説明

微量流体希薄細胞検出デバイス

本発明は、微量流体デバイスおよび希薄な細胞を検出するための方法に関する。開示される微量流体デバイスおよび方法は、サンプル調製、細胞標識化、細胞ソーティングおよび濃縮、ならびにソートされた細胞のDNA/RNA分析を統合および自動化する。この微量流体デバイスは、1つ以上の標識細胞を含む生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段、生物学的サンプルを緩衝液液体で覆いこの生物学的サンプルの薄いリボンを形成する手段、生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段、生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段、標識細胞を溶解する手段、溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段、および収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、一般に、微量流体デバイスに、そしてより詳細には、稀有な細胞を検出するための微量流体および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
今や癌細胞と関連することが知られている生物学的変化は、遺伝子発現パターンにおいてシフトする変異された遺伝子配列または重複された遺伝子配列からの完全な連続体、および改変されたタンパク質を包含する。癌細胞の特徴付けで生み出される分子情報の多様性を、慣用の臨床実践に移すための挑戦は、それらの測定の再現性のある、統合され、かつ自動化された方法の開発である。1つの技術的ハードルは、しばしば、正常細胞の高いバックグラウンドにおいて低濃度で見出される癌細胞の濃縮と検出とを含む標本分析のための戦略を規定することである。さらに、最大の臨床有用性は、ソートされた細胞が、タンパク質、DNA、またはmRNA発現改変について、迅速かつ同じ標本から分析できるならば可能にされ得る。例えば、血液中に伝播された癌細胞の検出は、特異重要である1つのアプローチである。不幸なことに、現在の検出方法は、10mlの血液あたり1〜セ10細胞ほどの少なさであり得る伝播された癌細胞を再現性良く検出するために適切な感度を欠いている。従って、タンパク質、DNA、またはmRNA改変を確認し得る自動化された分析プラットホームに統合され得るより高感度の癌細胞検出方法に対する必要性が存在している。本発明は、この必要性を取り扱い、そしてさらなる関連する利点を提供する。
【0003】
血液のような生物学的サンプル中の希薄な癌細胞を富化することへの現在のアプローチの1つは、フローサイトメトリーである。現在のところ、フローサイトメトリーおよび細胞をソートする技術における当該技術の状態は、流体力学的に集められたコア流れを用い、これは、流れに垂直な次元で単一細胞(約10ミクロン)のほぼサイズに二次元で集められている。これは、光散乱器、蛍光検出器、またはイメージベースの細胞検出器システムに提示され得る、単一ファイル細胞流れを生成する。しかし、このスキームは、顕著な制限を受ける−これら検出器は、一度に1つの細胞を検出および取り扱うに過ぎないかも知れない。従って、大量の細胞を処理するために、流体システムは、これら検出器を過ぎて非常に速く稼動されなければならない。例えば、検出器を過ぎて1秒あたり1〜4メートルの速度がいくつかの適用のために必要であり得る。検出の後、細胞は、次に、微小液滴に分割され、そして各微小液滴は荷電され、その結果、それは、ソートするために別個の容器に静電気により偏向され得る。不幸なことに、現在のフローサイトメトリーの方法に含まれる、技術的に複雑な方法および結果解釈に起因して、このような分析は、一般に、基準実験室によって実施されている。従って、慣用の臨床実践と適合可能な検出方法に対する必要性が残っている。本発明はこの必要性を取り扱い、そしてさらなる関連した利点を提供する。
【0004】
微量流体デバイスは、分析試験を実施するため、近年、一般的になった。電子製品をミニチュア化するために半導体産業によって開発されたツールを用い、安価に大量生産され得る錯雑流体システムを製作することが可能になった。情報の獲得および処理のために種々の分析技法を実施するシステムが開発されている。微量流体により分析を実施する能力は、スループット、試薬消費、および自動化可能性の実質的な利点を提供する。微量流体システムの別の利点は、分析および/または合成のために反応体の処理を実施するための単一の「ラップオンナチップ(lap−on−a−チップ)」デバイスで、複数の異なる操作を統合する能力である。
【0005】
微量流体デバイスは、多層積層構造で構築され得、ここで、各層は、チャネルおよび積層材料から製作される構造を有し、流体が流れるミクロスケールの間隙またはチャネルを形成する。ミクロスケールまたは微量流体チャネルは、一般に、500μm未満であり、そして代表的には、約0.1μmと約500μmとの間である少なくとも1つの内部断面寸法を有する流体通路として規定される。
【0006】
その全体が本明細書によって参考として援用される特許文献1は、微量流体デバイスの例である。この特許文献1は、指標流れおよびサンプル流れを提供する少なくとも2つの入力チャネルを有する層流チャネルを用いてサンプル流れ中の分析物粒子の存在を検出するための微量流体システムを教示し、ここで、この層流チャネルは、これら流れの層流を可能にするに十分小さい深さ、および検出領域を形成するように指標流れ中への分析物の粒子の拡散を可能にするに十分な長さを有し、そして単一の混合された流れを形成するようにこのチャネルからの出口を有している。T−Sensorとして知られるこのデバイスは、拡散による以外は混合することなく、チャネル内で互いの次に異なる流体層の移動を可能にする。全血のようなサンプル流れ、指標溶液のようなレセプター流れ、および既知の分析物標準であり得る参照流れは、このT−Sensor内の共通の微量流体チャネル中に導入され、そしてこれらの流れは、それらがチャネルを出るまで互いの次に流れる。イオンまたは小さなタンパク質のようなより小さな粒子は、流れの境界を横切って迅速に拡散し、その一方、より大きな分子は、よりゆっくりと拡散する。血液細胞のような大きな粒子は、上記2つの流れのストリームが接触する時間内には有意な拡散を示さない。
【0007】
代表的には、微量流体システムは、機能するために、圧電ポンプ、マイクロシリンジポンプ、電気浸透ポンプなどのような特定タイプの外部流体ドライバーを必要とする。しかし、本発明の譲受人に譲渡されている出願であって、その全体が本明細書によって援用される米国特許出願番号第09/684,094号には、重力、静水圧、毛管力、多孔性材料による吸収もしくは化学的に誘導された圧力もしくは減圧による吸収のような固有に利用可能な内部力によって完全に駆動される微量流体システムが記載されている。
【0008】
さらに、微量スケールデバイスで流体を制御することにおける使用のための多くの異なるタイプのバルブが開発されている。例えば、特許文献2は、積層された微量流体構造における使用のための(チェックバルブとしても知られる)一方向バルブを記載し、特許文献3は、積層された微量流体構造における使用のためのボールベアリングバルブを記載し、本発明の譲受人に譲渡されている米国特許出願第10/960、890号は、積層された微量流体構造における使用のための、ゼロ死容量バルブまたは受動バルブとしても知られる空気力バルブインターフェースを記載し、および2006年1月13日に出願され、そして本発明の譲受人に譲渡されている「微量流体構造における使用のための電磁バルブインターフェース」と題する米国仮特許出願は、積層された微量流体構造における使用のための電磁力によって起動されるバルブインターフェースを記載している。前述する特許および特許出願は、それらの全体が参考として本明細書によって援用される。
【特許文献1】米国特許第5,716,852号明細書
【特許文献2】米国特許第6,432,212号明細書
【特許文献2】米国特許第6,581,899号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当該分野において多くの進歩があるけれども、流体サンプルを操作および分析するための新規かつ改良された微量流体デバイスに対する必要性が残っている。特に、希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスのような、複数のサンプル調製および分析技法を取り込む微量流体デバイスに対する必要性が残っている。本発明はこれらの必要性を取り扱い、そしてさらに関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な要旨)
簡単に述べれば、本発明は、希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスおよび方法に関する。開示されるデバイスおよび方法は、サンプル調製、細胞標識化、細胞ソーティングおよび富化、およびソートされた細胞のDNA/RNA分析を統合し、そして自動化する。
【0011】
1つの実施形態では、希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスは:(1)1つ以上の標識細胞を含む生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段;(2)この生物学的サンプルを緩衝液液体で覆い、この生物学的サンプルの薄いリボンを形成する手段;(3)上記生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段;(4)上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段;(5)上記標識細胞を溶解する手段;(6)溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段;および(7)収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段を備える。
【0012】
より詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段は、サンプル入口微量流体チャネルに流体により接続されるサンプル入口ポートを備える。
【0013】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルを緩衝液液体で覆い、この生物学的サンプルの薄いリボンを形成する手段は、薄いリボンのシース流れアセンブリを備える。この薄いリボンのシース流れアセンブリは、サンプル微量流体チャネル、第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルを備え得、ここで、この第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルは、上記サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして上記サンプル微量流体チャネルに流体的に寄り集まる。
【0014】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段は、覆われたサンプル微量流体チャネルの一部分の上に位置決めされる光学的観察窓を備える。
【0015】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段は、細胞をソートするスリット構造を備える。
【0016】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段は、可撓性フィルム膜を備える細胞をソートする可撓性フィルム構造を備え、この可撓性フィルム膜は、空気圧力の付与に際し、覆われたサンプル微量流体チャネル中に変形可能である。
【0017】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段は、電磁気によって起動されるバルブを備える。この電磁気によって起動されるバルブは、金属ホイルを備え得る。
【0018】
別のより詳細な実施形態では、上記標識細胞を溶解する手段は、上記標識細胞を捕捉するように適合された第1の膜、およびこの第1の膜に流体により接続される溶解緩衝液微量流体チャネルを備える。この第1の膜は、Lukesorb(登録商標)膜のような、ポリブチレンテレフタレート(PBT)膜であり得る。
【0019】
別のより詳細な実施形態では、上記標識細胞を溶解する手段は、溶解緩衝液シース流れアセンブリを備える。この溶解緩衝液シース流れアセンブリは、ソート細胞微量流体チャネル、第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルを備え得、ここで、この第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルは、上記ソート細胞微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そしてこのソート細胞微量流体チャネルに流体的に寄り集まる。
【0020】
別のより詳細な実施形態では、上記溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段は、放出されたRNAおよびDNAを捕捉するように適合された第2の膜を備える。この第2の膜は、ガラスまたはケイ酸塩を含み得る。
【0021】
別のより詳細な実施形態では、上記収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段は、PCR増幅チャンバーを備える。このPCR増幅チャンバーは、このPCR増幅チャンバーに予備装填されるか、またはプリントされるPCRプローブおよびプライマー試薬を備え得る。
【0022】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルは、血液サンプルである。
【0023】
第2の実施形態では、希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスが提供され、これは:(1)生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段;(2)上記生物学的サンプルを標識緩衝液液体で覆い、この生物学的サンプルの薄いリボンを形成し、そしてこの生物学的サンプル中の1つ以上の細胞を標識する手段;(3)上記生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段;(4)上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段;(5)上記標識細胞を溶解する手段;(6)溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段;および(7)収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段を備える。
【0024】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段は、サンプル入口微量流体チャネルに流体により接続されるサンプル入口ポートを備える。
【0025】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルを標識緩衝液液体で覆い、上記生物学的サンプルの薄いリボンを形成し、そしてこの生物学的サンプル中の1つ以上の細胞を標識する手段は、薄いリボンの標識シース流れアセンブリを備える。この薄いリボンの標識シース流れアセンブリは、サンプル微量流体チャネル、第1の標識シース液体微量流体チャネルおよび第2の標識シース液体微量流体チャネルを備え得、ここで、この第1の標識シース液体微量流体チャネルおよび第2の標識シース液体微量流体チャネルは、上記サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして上記サンプル微量流体チャネルに流体的に寄り集まる。
【0026】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段は、覆われたサンプル微量流体チャネルの一部分の上に位置決めされる光学的観察窓を備える。
【0027】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段は、細胞をソートするスリット構造を備える。
【0028】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段は、可撓性フィルム膜を備える細胞をソートする可撓性フィルム膜構造を備え、この可撓性フィルム膜は、空気圧力の付与に際し、覆われたサンプル微量流体チャネル中に変形可能である。
【0029】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段は、電磁気によって起動されるバルブを備える。この電磁気によって起動されるバルブは、金属ホイルを備え得る。
【0030】
別のより詳細な実施形態では、上記標識細胞を溶解する手段は、この標識細胞を捕捉するように適合された第1の膜、およびこの第1の膜に流体により接続される溶解緩衝液微量流体チャネルを備える。この第1の膜は、Lukesorb(登録商標)膜のような、ポリブチレンテレフタレート(PBT)膜であり得る。
【0031】
別のより詳細な実施形態では、上記標識細胞を溶解する手段は、溶解緩衝液シース流れアセンブリを備える。この溶解緩衝液シース流れアセンブリは、ソート細胞微量流体チャネル、第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルを備え得、ここで、この第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルは、上記ソート細胞微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして上記ソート細胞微量流体チャネルに流体的に寄り集まる。
【0032】
別のより詳細な実施形態では、上記溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段は、放出されたRNAおよびDNAを捕捉するように適合された第2の膜を備える。この第2の膜は、ガラスまたはケイ酸塩を含み得る。
【0033】
別のより詳細な実施形態では、上記収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段は、PCR増幅チャンバーを備える。このPCR増幅チャンバーは、このPCR増幅チャンバーに予備装填されるか、またはプリントされるPCRプローブおよびプライマー試薬を備え得る。
【0034】
別のより詳細な実施形態では、上記生物学的サンプルは、血液サンプルである。
【0035】
本発明のこれらの局面およびその他の局面は、添付の図面および以下の詳細な説明を参照する際に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
先に注記したように、本発明は、希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスおよび方法に関する。本発明のデバイスは、複数の微量流体チャネル、入口、バルブ、膜、ポンプ、液体障壁および種々の形態で配列されたその他の要素を利用し、分析用に流体サンプルを調製するためにこのようなサンプルの流れを操作し、この流体サンプルを分析する。以下の説明では、本発明のデバイスおよび方法の特定の詳細な実施形態が提示されるが、当業者は、以下に記載される種々の実施形態および要素が、本発明の思想および範囲から逸脱することなく組み合わされ得るか、または改変され得ることを理解する。
【0037】
当業者が認識するように、本明細書で用いられる用語「希薄(rare)な細胞」は、極度に低濃度(すなわち、百万の中の1つのオーダー)の(生物学的サンプルのような)サンプル中にある、そして癌を含む多くの症状にともない得る特有に識別可能な細胞をいう。
【0038】
さらに、当業者が認識するように、本明細書で用いられる用語「生物学的サンプル」は、(制限されないで)血液サンプル、尿サンプル、および精液サンプルのような液体の生物学的サンプルを含む。例示の目的のために、以下の説明は、頻繁に「血液サンプル」に言及するが、当業者が認識するように、本明細書および記載された実施形態は、尿および精液のようなその他の液体生物学的サンプルに等しく適用され、そしてそれらを包含する。
【0039】
図1は、本発明の局面に従って、希薄な細胞を検出するための代表的な方法におけるステップを示すフローチャートである。このような方法は以下のステップを包含する:(1)(図1中参照番号100によって示される)1つ以上の標識細胞を含む血液サンプルを、微量流体デバイス上に装填する工程;(2)(図1中参照番号110によって示される)緩衝液液体の2つの流れ間で血液サンプルの薄いリボン(すなわち、1細胞厚み)流れを達成するために緩衝液液体で血液サンプルを覆う工程;(3)(図1中参照番号120によって示される)血液サンプル中の標識細胞を検出する工程;(4)(図1中参照番号130によって示される)標識細胞を含む血液サンプルの一部分の流れを反らす工程であって、それによって、上記標識細胞を、血液サンプルの塊から分離する工程;(5)(図1中参照番号140によって示される)第1の膜(例えば、Lukesorb(登録商標)膜のような、ポリブチレンテレフタレート(PBT)膜)上に標識細胞を集める工程;(6)(図1中参照番号150によって示される)上記第1の膜上に集められた標識細胞を洗浄し、そして溶解する工程;(7)(図1中参照番号160によって示される)第2の膜(例えば、ガラスまたはケイ酸塩)上に溶解物(これは、溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを含む)を集める工程;(8)(図1中参照番号170によって示される)この第2の膜上の溶解物を洗浄し、そして乾燥する工程;(9)(図1中参照番号170によって示される)この第2の膜上に集められたRNAおよびDNAをPCRチャンバー中に溶出する工程;および(10)(図1中参照番号180によって示される)集められたRNAおよびDNAの定量的PCR(すなわち、ポリメラーゼ連鎖反応)またはqRT−PCR(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)分析を実施する工程。
【0040】
前述の方法のより詳細な実施形態では、そして以下により詳細に記載されるように:(1)血液サンプル中の特定細胞は、血液サンプル中の希薄な細胞の表面上に見出される特異的抗原に結合する、蛍光によって標識されたモノクローナル抗体(例えば、CD−34)で標識され得;そして(2)この蛍光によって標識された細胞は、上記微量流体デバイスの光学的観察窓または領域を通じて、光学的デバイスによって検出され得る。定量的PCR(すなわち、ポリメラーゼ連鎖反応)分析、およびqRT−PCR(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)分析は、PCRのために必要なプローブおよびプライマーを、微量流体デバイス中に組み込むこと(液体形態(すなわち、ブリスターパウチ)または乾燥形態(すなわち、プリントされる)いずれか)、この微量流体デバイス中にPCR増幅チャンバーを組み込むこと、およびこの微量流体デバイスを、Peltierデバイスのような熱サイクリング加熱デバイスとインターフェースすることにより、この微量流体デバイス上で実施され得る。一体化された熱サイクリングシステムを有する代表的な微量流体デバイスは、本発明の譲受人に譲渡され、そしてその全体が参考として本明細書によって援用される米国特許番号第10/862,826号に記載されている。さらに、ソフトウェアが、この方法における各ステップを制御および実施するために利用され得、そしてアルゴリズムが考案されて、このデバイスが、全血サンプルの所定の容量中の標識細胞の数、および同じ血液サンプル中の目的の遺伝子標識細胞の数を報告することを可能にする。
【0041】
図2は、本発明の局面に従って、希薄な細胞を検出するための代表的な微量流体デバイス200の概略図である。示されるように、乾燥された蛍光標識抗体を含むバキュテイナー205は、全血サンプル(約1〜10ml)で充填される。このバキュテイナー205は、次いで、微量流体デバイス200と嵌合され、そしてこのアセンブリは、ポンプ輸送/読み取りデバイスまたはステーション(詳細には識別しない)中に挿入される。このポンプ輸送/読み取りデバイスは、複数のマイクロポンプ210、減圧ライン215、廃液ライン220、青色レーザー225、青色LED230、熱サイクラー235、およびいくつかの検出器240、ならびに洗浄流体および廃棄液体のためのリザーバーを備える。
【0042】
作動において、上記ポンプ輸送/読み取りデバイスは、全血サンプルを、上記バキュテイナー205から微量流体デバイス200のサンプル入口微量流体チャネル(詳細には示さず)中に、サンプル入口ポート(詳細には示さず)を経由し、そして微量流体デバイス200上の薄いリボンシース流れアセンブリ207を通ってポンプ輸送し、それによって、上記血液サンプルが緩衝液流体に覆われ、血液サンプルの薄いリボン流れを生成するようにする(図2中標識1によって示される)。この血液サンプルの薄いリボン流れは、光学的観察窓245まで進行し、そこで、青色レーザー225で照射され、そして検出器240が標識細胞をモニターする(図2中標識2によって示される)。標識細胞が検出されるとき、この細胞を含む小容量の血液サンプルは、第1の膜(図2中標識3によって示される)上に反らされる。このようにして、複数の細胞が、個々にではなく、一度にリボンの全細胞の列またはセクションとして、観察および貯蔵される。十分な数の標識細胞が捕捉されたとき、または血液サンプルが枯渇されるとき、第1の膜250は、所望されない細胞を除去するために洗浄される(図2中標識4によって示される)。次いで、溶解緩衝液が第1の膜250上に通され、標識細胞を溶解し、そしてRNAおよびDNAを含む溶解物を放出し、これは、第2の膜255上に捕捉される(図2中標識6によって示される)。この第2の膜255は、次いで、洗浄され(図2中標識6によって示される)、乾燥され(図2中標識7によって示される)、そしてこのRNA/DNAは、PCR増幅チャンバー260中に溶出される(図2中標識8によって示される)。この集められたRNA/DNAは、次いで、試薬と混合され、定量的PCRおよびqRT−PCRが進行することを可能にする(図2中標識9によって示される)。qRT−PCRでは、青色LED230は、サイクルあたりの蛍光の増加を検出するためにサンプルの各サイクルを照射する(図2中標識10によって示される)。
【0043】
上記のように、図1および2の実施形態は、微量流体デバイス中に予め標識された血液サンプルが導入されるよう準備される。しかし、当業者が認識するように、代替の実施形態では、この微量流体デバイスは、血液サンプルを標識することを提供するようにも構成され得る。例えば、図3A〜3Cは、例えば、本発明の局面に従って白血球細胞を標識する抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイス300の一連の断面図である。示されるように、全血サンプルおよび標識緩衝液液体(例えば、抗体試薬)の両方が、微量流体デバイス300上に装填される。この血液サンプルは、サンプル入口ポート305およびサンプル入口微量流体チャネル310を通って微量流体デバイス300中に導入される。示される実施形態では、駆動流体が利用されて、この血液サンプルおよび抗体試薬を押して、薄いリボンのシース流れアセンブリ315(より詳細には、この実施形態では、薄いリボン標識シース流れアセンブリ315)に通し、抗体試薬の流れの間に血液サンプルの薄いリボンを形成する。上記で注記されたように、この薄いリボンのシース流れアセンブリ315は、第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルを備え得、ここで、この第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルは、上記サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そしてそれと流体的に互いに近づき合う。その全体が参考として本明細書中に援用される米国特許番号第6,576,194号は、このようなシース流れアセンブリをさらに記載している。この薄いリボン形成における間、および覆われたサンプル微量流体チャネル320を通って流れる間、流体流れ間の拡散が、血液サンプル中の白血球細胞の抗体での標識を容易にする。この標識された細胞は、次に、覆われたサンプル微量流体チャネル320の一部分上に位置決めされる示された光学的観察窓325を通じて光学的に検出され得る。
【0044】
微量流体デバイス中の血液サンプルを標識することを提供する別の実施形態が図4A〜4Dに示され、これらは、例えば、本発明の局面に従って、白血球細胞の抗体標識および赤血球細胞の溶解の両方のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイス400の一連の断面図を示す。図3A〜3Cにおけるように、全血サンプルおよび標識緩衝液液体(すなわち、抗体試薬液体)が、微量流体デバイス400上に装填される。この血液サンプルは、サンプル入口ポート405およびサンプル入口微量流体チャネル410を通って微量流体デバイス400中に導入される。駆動流体を利用して、この血液サンプルと抗体試薬を押して薄いリボンシース流れアセンブリ415(より詳細には、示される実施形態では薄いリボンの標識シース流れアセンブリ)を通し、抗体試薬の流れ間に薄いリボンの血液サンプルを形成する。上記で注記したように、この薄いリボンシース流れアセンブリ415は、第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルを備え得、ここで、この第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルは、上記サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そしてそれと流体的に互いに近づき合う。その全体が参考として本明細書中に援用される米国特許番号第6,576,194号は、このようなシース流れアセンブリをさらに記載している。しかし、図4A〜4Dのデバイスでは、溶解試薬液体がまた、微量流体デバイス400上に装填され、そして血液サンプル中の白血球細胞の抗体での標識の後、駆動流体をも用いて溶解試薬と標識された血液サンプルとを押して溶解緩衝液シース流れアセンブリ420を通し、このような流体の層流を生成する。上記薄いリボンのシース流れアセンブリと同様に、この溶解緩衝液シース流れアセンブリは、第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルを備え、ここでこの第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルは、上記サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そしてそれと流体的に互いに近づき合う。得られる流体流れ間の拡散は、血液サンプル中の赤血球細胞の溶解を生じる。結果として、残存する標識白血球細胞は、示された光学的観察窓425を通じてより容易に検出され得る。その他の実施形態では、溶解緩衝液シース流れアセンブリ420は、標識細胞を血液サンプルから分離するための手段の下流に位置決めされ得る。
【0045】
細胞を集め、そして溶解する流体力学を提供するさらなる微量流体デバイスの例は、本発明の譲受人に譲渡され、そしてその全体が参考として本明細書によって援用される米国特許番号第6,674,525号に記載されている。
【0046】
図1および2に関して記載されるように、標識細胞の検出の後、この細胞を含む全血サンプルの小容量は反らされる。当業者が認識するように、広範な範囲の微量流体チャネル、バルブ、膜、ポンプ、液体障壁およびその他の要素が、この結果を達成するために種々の形態で配列され得る。例えば、図5A〜5Gは、本発明の局面に従って、抗体標識細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路の作動を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の多くの断面図を示す。流体力学に細胞を集め、そしてソートするための微量流体デバイスのさらなる例は、本発明の譲受人に譲渡され、そしてその全体が参考として本明細書によって援用される米国特許出願公開番号第2003/0175980号に記載されている。
【0047】
図5A〜5Bに示される1つの実施形態では、標識された細胞をソートするための代表的なサブ回路は、光学的観察窓510の下流に位置決めされる細胞ソーティングスリット構造500を備える。この細胞ソーティングスリット構造500は、主要なサンプル微量流体チャネル525に垂直に位置決めされる、上部スリット515および下部スリット520の両方を備える。上部スリット515および下部スリット520のそれぞれを通る空気圧力のパルスは、血液サンプルの流れを反らすために利用され得る。例えば、上部スリット515を通る圧力パルスは、主要サンプル微量流体チャネル525からの流れを下部スリット520に反らすために利用され得る。上部スリット515および下部スリット520の幅は、それぞれ25〜200ミクロンのオーダーであり得る。
【0048】
図5C〜5Eに示される別の実施形態では、標識された細胞をソートするための代表的なサブ回路は、光学的観察窓510の下流に位置決めされた細胞ソーティング可撓性膜構造540を備える。この細胞ソーティング可撓性膜構造540は、空気圧力の付与によって主要微量流体チャネル525中に変形され得る可撓性フィルム膜545を備える。図5D〜5Eにより詳細に示されるように、このように可撓性フィルム膜545を変形することにより、血液サンプルの流れは、主要サンプル微小流体チャネル525から反らされ得る。
【0049】
図5F〜5Iに示される別の実施形態では、標識された細胞をソートするための代表的なサブ回路は、電磁石により起動されるバルブ510を備える。図5F〜5Gに示される1つの実施形態では、この電磁石により起動されるバルブ510は、上記デバイスの2つの薄片層の間に配置され、そして主要微量流体チャネル515中に「浮遊する」1つの端部を有する金属ホイルを備える。上記デバイスでインターフェースされる「オフカード(off−card)」電磁石530を交互に起動することにより、この金属ホイル510は、この金属ホイル510の下流の2つの微量流体チャネル520および525間で血液サンプルの流れを反らすために利用され得る(示される実施形態では、1つのチャネル520は廃棄細胞リザーバーに至り、そして他方のチャネル525は、ソート細胞リザーバーに至る)。図5H〜5Iに示される別の実施形態では、電磁石により起動されるバルブ510は、デバイスの2つの薄片層の間に配置され、そして、通常、主要微量流体チャネル515の1つの面(例えば、底面)に対して配置される1つの端部を有する金属ホイルを備える。図5F〜5Gの実施形態におけるように、デバイスによってインターフェースされる「オフカード」電磁石530を交互に起動することにより、この金属ホイル510は、この金属ホイル510の下流の2つの微量流体チャネル520および525間で血液サンプルの流れを反らすために利用され得る(示される実施形態では、1つのチャネル520は廃棄細胞リザーバーに至り、そして他方のチャネル525は、ソート細胞リザーバーに至る)。これらの代表的な電磁石により起動されるバルブは、2006年1月13日に出願され、そして本発明の譲受人に譲渡され、その全体が本明細書によって参考として本明細書中に援用される「微量流体構造における使用のための電磁石バルブインターフェース」と題する米国仮特許出願にさらに記載されている。
【0050】
図1および2に関して記載されたように、標識細胞を含む全血サンプルの反れた部分は、第1の膜上に捕捉され、これは、次いで、洗浄されて所望されない細胞を取り除く。溶解緩衝液が、次いで、この第1の膜上に通され、標識細胞を溶解し、そしてRNAおよびDNAを含む溶解物を放出する。これらのステップは、図6A〜6Dに示され、これらは、本発明の局面に従って、例えば、白血球細胞捕捉および溶解のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイス600の一連の断面図を示す。図6Aに示されるように、このサブ回路は、第1の膜605に加え、複数のバルブ、入口、出口および微量流体チャネルを含む。図6Bは、全血サンプルの微量流体デバイス600中への導入、第1の膜605上の白血球細胞の-捕捉、および廃液出口を通る(白血球細胞、血小板および血漿を含む)枯渇全血サンプルの通過を示す。図6Cは、洗浄緩衝液により洗浄されている第1の膜605を示す。図6Dは、溶解緩衝液微量流体チャネル610(第1の膜605に流体により接続される)を通って導入された溶解緩衝液液体による第1の膜605上に捕捉された白血球細胞の溶解、および引き続く拡散捕捉および生成のための溶解物溶液の放出を示す。
【0051】
上記に記載されたように、得られる溶解物溶液は、RNAおよびDNAを含み、これは、次いで、第2の膜上に捕捉される。この第2の膜は洗浄され、そして乾燥されてこの捕捉されたRNA/DNAを生成し、そしてこのRNA/DNAは、次いで、PCR増幅チャンバー中に溶出される。これらのステップは、図7A〜7Fに示され、これらは、本発明の局面に従う、拡散捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイス700の一連の断面図を示す。図7Aに示されるように、このサブ回路は、第2の膜705(すなわち、核酸捕捉膜)に加え、複数のバルブ、入口、出口および微量流体チャネルを備える。図7Bは、この微量流体デバイス700中への溶解溶液および洗浄緩衝液の導入を示す。図7Cは、第2の膜705上を通過される溶解溶液を示す−RNA/DNAはこの第2の膜上に捕捉され、そして枯渇された溶解物溶液は、廃液チャンバーに向けられる。図7Dは、洗浄緩衝液によって洗浄されている第2の膜705を示す。図7Eは、空気乾燥されている第2の膜705を示す。図7Fは、溶出緩衝液での第2の膜705からのRNA/DNAの離脱を示す。
【0052】
図1および2に関して記載されたように、第2の膜上のRNA/DNAの精製の後、この精製されたサンプルは、1つ以上のPCR増幅チャンバー中に溶出され、ここで、定量的PCRおよびqRT−PCR分析が実施され得る。図8A〜8Bは、本発明の局面に従う核酸増幅のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイス800の断面図である。当業者が認識するように、示される微量流体デバイス800は、(約35サイクルを実施し得る)「オフ−カード」熱サイクラー、および(増幅チャンバー中で蛍光を定量的に検出し得る)「オフ−カード」epi蛍光検出器の両方でインターフェースされる。詳細には示されていないけれども、PCRに必要な試薬(例えば、プローブおよびプライマー)は、(1)1つ以上のさらなる入口を通って液体形態で微量流体デバイス800中に導入され得るか、(2)1つ以上のブリスターパウチで微量流体デバイス800中に液体形態で提供され得るか、または(3)例えば、乾燥試薬をPCR増幅チャンバー805中にプリントすることにより微量流体デバイス800中に乾燥形態で提供され得る。図8Cは、本発明の局面に従って核酸増幅のために図8A〜8Bの微量流体デバイスを組み込むシステムの写真である。このシステムは、3つの主要な構成要素、すなわち、microFlow(商標名)システム、熱サイクラーおよび電源を備える。
【0053】
当業者が認識するように、前述のサブ回路は、種々の形態で組み合わされ得、希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスを生成し、これは、サンプル調製、細胞標識化、細胞ソーティングおよび富化、およびソートされた細胞のDNA/RNA分析を統合し、そして自動化する。例えば、図9A〜9Bは、本発明の局面に従って、図6A〜6D(細胞捕捉)、7A〜7F(核酸捕捉)および8A〜8B(PCR増幅)のサブ回路を取り込む代表的な微量流体デバイス900の断面図を示す。示されるように、図9A〜9Bのデバイスは、細胞捕捉、核酸捕捉およびPCR増幅を一体化する。
【0054】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態および局面を示すために含められ、そして如何なる様式においても制限するとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
以下の実施例では、サンプルおよび抗体溶液は、microFlow(商標名)システムによる微量流体デバイスのチャネルを通って移動され、これは、コントローラー、ポンプ(250μLおよび2,300μL容量ポンプ)、および多岐管を備える。このmicroFlow(商標名)システムは、市販され、入手可能な超低パルスポンプシステム(Micronics,Inc.)であり、PCをベースにしたソフトウェアによって制御される空気、減圧、前方および後方ポンプ輸送能力を備える。微量流体デバイスでは、流体は、空気またはFluorinert(商標名)FC−70(Hampton Research HR2−797)のいずれかによって輸送され得る。Fluorinert(商標名)FC−70は、水と類似の粘度を有し、約75%より大きい密度を備え、そして水性溶液とは混和可能でない。以下の実施例では、Fluorinert(商標名)FC−70を、プロセッシングの間にサンプルおよび抗体溶液の希釈を防ぐために用いた。
【0056】
(ラボのカードの設計)
図3A〜3Cおよび5A〜5Eに示されるサブ回路を有する微量流体デバイスを、以下の細胞および/またはビーズ計数およびソート実験のために用いた。このデバイスは、ビーズおよび/または細胞のための30μLのサンプルチャネル(またはループ)、400μLの(用いられる場合)希釈抗体または(抗体が用いられない場合)PBSを保持するオンカード(on−card)チャンバー(またはリザーバー)、オンカードの薄いリボン形成構造(またはサンプルインジェクター)、標識チャネル(またはループ)、観察領域、および標識細胞および/またはビーズの除去のためのソーティングスリット構造を備える。このカードは、薄片(ラミネート)をプロトタイプする方法(例えば、個々の層をレーザーカットし、次いで積層されて三次元チャネルおよびバルブを形成する)を用いて製造された。これらの実験で用いられるデバイスには、チャネルは各々1.5mm幅であり、そして標識チャネルにおける滞留時間は約15秒であった。
【0057】
(オンカード光学)
前述のラボカードを含む多岐管をZeissの倒立顕微鏡(モデルIM35)のステージ上に置いた。このカードを、BlueSky Research 488nmレーザー(モデルFTEC−488−020−SM00)で照射した。チャージカップルデバイス(CCD)カメラ(Andor iXon(モデルDV877−BI)およびWatec(モデルLCL−902C)、モノクロ)を用いて、上記ラボカードを顕微鏡を通じて観察した。このWatecカメラは、従来のビデオ出力を有し、そしてこのカメラからのビデオを、National Instrumentsビデオキャプチャーカード(モデルIMAQ PCI−1409)を用いてキャプチャーした。データをムービーフォーマットで収集し、これは、ジャンプする(on−the−fly)分析を可能にしたか、または後の時間のさらなる分析のために保存された。分析部分は、Visionアドオン(LabVIEW用のIMAQ Vision)を備えたNational Instruments LabVIEW(登録商標)(バージョン6i)を用いた。このソフトウェアには、「blob」分析が付属し、これは、目的の領域中の明るいスポットを認識するように構成され得、そしてビーズまたは細胞を、それらがレーザースポットを通過するとき計数するために用いた。
【0058】
計数速度は、カメラフレーム速度および光感度によって決定された。感度はまた、標識またはビーズの輝度によって決定された。これらの実験には、明るく標識された細胞またはビーズのみを用いた。速度は、カメラが視野の小部分のみを読み取る場合には増加され得る。Watecカメラは1秒あたり30フレーム(FPS)で固定され、その一方、iXonFPSはラインあたりの画素のコンフィギュレーション数およびラインの数、ならびに読み返し速度によって決定された。iXonのための最大FPSは、200FPSであった。しかし、より速い読み返しは、信号対ノイズ比を減少するので、速度および解像度は交換条件であった。
【0059】
(蛍光ビーズ制御)
これらの実験のために用いられたすべてのビーズは、Polyscience,Inc.から得た。初期の視覚化は、非常に明るいFluoresbrite(登録商標)Yellow Green Microsphereを用いた。3μmビーズ(較正グレード#17147)および10μmビーズ(#18140)の両方が混合された。これらのビーズは、深く染色され、ほぼ全部のビーズが標識された。次に、中間の明るさのFlow Check FITC6μmビーズ(#24253)が視覚化された。これらのビーズは、深くは染色されず(代表的には、見かけで10%に過ぎない)、そしてゴースト様外観を示す。最後に、抗IgGでコートされたPolyCombビーズ(#24312)が、オンまたはオフカードいずれかでCD4抗体を用いてタグ化された。これらのビーズは、明るい蛍光レベルおよび中間明るさの蛍光レベルを有する。ビーズのサイズは特定されなかったが、約6μmであるように見えた。
【0060】
(CD4白血球細胞標識)
実行可能性試験には、CD4が、より高い細胞計数で開始するために、良好に確立された試薬および標識プロトコールを用いて利用された。用いられたCD4抗体は、BD Biosciences Pharmingen #557695 AlexaFluor(登録商標)488が結合したマウス抗ヒトCD4であった。このCD4抗体は、平均血液サンプル中の白血球細胞の約15%を染色することが知られている。用いたCD4抗体は、フルオレセイン結合体に類似の応答性をもつが、より光安定性である、色素AlexFluor488でタグ化された。波長488nm(青色)の光で照射されるとき、AlexFluor488は、約520nmの波長(緑色)を発する。Zeiss顕微鏡には、散乱をなくし、蛍光の光のみのカメラへの伝達を制限するフィルターセットが供給された。488nmレーザーの使用に起因して、励起フィルターは用いなかった。510nmの20dbバンドパスフィルター(Chroma Technology Corp#D510/20×−フィルターセット31040のパーツ)、またはビームスプリッター(Chroma Technology Corp#505dclp−セットCZ716のパーツ)を備えた520nmの40dbバンドパスフィルター(Omega#XF3003)のいずれかを用いた。
【0061】
CD4抗体のために推奨されるプロトコールは、100μLの全血に対して5μLの抗体の使用を特定する。オンカード標識試験には、この抗体の5μLを、標識リボンを生成するために必要なシース容量を提供するために200μLのPBS中に希釈した。
【0062】
比較試験は、標準的に受容された粒子を用いてオフカードで調製された白血球細胞で行った。全血は、EDTAと混合し、そして4℃で貯蔵した。プロトコールは、1.4mLの塩化アンモニウムとともに、100μLの全血および溶解された赤血球細胞を用いた。細胞は、次いで、PBSで洗浄し、そして使用されるまで4℃で貯蔵した。用いるとき、細胞を100μLPBS中に再懸濁し、全血に類似の濃度を得た。
【0063】
(カード上の蛍光ビーズの計数)
蛍光および機能させた両方の種々のタイプのビーズを、ラボカードの30μLのサンプルループ中に装填した。カード上の抗体リザーバーを、PBS単独(非標識サンプルのため)またはPBSで希釈されたCD4mABS(機能化ビーズのオンカード標識のため)で充填した。サンプルをFluorinertで押し、そして抗体リザーバー流体は、カード上で標識しない場合PBSで押したか、またはオンカード標識にはFluorinertで押した。Fluorinertは、抗体を加えたPBSの希釈を防ぐために用いられた。種々のサンプルおよびシース比率を試験した。良好な標識は、10:1の抗体を加えたシース:サンプル流速比で生じた。1.0のシース流速は、ゆっくりとしたCCDを可能にし、各ビーズまたは細胞の良好な視野を得た。この流速において、10μLのサンプルは、試験するのに約2分を要し得る。試験のサンプリング部分は、約15秒を要した。蛍光ビーズ計数は、表1に示されるように、予測および測定計数の両方に非常に正確な相関で成功した。
【0064】
【表1】

(カード上の蛍光WBC計数)
WBC計数は、平均の予測値を用いて算出した。すべての血液サンプルは、同じ固体からであった。表2は、この試験結果の要約を提示する。ほんの2〜3の細胞が、照射されたチャネルの小領域に存在することが予測されるので、算出された比は、単一細胞の存在または不在とともに変化し得る。より長い稼動時間および種々のドナーからのサンプルが、より多くの統計学的有意を提供するために試験され得る。
【0065】
【表2】

(カード上の抗体標識)
表3は、ソーティングの前に細胞を標識するために用いた種々のステップについて必要な時間の詳細である。示されるように、通常のプロトコールは1時間以上を要し、その一方、このオンカードプロセスは、30秒以内に終了する。試薬の容量もまた減少され、そして廃液は、安全にオンカードに含まれた。
【0066】
【表3−1】

【0067】
【表3−2】

(ソーティング/蛍光ゲーティング)
実行可能性試験について、目的は、ビーズの手動ソーティングを示すことであった。単独か、またはWBCと混合されるかいずれかで用いたビーズを、システムを通って動かし、そして捕捉した。プラスチックカード内に配置されたソーティング容量は、スリット幅(25μm)、スリット長さ(1,500μm)、およびスリット深さ(150μm)によって規定された。2300μL容量のポンプを用いて30μL/秒で流体を吸引した。このポンプは、約1〜2μLの流体を置換し、そして小置換容量よりもむしろ迅速流速のために選択された。細胞またはビーズソーティングには、サンプル流速は0.1μL/秒であり、そして抗体標識溶液流速は1μL/秒であった。ソーティングの最高の頻度は、細胞をソートするためにmicroFlowシステム上のポンプを用いて、ソーティングパルスあたり0.91秒で測定された。
【0068】
薄いリボンの細胞ソーターは、白血球細胞からの希薄な細胞ソーティングの非常に適した方法であるように見える。標識された細胞は視覚化され、そして細胞をソートするときを決定する目的のためにそれらの速度を記録した。ソートする容量は小さく、そして分析されるべき細胞の数を効率的に低減する。移動する流れからの細胞位置ずれは良好に作用し、そしてある程度の最適化は、移動する流れ内の小容量をサンプリングし得る。
【0069】
(実施例2)
(ラボカードおよび微量流体回路)
図7A〜7Fに示されるサブ回路を有する微量流体デバイスを用いて、RNA抽出のための自動化液体取り扱いステップを評価した。このデバイスは、700μLの洗浄溶液チャンバー、150μLの溶出溶液チャンバー、250μLの溶解液/結合溶液チャンバー、およびシリカ膜アセンブリを備えた。このシリカ膜アセンブリは、2つの円形ガラスファイバーフィルタータイプD膜(GF/D、8mm直径ディスク、Whatman)を備えていた。流体回路は、流体経路および単純な減圧を制御するためにオンカードのバルブ調節を用い、そして上記GF/D膜を通って溶液を送達し、そして引いた。さらに、小容量ポンプ(約150μL)を用いて溶出溶液を送達した。このデバイスに適切な溶液を装填した後、このデバイスは、以下のステップを自動化した:(1)溶解物溶液中の白血球細胞を、減圧によってシリカ膜を横切って引いた;(2)細胞からの核酸を、用いた溶解条件下で膜に結合させた;(3)洗浄溶液を、膜を横切って引き、細胞残渣を取り除いた;(4)チャネルを通って空気を引くことにより膜を乾燥した;(5)溶出溶液を、膜上でポンプ輸送した;そして(6)溶出溶液中のRNAを、分析のためにピペットを経由してオフカードに取った。これらのステップは、5分以内に終了した。
【0070】
(RNA制御)
BCR−ABL融合転写物のためのRNA制御は、K562細胞株から単離された総ヒトRNAから獲得した。このK562細胞株は、末梢血から単離された慢性骨髄性白血病(CML)細胞由来であり、調査されるべきBCR−ABL融合転写物の供給源として用いた。白血球細胞は、赤血球細胞(RBC)溶解溶液(Genta)を用いて全血から単離された。収集されたWBCは、RNAlater(登録商標)試薬(QIAGEN)を用いて安定化し、そして溶解直前まで−20℃で貯蔵された。
【0071】
(比較のRNA単離方法)
前述のラボカードの性能を評価するために用いた2つのキットは、RNeasy(登録商標)およびMagnaPure(Roche)であった。このRNeasyキットは、独自の溶解化学品、結合化学品および洗浄化学品とともに、シリカを基礎にした微量遠心分離スピンカラムを用い、細胞溶解物から総RNAを単離する。代替物として、上記MagnaPureキットは、これは、LightCycler(登録商標)(Roche)プラットホームのために選択の推奨された方法であり、独自の溶解化学品、結合化学品および洗浄化学品とともに、オリゴヌクレオチドプローブがつながれた磁性ビーズを用い、メッセンジャーRNAを単離する。
【0072】
(RNA収率の定量的測定)
LightCycler(登録商標)RT−PCR定量キット(Roche)を、BCR−ABL融合転写物の相対的定量化のために用いた。このキットは、BCR−ABLおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)遺伝子転写物の両方の定量的RT−PCRを実施するための試薬を含んでいた。逆転写およびPCRは、2つの別個のステップで実施された。G6PDHハウスキーピング標的は、RT−PCR性能のためのコントロールおよび転写物発現の相対的定量化のための参照としての両方として供された。
【0073】
Platinum Quantitative RT−PCR Thermoscript One−Step System(Invitrogen)は、単一ステップ逆転写PCRのために用いられる試薬キットであった。このキットを用い、RNA転写物の単一ステップ終点増幅を、従来の熱サイクラー(MJ Research)と両方で実施した。プライマーは、市販され、入手可能なプライマー設計ツール(Oligo6;Molecular Biology Insights,Inc.)を用いて、G6PDHおよびBCR−ABLの両方について設計した。
【0074】
(オンカードRNA抽出の確認)
提案されたラボカード溶液(すなわち、結合溶液、洗浄溶液および溶出溶液)の初期の機能の確証は、RNeasy実行標準中に提供されるガラスファイバーを基礎にした精製カラムを用いて行った。約1×10のWBCをラボカードおよび実行標準化学品の両方を用いて処理した。得られる精製されたRNAサンプルを、LightCyclerによってアッセイし、両方のセットの化学品が、G6PDH転写物の類似の相対量を生じたかいなかを決定した。図10に示されるデータによって示されるように、提案された微量流体カード溶液は、コントロールのRNeasy溶液(27.1)よりわずかに低い交差ポイント(25.3)を有し、そしてそれ故、回収されたRNAの量および質に関して少なくともコントロールと同じほど良好であると考えられた。
【0075】
このラボカードを、次いで、記載されたカードに適合する溶液を用いて確認し、そしてRNA精製について2つの確立された標準的方法:RNeasyおよびMagnaPureと比較した。250ngのK562RNAでスパイクされた約1×10のWBC(10μLあたり細胞−RNA量;K562RNAは、BCR−ABL転写物を提供するために添加された)を、これら精製方法の各々を用いて処理した。受容された標準的な方法は、製造業者の指示書に従って実施された。得られるサンプルは、次いで、LightCyclerによってアッセイされ、G6PDHおよびBCR−ABL両方のRNA転写物を測定した。図10に示されるように、ラボカード上で処理されたRNAは、G6PDHおよびBCR−ABLに対し、それぞれ27.8および30.8の交差ポイントを有していた。同様に、RNeasyコントロールは、G6PDHおよびBCR−ABLに対し、それぞれ27.3および30.4の交差ポイントを有していた。対照的に、G6PDHおよびBCR−ABLに対し、それぞれ30.1および36.2の交差ポイントで、MagnaPureコントロールキットは、ラボカードまたはRNeasy法のいずれかに対して、減少した量および/または質のRNAを生じた。従って、総RNA単離のためのラボカード法は、回収されたRNAの量および質について、RNeasy実行標準と少なくとも同程度良好であることが証明され、そして両方の方法は、MagnaPure法より有意に優れていた。
【0076】
(オンカードRNAの検出限界)
オンカードの確証の終了のために、実験を、BCR−ABL mRNA転写物の検出の限界を評価することに広げた。上記に記載された確証実験と同様に、上記に記載されたラボカードを、これらの実験のためにRNeasyおよびMagnaPure標準方法の両方に比較した。
【0077】
250ngのK562RNAでスパイクされた約1×10のWBCのストック(BCR−ABL転写物を提供するために添加されたK562 RNA;10μLあたりの細胞−RNA量)を水で系列希釈(1:2)して5つの希釈物を生成し、これらは、未希釈ストックとともに、上記精製方法の各々を用いて処理された。これらの希釈物は、最低の希釈レベルで、K562総RNAが、合理的に低い細胞等価数の代表であるレベルでアッセイされ得るように調製された。この実験には、LightCyclerによってアッセイされたK562総RNAの最低の希釈は、0.2ng/アッセイであり、これは、LightCyclerマニュアル中に提供される50のK562細胞あたり1ngの総RNAの値を用いるとき、10の総K562細胞に等価であった。前のように、受容された標準的方法は、製造業者の指示書に従って実施された。
【0078】
精製された希釈系列は、最初、LightCyclerによってアッセイされ、G6PDHおよびBCR−ABL RNA両方のRNA転写物検出限界を測定した。記載された初期確証実験と同様に、プラスチックの精製サブ回路およびRNeasy標準は、G6PDHおよびBCR−ABL両方のLightCyclerアッセイによって評価されるとき、性能は匹敵し得、その一方、MagnaPure法は、表4に示されるように、明らかに減少した量および/または質のmRNAを生じた。
【0079】
【表4】

【0080】
BCR−ABL LigthCyclerアッセイ結果に対する分析に集中して、RNeasy法は、6つすべての希釈物を首尾良く増幅し、それ故、アッセイあたり少なくとも10の細胞等価物に至るまでの感度を達成した。ラボカードは、最初の5つのサンプル希釈物を首尾良く増幅し、少なくとも20細胞に至るまでの感度を達成し、そしてこれまでに生成されたすべてのデータと一致し、MagnaPure法は、300を超えるK562細胞に等価であった最も高い濃度のみを首尾良く増幅した。RNeasyコントロールおよび微量流体精製カードの両方に対する平均の交差ポイントはそれぞれ32.5および31.5であり、それ故、両方の方法が類似の質のRNAを生じることを確認した。対照的に、増幅された唯一のMagnaPure反応に対する交差ポイントは、36.2であった。
【0081】
上記に記載の同じ希釈系列に対し、従来の熱サイクラー(MJ Research)を用いて増幅される単一ステップ逆転写PCRキット(Invitrogen)を用いて実験が行われた。増幅産物を、アガロースゲル電気泳動によって解像し、そしてエチジウムブロマイド染色によって可視化された(データは示さず)。ポジティブ終点増幅は、表4に示されるように、予測されたバンドの可視化について(+)、そしてバンドが観察されなかったとき(−)で表された。MagnaPure精製されたRNAのいくつかについての2〜3の例外はあるが、記載されたアプローチは、LightCyclerアッセイについて観察されたのと同じ終点結果を生じた。
【0082】
前述から、そして先に提示されたように、本発明の特定の実施形態が、例示の目的のために本明細書中に記載されているが、種々の改変が、本発明の思想および範囲を逸脱することなくなされ得る。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によることを除いて制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の局面に従って希薄な細胞を検出するための代表的な方法におけるステップを示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の局面に従って希薄な細胞を検出するための代表的な微量流体デバイスの概略図である。
【図3A】図3Aは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図3B】図3Bは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図3C】図3Cは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図4A】図4Aは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識、そして赤血球細胞の溶解の両方を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図4B】図4Bは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識、そして赤血球細胞の溶解の両方を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図4C】図4Cは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識、そして赤血球細胞の溶解の両方を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図4D】図4Dは、本発明の局面に従って白血球細胞の標識、そして赤血球細胞の溶解の両方を行う抗体のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図5A】図5Aは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5B】図5Bは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5D】図5Dは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5E】図5Eは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5F】図5Fは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5G】図5Gは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5H】図5Hは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図5I】図5Iは、本発明の局面に従って抗体標識された細胞をソートするための種々の代表的なサブ回路を示す種々の微量流体デバイスおよび構造の断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の局面に従って白血球細胞捕捉および溶解のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図6B】図6Bは、本発明の局面に従う白血球細胞捕捉および溶解のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図6C】図6Cは、本発明の局面に従う白血球細胞捕捉および溶解のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図6D】図6Dは、本発明の局面に従う白血球細胞捕捉および溶解のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図7A】図7Aは、本発明の局面に従う核酸捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図7B】図7Bは、本発明の局面に従う核酸捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図7C】図7Cは、本発明の局面に従う核酸捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図7D】図7Dは、本発明の局面に従う核酸捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図7E】図7Eは、本発明の局面に従う核酸捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図7F】図7Fは、本発明の局面に従う核酸捕捉および生成のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの一連の断面図の1つである。
【図8A】図8Aは、本発明の局面に従う核酸増幅のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの断面図である。
【図8B】図8Bは、本発明の局面に従う核酸増幅のための代表的なサブ回路の作動を示す微量流体デバイスの断面図である。
【図8C】図8Cは、本発明の局面に従う核酸増幅のための図8A〜8Bの微量流体デバイスを組み込む代表的なシステムの写真である。
【図9】図9のAおよび図9のBは、本発明の局面に従う図6A〜6D、7A〜7Fおよび8A〜8Bのサブ回路を組み込む代表的な微量流体デバイスの断面図である。
【図10】図10は、実施例2の光サイクラーアッセイの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスであって:
1つ以上の標識細胞を含む生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段;
該生物学的サンプルを緩衝液液体で覆い、該生物学的サンプルの薄いリボンを形成する手段;
該生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段;
該生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段;
該標識細胞を溶解する手段;
溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段;および
収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段を備える、微量流体デバイス。
【請求項2】
前記生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段が、サンプル入口微量流体チャネルに流体により接続されるサンプル入口ポートを備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項3】
生物学的サンプルを緩衝液液体で覆い、該生物学的サンプルの薄いリボンを形成する手段が、薄いリボンのシース流れアセンブリを備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項4】
前記薄いリボンのシース流れアセンブリが、サンプル微量流体チャネル、第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルを備え、ここで、該第1のシース液体微量流体チャネルおよび第2のシース液体微量流体チャネルが、該サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして該サンプル微量流体チャネルに流体的に寄り集まる、請求項3に記載の微量流体デバイス。
【請求項5】
前記生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段が、覆われたサンプル微量流体チャネルの一部分の上に位置決めされる光学的観察窓を備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項6】
前記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段が、細胞をソートするスリット構造を備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項7】
前記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段が可撓性フィルム膜を備える細胞をソートする可撓性フィルム構造を備え、該可撓性フィルム膜が、空気圧力の付与に際し、覆われたサンプル微量流体チャネル中に変形可能である、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項8】
前記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段が、電磁気によって起動されるバルブを備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項9】
前記電磁気によって起動されるバルブが、金属ホイルを備える、請求項8に記載の微量流体デバイス。
【請求項10】
前記標識細胞を溶解する手段が、該標識細胞を捕捉するように適合された第1の膜、および該第1の膜に流体により接続される溶解緩衝液微量流体チャネルを備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項11】
前記第1の膜が、ポリブチレンテレフタレート膜である、請求項10に記載の微量流体デバイス。
【請求項12】
前記標識細胞を溶解する手段が、溶解緩衝液シース流れアセンブリを備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項13】
前記溶解緩衝液シース流れアセンブリが、ソート細胞微量流体チャネル、第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルを備え、ここで、該第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルが、該ソート細胞微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして該ソート細胞微量流体チャネルに流体的に寄り集まる、請求項12に記載の微量流体デバイス。
【請求項14】
前記溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段が、放出されたRNAおよびDNAを捕捉するように適合された第2の膜を備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項15】
前記第2の膜が、ガラスを含む、請求項14に記載の微量流体デバイス。
【請求項16】
前記第2の膜が、ケイ酸塩を含む、請求項14に記載の微量流体デバイス。
【請求項17】
前記収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段が、PCR増幅チャンバーを備える、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項18】
前記PCR増幅チャンバーが、PCRプローブおよびプライマー試薬を備える、請求項17に記載の微量流体デバイス。
【請求項19】
前記生物学的サンプルが、血液サンプルである、請求項1に記載の微量流体デバイス。
【請求項20】
希薄な細胞を検出するための微量流体デバイスであって:
生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段;
該生物学的サンプルを標識緩衝液液体で覆い、該生物学的サンプルの薄いリボンを形成し、そして該生物学的サンプル中の1つ以上の細胞を標識する手段;
該生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段;
該生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段;
該標識細胞を溶解する手段;
溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段;および
収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段を備える、微量流体デバイス。
【請求項21】
前記生物学的サンプルを微量流体デバイス中に導入する手段が、サンプル入口微量流体チャネルに流体により接続されるサンプル入口ポートを備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項22】
前記生物学的サンプルを標識緩衝液液体で覆い、該生物学的サンプルの薄いリボンを形成し、そして該生物学的サンプル中の1つ以上の細胞を標識する手段が、薄いリボンの標識シース流れアセンブリを備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項23】
前記薄いリボンの標識シース流れアセンブリが、サンプル微量流体チャネル、第1の標識シース液体微量流体チャネルおよび第2の標識シース液体微量流体チャネルを備え、ここで、該第1の標識シース液体微量流体チャネルおよび第2の標識シース液体微量流体チャネルが、該サンプル微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして該サンプル微量流体チャネルに流体的に寄り集まる、請求項22に記載の微量流体デバイス。
【請求項24】
前記生物学的サンプル中の標識細胞の検出を促進する手段が、覆われたサンプル微量流体チャネルの一部分の上に位置決めされる光学的観察窓を備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項25】
前記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段が、細胞をソートするスリット構造を備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項26】
前記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段が、可撓性フィルム膜を備える細胞をソートする可撓性フィルム膜構造を備え、該可撓性フィルム膜が、空気圧力の付与に際し、覆われたサンプル微量流体チャネル中に変形可能である、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項27】
前記生物学的サンプルから標識細胞を分離する手段が、電磁気によって起動されるバルブを備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項28】
前記電磁気によって起動されるバルブが、金属ホイルを備える、請求項27に記載の微量流体デバイス。
【請求項29】
前記標識細胞を溶解する手段が、該標識細胞を捕捉するように適合された第1の膜、および該第1の膜に流体により接続される溶解緩衝液微量流体チャネルを備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項30】
前記第1の膜が、ポリブチレンテレフタレート膜である、請求項29に記載の微量流体デバイス。
【請求項31】
前記標識細胞を溶解する手段が、溶解緩衝液シース流れアセンブリを備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項32】
前記溶解緩衝液シース流れアセンブリが、ソート細胞微量流体チャネル、第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルを備え、ここで、該第1の溶解緩衝液微量流体チャネルおよび第2の溶解緩衝液微量流体チャネルが、該ソート細胞微量流体チャネルの対向する側に位置決めされ、そして該ソート細胞微量流体チャネルに流体的に寄り集まる、請求項31に記載の微量流体デバイス。
【請求項33】
前記溶解された標識細胞から放出されたRNAおよびDNAを収集する手段が、放出されたRNAおよびDNAを捕捉するように適合された第2の膜を備える、請求項20に記載の微量流体デバイス。
【請求項34】
前記第2の膜が、ガラスを含む、請求項33に記載の微量流体デバイス。
【請求項35】
前記第2の膜が、ケイ酸塩を含む、請求項33に記載の微量流体デバイス。
【請求項36】
前記収集されたRNAおよびDNAの定量的PCR分析を実施する手段が、PCR増幅チャンバーを備える、請求項36に記載の微量流体デバイス。
【請求項37】
前記PCR増幅チャンバーが、PCRプローブおよびプライマー試薬を備える、請求項36に記載の微量流体デバイス。
【請求項38】
前記生物学的サンプルが、血液サンプルである、請求項20に記載の微量流体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−526255(P2008−526255A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551398(P2007−551398)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/001211
【国際公開番号】WO2006/076567
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(503466853)マイクロニクス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】