説明

微小分析装置及びその製造方法、並びにその製造装置

【課題】特定の処理を施した感光性ポリイミド樹脂を用いることによって種々の基板を接合する技術を提供する。
【解決手段】
本発明の1つの微小分析装置の製造方法は、第1基板12上に感光性ポリイミド前駆体層を形成する工程と、感光性ポリイミド前駆体層のパターンを形成するパターン形成工程と、酸素濃度が50ppm以下の環境下で、そのパターンが形成された感光性ポリイミド前駆体層を200℃以上350℃以下で加熱して感光性ポリイミド樹脂層17を形成する第1加熱工程の後、第2基板14と第1基板12との間に感光性ポリイミド樹脂層17を挟む工程と、第1基板12及び第2基板14を16.3MPa以上49MPa以下で加圧しながら、第1加熱工程の最高温度と同じ温度、又は第1加熱工程の最高温度との差が30℃以内の第1加熱工程の最高温度よりも低い温度で加熱する第2加熱工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小分析装置及びその製造方法、並びにその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂材料を対向する複数の基板で挟み、加圧処理することによってその各々の基板を接合しようとする方法が開示されている(例えば、特許文献1又は特許文献2)。しかしながら、従来技術では、具体的な実施態様として、常に樹脂を挟み込む2つの基板間に数十V〜200Vの電圧が印加されている。また、下記の特許文献2に記載されている接合技術の場合、樹脂材料の加熱温度よりも、その樹脂材料を複数の基板間に挟み込んだ後の基板の接合時の加熱温度の方が高く設定されている。このような温度設定の場合、最初の加熱処理によって揮発性物質に起因するガスを完全に放出し切ることは極めて困難か又は不可能である。従って、樹脂を用いて接合する場合に着目すべき重要な技術課題の一つである、接合処理中のその樹脂からの放出ガスの問題、換言すれば接合基板の品質の問題については、未だ十分な解決手段が提示されていないのが現状である。
【0003】
他方、近年、特に化学分野においては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)分野の要素技術等を用いた分析システムの小型化及び集積化により、微小化学分析システム(Micro Total Analysis System:μTAS)と呼ばれる1つの微小分析装置が盛んに研究開発されている。この微小分析装置の特色は、微量の検体によって迅速な分析が可能となる点であるが、その分析を正確なものにするためには、検体の導入部や流路等を構成する部材から不純物が混入することは避けなければならない。従って、特に、微小分析装置の製造過程においては、上述の基板の貼り合わせ技術又はその接合技術が重要な位置を占めることになる。
【特許文献1】特開2004−268323号公報
【特許文献2】特開2005−7734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来、複数の基板を、樹脂を用いて貼り合わせることにより十分な接合強度を実現するためには、基板への電圧の印加や、樹脂加熱時の温度を超えた温度による接合時の加熱処理が必要となっていた。従って、従来技術では、十分な接合強度を得る代わりに、電圧供給のための設備の追加によって設備費用が増大するという問題や、不可避的に生じると考えられる樹脂からの放出ガスによる最終的なデバイスの信頼性の低下という問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、そのような技術課題を解決することにより、樹脂を流路の内壁の一部として利用する微小分析装置を提案するものでる。発明者らは、既に、ポリイミド樹脂中の揮発性物質に起因する放出ガスの顕著な低減と高い接合強度の獲得という2つの技術課題をいずれも満足する基板の貼り合わせ技術を特願2008−41623において提案している。その後、発明者らは、ポリイミド樹脂の高い熱的安定性、物理的、化学的安定性等に着目して鋭意研究を重ねた結果、前述のポリイミド樹脂を用いた基板の貼り合わせ技術を微小分析装置の製造に適用することにより、高い信頼性を確保した上で製造コストの低減が実現されることを知見した。
【0006】
本発明の1つの微小分析装置の製造方法は、第1基板上に感光性ポリイミド前駆体層を形成する工程と、その感光性ポリイミド前駆体層のパターンを形成するパターン形成工程と、酸素濃度が50ppm以下の環境下で、そのパターンが形成された前述の感光性ポリイミド前駆体層を200℃以上350℃以下で加熱して感光性ポリイミド樹脂層を形成する第1加熱工程の後、第2基板とその第1基板との間にその感光性ポリイミド樹脂層を挟む工程と、前述の第1基板及び前述の第2基板を16.3MPa以上49MPa以下で加圧しながら、前述の第1加熱工程の最高温度と同じ温度、又はその第1加熱工程の最高温度との差が30℃以内のその第1加熱工程の最高温度よりも低い温度で加熱する第2加熱工程とを有している。
【0007】
この微小分析装置の製造方法によれば、パターニングされた感光性ポリイミドを接着層として挟むことにより第1基板と第2基板とが接合されるとともに、その感光性ポリイミド樹脂が流路の内壁の一部としても利用され得るため、微小分析装置の製造工程の単純化とその製造コストの削減が実現される。換言すれば、従来のように、第1基板又は第2基板の表面の一部を複雑なエッチング技術によって除去した上で、別の接合手段によって第1基板と第2基板とを貼り合わせることを要しない。また、酸素濃度が制御された環境で感光性ポリイミド前駆体層が加熱処理されるため、詳細な理由は未だ明らかではないが、その加熱によって得られる感光性ポリイミド樹脂が基板の接合に適した特異な性質を備える。その結果、第1基板と第2基板が貼り合わされた後の加熱温度が前述の感光性ポリイミド樹脂の改質時の最高温度と同じ温度、又はそれよりやや低い温度であっても、実用に耐えうる基板接合強度が得られるだけでなく、貼り合わせ後の樹脂からの放出ガス量が顕著に低減する。従って、上述の製造方法によって製造された微小分析装置の信頼性が高まる。
【0008】
また、本発明の1つの微小分析装置は、パターニングされた感光性ポリイミド樹脂層を接着層として挟むことにより第1基板と第2基板とが接合され、その第1基板、その第2基板、及びその感光性ポリイミド樹脂層が、管状流路を形成している。
【0009】
この微小分析装置によれば、パターニングされた感光性ポリイミド樹脂層を接着層として挟むことにより第1基板と第2基板とが接合されるとともに、その感光性ポリイミド樹脂が流路の内壁の一部としても利用され得るため、微小分析装置の製造工程の単純化と製造コストの削減が実現される。また、この微小分析装置は、基板以外の材料が熱的安定性及び化学的安定性の高いポリイミド樹脂のみであるため、装置全体としての耐熱性及び安定性を高めやすい。
【0010】
また、本発明の1つの微小分析装置の製造装置は、第1基板上に感光性ポリイミド前駆体層のパターンを形成するパターン形成処理部と、酸素濃度が50ppm以下の環境下で、そのパターンが形成された前述の感光性ポリイミド前駆体層を200℃以上350℃以下で加熱して感光性ポリイミド樹脂層を形成する第1加熱処理部と、その感光性ポリイミド樹脂層を挟んで前述の第1基板と第2基板とを貼り合わせる貼合部と、その第1基板及びその第2基板を16.3MPa以上49MPa以下で加圧しながら、前述の第1加熱処理部の最高処理温度と同じ温度、又はその第1加熱処理部の最高処理温度との差が30℃以内のその第1加熱処理部の最高処理温度よりも低い温度で加熱する第2加熱処理部とを備えている。
【0011】
この微小分析装置の製造装置によれば、まず、第1加熱処理部において酸素濃度が制御された環境で感光性ポリイミド樹脂層が加熱処理されるため、詳細な理由は未だ明らかではないが、その感光性ポリイミド樹脂が基板の接合に適した特異な性質を備える。その結果、貼合部において第1基板と第2基板が貼り合わされた後の第2加熱処理部における
加熱温度が、前述の感光性ポリイミド樹脂の改質時の最高温度と同じ温度、又はそれよりやや低い温度であっても、実用に耐えうる基板接合強度が得られるだけでなく、貼り合わせ後の樹脂からの放出ガス量が顕著に低減する。従って、この微小分析装置の製造装置により、微小分析装置の製造工程の単純化とその製造コストの削減が実現されるとともに、信頼性の高い微小分析装置を製造することができる。
【0012】
なお、上述の各発明における「加圧」とは、複数の基板が接合される方向へ圧力が加わることをいう。
【0013】
さらに、本発明の1つの再生微小分析装置の製造方法は、パターンが形成された感光性ポリイミド樹脂層を接着層として挟むことにより耐アルカリ性の第1基板と耐アルカリ性の第2基板とが接合された微小分析装置の、その第1基板、その第2基板、及びその感光性ポリイミド樹脂層によって形成される管状流路内を流体が少なくとも1回流れた後、前述の微小分析装置をアルカリ溶液内に浸漬する工程を含んでいる。
【0014】
この再生微小分析装置の製造方法によれば、その微小分析装置を構成する耐アルカリ性の基板以外の材料が化学的安定性の高いポリイミド樹脂のみであるため、一旦分析作業によって流体(代表的には液体)が流れた微小分析装置であっても、アルカリ溶液に浸漬することにより再度利用し得る微小分析装置を製造することができるなお、本発明においてアルカリ溶液の種類を特に限定するものではないが、代表的には、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液、又は、次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。同様に、本発明において耐アルカリ性の基板の種類を特に限定するものではないが、代表的には、石英(天然又は合成)、アルミノ珪酸ガラスが挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の1つの微小分析装置の製造方法によれば、パターニングされた感光性ポリイミドを接着層として挟むことにより第1基板と第2基板とが接合されるとともに、その感光性ポリイミド樹脂が流路の内壁の一部としても利用され得るため、微小分析装置の製造工程の単純化とその製造コストの削減が実現される。また、この製造方法によれば、実用に耐えうる基板接合強度が得られるだけでなく、貼り合わせ後の樹脂からの放出ガス量を顕著に低減できるため、製造される微小分析装置の信頼性が高まる。
【0016】
また、本発明の1つの微小分析装置によれば、パターニングされた感光性ポリイミドを接着層として挟むことにより第1基板と第2基板とが接合されるとともに、その感光性ポリイミド樹脂が流路の内壁の一部としても利用され得るため、微小分析装置の製造工程の単純化と製造コストの削減が実現される。また、この微小分析装置は、基板以外の材料が熱的安定性及び化学的安定性の高いポリイミド樹脂のみであるため、装置全体としての耐熱性及び安定性を高めやすい。
【0017】
また、本発明の1つの微小分析装置の製造装置によれば、微小分析装置の製造工程の単純化とその製造コストの削減が実現されるとともに、信頼性の高い微小分析装置を製造することができる。
【0018】
また、本発明の1つの再生微小分析装置の製造方法によれば、一旦使用された微小分析装置であっても、アルカリ溶液に浸漬することにより再度利用し得る微小分析装置を製造することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の構成部材又は符号が省略され得る。
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態における1つの微小分析装置の製造装置100の平面図であり、図2及び図3は、図1に示す微小分析装置の製造装置100の一部である加熱兼加圧室20における互いに異なる目的の加熱処理時の断面図である。また、図4は、本発明の1つの実施形態における微小分析装置10の平面図であり、図5は、図4の一部(Z部)の拡大図である。また、図6A乃至図6Dは、本実施形態の微小分析装置10の製造プロセスフローを説明する模式図であり、図7は、本実施形態の微小分析装置10の製造プロセスの条件を示す図である。
【0021】
図1に示す本実施形態における微小分析装置の製造装置100は、マルチチャンバー型の処理装置である。具体的には、微小分析装置の製造装置100は、ロードロック室40と、搬送室50と、基板の加熱及び/又は加圧を行う加熱兼加圧室20と、複数の基板を精度良く貼り合わせるアライメント室30とを有している。なお、本実施形態における微小分析装置の製造装置100は、基板上に感光性ポリイミド前駆体層のパターンを形成するパターン形成処理部60をさらに備えている。ここで、パターン形成処理部60は、公知のフォトリソグラフィー技術によるパターン形成や、公知のインクジェット技術を用いたパターン形成が適用され得る。
【0022】
また、ロードロック室40と搬送室50は公知の基板搬送機構を備えている。ロードロック室40は、処理前後の基板の出し入れを行うための場所であり、搬送室50は、基板を複数の処理室又はロードロック室40に搬送する役割を果たす。また、ロードロック室40、搬送室50、及びアライメント室30は、図示されていないポンプにより排気され得る。
【0023】
ここで、図2又は図3に示すように、加熱兼加圧室20は、基板を載置するステージ22と、押圧板23、及びステージ22及び押圧板23内に埋め込まれたヒーターの温度を制御するヒーター制御部24,25を備えている。なお、ステージ22と、押圧板23は、基板の加圧時には加圧板の役割も兼ねている。また、加熱兼加圧室20は、チャンバー21内を減圧するためのポンプ26に接続されるとともに、チャンバー21内に窒素ガスを供給する窒素ガスボンベ27に接続される。
【0024】
また、ヒーター制御部24,25は、図示されていないが、公知の制御方法により、ステージ22及び押圧板23の一部に設けられた熱電対からの信号を受けてステージ22及び押圧板23の温度を制御する。また、ステージ22及び押圧板23の少なくとも一方は、図示されていない公知の昇降機構によって上下運動が可能であるため、ステージ22上に載置された基板の加圧が可能である。加えて、基板へ加えられる圧力値は、市販の圧力センサー(例えば、株式会社バルコム製センサー(型番:VLC−50KNH229))を用いた制御手段によって制御される。また、窒素ガスボンベ27による窒素ガスの供給量は、公知のバルブ28及びそれらを制御する図示されていない制御部によって精度良く制御される。
【0025】
次に、微小分析装置10について説明する。本実施形態の微小分析装置10は、一方の基板である第1基板12と他方の基板である第2基板14とが感光性ポリイミド樹脂層17を接着層として貼り合わされることにより形成されている。ここで、第1基板12の材質がシリコンであり、第2基板14の材質はパイレックス(登録商標)ガラスである。本実施形態の微小分析装置10は、注入開口部19aから1つ又は複数の検体又は試薬が導入され、管状流路18を経由して排出開口部19bからそれらが取り出されるように構成されている。また、本実施形態で用いられた感光性ポリイミド樹脂(感光性ポリイミド前駆体)の商品名は、DURIMIDE(登録商標)7510である。
【0026】
図4及び図5は、微小分析装置10における第2基板14を上側に配置することにより視認される、パターニングされた感光性ポリイミド樹脂層17の配置を示している。なお、図面を見やすくするために、感光性ポリイミド樹脂層17は無色とし、感光性ポリイミド樹脂層17と管状流路18等との境界線のみ示している。
【0027】
本実施形態では、感光性ポリイミド樹脂層17が、微小分析装置10における管状流路18の一部の内壁を形成する。具体的には、この管状流路18は、第1基板12であるシリコン基板、第2基板14であるパイレックス(登録商標)ガラス基板、及び感光性ポリイミド樹脂層17によって形成されている。従って、本実施形態の微小分析装置10は、耐熱性が高い。例えば、本実施形態の微小分析装置10は、約100℃の環境下での分析中であっても管状流路18の変質等が殆ど劣化しないため、信頼性及び再現性の高い分析結果を得ることができる。
【0028】
また、本実施形態の微小分析装置10に関しては、耐アルカリ性の基板であるシリコン基板及びパイレックス(登録商標)ガラス基板に加えて、化学的に安定な感光性ポリイミド樹脂層17のみが管状流路の内壁を構成している。そのため、本実施形態の微小分析装置10は、一旦使用された後であっても、アルカリ溶液に浸漬することにより再度利用し得る微小分析装置となる。本実施形態では、一度使用された微小分析装置10は次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に10分間浸漬された後、生理食塩水を用いてすすがれた。その後、再度微小分析装置10が最初と同じ分析のために用いられると、最初の分析結果と同等の結果が得られた
【0029】
次に、図6A乃至図6Dに示す第1基板12の一部及び第2基板14の一部に着目し、本実施形態における微小分析装置の製造装置100による各処理を説明する。ここで、第1基板12の一部及び第2基板14の一部とは、図5中に便宜上示されたA−A間の断面図に示される領域である。
【0030】
まず、図6Aに示すとおり、パターン形成処理部60において、一般的な半導体製造プロセスと同様に、公知のフォトリソグラフィー工程を経て、厚みが約30μmであって、図5中で矢印で示された管状流路18の幅(W)が約10μmである感光性ポリイミド前駆体層16が形成される。なお、本実施形態では、管状流路18の幅が約10μmに形成されていたが、これに限定されない。本実施形態の感光性ポリイミド前駆体層16は、微細加工に優れたフォトリソグラフィー工程を経て形成されるため、管状流路18の幅の自由度が高い。従って、分析システムの小型化及び集積化を進める上で、管状流路18の設計自由度が高いことは微小分析装置の高性能化に大きく寄与するといえる。
【0031】
次に、感光性ポリイミド前駆体層16が形成された第1基板12は、図1のロードロック室40内に導入される。その後、ロードロック室40、搬送室50、加熱兼加圧室20、及びアライメント室30が排気された後、第1基板12は搬送室50を経て加熱兼加圧室20に送られる。
【0032】
本実施形態では、ポンプ26により排気しつつ、バルブ28を開放してチャンバー21内に窒素ガスボンベ27から窒素250L(リットル)/min.を導入した。このとき、チャンバー21内の圧力は、約0.1MPa(1気圧)となるように調整されている。
その後、チャンバー21内の酸素濃度が50ppm以下となるように制御される。本実施形態では、窒素を導入してから約40分後に、チャンバー21内の酸素濃度が6ppmになった。酸素濃度が50ppm以下に到達した後は、窒素は安定的に150L(リットル)/min.導入される。なお、チャンバー21内に窒素ガスを導入することにより、感光性ポリイミド前駆体層16に与える熱の熱伝導性が向上する結果、加熱処理の面内均一性が高まる。
【0033】
チャンバー21内の酸素濃度が上述の通りに制御された後、ステージ22内のヒーター及びヒーター制御部24によりステージ22の温度が350℃に上昇する。第1基板12は、この状態で1時間継続的に加熱された後、常温にまで冷却される。便宜上、この加熱処理を第1加熱処理と呼ぶ。第1加熱処理の結果、図6Bに示すように、酸素濃度が50ppm以下に制御された環境下において加熱処理された感光性ポリイミド樹脂層17が形成される。なお、感光性ポリイミド樹脂層17の厚みは、加熱前の感光性ポリイミド前駆体層16の厚みの約6割であった。
【0034】
ここで、上記の感光性ポリイミド樹脂層17と、空気中の酸素の濃度(約20%)である以外は第1加熱処理条件と同じ条件で加熱された比較例としての感光性ポリイミド樹脂層の2つのサンプルについて、加熱後の樹脂の硬度をダイナミック微小硬度計(株式会社島津製作所製,型番DUH−W201)によって測定した。その結果、詳細な理由は未だ明確ではないが、酸素濃度が50ppm以下に制御された環境下で加熱処理された感光性ポリイミド樹脂層17の硬さが、酸素濃度が約20%のものよりも約32%柔らかいことが明らかになった。従って、本実施形態における感光性ポリイミド樹脂層17は、酸素濃度が制御されずに加熱処理されたものとは物性的に異なるものであると考えられる。
【0035】
また、特に酸素濃度が10ppm以下に制御された環境下で加熱処理された本実施形態のような感光性ポリイミド樹脂層は、加熱処理後の表面の色が薄い茶褐色であった。一方、酸素濃度が制御されていない感光性ポリイミド樹脂層は加熱処理後の表面の色が略黒色であった。この結果から見ても、感光性ポリイミド樹脂層の物性が異なっていることが考えられる。
【0036】
次に、チャンバー21内がポンプ26によって排気された後、上記の感光性ポリイミド樹脂層17は、搬送室50を経由してアライメント室30に送られる。アライメント室30では、図6Cに示すように、位置合わせされた他方の第2基板14が上方から第1基板12と貼り合わされる結果、微小分析装置10が形成される。
【0037】
その後、微小分析装置10は、再び搬送室50を経由して加熱兼加圧室20に送られる。加熱兼加圧室20では、図3及び図6Dに示すように、微小分析装置10は、所定の処理温度に到達したステージ22及び押圧板23によって32.7MPaで加圧される。
【0038】
具体的には、図7に示すように、まず、時刻Tにヒーターによる加熱が開始される。ステージ22及び押圧板23の温度は、加熱開始から約10分後に最高処理温度の350℃に到達し、時刻Tにおいて微小分析装置10に対する加圧処理が開始される。微小分析装置10に対する32.7MPaの加圧は、実質的に瞬時になされる。その後、微小分析装置10に対する加熱及び加圧の条件が15分間継続する。すなわち、ステージ22及び押圧板23の温度は350℃以下に制御される。その後、時刻Tにおいて加圧処理が終了し、微小分析装置10は徐冷される。その後、ステージ22及び押圧板23が常温(約25℃)になる時刻Tにおいて全ての処理が終了する。なお、便宜上、上述の加熱及び加圧処理を、第2加熱処理と呼ぶ。なお、本実施形態の第2加熱処理は、窒素雰囲気下(圧力約0.1MPa(1気圧))で行われた。
【0039】
その後、微小分析装置10は、搬送室50を経由してロードロック室40に送られ、外部に取り出される。
【0040】
上述の各処理の結果、微小分析装置10の接合強度は良好であることが確認された。具体的には、微小分析装置10の剥離試験の結果、微小分析装置10の両側を16.95MPaで引っ張ることにより破断することが確認された。しかしながら、この破断は微小分析装置10の接合面における剥離ではなく、母材自身の破壊であることが分かった。従って、接合強度は、前述の数値を超えていることが明らかとなった。また、第2加熱処理後の感光性ポリイミド樹脂層17の厚みは、第1加熱処理後の厚みと略同じであった。具体的には、第1加熱処理後の感光性ポリイミド樹脂層の厚みに対して、第2加熱処理後のそれは、2%の低下に止まった。このように、感光性ポリイミド樹脂の加熱温度と同じ温度で基板の接合処理がされた場合であっても、十分な接合強度が得られた。また、第2加熱処理時の加圧によって感光性ポリイミド樹脂層17の厚みが実質的に変化しない程度の硬度を感光性ポリイミド樹脂層17が備えていることが分かったことから、本実施形態の装置及び方法が、当初半導体ウェハー状の基板によって形成された微小分析装置10の面内均一性の向上にも寄与することが確認された。
【0041】
さらに、本実施形態と同条件で、ガラス(石英、アルミノ珪酸ガラス、又はソーダガラス)基板同士の接合を行った結果、感光性ポリイミド樹脂からの放出ガスが略皆無となるか、又は従来と比較して著しく低減されていることが加熱兼加圧室20に設けられている真空時計の数値変化から確認された。
【0042】
ここで、比較例として、空気中の酸素の濃度(約20%)以外は第1の実施形態の条件と同じ条件で第2加熱処理を含めた全ての処理が行われた微小分析装置10の接合強度と樹脂からの放出ガスの有無が調べられた。その結果、酸素濃度を50ppm以下に制御されずに第1加熱処理された比較例のサンプルは、実質的に接合されていない程度に剥がれ易いことが確認された。これは、上述の第1加熱処理後の感光性ポリイミド樹脂の硬さが、酸素濃度を制御したものよりも硬くなってしまっているため、第二加熱処理の際の加熱温度が第1加熱処理の際の加熱温度と同じであれば十分な接合には至らないことを示していると考えられる。換言すれば、酸素濃度を制御された本実施形態の第1加熱処理後の感光性ポリイミド樹脂層17は、比較例に比べて幾分柔軟性を備えた状態に形成されるため、その後の接合処理の際に第1加熱処理温度と同じ温度でも十分な接合が確保されると考えられる。従って、酸素濃度が制御された環境下における感光性ポリイミド前駆体層16の加熱処理が、微小分析装置10の第1基板12と第2基板14の接合強度及びその接合状態に影響していることが明らかとなった。
【0043】
また、本実施形態では、第1加熱処理時のチャンバー21内の酸素濃度が6ppmであったが、この酸素濃度が50ppm以下、更に好ましくは30ppm以下であれば、感光性ポリイミド樹脂の硬化の際にイミド化が阻害されにくくなる。なお、イミド化が不十分であるために生じうる接合不良の問題を生じさせないためには、上述の酸素濃度が10ppm以下であることが最も好ましい。
【0044】
また、本実施形態では、感光性ポリイミド前駆体層16に与える熱の熱伝導性を向上させて、加熱処理の面内均一性が高めるため、チャンバー21内に窒素ガスを導入したが、これに限定されない。例えば、窒素ガスを導入する代わりに、チャンバー21内を高真空化させて酸素ガスの絶対量を低減させる方法も本実施形態の一つの変形例である。本実施形態とは別に発明者らによって行われた実験では、酸素分圧が9×10−4Pa以下であれば、接合強度及び樹脂からの放出ガスに関して本実施形態と略同様の効果が奏されることが確認された。しかしながら、加熱処理の基板の面内均一性、及び処理基板間の均一性を考慮すれば、窒素ガスを導入することが好ましい。
【0045】
<第2の実施形態>
図8は、本実施形態における微小分析装置の製造プロセスの条件を示す図である。図8は、第1の実施形態の図7に相当する。本実施形態の微小分析装置の製造方法は、上述の第2加熱処理の際の微小分析装置に対する加圧処理を除き、第1の実施形態のそれと同じである。他方、本実施形態の微小分析装置の製造装置は、第1の実施形態と同じ装置構成を有している。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0046】
図8に示すとおり、本実施形態の第2加熱処理では、第1加熱処理後の微小分析装置に対して昇温前から加圧されている。ステージ及び押圧板が350℃に到達した後の各処理は第1の実施形態と同じである。
【0047】
本実施形態の各処理によって形成された微小分析装置は、第1の実施形態と比較してやや樹脂からの放出ガスによる影響が多かった。これは、第2加熱処理の際の昇温時にも、第1加熱処理の際に完全に放出し切れていなかったガスが、この第2加熱処理の段階で放出したと考えられる。一方、微小分析装置の第1基板と第2基板の接合強度は、第1の実施形態のそれと実質的に同じであった。また、第2加熱処理の前後における感光性ポリイミド樹脂の厚みの変化についても、第1の実施形態の際の変化との差が無かった。従って、接合の品質をより高めるためには、微小分析装置に対する加圧の開始時期は、ステージ及び押圧板の温度が最高温度に到達した時か、その直前(例えば、その1〜2分前)に開始することが好ましい。
【0048】
<第3の実施形態>
図9は、本実施形態における微小分析装置の製造プロセスの条件を示す図である。図9は、第1の実施形態の図7に相当する。本実施形態の微小分析装置の製造方法は、上述の第1加熱処理及び第2加熱処理の際の最高処理温度を除き、第1の実施形態のそれと同じである。他方、本実施形態の微小分析装置の製造装置は、第1の実施形態と同じ装置構成を有している。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0049】
本実施形態で用いられた感光性ポリイミド樹脂の商品名は、DURIMIDE(登録商標)7510である。また、本実施形態における第1加熱処理温度は300℃である。また、図9に示すとおり、本実施形態の第2加熱処理の際の最高処理温度は300℃である。上記の処理条件によって製造された微小分析装置も、第1の実施形態と略同様の接合強度が得られる。また、感光性ポリイミド樹脂からの放出ガスに関しても、第1の実施形態と同様、略皆無となるか、又は従来と比較して著しく低減される。
【0050】
<第4の実施形態>
本実施形態の微小分析装置の製造方法は、上述の第1加熱処理の際の酸素濃度が10ppmであることを除き、第1の実施形態のそれと同じである。他方、本実施形態の微小分析装置の製造装置は、第1の実施形態と同じ装置構成を有している。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0051】
上述のように、酸素濃度が10ppmの環境下で第1加熱処理がされた場合であっても、第1の実施形態と略同様の接合強度が得られる。また、感光性ポリイミド樹脂からの放出ガスに関しても、第1の実施形態と同様、略皆無となるか、又は従来と比較して著しく低減される。
【0052】
<第5の実施形態>
本実施形態の微小分析装置の製造方法は、上述の第2加熱処理の際に微小分析装置に加える圧力を除き、第1の実施形態のそれと同じである。他方、本実施形態の微小分析装置の製造装置は、第1の実施形態と同じ装置構成を有している。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0053】
上述以外の実施形態において、第2加熱処理時の圧力を変化させた条件で微小分析装置が製造された結果、16.3MPa以上49MPa以下で加圧すれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏されることが確認された。具体的には、16.3MPaの圧力で加圧されたとき、所定の大きさ(7500mm)以上の表面積が接合に寄与していれば、接合強度は第1の実施形態のそれと遜色ないことが分かった。他方、49MPaの圧力で加圧されたときは、線幅100μmの微細パターン(1:1のライン・アンド・スペース)の一部が潰れるという現象が確認されたが、接合強度は第1の実施形態のそれと遜色ないことが分かった。また、16.3MPaの圧力、又は49MPaの圧力のいずれの場合であっても、感光性ポリイミド樹脂からの放出ガスは略皆無となるか、又は従来と比較して著しく低減されていることが確認された。
【0054】
ところで、上述の各実施形態では、第1加熱処理と第2加熱処理が同一のチャンバー内で行われていたが、これに限定されない。第1加熱処理と第2加熱処理が異なるチャンバーで行われても、本発明と同様の効果が奏される。
【0055】
また、上述の各実施形態では、第1加熱処理の最高温度が300℃又は350℃であったが、これに限定されない。第1加熱処理の最高温度が200℃以上450℃以下であれば、上述のように第2加熱処理温度をその温度と同じかやや低い温度に設定することにより本発明の少なくとも一部の効果が奏されるといえる。これは、200℃未満であれば、基板の接合に適した感光性ポリイミド樹脂を得ることが出来ないためであり、他方、450℃を超えると感光性ポリイミド樹脂が熱分解するという問題が生じ得るからである。
【0056】
また、上述の各実施形態では、第1加熱処理温度と第2加熱処理温度を同じ温度に設定したが、第2加熱処理温度が第1加熱処理温度よりも30℃低い値に設定されていても、本実施形態と実質的に同様の効果が奏される。
【0057】
また、上述の各実施形態では、第2加熱処理が窒素雰囲気下(圧力約0.1MPa(1気圧))で行われたが、この雰囲気に限定されない。例えば、窒素の代わりに他の不活性ガス(例えば、アルゴンガス)の雰囲気下であっても、本実施形態と実質的に同様の効果が奏される。さらに、第2加熱処理の圧力条件についても、約0.1MPa(1気圧)に限定されない。第2加熱処理が真空下(例えば、圧力5×10−4Pa)であっても、本実施形態と実質的に同様の効果が奏される。
【0058】
また、上述の各実施形態では、第1基板及び第2基板の材質がシリコン又はパイレックス(登録商標)ガラスであったが、これらに限定されない。本発明は、陽極接合のように可動イオンを含むガラス材と金属等とを必須とするものではなく、特定の処理を施した感光性ポリイミド樹脂を用いることによって種々の基板を接合する技術を提供する。例えば、基板の接合という観点で言えば、上述の各実施形態における貼り合わせ技術を適用することにより、シリコン酸化膜が形成された基板同士やシリコン窒化膜が形成された基板同士であっても接合されうる。また、アルミニウム基板同士、アルミニウム基板とガラス基板、シリコン酸化膜が形成された基板とガラス基板、又はシリコン窒化膜が形成された基板とガラス基板であっても、本発明を適用することにより接合されうる。但し、微小分析装置における検体や試薬の視認性の観点から、少なくとも一方の基板が透明度の高い基板(例えば、天然石英、合成石英、アルミノ珪酸ガラス)が好ましい。なお、アルカリ溶液中に浸漬させることにより再生微小分析装置を製造する観点からは、耐アルカリ性の基板である、天然石英、合成石英、アルミノ珪酸ガラスが好ましい。
【0059】
さらに、基板の接合という観点で言えば、上述の各実施形態における貼り合わせ技術を適用することにより、銅基板同士、銅基板とシリコン基板、銅基板とシリコン酸化膜が形成された基板、サファイア基板とシリコン基板、サファイア基板とシリコン酸化膜が形成された基板、又は水晶板同士であっても接合されうる。以上、述べたとおり、本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、種々の微小分析装置及びそれらの要素技術として広く利用され、さらに、微小分析装置の製造装置としても広く利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造装置の平面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造装置の一部である加熱兼加圧室における第1加熱処理時の断面図である。
【図3】図2に示す加熱兼加圧室における第2加熱処理時の断面図である。
【図4】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の平面図である。
【図5】図4の一部(Z部)の拡大図である。
【図6A】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造プロセスフローを説明する模式図である。
【図6B】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造プロセスフローを説明する模式図である。
【図6C】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造プロセスフローを説明する模式図である。
【図6D】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造プロセスフローを説明する模式図である。
【図7】本発明の1つの実施形態における微小分析装置の製造プロセスの条件を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態における微小分析装置の製造プロセスの条件を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態における微小分析装置の製造プロセスの条件を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 微小分析装置
12 第1基板
14 第2基板
16 感光性ポリイミド前駆体層
17 感光性ポリイミド樹脂層
18 管状流路
19a 注入開口部
19b 排出開口部
20 加熱兼加圧室
21 チャンバー
22 ステージ
23 押圧板
24,25 ヒーター制御部
26 ポンプ
27 窒素ガスボンベ
28 バルブ
30 アライメント室
40 ロードロック室
50 搬送室
60 パターン形成処理部
100 微小分析装置の製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板上に感光性ポリイミド前駆体層を形成する工程と、
前記感光性ポリイミド前駆体層のパターンを形成するパターン形成工程と、
酸素濃度が50ppm以下の環境下で、前記パターンが形成された前記感光性ポリイミド前駆体層を200℃以上350℃以下で加熱して感光性ポリイミド樹脂層を形成する第1加熱工程の後、第2基板と前記第1基板との間に前記感光性ポリイミド樹脂層を挟む工程と、
前記第1基板及び前記第2基板を16.3MPa以上49MPa以下で加圧しながら、前記第1加熱工程の最高温度と同じ温度、又は前記第1加熱工程の最高温度との差が30℃以内の前記第1加熱工程の最高温度よりも低い温度で加熱する第2加熱工程とを有する
微小分析装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1加熱工程における酸素以外の気体が、実質的に窒素からなる
請求項1に記載の微小分析装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2加熱工程は、前記第1基板及び前記第2基板に対する加圧が前記第2加熱工程の最高温度に到達した時、又はその後に開始する
請求項1に記載の微小分析装置の製造方法。
【請求項4】
パターニングされた感光性ポリイミド樹脂層を接着層として挟むことにより第1基板と第2基板とが接合され、
前記第1基板、前記第2基板、及び前記感光性ポリイミド樹脂層が、管状流路を形成する
微小分析装置。
【請求項5】
第1基板上に感光性ポリイミド前駆体層のパターンを形成するパターン形成処理部と、
酸素濃度が50ppm以下の環境下で、前記パターンが形成された前記感光性ポリイミド前駆体層を200℃以上350℃以下で加熱して感光性ポリイミド樹脂層を形成する第1加熱処理部と、
前記感光性ポリイミド樹脂層を挟んで前記第1基板と第2基板とを貼り合わせる貼合部と、
前記第1基板及び前記第2基板を16.3MPa以上49MPa以下で加圧しながら、前記第1加熱処理部の最高処理温度と同じ温度、又は前記第1加熱処理部の最高処理温度との差が30℃以内の前記第1加熱処理部の最高処理温度よりも低い温度で加熱する第2加熱処理部とを備える
微小分析装置の製造装置。
【請求項6】
前記第1加熱処理部における酸素以外の気体が、実質的に窒素からなる
請求項5に記載の微小分析装置の製造装置。
【請求項7】
前記第2加熱処理部は、前記第1基板及び前記第2基板に対する加圧が前記第2加熱処理部の最高温度に到達した時、又はその後に開始する
請求項5又は請求項6に記載の微小分析装置の製造装置。
【請求項8】
パターンが形成された感光性ポリイミド樹脂層を接着層として挟むことにより耐アルカリ性の第1基板と耐アルカリ性の第2基板とが接合された微小分析装置の、前記第1基板、前記第2基板、及び前記感光性ポリイミド樹脂層によって形成される管状流路内を流体が少なくとも1回流れた後、前記微小分析装置をアルカリ溶液内に浸漬する工程を含む
再生微小分析装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−54451(P2010−54451A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222141(P2008−222141)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成20年7月30日から平成20年8月1日に、財団法人マイクロマシンセンター主催のマイクロナノ2008 第19回マイクロマシン/MEMS展にて発表
【出願人】(307021092)山中セミコンダクター株式会社 (4)
【Fターム(参考)】