説明

心血管疾患の逆転及び予防方法

本発明は、管腔拡大量の式(I)
【化1】


(式中、xは1〜4の整数として定義される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグを投与することを含む冠動脈血管の管腔直径の拡大方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宿主哺乳動物、特にヒトにおける血管の管腔の拡大方法、または狭い管腔直径により特徴づけられる心血管疾患の治療、逆転または予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞移動は創傷治癒、炎症、成人呼吸窮迫症候群及び悪性侵襲において重要な役割を発揮する。中膜から内膜への血管平滑筋細胞の移動は、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患(CHD)、血栓症、心筋梗塞、卒中、平滑筋新生物(例えば、腸及び子宮の平滑筋腫及び平滑筋肉腫、子宮フィブロイドまたは線維腫)、及び脈管移植片及び移植臓器の閉塞性疾患を含めた病状をもたらす新内膜形成において重要な役割を果たす。異常な平滑筋細胞増殖のメカニズムはまだ十分に理解されていない。
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、血管の管腔を危うくするプロセスで管壁が再構築される心血管疾患である。アテローム再構築プロセスで、平滑筋細胞及び単球/マクロファージ炎症性細胞が管壁の内膜に蓄積する。前記細胞は、多分血行から脂質を吸収して成熟アテローム病巣を形成する。前記病巣の形成は成人の人生の何十年もかかって起こる慢性プロセスであるが、アテローム性動脈硬化症に関連する病状の大部分は、病巣が破裂して動脈をすぐに塞ぐ凝塊形成破片が放出されたときに起こる。急性現象が冠動脈で起こったときには心筋梗塞が後から起こる恐れがあり、最悪では死亡する場合がある。アテローム性冠動脈性心疾患は西欧における死亡及び冠動脈罹患の主因である。CHD死亡率は最近減りつつあるが、米国ではなお毎年CHDのために500,000人以上が死亡している。
【0004】
現在、アテローム性動脈硬化症を治療するための薬物介入は病気の進行を遅らすにすぎず、病気が進行すると侵襲性手術を行う。冠動脈疾患を患っている多くの患者における主要治療様式として経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)が広く使用されている。PTCAは、冠動脈疾患を患っている患者において管腔閉塞を減じ、冠動脈流を改善することにより筋虚血を緩和し得る。この外科手段は場合によりステントと一緒に使用される。PTCA後の再狭窄はまだ重大な問題であり、多くの患者が1〜3ヶ月以内に再狭窄を起こす。再狭窄により、高い罹患率及び死亡率を招き、再度の血管形成術または冠動脈バイパス手術のような更なる介入が必要となることが多い。今まで、再狭窄を防ぐのに外科的介入または手術後治療が有効であるとは判明していない。
【0005】
インビトロで平滑筋細胞増殖を抑制すると報告されている化合物は、インビボで使用したときに望ましくない薬理学的副作用を有する恐れがある。ヘパリンはそのような化合物の1例であり、インビトロで平滑筋細胞増殖を抑制すると報告されているが、インビボで使用すると凝固を妨げることがあり得るという副作用を有する。抗凝固活性が低いヘパリンの低分子量断片は短い薬理学的半減期という望ましくない薬理学的特性を有する。プロブコールはバルーン血管形成術後の冠動脈再狭窄を予防することが判明しているが(N.Eng.J.Med.,337:365−372(1997))、QT間隔の延長という望ましくない副作用を有することも公知である。
【0006】
米国特許第6,147,250号明細書は、VCAM−1が媒介する冠動脈疾患を含めた疾患を治療するための治療薬を開示している。この明細書は血管平滑筋細胞増殖に関連するCHDまたは病状、または狭い管腔直径により特徴づけられる心血管適応症の逆転または予防について教示も、言及も意図もしていない。
【0007】
Parthasarathyの米国特許第5,262,439号明細書(譲渡人AtheroGenics,Inc)は、1つまたは両方のヒドロキシ基を化合物の水溶性を向上させるエステル基で置換した高い水溶性を有するプロブコールのアナログを開示している。1実施態様では、前記誘導体はプロブコールのコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸またはマレイン酸のモノ−またはジ−エステルからなる群から選択される。別の実施態様では、プロブコール誘導体は、カルボン酸基、アミン基、アミン基の塩、アミド基、アミド基及びアルデヒド基からなる群から選択される官能基を含むアルキルまたはアルケニル基を有するモノ−またはジ−エステルである。
【0008】
一連のフランス国特許明細書は、あるプロブコール誘導体が低コレステロール血症及び低脂血症薬であることを開示している。
フランス国特許出願公開第2168137号明細書:ビス−4−ヒドロキシフェニルチオアルカンエステル、
フランス国特許出願公開第2140771号明細書:プロブコールのテトラリニルフェノキシアルカン酸エステル、
フランス国特許出願公開第2140769号明細書:プロブコールのベンゾフリルオキシアルカン酸誘導体、
フランス国特許出願公開第213480号明細書:ビス−(3−アルキル−5−t−アルキル−4−チアゾール−5−カルボキシ)フェニルチオ)アルカン、
フランス国特許出願公開第2133024号明細書:ビス−(4−ニコチニルオキシフェニルチオ)プロパン、及び
フランス国特許出願公開第2130975号明細書:ビス(4−フェノキシアルカノイルオキシ)フェニルチオ)アルカン。
【0009】
Parkerらの米国特許第5,155,250号明細書は、2,6−ジアルキル−4−シリルフェノールが抗アテローム性動脈硬化症薬であることを開示している。同一化合物が1995年6月15日に公開された国際特許出願公開第95/15760号パンフレットでは血清コレステロール低下剤として開示されている。Parkerらの米国特許第5,608,095号明細書は、アルキル化−4−シリルフェノールがLDLの過酸化を抑制し、血漿コレステロールを低下し、VCAM−1の発現を抑制し、よってアテローム性動脈硬化症の治療において有用であることを開示している。
【0010】
一連の塩野義製薬(株)の欧州特許出願公開明細書は、アテローム性動脈硬化症の治療に使用されるフェノールエステルを開示している。欧州特許出願公開第348203明細書は、LDLの変性及びマクロファージによるLDLの取り込みを抑制するフェノールチオエーテルを開示している。前記化合物は抗アテローム性動脈硬化症薬として有用である。前記化合物のヒドロキサム酸誘導体は欧州特許出願公開第405788明細書に開示されており、アテローム性動脈硬化症、潰瘍、炎症及びアレルギーの治療のために有用である。フェノールチオエーテルのカルバモイル及びシアノ誘導体はKitaらの米国特許第4,954,514号明細書に開示されている。
【0011】
1998年11月18日に公開されたAtheroGenetics,Inc.の国際特許出願公開第98/51662号パンフレットに対応する2000年9月19日に付与された米国特許第6,121,319号明細書は、VCAM−1が媒介する疾患及び炎症性心血管疾患を治療するための構造式:
【0012】
【化1】

(式中、R、R、R及びRは独立して、水素、置換されていてもよい直鎖、分枝鎖もしくは環式アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカアリール、置換アルカアリール、アルアルキル及び置換アルアルキルを含めた分子の所望特性に悪影響を及ぼさない任意の基であり、R、R、R及びR基上の置換基は水素、ハロゲン、アルキル、ニトロ、アミノ、ハロアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル及びアシルオキシからなる群から選択され;Zは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、アルアルキル、アルカアリール、ヘテロアリール、ヘテロアルアルキル、炭水化物基、−(CH)−R、−C(O)−R及び−C(O)−(CH−Rからなる群から選択され、ただしR、R、R及びRの各々がt−ブチルのときZは水素ではなく、他の変数は明細書に定義した通りである)
を有する特定化合物を開示している。
【0013】
2001年9月27日に公開されたAtheroGenics,Inc.の国際特許出願公開第01/70757号パンフレットは、式:
【0014】
【化2】

[式中、
a)R、R、R及びRは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカアリール、置換アルカアリール、アルアルキル及び置換アルアルキルを含めた分子の所望特性に悪影響を及ぼさない任意の基であり;
b)Zは(i)置換もしくは未置換炭水化物、(ii)置換もしくは未置換アルジトール、(iii)スルホン酸を末端とする置換もしくは未置換C1−10アルキル、(iv)リン酸を末端とする置換もしくは未置換C1−10アルキル、(v)置換もしくは未置換C1−10アルキル−O−C(O)−C1−10アルキル、(vi)直鎖ポリヒドロキシル化C3−10アルキル、(vii)−(CR1−6−COOH(ここで、Rは独立して水素、ハロ、アミノまたはヒドロキシであり、R基の少なくとも1つは水素でない)、または(viii)−(CR1−6−X(ここで、Xはアリール、ヘテロアリールまたはヘテロ環であり、Rは独立して水素、ハロ、アミノまたはヒドロキシである)である]
を有する特定のチオエーテル及びその医薬的に許容され得る塩の使用を開示している。
【0015】
Mengらは、抗酸化特性及び脂質調節特性を同時に有する血管細胞接着分子−1(VCAM−1)のTNF−α誘導性発現の有力な抑制剤として発見された一連のフェノール化合物を開示している。開示されている化合物はアテローム性動脈硬化症及び高脂血症の動物モデルにおいて有効であることが示された(「アテローム性動脈硬化症に使用するための誘導性VCAM−1発現の多機能阻害剤としての新規フェノール抗酸化剤(Novel Phenolic Antioxidants As Multifunctional Inhibitors Of Induible VCAM-1 Expression For Use In Atherosclerosis)」,Bioorganic & Medl.Chem.Ltrs.,12(18):2545−2548(2002))。
【0016】
Sundellらは、プロブコールから誘導される新規な代謝的に安定なフェノール抗酸化化合物を開示している。[4−[[1−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]チオ]−1−メチルエチル]チオ]2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]酢酸]が関節リウマチ(RA)の関節に対するリンパ球の補充のために重要な二つのレドックス感受性炎症性遺伝子であるVCAM−1及びMCP−1のTNF−α刺激内皮発現をICAM−1よりもかなり抑制することを開示している(AGIX−4207:「新規な抗酸化/抗炎症化合物はラットにおいてコラーゲンII関節炎の進行を抑制する(A Novel Antioxidant And Anti-Inflammatory Compound Inhibits Progression Of Collagen II Arthritis In The Rat)」,FASEB Journal,Vol.16,Nov.4,p.A182,2002年3月20日;2000年4月30〜24日に開催された実験生物学の研究者の年会議,ISSN 0892−6638)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、哺乳動物における心血管健康を増進させるための方法及び組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
下記式Iを有する化合物が冠動脈血管の管腔直径に対して直接効果を有し、よって1つの実施態様において心血管疾患を逆転させるために使用され得ることは驚くべき知見である。これは、ヒト臨床試験の驚くべき結果であり、この試験前には予測できなかった。
【0019】
例として、305患者で6週間投与した3種類の用量(70mg、140mg及び280mgを1日1回)の化合物A、プラセボ、及び再狭窄を予防することが判明している薬物のプロブコール(500mgを1日2回)を比較する臨床試験を実施した。この試験の一次終点(primary endpoint)は血管造影から6ヶ月後血管内超音波(IVUS)で測定した管腔面積(冠動脈開口部)の大きさであった。実験結果はこの研究が一次終点を満たしていたことが判明した。平均最小管腔面積はプラセボで2.66mm、プロブコールで3.69mm、70mgの化合物Aで2.75mm、140mgの化合物Aで3.17mm、280mgの化合物Aで3.36mmであった(化合物A用量応答及び280mgの化合物A対プラセボに対してp<0.05)。血管造影再狭窄も量的冠動脈血管造影(QCA)により測定して再狭窄の一般的定義を用いて評価した。ステント付き動脈の血管造影再狭窄率はプラセボで37.5%、プロブコールで25.5%、すべての化合物Aで26.0%であった。これにより、再狭窄率はプロブコール及び化合物Aで32%及び31%低下した。重要なことは、化合物Aを投与された患者では、冠動脈疾患に対する早期の直接的効果は血管形成部位の管腔面積の用量応答改善(p<0.05)で示されるように2週間で明らかであった。この直接的効果は血管造影術を繰り返し測定して6ヶ月間の追跡期間血管形成部位で維持された。基準血管(血管形成術の標的ではなかった冠動脈の血管)のIVUS分析も実施した。上記したデーターは、140mg及び280mgの化合物Aを投与した患者では管腔容積が増大したことを示した。対照的に、プラセボを投与された患者では管腔容積が減少し、これはアテローム性動脈硬化症状の予測された進行と一致した。管腔容積の変化は、プラセボで−5.3mm、プロブコールで−0.2mm、70mgの化合物Aで−2.4mm、140mgの化合物Aで+3.5mm、280mgの化合物Aで+1.8mmと測定された。
【0020】
従って、第1の態様で、本発明は有効管腔直径縮小量の式Iを有する化合物を投与することを含む血管の管腔直径の拡大方法である。別の実施態様では、狭い管腔直径により特徴づけられる心血管疾患を予防、治療または逆転させるための治療方法を提供する。この方法は、心血管疾患の進行を停止、疾患を逆転または疾患を予防するために心血管疾患のリスクがあるかまたは患っている哺乳動物に対して治療量(すなわち、管腔直径拡大量)の特定化合物を投与することを含む。別の実施態様では、哺乳動物はヒトである。
【0021】
本発明は、狭い管腔直径により特徴づけられる心血管疾患にかかりやすい患者に対して特定化合物を投与することにより心血管疾患の発症を予防する方法を含む。前記化合物は心血管疾患のリスクがある者に対して予防薬として投与され得る。別の実施態様では、患者の管腔直径は予防的または将来的に拡大する。
【0022】
アテローム性動脈硬化症、血栓症、心筋梗塞及び卒中からなる群から選択される状態のような心血管疾患を治療または予防するための治療方法も提供される。
【0023】
本明細書に記載の方法は、有効管腔直径縮小量の式I:
【0024】
【化3】

(式中、xは1、2、3及び4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグを全身または局所投与することを含む。
【0025】
本発明の別の態様は、アテローム性動脈硬化症に関連する動脈病巣への上記化合物の局所投与及び前記投与を実施するためのキットを含む。
【0026】
本発明の別の態様は、本発明の化合物と相補的効果または相補的作用モードを有する他の化合物との併用を含む。本発明の化合物は増補結果を得るように異なる生物学的経路を介してコレステロールを低下させる薬物と一緒に投与され得る。例えば、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤は多くの場合LDLリポタンパク質を低下させるが、HDLリポタンパク質をも低下させる。IBAT阻害剤及び本発明の化合物の治療用組合せは、用量を最適に調節したならばHDLを維持乃至上昇させながらLDLを低下させるであろう。
【0027】
(発明の詳細な説明)
下記式Iを有する化合物が血管の管腔直径に対して直接効果を有し、よって1つの実施態様において心血管疾患を逆転させるために使用され得ることは驚くべき知見である。これは、ヒト臨床試験の驚くべき結果であり、この試験前には予測できなかった。
【0028】
従って、本発明は管腔直径拡大量の式Iを有する化合物を投与することを含む血管の管腔直径を拡大するための治療方法を含む。別の実施態様では、前記方法は狭い管腔直径により特徴づけられる心血管疾患の予防、治療または逆転を含む。前記方法は心血管適応症のリスクがあるかまたは心血管疾患を患っている哺乳動物に対して前記疾患の進行を停止、前記疾患を逆転または前記疾患を予防するために治療量の特定化合物を投与することを含む。
【0029】
本発明の別の実施態様は、アテローム性動脈硬化症に関連する動脈病巣に対する本発明化合物の局所投与及び前記投与を実施するためのキットを含む。
【0030】
本発明の別の実施態様は、本発明化合物を相補的効果または相補的作用モードを有する他の化合物と一緒に使用することを含む。本発明化合物は、増補結果を得るために同一または別の生物学的経路を介してコレステロールを低下させる薬物と一緒に投与され得る。例えば、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤はしばしばLDLリポタンパク質を低下させ、HDLリポタンパク質も低下させる。治療のためにIBAT阻害剤と本発明化合物を組み合わせるとき、その用量を最適に調節するとLDLを低下させるが、HDLは維持されるかまたは上昇させる。
【0031】
アテローム性動脈硬化症、血栓症、心筋梗塞及び卒中からなる群から選択される状態のような心血管疾患を治療または予防するための治療方法が提供される。前記方法はある量の式Iを有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを全身または局所投与することを含む。
【0032】
【化4】

上記式中、xは1、2、3または4である。
【0033】
式Iを有する特定化合物は、式:
【0034】
【化5】

で表される化合物A、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである。
【0035】
I.定義
用語「医薬的に許容され得る塩」は、本発明化合物の所望生物活性を維持し、望ましくない毒性作用を最低限しか示さない塩または複合体を指す。前記塩の非限定例には、(a)塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等のような無機酸で形成される酸付加塩、及び酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸及びポリガラクツサロン酸のような有機酸で形成される酸付加塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウム等のような金属カチオン、またはアンモニア、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウムまたはエチレンジアミンから形成されるカチオンで形成される塩基付加塩;または(c)亜鉛タンニン酸塩等のような(a)と(b)の組合せが含まれる。この定義には、当業者に公知の医薬的に許容され得る4級塩も含まれる。具体的には、式−NR(式中、Rは上記と同義であり、Aは塩素、臭素、ヨウ素、−O−アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸またはカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンジル酸及びジフェニル酢酸)を含めた対イオンである)を有する第4級アンモニウム塩が含まれる。
【0036】
本発明化合物が安定な非毒性の酸及び塩基塩を形成するのに十分な塩基性または酸性の場合には、本発明化合物を塩として投与することが適当な場合がある。医薬的に許容され得る塩の例は、トシル酸、メタンスルホン酸、酢酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸、安息香酸、アスコルビン酸、α−ケトグルタル酸及びα−グリセロリン酸のような生理学的に許容され得るアニオンを形成する酸で形成される有機酸付加塩である。硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩及び炭酸塩を含めた好適な無機塩も形成され得る。
【0037】
医薬的に許容され得る塩は当業界で公知の一般的方法を用いて、例えば十分に塩基性の化合物(例えば、アミン)を生理学的に許容され得るアニオンを与える適当な酸と反応させることにより得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も製造され得る。
【0038】
II.立体異性及び多型性
キラル中心を有する本発明化合物が存在し得、光学的に活性な形態またはラセミ形態で単離され得ると認められる。前記化合物は多型性を示す。本発明は、本明細書に記載の有用な特性を有する本発明化合物の任意のラセミ、光学活性、多型または立体異性形態、またはその混合物を包含すると理解されたい。光学活性形態の製造方法及び本明細書に記載されている一般的試験を用いるかまたは当業界で公知の他の類似試験を用いて抗増殖活性を測定する方法は当業界で公知である。本発明化合物の光学異性体を得るために使用され得る方法の例には以下の方法が含まれる:
i)結晶の物理的分離:各エナンチオマーのマクロ結晶を手動で分離する技術。別々のエナンチオマーの結晶が存在するとき、すなわち材料が集塊であり、結晶が肉眼的にばらばらならばこの技術を使用し得る。
ii)同時結晶化:ラセミ化合物溶液から各エナンチオマーを別々に結晶化させる技術。ラセミ化合物溶液が固体状態の集塊である場合のみ可能である。
iii)酵素分解:エナンチオマーの酵素との反応速度の違いによりラセミ化合物を部分的または完全に分離する技術。
iv)酵素非対称合成:所望エナンチオマーのエナンチオマー的に純粋または濃縮合成前駆体を得るために合成の少なくとも1ステップで酵素反応を用いる合成技術。
v)化学的非対称合成:生成物中に非対称(すなわち、キラル性)を生ずる条件下で非キラル前駆体から所望のエナンチオマーを合成する合成技術。これはキラル触媒またはキラル助剤を用いて達成され得る。
vi)ジアステレンマー分離:各エナンチオマーをジアステレンマーに変換させるエナンチオマー的に純粋な試薬(キナル助剤)とラセミ化合物を反応させる技術。その後、生じたジアステレオマーはより明確な構造の違い及び所望エナンチオマーを得るべく後に除去されるキラル助剤を用いるクロマトグラフィーまたは結晶化により分離される。
vii)一次及び二次非対称変換:溶液中に所望エナンチオマーよりジアステレオマーが多量となるようにラセミ化合物からジアステレオマーを平衡化させるか、または最終的に原則として全ての材料が所望エナンチオマーから結晶性ジアステレオマーに変換されるように所望エナンチオマーからのジアステレオマーの優先的結晶化が平衡を混乱させる場合の技術。その後、所望エナンチオマーをジアステレオマーから遊離する。
xiii)カイネティック分解:カイネティック条件下でのエナンチオマーとキラル非ラセミ試薬または触媒との異なる反応速度によってラセミ化合物を部分的または完全に分解(または、部分的に分解された化合物を更に分解)させる技術。
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成:所望エナンチオマーを非キラル出発材料から得、立体化学一体性が合成中全くまたは殆ど損なわれない合成技術。
x)キラル液体クロマトグラフィー:ラセミ化合物のエナンチオマーを固定相との相互作用の違いによって液体移動相中で分離する技術。固定相はキラル材料から構成し得、または移動相は各種相互作用を起こさせるために追加のキラル材料を含み得る。
xi)キラルガスクロマトグラフィー:ラセミ化合物を揮発させ、ガス移動相での固定非ラセミキラル吸着剤を含むカラムとの相互作用の違いによってエナンチオマーを分離する技術。
xii)キラル溶媒を用いる抽出:1つのエナンチオマーを特定のキラル溶媒に優先的に溶解させることによりエナンチオマーを分離する技術。
xiii)キラル膜を横断する輸送:ラセミ化合物を薄膜バリヤーと接触配置する技術。前記バリヤーは通常1方にラセミ化合物を含む2つの混和性流体を分離し、濃度または圧力の差のような推進力により膜バリヤーを優先的に横断する。ラセミ化合物の1つのエナンチオマーのみを通過させる膜の非ラセミなキラル特性により分離が生じる。
【0039】
III.活性化合物
式I:
【0040】
【化6】

(式中、xは1、2、3または4である)
を有する化合物は冠動脈血管の管腔直径を拡大させることが知見された。
【0041】
好ましい実施態様では、化合物は式:
【0042】
【化7】

を有する。
【0043】
IV.医薬組成物
本発明化合物は有効管腔拡大量でそのまま投与することができるが、医薬組成物として投与することが好ましい。更なる態様で、本発明は、本発明化合物、またはその医薬的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を1つ以上の医薬的に許容され得る担体及び場合により1つ以上の本明細書に特定する適応症に対する他の治療成分と共に含む医薬組成物を提供する。前記担体は処方物の他の成分との適合性の点で許容性でなければならず、受容者に対して有害であってはならない。
【0044】
前記処方物には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内及び関節内を含む)、直腸及び局所(皮膚、頬、舌下及び眼内を含む)投与に適した処方物が含まれるが、最も好適なルートは例えば受容者の状態及び疾患に依存し得る。処方物を有利には1回服用量剤形で提供し得、製薬業界で公知の方法により調製され得る。いずれの方法も本発明化合物、またはその医薬的に許容され得る塩もしくは溶媒和物(“活性成分”)を1つ以上の補助成分からなる担体と混合するステップを含む。通常、処方物は活性成分を液体担体及び/または微細固体担体と均一・均密に混合し、その後所要により生成物を所望処方物に成形することにより製造される。
【0045】
経口投与に適した本発明の処方物は、所定量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤のようなばらばらの単位として、散剤または顆粒剤として、水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとして提供され得る。活性成分はボーラス、舐剤またはペースト剤としても提供され得る。
【0046】
錠剤は、場合により1つ以上の補助成分と一緒に圧縮または成形することにより製造され得る。圧縮錠は、自由流動性形態(例えば、粉末や顆粒)の活性成分を場合によっては結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、グリダント、界面活性または分散剤と混合して適当な機械において圧縮することにより製造され得る。成形錠は、不活性液体希釈剤で湿らした粉末化合物の混合物を適当な機械において成形することにより製造され得る。場合により、錠剤にコーティングまたは裂け目を設けてもよく、錠剤中の活性成分を徐放または制御放出するように処方し得る。
【0047】
非経口投与用処方物には、該処方物を所期受容者の血液と等張性とする溶質、酸化防止剤、緩衝剤及び静菌剤を含み得る水性及び非水性滅菌注射溶液;懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。前記処方物は密封アンプル及びバイアルのような1回服用量または複数回服用量容器の形態で提供され得、使用直前に滅菌液体担体(例えば、食塩液、注射用蒸留水)の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存され得る。即時調合用注射溶液及び懸濁液は上記した種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から製造され得る。
【0048】
直腸投与用処方物は、カカオ脂またはポリエチレングリコールのような一般的な担体を用いて座剤として提供され得る。
【0049】
口腔に、例えば頬側または舌下に局所投与するための処方物には、スクロース及びアカシアまたはトラガカントのような着香基材中に活性成分を含む口内錠、及びゼラチン、グリセリン、スクロースやアカシアのような基材中に活性成分を含むトローチが含まれる。
【0050】
好ましい1回服用量投与処方物は、本明細書中に下記する有効用量またはその適切な分割量の活性成分を含むものである。
【0051】
本発明の処方物は特に上記した成分に加えて当該処方物の種類を考慮して当業界で慣用されている他の物質を含み得る。例えば、経口投与に適した処方物はフレーバーを含み得る。
【0052】
本発明化合物は経口的または注射(静脈内または皮下)により投与され得る。患者に投与される化合物の正確な量は担当医の裁量である。しかしながら、使用用量は、患者の年齢や性別、治療対象の正確な疾患及びその重篤度を含めた複数の要因に依存する。また、投与ルートは病状及びその重篤度に依存して変更し得る。
【0053】
本発明化合物は管腔直径拡大量で経口的または注射により投与され得る。ヒトに対する用量範囲は通常0.005mg〜10g/日である。ばらばらの単位で提供される錠剤または他の剤形がその量またはその量の倍数で有効な量の本発明化合物を含むことが好都合であり、例えば5〜500mg、通常約10〜200mg/単位を含有する。
【0054】
本発明化合物はカテーテルまたはステントを介して、例えば管腔内ステントを用いて投与され得る。ステントは通常血管形成術の一部として使用されているが、管腔内ステントは身体管腔開口を維持またはコントロールするために使用され得る。本発明化合物は単独で、または治療上活性な化合物を制御放出し得る組成物の一部として使用され得る。本発明化合物をステント上に被覆してもよく、またはステントの一部を構成してもよい。本発明化合物を活性化合物の放出を制限するように層状としてもよく、米国特許出願第20010029660号明細書及び同第20010032014号明細書に記載されているような同業界で公知の方法で使用され得る。
【0055】
動物、特に哺乳動物、より具体的にはヒト、ウマ、イヌ及びウシは、医薬的に許容され得る担体または希釈剤中に含まれる有効量の1つ以上の上記した化合物、またはその医薬的に許容され得るプロドラッグまたは塩を患者に投与することにより本明細書に記載されている状態に対して治療され得る。適当なルートは活性成分を例えば経口的、非経口的、静脈内、皮内、皮下または局所に投与するために使用され得る。
【0056】
活性化合物は、治療対象の患者において重大な毒性作用を引き起こすことなく治療有効量を患者に対してデリバリーするのに十分な量で医薬的に許容され得る担体または希釈剤中に配合される。上記したすべての状態に対する活性化合物の好ましい用量は約0.1〜500mg/kg、好ましくは1〜100mg/kgの範囲である。医薬的に許容され得るプロドラッグの有効用量範囲はデリバリーされる親化合物の重量に基づいて計算され得る。誘導体それ自体が活性を示すならば、有効用量は上記したように誘導体の重量を用いて、または当業界で公知の他の手段により推定され得る。
【0057】
全身投与する場合、化合物を適当な1回服用量剤形で投与することが好都合である。例えば、1回服用量剤形あたり1〜3000mg、好ましくは5〜500mgの活性成分を含むが、これに限定されない。25〜250mgの経口用量が通常好都合である。活性成分は、活性化合物のピーク血漿濃度が約0.1〜100mM、好ましくは約1〜10mMとなるように投与されるべきである。これは、例えば活性成分を場合により食塩液または水性媒体中に含む溶液または処方物を静脈注射することにより達成され得るか、または活性成分のボーラスとして投与され得る。
【0058】
薬物組成物中の活性化合物の濃度は該薬物の吸収、分布、不活化及び排泄速度、並びに当業界で公知の他の要因に依存する。用量は緩和しようとする状態の重篤度によっても変更されることに留意すべきである。更に、特定の被験者に対して特定の用量レジメは各被験者の要求及び組成物を投与する人またはその投与を監視する人の専門的判断に従って経時的に調節されるべきであること、及び本明細書に記載した濃度範囲は単なる例示であって、本発明の組成物の範囲または実地を限定するものではないことに留意されたい。活性成分を1度に投与しても、または異なる時間間隔で少量ずつ複数回に分けて投与してもよい。
【0059】
経口用組成物は通常不活性希釈剤または食用担体を含む。これらの組成物はゼラチンカプセルに封入してもまたは錠剤に圧縮してもよい。治療用に経口投与するためには、活性化合物を賦形剤と混合され得、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用され得る。医薬的に適合し得る結合剤及び/またはアジュバントも組成物の一部として配合され得る。
【0060】
錠剤、ピル剤、カプセル剤、トローチ剤等は以下の成分または同種の化合物を含有し得る。結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン;賦形剤、例えばスターチまたはラクトース;崩壊剤、例えばアルギン酸、Primogelまたはコーンスターチ;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはSterotes;グリダント、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味料、例えばスクロースまたはサッカリン;またはフレーバー、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー。1回服用量剤形がカプセルの場合には上記した物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含み得る。更に、1回服用量剤形は、その剤形単位の物理的形態を変更する各種の他の材料、例えば糖、シェラックまたは他の腸溶性物質のコーティングを含み得る。
【0061】
活性化合物、またはその医薬的に許容され得る塩または誘導体はエリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハー、チューイングガム等の成分として投与され得る。シロップは活性化合物に加えて甘味料としてスクロースを含有し、保存剤、色素及び着色剤、フレーバーを含有し得る。
【0062】
また、活性化合物、またはその医薬的に許容され得るプロドラッグまたは塩は、所望作用を損なわない他の活性物質または所望作用を補充する物質、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤または抗ウイルス化合物と一緒にも投与され得る。活性化合物は脂質低下剤(例えば、プロブコール及びニコチン酸)、血小板凝集阻害剤(例えば、アスピリン)、抗血栓剤(例えば、クマジン)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、バラパミル、ジルチアゼム及びニフェジピン)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトプリル及びエナラプリル)及びβ−遮断薬(例えば、プロパナロール、テルブタロール及びラベタロール)と一緒に投与され得る。化合物は非ステロイド消炎剤(例えば、イブプロフェン、インドメタシン、アスピリン、フェノプロフェン、メフェナム酸、フルフェナム酸及びスリンダク)と併用され得る。化合物はコルチコステロイドとも一緒に投与され得る。
【0063】
非経口、皮内、皮下または局所投与するために使用される溶液または懸濁液は、滅菌希釈剤、例えば注射用蒸留水、食塩液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩;及び張性調節剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースを含み得る。非経口調製剤はガラス製またはプラスチック製アンプル、使い捨て注射器または多人数用バイアルに収容され得る。
【0064】
局所適用用に適したビヒクルまたは担体は公知であり、その中にはローション、懸濁液、軟膏、クリーム、ジェル、チンキ、スプレー、粉末、ペースト、徐放性経皮パッチ、喘息用スプレー、及び直腸、膣、鼻粘膜または口腔粘膜に適用するための懸濁液が含まれる。
【0065】
局所組成物を調製するために増粘剤、皮膚軟化薬及び安定剤を使用し得る。増粘剤の例にはペトロラタム、密蝋、キサンタンガムまたはポリエチレングリコールが含まれる。保湿剤の例はソルビトールであり、皮膚軟化薬の例は鉱油、ラノリン及びその誘導体、またはスクアレンである。多くの溶液及び軟膏が市販されている。
【0066】
粘膜表面に対する局所効果のために適用される局所処方物の味を改善するために天然または人工フレーバーまたは甘味料を添加し得る。不活性色素または着色剤を添加し得、処方物を口腔粘膜表面に適用するために設計されている場合には特にそうである。
【0067】
活性化合物は、該化合物を迅速放出から保護する担体、例えばインプラントやマイクロカプセル化デリバリーシステムを含めた制御放出性処方物を用いて調製され得る。エチレン/酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ酢酸のような生分解性生適合性ポリマーが使用可能である。多くの前記処方物の調製方法が特許付与されており、これらの方法は通常当業者に公知である。
【0068】
静脈内投与する場合、好ましい担体は生理食塩液またはリン酸緩衝食塩液(PBS)である。
【0069】
活性化合物は経皮パッチを介しても投与され得る。経皮パッチの作成方法は当業者に公知である。例えば、L.Brown及びR.Langer,「薬物の経皮デリバリー(Transdermal Delivery of Drugs)」,Annual Review of Medicine,39:221−229(1988)を参照されたい。
【0070】
別の実施態様で、活性化合物は該化合物の身体からの迅速消失を保護する担体、例えばインプラントやマイクロカプセル化デリバリーシステムを含めた制御放出性処方物を用いて調製される。エチレン/酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ酢酸のような生分解性生適合性ポリマーが使用可能である。多くの前記処方物の調製方法が当業者に自明である。前記材料はAkzo Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から市販されている。リポソーム懸濁液も医薬的に許容され得る担体であり得る。これらは当業者に公知の方法、例えば米国特許第4,522,811号明細書に記載されている方法に従って調製され得る。例えば、リポソーム処方物は、適当な脂質(例えば、ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラキドイルホスファチジルコリン及びコレステロール)を無機溶媒中に溶解し、その後前記溶媒を蒸発させて容器の表面上に乾燥脂質の薄いフィルムを形成することにより調製され得る。その後、活性化合物、またはそのモノホスフェート、ジホスフェート及び/またはトリホスフェート誘導体の水溶液を容器に導入する。次いで、前記容器を手で撹拌して、容器の側面から脂質材料を遊離させ、脂質凝集物を分散させることによりリポソーム懸濁液を形成する。
【0071】
V.併用または交互療法
本発明化合物は所望の治療目標を達成するために他の生物学的に活性な化合物と併用され得る。例えば、用量を調節し、医学的にモニタリングすることにより、本発明化合物と併用したときの各治療用化合物の用量は単独療法で使用したときの治療用化合物の典型的な用量よりも低減されるであろう。用量が低減されると、単独療法と比較して各治療用化合物の副作用が抑えられる等の利点が生ずる。加えて、単独療法に比して併用療法の副作用が少なければ治療レジメを遵守する患者の数が増えるであろう。
【0072】
本発明化合物は、相補的効果または相補的作用モードを有する薬物との併用で使用される。本発明化合物は、増補結果を得るように異なる生物学的経路を介してコレステロールを低下させる薬物と一緒に投与され得る。例えば、回腸胆汁酸スランスポーター(IBAT)阻害剤はしばしばLDLリポタンパク質を低下させるが、HDLリポタンパク質も低下させる。治療のためにIBAT阻害剤と本発明化合物を併用すると、用量を最適に調節したならばLDLは低下するが、HDLは維持乃至上昇する。
【0073】
本発明化合物と併用される化合物には広範囲の治療用化合物が包含される。例えば、IBAT阻害剤は本発明において有用であり、PCT/US95/10863号明細書及びPCT/US97/04076号明細書に記載されている。本発明において有用な別のIBAT阻害剤は米国特許出願第08/816,065号明細書に記載されている。本発明において有用な別のIBAT阻害剤化合物は国際特許出願公開第98/40375号パンフレット及び同第00/38725号パンフレットに記載されている。本発明において有用な別のIBAT阻害剤化合物は米国特許出願第08/816,065号明細書、米国特許第6,263,342号明細書、同第6,420,417号明細書、同第6,387,924号明細書及び同第6,107,494号明細書に記載されている。
【0074】
別の態様で、第2のコレステロール低下剤はスタチンである。HDLc上昇薬物とスタチンの組合せにより、スタチンが別のメカニズムにより、すなわちコレステロール生合成経路の主要酵素である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG CoA)レダクターゼを阻害することによりコレステロールを低下させるので血清コレステロールは相乗的または増補的に低下する。スタチンは肝コレステロール生合成を低下させ、LDL受容体の産生を増加させるので、血漿総及びLDLコレステロールが低下する(S.M.Grundy,New Engl.J.Med.,319:24(1988);A.Endo,J.Lipid Res.,33:1569(1992))。使用する薬物及び用量に応じて、スタチンは血漿トリグリセリドレベルを低下させ、HDLcを上昇させ得る。現在、市販されているスタチンはロバスタチン(Merck)、シンバスタチン(Merck)、プラバスタチン(Sankyo and Squibb)及びフルバスタチン(Sandoz)である。第5のスチタンのアトルバスタチン(Parke−Davis/Pfizer)は最も最近スチタン市場に加わったものである。上記または他のスタチンは本発明化合物を機能的に改善するために併用され得る。
【0075】
好ましいスタチン及びその好ましい用量範囲を以下にリストする。
【0076】
【表1】

【0077】
幾つかの好ましいスタチンの化学式を以下に示す:
ロバスタチン:[1S[1a(R),3α,7β,8β(2S,4S),8aβ]]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−(テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル)エチル]−1−ナフタレニル−2−メチルブタノエート、
プラバスタチンナトリウム:1−ナフタレン−ヘプタン酸1,2,6,7,8a−ヘキサヒドロ−β,δ,6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−(2−エチル−1−オキシブトキシ)−1−モノナトリウム塩[1S−[1α(βs,δS),2α,6α,8β(R),8aα、
シンバスタチン:ブタン酸2,2−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル)エチル]−1−ナフタレニルエステル[1S−[1α,3α,7β,8β,(2S,4S),8aβ、
ナトリウムフルバスタチン:[R,S−(E)]−(+/−)−7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−1H−インドル−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸モノナトリウム塩。
【0078】
他のスタチン及びそれに関する記載を含む文献を以下にリストする。
【0079】
【表2】


【0080】
他のスタチンには、リバスタチン、SDZ−63,370(Sandoz)、CI−981(W−L)、HR−780、L−645,164、CL−274,471、α−,β−及びγ−トコトリエノール、(3R,5S,6E)−9,9−ビス(4−フルオロフェニル)−3,5−ジヒドロキシ−8−(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−6,8−ノナジエン酸L−アルギニン塩、(S)−4−[[2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1−メチルエチル)−6−フェニル−3−ピリジニル]エテニル]−ヒドロキシホスフィニル]−3−ヒドロキシブタン酸ジナトリウム塩、BB−476(British Biotechnology)、ジヒドロコムパクチン、[4R−[4α,6β(E)]]−6−[2−[5−(4−フルオロフェニル)−3−(1−メチルエチル)−1−(2−ピリジニル)−1H−ピラゾル−4−イル]エテニル]テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン、及び1H−ピロール−1−ヘプタン酸2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]カルシウム塩[R−(R,R)]が含まれる。
【0081】
しかしながら、本発明は上記したスタチンに限定されると見做すべきではない。天然スタチンはピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、モナカス・ラバー(Monacus ruber)、ペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・ブレビコンパクタム(Penicillium brevicompactum)及びアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)から単離した真菌代謝物(ML−236B/コンパクチン/モノカリンK)の誘導体である。ただし、上記したように合成することも可能である。スタチン誘導体は文献に記載されており、米国特許第4,397,786号明細書に記載されている方法により製造され得る。他の方法は「ペプチド:第5巻、分析、合成、生物学(The Peptides: Vol.5, Analysis, Synthesis, Biology)」,ニューヨークに所在のAcademic Press(1983年)発行及びBringmannら,Synlett,5:253−255(1990)に記載されている。
【0082】
従って、本明細書中、用語「スタチン」には3−ヒドロキシ−3−メチルグルタル酸(HMG)CoAレダクターゼ上の基質結合部位に対してHMG−CoAと競合することにより3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG CoA)レダクターゼを阻害する天然または合成ペプチドが含まれる。スタチンが生物学的経路を介して作用するかどうかを調べるためのアッセイは米国特許第4,231,938号明細書の第6欄及び国際特許出願公開第84/02131号パンフレットの30〜33頁に記載されている。
【0083】
本発明の組合せ及び方法において有用なMTP阻害剤化合物は各種構造及び機能性を含む。本発明において使用するのに特に興味深いMTP阻害剤化合物の幾つかは国際特許出願公開第00/38725号パンフレット、米国特許第6,458,851号明細書及び同第6,458,850号明細書に記載されている。これらの治療用化合物はScience,282:751−754(1998年10月23日)に記載されている。
【0084】
本発明の組合せ及び方法において有用なコレステロール吸収アンタゴニスト化合物は各種構造及び機能性を含む。本発明において使用するのに特に興味深いコレステロール吸収アンタゴニスト化合物の幾つかは米国特許第5,767,115号明細書に記載されている。本発明において使用するのに特に興味深い別のコレステロール吸収アンタゴニスト化合物及びこれらのコレステロール吸収アンタゴニスト化合物の製造方法は米国特許第5,631,365号明細書に記載されている。
【0085】
本発明の併用療法に適した多数のフィトステロールはLing及びJones,「食物フィトステロール:代謝、効果及び副作用の検討(Dietary Phytosterols: A Review of Metabolosm, Bebefits and Side Effects)」,Life Sciences,57(3):195−206(1995)に記載されている。本発明化合物と特に併用される幾つかのフィトステロールはクロフィブラート、フェノフィブラート、シプロフィブラート、ベザフィブラート及びジェムフィブロジルであるが、これらに限定されない。前記化合物の構造は国際特許出願公開第00/38725号パンフレットに記載されている。
【0086】
フィトステロールは通常Nes(「ステロールの生理学及び生化学(Physilogy and Biochemistry of Sterols)」,American Oil Chemist’s Society,Champaign,III,表7−2(1991))を参照されたい。フィトステロールの中で本発明化合物と併用するのに特に好ましいものは飽和フィトステロール、すなわちスタノールである。別のスタノールは上掲Nesにも記載されており、本発明化合物と併用される。本発明の組合せにおいて、フィトステロールは好ましくはスタノールからなる。1つの好ましい実施態様において、スタノールはカンペスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールはコレスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールはクリオナスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールはコプロスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールは22,23−ジヒドロブラシカスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールはエピコレスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールはフコスタノールである。別の好ましい実施態様において、スタノールはスチグマスタノールである。
【0087】
別の実施態様において、本発明は本発明化合物及び別のHDLc上昇剤の治療用組合せを包含する。1つの態様で、第2のHDLc上昇剤はCETP阻害剤であり得る。本発明において有用なCETP阻害剤化合物は別に国際特許出願公開第00/38725号パンフレットに記載されている。本発明において有用な他のCETP阻害剤化合物は別に国際特許出願公開第99/14174号パンフレット、欧州特許出願公開第818448号明細書、国際特許出願公開第99/15504号パンフレット、同第99/14215号パンフレット、同第98/04528号パンフレット、同第00/17166号パンフレット、米国特許第6,462,091号明細書、同第6,458,852号明細書、同第6,458,850号明細書、同第6,458,803号明細書及び同第6,458,849号明細書に記載されている。本発明において有用な他のCETP阻害剤化合物は別に国際特許出願公開第00/18724号パンフレット、同第00/18723号パンフレット及び同第00/18721号パンフレットに記載されている。本発明において有用な他のCETP阻害剤化合物は別に国際特許出願公開第98/35937号パンフレットに記載されている。本発明化合物と併用するのに適した特定のCETP阻害剤は「新しいコレステリルエステルトランスファータンパク質阻害剤の発見(The Discovery of New Cholesteryl Ester Transfer Protein Inhibitors)」,Sikorskiら,Curr.Opin.Drug Disc.& Dev.,4(5):602−613(2001)に記載されている。
【0088】
別の態様で、第2のHDLc上昇剤はフィブル酸誘導体であり得る。本発明の組合せ及び方法において有用なフィブル酸誘導体は各種の構造及び機能性を含む。本発明の特定のフィブル酸誘導体を表3に示す。表3の治療用化合物は本発明において酸、塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、双イオン及び互変異性体形態を含めた各種形態で使用され得る。
【0089】
【表3】

【0090】
別の実施態様において、本発明は本発明化合物と抗高血圧薬の治療用組合せを包含する。高血圧は常に高い血圧として定義される。通常、成人は収縮期血圧が常に140mmHg以上であるかまたは拡張期血圧が90mmHg以上であるときに高血圧として分類される。心血管死亡率に対する長期間リスクは持続性血圧と直接関連して上昇する(E.Braunwald,「心疾患(Heart Disease)」,第5版,p.807−823,フィラデルフィアに所在のW.B.Saunders & Co.(1997年)発行)。血圧は心拍出量及び血管系の末梢抵抗の関数であり、以下の式で表され得る:
BP=CO×PR
ここで、BPは血圧であり、COは心拍出量であり、PRは末梢抵抗である(同上,p.816)。末梢抵抗に影響を与える要因には肥満及び/または機能収縮が含まれる。心拍出量に影響を与える要因には静脈収縮が含まれる。血管の機能収縮は、血管の内径を狭くする血管壁の肥厚を含めた各種要因により引き起こされ得る。収縮期血圧に影響を与える別の要因は大動脈の硬性である(同上,p.811)。
【0091】
患者はしばしば高血圧とアテローム性動脈硬化症または他の高脂血症状態の両方を患っている。アテローム性動脈硬化症のようなある高脂血症状態は高血圧症に直接または間接的に影響を及ぼす恐れがある。例えば、アテローム性動脈硬化症によりしばしば血管の内径が狭くなる。更に、アテローム性動脈硬化症により大動脈を含めた血管の硬性が増すことも多い。血管内径の縮小及び血管の硬性は高血圧に関与する因子である。
【0092】
心筋梗塞は酸素奪取の結果生ずる心筋細胞の壊死であり、通常病組織への血液供給の妨害により引き起こされる。例えば、高脂血症または高コレステロール血症によりアテローム斑が形成される恐れがあり、これにより血流が塞がれ、心筋梗塞が引き起こされ得る(同上,p.1185−1187)。心筋梗塞に対する別の重大なリスク因子は高血圧である(同上,p.815)。換言すると、高血圧及び高脂血症状態(例えば、アテローム性動脈硬化症または高コレステロール血症)を合併すると心筋梗塞が発症する。
【0093】
冠性心疾患は、高脂血症状態及び高血圧を含めた複数の要因により発症または増悪する別の疾患である。高脂血症状態及び高血圧のコントロールは冠性心疾患の症状及び進行を抑えるのに重要である。
【0094】
狭心症は心臓への血液供給が低下したために生ずる急性胸痛である。心臓への少ない血液供給は心筋虚血として公知である。狭心症は、例えば大動脈の狭窄、肺動脈弁狭窄及び心室肥大の結果であり得る。幾つかの抗高血圧薬、例えばアムロジピンは末梢抵抗を減ずることにより狭心症をコントロールする。
【0095】
本発明において有用な幾つかの抗高血圧薬を非限定的に表4に示す。各種化学構造が本発明の組合せにおいて抗高血圧薬として有用であり、前記薬物は各種メカニズムにより作用し得る。有用な抗高血圧薬の例には、非限定的にアドレナリン遮断薬、混合α/β−アドレナリン遮断薬、α−アドレナリン遮断薬、β−アドレナリン遮断薬、アドレナリン作動薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、利尿剤または血管拡張剤が含まれ得る。本発明において有用な別の抗高血圧薬はR.Scottの米国特許出願第60/057,276号明細書(国際特許出願公開第99/11260号パンフレットの優先権書類)に記載されている。
【0096】
【表4】



【0097】
本発明化合物と併用される別のカルシウムチャネル遮断薬には表5に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
【表5】


【0099】
本発明化合物と併用される別のACE阻害剤には表6に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
【表6】

【0101】
本発明化合物と併用される別のβ−アドレナリン遮断薬には表7に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
【表7】


【0103】
本発明化合物と併用される別のα−アドレナリン遮断薬には表8に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
【表8】

【0105】
本発明化合物と併用される別のアンギオテンシンII受容体アンタゴニストには表9に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
【表9】

【0107】
本発明化合物と併用される別の血管拡張剤には表10に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
【表10】




【0109】
本発明化合物と併用される別の利尿剤には表11に示すものが含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
【表11】



【実施例1】
【0111】
化合物Aは、望ましくないQT延長の副作用を呈することなくプロブコールと同等の強い抗酸化作用を有する親油性血管保護剤である。場合によりステントを設置した経皮的冠動脈介入(PCI)前2週間及びPCIから4週間投与したときに化合物Aが血管内超音波(IVUS)で評価して再狭窄を改善するかを調べるために研究を実施した。以下の5治療群で、複数の医療機関にまたがったプラセボをコントロールとする二重盲検無作為試験を実施した:
1:プラセボ、
2:500mgのプロブコールを1日2回、
3:70mgの化合物Aを1日1回、
4:140mgの化合物Aを1日1回、
5:280mgの化合物Aを1日1回。
ベースライン特性を決定するために、糖尿病、高血圧、喫煙、アンギナクラス、過去のMI、CABG、PCI及び病的血管の数/患者を含めた50項目を評価した。標的血管の分布を含めて5つの治療群間でベースラインに違いはなく、全ての群で類似であった。
【0112】
上記した治療をPCI前2週間及びPCI後4週間施した。PCIは1以上の先天動脈、1以上の50%以上のデノボ病巣で実施した。全てのPCI処置(場合によりステント設置)及びPCI後管理は認められている現在の臨床プラクティスに従って実施した。血管造影毎に0.3mgのニトログリセリン(Ntg)心臓内(IC)を投与した。PCI前、PCIから10分後及び最終追跡時(約6ヶ月目)に量的冠動脈血管造影法(QCA)を実施した。
【0113】
IVUS検査を3.5フランスCVISカテーテルを用いて30MHzで実施した。IVUS検査の前にIC Ntg(3mg)を投与した。実験結果を図1〜6に示す。
【0114】
化合物A及びプロブコールはPCI後再狭窄を改善することが判明した。プロブコールとは対照的に、化合物AはQTc間隔を延長させることなく基準セグメントの管腔直径を驚くほど改善させた。化合物Aで長期間治療すると再狭窄を防止することは明らかであるが、より重要なことは化合物Aでの治療が狭い管腔直径により特徴づけられるアテローム性動脈硬化症を含めた心血管疾患を逆転または予防することである。
【実施例2】
【0115】
表Aは化合物Aとプロブコールの前臨床効果の比較を示す。抗酸化活性は本質的に等しいが、化合物Aはたとえ低濃度であってもVCAM−1及びMCP−1遺伝子発現の非常に活性な阻害剤であるのに対して、プロブコールはたとえ高濃度であっても不活性であることが判明した。化合物Aは消炎剤として常に非常に有効であるが、プロブコールの活性はかなり変動している。
【0116】
【表12】

【0117】
化合物の合成方法
本発明で使用される化合物は、米国特許第6,147,250号明細書及び同第6,323,359号明細書に記載されている方法を用いて当業者により製造され得る。特に、化合物Aのブタンジオン酸モノ[4−[[1−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]チオ]−1−メチルエチル]チオ]2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステルは以下の手順を用いて製造され得る。
【0118】
適当な大きさのガラス反応容器に窒素をパージし、そこに20〜25℃において無水(0.01%水)テトラヒドロフラン(THF)(375ml)を導入する。THF溶液を撹拌しながら、そこにカリウムブトキシド(KOtBu)(23.44g,199ミリモル,2.14当量)を添加する。生じた曇った溶液に99%純度のプロブコール(48.5g,93ミリモル,1.0当量)を3回にわけて等量ずつ添加する。橙黄色溶液を45分間撹拌する。約35℃から約22℃への温度低下が観察される。この溶液に無水コハク酸(SSA)(32.9g,326ミリモル,3.5当量)を約90秒間を要して添加する。溶液の色はまず褐色となり、その後深青色となる。温度は約25℃となる。この時点で反応混合物をHPLCにより分析したところ、ジスクシニルプロブコール(DSP):モノスクシニルプロブコール(MSP):プロブコール(PRO)は3:10:7である。12〜14% 水酸化ナトリウムで2回洗浄後、溶液を減圧下45℃において元の容量の約25%に濃縮する。生じたスラリーをヘプタン(110ml)で希釈し、減圧下で2回濃縮する。最終スラリーは材料の約150mlである。このスラリーをヘプタン(400ml)で希釈し、撹拌しながら0〜5℃に冷却し、真空濾過する。残渣をヘプタン(250ml)で希釈し、ウェットケーキにtert−ブチルメチルエーテル(MBTE)(65ml)を撹拌しながら添加する。生じたスラリーを濾過し、残渣をMBTE(23ml)で洗浄し、濾液を塩化ナトリウム(2.5g)を含有する1.3N 塩酸(40ml)で洗浄する。溶液を40℃においてMBTE(約200ml)を添加して共沸乾燥させる。生じた残渣をヘプタン(200ml)で希釈し、70℃に加温し、MSP(15mg)を接種する。接種した溶液を5℃に約18時間を要して冷却後、冷スラリーを濾過し、ヘプタン(100ml)で洗浄し、乾燥すると、オフホワイト色の固体MSP(23.2g,40.1ミリモル%,98.7AP)が生じる。遊離プロブコールを含む濾液を約350mlまで濃縮することにより処理し、1N HCl(40ml)で洗浄し、更に減圧下75℃において約80mlに濃縮させる。溶液を接種し、約0〜5℃に冷却し、この温度を一晩保持する。濾過し、残渣をヘプタンで洗浄し、乾燥すると、白色結晶性プロブコール(10.33g,21.3モル%,99.91AP)が生じる。母液から更にプロブコール(6.1g,12.6モル%,99.91AP)が生じる。
【0119】
本発明を多くの実施態様に関連して説明してきたが、本発明は別の実施態様も可能であり、本明細書に記載した詳細事項は本発明の基本的原理を逸脱することなくかなり変更し得ることは当業者に自明である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】プラセボ、プロブコール(500mgを1日2回)及び化合物A(プロブコールのモノコハク酸エステル)(70、140及び280mgを1日1回)のQT間隔を比較した棒グラフである。
【図2】経皮的冠動脈介入(PCI)の前後に血管内超音波(IVUS)で評価した最小管腔面積の棒グラフである。
【図3】追跡時に評価した最小管腔面積の棒グラフである。
【図4】量的冠動脈血管造影(QCA)処置失敗及びイン−ステント再狭窄を示す棒グラフである。
【図5】非PCI部位の基準セグメント管腔容積を示す。
【図6】非PCI部位の管腔容積を増加させるという化合物Aの驚くべき結果を示すプラセボ、プロブコール及び化合物Aの管腔容積変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の予防方法。
【請求項2】
前記化合物が
【化2】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項3】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。
【請求項4】
式:
【化3】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の逆転方法。
【請求項5】
前記化合物が
【化4】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第4項に記載の方法。
【請求項6】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第4項または第5項に記載の方法。
【請求項7】
式:
【化5】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行の予防方法。
【請求項8】
前記化合物が
【化6】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第7項に記載の方法。
【請求項9】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第7項または第8項に記載の方法。
【請求項10】
相補的効果を与える他の治療薬を交互にまたは併用して、式:
【化7】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に対して投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の予防方法。
【請求項11】
前記化合物が
【化8】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第10項に記載の方法。
【請求項12】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第10項または第11項に記載の方法。
【請求項13】
相補的効果を与える他の治療薬を交互にまたは併用して、式:
【化9】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に対して投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の逆転方法。
【請求項14】
前記化合物が
【化10】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第13項に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第13項または第14項に記載の方法。
【請求項16】
相補的効果を与える他の治療薬を交互にまたは併用して、式:
【化11】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に対して投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行の予防方法。
【請求項17】
前記化合物が
【化12】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第16項に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第16項または第17項に記載の方法。
【請求項19】
前記治療薬がプロブコールである請求の範囲第10項〜第18項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記治療薬がスタチンである請求の範囲第10項〜第18項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記治療薬がIBAT阻害剤である請求の範囲第10項〜第18項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
哺乳動物において管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を予防するための治療用薬剤の製造における式:
【化13】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項23】
前記化合物が
【化14】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第22項に記載の使用。
【請求項24】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第22項または第23項に記載の使用。
【請求項25】
哺乳動物において管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を逆転させるための治療用薬剤の製造における式:
【化15】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項26】
前記化合物が
【化16】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第25項に記載の使用。
【請求項27】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第25項または第26項に記載の使用。
【請求項28】
哺乳動物において管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行を予防するための治療用薬剤の製造における式:
【化17】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項29】
前記化合物が
【化18】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第28項に記載の使用。
【請求項30】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第28項または第29項に記載の使用。
【請求項31】
管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を予防するための治療用薬剤の製造における哺乳動物に対して相補的効果を与える他の治療薬と交互にまたは併用される式:
【化19】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項32】
前記化合物が
【化20】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第31項に記載の使用。
【請求項33】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第31項または第32項に記載の使用。
【請求項34】
管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を逆転させるための治療用薬剤の製造における哺乳動物に対して相補的効果を与える他の治療薬と交互にまたは併用される式:
【化21】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項35】
前記化合物が
【化22】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第31項に記載の使用。
【請求項36】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第34項または第35項に記載の使用。
【請求項37】
管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行を予防するための治療用薬剤の製造における哺乳動物に対して相補的効果を与える他の治療薬と交互にまたは併用される式:
【化23】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項38】
前記化合物が
【化24】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第37項に記載の使用。
【請求項39】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第37項または第38項に記載の使用。
【請求項40】
前記治療薬がプロブコールである請求の範囲第22項〜第39項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記治療薬がスタチンである請求の範囲第22項〜第39項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記治療薬がIBAT阻害剤である請求の範囲第22項〜第39項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
式:
【化25】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む治療を要する哺乳動物の管腔直径の拡大方法。
【請求項44】
冠動脈血管の管腔直径を拡大させるための薬剤の製造における式:
【化26】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグの使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の予防方法。
【請求項2】
前記化合物が
【化2】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項3】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。
【請求項4】
式:
【化3】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の逆転方法。
【請求項5】
前記化合物が
【化4】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第4項に記載の方法。
【請求項6】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第4項または第5項に記載の方法。
【請求項7】
式:
【化5】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行の予防方法。
【請求項8】
前記化合物が
【化6】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第7項に記載の方法。
【請求項9】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第7項または第8項に記載の方法。
【請求項10】
相補的効果を与える他の治療薬を交互にまたは併用して、式:
【化7】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に対して投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の予防方法。
【請求項11】
前記化合物が
【化8】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第10項に記載の方法。
【請求項12】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第10項または第11項に記載の方法。
【請求項13】
相補的効果を与える他の治療薬を交互にまたは併用して、式:
【化9】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に対して投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の逆転方法。
【請求項14】
前記化合物が
【化10】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第13項に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第13項または第14項に記載の方法。
【請求項16】
相補的効果を与える他の治療薬を交互にまたは併用して、式:
【化11】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に対して投与することを含む管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行の予防方法。
【請求項17】
前記化合物が
【化12】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第16項に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第16項または第17項に記載の方法。
【請求項19】
前記治療薬がプロブコールである請求の範囲第10項〜第18項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記治療薬がスタチンである請求の範囲第10項〜第18項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記治療薬がIBAT阻害剤である請求の範囲第10項〜第18項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
哺乳動物において管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を予防するための治療用薬剤の製造における式:
【化13】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項23】
前記化合物が
【化14】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第22項に記載の使用。
【請求項24】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第22項または第23項に記載の使用。
【請求項25】
哺乳動物において管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を逆転させるための治療用薬剤の製造における式:
【化15】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項26】
前記化合物が
【化16】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第25項に記載の使用。
【請求項27】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第25項または第26項に記載の使用。
【請求項28】
哺乳動物において管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行を予防するための治療用薬剤の製造における式:
【化17】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項29】
前記化合物が
【化18】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第28項に記載の使用。
【請求項30】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第28項または第29項に記載の使用。
【請求項31】
管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を予防するための治療用薬剤の製造における哺乳動物に対して相補的効果を与える他の治療薬と交互にまたは併用される式:
【化19】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項32】
前記化合物が
【化20】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第31項に記載の使用。
【請求項33】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第31項または第32項に記載の使用。
【請求項34】
管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患を逆転させるための治療用薬剤の製造における哺乳動物に対して相補的効果を与える他の治療薬と交互にまたは併用される式:
【化21】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項35】
前記化合物が
【化22】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第31項に記載の使用。
【請求項36】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第34項または第35項に記載の使用。
【請求項37】
管腔直径の縮小により特徴づけられる心血管疾患の進行を予防するための治療用薬剤の製造における哺乳動物に対して相補的効果を与える他の治療薬と交互にまたは併用される式:
【化23】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項38】
前記化合物が
【化24】

を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである請求の範囲第37項に記載の使用。
【請求項39】
前記哺乳動物がヒトである請求の範囲第37項または第38項に記載の使用。
【請求項40】
前記治療薬がプロブコールである請求の範囲第22項〜第39項のいずれか1項に記載の使用
【請求項41】
前記治療薬がスタチンである請求の範囲第22項〜第39項のいずれか1項に記載の使用
【請求項42】
前記治療薬がIBAT阻害剤である請求の範囲第22項〜第39項のいずれか1項に記載の使用
【請求項43】
式:
【化25】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む治療を要する哺乳動物の管腔直径の拡大方法。
【請求項44】
冠動脈血管の管腔直径を拡大させるための薬剤の製造における式:
【化26】

(式中、xは1、2、3または4から選択される)
を有する化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−506314(P2006−506314A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−541450(P2003−541450)
【出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2002/037274
【国際公開番号】WO2003/039352
【国際公開日】平成15年5月15日(2003.5.15)
【出願人】(501185903)アセロジエニクス・インコーポレイテツド (8)
【Fターム(参考)】