説明

循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法及び該方法に使用する循環洗浄式男性用トイレ

【課題】循環洗浄水の腐敗に起因する悪臭の発生と浮遊物の流出による便器等の汚れを防止する。
【解決手段】本発明の循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法は、使用者が小便をした後に小便器下部から排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器を洗浄し、小便器下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄に使用する循環洗浄式男性用小便器の防臭防汚洗浄方法の改良である。その特徴ある構成は、洗浄タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を接触させて、洗浄水に徐溶させるところにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車車両、バス、航空機、船舶等の移動体に使用される循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法及び該方法に使用する循環洗浄式男性用トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、列車などの移動体に設置されている循環洗浄式男性用トイレでは、使用者が小便をした後に小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器を洗浄し、小便器下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄に使用している。循環使用される洗浄水は一定回数循環使用した後に廃棄し、清浄な洗浄水に入れ替えることで、洗浄水中での腐敗菌の増殖が起こらないように工夫されている。
しかし、このような循環洗浄式男性用トイレは、連続的に稼動している時には悪臭の発生等の問題が起こり難いが、列車などに設置した場合では、列車は一日の運行が終了すると車庫に入って翌朝まで停留されることから、この停留の間にタンクに貯留した洗浄水中に混入した尿成分を栄養分として腐敗菌の増殖が活発に起こり、悪臭の発生と浮遊物の生成による汚れ付着が起こる原因となってしまう可能性が高かった。
【0003】
そのため、このような循環洗浄式男性用トイレの問題点を解決する方策として、小便器使用者の存在不存在を感知するセンサと、小便器下部に連通するように設置される切替弁と、切替弁の一方への選択状態で切替弁を介して小便器に連通される汚水パイプと、汚水パイプの他端に設置される汚物タンクと、切替弁の他方への選択状態で切替弁を介して小便器に連通される使用済み洗浄水パイプと、使用済み洗浄水パイプの他端に設置され使用済み洗浄水から尿分を除去する処理タンクと、処理タンクで処理された処理水を小便器に流入させるポンプと、切替弁、センサ及びポンプに接続される制御手段とを備えた小便器洗浄水再生装置のような改良技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。この特許文献1又は特許文献2に示される装置では、感知センサと切替弁とを連動させ、使用者が小便をした際の尿と、前洗浄として小便器上部から少量だけ流す洗浄水は、処理タンクには流入させず、別に設置した汚物タンク側に溜め、続いて切替弁を処理タンク側に切り替えて、本洗浄として小便器上部から洗浄水を所定量流して小便器の洗浄を行い、洗浄を終えた洗浄水を処理タンクに戻して洗浄水を貯留し、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間繰返し使用し、繰返し使用回数が20回毎に1回程度の割合で全量を清浄な洗浄水に交換することで、少量の洗浄水で小便器を洗浄し、かつ循環使用する洗浄水の腐敗が起こり難いように工夫している。
しかし上記特許文献1や特許文献2に示されるような装置では、タンクに貯留される循環洗浄水には確かに腐敗菌の栄養分となる尿成分の量が絶対的に少なくなるため、循環洗浄水の腐敗の進行は起こり難くなるが、洗浄水の循環を繰返すことによって小便器表面に付着した有機物が洗浄水中に混入し、このような有機物が循環洗浄水タンク内の壁面に付着するなどするため、循環洗浄水を清浄な洗浄水に入れ替えても有機物が残留することが考えられ、その残留物がある程度堆積してくると、栄養源となって腐敗菌の増殖が起こってしまうおそれがあった。
【0004】
また、循環洗浄式トイレでの洗浄水タンクの腐敗防止には抗菌防臭処理剤が使用されている。抗菌防臭処理剤には、少量で安定した腐敗防止効果が要求されるため、主要な抗菌成分として2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどのハロゲン系(例えば、特許文献3参照。)や5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系(例えば、特許文献4参照。)など、少量で安定して非常に高い抗菌性能を発揮できる抗菌防臭処理剤が一般的である。また、人体や処理施設への安全性を考慮して、皮膚消毒等にも使用され、人体への悪影響が少ない塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩を抗菌成分に使用した抗菌防臭処理剤も開発されている。
しかし、腐敗菌の増殖を抑制するためには、抗菌防臭処理剤を洗浄水に滴下することが極めて有効ではあるが、従来より使用されているハロゲン系やイソチアゾリン系等の抗菌成分を含む抗菌防臭処理剤を使用した場合では、少量の滴下混入で非常に強い抗菌力が期待できる反面、皮膚や粘膜に対する刺激性が強いため取扱いに多大な注意が必要であった。メンテナンス作業する人員やトイレを使用する利用者に対する安全性が最優先で重視される昨今、人体への影響が強く懸念される抗菌防臭処理剤の使用は敬遠される傾向にある。また、抗菌成分であるハロゲン系やイソチアゾリン系等の化合物は構造的に極めて安定であるため自然分解され難く、このような抗菌成分を含む抗菌防臭処理剤は少量での滴下混入においても排出時に分解されずに残存して、活性汚泥槽等の排水処理施設に悪影響を及ぼすおそれがあった。また、第4級アンモニウム塩を抗菌成分に使用した抗菌防臭処理剤は、洗浄水タンク中において尿などの有機物と反応すると急速に抗菌力が低下する現象が見られ、滴下混入量をある程度高濃度になるようにしなければ効果が安定して持続できないという問題があった。また第4級アンモニウム塩は反応性が高いため、ある程度の高濃度で滴下混入すると金属などの部材を腐蝕させるおそれがあり、また起泡性が非常に高いため、排出した場合に水質を汚濁してしまうことが懸念される。更に高濃度で滴下混入するとなると多量の薬液が必要となり、循環洗浄式男性用トイレにおける軽量化への寄与が意味のないものとなってしまう。
【0005】
また、男性用トイレでは小便器に固形の消臭防汚剤を充填した薬剤筒を設置し、洗浄の際に薬剤筒に洗浄水を通じることで固形の消臭防汚剤を洗浄水に少しずつ溶解させることによって、悪臭の防止や汚れの付着防止をする方法が広く一般的に実用されている。固形の消臭防汚剤には、殺菌剤と香料を組合せたものが多く、特に尿石などの汚れの分解やアンモニアなど悪臭発生の抑制を目的としたものとして、有効成分にスルファミン酸やジクロロイソシアヌル酸(例えば、特許文献5参照。)のような危険な酸性物質を含むものが一般的に使用されている。この他にも悪臭や汚れを分解する効果のある微生物を含む固形の消臭防汚剤も数多く提供されている。
しかし殺菌剤を含む消臭防汚剤を循環洗浄式に使用する場合、循環洗浄式では洗浄水は腐敗菌の繁殖が起こり易い環境にあるため、腐敗菌の抑制を効率的に行うために、殺菌剤を含む消臭防汚剤を固形で少しずつ溶解させるには、水溶性の殺菌剤を使用することが考えられる。ところが水溶性の殺菌剤を含む消臭防汚剤では補充当初は一定の効果が得られるものの、短時間で洗浄水に溶解してしまうため効果の持続が期待できない。そのため、水溶性の殺菌剤を含む消臭防汚剤を用いて一定の効果を持続させようとした場合には、かなり大きな固形消臭防汚剤を用意するか、或いは薬剤筒に頻繁に新しい固形消臭防汚剤を補充する必要があるため、実用的ではなかった。また微生物を含む消臭防汚剤を循環洗浄式に使用する場合、洗浄水タンク中で腐敗菌が既に増殖してしまうと、消臭防汚剤に含まれる微生物は腐敗菌に対して数的優位に立てないため、微生物が洗浄水中で増殖することは不可能であった。また微生物を含む消臭防汚剤に抗菌剤を組合せて腐敗菌の増殖を抑制した場合には、洗浄水中で微生物が優先的に増殖することが可能にはなるが、消臭防汚剤中に含まれる微生物自体が抗菌剤によって増殖を抑制されてしまう可能性が極めて高く、消臭防汚剤による効果が得られない問題があった。
【特許文献1】特開平7−216958号公報(請求項1、第1図)
【特許文献2】特開平8−319656号公報(請求項1、第1図)
【特許文献3】特開2001−233703号公報(請求項3)
【特許文献4】特開平7−69816号公報(請求項2)
【特許文献5】特開2001−172682号公報(請求項2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の循環洗浄式男性用トイレにおいては、上記技術を単独若しくは複数を組合せることによって、少量の洗浄水で悪臭の発生並びに汚れ付着を生じない技術を提供しており、実際に列車に設置されている男性用トイレにおいて多く実用されていた。しかしながら、上記技術を単独で行う方法では十分な効果が得られず、また上記技術を複数組合せて行い、その効果を高めようとした場合についても、お互いに相容れない問題が発生してしまうため、設置当初においては良好な効果が認められるものの、長期間使用していくことによって悪臭並びに汚れの発生が顕著になっていた。そのため最近では列車に設置する男性用トイレは洗浄水を一過式で使用する方式を採用するのが一般的となっている。しかし、列車の高速運用に対して車両軽量化のニーズが高まる中、多量の洗浄水を搭載しなければならない一過式の採用は時代に逆行するものであり、改めて効果的な循環洗浄式男性用トイレの開発が期待されている。
【0007】
本発明の目的は、循環洗浄水の腐敗に起因する悪臭の発生と浮遊物の流出による便器等の汚れを防止し得る、循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法及び該方法に使用する循環洗浄式男性用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、使用者が小便をした後に小便器下部から排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器を洗浄し、小便器下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄に使用する循環洗浄式男性用小便器の防臭防汚洗浄方法の改良である。その特徴ある構成は、洗浄タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を接触させて、洗浄水に徐溶させることを特徴とする循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法である。
請求項1に係る発明では、使用者が小便をした後に排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、洗浄水タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を少しずつ溶解させることにより、洗浄水中の腐敗菌の増殖を抗菌防臭処理剤の効果によって抑制し、かつ微生物を優占的に増殖させて、抗菌防臭処理剤の効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作るため、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する小便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。この場合、循環洗浄水を1日に数回清浄な洗浄水に入れ替えれば効果が継続されるが、繰返し使用回数が20〜40回毎に1回程度の割合で全量を清浄な洗浄水に交換すればより高く効果を維持することができる。即ち洗浄水の全量交換頻度を抑制することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、抗菌防臭処理剤がビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなり、抗菌成分がポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(以下、PHMBという。)を主成分として含む方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、徐溶性固形消臭剤が室温で固体のポリエチレングリコールに溶解調整剤としてステアリルアルコールを配合してなる固形組成物に、配合有効成分として、微生物バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)及び有機酸を配合した方法である。
【0010】
請求項4に係る発明は、図1に示すように、小便器11と、使用者が小便をした後に小便器11下部から排出される小便を貯留する汚物貯留手段12と、小便器11上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器11を洗浄し、小便器11下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄を行う洗浄水循環手段13と、洗浄水循環手段13により小便器に供給される洗浄水を内壁に徐溶性固形消臭剤を保持した薬剤筒に通過させて洗浄水に徐溶性固形消臭剤を徐溶させる徐溶性固形消臭剤供給手段14と、洗浄水循環手段13により小便器に供給される洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させる抗菌防臭処理剤供給手段16と、清浄な洗浄水を洗浄水タンクに補給する補給手段15とを備えた循環洗浄式男性用トイレである。
請求項4に係る発明では、使用者が小便をした後に排出される小便を汚物貯留手段により貯留した後に、洗浄水循環手段により洗浄水を小便器上部より供給する前に、抗菌防臭処理剤供給手段により洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ徐溶性固形消臭剤供給手段により洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を少しずつ溶解させるので、洗浄水中の腐敗菌の増殖を抗菌防臭処理剤の効果によって抑制し、かつ微生物を優占的に増殖させて、抗菌防臭処理剤の効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作るため、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する小便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明であって、抗菌防臭処理剤がビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなり、抗菌成分がPHMBを主成分として含むトイレである。
請求項6に係る発明は、請求項4に係る発明であって、徐溶性固形消臭剤が常温で固体のポリエチレングリコールに溶解調整剤としてステアリルアルコールを配合してなる固形組成物に、配合有効成分として、微生物バチルスサブチリス及び有機酸を配合したトイレである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法は、使用者が小便をした後に排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、洗浄水タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を少しずつ溶解させることにより、洗浄水中の腐敗菌の増殖を抗菌防臭処理剤の効果によって抑制し、かつ微生物を優占的に増殖させて、抗菌防臭処理剤の効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作るため、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する小便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。
本発明の循環洗浄式男性用トイレは、使用者が小便をした後に排出される小便を汚物貯留手段により貯留した後に、洗浄水循環手段により洗浄水を小便器上部より供給する前に、抗菌防臭処理剤供給手段により洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、徐溶性固形消臭剤供給手段により洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を少しずつ溶解させるので、洗浄水中の腐敗菌の増殖を抗菌防臭処理剤の効果によって抑制し、かつ微生物を優占的に増殖させて、抗菌防臭処理剤の効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作るため、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する小便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法は、使用者が小便をした後に小便器下部から排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器を洗浄し、小便器下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄に使用する循環洗浄式男性用小便器の防臭防汚洗浄方法の改良である。その特徴ある構成は、洗浄タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を接触させて、洗浄水に徐溶させるところにある。従来の洗浄方法では、洗浄水を繰返し循環洗浄に使用することにより、洗浄水は尿などの混入物に汚染されて腐敗菌が増殖し、悪臭の発生や浮遊物の生成に起因する小便器への汚れの付着が顕著に起こっていたが、本発明の洗浄方法では、使用者が小便をした後に排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、洗浄水タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を少しずつ溶解させることにより、洗浄水中の腐敗菌の増殖を抗菌防臭処理剤の効果によって抑制することによって長時間に渡って安定的に防止すると同時に、抗菌防臭処理剤に含まれる抗菌成分に対して耐性のある微生物を含んだ徐溶性固形消臭剤を洗浄水に少しずつ溶解させ、微生物を優占的に増殖させることによって、抗菌防臭処理剤の効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作るため、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する小便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。この場合、循環洗浄水を1日に数回清浄な洗浄水に入れ替えれば効果が継続されるが、繰返し使用回数が20〜40回毎に1回程度の割合で全量を清浄な洗浄水に交換すればより高く効果を維持することができる。即ち洗浄水の全量交換頻度を抑制することができる。
【0014】
循環洗浄水中に滴下混入させる抗菌防臭処理剤は、ビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなり、抗菌成分がPHMBを主成分として含むことが好適である。抗菌成分は処理剤全体重量に対して2重量%〜10重量%の割合で含まれることが好ましい。抗菌成分が2重量%未満では十分な抗菌効果が得られず、10重量%を越えると処理剤の粘性が高くなり、また、それ以上含有しても抗菌防腐効果の向上は期待できず、コスト的に無駄が生じるためである。抗菌防臭処理剤中の抗菌成分の主成分であるPHMBは次の式(1)で表され、低毒性で皮膚や粘膜に対する刺激性もハロゲン系やイソチアゾリン系の抗菌製剤と比べてはるかに小さく、遊泳用プールの抗菌剤として長年の使用実績がある等、人体への影響が極めて少ない安全な成分である。
【0015】
【化1】

【0016】
またPHMBは第4級アンモニウム塩に比べて抗菌防腐効果に有効な作用基の数が多く、汚物等の有機物との接触による失活が起こりにくいため、腐敗防止及び消臭効果が長期間持続し、更にトイレを形成する材料に対する腐蝕性も少なく、低起泡性であるため水質汚濁の心配がない。PHMBは構造的にはハロゲン系やイソチアゾリン系ほど安定ではないため、滴下混入する量によって抗菌力の持続性をある程度調整することが可能であり、使用時間に合わせて抗菌効果を失活させて、排水後に活性汚泥槽など排水処理施設に影響を及ぼさないものとすることができる。従ってPHMBを主たる抗菌成分とした抗菌防臭処理剤を使用することによって、洗浄水タンク中で洗浄水に対して安定した腐敗防止効果が持続するとともに、安全性が高く、部材を腐蝕させず、環境負荷の低い処理剤を提供することが可能となり、循環洗浄式男性用トイレ用の抗菌防臭処理剤として最適な効果が期待できる。
【0017】
抗菌防臭処理剤中の界面活性成分は陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主成分とし、処理剤全体重量に対して1重量%〜50重量%の割合で含まれることが好ましい。界面活性成分として陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主成分とするのは、抗菌力を安定させるためである。1重量%未満では十分な抗菌効果が得られず、50重量%を越えると処理剤の粘性が高くなる不具合が生じる。好ましくは5重量%〜30重量%である。より好ましくは10重量%〜20重量%である。陽イオン系、非イオン系、両性系のものであれば本発明の抗菌防臭処理剤に問題なく使用することが可能であるが、ポリオキシアルキレンエーテル等の低起泡性のものがより好適である。具体的には、陽イオン系界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド、塩化ポリオキシプロピレン、ジエチルメチルアンモニウム及び塩化ジメチルジアリルアンモニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアマイド及びノニルフェノールエトキシレートからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が、両性系界面活性剤としては、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタインやラウリルアミノ酢酸ベタイン等の化合物が挙げられる。
【0018】
また、界面活性成分に非イオン系界面活性剤を含むとき、抗菌成分の主成分であるPHMBの重量に対して等量未満の割合で更に陰イオン系界面活性剤を含むこともできる。等量以上では、陰イオン系の界面活性剤はPHMBと反応を起こして沈殿を生じる不具合が生じる。陰イオン系界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルコールエーテルサルフェート塩等が挙げられる。陰イオン系界面活性剤を含有させるのは洗浄効果を付与するためである。
本発明の抗菌防臭処理剤は抗菌成分と界面活性成分の重量比率が1:5〜5:1の範囲となるように調製されることが好ましい。重量比率が上記範囲外では処理剤の粘性が高くなり取扱い難くなる。
【0019】
また本発明の抗菌防臭処理剤の全体重量に対して1重量%〜40重量%の割合で植物抽出液を更に含むことで処理剤に更なる消臭作用を持たせることができる。植物抽出液を5重量%〜20重量%の割合で含有することが好ましい。植物抽出液としては、クローバエキス、ユーカリエキス、イトスギエキス及び松葉エキスからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が挙げられる。なお、植物抽出液として柿エキス等の特定ポリフェノール高分子系成分が含まれる一部のものはPHMBと反応して沈殿を生じてしまうため、使用を控えることが望ましい。本発明の抗菌防臭処理剤は、洗浄水が1回循環洗浄する毎に定量ポンプを稼動させて一定量ずつ滴下混入していくことが好ましい。本発明の洗浄方法で使用する抗菌防臭処理剤の滴下混入量は、循環する洗浄水量に対して抗菌防臭処理剤を100〜5000ppmの範囲、好ましくは100〜1000ppmの範囲で滴下するのが好適である。
【0020】
循環する洗浄水に接触させて、この洗浄水に徐溶させる微生物を含む徐溶性固形消臭剤は、室温で固体のポリエチレングリコールに溶解調整剤としてステアリルアルコールを配合してなる固形組成物に、配合有効成分として、微生物バチルスサブチリス及び有機酸を配合したものが好ましい。固形組成物に、消臭や汚れの分解に寄与する微生物バチルスサブチリス及び有機酸を配合有効成分として配合することで、微生物バチルスサブチリスを有機酸を栄養源として優占的に増殖させて、抗菌防臭処理剤の抗菌防臭効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作り、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。この徐溶性固形消臭剤は、循環する洗浄水に少しずつ溶解していくため、効果が長期間持続するのが特徴である。特に微生物バチルスサブチリスは消臭や汚れの分解に寄与するだけでなく、胞子を形成することによって抗菌剤によるダメージを受け難く、特に本発明において併用するPHMBを主成分とする抗菌防臭処理剤の抗菌効果によっても死滅せず、洗浄水中でPHMBの抗菌効果が弱まってきた段階で一気に増殖して、消臭と汚れの分解に寄与することができる。抗菌防臭処理剤のみで洗浄水の腐敗を防止しようとした場合では、環境に優しい安全性の高い抗菌成分を使用すると、どうしても自然分解が進んでしまうため、抗菌成分の効力が弱ってくると腐敗菌の増殖が活発に起こってしまい、洗浄水の腐敗の進行を抑制できなくなるが、本発明の洗浄方法では抗菌防臭処理剤と、微生物バチルスサブチリスと有機酸を含む徐溶性固形消臭剤とを併用することによって、抗菌防臭処理剤の抗菌成分による効力が弱ってきても、徐溶性固形消臭剤中の微生物バチルスサブチリスが有機酸を栄養源として腐敗菌に比べて優先的に増殖するため、洗浄水の腐敗がきわめて起こり難い状況を維持することができるという画期的な手段を提供することが可能となる。
【0021】
徐溶性固形消臭剤を構成する固形組成物は、室温で固体のポリエチレングリコールに溶解調整剤としてステアリルアルコールを配合することによって、界面活性剤を使用することなく長期間に渡って洗浄水に徐々に溶けて徐溶性固形消臭剤に含有する配合有効成分を溶け出させることができる。
徐溶性固形消臭剤を構成する固形組成物の必須成分の1つであるポリエチレングリコールは、常温で固体のものが用いられる。ポリエチレングリコールは、水に良く溶け、粉末状の有効成分を混ぜて成形するための基材として適している。加熱すると液化し、他の薬剤を混ぜて冷却すると固化するという便利な成形性がある。例えば、平均分子量が約6500のポリエチレングリコールは約65℃で液化するため、微生物バチルスサブチリスを死滅させずに混合させることができる。ポリエチレングリコールの平均分子量は約6500程度が製造上及び使用上最も好ましい粘性を示す。なお、ポリエチレングリコールは薬品や化粧品に多用されている安全な物質である。
【0022】
固形組成物中に溶解調整剤として配合するステアリルアルコールは構造式が次の式(2)で表される高級アルコールの一種であり、融点が54〜61℃のロウ状固体であり、クリーム、乳液、その他多数の化粧品に使用され、ヤシ油など天然由来の物質として化粧品原料基準その他の公定書に収載されている安全で安定な物質である。
【0023】
【化2】

【0024】
本発明の徐溶性固形消臭剤では、ステアリルアルコールを固形成型物の強度を高めるとともに、水に対する溶解性を調節する作用物質として使用する。固形組成物中のステアリルアルコールの配合量は、例えば2〜40重量%、望ましくは2〜30重量%の範囲が好適である。この範囲内で配合量が少なければ固形組成物は早く水に溶け、多ければ難溶性となって長持ちするというように配合量の調節次第で固形組成物の溶け方を希望する期間に調節できる。ステアリルアルコールは、固形組成物の溶解時間の調節や延長に有用であり、基材であるポリエチレングリコールとのなじみが良く、加熱、充填、冷却固化という製造作業も極めて容易であり、同時に安価であるため、組成物の低価格化が規定できる利点を併せ持っている。
【0025】
量産されている固体の高級アルコールには、ステアリルアルコールの他に、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等がある。これらの高級アルコールをステアリルアルコールの代わりに溶解調整剤として使用した場合はステアリルアルコールを使用した場合と似たような固形組成物が得られる。しかし、水中の分散状態はかなり差が見られる。即ち、溶解調整剤としてステアリルアルコールを使用した固形組成物は、界面活性剤を使用しなくても外側から均一に白濁分散するのに比べて、上記高級アルコールを使用した固形組成物は均一に白濁分散せず、また短期間に形が崩れて、界面活性剤その他の添加剤を加えない限り、本発明の用途には適さない。このことは、ポリエチレングリコールとなじみが良いというステアリルアルコールだけが持っている特徴である。
【0026】
徐溶性固形消臭剤を構成する固形組成物の溶解調整剤として、ステアリルアルコールとともにパラオキシ安息香酸エステルを配合しても良い。ステアリルアルコールにパラオキシ安息香酸エステルを作用することで、界面活性剤を使用した場合に発生しがちな、固形組成物中の水中での膨潤は全く起きず、長期間使用中も固形組成物は割れずに、あたかも石鹸が溶けるように微粒子となって外側から均一に溶けて小さくなる効果が得られる。パラオキシ安息香酸エステルとしては、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル等が挙げられる。このうち、次の式(3)に示すパラオキシ安息香酸ブチルがべたつきが無いため特に好適である。このパラオキシ安息香酸ブチルは日本薬局方や化粧品原料基準等の公定書に収載され、保存剤として化粧品や医薬品等に広範囲に使用されている安全な物質である。なお、パラオキシ安息香酸エステルのうち、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸エチルは分離するため、本発明の徐溶性固形消臭剤に好適とは言えない。
【0027】
【化3】

【0028】
また、パラオキシ安息香酸エステルは、雑菌類に対する抗菌作用があるため、雑菌の繁殖による悪臭の発生をより効果的に抑えることが期待できる。更に、配合有効成分である微生物バチルスサブチリスと共存しても全く悪影響を与えない利点がある。例えば、パラオキシ安息香酸ブチル5〜10重量%、バチルスサブチリス製剤0.5〜1.0重量%を含む消臭剤1グラムあたりに、106個オーダーの生菌が維持されていることが確認されている。このようにパラオキシ安息香酸エステルは単に混合助剤としてだけでなく、抗菌作用を有し、かつ微生物バチルスサブチリスのような胞子形成微生物と共用でき、一層消臭効果を高めるという大きな特徴を有している。パラオキシ安息香酸エステルの固形組成物中の配合量は、安定な成型物が得られる範囲として、例えば1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲内である。固形組成物中の溶解調整剤の配合量を、ステアリルアルコールを2〜30重量%及びパラオキシ安息香酸エステルを1〜10重量%としたときに、水洗小便器用消臭剤の基材としての用途に適した物性を示す。
【0029】
徐溶性固形消臭剤を構成する有効配合成分として配合した微生物バチルスサブチリスは、土壌由来の有用微生物であり、65〜70℃という高温においても胞子を形成し、死滅することがない。従って、上記温度未満で加熱液化した状態のポリエチレングリコール基材に微生物バチルスサブチリスを混合したときにも、死滅することがないし、その後冷却固化することが可能である。また耐酸性があるため、有機酸との併用で失活することがない。また、有機物の分解作用が強いため、結果として悪臭発生源を無くす効果がある。
【0030】
一般に微生物は、安全性が高く適用範囲も広く、悪臭の消臭に対しては継続的な効果が期待できるが、ケミカル消臭成分よりも即効性が劣るため単独で製品化しても効果を確認し難いという欠点がある。そこで、本発明の徐溶性固形消臭剤ではアンモニアやアミン臭を直ちに中和し無臭化することができる即効性を有する有機酸を微生物とともに有効配合成分として配合する。更に、この有機酸は微生物バチルスサブチリスの栄養源となることも可能でその増殖に寄与するものである。有効配合成分として配合した有機酸は、固形組成物をより細かい粒子にして水中に分散させることともに、べとつき感を与えないという、水洗小便器用消臭剤の基材としての用途に最も適した物性を示すことができる。有機酸としては次の式(4)に示すフマル酸が挙げられる。
【0031】
【化4】

【0032】
フマル酸は消臭剤や食品の酸味料の用途に多用されている有機固体酸であるリンゴ酸、クエン酸その他の一種である。他の有機酸と異なり水に対する溶解度が低いために少しずつ溶解してゆくため、徐溶性固形消臭剤に配合することで、徐溶性固形消臭剤が長持ちする利点を有する。徐溶性固形消臭剤中に含まれるフマル酸の配合割合は、10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。例えば300メッシュパスのフマル酸粉末を約40重量%配合すると安定な成形物が得られる。
【0033】
本発明の徐溶性固形消臭剤は、ポリエチレングリコール、ステアリルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル並びにフマル酸の4成分が上述の範囲でともに配合されるとき、水に全く溶けないステアリルアルコールが小さな固まりとならずに細かい粒子となって最も高い分散効力が得られる。
【0034】
次に、本発明の洗浄方法に使用する循環洗浄式男性用トイレを説明する。
図1に示すように、本発明の循環洗浄式男子トイレは、小便器11と、使用者が小便をした後に小便器下部から排出される小便を貯留する汚物貯留手段12と、小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器を洗浄し、小便器下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄を行う洗浄水循環手段13と、洗浄水循環手段13により小便器に供給される洗浄水を内壁に徐溶性固形消臭剤を保持した薬剤筒に通過させて洗浄水に徐溶性固形消臭剤を徐溶させる徐溶性固形消臭剤供給手段14と、洗浄水循環手段13により小便器に供給される洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させる抗菌防臭処理剤供給手段16とを備える。
【0035】
小便器11には人の存在不存在を感知する感知センサ11aが設けられる。小便器11上部には洗浄水を流す供給管路17が、小便器11下部には小便器11より尿や洗浄水を排出する排出管路18がそれぞれ設けられる。排出管路18には排出された液を汚物貯留手段12と洗浄水循環手段13とに流れを切り替える管路切替弁19が設けられる。管路切替弁19の一方には汚物貯留手段12への汚物貯留側管路21と、この汚物貯留側管路21に接続される汚物タンク22が設けられる。また、管路切替弁19の他方には洗浄水循環手段13への洗浄水循環側管路23と、この洗浄水循環側管路23に接続される洗浄水タンク24及び洗浄水を循環させる循環ポンプ26が設けられる。徐溶性固形消臭剤供給手段14は、洗浄水循環手段13内に設けられ、洗浄水タンク24より小便器11へと循環する洗浄水が通過する位置に薬液筒が設けられ、この薬液筒内壁に徐溶性固形消臭剤が保持されて、洗浄水が薬液筒を通過することで洗浄水に徐溶性固形消臭剤が少しずつ溶解するように構成される。抗菌防臭処理剤供給手段16は、抗菌防臭処理剤を貯留する薬液タンク27と、感知センサー11aに連動して洗浄水が小便器11を洗浄する際に所定量の抗菌防臭処理剤を循環洗浄水に滴下混入する定量ポンプ28により構成される。
【0036】
このような構成を有する循環洗浄式男子トイレでは、先ず、小便器11の前に人が立つと、小便器11に設けられた感知センサ11aが人の存在を感知し、管路切替弁19が閉状態から汚物貯留手段12側へ切り替わる。次いで、小便を足した後、人が小便器11から離れると、感知センサ11aが人の不存在を感知し、前洗浄として、洗浄水循環手段13の循環ポンプ26が作動して洗浄水タンク24より約0.2L程度の少量の洗浄水が小便器11上部より流れて尿を洗い流し、小便器11下部より排出された尿を含む洗浄水は排出管路18、管路切替弁19、汚物貯留側管路21を経て汚物タンク22に貯留される。この前洗浄において使用された少量の洗浄水は汚物タンク22に貯留されるので、洗浄水タンク24に貯留されている洗浄水は漸減することになる。そのため、洗浄を終えた後は、洗浄水補給手段15により前洗浄で使用した量と同量の清浄な洗浄水が洗浄水タンク24にその都度補給される。
【0037】
次に、前洗浄を終えた後は、管路切替弁19が汚物貯留手段12側から洗浄水循環手段13側に切り替わり、続いて本洗浄として、洗浄水循環手段13の循環ポンプ26が作動して洗浄水タンク24より約3.8L程度の多量の洗浄水が小便器11上部に流れて、小便器11を洗い流し、小便器11下部より排出された洗浄水は排出管路18、管路切替弁19、洗浄水循環側管路23を経て再び洗浄水タンク24に貯留される。この本洗浄において、洗浄水タンク24に貯留された洗浄水を小便器11上部より供給する際、循環する洗浄水は徐溶性固形消臭剤供給手段14の薬液筒を通過することで薬液筒内壁に保持した微生物を含む徐溶性固形消臭剤が徐溶される。また、抗菌防臭処理剤供給手段16の定量ポンプ28が連動して稼動し、薬液タンク27に貯留された抗菌防臭処理剤が薬剤筒に流れる洗浄水に例えば約1mLの割合で滴下混入される。抗菌防臭処理剤供給手段により洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ徐溶性固形消臭剤供給手段により洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を少しずつ溶解させるので、洗浄水中の腐敗菌の増殖を抗菌防臭処理剤の効果によって抑制し、かつ微生物を優占的に増殖させて、抗菌防臭処理剤の効果が低下した場合においても腐敗菌が増殖し難い環境を作るため、悪臭の発生と浮遊物の生成に起因する小便器の汚れ付着を極めて強力に防止することができる。最後に、管路切替弁19が洗浄水循環手段13側から閉状態に切り替わる。
【0038】
なお、本実施の形態では、徐溶性固形消臭剤供給手段14の薬剤筒を介して抗菌防臭処理剤を洗浄水に滴下混入させているが、小便器11上部の配管にT字管を設置して滴下混入させるような構成としてもよい。また抗菌防臭処理剤供給手段16は、滴下混入された抗菌防臭処理剤の液量を計測する流量計29と、流量計29により計測された流量値を積算して表示する積算カウンタ31を設け、抗菌防臭処理剤の流量値を計測するようにしてもよい。
【実施例】
【0039】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例及び比較例>
所定の期間において、東日本旅客鉄道株式会社所有の新幹線車両E2系J10編成(10両編成)に既設されている図7に示す循環洗浄式男性用トイレのうち、2箇所(3号車及び9号車)に本発明の循環洗浄式男性用トイレを設置し、未設置の既設トイレ2箇所(1号車及び5号車)と臭気や汚れの発生状況を比較する試験を実施した。
(1)本発明の循環洗浄式男性用トイレの設置
J10編成の既設循環洗浄式男性用トイレ(以下、既設トイレという。)を図7に示す。図7に示すように既設トイレは、小便器11と、使用者が小便をした後に小便器下部から排出される小便を貯留する汚物貯留手段12と、小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して小便器を洗浄し、小便器下部から排出された洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄を行う洗浄水循環手段13と、清浄な洗浄水を洗浄水タンクに補給する洗浄水補給手段15とを備えている。即ち、図7に示す既設トイレは、図1に示す循環洗浄式男子トイレの徐溶性固形消臭剤供給手段14及び抗菌防臭処理剤供給手段16を有しない構成とした以外は全て同じ構成となっている。このような既設トイレのうち、3号車及び9号車の2箇所に、図1に示す本発明の循環洗浄式男性用トイレを設置した。
(2)循環洗浄式男性用トイレの作動
本発明の循環洗浄式男子トイレの作動について説明する。
【0040】
(a) 先ず、小便器の前に人が立つと、小便器に設けられた感知センサが人の存在を感知し、管路切替弁が「閉」から「汚物タンク側」へ切り替わる。
【0041】
(b) 次いで、小便を足した後、人が小便器から離れると、感知センサが人の不存在を感知し、前洗浄として0.2Lの洗浄水が小便器に流れて尿を洗い流し、小便器下部より排出された尿を含む洗浄水は汚物タンクに貯留される。
【0042】
(c) 次に、前洗浄を終えた後は、管路切替弁が「汚物タンク側」から「洗浄水タンク側」に切り替わり、続いて本洗浄として3.8Lの洗浄水が小便器に流れて、小便器を洗い流し、小便器下部より排出された洗浄水は再び洗浄水タンクに貯留される。この本洗浄において、洗浄水タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する際、循環する洗浄水は徐溶性固形消臭剤供給手段14の薬液筒を通過することで薬液筒内壁に保持した徐溶性固形消臭剤が徐溶される。また、抗菌防臭処理剤供給手段16の定量ポンプが連動して稼動し、1mLの抗菌防臭処理剤が薬剤筒に流れる洗浄水に滴下混入される。抗菌防臭処理剤供給手段16では滴下混入された抗菌防臭処理剤の量を流量計が検知し、この検知した数値は積算カウンターに積算表示される。(今回の試験では1回1mLであり、この数値がトイレの使用回数となる。)
(d) 最後に、管路切替弁が「洗浄水タンク側」から「閉」の状態に切り替わり、洗浄水補給手段15により、前洗浄で使用した量と同量の0.2Lの清浄な洗浄水が洗浄水タンクに補給される。
(3) 効果の検証方法
本発明の循環洗浄式男性用トイレの効果を検証するために、J10編成の交番検査における清掃メンテナンス前日のトイレが最も汚れた状況において、各循環洗浄式男性用トイレの臭気と汚れの状況を盛岡新幹線車両センター停泊中に調査した。そのスケジュールの一例を図2に示す。
【0043】
(3-1) 各循環洗浄式男性用トイレの臭気と汚れの状況調査
J10編成が交番検査前の最後の運行を終了して盛岡新幹線車両センターに入庫した後に各循環洗浄式男子トイレにおける臭気及び汚れの状況について調査した。検証項目としてトイレの主たる悪臭であるアンモニアの発生量、臭気強度による官能評価、循環洗浄水のpH、便器や目皿裏のフィルターの汚れの状況を確認した。具体的には、アンモニアの発生量は図3に示すように北川式ガス検知管を使用して、最も感知し易い目皿板の中心穴より測定した。また臭気の官能評価については、臭気の6段階表示法による臭気強度を尺度とした。循環洗浄水のpHは、循環洗浄水をサンプリングして、携帯用pHメーターにより測定した。便器や目皿裏のフィルターの汚れの状況についてはフィルターや便器を写真撮影して確認した。図4(a)〜図4(d)に1号車、3号車、5号車及び9号車の便器の写真図を示す。
【0044】
(3-2) 循環洗浄水中の微生物調査
調査時のJ10編成の各循環洗浄式男性用トイレにおいて循環洗浄水をサンプリングし、その生菌数について調査した。サンプリングした循環洗浄水を100倍に希釈して希釈液を調製し、この希釈液を希釈平板法により普通寒天培地に接種し、35℃で48時間培養して、それぞれ出現したコロニー数をカウントし、希釈倍率と接種量から循環洗浄水1mlあたりの生菌数を算出した。また、出現したコロニーの形態を観察し、写真撮影を行った。図5(a)〜図5(d)にサンプリングした洗浄水を培養したコロニー形態を示す写真図を示す。
(4) 調査結果
(4-1) アンモニアの発生量、臭気強度による官能評価結果
上記(3-1)における各循環洗浄式男子トイレのアンモニアの発生量及び臭気強度による官能評価を表1にそれぞれ示す。なお、比較として本発明の循環洗浄式男性用トイレを設置する前の臭気の状況を表1に併せて示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1より明らかなように、臭気の状況については、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車及び9号車が、設置前及び既設の1号車及び5号車と比較して、悪臭の発生が明らかに少なくなっていることが確認された。
【0047】
(4-2) 循環洗浄水のpH結果
上記(3-1)における各循環洗浄式男子トイレの循環洗浄水のpH値を表2にそれぞれ示す。なお、比較として本発明の循環洗浄式男性用トイレを設置する前の臭気の状況を表2に併せて示す。
【0048】
【表2】

【0049】
循環洗浄水はトイレ稼働前に洗浄水タンクに貯留する段階ではpH6〜7程度であるが、循環洗浄を繰返すことによって尿成分が混入されてくるとそれが腐敗菌によって分解され、腐敗が進行するとともにpHの上昇が起こり、pH8以上になるとアンモニアの発生が観察されるようになる。表2より明らかなように、本発明の循環洗浄式男子トイレの設置前及び未設置の1号車及び5号車においてはいずれもpH8以上になっているのに対し、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車及び9号車ではpHはいずれも8以下に抑制されているのが確認された。この結果は表1の臭気の状況と一致していることから、本システムの設置によって循環洗浄水の腐敗の進行を抑制し、アンモニアなど悪臭の発生を防止していることが実証された。
【0050】
(4-3) 汚れの状況
調査を行ったJ10編成の各循環洗浄式男性用トイレについて、目皿裏のフィルターの汚れの状況を目視により確認し、便器の汚れの状況を写真撮影した。目皿裏のフィルターの汚れの状況を確認したところ、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置しなかった1号車及び5号車については、フィルター全体が汚れで茶色くなる傾向が見られたのに対して、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車及び9号車ではこの汚れの傾向がほとんど見られず、きれいな状態が保たれていた。
【0051】
また、図4(a)〜図4(d)より明らかなように、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置しなかった1号車及び5号車については、排水口周辺に汚れの付着が目立って見られたが、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車及び9号車では汚れはほとんど目立たなかった。以上のことから、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置することによって、フィルターや便器に汚れが付着する現象の防止に効果的であることが実証された。
(5) 循環洗浄水中の微生物調査
(5-1) 生菌数の調査
J10編成の各循環洗浄式男性用トイレにおいて採取した循環洗浄水中に含まれる生菌数について、各号車ごとに経時的に調査した。その結果を表3に示す。なお、比較として本発明の循環洗浄式男性用トイレを設置する前の生菌数を表3に併せて示す。
【0052】
【表3】

【0053】
表3より明らかなように、いずれのトイレにおいても生菌数は循環洗浄水1mlあたり105〜107個のレベルで認められた。本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車及び9号車と設置しなかった1号車及び5号車において、生菌数には明確な差が観察されなかった。
【0054】
(5-2) コロニー形態の観察
循環洗浄水中の生菌数測定のために培養したプレートについて、出現したコロニーの形態を観察したところ、図5(a)〜図5(d)より明らかなように、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置しなかった1号車及び5号車において大きなコロニーを形成する細菌が複数種類見られるのに対して、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車及び9号車では単一種の細菌の小さなコロニーのみが観察された。本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した箇所としなかった箇所で、生育している細菌の種類が異なっていることが判明した。
【0055】
(5-3) 洗浄水採取菌による尿腐敗試験
上記(5-2)の結果から、本発明の循環洗浄式男子トイレの設置の有無によって、循環洗浄水中に生育する細菌の種類が異なることが観察されたため、これらの細菌について循環洗浄水タンク内での尿成分を含んだ循環洗浄水に対する作用に、違いが見られる可能性が示唆された。そこで本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した3号車から採取されたコロニーと、設置しなかった1号車から採取されたコロニーを尿成分を含む基礎培地に接種してみて、作用に違いが認められるかを以下に示す試験を行った。
【0056】
先ず、300ml容三角フラスコに尿50ml、イオン交換水50mlを入れて、基礎培地とした。この基礎培地に以下の通り、1号車(既設トイレ)から採取した複数種コロニー並びに3号車(本発明)から採取した単一種コロニーの菌を接種した。 また、無接種の基礎培地をブランクとして用意した。これらの培地を37℃の一定温度で振盪して菌を培養した。培養0〜12時間までは一時間毎に、培養12〜18時間までは3時間毎に培地のpHを測定した。また培養8時間、培養12時間及び培養18時間後に北川式ガス検知管を使用して培地より発生するアンモニア発生量を測定した。図6に測定したpH値とアンモニア測定値をそれぞれ示す。
【0057】
図6より明らかなように、1号車から採取された複数種のコロニーを接種した培地では、培養4時間後からpHの上昇が認められ、その後急速な上昇が観察された。アンモニア発生量は培養12時間後には24ppm、培養18時間後には120ppmもの高濃度で検知され、明らかに基礎培地において腐敗が進行している現象が観察された。一方、3号車から採取した単一種のコロニーを接種した培地では、無接種のブランク培地と同様に、pHの上昇及びアンモニアの発生はほとんど観察されなかった。この試験結果より、1号車から採取された複数種の細菌は明らかに尿の腐敗を進行させる腐敗菌であるのに対し、3号車から採取された単一種の細菌は尿の腐敗にはまったく関与しないことが示され、コロニーの形態から本発明の循環洗浄式男子トイレに使用している徐溶性固形消臭剤中に含まれる微生物バチルスサブチリスであることが確認された。以上のことから本発明の循環洗浄式男子トイレが設置されていない既設循環洗浄式男性用トイレにおける循環洗浄水中には腐敗菌が含まれており、それらが循環洗浄水を腐敗させて悪臭や汚れ発生の原因となっているのに対し、本発明の循環洗浄式男子トイレを設置した場合には循環洗浄水中に腐敗菌は含まれず、消臭や汚れの分解に寄与する微生物バチルスサブチリスが増殖して、循環洗浄水を腐敗させない状況を作り出していることが実証された。即ち本発明の循環洗浄式男性用トイレは、抗菌防臭処理剤によって循環洗浄水中の腐敗菌の増殖を抑制するとともに、徐溶性固形消臭剤中に含まれている微生物バチルスサブチリスが優占的に増殖して、循環洗浄水が腐敗しない状況を維持しながら、さらに悪臭と汚れの発生防止に大きく貢献することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の循環洗浄式男性用トイレを示す概略図。
【図2】本発明の循環洗浄式男性用トイレにおける検証スケジュールを示す図。
【図3】北川式ガス検知管を使用したアンモニアの発生量の測定を示す写真図。
【図4】1号車、3号車、5号車及び9号車における便器の汚れの状況を示す写真図。
【図5】1号車、3号車、5号車及び9号車から採取した循環洗浄水の生菌を培養したプレートを示す写真図。
【図6】1号車及び3号車から採取した循環洗浄水の生菌を培養した菌における尿腐敗試験を示す図。
【図7】既設の循環洗浄式男性用トイレを示す概略図。
【符号の説明】
【0059】
10 循環洗浄式男子トイレ
11 小便器
12 汚物貯留手段
13 洗浄水循環手段
14 徐溶性固形消臭剤供給手段
15 洗浄水補給手段
16 抗菌防臭処理剤供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が小便をした後に小便器下部から排出される小便を汚物タンクに貯留した後に、
前記小便器上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して前記小便器を洗浄し、前記小便器下部から排出された前記洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に前記洗浄水を所定期間循環させながら小便器の洗浄に使用する循環洗浄式男性用小便器の防臭防汚洗浄方法において、
前記洗浄タンクに貯留された洗浄水を小便器上部より供給する前に、
前記洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させ、かつ前記洗浄水に微生物を含む徐溶性固形消臭剤を接触させて、前記洗浄水に徐溶させる
ことを特徴とする循環洗浄式男性用トイレの防臭防汚洗浄方法。
【請求項2】
抗菌防臭処理剤がビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなり、
前記抗菌成分がポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を主成分として含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
徐溶性固形消臭剤が室温で固体のポリエチレングリコールに溶解調整剤としてステアリルアルコールを配合してなる固形組成物に、配合有効成分として、微生物バチルスサブチリス及び有機酸を配合した請求項1記載の方法。
【請求項4】
小便器(11)と、
使用者が小便をした後に前記小便器(11)下部から排出される小便を貯留する汚物貯留手段(12)と、
前記小便器(11)上部から洗浄水タンクに貯留された洗浄水を所定量流して前記小便器(11)を洗浄し、前記小便器(11)下部から排出された前記洗浄を終えた洗浄水を回収して再び洗浄水タンクに貯留して、使用者が小便をする度に前記洗浄水を所定期間循環させながら小便器(11)の洗浄を行う洗浄水循環手段(13)と、
前記洗浄水循環手段(13)により小便器(11)に供給される洗浄水を内壁に徐溶性固形消臭剤を保持した薬剤筒に通過させて前記洗浄水に徐溶性固形消臭剤を徐溶させる徐溶性固形消臭剤供給手段(14)と、
前記洗浄水循環手段(13)により小便器(11)に供給される洗浄水に抗菌防臭処理剤を所定の割合で滴下混入させる抗菌防臭処理剤供給手段(16)と、
清浄な洗浄水を洗浄水タンクに補給する洗浄水補給手段(15)と
を備えた循環洗浄式男性用トイレ。
【請求項5】
抗菌防臭処理剤がビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなり、
前記抗菌成分がポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を主成分として含む請求項4記載のトイレ。
【請求項6】
徐溶性固形消臭剤が常温で固体のポリエチレングリコールに溶解調整剤としてステアリルアルコールを配合してなる固形組成物に、配合有効成分として、微生物バチルスサブチリス及び有機酸を配合した請求項4記載のトイレ。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−146516(P2007−146516A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343231(P2005−343231)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(599127737)株式会社ワールドバイオ (2)
【Fターム(参考)】