説明

微粒子状バイオマスの接触熱分解方法、および固形バイオマス粒子の粒子サイズを低減する方法

粒子状バイオマス物質をバイオ液体に転化する方法が開示される。該方法では、バイオマス物質は熱輸送媒体および触媒物質と混合され、そして150〜600℃の範囲内の温度まで加熱される。固形バイオマスの粒子サイズは、ガスによる撹拌下の無機粒子の付加混合における磨耗によって低減されることができる。磨耗法で得られた低減されたサイズのバイオマス粒子は、多数の転化法のうちのいずれかでバイオ液体に転化されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素に基づいた粒子状のエネルギー源、特に微粒子状バイオマスを熱転化するための改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固形バイオマスの熱転化における課題の一つは、該粒子状物質に熱エネルギーを輸送するのに適した媒体を用意することである。このような好適な媒体として砂が提案されており、バイオマスを熱転化するために流動床法において砂を使用することが報告されている。しかし、砂は本質的に不活性であり、熱輸送媒体としてのその役割以外には熱転化反応自体に寄与しない。
【0003】
固形バイオマスの熱転化における課題のもう一つは、このような熱転化に資する粒子サイズをしているバイオマスを用意することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱輸送媒体、たとえば砂を変性して、それに触媒特性を付与することが本発明の目的である。特に、固形粒子状バイオマスを比較的穏やかな条件下に熱転化するのに資する触媒特性を、熱輸送媒体、たとえば砂に与えることが本発明の目的である。
【0005】
固形バイオマス物質の粒子サイズを低減する方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、微細な固形粒子状バイオマスを熱転化する方法であって、固形粒子状バイオマスと、熱輸送媒体と、触媒活性物質との混合物を用意する段階、および該混合物を150〜600℃の温度まで加熱する段階を含む方法に関する。
【0007】
熱輸送媒体は、好ましくは無機粒子状物質である。
【0008】
本発明の好まれる実施態様では、不活性粒子状無機物質の存在において固形粒子状バイオマスを流動磨耗することによって、微細な固形粒子状バイオマスは調製される。
【0009】
本発明は、固形粒子状バイオマスを熱転化する方法に関する。本明細書で使用される粒子状物質の語は、固形でありかつ微細に分割された形状をしている物質をいう。その例は、微細に分割された形状をしたバイオマス、たとえばおがくずまたは磨砕されたわらを含む。
【0010】
従来技術の方法では、バイオマス粒子は、熱転化法、たとえば流動床法において砂と混合される。これらの方法では、砂は、熱エネルギーをバイオマス物質に輸送する担体の役目を果たし、また熱転化法の間に製造されるタールのシンク(吸収体)の役目も果たす。
【0011】
不活性物質であるので、砂は熱転化法自体に寄与しない。従来技術の方法の欠点は、これらが比較的高い転化温度を要求することである。したがって、従来技術の熱転化法は、熱エネルギーの大きい投入量を要求する。加えて、高い転化温度は、炭素に基づいたエネルギー源物質の過度の分解をもたらし、有意の量のタールの生成が付随する。したがって、従来技術の方法において可能であるよりも低い温度において、炭素に基づいたエネルギー源の熱転化を許す方法を開発することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
バイオマス物質の熱転化法が、熱輸送媒体、たとえば不活性粒子状無機物質と、触媒活性物質との双方の存在において実施されるならば、バイオマス物質の熱転化が、より穏やかな条件の温度において実施されることができることが発見された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の実施態様では、熱輸送媒体および触媒の双方である粒子状無機物質が使用される。
【0014】
特定の実施態様では、触媒活性物質は、粒子形状をした無機酸化物である。好ましくは、粒子状無機酸化物は、耐火性酸化物、粘土、ハイドロタルサイト、結晶性アルミノシリケート、層状ヒドロキシル塩、およびこれらの混合物から成る群から選択される。
【0015】
耐火性無機酸化物の例は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア等を含む。高い比表面積を有する耐火性酸化物が好まれる。具体的には、好まれる物質は、Brunauer Emmett Teller(「BET」)法によって測定された少なくとも50m/gの比表面積を有する。
【0016】
好適な粘土物質は、カチオン性およびアニオン性粘土の双方を包含する。好適な例は、スメクタイト、ベントナイト、セピオライト、アタプルジャイト、およびハイドロタルサイトを含む。
【0017】
他の好適な金属水酸化物および金属酸化物は、ボーキサイト、ギブサイトおよびこれらの転移形態を包含する。安価な触媒物質は、石灰、かん水、および/もしくは塩基(NaOH)中に溶解されたボーキサイト、または酸もしくは塩基中に溶解された天然粘土、またはキルンからの微粉セメントであることができる。
【0018】
本明細書で使用されるハイドロタルサイトの語は、ハイドロタルサイト自体、ならびにハイドロタルサイト様構造を有する、他の混合金属酸化物および水酸化物、ならびに金属ヒドロキシル塩を包含する。
【0019】
触媒活性物質は触媒金属を含んでいることができる。触媒金属は、触媒活性無機酸化物に追加してまたはその代りに使用されることができる。該金属は、その金属の形で、酸化物、水酸化物、ヒドロキシル酸化物、塩の形で、または金属−有機化合物としてならびに希土類金属を含んでいる物質(たとえば、バストネサイト)として使用されることができる。
【0020】
好ましくは、触媒金属は遷移金属、より好ましくは非貴金属の遷移金属である。特に好まれる遷移金属は、鉄、亜鉛、銅、ニッケル、およびマンガンを包含し、鉄が最も好まれる。
【0021】
触媒金属化合物が反応混合物中に導入されることができるいくつかの様式が存在する。たとえば、触媒はその金属の形で、小粒子の形状で添加されることができる。あるいは、触媒は酸化物、水酸化物、または塩の形で添加されることができる。1の好まれる実施態様では、金属の水溶性塩が、炭素に基づいたエネルギー源および不活性粒子状無機物質と、水性スラリーの形で混合される。この特定の実施態様では、金属がバイオマス物質に含浸することを確実にするように、不活性粒子状無機物質を添加する前に、バイオマスの粒子を金属塩の水性溶液と混合することが望ましいといえるだろう。金属塩の水性溶液を添加する前に、最初にバイオマスを不活性粒子状無機物質と混合することも可能である。さらに他の実施態様では、最初に金属塩の水性溶液が粒子状不活性無機物質と混合され、その後に、該物質を粒子状バイオマスと混合する前に該物質が乾燥される。この実施態様では、不活性無機粒子は不均一系触媒粒子に転換される。
【0022】
不活性粒子状無機物質の特定の性質は、その主な機能は熱輸送の媒体の役目をすることであるから、本発明の方法にとって決定的に重要ではない。その選択はほとんどの場合、入手可能性およびコストを考慮してなされるだろう。好適な例は、石英、砂、火山灰、未使用の(すなわち、使用されていない)無機サンドブラスト用砂等を含む。これらの物質の混合物も適している。未使用のサンドブラスト用砂は、砂のような物質よりもたぶん高価と思われるが、特定の範囲の粒子サイズおよび硬さで入手可能であるという利点を有する。
【0023】
流動床法に使用されると、不活性粒子状無機物質は、典型的には鋼から造られている反応器の壁面のあるレベルの磨耗を引き起こす。該反応器の耐用寿命の許容できない低下の原因となるので、磨耗は一般に望ましくない。本発明の文脈では、適度の量の磨耗は実際には望ましいといえるだろう。磨耗が生じる場合には、このような磨耗は金属の小粒子を反応混合物中に導入し、該混合物が反応器の鋼の金属成分(主にFe、それとともに少量の、たとえばCr、Ni、Mn等)を含むことができるだろう。これはある量の触媒活性を不活性粒子状無機物質に与えることができる。本明細書で使用される「不活性粒子状無機物質」の語は、本来不活性であるが、たとえば金属化合物に接触された結果としてある程度の触媒活性を獲得した物質を包含することが理解されよう。
【0024】
サンドブラスト法に既に使用されたサンドブラスト用砂は、本発明の方法に使用されるのに特に適している。使用されたサンドブラスト用砂は廃棄物質とみなされるので、これは低コストで豊富に入手可能である。好まれるのは、金属表面のサンドブラストに既に使用されたサンドブラスト用砂物質である。サンドブラスト法の間に、サンドブラスト用砂はサンドブラストされている金属の微小粒子と緊密に混合される。多くの場合、サンドブラストされる金属は鋼である。鋼のサンドブラストに既に使用されたサンドブラスト用砂は、鉄の小粒子、およびより少ない量の他の好適な金属、たとえばニッケル、亜鉛、クロム、マンガン等を含んでいる緊密な混合物を提供する。本質的に廃棄品であるので、サンドブラスト法からのサンドブラスト用砂は低コストで豊富に入手可能である。それにもかかわらず、これは本発明の方法の文脈においては非常に価値のある物質である。
【0025】
炭素に基づいたエネルギー源と、不活性無機物質と、触媒物質とを有効に接触させることは必須であり、これは種々の経路によって進行させることができる。2の好まれる経路は、
・乾式経路(これによっては、粒子状バイオマス物質と不活性無機物質との混合物が加熱されかつ流動化され、そしてこの混合物に触媒物質が微細な固形粒子として添加される。)および
・湿式経路(これによっては、触媒物質が溶媒中に分散され、そしてこの溶媒が粒子状バイオマス物質と不活性無機物質との混合物に添加される。好まれる溶媒は水である。)
である。
【0026】
本明細書で使用される「微粒子状バイオマス」の語は、0.1mm〜3mm、好ましくは0.1mm〜1mmの範囲内の平均粒子サイズを有するバイオマス物質をいう。
【0027】
わらおよび木材のような源からのバイオマスは、粉砕または磨砕のような手法を使用して比較的容易に5mm〜5cmの範囲内の粒子サイズに変換されることができる。有効な熱転化のためには、バイオマスの平均粒子サイズをさらに3mm未満に、好ましくは1mm未満に下げることが望ましい。バイオマスをこの粒子サイズの範囲まで細かく砕くことは、困難であることで悪評が高い。5mm〜50mmの範囲内の平均粒子サイズを有するバイオマス粒子を、該バイオマス粒子を無機粒子物質およびガスとともに機械的に混合することを含む方法で磨耗することによって、固形バイオマスが粒子サイズにおいて0.1mm〜3mmの平均粒子サイズ範囲まで低減されることができることがここに発見された。
【0028】
流動床法における粒子の磨耗は知られており、ほとんどの文脈においては望ましくない現象である。本発明の文脈においては、この現象は、固形バイオマス物質の粒子サイズを低減する目的に役立たせるために使用される。
【0029】
したがって、本発明の1の実施態様では、5mm〜50mmの範囲内の粒子サイズを有するバイオマス粒子が、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子と混合される。この粒子状混合物はガスによって撹拌される。無機粒子はバイオマス粒子の硬度よりも大きい硬度を有するので、撹拌はバイオマス粒子のサイズの低減をもたらす。好適には、バイオマスの粒子サイズを0.1〜3mmまで低減するためにこの方法は使用される。
【0030】
粒子状混合物の撹拌の程度は、バイオマス粒子のサイズ低減速度を大方決める。磨耗活性の増加する順に、撹拌は、流動床、バブリング流動床もしくは沸騰床、噴流床、または空気輸送を形成するようなものであることができる。本発明の目的のためには、噴流床および空気輸送が、好まれる撹拌レベルである。
【0031】
ガスは空気であることができ、または(空気と比較して)低減された酸素レベルを有するガスであることができ、または実質的に酸素を含んでいないことができる。その例は、水蒸気、窒素、および微細なバイオマス粒子の後続の熱転化において得られることができるガス混合物を含む。このようなガス混合物は、一酸化炭素、水蒸気、および/または二酸化炭素を含んでいることができる。
【0032】
磨耗法は、環境温度で、または高められた温度で実施されることができる。有意の量の湿分を含有するバイオマス粒子の場合、高められた温度の使用が好まれる。何故ならば、それはバイオマス粒子のある程度の乾燥をもたらすからである。乾燥はバイオマス粒子の硬さを増加し、該粒子を、磨耗によるサイズ低減をより受けやすくする。好まれる乾燥温度は約50〜150℃の範囲にある。特に、撹拌ガスが酸素の少ないものまたは実質的に酸素を含んでいないものならば、これよりも高い温度が可能である。
【0033】
磨耗法に使用されるのが好まれるのは、本発明に従う後続の熱転化法に使用されるような無機粒子である。なおもさらに好まれる実施態様では、磨耗法の間に触媒物質も存在する。触媒物質の一部は、磨耗法の間に存在するならば、バイオマス粒子中に埋め込まれると考えられ、このことは後続の熱転化法をより効果的にする。
【0034】
本発明の特に好まれる実施態様では、5mm〜50mmの範囲内の粒子サイズを有するバイオマス粒子は、不活性無機粒子および触媒物質と混合される。この混合物はガスによって撹拌され、好ましくは噴流床または空気輸送の形成をもたらす。バイオマス粒子が0.1mm〜3mmの範囲内の平均粒子サイズに達した後、温度が150〜600℃まで上げられる。
【0035】
磨耗法において得られた小さいバイオマス粒子は、特に、好適な転化法においてバイオ液体に転化されるのに適している。好適な転化法の例は、水熱転化、酵素転化、熱分解、接触転化、および穏やかな熱転化を含む。
【0036】
本発明の特定の側面は、固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、それによって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を水熱転化に付する段階
を含む方法である。
【0037】
本発明の他の特定の側面は、固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、それによって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を酵素転化に付する段階
を含む方法である。
【0038】
本発明のさらに他の特定の側面は、固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、それによって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を接触転化に付する段階
を含む方法である。
【0039】
本発明のさらに他の特定の実施態様は、固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、それによって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を水熱転化に付する段階
を含む方法である。
【0040】
他の実施態様では、本発明は、固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、それによって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を接触転化に付する段階
を含む方法に関する。
【0041】
好ましくは、段階d)は還元雰囲気、たとえば水素および/またはCOを含んでいるガス混合物中で実施される。
【0042】
本発明のさらに他の特定の側面は、固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、それによって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を穏やかな熱転化に付する段階
を含む方法である。
【0043】
熱転化は、水素の存在において実施されることができる。
【0044】
熱転化法は、大気圧下にまたは減圧下に実施されることができ、減圧が好まれる。熱転化は、好ましくは酸素の少ない雰囲気、またはより好ましくは酸素を含んでいない雰囲気中で実施される。
【0045】
特に好まれる実施態様では、熱転化は流動床反応器、たとえば原油留分の流動接触分解で普通に使用されるタイプの反応器中で実施される。反応器中の温度は均一であることができ、または反応器の内部に異なった温度の複数の帯域が達成されるように反応器は運転されることができる。好都合には、2以上の温度帯域が反応器の内部に存在し、最も底部の帯域が最も低い温度を有し、かつ各帯域の温度がその直下の帯域の温度よりも高いものであることができる。
【0046】
熱転化は、単一の反応器中で、または直列の2以上の反応器中で実施されることができる。2以上の反応器が使用されるならば、個々の反応器を異なった反応条件下に運転することが好都合である。反応条件の例は、圧力、温度、および/または流動化状態を含む。
【0047】
熱転化の間に、炭素の堆積物、たとえばタールまたはコークの形をした炭素堆積物が、粒子状熱輸送媒体および粒子状触媒物質上に形成されることがある。好まれる実施態様では、炭素堆積物は燃焼除去され、燃焼除去工程において生成された熱は、反応器を所望の温度に保つために使用されることができる。熱輸送媒体および触媒物質はこのようにして再生された後、好適には反応器中に再導入されることができる。反応器中へのこの再導入の前に、触媒物質は任意的に補充されることができる。
【0048】
このようにして、上で検討された特定の実施態様を参照して、本発明は記載されてきた。これらの実施態様は、当業者に周知の種々の変形を受けやすくおよび代替形態にされやすいことは理解されるだろう。
【0049】
上に記載されたものに加えて多くの変形が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された構成および手法になされることができる。したがって、特定の実施態様が記載されてきたけれども、これらは実施例としてのみであり、本発明の範囲を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子状バイオマスを熱転化する方法であって、
a) 微粒子状バイオマスと、熱輸送媒体と、触媒物質との混合物を用意する段階、および
b) 当該混合物を150〜600℃の温度まで加熱する段階
を含む方法。
【請求項2】
熱輸送媒体が砂である、請求項1に従う方法。
【請求項3】
触媒物質が粒子形状をしている、請求項1に従う方法。
【請求項4】
触媒物質が遷移金属を含んでいる、請求項1に従う方法。
【請求項5】
触媒金属が非貴金属の遷移金属である、請求項4に従う方法。
【請求項6】
触媒金属が、Fe、Zn、Mn、Cu、Niおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に従う方法。
【請求項7】
触媒物質が、無機酸化物または無機水酸化物である、請求項1に従う方法。
【請求項8】
段階a)が、5〜50mmの範囲内の粒子サイズを有するバイオマス粒子を0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する副段階、および該混合物をガスによって撹拌して、該撹拌によって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される副段階を含む、請求項1〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
粒子状混合物が、さらに触媒物質を含んでいる、請求項8に従う方法。
【請求項10】
無機粒子状物質が触媒活性を有する、請求項8に従う方法。
【請求項11】
撹拌ガスが空気である、請求項8〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
撹拌ガスが、酸素の少ないものである、請求項8〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
撹拌ガスが、実質的に酸素を含んでいないものである、請求項12項に従う方法。
【請求項14】
粒子状混合物が撹拌されて、流動床、沸騰床、または噴流床を形成する、請求項8〜13のいずれか1項に従う方法。
【請求項15】
粒子状混合物が、空気輸送の程度まで撹拌される、請求項8〜13のいずれか1項に従う方法。
【請求項16】
粒子状混合物が、50〜150℃の範囲内の温度において撹拌される、請求項8〜15のいずれか1項に従う方法。
【請求項17】
段階a)が、
粒子状バイオマス物質と不活性無機物質とを混合する段階、
該混合物を加熱しかつ流動化させる段階、および
該流動化された混合物に微細な固形粒子の形状の触媒物質を添加する段階
を含む、請求項1に従う方法。
【請求項18】
段階a)が、
触媒物質を溶媒中に分散させる段階、
粒子状バイオマス物質と粒子状不活性無機物質との混合物を用意する段階、および
該分散された触媒物質を当該混合物に添加する段階
を含む、請求項1に従う方法。
【請求項19】
熱輸送媒体が、サンドブラスト法に既に使用された砂である、請求項2に従う方法。
【請求項20】
砂が、鋼のサンドブラストに既に使用されたものである、請求項19に従う方法。
【請求項21】
減圧下に運転される反応器中で実施される、請求項1に従う方法。
【請求項23】
酸素の少ない雰囲気中で運転される反応器中で実施される、請求項1に従う方法。
【請求項24】
2以上の温度帯域を有する1の反応器中で実施される、請求項1に従う方法。
【請求項25】
2以上の反応器中で実施され、各反応器が異なった反応条件下に運転される、請求項1に従う方法。
【請求項26】
熱輸送媒体から炭素堆積物を燃焼によって除去することそして該燃焼から得られた熱を熱転化法に使用することのさらなる段階を含む、請求項1に従う方法。
【請求項27】
固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、該撹拌によって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を水熱転化に付する段階
を含む方法。
【請求項28】
固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、該撹拌によって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を酵素転化に付する段階
を含む方法。
【請求項29】
固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、該撹拌によって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を熱転化に付する段階
を含む方法。
【請求項30】
固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、該撹拌によって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を水熱転化に付する段階
を含む方法。
【請求項31】
固形バイオマス物質からバイオ液体を調製する方法であって、
a) 5mmより大きい粒子サイズを有する粒子の形状をしている固形バイオマスを用意する段階、
b) 段階a)のバイオマス粒子を、0.05mm〜5mmの範囲内の粒子サイズを有する無機粒子状物質と混合する段階、
c) 段階b)で得られた混合物をガスによって撹拌して、該撹拌によって該バイオマスの粒子サイズが0.1〜3mmまで低減される段階、および
d) 段階c)で得られたバイオマス粒子を接触転化に付する段階
を含む方法。
【請求項32】
段階d)が、還元雰囲気中で実施される、請求項31に従う方法。

【公表番号】特表2009−543925(P2009−543925A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519958(P2009−519958)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057269
【国際公開番号】WO2008/009643
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508328877)バイオイーコン インターナショナル ホールディング エヌ.ブイ. (11)
【Fターム(参考)】