説明

微多孔膜の製造方法および微多孔膜の製造装置

本発明は、ポリオレフィン溶液を押出ダイを通して押し出すことにより形成した押出物から熱を逃がすためのアセンブリに関する。当該アセンブリは、押出物の相反する表面を受け取る位置に配置された少なくとも1対の上流ロール、および少なくとも1つの下流ロールを含み、当該上流ロールの対および当該下流ロールは、当該下流ロールが当該上流ロールの対から押出物を受け取ることができるよう整列される。微多孔膜を製造するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通常、微多孔膜、例えば電池セパレータとして有用なものなど、を製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微多孔膜、特に微多孔性高分子膜は、一次電池、および、例えばリチウムイオン二次電池、リチウム−ポリマー二次電池、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−亜鉛二次電池、銀−亜鉛二次電池等の二次電池のセパレータとして有用である。微多孔膜を、電池セパレータとして、特に、リチウムイオン電池セパレータとして用いる場合には、例えば平坦性および厚さの均一性などの膜の特性が、電池の性質、生産性および安全性に著しく影響する。通常、よくバランスのとれた特性を有する微多孔膜を提供することを目的とし、ここで、「よくバランスのとれた」という語は、ある膜特性を最適化することによって別の膜特性が著しく低下するということにはならない、ということを意味する。
【0003】
微多孔性高分子膜は湿式法に従って製造することができ、ここで、少なくとも1種類のポリマー(例えば1種類以上のポリオレフィンなど)および少なくとも1種類の希釈剤(または溶媒)を混合してポリマー溶液を形成し、次いでこれを押し出して押出物を形成する。次いで、この押出物を、少なくとも1つの平面方向に延伸する。延伸した後に、延伸した押出物から希釈剤の少なくとも一部を除去して膜を形成する。希釈剤除去工程の下流で、さらなる工程、例えば膜乾燥、さらなる延伸、熱処理等、を用いてもよい。従来の湿式法を開示している参考文献の例として、
【特許文献1】米国特許第5,051,183号、
【特許文献2】米国特許第6,096,213号
【特許文献3】、国際公開第2008/016174号、
【特許文献4】国際公開第2005/113657号が挙げられる。
【0004】
米国特許第5,830,554号[特許文献5]では、延伸の前に押出物を冷却することが開示されている。この参考文献では、冷却速度を制御して膜の細孔の直径を調節することが望ましいが、毎分50℃未満の速度で冷却することにより、厚さの均一性が損なわれる、すなわち押出物が粗くなる、と言われている、とのことが開示されている。
【0005】
米国特許第4,734,196号[特許文献6]では、比較的均一な微多孔フィルムを、5×10よりも大きい重量平均分子量を有する超高分子量アルファ−オレフィンポリマーから製造するための方法が開示されている。5×10よりも大きい重量平均分子量を有するアルファ−オレフィンポリマーの溶液からゲル状物を形成し、そのゲル状物が10〜90重量%のアルファ−オレフィンポリマーを含有するようにするために、ゲル状物に含有される溶媒の少なくとも10重量%を除去し、このゲル状物を、アルファ−オレフィンポリマーの融点より10℃高い温度よりも低い温度で配向させ、配向した生成物から残りの溶媒を除去することにより、微多孔膜を得る。この配向した生成物をアルファ−オレフィンポリマーの融点の温度よりも低い温度でプレスすることにより、この配向した生成物からフィルムを作成し、比較的均一な生成物を得る。
【0006】
米国特許公開第2007/0012617号[特許文献7]では、微多孔性の熱可塑性樹脂膜を製造するための方法が提案されており、この方法は、熱可塑性樹脂と膜形成溶媒とを溶融ブレンドすることによって得た溶液を、ダイを通して押し出す工程、押出物を冷却してゲル状成形物を形成する工程、このゲル状成形物から、洗浄溶媒により膜形成溶媒を除去する工程、および、次いでその洗浄溶媒を除去する工程を含む。この溶融したポリマーを、第一マニホールドの末端の第一注入口および第一注入口の反対側にある第二マニホールドの末端の第二注入口に供給する。ダイの内部で細い2つの流れが一緒に流れる。マニホールドの内部に溶融物のフロー分岐がないことにより、ダイ内での均一なフロー分布を達成することが可能であり得ることが理論化されている。これによりフィルムまたはシートの横方向への厚さの均一性の改善がもたらされると言われている。
【0007】
比較的均一な微多孔膜の製造において改良がなされてきたが、さらなる改良が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態では、本発明は、ポリマーと希釈剤とを含む溶融した押出物から熱を逃がすための微多孔膜の製造装置に関し、ここで、前記アセンブリは、以下を含む:
a) 押出物の相反する表面を受け取る位置に配置される第一および第二ロールであって、前記第一ロールは第一接触角≦100°で円弧状経路に沿って押出物に接触し、かつ、前記第二ロールが第二接触角≦100°で円弧状経路に沿って押出物に接触する、第一および第二ロール、
b) 第一および第二ロールの下流の第三ロールであって、前記第一、第二、および第三ロールは前記第三ロールが第一および第二ロールの少なくとも1つから押出物を受け取ることができるよう配され、また、前記第三ロールが第三接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触して冷却押出物を形成する、第三ロール、である。特定の実施形態では、第三ロールは、180°以上の円弧状経路に沿って押出物に接触する。他の実施形態では、第三ロールは、90°〜180°、好ましくは100°〜150°、より好ましくは110°〜130°、の第三接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する。
【0009】
これらのロールは押出物から熱を逃がすよう作用するため、特に、これらのロールが冷却手段を含む場合には、「冷却ロール」と称されることがある。
【0010】
別の局面では、本発明は、以下を含む、微多孔膜を製造するための方法に関する:
a) ポリオレフィンと希釈剤とを混合すること;
b) この混合したポリオレフィンおよび希釈剤を、押出ダイを通して押し出して押出物を形成すること;
c) i)押出物の相反する表面を受け取る位置に配置された第一および第二ロールであって、当該第一ロールは第一接触角≦100°で円弧状経路に沿って押出物に接触し、かつ、当該第二ロールは第二接触角≦100°で円弧状経路に沿って押出物に接触する、第一および第二ロール、ii)第一および第二ロールの下流の第三ロールであって、当該第一、第二、および第三ロールは当該第三ロールが第一および第二ロールの少なくとも1つから押出物を受け取ることができるよう整列されており、また、当該第三ロールが≧180°の第三接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触して冷却押出物を形成する、第三ロール、を含む複数のロールに通して押出物から熱を逃がして冷却押出物を形成すること;ならびに
d) 溶媒または希釈剤の少なくとも一部をこの冷却押出物から除去して膜を形成すること。
【0011】
本開示方法およびシステムのこれらのおよび他の利点、特徴および特性ならびにそれらの有利な適用および/または使用は、以下に続く詳細な説明から、特に本明細書に添付した図面と併せて読めば、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下に続く説明において、図面を参照して本開示をさらに説明する。この図面は、実施例を限定せずに種々の形態を説明するものであり、以下の通りである:
【0013】
【図1】本明細書に添付した通り、熱可塑性材料の延伸フィルムまたはシートを製造するためのシステムの一形態の概略図である。
【0014】
【図2】本明細書に添付した通り、押出ダイを通してポリオレフィン溶液が押し出されることによって形成される押出物から熱を逃がすための冷却ロールアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「湿式法」によって微多孔性ポリオレフィン膜を製造すると、冷却動作に、特に冷却ロール装置の設計に関連して、問題が生じ得るということが観察されている。反対面の冷却が達成される前に、過剰な量の押出物の冷却が押出物の1つの表面において生じる場合には、押出物の厚さの均一性の低下が生じ得る。
【0016】
この問題は、100°以下の、例えば55°〜75°の範囲の、接触角で円弧状経路に沿って、押出ダイから押出物の相反する表面に接触し、かつその表面を受け取るための1対以上の上流冷却ロール、および、上流ロールから押出物を受け取る位置に配置された少なくとも1つの下流ロールであって、100°よりも大きい、または180°よりも大きい、例えば、190°〜220°の範囲の、接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する下流ロール、を用いることによって少なくとも部分的に克服可能である、ということが分かっている。押出物の厚さの均一性を増加させることによって、工程通過性および収率が改善する。これは、例えば、フィルムの比較的薄い領域がより少なくなるためであり、そうでない場合には下流の延伸動作の際に破断するリスクが生じるであろう。さらに、押出物の厚さの均一性がより良好になることにより、完成した膜の厚さの均一性は改善し、これにより、膜の異常に厚いまたは薄い領域を除去するために、機械方向に沿って膜をスリッティングする必要性が減少する。
【0017】
以下、説明する目的で選ばれた特定の形態を参照し、様々な局面を説明する。本明細書において開示される方法およびアセンブリの精神および範囲は当該選択された形態に限定されない、と理解されるものとする。さらに、本明細書において提示される図が、いかなる特定の比率または大きさにも描かれたものではないこと、および、説明される形態に対する多くの変形が可能であることに注意するべきである。以下、図を参照するが、終始一貫して、同様の数字は同様の部分を指定するために使用されるものとする。
【0018】
量、濃度、または他の値もしくはパラメータが上限値および下限値のリストとして与えられている場合には、これは、複数の範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、ある上限値およびある下限値の任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきものである。
【0019】
以下、図1および2を参照するが、終始一貫して、同様の数字は同様の部分を指定するために使用されるものとする。
【0020】
図1は、熱可塑性材料の微多孔膜を製造するためのシステム10を示すものである。システム10は押出機12を含み、押出機12は、ライン14によって供給される1種類以上のポリマー材料または処理添加剤等を受け取るための供給ホッパー15を有する。押出機12は、例えばパラフィン油などの希釈剤も、溶媒供給ライン16を介して受け取る。ポリマーと希釈剤との混合物は、押出機12内で、加熱しながら、かつ、混ぜ合わせながら、ポリマーと希釈剤とを混合することによって調製する。
【0021】
次いで、この加熱混合物を、押出機12のダイ20から押し出してシート18にする。この押し出されたシート18を、押出物から熱を逃がすためのアセンブリ100により、押し出されたシート18がゲル化するようゲル化温度よりも低い温度まで冷却する。
【0022】
図1において概略的に示されている一形態では、押出物から熱を逃がすためのアセンブリ100は、押出物18を受け取る位置に配置された少なくとも1対の上流ロール102を含む。所望により、当該少なくとも1対の上流ロール102のうちのそれぞれは、約200mm未満の、例えば50mm〜150mmの範囲の、直径を有してもよい。示されているように、少なくとも1対の上流ロール102は、第一ロール104および第二ロール106を含む。また、アセンブリ100は、少なくとも1つの下流ロール114をも含む。理解されるであろう通り、当該少なくとも1対の上流ロール102および当該少なくとも1つの下流(または「第三」)ロール114は、当該少なくとも1つの下流ロール114が当該少なくとも1対の上流ロール102から押出物18を受け取ることができるよう整列される。一形態では、当該少なくとも1つの下流ロール114は、約250mm以上の、例えば275mm〜400mmの範囲の、直径を有する。別の形態では、当該少なくとも1対の上流ロール102のうちのそれぞれは、約150mm以下または約100mm以下の直径を有する。
【0023】
所望により、図1において概略的に示されているように、アセンブリ100は、また、上流ロールの第二対108を含んでもよい。示されているように、当該上流ロールの第二対108は、第一ロール110および第二ロール112を含む。当該上流ロールの第二対108は、当該少なくとも1対の上流ロール102の下流および当該下流ロール114の上流の位置に配置されてもよい。一形態では、当該上流ロールの第二対108のうちのそれぞれは、約200mm未満の、例えば50mm〜150mmの範囲の、直径を有する。別の形態では、当該上流ロールの第二対108のうちのそれぞれは、約100mm以下の直径を有する。必須ではないが、当該上流ロールの第一対のうちの2つのロールは等しい直径を有してもよい。同様に、当該上流ロールの第二対のうちの2つのロールも等しい直径を有してもよく、当該直径は、最適には、当該上流ロールの第一対について選択された直径と同一である。一形態では、当該上流ロールの第一対および第二対を構成するロールは、すべて、同一の直径を有し、かつ、等しい接触角で複数の円弧状経路に沿って押出物に接触する。
【0024】
所望する場合には、冷却押出物18’を第一配向装置24へと導いてもよく、この装置は、示されているようなロール型延伸機であってもよい。冷却押出物18’を、加熱しながら、ロール型延伸機24を使用することにより、または、所望により、テンター型延伸機(不掲載)を使用することにより、機械方向(MD)に配向させる。次いでこの冷却押出物18’を、少なくとも横方向(TD)に配向させるために、所望により第二配向装置26に通過させて配向フィルムまたはシート18’’を得てもよい。第二配向装置26は、テンター型延伸機であってもよく、また、MDにさらに延伸するために利用してもよい。
【0025】
次に、当該冷却押出物(または所望により配向フィルムもしくはシート18’’)を溶媒抽出装置28に通過させる。溶媒抽出装置28では、例えば塩化メチレンなどの容易に揮発する溶媒がライン30を介して供給される。この揮発性溶媒は押出物に接触して押出物から希釈剤の少なくとも一部を除去する。抽出される希釈剤(通常は不揮発性溶媒)を含有する揮発性溶媒を、溶媒流出ライン32から回収する。次に、この配向フィルムまたはシート18’’を乾燥装置34に通過させる。乾燥装置34では、残留する任意の揮発性種の少なくとも一部(例えば揮発性溶媒36)が配向フィルムまたはシート18’’から蒸発する。
【0026】
次に、所望により、この配向フィルムまたはシート18’’を乾燥配向装置38に通過させる。この装置では、乾燥させた膜を、少なくとも1方向に、約1.1〜約2.5倍の倍率に延伸して、延伸膜を形成する。次に、この配向フィルムまたはシート18’’を加熱処理装置44に通過させる。この装置では、フィルムまたはシート18’’中の空孔率を調整するためおよび当該フィルムまたはシート18’’中の残留応力を除去するために、配向フィルムまたはシート18’’を熱処理し、その後、配向フィルムまたはシート18’’を巻き上げて製品ロール48を形成する。
【0027】
ここで図2を参照すると、ポリオレフィン溶液を、押出ダイ20を通して押し出すことによって形成した押出物18から熱を逃がすためのアセンブリ200の別の形態が示されている。アセンブリ200は、少なくとも1つの支持枠220、および、押出物18を受け取る位置に配置された少なくとも1対の上流ロール202を含む。少なくとも1対の上流ロール202のうちのそれぞれは、通常、約150mm以下の直径を有する。示されているように、当該少なくとも1対の上流ロール202は、当該少なくとも1つの支持枠220上に搭載された第一ロール204および第二ロール206を含み、また、押出物18に接触し押出物18を受け取る位置に配置される。別の形態では、当該少なくとも1対の上流ロール102のうちのそれぞれは、約125mm以下の直径または約100mm以下の直径を有する。
【0028】
所望により、図2において概略的に示されているように、アセンブリ200は、また、上流ロールの第二対208を含んでもよい。示されているように、当該上流ロールの第二対208は、第一ロール210および第二ロール212を含む。当該上流ロールの第二対208は、当該少なくとも1対の上流ロール202の下流および当該下流ロール214の上流の位置に配置されてもよい。一形態では、当該上流ロールの第二対208のうちのそれぞれは、約250mm未満の直径を有する。
【0029】
アセンブリ200は、当該少なくとも1つの支持枠220上に搭載された少なくとも1つの下流ロール214も含む。当該少なくとも1対の上流ロール202および当該少なくとも1つの下流ロール214は、当該少なくとも1つの下流ロール214が、当該少なくとも1対の上流ロール202から押出物18を受け取ることができるよう配置される。一形態では、当該少なくとも1つの下流ロール214は、約250mm以上の直径を有する。示されているように、アセンブリ200は、当該少なくとも1つの支持枠220上に搭載され、かつ、押出物18に接触し当該少なくとも1つの下流ロール214から押出物18を受け取るための位置に配置された、第二下流ロール222をも含んでもよい。また、所望により選択される追加の下流ロール224および226を備えていてもよい。一形態では、当該第二下流ロール214は、約300mm以上の直径を有する。その他の冷却ロールは所望により選択されるものであるが、図中に図示したように含めることもできる。
【0030】
さらに図2を参照すると、冷却ロールアセンブリ200は、支持枠220上に搭載された1つ以上の駆動モーター230をさらに含み、少なくとも一対の上流ロール202、および、備えられている場合には第二の一対の上流ロール208、と連動する。当該少なくとも1つの下流ロール214、および、備えられている場合には当該第二下流ロール222、を例えばギアボックス234などを使用することにより回転させるために、1つ以上の駆動モーター232を備えていてもよい。備えられている場合には、当該追加の下流ロール224および226を例えばチェーン駆動装置238またはギアボックス(不掲載)などを使用することにより回転させるために、1つ以上の駆動モーター236を備えていてもよい。当該駆動装置は、アセンブリ200を介して、当該少なくとも1対の上流ロール202および当該少なくとも1つの下流ロール214と接触した状態で押出物18を移動させる。示されているように、駆動機関は、当業者がすぐ理解するであろう通り、チェーンおよびスプロケット装置を介して複数のギア218を駆動する複数のモーター216を含んでもよい。一形態では、当該少なくとも1つの下流ロール214のみを駆動して回転させる。別の形態では、さらなるロールを駆動してもよい。これらのロールは、例えば適切な連鎖を用いた単一の駆動装置によって駆動することができ、あるいは第二、第三、第四等の駆動装置を用いることもできる。2つ以上のロールが別々の駆動装置を有する場合には、それら駆動装置は、通常は同期して、押出物が破断するリスクを減少させる。
【0031】
押出物18の温度の制御を(例えば押出物を冷却することにより)援助するために、アセンブリ200には、押出物18を冷却するための、当該少なくとも1対の上流ロール202および当該少なくとも1つの下流ロール214と連動する冷却機関をさらに含めることができる。この冷却機関は、1つ以上の冷却回路(不掲載)を介して冷却剤を循環させるための複数のポンプ(不掲載)を含んでもよく、その冷却回路は、当該少なくとも1対の上流ロール202および当該少なくとも1つの下流ロール214と流体連通し、そのそれぞれが、冷却剤を循環させるための内部流路を有し、押出物18から熱を逃がす。一形態では、当該上流および下流ロールは連動した冷却機関を有する。別の形態では、当該少なくとも1対の上流ロール202または当該少なくとも1つの下流ロール214は冷却機関を含むことができる。必要ではないが、当該第二下流ロール222には冷却機関を含めることができ、また、当該第二下流ロール222を駆動機関によって駆動して回転させることができる。
【0032】
理解されるであろう通り、動作中、押出物18は、当該少なくとも1対の上流ロール202および当該少なくとも1つの下流ロール214の周囲の円弧状経路、ならびに当該少なくとも1対の上流ロール202と、当該少なくとも1つの下流ロール214との間の直線状経路を移動する。一形態では、当該上流ロールの対は、50mm〜150mmまたは75mm〜125mmの範囲の、等しい直径を有し、かつ、当該下流ロールは、275mm〜400mmの範囲の直径を有する。この形態では、押出物の反対側表面は、55°〜75°の範囲の接触角で複数の等しい円弧状経路(押出物が最初にロールに接触する点から、押出物がロールを出る点までの、ロールの外周に沿って測定される)に沿ってこれら上流ロールに接触し、また、押出物の少なくとも1つの表面は、120°〜250°の範囲、例えば190°〜220°の範囲の接触角で円弧状経路に沿って当該下流ロールに接触する。別の形態では、押出物の反対側表面は、60°〜70°の範囲の接触角で複数の等しい円弧状経路に沿ってこれら上流ロールに接触し、また、押出物の少なくとも1つの表面は、195°〜205°の範囲の接触角で円弧状経路に沿って当該下流ロールに接触する。
【0033】
これらの経路は図2中に見ることができ、そこでは押出物18は実線で示されている。従来通り、当該少なくとも1対の上流ロール202を、互いに密接に近接した位置に配置することができ、それにより、それらの間にニップが規定される。通常、ニップロールを使用して摩擦を減少させてロール表面を覆う当該シートのずれまたは動きを防止することができる。この形態では、第一上流ロール204と第二上流ロール206との間に間隙を定めるが、この間隙はシートの厚さに等しいか、またはそれ以下である。当該装置200を介してのシートの運搬が可能な比較的大きな摩擦力を生じさせるために、当該少なくとも1つの下流ロール214は、比較的粗い表面を有した状態で備えられていてもよい。したがって、1つ以上のニップロールを使用することが、所望により選択される。一形態では、第一上流ロール204と第二上流ロール206との間の間隙は、1.05倍以上、または2〜200倍、または4〜100倍、のシート厚よりも大きい。
【0034】
上記で示したように、また、図2に示すように、直列に配置された複数のロールを用いる。より従来型の一段階の動作に比べると、この多段階動作には、押出物を当該ロールの表面全体に密着した状態に保持すると同時に押出物の両面を均一に冷却できるという利点がある。これは、より低い張力を用いることができ、それによって押出物の歪みおよび反りが最小化し得るという事実にも関わらず、結果的に押出物および完成した膜の厚さの均一性が改善する。
【0035】
動作中、上流冷却ロールを用いて、冷却固化処理のうちのすべてではないが相当な量の冷却固化処理を行う。通常、押出ダイの下流端における(通常、ダイの口における、またはダイの口の近くでの)押出物の温度「T」から、押出物がそのゲル化温度(すなわち、押出物シートがゲル化し始める温度)「T」以下に達するまで、押出物を冷却することが望ましい。一形態では、上流ロール上の押出物の表面における平均温度Tは、Tであるか、またはそれより低い(冷たい)。
【0036】
当該ロールアセンブリは、3つのロール、例えば1対の上流ロールおよび1つの下流ロール、を有する。ダイの口から導出された押出物は、200℃〜235℃の範囲の表面温度Tを有する。当該上流ロールから導出された押出物は、Tよりも低い表面温度Tを有し、ここで、Tは、25℃〜120℃、例えば、65℃〜115℃、の範囲である。当該下流ロールから導出された押出物は、Tよりも低い表面温度Tを有し、ここで、Tは、20℃〜100℃の範囲である。この温度降下(T−T)は、パラメータΔT1−3で表すことができる。一形態では、TはKΔT1−3に等しく、ここで、Kは、40%〜95%、または45%〜85%、または50%〜75%、の範囲の乗法定数(multiplicative constant)である。通常、当該上流ロールの対から導出された押出物の平均表面温度は、Tであるか、またはそれより低い(冷たい)。ここで、Tはポリエチレンの結晶化温度である。
【0037】
いかなる理論またはモデルにも拘束されるものではないが、押出物から相当な量(50%以上)の熱を逃がすための少なくとも1対の上流冷却ロールを用いることにより、適度に均一な表面が生じる、と考えられる。さらに、押出物から相対的により少ない量の熱(通常、逃がす熱の50%未満)を逃がすために下流ロールを用いることにより、空気の閉じ込めおよび溶媒の滲み出しの量が減少し、適切な摩擦が生じて押出物を移動させ、それにより、押出物の厚さの均一性がより良好になり、それによって、膜の厚さの均一性がより良好になる。
【0038】
本明細書において開示されるフィルムおよびシートは、例えばリチウムイオン一次電池およびリチウムイオン二次電池においてなどの、電池セパレータの臨界領域(critical field)において特に有用である。このような電池は、例えば電気自動車およびハイブリッド電気自動車用などの電源として有用である。本明細書において開示されるフィルムおよびシートは、改善された表面の滑らかさおよび厚さの均一性を含む、重要な性質の、良好なバランスを提供する。
【0039】
上述した冷却ロールアセンブリの焦点は単層のフィルムおよびシートの製造に関するものに合わせられていたが、当業者がすぐ理解し得る通り、多層の、共押出フィルムおよびシートまたは積層フィルムおよびシートを提供することは本開示の範囲内のものである。
【0040】
以下、上述のフィルムおよびシートの製造において有用である代表的な出発物質を説明する。当業者が理解するであろう通り、出発物質の選択は重要なことではない。一形態では、出発物質はポリエチレンを含有する。別の形態では、出発物質は、約1×10未満のMw値を有する第一ポリエチレン(「PE−1」)または少なくとも約1×10のMw値を有する第二ポリエチレン(「PE−2」)を含有する。一形態では、出発物質は、第一ポリプロピレン(「PP−1」)を含有することができる。一形態では、出発物質は、(i)PE−1(PE)、(ii)PE−2、(iii)PE−1およびPP−1、(iv)PE−1、PE−2およびPP−1、または(v)PE−1およびPE−2、のうちの1つ以上を含む。
【0041】
一形態では、PE−2は、約1×10〜約15×10または約1×10〜約5×10または約1×10〜約3×10の範囲のMwを有してもよい。PE−2をPE−1と混合する場合には、PE−2の量は、下記で定義するようなハイブリッド構造を有するフィルムまたはシートを得るために、PE−1とPE−2との総量を基準に、約0重量%〜約40重量%、または約1重量%〜約30重量%、または約1重量%〜20重量%、の範囲であってもよい。PE−2は、ホモポリマーまたはコポリマーのうちの少なくとも1つであってもよい。上記(iii)および(iv)の一形態では、PP−1は、ホモポリマーまたはコポリマーのうちの少なくとも1つであってよく、または、微多孔フィルムまたはシート材料の総量を基準に、約50重量%以下含有してもよい。一形態では、微多孔フィルムまたはシート材料中のポリオレフィンのMwは、下記で定義するハイブリッド構造を有する微多孔フィルムまたはシートを得るために、約1.5×10以下であってもよく、または、約1.0×10〜約2.0×10または約2.0×10〜約1.5×10の範囲であってもよい。一形態では、PE−1は、約1×10〜約9×10、または約2×10〜約8×10の範囲のMwを有してもよく、また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐鎖低密度ポリエチレン、または直鎖低密度ポリエチレンのうちの1つ以上であってもよく、また、ホモポリマーまたはコポリマーのうちの少なくとも1つであってもよい。PE−2は、1×10〜2.5×10、または1.5×10〜2×10、の範囲のMwを有する超高分子量ポリエチレンであってもよい。
【0042】
一形態では、PP−1は、例えば、(i)プロピレンホモポリマーまたは(ii)プロピレンと第五オレフィンとのコポリマー、のうちの1つ以上であってもよい。コポリマーは、ランダムポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。第五オレフィンは、例えば、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、およびスチレン、等のα−オレフィン;ならびに、例えばブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、等のジオレフィン、のうちの1つ以上であってもよい。コポリマー中の第五オレフィンの量は、例えば耐熱性、耐圧縮性、耐熱収縮性、等の、微多孔膜の性質に悪い影響を与えない範囲内であってもよい。例えば、第五オレフィンの量は、コポリマー全体の100mol%を基準に、10mol%未満であってもよい。所望により、ポリプロピレンは、次の性質のうちの1つ以上を有する:(i)ポリプロピレンは、約1×10〜約4×10、または約3×10〜約3×10、または約6×10〜約1.5×10の範囲のMwを有し、(ii)ポリプロピレンは、約1.01〜約100、または約1.1〜約50、または約3〜約30の範囲のMw/Mnを有し、;(iii)ポリプロピレンの立体規則性はアイソタクチックであってもよく、;(iv)ポリプロピレンは、少なくとも約90ジュール/グラムまたは約100J/g〜120J/gの融解熱を有してもよく;(v)ポリプロピレンは、少なくとも約160℃の融解ピーク(第二融解)を有してもよく、(vi)ポリプロピレンは、約230℃の温度および25秒−1の歪み速度(strain rate)で測定した場合に、少なくとも約15のトルートン比を有してもよく;ならびに/または、(vii)ポリプロピレンは、230℃の温度および25秒−1の歪み速度で、少なくとも約50,000Pa秒の伸長粘度(elongational viscosity)を有してもよい。所望により、ポリプロピレンは、約1.01〜約100、または約1.1〜約50の範囲のMw/Mnを有する。
【0043】
一形態では、微多孔フィルムまたはシートはハイブリッド構造を有する。ハイブリッド構造とは、細孔径分布(pore size distribution)曲線において、0.01μm〜0.08μmの範囲にメインピークを有する比較的密度の高いドメイン、および0.08μm以上〜1.5μm以下の範囲に少なくとも1つのサブピークを示す比較的目の粗いドメインを示す細孔径分布を特徴とするものである。(サブピークから算出した)目の粗いドメインの細孔容積に対する、(メインピークから算出した)密度の高いドメインの細孔容積の割合は重要ではなく、例えば約0.5〜約49の範囲であってよい。
【0044】
微多孔フィルムまたはシート材料は、第七ポリオレフィンとして識別される1種類以上のさらなるポリオレフィンを所望により含有してもよく、それは、例えば、ポリブテン−1、ポリペンテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンおよびエチレン・α−オレフィンコポリマー(エチレン−プロピレンコポリマーを除く)のうちの1つ以上であってもよく、約1×10〜約4×10の範囲のMwを有してもよい。第七ポリオレフィンに加えて、または第七ポリオレフィンの他に、微多孔フィルムまたはシート材料は、ポリエチレンワックス、例えば約1×10〜約1×10の範囲のMwを有するものなど、をさらに含んでもよい。
【0045】
一形態では、単層微多孔膜を製造するための方法を提供する。この方法は、ポリオレフィン組成物と溶媒または希釈剤とを混合してポリオレフィン溶液を形成する工程を含み、このポリオレフィン組成物は、ポリプロピレンと結晶分散温度(Tcd)を有する少なくとも第一ポリエチレンとを含み、このポリオレフィン溶液を、押出ダイを通して押し出して押出物を形成する。これらの工程は、例えば米国特許第5,051,183号および米国特許第6,096,213号に記載されているように、従来の条件下で、従来の出発物質を用いて行なうことができる。この、米国特許第5,051,183号および米国特許第6,096,213号は、本明細書において参照によりその全体が組み入れられる。当該膜は、例えば単層膜であってもよい。押し出しの後、i)押出物を受け取る位置に配置された少なくとも1対の上流ロールであって、当該少なくとも1対の上流ロールのうちのそれぞれが100°以下の接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する、少なくとも1対の上流ロール、および、ii)少なくとも1つの下流ロールであって、当該少なくとも1対の上流ロールおよび当該少なくとも1つの下流ロールは当該少なくとも1つの下流ロールが当該少なくとも1対の上流ロールから押出物を受け取ることができるよう配置されており、また、当該少なくとも1つの下流ロールが180°以上の接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する、少なくとも1つの下流ロール、を含む複数のロールに通して押出物から熱を逃がすことによって押出物を冷却して冷却押出物を形成し、この冷却押出物を少なくとも1方向に約2〜約400倍に、約Tcd〜T+10℃の温度で配向させ、および、希釈剤の少なくとも一部をこの冷却押出物から除去して膜を形成する。
【0046】
一形態では、微多孔性ポリオレフィン膜は二層膜である。別の形態では、微多孔性ポリオレフィン膜は、少なくとも三つの層を有する。このような膜および製造方法は、例えば、PCT特許出願国際公開第2008/016174号に記述されており、このPCT特許出願国際公開第2008/016174号は、参照により、その全体が組み入れられる。同じ技術を膜または四つ以上の層を有する膜の製造に適用することができることを当業者は理解するであろうが、微多孔性ポリオレフィン膜の製造について、主に、二層膜および三層膜という観点から説明する。
【0047】
一形態では、三層微多孔性ポリオレフィン膜は、微多孔性ポリオレフィン膜の外層を構成する第一および第三微多孔層、ならびに、第一層と第三層との間にある(かつ、所望により第一層および第三層と平面接触した)第二層を含む。別の形態では、第一層および第三層は第一ポリオレフィン溶液から作成され、第二(または内)層は第二ポリオレフィン溶液から作成される。別の形態では、第一層および第三層は第二ポリオレフィン溶液から作成され、第二層は第一ポリオレフィン溶液から作成される。
【0048】
多層膜を製造するための第一の方法は、(1)第一ポリオレフィン組成物と希釈剤とを(例えば、溶融ブレンドすることによって)混合して第一混合物を調製する工程、(2)第二ポリオレフィン組成物と第二希釈剤とを混合して第二混合物を調製する工程、(3)少なくとも1つのダイに通して第一および第二混合物を押し出して押出物を形成する工程、(4)i)押出物を受け取る位置に配置された少なくとも1対の上流ロールであって、当該少なくとも1対の上流ロールのうちのそれぞれは100°以下の接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する、少なくとも1対の上流ロール、ならびに、ii)少なくとも1つの下流ロールであって、当該少なくとも1対の上流ロールおよび当該少なくとも1つの下流ロールは当該少なくとも1つの下流ロールが当該少なくとも1対の上流ロールから押出物を受け取ることができるよう配置されており、また、当該少なくとも1つの下流ロールが180°以上の接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する、少なくとも1つの下流ロール、を含む複数の冷却ロールに通して押出物から熱を逃がして冷却押出物、例えば多層ゲル状シートなど、を形成する工程、(5)希釈剤(一種類または複数種類)の少なくとも一部を冷却押出物から除去して、および、残留する任意の揮発性種を所望により除去して、多層微多孔膜を形成する工程、を含む。所望する場合には、所望により選択される延伸工程(6)、および、所望により選択される熱溶媒処理工程(7)、等を、工程(4)と(5)との間に行うことができる。所望する場合には、工程(5)の後に、所望により選択される、多層微多孔膜の延伸工程(8)、所望により選択される加熱処理工程(9)、所望により選択される、電離放射線による架橋結合工程(10)、および、所望により選択される親水処理工程(11)、等、を行うことができる。所望により選択される工程の順序は重要ではない。
【0049】
本方法の第一工程では、上述した、通常はポリオレフィン樹脂の形のポリオレフィン(例えば、他の非ポリオレフィン種または非ポリマー種を所望により含有する、少なくとも1種類のポリオレフィン種の組成物)を、例えば、適切な希釈剤(例えば溶媒、例えば流動パラフィンなど)と乾式混合または溶融ブレンドすることによって混合し、第一混合物を作成する。所望により、第一混合物(溶液、スラリー等として記載されることがある)は、種々の添加剤、例えば、1種類以上の抗酸化剤、ケイ酸塩微粉末(細孔形成材料)等、を含有してもよいが、但し、これらは、多層微多孔膜の所望の性質を著しく低下させない濃度範囲で使用するものとする。一形態では、第一ポリオレフィン組成物はPE−1を含有し、また、所望により、PE−2および/またはPP−1を含有する。例えば、第一ポリオレフィン組成物の重量を基準に、第一ポリオレフィン組成物中のPE−1の量は1重量%〜100重量%の範囲であってもよく、第一ポリオレフィン組成物中のPE−2の量は0重量%〜99重量%の範囲であってもよく、また、第一ポリオレフィン組成物中のPP−1の量は0重量%〜80重量%の範囲であってもよい。第二ポリオレフィン組成物においては、例えば、第二ポリオレフィン組成物の重量を基準に、PE−1の量は1重量%〜100重量%の範囲であってもよく、PE−2の量は0重量%〜99重量%の範囲であってもよく、また、PP−1の量は0重量%〜80重量%の範囲であってもよい。
【0050】
第一および第二希釈剤は、ポリオレフィンのための溶媒であってもよく、例えば、室温で液体である溶媒であってもよい。従来の溶媒、例えば国際公開第2008/016174号に記載されている溶媒など、を用いることができる。別の形態では、第一ポリオレフィン組成物を調製するために使用する樹脂等を、例えば二軸スクリュー押出機またはミキサー中で、それらを溶媒または希釈剤と混合する前に、乾式混合または溶融ブレンドする。従来の混合、溶融ブレンド、乾式混合等の条件、例えば国際公開第2008/016174号に記載されている条件など、を用いることができる。
【0051】
第一ポリオレフィン溶液中の第一ポリオレフィン組成物の量は重要ではない。別の形態では、第一混合物中の第一ポリオレフィン組成物の量は、ポリオレフィン溶液の重量を基準に、約1重量%〜約75重量%、例えば約20重量%〜約70重量%、の範囲であってよい。第一混合物中の第一ポリエチレンの量は重要ではなく、第一混合物100質量%当たり、例えば、1〜50質量%、または20〜40質量%であってよい。
【0052】
第一混合物を調製するために用いる同じ方法によって第二混合物を調製することができる。第二希釈剤は、第一希釈剤と同じ希釈剤の中から選択することができる。また、第二希釈剤は第一希釈剤とは独立して選択することができる(かつ、通常は独立して選択される)が、第二希釈剤は、第一希釈剤と同じであってもよく、また、第一希釈剤を第一混合物において使用するのと同じ相対濃度で使用してもよい。
【0053】
第二ポリオレフィン組成物は、通常、第一ポリオレフィン組成物とは独立して選択される。第二ポリオレフィン組成物は、例えば、第二ポリエチレン樹脂および/または第二ポリプロピレン樹脂を含んでもよい。
【0054】
別の形態では、第一混合物は第一押出機から第一ダイへと導かれ、第二混合物は第二押出機から第二ダイへと導かれる。シート型(すなわち、厚さ方向よりも平面方向の方が著しくより大きくなっている物体(body))の層状押出物を、第一および第二ダイから押し出すことができる。所望により、第一混合物から形成された第一押出物層の平らな表面を第二混合物から形成された第二押出物層の平らな表面と接触させた状態で、第一および第二混合物を第一および第二ダイから共押出する。押出物の平らな表面は、押出物の機械方向における第一のベクトル、および、押出物の横方向における第二のベクトルによって定義することができる。
【0055】
別の形態では、例えば第一混合物を含有するダイアセンブリ中の領域と第二混合物を含有するダイアセンブリ中の第二の領域との間に第一ダイおよび第二ダイが共通の隔壁を共有する場合などのように、第一および第二ダイを含む、ダイアセンブリを用いる。
【0056】
別の形態では、複数のダイを用い、第一または第二混合物のどちらかをダイへと導くための押出機にそれぞれのダイを連結する。例えば、一形態では、第一混合物を含有する第一押出機は第一ダイおよび第三ダイに連結され、また、第二混合物を含有する第二押出機は第二ダイに連結される。前述の形態における場合と同様に、その結果として生じた層状押出物を、第一、第二、および第三ダイから(例えば、同時に)共押出して、表面層(例えば、最上層および最下層)を構成する、第一混合物から作成された、第一層および第三層;ならびに、両表面層の間にあり、かつ、両表面層と平面接触した押出物の中層または中間層を構成する、第二混合物から作成された、第二層、を含む、三層押出物を形成することができる。
【0057】
さらに別の形態では、同じダイアセンブリを用いるが、混合物を逆にする。すなわち、第二混合物を含有する第二押出機を第一ダイおよび第三ダイに連結し、第一混合物を含有する第一押出機を第二ダイに連結する。
【0058】
前述の形態のうちのいずれにおいても、従来のダイ押出装置、例えば国際公開第2008/016174号に記載されているものなど、を用いてダイ押し出しを行うことができる。
【0059】
押し出しは二層押出物および三層押出物を作成する形態に関して記載されているが、押し出し工程はそれに限定されない。例えば、複数のダイおよび/またはダイアセンブリを用いることで、前述の形態の押し出し法を用いて四つ以上の層を有する多層押出物を作成することができる。このような層状押出物では、各表面層または中間層は、第一混合物および/または第二混合物を用いて作成することができる。
【0060】
例えば、冷却することにより、多層押出物を冷却押出物、例えば多層ゲル状シート、にすることができる。冷却速度および冷却温度は特に重要ではない。一形態では、多層ゲル状シートを、少なくとも約10℃/分の冷却速度で、多層ゲル状シートの温度(冷却温度)が多層ゲル状シートのゲル化温度とほぼ等しく(またはそれより低く)なるまで、冷却することができる。別の形態では、多層ゲル状シートを形成するために、押出物を約100℃以下の温度に冷却する。
【0061】
冷却は、上記実施形態のうちのいずれかにおいて記載された装置、例えば、等しい直径を有する上流冷却ロールの第一対(および、所望により第二対)、を用いて達成することができ、ここで、当該対の各ロールは、100°以下の接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触し、下流冷却ロールは、180°以上の接触角で円弧状経路に沿って押出物に接触する。一形態では、押出物の冷却の50%以上は、押出物が当該下流ロールに接触するより前に達成される。
【0062】
微多孔膜を形成するために、冷却後、第一および第二希釈剤の少なくとも一部を多層ゲル状シートから除去(または置換)する。置換(または「洗浄」)溶媒を用いて第一および第二希釈剤を除去(洗浄、または置換)することができる。従来の洗浄溶媒および洗浄技術、例えば国際公開第2008/016174号に記載されているものなど、を用いることができる。
【0063】
除去する希釈剤の量は特に重要ではないが、第一および第二希釈剤の少なくとも大部分の量をゲル状シートから除去する場合には、通常、より高品質の(より多孔性の)膜が生じる。別の形態では、膜形成溶媒をゲル状シートから(例えば、洗浄することにより)、微多孔膜シート中に残留する希釈剤の量が、ゲル状シートの重量を基準に、1重量%未満となるまで、除去する。
【0064】
別の形態では、希釈剤の少なくとも一部を除去することによって得た膜を、洗浄溶媒を除去するために、乾燥させる。国際公開第2008/016174号に記載されているような、例えば加熱乾燥、風乾燥(動く空気)等の従来の方法を含む、洗浄溶媒を除去することのできる任意の方法を用いることができる。
【0065】
必須ではないが、乾燥は、残留する洗浄溶媒の量が、乾燥量基準で、すなわち当該微多孔膜の重量を基準に、約5重量%以下となるまで行うことができる。別の形態では、乾燥は、残留する洗浄溶媒の量が、乾燥量基準で約3重量%以下となるまで行う。通常、微多孔膜の空孔率の、望ましくない減少が引き起こされるため、不十分な乾燥が見られることがある。これが観察される場合には、乾燥温度を高くする、および/または、乾燥時間を長くするべきである。例えば乾燥またはその他の方法などによる、洗浄溶媒の除去の結果、微多孔膜が形成される。
【0066】
延伸多層ゲル状シートを得るために、希釈剤を除去する工程の前に、所望により多層ゲル状シートを延伸してもよい。多層ゲル状シート中に第一および第二希釈剤が存在することにより、比較的均一な延伸倍率がもたらされる、と考えられている。多層ゲル状シートを加熱することは、特に延伸の開始時に、または、延伸の比較的早期の段階(例えば、延伸の50%が完了するより前)において、延伸の均一性の助けとなるとも考えられている。
【0067】
延伸方法の選択、延伸倍率の度合い、および延伸の際の処理条件(温度等)は特に重要ではなく、また、従来の延伸方法、例えば国際公開第2008/016174号に記載されているものなど、を用いることができる。延伸によってゲル状シート中のポリマーが配向するため、延伸は、「配向」と称されることもある。
【0068】
いかなる理論またはモデルにも拘束されるものではないが、このような延伸によって、ポリエチレンラメラ間に開裂が生じ、それによって、そのポリエチレン相がより細密になり、多数のフィブリルが形成される、と考えられる。これらのフィブリルは、三次元の網目構造(三次元に不規則に繋がった網目構造)を形成する。したがって、延伸を用いる場合には、延伸によって、比較的大きな細孔サイズを有する比較的高い機械的強度の多層微多孔性ポリオレフィン膜を製造することがより容易となる。このような多層微多孔膜は、電池セパレータとしての使用に特に適していると考えられている。
【0069】
必須ではないが、多層ゲル状シートを、国際公開第2008/016174号および国際公開第2000/20493号に記載されているように、熱い溶媒で処理してもよい。
【0070】
別の形態では、所望により、工程(6)の、乾燥させた多層微多孔膜を、少なくとも一軸に延伸することができる。二軸延伸を用いてもよく、また、各軸に沿った延伸量は、同じである必要はない。選択される延伸方法は重要ではなく、また、例えばテンター法等による、従来の延伸方法を用いてもよい。重要なことではないが、延伸の際に膜を加熱してもよい。選択は重要ではないが、延伸は、一軸であっても、二軸であってもよい。二軸延伸を用いる場合には、延伸は両方の軸方向に同時に行なってもよく、あるいは、多層微多孔性ポリオレフィン膜を、例えば、まず機械方向に、次いで横方向に、などと、逐次延伸してもよい。別の形態では、同時二軸延伸を用いる。多層ゲル状シートを、工程(6)に記載されているように延伸した場合には、工程(9)における、乾いた多層微多孔性ポリオレフィン膜の延伸は、乾式延伸、再延伸、または乾式延伸と呼ぶことができる。従来の延伸技術および条件、例えば国際公開第2008/016174号に記載されているものなど、を用いることができる。
【0071】
別の形態では、乾燥させた多層微多孔膜を、工程(5)の後に、加熱処理することができる。国際公開第2008/016174号に記載されているように、例えばヒートセットおよびアニーリングなどの、従来の加熱処理を用いることができる。
【0072】
別の形態では、多層微多孔性ポリオレフィン膜を、親水処理(すなわち、多層微多孔性ポリオレフィン膜をより親水性にする処理)に供することができる。親水処理は、例えば、モノマーグラフト処理、界面活性剤処理、コロナ放電処理等であってよい。別の形態では、架橋結合処理後にモノマーグラフト処理を用いる。
【0073】
界面活性剤処理を用いる場合には、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤および両性界面活性剤のうちのいずれかを、例えば、単独で、または組み合わせて、用いることができる。別の形態では、非イオン性界面活性剤を用いる。界面活性剤の選択は重要ではない。例えば、多層微多孔性ポリオレフィン膜を、界面活性剤と水もしくは例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールとの溶液に浸漬するか、または当該溶液で、例えばドクターブレード法によって、コーティングすることができる。
微多孔膜の構造、性質、および組成
構造
【0074】
最終膜の厚さは、通常、3μmまたはそれ以上の範囲である。例えば、膜は、約3μm〜約300μm、例えば約5μm〜約50μm、の範囲の厚さを有してもよい。微多孔膜の厚さを、例えば接触式厚さ計によって1cmの縦間隔で10cm幅にわたって測定し、次いで平均値を求めることによって、膜の厚さを算出することができる。例えば株式会社ミツトヨから市販されているライトマチックなどの厚さ計が適している。例えば光学的厚さ測定法などの、非接触式の厚さ測定方法も適している。
【0075】
当該微多孔膜は、1ミクロン以下、例えば約0.25ミクロン〜約0.75ミクロン、の厚さ値の標準偏差を示し、これによって、当該微多孔膜は、優れた電池セパレータ、特にリチウムイオン電池用の優れた電池セパレータ、となる。
【0076】
先行技術における方法によって製造された膜は、膜のTDに沿って、著しい厚さの変動を示す、ということが分かっている。この厚さの変動のうちの一部は、例えば処理の際に膜をつかむテンタークリップなどによって生じる、膜の端部に沿った変形に起因する。この厚さの変動は、冷却押出物の厚さの変動にも起因する。押出物および/または膜の端部から縁が切断されて、通常、1ミクロン未満の、例えば0.25〜0.75ミクロンの範囲の、許容可能な厚さ値の標準偏差を有する膜が製造される。
【0077】
縁の除去は、例えば、膜の端部から(TDに沿って)中心方向への所望の距離で、膜のMDに平行に配置された切刃を回転させることによって、連続的に行うことができる。次いで、この縁を、処理から除外する。従来の微多孔膜では、単位長さ当たりの縁の重量に対する単位長さ当たりの膜の重量の比率は、75%であるか、またはそれより大きい。
【0078】
本発明の方法は、当該方法によって冷却押出物の厚さの均一性の改善がもたらされ、また、この改善によってTDに沿った厚さの均一性が改善された膜が生じるため、有利である。よって、所望の量の、またはそれ以下の厚さ変動を有する膜を製造するのに必要なスリッティングは、より少なくなり、それによって、縁がより少なくなり、微多孔膜の収率が改善する。本発明の微多孔膜では、単位長さ当たりの縁の重量に対する単位長さ当たりの膜の重量の比率は、75%〜99%の範囲である。一実施形態では、縁を除去するための膜のスリッティングにより、ヒートセット工程を出た膜の幅の約90%〜約99%の倍率で膜の幅が減少する。このスリッティング工程は、例えば電池の製造のための所望の最終幅を有する微多孔膜を製造するなどのために、さらなるスリッティングを下流で用いる場合には、「第一」スリッティング工程と称されることがある。
【0079】
膜の平均厚さは、TDに沿った(すなわち、膜を横断する)複数の選択された点において測定することができる。必要ではないが、TDに沿ってほぼ等しい間隔をあけて並んだ、かつ、膜の(機械方向に平行な)中心線を基準とした、複数の測定点を用いて、その測定値の標準偏差および膜の平均厚さを決定する。膜の中心線を基準とした複数の点で厚さ値を測定するため、この測定はスリッティングの前または後に行うことが可能である。
【0080】
一実施形態では、選択された厚さ測定点は、TDに沿ったものであり、かつ、始点と終点との間に位置するものであり、ここで、始点および終点は、所望により、膜の中心線からTDに沿って等距離にあるものとする。始点と終点との間の距離は、ヒートセット工程の後ではあるが、スリッティングの前、すなわち第一スリッティングおよび第一スリッティングの下流の任意のスリッティングの前の膜の幅の、例えば、約75%、またはあるいは約80%、またはあるいは90%、またはあるいは約95%、であってもよい。厚さ測定値の標準偏差および平均厚さは始点および終点のみによって決定することができるが、通常は、TDに沿ったこれらの点と複数の点とを用いてこれらの値を決定する;例えば、少なくとも5個の点、または少なくとも10個の点、または少なくとも20個の点、または少なくとも40個の点を用いる。例えば、点の数は、10〜30個の点の範囲であってもよく、また、所望により、これらの点は、都合のよい間隔で、TDに沿って、等しい間隔をあけて並んでいてもよく、例えば、隣接する測定点の間の距離は、約25mm〜約100mmの範囲であってもよい。
【0081】
「μ」という語は、TDに沿った測定点において決定した、(ミクロンで測定した)厚さ測定値の算術平均を指す。厚さ測定値の標準偏差「σ」は、分散の平方根、すなわち、
【数1】

と定義され、式中、Tは、各測定点における厚さ測定値を表し、Nは、測定点の数である。厚さの均一性は、厚さ測定値と平均厚さ値との間の差(Δ)、すなわち、Δ=T−μ、で表すこともできる。
特性
【0082】
また、好ましい実施形態では、本発明の微多孔膜は、次の性質のうちの少なくとも1つを有する。
(a) 35秒/100cm/μm以下の標準化透気度。
【0083】
透気度はJIS P8117に従って測定し、その結果を、式 A=(X)/Tを用いて、厚さ1.0μmにおける値に正規化する。式中、Xは、実際の厚さTを有する膜の測定透気度であり、Aは、厚さ1.0μmにおける標準化透気度である。一実施形態では、標準化透気度は、30秒/100cm/μm以下であり、例えば、10秒/100cm/μm〜25秒/100cm/μmの範囲である。
(b) 約20〜約80%の空孔率
【0084】
膜の空孔率は、膜の実際の重量を等価な100%ポリエチレンの非多孔性膜(同一の長さ、幅、および厚さを有するという意味での等価)の重量と比較することにより、従来法で測定する。次いで、空孔率を、式: 空孔率%=100×(w2−w1)/w2を用いて決定する。式中、「w1」は、微多孔膜の実際の重量であり、「w2」は、同一のサイズおよび厚さを有する等価な100%ポリエチレンの非多孔性膜の重量である。
(c) 15gF/μm以上の標準化穿刺強度
【0085】
穿刺強度は、Tの厚さを有する微多孔膜を、球状の先端表面(曲率半径R:0.5mm)を有する直径1mmの針を用いて2mm/秒の速度で突き刺したときに(グラム単位の力すなわち「gF」で)測定される最大荷重と定義される。このピン穿刺強度を、式 L=(L)/Tを用いて、膜の厚さ1.0μmにおける値に正規化する。式中、Lは、測定ピン穿刺強度であり、Lは、標準化穿刺強度であり、Tは、膜の平均厚さである。
【0086】
一実施形態では、標準化穿刺強度は、20gF〜35gF、または25gF〜30gF、の範囲である。
(d) 900Kg/cm以上のMDの引張強度および800Kg/cm以上のTDの引張強度
【0087】
引張強度は、ASTM D−882Aに従って、MDおよびTDにおいて測定する。一実施形態では、膜のMDの引張強度は、1000Kg/cm〜2,000Kg/cmの範囲であり、TDの引張強度は、900Kg/cm〜1300Kg/cmの範囲である。
(e) 50%以上のMDおよびTDの引張伸度
【0088】
引張伸度は、ASTM D−882Aに従って測定する。一実施形態では、膜のMDおよびTDの引張伸度は、それぞれ、50%〜350%の範囲である。別の実施形態では、膜のMDの引張伸度は、例えば、150%〜300%の範囲であり、TDの引張伸度は、例えば、150%〜400%の範囲である。
(f) 140℃以下のシャットダウン温度
【0089】
微多孔膜のシャットダウン温度は、熱機械分析装置(セイコーインスツル株式会社から市販されているTMA/SS6000)によって次のようにして測定する:3mm×50mmの長方形試料を、試料の長軸が微多孔膜の横方向と一直線になるように、かつ、短軸が機械方向と一直線になるように、微多孔膜から切り出す。この試料を、チャック間距離10mmで、熱機械分析装置中にセットする。すなわち、上部チャックから下部チャックまでの距離は10mmである。下部チャックを固定し、上部チャックで試料に19.6mNの荷重をかける。これらのチャックと試料とを、加熱可能な管に封入する。30℃で開始し、管の内部の温度を5℃/分の速度で上昇させ、温度を増加させながら、19.6mNの荷重下における試料の長さの変化を0.5秒間隔で測定し記録する。温度は、200℃まで増加させる。「シャットダウン温度」は、膜の製造に使用するポリマーのうちの最も低い融点を有するポリマーの融点付近において観察される変曲点の温度と定義される。一実施形態では、シャットダウン温度は、140℃以下、例えば128℃〜133℃の範囲である。
(g) 142℃以上のメルトダウン温度
【0090】
メルトダウン温度は、次の手順によって測定する:3mm×50mmの長方形試料を、試料の長軸が、本方法において微多孔膜を製造する際の、微多孔膜の横方向と一直線になるように、かつ、短軸が機械方向と一直線になるように、微多孔膜から切り出す。この試料を、チャック間距離10mmで、熱機械分析装置(セイコーインスツル株式会社から市販されているTMA/SS6000)中にセットする。すなわち、上部チャックから下部チャックまでの距離は10mmである。下部チャックを固定し、上部チャックで試料に19.6mNの荷重をかける。これらのチャックと試料とを、加熱可能な管に封入する。30℃で開始し、管の内部の温度を5℃/分の速度で上昇させ、温度を増加させながら、19.6mNの荷重下における試料の長さの変化を0.5秒間隔で測定し記録する。温度は、200℃まで増加させる。試料のメルトダウン温度は、試料が破損する温度と定義され、通常、約142℃〜約200℃の範囲の温度である。
【0091】
一実施形態では、メルトダウン温度は、143℃〜190℃の範囲である。
微多孔膜の組成
【0092】
当該微多孔膜は、通常、当該ポリマー組成物を作成するのに使用する同一のポリマーを、通常、同一の相対量で、含む。洗浄溶媒および/または処理溶媒(希釈剤)もまた、微多孔膜の重量を基準に、通常、1重量%未満の量で、存在していてもよい。処理の際に、少量のポリマー分子量の低下が生じ得るが、これは許容可能なものである。ポリマーがポリオレフィンであり、かつ、湿式法によって膜を製造する一実施形態では、処理の際の分子量の低下は、生じる場合には、膜中のポリオレフィンのMw/Mnの値が、当該ポリオレフィン組成物を作成するのに使用するポリマーのMw/Mnに比べて、約5%以下、または約1%以下、または約0.1%、の差を生じる原因となる。
【0093】
一実施形態では、微多孔膜は、第一および第二ポリエチレンを含み、例えば、膜の重量を基準に、約25重量%〜約35重量%の第一ポリエチレンおよび約65重量%〜約75重量%の第二ポリエチレンを含む。一実施形態では、当該膜は、約30重量%の第一ポリエチレンおよび約70重量%の第二ポリエチレンを含有する。
電池セパレータ
【0094】
一実施形態では、上記実施形態のうちのいずれかにおける微多孔膜は、例えばリチウムイオン電池などの変換装置およびエネルギー貯蔵において電極を隔てるのに有用である。
電池
【0095】
本発明の微多孔膜は、例えばリチウムイオン一次電池およびリチウムイオン二次電池などにおける、電池セパレータとして有用である。このような電池はPCT公開公報国際公開第2008/016174号に記載されている。
[実施例]
押出物
【0096】
実施例1、2、および3において、ならびに比較実施例1、2、3、および4において用いられる押出物は、以下のように作製する。(押出ダイの口において測定した)押出物の厚さを、表1に提示する。
【0097】
2.0×10の重量平均分子量(Mw)、5.0の分子量分布(Mw/Mn)、135℃の融点(T)、および100℃の結晶分散温度(Tcd)を有する20質量%の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む99.8質量部のポリオレフィン組成物を、5.6×10のMwおよび4.6のMw/Mn、135℃のT、および100℃のTcdを有する80質量%の高密度ポリエチレン(HDPE)、ならびに、抗酸化剤としての、0.2質量部のテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート]メタンと乾式ブレンドする。ポリオレフィン組成物は、8.6のMw/Mn、135℃のT、および100℃のTcdを有する。
【0098】
30質量部の、結果として生じる混合物を、58mmの内径および52.5のL/Dを有する強力ブレンド二軸スクリュー押出機の中に充填し、70質量部の流動パラフィン[50cSt(40℃)]を、サイドフィーダーを介して、この二軸スクリュー押出機に供給する。溶融ブレンドを210℃、200rpmで行い、第一ポリオレフィン溶液を調製する。
【0099】
各UHMWPEおよびHDPEのMwおよびMw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件下で測定する。
【0100】
これらポリエチレンのMwおよびMnは、示差屈折率検出器(DRI)を備えた、高温サイズ排除クロマトグラフ、すなわち「SEC」(ポリマーラボラトリーズ社製GPC PL 220)、を用いて決定する。3本のPLgel Mixed-Bカラム(ポリマーラボラトリーズ社から市販されている)を用いる。名目上の流速は0.5cm/分である。また、名目上の注入量は300μLであった。トランスファーライン、カラム、および当該DRI検出器を、145℃に維持したオーブンに入れた。測定は、「Macromolecules, Vol. 34, No. 19, pp. 6812-6820 (2001)」に開示されている手順に従って行う。
【0101】
使用するGPC溶媒は、およそ1000ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する、濾過済みの、アルドリッチ社製、試薬グレード(reagent grade)の1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。当該SECへ導入する前に、このTCBを、オンラインデガッサーを用いて、脱気した。乾いたポリマーをガラス製容器中に入れ、所望の量の上記TCB溶媒を添加し、次いで、この混合物を160℃で連続的に撹拌しながら約2時間加熱することによって、ポリマー溶液を調製した。UHMWPE溶液の濃度は、0.25〜0.75mg/mlであった。試料溶液は、GPCへ注入する前に、2μmフィルターにより、SP260型Sample Prep Station(ポリマーラボラトリーズ社から市販されている)を用いて、オフラインで濾過する。
【0102】
当該カラムセットの分離効率は、検量線の作成に用いる、Mpが約580〜約10,000,000の範囲の17種類の個々のポリスチレン標準を用いて作成した検量線によって較正する。これらのポリスチレン標準は、ポリマーラボラトリーズ社(マサチューセッツ州アマースト)から入手する。各PS標準に対する当該DRIシグナルのピークにおける保持容量を記録し、このデータセットを2次多項式に当てはめることによって、検量線(logMp 対 保持容量)を作成する。試料は、Wave Metrics社から市販されているIGOR Proを用いて分析する。
【0103】
当該ポリオレフィン溶液を、210℃で、その二軸スクリュー押出機から、250mmの幅を有する単層シート形成用Tダイへと供給して、第一表面と第二表面とを有する押出物を形成する。この押出物を、以下の実施例および比較実施例に記載されているように冷却ロールアセンブリを用いて冷却する。
実施例1
【0104】
1.2mmの厚さで作製された押出物は、表1に示されているような、100mmの直径および15℃の表面温度を有する第一冷却ロール(CR−1)へと導かれる。押出物の第一表面は、冷却ロールに65°の接触角で接触し、その結果、押出物が冷却される。この冷却押出物は、第一冷却ロールから、100mmの直径および15℃の表面温度を有する第二冷却ロール(CR−2)へと導出される。第二冷却ロールは、押出物の第二表面(第一表面の反対側)に70°の接触角で接触する。当該第一および第二冷却ロールは、冷却ロールの上流対を構成する。押出物は、冷却ロールの第一上流対から、冷却ロールの第二上流対へと導出される。この第二対は、第三(CR−3)および第四(CR−4)冷却ロールを含む。この第三冷却ロールは100mmの直径および15℃の表面温度を有し、押出物の第一表面に70°の接触角で接触する。ここから、押出物は、100mmの直径および15℃の表面温度を有する第四冷却ロールへと導かれる。押出物の第二表面は、第四冷却ロールに70°の接触角で接触する。
【0105】
押出物は、冷却ロールの第二対から、300mmの直径、15℃の表面温度、および200°の接触角を有する下流冷却ロール(CR−5)へと導出される。当該下流冷却ロールから導出された押出物(「冷却押出物」)は、35℃の温度、1040μmの平均厚さ、および5μm〜11μmの範囲の平均値からの厚み偏差を有する。
【0106】
次いで、この押出物を、二軸に、115°の温度で、5×5(MD×TD)の倍率に延伸する。この延伸した押出物から流動パラフィンを除去して膜を形成し、次いでこの膜を124.7℃で30秒間ヒートセットする。この最終微多孔膜の性質を表1に示す。
実施例2
【0107】
実施例2は、ダイにより作成される押出物の厚さが0.6mmであり、二軸延伸前の冷却押出物の厚さが520μmであり、冷却押出物が30℃の温度を有し、厚さの偏差が5μm〜10μmの範囲であり、かつ、ヒートセット温度が124.5℃であること以外は実施例1と同様である。この最終膜の性質を表1に示す。
実施例3
【0108】
実施例3は、ダイにより作成される押出物の厚さが2.3mmであり、冷却押出物が40℃の温度を有し、冷却押出物の厚さが2070μmであり、厚さの偏差が5μm〜13μmの範囲であり、二軸延伸温度が116.5℃であり、かつ、ヒートセット温度が123.5℃であること以外は実施例1と同様である。この最終膜の性質を表1に示す。
比較例1
【0109】
比較実施例1は、210°の接触角を有する第一冷却ロールの直径が300mmであり、170°の接触角を有する第二および第三冷却ロールの直径がそれぞれ300mmであり、150°の接触角を有する第四冷却ロールの直径が300mmであり、80°の接触角を有する下流冷却ロールの直径が100mmであり、冷却押出物が35℃の温度を有し、冷却押出物の厚さが960μmであり、かつ、厚み偏差が15μm〜35μmの範囲であること以外は実施例1と同様である。この最終膜の性質を表1に示す。
比較例2
【0110】
比較実施例2は、ダイにより作製される押出物の厚さが0.6mmであり、冷却押出物が30℃の温度を有し、冷却押出物の厚さが480μmであり、厚み偏差が15μm〜30μmであり、かつ、二軸延伸温度が114.4であること以外は比較例1と同様である。この最終膜の性質を表1に示す。
比較例3
【0111】
比較例3は、ダイにより作製される押出物の厚さが0.9mmであり、冷却押出物が35℃の温度を有し、第一冷却ロールの接触角が165°であり、第二冷却ロールの接触角が150°であり、225°の接触角を有する第三冷却ロールの直径が450mmであり、200°の接触角を有する第四冷却ロールの直径が450mmであり、170°の接触角を有する下流冷却ロールが200mmの直径を有し、冷却押出物の厚さが810μmであり、厚み偏差が15μm〜30μmの範囲であり、二軸延伸温度が114.8℃であり、かつ、ヒートセットを125.3℃で10秒間行うこと以外は比較実施例1と同様である。
比較例4
【0112】
比較例4は、ダイにより作製される押出物の厚さが1.4mmであり、第一冷却ロールが40°の接触角を有し、第四冷却ロールが170°の接触角を有し、下流冷却ロールが存在せず、冷却押出物の厚さが1220μmであり、厚み偏差が20μm〜35μmの範囲であり、二軸延伸温度が116.4℃であり、かつ、ヒートセット温度が125.5℃であること以外は比較実施例2と同様である。この完成した膜の性質を表1に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【0113】
表1中の結果は、少なくとも1対の上流冷却ロールが押出物に100°以下の接触角で接触し、かつ、少なくとも1つの下流冷却ロールが押出物に180°以上の接触角で接触する場合に、冷却押出物の厚さの均一性が有意に改善される、ということを示している。さらに、この、厚さの均一性の改善は、驚いたことに、その後のフィルムの処理(二軸配向、ヒートセット)によって、もたらされる。これらのさらなる処理工程によってフィルムの厚さを1桁以上減少させた場合でさえ、厚さの均一性の改善は保持される。
【0114】
優先権書類を含む、本明細書で引用したすべての特許、試験手順、およびその他の文献は、参照により、かかる開示が矛盾を生じない範囲まで完全に組み入れられ、また、このような組み入れが許される法的管轄の範囲すべてについて完全に組み入れられる。
【0115】
本明細書において開示した、説明に役立つ形態は、詳細に記載したが、当業者にとって、その他の種々の変形は明らかであり、また、当業者は本開示の精神および範囲から逸脱することなくその他の種々の変形を容易に行うことができる、とのことが理解されるであろう。したがって、本明細書に添付した特許請求の範囲の範囲が、本明細書に記載された実施例および説明に限定される、ということは意図されておらず、むしろ、特許請求の範囲が、本明細書中にある特許可能な新規性のある特徴すべて(本開示に関係する当業者によって等価なものとして扱われるであろうすべての特徴を含む)を包含するものとして解釈される、ということが意図されている。
【0116】
数値の下限値および数値の上限値が本明細書において記載されている場合には、任意の下限値から任意の上限値までの範囲を意図しているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔膜の製造方法であって、
a) ポリオレフィンと希釈剤とを混合し
b) 前記混合したポリオレフィンおよび希釈剤を、押出ダイを通して押し出して押出物を形成し、
c)i)複数のロールによって押出物を搬送する工程において、前記押出物の相反する表面を受け取る位置に配置された第一および第二ロールを用い、前記第一ロールは、100°以下の第一接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触し、かつ、前記第二ロールは、100°以下の第二接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触し、ii)前記第一および第二ロールの下流に配置された第三ロールが、前記第一および第二ロールの少なくとも1つから前記押出物を受け取ることができるよう整列されており、前記第三ロールが円弧状経路に沿って前記押出物に接触して冷却押出物を形成し、複数のロールを用いて前記押出物から熱を逃がして冷却押出物を形成し、
d) 前記希釈剤の少なくとも一部を前記冷却押出物から除去して前記膜を形成する
微多孔膜の製造方法。
【請求項2】
前記第三ロールが、180°以下の第三接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却押出物を少なくとも1方向に1〜10倍に、前記ポリオレフィンのTcd〜T+10℃の範囲の温度で延伸し、当該延伸されてなる膜を、少なくとも1方向に、1.1〜2.5倍の倍率に延伸し、当該膜をヒートセットする請求項1に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィン組成物が高密度ポリエチレンおよび超高分子量ポリエチレンを含み、かつ前記TcdがポリエチレンのTcdである請求項3に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項5】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンをさらに含む、請求項4に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが、Mw<1×10を有する少なくとも50重量%のポリエチレンおよびMw≧1×10を有する少なくとも15重量%のポリエチレンを含む、請求項5に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項7】
前記ポリオレフィンが、少なくとも1重量%のポリプロピレンを含む、請求項6に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項8】
前記第一および第二ロールのそれぞれが50mm〜150mmの範囲の直径を有し、前記第三ロールが275mm〜400mmの範囲の直径を有し、前記第一および第二接触角が55°〜75°の範囲であり、ならびに、前記第三接触角が190°〜220°の範囲である、請求項1に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項9】
前記第一および第二ロールが等しい直径を有する、請求項1に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項10】
前記第一および第二ロールが、前記第一ロールが前記ダイから前記押出物を受け取る位置に配置され、かつ、前記第二ロールが前記第一ロールから前記押出物を受け取る位置に配置された状態で、ロールの第一対を構成し、前記ロールの第一対の下流および前記第三ロールの上流の位置に配置されたロールの第二対を有し、前記ロールの第一対および第二対のそれぞれが、200mm以下の直径を有する、請求項1に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項11】
前記ロールの第一対および第二対が、100mm以下である等しい直径を有し、かつ、前記第三ロールが300mm以上である直径を有する請求項10に記載の微多孔膜の製造方法。
【請求項12】
ポリマーと希釈剤とを含む溶融した押出物から熱を逃がすためのアセンブリであって、
a) 前記押出物の相反する表面を受け取る位置に配置された第一および第二ロールであって、前記第一ロールは100°以下の第一接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触し、かつ、前記第二ロールは100°以下の第二接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触し、
b) 前記第一および第二ロールの下流の第三ロールであって、前記第一、第二、および第三ロールは前記第三ロールが前記第一および第二ロールの少なくとも1つから前記押出物を受け取ることができるよう整列され、前記第三ロールが第三接触角でる円弧状経路に沿って前記押出物に接触する
微多孔膜の製造装置。
【請求項13】
前記第三接触角が180°以上である、請求項12に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項14】
前記第一、第二、および第三ロールが、少なくとも1つの支持枠上に搭載され、前記押出物が前記第一、第二、および第三ロールの周囲の前記円弧状経路を移動するように配置され、前記第三ロールに向かう直線状経路を前記押出物が移動するように配置されてなる請求項12に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項15】
前記押出物を前記ロール間を移動させ前記第三ロールを回転させる前記支持枠上に搭載された駆動機関が設けられてなる請求項12に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項16】
前記第一および第二ロールのうちの少なくとも1つが、前記押出物から熱を逃がすための冷却機関を設けられてなる請求項15に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項17】
少なくとも1つの前記第一、第二ロールが、前記第一駆動機関と同期する第二駆動機関のいずれかによって回転する請求項16に記載の微多孔膜の製造装置s。
【請求項18】
(i) 前記第一および第二ロールのそれぞれが直径200mm以下であり、かつ、前記第三ロールが直径250mm以上であり、
(ii) 前記第一および第二接触角が等しく、かつ、55°〜75°の範囲であり、
(iii) 前記第三接触角が190°〜220°の範囲である、
請求項12に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項19】
前記第一および第二ロールが、50mm〜150mmの範囲の等しい直径を有し、かつ、前記第三ロールが、275mm〜400mmの範囲の直径を有する、請求項18に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項20】
前記第一および第二ロールのそれぞれが40℃以下の平均表面温度を有する請求項12に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項21】
前記第一および第二ロールが第一対のロールを有し、前記第一ロールが前記ダイから前記押出物を受け取る位置に配置され、かつ、前記第二ロールが前記第一ロールから前記押出物を受け取る位置に配置されるとともに前記ロールの第一対の下流および前記第三ロールの上流の位置に配置された第二対のロールを備え、前記ロールの第二対のうちのそれぞれが、(i)100°以下であり、かつ(ii)前記ロールの第一対の前記接触角に等しいかまたはそれよりも大きい接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触する、請求項12に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項22】
前記ロールの第二対のうちのそれぞれのロールが直径100mm以下であり、前記第三ロールが直径300mm以上である請求項21に記載の微多孔膜の製造装置。
【請求項23】
前記第三ロールが、90°〜180°、好ましくは100°〜150°、より好ましくは110°〜130°の第三接触角で円弧状経路に沿って前記押出物に接触する請求項1または12に記載の微多孔膜の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500130(P2012−500130A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503692(P2011−503692)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/JP2009/063455
【国際公開番号】WO2010/018749
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(510157580)東レ東燃機能膜合同会社 (31)
【Fターム(参考)】