説明

循環泥水中の砂分変化と泥水流量の検出方法

【課題】 センサーを、泥水が流れる管路の取付け取外しが容易な箇所に取付けることによって、循環泥水中の砂分変化と泥水流量を検出する方法を提供する。
【解決手段】 管路1によってスライム処理用ポンプ4と回収水槽5の間を連絡する。スライム処理用ポンプと地上6の間には、掘削孔7が設けられる。電気比抵抗センサー2と流量センサー3を管路における第1の地上箇所1aに設置する。また、電気比抵抗センサーを管路における第2の地上箇所1bに設置する。このように、2箇所に電気比抵抗センサーを設置すると、スライム処理用ポンプによる吸い上げ時の泥水の電気比抵抗値と、水中ポンプ等による回収水槽から補充時の安定液の電気比抵抗値を比較することができるため、安定液の状況を把握し易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭の掘削孔等内に生じる泥水を、ポンプと水槽の間で循環させ、循環している泥水中の砂分の変化と泥水の流量を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来の技術として、電気比抵抗センサーを使用する安定液のスライム管理システムについて、本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図4に示されるように、スライム処理用ポンプ21のケーシング22を支持する支持台23には、電気比抵抗センサー24が取り付けられ、電気比抵抗センサー24は計測ケーブル25に接続される。ポンプ21の吐出能力は、50〜60m/時間である。
【0004】
電気比抵抗センサー24を取り付ける構造は、L型アングル材を採用する。
【0005】
電気比抵抗センサーで得られる比抵抗(Ω・m)とは、場所打ちコンクリート杭などの造成時における孔壁の崩壊防止や地下水の湧出などを防ぐために多く用いられているベントナイト泥水(比重は1.1〜1.4程度)の濃度や砂分量に比例して変化することを利用するもので、一般的に砂分率(量)が増えると、比抵抗は大きくなる。
【0006】
第2の従来の技術として、砂分離槽について、本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
この技術は、建築、土木工事における現場築造杭、地中連続壁等に使用される砂分が多いベントナイト安定液時の粘土を含む水から、砂を分離する分離槽に関するものである。
【0008】
前記安定液等のうち、砂分離機35で分離された砂分の混入が少ない液は、直接水槽31,32に流入し、砂分が多く混入している液は、受樋36上を案内されて流れ、砂分外部排出管37を通して外部に設置された別個の槽(図示せず)に一旦排出される。そして、外部に一旦排出されて別個の槽に溜まった液の大半は、水中ポンプにより水槽31,32に還流される。したがって、外部には砂分のみが、排出されることになる。各水槽31,32の下部には、砂分等が溜まり難くするためにテーパー33を4面に付け、また、底部には、水中ポンプにより液を排出し易くするためにピット34を2箇所設ける。
【0009】
【特許文献1】特開2005−351121号公報(第4頁第22行〜第35行、図1)
【特許文献2】特許第2934939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記第1の従来の技術では、ポンプのケーシングを支持する支持台に電気比抵抗センサーを取り付けているので、取付け作業が煩雑であり、また、電気比抵抗センサーが故障した場合、修理に長い時間を必要とする不都合が生じている。
【0011】
また、前記第1の従来の技術では、ポンプの作動中に、スライムの処理状況を比抵抗と経過時間との関係から知ることができる。しかし、安定液の流量を知ることができない。
【0012】
そこで、本発明は、前記第1の従来の技術の欠点を改良し、センサーを泥水が流れる管路の取付け取外しが容易な箇所に取付けることによって、循環泥水中の砂分変化と泥水流量を検出する方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。
【0014】
1.スライム処理用ポンプ4と回収水槽5の間を、管路1によって循環するように連絡し、前記スライム処理用ポンプによって吸い上げられた泥水が流れる前記管路の地上箇所1aに電気比抵抗センサー2と流量センサー3を設置して行う循環泥水中の砂分変化と泥水流量の検出方法。
【0015】
2.前記回収水槽から補充される安定液が流れる前記管路の第2の地上箇所1bに第2の電気比抵抗センサー2を設置して行う前記1記載の循環泥水中の砂分変化と泥水流量の検出方法。
【発明の効果】
【0016】
明細書の説明から理解することができるように、本発明は、次の効果を奏する。
【0017】
1.電気比抵抗センサーを、第1の従来の技術では、ポンプのケーシングを支持する支持台に取り付けているが、本発明は、管路の地上箇所に設置するので、着脱が簡易である。
【0018】
2.電気比抵抗センサーと流量センサーを併用するので、循環泥水中の砂分変化と泥水流量の関係をリアルタイムに知ることができる。
【0019】
3.スライム処理用ポンプによって吸い上げられた泥水が流れる管路の第1の地上箇所と、回収水槽から補充される安定液が流れる管路の第2の地上箇所に、それぞれ電気比抵抗センサーを設置するので、安定液の状況を把握し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施例の循環泥水中の砂分変化と泥水流量の検出方法について説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1について図1〜図3を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施例1の要部の模式図である。詳細は図3を参照して後述するが、杭孔底からスライム処理を目的としてスライム処理用ポンプ4によって吸い上げられ、管路1を流れる泥水は、回収水槽5の手前で電気比抵抗値と流量を計測される。また、同時に回収水槽5から補充される安定液の電気比抵抗値も計測される。
【0023】
管路1における地上箇所に電気比抵抗センサー2と流量センサー3を設置する。電気比抵抗センサー2と流量センサー3を、接近して配置しても、離隔して配置しても、所期の目的を達成することができる。
【0024】
図2は、管路1を循環する泥水中に含まれる砂分率のグラフであり、横軸が管路1を循環する泥水の流量(m)、縦軸が電気比抵抗センサー2により検出される電気比抵抗(Ω・m)を、それぞれ示す。曲線は、泥水の流量の増加に応じて電気比抵抗が減小する状況を示す。破線は、泥水中に含まれる砂分がほぼ零になるときの電気比抵抗を示す。
【0025】
図3は、管路1における地上箇所に電気比抵抗センサー2と流量センサー3が設置された状態を示す模式的斜視図である。
【0026】
管路1によってスライム処理用ポンプ4と回収水槽5の間を連絡する。スライム処理用ポンプ4と地上6の間には、掘削孔7が設けられる。
【0027】
電気比抵抗センサー2と流量センサー3を管路1における第1の地上箇所1aに設置する。
【0028】
また、電気比抵抗センサー2を管路1における第2の地上箇所1bに設置する。このように、2箇所に電気比抵抗センサー2を設置すると、スライム処理用ポンプ4による吸い上げ時の泥水の電気比抵抗値と、水中ポンプ等による回収水槽5から補充時の安定液の電気比抵抗値を比較することができるため、安定液の状況を把握し易い。
【0029】
なお、スライム処理用ポンプ4によって吸い上げられた泥水の一部は、回収水槽5に回収され、残部は、管路1から排出されて廃棄される。また、回収水槽5内においては、回収された泥水中の砂やごみ等は、第2の従来の技術の砂分離槽、振動ふるい及びサイクロン等によって選別の上、排出されて廃棄される。更に、回収水槽5内においては、回収された泥水とベントナイトが調合され、新たな安定液が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1の要部の模式図である。
【図2】同実施例1における管路を循環する泥水中に含まれる砂分率のグラフである。
【図3】同実施例1の同管路における地上箇所に電気比抵抗センサーと流量センサーが設置された状態を示す模式的斜視図である。
【図4】第1の従来の技術の電気比抵抗センサーを使用する安定液のスライム管理システムの斜視図である。
【図5】第2の従来の技術の砂分離槽の正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 管路
1a 第1の地上箇所
1b 第2の地上箇所
2 電気比抵抗センサー
3 流量センサー
4 スライム処理用ポンプ
5 回収水槽
6 地上
7 掘削孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライム処理用ポンプと回収水槽の間を、管路によって循環するように連絡し、
前記スライム処理用ポンプによって吸い上げられた泥水が流れる前記管路の地上箇所に電気比抵抗センサーと流量センサーを設置して行う
ことを特徴とする循環泥水中の砂分変化と泥水流量の検出方法。
【請求項2】
前記回収水槽から補充される安定液が流れる前記管路の第2の地上箇所に第2の電気比抵抗センサーを設置して行うことを特徴とする請求項1記載の循環泥水中の砂分変化と泥水流量の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−51600(P2008−51600A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226797(P2006−226797)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(504222713)
【出願人】(506287383)
【出願人】(500350874)
【Fターム(参考)】