説明

微細気孔が形成された無溶剤型ポリウレタン発泡体及びこれを活用した人造皮革製造方法

【課題】微細気孔が均一ながら機械的物性が優秀な高強度の無溶剤型多孔質ウレタン人造皮革の製造方法。
【解決手段】常温で液状或いは半固相状態であるポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとイソシアネートを反応させ製造した水酸基含有含有ウレタンプレポリマー(A成分)を、30乃至80°Cで加熱溶融させ、上記ウレタンプレポリマーの水酸基グループと反応する事が出来るイソシアネート系化合物(B成分)、架橋硬化触媒、気孔形成補助触媒及び界面活性剤、添加剤等の混合物(C成分)を一定な量で投入し高速・撹伴、混合させて形成されたクリーム形状の多孔質体を離型紙上にナイフコーテイング方式を使用して塗工、硬化後、繊維基材とラミネーションする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機溶剤を使わなく微細気孔が形成された無溶剤ウレタン型人造皮革を製造する方法に関するもので、より詳しくは従来の化合物と工程システムに比べて気孔が均一で剥離強度、耐黄変性、耐薬品性、耐熱性及びその他の物性が優秀で、作業安定性及び生産性が向上されて品質均一性が非常に優れた無溶剤型ポリウレタン多孔質体及びこれを利用した人造皮革の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な人造皮革はジメチルホルムアミド(DMF)等の様な有機溶剤型ウレタン樹脂配合液を纖維基材にコーテイング・塗布してジメチルホルムアミド(DMF)水溶液状の凝固液中で有機溶剤型ウレタン中のDMFと凝固液状の水の間の置換反応によって気孔を形成させる湿式凝固法(Wet−coagulation)を使っている。しかしジメチルホルムアミド(DMF)などの有機溶剤は毒性が強く人体に有害であるので、有機溶剤型から水性ウレタンに代替しようとする開発が進行されてきたが満足する様な触感及び物性には及ばなかった。 水性ウレタンに依る人造皮革は耐熱性、耐水性、機械的物性等が劣悪で商品化への限界があった。
このような問題を解決する為に熱溶融湿気硬化型ウレタンを活用した方法が、日本特許公開2003−246830号、2003−049147号、2003−306526、2004−115705号、大韓民国特許公開2002−0050138号及びWO2003/042271号などに知られている。しかしこのような特許に公開された方法は実験室テストと生産現場の適用で現れる結果に依ればいろいろな種類の問題点を持っていた。
これらは常温(12乃至18℃)で半固相または固体状態であるイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(A成分液)を80乃至150℃で加熱溶融させた後、イソシアネート基と反応させる事が出来る硬化剤としての水酸基含有化合物及び硬化触媒、水、界面活性剤(Surfactant)等を一定比率に混合させた混合液(B成分液)をミキシングヘッドを活用して高速撹伴しながら機械・発泡させてクリーム形状の発泡体を得る。形成された機械的発泡物をウレタン層がコーテイングされている離型紙上にカレンダーロールに依ってコーテイングし、室温で冷却させながら圧縮させて室温で24時間以上熟成させる事でポリウレタン多孔質体或いは多孔質体がコーテイングされた人造皮革を製造する方法が公知されている。
上記工程の製造方法は温・湿度工程及び熟成条件が一定に維持される雰囲気下では再現性のある多孔質体が得られるが、温・湿度条件が少しだけ変わっても剥離強度及びその他の物性などの変化がひどく不均一な気孔が形成される問題点が発生する。これに依って製品のロットによって物性及び特性が異なる様になるので精密な工程制御が必要である。このためには一定な温・湿度を維持しなければならないので、恒温・恒湿などの過度な投資設備が要求される問題が存在していた。
尚、一般的にA成分であるウレタンプレポリマーの溶融温度が普通80℃以上でありながら粘度が比較的に高くて混合液のポットライフ(Pot life)が短く流動性も低下されて配合偏差が起こり易い為に、生産性が低下する問題があった。即ち、ポリウレタン多孔質体の密度と厚さ偏差が発生するようになって材質が均一でない結果で品質が劣化するようになり、また生産効率が低下される事によって経済的観点でも相当な損失が発生する問題があった。
またイソシアネート末端プレポリマーは湿気に敏感で合成時、外部空気との遮断に気を付けなければならなく、貯蔵中にも湿気との反応で変質される可能性が存在して保管及び取り扱い上の難しい点もあった。
上記で言及した熱溶融湿気硬化型ウレタンの問題点解決のための方案でイソシアネート1当量に対してポリオール1.1乃至2.5当量を混合して添加反応させて、常温で半固相または固体状態でありながらポリマーの主鎖にウレタン基を持って、作用基が水酸基(Hydroxyl)を少なくとも2個を含むウレタンポリオールプレポリマーを製造する方法が大韓民国特許登録10−0514629、大韓民国特許公開10−2005−0008550と世界特許WO2005/005511号等に公開されている。
上記方法はウレタンポリオールプレポリマーを加熱溶融させた後ウレタンポリオールプレポリマーの水酸基と反応するイソシアネート基を含むイソシアネート化合物及びウレタン硬化触媒剤を投入及び高速撹伴して機械発泡物を形成した。 上記で形成された機械発泡物を常温冷却または常温で圧縮して多孔性ポリウレタン体を形成する。
しかし上記特許はプレポリマーで水酸基を末端作用基に持つウレタンポリオールプレポリマーを使ったがポリウレタン多孔質体の製造方法は熱溶融湿気硬化システムを模倣した水準であり、常温冷却及び圧縮冷却(カレンダーロールコーテイング方式)に依る人造皮革を製造するに於いて、実験実績結果の限界性を見せたし、これを生産現場での妥当性試験結果、作業の安定性が落ちて製品の生産性が低く人造皮革で要求する物理的物性を充足させる事が出来ない結果を得た。
常温冷却または常温圧縮する為には無溶剤型発泡体がカレンダーロールにくっつくのを防止する為の保護離型紙が必然的に要求され、これに依る生産不良が多く価格が高価である保護離型紙に依り製造単価が高くなる問題点があった。
また常温冷却または常温での圧縮によって形成された多孔性ポリウレタン体は架橋硬化の結合度がむしろイソシアネート含有ウレタンプレポリマーの常温硬化より低いので最小48時間以上熟成過程を経由しなければならないので生産効率性が低い短所があり、一定時間熟成過程を経由しても物性向上程度が非常に小さいという問題点を含んでいた。
実験実績結果では現れなかった問題点で混合物のポットライフが短くてポリウレタン多孔質体の密度と厚さ偏差がはなはだしく発生するので製品の物性偏差がひどく、再現性のある製品生産が難しい問題点を含んでいた。
尚、何の過程なしに単純に架橋及び硬化度を触媒の活性にのみ依存する事でポリウレタン多孔質体製造物は低い硬化度と不均一な発泡を発生させることに依り、均一で構造的に強靭な微細気孔を形成するのが難しく人造皮革で要求する物理的物性を充足させる事が出来ない問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の問題点を解決する為に有機溶剤を使わなくて、従来の無溶剤ウレタン型の発泡体製造システムと差別性がある微細気孔が形成された無溶剤ポリウレタン型人造皮革を製造する方法を提供するのにその目的がある。
尚、本発明の他の目的は生産工程及び熟成条件の大気温・湿度条件に影響を受けない均一な気孔のポリウレタン多孔質体を形成する為に機械的発泡混合物に一定な温度を加える加温硬化システムを活用して作業の安定性を高め生産性を向上させ、尚、製品の密度と厚さ偏差を最小化して化学的物理的物性を満足させる人造皮革の製造方法を提供することである。
本発明のまた他の目的としては耐黄変性プレポリマー或いは耐黄変性架橋剤を使用する事で少量の耐黄変調剤或いは添加剤を加えても耐黄変性の向上と経済的観点で生産原価を節減する事が出来る様にしたポリウレタン多孔質体及びその製造方法を提供するのにある。
物性が優秀ながらも粘度を小さくしてポットライフが長くなる様に分子設計をした為に、常温(12乃至18℃)或いは適正温度(12乃至60℃)でナイフコーテイングが可能で作業環境改善效果面でも効率的である。従って機械的発泡混合物は常温でもポットライフが長くてコーテイング時に工程条件を調節するのが容易で耐久性及び剥離強度等その他の物性が優れた無溶剤ポリウレタン型人造皮革の製造方法を提供するのにある。
上記した本発明の目的はポリウレタン多孔質体に於いて、水酸基末端ウレタンプレポリマー(A成分)と、 水酸基と反応する事が出来る架橋剤としてイソシアネート系化合物或いはイソシアネート基含有プレポリマー(B成分)を混合させて成った事を特徴とするポリウレタン多孔質体製造方法であり、上記イソシアネート系化合物は12乃至18℃で低粘度の液体状態である変性芳香族ポリイソシアネート、変性脂肪族ポリイソシアネート或いは脂肪族イソシアネート末端(−NCO)プレポリマー単独またはこれらの混合物である。
〔課題を解決する為の手段〕
【0004】
上記の様な目的を達成する為の微細気孔が形成された無溶剤ポリウレタン型人造皮革製造方法の特徴を次に詳しく説明する。
本発明は水酸基グループを含むウレタンプレポリマーであるA成分と、上記水酸基と反応する事が出来るイソシアネート系化合物B 成分及び架橋硬化触媒、発泡(Blowing)触媒及び界面活性剤、添加剤C成分を投入した後、高速撹伴してクリーム形状の機械的発泡物を適正温度(12乃至60℃)で離型紙上にコーテイングしてシートを形成させ、上記シートを50乃至150℃の加温条件下で架橋硬化させて纖維基材と圧縮接合した後、接合された成形物を50乃至150℃の加温条件下で再架橋硬化させた後30乃至110℃で適正時間熟成させる。
上記A成分である水酸基末端プレポリマーはポリオール1当量に対してイソシアネート0.4乃至0.9当量で反応させて接着力向上の為に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(Thermoplastic Polyurethane Elastomer; 以下TPUと称する)を添加させて形成され、上記A成分である水酸基末端ウレタンプレポリマーを80℃以下、望ましくは60℃以下の温度範囲で加熱溶融させイソシアネート系化合物(B成分)及び架橋硬化触媒と界面活性剤混合物(C成分)を一定の量で定量投入した後、高速・撹伴しながら得たクリーム形状の機械的発泡体を適正温度(12乃至60℃)でナイフコーテイング方式でウレタンでコーテイングされた離型紙上に塗布するのを特徴とする。
以下、図面を参考して本発明を詳細に説明する。
図1は比較例1に依って製造された微細気孔含有多孔質体及び人造皮革の断面図を示しており、図2は比較例2に依ってカレンダーロールコーテイングをした後、適正温・湿度で冷却・硬化させて不織布とラミネーションして製造された人造皮革構造の断面図であり、 図3(実施例9)と図4(実施例13)は本発明に依り常温(12乃至18℃)でナイフコーテイングをした後100乃至120℃の温度勾配で加温硬化によって製造された人造皮革の構造断面図である。
本発明の無溶剤型ポリウレタンである水酸基末端プレポリマーは結晶性ポリエーテルポリオール10乃至50重量%、 結晶性ポリエステルポリオール1乃至30重量%、常温(12乃至18℃)で液状である非結晶性ポリエーテルポリオール5乃至30重量%、非結晶性ポリエステルポリオール5乃至50重量%、TPU 0.1乃至10重量%で成る。
上記水酸基末端プレポリマーは常温(12乃至18℃)で液状或いは半固体状であり80℃での溶融粘度が2、000乃至40、000cpsであり、80℃以下で溶融させるのが望ましく、架橋剤として活用される上記イソシアネート系化合物は変性ジフェニルメタンジイソシアネート、 ビウレット脂肪族イソシアネート、脂肪族イソシアヌレート系、脂肪族イソシアネート末端プレポリマーで成ったグループの中で少なくとも一つ以上含まれたことを特徴とする。
本発明に使用される各原料の特性は次の様である。
ウレタンプレポリマー(A成分) 本発明で使用される水酸基末端ウレタンプレポリマーは芳香族或いは脂肪族イソシアネートとポリオール、鎖延長剤及びTPU等を適正割合で混合して反応させ、両末端に水酸基を少なくとも2個以上望ましくは2個乃至は4個以下を含む高分子化合物で、常温(12乃至18℃)で高粘度の液状或いは半固体状態である。
ウレタンプレポリマーで水酸基が2個未満であれば硬化がよく起こらなく、4個を超過すれ架橋度がすごく高く柔軟性が落ちて硬化反応がすごく速くて粘度上昇に依る作業効率性が落ちる。 水酸基末端プレポリマーは80℃で溶融粘度が2,000から40,000望ましくは5,000から30,000もっと望ましくは6,000から20,000cpsが適当である。上記80℃で溶融粘度が2,000cps以下であれば、ウレタン多孔質体形成時気孔形成が難しく硬化反応がすごく遅くて諸般物性が悪くなるので望ましくない。
上記80℃で溶融粘度が40,000cps以上であれば、ミキシングヘッドで均一に混合させるのに限界があり吐出が難しく作業効率性が落ちる。
ウレタンプレポリマーは作業安定性、効率性、反応性などを考慮して80℃以下、もっと望ましくは60℃以下での溶融が適当である。一般的にA成分の溶融温度がすごく高いと、吐出時溶融樹脂の高い温度のため架橋硬化反応が急激に起こって粘度が過度に上昇して、ポットライフがすごく短くなるので常温乃至は適正温度で均一なコーテイングが難しく接着力が低下される不均一なポリウレタン多孔質体を形成する様になる。従って最大限低い温度で溶融させる事が出来る様に常温で高粘度の液状或いは半固体状が望ましい。
上記の様な特性を表す水酸基末端ウレタンプレポリマーはポリオール1当量に対してイソシアネート0.4乃至0.9当量とTPU 0.5乃至10重量%を60℃乃至120℃で均一に混合反応させて形成される。 ポリオール1当量に対してイソシアネート作用基が0.4未満であれば分子量がすごく小さくて機械的物性が低下され、0.9以上であれば過度な分子量増加によって粘度が高まりすぎてまたプレポリマーの両末端を水酸基で反応終了させるのが難しい。
ウレタンプレポリマーを合成させる為に使用されるポリオールはポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、カスターオイル(caster oil)系特殊ポリオール等を使用する事が出来る。 これらは単独または適当な割合で2個以上混合させて使用する事が出来る。本発明のプレポリマーの特徴は常温(12乃至18℃)で高粘度の液状或いは半固体状で存在しながらポットライフが長く作業安定性が優れ、一定温度以上に加温時に架橋硬化反応が容易に起こりながら機械的物性が優秀なウレタン多孔質体を得る事が出来る様に設計したものである。
この為にポリオールの望ましい成分混合割合はポリテトラメチレングリコール(PTMEG)等の結晶性ポリエーテルポリオール10乃至50重量%、ポリカプロラクトン(PCL)、ヘキサンジオール/アジピン酸(HD/AA)、ブタンジオール/アジピン酸(BD/AA)等の結晶性ポリエステルポリオール1乃至30重量%、常温(12乃至18℃)で液状であり2官能基以上の分子量400乃至6、000であるポリプロピレングリコール(PPG)等の非結晶性ポリエーテルポリオール5乃至30重量%、メチルペンティーンジオール/アジピン酸(MPD/AA)、ネオペンチルグリコール/アジピン酸(NPG/AA)等の非結晶性ポリエステルポリオール5乃至50重量%、接着増進剤としての熱可塑性ウレタン0.1乃至10重量%に構成されている事を特徴とする。
上記イソシアネートとしては4.4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を主に使うが、これ以外のジイソシアネートを本発明の效果を阻害しない範囲内で併用するのも可能である。その例としては変性MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソポロンジイソシアネート(IPDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)等の化合物を活用する事が出来るがこれに限定されるのではない。
鎖延長剤としては低分子量ダイオールを使用し、例えばエチレングリコール、1.2−プロピレングリコール、1.3−プロピレングリコール、 1.4−ブタンジオール、ネオペンティーングリコール、1.5−ペンタンジオール、1.6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどを利用する事が出来る。上記の様な水酸基末端プレポリマーは湿気に依り変形される可能性が少ないため、従来のイソシアネート末端プレポリマーより相対的に保管及び取り扱いがもっと容易である。
TPUとしてはエステル系、カプロラクトン系、エーテル系があリ一般的にソフトセグメントを構成する2官能ポリオールとハードセグメントを構成する単鎖グリコール及びジイソシアネートの3成分組合によって成るブロック共重合体である。
特にソフトセグメントはエステル系とエーテル系とによって機械的強度、耐熱性、耐加水分解性及び耐油性などの特性が変わり、硬度、弾性係数、耐熱性などはハードセグメントに影響を受ける。上記TPUは0.1乃至10重量%を添加する。
TPU含量が10重量%以上であればポリウレタン多孔質体の結晶化速度が速くなるので作業安定性が悪くなり耐熱性が低下する問題点が発生し、0.1重量%以下であれば接着力向上效果を表わす事が出来ない。
2.イソシアネート作用基含有化合物(B成分)
水酸基末端ウレタンプレポリマーの架橋剤として作用するイソシアネート系化合物としては分子構造中に水酸基と反応する事が出来るイソシアネート作用基を持つカボディイミド変性MDI、ビウレット型HDI、イソシアヌレート型HDI、変性IPDI或いはイソシアネート末端プレポリマー単独或いは2個以上を混合して使用する事が出来る。
上記イソシアネート系化合物は上記ウレタンプレポリマー1当量に対して1.05乃至2.5当量を使用する。 ウレタンプレポリマー1当量に対して1.05当量未満であれば架橋・硬化程度が及ばないので多孔質体の物性及び耐熱性低下現象が発生され、2.5当量以上であれば架橋度がすごく過度で柔軟性が落ちてイソシアネート残存量が多量存在して耐黄変性、耐薬品性、製品不均一性が現れる事がある。一般的な芳香族イソシアネート系架橋剤は耐黄変性が悪く時間が経過するに従がって色相が黄色く変わる問題点が存在する。
従ってこのような問題点を改善し物性が優秀な多孔質体を形成させる為にビウレット型HDI、イソシアヌレート型HDI或いは脂肪族イソシアネート末端プレポリマーを架橋剤に活用する事が出来る。
3. ウレタン反応触媒(C成分)
ウレタンゲル化触媒としては従来に知られているトリエチレンジアミン(TEDA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)等の3次アミン系化合物、ジブチル錫ディラウレートなどの有機金属系触媒を使用する事が出来、また加温硬化システムに效果的な温度に依る活性触媒(Thermally Activated Catalyst)を使う事が出来、発泡触媒とも併用する事が出来る。ウレタンゲル化触媒の使用量はウレタンプレポリマー100重量部に対して0.01乃至5重量部である。0.01重量部未満であれば架橋硬化反応がすごく遅く発泡及びフィルム形成が良くできなく、5重量部以上であれば架橋硬化反応がすごく速くて瞬間的にゲル化されるために作業生産性が悪い。
4.界面活性剤(Surfactant)(C成分)
界面活性剤としては従来公知である例えば商品名DC−190、DC−5098(Dow Corning、silicone glycol copolymer)などを使用する事が出来る。
使用量はウレタンプレポリマー100重量部に対して0.1から10重量部、望ましくは0.5から5重量部もっと望ましくは1から3重量部である。界面活性剤含量が0.1重量部未満であれば気泡が形成されにくく10重量部以上であれば気泡がすごく多く形成されて過度な気孔に依り機械的物性が低下される。
ポリウレタン多孔質体及び人造皮革製造方法
水酸基末端ウレタンプレポリマー(A成分)を適当な温度で加熱溶融させた後保温容器中で適正温度に維持させる。 引き続きイソシアネート系化合物(B成分)及び架橋硬化触媒と界面活性剤混合物(C成分)を保温容器中で常温(12乃至18℃)或いは30℃で維持させた。 次にウレタンプレポリマー、イソシアネート系化合物及び界面活性剤と硬化触媒を一定な量で定量投入した後4,000乃至5,000rpmで2乃至5秒間高速撹伴してクリーム形状の機械的発泡体を得た。 このように形成された機械的発泡体を有機溶剤型或いは水性ウレタンでコーテイングされた離型紙上に塗布して50乃至150℃の温度勾配で適正時間加熱・硬化させた後纖維基材と圧着させた。 適正温度で24時間の間熟成させた後離型紙を剥離させて外観が秀麗で微細気孔が均一に形成された人造皮革を製造した
ミキシングヘッド(高速撹伴鋳型機)で硬化反応を行う時の水酸基末端ウレタンプレポリマーとかイソシアネート系化合物成分の温度範囲は2液鋳型機を循環させるのに於いて支障を与えない、具体的には水酸基末端プレポリマーは30〜80℃の温度範囲に保温されるのが良く、特に常温(12乃至18℃)でのコーテイングを考慮する時には30〜60℃の温度範囲で使用するのが望ましい。
〔発明を実施するための最良の形態〕
【0005】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。しかし本発明はこれに限定されるのではない。 実施例及び比較例の%は特別に記述しない限り重量%を表す。
〔比較例1〕
【0006】
イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(商品名ダイフォースNH−200大日本インク化学工業株式会社(DIC)社、エーテル系ウレタンプレポリマー、NCO content 3.5±0.5%)を120℃で加熱溶融させ、保温タンクで120℃で維持し、成分Bとして商品名 三井ポリオールED−200(ポリエーテルオール、ヒドロキシ社 36±2mgKOH/g、製造元 三井化学株式会社)を2環式アミジン化合物の硬化触媒で商品名 U−CAT SA506(製造元 三亜プロ株式会社)及び界面活性剤として商品名 SF−2944 F(製造元 ドレイダウコーニンシリコン)を50:20:30に配合して均一に混合したものをタンクの中で30℃で維持した後、成分AとBを別途のラインに依り120℃で保温させた ISM−206H(台湾 海力実業湖粉有限公社)のミキシングヘッドに成分AとBが100:5に成るように定量ポンプで注入して5,000rpmで1秒間高速撹伴混合させた。 混合物の密度が0.5に成る様に2秒の間高速撹伴させたクリーム形状の発泡体を30μmのウレタン表皮(商品名:FINEUB−501MA、 製造元:華仁化学)で塗布乾燥させた離型紙上に吐出させカレンダーロールを使用して塗布させた後、室温で約3分の間放置した後厚さ1.0mmのウレタン含浸不織布を接合圧着させて室温で冷却させた。 室温で2日間放置した後に離型紙を剥離させて人造皮革を得た。 このような方法はミキシングヘッドで吐出される混合液が湿気との接触を最小化する事が出来る様にポットライフを最小化させなければならないが、これによって混合液の流動性が落ちて配合偏差が発生しやすくなるので作業安定性が悪くなる問題点が発生する。
従って多孔質体の密度と厚さ偏差が発生して材質が均一に出来ないので、品質が低下され生産効率が低くて経済的な観点でも相当な損失が発生する様な短所がある。 また常温で冷却または常温で圧着させるだけでは均一な微細気孔形成に困難があった。
〔比較例2〕
【0007】
ウレタンポリオールプレポリマー(大韓民国特許登録10−0514629で公開された実施例1の方法によって得られた)を120℃に加熱溶融させた後、保温容器中で120℃に維持させた。ひき続いてイソシアネート化合物[商品名 COSMONATELL(錦湖三井化学)]及びアミン系硬化触媒剤[商品名 PC CAT TD33(ドイツNitroil社)]と界面活性剤{商品名 DC−193(ダウコウーニング)}が5:30の重量%に混合された混合物を保温容器の中で30℃に維持させた。引き続いて、温度120℃で保温容器にウレタンポリオールプレポリマー、イソシアネート化合物及びアミン系硬化触媒剤と界面活性剤混合物を全体100重量%に対して85:17:1.8の重量%になるように定量投入した後、5,000rpmで2秒の間高速撹伴して密度が0.3である機械発泡物を形成した。また、形成された機械発泡物を離型紙の上に塗布した後、塗布物の上に別途の離型紙を挟み込んで塗布厚さが300μmになる様にマングルロールを利用して圧縮させ、室温で冷却させて均一で微細な気孔を持った厚さが300μmである多孔性ポリウレタン体を収得した。上記製造工程は常温で触媒の活性だけに依存した後冷却または常温で圧縮する方法で、このように収得されたポリウレタン多孔質体は硬化が遅く発泡度が低くて均一の微細気孔を形成するのが難しい為に製品のロット偏差と人造皮革で要求する物理的物性を充足させる事が難しい問題点が発生する。また硬化が遅い為に最小48時間以上熟成過程を経由しなければならなく、これは生産効率性が低い短所になるのである。
〔実施例1〕
【0008】
水酸基末端ウレタンプレポリマー〔商品名 ELP−023、(株) 白山、 PTMG、 MPD/AA、3官能基PPG−3000、TPU(商品名:PERLBONDDIPP−539、製造元:MERQUINSA社、liner polycaprolactone polyurethane)及びMDI形プレポリマー、OH Content2.1%、粘度 12、000cps/60℃〕を50℃で加熱溶融させた後、保温容器の中で50℃で維持させた。
引き続いて成分Bとしてイソシアネート系化合物〔商品名 Desmodur−VH20、 バイエル社、NCO25%〕及び、成分Cは硬化触媒で商品名 TOYOCAT−TFと TOYOCAT−DB30 (製造元:TOSOHCORPORTION)、界面活性剤として商品名 Dow Corining(登録商標) 5098(製造元 : Dow Corining(登録商標) シリコン)を2:15に配合して均一に混合させた。 その後成分A、BとCを別途のラインによってISM−206H(台湾 海力実業湖粉有限公社)の高速撹伴鋳型機に成分A、 B、Cが100:13:1.52になるように定量ポンプで注入して5,000rpmで3秒の間高速撹伴してクリーム形状の機械的発泡体を得た。 クリーム形状の発泡体を30μmの油性ウレタン表皮(商品名:FINE UB−501MA、製造元: 華仁化学)で塗布乾燥させた離型紙上に吐出させて最終製品での多孔性ポリウレタン体の厚さが400μmを持つようにコーテイングして100−120℃の温度勾配で適正時間の間加熱乾燥した後、厚さ1.0mmのウレタン含浸不織布を接合圧着させた。 適正温度で1日間放置した後に離型紙を剥離させて人造皮革を収得した。
〔実施例2−14〕
【0009】
下記表1の様な配合量及び工程条件にして水酸基末端プレポリマー、架橋硬化剤の種類及び含量を変化させながら上記実施1と同様な方法で人造皮革を製造して表2の様な結果を得た。
【0010】
〔表1〕無溶剤型ウレタン発泡体の配合及び人造皮革の工程条件



【0011】
ELP−023:(株)白山、PTMG、AA/IPA/EG/DEG/NPG、PPG−3000(3F)及びMDI型プレポリマー 、OH Content 2.3%、粘度15、000cps/60℃
ELP−024:(株)白山、PTMG、AA/EG/PG/GL、PPG−3000(3F)及びMDI型プレポリマー、OH Content2.3%、粘度18、000cps/60℃
ELP−025:(株)白山、PTMG、AA/EG/DEG、NPG/AA、PPG−3000(3F)及びMDI型プレポリマー、 OH Content2.4%、粘度13、000cps/60℃
ELP−026:(株)白山、PTMG、AA/IPA、PPG−3000(3F)及びMDI型プレポリマー、OH Content 2.2%、粘度21、000cps/60℃
ELP−030:(株)白山、PTMG、AA/IPA/NPG、PPG−3000(3F)、PEARLBONDDIPP−539(TPU)及び MDI型プレポリマー、OH Content2.2%、粘度15、000cps/60℃
ELP−031:(株)白山、PTMG、MPD/AA、PPG−3、000(3F)及びMDI型プレポリマー、
OH Content 2.3%、粘度13、000cps/60℃
ELN−020:(株)白山、PTMG、PCL、AA/BD/EG、PPG−5、000(3F)及びHDI型プレポリマー、 OH Content2.7%、粘度12、000cps/60℃
ELN−022:(株)白山、PTMG、PCL、AA/BD/EG、PPG−5、000(3F)、PEARL−BONDDIPP−539 (TPU)及びHDI型プレポリマー、OH Content2.3%、粘度13、500cps/60℃
CosmonateLL:錦湖三井化学 、変形MDI、NCO Content28.5−29.5%
CoronateHK:日本ポリウレタン株式会社。イソシアヌレート型HDI、NCO Content 19−20%
DesmodurVH−20:バイエル(Bayer)、変形MDI、NCO Content25%、
Duranate24A:旭日化成化学、ビュウレット型HDI、NCO Content2.3%、1、800cps/23℃
【0012】
〔表2〕無溶剤型ウレタン発泡体及び人造皮革の物性

【0013】
非常に良好、○ 良好
*剥離強度(kgf/cm):測定方法はDIN53357、ASTMD2724、ST−06(アジダス測定法)によって測定したし、アジダス社では3.5kgf/cm以上を要求している。
**屈曲性(cycle):測定方法はDIN53351、GE−24(アジダス測定法)によって測定したしアジダス社では150,000回以上を要求している。
***耐黄変性(級):測定方法はASTMD1148、FT−01(アジダス測定法)によって測定したしアジダス社では4.0級以上を要求している。
****加水分解:測定方法はDIN53543、Satra CM44、GE−08(アジダス測定法)によって測定したし、アジダス社では1部加水分解後屈曲100、000回以上を要求している。
上記表2で確認される様に適正温度で加温硬化させ熟成させるシステムである実施例は比較例(常温硬化/常温圧縮或いは常温熟成システム)に比べて接着力及び機械的物性、耐熱性及び耐黄変性が優秀で生産性面でも効率的なことを知る事が出来る。尚、比較例1、2の接着強度は最低値と最高値の偏差がひどいことを知る事が出来る。これは製品の均一性に対する問題点を見せるのである。
以上の本発明である無溶剤型ポリウレタン多孔質体及びこれを利用した人造皮革の製造方法の望ましい実施例を説明したが、 本発明の範囲は上記に記載された実施例及び下記の請求範囲に限定されなく、本発明に属する分野で通常の知識を持つ者であれば本発明から多様な変更及び均等な実施例が可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に依る無溶剤ウレタン型人造皮革は従来の無溶剤型発泡体及び人造皮革に比べて加工及び熟成条件に依る物性変化が少なくて再現性及び化学的・物理的物性が良く生産性が優秀である。尚、均一の微細気孔を形成させる事が出来て相対的に触感とモールディング性が良く、構造的に強靭な微細気孔を形成するので接着力が高い効果がある。
同時に物性が優秀ながらも粘度を低めポットライフが長くなる様に分子設計をした為に、適正温度(12乃至60℃)でナイフコーテイングが可能で作業環境改善效果面で効率的で、常温(12乃至18℃)でコーテイング時にもポットライフが長くて工程条件を調節するのが容易である。
従って製品の密度と厚さ偏差が発生しない為に均一な品質の製品を得る事が出来る。
従来の多孔質体形成法に比べて剥離強度、耐化学性及び機械的物性が優れるので、高耐久性を要求するスポーツ靴に使用可能で、微細気孔を均一に形成させる事が出来てクッション性を必要とする家具用、車輛用などにも広範囲に活用する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】比較例1に依る無溶剤ウレタン型人造皮革の構造断面図である。
【図2】比較例2に依る無溶剤ウレタン型人造皮革の構造断面図である。
【図3】実施例9に依り収得された無溶剤ウレタン型人造皮革の構造断面図である。
【図4】実施例13に依り収得された無溶剤ウレタン型人造皮革の構造断面図である。
【符号の説明】
【0016】
101、201、301、401:微細気孔
102、202、302、402:無溶剤型ウレタン発泡体層
103、203、303、403:纖維基材(不織布)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリエーテルポリオール10乃至50重量%、結晶性ポリエステルポリオール5乃至30重量%、12乃至18℃で液状である非結晶性ポリエーテルポリオール5乃至30重量%、非結晶性ポリエステルポリオール10乃至50重量%、TPU 0.1乃至10重量%等で構成されたポリオール1当量に、イソシアネート0.4乃至0.9当量を反応させて、80°C以下で溶融粘度が2,000乃至40,000cpsを表す常温で液状或いは半固相である水酸基グループを含むウレタンプレポリマーA成分を合成させる(a)段階;上記(a)段階で合成されたウレタンプレポリマーA成分を80°C以下で溶融させる(b)段階;上記(b)段階で溶融されたウレタンプレポリマーA成分と、上記水酸基と反応させる事が出きるイソシアネート系化合物としてカーボジイミド変性MDI(Methylene diphenyl diisocyanate)、ビウレット型HDI(Hexamethylene diisocyanate)、イソシアヌレート型HDI(Hexamethylene diisocyanate)、変性IPDI(Isophorone diisocyanate)或いはイソシアネート末端プレポリマーを単独或いは2以上混合して使用するB成分及び架橋硬化触媒、発泡(Blowing)触媒、界面活性剤、添加剤を含むC成分を高速・撹伴混合させる(c)段階;上記(c)段階で混合された混合液を外部に吐出させてクリーム形状の機械的発泡物を形成させる(d)段階と、上記(d)段階で機械的発泡体を12乃至60°Cで油性ウレタンまたは水性ウレタンがコーテイングされた離型紙上のウレタンコーテイング面にナイフ或いはコンマコーテイングをする(e)段階と、上記(e)段階で機械的発泡体コーテイングシートを50乃至150°Cの加温条件下で1次架橋硬化させた後、纖維基材と相互接合させた後圧縮させてラミネイションする(f)段階と;上記(f)段階で接合された成形物を50乃至150°Cの加温条件下で2次架橋・硬化させた後、30乃至110°Cで熟成させることを特徴とする微細気孔が形成された無溶剤ウレタン型人造皮革の製造方法。
【請求項2】
上記(a)段階のA成分である末端ウレタンプレポリマーをイソシアネート系化合物(B成分)及び架橋硬化触媒と界面活性剤混合物(C成分)を定量投入後、高速撹伴しながら得たクリーム形状の機械的発泡体をウレタンでコーテイングされた離型紙上に塗布して50乃至150°Cの温度で加熱乾燥させた後纖維基材と圧着させる段階;上記段階の後圧着成形物を50乃至150°Cの温度で再硬化させる段階;上記段階の後、多孔質シートを30乃至110°Cの温度条件で熟成させるのを含む事を特徴とする 請求項1に記載の微細気孔が 形成された無溶剤ウレタン型人造皮革の製造方法。
【請求項3】
上記(a)段階のA成分である水酸基末端ウレタンプレポリマーを80°C以下で溶融させ、B成分であるイソシアネート系化合物をウレタンプレポリマー1当量に対して1.05乃至2.5当量を使用して、成分Cである界面活性剤及び触媒混合物と高速撹伴して12乃至60°Cでナイフまたはコンマコーテイングするのを含ム事を特徴とする請求項1に記載の微細気孔が形成された無溶剤ウレタン型人造皮革の製造方法。
【請求項4】
上記架橋硬化反応触媒にトリエチレンジアミン(TEDA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)の3次アミン系化合物、ジブチル錫ジラウレートの有機金属系触媒を使用し、使用量はウレタンプレポリマー100重量%に対して0.01乃至5重量%である事を特徴とする請求項3に記載の微細気孔が形成された無溶剤ウレタン型人造皮革の製造方法。
【請求項5】
上記C成分は界面活性剤として水酸基を持たないシリコン系非イオン性界面活性剤をウレタンプレポリマーが100重量部である場合、0.1乃至10重量部を使用する事を特徴とする 請求項1に記載の微細気孔が形成された無溶剤ウレタン型人造皮革の製造方法。
【請求項6】
第1項乃至第5項の微細気孔が形成された無溶剤ウレタン型人造皮革の製造方法で製造された無溶剤型ポリウレタン発泡体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−154148(P2007−154148A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16075(P2006−16075)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(506027767)バイクサン カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】