情報伝送装置
【課題】管理者自身の記憶等の人為的手段に頼ることなく他の情報伝送装置との間の接続関係を常に正確に把握できるようにし、これにより例えばメンテナンスの作業効率及び信頼性の向上を可能にする。
【解決手段】親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meを光ケーブルCab,Cbc,Ccd,Cdeを介して接続したシステムにおいて、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meに接続情報テーブル132をそれぞれ設けている。そして、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meごとに、接続先の他の親局装置との間で通信を行うことで他の親局装置との間の接続関係を表す情報を取得し、この取得された情報を上記各接続情報テーブル132に格納するようにしたものである。
【解決手段】親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meを光ケーブルCab,Cbc,Ccd,Cdeを介して接続したシステムにおいて、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meに接続情報テーブル132をそれぞれ設けている。そして、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meごとに、接続先の他の親局装置との間で通信を行うことで他の親局装置との間の接続関係を表す情報を取得し、この取得された情報を上記各接続情報テーブル132に格納するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数の親局間を伝送路を介して接続して情報の伝送を行う移動通信システムにおいて、上記親局として使用される情報伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にセルラ方式の移動通信システムでは、サービスを提供するエリア内に複数の基地局を分散配置することで複数のセルを形成している。また、地下街やトンネル内等の不感エリアに対しては、上記基地局に接続された親局を介して接続された子局を設置することにより通信可能としている。上記各親局は例えば光伝送路により相互に接続され、そのうちの一つが光伝送路を介して制御局に接続されている。また子局は近接する親局に光伝送路を介して接続されている。
【0003】
ところで、このような移動通信システムにおいて親局や子局等の情報伝送装置のメンテナンスを行う場合には、例えばシステム管理者が各局の設置場所に出向き、メンテナンスツールを局装置に接続することにより局装置の動作チェックや各種設定を行っている。このため、システムが多数の局を備える場合や、局が遠隔地や、山間地或いはトンネル内等の難所に設置されている場合には、システム管理運営上余計な時間やコスト、労力がかかるという問題点があった。
【0004】
そこで、各局を保守用の伝送路により接続し、この保守用伝送路を介して局間で通信を行うことで、各局の状態を遠隔監視および制御するシステムが提案されている。例えば、任意の親局装置に他の各局装置の電源の状態に連動するスイッチを設け、このスイッチの状態から他の各局の電源の状態、つまり電源がオンになっているか否かを確認できるようにしている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−209014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来提案されている装置では、伝送路により接続されている装置の有無および電源の状態については確認できるが、どの局装置が接続されているかを識別することができない。例えば、1台のマスター親局装置Aと2台のスレーブ親局装置B,Cで構成されるシステムにおいて、マスター親局装置Aとスレーブ親局装置Bとがケーブルにより接続され、マスター親局装置Aとスレーブ親局装置Cとがケーブルにより接続されているものとする。このとき、マスター親局装置Aは2台の親局装置が接続されていることは認識できるが、スレーブ親局装置B、およびスレーブ親局装置Cが接続されていることを認識することができない。例えば、スレーブ親局装置Bを新たに追加したスレーブ親局装置Dに置き換えた場合には、現場の事情を知らないシステム管理者はスレーブ親局装置Dが接続されていることを認識することができないため、依然としてスレーブ親局装置Bが接続されていると誤認識してしまうことになる。
【0007】
すなわち、従来の装置では、システム管理者は局間の接続構成を現場の保守員等から口頭で聞き出して自身で記憶しておくか或いはメモを作成する必要があり、またメンテナンス作業を行う場合には管理者自身の記憶やメモに頼らざるを得ないため、メンテナンスの作業効率及び信頼性が低かった。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、管理者自身の記憶等の人為的手段に頼ることなく他の情報伝送装置との間の接続関係を常に正確に把握できるようにし、これにより例えばメンテナンスの作業効率及び信頼性の向上を可能とする情報伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためにこの発明は、複数の情報伝送装置を伝送路を介して選択的に接続し、この伝送路を介して上記複数の情報伝送装置間で情報を伝送するシステムで使用される上記情報伝送装置にあって、接続情報の記憶テーブルを新たに備える。そして、このテーブルに、他の情報伝送装置との間の接続関係を少なくとも情報伝送装置の識別情報を用いて表した接続情報を記憶するようにしたものである。
【0010】
したがってこの発明によれば、情報伝送装置のテーブルに他の情報伝送装置との間の接続関係を表す接続情報が記憶され、しかもこの接続情報は他の情報伝送装置の識別情報を少なくとも含むものとなっている。このため、例えばシステムのメンテナンスを行う場合に、システム管理者は自身の記憶やメモ等に頼ることなく、任意の情報伝送装置のテーブルを参照することにより当該情報伝送装置に接続されている他の情報伝送装置を、常に簡単かつ正確に認識することが可能となる。
【0011】
この発明の関連発明としては次のようなものが考えられる。
第1の関連発明は、複数の情報伝送装置間で、例えば定期的或いは接続構成の変更時に、伝送路を介して接続情報の問い合わせ及びその応答を送受信することで、テーブルに記憶されている接続情報を更新するものである。したがって、テーブルに記憶されている接続情報を自動的に更新することが可能となり、これによりテーブルの接続情報を常に最新のものに保持することができる。
【0012】
第2の関連発明は、メンテナンスツールが接続された場合に、テーブルから接続情報を読み出してメンテナンスツールに表示させる。そして、この接続情報をもとにシステム管理者がメンテナンス対象の装置を指定したのちメンテナンス要求を入力した場合に、メンテナンス対象が自装置であるか否かを判定する。この判定の結果、メンテナンス対象が自装置であれば、メンテナンス要求の内容に応じて自装置の動作履歴の返送或いは動作状態の制御を実行する。一方、メンテナンス対象が他の情報伝送装置であれば、このメンテナンス対象の装置へ上記メンテナンス要求を転送し、当該他の情報伝送装置に対し動作履歴の返送或いは動作状態の制御を実行させるものである。
【0013】
したがってシステム管理者は、システムの何れか一つの情報伝送装置から、伝送路により接続されている他のすべての情報伝送装置に対し遠隔的な監視および制御が可能となる。このため、例えば遠隔地や、山間地及びトンネル等のように難所に設置された情報伝送装置に対し、システム管理者は最寄りの安全な場所に設置された情報伝送装置から遠隔的なメンテナンス処理を行うことが可能となり、これによりメンテナンスに必要な時間、コスト、労力を軽減することができる。
【0014】
また、任意の情報伝送装置において現状のシステムの接続構成を把握できるため、システムの接続構成の変更、つまり伝送路や装置の構成を容易に変更することができ、これにより柔軟で汎用性の高いシステムを提供できる。さらに、現地でシステムの接続構成が変更された場合でも、システム管理者は接続情報テーブルの更新を実行するだけで、現地に赴かなくとも全体のシステム構成を把握することができるため、人為的ミスが減少し、緊急を要する事態にも迅速かつ的確に対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
要するにこの発明によれば、接続情報の記憶テーブルを新たに備え、このテーブルに、他の情報伝送装置との間の接続関係を少なくとも情報伝送装置の識別情報を用いて表した接続情報を記憶するようにしたことによって、管理者自身の記憶等の人為的手段に頼ることなく他の情報伝送装置との間の接続関係を常に正確に把握することができ、これにより例えばメンテナンスの作業効率及び信頼性を向上させることが可能な情報伝送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、情報伝送装置としての親局装置と複数の子局装置とを備える複数のサブシステムを光ケーブルを介して接続したシステムにおいて、上記各親局装置に他のサブシステムとの接続関係を表す情報を格納する接続情報テーブルをそれぞれ設け、かつこれらの接続情報テーブルの記憶情報を親局間で相互通信を行うことで自動作成及び更新するようにしたものである。
【0017】
図1は、この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
このシステムは、図1に示すように、複数のサブシステムSSa,SSb,SScを備えている。各サブシステムSSa,SSb,SScはそれぞれ、親局装置Ma,Mb,Mcと、複数の子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnとを備えている。また各サブシステムSSa,SSb,SScは、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)UMa,UMb,UMc,USLa,USLb,USLcを備えている。
【0018】
親局装置Ma,Mb,Mcは、サブシステムSSa,SSb,SScがカバーすべきサービスエリアに対して無線エリアを形成する。そして無線エリアに位置する図示しない移動局との間で無線通信を行う。子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnは、例えばトンネル内に所定の距離を隔てて設置され、トンネル内に位置する移動局との間で無線通信を行う。親局用の無停電電源装置UMa,UMb,UMcは、それぞれ親局装置Ma,Mb,Mcに対して電源を供給する。子局用の無停電電源装置USLa,USLb,USLcはそれぞれ子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnに対して給電を行う。
【0019】
サブシステムSSa,SSb,SSc間における情報伝送は、これらの親局装置Ma,Mb,Mc間を伝送路で接続することで可能となる。伝送路としては有線伝送路、無線伝送路を問わないが、ここでは例えば光ケーブルCab,Cbcを用いる。このシステムでは、親局装置Maと親局装置Mbとの間が光ケーブルCabを介して接続され、さらに親局装置Mbと親局装置Mcとの間が光ケーブルCbcを介して接続されている。また、親局装置Ma,Mb,Mcは、子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnと光ケーブルCSLa,CSLb,CSLcを介してそれぞれ接続され、親子間通信を可能とする。
【0020】
なお、BMaは図示しない制御局との間で通信を行う無線基地局装置(BTS:Base Transceiver Station)、GMaはシステムリセットなどに利用される地気入出力ポートである。
【0021】
次に、親局装置Ma,Mb,Mcの機能構成について説明する。なお、親局装置Ma,Mb,Mcは基本構成が同一であるため、ここでは親局装置Maを例にとって説明する。図2はその機能構成を示すブロック図である。
【0022】
親局装置Maは、マイクロプロセッサなどの中央処理ユニット(CPU:Central Processor Unit)11を備える。このCPU11には、バス12を介してデータメモリ13とプログラムメモリ14が接続される。さらに親局間通信インターフェース(親局間通信I/F)15と親子通信インターフェース(親子通信I/F)16が接続されている。親局間通信I/F15は、CPU11の制御の下、光ケーブルにより直接接続された他の親局装置Mbとの間で相互にデータの送受信を行う。親子通信I/F16は、CPU11の制御の下、子局装置SLa1〜SLanとの間で光ケーブルCSLaを介して相互にデータの送受信を行う。また無線ユニット17は、CPU11の制御の下、無線エリアに存在する移動局との間で無線通信を行う。BTSI/F18は、親局装置Maと図示しない制御局との間で情報データ及び制御データの送受信を行う。
【0023】
データメモリ13は、記憶媒体として例えばRAM及びハードディスクを使用したもので、自局情報テーブル131と、接続情報テーブル132とを備えている。これらのテーブル構成の一例を図3に示す。
自局情報テーブル131には、親局装置Maの自局情報Aが格納される。自局情報Aは、親局装置Maの局番号“001”及び属性情報“a”とから構成される。局番号は、親局装置を識別するための番号である。属性情報aは、例えば図3に示したように、自局に光ケーブルCSLaを介して接続されている各子局装置SLa1〜SLanの識別番号により構成される。
【0024】
接続情報テーブル132には、親局装置Maに対し光ケーブルCab、Cbcを介して接続されている他の親局装置Mb,Mcの接続先情報B,Cが格納される。接続先情報Bは局番号“002”と属性情報“b”とから構成され、また接続先情報Cは局番号“003”と属性情報“c”とから構成される。属性情報“b”は親局装置Mbに光ケーブルCSLbを介して接続されている各子局装置SLb1〜SLbnの識別番号により構成され、同様に属性情報“c”は親局装置Mcに光ケーブルCSLcを介して接続されている各子局装置SLc1〜SLcnの識別番号により構成される。
【0025】
プログラムメモリ14には、この発明を実現するためのアプリケーション・プログラムとして、接続情報要求プログラム141と、接続情報応答プログラム142が格納されている。
接続情報要求プログラム141は、親局装置Maが保持する接続情報テーブル132の作成及び更新処理を次のように実行する。すなわち、はじめにステップ4aにて、親局装置Maと直接接続される他の親局装置Mbに対して光ケーブルCabを介して接続情報要求を送信する。続いてステップ4bにて、親局装置Maは、親局装置Mbから光ケーブルCabを介して返送される接続情報応答を受信する。接続情報応答は、親局装置Mbの自局情報と接続先情報とを含む。次にステップ4cにて、親局装置Maは親局装置Mbから受信した接続情報応答をもとに接続情報テーブル132の作成及び更新を行う。
【0026】
接続情報応答プログラム142は、親局装置Maにおいて常駐プログラムとして動作するもので、次のような接続情報応答処理を実行する。すなわち、ステップ5aにおいて他の親局装置Mbからの接続情報要求の到来を監視している。この状態で他の親局装置Mbから光ケーブルCabを介して接続情報要求が到来すると、ステップ5bにより自局情報テーブル131及び接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み出し、ステップ5cにて接続情報応答を作成する。そして、ステップ5dにて、親局装置Maはステップ5cにて作成した接続情報応答を要求元の親局装置Mbへ光ケーブルCabを介して返送する。
【0027】
次に、サブシステムSSa,SSb,SSc,SSd,SSeにより構成されたシステムにおける各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の作成および更新手順を説明する。
いま仮に、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meが、図6に示すように接続されているものとする。すなわち、親局装置Maと親局装置Mbとが光ケーブルCabを介して接続されている。また、親局装置Mcと親局装置Mdとが光ケーブルCcdを介して接続され、さらに親局装置Mdと親局装置Meとが光ケーブルCdeを介して接続されている。
【0028】
図7は、図6のシステム構成における各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の作成手順を、また図8は各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの自局情報テーブル131および接続情報テーブル132の状態遷移をそれぞれ示す。なお、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の初期状態は、図8に示すようにすべて空になっている。
【0029】
先ずシーケンス(701)において、親局装置Maは親局装置Mbに対して接続情報要求Sabを送信する。親局装置Mbは、親局装置Maから接続情報要求を受信すると、自局情報テーブル131および接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み込み、接続情報応答R(B, )を作成する。このとき、接続情報応答R(B, )は、親局装置Mbの接続情報テーブル132が初期状態であるため、接続先情報は空である。そして親局装置Mbは、上記作成された接続情報応答R(B, )を要求元の親局装置Maへ送信する。親局装置Maは、親局装置Mbから接続情報応答R(B, )を受信すると、受信された接続情報応答R(B, )に含まれる親局装置Mbの接続先情報Bを自身の接続情報テーブル132に格納する。この結果、親局装置Maの接続情報テーブル132には、図8に示すように親局装置Mbの局番号002と属性情報“b”が追加される。
【0030】
一方、シーケンス(701)において、親局装置Mcは親局装置Mdに対して接続情報要求Scdを送信する。上記接続情報要求Scdを受信すると親局装置Mdは、自局情報テーブル131および接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み込み、接続情報応答R(D, )を作成する。このとき、接続情報応答R(D, )は、親局装置Mdの接続情報テーブル132が初期状態であるため、接続先情報は空である。親局装置Mdは、上記作成された接続情報応答R(D, )を要求元の親局装置Mcへ送信する。親局装置Mcは、親局装置Mdから接続情報応答R(D, )を受信すると、この受信された接続情報応答R(D, )に含まれる親局装置Mdの接続先情報Dを自身の接続情報テーブル132に格納する。この結果、親局装置Mcの接続情報テーブル132には、図8に示すように親局装置Mdの局番号004と属性情報“d”が追加される。
【0031】
続いて、シーケンス(702)では、(701)とは反対に親局装置Mbが親局装置Maに対して接続情報要求Sbaを送信する。親局装置Maは、接続情報要求Sbaを受信すると、接続情報応答R(A,B)を作成して要求元の親局装置Mbに送信する。接続情報応答R(A,B)には、親局装置Maの自局情報Aと、シーケンス(701)で格納された接続先情報Bとが含まれる。親局装置Mbは、親局装置Maから接続情報応答R(A,B)を受信すると、この受信された接続情報応答R(A,B)に含まれる接続先情報A(局番号:001,属性情報:a)を接続情報テーブル132に格納する。
【0032】
またシーケンス(702)では、親局装置Mdが親局装置Mcに対して接続情報要求Sdcを、また親局装置Meに対して接続情報要求Sdeをそれぞれ送信する。そして、親局装置Mcから接続情報応答R(C,D)が、また親局装置Meから接続情報応答R(E, )がそれぞれ返送されると、これらの接続情報応答R(C,D)及び接続情報応答R(E, )に含まれる親局装置Mcの接続先情報C(局番号:003,属性情報:c)及び親局装置Meの接続先情報E(局番号:005,属性情報:e)を接続情報テーブル132にそれぞれ格納する。
【0033】
次に、シーケンス(703)では、再び親局装置Maと親局装置Mbとの間で接続情報要求Sabの送信と接続情報応答R(B,A)の返送が行われるが、このとき親局装置Maの接続情報テーブル132にはすでに接続先情報Bが格納されているので、接続情報テーブル132への追加記憶は行われない。
【0034】
また、親局装置Meは、親局装置Mdに対して接続情報要求Sedを送信する。この接続情報要求Sedを受け親局装置Mdは、親局装置Meに対して接続情報応答R(D,CE)を送信する。親局装置Meは、上記接続情報応答R(D,CE)を受信すると、この受信された接続情報応答R(D,CE)に含まれる接続先情報C(局番号:003,属性情報:c)および接続先情報D(局番号:004,属性情報:d)を接続情報テーブル132に格納する。
【0035】
続いてシーケンス(704)では、上記シーケンス(703)と同様に親局装置Maと親局装置Mbとの間で接続情報要求Sabの送信と接続情報応答R(B,A)の返送が行われるが、この場合も接続情報テーブル132には接続先情報Bが格納されているので、接続情報テーブル132への追加記憶は行われない。一方、親局装置Mcと親局装置Mdとの間でも、再び接続情報要求Scdの送信と接続情報応答R(D,CE)の返送が行われる。しかし、このとき返送された接続情報応答R(D,CE)は更新されているため、親局装置Mcはこの受信された接続情報応答R(D,CE)に含まれる接続先情報E(局番号:005,属性情報:e)を接続情報テーブル132に格納する。
かくして、図6に示すシステム構成における各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の作成が完了する。
【0036】
一方、システムの接続構成が、上記図6に示す構成から図9に示す構成に変更されたとする。すなわち、図6に示す接続構成に加え、さらに親局装置Mbと親局装置Mcとの間が光ケーブルCbcを介して接続される。この場合、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meではそれぞれ次のように各接続情報テーブル132の更新処理が実行される。図10にその更新手順を、また図11に各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの自局情報テーブル131および接続情報テーブル132の状態遷移を示す。
【0037】
すなわち、先ずシーケンス(1101)において、親局装置Mbは親局装置Maに対して接続情報要求Sbaを、また親局装置Mcに対して接続情報要求Sbcをそれぞれ送信する。これに対し親局装置Ma及び親局装置Mcはそれぞれ接続情報応答R(A,B)及び接続情報応答R(C,DE)を返送する。これに対し親局装置Mbは、上記各応答のうち接続情報応答R(A,B)はすでに自身の接続情報テーブル132に記憶されているため、この接続情報応答R(A,B)の追加記憶を行わない。一方親局装置Mcから返送された接続情報応答R(C,DE)は、まだ接続情報テーブル132に記憶されていない。このため親局装置Mbは、上記受信された接続情報応答R(C,DE)に含まれる接続先情報C(局番号:003,属性情報c)、接続先情報D(局番号:004,属性情報d)及び接続先情報E(局番号:005,属性情報e)を自身の接続情報テーブル132に格納する。
【0038】
続いてシーケンス(1102)においては、親局装置Mcが親局装置Mbに対して接続情報要求Scbを、また親局装置Mdに対して接続情報要求Scdをそれぞれ送信する。上記要求Scb,Scdに対し親局装置Mb及び親局装置Mdはそれぞれ、接続情報応答(B,ACDE)及び接続情報応答(D,CE)を返送する。これに対し親局装置Mcは、接続情報応答(B,ACDE)に含まれる各接続情報のうち、すでに記憶されているものを除く接続情報A(局番号:001,属性情報a)及び接続情報B(局番号:002,属性情報b)を接続情報テーブル132に追加記憶する。なお、親局装置Mdから返送された接続情報応答R(D,CE)については、接続情報テーブル132にすでに記憶されているので、追加記憶を行わない。
【0039】
次にシーケンス(1103)においては、親局装置Mdは親局装置Mcに対して接続情報要求Sdcを、また親局装置Meに対して接続情報要求Sdeをそれぞれ送信する。上記要求Sdc,Sdeに対し親局装置Mc及び親局装置Meはそれぞれ、接続情報応答(C,DEAB)及び接続情報応答(E,CD)を返送する。これに対し親局装置Mdは、親局装置Mcから返送された接続情報応答R(C,DEAB)をもとに、まだ記憶されていない接続先情報A(局番号:001,属性情報a)と接続先情報B(局番号:002,属性情報b)を接続情報テーブル132に追加記憶する。なお、親局装置Meから返送された接続情報応答R(E,CD)については記憶済みのため、接続情報テーブル132の更新は行われない。
【0040】
最後にシーケンス(1104)においては、親局装置Maが親局装置Mbに対して接続情報要求Sabを送信する。これに対し親局装置Mbは接続情報応答R(B,ACDE)を返送する。親局装置Maは、上記接続情報応答R(B,ACDE)が受信されると、このうちのまだ記憶されていない接続先情報C(局番号:003,属性情報c)、接続先情報D(局番号:004,属性情報d)及び接続先情報E(局番号:005,属性情報e)を自身の接続情報テーブル132に追加記憶する。また、シーケンス(1104)において親局装置Meは、親局装置Mdに対して接続情報要求Sedを送信する。これに対し親局装置Mdは接続情報応答R(D,CEAB)を返送する。親局装置Meは、上記接続情報応答R(D,CEAB)が受信されると、このうちのまだ記憶されていない接続先情報A(局番号:001,属性情報a)と接続先情報B(局番号:002,属性情報b)を接続情報テーブル132に追加記憶する。
かくして、図9に示すように接続構成が変更されたシステムにおいて、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の更新が完了する。
【0041】
以上述べたように第1の実施形態では、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meを光ケーブルCab,Cbc,Ccd,Cdeを介して接続したシステムにおいて、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meに接続情報テーブル132をそれぞれ設けている。そして、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meごとに、接続先の他の親局装置との間で通信を行うことで他の親局装置との間の接続関係を表す情報を取得し、この取得された情報を上記各接続情報テーブル132に格納するようにしている。
【0042】
したがって、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meにおいて、どの装置が接続されているかを常に正確に把握することができる。このため、例えばシステムのメンテナンスを行う場合に、システム管理者は自身の記憶やメモ等に頼ることなく、接続先の他の親局装置を簡単かつ正確に認識することが可能となる。
【0043】
しかも第1の実施形態では、接続先の親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Me相互間でシステム変更時に通信を行うことで、接続情報テーブル132の記憶情報を更新するようにしている。このため、現地で親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続構成の変更や新たな親局装置の追加が行われた場合でも、これに応じて各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の記憶情報が自動的に更新される。したがってシステム管理者は、接続情報テーブル132により常に最新の接続情報を認識することができる。また現場にしてみれば、親局装置の接続構成をその都度システム管理者に報告することなく随意に変更することが可能となり、これにより柔軟で汎用的の高いシステムを提供できる。
【0044】
なお、以上の説明では、システムの運用開始時とシステム変更時に接続情報の自動作成・更新手順を実行するようにしたが、定期的或いはランダムなタイミングで接続情報の自動作成・更新手順を実行するようにしてもよい。このようにすると、システムの運用開始時やシステム変更時において、システム管理者又は現場の保守員が接続情報の自動作成・更新手順の開始指示を入力する必要がなくなる。または、親局装置にシステムの運用開始及びシステム変更の発生を検出する機能を設ける必要もなくなる。
【0045】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、前記第1の実施形態で述べた各種機能に加え、自装置の動作履歴を記憶するログ情報データベースと、メンテナンスツール応答制御機能とを備える。そして、接続されたメンテナンスツールに対し接続情報テーブルの記憶情報を送信することにより、メンテナンスツールによる監視対象の親局又は子局装置の指定を可能とし、自装置が指定された場合にメンテナンスツールとの間で通信を行うことにより、上記ログ情報データベースに記憶されたログ情報を読み出してメンテナンスツールに送信するようにしたものである。
【0046】
図12は、この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
親局装置Maには、メンテナンスツールMTが接続可能となっている。メンテナンスツールMTは、例えばノート型のパーソナル・コンピュータからなり、システム管理者はこのメンテナンスツールMTを用いてサブシステムSSa,SSb,SScの親局装置Ma,Mb,Mcとの間で遠隔監視または制御を行う。
【0047】
図13は親局装置Maの機能構成を示すブロック図である。なお、同図においても、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。また、親局装置Ma,Mb,Mcは基本構成が同一ため、ここでは親局装置Mb,Mcについての説明は省略する。
【0048】
親局装置Maはシリアル通信I/F19を備える。シリアル通信I/F19は、上記メンテナンスツールMTとの間で通信を行うために使用される。
データメモリ13には、自局情報テーブル131及び接続情報テーブル132に加え、ログ情報データベース133が設けてある。ログ情報データベース133には、例えば図14に示すように親局装置Ma及び当該親局装置Maに接続される各子局装置SLa1〜SLanのログ情報が記憶される。ログ情報とは、親局装置Ma及び各子局装置SLa1〜SLanの動作履歴を蓄積したものである。
【0049】
プログラムメモリ14には、メンテナンスツール応答プログラム143が新たに格納されている。このメンテナンスツール応答プログラム143は、親局装置Maにおいて常駐プログラムとして動作する。メンテナンスツールMTから自局宛ての接続情報要求およびログ情報要求を受信した場合に、メンテナンスツールMTに対して、それぞれ接続情報応答及びログ情報応答を返送する。またメンテナンスツールMTから他局宛ての要求を受信した際には、当該要求を他の親局装置Mb,Mcに転送する機能を有する。同様に他の親局装置Mb,McからメンテナンスツールMTに対する応答を受信した際には、当該応答をメンテナンスツールMTへ転送する。
【0050】
次に、以上のように構成された親局装置Ma,Mb,Mcのメンテナンス応答動作を説明する。図15は、その制御手順と制御内容を示すフローチャートである。なお、ここでは図16に示すように、親局装置Maと親局装置Mbとの間及び親局装置Mbと親局装置Mcとの間がそれぞれ光ケーブルCab,Cbcを介して接続された状態で、親局装置MaにメンテナンスツールMTを接続して各親局装置Ma,Mb,Mcの動作監視制御を行う場合を例にとって説明する。図17にそのシーケンスを示す。
【0051】
まず、メンテナンスツールMTにおいて親局装置Mbのログ情報を取得する手順を説明する。はじめに、メンテナンスツールMTは、システム構成を把握するために、親局装置Maから接続情報を取得する。
すなわち、シーケンス(1701)において、メンテナンスツールMTは、メンテナンスツールMTが直接接続されている親局装置Maに対して接続情報要求S(Ma,接続情報)を送信する。親局装置Maは図15に示すようにステップ15aにおいて要求の到来を監視している。この状態でメンテナンスツールMTからの接続情報要求S(Ma,接続情報)が受信されると、ステップ15bにより上記受信された接続情報要求S(Ma,接続情報)は自局宛て、つまり親局装置Ma宛てであるか他局宛であるかを判定する。そして、自局宛と判定されると、ステップ15cにおいて上記受信された接続情報要求S(Ma,接続情報)の要求内容を判定する。
【0052】
いま、上記接続情報要求S(Ma,接続情報)の要求内容は接続情報の取得要求であるため、親局装置Maはステップ15dに移行して、ここで自局情報テーブル131及び接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み出す。そして、ステップ15eにて接続情報応答R(Ma,接続情報)を作成し、この作成された接続情報応答R(Ma,接続情報)をステップ15eにより要求元のメンテナンスツールMTに対し送信する。
【0053】
以上のシーケンス(1701)を実行することにより、メンテナンスツールMTの表示画面上には上記システムの接続構成が表示される。したがってシステム管理者は、光ケーブルCab,Cbcを介して接続されている親局装置Ma,Mb,Mcの接続構成と、これらの親局装置Ma,Mb,Mcにそれぞれ接続された子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnの接続構成を把握することができる。
【0054】
さて、この状態でシステム管理者が、親局装置Mbのログ情報を取得するべく、メンテナンスツールMTにおいて親局装置Mbを監視対象として指定した上でログ情報の取得要求を入力したとする。
そうするとメンテナンスツールMTは、シーケンス(1701)にて取得した接続情報をもとに、シーケンス(1702)にて親局装置Mbに対してログ情報要求S(Mb,ログ情報)を送信する。メンテナンスツールMTと直接接続されている親局装置Maは、ステップ15aにおいて、ログ情報要求S(Mb,ログ情報)を受信する。しかし、受信されたログ情報要求S(Mb,ログ情報)は自局宛てでないため、ステップ15jにより当該ログ情報要求S(Mb,ログ情報)を親局装置Mbへ転送する。
【0055】
親局装置Mbは、ステップ15aにてログ情報要求S(Mb,ログ情報)を受信すると、ステップ15b及びステップ15cにてそれぞれ自局宛てであるか否かと要求内容を判定する。この判定の結果、自局宛のログ情報取得要求であることが確認されると、ステップ15gに移行してここでログ情報データベース133よりログ情報を読み出し、ステップ15hによりログ情報応答R(Mb,ログ情報)を作成する。そして、この作成されたログ情報応答R(Mb,ログ情報)をステップ15iにて要求元のメンテナンスツールMTへ送信する。このログ情報応答R(Mb,ログ情報)は、親局装置Maにおいてステップ15aにより受信されるが、ステップ15bにて自局宛てでないと判断されるため、ステップ15jによりメンテナンスツールMTへ転送される。
【0056】
メンテナンスツールMTでは、上記親局装置Mbから親局装置Maを介して転送されたログ情報応答R(Mb,ログ情報)が記憶部に記憶されると共に、表示器に表示される。かくして、親局装置Mbのログ情報が取得される。すなわち、シーケンス(1701)とシーケンス(1702)を組み合わせて実行することにより、メンテナンスツールMTを親局装置Mbに対し直接ケーブルで接続することなく、親局装置Maを介して親局装置Mbのログ情報を取得することができる。また、システム管理者は、記憶やメモを頼りにすることなくシステムの接続関係を把握して、これにより短時間にかつ誤ることなく所望の親局装置及び子局装置のログ情報を取得することができる。
【0057】
また、システム管理者が、親局装置Mcのログ情報を取得するべく、シーケンス(1703)により親局装置Maから接続情報を取得したのち、親局装置Mcを監視対象として指定した上でログ情報の取得要求を入力したとする。
そうするとメンテナンスツールMTは、シーケンス(1703)で取得した接続情報をもとに、シーケンス(1704)にて親局装置Mcに対してログ情報要求S(Mc,ログ情報)を送信する。メンテナンスツールMTと直接接続されている親局装置Maはステップ15aにおいて、ログ情報要求S(Mc,ログ情報)を受信する。しかし、ステップ15bにて、ログ情報要求S(Mc,ログ情報)は自局宛てでないと判断されるため、ステップ15jにて親局装置Maはログ情報要求S(Mc,ログ情報)を親局装置Mcに対して転送する。親局装置Mbは、ステップ15aにてログ情報要求S(Mc,ログ情報)を受信するが、親局装置Maと同様にステップ15bによりログ情報要求S(Mc,ログ情報)が自局宛てでないと判断し、ステップ15jにて上記受信されたログ情報要求S(Mc,ログ情報)を親局装置Mcに対して転送する。
【0058】
親局装置Mcは、ステップ15aにてログ情報要求S(Mc,ログ情報)を受信すると、ステップ15b及びステップ15cにてそれぞれ自局宛てであるか否かと要求内容を判定する。この判定の結果、自局宛のログ情報取得要求であることが確認されると、ステップ15gに移行してここでログ情報データベース133よりログ情報を読み出し、ステップ15hによりログ情報応答R(Mc,ログ情報)を作成する。そして、この作成されたログ情報応答R(Mc,ログ情報)をステップ15iにて要求元のメンテナンスツールMTへ送信する。このログ情報応答R(Mb,ログ情報)は、親局装置Mb及び親局装置Maを介してメンテナンスツールMTへ転送される。
【0059】
メンテナンスツールMTでは、上記親局装置Mcから親局装置Mb及びMaを介して転送されたログ情報応答R(Mc,ログ情報)が記憶部に記憶されると共に、表示器に表示される。かくして、親局装置Mcのログ情報が取得される。すなわち、シーケンス(1703)とシーケンス(1704)を組み合わせて実行することにより、メンテナンスツールMTを親局装置Mcに対し直接ケーブルで接続することなく、親局装置Mb及びMaを介して親局装置Mcのログ情報を取得することができる。
【0060】
したがって、第2の実施形態によれば、監視制御対象の親局装置Mb,Mcが遠隔地に設置されていた場合でも、最寄りの親局装置MaにメンテナンスツールMTを接続して当該親局装置Maからシステムの接続情報を取得し、この接続情報をもとに任意の監視対象を指定してログ情報を要求することにより、親局装置Mb,Mc及びその子局装置SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnの遠隔監視及び制御が可能となる。すなわち、システム管理者は、複数の親局装置と子局装置とにより構成されるシステムのメンテナンスを行う場合に、その内の1台の親局装置にメンテナンスツールMTを接続するだけで、伝送路により接続されているすべての親局装置と子局装置の遠隔監視及び制御が可能となる。よって、システム管理者は、遠隔地に設置された装置の設置場所まで出向く必要がなくなる。このため、時間や経費の削減のつながり、緊急を要する事態にも迅速かつ的確に対応することが可能となる。
【0061】
なお、この発明は、前記各実施形態に限定されるものではない。例えば、装置の機能構成、接続形態や台数、伝送路の種類、装置において実行される制御手順および内容、また記憶されるデータ構成および内容についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0062】
また、第2の実施形態ではメンテナンスツールMTによる監視制御の一例としてログ情報の取得を挙げたが、その他にもシステムを構成する情報伝送装置に対して、例えば装置の動作条件を指定するパラメータの設定やデバイスドライバなどのプログラムの更新などにも利用できる。
【0063】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムの第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示した情報伝送装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示したデータメモリに記憶されるテーブルの構成の一例を示すブロック図。
【図4】図2に示した情報伝送装置において実行される接続情報要求手順とその内容を示すフローチャート。
【図5】図2に示した情報伝送装置において実行される接続情報応答手順とその内容を示すフローチャート。
【図6】図2に示した情報伝送装置を複数台接続して構成されるシステムの概略構成図。
【図7】図6に示したシステムにおける各情報伝送装置の接続情報テーブルの作成手順を示すシーケンス図。
【図8】図7に示したシーケンスによる各情報伝送装置の接続情報テーブルの状態遷移を示す図。
【図9】図6に示したシステムにおいて情報伝送装置の接続構成を変更したシステムの概略構成図。
【図10】図9のシステム構成における各情報伝送装置の接続情報テーブルの更新手順を示すシーケンス図。
【図11】図10のシーケンスによる各親局装置の接続情報テーブルの状態遷移を示す図。
【図12】この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムにメンテナンスツールを接続した第2の実施形態を示す概略構成図。
【図13】図12に示した情報伝送装置の機能構成を示すブロック図。
【図14】図13に示したデータメモリに記憶されるテーブル構成の一例を示すブロック図。
【図15】図13に示した情報伝送装置において実行されるメンテナンスツール応答手順と内容の一例を示すフローチャート。
【図16】複数の情報伝送装置とメンテナンスツールとを備えたシステムの概略構成図。
【図17】図16のシステム構成におけるメンテナンスツールによる監視制御手順を示すシーケンス図。
【符号の説明】
【0065】
SSa、SSb、SSc…サブシステム、Ma、Mb、Mc…親局装置、SLa1〜SLan、SLb1〜SLbn、SLc1〜SLcn…子局装置、Cab、Cbc…親局間光ケーブル、CSLa、CSLb、CSLc…親子通信光ケーブル、UMa、UMb、UMc…親局用の無停電電源装置(UPS)、USLa、USLb、USLc…子局用の無停電電源装置(UPS)、BMa…BTS、GMa…地気入出力ポート、MT…メンテナンスツール、11…CPU、12…バス、13…データメモリ、14…プログラムメモリ、15…親局間通信I/F、16…親子通信I/F、17…無線ユニット、18…BTS I/F、131…自局情報テーブル、132…接続情報テーブル、133…ログ情報データベース、141…接続情報要求プログラム、142…接続情報応答プログラム、143…メンテナンスツール応答プログラム。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数の親局間を伝送路を介して接続して情報の伝送を行う移動通信システムにおいて、上記親局として使用される情報伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にセルラ方式の移動通信システムでは、サービスを提供するエリア内に複数の基地局を分散配置することで複数のセルを形成している。また、地下街やトンネル内等の不感エリアに対しては、上記基地局に接続された親局を介して接続された子局を設置することにより通信可能としている。上記各親局は例えば光伝送路により相互に接続され、そのうちの一つが光伝送路を介して制御局に接続されている。また子局は近接する親局に光伝送路を介して接続されている。
【0003】
ところで、このような移動通信システムにおいて親局や子局等の情報伝送装置のメンテナンスを行う場合には、例えばシステム管理者が各局の設置場所に出向き、メンテナンスツールを局装置に接続することにより局装置の動作チェックや各種設定を行っている。このため、システムが多数の局を備える場合や、局が遠隔地や、山間地或いはトンネル内等の難所に設置されている場合には、システム管理運営上余計な時間やコスト、労力がかかるという問題点があった。
【0004】
そこで、各局を保守用の伝送路により接続し、この保守用伝送路を介して局間で通信を行うことで、各局の状態を遠隔監視および制御するシステムが提案されている。例えば、任意の親局装置に他の各局装置の電源の状態に連動するスイッチを設け、このスイッチの状態から他の各局の電源の状態、つまり電源がオンになっているか否かを確認できるようにしている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−209014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来提案されている装置では、伝送路により接続されている装置の有無および電源の状態については確認できるが、どの局装置が接続されているかを識別することができない。例えば、1台のマスター親局装置Aと2台のスレーブ親局装置B,Cで構成されるシステムにおいて、マスター親局装置Aとスレーブ親局装置Bとがケーブルにより接続され、マスター親局装置Aとスレーブ親局装置Cとがケーブルにより接続されているものとする。このとき、マスター親局装置Aは2台の親局装置が接続されていることは認識できるが、スレーブ親局装置B、およびスレーブ親局装置Cが接続されていることを認識することができない。例えば、スレーブ親局装置Bを新たに追加したスレーブ親局装置Dに置き換えた場合には、現場の事情を知らないシステム管理者はスレーブ親局装置Dが接続されていることを認識することができないため、依然としてスレーブ親局装置Bが接続されていると誤認識してしまうことになる。
【0007】
すなわち、従来の装置では、システム管理者は局間の接続構成を現場の保守員等から口頭で聞き出して自身で記憶しておくか或いはメモを作成する必要があり、またメンテナンス作業を行う場合には管理者自身の記憶やメモに頼らざるを得ないため、メンテナンスの作業効率及び信頼性が低かった。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、管理者自身の記憶等の人為的手段に頼ることなく他の情報伝送装置との間の接続関係を常に正確に把握できるようにし、これにより例えばメンテナンスの作業効率及び信頼性の向上を可能とする情報伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためにこの発明は、複数の情報伝送装置を伝送路を介して選択的に接続し、この伝送路を介して上記複数の情報伝送装置間で情報を伝送するシステムで使用される上記情報伝送装置にあって、接続情報の記憶テーブルを新たに備える。そして、このテーブルに、他の情報伝送装置との間の接続関係を少なくとも情報伝送装置の識別情報を用いて表した接続情報を記憶するようにしたものである。
【0010】
したがってこの発明によれば、情報伝送装置のテーブルに他の情報伝送装置との間の接続関係を表す接続情報が記憶され、しかもこの接続情報は他の情報伝送装置の識別情報を少なくとも含むものとなっている。このため、例えばシステムのメンテナンスを行う場合に、システム管理者は自身の記憶やメモ等に頼ることなく、任意の情報伝送装置のテーブルを参照することにより当該情報伝送装置に接続されている他の情報伝送装置を、常に簡単かつ正確に認識することが可能となる。
【0011】
この発明の関連発明としては次のようなものが考えられる。
第1の関連発明は、複数の情報伝送装置間で、例えば定期的或いは接続構成の変更時に、伝送路を介して接続情報の問い合わせ及びその応答を送受信することで、テーブルに記憶されている接続情報を更新するものである。したがって、テーブルに記憶されている接続情報を自動的に更新することが可能となり、これによりテーブルの接続情報を常に最新のものに保持することができる。
【0012】
第2の関連発明は、メンテナンスツールが接続された場合に、テーブルから接続情報を読み出してメンテナンスツールに表示させる。そして、この接続情報をもとにシステム管理者がメンテナンス対象の装置を指定したのちメンテナンス要求を入力した場合に、メンテナンス対象が自装置であるか否かを判定する。この判定の結果、メンテナンス対象が自装置であれば、メンテナンス要求の内容に応じて自装置の動作履歴の返送或いは動作状態の制御を実行する。一方、メンテナンス対象が他の情報伝送装置であれば、このメンテナンス対象の装置へ上記メンテナンス要求を転送し、当該他の情報伝送装置に対し動作履歴の返送或いは動作状態の制御を実行させるものである。
【0013】
したがってシステム管理者は、システムの何れか一つの情報伝送装置から、伝送路により接続されている他のすべての情報伝送装置に対し遠隔的な監視および制御が可能となる。このため、例えば遠隔地や、山間地及びトンネル等のように難所に設置された情報伝送装置に対し、システム管理者は最寄りの安全な場所に設置された情報伝送装置から遠隔的なメンテナンス処理を行うことが可能となり、これによりメンテナンスに必要な時間、コスト、労力を軽減することができる。
【0014】
また、任意の情報伝送装置において現状のシステムの接続構成を把握できるため、システムの接続構成の変更、つまり伝送路や装置の構成を容易に変更することができ、これにより柔軟で汎用性の高いシステムを提供できる。さらに、現地でシステムの接続構成が変更された場合でも、システム管理者は接続情報テーブルの更新を実行するだけで、現地に赴かなくとも全体のシステム構成を把握することができるため、人為的ミスが減少し、緊急を要する事態にも迅速かつ的確に対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
要するにこの発明によれば、接続情報の記憶テーブルを新たに備え、このテーブルに、他の情報伝送装置との間の接続関係を少なくとも情報伝送装置の識別情報を用いて表した接続情報を記憶するようにしたことによって、管理者自身の記憶等の人為的手段に頼ることなく他の情報伝送装置との間の接続関係を常に正確に把握することができ、これにより例えばメンテナンスの作業効率及び信頼性を向上させることが可能な情報伝送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、情報伝送装置としての親局装置と複数の子局装置とを備える複数のサブシステムを光ケーブルを介して接続したシステムにおいて、上記各親局装置に他のサブシステムとの接続関係を表す情報を格納する接続情報テーブルをそれぞれ設け、かつこれらの接続情報テーブルの記憶情報を親局間で相互通信を行うことで自動作成及び更新するようにしたものである。
【0017】
図1は、この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
このシステムは、図1に示すように、複数のサブシステムSSa,SSb,SScを備えている。各サブシステムSSa,SSb,SScはそれぞれ、親局装置Ma,Mb,Mcと、複数の子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnとを備えている。また各サブシステムSSa,SSb,SScは、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)UMa,UMb,UMc,USLa,USLb,USLcを備えている。
【0018】
親局装置Ma,Mb,Mcは、サブシステムSSa,SSb,SScがカバーすべきサービスエリアに対して無線エリアを形成する。そして無線エリアに位置する図示しない移動局との間で無線通信を行う。子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnは、例えばトンネル内に所定の距離を隔てて設置され、トンネル内に位置する移動局との間で無線通信を行う。親局用の無停電電源装置UMa,UMb,UMcは、それぞれ親局装置Ma,Mb,Mcに対して電源を供給する。子局用の無停電電源装置USLa,USLb,USLcはそれぞれ子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnに対して給電を行う。
【0019】
サブシステムSSa,SSb,SSc間における情報伝送は、これらの親局装置Ma,Mb,Mc間を伝送路で接続することで可能となる。伝送路としては有線伝送路、無線伝送路を問わないが、ここでは例えば光ケーブルCab,Cbcを用いる。このシステムでは、親局装置Maと親局装置Mbとの間が光ケーブルCabを介して接続され、さらに親局装置Mbと親局装置Mcとの間が光ケーブルCbcを介して接続されている。また、親局装置Ma,Mb,Mcは、子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnと光ケーブルCSLa,CSLb,CSLcを介してそれぞれ接続され、親子間通信を可能とする。
【0020】
なお、BMaは図示しない制御局との間で通信を行う無線基地局装置(BTS:Base Transceiver Station)、GMaはシステムリセットなどに利用される地気入出力ポートである。
【0021】
次に、親局装置Ma,Mb,Mcの機能構成について説明する。なお、親局装置Ma,Mb,Mcは基本構成が同一であるため、ここでは親局装置Maを例にとって説明する。図2はその機能構成を示すブロック図である。
【0022】
親局装置Maは、マイクロプロセッサなどの中央処理ユニット(CPU:Central Processor Unit)11を備える。このCPU11には、バス12を介してデータメモリ13とプログラムメモリ14が接続される。さらに親局間通信インターフェース(親局間通信I/F)15と親子通信インターフェース(親子通信I/F)16が接続されている。親局間通信I/F15は、CPU11の制御の下、光ケーブルにより直接接続された他の親局装置Mbとの間で相互にデータの送受信を行う。親子通信I/F16は、CPU11の制御の下、子局装置SLa1〜SLanとの間で光ケーブルCSLaを介して相互にデータの送受信を行う。また無線ユニット17は、CPU11の制御の下、無線エリアに存在する移動局との間で無線通信を行う。BTSI/F18は、親局装置Maと図示しない制御局との間で情報データ及び制御データの送受信を行う。
【0023】
データメモリ13は、記憶媒体として例えばRAM及びハードディスクを使用したもので、自局情報テーブル131と、接続情報テーブル132とを備えている。これらのテーブル構成の一例を図3に示す。
自局情報テーブル131には、親局装置Maの自局情報Aが格納される。自局情報Aは、親局装置Maの局番号“001”及び属性情報“a”とから構成される。局番号は、親局装置を識別するための番号である。属性情報aは、例えば図3に示したように、自局に光ケーブルCSLaを介して接続されている各子局装置SLa1〜SLanの識別番号により構成される。
【0024】
接続情報テーブル132には、親局装置Maに対し光ケーブルCab、Cbcを介して接続されている他の親局装置Mb,Mcの接続先情報B,Cが格納される。接続先情報Bは局番号“002”と属性情報“b”とから構成され、また接続先情報Cは局番号“003”と属性情報“c”とから構成される。属性情報“b”は親局装置Mbに光ケーブルCSLbを介して接続されている各子局装置SLb1〜SLbnの識別番号により構成され、同様に属性情報“c”は親局装置Mcに光ケーブルCSLcを介して接続されている各子局装置SLc1〜SLcnの識別番号により構成される。
【0025】
プログラムメモリ14には、この発明を実現するためのアプリケーション・プログラムとして、接続情報要求プログラム141と、接続情報応答プログラム142が格納されている。
接続情報要求プログラム141は、親局装置Maが保持する接続情報テーブル132の作成及び更新処理を次のように実行する。すなわち、はじめにステップ4aにて、親局装置Maと直接接続される他の親局装置Mbに対して光ケーブルCabを介して接続情報要求を送信する。続いてステップ4bにて、親局装置Maは、親局装置Mbから光ケーブルCabを介して返送される接続情報応答を受信する。接続情報応答は、親局装置Mbの自局情報と接続先情報とを含む。次にステップ4cにて、親局装置Maは親局装置Mbから受信した接続情報応答をもとに接続情報テーブル132の作成及び更新を行う。
【0026】
接続情報応答プログラム142は、親局装置Maにおいて常駐プログラムとして動作するもので、次のような接続情報応答処理を実行する。すなわち、ステップ5aにおいて他の親局装置Mbからの接続情報要求の到来を監視している。この状態で他の親局装置Mbから光ケーブルCabを介して接続情報要求が到来すると、ステップ5bにより自局情報テーブル131及び接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み出し、ステップ5cにて接続情報応答を作成する。そして、ステップ5dにて、親局装置Maはステップ5cにて作成した接続情報応答を要求元の親局装置Mbへ光ケーブルCabを介して返送する。
【0027】
次に、サブシステムSSa,SSb,SSc,SSd,SSeにより構成されたシステムにおける各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の作成および更新手順を説明する。
いま仮に、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meが、図6に示すように接続されているものとする。すなわち、親局装置Maと親局装置Mbとが光ケーブルCabを介して接続されている。また、親局装置Mcと親局装置Mdとが光ケーブルCcdを介して接続され、さらに親局装置Mdと親局装置Meとが光ケーブルCdeを介して接続されている。
【0028】
図7は、図6のシステム構成における各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の作成手順を、また図8は各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの自局情報テーブル131および接続情報テーブル132の状態遷移をそれぞれ示す。なお、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の初期状態は、図8に示すようにすべて空になっている。
【0029】
先ずシーケンス(701)において、親局装置Maは親局装置Mbに対して接続情報要求Sabを送信する。親局装置Mbは、親局装置Maから接続情報要求を受信すると、自局情報テーブル131および接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み込み、接続情報応答R(B, )を作成する。このとき、接続情報応答R(B, )は、親局装置Mbの接続情報テーブル132が初期状態であるため、接続先情報は空である。そして親局装置Mbは、上記作成された接続情報応答R(B, )を要求元の親局装置Maへ送信する。親局装置Maは、親局装置Mbから接続情報応答R(B, )を受信すると、受信された接続情報応答R(B, )に含まれる親局装置Mbの接続先情報Bを自身の接続情報テーブル132に格納する。この結果、親局装置Maの接続情報テーブル132には、図8に示すように親局装置Mbの局番号002と属性情報“b”が追加される。
【0030】
一方、シーケンス(701)において、親局装置Mcは親局装置Mdに対して接続情報要求Scdを送信する。上記接続情報要求Scdを受信すると親局装置Mdは、自局情報テーブル131および接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み込み、接続情報応答R(D, )を作成する。このとき、接続情報応答R(D, )は、親局装置Mdの接続情報テーブル132が初期状態であるため、接続先情報は空である。親局装置Mdは、上記作成された接続情報応答R(D, )を要求元の親局装置Mcへ送信する。親局装置Mcは、親局装置Mdから接続情報応答R(D, )を受信すると、この受信された接続情報応答R(D, )に含まれる親局装置Mdの接続先情報Dを自身の接続情報テーブル132に格納する。この結果、親局装置Mcの接続情報テーブル132には、図8に示すように親局装置Mdの局番号004と属性情報“d”が追加される。
【0031】
続いて、シーケンス(702)では、(701)とは反対に親局装置Mbが親局装置Maに対して接続情報要求Sbaを送信する。親局装置Maは、接続情報要求Sbaを受信すると、接続情報応答R(A,B)を作成して要求元の親局装置Mbに送信する。接続情報応答R(A,B)には、親局装置Maの自局情報Aと、シーケンス(701)で格納された接続先情報Bとが含まれる。親局装置Mbは、親局装置Maから接続情報応答R(A,B)を受信すると、この受信された接続情報応答R(A,B)に含まれる接続先情報A(局番号:001,属性情報:a)を接続情報テーブル132に格納する。
【0032】
またシーケンス(702)では、親局装置Mdが親局装置Mcに対して接続情報要求Sdcを、また親局装置Meに対して接続情報要求Sdeをそれぞれ送信する。そして、親局装置Mcから接続情報応答R(C,D)が、また親局装置Meから接続情報応答R(E, )がそれぞれ返送されると、これらの接続情報応答R(C,D)及び接続情報応答R(E, )に含まれる親局装置Mcの接続先情報C(局番号:003,属性情報:c)及び親局装置Meの接続先情報E(局番号:005,属性情報:e)を接続情報テーブル132にそれぞれ格納する。
【0033】
次に、シーケンス(703)では、再び親局装置Maと親局装置Mbとの間で接続情報要求Sabの送信と接続情報応答R(B,A)の返送が行われるが、このとき親局装置Maの接続情報テーブル132にはすでに接続先情報Bが格納されているので、接続情報テーブル132への追加記憶は行われない。
【0034】
また、親局装置Meは、親局装置Mdに対して接続情報要求Sedを送信する。この接続情報要求Sedを受け親局装置Mdは、親局装置Meに対して接続情報応答R(D,CE)を送信する。親局装置Meは、上記接続情報応答R(D,CE)を受信すると、この受信された接続情報応答R(D,CE)に含まれる接続先情報C(局番号:003,属性情報:c)および接続先情報D(局番号:004,属性情報:d)を接続情報テーブル132に格納する。
【0035】
続いてシーケンス(704)では、上記シーケンス(703)と同様に親局装置Maと親局装置Mbとの間で接続情報要求Sabの送信と接続情報応答R(B,A)の返送が行われるが、この場合も接続情報テーブル132には接続先情報Bが格納されているので、接続情報テーブル132への追加記憶は行われない。一方、親局装置Mcと親局装置Mdとの間でも、再び接続情報要求Scdの送信と接続情報応答R(D,CE)の返送が行われる。しかし、このとき返送された接続情報応答R(D,CE)は更新されているため、親局装置Mcはこの受信された接続情報応答R(D,CE)に含まれる接続先情報E(局番号:005,属性情報:e)を接続情報テーブル132に格納する。
かくして、図6に示すシステム構成における各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の作成が完了する。
【0036】
一方、システムの接続構成が、上記図6に示す構成から図9に示す構成に変更されたとする。すなわち、図6に示す接続構成に加え、さらに親局装置Mbと親局装置Mcとの間が光ケーブルCbcを介して接続される。この場合、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meではそれぞれ次のように各接続情報テーブル132の更新処理が実行される。図10にその更新手順を、また図11に各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの自局情報テーブル131および接続情報テーブル132の状態遷移を示す。
【0037】
すなわち、先ずシーケンス(1101)において、親局装置Mbは親局装置Maに対して接続情報要求Sbaを、また親局装置Mcに対して接続情報要求Sbcをそれぞれ送信する。これに対し親局装置Ma及び親局装置Mcはそれぞれ接続情報応答R(A,B)及び接続情報応答R(C,DE)を返送する。これに対し親局装置Mbは、上記各応答のうち接続情報応答R(A,B)はすでに自身の接続情報テーブル132に記憶されているため、この接続情報応答R(A,B)の追加記憶を行わない。一方親局装置Mcから返送された接続情報応答R(C,DE)は、まだ接続情報テーブル132に記憶されていない。このため親局装置Mbは、上記受信された接続情報応答R(C,DE)に含まれる接続先情報C(局番号:003,属性情報c)、接続先情報D(局番号:004,属性情報d)及び接続先情報E(局番号:005,属性情報e)を自身の接続情報テーブル132に格納する。
【0038】
続いてシーケンス(1102)においては、親局装置Mcが親局装置Mbに対して接続情報要求Scbを、また親局装置Mdに対して接続情報要求Scdをそれぞれ送信する。上記要求Scb,Scdに対し親局装置Mb及び親局装置Mdはそれぞれ、接続情報応答(B,ACDE)及び接続情報応答(D,CE)を返送する。これに対し親局装置Mcは、接続情報応答(B,ACDE)に含まれる各接続情報のうち、すでに記憶されているものを除く接続情報A(局番号:001,属性情報a)及び接続情報B(局番号:002,属性情報b)を接続情報テーブル132に追加記憶する。なお、親局装置Mdから返送された接続情報応答R(D,CE)については、接続情報テーブル132にすでに記憶されているので、追加記憶を行わない。
【0039】
次にシーケンス(1103)においては、親局装置Mdは親局装置Mcに対して接続情報要求Sdcを、また親局装置Meに対して接続情報要求Sdeをそれぞれ送信する。上記要求Sdc,Sdeに対し親局装置Mc及び親局装置Meはそれぞれ、接続情報応答(C,DEAB)及び接続情報応答(E,CD)を返送する。これに対し親局装置Mdは、親局装置Mcから返送された接続情報応答R(C,DEAB)をもとに、まだ記憶されていない接続先情報A(局番号:001,属性情報a)と接続先情報B(局番号:002,属性情報b)を接続情報テーブル132に追加記憶する。なお、親局装置Meから返送された接続情報応答R(E,CD)については記憶済みのため、接続情報テーブル132の更新は行われない。
【0040】
最後にシーケンス(1104)においては、親局装置Maが親局装置Mbに対して接続情報要求Sabを送信する。これに対し親局装置Mbは接続情報応答R(B,ACDE)を返送する。親局装置Maは、上記接続情報応答R(B,ACDE)が受信されると、このうちのまだ記憶されていない接続先情報C(局番号:003,属性情報c)、接続先情報D(局番号:004,属性情報d)及び接続先情報E(局番号:005,属性情報e)を自身の接続情報テーブル132に追加記憶する。また、シーケンス(1104)において親局装置Meは、親局装置Mdに対して接続情報要求Sedを送信する。これに対し親局装置Mdは接続情報応答R(D,CEAB)を返送する。親局装置Meは、上記接続情報応答R(D,CEAB)が受信されると、このうちのまだ記憶されていない接続先情報A(局番号:001,属性情報a)と接続先情報B(局番号:002,属性情報b)を接続情報テーブル132に追加記憶する。
かくして、図9に示すように接続構成が変更されたシステムにおいて、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の更新が完了する。
【0041】
以上述べたように第1の実施形態では、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meを光ケーブルCab,Cbc,Ccd,Cdeを介して接続したシステムにおいて、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meに接続情報テーブル132をそれぞれ設けている。そして、親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meごとに、接続先の他の親局装置との間で通信を行うことで他の親局装置との間の接続関係を表す情報を取得し、この取得された情報を上記各接続情報テーブル132に格納するようにしている。
【0042】
したがって、各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meにおいて、どの装置が接続されているかを常に正確に把握することができる。このため、例えばシステムのメンテナンスを行う場合に、システム管理者は自身の記憶やメモ等に頼ることなく、接続先の他の親局装置を簡単かつ正確に認識することが可能となる。
【0043】
しかも第1の実施形態では、接続先の親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Me相互間でシステム変更時に通信を行うことで、接続情報テーブル132の記憶情報を更新するようにしている。このため、現地で親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続構成の変更や新たな親局装置の追加が行われた場合でも、これに応じて各親局装置Ma,Mb,Mc,Md,Meの接続情報テーブル132の記憶情報が自動的に更新される。したがってシステム管理者は、接続情報テーブル132により常に最新の接続情報を認識することができる。また現場にしてみれば、親局装置の接続構成をその都度システム管理者に報告することなく随意に変更することが可能となり、これにより柔軟で汎用的の高いシステムを提供できる。
【0044】
なお、以上の説明では、システムの運用開始時とシステム変更時に接続情報の自動作成・更新手順を実行するようにしたが、定期的或いはランダムなタイミングで接続情報の自動作成・更新手順を実行するようにしてもよい。このようにすると、システムの運用開始時やシステム変更時において、システム管理者又は現場の保守員が接続情報の自動作成・更新手順の開始指示を入力する必要がなくなる。または、親局装置にシステムの運用開始及びシステム変更の発生を検出する機能を設ける必要もなくなる。
【0045】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、前記第1の実施形態で述べた各種機能に加え、自装置の動作履歴を記憶するログ情報データベースと、メンテナンスツール応答制御機能とを備える。そして、接続されたメンテナンスツールに対し接続情報テーブルの記憶情報を送信することにより、メンテナンスツールによる監視対象の親局又は子局装置の指定を可能とし、自装置が指定された場合にメンテナンスツールとの間で通信を行うことにより、上記ログ情報データベースに記憶されたログ情報を読み出してメンテナンスツールに送信するようにしたものである。
【0046】
図12は、この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
親局装置Maには、メンテナンスツールMTが接続可能となっている。メンテナンスツールMTは、例えばノート型のパーソナル・コンピュータからなり、システム管理者はこのメンテナンスツールMTを用いてサブシステムSSa,SSb,SScの親局装置Ma,Mb,Mcとの間で遠隔監視または制御を行う。
【0047】
図13は親局装置Maの機能構成を示すブロック図である。なお、同図においても、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。また、親局装置Ma,Mb,Mcは基本構成が同一ため、ここでは親局装置Mb,Mcについての説明は省略する。
【0048】
親局装置Maはシリアル通信I/F19を備える。シリアル通信I/F19は、上記メンテナンスツールMTとの間で通信を行うために使用される。
データメモリ13には、自局情報テーブル131及び接続情報テーブル132に加え、ログ情報データベース133が設けてある。ログ情報データベース133には、例えば図14に示すように親局装置Ma及び当該親局装置Maに接続される各子局装置SLa1〜SLanのログ情報が記憶される。ログ情報とは、親局装置Ma及び各子局装置SLa1〜SLanの動作履歴を蓄積したものである。
【0049】
プログラムメモリ14には、メンテナンスツール応答プログラム143が新たに格納されている。このメンテナンスツール応答プログラム143は、親局装置Maにおいて常駐プログラムとして動作する。メンテナンスツールMTから自局宛ての接続情報要求およびログ情報要求を受信した場合に、メンテナンスツールMTに対して、それぞれ接続情報応答及びログ情報応答を返送する。またメンテナンスツールMTから他局宛ての要求を受信した際には、当該要求を他の親局装置Mb,Mcに転送する機能を有する。同様に他の親局装置Mb,McからメンテナンスツールMTに対する応答を受信した際には、当該応答をメンテナンスツールMTへ転送する。
【0050】
次に、以上のように構成された親局装置Ma,Mb,Mcのメンテナンス応答動作を説明する。図15は、その制御手順と制御内容を示すフローチャートである。なお、ここでは図16に示すように、親局装置Maと親局装置Mbとの間及び親局装置Mbと親局装置Mcとの間がそれぞれ光ケーブルCab,Cbcを介して接続された状態で、親局装置MaにメンテナンスツールMTを接続して各親局装置Ma,Mb,Mcの動作監視制御を行う場合を例にとって説明する。図17にそのシーケンスを示す。
【0051】
まず、メンテナンスツールMTにおいて親局装置Mbのログ情報を取得する手順を説明する。はじめに、メンテナンスツールMTは、システム構成を把握するために、親局装置Maから接続情報を取得する。
すなわち、シーケンス(1701)において、メンテナンスツールMTは、メンテナンスツールMTが直接接続されている親局装置Maに対して接続情報要求S(Ma,接続情報)を送信する。親局装置Maは図15に示すようにステップ15aにおいて要求の到来を監視している。この状態でメンテナンスツールMTからの接続情報要求S(Ma,接続情報)が受信されると、ステップ15bにより上記受信された接続情報要求S(Ma,接続情報)は自局宛て、つまり親局装置Ma宛てであるか他局宛であるかを判定する。そして、自局宛と判定されると、ステップ15cにおいて上記受信された接続情報要求S(Ma,接続情報)の要求内容を判定する。
【0052】
いま、上記接続情報要求S(Ma,接続情報)の要求内容は接続情報の取得要求であるため、親局装置Maはステップ15dに移行して、ここで自局情報テーブル131及び接続情報テーブル132からそれぞれ自局情報及び接続先情報を読み出す。そして、ステップ15eにて接続情報応答R(Ma,接続情報)を作成し、この作成された接続情報応答R(Ma,接続情報)をステップ15eにより要求元のメンテナンスツールMTに対し送信する。
【0053】
以上のシーケンス(1701)を実行することにより、メンテナンスツールMTの表示画面上には上記システムの接続構成が表示される。したがってシステム管理者は、光ケーブルCab,Cbcを介して接続されている親局装置Ma,Mb,Mcの接続構成と、これらの親局装置Ma,Mb,Mcにそれぞれ接続された子局装置SLa1〜SLan,SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnの接続構成を把握することができる。
【0054】
さて、この状態でシステム管理者が、親局装置Mbのログ情報を取得するべく、メンテナンスツールMTにおいて親局装置Mbを監視対象として指定した上でログ情報の取得要求を入力したとする。
そうするとメンテナンスツールMTは、シーケンス(1701)にて取得した接続情報をもとに、シーケンス(1702)にて親局装置Mbに対してログ情報要求S(Mb,ログ情報)を送信する。メンテナンスツールMTと直接接続されている親局装置Maは、ステップ15aにおいて、ログ情報要求S(Mb,ログ情報)を受信する。しかし、受信されたログ情報要求S(Mb,ログ情報)は自局宛てでないため、ステップ15jにより当該ログ情報要求S(Mb,ログ情報)を親局装置Mbへ転送する。
【0055】
親局装置Mbは、ステップ15aにてログ情報要求S(Mb,ログ情報)を受信すると、ステップ15b及びステップ15cにてそれぞれ自局宛てであるか否かと要求内容を判定する。この判定の結果、自局宛のログ情報取得要求であることが確認されると、ステップ15gに移行してここでログ情報データベース133よりログ情報を読み出し、ステップ15hによりログ情報応答R(Mb,ログ情報)を作成する。そして、この作成されたログ情報応答R(Mb,ログ情報)をステップ15iにて要求元のメンテナンスツールMTへ送信する。このログ情報応答R(Mb,ログ情報)は、親局装置Maにおいてステップ15aにより受信されるが、ステップ15bにて自局宛てでないと判断されるため、ステップ15jによりメンテナンスツールMTへ転送される。
【0056】
メンテナンスツールMTでは、上記親局装置Mbから親局装置Maを介して転送されたログ情報応答R(Mb,ログ情報)が記憶部に記憶されると共に、表示器に表示される。かくして、親局装置Mbのログ情報が取得される。すなわち、シーケンス(1701)とシーケンス(1702)を組み合わせて実行することにより、メンテナンスツールMTを親局装置Mbに対し直接ケーブルで接続することなく、親局装置Maを介して親局装置Mbのログ情報を取得することができる。また、システム管理者は、記憶やメモを頼りにすることなくシステムの接続関係を把握して、これにより短時間にかつ誤ることなく所望の親局装置及び子局装置のログ情報を取得することができる。
【0057】
また、システム管理者が、親局装置Mcのログ情報を取得するべく、シーケンス(1703)により親局装置Maから接続情報を取得したのち、親局装置Mcを監視対象として指定した上でログ情報の取得要求を入力したとする。
そうするとメンテナンスツールMTは、シーケンス(1703)で取得した接続情報をもとに、シーケンス(1704)にて親局装置Mcに対してログ情報要求S(Mc,ログ情報)を送信する。メンテナンスツールMTと直接接続されている親局装置Maはステップ15aにおいて、ログ情報要求S(Mc,ログ情報)を受信する。しかし、ステップ15bにて、ログ情報要求S(Mc,ログ情報)は自局宛てでないと判断されるため、ステップ15jにて親局装置Maはログ情報要求S(Mc,ログ情報)を親局装置Mcに対して転送する。親局装置Mbは、ステップ15aにてログ情報要求S(Mc,ログ情報)を受信するが、親局装置Maと同様にステップ15bによりログ情報要求S(Mc,ログ情報)が自局宛てでないと判断し、ステップ15jにて上記受信されたログ情報要求S(Mc,ログ情報)を親局装置Mcに対して転送する。
【0058】
親局装置Mcは、ステップ15aにてログ情報要求S(Mc,ログ情報)を受信すると、ステップ15b及びステップ15cにてそれぞれ自局宛てであるか否かと要求内容を判定する。この判定の結果、自局宛のログ情報取得要求であることが確認されると、ステップ15gに移行してここでログ情報データベース133よりログ情報を読み出し、ステップ15hによりログ情報応答R(Mc,ログ情報)を作成する。そして、この作成されたログ情報応答R(Mc,ログ情報)をステップ15iにて要求元のメンテナンスツールMTへ送信する。このログ情報応答R(Mb,ログ情報)は、親局装置Mb及び親局装置Maを介してメンテナンスツールMTへ転送される。
【0059】
メンテナンスツールMTでは、上記親局装置Mcから親局装置Mb及びMaを介して転送されたログ情報応答R(Mc,ログ情報)が記憶部に記憶されると共に、表示器に表示される。かくして、親局装置Mcのログ情報が取得される。すなわち、シーケンス(1703)とシーケンス(1704)を組み合わせて実行することにより、メンテナンスツールMTを親局装置Mcに対し直接ケーブルで接続することなく、親局装置Mb及びMaを介して親局装置Mcのログ情報を取得することができる。
【0060】
したがって、第2の実施形態によれば、監視制御対象の親局装置Mb,Mcが遠隔地に設置されていた場合でも、最寄りの親局装置MaにメンテナンスツールMTを接続して当該親局装置Maからシステムの接続情報を取得し、この接続情報をもとに任意の監視対象を指定してログ情報を要求することにより、親局装置Mb,Mc及びその子局装置SLb1〜SLbn,SLc1〜SLcnの遠隔監視及び制御が可能となる。すなわち、システム管理者は、複数の親局装置と子局装置とにより構成されるシステムのメンテナンスを行う場合に、その内の1台の親局装置にメンテナンスツールMTを接続するだけで、伝送路により接続されているすべての親局装置と子局装置の遠隔監視及び制御が可能となる。よって、システム管理者は、遠隔地に設置された装置の設置場所まで出向く必要がなくなる。このため、時間や経費の削減のつながり、緊急を要する事態にも迅速かつ的確に対応することが可能となる。
【0061】
なお、この発明は、前記各実施形態に限定されるものではない。例えば、装置の機能構成、接続形態や台数、伝送路の種類、装置において実行される制御手順および内容、また記憶されるデータ構成および内容についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0062】
また、第2の実施形態ではメンテナンスツールMTによる監視制御の一例としてログ情報の取得を挙げたが、その他にもシステムを構成する情報伝送装置に対して、例えば装置の動作条件を指定するパラメータの設定やデバイスドライバなどのプログラムの更新などにも利用できる。
【0063】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムの第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示した情報伝送装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示したデータメモリに記憶されるテーブルの構成の一例を示すブロック図。
【図4】図2に示した情報伝送装置において実行される接続情報要求手順とその内容を示すフローチャート。
【図5】図2に示した情報伝送装置において実行される接続情報応答手順とその内容を示すフローチャート。
【図6】図2に示した情報伝送装置を複数台接続して構成されるシステムの概略構成図。
【図7】図6に示したシステムにおける各情報伝送装置の接続情報テーブルの作成手順を示すシーケンス図。
【図8】図7に示したシーケンスによる各情報伝送装置の接続情報テーブルの状態遷移を示す図。
【図9】図6に示したシステムにおいて情報伝送装置の接続構成を変更したシステムの概略構成図。
【図10】図9のシステム構成における各情報伝送装置の接続情報テーブルの更新手順を示すシーケンス図。
【図11】図10のシーケンスによる各親局装置の接続情報テーブルの状態遷移を示す図。
【図12】この発明に係わる情報伝送装置を備える通信システムにメンテナンスツールを接続した第2の実施形態を示す概略構成図。
【図13】図12に示した情報伝送装置の機能構成を示すブロック図。
【図14】図13に示したデータメモリに記憶されるテーブル構成の一例を示すブロック図。
【図15】図13に示した情報伝送装置において実行されるメンテナンスツール応答手順と内容の一例を示すフローチャート。
【図16】複数の情報伝送装置とメンテナンスツールとを備えたシステムの概略構成図。
【図17】図16のシステム構成におけるメンテナンスツールによる監視制御手順を示すシーケンス図。
【符号の説明】
【0065】
SSa、SSb、SSc…サブシステム、Ma、Mb、Mc…親局装置、SLa1〜SLan、SLb1〜SLbn、SLc1〜SLcn…子局装置、Cab、Cbc…親局間光ケーブル、CSLa、CSLb、CSLc…親子通信光ケーブル、UMa、UMb、UMc…親局用の無停電電源装置(UPS)、USLa、USLb、USLc…子局用の無停電電源装置(UPS)、BMa…BTS、GMa…地気入出力ポート、MT…メンテナンスツール、11…CPU、12…バス、13…データメモリ、14…プログラムメモリ、15…親局間通信I/F、16…親子通信I/F、17…無線ユニット、18…BTS I/F、131…自局情報テーブル、132…接続情報テーブル、133…ログ情報データベース、141…接続情報要求プログラム、142…接続情報応答プログラム、143…メンテナンスツール応答プログラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報伝送装置を伝送路を介して選択的に接続し、この伝送路を介して前記複数の情報伝送装置間で情報を伝送するシステムで使用される前記情報伝送装置において、
他の情報伝送装置との間の接続関係を少なくとも情報伝送装置の識別情報を用いて表した接続情報を記憶するテーブルを具備したことを特徴とする情報伝送装置。
【請求項1】
複数の情報伝送装置を伝送路を介して選択的に接続し、この伝送路を介して前記複数の情報伝送装置間で情報を伝送するシステムで使用される前記情報伝送装置において、
他の情報伝送装置との間の接続関係を少なくとも情報伝送装置の識別情報を用いて表した接続情報を記憶するテーブルを具備したことを特徴とする情報伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−20222(P2006−20222A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198128(P2004−198128)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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