説明

心臓の特性を決定するための装置、方法及びコンピュータプログラム

本発明は、心臓の特性を決定するための装置に関する。装置は、心臓2の検知部位での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するための第1の特性検知ユニットを有するカテーテル5を有する。装置は、更に心臓2の第1の特性として、検知された収縮信号から検知部位での心臓2の再発生局所的収縮を決定するための第1の特性決定ユニット8を有する。再発生局所的収縮は、心臓2のより良好及び/又はより信頼性が高い特徴描写のために使用できる心臓2に関する情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓の特性を決定するための装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の特性を決定する装置は、例えば、心房細動に対する介入療法の分野で用いられる。介入手順の間、心臓組織は、エネルギーを付与することにより変性される。例えば、無線周波数(RF)で、カテーテル切除無線周波数エネルギーが、切除カテーテルにより心臓組織に付与され、組織内の抵抗損失のため、心筋は加熱され、心臓組織の加熱された筋細胞が死んでいき、それらの生物学的機能を失う。パワー及び期間のような切除の最適パラメータが局所的心臓壁の厚さ、潅流、血圧等の患者内及び患者間の違いのために大きく変化するので、組織の病変経過の経過を監視し、好ましくは治療部位の組織の厚みに関する病変の深度を監視でき、切除部位での少ない加熱又は過熱により生じる患者に対する損傷を防止することが重要である。従って、実際に用いられる切除カテーテルは、例えば、局所的伝導(エレクトログラム)、組織インピーダンス及び/又は温度を含む、心臓の特性についてのフィードバックを提供する。
【0003】
米国特許出願公開公報2004/0181139A1は、心臓の特性を決定するための装置を開示する。当該装置は、血管/心臓の電気的切除のため、切除部位での組織インピーダンス又は電気的信号強度を決定することにより病変の質を監視するためのカテーテルを有する。しかしながら、心臓のこれらの局所的特性は、病変の経過についての情報、特に、治療部位の組織の厚みに関して病変の深度についての限られた情報を提供するだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心臓のより良好及び/又はより信頼性が高い特徴描写のために使用できる、心臓についての更なる情報を提供する、心臓の特性を決定するための装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様において、心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するための第1の特性検知ユニットを有するカテーテルと、心臓の第1の特性として、検知された収縮信号から検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定するための第1の特性決定ユニットとを有する、心臓の特性を決定するための装置が提示される。
【0006】
第1の特性検知ユニットがカテーテルに含まれ、検知部位で収縮信号を検知するように構成され、第1の特性決定ユニットが、検知された収縮信号から検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定するので、再発生局所的収縮は、人又は動物の心臓内の検知部位で局所的に決定できる。これは、心臓のより良好及び/又はより信頼性が高い特徴描写、特に心臓の反応のより良好及び/又はより信頼性が高い評価を可能にする。
【0007】
好ましくは、カテーテルは、切除カテーテル又は診断用カテーテルである。その上、心臓は、完全な心臓、例えば、人の全体の心臓であり得るし、又は心室、心房若しくは単に心臓組織の限られた領域のような心臓の一部だけであり得る。
【0008】
用語「再発生局所的収縮」は、検知部位の心臓の収縮が繰り返し発生する収縮、すなわち、ちょうど一度よりは多く発生する収縮であることを示す。その上、当該用語は、また、収縮が検知部位で局所的に発生することを示し、血液を血管を通じて汲み出すため心臓により実施される広域の収縮ではないことを意味する。更にまた、考察された「再発生局所的収縮」は、自主的であり、すなわち、例えば心臓にエネルギーを付与することにより誘発されないが、心臓自体の機能的な反応により生じる。好ましくは、検知部位の心臓の再発生局所的収縮は、周期的又は実質的に周期的であり、例えば、心臓が、心房細動で苦しんでいる人の心臓である場合、収縮間期間、すなわち検知部位での心臓の2つの連続する再発生局所的収縮の間の期間は、心房細動サイクル長に関係し、特に心房細動サイクル長に等しい。その上、検知部位での心臓の再発生局所的収縮が周期的又は実質的に周期的である場合、再発生局所的収縮自体の期間は、時間とともに変化し、例えば、当該期間は短くなったり長くなったりする。
【0009】
用語「検知部位」は、限られた領域で又はスポットで、心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号が検知される、心臓のその限られた部位又はそのスポットを示す。
【0010】
収縮信号は、好ましくは検知部位で心臓の再発生局所的収縮の帯域幅の2倍より高いサンプリングレートで、時間的に複数のポイント(サンプリング時点)で検知される。これは、偽信号効果により生じる再発生局所的収縮の決定におけるエラー又は不正確さを、少なくともある程度まで回避することを可能にする。代わりの例では、収縮信号は、また、時間の経過で連続的に検知され、その後この場合、他の処理のための時間離散的な表現に変換される。
【0011】
好ましくは、心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮は、検知された収縮信号の時間的変化に基づいて決定される。
【0012】
本発明は、例えば、心房細動の治療のための心臓切除の分野で使われ、ここで、電気的インパルスによる心臓組織の発動が、カルシウム濃度の変化を含む細胞内イベントをトリガーし、結果的に心筋細胞の(細胞内のカルシウム依存性の)再発生局所的収縮になる。この効果は、「興奮収縮連関」として知られている。斯様な再発生局所的収縮及びその変化に関する情報を臨床医に提供することは、臨床医による、電気的インパルスに応答した心臓の反応のより良好及び/又はより多くの信頼できる評価を可能にする。
【0013】
例えば、成功した心臓切除処置の間、心房細動サイクル長は、通常、循環さざ波の低減により増大する(組織基板が不整脈惹起性になりにくいことを示す)。しかしながら、この挙動は局所的電気的発動を測定することにより監視されるが、エレクトログラムは、通常、解釈するのが非常に困難であり、例えば、遠電界ポテンシャル又は無線周波数ノイズにより生じる障害のため必ずしも正確でない。心房細動サイクル長の漸進的な増大が、切除部位での再発生局所的収縮の力及び/又は期間の増大にも反映されるので、切除部位での心臓の再発生局所的収縮の決定は、催不整脈性基板の電気的絶縁の経過、及び組織内の病変経過、好ましくは治療部位での組織の厚みに関する病変の深度の改善された監視を促進する。
【0014】
加えて、又は代わりに、検知部位での心臓の再発生局所的収縮の決定は、興奮収縮連関の解離、すなわち、検知部位での心臓組織内の電気的パルスが検知部位で局所的収縮に結果としてならない場合を識別するか、又は非収縮瘢痕組織を局所化するのを助ける。興奮収縮連関の解離は、例えば、検知部位で決定された収縮を、検知部位で検知された電気的信号と比較することにより識別できる。検知部位での収縮が後続しない電気的信号が検知部位で検出される場合、興奮収縮連関の解離が検出される。例えば、時間的閾値が事前に決められ、ここで、電気的信号の検出と局所的収縮との間の時間的距離が、事前に決められた時間的閾値より大きい場合、興奮収縮連関の解離が検知部位で存在すると決定される。心臓の決定された再発生局所的収縮からの心室瘢痕組織の位置の識別は、例えば、ペースメーカリード線電極の位置決めのための適切なスポットを見つける際の補助となる。
【0015】
第1の特性決定ユニットが、再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズを決定するのに適していることが好ましい。例えば、第1の特性決定ユニットは、再発生局所的収縮の周期及び/又はフェーズそれぞれとして、収縮信号の周期性及び/又はフェーズを決定するのに適している。フェーズは、基準に対して好ましくは決定される。当該基準は、例えば、時間の特定のポイントに対して決定される再発生局所的収縮である。切除処置が実施される場合、当該基準は、例えば、切除処置を始める直前の再発生局所的収縮である。例えば、切除処置の間の心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズ(並びにその時間的変化)の決定は、更に詳しく後述されるように、催不整脈性基板の電気的絶縁の経過、及び心臓組織内の病変経過、好ましくは治療部位での心臓組織の厚みに関する病変の深度を監視するために用いられる。
【0016】
好ましくは、再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズは、高い正確さで、好ましくは約50ms以上の正確さで、より好ましくは約10ms以上の正確さで、更により好ましくは約5ms以上の正確さで決定される。
【0017】
装置は、再発生基準信号を供給するための基準信号供給ユニットを有し、第1の特性決定ユニットは、前記再発生基準信号に関して再発生局所的収縮の周期性及びフェーズの少なくとも1つを決定することが更に好ましい。これは、再発生基準信号と検知部位での心臓の再発生局所的収縮との間に存在する関係を決定可能にする。よって、基準信号供給ユニットは、心臓の属性に依存する再発生基準信号を供給することが好ましい。例えば、基準信号供給ユニットは、再発生基準信号として心拍及び鼓動を表すECG(心電図)信号を測定するための心電計である。このとき、測定されたECG信号に関する検知部位での心臓の再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズの決定は、心周期と再発生局所的収縮との間の関係を決定可能にする。特に、再発生局所的収縮が心臓の種々異なる検知部位で決定される場合、異なる検知部位での再発生局所的収縮と心周期との間の関係についての知識は、心臓の異なる部分が起動するシーケンスを決定可能にする。
【0018】
好ましくは、第1の特性決定ユニットは、再発生局所的収縮の振幅を決定するのに適している。振幅、すなわち、心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮の力を決定することは、心臓のより良好及び/又はより信頼性が高い特徴描写を可能にする心臓に関する更なる情報を供給可能にする。例えば、切除処置の間、心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮の振幅(及びその時間的変化)の決定は、更に詳しく後述されるように、催不整脈性基板の電気的絶縁の経過と、心臓組織内の病変経過、好ましくは治療部位での心臓組織の厚みに関する病変の深度とを監視するために用いられる。
【0019】
第1の特性決定ユニットが、検知された収縮信号の時間的変化に基づいて再発生局所的収縮を決定することが好ましい。これは、検知部位での心臓の再発生局所的収縮の単純な決定を可能にする。例えば、収縮信号が時間的に複数のポイント(サンプリング時点)で検知される場合、又は代わりに、時間にわたって連続的に検知された後で時間離散的表現に変換される場合、検知部位での心臓の再発生局所的収縮は、時間的に後続するポイント間の収縮信号の変化に基づいて決定される。時間的に後続するポイント間の収縮信号のこれら時間的変化は、時間的に隣接したポイントで収縮信号のサンプリング値間の差を計算することにより、又は相関を計算することにより、好ましくは定量化される。
【0020】
特に、第1の特性検知ユニットは、時間的に異なるポイントで収縮信号を検知し、第1の特性決定ユニットは、時間的に隣接するポイントで、検知された収縮信号の類似性を示す類似性値に結果となる、時間的に隣接するポイントで、検知された収縮信号を比較する類似性手法を適用し、前記類似性値を閾値と比較することにより時間的に非類似性のポイントを決定し、決定された時間的に非類似性のポイントから心臓の再発生局所的収縮の周期性及びフェーズの少なくとも1つを決定することが好ましい。
【0021】
好ましくは、第1の特性検知ユニットは、心臓内の一つ以上の深度で反射されるための音響波を放射し、反射された音響波を受信するための音響検知ユニットであり、検知された収縮信号は、受信された音響波に依存する。音響検知が、心臓を検知するために、特に心臓組織内の種々異なる深度で心臓を検知するために用いられる。心臓組織内の一つ以上の深度で反射される受信音響波に依存する収縮信号の音響検知は、高品質で検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定することを可能にするために、検知部位での心臓に関する充分な情報を供給する。
【0022】
好ましくは、心臓の音響検知に使用される音響波の周波数は、心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮の高品質の決定を可能にする空間解像度を提供するために、20MHzより大きい。
【0023】
音響検知ユニットは、単一要素の超音波振動子又は超音波振動子アレイ(各々が液体レンズを持っている又は持っていない)である、超音波振動子を有することが好ましい。例えば、第1の特性検知ユニットが、単一要素の超音波振動子を有する場合、音響検知ユニットは、超音波の単一のビームを放射し、心臓組織内の一つ以上の深度で反射される超音波の反射を表す収縮信号を検知する。時間的ポイントに対応する収縮信号は、超音波の戻りのために必要とされる時間の関数として反射の振幅を表す、よって、超音波振動子に関する反射心臓組織の深度を表わす「Aライン」とみなされる。
【0024】
時間的に複数のポイント(サンプリング時点)で収縮信号を検知することにより、又は代わりに、時間にわたって連続的に検知された後、時間離散的表現に変換することにより、マトリックスを得るために一緒に積み重ねできる複数の「Aライン」が得られる。検知部位での心臓の再発生局所的収縮は、このとき、このマトリックスの後続する「Aライン」間の変化を分析することにより決定される。特に、時間的に隣接したポイントで検知された収縮信号の類似性を示す類似性値に結果としてなる、時間的に隣接するポイントで検知された収縮信号を比較するための類似性手法が適用され、時間的に非類似性ポイントが、類似性値を閾値と比較することにより決定される。時間的に決定された非類似性ポイントから、心臓の再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズが決定される。
【0025】
音響検知に代わるものとして、第1の特性検知ユニットは、また、他の撮像モダリティを使用できる。例えば、第1の特性検知ユニットは、例えば、レーザー又は他の光源からの可視光又は赤外線での光撮像を使用する光検知ユニットであり得る。このように、音響検知ユニットの代わりに、例えば、赤外線を放射し受信する光検知ユニットが、第1の特性検知ユニットとして用いられ、ここで、収縮信号は、心臓内の種々異なる深度で反射される赤外線の反射を表す。
【0026】
カテーテルが、検知部位での心臓の他の特性を示す特性信号を検知するための他の特性検知ユニットを有し、前記装置は、検知された特性信号から検知部位での心臓の他の特性を決定するための他の特性決定ユニットを有することが好ましい。これは、心臓のより良好及び/又はより信頼性が高い特徴描写を可能にする心臓に関する更なる情報を提供することを可能にする。例えば、他の特性検知ユニット及び他の特性決定ユニットは、検知部位での心臓の局所的伝導(エレクトログラム)及び/又は組織インピーダンスのような電気的特性を決定するのに適している。加えて、又は代わりに、他の特性検知ユニットは、例えば、検知部位での心臓の温度を示す温度信号を検知するための温度センサを有し、他の特性決定ユニットは、検知された温度信号から検知部位での心臓の温度を決定するのに適している。
【0027】
好ましくは、カテーテルは、エネルギーを心臓に付与するためのエネルギー付与ユニットを有する。エネルギーを心臓に付与するためのエネルギー付与ユニットを有するカテーテルは、心臓への治療に適用することを可能にする。例えば、カテーテルが、心房細動の治療のための切除処置を実行するために、好ましくは用いられる。エネルギー付与ユニットは、無線周波数エネルギーを心臓組織に付与するための電極を好ましくは有してもよいが、冷却又は焼灼のような他の既知のエネルギー付与方法を利用してもよい。
【0028】
好ましくは、エネルギー付与ユニットは、検知部位で心臓にエネルギーを付与するのに適合されている。エネルギー付与ユニットは、心臓を切除するのに適していて、装置は、決定された再発生局所的収縮に基づいて切除の経過を決定するための切除経過決定ユニットを有することが好ましい。例えば、催不整脈性基板の電気的絶縁の経過と、心臓組織内の病変経過、好ましくは治療部位での心臓組織の厚みに関する病変の深度とは、決定された再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅に基づいて決定される。例えば、実施例では、切除を進めるにつれ、決定された再発生局所的収縮の振幅が減少すると仮定される。振幅の特定の減少は、例えば、較正手段により特定の切除経過と相関できる。その上、実施例では、決定された再発生局所的収縮の増加期間は、切除の増大経過を示すと仮定される。従って、期間の特定の増大は、特定の切除経過と相関できる。特に、切除経過決定ユニットは、決定された再発生局所的収縮の期間の増大及び/又は振幅の減少が、切除が進行した心臓組織の深度を示すように較正できる。一般に、切除が進行する場合、決定された再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅が変更される。好ましくは、較正手段により、又は切除の経過と決定された再発生局所的収縮の変更との間の既知の関係により、切除経過決定ユニットは、決定された再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅の変更に基づいて切除の経過を決定するのに適している。その上、実施例では、再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅は、心臓組織内の種々異なる深度に対して心臓の検知部位で決定され、ここで、異なる深度のこれらの値の個々の反応が、更に、検知部位での切除経過を決定するために利用できる。
【0029】
好ましくは、装置は、検知部位の位置を決定するための位置決定ユニットを有する。これは、心臓の解剖学的構造と、心臓の再発生局所的収縮が決定される心臓の検知部位の位置との間に存在する関係を決定することを可能にする。例えば、電気的又は磁気的位置測定又はGPS(全地球位置測定システム)を使用して、検知部位の位置が決定される。例えば、カテーテルは、カテーテルの位置、特にカテーテル先端部の位置を決定するため外部撮像システムで見ることができる要素を具備できる。実施例では、カテーテル先端部は位置測定コイルを有し、位置測定コイルの位置、よってカテーテルの位置は磁気共鳴映像法システムで決定できる。
【0030】
特に、心臓の再発生局所的収縮が心臓の種々異なる検知部位で決定され、異なる検知部位の位置が決定される場合、これらの決定された位置は、異なる検知部位の位置に依存して、異なる検知部位での心臓の再発生局所的収縮の類似点、バリエーション及び/又は他の特性を決定可能にする。
【0031】
好ましくは、検知部位の位置は、基準フレームに関して決定される。斯様な基準フレームは、例えば、局所的若しくはグローバルな、2次元若しくは3次元座標系(当該座標系で心臓のモデルが記録されていてもよい)又は心臓に関する解剖学的情報を供給する心臓の2次元若しくは3次元モデル若しくはマップでもよい。例えば、基準フレームは、心臓の3次元モデルが記録される、又はそれ自体が心臓の3次元解剖学的モデルであるグローバルな3次元座標系である。
【0032】
第1の特性検知ユニット及び第1の特性決定ユニットが、心臓の異なる検知部位での再発生局所的収縮を決定し、前記位置決定ユニットが、異なる検知部位の位置を決定し、前記装置は、更に、異なる検知部位で、決定された再発生局所的収縮と、異なる検知部位の決定された位置とに基づいて心臓の収縮マップを生成するためのマップ生成ユニットを更に有し、前記収縮マップが異なる検知部位の位置での再発生局所的収縮を表すことが好ましい。
【0033】
斯様な収縮マップは、心臓の反応のより良好及び/又はより信頼性が高い評価を可能にする心臓に関する情報を供給可能にする。例えば、心臓の収縮マップは、興奮収縮連関、すなわち、検知部位での心臓組織の電気的パルスが検知部位で局所的短縮に結果としてならない場合の解離を識別するか、又は非収縮瘢痕組織を位置決めすることを助ける。決定された局所的収縮パターンからの心室瘢痕組織の位置の識別は、例えば、ペースメーカリード線電極の位置決めのための適切なスポットを見つける際の助けとなる。
【0034】
前記カテーテルが検知部位での心臓の他の特性を示す特性信号を検知するための他の特性検知ユニットを有し、前記装置は、検知された特性信号から検知部位での心臓の他の特性を決定するための他の特性決定ユニットを有し、前記他の特性検知ユニット及び前記他の特性決定ユニットは、加えて、心臓の異なる検知部位で他の特性を決定し、前記マップ生成ユニットが、加えて、異なる検知部位で、決定された他の特性と、異なる検知部位の決定された位置とに基づいて、異なる検知部位の位置での他の特性を表わす心臓の収縮マップを生成することが好ましい。
【0035】
更に心臓の他の特性を表す収縮マップは、心臓のより良好及び/又はより信頼性が高い特徴描写を可能にする心臓に関する他の情報を提供することを可能にする。
【0036】
他の本発明の態様において、カテーテルに含まれる第1の特性検知ユニットによって心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するステップと、第1の特性決定ユニットにより心臓の第1の特性として、検知された収縮信号から検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定するステップとを有する、心臓の特性を決定する方法が提供される。
【0037】
他の本発明の態様において、コンピュータプログラムが請求項1に記載の装置を制御しているコンピュータ上で機能するとき、請求項13に記載の方法のステップを前記コンピュータに実施させるためのプログラムコード手段を有する、心臓の特性を決定するためのコンピュータプログラムが提供される。
【0038】
他の本発明の態様において、心臓の検知部位の異なる位置での心臓の再発生局所的収縮を表す心臓の収縮マップが提供される。好ましくは、収縮マップは、種々異なる検知部位での再発生局所的収縮及び異なる検知部位の決定された位置に基づいて生成される。異なる検知部位の位置は、位置決定ユニットにより好ましくは決定され、再発生局所的収縮は、心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号から第1の特性決定ユニットにより、異なる検知部位で好ましくは決定される。好ましくは、収縮信号は、カテーテルに含まれる第1の特性検知ユニットにより検知される。
【0039】
請求項1の装置、請求項13の方法、請求項14のコンピュータプログラム及び請求項15の収縮マップは、特に、従属請求項に定義されるように同様の及び/又は同一の好ましい実施例を持つと理解されるべきである。
【0040】
本発明の好ましい実施例が、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組合せでもあり得ることは、理解されるべきである。
【0041】
本発明のこれらの及び他の態様は、これ以降説明される実施例を参照して明らかに説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、心臓の特性を決定するための装置の実施例を模式的に例示的に示す。
【図2】図2A、図2Bは、心臓の特性を決定するための装置での使用のためのカテーテルの先端の2つの実施例を模式的に例示的に示す。
【図3】図3は、第1の特性検知ユニットにより心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号の検知を模式的に例示的に示す。
【図4】図4は、第1の特性検知ユニットにより心臓の検知部位で検知された心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号の時間的挙動を模式的に例示的に示す。
【図5】図5A乃至図5Cは、検知された収縮信号から心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮の決定を例示するために役に立つ。
【図6】図6は、第1の特性検知ユニットにより心臓の検知部位で検知された心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号の時間的挙動を模式的に例示的に示す。
【図7】図7A、図7Bは、心臓の特性を決定するための装置での使用のためのカテーテルの先端の2つの実施例を模式的に例示的に示す。
【図8】図8は、心臓の収縮マップの実施例を模式的に例示的に示す。
【図9】図9は、心臓の特性を決定する方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【図10】図10は、心臓に付与される切除の間、切除の経過を決定する方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【図11】図11は、心臓の収縮マップを生成する方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、患者3の心臓2の特性を決定するための装置1を模式的に例示的に示す。患者3は、患者テーブル4上に位置する。装置1は、心臓2の検知部位での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するための第1の特性検知ユニットを有するカテーテル5を有する。本実施例では、第1の特性検知ユニットは、カテーテル5の先端6に位置する。第1の特性検知ユニットを有するカテーテル5の先端6は、以下に更に詳細に説明されるだろう。
【0044】
心臓2の特性を決定するための装置1は、更に、心臓2の第1の特性として収縮信号から検知部位での心臓2の再発生局所的収縮を決定するための第1の特性決定ユニット8を有するカテーテル制御ユニット7を有する。
【0045】
カテーテル制御ユニット7は、更に、心臓2の検知部位へカテーテル5の先端6をガイドするための案内制御ユニット9を有する。案内制御ユニット9は、本実施例では、カテーテル5の内蔵ガイド手段(図1に示されていない)を制御する。他の実施例では、カテーテル5は、例えば、心臓2内の所望の位置へカテーテル5の先端6を受動的にガイドするために、ステアリングワイヤを用いて操縦されナビゲートできる。また、ステアリングワイヤは、案内制御ユニット9により制御できる。代わりに、心臓2の検知部位へのカテーテル5の先端6の磁気的ガイド又は他のガイドが使用できる。
【0046】
心臓2の検知部位へのカテーテル5の先端6のガイドの間、また好ましくは収縮信号を検知する間、蛍光透視装置60は、患者3内、特に心臓2内のカテーテル5の先端6の位置を撮像する。蛍光透視装置60は、カテーテル5、特にカテーテル5の先端6が存在する患者3の領域を横断する図1に図式的に示されるX線ビーム16を生成するX線源15を有する。X線ビーム16が患者3を横断した後、X線ビーム15はX線検知器17により検知される。X線源15及びX線検知器17は、蛍光透視画像を示すためのディスプレイも好ましくは有する蛍光透視制御ユニット18により制御される。
【0047】
他の実施例では、蛍光透視装置の代わりに、他の撮像装置、例えば、磁気共鳴撮像装置、超音波撮像装置又はコンピュータ断層撮影撮像装置が、患者3内、特に心臓2内でカテーテル5の先端6の位置を撮像するために用いられる。
【0048】
図2Aは、心臓2の特性を決定するための装置1用のカテーテル5の先端6の実施例を模式的に例示的に示す。図の類似の参照符号は、同様の要素を示す。
【0049】
図2Aに示される実施例では、カテーテル5は、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するための第1の特性検知ユニット21を有する。第1の特性検知ユニット21は、第1の特性検知ユニット21から第1の特性決定ユニット8まで収縮信号を伝達することに適している接続部23を介して、図1に示される第1の特性決定ユニット8に接続可能である。接続部23は、例えば、電気的接続部又は光接続部であり得る。
【0050】
本実施例では、第1の特性検知ユニット21は、心臓2内の一つ以上の深度で反射されるための音響波24を放射し、反射された音響波24を受信するための音響検知ユニットである。検知された収縮信号は、受信音響波24に依存する。他の実施例では、第1の特性検知ユニット21は、他の撮像モダリティも使用できる。例えば、第1の特性検知ユニット21は、例えば、レーザーから又は他の光源からの可視光又は赤外線での光撮像を使用する光検知ユニットであり得る。このように、音響検知ユニットの代わりに、例えば、赤外線を放射し受信する光検知ユニットは、収縮信号が心臓2内の異なる深度で反射される赤外線の反射を表す、第1の特性検知ユニット21として用いられる。
【0051】
本実施例では音響検知ユニットである第1の特性検知ユニット21は、超音波振動子25、特に本実施例では、単一の要素超音波振動子25を有する。斯様な単一の要素超音波振動子は、超音波のビーム、すなわち音響波24を放射し受信できる。他の実施例では、第1の特性検知ユニット21は、更に、液レンズを有する、又は超音波振動子25は超音波振動子アレイであり得る。液レンズを持つ単一の要素超音波振動子、又は超音波振動子アレイの使用は、より大きい検知レンジにわたって心臓2を検知可能にする。他の実施例では、第1の特性検知ユニット21は、幾つかの超音波振動子も有し得る、すなわち第1の特性検知ユニット21は、単一の超音波振動子又は幾つかの超音波振動子を有し得る。
【0052】
音響波24、特に超音波24の送信を可能にするために、カテーテル5は、固体又は液体(図2Aに示されていない)、例えば冷却液体又は他の液体のような送信媒体で好ましくは満たされる。
【0053】
図2Aに示される実施例では、カテーテル5は、エネルギーを心臓2に付与するためのエネルギー付与ユニット26を有する。エネルギー付与ユニット26は、カテーテル電極27、特に、本実施例では、(図2Aに示されていない)コンタクトリード線を介して、心臓2の特性を決定するための装置1の図1に示されたカテーテル制御ユニット7に含まれる電気的エネルギー源10に接続可能である無線周波数カテーテル電極27を有する。このように、電気的エネルギー、本実施例では、無線周波数エネルギーは、カテーテル5のエネルギー付与ユニット26を介して心臓2に付与される。カテーテル電極27、特に本実施例では、無線周波数カテーテル電極27は、音響的に透過な電極、例えば、前面側上に薄い金属被覆を持つTPX電極、又はドーピングされたポリマーのような他の音響的に透過な物質でできている電極である。他の実施例では、エネルギー付与ユニット26は、レーザー、クライオサーミイ(cryothermy)エネルギー源、高い強度の超音波又はマイクロ波のような他のエネルギー源も使用できる。
【0054】
本実施例では、エネルギー付与ユニット26は、心臓2を切除するのに適している。装置1、特にカテーテル制御ユニット7は、心臓2の検知部位22での心臓2の決定された再発生局所的収縮に基づいて切除の経過を決定するために、図1に示される切除経過決定ユニット11を有する。好ましくは、決定された再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅は、切除の経過を決定するために用いられる。例えば実施例では、切除の経過に伴って、決定された再発生局所的収縮の振幅が減少すると仮定される。振幅の特定の減少は、このとき、例えば較正手段により特定の切除経過と相関できる。その上、実施例では、決定された再発生局所的収縮の増大期間は切除の増大経過を示すと仮定される。従って、当該期間の特定の増大は、特定の切除経過と相関できる。特に、決定された再発生局所的収縮の期間の増大及び/又は振幅の減少が、切除が進行した心臓組織の深度を示すように、切除経過決定ユニットは、較正できる。一般に、切除が進行する場合、決定された再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅は修正される。好ましくは、較正手法により、又は切除の経過と決定された再発生局所的収縮の修正との間の既知の関係により、切除経過決定ユニットは、決定された再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅の修正に基づいて切除の経過を決定するのに適している。その上、再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅は、心臓組織内での種々異なる深度に対する心臓の検知部位で決定され、異なる深度でのこれらの値の個別の挙動が、更に、検知部位での切除経過を決定するために利用され得る。
【0055】
図2Bは、心臓2の特性を決定するための装置1用のカテーテル5の先端6の他の実施例を模式的に例示的に示す。
【0056】
図2Bに示される実施例では、エネルギー付与ユニット26に含まれるカテーテル電極27、特に本実施例では、無線周波数カテーテル電極27が、円環電極であるという点で、カテーテル5は図2Aに示されるものと異なる。環状カテーテル電極27及び第1の特性検知ユニット21は、一緒に一種のチャネルを形成し、当該チャネルを通じて音響波24が送信される。第1の特性検知ユニット21の前に空気及び/又は血液の存在を回避するために、チャネルは、潅流液体(図2Bに示されていない)、例えば、カテーテル5の内腔を通してポンプ圧送され開口部50を通じて内腔を離れることができる食塩液で好ましくは満たされる。内腔は、潅流液体により完全に満たされるか、又はチューブが、カテーテル5の内腔内に存在でき、チューブは、潅流液体が開口部50を通じてカテーテル5を出て行くように開口部50に接続されている。
【0057】
図3は、第1の特性検知ユニット21により心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号の検知を模式的に例示的に示す。
【0058】
第1の特性検知ユニット21、本実施例では音響検知ユニットは、音響波24を放射して受信し、検知された収縮信号は、心臓2内の一つ以上の深度で反射される音響波24の反射を表す。時間的なポイントに対応する検知された収縮信号は、2次元の「Aモード」画像として図3に視覚化され、画像の水平軸Dは、放射され反射された音響波24の戻りのために必要とされる時間を表わし、よって、第1の特性検知ユニット21に関して、反射している心臓組織の深度を表し、垂直軸Aは反射の振幅を表す。代わりに、同じ情報が一次元の「Bモード」画像として視覚化でき、画像の一つの軸は第1の特性検知ユニット21に関して反射している心臓組織の深度を表し、反射の振幅は輝度値としてコード化される。図3に示される収縮信号は、心臓2の前壁28及び背壁29で目立つピークを特徴とする。前壁28と背壁29との間にある小さなピークは、心臓組織の不均質を反映する。
【0059】
図4は、第1の特性検知ユニット21により心臓2の検知部位22で検知される心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号の時間的挙動を模式的に例示的に示す。
【0060】
本実施例では、収縮信号の時間的挙動は、2次元の「Mモード」画像として図4に視覚化され、画像の水平軸Tは時間を表し、画像の垂直軸Dは、画像の最上位に位置されるべきと考えられる第1の特性検知ユニット21に関して、反射している心臓組織の深度を表し、反射の振幅は輝度値Bとしてコード化される。2次元の「Mモード」画像が、本実施例では、20Hzのサンプリング周波数で時間的に複数のポイントで収縮信号を先ず検知することにより生成される。他の実施例では、時間にわたって連続的に検知された後で、収縮信号は時間離散的表現に変換され得る。その上、必要であれば、より高いサンプリング周波数、例えば100Hzより大きいサンプリング周波数が用いられてもよい。時間的に各ポイントに対応する収縮信号(「Aライン」)は、例えば、ヒューバートフィルタを使用して好ましくはフィルタリングされ、フィルタリングの後の絶対振幅値は、2次元の「Mモード」画像を得るために一緒に重ねられる一次元の「Bモード」画像に変換される。
【0061】
図3及び図4に示される状況で、心臓2が検知部位22での再発生局所的収縮を見せず、第1の特性検知ユニット21が収縮信号の検知の間、心臓2に関して固定位置のままであるので、時間的に異なるポイントに対応する「Bライン」は、2次元の「Mモード」画像において変化せず、結果的に前壁28及び背壁29が明らかに認識可能である「ストライプのような」画像になる。
【0062】
図5A乃至図5Cは、心臓2の検知部位22で再発生局所的収縮を心臓2が呈する状況を示す。これらの図は、検知された収縮信号から心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の決定を例示するのに役に立つ。
【0063】
図5Aは、第1の特性検知ユニット21により心臓2の検知部位22で検知された心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号の時間的挙動を示す。収縮信号は、図4を参照して説明されている2次元の「Mモード」画像として視覚化される。心臓2が、本実施例では、検知部位22で再発生局所的収縮を呈するので、心臓組織の対応する再発生局所的変位は、2次元の「Mモード」画像において認識できる。収縮信号は、本実施例では、心臓2と直接接触してないカテーテル5の先端6で感知された。
【0064】
心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮は、図1に示される第1の特性決定ユニット8により、検知された収縮信号の時間的変更に基づいて決定される。本実施例では、再発生局所的収縮は、以下の通りに決定される。
【0065】
時間的に複数のポイントで、検知された収縮信号に対応する個別の「Aライン」が、マトリクスAを形成するために一緒に重ねられる。マトリクスAは、列ベクトルA、A、...、Aから構成され、ここで、

のAは要素An1、An2、...、AnMを持つ「Aライン」であり、ここで、

のAnmは心臓組織内の深度mでの音響波の反射の振幅である。単一の行からのマトリクスエントリ、例えば、マトリクスAに含まれる時間的に全てのポイントを交差する単一の深度に対応するA11、A21、...、AN1が、時間的に隣接するポイントで検知された収縮信号の類似性の手法として、差の絶対値d11=|A11−A21|、d21=|A21−A31|、...、d(N−1)1=|A(N−1)1−AN1|を計算することにより比較される。これにより小さな絶対差は、検知された収縮信号が時間的に考慮された隣接するポイントで、考慮された深度で、非常に類似していることを示すのに対し、大きな絶対差は、検知された収縮信号が時間的に考慮された隣接するポイントで、考慮された深度で、むしろ非類似であることを示す。最大絶対差の例えば2/3に等しい閾値dthreshが採用され、計算された類似値d11、d21、...、d(Nー1)1が閾値dthreshより大きい、1≦k≦(N−1)の時間Tk1での非類似ポイントが見つけられる。これは、mの全ての値に対して、すなわち心臓組織内の全ての異なる深度に対して繰り返され、閾値dthreshが心臓組織内の深度lで越えられる1≦l≦Mの時間Tklの非類似性ポイントを作る。時間Tklの非類似ポイントの1次元ヒストグラムHが採用され、ここで、時間Tklの非類似ポイントの深度lは無視される。ヒストグラムHのピークは、心臓の再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズを決定するために使われる時間のポイントとして採用される。
【0066】
これは、図5Bに示され、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮が決定された時間的ポイントは白い垂直線によりマークされている。これらの時間的ポイントは、対応する「バイナリのモード」のプロット画像で図5Cにも示され、振幅が、本実施例では、再発生局所的収縮の振幅と相関しない点に留意されたい。
【0067】
図5Cに示される「バイナリのモード」のプロット画像から、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮のサイクル長、周期性及び/又はフェーズ(並びにその変化)は、容易に引き出される。
【0068】
心臓2の特性を決定するための装置1は、本実施例では、更に、再発生基準信号を供給するために、図1に示される基準信号供給ユニット12を有する。本実施例では、基準信号供給ユニット12は、再発生基準信号として心臓2の心拍数及び鼓動を表すECG(心電図)信号を測定するための心電計である。心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズは、再発生基準信号に関して決定される。これは、心臓2の種々異なる検知部位22での心周期と再発生局所的収縮との間の関係を決定可能にする。種々異なる検知部位22での再発生局所的収縮と心周期との間の関係についての知識は、心臓2の異なる部分が活性化するシーケンスを決定することを可能にする。
【0069】
心臓2の検知部位22での再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズが深度にかかわりなく上述された方法で決定される一方、これらの値も心臓組織内の異なる深度又は深度範囲に対して別々に決定できる。これは、例えば、各考慮される深度又は深度範囲に対して、心臓組織内で考慮された深度又は深度範囲内にある時間Tklのそれら非類似のポイントの別々の一次元ヒストグラムHを採用することにより、達成され、ここで、時間Tklのこれら非類似のポイントの深度lは再び無視される。ヒストグラムHのピークは、心臓の再発生局所的収縮の周期性及び/又はフェーズを決定するために使われる時間的ポイントとして採用される。
【0070】
代わりに、又は周期性及び/又はフェーズの決定に加えて、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の期間及び/又は振幅、すなわち力(並びにその変化)が決定できる。これは、例えば、時間的に種々異なるポイントで前壁28又は背壁29のような心臓組織の認識可能な部分の深度を抽出するために、図5Aに示される2次元の「Mモード」の画像に、縁検知アルゴリズムを適用することによりできる。再発生局所的収縮の振幅は、時間的に異なるポイントでの心臓組織の抽出された認識可能な部分の最小深度と最大深度との間の差として計算できる。同様に、例えば、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の期間は、心臓組織の抽出された認識可能な部分の最大深度を一時的に囲んでいる心臓組織の抽出された認識可能な部分の最小深度間の最小の時間的距離から決定できる。検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の振幅及び期間のうちの少なくとも1つは、心臓組織の認識可能な一部を抽出することにより、心臓組織内の異なる深度に対して決定できる。
【0071】
心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の決定が、図5A及び図5Bに示される2次元の「Mモード」の画像と、図5Cに示される対応する「バイナリプロット」の画像とを参照して明確に説明されてきたが、これらの画像が再発生局所的収縮の特定のパラメータ、例えば、周期性及び/又はフェーズを決定するために必ずしも生成される必要があるというわけではないことは明確であるべきである。その上、時間的に隣接するポイントでの類似性尺度の類似性値として隣接する「Aライン」の差を計算し評価する代わりに、再発生局所的収縮を決定する他の態様が、追加的に又は代替的に利用されてもよい。例えば、時間的に隣接するポイントで検知された収縮信号の類似性値を生成するための他の類似性手法として、隣接する「Aライン」間の相関が計算され、閾値と比較され得る。閾値より低い相関値は、時間的に非類似性ポイント、すなわち、心臓2の検知部位22での再発生局所的収縮を心臓2が呈した時間的ポイントを示す。
【0072】
図6は、第1の特性検知ユニット21により心臓2の検知部位22で検知される心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号の時間的挙動を模式的及び例示的に示す。
【0073】
本実施例では、収縮信号は、図4を参照して説明された2次元の「Mモード」の画像として視覚化される。心臓2が検知部位22での再発生局所的収縮を呈するので、心臓組織の対応する再発生局所的変位は、2次元の「Mモード」の画像において認識できる。しかしながら、図5Aに示される2次元の「Mモード」の画像とは対照的に、収縮信号は、心臓2と直接接触しているカテーテル5の先端6で検知された。これは、図2A又は図2Bに示されるようにカテーテル5での切除処置の間に通常適用する構成である。心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮は、上述の方法に従って検知された収縮信号から決定できる。
【0074】
図7Aは、心臓2の特性を決定するための装置1での使用のためのカテーテル5の先端6の実施例を模式的及び例示的に示す。
【0075】
図7Aに示される実施例では、カテーテル5は第1の特性検知ユニット21を有し、第1の特性検知ユニット21は、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するため、本実施例では単一の要素超音波振動子25を有する音響検知ユニットである。第1の特性検知ユニット21は、第1の特性検知ユニット21から第1の特性決定ユニット8まで収縮信号を伝達することに適している接続部23を介して、図1に示される第1の特性決定ユニット8に接続可能である。接続部23は、例えば、電気的接続部又は光接続部であり得る。
【0076】
カテーテル5は、本実施例では、心臓2の検知部位22での心臓2の他の特性を示す特性信号を検知するための他の特性検知ユニット31を有する。他の特性検知ユニット31は、本実施例では、心臓2の検知部位22での心臓2の伝導及び/又はインピーダンスのような電気的特性を検知するための少なくとも一つの電極32を有する。電極32は、音響的に透過な電極、例えば、前側に薄い金属的被覆を持つTPX電極又はドーピングしたポリマーのような他の音響的に透過な物質でできている電極である。加えて又は代わりに、他の特性検知ユニット31は、温度を検知するための温度センサ、又は心臓2の検知部位22での心臓2の適切な他の特性を検知するための他の任意のセンサも有することができる。他の特性検知ユニット31は、他の特性検知ユニット31から他の特性決定ユニット13まで特性信号を伝達するために適切である接続部(図7Aに示されていない)を介して、心臓2の特性を決定するための装置1の図1に示されるカテーテル制御ユニット7に含まれる他の特性決定ユニット13に接続可能である。当該接続部は、例えば電気的接続部又は光接続部であり得る。
【0077】
心臓2の特性を決定するための装置1、特に本実施例では、カテーテル5は、検知部位22の位置を決定するための位置決定ユニット33を更に有する。例えば、検知部位22の位置は、電気的若しくは磁気位置測定又はGPSを使用してカテーテル5の先端6の位置を決定することにより、カテーテル5の先端6の決定された位置から検知部位22の位置を得ることにより決定できる。実施例では、位置決定ユニット33は、LocaLisa(商標)又はReal―Time Position Management(商標)のようなシステムであり得る。代わりに、カテーテル5の先端6の位置、よって検知部位22の位置は、蛍光透視、磁気共鳴撮像、超音波撮像又はコンピュータ断層撮影撮像のようなリアルタイム画像データから抽出できる。リアルタイム画像データは、例えば、図1に示される蛍光透視装置により供給できる。
【0078】
第1の特性検知ユニット21及び第1の特性決定ユニット8は、本実施例では、心臓2の種々異なる検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を決定するのに適していて、位置決定ユニット33は、異なる検知部位22の位置を決定するのに適している。例えば、カテーテル5の先端6は、心臓2の異なる検知部位22で心臓2の再発生局所的収縮を決定し、異なる検知部位22の位置を決定するために、心臓2の異なる検知部位22にガイドできる。
【0079】
その上、心臓2の特性を決定する装置1、特にカテーテル制御ユニット7は、異なる検知部位22で決定された再発生局所的収縮と異なる検知部位22の決定された位置とに基づいて、心臓2の収縮マップを生成するために、図1に示されるマップ生成ユニット14を有する。収縮マップは、異なる検知部位22の位置での心臓2の再発生局所的収縮を表す。
【0080】
本実施例では、他の特性検知ユニット31及び他の特性決定ユニット13は、加えて、心臓2の異なる検知部位22での心臓2の他の特性を決定するのに適していて、マップ生成ユニット14は、加えて、異なる検知部位22の決定された他の特性と、異なる検知部位22の決定された位置とに基づいて、異なる検知部位22の位置での心臓2の他の特性を表す心臓2の収縮マップを生成するのに適している。
【0081】
図7Bは、心臓2の特性を決定するための装置1での使用のためのカテーテル5の先端6の他の実施例を模式的及び例示的に示す。
【0082】
図7Bに示される実施例では、カテーテル5は、他の特性検知ユニット31に含まれる電極32が円環電極であるという点で、図7Aに示されるものと異なる。円環電極32及び第1の特性検知ユニット21は、一緒に一種のチャネルを形成し、当該チャネルを通じて音響波24が送信される。第1の特性検知ユニット21の前に空気及び/又は血液の存在を回避するために、チャネルは、潅流液体(図7Bに示されていない)、例えば、カテーテル5の内腔を通してポンプ圧送され開口部50を通じて内腔を離れることができる食塩液で好ましくは満たされる。内腔は、潅流液体により完全に満たされるか、又はチューブが、カテーテル5の内腔内に存在でき、チューブは、潅流液体が開口部50を通じてカテーテル5を出て行くように開口部50に接続されている。
【0083】
図8は、心臓2の収縮マップ40の実施例を模式的及び例示的に示す。収縮マップ40は、心臓2の異なる位置で、黒丸22により示されるような図8の複数の検知部位22を呈示する。収縮マップ40は、心臓2の検知部位22の異なる位置での心臓2の再発生局所的収縮を表す。この情報は、例えば、心臓2の検知部位22の異なる位置での心臓2の再発生局所的収縮の周期性、フェーズ及び/又は振幅を色分け及び/又は濃淡分けすることにより、任意の適切な態様で臨床医のようなユーザに提示できる。収縮マップ40は、例えば、ディスプレイ上に視覚化できる。
【0084】
好ましくは、収縮マップ40は、加えて、心臓2の検知部位22の異なる位置での心臓2の他の特性を表す。当該他の特性は、例えば、心臓2の検知部位22の心臓2の伝導及び/又はインピーダンスのような電気的特性であり、又は温度若しくは心臓2の検知部位22での心臓2の他の任意の適切な特性である。他の特性は、例えば、異なる濃度、色及び/又は成形したマーカー等を用いて、収縮マップ40に表わされ得る。
【0085】
図9は、心臓2の特性を決定するための方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【0086】
ステップ101では、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号は、カテーテル5に含まれる第1の特性検知ユニット21によって検知される。
【0087】
ステップ102では、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮は、第1の特性決定ユニット8による心臓2の第1の特性として、検知された収縮信号から決定される。
【0088】
図10は、心臓2に付与される切除の間、切除の経過を決定するための方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【0089】
切除が初期化ステップ201で開始する前に、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号が、カテーテル5に含まれる第1の特性検知ユニット21によって検知され、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮が、第1の特性決定ユニット8により、心臓2の第1の特性として検知された収縮信号から決定される。初めに決定された心臓の再発生局所的収縮は、切除の開始前に心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を表す基準値を供給する。
【0090】
ステップ202では、エネルギーが、検知部位で心臓組織を切除するためのカテーテル5に含まれるエネルギー付与ユニット26によって、心臓2の検知部位22で、心臓2に付与される。
【0091】
ステップ203では、心臓2の検知部位22の切除中又は切除後の心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号が、カテーテル5に含まれる第1の特性検知ユニット21によって検知される。
【0092】
ステップ204では、心臓2の検知部位22の切除中又は切除後の心臓2の再発生局所的収縮が、第1の特性決定ユニット8による心臓2の第1の特性として、検知された収縮信号から決定される。
【0093】
ステップ203及び204は、切除の開始後に実行され、切除の現在の状態で心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を表す現在の値を提供する。基準値及びそれぞれの現在の値は、例えば、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮の周期性、フェーズ、振幅及び/又は期間であり得る。
【0094】
ステップ205では、切除の経過は、例えば、差を計算することにより、それぞれの現在の値と基準値とを比較することにより、決定された再発生局所的収縮に基づいて、決定される。例えば、切除の開始前に、例えば、収縮の基準周期性、基準フェーズ、基準振幅及び/又は基準期間等である基準値が決定できる。この基準値は、例えば、再発生局所的収縮の増大している期間又は再発生局所的収縮の減少している振幅を決定するため、検知部位で心臓の再発生局所的収縮の変化を決定するために、切除の間又は切除が実施された後、決定されるそれぞれの現在の値と比較される。この変化が、切除経過を監視するために、好ましくは用いられる。
【0095】
ステップ206では、所望の程度の切除経過が到達されたかどうかが決定される。もし到達されたならば、現在の検知部位で、切除はステップ207で止まり、全体の切除処置は終了されるか、又はカテーテル5は他の検知部位にガイドされ、これらの新規な検知部位で、ステップ201〜206が繰り返される。切除の程度が充分でないと決定される場合、方法はステップ202で続く。切除の程度が充分であるかどうかを決定するために、ステップ205で決定される変化は、閾値と比較され、決定された変化が閾値を超える場合、切除の程度が充分であると決定される。
【0096】
ステップ202〜206は、他の論理シーケンスで実施され得る。更にまた、幾つかのステップ、例えばステップ202及び203、204は、同時に実施できる。
【0097】
図11は、心臓2の収縮マップ40を生成するための方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【0098】
ステップ301では、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮を示す収縮信号が、カテーテル5に含まれる第1の特性検知ユニット21によって検知される。
【0099】
ステップ302では、心臓2の検知部位22での心臓2の再発生局所的収縮が、第1の特性決定ユニット8により、心臓2の第1の特性として、検知された収縮信号から決定される。
【0100】
ステップ303では、検知部位22の位置が、位置決定ユニット33によって決定される。
【0101】
ステップ301〜303は、心臓2の所望の数の異なる検知部位22に対して繰り返される。その後、当該方法は、ステップ304に続く。
【0102】
ステップ301、302及びステップ303は、同時に実施できるか又は他の任意の順で実施できる。例えば、ステップ303は、ステップ301及び302を実施する前に実施できる。
【0103】
ステップ304では、心臓2の収縮マップ40が、マップ生成ユニット14によって、種々異なる検知部位22で決定された再発生局所的収縮と、異なる検知部位22の決定された位置とに基づいて生成され、収縮マップ40は、異なる検知部位22の位置での再発生局所的収縮を表す。
【0104】
ステップ301及び302では、検知部位22での心臓2の他の特性が、他の特性検知ユニット31及び他の特性決定ユニット13を用いて決定できる。例えば、心臓2の検知部位22での心臓2の伝導、インピーダンス及び/又は温度が決定できる。ステップ304では、また、これらの決定された他の特性が、異なる濃度、色及び/又は成形されたマーカーを用いて収縮マップ40に表わされる。
【0105】
エネルギー付与ユニットを有するカテーテル及び他の特性検知ユニットを有するカテーテルが異なる実施例として説明されてきたが、本発明は、また、複合カテーテルにおいて、すなわち、エネルギー付与ユニット及び他の特性検知ユニット両方を有するカテーテルで使用されてもよい。幾つかの実施例では、同じユニットが、エネルギーを心臓に付与するためと、心臓の検知部位での心臓の他の特性を決定するためとの両方に用いられてもよい。
【0106】
上述された実施例では、カテーテル先端部の要素の特定のアレンジメントが、図2A、図2B、図7A、図7Bに模式的に例示的に説明されてきたが、本発明は、カテーテル先端部のこれらの構成に限定されない。例えば、円環電極27が用いられる場合、カテーテル先端部は、また、潅流手段なしで製造できる。その上、また、図2A及び図7Aに示されるカテーテル先端部は、潅流手段を有し得る。カテーテル先端部が、第1の特性検知ユニット、好ましくは電極を持たない超音波振動子を有することも可能である。心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するための第1の特性検知ユニットを有するカテーテルと、心臓の第1の特性として検知された収縮信号から、検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定するための第1の特性決定ユニットとを有する心臓の特性を決定するための任意の装置が、本発明の範囲内にある。
【0107】
収縮マップは、同じ位置で、又は異なる位置で再発生局所的収縮及び他の特性を表すことができ、例えば他の特性は、再発生局所的収縮が決定される検知部位の位置と異なる位置で決定でき、収縮マップは、それぞれの位置で他の特性及び再発生局所的収縮を示す。更に、他の特性及び再発生局所的収縮が同じ検知部位で検知される場合であっても、収縮マップは検知部位の位置で再発生局所的収縮及び他の特性を並べて示すことができる。
【0108】
本発明は図面及び上述の記述で詳細に説明されてきたが、斯様な例示及び記述が図示的及び例示的であって限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されない。開示された実施の形態に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実践する際に当業者によって理解され、もたらされ得る。
【0109】
特許請求の範囲において、「有する」という語は他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。
【0110】
単一のユニット又はデバイスが、特許請求の範囲において列挙されている幾つかの要素の機能を果たし得る。互いに異なる従属請求項において幾つかの方策が列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に用いられることができないことを示してはいない。
【0111】
上述の実施例において異なるユニットにより実現された幾つかの機能は、任意の数のユニット、また単一のユニットによっても実現できる。
【0112】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又は他のハードウェアの一部として与えられる光記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体に記憶/配布され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してのような他の形態でも配信され得る。
【0113】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号もが、範囲を限定するように解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するための第1の特性検知ユニットを有するカテーテルと、心臓の第1の特性として、検知された収縮信号から検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定するための第1の特性決定ユニットとを有する、心臓の特性を決定するための装置。
【請求項2】
第1の特性決定ユニットが再発生局所的収縮の周期性及びフェーズの少なくとも1つを決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、再発生基準信号を供給するための基準信号供給ユニットを有し、第1の特性決定ユニットは、前記再発生基準信号に関して再発生局所的収縮の周期性及びフェーズの少なくとも1つを決定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第1の特性決定ユニットが再発生局所的収縮の振幅を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第1の特性検知ユニットは、時間的に異なるポイントで収縮信号を検知し、第1の特性決定ユニットは、時間的に隣接するポイントで、検知された収縮信号の類似性を示す類似性値に結果となる、時間的に隣接するポイントで、検知された収縮信号を比較する類似性手法を適用し、前記類似性値を閾値と比較することにより時間的に非類似性のポイントを決定し、決定された時間的に非類似性のポイントから心臓の再発生局所的収縮の周期性及びフェーズの少なくとも1つを決定する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
第1の特性検知ユニットは、心臓内の一つ以上の深度で反射されるための音響波を放射し、反射された音響波を受信するための音響検知ユニットであり、検知された収縮信号が受信された音響波に依存する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
カテーテルが、検知部位での心臓の他の特性を示す特性信号を検知するための他の特性検知ユニットを有し、前記装置は、検知された特性信号から検知部位での心臓の他の特性を決定するための他の特性決定ユニットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カテーテルがエネルギーを心臓に付与するためのエネルギー付与ユニットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー付与ユニットは心臓を切除し、前記装置は、決定された再発生局所的収縮に基づいて切除の経過を決定するための切除経過決定ユニットを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
検知部位の位置を決定するための位置決定ユニットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
第1の特性検知ユニット及び第1の特性決定ユニットが、心臓の異なる検知部位での再発生局所的収縮を決定し、前記位置決定ユニットが、異なる検知部位の位置を決定し、前記装置は、更に、異なる検知部位で、決定された再発生局所的収縮と、異なる検知部位の決定された位置とに基づいて心臓の収縮マップを生成するためのマップ生成ユニットを更に有し、前記収縮マップが異なる検知部位の位置での再発生局所的収縮を表す、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記カテーテルが検知部位での心臓の他の特性を示す特性信号を検知するための他の特性検知ユニットを有し、前記装置は、検知された特性信号から検知部位での心臓の他の特性を決定するための他の特性決定ユニットを有し、前記他の特性検知ユニット及び前記他の特性決定ユニットは、加えて、心臓の異なる検知部位で他の特性を決定し、前記マップ生成ユニットが、加えて、異なる検知部位で、決定された他の特性と、異なる検知部位の決定された位置とに基づいて、異なる検知部位の位置での他の特性を表わす心臓の収縮マップを生成する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
カテーテルに含まれる第1の特性検知ユニットによって心臓の検知部位での心臓の再発生局所的収縮を示す収縮信号を検知するステップと、第1の特性決定ユニットにより心臓の第1の特性として、検知された収縮信号から検知部位での心臓の再発生局所的収縮を決定するステップとを有する、心臓の特性を決定する方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムが請求項1に記載の装置を制御しているコンピュータ上で機能するとき、請求項13に記載の方法のステップを前記コンピュータに実施させるためのプログラムコード手段を有する、心臓の特性を決定するためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
心臓の検知部位の異なる位置での心臓の再発生局所的収縮を表す心臓の収縮マップ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−526588(P2012−526588A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510411(P2012−510411)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052040
【国際公開番号】WO2010/131178
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】