説明

情報処理システム、情報処理サーバ、情報処理端末、プログラム

【課題】画期的な文書等の送達システムを実現する。
【解決手段】文書データを第一の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第一送信処理手段101と、文書データを第二の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第二送信処理手段102と、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を受け付ける送信委託情報受付手段103と、前記送信委託情報受付手段103が受け付けた前記送信委託情報を参照して、前記文書データを宛先に送り届けるための処理を前記形態識別子に対応する前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102に実行させる送信制御手段104とを具備するシステムを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送信形態のうちの何れかを任意に選択して宛先に文書データを送り届けることを可能とする情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信関連技術の普及に伴い、パーソナルコンピュータの高性能化及び低価格化が実現し、並びにデータ通信の高速化及び高信頼化がもたらされた。近時のオフィスでは、各ワーカにパーソナルコンピュータが配給され、これらパーソナルコンピュータがLAN(Local Area Network)で接続されるとともに、さらにこのLANがWAN(Wide Area Network)、インターネット等の外部のネットワークに接続されていることが一般的となった。そして、ワーカがパーソナルコンピュータを使用して必要な文書や図表を作成し、これをそのまま電子メール(例えば、下記特許文献1を参照)で所要の相手に送信する機会も増えた。
【0003】
とは言え、1980年代に普及を見たファクシミリ(例えば、下記特許文献2を参照)が廃れてしまった訳ではない。電子メールを常時受信できる環境を有していない者も依然として存在しており、このような相手に文書等を送付するにはやはりファクシミリを利用することが多い。結局、TPOに応じて電子メールとファクシミリとを使い分けるのが現在のワーカの基本スタイルとなっている。
【特許文献1】特開平11−017733号公報
【特許文献2】特開平11−150620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、文書を電子メールで送信する場合と、ファクシミリで送信する場合とでは、とるべき手続が基本的に相異する。電子メールはワーカの手元のパーソナルコンピュータより直接的に発信可能であるのに対して、ファクシミリはファクシミリ端末を介して発信しなければならず、そのために文書等を紙に一旦印刷してから発信元となるファクシミリ端末にスキャンさせる必要がある。それ故に、同じ文書等を電子メール、ファクシミリの二つの送信形態で複数の宛先に送信しようとするときには、送信対象が同一であるにもかかわらず相異なる手続を2度の機会にわたって行わなければならない煩雑さを強いられる。
【0005】
加えて、文書等を送信した事実に関するログ情報を収集しておきたいという要求は決して少なくないが、相異なる送信形態で行われる送信に関してログ情報を収集することは、送信形態毎に送信の経路が異なるために困難を伴う。とりわけ、比較的規模の大きい事業所等では、複数台のファクシミリ端末がフロア、部署ないし支所に点在しているが、これらファクシミリ端末の各々を介して行われた文書等の送信の事実を集約することは事実上不可能に近い。
【0006】
本発明は、以上の問題を解消し得る画期的な文書等の送達システムを実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するべく、本発明では、図1に示すように、文書データを第一の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第一送信処理手段101と、文書データを前記第一の送信形態とは異なる第二の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第二送信処理手段102と、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を受け付ける送信委託情報受付手段103と、前記送信委託情報受付手段103が受け付けた前記送信委託情報を参照して、前記文書データを前記宛先識別子で規定される宛先に送り届けるための処理を、前記形態識別子に対応する前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102に実行させる送信制御手段104とを具備してなる情報処理システムを構築した。
【0008】
このようなものであれば、送信主体となるユーザが発信する送信委託情報を、文書データの送信形態の如何によらず一箇所で受け付けることができる。言い換えるならば、所要の文書データが送信されるに際して、送信形態の如何によらずその経路上に必ず前記情報処理システムを介在させることとなる。本発明に係る情報処理システムでは、送信主体のユーザが、同種のまたは類似の手続によって、同一の文書等を複数の送信形態にて送信することが可能である。並びに、相異なる送信形態で行われる送信に関するログ情報を容易に収集可能となる。
【0009】
文書データの送信形態には種々の態様が考えられるが、一般的なオフィスでの運用を旨とするならば、前記第一送信処理手段101を、前記送信委託情報に含まれる前記文書データ自体を宛先に送信する処理を実行するものとし、前記第二送信処理手段102を、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先のファクシミリ端末においてハードコピー出力させる処理を実行するものとすることが好ましい。
【0010】
図2に示すように、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを前記第一送信処理手段101または前記第二の送信処理手段が宛先に送り届けるための処理を完遂するまでの間、この文書データを保存する文書データ保存手段105と、前記送信委託情報受付手段103で受け付けた時点での前記文書データのハッシュ値を生成する受付時ハッシュ生成手段106と、前記文書データ保存手段105に保存している前記文書データを前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102が宛先に送り届けるための処理を完遂する時点での文書データのハッシュ値を生成する送信時ハッシュ生成手段107とをさらに具備する情報処理システムとすれば、前記受付時ハッシュ生成手段106が生成したハッシュ値と前記送信時ハッシュ生成手段107が生成したハッシュ値とを比較することで前記文書データ保存手段105に保存していた前記文書データの同一性保持が確認可能となり、システムの信頼性証明に資する。
【0011】
前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102による、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理の進捗に関する進捗情報を取得する進捗情報取得手段108と、前記進捗情報取得手段108が取得した前記進捗情報を出力する進捗情報出力手段109とをさらに具備する情報処理システムとすれば、前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102による処理の進捗状況を必要に応じて確認することが可能となる。そして、前記第一送信処理手段101が、前記送信委託情報に含まれる前記文書データをダウンロードするためにアクセスするべきURI(Uniform Resource Identifier)を宛先に通知する通知ステップと、前記URIへのアクセスを通じた前記文書データのダウンロード要求に応じて文書データを送信する送信ステップとを実行するものであって、前記進捗情報取得手段108が、前記第一送信処理手段101による前記通知ステップ、前記送信ステップの各々の段階に関する進捗情報を取得するものであるならば、前記第一送信処理手段101による処理の進捗状況をより的確に把握できる。
【0012】
前記第一送信処理手段101または前記第二の送信処理手段が前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理を実行した事実に関する送信処理ログ情報を取得する送信処理ログ情報取得手段110と、前記送信処理ログ情報取得手段110が取得した前記送信処理ログ情報を保存する送信処理ログ情報保存手段111とをさらに具備する情報処理システムとすれば、相異なる送信形態にて行われた文書データの送信に関する送信処理ログ情報を一括に集約できる。なおかつ、相異なる送信形態での送信処理に関する送信処理ログ情報の形式を、同種のまたは類似のものとすることができる。
【0013】
図3に示すように、送信主体のユーザ側におけるユーザインタフェースは、対象となる少なくとも一の文書データの指定を受け付ける文書データ指定受付手段112と、前記文書データを送り届けるべき少なくとも一の宛先の指定を受け付ける宛先指定受付手段113と、前記文書データを宛先に送り届ける際の送信形態の指定を受け付ける送信形態指定受付手段114と、前記文書データ指定受付手段112、前記宛先指定受付手段113、及び、前記送信形態指定受付手段114が受け付けた指定に基づき、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を生成する送信委託情報生成手段115とを具備するものとし、前記送信委託情報受付手段103が、前記送信委託情報生成手段115によって生成された前記送信委託情報を受け付けるものとすることが望ましい。さらに、前記宛先指定受付手段113が複数の宛先の指定を受け付けた場合において、前記送信形態指定受付手段114が個々の宛先毎に相異なる送信形態を指定することを許容するものであるならば、同一の文書データを複数の宛先に同報送信するに際して宛先毎に相異なる送信形態を選択できるという顕著な効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同種のまたは類似の手続を経て同一の文書等を複数の送信形態で送信することが可能である。並びに、相異なる送信形態で行われる送信に関するログ情報の収集も容易となる。このように、従前には存在しなかった画期的な文書等の送達システムが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の情報処理システムの概要を、図4に示す。本システム上には、ノードとして、送信主体となるユーザが使用する情報処理端末2、この情報処理端末2と協働する情報処理サーバ5、受信主体となるユーザが使用する情報処理端末4、ファクシミリ端末6、及び、情報処理サーバ5とファクシミリ端末6とを媒介するゲートウェイサーバ3が存在する。情報処理端末2、情報処理端末4、情報処理サーバ5及びゲートウェイサーバ3は、インターネット、WANまたはLAN等の電気通信回線7を介して接続している。また、ゲートウェイサーバ3とファクシミリ端末6とは、公衆電話網またはISDN(Integrated Services Digital Network)網等の電気通信回線8を介して接続している。
【0016】
当該情報処理システムは、データ送信サービス及びネットワークファクシミリサービスをユーザに提供する。送信主体のユーザは、本システムを介して、所要の文書データ自体を宛先に向けて発信できるとともに、同じ文書データをファクシミリ送信の形態で送り届けることもできる。受信主体のユーザは、情報処理端末4を使用して文書データ自体を受信することができ、あるいは、ファクシミリ端末6を使用して文書データのハードコピーを得ることができる。
【0017】
情報処理端末2は、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)等の如く、各種データを扱う情報処理を実行可能である。この情報処理端末2は、例えば、図5に示すように、プロセッサ2a、メインメモリ2b、補助記憶デバイス2c、表示制御デバイス2d、ディスプレイ2e、入力デバイス2f、通信インタフェース2g等のハードウェア資源を備えており、これらハードウェア資源はコントローラ(即ち、システムコントローラやI/Oコントローラ)2hにより制御されて連携動作する。補助記憶デバイス2cは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、光学ディスクドライブ、その他である。表示制御デバイス2dは、プロセッサ2aより受けた描画指示をもとに表示させるべき画像データを生成してディスプレイ2eに向けて送出するビデオチップ(あるいは、グラフィクスチップ)2d2、画像データ等を一時的に格納しておくビデオメモリ(Video RAM)2d2等を要素とする。入力デバイス2fは、手指で操作可能な押下ボタン、キーボードや、マウス、トラックパッド、タッチパネル等のポインティングデバイスである。通信インタフェース2gは、電気通信回線7を介した通信を行うためのデバイスであり、NIC(Network Interface Card)、無線LANトランシーバ、モデム等に代表されるが、これら以外にUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のインタフェースを採用することもできる。
【0018】
通常、プロセッサ2aによって実行されるべきプログラムが補助記憶デバイス2cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス2cからメインメモリ2bに読み込まれ、プロセッサ2aによって解読される。本実施形態における情報処理端末2には、既知のGUI(Graphical User Interface)型のOS(Operating System)プログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムがインストールされ、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。また、アプリケーションプログラムとして、送信対象となるデータファイルを作成ないし修正するためのプログラム、典型的にはワードプロセッサアプリケーション、表計算アプリケーション、グラフィックアプリケーション等がインストールされている。その上で、本発明に係るクライアントプログラムがインストールされており、このクライアントプログラムに従い上記ハードウェア資源を作動して、下記文書データ指定受付手段112、宛先指定受付手段113、送信形態指定受付手段114、送信委託情報生成手段115としての機能を発揮するものとなっている。
【0019】
ゲートウェイサーバ3は、既存のネットワークファクシミリシステムにおけるそれと同様のものである。ゲートウェイサーバ3は、例えば、図6に示すように、プロセッサ3a、メインメモリ3b、補助記憶デバイス3c、通信インタフェース3d等のハードウェア資源を備えており、これらハードウェア資源はコントローラ3eにより制御されて連携動作する。特に、ゲートウェイサーバ3は、通信インタフェース3dとして、電気通信回線7を介した通信を行うためのデバイス(NIC等)と、電気通信回線8を介した通信を行うためのデバイス(モデム等)とを両備している。
【0020】
通常、プロセッサ3aによって実行されるべきプログラムが補助記憶デバイス3cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス3cからメインメモリ3bに読み込まれ、プロセッサ3aによって解読される。本実施形態におけるゲートウェイサーバ3には、既知のOSプログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムがインストールされ、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。その上で、ゲートウェイサーバ3には、ファクシミリ画像となるビットマップ画像データを宛先のファクシミリ端末6に向けて送出するためのプログラムがインストールされており、このプログラムに従い上記ハードウェア資源を作動して、情報処理サーバ5とファクシミリ端末6とを媒介する機能を発揮する。
【0021】
情報処理端末4は、情報処理端末2と同様のハードウェア資源を備えるもので、予め既知のGUI型のOSプログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムがインストールされている。また、アプリケーションプログラムとして、電子メールクライアントプログラム及びウェブブラウザプログラムがインストールされている。
【0022】
情報処理サーバ5は、例えば、図7に示すように、プロセッサ5a、メインメモリ5b、補助記憶デバイス5c、通信インタフェース5d等のハードウェア資源を備えており、これらハードウェア資源はコントローラ5eにより制御されて連携動作する。通信インタフェース5dは、電気通信回線7を介した通信を行うためのデバイス(NIC等)である。
【0023】
通常、プロセッサ5aによって実行されるべきプログラムが補助記憶デバイス5cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス5cからメインメモリ5bに読み込まれ、プロセッサ5aによって解読される。本実施形態における情報処理サーバ5には、既知のOSプログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムがインストールされ、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。また、既知のウェブサーバプログラムがインストールされており、ウェブサーバとして働く。その上で、本発明に係るサーバプログラムが(ウェブサーバに対するバックエンドプログラムとして)インストールされており、このサーバプログラムに従い上記ハードウェア資源を作動して、下記第一送信処理手段101、第二送信処理手段102、送信委託情報受付手段103、送信制御手段104、文書データ保存手段105、受付時ハッシュ生成手段106、送信時ハッシュ生成手段107、進捗情報取得手段108、進捗情報出力手段109、送信処理ログ情報取得手段110、送信処理ログ情報保存手段111としての機能を発揮するものとなっている。
【0024】
文書データの送信に際して情報処理端末2が実行する処理について述べる。情報処理端末2上で起動したクライアントプログラムは、OSプログラムが提供するAPI(Application Program Interface)を利用して、図8に例示するようなウィンドウをディスプレイ2eの画面に表示する。そして、送信主体のユーザによる、送信対象となるデータファイルの指定、送信の宛先の指定、及び、その送信の形態の指定等を受け付ける。
【0025】
送信主体のユーザは、まず、入力デバイス2fを使用して、文書データの送信形態を指定する操作を行う。具体的には、ウィンドウ上に表示されている「ファクシミリ送信」ボタン210または「データ送信」ボタン211の何れかをクリックする。この操作を受け付けたクライアントプログラムは、OSのAPIを利用して、図9に例示するようなウィンドウをディスプレイ2eの画面に表示し、文書データの指定、宛先の指定を待ち受ける。このときの情報処理端末2は、送信形態指定受付手段114として働く。なお、図9は、送信形態としてファクシミリ送信が指定された場合の例であるが、送信形態としてデータ送信が指定された場合についても概ね同等のウィンドウ(図示しない)を表示する。
【0026】
送信対象となるデータファイルは、その送信に先んじて作成され、補助記憶デバイス2cに格納されている。因みに、そのファイル形式は特に限定されない。例を列挙すると、所定のワードプロセッサアプリケーション、表計算アプリケーション等のデータファイルや、テキストファイル、XML(eXtensible Markup Language)ファイル、PDF(Portable Document Format)ファイル、HTML(HyperText Markup Language)ファイル、JPEG(Joint Photographic Experts Group)ファイル、TIFF(Tagged Image File Format)ファイル等を対象とすることが可能である。図9に例示するウィンドウの表示後、送信主体のユーザは、入力デバイス2fを使用して、補助記憶デバイス2cに格納されている一または複数のデータファイルを選択する操作を行う。具体的には、ウィンドウ上に表示されている「ファイル追加」ボタン201をクリックする。この操作を受け付けたクライアントプログラムは、OSのAPIを利用して、データファイルを選択させるためのダイアログ(図示しない)をディスプレイ2eの画面に表示する。しかる後、送信主体のユーザは、ダイアログに一覧表示されるファイルの中から所望のファイルを送信すべき対象として選択する。結果として、クライアントプログラムは、送信の対象として指定されたデータファイルを識別する情報、即ちデータファイルを指し示すパス情報を得る。クライアントプログラムは、この指定されたデータファイルのファイル名を、ウィンドウにおける領域202に表示する。このときの情報処理端末2は、文書データ指定受付手段112として働く。さらに、データファイルのパス情報を得たクライアントプログラムは、このパス情報で指し示されるデータファイルを、メインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に複製してキャッシュする。
【0027】
並びに、送信主体のユーザは、入力デバイス2fを使用して、一または複数の宛先を規定する宛先識別子を入力する操作を行う。宛先識別子は、送信先となる直接的なアドレス情報であることもあれば、宛先を規定するが直接的な送信先とはならない間接的なアドレス情報であることもある。文書データの送信形態としてファクシミリ送信を指定した場合、送信主体のユーザは宛先識別子として送信先のファクシミリ端末6を指定する電話番号(FAX番号)を入力する。他方、文書データの送信形態としてデータ送信を指定した場合には、送信主体のユーザは宛先識別子として受信主体のユーザを規定する電子メールアドレスを入力する(但し、本実施形態では、この電子メールアドレスに向けて文書データを送信する訳ではない。電子メールアドレスの役割については、後述する)。具体的には、まず、ウィンドウ上に表示されている「一件追加」ボタン203、または「アドレス帳追加」ボタン204をクリックする。この操作を受け付けたクライアントプログラムは、OSのAPIを利用して、宛先を規定する電話番号若しくは電子メールアドレスを入力させるためのダイアログ(図示しない)、またはアドレス帳に登録されている電話番号若しくは電子メールアドレスを選択させるためのダイアログ(図示しない)をディスプレイ2eの画面に表示する。しかる後、送信主体のユーザは、ダイアログの入力領域に電話番号若しくは電子メールアドレスを手入力するか、またはダイアログに一覧表示される電話番号若しくは電子メールアドレスの中から所望のものを宛先として選択する。ここで、アドレス帳とは、予め送信主体のユーザによって登録された電話番号若しくは電子メールアドレスを記憶しておくものであって、補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域を用いて構成される。結果として、クライアントプログラムは、文書データの送信の宛先として指定された電話番号若しくは電子メールアドレスの情報を得る。クライアントプログラムは、この指定された電話番号若しくは電子メールアドレスの情報を、ウィンドウにおける領域205に表示する。このときの情報処理端末2は、宛先指定受付手段113として働く。
【0028】
また、本実施形態では、文書データが実際に宛先に送り届けられる日時を送信主体のユーザの側で指定することが可能である。即ち、情報処理端末2のクライアントプログラムが、送信主体のユーザによる、文書データの送信の日時の指定を受け付けることができる。送信主体のユーザは、入力デバイス2fを使用して、ウィンドウ上に表示されている指定日時入力欄208に、文書データを送り届けるべき日時を入力する操作を行う。この操作を受け付けることで、クライアントプログラムは、文書データを送り届けるべき日時の情報を得る。
【0029】
データファイルの指定及び宛先の指定を受け付けたクライアントプログラムは、送信主体のユーザによる、文書データの送信を実行すべき旨の指示を受け付ける。文書データを送信することを決意した送信主体のユーザは、入力デバイス2fを使用し、ウィンドウ上に表示されている「送信登録」ボタン206をクリックする操作を行うことで送信の実行を指示する。この操作を受け付けたクライアントプログラムは、文書データの送信を委託するための情報である送信委託情報を生成して情報処理サーバ5に向けて送信する処理を実行する。しかしながら、送信形態としてファクシミリ送信が指定されている場合には、下記プレビュー表示処理が先に実行されない限り、送信委託情報の送信処理が実行されることはない。
【0030】
プレビュー表示処理では、データファイルをファクシミリ端末6によるハードコピー出力に相当するビットマップ画像データに変換して、これを送信主体のユーザの視覚に訴えかける態様で表示する。クライアントプログラムは、送信主体のユーザによる、プレビュー表示を実行すべき旨の指示を受け付ける。プレビューを閲覧しようとするユーザは、入力デバイス2fを使用し、ウィンドウ上に表示されている「プレビュー」ボタン207をクリックする操作を行うことでプレビュー表示の実行を指示する。この操作を受け付けたクライアントプログラムは、ファクシミリ送信の対象として既に指定されているデータファイルを、そのデータ形式に応じたアルゴリズムでラスタライズし、ファクシミリ送信に適した寸法及び解像度に調整したビットマップ画像データを生成する。特に、本実施形態では、キャッシュとしてメインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cに複製されたデータファイルを基にしてビットマップ画像データを生成する。ビットマップ画像データのデータ形式は、例えばTIFFとする。生成されたビットマップ画像データは、メインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cに一時的に格納される。そして、クライアントプログラムは、OSのAPIを利用して、生成したビットマップ画像データをディスプレイ2eの画面にウィンドウ表示する。ビットマップ画像データの表示例を、図10に示す。ユーザは、文書データのファクシミリ送信の前に、必ずこのビットマップ画像データを閲覧することとなる。
【0031】
上記プレビュー表示処理を実行した後(但し、送信形態としてファクシミリ送信が指定されたのでなければプレビュー表示処理は不要である)、クライアントプログラムが、ユーザによる「送信登録」ボタン206のクリック操作を受け付け得る状態となり、「送信登録」ボタン206のクリック操作を受け付けることで送信委託情報の生成及び送信の処理を実行開始する。送信委託情報には、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子が含まれる。より具体的に述べると、送信形態としてファクシミリ送信が指定されている場合、形態識別子としてファクシミリ送信を実行するべき旨を示す情報が含まれ、宛先識別子としてファクシミリ端末6を指定する電話番号が含まれる。そして、文書データとして、指定されたデータファイルを変換して得られたビットマップ画像データが含まれる。他方、送信形態としてデータ送信が指定されている場合には、形態識別子としてデータ送信を実行するべき旨を示す情報が含まれ、宛先識別子として受信主体のユーザを規定する電子メールアドレスが含まれる。そして、文書データとして、指定されたデータファイル自体が含まれる。なおかつ、クライアントプログラムが既に文書データを送り届けるべき日時の指定を受け付けているならば、その日時を示す情報が形態識別子の一部として送信委託情報に含められる。このときの情報処理端末2は、送信委託情報生成手段115として働く。情報処理端末2側のクライアントプログラムは、例えば、HTTP(HyperText Transfar Protocol)に則って情報処理サーバ5側のサーバプログラムと交信し、送信委託情報を送信する。情報処理端末2と情報処理サーバ5との通信は、SSL(Secure Socket Layer)により暗号化することが望ましい。なお、クライアントプログラムは、送信主体のユーザを識別するユーザ識別情報(典型的には、ユーザID及び/またはパスコード)をメインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cに予め保持しており、情報処理サーバ5にアクセスする際にはこのユーザ識別情報を送信してユーザ認証を受ける。クライアントプログラムが発信する送信委託情報のデータ形式を、図11に例示する。送信委託情報のデータ形式は、文書データの送信形態によらず(即ち、形態識別子の内容如何を問わず)共通化されている。
【0032】
ところで、本実施形態では、既に送信対象として指定されたデータファイルをその送信前に修正することが可能となっている。データファイルの修正は、プレビュー表示処理を経て画面に表示されたビットマップ画像データがユーザの想定していたハードコピー出力結果と異なっているようなときに行われる。送信対象となるデータファイルの修正を希望するユーザは、入力デバイス2fを使用して、データファイルを修正する旨を指示する操作を行う。具体的には、ウィンドウ上に表示されている「編集」ボタン209をクリックする。この操作を受け付けたクライアントプログラムは、OSのAPIを利用して、データファイルを修正するためのアプリケーションプログラムを起動する。詳述すると、クライアントプログラムが、キャッシュとして複製しているデータファイルをオープンするためのAPIを呼び出す。通常、既知のGUI型のOSでは、データファイルのデータ形式とそのデータファイルを処理するためのアプリケーションプログラムとが関連づけられており、データファイルをオープンすることでそのデータファイルを修正するために好適なアプリケーションプログラムが自動的に起動される。このとき、起動したアプリケーションプログラムが改変するのはあくまでキャッシュとして複製されたデータファイルであり、データファイルの複製元の原本ではない。
【0033】
さらに、データファイルが修正された場合には、その修正以前にプレビュー表示処理を実行していたとしても、修正されたデータファイルについてプレビュー表示処理を再度実行しない限りクライアントプログラムが送信委託情報の生成及び送信を実行しないものとすることが好ましい。そのために、クライアントプログラムは、OSのAPIを利用して、キャッシュとして複製したデータファイルを監視する。そして、このデータファイルが修正されたことを検出したときには、ユーザによる「送信登録」ボタン206のクリック操作を受け付け得ない状態に遷移する。また、修正前のデータファイルを変換して得たビットマップ画像データをメインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cに保持しているならば、そのビットマップ画像データを破棄する。修正したデータファイルをファクシミリ送信しようとするユーザは、再度「プレビュー」ボタン207をクリックしてビットマップ画像データを表示させなくてはならない。
【0034】
続いて、文書データの送信に際して情報処理サーバ5が実行する処理について述べる。情報処理サーバ5で起動したサーバプログラムは、送信主体のユーザが使用する情報処理端末2によるアクセスを待ち受ける。情報処理端末2によるアクセスを受け付けたサーバプログラムは、ユーザ認証を実行する。既に述べたように、情報処理端末2は、情報処理サーバ5へのアクセスに際して、送信主体のユーザを識別するユーザ識別情報を情報処理サーバ5に向けて送信する。サーバプログラムでは、正当な権限を有するユーザを識別するユーザ識別情報をメインメモリ5bまたは補助記憶デバイス5cに予め保持しており、情報処理端末2によるアクセスがあったときには、この情報処理端末2よりもたらされるユーザ識別情報とメインメモリ5bまたは補助記憶デバイス5cに保持しているユーザ識別情報とを比較して送信主体のユーザを認証する。ユーザ認証に失敗した場合には、情報処理端末2によるアクセスを拒絶する。サーバプログラムは、ユーザ認証処理を通じて、何れのユーザがアクセスしているかを知得する。
【0035】
ユーザ認証を経て、サーバプログラムは、情報処理端末2よりもたらされる送信委託情報を受信する。このときの情報処理サーバ5は、送信委託情報受付手段103として働く。
【0036】
送信委託情報を受信した後、サーバプログラムは、まず、この送信委託情報に含まれる文書データを所定の暗号アルゴリズム及び暗号鍵を用いて暗号化し、補助記憶デバイス5cの所要の記憶領域に格納する。この文書データは、少なくとも、これを宛先に送り届けるための処理を完遂するまでの間保存される。このときの情報処理サーバ5は、文書データ保存手段105として働く。同時に、サーバプログラムは、同じ文書データの一部または全部よりハッシュ値を生成する。ハッシュ値は、一方向性(ハッシュ値から原文を求めることが困難)及び衝突耐性(同じハッシュ値を生成する二つの原文を見出すことが困難)を有するハッシュ関数に原文たる文書データの一部または全部を代入して算出する。ハッシュ値もやはり、所定の暗号アルゴリズム及び暗号鍵を用いて暗号化した上で、補助記憶デバイス5cの所要の記憶領域に格納する。このときの情報処理サーバ5は、受付時ハッシュ生成手段106として働く。
【0037】
送信委託情報を受信した後、サーバプログラムは、この送信委託情報に含まれる形態識別子を参照して、以降に実行する処理を決定する。このときの情報処理サーバ5は、送信制御手段104として働く。送信委託情報にファクシミリ送信を実行すべき旨を示す形態識別子が含まれる場合、サーバプログラムは、文書データを宛先のファクシミリ端末においてハードコピー出力させるための処理を実行する。詳述すると、サーバプログラムは、送信委託情報に含まれている、文書データを宛先に送り届けるべき日時の情報を参照して、その日時が訪れた時に、補助記憶デバイス5cに暗号化して格納している文書データたるビットマップ画像データを読み出して復号化する。但し、送信委託情報に文書データを宛先に送り届けるべき日時の情報が含まれていない場合、即ち送信主体のユーザによって文書データを宛先に送り届けるべき日時が指定されていない場合には、この限りではない(通常は、情報処理サーバ5が送信委託情報を受信した後即時的に当該処理を実行開始する)。そして、このビットマップ画像データと、送信委託情報に宛先識別子として含まれる電話番号の情報とを、ゲートウェイサーバ3に向けて送信する。このときの情報処理サーバ5は、第二送信処理手段102として働く。これらを受信したゲートウェイサーバ3は、プログラムに従い、宛先識別子たる電話番号に電話発呼してファクシミリ端末6と交信し、国際通信規格に則ってビットマップ画像データを符号化したファクシミリ信号を電気通信回線8を介して送出する。最終的に、宛先として指定されたファクシミリ端末6において、送信主体のユーザが指定したデータファイルを基にしたファクシミリ画像がハードコピー出力されることとなる。なお、ビットマップ画像データ及び電話番号の情報をゲートウェイサーバ3に向けて発信する際に、サーバプログラムが、そのビットマップ画像データの一部または全部よりハッシュ値を生成して、先に生成して補助記憶デバイス5cに格納しているハッシュ値と比較することが好ましい。このときの情報処理サーバ5は、送信時ハッシュ生成手段107として働く。両ハッシュ値が一致するならば、補助記憶デバイス5cに保存していた文書データたるビットマップ画像データに損傷ないし改変が発生していない、言い換えるならば文書データの同一性保持が証明されることになる。
【0038】
他方、送信委託情報にデータ送信を実行すべき旨を示す形態識別子が含まれる場合、サーバプログラムは、文書データ自体を宛先に送信するための処理を実行する。詳述すると、情報処理サーバ5は、ウェブサーバプログラムの機能を援用し、補助記憶デバイス5cに格納している文書データを受信主体のユーザにダウンロードさせるためのウェブページを電気通信回線7上に公開する役割を担う。文書データをダウンロードするためにアクセスするべきウェブページのURIは、文書データ毎に(または、複数のデータファイルを一組としたデータファイル群毎に)相異なるものとする。そのために、サーバプログラムは、文書データを補助記憶デバイス5cへ格納するに際して一意のURIを生成し、このURIと文書データとを関連付けておく。その上で、サーバプログラムは、送信委託情報に含まれている、文書データを宛先に送り届けるべき日時の情報を参照して、その日時が訪れた時に、上記のURIを含む通知メールを、受信主体のユーザに向けて送信する。但し、送信委託情報に文書データを宛先に送り届けるべき日時の情報が含まれていない場合には、この限りではない。この通知メールの送信先は、送信委託情報に宛先識別子として含まれている電子メールアドレスである。受信主体のユーザは、情報処理端末4及び電子メールクライアントプログラムを利用して通知メールを受信する。しかるの後、ウェブブラウザプログラムを利用して、通知メールに記述されているURIによって識別されるウェブページにアクセスする。情報処理サーバ5のウェブサーバプログラムは、この情報処理端末4によるアクセスを受け付ける。そして、情報処理端末4のウェブブラウザプログラムより発されるダウンロード要求(HTTPリクエスト)に応答し、補助記憶デバイス5cに暗号化して格納している文書データたるデータファイルを復号化した上で情報処理端末4に向けて送信する。既に述べたように、URIは文書データ毎に相異する一意のものであるため、情報処理端末4のウェブブラウザプログラムがそのURIにアクセスすることで自動的にダウンロード対象となる文書データが選定されることとなる。因みに、ここでの情報処理端末4と情報処理サーバ5との通信も、SSLによる暗号化を行うことが望ましい。このときの情報処理サーバ5は、第一送信処理手段101として働く。なお、文書データたるデータファイルを情報処理端末4に向けて発信する際に、サーバプログラムが、そのデータファイルの一部または全部よりハッシュ値を生成して、先に生成して補助記憶デバイス5cに格納しているハッシュ値と比較することが好ましい。このときの情報処理サーバ5は、送信時ハッシュ生成手段107として働く。両ハッシュ値が一致するならば、補助記憶デバイス5cに保存していた文書データの同一性保持が証明されることになる。
【0039】
総じて言えば、送信委託情報を受け付けた後、(第一送信処理手段101による)データ送信処理では、文書データの補助記憶デバイス5cへの保存、URIを含む通知メールの送信、保存している文書データのダウンロード要求の受付及び送信、という3段階の処理を実行し、(第二送信処理手段102による)ファクシミリ送信処理では、文書データの補助記憶デバイス5cへの保存、保存している文書データ及び電話番号の情報の送信、という2段階の処理を実行する。しかして、サーバプログラムは、これら各段階の処理を完了したか否かに関する進捗情報をリアルタイムに取得する。このときの情報処理サーバ5は、進捗情報取得手段108として働く。取得した進捗情報は、送信委託情報をもたらした送信主体のユーザを識別するユーザ識別情報に関連付けてメインメモリ5bまたは補助記憶デバイス5cに格納する。さらに、サーバプログラムは、取得した進捗情報を必要に応じて出力する処理を行う。ここに言う情報の出力とは、ディスプレイの画面への表示、プリンタによるハードコピー出力、電気通信回線7を介した外部のコンピュータ(特に、情報処理端末2)へ向けた送信、所定の記憶媒体(とりわけ、ハードディスクやフレキシブルディスク等)への書き込み、その他を包括する概念である。本実施形態では、サーバプログラムが、進捗情報を送信主体のユーザが使用する情報処理端末2に送信するという態様で出力する。このときの情報処理サーバ5は、進捗情報出力手段109として働く。送信主体のユーザは、情報処理端末2及びクライアントプログラムを利用して情報処理サーバ5より進捗情報を取得し、これを閲覧して自身が委託した文書データの送信処理がどの段階まで完了したのかを随時確認することができる。
【0040】
さらに、情報処理サーバ5のサーバプログラムは、文書データを宛先に送り届けるための処理、即ちデータ送信処理またはファクシミリ送信処理を実行した事実に関する送信処理ログ情報を取得するとともに、この送信処理ログ情報を補助記憶デバイス5cの所要の記憶領域に格納して、事後的に参照、利用し得るようにする。このときの情報処理サーバ5は、送信処理ログ情報取得手段110、送信処理ログ情報保存手段111として働く。送信処理ログ情報には、例えば、送信主体のユーザを識別するユーザ識別情報、宛先を規定する宛先識別子(FAX番号、電子メールアドレス等)、送信形態を識別する形態識別子(ファクシミリ送信であるかデータ送信であるか)、送信委託情報を受信した日時のタイムスタンプ、送り届けるべき対象の文書データ自体または文書データより生成されたハッシュ値(文書データまたはハッシュ値は暗号化された状態のものであることを妨げない)、並びに、送信処理の結果(宛先に送り届けることに成功したか失敗したか)及びその結果が得られた日時のタイムスタンプ等の情報が含まれる。因みに、タイムスタンプとなる日時の情報は、電気通信回線7を介して接続している、比較的信頼性の高い所定のネットワークタイムサーバ(NTS(Network Time Protocol)サーバ。図示しない)より取得するものとすることが好ましい。
【0041】
本実施形態によれば、文書データを第一の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第一送信処理手段101と、文書データを前記第一の送信形態とは異なる第二の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第二送信処理手段102と、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を受け付ける送信委託情報受付手段103と、前記送信委託情報受付手段103が受け付けた前記送信委託情報を参照して、前記文書データを前記宛先識別子で規定される宛先に送り届けるための処理を、前記形態識別子に対応する前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102に実行させる送信制御手段104とを具備してなる情報処理システムを構築したため、送信主体となるユーザが発信する送信委託情報を、文書データの送信形態の如何によらず一箇所で受け付けることができる。言い換えるならば、所要の文書データが送信されるに際して、送信形態の如何によらずその経路上に必ず前記情報処理システムを介在させることとなる。従って、送信主体のユーザが、同種のまたは類似の手続によって、同一の文書等を複数の送信形態にて送信することが可能となる。並びに、相異なる送信形態で行われる送信に関するログ情報を容易に収集可能となる。
【0042】
前記第一送信処理手段101を、前記送信委託情報に含まれる前記文書データ自体を宛先に送信する処理を実行するものとし、前記第二送信処理手段102を、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先のファクシミリ端末においてハードコピー出力させる処理を実行するものとしているため、一般的なオフィスでの運用に好適となる。
【0043】
前記送信委託情報に含まれる前記文書データを前記第一送信処理手段101または前記第二の送信処理手段が宛先に送り届けるための処理を完遂するまでの間、この文書データを保存する文書データ保存手段105と、前記送信委託情報受付手段103で受け付けた時点での前記文書データのハッシュ値を生成する受付時ハッシュ生成手段106と、前記文書データ保存手段105に保存している前記文書データを前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102が宛先に送り届けるための処理を完遂する時点での文書データのハッシュ値を生成する送信時ハッシュ生成手段107とをさらに具備するシステムとしたため、前記受付時ハッシュ生成手段106が生成したハッシュ値と前記送信時ハッシュ生成手段107が生成したハッシュ値とを比較することで前記文書データ保存手段105に保存していた前記文書データの同一性保持が確認可能となり、システムの信頼性証明に資する。
【0044】
前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102による、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理の進捗に関する進捗情報を取得する進捗情報取得手段108と、前記進捗情報取得手段108が取得した前記進捗情報を出力する進捗情報出力手段109とをさらに具備するため、送信主体のユーザ等が前記第一送信処理手段101または前記第二送信処理手段102による処理の進捗状況を必要に応じて確認することが可能となる。そして、前記第一送信処理手段101が、前記送信委託情報に含まれる前記文書データをダウンロードするためにアクセスするべきURIを宛先に通知する通知ステップと、前記URIへのアクセスを通じた前記文書データのダウンロード要求に応じて文書データを送信する送信ステップとを実行するものであって、前記進捗情報取得手段108が、前記第一送信処理手段101による前記通知ステップ、前記送信ステップの各々の段階に関する進捗情報を取得するものであるため、前記第一送信処理手段101による処理の進捗状況をより的確に把握できる。
【0045】
前記第一送信処理手段101または前記第二の送信処理手段が前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理を実行した事実に関する送信処理ログ情報を取得する送信処理ログ情報取得手段110と、前記送信処理ログ情報取得手段110が取得した前記送信処理ログ情報を保存する送信処理ログ情報保存手段111とをさらに具備する情報処理システムとしたため、相異なる送信形態にて行われた文書データの送信に関する送信処理ログ情報を一括に集約できる。なおかつ、相異なる送信形態での送信処理に関する送信処理ログ情報の形式を、同種のまたは類似のものとすることができる。
【0046】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。特に、送信主体のユーザが使用する情報処理端末2上で動作するクライアントプログラムについて、(宛先指定受付手段113が)複数の宛先の指定を受け付けた場合に、(送信形態指定受付手段114が)個々の宛先毎に相異なる送信形態を指定することを許容するものとすることが好ましい。即ち、上記実施形態におけるクライアントプログラムでは、まず送信形態の指定を受け付け、しかる後に対象のデータファイルや宛先の指定を受け付けており、複数の宛先の各々について異なる送信形態を指定する機会は存在していなかった。しかしながら、同一の文書データを複数の宛先に同報送信しようとする際に、各宛先毎に異なる送信形態を指定できるものとする方が、送信主体のユーザにとっての利便性がより高まると考えられる。また、この場合にクライアントプログラム(における送信委託情報生成手段115)が生成する送信委託情報は、複数の宛先を規定する複数の宛先識別子と、各宛先識別子と関連付けられた形態識別子(即ち、複数の宛先に如何なる送信形態で文書データを送り届けるのかを、各宛先毎に規定し得る形態識別子)とを含むものとする。
【0047】
さらに、文書データを宛先に送り届ける際の送信形態は3種類以上存在してもよい。第三の送信形態として、例えば郵送を挙げることができる。このときに、郵送の形態で文書データを送り届けるための処理を実行する第三送信処理手段は、文書データのプリントアウト、宛先識別子たる郵便番号や住所、宛名等の(封筒ないし葉書に貼付されるラベルへの)プリントアウト、等の処理を実行するものとする。
【0048】
その他各部の具体的構成は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の構成説明図。
【図2】本発明の構成説明図。
【図3】本発明の構成説明図。
【図4】本発明の一実施形態のシステムの概要図。
【図5】情報処理端末が備えるハードウェア資源を示す図。
【図6】ゲートウェイサーバが備えるハードウェア資源を示す図。
【図7】情報処理サーバが備えるハードウェア資源を示す図。
【図8】情報処理端末が提供するユーザインタフェースの例を示す図。
【図9】情報処理端末が提供するユーザインタフェースの例を示す図。
【図10】ビットマップ画像データの表示例を示す図。
【図11】送信委託情報のデータ形式の例を示す図。
【符号の説明】
【0050】
101…第一送信処理手段
102…第二送信処理手段
103…送信委託情報受付手段
104…送信制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを第一の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第一送信処理手段と、
文書データを前記第一の送信形態とは異なる第二の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第二送信処理手段と、
対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を受け付ける送信委託情報受付手段と、
前記送信委託情報受付手段が受け付けた前記送信委託情報を参照して、前記文書データを前記宛先識別子で規定される宛先に送り届けるための処理を、前記形態識別子に対応する前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段に実行させる送信制御手段と
を具備してなる情報処理システム。
【請求項2】
前記第一送信処理手段は、前記送信委託情報に含まれる前記文書データ自体を宛先に送信する処理を実行するものであり、
前記第二送信処理手段は、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先のファクシミリ端末においてハードコピー出力させる処理を実行するものである請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記送信委託情報に含まれる前記文書データを前記第一送信処理手段または前記第二の送信処理手段が宛先に送り届けるための処理を完遂するまでの間、この文書データを保存する文書データ保存手段と、
前記送信委託情報受付手段で受け付けた時点での前記文書データのハッシュ値を生成する受付時ハッシュ生成手段と、
前記文書データ保存手段に保存している前記文書データを前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段が宛先に送り届けるための処理を完遂する時点での文書データのハッシュ値を生成する送信時ハッシュ生成手段とをさらに具備し、
前記受付時ハッシュ生成手段が生成したハッシュ値と前記送信時ハッシュ生成手段が生成したハッシュ値とを比較することで前記文書データ保存手段に保存していた前記文書データの同一性保持を確認可能とした請求項1または2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段による、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理の進捗に関する進捗情報を取得する進捗情報取得手段と、
前記進捗情報取得手段が取得した前記進捗情報を出力する進捗情報出力手段とをさらに具備する請求項1、2または3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第一送信処理手段は、前記送信委託情報に含まれる前記文書データをダウンロードするためにアクセスするべきURIを宛先に通知する通知ステップと、前記URIへのアクセスを通じた前記文書データのダウンロード要求に応じて文書データを送信する送信ステップとを実行するものであって、
前記進捗情報取得手段は、前記第一送信処理手段による前記通知ステップ、前記送信ステップの各々の段階に関する進捗情報を取得するものである請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第一送信処理手段または前記第二の送信処理手段が前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理を実行した事実に関する送信処理ログ情報を取得する送信処理ログ情報取得手段と、
前記送信処理ログ情報取得手段が取得した前記送信処理ログ情報を保存する送信処理ログ情報保存手段とをさらに具備する請求項1、2、3、4または5記載の情報処理システム。
【請求項7】
対象となる少なくとも一の文書データの指定を受け付ける文書データ指定受付手段と、
前記文書データを送り届けるべき少なくとも一の宛先の指定を受け付ける宛先指定受付手段と、
前記文書データを宛先に送り届ける際の送信形態の指定を受け付ける送信形態指定受付手段と、
前記文書データ指定受付手段、前記宛先指定受付手段、及び、前記送信形態指定受付手段が受け付けた指定に基づき、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を生成する送信委託情報生成手段とをさらに具備し、
前記送信委託情報受付手段は、前記送信委託情報生成手段が生成した前記送信委託情報を受け付ける請求項1、2、3、4、5または6記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記送信形態指定受付手段は、前記宛先指定受付手段が複数の宛先の指定を受け付けた場合において、個々の宛先毎に相異なる送信形態を指定することを許容するものである請求項7記載の情報処理システム。
【請求項9】
請求項1記載の情報処理システムを構成するために用いられるものであって、コンピュータを、
文書データを第一の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第一送信処理手段、
文書データを前記第一の送信形態とは異なる第二の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第二送信処理手段、
対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を受け付ける送信委託情報受付手段、並びに、
前記送信委託情報受付手段が受け付けた前記送信委託情報を参照して、前記文書データを前記宛先識別子で規定される宛先に送り届けるための処理を、前記形態識別子に対応する前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段に実行させる送信制御手段
として機能させるプログラム。
【請求項10】
前記第一送信処理手段は、前記送信委託情報に含まれる前記文書データ自体を宛先に送信する処理を実行するものであり、
前記第二送信処理手段は、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先のファクシミリ端末においてハードコピー出力させる処理を実行するものである請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
さらに、コンピュータを、
前記送信委託情報に含まれる前記文書データを前記第一送信処理手段または前記第二の送信処理手段が宛先に送り届けるための処理を完遂するまでの間、この文書データを保存する文書データ保存手段、
前記送信委託情報受付手段で受け付けた時点での前記文書データのハッシュ値を生成する受付時ハッシュ生成手段、並びに、
前記文書データ保存手段に保存している前記文書データを前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段が宛先に送り届けるための処理を完遂する時点での文書データのハッシュ値を生成する送信時ハッシュ生成手段としても機能させ、
前記受付時ハッシュ生成手段が生成したハッシュ値と前記送信時ハッシュ生成手段が生成したハッシュ値とを比較することで前記文書データ保存手段に保存していた前記文書データの同一性保持を確認可能とした請求項9または10記載のプログラム。
【請求項12】
さらに、コンピュータを、
前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段による、前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理の進捗に関する進捗情報を取得する進捗情報取得手段、並びに、
前記進捗情報取得手段が取得した前記進捗情報を出力する進捗情報出力手段としても機能させる請求項9、10または11記載のプログラム。
【請求項13】
前記第一送信処理手段は、前記送信委託情報に含まれる前記文書データをダウンロードするためにアクセスするべきURIを宛先に通知する通知ステップと、前記URIへのアクセスを通じた前記文書データのダウンロード要求に応じて文書データを送信する送信ステップとを実行するものであって、
前記進捗情報取得手段は、前記第一送信処理手段による前記通知ステップ、前記送信ステップの各々の段階に関する進捗情報を取得するものである請求項12記載のプログラム。
【請求項14】
さらに、コンピュータを、
前記第一送信処理手段または前記第二の送信処理手段が前記送信委託情報に含まれる前記文書データを宛先に送り届けるための処理を実行した事実に関する送信処理ログ情報を取得する送信処理ログ情報取得手段、並びに、
前記送信処理ログ情報取得手段が取得した前記送信処理ログ情報を保存する送信処理ログ情報保存手段としても機能させる請求項9、10、11、12または13記載のプログラム。
【請求項15】
請求項1記載の情報処理システムを構成するために用いられるものであって、
文書データを第一の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第一送信処理手段と、
文書データを前記第一の送信形態とは異なる第二の送信形態で宛先に送り届けるための処理を実行する第二送信処理手段と、
対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を受け付ける送信委託情報受付手段と、
前記送信委託情報受付手段が受け付けた前記送信委託情報を参照して、前記文書データを前記宛先識別子で規定される宛先に送り届けるための処理を、前記形態識別子に対応する前記第一送信処理手段または前記第二送信処理手段に実行させる送信制御手段と
を具備する情報処理サーバ。
【請求項16】
請求項7記載の情報処理システムを構成するために用いられるものであって、コンピュータを、
対象となる少なくとも一の文書データの指定を受け付ける文書データ指定受付手段、
前記文書データを送り届けるべき少なくとも一の宛先の指定を受け付ける宛先指定受付手段、
前記文書データを宛先に送り届ける際の送信形態の指定を受け付ける送信形態指定受付手段、並びに、
前記文書データ指定受付手段、前記宛先指定受付手段、及び、前記送信形態指定受付手段が受け付けた指定に基づき、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を生成する送信委託情報生成手段
として機能させるプログラム。
【請求項17】
前記送信形態指定受付手段は、前記宛先指定受付手段が複数の宛先の指定を受け付けた場合において、個々の宛先毎に相異なる送信形態を指定することを許容するものである請求項16記載のプログラム。
【請求項18】
請求項7記載の情報処理システムを構成するために用いられるものであって、
対象となる少なくとも一の文書データの指定を受け付ける文書データ指定受付手段と、
前記文書データを送り届けるべき少なくとも一の宛先の指定を受け付ける宛先指定受付手段と、
前記文書データを宛先に送り届ける際の送信形態の指定を受け付ける送信形態指定受付手段と、
前記文書データ指定受付手段、前記宛先指定受付手段、及び、前記送信形態指定受付手段が受け付けた指定に基づき、対象となる文書データ、この文書データを送り届けるべき宛先を規定する宛先識別子、及び、この文書データを宛先に送り届ける際の送信形態を規定する形態識別子を含む送信委託情報を生成する送信委託情報生成手段と
を具備する情報処理端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−25056(P2006−25056A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199904(P2004−199904)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】