊技球があるか否か判定する(S305)。
【0095】
S305が肯定判定なら(S305:yes)、最大規定数よりも多い遊技球がパチンコ遊技機50内に存在する異常状態と判断し、封入球数異常エラー報知処理を行う(S345)。S305が否定判定なら(S305:no)、封入球数確認スイッチ1(94)が遊技球を検出しているか否か、即ち、全ての遊技球が回収された状態で、発射する順番が45番目の位置に遊技球があるか否か判定する(S310)。否定判定なら(S310:no)、パチンコ遊技機50内に封入された遊技球の数が最少規定数(45個)よりも少ない異常状態と判断し、封入球数異常エラー報知処理を行う(S345)。なお、この場合も、S305の肯定判定から実施されるエラー報知の態様と、S310の否定判定から実施されるエラー報知の態様とは異なる内容となる。
【0096】
S310が肯定判定なら、即ち封入された遊技球の数が規定範囲内なら(S310:yes)、封入球数確認スイッチ2(95)が遊技球を検出しているか否か、即ち、封入された遊技球の数が45個よりも多いか、45個かを判定する(S315)。否定判定なら(S315:no)、前枠52開放時の封入球数を記憶する記憶領域に45を記憶し(S320)、S340に進む。
【0097】
S315が肯定判定なら(S315:yes)、以下はS315、S320と同様の判定処理及び記憶処理を行い、封入球数確認スイッチの検出と該スイッチの設置位置に応じて前枠52開放時の封入球数を記憶してS340に進む。S340では規制フラグに0を設定して(S340)リターンする。なお、S305、S310、S315、S325が本発明の開放時封入球数検出手段に該当し、S320、S330、S335が本発明の記憶手段に該当する。
【0098】
図10に戻り、S255が肯定判定、即ち前枠52が閉鎖された直後であれば(S255:yes)、図12のS350に進み、前枠52閉鎖時の封入球数を確認する処理として、図11のS305以降のフローチャートと同様の処理を実施する。具体的には、封入球数確認スイッチ12(105)が遊技球を検出しているか否か判定し(S350)、肯定判定なら(S350:yes)、最大規定数よりも多い遊技球がパチンコ遊技機50内に存在する異常状態と判断し、封入球数異常エラー報知処理を行い(S395)、S350が否定判定なら(S350:no)、封入球数確認スイッチ1(94)が遊技球を検出しているか否か判定し(S355)、否定判定なら(S355:no)、封入された遊技球の数が最小規定数よりも少ない異常状態と判断し、封入球数異常エラー報知処理を行う(S355)。
【0099】
S355が肯定判定なら(S355:yes)、封入球数確認スイッチ2(95)が遊技球を検出しているか否か判定する(S360)。否定判定なら(S360:no)、前枠52閉鎖時の封入球数を記憶する記憶領域に45を記憶し(S365)、S385に進む。S360が肯定判定なら(S360:yes)、以下はS360、S365と同様の判定処理及び記憶処理を行い、封入球数確認スイッチの検出と該スイッチの設置位置に応じて前枠52閉鎖時の封入球数を記憶してS385に進む。なお、本実施例では、S350、S355、S360、S370が本発明の閉鎖時封入球数検出手段に該当する。
【0100】
S385では、前枠52開放時にS320からS335のいずれかで記憶した開放時封入球数と、前枠52閉鎖時にS365からS380のいずれかで記憶した閉鎖時封入球数とが同一か否か判定し(S385)、肯定判定なら(S385:yes)、規制フラグに1を設定してリターンし、否定判定なら、即ち前枠52開放時と閉鎖時とで封入球数が異なれば、異常状態と判断し封入球数異常エラー報知処理を行う(S395)。なお、この場合も、S350の肯定判定からのエラー報知態様と、S355の否定判定からのエラー報知態様とは異なる内容であり、更にS385の否定判定から実施されるエラー報知態様も他の二つとは異なる内容とすることによって、エラー報知態様の種類によって異常内容がわかるようになっている。
【0101】
以上が実施例2の説明となる。本実施例では、封入球数の規定数に幅を持たせる構成とした上で、前枠52の開放時には実施例1と同様に遊技球が機外に飛び出さない処理を実施したうえで封入球数を記憶し、前枠52の閉鎖時には、該閉鎖時の封入球数と開放時の封入球数を比較し、変化がなければ(エラーにならなければ)遊技球の発射が可能となるとともに、規制フラグに1を設定することによって、前枠52の解錠に規制がかかる構成となっている。
【0102】
これにより、封入球数の規定数に幅がある構成としても、前枠52開放時に遊技球をパチンコ機50内に混入させる行為を行った場合は、前枠52開放時と閉鎖時の封入球数が異なることにより閉鎖時に直ちにエラー状態を報知し、不正な遊技を防止している。
【実施例3】
【0103】
次に実施例3について説明する。本実施例に於いて封入式遊技機の基本構成は実施例1及び2と共通である。従って、重複する部分は実施例2を援用して説明を進める。
【0104】
実施例1、2は、規制手段動作処理1(2)で説明したように、発射した遊技球が全て回収され管理フラグに1が設定されると、規制フラグに0が設定され前枠52の解錠が可能な状態となったが、本実施例において規制フラグに0を設定する条件は、上記条件に加え、シリンダ錠36への鍵挿入検出となる。
【0105】
実施例2との具体的な相違点は2点となり、1点目は電気的構成を示すブロック図、2点目は規制手段動作処理(3)の内容となる。本実施例の電気的構成は、図13のブロック図に示すように、実施例2の構成に鍵スイッチ20を追加し、裏配線中継端子板75を介して主制御装置80に接続している。これにより主制御装置80がシリンダ錠36に鍵が挿入されているかどうかが判断可能となっている。
【0106】
規制手段動作処理3は、図14に示すフローチャートの内容となり、実施例2で説明した規制手段作動処理2の構成に判定処理を1箇所加えた構成となっている。具体的には、規制手段作動処理2のS260に該当するS410の判定が肯定判定(管理フラグ=1)なら(S410:yes)、鍵スイッチからの信号がHIか否か、即ちシリンダ錠36に鍵が挿入されているか否か判定する(S415)。否定判定なら(S415:no)リターンし、肯定判定なら(S415:yes)規制フラグに0を設定(S420)してリターンする。
【0107】
以上が実施例3の説明となる。実施例1、2の構成では、発射球が全て回収される毎に規制フラグに0が設定され、その都度開放阻止部材42がツメ部41の軌道上からはずれ前枠52の開放が可能となっていたが、本実施例では、シリンダ錠36への鍵挿入を条件に加えたことにより、発射球が全て回収されただけでは規制フラグに0が設定されないため、開放阻止部材42が無駄な退避動作を行わずにすみ、前枠52の解錠可能なタイミングがその分減少することにより、正規の鍵がない状態で不正に前枠52を開放する行為を防止する構成といえる。
【0108】
以上が実施例の説明となる。各実施例では、前枠52が閉鎖された直後、及び開放された直後に封入球数を検出する処理を行い、その時点で異常があればエラー報知を行う構成としたが、前枠52の開放中も常時封入球数の検出処理を継続し(開放継続時封入球数検出手段を設け)、開放時の検出数に変化が生じたら(記憶手段の値と異なる値になったら)、その時点で異常状態と判断しエラー報知を実行する構成も考えられる。
【0109】
この構成により、実際に不正行為を実行した時点、具体的にはパチンコ機50内に不正な遊技球を混入させた時点、又は何らかの手段を用いてパチンコ機50内から遊技球を取り出した時点で異常状態と判断されることにより更に厳しく不正行為を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、本発明の封入式弾球遊技機によれば、発射球数と回収球数と封入球数とを管理することにより、遊技球が機外にこぼれる事を防止するとともに、不正球の混入を防ぐことが可能となる。従って、封入球数を確認可能な機能を備えた循環式遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 遊技盤
36 シリンダ錠
38 前枠止め部材
39 スライド錠
41 ツメ部
42 開放阻止部材
50 封入式パチンコ機
60 回収経路
61 発射経路
62 発射待機経路
63 ファール球取込口
80 主制御装置
84 発射制御装置
91 発射球センサ
92 アウト球センサ
93 ファール球センサ
94 封入球数確認センサ1
95 封入球数確認センサ2
96 枠開放規制モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置により発射位置にある遊技球を遊技領域に向けて発射し、該発射された遊技球を回収して発射位置へと誘導し、所定数の遊技球を内部に封入した循環式遊技機において、
前記発射装置が発射した遊技球をカウントする発射球カウント手段と、
前記回収した遊技球をカウントする回収球カウント手段と
前記発射球カウント手段がカウントした発射球数及び前記回収球カウント手段がカウントした回収球数に基づいて遊技球を管理する管理手段と、
ガラス枠を内枠に対して施錠状態と解錠状態とに変位可能な錠前手段と、
該錠前手段の前記施錠状態から前記解錠状態への変位を阻止する阻止状態と阻止しない解除状態とに変位する阻止手段と、
ガラス枠が内枠に対して閉鎖されていることを検出する閉鎖検出手段と、
該閉鎖検出手段の検出状態が未検出から検出に変化することを条件に、封入球数を検出する閉鎖時封入球数検出手段と、を備え、
前記阻止手段は、
前記閉鎖検出手段の検出状態が閉鎖であり、且つ、前記管理手段によって前記発射球数と前記回収球数とが一致していると判断することを条件に、解除状態へと変位し、前記閉鎖時封入球数検出手段によって前記所定数の封入球数が検出されることを条件に、阻止状態へと変位する
ことを特徴とする循環式遊技機。
【請求項2】
請求項1記載の循環式遊技機において、
前記閉鎖検出手段の検出状態が検出から未検出に変化することを条件に、封入球数を検出する開放時封入球数検出手段と、
該開放時封入球数検出手段が検出した封入球数を記憶する記憶手段と、
前記閉鎖時封入球数検出手段によって検出された封入球数と前記記憶手段に記憶された封入球数とが、一致しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に応じて異常状態を報知する異常報知手段と、を備える
ことを特徴とする循環式遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の循環式遊技機において、
前記閉鎖検出手段が閉鎖を未検出であること、前記閉鎖時封入球数検出手段が前記所定数の封入球数を検出していないこと、又は、前記閉鎖時封入球数検出手段が前記記憶手段に記憶した封入球数を検出していないこと、のいずれかの条件を満たしているときに、前記発射装置による遊技球の発射を禁止する発射禁止手段を備える
ことを特徴とする循環式遊技機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3記載の循環式遊技機において、
前記錠前手段に鍵が挿入されたことを検出する鍵検出手段を備え、
前記阻止手段は、前記閉鎖検出手段の検出状態が閉鎖であり、且つ、前記管理手段によって前記発射球数と前記回収球数とが一致していると判断することに加え、前記鍵検出手段が鍵を検出することを条件として解除状態へと変位する
ことを特徴とする循環式遊技機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4記載の循環式遊技機において、
前記阻止手段が阻止状態にあること、又は解除状態にあることを報知する阻止報知手段を備える
ことを特徴とする循環式遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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