説明

患者の前立腺に関係するパラメータを求める方法および装置

【課題】患者の前立腺に関係するパラメータの検出を行なうことができるようにする。
【解決手段】患者(2)の前立腺に関係するパラメータを求める方法において、統合された診断支援システムが次のステップを実行する。スクリーニング法(8)に基づいて前立腺疾病に関する第1のリスク特性値(12)が求められ、第1のリスク特性値(12)が第1の限界値(14)を上回る場合に、患者(2)の医用画像を供給する方法(16)に基づいて前立腺疾病に関する少なくとも1つの第2のリスク特性値(18)およびそれの場所が求められる。統合されたレポートシステムがパラメータとしてリスク特性値(12,18)の少なくとも1つおよび/または場所を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の前立腺に関係するパラメータを求める方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者のとりわけ複雑な疾病をできるだけ適確かつ適時に治療をすることが今日における医学の目標である。このために病気の存在および類型をできるだけ早期にかつ正確に認識することが不可欠である。これは、特に、男性における最高頻度の癌種である前立腺癌を含む男性の種々の前立腺疾病に当てはまる。
【0003】
前立腺疾病の場合には、一方では、治療機会を高めると同時に後続治療のコストを低減するために、潜在的に危険にさらされている(例えば高齢の)できるだけ多数の人において、早期診断および鑑別診断が行なわれるべきである。他方では、今日の普通のやり方によれば、前立腺疾病の診断は多段階で時間のかかるプロセスである。
【0004】
図3は、前立腺診断における今日の典型的なやり方を、時間tを介する経過ダイアグラムにて示す。まず、診療所304への患者302の最初の訪問300a時に、患者から血液試料306が採取される。PSA値308、すなわち前立腺特異抗原濃度の決定のために、血液試料306が中央実験室310に送られて評価され、結果が診療所304における医師312に通知される。PSA値308は、もちろん限られた特異性を有する前立腺疾病のための指標である。このプロセスは、少なくとも1日にわたり、幾日かにまたがることもしばしばある。
【0005】
この最初の検査、すなわち訪問300aが、開業医師において行なわれて疑いを示した場合に、患者30は病院314を紹介される。その際に前述の手順にしたがって上記のPSA値308が確認のために一般にもう一度、再び中央実験室によって求められる。
【0006】
PSA検査の結果が、前立腺疾病の疑いが正しいことを証明した場合に、患者302が病院314へ2回目目の訪問300cに来させられる。今回はTRUS検査(経直腸超音波検査)316のためである。この際には患者302の前立腺318において局所的に疑いを裏付ける根拠が探し求められる。多くの場合に、TRUS検査316はもちろん最初の訪問300bの際にも行なわれる。
【0007】
PSAまたはTRUS診断結果が病気の疑いを実証した場合に、患者302は生検320の実施のために2回目または3回目の訪問300dに来させられる。生検針321が患者302内における場合によってはあり得る病巣(例えば炎症または腫瘍)に命中することも保証され得ないことから、このような生検320は時として一度だけでなく何度も行なわれなければならない。
【0008】
生検320のための新たな試みは、病巣に狙いを定めて生検針321を案内するために、いわゆる誘導式生検、すなわち同時の造影剤投与324をともなう超音波画像化装置322を使用する。これは患者302にとって肉体的かつ精神的な負担を低減する。なぜならば一般に唯一の生検320のみを行なえばよいからである。
【0009】
したがって、全体として、図3に描写された標準手順は一般に何週間にもわたっていて、幾つもの診察もしくは訪問300a−dが行なわれなければならない。
【0010】
公知の方法により、患者からパラメータが採集または収集される。パラメータは、例えば実験室値、超音波画像またX線透視画像、あるいはその他の診断値である。これらのパラメータは患者の前立腺の状態を表わし、したがって患者の前立腺疾病に関係がある。換言するならば、このようなパラメータが医師のためのデータベースを成し、医師は、これに基づいてデータの個人的評価によって、前立腺疾病を除外すべく、またはまさしく前立腺疾病の種類および深刻さに応じた診断をすべく、患者のために診断を下す。
【0011】
統合されたミニ実験室分析ユニットを有する医療検査ユニットは公知である(例えば、特許文献1参照)。とりわけ救急処置室、集中治療室、手術室等において使用可能なユニットが、少なくとも、緊急患者の生命機能の監視のためのおよび/または救急医による応急処置のための超音波装置、患者モニタ装置、心電図装置、人工呼吸器および/または蘇生装置を含んでいる。この検査ユニットに基づいて、多数の医療上の検査を統合することができ、すなわち中断のない作業経過を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007026910号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、患者の前立腺に関係する前述のパラメータの検出を行なうことができる改善された方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
方法に関する課題は、次のステップを有する患者の前立腺に関係する少なくとも1つのパラメータを求める方法によって解決される。ステップは、装置、すなわち統合された診断支援システムによって統合された作業手順で行なわれる。先ず、患者においてスクリーニング法に基づいて前立腺疾病の存在に関する第1のリスク特性値が求められる。換言するならば、スクリーニング検査の結果として、もしくは第1のリスク特性値として、前立腺疾病の存在に関する大まかなリスク、つまり体の広い範囲に及んで測定されるリスクが求められる。スクリーニングにおいて、例えば確立されたPSAレベルを、それから導き出された特性も一緒に測定することができる。高い感度および特異性を有するマーカーパネル、すなわち複数のマーカーを同時に使用することもできる。
【0015】
第1のリスク特性値が第1の限界値を上回る場合に、患者において、患者の医用画像、例えば超音波画像または透視画像を供給する方法に基づいて、前立腺疾病の存在に関する第2のリスク特性値および前立腺疾病の推定される場所が求められる。
【0016】
したがって、この方法ステップにおいては、第1の非侵襲の方法により大まかなリスクの存在時に(そしてその場合にのみ)、例えば超音波のような画像化方法を使用して、第2のリスク特性値として、特別な患者において病気存在に関して局所的に測定されたリスクが示される。画像化方法は、場合によっては、特有でないまたは病気特有の生体内マーカー、例えば造影剤と組み合わされて行なわれる。更に、画像化方法によって作成された医用画像は、後の診断ステップにおいて、患者において予想される病気の種類、例えば前立腺炎もしくは前立腺癌の存在に関する詳しい情報を医師にもたらす。
【0017】
少なくとも1つのステップが実行された後に、統合されたレポートシステムが、パラメータとして、これまでの方法経過において求められたもしくは既に使用できる少なくとも1つの値もしくはデータ、すなわち複数のリスク特性値のうちの少なくとも1つのリスク特性値および/または場所を出力する。換言するならば、医師には、統合されたレポートシステムの様式に応じて、最終診断を明快に支援するように、あらゆる検査、所見およびリスク評価が示される。したがって、医師によってもたらされる結果の品質標準が保証される。更に、方法経過が適切な医療上のガイドライン状況に応じて行なわれることが保証される。
【0018】
このような統合されたレポートの表示は、例えばユーザインターフェースを介して行なわれる。レポートは診療上の経過をまとめた要約書である。医療上のガイドラインにしたがって品質保証されたやり方で現在の診断関係もしくは治療関係のデータ、画像、分析、所見およびリスク状況が表示される。
【0019】
本発明は、適切な分析方法および診断方法を開業医によっても実施可能な統合されたやり方で提供するという認識に基づいている。パラメータ収集の経過、従ってそれに引き続く前立腺疾病の診断が、医師によって促進され、(コスト的に)効率化される。それによって、本発明による方法は、選別されるべき潜在的に危険にさらされている幅広い多数の人において実施可能である。
【0020】
換言するならば、本発明による方法は、前立腺疾病の診断法および場合によって行なわれる治療法もしくはテラノスティクス(治療的診断法)を用意するための統合された解決策を開示する。全ての方法ステップは、方法ステップを第一に即座に、第二にその都度現場で、例えば何もかも一診療所または一開業医において行なうことができるように提供される。
【0021】
したがって、本発明による方法の主たる特徴は、構成要素もしくは個別ステップを識別して適確に組み合わて、医師、例えば泌尿器科医を最適に支援する作業手順を構成することにある。
【0022】
本発明による方法は泌尿器科医のために最適化された作業手順を提供する。それによって、泌尿器科医は成果の品質を確保し、患者の健康扶助を高め、不要な診断プロセスの節減によって診断コストを低減することができる。
【0023】
本発明による方法もしくは対応する装置はモジュール構成可能であり、個別の病院もしくは診療所の要求に適合させることができる。
【0024】
本発明による方法は現状に比べて診断準備の大きな時間節約を提供する。患者における不愉快さおよび精神的負担が減少する。本方法は、新しいガイドラインに柔軟に適合し、効率的に最適化することができ、すなわちその都度新たなかつ改善されたプロセス部分による既存のプロセスモジュールの置き換えによってそのようなことが可能となる。純粋な診断法の、例えば治療準備への拡張が、例えば高密度焦点式超音波(HIFU)のような局所的治療支援の統合化された計画または連結によって可能である。
【0025】
本発明による方法の有利な変形では付加的に次のステップが実行される。第1の限界値についての前述の条件に加えてなおも、第2のリスク特性値が第2の限界値を上回る場合に、患者において侵襲性の方法に基づいて前立腺疾病の場所で組織状態、すなわち局所的な病気状態が求められる。レポートシステムによって、その際に任意選択的に組織状態も出力されるとよい。
【0026】
したがって、この方法ステップにおいては、大まかな局所的リスクが存在する場合にのみ第2の侵襲性の方法が実施される。これは患者におけるパラメータを獲得することを可能にし、これらのパラメータは、後で医師による診断時に、組織状態および患者の病気の種類および深刻さに関する最終的な解明を得ることを可能にする。
【0027】
有利な実施態様においてはスクリーニング法がインビトロ検査を加えることによって行なわれる。この検査は更に現場でミニ実験室分析ユニットにおいて行なわれる。
【0028】
他の実施態様では、第1のリスク特性値がITベースの意思決定支援システムを用いて求められる。
【0029】
本発明による方法の代替的な実施態様では、第2のリスク値が前立腺特有の変化に基づいて求められる。これらの変化は作成された医用画像から得られる。
【0030】
本発明による方法の変形においては、例えばソフトウェアの形での評価システムが再び第2のリスク特性値を算定する。この特性値の場所的な分布、つまり局所的なリスク分布は例えばリスクマップの形で求めることができる。
【0031】
評価ソフトウェアは、例えば超音波検査結果の評価を行なうとよい。このソフトウェアは、例えば造影剤強調超音波画像から、病変組織、例えば癌組織の存在に関する局所的な確率分布を求めることができる。この分布はリスクマップと呼ばれる。
【0032】
侵襲性の方法を実施する際に、有利な実施態様では、画像化方法の結果が、場合によってはリスクマップと重ね合わせられて特に正確なやり方で、例えば侵襲性の方法の実施時における生検針の標的誘導に利用されるとよい。
【0033】
本発明による方法において、第1および第2のリスク特性値の算定が知識管理システムに基づいて行なわれると有利である。知識管理システムは、例えば統合された医療上の患者データバンクおよびウェブポータルからなり、ウェブポータルを介して前立腺テラノスティクスに関連した追加情報をコンテクストセンシティブに呼び出すことができる。
【0034】
本発明による方法の有利な実施態様においては、ローカル(局所)またはセントラル(中央)に案内される統合された医療データバンクが使用される。データバンクにおけるデータサイトが、方法経過における意思決定支援、すなわち限界値の高さを最適化することを可能にする。更に、データバンクは品質保証のために使用可能である。
【0035】
したがって、特定の実施態様において本発明による方法は、定量的な、したがって再現可能なリスク確率の算定を可能にする知識発見および知識管理システムによるソフトウェア支援を提供する。
【0036】
装置に関する課題は、患者の前立腺に関係する少なくとも1つのパラメータを求める装置によって解決される。本装置は、中核において、例えば種々の構成要素を有するワークステーションを含む。本装置は、ワークステーションに接続されているミニ実験室分析ユニット、例えばラボオンチップの形でのPSAレベルもしくは合成血清マーカーの測定のためのインビトロ診断ユニットを含む。したがって、ミニ実験室分析ユニットは、患者におけるスクリーニング検査を実施するために用いられる。更に、本装置は、スクリーニングデータを評価するための少なくとも1つのインテリジェント意思決定支援システムを含む。この場合に、多くの患者に関するデータから、例えばデータ発掘および知識発見によって習得された特性を有するベイジアンネットワークが使用されるとよい。したがって、意思決定支援システムは、スクリーニング検査に基づいて前立腺疾病の存在に関する第1のリスク特性値を求めるために用いられる。
【0037】
本発明による装置は、患者の医用画像を作成するための画像化システム、すなわちイメージング装置への第1のインターフェースを含む。ここでは、例えばMR検査に比べてフレキシブルに使用可能な超音波装置が使用されるとよい。
【0038】
本発明による装置にはなおも、前立腺疾病の存在に関する少なくとも1つの第2のリスク特性値およびそれの推定される場所を医用画像から求めるための評価システムと、複数のリスク特性値のうちの1つのリスク特性値および/または場所である少なくとも1つのパラメータを出力するためのユーザインターフェースを有するレポートシステムとが付属する。
【0039】
したがって、本発明による装置は相当数のインターフェースを持つ。これは装置のモジュール構成、したがって高フレキシブル構成を支援する。
【0040】
本発明による装置およびそれの利点のそのほかは既に本発明による方法と関連して説明した。このような装置は、例えば「前立腺ステーション」と呼ばれ、例えば前立腺癌の診断のために使用することができる統合された解決手段である。
【0041】
有利な実施態様では、本発明による装置はなおも、患者の前記場所における組織状態を供給する侵襲性の前立腺検査システムへの第2のインターフェースを含んでいる。レポートシステムによって任意選択的に組織状態も出力することができる。
【0042】
既述のように、本発明による装置が、前立腺疾病に関係するパラメータを供給する知識管理システムへのインターフェースを含むとよい。
【0043】
同様に既述のように、知識管理システムが、医療上の患者データベースおよびインターネットへのインターフェースを含むとよい。この関連において意思決定支援システムは、データベース内容ならびに新しい患者についての新しい患者データに基づいて、大まかなリスク、すなわち第1のリスク特性値を確率の形で算定するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明による前立腺患者におけるパラメータ検出の経過を示す概略図である。
【図2】図2は図1の経過の詳細を示す概略図である。
【図3】図3は従来技術によるパラメータ検出の経過を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の更なる説明のために、図面に概略的な原理図で示す実施例を参照する。
【0046】
図1は、前立腺疾病診断の目的のための患者2における統合化されたデータ採集の時間tに対する経過を一般化された表示で示す。データ採集は、患者が唯一の訪問6をする診療所4において行なわれる。スクリーニング(ふるい分け)検査として先ず患者においてインビトロ(生体外)検査8が行なわれる。意思決定支援システム10が、第1の危険特性値として、患者2が前立腺疾病を有する大まかなリスク12を求める。
【0047】
大まかなリスク12が第1の限界値14を上回った場合に、患者2においてTRUS検査16が行なわれる。これに基づいて、患者2が前立腺疾病を病む局所リスク18が求められる。同時にTRUS検査16を介して統合化された所見レポート20が作成される。
【0048】
局所リスク18が第2の限界値22を上回った場合に、患者2において生検24が行なわれる。
【0049】
図1に示されているステップ全体は、ただちに相次いで診療所4における現場で行なわれるので、方法全体はほんの少しの時間しかかからない。
【0050】
図2は図1の方法の経過を詳細に示す。患者2が体の不調の解明のために診療所4を訪問する。診療所4は、データ収集のための統合された装置として前立腺ステーション30を持つ。先ず、患者において全体的にa)にて示されているスクリーニングが行なわれる。患者2から血液および/または尿試料32が採取され、矢印a1に沿って前立腺ステーション30に属するインビトロ分析ユニット34に供給される。
【0051】
結果として生じる濃度値36が矢印d1に沿ってレポートシステム38に表示のために伝送される。レポートシステムはユーザインターフェース39を持ち、ユーザインターフェースにおいて図示されていない医師が全てのレポート結果を閲覧することができる。この場合に、統合されたレポートに属する全てのプロセスが常にd)により示されている。同時に、濃度値36は、導き出された量40と一緒に矢印a2に沿って入力として、後続接続された意思決定支援システム10に送られる。この意思決定支援システム10は前立腺ステーション30のソフトウェアシステムであり、意思決定支援を行なう。意思決定支援システム10は、矢印a3に沿って自動的に、患者2の他の使用可能なデータ44、つまり、同時にリスク評価のための入力として役立つ例えば年齢、体重、病歴または以前の検査結果のような既往歴データを取り込む。
【0052】
前立腺ステーション30には、超音波装置48に対するインターフェース46が存在する。最終的に、患者2における最初の解明のために患者2の前立腺52の超音波撮影画像50が作成される。これから、例えば前立腺ボリュームまたは病巣の存在のような典型的なコード番号54が求められ、矢印a4に沿って意思決定支援システム10に伝達される。
【0053】
このスクリーニングデータ、例えば濃度値36に基づいて、意思決定支援システム10が大まかなリスク12に関する確率値を算定し、この確率値が矢印d2に沿ってレポートシステム38に表示のために伝達される。
【0054】
矢印b1に沿った大まかなリスクが閾値としての第1の限界値14を上回る場合、もしくは危険症例が存在することを任意選択的に医師が決定した場合には、矢印b2に沿って即座に、超音波装置48による造影剤強調超音波検査で前立腺52における局所的状態の正確な解明が行なわれる。この最初の非侵襲検査が全体的にb)にて示されている。
【0055】
この場合に、例えば前立腺癌、前立腺炎または両方のための分子マーカーを混合された、すなわち分子標識造影剤56が矢印b3に沿って注入される。結果として生じる強調画像58が矢印b4に沿って分析ソフトウェア60に供給される。分析ソフトウェア60は、前立腺ステーション30の一部として、それから局所的リスク18をリスクマップ62の形で求め、これを矢印d3に沿ってレポートシステム38に表示のために伝達する。
【0056】
最後に局所的リスク値18も第2の限界値22を上回るか、もしくは高いリスクが存在することを医師が決定した場合には、矢印c1に沿って、侵襲性の組織採取もしくは生検の形で第2の侵襲性検査c)が行なわれる。このために前立腺ステーション30は侵襲性検査システム65へのインターフェース63を持っている。この場合に、検査システム65において標的を正確に採取するために、矢印c2に沿って、リスクマップ62を使用することによって造影剤強調超音波検査bを利用することができる。
【0057】
リスクマップ62のリアルタイム計算の場合には、とりわけ、1回目の検査bおよびリスクマップ62の作成のために、そして2回目の検査c、すなわち生検の支援のために、同一の超音波検査が用いられるとよい。これは、方法全体の明白な効率向上および患者2のための明白な負担軽減をもたらす。
【0058】
生検結果64も矢印d4に沿ってレポートシステム38に供給される。この生検結果64は、例えば古典的な組織学的検査、例えばグリーソングレードの評価に由来してもよい。しかしながら、このような方法は、必要な準備プロセスのためにリアルタイムで行なうことができない。
【0059】
特別に有利な実施例においては、生検時に検査c)中に得られた組織検体66が同じくインビトロ分析ユニット34に供給され、今や血清マーカーでなくて組織特有の癌マーカーが測定される。これは、例えばRNA、すなわち遺伝子発現、たんぱく質または代謝産物の濃度値である。したがって、分子診断が行なわれる。
【0060】
今や完全なレポートシート68に基づいて本発明による方法の終了後に医師70が患者2に対する最終的な診断を行い、今後の治療過程を決定する。
【0061】
この実施例は図を分かり易くするために診断に集中していることに留意すべきである。しかしながら、一般に前立腺ステーション30の構想は治療の試行もしくは統合された治療の試行に拡張可能である。
【0062】
前立腺ステーション30の代替的な実施形態では、矢印80に沿って、患者群全体の既存のデータサイト82が、先ずは意思決定支援システム10および分析ソフトウェア60の設計のために、そして後ではそれらの改善および最適化のために利用される。データサイト82は、知識管理システム86内に統合された医療データバンク84を含み、医療データバンク84は患者データ88をデータセットの形で含んでいる。データセットは、例えばゲノム、化学的または画像データおよび実験室レポート、検査結果等を含む。更に、知識管理システム86はなおもウェブポータル90を含んでいる。
【0063】
例えば、データ発掘、知識ディスカバリによって、またはマシンによる学習の他の方法によって、本発明による方法からのデータと、データサイト82の患者群を中心に置いた患者データからの所見との間の間接的な関係を抽出して明白にし、今後の患者の改善された分析のために利用することができる。
【0064】
他の実施例では、知識管理システム86が複数の前立腺ステーションユニット30のために中央に置かれているので、大きなかつバランスのとれたデータサイト82が得られる。
【符号の説明】
【0065】
2 患者
4 診療所
6 訪問
8 インビトロ検査
10 意思決定支援システム
12 大まかなリスク
14 第1の限界値
16 TRUS検査
18 局所リスク
20 所見レポート
22 第2の限界値
24 生検
30 前立腺ステーション
32 血液および/または尿試料
34 インビトロ分析ユニット
36 濃度値
38 レポートシステム
40 導き出された量
44 患者の他のデータ
46 インターフェース
48 超音波装置
50 超音波撮影画像
52 前立腺
54 コード番号
56 造影剤
58 強調画像
60 分析ソフトウェア
62 前立腺疾病の場所(リスクマップ)
63 インターフェース
64 組織状態(生検結果)
65 侵襲性検査システム
66 組織検体
68 レポートシート
70 医師
80 矢印
82 データサイト
84 統合された医療データバンク
86 知識管理システム
88 患者データ
90 ウェブポータル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合された診断支援システム(30)によって統合された作業手順で行なわれる次のステップ、
患者(2)においてスクリーニング法(8)に基づいて前立腺疾病の存在に関する第1のリスク特性値(12)が求められるステップ、
第1のリスク特性値(12)が第1の限界値(14)を上回る場合に、患者(2)において患者(2)の医用画像(50)を供給する方法(16)に基づいて前立腺疾病の存在に関する少なくとも1つの第2のリスク特性値(18)およびそれの推定される場所(62)が求められるステップ、
統合されたレポートシステム(38)がパラメータとして複数のリスク特性値(12,18)のうちの少なくとも1つのリスク特性値および/または場所(62)を出力するステップ
を有する患者の前立腺に関係する少なくとも1つのパラメータを求める方法。
【請求項2】
付加的に次のステップが実行される請求項1記載の方法、
付加的に第2のリスク特性値(18)が第2の限界値(22)を上回る場合に、患者(2)において侵襲性の方法(24)に基づいて前立腺疾病の場所(62)で組織状態(64)が求められるステップ、
統合されたレポートシステム(38)がパラメータとして複数のリスク特性値(12,18)のうちの少なくとも1つのリスク特性値および/または場所(62)および/または組織状態(64)を出力するステップ。
【請求項3】
スクリーニング法(8)が現場にあるミニ実験室分析ユニット(34)のもとで行なわれる請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第1のリスク特性値(12)がITベースの意思決定支援システム(10)を使用して求められる請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
第2のリスク特性値(18)が前立腺特有の変化(54)に基づいて求められる請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
第2のリスク特性値(18)として局所的なリスク分布を評価システム(60)が求める請求項1乃至5の1つに記載の方法。
【請求項7】
侵襲性の方法(24)が医用画像(50)を標的案内のために使用する請求項1乃至6の1つに記載の方法。
【請求項8】
第1のリスク特性値(12)および第2のリスク特性値(18)が知識管理システム(86)に基づいて求められる請求項1乃至7の1つに記載の方法。
【請求項9】
患者(2)の前立腺(52)に関係する少なくとも1つのパラメータを求める装置(30)であって、
患者(2)においてスクリーニング検査(8)を行なうためのミニ実験室分析ユニット(34)と、
スクリーニング検査(8)に基づいて前立腺疾病の存在に関する第1のリスク特性値(12)を求めるためのインテリジェント意思決定支援システム(10)と、
患者(2)の医用画像(50)を作成するための画像化システム(48)への第1のインターフェース(46)と、
前立腺疾病の存在に関する少なくとも1つの第2のリスク特性値(18)およびそれの場所(62)を医用画像(50)から求めるための評価システム(60)と、
複数のリスク特性値(12,18)のうちの1つのリスク特性値および/または場所(64)である少なくとも1つのパラメータを出力するためのユーザインターフェース(39)を有するレポートシステム(38)と、
を備えた患者の前立腺に関係する少なくとも1つのパラメータを求める装置。
【請求項10】
患者(2)の場所(62)における組織状態(64)を供給する侵襲性の前立腺検査システム(65)への第2のインターフェース(63)と、
複数のリスク特性値(12,18)のうちの1つのリスク特性値および/または場所(64)および/または組織状態(64)である少なくとも1つのパラメータを出力するためのユーザインターフェース(39)を有するレポートシステム(38)と、
を備えた請求項9記載の装置。
【請求項11】
前立腺疾病に関係するパラメータ(82)を供給する知識管理システム(86)を備えた請求項9又は10記載の装置(30)。
【請求項12】
知識管理システム(86)が医用患者データバンク(4)およびインターネットのためのインターフェース(90)を含む請求項11記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−29659(P2010−29659A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172410(P2009−172410)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】