説明

心拍数測定装置及び心拍数測定機能付きヘッドセット

【課題】使用者に大きな違和感を与えることなく心拍数を測定することが可能な心拍数測定装置及び心拍数測定機能付きヘッドセットを提供する。
【解決手段】音を集音するマイク101と、前記集音した音から、心拍数に対応する所定の周波数より低い周波数成分からなる波形を抽出する低域通過フィルタ107と、前記低域通過フィルタ107によって抽出された波形から、心拍の波形を表す所定の基準波形と相関の高い波形を抽出する相関波形抽出部(心拍数計算部110)と、前記相関波形抽出部によって抽出された波形の繰り返し回数に基づき心拍数を計数する計数部(心拍数計算部110)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心拍数を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の心拍計として、人体に生じた電気を検出するセンサを胸部などに取り付け、心臓の動きに応じて検出された電気信号を用いて心拍数を測定するものや、赤外線センサで指先や耳たぶの血流の変化を検出することにより心拍数を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−66378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の心拍計は、被験者が心拍数を計測することを意図して所定のセンサを身体に意識的に装着することを要求するものであった。そのため、被験者に少なからず心理的な負担を強いることになり、気軽に心拍数を測ることができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者に大きな違和感を与えることなく心拍数を測定することが可能な心拍数測定装置及び心拍数測定機能付きヘッドセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、音を集音するマイクと、前記集音した音から、心拍数に対応する所定の周波数より低い周波数成分からなる波形を抽出する低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタによって抽出された波形から、心拍の波形を表す所定の基準波形と相関の高い波形を抽出する相関波形抽出部と、前記相関波形抽出部によって抽出された波形の繰り返し回数に基づき心拍数を計数する計数部と、を備えることを特徴とする心拍数測定装置である。
【0007】
また本発明は、マイクとスピーカを有し頭部に装着されるヘッドセットであって、耳内の音を集音するように設置されたマイクと、前記集音した音から、心拍数に対応する所定の周波数より低い周波数成分からなる波形を抽出する低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタによって抽出された波形から、心拍の波形を表す所定の基準波形と相関の高い波形を抽出する相関波形抽出部と、前記相関波形抽出部によって抽出された波形の繰り返し回数に基づき心拍数を計数する計数部と、を備えることを特徴とする心拍数測定機能付きヘッドセットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る心拍数測定装置及び心拍数測定機能付きヘッドセットは、マイクで集音した音から心拍音を抽出することにより、心拍数の測定を行う。耳内には心拍に対応した心拍音が存在しているため、マイクで耳内の音を集音して心拍の波形を抽出することで、心拍数を測定することができる。このように、心拍数の測定に身近なマイク(心拍数測定機能付きヘッドセットの場合はヘッドセット内蔵のマイク)を用いることができるので、使用者に大きな違和感を与えることなく心拍数を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による心拍数測定機能付きヘッドセットの構成を示すブロック図である。
【図2】信号合成部,A/D変換部,及び信号分離部の動作の具体例を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】心拍数計算部の内部の構成を示すブロック図である。
【図4】歩数計算部による歩数の計算方法の一例を説明する図である。
【図5】方向計算部が頭部の向きを計算する動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による心拍数測定機能付きヘッドセットの構成を示すブロック図である。ヘッドセットはマイクとスピーカ(イヤホン)を備え外部の機器(例えば電話機。図1では不図示)との間で音声信号をやりとりするオーディオ機器であり、マイクとスピーカを耳や口の近傍に配置した状態で使用者の頭部に装着することが可能な形状を有する。図1において、ヘッドセット100は、マイク101と、加速度センサ102と、ジャイロセンサ103と、信号合成部104と、A/D変換部105と、信号分離部106と、フィルタ107〜109と、心拍数計算部110と、歩数計算部111と、方向計算部112と、D/A変換部113と、スピーカ114と、通信部115と、アンテナ116と、を有し構成されている。
【0011】
本実施形態のヘッドセット100は、心拍数測定機能に加えて、歩数測定機能と方向(頭部の向き)測定機能を備えている。図1の各部のうち、マイク101とフィルタ107と心拍数計算部110は心拍数測定機能に対応し、加速度センサ102とフィルタ108と歩数計算部111は歩数測定機能に対応し、ジャイロセンサ103とフィルタ109と方向計算部112は方向測定機能に対応している。なお、図1中のこれら以外の各部は、心拍数、歩数、方向の各測定機能に共通して用いられる部分、又は、ヘッドセット本来の音声機能に用いられる部分である。以下各部を順に説明する。
【0012】
マイク101は、音を集音して音声信号(アナログ)を信号合成部104へ出力する。このマイク101は、ヘッドセット100が頭部に装着された状態において、耳内に挿入され、あるいは耳の近傍に配置されるようになっている。耳内には体内を伝わってきた心拍音が存在しているので、この心拍音をマイク101で集音することができる。また、マイク101で集音される音には、心拍音の他に、ヘッドセット100を装着した使用者が話した声やそれ以外の環境音なども含まれる。
【0013】
ここで、心拍音の繰り返しの周波数は通常1〜数Hz程度の範囲であり、心拍音(1周期)の波形はその繰り返し周波数より高い周波数の成分からなっている。このような心拍音を集音するために、マイク101は、集音可能な最低周波数が少なくとも10Hz以下である周波数特性を持っているものとする。
【0014】
加速度センサ102は、所定の1軸方向に印加された加速度に応じた電気信号(アナログ)を信号合成部104へ出力する。ここでは、所定の1軸方向がヘッドセット100を装着した使用者から見て上下方向(鉛直方向)となるように、加速度センサ102がヘッドセット100に取り付けられているものとする。即ち、加速度センサ102は、ヘッドセット100を装着した使用者が上下動をした際の加速度を検出することが可能となっている。
【0015】
ジャイロセンサ103は、所定の軸周りの角速度に応じた電気信号(アナログ)を信号合成部104へ出力する。ここでは、所定の軸がヘッドセット100を装着した使用者の首と平行な軸(鉛直軸)となるように、ジャイロセンサ103がヘッドセット100に取り付けられているものとする。即ち、ジャイロセンサ103は、ヘッドセット100を装着した使用者が頭部を左右に回した際の角速度を検出することが可能となっている。
【0016】
信号合成部104は、マイク101と加速度センサ102とジャイロセンサ103からの各信号を所定のサイクルで順次切り替えて1つの信号に合成し、合成後の信号をA/D変換部105へ出力する。換言すると、信号合成部104からは、あるタイミングではマイク101からの音声信号が出力され、別のあるタイミングでは加速度センサ102からの電気信号が出力され、また別のあるタイミングではジャイロセンサ103からの電気信号が出力され、信号合成部104の出力信号は、これらが周期的に繰り返される信号となる。
【0017】
また、一般に、マイク101からの信号と加速度センサ102からの信号とジャイロセンサ103からの信号はそれぞれ最大値のレベルが異なっている。そこで、信号合成部104は、各信号の最大値のレベルがほぼ等しくなるように、マイク101、加速度センサ102、及びジャイロセンサ103からの各信号にそれぞれ予め定められた一定値のゲインをかけてから、各信号を合成することとする。こうすることで、A/D変換部105でアナログ・デジタル変換をする際に、マイク101と加速度センサ102とジャイロセンサ103からのそれぞれの信号に対するアナログ・デジタル変換の感度を同程度にすることができる。
【0018】
A/D変換部105は、信号合成部104からの信号(アナログ)をアナログ・デジタル変換し、変換後の信号(デジタル)を信号分離部106へ出力する。信号合成部104からの信号は、上記のとおり、マイク101と加速度センサ102とジャイロセンサ103からの各信号が順次切り替えられることで合成された1つの信号である。したがって、A/D変換部105の出力信号は、マイク101からの信号に対するアナログ・デジタル変換結果と加速度センサ102からの信号に対するアナログ・デジタル変換結果とジャイロセンサ103からの信号に対するアナログ・デジタル変換結果とが順次並んだデジタル信号となる。
【0019】
信号分離部106は、信号合成部104における信号の切り替えタイミングに対応したタイミングでA/D変換部105からの信号を分離し、分離した各信号をそれぞれに対応するフィルタ107〜109へ出力する。具体的には、信号分離部106は、信号合成部104がマイク101からの信号を出力したタイミングでは、A/D変換部105の出力信号(マイク101からの信号がアナログ・デジタル変換された信号)をフィルタ107へ出力し、信号合成部104が加速度センサ102からの信号を出力したタイミングでは、A/D変換部105の出力信号(加速度センサ102からの信号がアナログ・デジタル変換された信号)をフィルタ108へ出力し、信号合成部104がジャイロセンサ103からの信号を出力したタイミングでは、A/D変換部105の出力信号(ジャイロセンサ103からの信号がアナログ・デジタル変換された信号)をフィルタ109へ出力する。
【0020】
信号合成部104,A/D変換部105,及び信号分離部106の動作の具体例を説明するためのタイミングチャートを図2に示す。図2において、信号合成部104は、出力信号をマイク101からの音声信号に切り替えるための切り替え信号MICを、クロック信号CLKの2クロック毎の期間T1,T3,T5,T7,T9,T11,…にオンにする。また、信号合成部104は、出力信号を加速度センサ102からの電気信号に切り替えるための切り替え信号ACCを、クロック信号CLKの4クロック毎の期間T2,T6,T10,…にオンにする。また、信号合成部104は、出力信号をジャイロセンサ103からの電気信号に切り替えるための切り替え信号GYRを、クロック信号CLKの4クロック毎の期間T4,T8,T12,…にオンにする。
【0021】
この結果、期間T1では、信号合成部104の出力信号はマイク101からの音声信号となり、期間T2では、信号合成部104の出力信号は加速度センサ102からの電気信号となり、期間T3では、信号合成部104の出力信号はマイク101からの音声信号となり、期間T4では、信号合成部104の出力信号はジャイロセンサ103からの電気信号となる。以降同様に、マイク101からの音声信号、加速度センサ102からの電気信号、マイク101からの音声信号、ジャイロセンサ103からの電気信号、の順に信号合成部104の出力が切り替わる。
【0022】
ここで、A/D変換部105はクロック信号CLKに同期してアナログ・デジタル変換を行うこととすると、A/D変換部105の出力信号AD_OUTは、期間T1ではマイク101からの音声信号のデジタル値となり、期間T2では加速度センサ102からの電気信号のデジタル値となり、期間T3ではマイク101からの音声信号のデジタル値となり、期間T4ではジャイロセンサ103からの電気信号のデジタル値となる(以降も同様)。また、信号分離部106は、期間T1ではマイク101からの音声信号のデジタル値をフィルタ107へ出力し、期間T2では加速度センサ102からの電気信号のデジタル値をフィルタ108へ出力し、期間T3ではマイク101からの音声信号のデジタル値をフィルタ107へ出力し、期間T4ではジャイロセンサ103からの電気信号のデジタル値をフィルタ109へ出力する(以降も同様)。
【0023】
説明を図1に戻す。
フィルタ107は、信号分離部106から出力されたマイク101からの音声信号に含まれる周波数成分のうち、心拍音の波形を構成する主要な周波数成分である所定の周波数より低い周波数成分を通過させて心拍数計算部110へ出力し、当該所定の周波数より高い周波数成分を遮断する。ここで、マイク101からの音声信号には、前述したように、心拍音の他に使用者の話し声等が含まれている。心拍音は、主としてほぼ100Hz以下の周波数成分からなり、使用者の話し声等は、500Hz以上の周波数成分が主である。そこで、フィルタ107の通過周波数帯域を100Hz以下とすることで、心拍音の信号成分のみを心拍数計算部110へ出力させることができる。
【0024】
フィルタ108は、信号分離部106から出力された加速度センサ102からの電気信号に含まれる周波数成分のうち、ヘッドセット100を装着した使用者が歩行しあるいは走行した際の振動に対応する周波数成分を通過させて歩数計算部111へ出力し、それ以外の周波数成分を遮断する。歩行や走行による振動はせいぜい数Hzであるので、フィルタ108の特性は、例えば、100Hz以下の周波数成分を通過させそれより高い周波数成分を遮断するものであればよい。これにより、加速度センサ102からの電気信号に含まれる高周波のノイズ成分を除去することができる。
【0025】
フィルタ109は、信号分離部106から出力されたジャイロセンサ103からの電気信号に含まれる周波数成分のうち、ヘッドセット100を装着した使用者が頭部を動かす速さに対応する所定の周波数成分を通過させて方向計算部112へ出力し、それ以外の周波数成分を遮断する。使用者が頭部を動かす速さはせいぜい1秒間に数回であるので、フィルタ109の特性は、例えば、100Hz以下の周波数成分を通過させそれより高い周波数成分を遮断するものであればよい。これにより、ジャイロセンサ103からの電気信号に含まれる高周波のノイズ成分を除去することができる。また、ノイズ成分が除去されることにより、後述の方向計算部112が頭部の向きを計算する際のドリフト誤差(角速度を積分することによる誤差)を低減することができる。
【0026】
心拍数計算部110は、フィルタ107から出力された心拍音の波形に対応する音声信号に基づいて、心拍数(単位時間当りの心拍の数)を測定する。図3は、心拍数計算部110の内部の構成を示すブロック図である。図3において、心拍数計算部110は、基準波形記憶部1101と、相関波形抽出部1102と、計数部1103とを備えている。
【0027】
基準波形記憶部1101は、心拍音の1周期分の波形を記憶している。この波形は、例えば、予め多数の人物の心拍音を採取して、その波形を平均する等の方法によって用意しておいたものである。以下、この波形を基準心拍波形と呼ぶ。
【0028】
相関波形抽出部1102へは、フィルタ107からの音声信号が入力される。相関波形抽出部1102は、入力された音声信号の波形と基準波形記憶部1101に記憶されている基準心拍波形との相関をとり、基準心拍波形と相関の高い波形を入力音声信号から抽出して計数部1103へ出力する。これにより、フィルタ107で取りきれなかった低周波の不要な音声を含まない、純粋に心拍音だけを含んだ音声信号が計数部1103へ出力される。なお、基準心拍波形と相関が高いとは、入力音声信号波形と基準心拍波形との相関値が所定の閾値以上であることを意味するものとする。
【0029】
なお、基準波形記憶部1101は、基準心拍波形そのものを記憶するのではなく、基準心拍波形の特徴を示すデータを記憶するようにしてもよい。この場合、相関波形抽出部1102は、基準波形記憶部1101が記憶しているこの特徴データとの一致度が高い波形を入力音声信号から抽出するようにすればよい。
【0030】
計数部1103は、相関波形抽出部1102から出力された音声信号波形(心拍音のみによる波形)の繰り返しの回数を計数し、その計数値を心拍数として出力する。相関波形抽出部1102からの音声信号波形は、心拍の1拍に1周期の心拍波形が対応して当該心拍波形が時間的に複数連続している波形であるので、その1周期分の波形の繰り返しの回数を求めることにより、心拍数が得られることになる。
【0031】
再び説明を図1に戻す。
歩数計算部111は、フィルタ108からの出力信号に基づいて、歩数を測定する。フィルタ108からの出力信号、即ち加速度センサ102によって検出された加速度から高周波のノイズ成分を除去した加速度値は、例えば図4に示す曲線(加速度測定データ)のように、ヘッドセット100を装着した使用者の上下動に合わせて正値と負値が繰り返される。ここで、例えば加速度値が正値をとっている間は、使用者は歩行や走行における上昇動作を行っている状態であり、加速度値が負値をとっている間は、使用者は下降動作を行っている状態である。そこで、歩数計算部111は、加速度値が正値から負値へ、あるいは負値から正値へと零点を2回横切ったことをもって歩行や走行における1歩と判定することにより、歩数を計数することができる。
【0032】
方向計算部112は、フィルタ109からの出力信号に基づいて、頭部の向きを測定する。図5を参照して具体的に説明すると、方向計算部112は、初期時刻t=t0におけるヘッドセット装着者の頭部900の向きθ0を記憶しており(同図(A))、フィルタ109からの出力信号、即ちジャイロセンサ103によって検出された角速度ωを時々刻々、積分した値を初期値θ0に加算していくことによって、初期時刻t0以降の任意の時刻tにおける頭部900の向きθを求める(同図(B),(C))。即ち、時刻t=t0+Δtにおける頭部の向きは
θ=θ0+ω1・Δt
であり(同図(B))、時刻t=t0+2Δtにおける頭部の向きは
θ=θ0+ω1・Δt+ω2・Δt
である(同図(C))。但し、ω1,ω2はそれぞれ時刻t=t0+Δt,t=t0+2Δtにおいてジャイロセンサ103で検出された角速度であり、Δtはジャイロセンサ103からの出力に対するA/D変換部105による1サンプリング期間(図2の4クロック分)である。なお、頭部の向きとは、例えばヘッドセット装着者の顔の正面であるとする。
【0033】
通信部115は、アンテナ116を介して、ヘッドセット100とヘッドセット100の外部の機器との無線通信を行う。具体的には、通信部115は、心拍数計算部110から心拍数を表すデータを取得し、歩数計算部111から歩数を表すデータを取得し、方向計算部112から頭部の向きを表すデータを取得し、取得したこれらのデータを外部の機器へ送信する。外部の機器へ送信されたこれらのデータは、例えば、当該外部の機器の表示画面に表示させたり、あるいは当該外部の機器のメモリに記憶させたりすることができる。また、通信部115は、信号分離部106から直接、マイク101の音声信号を取得して、これを外部の機器へ送信する。前述のとおり、この音声信号には、ヘッドセット100を装着した使用者の話し声等が含まれている。また、通信部115は、外部の機器から音声信号を受信する。受信された音声信号(デジタル)はD/A変換部113によってデジタル・アナログ変換され、変換後の音声信号(アナログ)はスピーカ114へ入力されて、スピーカ114から音声が放音される。外部の機器は例えば電話機であり、通信部115が電話の音声信号を電話機とやりとりすることで、ヘッドセット100を装着した使用者は電話機に耳や口を近付けずに電話をすることができる。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、信号合成部104が切り替え信号MIC,ACC,GYRをそれぞれオンにするタイミングを示した図2は一例に過ぎず、各切り替え信号をオンにするタイミングを他の態様にしてもよい。他の態様として、加速度センサ102やジャイロセンサ103の出力をサンプリングするレートはマイク101の出力をサンプリングするレートに比べて低いサンプリングレートであっても実用上問題が少ないため、切り替え信号ACCとGYRについては、例えば、クロック信号CLKの20クロック毎(図2では4クロック毎)の期間にオンにするようにしてもよい。
また、通信部115は有線により通信を行うものであってもよい。
また、ヘッドセット100のスピーカ114をマイクロホンとして利用することにより、心拍音を集音するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
100…ヘッドセット 101…マイク 102…加速度センサ 103…ジャイロセンサ 104…信号合成部 105…A/D変換部 106…信号分離部 107〜109…フィルタ 110…心拍数計算部 111…歩数計算部 112…方向計算部 113…D/A変換部 114…スピーカ 115…通信部 116…アンテナ 1101…基準波形記憶部 1102…相関波形抽出部 1103…計数部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を集音するマイクと、
前記集音した音から、心拍数に対応する所定の周波数より低い周波数成分からなる波形を抽出する低域通過フィルタと、
前記低域通過フィルタによって抽出された波形から、心拍の波形を表す所定の基準波形と相関の高い波形を抽出する相関波形抽出部と、
前記相関波形抽出部によって抽出された波形の繰り返し回数に基づき心拍数を計数する計数部と、
を備えることを特徴とする心拍数測定装置。
【請求項2】
マイクとスピーカを有し頭部に装着されるヘッドセットであって、
耳内の音を集音するように設置されたマイクと、
前記集音した音から、心拍数に対応する所定の周波数より低い周波数成分からなる波形を抽出する低域通過フィルタと、
前記低域通過フィルタによって抽出された波形から、心拍の波形を表す所定の基準波形と相関の高い波形を抽出する相関波形抽出部と、
前記相関波形抽出部によって抽出された波形の繰り返し回数に基づき心拍数を計数する計数部と、
を備えることを特徴とする心拍数測定機能付きヘッドセット。
【請求項3】
外部の機器との通信を行う通信部を備え、
前記通信部は、前記マイクが集音した音の音声信号を外部の機器へ送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の心拍数測定機能付きヘッドセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−187842(P2010−187842A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33999(P2009−33999)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】