情報処理システムおよび情報処理システムの制御方法
【課題】入力装置と表示装置が物理的に分離した情報処理システムにおいて、消費電力の抑制とセキュリティー性の向上とを両立できるようにする。
【解決手段】表示装置10は、人体の接近を検出する第1の検出部としての接近検出部13と、第1の無線通信部としての表示装置無線通信部12と、表示装置10の動作状態を制御する第1の制御部としての表示装置制御部14とを備え、入力装置20は、表示装置10の識別情報を検出する第2の検出部と、表示装置無線通信部12との間で無線通信を行う第2の無線通信部としての入力装置無線通信部22と、第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、入力装置20の動作状態を制御する第2の制御部としての入力装置制御部24と、を備える。また、入力装置制御部24は第2の検出部の機能を有している。
【解決手段】表示装置10は、人体の接近を検出する第1の検出部としての接近検出部13と、第1の無線通信部としての表示装置無線通信部12と、表示装置10の動作状態を制御する第1の制御部としての表示装置制御部14とを備え、入力装置20は、表示装置10の識別情報を検出する第2の検出部と、表示装置無線通信部12との間で無線通信を行う第2の無線通信部としての入力装置無線通信部22と、第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、入力装置20の動作状態を制御する第2の制御部としての入力装置制御部24と、を備える。また、入力装置制御部24は第2の検出部の機能を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理技術に関し、例えば、入力装置を有する情報処理システムの省電力化及びセキュリティーに係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ユーザーが装置を使用しないときは節電し、ペンや指等の操作媒体やユーザー自身が装置に接近あるいは接触するだけで直ちに使用できる、省電力制御方式が記載されている。この省電力制御方式では、装置の筐体全体あるいは一部に、ユーザーが操作する媒体あるいはユーザーに付随する媒体が接近あるいは接触したことを検出し、当該媒体の接近あるいは接触状況に応じて当該装置の消費電力を制御する。これにより、例えば、ユーザーが装置の電源をつけたまま、長時間離席した場合、自動的に装置を節電状態の待機中としたり、ユーザーあるいはユーザーが操作するペンや指等の媒体が装置に接近または接触するだけで、直ちに本装置を使用可能な状態にしたりすることができる。
【0003】
また、下記の特許文献2には、ペンデバイスを正当な使用者が使用しているかどうかを判断できるようにする、使用者判別システム等が記載されている。この使用者判別システムでは、ペンデバイスと当該ペンデバイスの正当な使用者の特徴情報(例えば、筆跡情報)との対応をデータベースに記憶しておき、ペンデバイスの使用に際し、当該ペンデバイスに対応する特徴情報をデータベースから取得する。そして、当該システムは、取得した特徴情報と、当該ペンデバイスにて取得された当該ペンデバイスの使用者の特徴情報とに基づいて、当該使用者が正当な使用者であるかどうかを判断する。その結果、正当な使用者であると判断されれば、その使用者による当該ペンデバイスのその後の使用が許可される一方、正当な使用者でないと判断されれば、その使用者による当該ペンデバイスのその後の使用が拒絶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−119090号公報
【特許文献2】特開2007−004706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置および入力装置のそれぞれに特許文献1の技術を適用することで、人体の接近もしくは接触を検出してそれぞれパワーマネジメントを行うことが考えられる。しかしながら、特許文献1の省電力制御方式では、位置入力操作を行う場合を確からしく検出できない。なぜならば、位置入力操作が行われる条件は、ユーザーが意図する所定の入力装置と表示装置に人体が接近もしくは接触している場合である。表示装置と入力装置が分離した構成において、入力装置と表示装置はそれぞれ複数存在する場合がある。従って、表示装置および入力装置のそれぞれが、人体の接近もしくは接触を検出して個別にパワーマネジメントを行う場合、位置入力操作を確からしく検出できずに、表示装置もしくは入力装置を無駄に動作状態とする場合が多く、消費電力の削減効果が低いという課題がある。
【0006】
また、表示装置と入力装置が分離した構成においては、表示装置と入力装置のいずれか一方が正当な使用者ではない場合の使用を許可してしまう場合がある。特許文献2の技術の適用を試みたとしても、正当な使用者でない場合の使用が拒否できるのは、入力装置であるペンデバイスについてのみに留まる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る情報処理システムは、表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムであって、前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と、第1の無線通信部と、前記表示装置の動作状態を制御する第1の制御部を備え、前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と、前記第1の無線通信部との間で無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御する第2の制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御することができる。具体的には、表示装置に対する人体の検出と、入力装置が表示装置を識別した結果とに基づいた入力装置の動作状態の制御ができるため、利用者が意図する所定の入力装置と表示装置に人体が接近もしくは接触している場合を的確に検出できる。その結果、位置入力操作を確からしく検出でき、表示装置もしくは入力装置を無駄に動作状態とする可能性を低減することができるため、これによって、消費電力の低減と、表示装置と入力装置の組み合わせの制限によるセキュリティー性向上が可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記第2の制御部は、前記第1及び前記第2の検出部による検出結果に基づいて、前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ、前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させることを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、入力装置の位置動作開始を、当該入力装置に人体が接近し、かつ、特定の表示装置を識別した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記第1の制御部は、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、第1の無線通信部の動作を、人体が表示装置に接近した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記入力装置は前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、前記接触検出部による検出結果に基づいて人体が接触している間は前記第2の無線通信部を動作させ、人体が前記入力装置に接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、第2の無線通信部の動作を、人体が入力装置に接触した限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に、接近距離で通信可能な無線通信部であり、前記第1の制御部は、双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させることを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、第1の無線通信部と前記第2の無線通信部が無線通信を確立している間、第1の検出部の動作を停止することができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0018】
[適用例6]本適用例に係る情報処理システムの制御方法は、表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と第1の無線通信部とを備え、前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と第2の無線通信部とを備え、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とが無線通信する処理と、前記第1の検出部で人体が前記表示装置に接近したことを検出する処理と、前記第2の検出部により前記入力装置が前記表示装置の識別情報を検出したときに、前記入力装置の動作状態を制御する処理と、を有することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御することができる。具体的には、表示装置に対する人体の検出と、入力装置が表示装置を識別した結果とに基づいた入力装置の動作状態の制御ができるため、利用者が意図する所定の入力装置と表示装置に人体が接近もしくは接触している場合を的確に検出できる。その結果、位置入力操作を確からしく検出でき、表示装置もしくは入力装置を無駄に動作状態とする可能性を低減することができるため、これによって、消費電力の低減と、表示装置と入力装置の組み合わせの制限によるセキュリティー性向上が可能となる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記入力装置の動作状態を制御する処理は、
前記第1の検出部で前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ、前記第2の検出部で前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させる処理を含むことを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、入力装置の位置動作開始を、当該入力装置に人体が接近し、かつ、特定の表示装置を識別した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記表示装置の動作状態を制御する処理は、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする。
【0023】
本適用例によれば、第1の無線通信部の動作開始を、人体が表示装置に接近した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記入力装置は、前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、前記入力装置の動作状態を制御する処理は、前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触したことを検出している間は前記第2の無線通信部を動作させ、前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止させる処理を含むことを特徴とする。
【0025】
本適用例によれば、第2の無線通信部の動作を、人体が入力装置に接触した限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0026】
[適用例10]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に、接近距離で通信可能な無線通信部であり、前記表示装置の動作状態を制御する処理は、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部の双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させる処理を含むことを特徴とする。
【0027】
本適用例によれば、第1の無線通信部と前記第2の無線通信部が無線通信を確立している間、第1の検出部の動作を停止することができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一実施形態に係る情報処理システムの一例としての電子ペーパーシステムの構成例を模式的に示す図である。
【図2】図1に例示する入力装置及び表示装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に例示する表示体モジュールの構成例を示す図である。
【図4】図1及び図2に例示する表示装置の接近検出部に焦電型赤外線センサーを用いた構成例を示す図である。
【図5】図4に例示する焦電型赤外線センサーの構成例を示すブロック図である。
【図6】図1及び図2に例示する表示装置の接近検出部に静電容量センサーを用いた構成例を示す図である。
【図7】図6に例示する静電容量センサーの構成例を示すブロック図である。
【図8】図1及び図2に例示する入力装置の接触検出部に静電容量センサーを用いた構成例を示す図である。
【図9】図8に例示する静電容量センサーの構成例を示すブロック図である。
【図10】図1及び図2に例示する電子ペーパーシステムの動作例を説明するタイミングチャートである。
【図11】図2に例示する入力装置の動作例を示すフローチャートである。
【図12】図2に例示する表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【図13】図2に例示する表示装置の接近検出部の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0030】
〔背景〕
近年、電子ペーパーと呼ばれる、紙に近い表示特性を有する表示装置の実用化が進められている。このような表示装置の一例として、反射型表示装置が挙げられる。反射型表示装置は、バックライトを有する透過型液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の自発光型表示装置に比べて、外光を拡散的に反射する紙に近い表示が可能である。そのため、読みやすく目にやさしい表示を低消費電力で行なうことが可能である。反射型表示装置の代表例としては、EPD(Electrophoretic Display)と呼ばれる電気泳動方式の表示装置があり、例えば新聞紙よりも高いコントラスト比での表示が可能である。
【0031】
電子ペーパーと呼ばれる表示装置には、高コントラスト比での表示の他に、手書き入力等の入力が可能であることのニーズがある。すなわち、紙のように、読めるだけではなく書き込めることも求められている。
【0032】
このような入力機能は、例示的に、いわゆる手書き入力やユーザーインターフェイス(UI)操作等による情報(例えば、位置座標)の入力を受け付ける、デジタイザー等の入力装置を表示装置に設けることで実現可能である。
【0033】
ここで、EPD等の記憶性表示体を有する表示装置は、表示体に供給する電力をオフにしても表示状態を保持できる性質(記憶性)を有するため、装置に対する操作が行なわれない間は当該装置の動作状態を例えば停止あるいは電力消費量がアクティブな状態よりも低い待機(スタンバイ)状態(以下、まとめて「省電力モード」ともいう。)にすることで、消費電力の低減化を図ることができる。
【0034】
一方、入力装置については、例えば、手書き入力等による入力をユーザーが望む時にいつでも受け付け可能な状態としてユーザーの利便性を確保したい場合がある。そのため、入力装置はできるだけアクティブな状態にしておきたいが、消費電力が増加する。例示的に、電磁誘導方式や光学方式等の方式の座標入力装置では、数十mW(ミリワット)以上の電力を継続的に消費し得る。
【0035】
そこで、入力の有る場合に限って入力装置の動作をアクティブな状態に制御し、入力の無い場合には入力装置を省電力モードに制御すれば、消費電力を抑えることが可能である。「入力の有無」を判定する方法の例としては、表示装置に対する入力に用いられるスタイラスやペン等の入力デバイスやユーザーの指等と、表示装置との接近状態を検出する方法が考えられる。
【0036】
ここで、特許文献1には、装置筐体の全部又は一部に、ユーザーが操作する媒体あるいはユーザーに付随する媒体が接近したことを検出する技術が記載されているが、表示装置の省電力制御が可能になるに過ぎない。また、判定の確度が不十分なため、入力装置を有する表示装置に当該技術を単に適用しても、十分な省電力効果が得られない。例えば、表示装置に表示された文章等を読む場合にもユーザーは表示装置に接近した状態にあるため、入力装置に対して入力操作が行なわれない場合にも、入力装置はアクティブな状態にある。
【0037】
また、仮に省電力制御の対象を入力装置としても、どんなユーザーあるいはどんな媒体でも表示装置に接近しさえすれば、入力装置がアクティブな状態になるため、意図しないユーザーによる入力が許容され、セキュリティー面において不十分な場合がある。この点、特許文献2記載の技術によれば、正当な使用者でない者によるペンデバイスの使用を拒絶できる。しかし、入力装置は、アクティブな状態であることに変わりなく、電力を消費し続ける。
【0038】
そこで、以下に説明する実施形態では、表示装置と表示装置に対して座標入力等の入力を行う入力装置とを有する情報処理システム表示装置の消費電力の抑制とセキュリティー性の向上とを両立できるようにする。
【0039】
(システム構成例)
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの一例としての電子ペーパーシステムの構成例を模式的に示す図であり、図2は、図1に例示する電子ペーパーシステムの機能的な構成例を示すブロック図である。
【0040】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電子ペーパーシステム1は、例示的に、情報処理装置の一例としての表示装置10と、入力装置20と、を備える。
【0041】
表示装置10は、非限定的な一例として、EPD等の表示体(表示部)111を含む表示体モジュール11と、第1の無線通信部としての表示装置無線通信部12と、第1の検出部としての接近検出部13と、第1の制御部としての表示装置制御部14と、表示体駆動制御部15と、を備える。
【0042】
入力装置20は、非限定的な一例として、位置検出部21と、第2の無線通信部としての入力装置無線通信部22と、接触検出部23と、第2の制御部としての入力装置制御部24と、を備え、ユーザーによる表示装置10の表示面に対して手書き入力等の入力操作を検出する。入力装置20は、タッチペンやスタイラスと同様、ユーザーが手で持って位置指示操作可能な形態である。
【0043】
入力装置20が備える位置検出部21は、表示体モジュール11の表示面において入力装置20が接触した位置に関する情報(例えば座標)を検出し、検出した位置座標情報を、入力装置無線通信部22から表示装置無線通信部12を介して、表示装置制御部14に出力する。表示装置制御部14は、位置検出部21で検出された位置座標情報に基づき表示体駆動制御部15を介し表示体111の表示状態を制御する。これにより、例えば、入力装置20が表示体モジュール11に接触しながら移動した際の軌跡を表示体111に表示することができ、手書き入力の様子等を表示体111に、随時、表示することができる。
【0044】
入力装置20が表示体モジュール11の表示面に触れている位置の検出には、非限定的な一例として、表示面上に形成された位置情報コードを光学的に読み取る位置検出方式を用いることができる。例えば、表示体111の上面に積層して形成する位置情報層112に形成された位置情報コード113(図3参照)を、入力装置20の撮像部212で撮像した画像情報を処理することで位置を検出することができる。
【0045】
具体例として、表示体モジュール11は図3に例示するように、表示体111の上面に位置情報層112を積層して形成される。位置情報層112は、表示体111の表示光を透過するように可視光を略透過する性質を持ち、かつ、所定の情報図形が描画された位置情報コード113が略全面に形成された層である。この情報図形は、所定の波長帯域の光を選択的に反射する反射部115と、上記光を反射しない非反射部114とで描画される。位置情報層112に形成された非反射部114のパターンは、ドットコード等による位置コード(位置情報を符号化したパターン)となっている。この様な手法は、例えば、特開2006−277492号公報や特開2006−127081号公報に述べられているように、位置情報コードを検出することで、位置情報コードが印刷された位置を一意に規定できる。
【0046】
なお、本実施形態の入力装置20は、タッチペンやスタイラスと同様の形態をしており、表示装置10と物理的に分離した形態である。表示装置10には位置検出に関わる構成要素として位置情報層112が存在するのみである。よって、本実施形態の表示面上の位置情報コード113を光学的に読み取る位置検出方式は、入力装置20と表示装置10とを分離することで、表示装置10の構成要素部品を減らし、軽量、薄型化することができるため、電子ペーパーシステム1に適した表示装置10の形態を実現することができるメリットを有する。
【0047】
(位置検出部)
位置検出部21は、照明部211と、撮像部212と、画像処理部213と、位置情報取得部214と、座標変換部215と、を備える。
【0048】
照明部211は、入力装置20の略先端に配置されるLEDにより構成され、赤外光を照射する。入力装置20がユーザーに把持されて、表示体モジュール11の表示面を指示した場合、照明部211が照射する赤外光は、位置情報層112の位置情報コード113を照射するように構成される。
【0049】
撮像部212は、入力装置20の略先端に配置されるCCDにより構成され、入力装置20がユーザーに把持されて、表示体モジュール11の表示面を指示した場合、位置情報層112の所定の領域を撮像して、電気信号に変換する。なお、図示は略すが、撮像部212に光が入射する入射口付近には、CCDの撮像面に表示面の像を形成するための撮像光学系が備えられ、赤外光の波長帯域の光のみを透過するフィルター部材が配される。したがって、撮像部212は、上記した反射部115と非反射部114とで構成される位置情報コード113の情報図形のみを撮像する。変換した電気信号は、画像処理部に送られる。
【0050】
画像処理部213は、撮像部212から送られる電気信号が示す画像を、デジタル処理することで位置情報コード113の非反射部114が示す描画パターンを抽出して、位置情報取得部214に送る。
【0051】
位置情報取得部214は、描画パターンの配置の特徴から、符号列を抽出し、この符号列を復号して位置情報を取得する。
【0052】
座標変換部215は、位置情報取得部214で求めた位置情報から、入力装置20の先端部が指示する表示体モジュール11上の位置を示す座標値を算出し、入力装置無線通信部22を介して表示装置10に送る。
【0053】
(接近検出部)
接近検出部13は、第1の検出部の一例であり、ユーザーの人体(例えば、入力装置20を持った手や指等)が表示装置10に接近しているか否かを検出する。接近検出部13で検出した情報(以下、「人体接近情報」という)は、表示装置制御部14に出力される。接近検出部13には、例示的に、図4及び図5に示す焦電型赤外線センサー13Aや、図6及び図7に示す静電容量センサー13Bを適用できる。
【0054】
(焦電型赤外線センサー)
図4及び図5に示す焦電型赤外線センサー13Aは、例示的に、焦電素子131と、アンプ132と、判定部133と、を備える。
【0055】
焦電素子131は、焦電効果によって赤外線を含む光を検出する素子であり、光を熱源とした温度変化に応じた信号(例えば、電圧信号)を検出信号として出力する。焦電型赤外線センサー13Aの外部には、焦電素子131に向けて赤外線を集光するレンズ134を設けることができる。
【0056】
レンズ134を設けることで、焦電素子131の検出感度を上げることができ、また、検出可能範囲を拡大することができる。レンズ134及び焦電型赤外線センサー13Aは、図4に模式的に例示するように、表示装置10の表示体モジュール11(位置座標検出面)に接近する人体(例えば、入力装置20を持ったユーザーの手や指)が発する赤外線を検出できるように例えば表示装置10に検出可能範囲の向き等が調整されて配置される。
【0057】
アンプ132は、焦電素子131の検出信号を増幅し、判定部133は、アンプ132で増幅された検出信号が所定の閾値を超えているか否かを判定する。検出信号が閾値を超えていれば、判定部133は、人体が表示体モジュール11に接近していると判定し、検出信号が閾値を超えていなければ、人体が表示体モジュール11から離れていると判定する。判定部133の判定結果は、表示装置制御部14へ与えられる。
【0058】
これにより、表示装置制御部14は、表示体モジュール11に人体が接近しているか否かを認識することができる。なお、表示装置制御部14において判定部133の判定結果をサンプリングする周期(つまりは、接近検知周期)は、適宜の周期に設定、変更可能である。サンプリング周期を短くするほど、接近検知感度を上げることができる。
【0059】
(静電容量センサー)
一方、図6及び図7に示す静電容量センサー13Bは、例示的に、静電容量検出電極135と、コンデンサーC1と、アンプ136と、判定部137と、を備える。
【0060】
静電容量検出電極135は、人体(例えば、入力装置20を持った手)が表示装置10に接近し、人体を通じてアース(グランド)された場合に生じる静電容量Csの変化に応じた電気信号(例えば、電圧信号)を検出信号として出力する。静電容量検出電極135は、検出対象とすべき範囲に応じて適当な形状及び数で配置することができる。図6には、非限定的な一例として、平面視において矩形状の表示体モジュール11の周辺部に3つの帯状の静電容量検出電極135を配置した例を示している。
【0061】
コンデンサーC1は、静電容量検出電極135の検出信号のノイズ成分をカットし、アンプ136は、検出信号を増幅し、判定部137は、アンプ136で増幅された検出信号が所定の閾値を超えているか否かを判定する。検出信号が閾値を超えていれば、判定部137は、人体が表示体モジュール11に接近していると判定し、検出信号が閾値超えていなければ、人体が表示体モジュール11から離れていると判定する。判定部137の判定結果は、表示装置制御部14へ与えられる。
【0062】
(接触検出部)
入力装置20が備える接触検出部23は、ユーザーの人体が入力装置20に接触しているか否かを検出する。接触検出部23で検出した情報(以下、「人体接触情報」という)は、入力装置制御部24に出力される。接触検出部23には、例示的に、図8及び図9に示す静電容量センサー23Aを適用できる。
【0063】
(静電容量センサー)
図8及び図9に示す静電容量センサー23Aは、例示的に、静電容量検出電極231と、コンデンサーC2と、アンプ232と、判定部233と、を備える。
【0064】
静電容量検出電極231は、人体が入力装置20に接触し、人体を通じてアース(グランド)された場合に生じる静電容量Cs2の変化に応じた電気信号(例えば、電圧信号)を検出信号として出力する。静電容量検出電極231は、検出対象とすべき範囲に応じて適当な形状及び数で配置することができる。図8には、非限定的な一例として、入力装置20の外装に矩形状の静電容量検出電極231を配置した例を示している。
【0065】
コンデンサーC2は、静電容量検出電極231の検出信号のノイズ成分をカットし、アンプ232は、検出信号を増幅し、判定部233は、アンプ232で増幅された検出信号が所定の閾値を超えているか否かを判定する。検出信号が閾値を超えていれば、判定部233は、人体が入力装置20に接触していると判定し、検出信号が閾値超えていなければ、人体が入力装置20から離れていると判定する。判定部233の判定結果は、入力装置制御部24へ与えられる。
【0066】
(表示装置無線通信部)
表示装置10における表示装置無線通信部12は、第1の無線通信部の一例であり、入力装置20の入力装置無線通信部22と間で無線通信を行う、近距離無線手段である。
表示装置制御部14の制御により、表示装置10の識別情報(ID)の送信や、入力装置無線通信部22が送信する位置座標情報の受信を行う。
【0067】
(入力装置無線通信部)
入力装置20における入力装置無線通信部22は、第2の無線通信部の一例であり、表示装置10の表示装置無線通信部12と間で無線通信を行う、近距離無線手段である。
入力装置制御部24の制御により、表示装置10の識別情報(ID)の受信や、表示装置無線通信部12に対して位置座標情報の送信を行う。
【0068】
(表示装置制御部)
表示装置10における表示装置制御部14は、第1の制御部の一例であり、表示装置10の各構成要素の動作の制御を行う。
【0069】
(入力装置制御部)
入力装置20における入力装置制御部24は、第2の制御部の一例であり、入力装置20の各構成要素の動作の制御を行う。同時に、入力装置制御部24は第2の検出部の一例でもあり、入力装置無線通信部22を介して受信した表示装置10の識別情報(ID)を検出判定する。
【0070】
入力装置制御部24は、無線通信によって伝達される、接近検出部13で検出された人体接近情報と、表示装置制御部14から出力された表示装置10の識別情報(ID)とに基づいて、入力装置20の動作状態を制御する。
【0071】
例えば、入力装置制御部24は、人体接近情報からユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知し、かつ、表示装置10から受信したIDが所定の登録IDに一致(適合)することを確認(認証成功)すると、位置検出部21の動作状態をアクティブな状態に制御する。これにより、位置検出部21による位置検出が開始される。
【0072】
一方、いずれかの条件が成立しなければ、入力装置制御部24は、位置検出部21の動作状態を省電力モードに制御する。省電力モードにおいて、位置検出部21は、位置検出動作を停止する。接近検出部13にて人体接近情報が検出されてから所定時間内にID認証に成功しなかった場合(表示装置10のIDを受信できない場合も含む)にも、入力装置制御部24は、位置検出部21による位置検出動作を省電力モードに制御してよい。
【0073】
入力装置制御部24において表示装置10のID認証に用いる登録IDは、例示的に、入力装置制御部24に備えられたRAM等のメモリー(図示省略)に記憶しておくことができる。当該メモリーに記憶しておくIDの数は、入力装置20の操作を許可された正当なユーザーに割り当てられた1又は複数の表示装置10に対応した数とすることができる。
【0074】
なお、表示装置制御部14は、接近検出部13が検出する人体接近情報から、ユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知すると表示装置無線通信部12を動作させ、ユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知しないと表示装置無線通信部12を動作させない制御をしてもよい。この場合、表示装置無線通信部12の動作を人体接近情報が検出された場合に限ることができるので、表示装置10の消費電力を抑えることができる。
【0075】
また、入力装置制御部24は、接触検出部23が検出する人体接触情報から、ユーザー(人体)が入力装置20に対して接触したことを認知すると入力装置無線通信部22を動作させ、ユーザー(人体)が入力装置20に対して接触したことを認知しないと入力装置無線通信部22を動作させない制御をしてもよい。この場合、入力装置無線通信部22の動作を人体接触情報が検出された場合に限ることができるので、入力装置20の消費電力を抑えることができる。
【0076】
さらに、表示装置制御部14は、接近検出部13が検出する人体接近情報から、ユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知し表示装置無線通信部12を動作させた後、入力装置無線通信部22との通信が確立している間、接近検出部13の動作を停止させてもよい。この場合、人体接近して通信動作が確立している間、つまり、位置検出を行っている時は、接近検出部13の動作を停止することができるので、表示装置10の消費電力を抑えることができる。なお、表示装置無線通信部12と入力装置無線通信部22の通信動作の確立が解除された状態、つまり位置検出を行わない状態になったら、接近検出部13を動作状態にして、人体接近検出を有効にする。
【0077】
入力装置20に接近した表示装置10のID認証が成功して位置検出部21の動作状態がアクティブ状態となれば、入力装置制御部24は、位置検出部21から与えられた位置座標情報を、入力装置無線通信部22から表示装置無線通信部12を介し、表示装置制御部14に出力する。
【0078】
表示装置制御部14は位置座標情報に応じた制御信号を表示体駆動制御部15に与え、表示体駆動制御部15は表示体111の表示状態を制御する。これにより、表示体モジュール11に対するユーザーの入力装置20を用いた入力操作に応じた表示(入力装置20の表示体モジュール11上での軌跡等)が表示体111においてなされる。
【0079】
以下、上述の電子ペーパーシステム1の動作例について、図10、図11、図12及び図13を用いて説明する。
【0080】
図11は、入力装置制御部24が実行する入力装置20の省電力モード解除に関わる処理を示し、この一連の処理は周期的に繰り返し実行される。図12は、表示装置制御部14が実行する表示装置10の省電力モード解除に関わる処理を示し、この一連の処理は周期的に繰り返し実行される。
【0081】
入力装置20が起動されると、入力装置制御部24が接触検出部23を起動して接触検出部23による人体接触検出動作を開始させる。入力装置制御部24は、接触検出部23の出力(判定結果)から、人体(例えば、ユーザーの手や指)が入力装置20に接触したか否かを判定する(図11の処理P110)。
【0082】
処理P110の結果、人体が入力装置20に接触したことを入力装置制御部24が認知すると、入力装置制御部24は、入力装置無線通信部22をオン状態に制御して、無線通信動作を開始する(図11の処理P120、図10の時刻T1もしくは時刻T9)。同時に入力装置無線通信部22は無線通信可能な表示装置10の検索を開始する(図11の処理P130)。
【0083】
なお、処理P110の結果、人体が入力装置20に接触していないことを入力装置制御部24が認知すると、入力装置制御部24は、入力装置無線通信部22をオフ状態に制御する(図11の処理P121)。
【0084】
表示装置10が起動されると、表示装置制御部14が接近検出部13を起動して接近検出部13による人体接近検出動作を開始させる。表示装置制御部14は、接近検出部13の出力(判定結果)から、人体(例えば、入力装置20を持ったユーザーの手や指)が表示装置10に接近したか否かを判定する(図12の処理P210)。
【0085】
処理P210の結果、人体が表示装置10に接近したことを表示装置制御部14が認知すると、表示装置制御部14は、表示装置無線通信部12をオン状態に制御して、無線通信動作を開始する(図12の処理P220、図10の時刻T2もしくは時刻T10)。同時に表示装置無線通信部12は無線通信可能な入力装置20の検索を開始する(図12の処理P230)。
【0086】
なお、処理P210の結果、人体が表示装置10に接近していないことを表示装置制御部14が認知すると、表示装置制御部14は、表示装置無線通信部12をオフ状態に制御する(図12の処理P221)。
【0087】
入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12が共にオン状態となった場合、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12は互いの検索結果から、互いに無線通信可能と判別し、互いの通信が確立する(図11の処理P140のYルート、図12の処理P240のYルート、図10の時刻T3もしくは時刻T11)。
【0088】
通信が確立した後(図10の時刻T4もしくは時刻T12)、表示装置無線通信部12は表示装置制御部14の制御により表示装置10の識別情報(ID)を送信する(図12の処理P250)。
【0089】
そして、入力装置制御部24の制御により入力装置無線通信部22が表示装置10の識別情報(ID)を受信すると(図11の処理P150のYルート)、入力装置制御部24は、受信IDが登録(記憶)IDに適合するか否かを判定する(図11の処理P160)。
【0090】
判定の結果、受信IDが登録IDに適合しなければ(図11の処理P160のNルート、図10の時刻T5)、入力装置制御部24は、位置検出部21にオフ信号(省電力モード指示)を与えて入力検出部21を省電力モードに制御(変更又は維持)する(図11の処理P171)。
【0091】
一方、判定の結果、受信IDが登録IDに適合した場合(図11の処理P160のYルート、図10の時刻T13)、入力装置制御部24は、位置検出部21にオン信号(アクティブモード指示)を与えて入力検出部21をアクティブな状態に制御(変更又は維持)する(図11の処理P170、図10の時刻T14)。
【0092】
その後、入力装置20を用いた入力操作が表示体モジュール11に対してなされると、位置検出部21にて当該入力操作に応じた位置座標情報が時系列に検出される。入力装置制御部24は、位置検出部21にて検出された位置座標情報を、入力装置無線通信部22から表示装置無線通信部12を介し、表示装置制御部14に出力する。表示装置制御部14は、位置座標情報に応じた制御信号を表示体駆動制御部15に与え、表示体111の表示状態を制御する。(図10の時刻T15〜T17)。
【0093】
なお、表示装置制御部14は、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12の通信が確立を検出した場合は(図13の処理P310のYルート)、接近検出部13の動作状態をオフし(図13の処理P320)、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12の通信が確立していないことを検出した場合は(図13の処理P310のNルート)、接近検出部13の動作状態をオンしてもよい(図13の処理P321)。この場合、人体が接近して通信動作が確立している間、つまり、位置検出を行っている時は、接近検出部13の動作を停止することができるので、表示装置10の消費電力を抑えることができる。
【0094】
以上のように、上述した実施形態によれば、入力装置20に接近した表示装置10のIDが適合した場合に位置検出部21の動作状態がアクティブな状態に制御され、入力装置20による入力操作が受け付けられるので、位置検出部21の動作時間を短縮できる。したがって、位置検出部21の消費電力、ひいては入力装置20の消費電力を抑えることができる。例えば、表示装置10に対する人体の接近検出および入力装置20に対する人体の接触検出に要する電力と、入力装置20に対する表示装置10のID識別に要する電力との和が、位置検出部21を省電力状態にすることで削減できる電力よりも小さければ、電子ペーパーシステム1の消費電力を低減できる。
【0095】
なお、本実施形態の入力装置20と表示装置10とが物理的に分離したシステム構成は、表示装置10の構成要素部品を減らし、表示装置10を軽量、薄型化することができるため、電子ペーパーシステム1に適している。このような入力装置20と表示装置10が分離した電子ペーパーシステム1において、低消費電力化を実現できる。
【0096】
また、人体接近情報と表示装置10のID識別とを基に位置検出部21の動作を制御するので、ユーザーが入力操作を行なおうとする状況の判定確度を上げることができる。したがって、ユーザーによる入力操作がある期間を適切に識別して、当該期間に限って位置検出部21をアクティブな状態に制御できるので、省電力性を向上できる。
【0097】
さらに、所定のIDを有する表示装置10でないと位置検出部21がアクティブ状態にならない(つまり、表示装置10に対する入力操作が受け付けられない)ので、表示装置10に対して入力が可能な人を限定することができ、表示装置10のセキュリティー性を向上することができる。
【0098】
また、入力装置を持ったユーザーの手や指が所定IDを有する表示装置10へ接近したり離れたりする状況に応じて位置検出部21の動作状態が制御されるので、ユーザーは、特別な操作を行なわなくても、また、意識せずに、省電力制御を実現できる。
例えば、所定のIDを有する表示装置10が入力装置20に接近した状態、つまりユーザーが入力を行なう前に表示装置10と入力装置20をアクティブな状態にできる(省電力モードの解除を完了できる)ので、ユーザーの利便性を向上することができる。
【0099】
さらに、表示装置10は、接近検出部13でユーザーの手や指が表示装置10へ接近したことを検出した場合に限って、表示装置無線通信部12の動作を有効にする(開始する)ことで、表示装置10の更なる省電力化を図ることできる。入力装置20と表示装置10が物理的に分離したシステム形態においては、入力装置20と通信を行うために表示装置無線通信部12が必要となるが、その動作電力を低減することができる。
【0100】
また、入力装置20は、接触検出部23でユーザーの手や指が入力装置20へ接触したことを検出した場合に限って、入力装置無線通信部22の動作を有効にする(開始する)ことで、入力装置20の更なる省電力化を図ることできる。入力装置20と表示装置10が物理的に分離したシステム形態においては、表示装置10と通信を行うために入力装置無線通信部22が必要となるが、その動作電力を低減することができる。
【0101】
さらに、表示装置10は、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12の通信が確立している間は、接近検出部13の動作状態をオフすることで、接近検出部13の動作電力を低減し、表示装置10の更なる省電力化を図ることができる。
【0102】
(その他)
上述した実施形態にける表示装置10は、EPD等の電気泳動表示装置の他、他の記憶性反射型表示装置(例えば、エレクトロクロミック等)や、記憶性を有さない表示装置(例えば、TN液晶を用いる液晶表示装置、有機EL等)でもよい。ただし、省電力性を有する電気泳動表示装置等の記憶性反射型表示装置を用いるシステムにおいては、他の種類の表示装置を用いる場合に比べて位置検出部21が占める消費電力の比率が高いため、システム全体としての消費電力の削減効果が大きく、より効果的である。
【0103】
また、位置検出部方式には、上述した表示面上に形成された位置情報コード113を光学的に読み取る位置検出方式の他、電磁誘導方式、超音波方式、赤外線方式等の他の方式の位置検出方式を適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…電子ペーパーシステム、10…表示装置、11…表示体モジュール、12…表示装置無線通信部、13…接近検出部、14…表示装置制御部、15…表示体駆動制御部、20…入力装置、21…位置検出部、22…入力装置無線通信部、23…接触検出部、24…入力装置制御部、111…表示体、112…位置情報層、113…位置情報コード、114…非反射部、115…反射部、13A…焦電型赤外線センサー、13B,23A…静電容量センサー、131…焦電素子、132,136,232…アンプ、133,137,233…判定部、134…レンズ、135,231…静電容量検出電極、211…照明部、212…撮像部、213…画像処理部、214…位置情報取得部、215…座標変換部、C1,C2…コンデンサー、Cs,Cs2…静電容量。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理技術に関し、例えば、入力装置を有する情報処理システムの省電力化及びセキュリティーに係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ユーザーが装置を使用しないときは節電し、ペンや指等の操作媒体やユーザー自身が装置に接近あるいは接触するだけで直ちに使用できる、省電力制御方式が記載されている。この省電力制御方式では、装置の筐体全体あるいは一部に、ユーザーが操作する媒体あるいはユーザーに付随する媒体が接近あるいは接触したことを検出し、当該媒体の接近あるいは接触状況に応じて当該装置の消費電力を制御する。これにより、例えば、ユーザーが装置の電源をつけたまま、長時間離席した場合、自動的に装置を節電状態の待機中としたり、ユーザーあるいはユーザーが操作するペンや指等の媒体が装置に接近または接触するだけで、直ちに本装置を使用可能な状態にしたりすることができる。
【0003】
また、下記の特許文献2には、ペンデバイスを正当な使用者が使用しているかどうかを判断できるようにする、使用者判別システム等が記載されている。この使用者判別システムでは、ペンデバイスと当該ペンデバイスの正当な使用者の特徴情報(例えば、筆跡情報)との対応をデータベースに記憶しておき、ペンデバイスの使用に際し、当該ペンデバイスに対応する特徴情報をデータベースから取得する。そして、当該システムは、取得した特徴情報と、当該ペンデバイスにて取得された当該ペンデバイスの使用者の特徴情報とに基づいて、当該使用者が正当な使用者であるかどうかを判断する。その結果、正当な使用者であると判断されれば、その使用者による当該ペンデバイスのその後の使用が許可される一方、正当な使用者でないと判断されれば、その使用者による当該ペンデバイスのその後の使用が拒絶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−119090号公報
【特許文献2】特開2007−004706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置および入力装置のそれぞれに特許文献1の技術を適用することで、人体の接近もしくは接触を検出してそれぞれパワーマネジメントを行うことが考えられる。しかしながら、特許文献1の省電力制御方式では、位置入力操作を行う場合を確からしく検出できない。なぜならば、位置入力操作が行われる条件は、ユーザーが意図する所定の入力装置と表示装置に人体が接近もしくは接触している場合である。表示装置と入力装置が分離した構成において、入力装置と表示装置はそれぞれ複数存在する場合がある。従って、表示装置および入力装置のそれぞれが、人体の接近もしくは接触を検出して個別にパワーマネジメントを行う場合、位置入力操作を確からしく検出できずに、表示装置もしくは入力装置を無駄に動作状態とする場合が多く、消費電力の削減効果が低いという課題がある。
【0006】
また、表示装置と入力装置が分離した構成においては、表示装置と入力装置のいずれか一方が正当な使用者ではない場合の使用を許可してしまう場合がある。特許文献2の技術の適用を試みたとしても、正当な使用者でない場合の使用が拒否できるのは、入力装置であるペンデバイスについてのみに留まる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る情報処理システムは、表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムであって、前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と、第1の無線通信部と、前記表示装置の動作状態を制御する第1の制御部を備え、前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と、前記第1の無線通信部との間で無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御する第2の制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御することができる。具体的には、表示装置に対する人体の検出と、入力装置が表示装置を識別した結果とに基づいた入力装置の動作状態の制御ができるため、利用者が意図する所定の入力装置と表示装置に人体が接近もしくは接触している場合を的確に検出できる。その結果、位置入力操作を確からしく検出でき、表示装置もしくは入力装置を無駄に動作状態とする可能性を低減することができるため、これによって、消費電力の低減と、表示装置と入力装置の組み合わせの制限によるセキュリティー性向上が可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記第2の制御部は、前記第1及び前記第2の検出部による検出結果に基づいて、前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ、前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させることを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、入力装置の位置動作開始を、当該入力装置に人体が接近し、かつ、特定の表示装置を識別した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記第1の制御部は、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、第1の無線通信部の動作を、人体が表示装置に接近した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記入力装置は前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、前記接触検出部による検出結果に基づいて人体が接触している間は前記第2の無線通信部を動作させ、人体が前記入力装置に接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、第2の無線通信部の動作を、人体が入力装置に接触した限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に記載の情報処理システムにおいて、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に、接近距離で通信可能な無線通信部であり、前記第1の制御部は、双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させることを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、第1の無線通信部と前記第2の無線通信部が無線通信を確立している間、第1の検出部の動作を停止することができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0018】
[適用例6]本適用例に係る情報処理システムの制御方法は、表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と第1の無線通信部とを備え、前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と第2の無線通信部とを備え、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とが無線通信する処理と、前記第1の検出部で人体が前記表示装置に接近したことを検出する処理と、前記第2の検出部により前記入力装置が前記表示装置の識別情報を検出したときに、前記入力装置の動作状態を制御する処理と、を有することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御することができる。具体的には、表示装置に対する人体の検出と、入力装置が表示装置を識別した結果とに基づいた入力装置の動作状態の制御ができるため、利用者が意図する所定の入力装置と表示装置に人体が接近もしくは接触している場合を的確に検出できる。その結果、位置入力操作を確からしく検出でき、表示装置もしくは入力装置を無駄に動作状態とする可能性を低減することができるため、これによって、消費電力の低減と、表示装置と入力装置の組み合わせの制限によるセキュリティー性向上が可能となる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記入力装置の動作状態を制御する処理は、
前記第1の検出部で前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ、前記第2の検出部で前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させる処理を含むことを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、入力装置の位置動作開始を、当該入力装置に人体が接近し、かつ、特定の表示装置を識別した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記表示装置の動作状態を制御する処理は、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする。
【0023】
本適用例によれば、第1の無線通信部の動作開始を、人体が表示装置に接近した場合に限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記入力装置は、前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、前記入力装置の動作状態を制御する処理は、前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触したことを検出している間は前記第2の無線通信部を動作させ、前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止させる処理を含むことを特徴とする。
【0025】
本適用例によれば、第2の無線通信部の動作を、人体が入力装置に接触した限ることができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【0026】
[適用例10]上記適用例に記載の情報処理システムの制御方法において、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に、接近距離で通信可能な無線通信部であり、前記表示装置の動作状態を制御する処理は、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部の双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させる処理を含むことを特徴とする。
【0027】
本適用例によれば、第1の無線通信部と前記第2の無線通信部が無線通信を確立している間、第1の検出部の動作を停止することができるため、これによって、消費電力の低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一実施形態に係る情報処理システムの一例としての電子ペーパーシステムの構成例を模式的に示す図である。
【図2】図1に例示する入力装置及び表示装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に例示する表示体モジュールの構成例を示す図である。
【図4】図1及び図2に例示する表示装置の接近検出部に焦電型赤外線センサーを用いた構成例を示す図である。
【図5】図4に例示する焦電型赤外線センサーの構成例を示すブロック図である。
【図6】図1及び図2に例示する表示装置の接近検出部に静電容量センサーを用いた構成例を示す図である。
【図7】図6に例示する静電容量センサーの構成例を示すブロック図である。
【図8】図1及び図2に例示する入力装置の接触検出部に静電容量センサーを用いた構成例を示す図である。
【図9】図8に例示する静電容量センサーの構成例を示すブロック図である。
【図10】図1及び図2に例示する電子ペーパーシステムの動作例を説明するタイミングチャートである。
【図11】図2に例示する入力装置の動作例を示すフローチャートである。
【図12】図2に例示する表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【図13】図2に例示する表示装置の接近検出部の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0030】
〔背景〕
近年、電子ペーパーと呼ばれる、紙に近い表示特性を有する表示装置の実用化が進められている。このような表示装置の一例として、反射型表示装置が挙げられる。反射型表示装置は、バックライトを有する透過型液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の自発光型表示装置に比べて、外光を拡散的に反射する紙に近い表示が可能である。そのため、読みやすく目にやさしい表示を低消費電力で行なうことが可能である。反射型表示装置の代表例としては、EPD(Electrophoretic Display)と呼ばれる電気泳動方式の表示装置があり、例えば新聞紙よりも高いコントラスト比での表示が可能である。
【0031】
電子ペーパーと呼ばれる表示装置には、高コントラスト比での表示の他に、手書き入力等の入力が可能であることのニーズがある。すなわち、紙のように、読めるだけではなく書き込めることも求められている。
【0032】
このような入力機能は、例示的に、いわゆる手書き入力やユーザーインターフェイス(UI)操作等による情報(例えば、位置座標)の入力を受け付ける、デジタイザー等の入力装置を表示装置に設けることで実現可能である。
【0033】
ここで、EPD等の記憶性表示体を有する表示装置は、表示体に供給する電力をオフにしても表示状態を保持できる性質(記憶性)を有するため、装置に対する操作が行なわれない間は当該装置の動作状態を例えば停止あるいは電力消費量がアクティブな状態よりも低い待機(スタンバイ)状態(以下、まとめて「省電力モード」ともいう。)にすることで、消費電力の低減化を図ることができる。
【0034】
一方、入力装置については、例えば、手書き入力等による入力をユーザーが望む時にいつでも受け付け可能な状態としてユーザーの利便性を確保したい場合がある。そのため、入力装置はできるだけアクティブな状態にしておきたいが、消費電力が増加する。例示的に、電磁誘導方式や光学方式等の方式の座標入力装置では、数十mW(ミリワット)以上の電力を継続的に消費し得る。
【0035】
そこで、入力の有る場合に限って入力装置の動作をアクティブな状態に制御し、入力の無い場合には入力装置を省電力モードに制御すれば、消費電力を抑えることが可能である。「入力の有無」を判定する方法の例としては、表示装置に対する入力に用いられるスタイラスやペン等の入力デバイスやユーザーの指等と、表示装置との接近状態を検出する方法が考えられる。
【0036】
ここで、特許文献1には、装置筐体の全部又は一部に、ユーザーが操作する媒体あるいはユーザーに付随する媒体が接近したことを検出する技術が記載されているが、表示装置の省電力制御が可能になるに過ぎない。また、判定の確度が不十分なため、入力装置を有する表示装置に当該技術を単に適用しても、十分な省電力効果が得られない。例えば、表示装置に表示された文章等を読む場合にもユーザーは表示装置に接近した状態にあるため、入力装置に対して入力操作が行なわれない場合にも、入力装置はアクティブな状態にある。
【0037】
また、仮に省電力制御の対象を入力装置としても、どんなユーザーあるいはどんな媒体でも表示装置に接近しさえすれば、入力装置がアクティブな状態になるため、意図しないユーザーによる入力が許容され、セキュリティー面において不十分な場合がある。この点、特許文献2記載の技術によれば、正当な使用者でない者によるペンデバイスの使用を拒絶できる。しかし、入力装置は、アクティブな状態であることに変わりなく、電力を消費し続ける。
【0038】
そこで、以下に説明する実施形態では、表示装置と表示装置に対して座標入力等の入力を行う入力装置とを有する情報処理システム表示装置の消費電力の抑制とセキュリティー性の向上とを両立できるようにする。
【0039】
(システム構成例)
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの一例としての電子ペーパーシステムの構成例を模式的に示す図であり、図2は、図1に例示する電子ペーパーシステムの機能的な構成例を示すブロック図である。
【0040】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電子ペーパーシステム1は、例示的に、情報処理装置の一例としての表示装置10と、入力装置20と、を備える。
【0041】
表示装置10は、非限定的な一例として、EPD等の表示体(表示部)111を含む表示体モジュール11と、第1の無線通信部としての表示装置無線通信部12と、第1の検出部としての接近検出部13と、第1の制御部としての表示装置制御部14と、表示体駆動制御部15と、を備える。
【0042】
入力装置20は、非限定的な一例として、位置検出部21と、第2の無線通信部としての入力装置無線通信部22と、接触検出部23と、第2の制御部としての入力装置制御部24と、を備え、ユーザーによる表示装置10の表示面に対して手書き入力等の入力操作を検出する。入力装置20は、タッチペンやスタイラスと同様、ユーザーが手で持って位置指示操作可能な形態である。
【0043】
入力装置20が備える位置検出部21は、表示体モジュール11の表示面において入力装置20が接触した位置に関する情報(例えば座標)を検出し、検出した位置座標情報を、入力装置無線通信部22から表示装置無線通信部12を介して、表示装置制御部14に出力する。表示装置制御部14は、位置検出部21で検出された位置座標情報に基づき表示体駆動制御部15を介し表示体111の表示状態を制御する。これにより、例えば、入力装置20が表示体モジュール11に接触しながら移動した際の軌跡を表示体111に表示することができ、手書き入力の様子等を表示体111に、随時、表示することができる。
【0044】
入力装置20が表示体モジュール11の表示面に触れている位置の検出には、非限定的な一例として、表示面上に形成された位置情報コードを光学的に読み取る位置検出方式を用いることができる。例えば、表示体111の上面に積層して形成する位置情報層112に形成された位置情報コード113(図3参照)を、入力装置20の撮像部212で撮像した画像情報を処理することで位置を検出することができる。
【0045】
具体例として、表示体モジュール11は図3に例示するように、表示体111の上面に位置情報層112を積層して形成される。位置情報層112は、表示体111の表示光を透過するように可視光を略透過する性質を持ち、かつ、所定の情報図形が描画された位置情報コード113が略全面に形成された層である。この情報図形は、所定の波長帯域の光を選択的に反射する反射部115と、上記光を反射しない非反射部114とで描画される。位置情報層112に形成された非反射部114のパターンは、ドットコード等による位置コード(位置情報を符号化したパターン)となっている。この様な手法は、例えば、特開2006−277492号公報や特開2006−127081号公報に述べられているように、位置情報コードを検出することで、位置情報コードが印刷された位置を一意に規定できる。
【0046】
なお、本実施形態の入力装置20は、タッチペンやスタイラスと同様の形態をしており、表示装置10と物理的に分離した形態である。表示装置10には位置検出に関わる構成要素として位置情報層112が存在するのみである。よって、本実施形態の表示面上の位置情報コード113を光学的に読み取る位置検出方式は、入力装置20と表示装置10とを分離することで、表示装置10の構成要素部品を減らし、軽量、薄型化することができるため、電子ペーパーシステム1に適した表示装置10の形態を実現することができるメリットを有する。
【0047】
(位置検出部)
位置検出部21は、照明部211と、撮像部212と、画像処理部213と、位置情報取得部214と、座標変換部215と、を備える。
【0048】
照明部211は、入力装置20の略先端に配置されるLEDにより構成され、赤外光を照射する。入力装置20がユーザーに把持されて、表示体モジュール11の表示面を指示した場合、照明部211が照射する赤外光は、位置情報層112の位置情報コード113を照射するように構成される。
【0049】
撮像部212は、入力装置20の略先端に配置されるCCDにより構成され、入力装置20がユーザーに把持されて、表示体モジュール11の表示面を指示した場合、位置情報層112の所定の領域を撮像して、電気信号に変換する。なお、図示は略すが、撮像部212に光が入射する入射口付近には、CCDの撮像面に表示面の像を形成するための撮像光学系が備えられ、赤外光の波長帯域の光のみを透過するフィルター部材が配される。したがって、撮像部212は、上記した反射部115と非反射部114とで構成される位置情報コード113の情報図形のみを撮像する。変換した電気信号は、画像処理部に送られる。
【0050】
画像処理部213は、撮像部212から送られる電気信号が示す画像を、デジタル処理することで位置情報コード113の非反射部114が示す描画パターンを抽出して、位置情報取得部214に送る。
【0051】
位置情報取得部214は、描画パターンの配置の特徴から、符号列を抽出し、この符号列を復号して位置情報を取得する。
【0052】
座標変換部215は、位置情報取得部214で求めた位置情報から、入力装置20の先端部が指示する表示体モジュール11上の位置を示す座標値を算出し、入力装置無線通信部22を介して表示装置10に送る。
【0053】
(接近検出部)
接近検出部13は、第1の検出部の一例であり、ユーザーの人体(例えば、入力装置20を持った手や指等)が表示装置10に接近しているか否かを検出する。接近検出部13で検出した情報(以下、「人体接近情報」という)は、表示装置制御部14に出力される。接近検出部13には、例示的に、図4及び図5に示す焦電型赤外線センサー13Aや、図6及び図7に示す静電容量センサー13Bを適用できる。
【0054】
(焦電型赤外線センサー)
図4及び図5に示す焦電型赤外線センサー13Aは、例示的に、焦電素子131と、アンプ132と、判定部133と、を備える。
【0055】
焦電素子131は、焦電効果によって赤外線を含む光を検出する素子であり、光を熱源とした温度変化に応じた信号(例えば、電圧信号)を検出信号として出力する。焦電型赤外線センサー13Aの外部には、焦電素子131に向けて赤外線を集光するレンズ134を設けることができる。
【0056】
レンズ134を設けることで、焦電素子131の検出感度を上げることができ、また、検出可能範囲を拡大することができる。レンズ134及び焦電型赤外線センサー13Aは、図4に模式的に例示するように、表示装置10の表示体モジュール11(位置座標検出面)に接近する人体(例えば、入力装置20を持ったユーザーの手や指)が発する赤外線を検出できるように例えば表示装置10に検出可能範囲の向き等が調整されて配置される。
【0057】
アンプ132は、焦電素子131の検出信号を増幅し、判定部133は、アンプ132で増幅された検出信号が所定の閾値を超えているか否かを判定する。検出信号が閾値を超えていれば、判定部133は、人体が表示体モジュール11に接近していると判定し、検出信号が閾値を超えていなければ、人体が表示体モジュール11から離れていると判定する。判定部133の判定結果は、表示装置制御部14へ与えられる。
【0058】
これにより、表示装置制御部14は、表示体モジュール11に人体が接近しているか否かを認識することができる。なお、表示装置制御部14において判定部133の判定結果をサンプリングする周期(つまりは、接近検知周期)は、適宜の周期に設定、変更可能である。サンプリング周期を短くするほど、接近検知感度を上げることができる。
【0059】
(静電容量センサー)
一方、図6及び図7に示す静電容量センサー13Bは、例示的に、静電容量検出電極135と、コンデンサーC1と、アンプ136と、判定部137と、を備える。
【0060】
静電容量検出電極135は、人体(例えば、入力装置20を持った手)が表示装置10に接近し、人体を通じてアース(グランド)された場合に生じる静電容量Csの変化に応じた電気信号(例えば、電圧信号)を検出信号として出力する。静電容量検出電極135は、検出対象とすべき範囲に応じて適当な形状及び数で配置することができる。図6には、非限定的な一例として、平面視において矩形状の表示体モジュール11の周辺部に3つの帯状の静電容量検出電極135を配置した例を示している。
【0061】
コンデンサーC1は、静電容量検出電極135の検出信号のノイズ成分をカットし、アンプ136は、検出信号を増幅し、判定部137は、アンプ136で増幅された検出信号が所定の閾値を超えているか否かを判定する。検出信号が閾値を超えていれば、判定部137は、人体が表示体モジュール11に接近していると判定し、検出信号が閾値超えていなければ、人体が表示体モジュール11から離れていると判定する。判定部137の判定結果は、表示装置制御部14へ与えられる。
【0062】
(接触検出部)
入力装置20が備える接触検出部23は、ユーザーの人体が入力装置20に接触しているか否かを検出する。接触検出部23で検出した情報(以下、「人体接触情報」という)は、入力装置制御部24に出力される。接触検出部23には、例示的に、図8及び図9に示す静電容量センサー23Aを適用できる。
【0063】
(静電容量センサー)
図8及び図9に示す静電容量センサー23Aは、例示的に、静電容量検出電極231と、コンデンサーC2と、アンプ232と、判定部233と、を備える。
【0064】
静電容量検出電極231は、人体が入力装置20に接触し、人体を通じてアース(グランド)された場合に生じる静電容量Cs2の変化に応じた電気信号(例えば、電圧信号)を検出信号として出力する。静電容量検出電極231は、検出対象とすべき範囲に応じて適当な形状及び数で配置することができる。図8には、非限定的な一例として、入力装置20の外装に矩形状の静電容量検出電極231を配置した例を示している。
【0065】
コンデンサーC2は、静電容量検出電極231の検出信号のノイズ成分をカットし、アンプ232は、検出信号を増幅し、判定部233は、アンプ232で増幅された検出信号が所定の閾値を超えているか否かを判定する。検出信号が閾値を超えていれば、判定部233は、人体が入力装置20に接触していると判定し、検出信号が閾値超えていなければ、人体が入力装置20から離れていると判定する。判定部233の判定結果は、入力装置制御部24へ与えられる。
【0066】
(表示装置無線通信部)
表示装置10における表示装置無線通信部12は、第1の無線通信部の一例であり、入力装置20の入力装置無線通信部22と間で無線通信を行う、近距離無線手段である。
表示装置制御部14の制御により、表示装置10の識別情報(ID)の送信や、入力装置無線通信部22が送信する位置座標情報の受信を行う。
【0067】
(入力装置無線通信部)
入力装置20における入力装置無線通信部22は、第2の無線通信部の一例であり、表示装置10の表示装置無線通信部12と間で無線通信を行う、近距離無線手段である。
入力装置制御部24の制御により、表示装置10の識別情報(ID)の受信や、表示装置無線通信部12に対して位置座標情報の送信を行う。
【0068】
(表示装置制御部)
表示装置10における表示装置制御部14は、第1の制御部の一例であり、表示装置10の各構成要素の動作の制御を行う。
【0069】
(入力装置制御部)
入力装置20における入力装置制御部24は、第2の制御部の一例であり、入力装置20の各構成要素の動作の制御を行う。同時に、入力装置制御部24は第2の検出部の一例でもあり、入力装置無線通信部22を介して受信した表示装置10の識別情報(ID)を検出判定する。
【0070】
入力装置制御部24は、無線通信によって伝達される、接近検出部13で検出された人体接近情報と、表示装置制御部14から出力された表示装置10の識別情報(ID)とに基づいて、入力装置20の動作状態を制御する。
【0071】
例えば、入力装置制御部24は、人体接近情報からユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知し、かつ、表示装置10から受信したIDが所定の登録IDに一致(適合)することを確認(認証成功)すると、位置検出部21の動作状態をアクティブな状態に制御する。これにより、位置検出部21による位置検出が開始される。
【0072】
一方、いずれかの条件が成立しなければ、入力装置制御部24は、位置検出部21の動作状態を省電力モードに制御する。省電力モードにおいて、位置検出部21は、位置検出動作を停止する。接近検出部13にて人体接近情報が検出されてから所定時間内にID認証に成功しなかった場合(表示装置10のIDを受信できない場合も含む)にも、入力装置制御部24は、位置検出部21による位置検出動作を省電力モードに制御してよい。
【0073】
入力装置制御部24において表示装置10のID認証に用いる登録IDは、例示的に、入力装置制御部24に備えられたRAM等のメモリー(図示省略)に記憶しておくことができる。当該メモリーに記憶しておくIDの数は、入力装置20の操作を許可された正当なユーザーに割り当てられた1又は複数の表示装置10に対応した数とすることができる。
【0074】
なお、表示装置制御部14は、接近検出部13が検出する人体接近情報から、ユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知すると表示装置無線通信部12を動作させ、ユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知しないと表示装置無線通信部12を動作させない制御をしてもよい。この場合、表示装置無線通信部12の動作を人体接近情報が検出された場合に限ることができるので、表示装置10の消費電力を抑えることができる。
【0075】
また、入力装置制御部24は、接触検出部23が検出する人体接触情報から、ユーザー(人体)が入力装置20に対して接触したことを認知すると入力装置無線通信部22を動作させ、ユーザー(人体)が入力装置20に対して接触したことを認知しないと入力装置無線通信部22を動作させない制御をしてもよい。この場合、入力装置無線通信部22の動作を人体接触情報が検出された場合に限ることができるので、入力装置20の消費電力を抑えることができる。
【0076】
さらに、表示装置制御部14は、接近検出部13が検出する人体接近情報から、ユーザー(人体)が表示装置10に対して所定距離内に接近したことを認知し表示装置無線通信部12を動作させた後、入力装置無線通信部22との通信が確立している間、接近検出部13の動作を停止させてもよい。この場合、人体接近して通信動作が確立している間、つまり、位置検出を行っている時は、接近検出部13の動作を停止することができるので、表示装置10の消費電力を抑えることができる。なお、表示装置無線通信部12と入力装置無線通信部22の通信動作の確立が解除された状態、つまり位置検出を行わない状態になったら、接近検出部13を動作状態にして、人体接近検出を有効にする。
【0077】
入力装置20に接近した表示装置10のID認証が成功して位置検出部21の動作状態がアクティブ状態となれば、入力装置制御部24は、位置検出部21から与えられた位置座標情報を、入力装置無線通信部22から表示装置無線通信部12を介し、表示装置制御部14に出力する。
【0078】
表示装置制御部14は位置座標情報に応じた制御信号を表示体駆動制御部15に与え、表示体駆動制御部15は表示体111の表示状態を制御する。これにより、表示体モジュール11に対するユーザーの入力装置20を用いた入力操作に応じた表示(入力装置20の表示体モジュール11上での軌跡等)が表示体111においてなされる。
【0079】
以下、上述の電子ペーパーシステム1の動作例について、図10、図11、図12及び図13を用いて説明する。
【0080】
図11は、入力装置制御部24が実行する入力装置20の省電力モード解除に関わる処理を示し、この一連の処理は周期的に繰り返し実行される。図12は、表示装置制御部14が実行する表示装置10の省電力モード解除に関わる処理を示し、この一連の処理は周期的に繰り返し実行される。
【0081】
入力装置20が起動されると、入力装置制御部24が接触検出部23を起動して接触検出部23による人体接触検出動作を開始させる。入力装置制御部24は、接触検出部23の出力(判定結果)から、人体(例えば、ユーザーの手や指)が入力装置20に接触したか否かを判定する(図11の処理P110)。
【0082】
処理P110の結果、人体が入力装置20に接触したことを入力装置制御部24が認知すると、入力装置制御部24は、入力装置無線通信部22をオン状態に制御して、無線通信動作を開始する(図11の処理P120、図10の時刻T1もしくは時刻T9)。同時に入力装置無線通信部22は無線通信可能な表示装置10の検索を開始する(図11の処理P130)。
【0083】
なお、処理P110の結果、人体が入力装置20に接触していないことを入力装置制御部24が認知すると、入力装置制御部24は、入力装置無線通信部22をオフ状態に制御する(図11の処理P121)。
【0084】
表示装置10が起動されると、表示装置制御部14が接近検出部13を起動して接近検出部13による人体接近検出動作を開始させる。表示装置制御部14は、接近検出部13の出力(判定結果)から、人体(例えば、入力装置20を持ったユーザーの手や指)が表示装置10に接近したか否かを判定する(図12の処理P210)。
【0085】
処理P210の結果、人体が表示装置10に接近したことを表示装置制御部14が認知すると、表示装置制御部14は、表示装置無線通信部12をオン状態に制御して、無線通信動作を開始する(図12の処理P220、図10の時刻T2もしくは時刻T10)。同時に表示装置無線通信部12は無線通信可能な入力装置20の検索を開始する(図12の処理P230)。
【0086】
なお、処理P210の結果、人体が表示装置10に接近していないことを表示装置制御部14が認知すると、表示装置制御部14は、表示装置無線通信部12をオフ状態に制御する(図12の処理P221)。
【0087】
入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12が共にオン状態となった場合、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12は互いの検索結果から、互いに無線通信可能と判別し、互いの通信が確立する(図11の処理P140のYルート、図12の処理P240のYルート、図10の時刻T3もしくは時刻T11)。
【0088】
通信が確立した後(図10の時刻T4もしくは時刻T12)、表示装置無線通信部12は表示装置制御部14の制御により表示装置10の識別情報(ID)を送信する(図12の処理P250)。
【0089】
そして、入力装置制御部24の制御により入力装置無線通信部22が表示装置10の識別情報(ID)を受信すると(図11の処理P150のYルート)、入力装置制御部24は、受信IDが登録(記憶)IDに適合するか否かを判定する(図11の処理P160)。
【0090】
判定の結果、受信IDが登録IDに適合しなければ(図11の処理P160のNルート、図10の時刻T5)、入力装置制御部24は、位置検出部21にオフ信号(省電力モード指示)を与えて入力検出部21を省電力モードに制御(変更又は維持)する(図11の処理P171)。
【0091】
一方、判定の結果、受信IDが登録IDに適合した場合(図11の処理P160のYルート、図10の時刻T13)、入力装置制御部24は、位置検出部21にオン信号(アクティブモード指示)を与えて入力検出部21をアクティブな状態に制御(変更又は維持)する(図11の処理P170、図10の時刻T14)。
【0092】
その後、入力装置20を用いた入力操作が表示体モジュール11に対してなされると、位置検出部21にて当該入力操作に応じた位置座標情報が時系列に検出される。入力装置制御部24は、位置検出部21にて検出された位置座標情報を、入力装置無線通信部22から表示装置無線通信部12を介し、表示装置制御部14に出力する。表示装置制御部14は、位置座標情報に応じた制御信号を表示体駆動制御部15に与え、表示体111の表示状態を制御する。(図10の時刻T15〜T17)。
【0093】
なお、表示装置制御部14は、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12の通信が確立を検出した場合は(図13の処理P310のYルート)、接近検出部13の動作状態をオフし(図13の処理P320)、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12の通信が確立していないことを検出した場合は(図13の処理P310のNルート)、接近検出部13の動作状態をオンしてもよい(図13の処理P321)。この場合、人体が接近して通信動作が確立している間、つまり、位置検出を行っている時は、接近検出部13の動作を停止することができるので、表示装置10の消費電力を抑えることができる。
【0094】
以上のように、上述した実施形態によれば、入力装置20に接近した表示装置10のIDが適合した場合に位置検出部21の動作状態がアクティブな状態に制御され、入力装置20による入力操作が受け付けられるので、位置検出部21の動作時間を短縮できる。したがって、位置検出部21の消費電力、ひいては入力装置20の消費電力を抑えることができる。例えば、表示装置10に対する人体の接近検出および入力装置20に対する人体の接触検出に要する電力と、入力装置20に対する表示装置10のID識別に要する電力との和が、位置検出部21を省電力状態にすることで削減できる電力よりも小さければ、電子ペーパーシステム1の消費電力を低減できる。
【0095】
なお、本実施形態の入力装置20と表示装置10とが物理的に分離したシステム構成は、表示装置10の構成要素部品を減らし、表示装置10を軽量、薄型化することができるため、電子ペーパーシステム1に適している。このような入力装置20と表示装置10が分離した電子ペーパーシステム1において、低消費電力化を実現できる。
【0096】
また、人体接近情報と表示装置10のID識別とを基に位置検出部21の動作を制御するので、ユーザーが入力操作を行なおうとする状況の判定確度を上げることができる。したがって、ユーザーによる入力操作がある期間を適切に識別して、当該期間に限って位置検出部21をアクティブな状態に制御できるので、省電力性を向上できる。
【0097】
さらに、所定のIDを有する表示装置10でないと位置検出部21がアクティブ状態にならない(つまり、表示装置10に対する入力操作が受け付けられない)ので、表示装置10に対して入力が可能な人を限定することができ、表示装置10のセキュリティー性を向上することができる。
【0098】
また、入力装置を持ったユーザーの手や指が所定IDを有する表示装置10へ接近したり離れたりする状況に応じて位置検出部21の動作状態が制御されるので、ユーザーは、特別な操作を行なわなくても、また、意識せずに、省電力制御を実現できる。
例えば、所定のIDを有する表示装置10が入力装置20に接近した状態、つまりユーザーが入力を行なう前に表示装置10と入力装置20をアクティブな状態にできる(省電力モードの解除を完了できる)ので、ユーザーの利便性を向上することができる。
【0099】
さらに、表示装置10は、接近検出部13でユーザーの手や指が表示装置10へ接近したことを検出した場合に限って、表示装置無線通信部12の動作を有効にする(開始する)ことで、表示装置10の更なる省電力化を図ることできる。入力装置20と表示装置10が物理的に分離したシステム形態においては、入力装置20と通信を行うために表示装置無線通信部12が必要となるが、その動作電力を低減することができる。
【0100】
また、入力装置20は、接触検出部23でユーザーの手や指が入力装置20へ接触したことを検出した場合に限って、入力装置無線通信部22の動作を有効にする(開始する)ことで、入力装置20の更なる省電力化を図ることできる。入力装置20と表示装置10が物理的に分離したシステム形態においては、表示装置10と通信を行うために入力装置無線通信部22が必要となるが、その動作電力を低減することができる。
【0101】
さらに、表示装置10は、入力装置無線通信部22と表示装置無線通信部12の通信が確立している間は、接近検出部13の動作状態をオフすることで、接近検出部13の動作電力を低減し、表示装置10の更なる省電力化を図ることができる。
【0102】
(その他)
上述した実施形態にける表示装置10は、EPD等の電気泳動表示装置の他、他の記憶性反射型表示装置(例えば、エレクトロクロミック等)や、記憶性を有さない表示装置(例えば、TN液晶を用いる液晶表示装置、有機EL等)でもよい。ただし、省電力性を有する電気泳動表示装置等の記憶性反射型表示装置を用いるシステムにおいては、他の種類の表示装置を用いる場合に比べて位置検出部21が占める消費電力の比率が高いため、システム全体としての消費電力の削減効果が大きく、より効果的である。
【0103】
また、位置検出部方式には、上述した表示面上に形成された位置情報コード113を光学的に読み取る位置検出方式の他、電磁誘導方式、超音波方式、赤外線方式等の他の方式の位置検出方式を適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…電子ペーパーシステム、10…表示装置、11…表示体モジュール、12…表示装置無線通信部、13…接近検出部、14…表示装置制御部、15…表示体駆動制御部、20…入力装置、21…位置検出部、22…入力装置無線通信部、23…接触検出部、24…入力装置制御部、111…表示体、112…位置情報層、113…位置情報コード、114…非反射部、115…反射部、13A…焦電型赤外線センサー、13B,23A…静電容量センサー、131…焦電素子、132,136,232…アンプ、133,137,233…判定部、134…レンズ、135,231…静電容量検出電極、211…照明部、212…撮像部、213…画像処理部、214…位置情報取得部、215…座標変換部、C1,C2…コンデンサー、Cs,Cs2…静電容量。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムであって、
前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と、第1の無線通信部と、前記表示装置の動作状態を制御する第1の制御部と、を備え、
前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と、前記第1の無線通信部との間で無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御する第2の制御部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第2の制御部は、
前記第1及び前記第2の検出部による検出結果に基づいて、前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の制御部は、
前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記入力装置は、
前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、前記接触検出部による検出結果に基づいて人体が接触している間は前記第2の無線通信部を動作させ、人体が前記入力装置に接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に接近距離で通信可能な無線通信部であり、
前記第1の制御部は、双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、
前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と第1の無線通信部とを備え、
前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と第2の無線通信部とを備え、
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とが無線通信する処理と、
前記第1の検出部で人体が前記表示装置に接近したことを検出する処理と、
前記第2の検出部により前記入力装置が前記表示装置の識別情報を検出したときに、前記入力装置の動作状態を制御する処理と、
を有することを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項7】
前記入力装置の動作状態を制御する処理は、
前記第1の検出部で前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ、前記第2の検出部で前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させる処理を含むことを特徴とする、請求項6に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項8】
前記表示装置の動作状態を制御する処理は、
前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする、請求項6又は7に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項9】
前記入力装置は、前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、
前記入力装置の動作状態を制御する処理は、
前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触したことを検出している間は前記第2の無線通信部を動作させ、前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止させる処理を含むことを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項10】
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に、接近距離で通信可能な無線通信部であり、
前記表示装置の動作状態を制御する処理は、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部の双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させる処理を含むことを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項1】
表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムであって、
前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と、第1の無線通信部と、前記表示装置の動作状態を制御する第1の制御部と、を備え、
前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と、前記第1の無線通信部との間で無線通信を行う第2の無線通信部と、前記第1及び第2の検出部による検出結果に基づいて、前記入力装置の動作状態を制御する第2の制御部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第2の制御部は、
前記第1及び前記第2の検出部による検出結果に基づいて、前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の制御部は、
前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記入力装置は、
前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、前記接触検出部による検出結果に基づいて人体が接触している間は前記第2の無線通信部を動作させ、人体が前記入力装置に接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に接近距離で通信可能な無線通信部であり、
前記第1の制御部は、双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
表示装置と入力装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、
前記表示装置は、人体の接近を検出する第1の検出部と第1の無線通信部とを備え、
前記入力装置は、前記表示装置の識別情報を検出する第2の検出部と第2の無線通信部とを備え、
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とが無線通信する処理と、
前記第1の検出部で人体が前記表示装置に接近したことを検出する処理と、
前記第2の検出部により前記入力装置が前記表示装置の識別情報を検出したときに、前記入力装置の動作状態を制御する処理と、
を有することを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項7】
前記入力装置の動作状態を制御する処理は、
前記第1の検出部で前記表示装置に人体が接近したことを検出し、かつ、前記第2の検出部で前記表示装置が所定の識別情報を有することを認知した場合に、前記入力装置の位置検出部が前記表示装置の表示面に対する指示位置を検出する動作を開始させる処理を含むことを特徴とする、請求項6に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項8】
前記表示装置の動作状態を制御する処理は、
前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近している間は、前記第1の無線通信部を動作させ、前記第1の検出部による検出結果に基づいて人体が接近していないことを認知している間は、前記第1の無線通信部の動作を停止させることを特徴とする、請求項6又は7に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項9】
前記入力装置は、前記入力装置に対する人体の接触を検出する接触検出部を有し、
前記入力装置の動作状態を制御する処理は、
前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触したことを検出している間は前記第2の無線通信部を動作させ、前記接触検出部が前記入力装置に人体が接触していないことを認知している間は前記第2の無線通信部の動作を停止させる処理を含むことを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の情報処理システムの制御方法。
【請求項10】
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部とは共に、接近距離で通信可能な無線通信部であり、
前記表示装置の動作状態を制御する処理は、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部の双方が無線通信を確立している間は前記第1の検出部の動作を終了し、無線通信が確立されない状態では前記第1の検出部を動作させる処理を含むことを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の情報処理システムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−128709(P2012−128709A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280194(P2010−280194)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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