説明

微粒子ろ過装置

本発明は、供給ガス用の供給入口側面(12)と、ろ過物用のろ過物出口(16、18)とを有するフィルタ(10)を備える微粒子ろ過装置(100)であって、供給ガス溝(20)と、ろ過物溝(22)と、前記供給入口側面(12)と前記ろ過物出口(16、18)との間の1つ以上のダイアフラム(34)とをさらに備える微粒子ろ過装置(100)に関する。前記供給入口側面(12)の反対側に、集塵室(52)と一緒に微粒子出口(50)が配置され、前記集塵室(52)は前記微粒子出口(50)に取り付けられて、前記供給ガス溝(20)内に保持される微粒子を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の微粒子ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子フィルタは、ディーゼル機関用の排気後処理において、ますます標準的な部品となってきている。最も一般的に用いられる大型車両エンジン用の微粒子フィルタは、コーディエライト又は炭化けい素(SiC)等のセラミック基材に基づいている。これらは、通常、モノリス基材として製作される。モノリス基材は、多数の平行且つ一端が閉じられた溝を有し、一部の溝はモノリスの入口で閉じられて、一部の溝はモノリスの出口で閉じられる。排気ガスが基材の溝壁を通過させられるときに、微粒子はろ過される。効率は通常高く、90%を超える。捕集された微粒子は酸化によってフィルタから除去される。NOが排気ガス中に存在する場合、酸化は、約250°Cから始まる低温で起こるだろう、また、酸素による酸化の場合、約600°Cの高温で起こるだろう。高温酸化の間の温度制御は、微粒子フィルタの耐久性にとって極めて重要である。微粒子フィルタは、局所温度極大値に特に敏感である。このような局所温度極大値は、不揃いな煤煙の捕集によって、又は、不完全なフィルタ再生処置によって引き起こされうる。捕集された煤煙の一部は酸化によって除去出来ず、再生後に残った灰は、別途、主に手作業によって処理されなければならないが、消音器を取り外してフィルタを洗浄することによって処理される。
【0003】
上記に記載のろ過装置は、20年以上の間、商業的に入手可能であった。特許文献1は、波形フィルタ材料と平面フィルタ材料を一緒にする、いくつかの方法を示す。波形フィルタシートを積層することが提案されるが、積層された波型フィルタシートにおいて、連続するシートの流体溝が90°回転された状態で互いに直交して配向される。供給ガスは供給ガス用側面を入り、ろ過物は、供給ガス用側面に直交する側面で積層体を出るが、例えば、未処理排気ガスが供給ガスである場合、ろ過済み排気ガスが出る。
【0004】
特許文献2において、小型のセラミックモノリスを備えて交差流ろ過を得る配置が開示される。配置において、ろ過物はモジュールの外側に移動出来る。
【0005】
焼結金属シートを積層して微粒子フィルタにする一例は、特許文献3に示される。中央開口部を有する大型シートはアコーディオン状に互いに溶接されて、排気ガスは、外側から多孔性シートを通って内側の開口部内へと向けられる。ろ過残渣、すなわち煤煙と灰とは、フィルタシートの下に配置される容器内に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,589,983号明細書
【特許文献2】米国特許第6,126,833号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1132582号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、煤煙と灰とをフィルタから容易に除去することを可能にする微粒子ろ過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。その他の請求項及び説明に、本発明の有利な実施形態を開示する。
【0009】
本発明によれば、供給ガス用の供給入口側面とろ過物用のろ過物出口とを有するフィルタを備える微粒子ろ過装置であって、供給ガス溝とろ過物溝と、供給入口側面とろ過物出口との間の1つ以上のダイアフラムとをさらに備える微粒子ろ過装置。供給入口側面の反対側に、集塵室と一緒に微粒子出口が配置され、集塵室は微粒子出口に取り付けられて、供給ガス溝内に保持される微粒子を回収する。好ましくは、微粒子出口は、供給入口側面の反対側に配置されて、ろ過物出口は、供給入口側面と交差して配置される。好適には、供給ガス溝とろ過物溝との間のダイアフラムは、積層方向に対して垂直に配向される。フィルタ本体は、立方体状の形状を呈しうる。好適には、ろ過物出口は、フィルタの対向する2つの側面に設けられうる。フィルタの交差流配置は、小型かつ効率的なろ過装置をもたらす。
【0010】
集塵室は、微粒子出口に配置されて、供給ガス溝内に保持される微粒子を回収する。集塵室は、フィルタの再生中に形成される灰を回収する。ろ過装置は好適には自動車用途に用いられ、特には、ディーゼル機関を備える車両内で用いられる。このため、集塵室はサイズが適合可能であり、それによって少なくとも定期点検と定期点検の間において形成される灰を保持する。特には、集塵室の容積は、数回の車両の定期点検と定期点検の間の灰を保持するように設計可能である。供給ガス、すなわち自動車環境内の機関の排気ガスは、ろ過装置の供給ガス溝に入り、気体透過性ダイアフラムを通ってろ過物溝内に流入し、ろ過装置から出る。供給ガス内で運ばれる灰及び煤煙は、ダイアフラムにより保持される。煤煙は、NO及び/又はOにより燃焼させることが可能な一方、灰は粘性力により供給溝の端へ、そして集塵室内へとゆっくりと移動させられる。好ましくは、溝は、断面積が数平方ミリメートルの範囲にあり、かなり大きなサイズである。
【0011】
好ましくは、集塵室は取外し可能にフィルタに接続されうる。ろ過装置からの灰の除去及び集塵室の掃除は、非常に簡単な方法ですることが可能である。
【0012】
好適な実施形態によれば、ろ過装置が動作環境に取り付けられるとき、集塵室は測地学的にフィルタの下に取り付け可能である。例えば、フィルタ、及び、取り付けられる集塵室は、水平方向の代わりに垂直方向に配向可能であり、その場合、供給入口側面は上側、集塵室は下側となる。灰を供給溝の端へ、そして集塵室内へと駆動する粘性力に加えて、提案の配置において、この駆動力は重力により補助される。好適には、供給ガスは供給入口側面に対して偏向されるが、例えば、フィルタの供給入口側面へと傾斜するダクトを配設することによって偏向される。
【0013】
好適には、供給ガスは、供給ガス板内に配置される供給ガス溝に沿って移動可能であり、及び/又は、ろ過物は、ろ過物板内に配置されるろ過物溝に沿って移動可能である。この配置は単純な設計である。特には、連続する板の溝は直角に並べられることが可能である。
【0014】
有利な実施形態によれば、板は積層方向に積層されるとともに、気体透過性ダイアフラムにより分離される。これによって、小型かつ単純なフィルタ設計となる。
【0015】
さらに他の好適な実施形態において、触媒材料が、1つ以上又は全部の供給ガス溝内に設けられうる。好適には、1つ以上又は全部の供給ガス溝は酸化触媒を提供しうる。酸化触媒は、触媒層として好適には塗布されることが可能である。例として、触媒は、NOの量を増加させることによって、相対的に低い温度での連続的なフィルタ再生を改善し、及び/又は、NO除去効率を向上させる。これによって、供給ガス溝内の煤煙の酸化が改善可能である。
【0016】
追加的又は代替的に、触媒材料は、1つ以上のろ過ガス溝内に設けられうる。好適には、1つ以上又は全てのろ過物溝は、窒素酸化物(NO)を還元する触媒を提供可能である。これに代わる触媒は、NOをNOに還元する触媒であっても良く、これは高NO含有率が煤煙の酸化に必要である場合に特に好適でありうる。触媒材料は触媒層として好適に塗布可能である。
【0017】
1つの板内におけるガス溝間の1つ以上の分離壁は、気密性であっても良い。このような場合、供給ガスは、供給溝とろ過物溝との間のダイアフラムのみを透過する。板の好適な実施形態は多数の平行分離壁を有する櫛状断面であり、平行分離壁の片側は、ガス溝の底部を形成する板状多孔質体に接続される。個々の板は上からみると開放しており、多孔質底部とこの底部上に直立する平行な分離壁とを有する。供給ガスがダイアフラムを通って流れるときにろ過物をろ過残渣から分離するダイアフラムとしての役割を果たす多孔性材料により形成される底部。この種類の板はモノリス体として製作されうる。複数のこのような板を上下に積層することで溝を有する配置が得られ、その配置において、連続する板の底部は前の板の溝の覆いを形成する。このため、底部と溝の覆いとは、供給ガスに対して透過性である。本実施形態において、溝の水力直径は、比較的大きくても良いため、より低い圧力降下がもたらされる、また、所与の水力直径において、容積当たりのダイアフラム面積を大きく出来る。水力直径とは、非円形の管及び溝内の流れを論じるときに一般に用いられる用語である。これは、溝の断面積の4倍を溝の流体濡れ縁長さで割ったものとして定義されうる。流体とは、付与されるせん断応力の下において、付与される応力がどれほど小さいかに関わらず、連続的に変形(流動)する物質として定義される。全ての液体と全ての気体は流体である。
【0018】
板の他の実施形態は、ダイアフラム板の間に波形箔を用いるものである。この実施形態は、供給ガス溝内の酸化触媒、及び/又は、ろ過物溝内のNO還元触媒と組み合わせると非常に有利である、なぜなら、この構造は圧力降下に対して、より敏感ではないためである。触媒被膜は、ダイアフラムの代わりに波形箔上に配置することが可能である。
【0019】
追加的又は代替的に、1つの板内のガス溝間の1つ以上又は全ての分離壁はダイアフラムとして機能可能である。これによって、フィルタの板を同じ材料から一体成型製造することが可能となり、早くて経済的な製造となる。また、流れが1つ以上の溝内で詰まる場合は、流体は、透過性分離壁を通って、詰まった溝から詰まっていない溝へと流れることが出来るため、板内の溝間での均質化された流体流が得られる。
【0020】
追加的又は代替的に、同じ板内のガス溝間の1つ以上の分離壁は、穴が開けられてもよい。フィルタの一部分が大きい圧力降下を受ける場合に、溝内の流体流は再分配可能であり、圧力降下は、例えば、ダイアフラムにより保持される微粒子の不均等な分布によって引き起こされる。
【0021】
有利な実施形態によれば、噴射装置がろ過物溝と直接流体接続されて、フィルタに結合可能である。好適には、噴射装置は、1つのろ過物出口に置き換わることが出来る。噴射される媒体は、アンモニア、尿素、又は、他のアンモニア担体のようなNO除去用還元剤であっても良い。NO除去用還元剤は、アンモニアSCR(SCR=選択触媒還元)に一般的に用いられる。噴射される媒体は、炭化水素SCRプロセス(HC−SCR)におけるNO還元に用いられる燃料、又は、NOの一部又は全てのNOへの還元に用いられる燃料であってもよい。
【0022】
供給ガスの一部分は、噴射される媒体のための駆動ガスとして噴射装置へと好ましくは方向変更可能である。方向変更される供給ガスの適切な量は、15体積%までの範囲内、好適には10体積%までの範囲内とされうる。方向変更されるガスの量は調節可能であるため、噴射される媒体の、蒸発及び/又は分解を可能にする、十分なエネルギーと滞留時間とを提供する。好適には、流体管路が、供給ガス溝の下流側端部と噴射装置との間に設けられる。方向変更される供給ガスの量は、供給ガス出口に取り付けられるガス管路の断面によって容易に適合可能である。方向変更されるガスは、フィルタへと向かう駆動力に加えて、蒸発及び/又は分解のためにエネルギーを還元剤の液滴に供給可能である。
【0023】
流体管路は、フィルタと噴射装置との間の界面と並べて配置可能である。これは、噴射される媒体の有利な予熱をもたらす。フィルタの噴射側は熱交換器として機能可能であり、供給ガスとろ過物のそれぞれを冷却可能であるため、噴射される媒体を加熱する。噴射される還元剤の適正な気化及び/又は分解をもたらすには、供給ガスの温度が低すぎる場合、別体の加熱器がこの配置に結合可能である。所望の生成物への確実な分解をもたらす作用温度として、例えば、尿素は約400°Cを必要とする。噴射される媒体を予熱するために、排気ガスからの熱が使用可能である場合、加熱に必要とされるエネルギーがより少ない。
【0024】
好適には、微粒子フィルタは、流体管路内に設けられることが可能である。フィルタは、ウォールフロー式の上記のフィルタと同じ種類であっても良い。フィルタは、同じ集塵室を灰用に使用可能である。しかし、あらゆる種類のフィルタが流体管路内で使用可能であり、フロースルー式等が使用可能である。
【0025】
さらに、加熱器が流体管路に結合されうる。加熱器は、選択的には、電気加熱器であっても良い。一般的に、触媒燃焼器又は火炎燃焼器も用いられうる。
【0026】
好適な実施形態において、溝板及び/又はダイアフラムは金属で製作されうる。金属材料、特に焼結金属を使用する場合、フィルタは、セラミック材料に比べてより高い熱伝導率とより高い熱容量とを呈するため、熱非均質とホットスポットとを防ぐことができる。金属材料は、セラミックに比べて良好な力学的性質も呈する。
【0027】
一般的に、ダイアフラムは、いかなる多孔性材料によって製作されることも可能である。多孔性金属、すなわち焼結金属を使用する場合、高い熱伝導率がもたらされ、従って局所的な熱点を防ぐことができる。
【0028】
本発明と、上記及びその他の目的及び利点とは、以下の実施形態の詳細な説明から、最もよく理解されうるが、これらの実施形態に制限されるわけではない。本発明を示す略図は、下記のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にしたがったろ過装置の側面図(図1a)及び第1の好適なフィルタの斜視図(図1b)である。
【図2】本発明にしたがったろ過装置の側面図(図2a)及び第2の好適なフィルタの斜視図(図2b)である。
【図3】供給ガスが、フィルタに取り付けられる噴射装置へと方向変更される状態の、好適なろ過装置の第1の実施形態の上面図である。
【図4】供給ガスが、フィルタに取り付けられる噴射装置へと方向変更される状態の、好適なろ過装置の第2の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面において、同等又は同様の要素は、同等の参照符号によって示されている。図面は、単なる略図であって、本発明の特定のパラメータを示すことを意図するものではない。さらに、図面は、本発明の一般的な実施形態のみを示すことを意図するものであり、したがって本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【0031】
本発明にしたがったろ過装置(図示せず)の好適なフィルタ10が、図1a及び1bに示されている。フィルタ10は、供給ガス用の供給入口側面12とろ過物用のろ過物出口16、18とを有する。例えば、未処理排気ガスを供給流体とする場合は、ろ過物は、炭素粒子を含まない排気ガスである。供給ガスは、供給ガス板30内に配置される供給ガス溝20に沿って流れ、ろ過物は、ろ過物溝板32内に配置されるろ過物溝22に沿って流れる。板30、32は、積層方向40に交互に積み重ねられるとともに、ガス透過性ダイアフラム34により分離される。板30、32において、連続する溝板30、32の溝20、22は直交して並べられる、すなわち、図1aに示されるような板30、32は、各積層レベルにおいて90°回転される。
【0032】
板30、32は、ダイアフラム34として機能する多孔性底面上に位置する分離壁36(数個のみ参照符号を付して図示)を有する櫛状の側面を呈する。これが、分離壁36により分離される平行な溝20、22(数個のみ参照符号を付して図示)をもたらす。板30、32の最外側端部には、気密性又は多孔性かもしれない端部壁38が配置される。気密性の端部壁38の場合、これらが供給ガスを妨げるため、供給ガスは、溝20だけを通ってフィルタ10に入る。多孔性の端部壁38の場合は、これらはダイアフラム34と同じ材料によって製作されうる。個々の分離壁36は、気密性又は気体透過性であってもよく、例えばダイアフラム34と同じ材料により製作されるか、又は穴を開けられてもよい。1つの櫛状輪郭の個々の分離壁36のグループはサブグループに分けられることが可能であり、例えば、一方のサブグループは気密性の分離壁を備え、他方のサブグループは気体透過性の分離壁を備える。2つのサブグループの個々の分離壁36は、ある一定の順序で配置されうる(例えば、気密性分離壁の後に気体透過性分離壁が続く交互の順序で配置される)。その他の順序の配置も可能である。積層された板30、32は、板30、32間の安定的な結合を生み出すために、溶接、焼結等をされることも可能で、又は、機械的に押圧されて一緒にされることも可能である。板30、32はモノリス体として製作可能である。
【0033】
フィルタ10の角に位置する溝も、フィルタ10をろ過装置100内に取り付けるために用いられる材料、すなわち繊維マット又は金属板により閉じられうる。
【0034】
気体透過性分離壁36が用いられる場合、供給ガスは、ダイアフラム34を通ってろ過物溝22内に流入するだけでなく、隣接する溝20にも流入しうる。このことは、動作中に個々の供給ガス溝20が、更には、ろ過物溝22が詰まる場合に有利である。そして、流体の流れは、詰まった溝に関わらず均質化されうる。他方、気密性分離壁36は非常に安定なものにされうる。
【0035】
図1bに示されるように、積層体は、2つの気密性端板14a、14b間に取り付けられる。溝20(数個のみ参照符号を付して図示)を有する第1の供給ガス板30の上に、第2のろ過物板32が、そのろ過物溝22を供給ガス溝20に対して直交させた状態で取り付けられる、その上に、第3の供給ガス板30、第4のろ過物板32、第5の供給ガス板30、第6の供給ガス板32が続く。図1bに矢印24により示される供給ガス、すなわち、未燃炭素(煤煙)を運ぶディーゼル機関の排気ガスは、供給ガス溝20内に流入するとともに、ダイアフラム34を通ってろ過済み溝22に入る(流れの方向は矢印28により図示される)。ダイアフラム34は、連続する板30、32の溝20、22を分離する。
【0036】
微粒子出口50は供給入口側面12の反対側に配置される。ろ過物出口16、18は、供給入口側面12と交差して配置される。ろ過物の流れは矢印26により示される。集塵室52が微粒子出口50に配置されて、供給ガス溝20内に保持される微粒子を回収する。
【0037】
溝20、22は、供給ガスがダイアフラム34を通過させるようにする特定のストッパにより詰まることなく、溝長さに沿って通常開放される。微粒子出口50は集塵室52により閉じられるため、供給ガスはダイアフラム34又は多孔性端部壁38を透過することによってのみフィルタから出ることが出来る。
【0038】
好適には、集塵室52は取外し可能にフィルタ10に接続されるとともに、回収された灰を時々取り除くために取り外し可能である。図の実施形態において、集塵室52は供給ガス入口12と同じ高さであるため、図のような水平配置をもたらしている。しかし、ろ過装置が取り付け状態にあるとき、例えば、車両の排気ガス後処理システム内に取り付けられるとき、集塵室52は測地学的にフィルタ10より下に取り付けることも可能である。例えば、図のように微粒子出口50に取り付けられた集塵室52を有するフィルタ10を垂直配置(図示せず)へ傾けることも可能であるため、集塵室52が測地学的にフィルタ10の下になる。ダクトが、供給入口側面12の前の供給ガスのために配設可能であり、これによって供給ガス流をフィルタ10の外の水平な流れからフィルタ10内への垂直な流れへと偏向させる。
【0039】
フィルタ10は立方体の形状を呈する。供給ガス入口12は立方体の前面にある一方で、2つのろ過物出口16、18は、立方体の側壁であるフィルタ10の対向する2つの側面に設けられる。微粒子出口50は、供給ガス入口12の反対側の立方体側面上に配置される。
【0040】
ダイアフラム34に付着する煤煙は酸化され、灰は上述のように粘性力及び/又は重力により集塵室52に運ばれる。
【0041】
板30、32は焼結材料によって製作されうる。焼結材料は、セラミック材料、又、特に好適には金属材料とされうる。触媒を、供給ガス溝20内、及び/又は、ろ過物ガス溝22内に設けることが可能である。
【0042】
図2a及び2bに、板30、32の積層体によって構成される好適なフィルタ10の他の実施形態が示される。
【0043】
図2aに示されるように、板30、32は、ダイアフラム34と波形箔の2つの部品によって形成されて、波形箔は、例えば、三角形の断面を有する。波形箔は、積層体内の連続する板30、32のダイアフラム34間のスペーサーとして機能し、又、分離壁36を形成することによって各板30、32内の平行な溝20、22を画定する。各板30、32は端部壁38を呈する。端部壁38は気密性又は気体透過性であるだろうし、例えば、ダイアフラムの材料により製作される。気密性端部壁38を用いることにより、供給ガスは、供給ガス溝20を通ってのみフィルタに入る。
【0044】
図2bに示されるように、積層体は、2つの気密性端板14a、14b間に取り付けられる。溝20(数個のみ参照符号を付して図示)を有する第1の供給ガス板30aの上に、第2のろ過物板32が、そのろ過物溝22を供給ガス溝20に直交させた状態で取り付けられ、その上に、第3の供給ガス板30、第4のろ過物板32、第5の供給ガス板30、第6のろ過物板32、第7の供給ガス板30bが続く。最下部及び最上部の供給ガス板30a、30bは、図のようにストッパ42を備えることが出来る。また、ストッパ42が設けられない場合、波形箔36は好適には気体透過性とすることが出来て、これによって供給ガスがこれら最外側板30a、30b内の行止りの溝20内に捕らわれることを防ぐ。
【0045】
矢印24により示される供給ガス、すなわち未燃焼炭素(煤煙)を運ぶディーゼル機関の排気ガスは供給ガス溝20内に流入するとともに、ダイアフラム34を通ってろ過済み溝22に入る(流れの方向は破線の矢印28により図示)。ダイアフラム34は連続する板30、32の溝20、22を分離する。ろ過物は、ろ過物出口16、18からフィルタ10を出る。ろ過物の流れは矢印26により示される。
【0046】
図1a、1bのように、微粒子出口50は、供給入口側面12の反対側に配置され、ろ過物出口16、18は供給入口側面12と交差して配置される。集塵室52は、微粒子出口50に配置されて、供給ガス溝20内に保持される微粒子を回収する。
【0047】
最外側板30a、30bを除いて、溝20、22は、供給ガスがダイアフラム34を通過させるようにする特定のストッパにより詰まることはなく、通常、その溝長さに沿って開放される。微粒子出口50は集塵室52により閉じられるため、供給ガスは、ダイアフラム34を透過することによってのみフィルタから出る。
【0048】
次に図3及び図4を参照すると、好適なろ過装置100が、フィルタ10上の上面図として示されている。
【0049】
噴射装置60は、ろ過物溝22に直接流体接続してフィルタ10に結合される。フィルタ10の説明のために、図1a、1b及び図2a、2bの実施形態を参照して不必要な繰り返しを避ける。噴射装置60は、1つのろ過物出口、例えば、ろ過物出口16に置き換わる。
【0050】
チャンバ62は、ろ過物出口側面16に取り付けられるが、チャンバ62は、噴射装置60のために入口を有し、且つ、供給ガスの一部分のために噴射装置60とフィルタ10との間に界面64を形成する。供給ガスの一部分は噴射される媒体のための駆動ガスとして、噴射装置60の方へ方向を変えられる。これを達成するために、流体管路70(大きい矢印で示される)は、供給ガス管路20の下流側端部と噴射装置60との間に設けられる。
【0051】
流体管路70は、フィルタ10と噴射装置60との間の界面64と並べて配置される。この配置により、界面64は、高温の供給ガスと噴射される媒体との間の熱交換器の効果を有することが可能で、噴射される媒体は好適には、尿素、アンモニア、又は、他のアンモニア担体、及び/又は、炭化水素である。
【0052】
微粒子フィルタ72の他に、加熱器74、特には、電気加熱器が流体管路70内に設けられる。管路70内の追加のフィルタ72は、図3では加熱器74の上流に配置されて、図4では加熱器74の下流に配置される。
【0053】
方向が変えられる供給ガスの量は、好適には、供給ガスの15体積%までの数体積%の間であり、好適には、供給ガスの10体積%までである。装置は、はるかに多くの割合の供給ガスを方向変更流体管路70内で取り扱うために設計されることも可能である。流体管路70を通る流れは、例えば、適切な弁76により制御可能である。弁76は、方向が変更された流れを受動的又は能動的に制御出来る。
【0054】
図3において、フィルタ72は、フィルタ10と同じ種類のものとされうるし、同じ灰回収用の集塵室52を使用することも可能である。
【0055】
特にウォールフロー式フィルタを備える図4の配置において、供給ガスの方向変更される部分の流れは、エンジン、又は、NOベースの煤煙燃焼がフィルタ10の再生に十分ではない条件で時々走る自動車の種類に対して、酸素ベースの再生を行うために使用されることも可能である。
【0056】
灰は容易に除去可能で、微粒子フィルタ10の再生の間の圧力降下の増大の一因とならない。焼結金属ダイアフラムを用いる場合は、局所的な熱点は、より重要ではない。複数の機能、例えば、酸化触媒、微粒子フィルタ、還元剤の噴射、窒素酸化物除去(部分的)、熱交換器を1つの装置(ろ過装置100)に一体化させることが可能であり、包装がより困難でなくなる。板30、32(図1a、図2a)のような焼結多孔性金属シートは、類似のセラミックフィルタシートよりはるかに高い強度を呈する。一体化された機能を有する焼結金属ディーゼル微粒子フィルタによる解決策は、セラミック製ディーゼル微粒子フィルタによる解決策に比べて、安価で全体的な解決策を生み出す可能性を有する。例えば、支持溝壁36に塗布される場合や、特には、波形箔を有する実施形態においては、触媒材料を被覆することは、フィルタ中の圧力降下を増大させることなしに行われるだろう。入口溝20と出口溝22とを異なる被膜で被覆することは容易である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ガス用の供給入口側面(12)と、ろ過物用のろ過物出口(16、18)とを有するフィルタ(10)を備える微粒子ろ過装置(100)であって、供給ガス溝(20)と、ろ過物溝(22)と、前記供給入口側面(12)と前記ろ過物出口(16、18)との間の1つ以上のダイアフラム(34)とをさらに備える微粒子ろ過装置(100)において、前記供給入口側面(12)の反対側に、集塵室(52)と一緒に微粒子出口(50)が配置され、前記集塵室(52)は前記微粒子出口(50)に取り付けられて、前記供給ガス溝(20)内に保持される微粒子を回収することを特徴とする微粒子ろ過装置(100)。
【請求項2】
前記集塵室(52)は、取外し可能に前記フィルタ(10)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フィルタ(10)が取付けられた状態で、前記集塵室(52)は、測地学的に前記フィルタ(10)の下に取り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記供給ガスは、前記供給入口側面(12)に対して偏向されることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ろ過物出口(16、18)は、前記フィルタ(10)の対向する2つの側面に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記供給ガスは、供給ガス板(30)内に配置される供給ガス溝(20)に沿って移動することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ろ過物は、ろ過物板(32)内に配置されるろ過物溝(22)に沿って移動することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
連続する板(30、32)の前記溝(20、22)は、直交して並べられることを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記板(30、32)は積層方向(40)に積層されるとともに、気体透過性ダイアフラム(34)により分離されることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
触媒材料が、1つ以上の供給ガス溝(20)内に設けられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の供給ガス溝(20)は酸化触媒を提供することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
触媒材料が、1つ以上のろ過物ガス溝(22)内に設けられることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上のろ過物溝(22)は、窒素酸化物を還元する触媒を提供することを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記触媒は、前記ダイアフラム(34)の上、及び/又は、前記分離壁(36)の上に設けられることを特徴とする、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記供給ガス溝と前記ろ過物溝(20、22)との間の前記ダイアフラム(34)は、前記積層方向(40)に対して垂直に配向されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
分離壁(36)が、1つの板(30、32)内の前記溝(20、22)の間に配置されることと、1つ以上の前記分離壁(36)は気密性であることとを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
分離壁(36)が、1つの板(30、32)内の前記溝(20、22)の間に配置されることと、1つ以上の前記分離壁(36)はダイアフラム(34)として機能することとを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
分離壁(36)が、1つの板(30、32)内の前記溝(20、22)の間に配置されて、前記同じ板(30、32)内の溝(20、22)の間の1つ以上の分離壁(36)は穴が開けられることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
噴射装置(60)が前記ろ過物溝(22)と直接流体接続されて、前記フィルタ(10)に結合されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記噴射装置(60)は、1つのろ過物出口(16、18)に置き換わることを特徴とする、請求項5又は19に記載の装置。
【請求項21】
前記供給ガスの一部分は、噴射される媒体のための駆動ガスとして前記噴射装置(60)へと方向変更されることを特徴とする、請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
弁(76)が設けられて、前記噴射装置(60)へと方向変更される前記供給ガスの量を調節することを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
流体管路(70)が、前記供給ガス溝(20)の下流側端部と前記噴射装置(60)との間に設けられることを特徴とする、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
前記流体管路(70)は、前記フィルタ(10)と前記噴射装置(60)との間の界面(64)と並べて配置されることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
微粒子フィルタ(72)が、前記流体管路(70)内に設けられることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
加熱器(74)が前記流体管路(70)に結合されることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記溝板(30、32)は金属により製作されることを特徴とする、請求項6〜26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記ダイアフラム(34)は焼結金属により製作されることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−509815(P2011−509815A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538357(P2010−538357)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011365
【国際公開番号】WO2009/080084
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(502196511)ボルボ テクノロジー コーポレイション (52)
【出願人】(595054486)ホガナス アクチボラゲット (66)
【Fターム(参考)】